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特許7421546人工心弁デバイス、システム、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】人工心弁デバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021509754
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019047542
(87)【国際公開番号】W WO2020041495
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】62/720,853
(32)【優先日】2018-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512052029
【氏名又は名称】シファメド・ホールディングス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】アルジェント,クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】バッカス,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,アリス
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0016464(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0074165(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0199177(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0177594(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心臓の中の罹患した自然弁を置換するための心臓弁プロテーゼであって、前記弁プロテーゼが、
収縮可能および拡張可能である、フレーム軸を有するフレーム構造と、
前記フレーム構造内に配設される弁セグメントであって、前記弁セグメントが生体適合性の一方向弁を備える、弁セグメントと、
前記フレーム構造の外側周縁部に接続される拡張可能なアンカーであって、前記アンカーが自由端を有して前記フレーム構造の周りで螺旋形状に形成されるワイヤを備える、アンカーと
を備え
前記弁プロテーゼは、前記弁プロテーゼが送達カテーテルから外に出ると、前記アンカーが予め形成された配備状態に拡張して前記フレーム構造に巻き付き、前記フレーム構造が、前記フレーム軸が前記アンカー内の中心に位置する折り畳まれた状態を維持するように構成され、
前記螺旋形状に形成されるワイヤの前記自由端は、前記螺旋形状に形成されるワイヤが回転させられるとき、前記心臓弁プロテーゼを前記自然弁の中に案内するように構成される心臓弁プロテーゼ。
【請求項2】
前記螺旋形状に形成されるワイヤの前記自由端が、患者の自然弁の交連部を通るように前記心臓弁プロテーゼを案内するように構成される、請求項1に記載の弁プロテーゼ。
【請求項3】
前記自由端が非外傷性先端部を備える、請求項1または2に記載の弁プロテーゼ。
【請求項4】
前記螺旋形状に形成されるワイヤが概ね管形状を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の弁プロテーゼ。
【請求項5】
前記螺旋形状に形成されるワイヤの前記自由端が前記管形状から径方向外側に延在する、請求項4に記載の弁プロテーゼ。
【請求項6】
前記フレーム構造が、患者の自然弁内で拡張するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の弁プロテーゼ。
【請求項7】
前記フレーム構造が、経皮的な挿入のために大きさおよび寸法が決定される収縮状態と、患者の自然弁への移植のために大きさおよび寸法が決定される拡張状態とを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の弁プロテーゼ。
【請求項8】
前記フレーム構造が第1および第2の対向する端部を備え、前記弁プロテーゼが自然弁に跨るように配置されるとき、前記第1の端部が前記自然弁の上方に延在し、前記第2の端部が前記自然弁の下方に延在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の弁プロテーゼ。
【請求項9】
前記フレーム構造が拡張可能ステントを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の弁プロテーゼ。
【請求項10】
前記フレーム構造が、拡張状態の外側周縁部と、径方向の外力を受けるときの収縮状態の外側周縁部とを有し、前記収縮状態の外側周縁部の直径が前記拡張状態の外側周縁部の直径より小さい、請求項1から9のいずれか一項に記載の弁プロテーゼ。
【請求項11】
前記フレーム構造が自己拡張式である、請求項1から9のいずれか一項に記載の弁プロテーゼ。
【請求項12】
前記弁セグメントが複数のリーフレットを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の弁プロテーゼ。
【請求項13】
前記螺旋形状に形成されるワイヤが第2の端部を備え、前記第2の端部が前記フレーム構造に取り付けられる、請求項1から12のいずれか一項に記載の弁プロテーゼ。
【請求項14】
前記螺旋形状に形成されるワイヤが前記螺旋形状に形成されるワイヤの前記第2の端部の位置のみで前記フレーム構造に取り付けられる、請求項13に記載の弁プロテーゼ。
【請求項15】
前記アンカーおよび前記フレーム構造が独立して別個に拡張させられるように適合される、請求項1から14のいずれか一項に記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001]本出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれている、Prosthetic Cardiac Valve Devices, Systems, and Methodsと題される、2018年8月21日に出願した米国仮特許出願第62/720,853号(代理人整理番号41702-704.101)の利益を主張するものである。
参照による援用
[0002]本明細書で言及されるすべての刊行物および特許出願は、各々の個別の刊行物または特許出願を参照により組み込まれるものとして具体的にかつ個別に示す場合と同じ程度で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0003]本発明は、概して、心臓疾患の治療に関し、より詳細には、移植可能な弁プロテーゼ、および心臓弁膜症のための治療に関する。
【背景技術】
【0003】
[0004]図1および2を参照すると、心臓2が、4つの弁によって接続される4つの心室を有する。心臓2の上側部分が左心房25および右心房5を有する。下側部分が左心室26および右心室6を有する。心臓2および心臓血管系が閉回路のように動く。心臓2の右側が身体から非酸素化血液を受け取り、肺動脈7を通して肺まで血液を送達し、肺で血液が再び酸素化される。酸素化された血液が全身側(systemic side)と称される心臓2の左側に戻され、心臓2の左側が酸素化血液を全身のいたるところに送達する。
【0004】
[0005]心室の間の血流が弁によって調節される。心臓の左側で、僧帽弁4が左心房25と左心室26との間に位置し、大動脈弁9が左心室26と大動脈1との間に位置する。心臓2の右側で、肺動脈弁3が右心室6と肺動脈7との間に位置し、三尖弁8が右心室6と右心房5との間に位置する。
【0005】
[0006]4つのすべての心臓弁が、圧力差に反応して開いたり閉じたりする「リーフレット」を備える受動的な一方向弁である。例えば、健康な心臓では、心収縮中、左心室26が収縮して大動脈弁9から血液を押し出す。さらに、左心室26内の圧力が僧帽弁4を閉じさせ、それにより心収縮中に左心房25の中に血液が戻るのを防止する。
【0006】
[0007]有意な集団がその一生のうちに弁膜症を患う。先天性心臓疾患もやはり深刻な問題である。弁膜疾患を患う患者は少なくとも1つの弁の解剖学的異常および機能的異常を有する。先天性の弁異常は、後年において生命に危険を及ぼす問題にまで深刻化するまでの数年の間においては、我慢される可能性があり、および/または一時的な苦痛緩和のために治療される可能性がある。しかし、先天性の心臓疾患は気づかれないまま生命に危険を及ぼすリスクを呈する可能性がある。患者が、リウマチ熱、心臓麻痺、リーフレット組織の変性、および細菌感染などから弁膜疾患を患う可能性がある。
【0007】
[0008]弁膜疾患は図3から5に示される複数の要因を原因とする可能性がある。図3が健康な僧帽弁4を示す。図4から5を参照すると、罹患した僧帽弁4が示されている。図4の弁4は逆流とも称される不全症を患っている。このような弁4は完全には閉じず、逆行する形で血液が流れるのを可能にする。このような事例では、心収縮中に血液が左心房25の中まで逆流することになる。図5が、狭窄症を患っている僧帽弁4を示している。このような弁4は適切に開かない。一部の弁4は随伴性の不全症および狭窄症を患う可能性もある。弁4を適切に機能させるのを妨げるBarlow病などの他の疾患が発症する可能性もある。これらの疾患は心臓拍出量を低下させ、より過酷に心臓2を働かせ、それにより心不全および腱索不全(chordae failure)のリスクを増大させる。
【0008】
[0009]この病気を治療するのに薬物治療が利用され得るが、多くの事例で、欠陥のある弁は患者の一生における何らかの時点で修復されるかまたは取り換えられる必要がある可能性がある。自然弁が機械的な弁または組織弁に取り換えられ得る。機械的な弁は開いたり閉じたりするディスクまたは他の部材を有する。機械的な弁は生体適合材料で形成されるが、機械的な弁は凝血のリスクを増大させる。したがって、患者は、通常、患者の残りの人生において抗凝血剤をとることを必要とすることになり、それによりさらなる合併症が発症することになる。組織弁は、人間または動物の組織で、さらにはポリマー材料で、形成され得る。組織弁は、機械的な弁とは異なり、通常、長期間にわたる抗凝血剤の使用を必要としないが、生きている組織で形成されることを理由として、機械的な弁ほどは広く利用可能ではなく、機械的な弁ほど長期間持続しない。一般的な組織弁には、ステント状の構造の中に設置されるブタ大動脈弁が含まれる。
【0009】
[0010]より最近では、人工弁を移植するためのより侵襲的ではない手技の対しての関心が増大している。1つの種類の経皮的手技には、罹患した心臓弁または損傷した心臓弁の内部に人工弁を配置するためにカテーテルを使用することが伴う。
【0010】
[0011]弁修復のための既存の経皮的手技は今なお多くの課題に直面している。これらの課題は、特定の患者集団および特定の解剖学的構造において経カテーテル手技を採用するのを制限することになる。現在まで、経カテーテルデバイスは主として大動脈弁手技に集中しており、また手術に耐えることができない可能性がある重症の患者集団に集中している。外科用弁の性能および安全性を満たすかまたは上回る改善された経カテーテルデバイスが継続して必要とされる。経皮的な弁置換も大動脈弁の手技のみに限定されている。集団のうちの大部分が三尖弁および僧帽弁の疾患を患っているわけであるが、これらの弁の解剖学的構造および機能は経カテーテル置換に対していくつかの課題を呈している。大動脈弁は大腿動脈を介してアクセスされ得るが、例えば僧帽弁は通常は経中隔的アプローチを必要とする。僧帽弁の解剖学的構造は大動脈弁と比較して経カテーテル手技においてのより高い複雑性も呈する。例えば、図4に示されるように、僧帽弁4は、2つの非対称なリーフレット4a、4bおよび不規則な形状の環状部4cを有する。また、僧帽弁4は大動脈弁と比較して患者ごとに大きく異なる。これらの理由および他の理由のために、これまで、外科的置換および経皮的修復が、僧帽弁の疾患のための広く利用可能である利益を見込める唯一の治療であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
[0012]したがって、僧帽弁を含めた心臓弁の修復および置換のためのより侵襲的ではない手技、より迅速な外科的手法、多様な患者の要求に対応する多様な異なる弁組立体、および/または多様な個別の患者に対応することができる人工弁を提供することが望まれる。必ずしもこれらのすべての態様または利点が任意特定の実施形態によって達成されるわけではない。したがって、本明細書で教示される1つの利点または利点のグループを達成または最適化するような1つの手法において、本明細書でやはり教示または提案され得る他の態様または利点を必ずしも達成することなく、多様な実施形態が実行され得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0013]本開示は人工心臓デバイスに関連し、いくつかの実施形態で、カテーテルベースの僧帽弁などの人工心臓弁に関連する。
[0014]第1の態様で、患者の中の罹患した自然弁(native valve; 換言すれば、天然弁)を置換するための心臓弁プロテーゼが提供される。心臓弁プロテーゼが、収縮可能および拡張可能であるフレーム構造と、フレーム構造の外側周縁部に接続されるアンカーとを有する。アンカーが自由端を有する螺旋ワイヤを備える。弁が、フレーム構造内にある弁セグメントをさらに有することができる。弁セグメントが生体適合性の一方向弁を有することができる。
【0013】
[0015]第2の実施形態で、患者の心臓の中の罹患した自然弁を置換するための心臓弁プロテーゼが提供される。弁プロテーゼが、収縮可能および拡張可能であるフレーム構造と、フレーム構造内に配設される弁セグメントであって、弁セグメントが生体適合性の一方向弁を備える、弁セグメントと、フレーム構造の外側周縁部に接続されるアンカーとを備え、アンカーが自由端を有する螺旋ワイヤを備える。
【0014】
[0016]いくつかの実施形態で、螺旋ワイヤの自由端が、患者の自然弁の交連部を通るように螺旋ワイヤを案内するように構成され得る。
[0017]いくつかの実施形態で、自由端が非外傷性先端部を備えることができる。例えば、自由端がボール先端部を備えることができる。
【0015】
[0018]いくつかの実施形態で、自由端が組織を穿孔するように構成され得る。
[0019]いくつかの実施形態で、アンカーが、螺旋ワイヤを備える第1の部分および別の部分を備えることができる。
【0016】
[0020]いくつかの実施形態で、アンカーが、複数のアンカーを含むことができる。複数のアンカーが、異なる直径を有する少なくとも2つの螺旋ワイヤを含むことができる。別法としてまたは加えて、複数のアンカーが、異なる巻線ピッチを有する少なくとも2つの螺旋ワイヤを含むことができる。
【0017】
[0021]いくつかの実施形態で、螺旋ワイヤが概略管形状を有することができる。螺旋ワイヤの自由端が管形状から径方向外側に延在することができる。
[0022]いくつかの実施形態で、螺旋ワイヤが概略円錐台形形状を有することができる。螺旋ワイヤの自由端が円錐台形形状から径方向外側に延在することができる。
【0018】
[0023]いくつかの実施形態で、フレーム構造が、患者の自然弁内で拡張するように構成され得る。
[0024]いくつかの実施形態で、フレーム構造が、経皮的な挿入のために大きさおよび寸法が決定される収縮状態と、患者の自然弁への移植のために大きさおよび寸法が決定される拡張状態とを有することができる。
【0019】
[0025]いくつかの実施形態で、フレーム構造が第1および第2の対向する端部を備えることができ、弁プロテーゼが自然弁に跨るように配置されるとき、第1の端部が自然弁の上方に延在し、第2の端部が自然弁の下方に延在する。
【0020】
[0026]いくつかの実施形態で、フレーム構造が拡張可能ステントを備えることができる。
[0027]いくつかの実施形態で、フレーム構造が概略管状の拡張形状を有することができる。
【0021】
[0028]いくつかの実施形態で、フレーム構造が、拡張状態の外側周縁部と、径方向の外力を受けるときの収縮状態の外側周縁部とを有することができる。収縮状態の外側周縁部の直径が、拡張状態の外側周縁部の直径よりわずかに小さくてよい。
【0022】
[0029]いくつかの実施形態で、フレーム構造がバルーンにより拡張可能であってよい。
[0030]いくつかの実施形態で、フレーム構造が自己拡張式であってよい。
[0031]いくつかの実施形態で、弁セグメントの少なくとも一部分がフレーム構造の少なくとも一部分の中に配置され得る。
【0023】
[0032]いくつかの実施形態で、弁セグメントが、内側層および外側層を有する少なくとも1つのリーフレットを備えることができる。フレーム構造が、フレーム構造の1つまたは複数の端部のところで外側層に取り付けられ得る。
【0024】
[0033]いくつかの実施形態で、弁セグメントが複数のリーフレットを備えることができる。例えば、弁セグメントが2つのリーフレットを備えることができる。
[0034]いくつかの実施形態で、螺旋ワイヤが第2の端部を備えることができ、第2の端部がフレーム構造に取り付けられる。螺旋ワイヤが、第2の端部の位置のみでフレーム構造に取り付けられ得る。
【0025】
[0035]いくつかの実施形態で、アンカーおよびフレーム構造が独立して別個に拡張させられるように適合され得る。
[0036]別の態様で、患者の罹患した自然弁を置換する方法が提供される。この方法が、弁プロテーゼを送達カテーテルの中に装填することであって、弁プロテーゼが、生体適合性の弁セグメントを担持する拡張可能なフレーム構造と、フレーム構造の外側周縁部に取り付けられるアンカーとを備え、アンカーが自由端を有するワイヤを備える、装填することと、自然弁の上方の標的位置まで弁プロテーゼを送達することと、自然弁を通して自然弁の後方の位置まで弁プロテーゼを挿入することと、弁の下方の腱索の少なくとも一部分の周りに自由端を巻き付けるようにワイヤを回転させることと、弁セグメントを有するフレーム構造を自然弁の中で拡張させることと、を含む。
【0026】
[0037]いくつかの実施形態で、この方法が、自然弁のリーフレットの中にフレーム構造を配置するまで、ワイヤを回転させることにより弁プロテーゼを固着することをさらに含むことができる。
【0027】
[0038]いくつかの実施形態で、この方法が、腱索の周りでワイヤを締め付けるまでワイヤを回転させることにより弁プロテーゼを固着することをさらに含むことができる。
[0039]いくつかの実施形態で、フレーム構造がバルーンにより拡張可能であってよい。フレーム構造を拡張させることが、フレーム構造内でバルーンを拡張させることを含むことができる。
【0028】
[0040]いくつかの実施形態で、フレーム構造が自己拡張式であってよい。フレーム構造を拡張させることが、フレーム構造から送達デバイスのシースを取り外すことを含むことができる。
【0029】
[0041]いくつかの実施形態で、ワイヤが螺旋ワイヤであってよい。
[0042]いくつかの実施形態で、弁プロテーゼを挿入することが、自然弁の交連部を通るようにワイヤの自由端を案内することを含むことができる。いくつかの実施形態で、ワイヤを回転させることが、交連部を通るようにワイヤを回転させることを含むことができる。
【0030】
[0043]別の態様で、患者の中の罹患した自然弁を置換するための心臓弁プロテーゼが提供される。弁プロテーゼが、収縮可能および拡張可能であるフレーム構造と、生体適合性の一方向弁を備える、フレーム構造内に配設される弁セグメントと、フレーム構造に接続されてフレーム構造の径方向外側に配設されるアンカーであって、アンカーが自由端を有する螺旋部材を備える、アンカーとを備える。
【0031】
[0044]いくつかの実施形態で、アンカーの第2の端部がフレーム構造に接続され得る。
[0045]いくつかの実施形態で、螺旋部材がワイヤまたは平坦なリボンを備えることができる。
【0032】
[0046]添付図面の図に関連する以下の記述でこれらのおよび他の実施形態をさらに詳細に説明する。
[0047]本開示の新規の特徴が添付の特許請求の範囲に具体的に記載される。本開示の原理を利用している例示の実施形態を記載する以下の詳細な記述および添付図面を参照することにより、本開示の特徴および利点をより良好に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】[0048]心臓を通る血流の経路を示す人間の心臓を示す概略図である。
図2】[0049]僧帽弁、大動脈弁、および大動脈を通る、見下ろす方向の心臓を示す断面図である。
図3】[0050]健康な僧帽弁を示す概略図である。
図4】[0051]罹患した僧帽弁を示す概略図である。
図5】罹患した僧帽弁を示す概略図である。
図6】[0052]実施形態による、罹患した自然弁を置換するための経皮的な弁を示す図である。
図7】実施形態による、罹患した自然弁を置換するための経皮的な弁を示す図である。
図8】実施形態による、罹患した自然弁を置換するための経皮的な弁を示す図である。
図9】実施形態による、罹患した自然弁を置換するための経皮的な弁を示す図である。
図10】実施形態による、罹患した自然弁を置換するための経皮的な弁を示す図である。
図11】[0053]実施形態による、図6の弁の人工弁リーフレットを示す斜視図である。
図12】[0054]実施形態による、図6の弁のフレーム構造を示す図である。
図13】実施形態による、図6の弁のフレーム構造を示す図である。
図14】実施形態による、図6の弁のフレーム構造を示す図である。
図15】実施形態による、図6の弁のフレーム構造を示す図である。
図16】実施形態による、図6の弁のフレーム構造を示す図である。
図17】実施形態による、図6の弁のフレーム構造を示す図である。
図18】実施形態による、図6の弁のフレーム構造を示す図である。
図19】[0055]実施形態による、図6の弁を移植する方法を示す図である。
図20】実施形態による、図6の弁を移植する方法を示す図である。
図21】実施形態による、図6の弁を移植する方法を示す図である。
図22】実施形態による、図6の弁を移植する方法を示す図である。
図23】実施形態による、図6の弁を移植する方法を示す図である。
図24】実施形態による、図6の弁を移植する方法を示す図である。
図25】実施形態による、図6の弁を移植する方法を示す図である。
図26】実施形態による、図6の弁を移植する方法を示す図である。
図27】[0056]実施形態による、バルーンを使用するフレーム構造の拡張を示す図である。
図28】実施形態による、バルーンを使用するフレーム構造の拡張を示す図である。
図29】[0057]実施形態による、図6の経皮的な弁に類似する別の経皮的な弁を示す正面図である。
図30A】[0058]実施形態による、図6の経皮的な弁に類似する他の経皮的な弁を示す正面図である。
図30B】実施形態による、図6の経皮的な弁に類似する他の経皮的な弁を示す正面図である。
図30C】実施形態による、図6の経皮的な弁に類似する他の経皮的な弁を示す正面図である。
図30D】実施形態による、図6の経皮的な弁に類似する他の経皮的な弁を示す正面図である。
図30E】実施形態による、図6の経皮的な弁に類似する他の経皮的な弁を示す正面図である。
図30F】実施形態による、図6の経皮的な弁に類似する他の経皮的な弁を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[0059]本開示のデバイスおよび方法が、共に本発明の原理を説明する働きをする、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を形成する添付図面および以下の発明を実施するための形態から明らかとなるかまたは詳細に記載される他の特徴および利点を有する。
【0035】
[0060]以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面を参照する。図では、特に明記しない限り、通常、同様の記号が同様の構成要素を示す。詳細な説明、図、および特許請求の範囲で説明される例示の実施形態は限定的であることを意図されない。本明細書で提示される主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態も利用され得、他の変形形態も作られ得る。本明細書で概略的に説明されて図に示される本開示の態様は、広範囲の異なる構成で、構成され得、置換され得、組み合わされ得、分離され得、および設計され得、これらの異なる構成はすべて、本明細書で明確に企図される、ことが容易に理解されよう。
【0036】
[0061]以下では特定の実施形態および実施例が開示されるが、本発明の主題はその範囲が、具体的に開示される実施形態を超えて他の代替的実施形態および/または使用にまで、さらにはその修正形態および均等物にまで及ぶ。したがって、本明細書に添付の特許請求の範囲は、下記で説明される特定の実施形態のうちの任意の実施形態によって限定されない。例えば、本明細書で開示される任意の方法およびプロセスにおいて、方法またはプロセスの行為および動作が任意適切な順序で実施され得、任意の具体的に開示される順序のみに必ずしも限定されない。また、特定の実施形態を理解するのに有用となり得る形で複数の具体的な動作として種々の動作を説明する可能性があるが、説明の順番はこれらの動作が順序依存的であることを暗に示すものであると解釈すべきではない。加えて、本明細書で説明される構造、システム、および/またはデバイスは、一体化される構成要素としてまたは別個の構成要素として具体化され得る。
【0037】
[0062]種々の実施形態を比較するために、これらの実施形態の特定の態様および利点を説明する。これらのすべての態様または利点が必ずしも任意特定の実施形態によって達成されるわけではない。したがって、例えば、本明細書で教示される1つの利点または利点のグループを達成または最適化するような1つの手法において、本明細書でやはり教示または提案され得る他の態様または利点を必ずしも達成することなく、多様な実施形態が実行され得る。
【0038】
[0063]本開示は、例えば僧帽弁などの心臓の罹患した自然弁の治療のための、システムの配備、デバイス、または方法に関連して説明される。しかし、これが限定的であることを意図されず、本明細書で開示されるデバイスおよび方法が他の解剖学的領域または他の外科手技でも使用され得ることが当業者には認識されよう。
【0039】
[0064]添付の特許請求の範囲での説明の便宜のために、および正確な定義のために、「上方」または「上側」、「下方」または「下側」、「内部」および「外部」という用語が、図に表示される構造部の位置を参照しながら実施形態の構造部を説明するのに使用される。
【0040】
[0065]多くの点において、種々の図の修正形態が先行する修正形態に類似し、添字「a」、「b」、「c」、および「d」を後ろに付される同様の参照符号が対応する部分を示す。
【0041】
[0066]次に、種々の図を通して同様の参照符号により同様の構成要素を示している図面を参照する。図1~5に注目する。図1が、人間の心臓2、および心臓の4つの心室を通る血流路を示す。図2が、僧帽弁4、大動脈弁9、および大動脈1を示す、人間の心臓2である。僧帽弁4が2つのリーフレット4a、4bを有する。前尖(anterior leaflet)(大動脈リーフレット(aortic leaflet))4aが大動脈1に隣接する。後尖(posterior leaflet)(壁性リーフレット(mural leaflet))4bが大動脈1から離れている。大動脈弁9が3つのリーフレットを有する。この図では、心臓2が心収縮状態であり、大動脈弁9が開いており、僧帽弁4が閉じている。図1は健康な心臓2を示しているが、図2~5は、本開示による人工弁によって対処され得る例示の僧帽弁4の疾患状態を示している。この人工弁は、機能性僧帽弁逆流(FMR:functional mitral regurgitation)などの機能性逆流を治療するのにも使用され得る。
【0042】
[0067]図6~18が、本開示による、罹患した僧帽弁を置換するための例示の弁プロテーゼ10(本明細書では「弁デバイス」とも称される)を示す。示される弁プロテーゼ10が、フレーム構造12、弁セグメント14、およびアンカー15を備える。図6~10が、拡張した配備状態にある弁プロテーゼ10を示す。図12~18が、弁セグメント14を有さないフレーム構造12を示す。フレーム構造12が図12~15では折り畳まれた状態であり、図16~18では拡張状態である。アンカー15が配備状態で示される。
【0043】
[0068]次に、図6~11を参照して例示の弁プロテーゼ10を説明する。示される実施形態では、弁プロテーゼ10が、自然僧帽弁を置換するように構成される。弁10が、フレーム構造12、弁セグメント14、およびアンカー15を有する。示される実施形態では、アンカーが、フレーム構造の周りに螺旋形状または渦巻き形状として形成されるワイヤ20を有する。
【0044】
[0069]例示のフレーム構造12がステントのように構成される。フレームが拡張状態および折り畳まれた状態または収縮状態を有する。収縮状態が経皮的な挿入のためにサイズ決定および寸法決定され、拡張状態が患者の自然弁への移植のためにサイズ決定および寸法決定される。多様な実施形態で、フレーム構造12が、拡張状態の外側周縁部と、径方向の外力を受けるときの収縮状態の外側周縁部とを有し、収縮状態の外側周縁部が拡張状態の外側周縁部よりその直径がわずかに小さい。フレーム構造12が図6では拡張した配備状態で示されている。フレーム構造12が図12では折り畳まれた送達状態で示されている。
【0045】
[0070]例示のフレーム構造12が、形状記憶材料(例えば、NiTi)から形成されるダイヤモンドパターンのスカフォールドである。当業者には、本明細書の記述から、フレーム構造12のために多くの他の構造、材料、および構成が採用されてもよいことが認識されよう。例えば、フレーム構造12が十分な弾性を有するポリマーで形成され得る。フレーム構造12が、ポリマーの中で被覆される金属(例えば、形状記憶材料)などの、金属およびポリマーの組合せで形成され得る。フレーム構造12が、ダイヤモンド形状に加えて、多様なパターンを有してもよい。
【0046】
[0071]弁プロテーゼ10が、フレーム構造12の中に弁セグメント14を有する。例示の弁セグメント14が拡張可能および折り畳み可能である。示される実施形態では、弁セグメント14がフレーム構造12の中に付着され、フレーム構造12と共に拡張および折り畳める。弁セグメントはある程度は人工弁リーフレットと交換可能に使用され、概して人工リーフレットおよびフレームと称される。本明細書で使用される「人工弁」は、組織弁(生体弁)、組織工学によって作製された弁、ポリマー弁(例えば、生分解性ポリマーの弁)、およびさらいは特定の機械的な弁を含めた、作り物である人工の交換弁のすべての意味を表すことができる。
【0047】
[0072]示される実施形態では、フレーム構造12が閉じたフレームであり、したがって、血流が中にある弁セグメント14を強制的に通過させられる。1つまたは複数のスカートおよび/またはシールが血液に弁セグメント14を強制的に通過させるのを補助することができる。
【0048】
[0073]弁セグメント14が、本明細書の説明から当業者には理解されるように構成され得る。弁セグメント14が既存の経カテーテル弁に類似してよい。弁セグメント14が、既存の外科用組織弁および機械的な弁に類似してよい。種々の実施形態で、弁セグメント14が、優先の機能のために複層材料で形成されるリーフレット16を有する。少なくとも1つのリーフレット16が内側層および外側層を有することができる。種々の実施形態で、リーフレット16が弁構造に接続され、弁構造がさらにフレーム構造12に接続される。フレーム構造12が自然弁に隣接するところに配備される前にまたはその後で、弁構造がフレーム構造12に接続され得る。種々の実施形態で、リーフレット16は、フレーム構造12に直接に取り付けられている。リーフレット16が内側層および外側層を有することができ、外側層がフレーム構造12に取り付けられる。リーフレット16は、フレーム構造12の端部に取り付けられ得る。別法としてまたは加えて、リーフレット16が、フレーム構造12の中間部分に取り付けられ得る。種々の実施形態で、弁セグメント14が、2つ、3つ、またはそれ以上のリーフレットといったように、複数のリーフレット16を有する。示される実施形態では、弁セグメント14が、フレーム構造12に取り付けられる3つのリーフレット16を有する。例示のリーフレット16が図11に示される。リーフレット16は、一方向の流れを可能にするために凹形である。具体的には、一方向の流れによりリーフレット16が湾曲して開き、反対方向の流れによりリーフレット16が閉じる。
【0049】
[0074]改めて図6~18を参照すると、またより具体的には図12~18を参照すると、例示のアンカー15が、自由端22を有する、ワイヤ20などの螺旋部材を備える。ワイヤ20のもう一方の端部がフレーム構造12の頂端部に取り付けられる。示される実施形態では、ワイヤ20の一方の端部がフレーム構造12のストラットに固定される。この端部が、限定しないが、溶接、接着剤、および機械的な固定部を含めた、本明細書の記述から当業者には理解されるような適切な手段によって取り付けられ得る。種々の実施形態で、螺旋ワイヤ20が、第2の端部の位置のところのみでフレーム構造に取り付けられる。
【0050】
[0075]アンカーと称されるが、アンカー15が従来の意味でのアンカーの機能を果たすことを必要としないことを当業者であれば認識するであろう。後でより詳細に説明されるように、アンカーが、自然弁の中の所望の位置まで弁プロテーゼ10を案内する。また、アンカー15が、望まれずに僧帽弁の腱索および弁リーフレットに絡みあったり妨害したりするのを軽減することができる。
【0051】
[0076]ワイヤ20が、所定の形状を維持するのに十分な剛性を有する材料で形成される。例示の実施形態では、ワイヤ20が形状記憶材料(例えば、NiTi)で形成される。少なくとも端部分に比較的高い剛性を有させるようにすることが所望される可能性もあり、それにより腱索を動かすための力を作用させることができるようになり、それでもカテーテルの中で折り畳まれるための柔軟性も維持することができる。種々の実施形態で、端部分(自由端22を含む)はその形状を維持するのに十分な剛性のみを必要とし、それにより、荷重下で変形するようになる。例えば、端部分が、ガイドワイヤと同等の剛性を有するようにまたはガイドワイヤよりわずかに高い剛性を有するように構成され得る。
【0052】
[0077]種々の実施形態で、アンカー15が螺旋部材を備える。螺旋部材が螺旋ワイヤまたは平坦なリボンを含むことができる。螺旋部材が本明細書で説明されるような3次元表面を有することができる。
【0053】
[0078]種々の実施形態で、アンカー15が、螺旋ワイヤ20を備える第1の部分および別の部分を備えることができる。別法としてまたは加えて、アンカー15が複数の螺旋ワイヤ20を備えることができる。例えば、アンカー15が、等しいまたは異なる直径を有する少なくとも2つの螺旋ワイヤ20を備えることができる。別法としてまたは加えて、アンカー15が、等しいまたは異なる巻線ピッチを有する少なくとも2つの螺旋ワイヤ20を備えることができる。
【0054】
[0079]種々の実施形態で、アンカー15が、例えば本明細書で説明される複数の螺旋ワイヤ20といったように、複数のアンカーを備えることができる。
[0080]示される実施形態で、弁プロテーゼ10が僧帽弁を置換するように構成され、自由端22が交連部(commissure)を通して挿入されるように構成される。図1が僧帽弁4を有する人間の心臓2の概略図である。図2および4が例示の僧帽弁4を示す。図で見てとれるように、複数の交連ポイント(前交連部4dおよび後交連部4e)が弁リーフレット4a、4bの端部のところに存在する。
【0055】
[0081]継続して図6~18を参照すると、例示の自由端22が、交連部のうちの1つの交連部を通して挿入されるようにサイズ決定および寸法決定される。種々の実施形態で、自由端22が、弁組織およびリーフレットの損傷のリスクを回避するために非外傷性となるように構成される。自由端22が、丸みを有する端部、ボール先端部、湾曲した先端部(例えば、J形の先端部またはピグテール)、および他の非外傷性の形状、の形態であってよい。種々の実施形態で、自由端22が、組織を穿孔するために鋭利な端部を有するように構成される
[0082]種々の実施形態で、ワイヤ20が、その長さに沿って変化する剛性を有する。ワイヤ20が異なる剛性を有する2つ以上のセグメントを有することができ、および/または剛性がその長さにわたって変化してよい。種々の実施形態で、ワイヤ20が複数のポイントでフレーム12に取り付けられ、その結果、自由端22が比較的高い柔軟性を有し、ワイヤ20が、フレーム構造12に取り付けられる部分に沿ってより高い剛性を有する。
【0056】
[0083]種々の実施形態で、自由端22が、フレーム構造12から、また具体的にはワイヤ20の残りの部分から、径方向外側に延在する。後で説明するように、自由端22が、ワイヤ20の主コイルより大きい半径で円を描くように構成される。例えば、ワイヤ20の主コイルが概略管形状を有する場合、自由端22が管形状から径方向外側に延在することができる。ワイヤ20の主コイルが概略螺旋形状を有する場合、自由端22が螺旋形状から径方向外側に延在することができる。ワイヤ20の主コイルが概略円錐台形形状を有する場合、自由端22が円錐台形形状から径方向外側に延在することができる。より大きい直径は、後でより詳細に説明されるように回転中に自由端22の緩やかな曲線部分(sweep)内で弁リーフレットおよび/または腱索を捕捉するのを容易にする。
【0057】
[0084]次に、図19~28を参照して、本開示による弁プロテーゼ10を移植する方法を説明する。僧帽弁に関連して示されて説明されるが、本明細書で説明される原理が他の房室弁にも同様に適用され得ることが理解されよう。手技、送達ツール、および移植される弁プロテーゼの態様は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれている、米国特許第9,034,032号明細書、米国特許第9,005,273号明細書、米国特許第8,323,336号明細書、米国特許第8,075,615号明細書、米国特許第7,621,948号明細書、および米国特許第7,175,656号明細書、ならびに米国特許出願公開第2011/0288637号に説明される態様に類似する。
【0058】
[0085]移植前、弁プロテーゼ10が折り畳まれて例えば送達カテーテルである送達デバイス30の中に装填される。弁システムが、任意選択で、送達カテーテル30の中に装填される前にまたはその後で準備を整えられる。図19が、その心房中隔の中に経中隔穿孔部27を有する心臓2の断面図を示す。弁4のリーフレット42が完全には逸脱(prolapse)しておらず、患者が逆流を経験している。
【0059】
[0086]次に、送達カテーテル30がイントロデューサを通して血管の中に挿入される。送達カテーテル30が、セルジンガーテクニックを利用して、標的の位置までガイドワイヤの上で案内され得る。示される実施形態では、送達カテーテル30が、図20に示されるように、従来の方式で、経中隔穿孔部27を通して左心房25まで案内される。
【0060】
[0087]図21~22を参照すると、この時点で、送達カテーテル30の端部が僧帽弁4の方を指している。次いで、弁プロテーゼ10が送達カテーテル30の遠位端から押し出される。送達デバイス30が、外側カテーテル50、および内側カテーテルまたは内側シャフト52を備えることができる。いくつかの実施形態で、送達デバイス30が定位置にくると、送達チューブ52が外側カテーテル50から外まで伸びて弁デバイス10を自然弁4の方へ遠位側に移動させる。弁プロテーゼ10が送達カテーテル30から外に出ると。ワイヤ20などのアンカー15が配備されて(例えば、送達デバイス30内での直線形状から)その予め形成された配備形状になり、フレーム12に巻き付き、それによりフレーム12が図22に示されるようにその折り畳まれた状態を維持する。次いで、弁プロテーゼ10が標的の自然弁4に位置合わせされ、その結果、弁プロテーゼ10の軸が自然弁4の中心軸に位置合わせされる。
【0061】
[0088]図23~24を参照すると、例示の螺旋ワイヤ20を使用して弁10が自然弁4に固着される。弁プロテーゼ10(フレーム12、ワイヤ20、および弁セグメント14)がゆっくり回転させられて自然僧帽弁4の中に入る。示される実施形態では、弁10を回転させるためのトルカーが送達カテーテル30の中に設けられる。ワイヤ20の自由端22が交連部を通るように回転させられ、自然弁4の環状部の下方に延在する。弁プロテーゼ4がさらに回転させられ、その結果、自由端22が腱索(「乳頭筋」とも称される)40および/または自然弁リーフレット42を捕捉する。ワイヤ20が継続して回転させられると、腱索40が寄せ集められて径方向内側に引かれる。自由端22が螺旋コイルの本体より大きい半径を有し、それにより、弁プロテーゼ10の回転中に腱索40を捕捉するのを容易にする。ワイヤ20が回転させられるとき、フレーム構造12も自然弁4の中まで移動する。腱索40が十分な程度で捕捉されるとおよび/またはフレーム構造12が自然弁40の中の所望の位置にくると、弁プロテーゼ10が適切な位置にくる。自然弁を通してデバイスを挿入することが、心臓周期中の自然弁の自然な開閉によって容易にされ得る。示される実施形態では、腱索40が内側に引かれて束になっている(図25で最も良好に見ることができる)。自然弁リーフレット42も螺旋コイル20につながっている。この段階で、弁デバイス10が自然弁40の環状部に隣接する形で堅固に固着される。
【0062】
[0089]臨床医が弁を取り除くかまたは再配置することを望む場合、螺旋ワイヤ20が反対方向に回転させられ得、それによりデバイス10を自然弁4から再び外すことができる。この場合、このインプラントの回転手技が繰り返し行われ得る。
【0063】
[0090]弁10が図25に示されるように所望の位置にくると、フレーム構造12が拡張させられる。フレーム構造12が第1および第2の対向する端部を備えることができ、フレーム構造12が自然弁4に固着されるとき、第1の端部が自然弁の上方に延在し、第2の端部が自然弁の下方に延在する。示される実施形態では、フレーム構造12が図27~28に示されるようにバルーン48を用いて拡張させられる。種々の実施形態で、フレーム構造12が自己拡張式である。自己拡張式の例示のフレーム構造12は、形状記憶材料または超弾性特性を有する任意の材料で形成される。自己拡張式のフレーム構造12は、自己拡張式のステントまたはスカフォールドと同様の形で構成され、拡張する。フレーム構造12を拡張させることが、フレーム構造12から送達デバイス30のシース(例えば、外側シース50)を取り外すことを含む。
【0064】
[0091]フレーム構造12が拡張させられると、弁組立体10の全体が送達カテーテル30から解放されて送達カテーテル30が図26に示されるように取り外される。いくつかの実施形態では、フレーム構造12の拡張が、送達カテーテル30からのフレーム構造12の解放と同時に行われ得る。
【0065】
[0092]示される実施形態では、弁構造14およびフレーム構造12が同時に配備される。しかし、フレーム構造12が先に配置されて人工弁セグメント14を受け取ることができることも当業者であれば認識するであろう。
【0066】
[0093]種々の実施形態で、弁プロテーゼ10が弁セグメント14を有さない。代わりに、フレーム構造12およびアンカー15が自然弁4の中に配置される。フレーム構造12が、別個に送達される弁セグメント14を受け取るように構成される。特定の実施形態で、フレーム構造12が、複数の弁サイズおよび弁の種類のうちの1つを受け取るように構成され得る。こうすることで、臨床医が個別の患者に適切である弁を選択することができる。
【0067】
[0094]示される実施形態では、アンカー15の螺旋ワイヤ20が所望の軸に沿わせて弁システム10を自然弁4に隣接する位置まで案内する。また、ワイヤ20が初期の固着を実現する。フレーム構造12が自然弁4内で拡張させられると、弁プロテーゼ10が最終的に固着される。フレーム構造12が弁リーフレット14を広げて、圧縮力が弁プロテーゼ10を定位置で固定する。その後、組織内方成長が弁プロテーゼ10に着座状態を維持させるのを保証し、弁プロテーゼ10が動かなくなる。
【0068】
[0095]本開示による弁デバイスが、従来の弁システムに優る複数の利点を提供する。本明細書で説明される実施形態は、使用が容易である再配置可能なデバイスを提供する。従来の弁システムとは異なり、本明細書で説明される弁プロテーゼは腱索を損傷させるかまたは腱索に裂傷を負わせるリスクを低減する。一般的な僧帽弁置換システムは、弁の周りに人工の環状部またはリングを移植することを伴う。リングが弁の外周を増大させ、大動脈弁の入口を塞ぐリスクを増大させる。本明細書で説明される弁デバイスはこれらのおよび他の問題を解消する。
【0069】
[0096]図29が本開示による別の実施形態を示す。弁プロテーゼ10’が、螺旋ワイヤ20’、およびフレーム構造12’を有する。弁構造10’は、弁セグメント14’がフレーム構造12’の別個の端部の中で固定されることを除いて、弁10に類似する。ワイヤ20’が、弁セグメント14’が固定されるフレーム構造12の上側部分より小さい直径を有するフレーム構造12の下側部分に巻き付けられる。
【0070】
[0097]図30Aから30Fが本開示による複数の他の実施形態を示す。弁10aから10fの各々が螺旋ワイヤおよびフレームを有する。各々が、任意選択で、フレーム内に弁セグメントを有することができる。
【0071】
[0098]図30Aが、自由端22aが非外傷性のボール先端部を有することを除いて、弁プロテーゼ10に類似する弁プロテーゼ10を示す。また、ワイヤ20aが一方の端部のところで管形状を有し、もう一方の端部のところで円錐台形形状を有する。フレーム構造12aは、フレーム構造12と実質的に同様である。
【0072】
[0099]図30Bが、自由端22がピグテール先端部を有することを除いて、弁プロテーゼ10に類似する弁プロテーゼ10bを示す。また、ワイヤ20bが、フレーム構造12bの端部ではなく、フレーム構造12bの中間部分に取り付けられる。フレーム構造12bは、フレーム構造12と実質的に同様である。
【0073】
[0100]図30Cが、フレーム構造12cがスカフォールド状の構造またはステント状の構造の代わりに管状構造であることを除いて、弁プロテーゼ10に類似する弁プロテーゼ10cを示す。フレーム構造12cが、ポリウレタンまたはポリカーボネートウレタンなどの、拡張可能な材料で形成され得る。ワイヤ20cは、ワイヤ20と実質的に同様である。自由端22cは、自由端22に実質的に同様である。
【0074】
[0101]図30Dが、アンカー15がワイヤ20の代わりに3次元表面20dで形成されることを除いて、弁プロテーゼ10に類似する弁プロテーゼ10dを示す。3次元表面20dが、本明細書で説明される自由端のうちの任意の自由端に実質的に同様であってよい自由端22dを備える。フレーム構造12dは、フレーム構造12と実質的に同様である。
【0075】
[0102]図30Eが、フレーム構造12eが管状形状の代わりに円錐形状を有することを除いて、弁プロテーゼ10に類似する弁プロテーゼ10eを示す。フレーム構造12が本開示による多様な形状をとることができることが本記述から認識されよう。ワイヤ20eは、ワイヤ20と実質的に同様である。自由端22eは、自由端22と実質的に同様である。
【0076】
[0103]図30Fが、弁デバイス10fが複数のワイヤ20fおよび20f’を有することを除いて、弁プロテーゼ10に類似する弁プロテーゼ10fを示す。複数のワイヤ20fおよび20f’を使用することで固着の強度を向上させることができる。両方の自由端22fおよび22f’を挿入することが困難であることを理由として、一方または両方の自由端22fおよび22f’が、組織を穿孔するための鋭利な先端を有することができる。こうすることで、鋭利な端部が弁輪または弁リーフレットを穿孔することができる。棘または他の機構がワイヤの固着を強化するのに採用され得る。例えば、ワイヤ20fおよび20f’の一方または両方が、定位置までねじ込まれた後で軸方向において位置がずれるのを防止するための網状の表面または棘を有することができる。
【0077】
[0104]本明細書で構造部または要素が別の構造部または要素の「上」にあると言及される場合、この構造部または要素は直接に他の構造部または要素の上にあってよいか、あるいは介在する構造部および/または要素が存在してもよい。対照的に、構造部または要素が別の構造部または要素の「直接に上に」あると言及される場合、介在する構造部または要素が存在しない。また、構造部または要素が、別の構造部または要素に「接続される」、「取り付けられる」、または「結合される」と言及される場合、この構造部または要素は他の構造部または要素に直接に接続され得るか、取り付けられ得るか、または結合され得、あるいは介在する構造部または要素が存在してもよい、ことを理解されたい。対照的に、構造部または要素が別の構造部または要素に「直接に接続される」、「直接に取り付けられる」、または「直接に結合される」と言及される場合、介在する構造部または要素が存在しない。1つの実施形態に関連させて説明されるかまたは示されるが、そのような形で説明されるかまたは示される構造部および要素は他の実施形態にも適用され得る。また、別の構造部に「隣接して」配設される構造または構造部に言及することが、隣接する構造部の上に置かれるかまたは下に置かれる部分を含むことができるということを当業者であれば認識するであろう。
【0078】
[0105]本明細書で説明される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図されない。例えば、本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈により他の意味が明確に示されない限りにおいて、複数形も含むことを意図される。「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、言及した特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するものであり、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそのグループの存在または追加を排除するものではないことをさらに理解されたい。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連の列記されるアイテムのうちの1つまたは複数のアイテムの任意の、またはすべての組合せを含み、「/」として簡潔に表されてもよい。
【0079】
[0106]「下」、「下方」、「下側」、「上」、および「上側」などの空間的関係の用語は、図に示されるような、別の要素または構造部に対しての1つの要素または構造部の関係を説明することを目的として説明を容易にするのに本明細書において使用され得る。これらの空間的関係の用語は、図に描かれる向きに加えて使用中のまたは動作中のデバイスの別の向きも包含することを意図されることを理解されたい。例えば、図中のデバイスが反転される場合、他の要素または特徴の「下に」または「下方」として説明される要素が、他の要素または構造部の「上に」にある向きになる。したがって、「下に」という例示の用語は上および下の向きの両方を包含することができる。デバイスは別の形で方向づけられてもよく(例えば、90度回転させられたり、他の向きにされたりする)、本明細書で使用される空間的関係の記述語はそれに応じて解釈される。同様に、「上方に」、「下方に」、「垂直」、および「水平」などの用語は、他の意味で特に明記されない限り、本明細書では説明のみを目的として使用される。
【0080】
[0107]本明細書において種々の構造部/要素(ステップを含む)を説明するのに「第1」および「第2」という用語が使用され得るが、文脈により他の意味で示されない限り、これらの構造部/要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は1つの構造部/要素を別の構造部/要素から区別するのに使用され得る。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下で考察される第1の構造部/要素は第2の構造部/要素と称されてもよく、同様に以下で考察される第2の構造部/要素は第1の構造部/要素と称されてもよい。
【0081】
[0108]本明細書および以下の特許請求の範囲を通して、文脈により他の意味が必要にならない限り、「備える(comprise)」という用語、ならびに「備える(comprises)」および「備える(comprising)」などのその変化形は、方法および項目(例えば、デバイスおよび方法を含めた構成および装置)において種々の構成要素が同時に採用され得ることを意味する。例えば、「備える(comprising)」という用語は、任意の言及される要素またはステップを含み、任意の他の要素またはステップを排除しない、ことを暗に意味していることが理解されよう。
【0082】
[0109]本明細書で構造部または要素が別の構造部または要素の「上」にあると言及される場合、この構造部または要素は直接に他の構造部または要素の上にあってよいか、あるいは介在する構造部および/または要素が存在してもよい。対照的に、構造部または要素が別の構造部または要素の「直接に上に」あると言及される場合、介在する構造部または要素が存在しない。また、構造部または要素が、別の構造部または要素に「接続される」、「取り付けられる」、または「結合される」と言及される場合、この構造部または要素は他の構造部または要素に直接に接続され得るか、取り付けられ得るか、または結合され得、あるいは介在する構造部または要素が存在してもよい、ことを理解されたい。対照的に、構造部または要素が別の構造部または要素に「直接に接続される」、「直接に取り付けられる」、または「直接に結合される」と言及される場合、介在する構造部または要素が存在しない。1つの実施形態に関連させて説明されるかまたは示されるが、そのような形で説明されるかまたは示される構造部および要素は他の実施形態にも適用され得る。また、別の構造部に「隣接して」配設される構造または構造部に言及することが、隣接する構造部の上に置かれるかまたは下に置かれる部分を含むことができるということを当業者であれば認識するであろう。
【0083】
[0110]本明細書で説明される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図されない。例えば、本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈により他の意味が明確に示されない限りにおいて、複数形も含むことを意図される。「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、言及した特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するものであり、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそのグループの存在または追加を排除するものではないことをさらに理解されたい。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連の列記されるアイテムのうちの1つまたは複数のアイテムの任意の、またはすべての組合せを含み、「/」として簡潔に表されてもよい。
【0084】
[0111]「下」、「下方」、「下側」、「上」、および「上側」などの空間的関係の用語は、図に示されるような、別の要素または構造部に対しての1つの要素または構造部の関係を説明することを目的として説明を容易にするのに本明細書において使用され得る。これらの空間的関係の用語は、図に描かれる向きに加えて使用中のまたは動作中のデバイスの別の向きも包含することを意図されることを理解されたい。例えば、図中のデバイスが反転される場合、他の要素または特徴の「下に」または「下方」として説明される要素が、他の要素または構造部の「上に」にある向きになる。したがって、「下に」という例示の用語は上および下の向きの両方を包含することができる。デバイスは別の形で方向づけられてもよく(例えば、90度回転させられたり、他の向きにされたりする)、本明細書で使用される空間的関係の記述語はそれに応じて解釈される。同様に、「上方に」、「下方に」、「垂直」、および「水平」などの用語は、他の意味で特に明記されない限り、本明細書では説明のみを目的として使用される。
【0085】
[0112]本明細書において種々の構造部/要素(ステップを含む)を説明するのに「第1」および「第2」という用語が使用され得るが、文脈により他の意味で示されない限り、これらの構造部/要素はこれらの用語のみに限定されるべきではない。これらの用語は1つの構造部/要素を別の構造部/要素から区別するのに使用され得る。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下で考察される第1の構造部/要素は第2の構造部/要素と称されてもよく、同様に以下で考察される第2の構造部/要素は第1の構造部/要素と称されてもよい。
【0086】
[0113]本明細書および以下の特許請求の範囲を通して、文脈により他の意味が必要にならない限り、「備える(comprise)」という用語、ならびに「備える(comprises)」および「備える(comprising)」などのその変化形は、方法および項目(例えば、デバイスおよび方法を含めた構成および装置)において種々の構成要素が同時に採用され得ることを意味する。例えば、「備える(comprising)」という用語は、任意の言及される要素またはステップを含み、任意の他の要素またはステップを排除しない、ことを暗に意味していることが理解されよう。
【0087】
[0114]実施例で使用される場合も含めて、本明細書および特許請求の範囲で使用されるすべの数は、特に明記されない限り、たとえ「約」または「およそ」という単語が明確な見られない場合でも「約」または「および」とうい単語を前に付されているものとして読むことができる。「約」または「およそ」というフレーズは、説明される値および/または位置が値および位置の予期される妥当な範囲内にあることを示すために、大きさおよび/または位置を説明するときに使用され得る。例えば、数値は、記載される値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載される値(または値の範囲)の+/-1%、記載される値(または値の範囲)の+/-2%、記載される値(または値の範囲)の+/-5%、記載される値(または値の範囲)の+/-10%などの値を有することができる。また、本明細書で与えられるすべての数値は、特に明記しない限りに、その数値の概略または近似も含むものとして理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。本明細書に記載されるすべての数値範囲はその中に包含されるすべての部分的な範囲も含むことを意図される。値がその値「以下」、「その値以上」、として開示される場合、当業者には適切に理解されるように、これらの値の間のすべての考えられる範囲も開示される、ことを理解されたい。例えば、値「X」が開示される場合、「X以下」さらには「X以上」も開示される(例えば、Xが数値である)。また、本出願を通して、データが多数の異なるフォーマットで提供されること、およびこのデータが、終点、および始点、ならびにデータ点の任意の組合せのための範囲を表すこと、を理解されたい。例えば、具体的なデータ点「10」および具体的なデータ点「15」が開示される場合、10より大きい、10以上である、10より小さい、10以下である、および10と等しい、ならびに15より大きい、15以上である、15より小さい、15以下である、および15と等しい、とみなされて開示され、さらには10から15の間であることが開示される、ことを理解されたい。また、2つの具体的な数値の間の各数値も開示されることを理解されたい。例えば、10および15が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。
【0088】
[0115]本発明の具体的な実施形態の上記の記述は例示および説明を目的として提示されるものである。これらは包括的であることを意図されず、また、開示される正確な形態のみに本発明を限定することも意図されず、明らかなこととして、上記の教示に照らして、多くの修正形態、変更形態、置換、代替形態、および変形形態が可能である。これらの実施形態は本発明の原理およびその実際的な用途を最良に説明するために選択されて記述されたものであり、それにより、当業者が、企図される特定の使用に対して適合される種々の修正を行いながら本発明および種々の実施形態を最良に利用することが可能となる。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義されることを意図される。
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