IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ネマク,ソシエダ アノニマ ブルサーティリ デ カピタル バリアブレの特許一覧

特許7421568少なくとも部分的に離型された鋳造部品から少なくとも1つの冷却エレメントを取り外すためのデバイスおよび方法、少なくとも1つの冷却エレメントを鋳造部品金型の金型コア内に導入するための方法、冷却エレメントおよび鋳造部品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】少なくとも部分的に離型された鋳造部品から少なくとも1つの冷却エレメントを取り外すためのデバイスおよび方法、少なくとも1つの冷却エレメントを鋳造部品金型の金型コア内に導入するための方法、冷却エレメントおよび鋳造部品
(51)【国際特許分類】
   B22D 29/04 20060101AFI20240117BHJP
   B22D 17/00 20060101ALI20240117BHJP
   B22C 9/00 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
B22D29/04 Z
B22D17/00 B
B22C9/00 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021559831
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 IB2020053845
(87)【国際公開番号】W WO2020217199
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】102019110580.3
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516039723
【氏名又は名称】ネマク,ソシエダ アノニマ ブルサーティリ デ カピタル バリアブレ
【氏名又は名称原語表記】Nemak, S.A.B. de C.V.
【住所又は居所原語表記】Libramiento Arco Vial Km. 3.8, Garcia, Nuevo Leon 66000, Mexico
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】バランスケ,マサイアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルム,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,ゲラルド
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイザー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュナーベル,ディルク
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-509070(JP,A)
【文献】特表2009-525875(JP,A)
【文献】特表2017-505234(JP,A)
【文献】実開平05-024132(JP,U)
【文献】実開平05-088740(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0042774(US,A1)
【文献】中国実用新案第202490914(CN,U)
【文献】特開平06-284622(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0319956(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 29/04
B22D 15/00
B22C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に離型された鋳造部品(22)から、具体的には電気モータ用の軽金属合金製ハウジング(22)から、少なくとも1つの冷却エレメント(2-2d)を取り外すためのデバイスであって、前記少なくとも1つの冷却エレメント(2-2d)を取り外すための装置(1;1b)を有し、前記取外し装置(1;1b)は、前記少なくとも1つの冷却エレメント(2-2d)に取り付けられる取外し用突起(5-5d)を摺動可能に支持するための手段を備えることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記段は、前記取外し用突起(5-5d)の突出方向の反対側に係合するように構成される、互いから離隔された少なくとも1対のレール(8、9;8b、9b)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの冷却エレメント(2-2d)の前記取外し用突起(5-5d)は、前記段が前記取外し用突起(5-5d)の突出方向の反対側で係合するように構成される、互いから離隔された少なくとも1対のレールを備えることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記段は、略回転対称の取外しヘッド(3;3b)の円周方向に隣り合わせで配置される、かつ具体的には、その長手方向軸に対して平行または斜めに延在する複数のレール対(8、9;8b、9b)を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記レール(8、9;8b、9b)の各々は、前記取外し装置(1;1b)の略回転対称の取外しヘッド(3;3b)着脱式に接合可能であることを特徴とする、請求項2から請求項4のいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
前記取外し装置(1;1b)の取外しヘッド(3;3b)の直径は、冷却エレメント(2-2d)を取り外すために前記取外しヘッド(3;3b)が鋳造空隙(23)内移動可能である方向(11;11a)に増大することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか記載のデバイス。
【請求項7】
前記取外し装置(1;1b)の取外しヘッド(3;3b)の直径は、冷却エレメント(2-2d)を取り外すために前記取外しヘッド(3;3b)が鋳造空隙(23)内移動可能である方向(11;11a)、かつ前記取外しヘッド(3;3b)の長手方向と同軸である方向、に増大することを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
少なくとも部分的に離型された鋳造部品(22)から、少なくとも1つの冷却エレメント(2-2d)を取り外すための方法であって、取外し装置(1;1b)は、前記鋳造部品(22)の略回転対称の中空空間(23)内導入され、前記少なくとも1つの冷却エレメント(2-2d)に付着される少なくとも1つの取外し用突起(5-5d)は、前記少なくとも1つの冷却エレメント(2-2d)を取り外すために、装置(1;1b)の段(8、9;8b、9b)によって摺動可能に支持されることを特徴とする、方法。
【請求項9】
取外し装置(1;1b)は、長手方向軸に対して平行、同軸的または斜めに、前記鋳造部品(22)の略回転対称の中空空間(23)内導入されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの冷却エレメント(2-2d)は、前記取外し装置(1;1b)が動く場合にも前記中空空間(23)から取り外されることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記取外し装置(1;1b)による前記回転対称の中空空間(23)内への運動を介して、前記少なくとも1つの冷却エレメント(2-2d)の運動が、半径方向の運動成分(12)を有する前記中空空間(23)の方向(12)で実行されることを特徴とする、請求項8から請求項10のいずれか記載の方法。
【請求項12】
軽金属合金から形成される鋳造部品(22)を製造するための永久金型または使い捨て用の砂型である鋳造部品金型の金型コア(26、35)内導入されるように提供される冷却エレメント(2-2d)であって、前記冷却エレメント(2-2d)を少なくとも部分的に離型された鋳造部品(22)から取り外す際に、取外し装置(1;1b)の段(8、9;8b、9b)によって摺動可能に支持されるように構成される取外し用突起(5-5d)は、前記鋳造部品金型を充填する際に溶融物と接触する前記金型コアの面に面する前記冷却エレメント(2-2d)の面から突き出すことを特徴とする、冷却エレメント(2-2d)。
【請求項13】
前記取外し用突起(5-5d)は、T字形の断面を有することを特徴とする、請求項12に記載の冷却エレメント。
【請求項14】
前記取外し用突起(5-5d)は、前記冷却エレメント(2-2d)の長手方向に延、または、レールとして形成されることを特徴とする、請求項13に記載の冷却エレメント。
【請求項15】
前記取外し用突起(5-5d)のT字形レッグ(7;7a;7c)の厚さは、第1の端(20)から第2の端(21)まで増大することを特徴とする、請求項12から請求項14のいずれか記載の冷却エレメント。
【請求項16】
前記取外し用突起(5-5d)のT字形レッグ(7;7a;7c)の厚さは、第1の端(20)から第2の端(21)まで、線形的に増大することを特徴とする、請求項15に記載の冷却エレメント。
【請求項17】
前記取外し用突起(5-5d)は、一体に形成され、前記冷却エレメント(2-2d)材料接着式に接続される、または、前記冷却エレメント(2-2d)着脱式に接合可能であることを特徴とする、請求項12から請求項16のいずれか記載の冷却エレメント。
【請求項18】
表面(14;14c;14d)が設けられ、その外側輪郭は、前記冷却エレメント(2-2d)がそこから取り外し可能である鋳造部品(22)の中空空間(23)の機能的内側輪郭部分と略同一であることを特徴とする、請求項12から請求項17のいずれか記載の冷却エレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に離型された鋳造部品から、具体的には電気モータ用の軽金属合金製鋳造ハウジングから、少なくとも1つの冷却エレメントを取り外すためのデバイスであって、少なくとも1つの冷却エレメントを取り外すための装置を有するデバイスに関する。本発明は、さらに、少なくとも部分的に離型された鋳造部品から少なくとも1つの冷却エレメントを取り外すための方法、少なくとも1つの冷却エレメントを鋳造部品金型の金型コア内に導入するための方法、冷却エレメントおよび鋳造部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、鋳造部品金型に、いわゆるねずみ鋳鉄または機械加工鋼製の冷却鉄が導入されることが知られている。その結果、鋳造部品における機械的特性の改善および多孔率の低減が、具体的には冷却鉄の有効領域における固化の間に達成される。少なくとも部分的な離型、具体的には部分的脱砂、の後、鋳造部品に付着する冷却鉄は、手で取り除くこと、または取り除いて再使用することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の根底にある目的は、少なくとも1つの冷却エレメントの自動化された取外しを可能にする先に述べたタイプのデバイスを作製することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は、取外し装置が、少なくとも1つの冷却エレメントに取り付けられる取外し用突起を把持するための手段を備えることで達成される。取外しデバイスは、好ましくは、少なくとも1つの冷却エレメントを、定置状態であるように配置される鋳造部品から取り外すために、移動可能であるように設計される。また、取外しデバイスが定置状態であるように配置されて、冷却エレメントを取り外すための鋳造部品が取外し装置に対して移動されることも考えられる。冷却エレメントの手動による取外しは、効果的には、不要である。さらに、効果的には、取外し装置によってセンタリングを達成することができ、これにより、取り外される少なくとも1つの冷却エレメントの一貫して同一の位置合わせが可能となる。これにより、再使用のための保管パレットにおける自動配置が可能となる。
【0005】
具体的には、軽金属合金から、好ましくはアルミニウムまたはマグネシウム合金から形成され、かつ電気モータ用のハウジングとして提供される鋳造部品の製造においては、ステータまたはステータキャリアを受け入れる働きをする領域に、低い多孔率および/または高い強度などの特別な特性が必要とされる。コンパクトなハウジング、およびエンジン稼働中の確実な冷却を可能にするために、ハウジングは、冷却剤の損失を回避すべく、特に冷却チャネルの領域内で特別に低い多孔率を有していなければならない。これらの要件を満たすためには、少なくとも1つの冷却エレメントを、たとえばサンドコアまたはソルトコアであり得る金型コアに、すなわち鋳造部品の製造に使用される鋳造部品金型に導入する必要がある。鋳造部品金型は、ダイなどの永久金型であっても、使い捨て用の砂型であってもよい。
【0006】
取外し用突起は、冷却エレメント上に一体形成され、材料的に冷却エレメントへ接着される、または、冷却エレメントへ着脱可能式に接合されることが可能である。取外し用突起の特に容易な交換は、効果的には、着脱可能な接続部を介して可能である。必要な保全および/または修繕作業は、低減される。冷却エレメントは、好ましくは、ねずみ鋳鉄または鋼、具体的には機械加工鋼、から形成される。
【0007】
また、冷却エレメントは、複数の取外し用突起を有することも考えられる。複数の取外し用突起のうちの1つが損傷した場合、効果的には、別の取外し用突起を用いて鋳造部品から冷却エレメントを取り外すことができる。即時的な交換は、不要である。
【0008】
一体成形品は、効果的には、単純な製造を可能にし、一方で、材料的に接着される接合部は、損傷した取外し用突起を溶接およびはんだ付けによって交換または修繕することを可能にする。
【0009】
便宜上、把持手段は、取外し用突起の後方に係合するように構成される、互いから離隔された少なくとも1対のレールを備える。効果的には、取外し用突起は、1対のレールによって、好ましくはレールの長手方向に対して垂直に、またはほぼ垂直に作用する取外し力のみが伝達されるような方法で、把持されることが可能である。効果的には、たとえば、突起またはレールを損傷させる可能性もある横方向力または曲げモーメントの伝達が回避される。
【0010】
本発明の一構成において、少なくとも1つの冷却エレメントの取外し用突起は、把持手段によって把持されるように構成される、互いから離隔された少なくとも1対のレールを備える。効果的には、該取外し装置は、設計を単純化され、したがって、より長いダウンタイムを可能にする。
【0011】
本発明の一構成において、把持手段は、略回転対称の、好ましくは円筒形または円錐台形の取外しヘッドの円周方向に隣り合わせで配置される、かつ具体的には、その長手方向軸に対して平行または斜めに延在する複数のレール対を有する。効果的には、複数の冷却エレメントが、単一の作業ステップにおいて同時に取り外され、かつそれらが取り外される際には取外しヘッドによってセンタリングされることが可能である。冷却エレメントは、鋳造部品金型の略回転対称の、好ましくは円筒形または円錐台形の金型コア内へ導入されるが、該金型コアは、電気モータのロータまたはロータキャリアを受け入れるための中空空間を表す。
【0012】
好ましくは金型コアの同じ高さの表面部分を形成しかつ鋳造部品金型の充填中に溶融物と接触する複数の冷却エレメントが提供される場合、各冷却エレメントは、鋳造部品の冷却エレメントを取り外すことができる中空空間の内側輪郭機能部分と外側輪郭がほぼ同一である表面を有する。効果的には、鋳造部品は、端部輪郭の近くに製造されることが可能である。
【0013】
冷却エレメントの、金型コアにおける特に良好な固定、ならびに鋳造部品から取り外される間のその特に良好な把持能力は、取外し用突起が、鋳造部品金型を充填する際に溶融物と接触する片側から離れて面する冷却エレメントの片側に配置される場合に達成される。その結果、取外し用突起は、一方で、金型コアとのラッチ接続を形成することができ、かつまた、把持手段によって把持されることも可能である。
【0014】
本発明による方法に特に適する金型コアは、1つまたは複数のパーツで、具体的には2つのパーツで形成されることが可能である。効果的には、特に高い設計自由度がある。
【0015】
少なくとも1つの冷却エレメントが金型コア内へ、複数の表面部分が形成されて、そのうちの少なくとも1つの表面部分が冷却エレメントの外側により形成されるようにして導入されるために、冷却エレメントは、成形砂が導入される前に金型コア製造ツール内へ置かれることが可能である。金型コア製造ツールにおける定置配置は、この目的のためにツール内の保持装置に係合する取外し用突起によって実行されることが可能である。これにより、成形砂が加圧下でツール内へ焼成される場合でも、定置配置が保証される。取外し用突起は、効果的には、金型コア製造ツールにおける固定のために作用し、かつ少なくとも部分的に脱砂された鋳造部品から少なくとも1つの冷却エレメントを取り外すための、装置の把持手段に対するカウンタホルダとして作用する。
【0016】
略回転対称の取外しヘッドの長手方向軸に対して平行または斜めであるレールの配置に起因して、取外しヘッドが中空空間内へと真っ直ぐ移動する場合に、各レール対は、関連する取外し用突起の後方に係合することができる。効果的には、幾つかの冷却エレメントは、1つの作業ステップで取り外されることが可能である。同じく効果的には、冷却エレメントは、取り外される際にセンタリングされる。これにより、具体的には、これらを冷却鉄貯蔵パレット内へ自動的に挿入すること、およびこれらをコア製造プロセスへと再供給することが可能になる。よって、手動介入のない完全に自動化された製造プロセスが可能である。
【0017】
本発明の一構成において、レールの各々は、取外し装置の回転対称の、好ましくは円筒形または円錐台形の取外しヘッドへ、または、少なくとも1つの冷却エレメントへ、着脱式に接合可能であり得る。効果的には、損傷したレールは、容易に交換されることが可能である。よって、保全および/または修繕作業が低減される。
【0018】
本発明のさらなる一構成において、取外し装置の略円錐台形の取外しヘッドの直径は、冷却エレメントを取り外すために取外しヘッドが鋳造部品の中空空間内へ移動され得る方向、かつ好ましくは取外しヘッドの長手方向と同軸である方向、に増大する。この拡幅は、離型斜面を形成させ、これにより、鋳造部品から冷却エレメントを取り外すために必要な力が線形増加式に印加されることが保証される。効果的には、取外しヘッドを損傷させる可能性もある張力ピークが回避される。
【0019】
張力ピークをさらに低減できるように、冷却エレメントの取外し用突起は、T字形断面を有し、かつ好ましくは、冷却鉄の長手方向に延びる。T字形バーは、効果的には、把持手段により、具体的には1対のレールにより、取外し用突起を損傷させ得る横方向力または曲げモーメントが発生しないようにして、後方を把持または係合されることが可能である。
【0020】
T字形バーの厚さが第1の端から第2の端まで、具体的には冷却エレメントの長手方向に、好ましくは線形的に増大する場合、取外しヘッドの直線運動または定置取外しヘッドに対する鋳造部品のこうした運動は、T字形バーの後方に係合するためのレール対を有する把持手段によって、取外しヘッドの運動方向に垂直な運動成分を有する冷却エレメントの運動に変換されることが可能である。効果的には、冷却エレメントの、鋳造部品からの脱離が実行される。さらに効果的には、鋳造部品または取外しヘッドの直線運動は、少なくとも1つの冷却エレメントの異なる向きの運動に変換されることが可能である。好ましくは平坦であって一定の厚さを有するレールは、T字形バーに沿って摺動する。
【0021】
取外しヘッドも離型斜面、たとえば2~5度、好ましくは4度の離型斜面を有する場合、少なくとも1つの冷却エレメントを鋳造部品から剥離し、これをセンタリングし、かつ最後にこれを鋳造部品の中空空間から取り外すべく持っていくに足る大きい力を印加するために、取外し運動の間は、可変厚さのT字形バーと組み合わせて特別に短い経路が必要とされる。
【0022】
少なくとも1つの冷却エレメントを用いることにより、鋳造部品内に、鋳造部品製造の場合、片側が少なくとも1つの冷却エレメントに当接する、かつ3~30μm、好ましくは15~25μmの二次樹枝状アーム間隔を有する鋳造部品壁部分が形成される。効果的には、特に高い強度、同時に低い多孔率、が達成される。低い多孔率は、特に、鋳造部品壁部分が、エンジンの稼働中に液体冷却媒体が案内される冷却チャネルを画定する場合に必要である。
【0023】
鋳造部品がシールリングを受け入れるために設けられる溝を備える場合、細孔は、最大0.9mm、好ましくは0.5~0.8mm、のフェレ径を有する。効果的には、特に高密度の鋳造部品が製造され得る。エンジン稼働中の冷却剤損失は、防止される。
【0024】
以下、本発明を、例示的な実施形態および例示的な実施形態に関連する添付の図面に基づいて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による取外しデバイスを示す一図である。
図2】本発明による冷却エレメントを示す一図である。
図3】冷却エレメントを鋳造部品から取り外す際の本発明による取外しデバイスを示す。
図4】本発明による冷却エレメントを備えた二部金型コアを示す。
図5】本発明による冷却エレメントを備えた一部金型コア、および関連する金型コア製造ツールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1aの斜視図に示す、円状に隣り合わせで配置される8個の同一の金属製冷却鉄(2)を図1aには示されていない鋳造部品から取り外すための装置(1)は、図1c~図1eに詳細に示す略円錐台形の取外しヘッド(3)を備え、この中に、図1a+図1bに示す8個の長手方向溝(4)が挿入され、この溝に、冷却鉄(2)上へ一体式かつT字形の断面で形成される、取外し装置(1)に面する冷却鉄(2)の一側面(6)から突き出す取外し用突起(5)が案内される。
【0027】
取外し装置(1)は、取外しヘッド(3)の長手方向に延在しかつ厚さが一定の硬化鋼から形成されるレール(8、9)を備え、該レール(8、9)は、周方向に対で隣合わせに配置されて、取外しヘッド(3)へ複数のねじ(10)で着脱可能に接合される。また、レール(8、9)は、それらの長手方向に可変厚さを有することも考えられる。
【0028】
レール(8、9)は、両端が先細にされていて、図1bに対向する2側面からの上面図で示すように、冷却鉄(2)を鋳造部品から取り外す際に取外し用突起(5)のT字形バー(7)の後方に係合するために設けられる。
【0029】
冷却鉄(2)を取り外すために、取外し装置(1)の取外しヘッド(3)は、図1aに示す、その長手方向軸に平行である矢印(11)の方向に鋳造部品内へと移動され、これにより、冷却鉄(2)の、例として図1bに示す矢印(12)の方向への移動が生じる。その結果、冷却鉄(2)は、同一ステップにおいて、図3に示す鋳造部品から取り外され、センタリングされ、かつ取り外されることが可能である。
【0030】
図1cは、取外し装置(1)を斜視図で、かつ図1dは、分解図で詳細に示している。
【0031】
図1eに側面図で示す略円錐台形の取外し装置(1)の場合、円錐軸に対して4度傾斜される表面線(13)を明確に認識可能である。これが、離型斜面を形成する。
【0032】
次に、図2を参照すると、同じパーツまたは等しいパーツが図1の場合と同じ参照数字で示され、いずれの場合も、問題の参照数字に文字aが付されている。
【0033】
図2aに外側の上面斜視図で示す冷却鉄(2a)は、屈曲した表面(14)を有し、該屈曲表面(14)の外側輪郭は、図3に(23)で示す、冷却エレメント(2a)が取り外され得る鋳造部品(22)の中空空間の機能的内側輪郭部分とほぼ同一である。表面(14)は、さらに、鋳造部品金型に充填される金属溶融物と接触するように設けられる。これにより、特に良好な鋳造部品品質、具体的には、冷却鉄(2a)に隣接する鋳造部品領域における高い強度および低い多孔率、がもたらされる。これは、たとえば、冷却鉄(2a)から25mmまで延在し、かつフェレ径が最大0.8mmである細孔による多孔率を有し得る。
【0034】
第1の端面(15)には、第1の突起(16)が一体形成され、一方で、第2の端面(17)には、2つのさらなる突起(18、19)が形成されている。突起(16、19)は、冷却鉄(2b)が導入される金型コアにより後方で係合されるように設けられる。これにより、金型コアにおける固定、および金型コアの表面と冷却鉄(2a)の屈曲した表面(14)との面一の終端、の双方が達成される。
【0035】
図2bに内側の斜視図で示す冷却鉄(2a)は、T字形断面を有しかつ冷却鉄(2a)の長手方向に延在する取外し用突起(5a)を備える。T字形バー(7a)の厚さは、第1の端(20)から第2の端(21)まで線形的に増大する。これは、図1の(8、9)で示すレールが、図2には示されていない取外し装置による矢印(11a)の方向への挿入運動の間に沿って摺動する斜面を生成する。これにより生じる取外し装置の直線運動は、鋳造部品から離れる半径方向成分により、冷却鉄(2a)を、図1bの(12)で示す矢印の方向へ移動させる。
【0036】
次に、図3を参照すると、同じパーツまたは等しいパーツが図1および図2の場合と同じ参照数字で示され、いずれの場合も、問題の参照数字に文字bが付されている。
【0037】
図3aの上面図に示す、アルミニウム合金製の電気モータ用ハウジング(22)は、図3に示されていない電気モータのステータまたはステータキャリアを受け入れるために設けられる、円錐軸に対して1度傾斜された表面線を有する略円錐台形の中空空間(23)を備える。
【0038】
冷却鉄(2b)用の取外し装置(1b)は、中空空間(23)内へ導入され、取外し装置(1b)のレール(8b、9b)は、図3aでは冷却鉄(2b)に取外し力が作用していない初期位置にある、冷却鉄(2b)のT字形取外し用突起(5b)の後方に係合する。各冷却鉄(2a)は、図2aおよび図2bに(14)で示す表面で、関連する鋳造部品壁部分(24)に当接しかつこれに接着する。
【0039】
取外し装置(1b)が中空空間(23)内へと直線運動する間、レール(8b、9b)は、図2に示す取外し用突起(5d)の急勾配の平面に沿って摺動し、これにより、冷却鉄(2b)の、該冷却鉄(2b)が当接しかつ付着する鋳造部品壁部分(24)から離れる運動が、中空空間(23)の半径方向の運動成分によって引き起こされる。冷却鉄(2b)は、図3bに示す端位置において、鋳造部品(22)から分離される。冷却鉄(2b)と関連の鋳造部品壁部分(24)との間には、間隙(25)が形成される。この位置において、冷却鉄(2b)は、取外し装置(1b)により保持され、よって、中空空間(23)から、挿入方向とは反対の運動方向によって取り出されることも可能である。
【0040】
レール(8b、9b)の規則的配置、および取外し装置(1b)の端位置内への運動は、さらに、冷却鉄(2b)のセンタリングを引き起こさせ、これにより、図3には示されていない冷却鉄貯蔵パレットへの自動挿入が可能にされる。
【0041】
また、取外し装置(1b)は、第1の側で中空空間に挿入され、第1の側とは反対側で中空空間(23)から出て、冷却鉄(2b)も共に連れていくことも考えられる。効果的には、これにより、個々の冷却鉄(2b)が挿入方向とは反対の運動方向に出て行く際に詰まり、自動取外しプロセスの停止の原因となることが防止される。
【0042】
次に、図4を参照すると、同じパーツまたは等しいパーツが図1図3の場合と同じ参照数字で示され、いずれの場合も、問題の参照数字に文字cが付されている。
【0043】
図4aの分解図に示す、成形砂から形成された二部円錐台形状のサンドコア(26)は、押込み接着接合によって互いに接合可能な2つのサンドコア部(27、28)を有し、これにより、第1の金型コア部(27)のリング状突起(29)が、図4には示されていない、接着剤を有する溝に挿入される。
【0044】
サンドコア(26)内には、冷却鉄(2c)を受け入れるための複数の材料リセス(30)が、取外し用突起(5c)のT字形バー(7c)が2つのサンドバー(31)により把持されている状態で構成される。図4cに示す冷却鉄(2c)の突起(16c)は、サンドコア部(27)内のポケット(32)に挿入されるように設けられるが、さらなる突起(19c)は、サンドコア部(28)内のポケット(33)に係合する。
【0045】
図4bの斜視図に示す組み立てられたサンドコア(26)には、合計8個の冷却鉄(2c)が導入されている。サンドバー(34)の表面は、冷却鉄の表面(14c)と同一平面上にあって、鋳造部品金型を充填する際に鋳造部品金型に充填される金属溶融物と接触するように設けられる平坦な全体表面を形成する。このようなコアで製造される鋳造部品は、端輪郭の近くで製造される。
【0046】
図4cの縦断面に示す組立て二部式サンドコア(26)の場合、サンドコア部(27)のサンドバー(31)は、保持用突起(5c)のT字形バー(7c)の後方に係合する。
【0047】
次に、図5を参照すると、同じパーツまたは等しいパーツが図1図4の場合と同じ参照数字で示され、いずれの場合も、問題の参照数字に文字dが付されている。
【0048】
図5aの斜視図、および図5bの部分断面側面図に示すサンドコア(35)は、一体形成されている。冷却鉄(2d)は、サンドコアを製造するために、図5cの断面側面図に示す金型コア製造ツール(36)内へ導入されてコア製造の間焼成され、すなわち、金型充填が完了するまで硬化性成形砂と共に流し込まれる。
【0049】
金型コア製造ツール(36)は、上部(37)と下部(38)とを備え、これらは、コア製造のために成形砂および冷却鉄(2d)が導入され得る空間を囲み、かつ製造された金型コアを取り外すことができるように、互いに相対して動かされることが可能である。
【0050】
冷却鉄(2d)の上部側面(14d)は、金型壁面(39)に当接する。
【0051】
さらに、冷却鉄(2d)の保持突起(5d)が係合する保持リセス(40)が設けられ、これにより、金型コア製造ツール(36)における定置配置が保証される。
【0052】
例示的な実施形態では、定置であるべく配置される鋳造部品(22)から冷却エレメント(2-2d)を取り外すための、可動取外しヘッド(3;3b)を有する取外し装置(1;1b)を示しているが、取外しヘッド(3;3b)が定置であるべく配置されて、鋳造部品(22)が冷却エレメントを取り外すために可動であることも考えられる。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c