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特許7421573エルデカルシトールを調製するための方法および中間体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】エルデカルシトールを調製するための方法および中間体
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/18 20060101AFI20240117BHJP
   C07C 43/196 20060101ALI20240117BHJP
   C07C 41/26 20060101ALI20240117BHJP
   C07C 69/675 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
C07F7/18 G CSP
C07C43/196
C07C41/26
C07C69/675
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021567023
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2020063196
(87)【国際公開番号】W WO2020229470
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】19382376.2
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504389452
【氏名又は名称】ファエス・ファルマ・ソシエダッド・アノニマ
【氏名又は名称原語表記】FAES FARMA, S.A.
【住所又は居所原語表記】Autonomia,10 E-48940 Leioa-Vizcaya ES
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】エルナンデス エレーロ、ゴンサロ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ドミンゲス、ネフタリ
(72)【発明者】
【氏名】スアレス コルテス、タチアナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサレス ガルシア、タニア
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス パシオス、ヘネロサ
(72)【発明者】
【氏名】フォール ディオプ、ヤガマレ
(72)【発明者】
【氏名】サンターリャ ガルシア、ウゴ
(72)【発明者】
【氏名】ガリード フェルナンデス、ファティマ
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第99/043641(WO,A1)
【文献】国際公開第99/043645(WO,A1)
【文献】特開2009-013154(JP,A)
【文献】国際公開第2009/078813(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107245045(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0344421(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
またはその溶媒和物
[式中、R、RおよびRは、独立して、ヒドロキシル保護基を表し、ここで、Rは、RおよびRに対してオルトゴナルであり、
前記ヒドロキシル保護基は、下記基:
-Si(R)(R’)(R’’)(ここで、R、R’およびR’’は、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリール、C-Cアルコキシおよびハロゲンから選択される。);
-R(ここで、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキルから選択される。);
-CH-OR(ここで、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキルから選択される。);
-COR(ここで、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される。);および
-COOR(ここで、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される。)
から選択されるものである]
を調製するための方法であって、
(a)式(II)の化合物またはその溶媒和物
【化2】
[式中、Rは、Rに対してオルトゴナルであるジオール保護基である]
の二重結合の酸化的開裂により、式(III)の化合物またはその溶媒和物
【化3】
を提供すること、
(b)式(III)の化合物またはその溶媒和物のアルデヒドのビニル化により、式(IV)の化合物またはその溶媒和物
【化4】
を提供すること、
(c)式(IV)の化合物またはその溶媒和物のヒドロキシル基の保護により、式(V)の化合物またはその溶媒和物
【化5】
を提供すること、
(d)式(V)の化合物またはその溶媒和物のジオール保護基の開裂により、式(VI)の化合物またはその溶媒和物
【化6】
を提供すること、
(e)式(VI)の化合物またはその溶媒和物の、第一級ヒドロキシル基のホモログアルデヒドへの変換、および第二級ヒドロキシルの保護により、式(VII)の化合物またはその溶媒和物
【化7】
を提供すること、
および
(f)式(VII)の化合物またはその溶媒和物のCorey-Fuchs反応により、式(I)の化合物またはその溶媒和物を提供すること
を含む、方法。
【請求項2】
工程(a)が、式(II)の化合物またはその溶媒和物をオゾンで処理すること、引き続き、生じたオゾニドを開裂させることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)が、式(III)の化合物またはその溶媒和物を、式(XVIII)、(XIX)または(XX)の化合物
【化8】
[式中、
Xは、ハロゲンであり、
それぞれのR’は、C-C10アリールから選択され、
それぞれのR’’は、C-Cアルキルおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と、塩基の存在下で、反応させることによって行われる、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
工程(e)が、第一級ヒドロキシル基のホモログニトリルへの変換、および場合により第二級ヒドロキシル基の保護により、式(XVI)の化合物またはその溶媒和物
【化9】
[式中、
およびRは、独立して、ヒドロキシル保護基(請求項1で定義したとおりである)を表し、
は、水素およびヒドロキシル保護基(請求項1で定義したとおりである)から選択され、ただし、Rがヒドロキシル保護基である場合、それは、RおよびRに対してオルトゴナルである]
を提供すること、および
式(XVI)の化合物またはその溶媒和物のニトリル基の還元、および場合により第二級ヒドロキシル基の保護により、アルデヒド(VII)またはその溶媒和物を提供すること
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(e)が、式(VI)の化合物またはその溶媒和物の第一級ヒドロキシル基の脱離基への変換により、式(XVII)の化合物またはその溶媒和物
【化10】
[式中、Yは、脱離基である]
を提供すること、
前記脱離基のニトリルへの変換、前記ニトリル基の還元、および前記脱離基のニトリルへの変換の前または前記ニトリルの還元の前または前記ニトリル基の還元の後の、第二級ヒドロキシル基の保護により、アルデヒド(VII)またはその溶媒和物を提供すること
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ニトリル基のアルデヒドへの還元が、金属水素化物の存在下で行われる、請求項4から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(f)が、式(VII)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、PPhの存在下で、CBrで処理すること、引き続き、塩基で処理することを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の化合物またはその溶媒和物を、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物に変換することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(g)式(I)の化合物
【化11】
またはその溶媒和物
[式中、R、RおよびRは、独立して、ヒドロキシル保護基(請求項1で定義したとおりである)を表し、ここで、Rは、RおよびRに対してオルトゴナルである]
を、式(IX)の化合物または式(XXV)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化12】
[式中、
は、水素およびヒドロキシル保護基(請求項1で定義したとおりである)から選択され、
10は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と反応させて、それぞれ、式(X)の化合物または式(XXVI)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化13】
を提供すること、
(h)式(XXVI)の化合物またはその溶媒和物が得られる場合、式(XXVI)の化合物のMeLiとの反応、および場合により生じたヒドロキシル基の保護により、式(X)の化合物またはその溶媒和物を提供すること、
(i)式(X)の化合物またはその溶媒和物の2位のヒドロキシル保護基の開裂により、式(XI)の化合物またはその溶媒和物
【化14】
を提供すること、
(j)式(XI)の化合物を、式(XII)の化合物または式(XXII)の化合物
【化15】
[式中、
Zは、脱離基であり、
は、水素およびヒドロキシル保護基(請求項1で定義したとおりである)から選択され、
は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と反応させて、それぞれ、式(XIII)の化合物または式(XXIII)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化16】
を提供すること、
(k)式(XXIII)の化合物またはその溶媒和物が得られる場合、式(XXIII)の化合物またはその溶媒和物のエステル基の還元により、式(XXIV)の化合物またはその溶媒和物
【化17】
を提供すること、
および
(l)式(XIII)または(XXIV)の化合物、またはそれらの溶媒和物におけるヒドロキシル保護基の開裂により、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物を提供すること
をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(g’)式(I)の化合物またはその溶媒和物におけるRの開裂により、式(XIV)の化合物
【化18】
またはその溶媒和物
[式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシル保護基(請求項1で定義したとおりである)を表す]
を提供すること、
(h’)式(XIV)の化合物またはその溶媒和物を、式(XII)の化合物
【化19】
[式中、
Zは、脱離基であり、
は、水素およびヒドロキシル保護基(請求項1で定義したとおりである)から選択される]
と反応させて、式(XV)の化合物またはその溶媒和物
【化20】
を提供すること、
(i’)式(XV)の化合物またはその溶媒和物を、式(IX)の化合物または式(XXV)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化21】
[式中、
は、水素およびヒドロキシル保護基(請求項1で定義したとおりである)から選択され、
10は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と反応させて、それぞれ、式(XIII)の化合物または式(XXVII)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化22】
を提供すること、
(j’)式(XXVII)の化合物またはその溶媒和物が得られる場合、式(XXVII)の化合物のMeLiとの反応、および場合により生じたヒドロキシル基の保護により、式(XIII)の化合物またはその溶媒和物を提供すること、
(k’)式(XIII)の化合物またはその溶媒和物におけるヒドロキシル保護基の開裂により、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物を提供すること
をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物を調製するための方法であって、
(A)式(I)の化合物
【化23】
またはその溶媒和物
[式中、R、RおよびRは、独立して、ヒドロキシル保護基を表し、ここで、Rは、RおよびRに対してオルトゴナルである]
を、式(IX)の化合物または式(XXV)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化24】
[式中、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択され、
10は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と反応させて、それぞれ、式(X)の化合物または式(XXVI)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化25】
を提供すること、
(B)式(XXVI)の化合物またはその溶媒和物が得られる場合、式(XXVI)の化合物のMeLiとの反応、および場合により生じたヒドロキシル基の保護により、式(X)の化合物またはその溶媒和物を提供すること、
(C)式(X)の化合物またはその溶媒和物の2位のヒドロキシル保護基の開裂により、式(XI)の化合物またはその溶媒和物
【化26】
を提供すること、
(D)式(XI)の化合物を、式(XII)の化合物または式(XXII)の化合物
【化27】
[式中、
Zは、脱離基であり、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択され、
は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と反応させて、それぞれ、式(XIII)の化合物または式(XXIII)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化28】
を提供すること、
(E)式(XXIII)の化合物またはその溶媒和物が得られる場合、式(XXIII)の化合物またはその溶媒和物のエステル基の還元により、式(XXIV)の化合物またはその溶媒和物
【化29】
を提供すること、
および
(F)式(XIII)の化合物または(XXIV)の化合物、またはそれらの溶媒和物におけるヒドロキシル保護基の開裂により、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物を提供すること
を含み、
前記ヒドロキシル保護基は、下記基:
-Si(R)(R’)(R’’)(ここで、R、R’およびR’’は、独立して、C -C アルキル、C -C シクロアルキル、C -C 10 アリール、C -C アルコキシおよびハロゲンから選択される。);
-R(ここで、Rは、C -C アルキル、C -C 10 アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、(C -C )アルコキシ(C -C )アルキルから選択される。);
-CH -OR(ここで、Rは、C -C アルキル、C -C 10 アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、(C -C )アルコキシ(C -C )アルキルから選択される。);
-COR(ここで、Rは、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよび(C -C 10 )アリール(C -C )アルキルから選択される。);および
-COOR(ここで、Rは、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよび(C -C 10 )アリール(C -C )アルキルから選択される。)
から選択されるものである、方法。
【請求項12】
式(I’)の化合物
【化30】
またはその溶媒和物
[式中、
およびRは、独立して、
- C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、
- -CH-OR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキルから選択される)、
- -COR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)、ならびに
- -COOR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)
から選択される基を表し、
は、-SiR (式中、それぞれのR は、独立して、C -C アルキル、C -C シクロアルキル、C -C 10 アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、C -C アルコキシおよびハロゲンから選択される)で表されるヒドロキシル保護基である]。
【請求項13】
式(XI)の化合物
【化31】
またはその溶媒和物
[式中、
およびRは、独立して、ヒドロキシル保護基を表し、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択され
前記ヒドロキシル保護基は、下記基:
-Si(R)(R’)(R’’)(ここで、R、R’およびR’’は、独立して、C -C アルキル、C -C シクロアルキル、C -C 10 アリール、C -C アルコキシおよびハロゲンから選択される。);
-R(ここで、Rは、C -C アルキル、C -C 10 アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、(C -C )アルコキシ(C -C )アルキルから選択される。);
-CH -OR(ここで、Rは、C -C アルキル、C -C 10 アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、(C -C )アルコキシ(C -C )アルキルから選択される。);
-COR(ここで、Rは、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよび(C -C 10 )アリール(C -C )アルキルから選択される。);および
-COOR(ここで、Rは、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよび(C -C 10 )アリール(C -C )アルキルから選択される。)
から選択されるものである]。
【請求項14】
式(XXIII)の化合物
【化32】
またはその溶媒和物
[式中、
およびRは、独立して、ヒドロキシル保護基を表し、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択され、
は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択され
前記ヒドロキシル保護基は、下記基:
-Si(R)(R’)(R’’)(ここで、R、R’およびR’’は、独立して、C -C アルキル、C -C シクロアルキル、C -C 10 アリール、C -C アルコキシおよびハロゲンから選択される。);
-R(ここで、Rは、C -C アルキル、C -C 10 アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、(C -C )アルコキシ(C -C )アルキルから選択される。);
-CH -OR(ここで、Rは、C -C アルキル、C -C 10 アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、(C -C )アルコキシ(C -C )アルキルから選択される。);
-COR(ここで、Rは、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよび(C -C 10 )アリール(C -C )アルキルから選択される。);および
-COOR(ここで、Rは、C -C アルキル、C -C 10 アリールおよび(C -C 10 )アリール(C -C )アルキルから選択される。)
から選択されるものである]。
【請求項15】
およびRが、独立して、
- C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、
- -CH-OR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキルから選択される)、
- -COR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)、ならびに
- -COOR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)
から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法、または請求項12から14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
が、-SiR (式中、それぞれのRは、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、C-Cアルコキシおよびハロゲンから選択される)を表す、請求項1から11および15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エルデカルシトールの合成における新規な中間体、また当該中間体およびエルデカルシトールを調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エルデカルシトールは、骨粗しょう症などの骨疾患に対する強力な生物学的効果を有するビタミンD類似体である。
【化1】
【0003】
A環の前駆体のC/D環のフラグメントを含むブロモオレフィンとのPd触媒カップリングによるエルデカルシトールの調製(トロストカップリング反応)が、開示されている(Heterocycles 2009,79,145-162;Anticancer Research 2009,29,3571-3578)。
【化2】
【0004】
CN107245045Aも、エルデカルシトールを調製するための類似の収束アプローチを開示している。
【化3】
【0005】
いくつかの方法が、エルデカルシトールにおけるA環の前駆体の調製について開示している。
【0006】
例えば、Heterocycles 2009,79,145-162およびAnticancer Research 2009,29,3571-3578は、以下の経路によるC2対称エポキシド(8)から出発するA環のフラグメントの合成を開示している。
【化4】
【0007】
このアプローチは、異性体の混合物を生じさせ、そのため所望の化合物を低い全収率で提供する。
【0008】
この同じエポキシドから出発し、類似の戦略に従う、A環のフラグメントの調製が、Tetrahedron 2010,66,5407-5423に開示されている。この方法も、異性体の混合物、したがって、低収率をもたらす。
【化5】
【0009】
EP1072582A1は、出発原料としてD-マンニトールを使用するエルデカルシトールのA環のフラグメントの調製についての方法を開示している。この経路は、所望のエンインに到達するために多くの合成工程を必要とする(18工程)。
【0010】
A環の前駆体を調製するためのこれらの方法はすべて、アルキン部分を導入するために、中間体のエポキシドへのアセチリドの付加に基づく。加えて、合成の長さおよび/または選択性の欠如に起因して、A環のフラグメントは、低収率で得られる。
【発明の概要】
【0011】
したがって、最先端に属する公知の方法に関連する課題のすべてまたは一部を克服する、エルデカルシトールを得るための新規な方法および中間体を開発することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、エルデカルシトールの合成のための新規な中間体の提供、また当該中間体およびエルデカルシトールを調製するための方法の課題に立ち向かう。
【0013】
第1に、本発明者らは、式(I)の化合物を調製するための新規な方法を開発した。この方法は、関連化合物についての先行技術中の以前の方法に対して、非常に異なるアプローチに基づく。加えて、このアプローチは、非常に有効な方法で、高い収率および純度で、式(I)の化合物をもたらす。
【0014】
したがって、第1の態様において、本発明は、式(I)の化合物
【化6】
またはその溶媒和物
[式中、R、RおよびRは、独立して、ヒドロキシル保護基を表し、ここで、Rは、RおよびRに対してオルトゴナルである]
を調製するための方法であって、
(a)式(II)の化合物またはその溶媒和物
【化7】
[式中、Rは、Rに対してオルトゴナルであるジオール保護基である]
の二重結合の酸化的開裂により、式(III)の化合物またはその溶媒和物
【化8】
を提供すること、
(b)式(III)の化合物またはその溶媒和物のアルデヒドのビニル化により、式(IV)の化合物またはその溶媒和物
【化9】
を提供すること、
(c)式(IV)の化合物またはその溶媒和物のヒドロキシル基の保護により、式(V)の化合物またはその溶媒和物
【化10】
を提供すること、
(d)式(V)の化合物またはその溶媒和物のジオール保護基の開裂により、式(VI)の化合物またはその溶媒和物
【化11】
を提供すること、
(e)式(VI)の化合物またはその溶媒和物の、第一級ヒドロキシル基のホモログアルデヒドへの変換、および第二級ヒドロキシルの保護により、式(VII)の化合物またはその溶媒和物
【化12】
を提供すること、
および
(f)式(VII)の化合物またはその溶媒和物のCorey-Fuchs反応により、式(I)の化合物またはその溶媒和物を提供すること
を含む、方法に関する。
【0015】
本発明者らは、式(I)の化合物が、合成のより後の段階でA環の2位のヒドロキシプロピル鎖の導入を含む方法によるエルデカルシトールの調製において使用することができることも見出した。したがって、第2の態様において、本発明は、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物を調製するための方法であって、
(A)式(I)の化合物
【化13】
またはその溶媒和物
[式中、R、RおよびRは、独立して、ヒドロキシル保護基を表し、ここで、Rは、RおよびRに対してオルトゴナルである]
を、式(IX)の化合物または式(XXV)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化14】
[式中、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択され、
10は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と反応させて、それぞれ、式(X)の化合物または式(XXVI)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化15】
を提供すること、
(B)式(XXVI)の化合物またはその溶媒和物が得られる場合、式(XXVI)の化合物のMeLiとの反応、および場合により生じたヒドロキシル基の保護により、式(X)の化合物またはその溶媒和物を提供すること、
(C)式(X)の化合物またはその溶媒和物の2位のヒドロキシル保護基の開裂により、式(XI)の化合物またはその溶媒和物
【化16】
を提供すること、
(D)式(XI)の化合物を、式(XII)の化合物または式(XXII)の化合物
【化17】
[式中、
Zは、脱離基であり、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択され、
は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と反応させて、式(XIII)の化合物または式(XXIII)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化18】
を提供すること、
(E)式(XXIII)の化合物またはその溶媒和物が得られる場合、式(XXIII)の化合物またはその溶媒和物のエステル基の還元により、式(XXIV)の化合物またはその溶媒和物
【化19】
を提供すること、
および
(F)式(XIII)の化合物または式(XXIV)の化合物、またはそれらの溶媒和物におけるヒドロキシル保護基の開裂により、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物を提供すること
を含む方法に関する。
【0016】
第3の態様において、本発明は、式(I’)の化合物
【化20】
またはその溶媒和物
[式中、
およびRは、独立して、
- C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、
- -CH-OR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキルから選択される)、
- -COR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)、ならびに
- -COOR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)
から選択される基を表し、
は、RおよびRに対してオルトゴナルのヒドロキシル保護基である]
に関する。
【0017】
さらなる態様において、本発明は、式(XI)の化合物
【化21】
またはその溶媒和物
[式中、
およびRは、独立して、ヒドロキシル保護基を表し、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択される]
に関する。
【0018】
別の態様において、本発明は、式(XXIII)の化合物
【化22】
またはその溶媒和物
[式中、
およびRは、独立して、ヒドロキシル保護基を表し、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択され、
は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
に関する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
「アルキル」という用語は、1~6個(「C-Cアルキル」)、好ましくは、1~3個(「C-Cアルキル」)の炭素原子を含有する直鎖状または分枝状のアルカン誘導体を指し、これは、単結合により分子の残部に結合する。アルキル基の実例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシルが挙げられる。好ましくは、これは、メチルまたはエチルである。
【0020】
「シクロアルキル」という用語は、3~7個(「C-Cシクロアルキル」)、好ましくは、3~6個(「C-Cシクロアルキル」)の炭素原子を含有するシクロアルカンに由来するラジカルを指す。シクロアルキル基の実例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0021】
「アリール」という用語は、6~10個(「C-C10アリール」)、好ましくは、6または10個の炭素原子を有し、1個または互いに縮合した2個の芳香核を含む芳香族基を指す。アリール基の実例としては、フェニル、ナフチル、インデニル、フェナントリルなどが挙げられる。好ましくは、これは、フェニルである。
【0022】
「(C-C10)アリール(C-C)アルキル」という用語は、上記に定義されるアリール基で置換された上記に定義されるアルキル基を指す。このような基の例としては、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチルなどが挙げられる。好ましくは、これは、ベンジルである。
【0023】
「アルコキシ」という用語は、酸素を通して分子の残部に連結された、好ましくは、1~6個の炭素原子(「C-Cアルコキシ」)、より好ましくは、1~3個の炭素原子(「C-Cアルコキシ」)を有する、上記に定義されるアルキル基を示す。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、i-プロポキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシなどが挙げられる。
【0024】
「アリールオキシ」という用語は、好ましくは、酸素を通して分子の残部に連結された、6~10個の炭素原子(「C-C10アリールオキシ」)を有する、上記に定義されるアリール基を示す。アリールオキシ(alkoxy)の例としては、フェノキシ、ナフトキシおよびジフェノキシが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「C-C12アルコキシアルキル」基という用語は、少なくとも1個の酸素原子、好ましくは、1、2または3個、より好ましくは、1または2個の酸素原子によって中断された、直鎖状または分枝状のアルキル鎖を含有するラジカルを含む。炭素原子の数は、ラジカル中に存在する炭素原子の総数を示す。すべての構造異性体が含まれる。好ましくは、アルコキシアルキル基は、C-Cアルコキシアルキル基、より好ましくは、C-Cアルコキシアルキル基であり、ここで、アルキル鎖は、1または2個の酸素原子によって中断される。
【0026】
好ましい実施形態において、アルコキシアルキル基は、(C-C)アルコキシ(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル基、より好ましくは、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル基、例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、t-ブトキシメチルおよびメトキシエトキシメチルである。
【0027】
「(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキル」という用語は、式(C-C10)アリール-O-(C-C)アルキル、好ましくは、(C-C10)アリール-O-(C-C)アルキルのラジカルを指し、ここで、「アリール」および「アルキル」という用語は、上記に与えた意味を有する。アリールオキシアルキルの例は、フェノキシメチルである。
【0028】
「ハロゲン」という用語は、臭素、塩素、ヨウ素またはフッ素を指す。
【0029】
「ヘテロシクリル」という用語は、N、OおよびSから独立して選択される、1個以上、詳細には、1、2、3または4個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である、3~10個、好ましくは、5~7個の環原子を含有する、飽和もしくは部分的に不飽和の単環系または二環系を指す。
【0030】
「ヘテロアリール」という用語は、O、NおよびSから独立して選択される、1個以上、詳細には、1、2、3または4個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である、3~10個、好ましくは、5~7個の環原子を含有する、芳香族の単環系または二環系を指す。
【0031】
「脱離基」という用語は、置換反応、例えば、求核置換反応において、別の官能基に置き換わり得る官能基または原子を指す。好適な脱離基は、当技術分野において周知である。特定の実施形態において、脱離基は、ハロゲン、C-Cアルキルスルホネート、C-Cハロアルキルスルホネートおよび(C-C)アルキル(C-C10)アリールスルホネート、例えば、クロロ、ブロモ、ヨード、メシレート、トリフレート、トシレート、ノシレートなどから選択される。
【0032】
「ヒドロキシル保護基」(HPG)という用語は、その後の反応に対してOH官能性をブロックする基を指し、これは、制御された条件下で除去することができる。ヒドロキシル保護基は、当技術分野において周知である。ヒドロキシル保護基の実例は、Green TWら、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版(1999)、John Wiley & Sons編に記載されている。実質的に、任意のヒドロキシル保護基を、本発明を実現するために使用することができる。実例として、HPGの非限定的な例としては、
- シリルエーテル[-Si(R)(R’)(R’’)]。R、R’およびR’’は、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリール、C-Cアルコキシおよびハロゲンから選択され得る。シリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、tert-ブチルジメチルシリルエーテル、tert-ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテル、ジエチルイソプロピルシリルエーテル、ヘキシルジメチルシリルエーテル、トリフェニルシリルエーテル、ジ-tert-ブチルメチルシリルエーテルが挙げられる;
- エーテル[-R]、アルコキシおよびアリールオキシメチルエーテル[-CH-OR]を含む。Rは、C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキルから選択され得る。エーテルの例としては、メチルエーテル、tert-ブチルエーテル、ベンジルエーテル、p-メトキシベンジルエーテル、3,4-ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、アリルエーテル、メトキシメチルエーテル、2-メトキシエトキシメチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、p-メトキシベンジルオキシメチルエーテル、メトキシエトキシメチルエーテル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニルおよび関連するエーテルが挙げられる;
- エステル[-COR]。Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択され得る。エステルの例としては、酢酸エステル、安息香酸エステル、ピバル酸エステル、メトキシ酢酸エステル、クロロ酢酸エステル、レブリン酸エステルが挙げられる;ならびに
- カーボネート[-COOR]。Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択され得る。カーボネートの例としては、ベンジルカーボネート、p-ニトロベンジルカーボネート、tert-ブチルカーボネート、2,2,2-トリクロロエチルカーボネート、2-(トリメチルシリル)エチルカーボネート、アリルカーボネートが挙げられる;
が挙げられる。
【0033】
「ジオール保護基」という用語は、その後の反応に対してジオール官能性をブロックする基を指し、これは、制御された条件下で除去することができる。ジオール保護基は、当技術分野において周知である。ジオール保護基の実例は、Green TWら、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版(1999)、John Wiley & Sons編に記載されている。実質的に、任意のジオール保護基を、本発明を実現するために使用することができる。実例として、非限定的な例としては、
- 環状アセタールおよびケタール[-C(R)(R’)-]。RおよびR’は、独立して、水素、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択され得る。環状アセタールおよびケタールエーテルの例としては、メチレンアセタール、エチレンアセタール、t-ブチルメチリデンアセタール、フェニルアセタール、p-メトキシフェニルアセタール、ベンジリデンアセタール、イソプロピリデンケタール、t-ブチルエチリデンケタール、フェニルエチリデンケタール、p-メトキシフェニルエチリデンケタールが挙げられる;
- オルトエステル[-C(R)(R’)-]。Rは、水素、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択され得、R’は、C-CアルコキシおよびC-C10アリールオキシから選択され得る。オルトエステルの例としては、メトキシメチレンアセタール、エトキシメチレンアセタール、ジメトキシメチレンオルトエステル、1-メトキシエチリデンオルトエステル、1-エトキシエチリデンオルトエステル、1,2-ジメトキシエチリデンオルトエステル、α-メトキシベンジリデンオルトエステルが挙げられる;
- シリル誘導体[-Si(R)(R’)-]。RおよびR’は、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、C-Cアルコキシおよびハロゲンから選択され得る。シリル誘導体の例は、ジ-t-ブチルシリレン、1-(シクロヘキシル)-1-(メチル)シリレン、ジ-イソプロピルシリレン、ジシクロヘキシルシリレンが挙げられる;
- 環状カーボネート[-C(O)-];ならびに
- 環状ボロネート[-B(R)-]。Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択され得る。環状ボロネートの例としては、メチルボロネート、エチルボロネート、フェニルボロネートおよびo-アセトアミドフェニルボロネートが挙げられる;
が挙げられる。
【0034】
詳細なヒドロキシル保護基またはジオール保護基が本明細書のいくつかの工程において示されるが、他のヒドロキシルおよびジオール保護基が、当技術分野において公知であり、同じ目的のために互換可能に有用であることに留意されたい。特定のヒドロキシルおよびジオール保護基は、本明細書において単なる例示として列挙されるが、当業者に公知のさらなるヒドロキシルおよびジオール保護基を使用してもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「オルトゴナル」は、本発明のヒドロキシルおよび/またはジオール保護基を記載するために使用される場合、それぞれが他方に影響を与えることなく反応条件の特化したセットを伴なって、複数の-OH基の1つずつの保護および脱保護を可能にする、当業者に周知の戦略を指す。したがって、第2の保護基に対して「オルトゴナル」である第1の保護基は、第1の保護基が、両方の保護基を有する化合物から、第2の保護基が除去されることなく、除去され得ることを意味する。
【0036】
この技術領域において理解されるように、前述のラジカルにおいてある程度の置換が存在してもよい。したがって、本発明の任意の基において置換が存在してもよい。先述の基は、1つ以上の可能な位置において、1つ以上の置換基で置換され得る。前記置換基としては、例えば、非限定的な意味において、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C-C10アリール、3~10員ヘテロシクリル、3~10員ヘテロアリール、ハロゲン、-CN、NO、CF、-N(R)(R)、-OR、-SR、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R)(R)、-OC(O)R(式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、独立して、ハロゲン、C-Cアルキル、C-C10アリール、3~10員ヘテロシクリル、3~10員ヘテロアリールおよびトリフルオロメチルから選択される)が挙げられる。
【0037】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物の「塩」も指す。実例として、前記塩は、酸付加塩、塩基付加塩または金属塩であり得、当技術分野において公知の従来の化学的方法によって、塩基または酸部分を含有する親化合物から合成することができる。このような塩は、一般に、例えば、前記化合物の遊離の酸または塩基の形態を、水中、または有機溶媒中、またはこの2つの混合物中、化学量論量の好適な塩基または酸と反応させることによって調製される。エーテル、酢酸エチル、エタノール、アセトン、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が一般に好ましい。前記酸付加塩の実例としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などのような無機酸付加塩、例えば、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ショウノウスルホン酸塩などのような有機酸付加塩が挙げられる。塩基付加塩の実例としては、例えば、アンモニウム塩などの無機塩基塩、および例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、N,N-ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルタミン、アミノ酸塩基性塩などのような有機塩基塩が挙げられる。金属塩の実例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムおよびリチウムの塩が挙げられる。特定の実施形態において、塩は、酸付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、またはショウノウスルホン酸塩である。好ましくは、これは、HCl、HBr、HPO、HSO、MsOH、pTsOH、TFA、クエン酸塩およびフマル酸塩の塩から選択される。
【0038】
同様に、本明細書に記載の化合物は、遊離化合物として、または溶媒和物(例えば、水和物、アルコラートなど)としての両方で得られ、または使用され得、両方の形態は、本発明の範囲内に含まれる。溶媒和の方法は、一般に、最先端において公知である。好ましくは、溶媒和物は水和物である。
【0039】
「有機溶媒」という用語は、例えば、環状および非環状エーテル(例えば、EtO、iPrO、tBuO、MeOtBu、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン)、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン)、芳香族溶媒(例えば、トルエン、キシレン)、ケトン(例えば、アセトン、ブタノン、ペンタノン、メチルエチルケトン、エチルイソプロピルケトン)、エステル(例えば、EtOAc、iPrOAc)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル)、アミド(例えば、DMF、DMA、HMPA、NMP)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、sec-ブタノール、t-ブタノール)、スルホキシド(DMSO)およびそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
本発明の態様は、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物を調製するための方法であって、
(A)式(I)の化合物
【化23】
またはその溶媒和物
[式中、R、RおよびRは、独立して、ヒドロキシル保護基を表し、ここで、Rは、RおよびRに対してオルトゴナルである]
を、式(IX)の化合物または式(XXV)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化24】
[式中、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択され、
10は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と反応させて、それぞれ、式(X)の化合物または式(XXVI)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化25】
を提供すること、
(B)式(XXVI)の化合物またはその溶媒和物が得られる場合、式(XXVI)の化合物のMeLiとの反応、および場合により生じたヒドロキシル基の保護により、式(X)の化合物またはその溶媒和物を提供すること、
(C)式(X)の化合物またはその溶媒和物の2位のヒドロキシル保護基の開裂により、式(XI)の化合物またはその溶媒和物
【化26】
を提供すること、
(D)式(XI)の化合物を、式(XII)の化合物または式(XXII)の化合物
【化27】
[式中、
Zは、脱離基であり、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択され、
は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と反応させて、式(XIII)の化合物または式(XXIII)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化28】
を提供すること、
(E)式(XXIII)の化合物またはその溶媒和物が得られる場合、式(XXIII)の化合物またはその溶媒和物のエステル基の還元により、式(XXIV)の化合物またはその溶媒和物
【化29】
を提供すること、
および
(F)式(XIII)の化合物または式(XXIV)の化合物、またはそれらの溶媒和物におけるヒドロキシル保護基の開裂により、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物を提供すること
を含む方法に関する。
【0041】
本発明の別の態様は、式(I)の化合物
【化30】
またはその溶媒和物
[式中、R、RおよびRは、独立して、ヒドロキシル保護基を表し、ここで、Rは、RおよびRに対してオルトゴナルである]
を調製するための方法であって、
(a)式(II)の化合物またはその溶媒和物
【化31】
[式中、Rは、Rに対してオルトゴナルであるジオール保護基である]
の二重結合の酸化的開裂により、式(III)の化合物またはその溶媒和物
【化32】
を提供すること、
(b)式(III)の化合物またはその溶媒和物のアルデヒドのビニル化により、式(IV)の化合物またはその溶媒和物
【化33】
を提供すること、
(c)式(IV)の化合物またはその溶媒和物のヒドロキシル基の保護により、式(V)の化合物またはその溶媒和物
【化34】
を提供すること、
(d)式(V)の化合物またはその溶媒和物のジオール保護基の開裂により、式(VI)の化合物またはその溶媒和物
【化35】
を提供すること、
(e)式(VI)の化合物またはその溶媒和物の、第一級ヒドロキシル基のホモログアルデヒドへの変換、および第二級ヒドロキシルの保護により、式(VII)の化合物またはその溶媒和物
【化36】
を提供すること、
および
(f)式(VII)の化合物またはその溶媒和物のCorey-Fuchs反応により、式(I)の化合物またはその溶媒和物を提供すること
を含む方法に関する。
【0042】
実施形態において、本発明の方法は、生じた式(I)の化合物またはその溶媒和物を、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物に変換することをさらに含む。
【0043】
特定の実施形態において、式(I)の化合物またはその溶媒和物を、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物にさらに変換することは、
(g)式(I)の化合物またはその溶媒和物を、式(IX)の化合物もしくは式(XXV)の化合物またはそれらの溶媒和物
【化37】
[式中、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択され、
10は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と反応させて、それぞれ、式(X)の化合物または式(XXVI)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化38】
を提供すること、
(h)式(XXVI)の化合物またはその溶媒和物が得られる場合、式(XXVI)の化合物のMeLiとの反応、および場合により生じたヒドロキシル基の保護により、式(X)の化合物またはその溶媒和物を提供すること、
(i)式(X)の化合物またはその溶媒和物の2位のヒドロキシル保護基の開裂により、式(XI)の化合物またはその溶媒和物
【化39】
を提供すること、
(j)式(XI)の化合物を、式(XII)の化合物または式(XXII)の化合物
【化40】
[式中、
Zは、脱離基であり、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択され、
は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と反応させて、式(XIII)の化合物または式(XXIII)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化41】
を提供すること、
(k)式(XXIII)の化合物またはその溶媒和物が得られる場合、式(XXIII)の化合物またはその溶媒和物のエステル基の還元により、式(XXIV)の化合物またはその溶媒和物
【化42】
を提供すること、
および
(l)式(XIII)の化合物または式(XXIV)の化合物、またはそれらの溶媒和物におけるヒドロキシル保護基の開裂により、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物を提供すること、
を含む。
【0044】
別の実施形態において、式(I)の化合物またはその溶媒和物を、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物にさらに変換することは、式(I)の化合物またはその溶媒和物を、先行技術に開示の方法によって、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物に変換され得る式(XV)の化合物またはその溶媒和物に変換することを含む。好ましい実施形態において、前記方法は、
(g’)式(I)の化合物またはその溶媒和物におけるシリル保護基の開裂により、式(XIV)の化合物
【化43】
またはその溶媒和物
[式中、RおよびRは、独立して、ヒドロキシル保護基を表す]
を提供すること、
(h’)式(XIV)の化合物またはその溶媒和物を、式(XII)の化合物
【化44】
[式中、
Zは、脱離基であり、および
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択される]
と反応させて、式(XV)の化合物またはその溶媒和物
【化45】
を提供すること、
(i’)式(XV)の化合物またはその溶媒和物を、式(IX)の化合物もしくは式(XXV)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化46】
[式中、
は、水素およびヒドロキシル保護基から選択され、
10は、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される]
と反応させて、それぞれ、式(XIII)の化合物または式(XXVII)の化合物、またはそれらの溶媒和物
【化47】
を提供すること、
(j’)式(XXVII)の化合物またはその溶媒和物が得られる場合、式(XXVII)の化合物のMeLiとの反応、および場合により生じたヒドロキシル基の保護により、式(XIII)の化合物またはその溶媒和物を提供すること、
(k’)式(XIII)の化合物またはその溶媒和物におけるヒドロキシル保護基の開裂により、エルデカルシトールまたはその塩もしくは溶媒和物を提供すること
を含む。
【0045】
本発明の実施形態において、R、RおよびRは、独立して、
- -Si(R)(R’)(R’’)(式中、R、R’およびR’’は、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリール、C-Cアルコキシおよびハロゲンから選択される)、
- C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、
- -CH-OR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキルから選択される)、
- -COR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)、ならびに
- -COOR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)
から選択されるヒドロキシ保護基を表し、
ただし、Rは、RおよびRに対してオルトゴナルである。
【0046】
特定の実施形態において、RおよびRは、独立して、
- C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、
- -CH-OR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキルから選択される)、
- -COR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)、ならびに
- -COOR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される);ならびに
から選択されるヒドロキシ保護基を表し、
は、RおよびRに対してオルトゴナルである本明細書に定義されるヒドロキシル保護基である。好ましくは、Rは、-Si(R)(R’)(R’’)(式中、R、R’およびR’’は、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリール、C-Cアルコキシおよびハロゲンから選択される)を表す。
【0047】
別の実施形態において、RおよびRは、独立して、C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキルおよび(C-C10アリールオキシ(C-C)アルキルから、より好ましくは、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキルから選択され、さらにより好ましくは、MOMである。
【0048】
さらなる実施形態において、Rは、-Si(R)(R’)(R’’)(式中、R、R’およびR’’は、独立して、C-Cアルキルから、より好ましくは、C-Cアルキルから選択される)を表す。
【0049】
本発明の特定の実施形態において、Rは、式:
- -C(R)(R’)-(式中、RおよびR’は、独立して、水素、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)、
- -C(R)(R’)-(式中、Rは、水素、C-Cアルキル、C-C10アリーおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択され、R’は、C-CアルコキシおよびC-C10アルコキシから選択される)、
- -Si(R)(R’)-(式中、RおよびR’は、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、C-Cアルコキシおよびハロゲンから選択される)、
- -C(O)-、および
- -B(R)-(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)
のジオール保護基から選択され、
ただし、これは、Rに対してオルトゴナルである。
【0050】
特定の実施形態において、Rは、式Si(R)(R’)-(式中、RおよびR’は、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、C-Cアルコキシおよびハロゲンから選択され、好ましくは、独立して、C-Cアルキルから選択される)の基である。
【0051】
本発明の特定の実施形態によれば、RおよびRは、独立して、
- C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、
- -CH-OR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキルから選択される)、
- -COR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)、ならびに
- -COOR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)
から選択されるヒドロキシ保護基を表し、
は、-Si(R)(R’)(R’’)(式中、R、R’およびR’’は、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリール、C-Cアルコキシおよびハロゲンから選択される)を表し、ならびに
は、式-Si(R)(R’)-(式中、RおよびR’は、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、C-Cアルコキシおよびハロゲンから選択される)の基である。
【0052】
本発明の実施形態において、RおよびRは、独立して、水素、または
- -Si(R)(R’)(R’’)(式中、R、R’およびR’’は、独立して、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C10アリール、C-Cアルコキシおよびハロゲンから選択される)、
- C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、
- -CH-OR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキルおよび(C-C)アルコキシ(C-C)アルキルから選択される)、
- -COR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)、ならびに
- -COOR(式中、Rは、C-Cアルキル、C-C10アリールおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される)
から選択されるヒドロキシ保護基を表す。
【0053】
本発明の特定の実施形態において、Rがヒドロキシル保護基である場合、Rは、Rに対してオルトゴナルである。
【0054】
特定の実施形態において、Rは、C-Cアルキルおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから、好ましくは、C-Cアルキルおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される。実施形態において、Rは、C-Cアルキル、例えば、メチルまたはエチルである。
【0055】
特定の実施形態において、R10は、C-Cアルキルおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから、好ましくは、C-Cアルキルおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキルから選択される。実施形態において、R10は、C-Cアルキル、例えば、メチルまたはエチルである。
【0056】
本発明の特定の実施形態において、R、R、RおよびRは、MOMであり、Rは、TESである。好ましくは、RおよびR10は、メチルまたはエチルである。
【0057】
好ましい実施形態において、Zは、ハロゲン、C-Cアルキルスルホネート、C-Cハロアルキルスルホネートおよび(C-C)アルキル(C-C10)アリールスルホネート、より好ましくは、クロロ、ブロモ、ヨード、メシレート、トリフレート、トシレートおよびノシレートから選択される脱離基である。
【0058】
特定の実施形態において、工程(a)は、式(II)の化合物またはその溶媒和物をオゾンで処理すること、引き続き、生じたオゾニドを開裂させることによって行われる。好ましくは、前記開裂は、トリ(C-Cアルキル)ホスフィン、トリ(C-C10アリール)ホスフィン、ジ(C-Cアルキル)スルフィド、チオウレアまたはZn/酢酸などの還元剤で処理することによって、より好ましくは、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジメチルスルフィド、チオウレアまたはZn/酢酸で処理することによって行われる。
【0059】
実施形態において、還元剤の式(II)の化合物に対するモル比は、1:1~6:1である。
【0060】
好ましくは、工程(a)は、有機溶媒の存在下で、-78℃~40℃の温度で行われる。
【0061】
実施形態によれば、工程(a)からの粗反応混合物は、精製せずに、続く工程のための出発原料として使用される。
【0062】
アルデヒドのビニル化反応および好適な反応条件は、当技術分野において公知である(例えば、M.B.Smith,J.March,March’s Advanced Organic Chemistry,Wiley-Interscience,第5版,1541-1542頁;Science of Synthesis:Houben-Weyl methods of molecular transformations,Thieme)。実施形態において、工程(b)は、式(III)の化合物またはその溶媒和物を、式(XVIII)、(XIX)または(XX)の化合物
【化48】
[式中、
Xは、ハロゲン、好ましくは、Brであり、
それぞれのR’は、C-C10アリール、好ましくは、フェニルから選択され、
それぞれのR’’は、C-Cアルキルおよび(C-C10)アリール(C-C)アルキル、好ましくは、メチルまたはエチルから選択される]
と、塩基の存在下で、反応させることによって行われる。
【0063】
好適な塩基としては、有機リチウム塩基、アルカリ金属水素化物およびアルカリ金属アルコラート、例えば、nBuLi、tBuLi、sBuLi、MeLi、PhLi、LDA、NaH、NaOtBu、KOtBu、NaOMe、NaOEtなどが挙げられる。
【0064】
好ましくは、反応は、有機溶媒、例えば、環状もしくは非環状エーテル(例えば、EtO、iPrO、tBuO、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン)、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム)、芳香族溶媒(例えば、トルエン、キシレン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、またはそれらの混合物などの存在下で行われる。特定の実施形態において、反応は、エーテル、例えば、THFの存在下で行われる。実施形態において、反応は、-40℃~80℃、好ましくは、-20℃~40℃の温度で行われる。
【0065】
実施形態において、式(XVIII)、(XIX)または(XX)の化合物の式(III)の化合物に対するモル比は、1:1~8:1、好ましくは、2:1~5:1である。
【0066】
実施形態において、工程(e)は、第一級ヒドロキシル基のホモログニトリルへの変換、および場合により第二級ヒドロキシル基の保護により、式(XVI)の化合物またはその溶媒和物
【化49】
[式中、Rは、水素から選択され、Rは、上記に定義の通りである]
を提供すること、および
式(XVI)の化合物またはその溶媒和物のニトリル基の還元、および場合により第二級ヒドロキシル基の保護により、アルデヒド(VII)またはその溶媒和物を提供すること
を含む。すなわち、基ORを提供するためのヒドロキシル基の保護は、ニトリル基の還元の前または後のいずれかで行うことができる。
【0067】
特定の実施形態において、工程(e)は、式(VI)の化合物またはその溶媒和物の第一級ヒドロキシル基の脱離基への変換により、式(XVII)の化合物またはその溶媒和物
【化50】
[式中、Yは、脱離基である]
を提供すること、
脱離基のニトリルへの変換、ニトリル基の還元、および場合により、脱離基のニトリルへの変換の前またはニトリルの還元の前またはニトリル基の還元の後のいずれかでの第二級ヒドロキシル基の保護により、アルデヒド(VII)またはその溶媒和物を提供すること
を含む。
【0068】
実施形態において、ORのような第二級ヒドロキシル基の保護は、脱離基のニトリルへの変換の後、および前記ニトリルのアルデヒドへの還元の前に行われる。
【0069】
式(VI)の化合物またはその溶媒和物の第一級ヒドロキシル基の脱離基への変換は、当技術分野において公知の従来の手段によって行うことができる。例えば、脱離基がハロゲンである式(XVII)の化合物は、I、NaI、Br、CBr、PBr、Cl、SOClで処理することによって得ることができる。脱離基がスルホネートである式(XVII)の化合物は、塩化スルホニル、例えば、TsClまたはMsClで処理することによって得ることができる。脱離基への変換は、好ましくは、有機溶媒の存在下で、-78~80℃、好ましくは、-40℃~40℃の温度で行われる。
【0070】
実施形態において、YがIである式(XVII)の化合物またはその溶媒和物は、好ましくは、イミダゾールおよび有機溶媒の存在下で、IおよびPPhで処理することによって得られる。
【0071】
脱離基のニトリルへの変換は、公知の手段によって行うことができる。例えば、有機溶媒、例えば、環状または非環状エーテル(例えば、EtO、iPrO、tBuO、MeOtBu、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン)、ケトン(例えば、アセトン、ブタノン、ペンタノン、メチルエチルケトン、エチルイソプロピルケトン)、エステル(例えば、EtOAc、iPrOAc)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル)、アミド(例えば、DMF、DMA、HMPA、NMP)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、sec-ブタノール、t-ブタノール)、スルホキシド(DMSO)およびそれらの混合物中、NaCNまたはKCNで処理することによってである。
【0072】
実施形態において、反応は、0℃~150℃、好ましくは、10℃~80℃の温度で行われる。実施形態において、NaCNまたはKCNの脱離基を有する化合物に対するモル比は、1:1~6:1である。
【0073】
ニトリル基のアルデヒドへの還元は、公知の手段によって行うことができる。実施形態において、これは、金属水素化物、例えば、DIBAL、LiAlH、LiAlH(OEt)、LiAlH(OMe)、LiAlH(OtBu)またはNaBH、好ましくは、DIBALの存在下で行われる。還元は、好ましくは、有機溶媒の存在下で、-78℃~50℃、好ましくは、-78℃~0℃の温度で行われる。
【0074】
実施形態において、金属水素化物のニトリルに対するモル比は、1:1~3:1、好ましくは、1:1~1.5:1である。
【0075】
実施形態によれば、工程(f)は、最初に、式(VII)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を、PPhの存在下で、CBrで処理することにより、対応するジブロモオレフィンを提供することを含む。前記反応は、好ましくは、有機溶媒、例えば、好ましくは、環状または非環状エーテル(例えば、EtO、iPrO、tBuO、MeOtBu、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン)、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン)の存在下で、好ましくは、-78℃~50℃、より好ましくは、-20℃~40℃の温度で行われる。
【0076】
生じたジブロモオレフィンは、塩基で処理することによって、式(I)の化合物またはその溶媒和物に変換することができる。好ましくは、塩基は、nBuLi、tBuLi、sBuLi、MeLi、PhLi、HMDSLiおよびLDAから選択される。反応は、有機溶媒、好ましくは、環状または非環状エーテル(例えば、EtO、iPrO、tBuO、MeOtBu、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン)、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン)の存在下で、好ましくは、-78℃~50℃、より好ましくは、-78℃~20℃の温度で行うことができる。
【0077】
式(I)もしくは(XV)の化合物またはそれらの溶媒和物の式(IX)の化合物もしくは式(XXV)の化合物またはそれらの溶媒和物との反応(工程(A)、(g)および(i’))は、先行技術において公知の手段によって、Pd触媒の存在下で行ってもよい。実施形態において、反応は、Pd(0)触媒、例えば、Pd(PPh、Pd(dba)またはPd(dba)・CHClの存在下で、好ましくは、有機塩基(例えば、第三級アミン、例えば、MeN、EtN、BuN、iPrNEt、CyNMe、ピリジン)または無機塩基(例えば、CsCO、KCO、NaCO、AgCO、KPO、NaOH、KOH、CsOH)を含む塩基の存在下で行われる。実施形態において、反応はまた、トリアルキルまたはトリアリールホスフィン、好ましくは、PPhの存在下で行われる。好ましくは、反応は、有機溶媒の存在下で行われる。
【0078】
特定の実施形態において、この反応は、Pd(PPh、EtNおよび好ましくは有機溶媒(例えば、トルエン)の存在下で、またはPd(dba)・CHCl、EtN、PPhおよび好ましくは有機溶媒(例えば、トルエン)の存在下で、またはPd(dba)、EtNおよび好ましくは有機溶媒(例えば、トルエン)の存在下で行われる。好ましい実施形態において、この反応は、Pd(PPh、EtNおよび好ましくは有機溶媒(例えば、トルエン)の存在下で行われる。
【0079】
この反応は、例えば、20℃~150℃、好ましくは、80℃~130℃の温度で行われてもよい。
【0080】
実施形態において、式(XI)もしくは(XIV)の化合物またはそれらの溶媒和物の式(XII)の化合物またはその溶媒和物との反応(工程(D)、(j)および(h’))は、塩基および有機溶媒の存在下で行われてもよい。
【0081】
好適な塩基としては、無機および有機塩基、例えば、アルカリ金属炭酸塩または重炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、CsCO、LiCO、NaHCO、KHCO、CsHCO、LiHCO)、アルカリ金属リン酸塩(例えば、NaPO、KPO、NaHPO、KHPO、NaHPO、KHPO)、アルカリ金属アルコキシド(例えば、NaOMe、KOMe、NaOEt、KOEt、NaOtBu、KOtBu)、アルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH、KOH、LiOH、CsOH)、脂肪族または芳香族アミン(例えば、MeNH、EtNH、iPrNH、BuNH、MeN、EtN、BuN、iPrEtN、N-メチルモルホリン、ピリジン、DMAP、アニリン、N,N-ジメチルアニリン)が挙げられる。好ましくは、塩基は無機塩基である。
【0082】
実施形態において、有機溶媒は、極性有機溶媒、例えば、THF、ケトン(例えば、アセトン、ブタノン、ペンタノン、メチルエチルケトン、エチルイソプロピルケトン)、エステル(例えば、EtOAc、iPrOAc)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル)、アミド(例えば、DMF、DMA、HMPA、NMP)、スルホキシド(DMSO)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、sec-ブタノール、t-ブタノール)、またはそれらの混合物である。さらなる実施形態において、有機溶媒は、極性非プロトン性有機溶媒、例えば、THF、ケトン(例えば、アセトン、ブタノン、ペンタノン、メチルエチルケトン、エチルイソプロピルケトン)、エステル(例えば、EtOAc、iPrOAc)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル)、アミド(例えば、DMF、DMA、HMPA、NMP)、スルホキシド(DMSO)、またはそれらの混合物である。
【0083】
好ましい実施形態において、反応は、無機塩基、および極性有機溶媒、より好ましくは、極性非プロトン性有機溶媒の存在下で行われる。
【0084】
実施形態において、反応は、0℃~150℃の温度、好ましくは、0℃~100℃、より好ましくは、10℃~50℃の温度で行われる。
【0085】
実施形態において、式(XI)の化合物またはそれらの溶媒和物の式(XXII)の化合物またはその溶媒和物との反応(工程(D)および(j))は、塩基および有機溶媒の存在下で行われてもよい。
【0086】
好適な塩基としては、無機および有機塩基、例えば、アルカリ金属炭酸塩または重炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、CsCO、LiCO、NaHCO、KHCO、CsHCO、LiHCO)、アルカリ金属リン酸塩(例えば、NaPO、KPO、NaHPO、KHPO、NaHPO、KHPO)、アルカリ金属アルコキシド(例えば、NaOMe、KOMe、NaOEt、KOEt、NaOtBu、KOtBu)、アルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH、KOH、LiOH、CsOH)、脂肪族または芳香族アミン(例えば、MeNH、EtNH、iPrNH、BuNH、MeN、EtN、BuN、iPrEtN、N-メチルモルホリン、ピリジン、DMAP、アニリン、N,N-ジメチルアニリン)が挙げられる。好ましくは、塩基は、無機塩基、より好ましくは、アルカリ金属水酸化物、例えば、NaOHである。
【0087】
実施形態において、有機溶媒は、環状および非環状エーテル(例えば、EtO、iPrO、tBuO、MeOtBu、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン)、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン)、芳香族溶媒(例えば、トルエン、キシレン)およびそれらの混合物から選択される。好ましくは、トルエンである。
【0088】
実施形態において、反応は、0℃~100℃の温度、好ましくは、0℃~60℃、より好ましくは、10℃~50℃の温度で行われる。
【0089】
式(XXIII)の化合物またはその溶媒和物におけるエステル基のアルコール(XXIV)またはその溶媒和物への還元は、公知の手段によって行うことができる。実施形態において、これは、金属水素化物、例えば、DIBAL、LiAlH、LiAlH(OEt)、LiAlH(OMe)またはLiAlH(OtBu)、好ましくは、DIBALまたはLiAlH、より好ましくは、DIBALの存在下で行われる。還元は、好ましくは、有機溶媒の存在下、-100℃~50℃、好ましくは、-78℃~0℃、より好ましくは、-78℃~-20℃の温度で行われる。
【0090】
実施形態において、金属水素化物のニトリルに対するモル比は、2:1~6:1、好ましくは、2:1~4:1である。
【0091】
式(XXVI)の化合物またはその溶媒和物の式(X)の化合物またはその溶媒和物への変換、および式(XXVII)の化合物またはその溶媒和物の式(XIII)の化合物またはその溶媒和物への変換は、有機溶媒中でのMeLiとの反応によって行うことができる。
【0092】
実施形態において、有機溶媒は、環状および非環状エーテル(例えば、EtO、iPrO、tBuO、MeOtBu、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン)、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン)、芳香族溶媒(例えば、トルエン、キシレン)およびそれらの混合物から選択される。好ましくは、環状または非環状エーテル、例えば、THFである。
【0093】
実施形態において、反応は、-100℃~30℃、好ましくは、-78℃~0℃、より好ましくは、-78℃~-20℃の温度で行われる。
【0094】
実施形態において、MeLiの式(XXVI)または(XXVII)の化合物に対するモル比は、2:1~5:1、好ましくは、2:1~3:1である。
【0095】
式(XXVI)もしくは(XXVII)の化合物またはそれらの溶媒和物のMeLiとの反応後、それぞれ、Rが水素である、式(X)もしくは(XIII)の化合物またはそれらの溶媒和物が得られる。前記ヒドロキシル基は、場合により、公知の手段によって保護されて、それぞれ、Rがヒドロキシル保護基である、式(X)もしくは(XIII)の化合物またはそれらの溶媒和物を提供することができる。
【0096】
本発明における式(II)の化合物は、公知の手段によって得ることができる。例えば、式(XXI)の化合物またはその溶媒和物
【化51】
のヒドロキシル基の保護によってである。
【0097】
式(XXI)の化合物は、当技術分野において公知である(例えば、WO2008/025160、Journal of Organic Chemistry 2018,83,5187-5198)。特定の実施形態において、それらは、市販のトリ-O-アセチル-D-グルカンから、アセチル基の開裂、引き続き、1,3-ジオールを保護することによって得ることができる。
【化52】
【0098】
エルデカルシトールのその後の調製のために使用される式(IX)および(XXV)の化合物は、当技術分野において公知である(例えば、Heterocycles 2009,79,145-162;Heterocycles 2006,70,295-307;Anticancer Research 2009,29,3571-3578)。
【0099】
本発明の方法の間に必要により、ヒドロキシル基およびジオール基の保護および/または脱保護を、合成の任意の段階で行うことができる。前記保護および/または脱保護のための最も好適な段階は、当業者によって容易に決定することができる。
【0100】
ヒドロキシルおよびジオール保護基の保護/開裂は、当技術分野において公知の任意の従来の手段(例えば、T.H.GreeneおよびP.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第4版,John Wiley & Sons,2007)によって行うことができる。
【0101】
例えば、ヒドロキシルまたはジオール保護基が、エステル(COR)またはカーボネート(COOR、-C(O)-)である場合、これは、最先端の十分に確立された手順に従って、塩基性または酸性の媒体中、加水分解によって容易に脱保護することができる。
【0102】
ヒドロキシルまたはジオール保護基が、シリルエーテル(Si(R)(R’)(R’’)、-Si(R)(R’)-)である場合、これは、フッ化物塩(例えば、TBAF)またはHFなどのフッ化物試薬、酸性媒体、酸化媒体などの使用によって、容易に脱保護することができる。
【0103】
ヒドロキシルまたはジオール保護基が、エーテル(R)、アセタール、ケタールまたはオルトエステル(-C(R)(R’)-)である場合、これは、酸性媒体中での加水分解(例えば、メチルエーテル(CHOR)のため)、水素添加(例えば、ベンジルエーテルまたはベンジリデンアセタールのため)、酸化(例えば、アリールエーテルのため)などにより、容易に脱保護することができる。
【0104】
本開示の範囲が、本明細書に開示される実施形態のすべての可能な組み合わせを含むことが理解されるべきである。
【実施例
【0105】
(4aR,8R,8aS)-2,2-ジ-tert-ブチル-4,4a,8,8a-テトラヒドロピラノ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン-8-オール(1)の合成
【化53】
MeOH(50mL)中の(+)-トリ-O-アセチル-D-グルカール(14g、51.4mmol)の溶液にKCO(100mg)を添加し、混合物を室温で12時間撹拌した。次いで、MeOHを減圧下蒸発させ、生じた残渣をCHClに溶解し、再度、3回濃縮した。得られた固体をDMF(40ml)に溶解し、ピリジン(20mL、257.1mmol)を添加し、-40℃に冷却した。次いで、tert(terc)-BuSi(OTf)(18.3mL、56.6mmol)を滴下添加し、混合物を室温まで1時間撹拌した。その時間の後、EtOAc(30mL)を添加し、有機層を15%のCuSOの水溶液(2×30mL)、水(3×30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下蒸発させた。残渣を、酢酸エチル-ヘキサン(5%)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物1(13.4g、91%)を白色固体(融点:84~85℃)、Rf:0.71(EtOAc)として得た。IR(ATR,cm-1):3440,2988,2285,1646,1215,869。H-NMR(CDCl,δ):6.25(1H,dd,J=6.1/1.8Hz,H-1),4.74(1H,dd,J=6.1/1.9Hz,H-2),4.25(1H,m,H-3),4.16(1H,dd,J=10.2/4.9Hz,H-6),3.93(2H,m,H-6,H-4),3.82(1H,m,H-5),2.66(1H,s,OH);1.05(9H,s,CHBu),0.98(9H,s,CHBu)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):143.5(CH-1),103.1(CH-2),77.3(CH-4),72.2(CH-5),70.0(CH-3),65.6(CH-6),27.4(CHBu),26.8(CHBu),22.6(C-Bu),19.7(C-Bu)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:287(M+1,7),286(M,12),269(M-OH,100)。HRMS(ESI):C1426Siについての計算値286.1232;実測値286.1647。
【0106】
(4aR,8R,8aS)-2,2-ジ-tert-ブチル-8-(メトキシメトキシ)-4,4a,8,8a-テトラヒドロピラノ[3,2-d][1,3,2]ジオキサシリン(2)の合成
【化54】
0℃に冷却されたCHCl(7ml)中の1(1.03g、3.6mmol)の溶液に、DIPEA(1.9ml、10.8mmol)を滴下添加し、混合物を10分間撹拌した。次いで、クロロメチルメチルエーテル(0.82ml、10.8mmol)を添加し、撹拌を16時間続け、混合物を徐々に室温に到達させた。反応をHO(15ml)でクエンチし、CHCl(3×20ml)で抽出した。ひとまとめにした有機層をHO(20ml)、ブライン(20ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を減圧下蒸発させた。残渣を、酢酸エチル-ヘキサン(3%)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物2(6.2g、99%)を無色油状物、Rf:0.63(10%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):2932,2868,2853,1646,1472,1369,1120,1009,625。H-NMR(CDCl,δ):6.31(1H,dd,J=6.0/1.8Hz,H-1),4.93(1H,d,J=6.6Hz,CH-MOM),4.78(1H,d,J=6.6Hz,CH-MOM),4.75(1H,dd,J=6.1Hz,J=2.0Hz,H-2),4.32(1H,d,J=7.4Hz,H-3),4.19(1H,dd,J=10.4/4.9Hz,H-6),4.12(1H,dd,J=10.3/7.4Hz,H-6),4.00(1H,t,H-4),3.88(1H,m,H-5),3.45(3H,s,CH-MOM),1.09(9H,s,CHBu),1.02(9H,s,CHBu)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):144.1(CH-1),102.1(CH-2),95.6(CH-MOM),76.0(CH-4),74.1(CH-3),72.9(CH-5),65.9(CH-6),55.3(CH-MOM),27.4(CHBu),26.9(CHBu),22.7(C-Bu),19.9(C-Bu)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:269.15(M-OMOM,100),345.17(M+Na,7)。HRMS(ESI):C1630NaOSiについての計算値353.1755;実測値353.1756。
【0107】
(4R,5R)-2,2-ジ-tert-ブチル-4-((R)-1-(メトキシメトキシ)アリル)-1,3,2-ジオキサシリナン-5-オール(3)の合成
【化55】
CHCl(65ml)およびMeOH(20ml)中の化合物2(807mg、2.43mmol)の溶液に、Oの流れ(1.0ml/分、0.40A)を10分間通した。O流を、Oの飽和溶液を意味する混合物の色が青に変化した時に止めた。Arの流れを通した後、PPh(764mg、2.91mmol)を少量ずつ添加し、撹拌下で5分後、NHClの飽和溶液(15ml)を添加し、混合物をCHCl(2×30ml)で抽出した。ひとまとめにした有機層をNaSOで乾燥し、溶媒を減圧下蒸発させて、粗生成物を得た。
【0108】
0℃のTHF(10mL)中の臭化メチルトリフェニルホスホニウム(3.47mg、9.72mmol)の懸濁液に、ヘキサン中のn-BuLiの2.5M溶液(3.4ml、8.5mmol)を添加し、撹拌を1時間続けた。THF(5ml)中の先の粗生成物の溶液を添加し、混合物を4時間撹拌し、次いで、NHClの飽和水溶液(10ml)でクエンチし、生成物をEtOAc(3×15mL)で抽出した。ひとまとめにした有機相を乾燥し、濾過し、蒸発させて、残渣を得て、これを酢酸エチル-ヘキサン(5%)を使用するシリカゲル上のクロマトグラフを行って、化合物3(646mg、80%)を無色油状物、Rf:0.37(20%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):3442,2960,2931,2858,1474,1070,826,652。H-NMR(CDCl,δ):6.01(1H,m,H-2),5.37(2H,m,H-1),4.68(2H,m,CH-MOM),4.35(1H,d,J=6.9Hz,H-3),4.14(1H,m),3.96(2H,m),3.83(1H,m),3.44(3H,s,CH-MOM),1.05(9H,s,CHBu),1.00(9H,s,CHBu)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):134.0(CH-2),118.5(CH-1),95.1(CH-MOM),79.6(CH),78.6(CH),68.2(CH-6),67.1(CH),55.9(CH-MOM),27.5(CHBu),27.0(CHBu),22.8(C-Bu),20.2(C-Bu)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:271.17(M-OMOM,100),355.19(M+Na,9)。HRMS(ESI):C1632NaOSiについての計算値355.1911;実測値355.1906。
【0109】
(4S,5R)-2,2-ジ-tert-ブチル-5-(メトキシメトキシ)-4-((R)-1-(メトキシメトキシ)アリル)-1,3,2-ジオキサシリナン(4)の合成
【化56】
DIPEA(1.6ml、9.2mmol)を0℃に冷却されたCHCl(10ml)中の3(613mg、1.84mmol)の溶液に滴下添加し、混合物を10分間撹拌した。次いで、クロロメチルメチルエーテル(0.7ml、9.2mmol)を添加し、撹拌を16時間続け、混合物を徐々に室温に到達させた。反応をHO(15ml)でクエンチし、CHCl(3×20ml)で抽出した。ひとまとめにした有機層をHO(20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を減圧下蒸発させた。残渣を、酢酸エチル-ヘキサン(5%)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物4(681mg、99%)を無色油状物、Rf:0.40(10%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):2958,2931,2857,1473,1142,1045,826。H-NMR(CDCl,δ):6.02(1H,m,H-2),5.30(2H,m,H-1),4.75(2H,d,J=20.1/6.7Hz,CH-MOM),4.62(2H,d,J=20.7/6.7Hz,CH-MOM),4.21(2H,m,H-3),3.88(3H,m),3.39(3H,s,CH-MOM),3.37(3H,s,CH-MOM),1.04(9H,s,CHBu),1.03(9H,s,CHBu)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):135.9(CH-2),118.2(CH-1),97.2(CH-MOM),94.4(CH-MOM),79.9(CH),77.7(CH),73.5(CH),66.9(CH-6),55.8(CH-MOM),55.7(CH-MOM),27.5(CHBu),26.9(CHBu),22.7(C-Bu),20.5(C-Bu)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:253.16(100),338.34(30),399.21(M+Na,85)。HRMS(ESI):C1836NaOSiについての計算値399.2173;実測値399.2161。
【0110】
(2R,3S,4R)-2,4-ビス(メトキシメトキシ)ヘキサ-5-エン-1,3-ジオール(5)の合成
【化57】
THF(6mL)中の4(1.25g、3.32mmol)の溶液に、TBAFの1.0Mの溶液(9.96mL、9.96mmol)を室温で添加し、混合物を同じ条件で16時間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を溶離液として酢酸エチル-ヘキサン(80%)を使用するシリカゲル上のクロマトグラフを行って、化合物5(776mg、99%)を無色油状物、Rf:0.78(50%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):3436,2950,2924,2853,1143,1028,918。H-NMR(CDCl,δ):5.83(1H,m,H-2),5.33(2H,m,H-1),4.73(3H,m,CH-MOM),4.59(1H,m,CH-MOM),4.21(1H,m),3.81(2H,m),3.65(2H,m),3.43(3H,s,CH-MOM),3.39(3H,s,CH-MOM),3.24(1H,s,OH),2.92(1H,s,OH)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):134.8(CH-2),119.6(CH-1),97.1(CH-MOM),94.2(CH-MOM),80.4(CH),77.0(CH),74.1(CH),62.8(CH-6),56.0(CH-MOM),55.9(CH-MOM)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:143.07(60),237.13(M+1,10),259.11(M+Na,100)。HRMS(ESI):C1021についての計算値237.1333;実測値237.1333。
【0111】
(5S,6S,7R)-5-(ヨードメチル)-7-ビニル-2,4,8,10-テトラオキサウンデカン-6-オール(6)の合成
【化58】
室温のTHF(10mL)中のジオール5(364mg、1.54mmol)の溶液に、連続してPPh(605mg、2.31mmol)およびイミダゾール(314mg、4.62mmol)を添加した。混合物を0℃に冷却した後、I(545mg、2.15mmol)を添加し、撹拌を5時間続けた。反応をNaHCOの飽和水溶液(10mL)でクエンチし、生成物をEtOAc(3×20ml)で抽出した。有機相を10%のNaの水溶液(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得て、これを溶離液として酢酸エチル-ヘキサン(30%)を使用するシリカゲル上のクロマトグラフを行って、化合物6(465mg、87%)を無色油状物、Rf:0.55(50%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):3451,2923,2853,1464,1050,1028,919。H-NMR(CDCl,δ):5.88(1H,m,H-2),5.35(2H,m,H-1),4.74(3H,m,CH-MOM),4.60(1H,m,CH-MOM),4.28(1H,m),3.59(2H,m),3.47(3H,s,CH-MOM),3.40(3H,s,CH-MOM),3.34(1H,m),2.51(1H,s,OH)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):134.8(CH-2),119.5(CH-1),97.0(CH-MOM),94.3(CH-MOM),76.3(CH),76.2(CH),75.3(CH),56.7(CH-MOM),56.1(CH-MOM),10.2(CH-6)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:369.0169(M+Na,100)。HRMS(ESI):C1019INaOについての計算値369.0169;実測値369.0165。
【0112】
(5R,6S)-8,8-ジエチル-6-((S)-2-ヨード-1-(メトキシメトキシ)エチル)-5-ビニル-2,4,7-トリオキサ-8-シラデカン(7)の合成
【化59】
CHCl(30mL)中の化合物6(1.31g、3.8mmol)の溶液に、ピリジン(3.1mlg、38mmol)およびTESOTf(1.72ml、7.6mmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。その時間の後、NaHCOの飽和溶液(10mL)を添加し、生成物をEtOAc(2×20mL)で抽出した。有機層をCuSO(2×10ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下蒸発させた。残渣を、酢酸エチル-ヘキサン(5%)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物7(1.73g、99%)を無色油状物、Rf:0.55(10%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):2953,2877,1458,1143,1033,921,742。H-NMR(CDCl,δ):5.82(1H,m,H-2),5.33(2H,m,H-1),4.69(4H,m,CH-MOM),4.11(1H,m),3.90(1H,m),3.69(1H,m),3.52(1H,m),3.48(3H,s,CH-MOM),3.38(3H,s,CH-MOM),3.31(1H,m),0.97(9H,m,CH-TES),0.70(4H,m,CH-TES),0.53(2H,m,CH-TES)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):135.2(CH-2),118.7(CH-1),96.8(CH-MOM),94.6(CH-MOM),78.5(CH),78.4(CH),76.9(CH),56.7(CH-MOM),55.8(CH-MOM),8.8(CH-6),6.9(CH-TES),6.8(CH-TES),6.4(CH-TES),5.3(CH-TES)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:337.04(42),483.10(M+Na,100)。HRMS(ESI):C1633INaOSiについての計算値483.1034;実測値483.1019。
【0113】
(3R,4R,5R)-3,5-ビス(メトキシメトキシ)-4-((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタ-6-エンニトリル(8)の合成
【化60】
DMSO(2mL)中の7(150mg、0.32mmol)の溶液に、NaCN(32mg、0.64mmol)を添加した。混合物を室温で14時間撹拌した。反応をHO(6ml)でクエンチし、EtOAc(10mL)で抽出し、有機層をHO(2×10mL)およびブライン(2×10ml)で洗浄した。NaSOでの乾燥および溶媒蒸発の後、残渣を、酢酸エチル-ヘキサン(10%)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物8(76mg、64%)を無色油状物、Rf:0.50(10%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):2853,2878,2251,1150,1100,1003,919,740。H-NMR(CDCl,δ):5.76(1H,m,H-2),5.32(2H,m,H-1),4.66(4H,m,CH-MOM),3.98(3H,m),3.45(3H,s,CH-MOM),3.36(3H,s,CH-MOM),2.67(2H,m,CH-6),0.97(9H,m,CH-TES),0.66(6H,m,CH-TES)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):134.4(CH-2),119.0(CH-1),118.7(C-7),95.9(CH-MOM),94.5(CH-MOM),78.1(CH),75.4(CH),73.7(CH),56.2(CH-MOM),55.7(CH-MOM),19.9(CH-6),6.8(CH-TES),4.9(CH-TES)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:360.22(M+1,48),474.30(100)。HRMS(ESI):C1734NOSiについての計算値360.2200;実測値360.2193。
【0114】
(3R,4R,5R)-3,5-ビス(メトキシメトキシ)-4-((トリエチルシリル)オキシ)ヘプタ-6-エナール(9)の合成
【化61】
-78℃に冷却されたCHCl(3ml)中の8(123mg、0.34mmol)の溶液に、ヘキサン中の1MのDIBAL-Hの溶液(0.38ml、0.38 mmol)を添加し、20分間撹拌した。溶液に対して、数滴のMeOH(5ml)およびNHClの飽和溶液(1ml)を添加し、CHCl(2×10ml)で抽出した。NaSOでの乾燥および溶媒蒸発の後、残渣を、酢酸エチル-ヘキサン(8%)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物9(103mg、83%)を無色油状物、Rf:0.52(20%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):2953,2878,1726,1150,1099,1029,741。H-NMR(CDCl,δ):9.80(1H,s,H-7),5.77(1H,m,H-2),5.31(2H,m,H-1),4.67(4H,m,CH-MOM),4.22(1H,m),3.98(2H,m),3.37(3H,s,CH-MOM),3.34(3H,s,CH-MOM),2.64(2H,m,CH-6),0.97(9H,t,J=7.9Hz,CH-TES),0.65(6H,q,J=7.9Hz,CH-TES)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):201.6(CH-7),134.6(CH-2),118.8(CH-1),95.7(CH-MOM),94.5(CH-MOM),78.6(CH),76.3(CH),73.6(CH),55.8(CH-MOM),55.6(CH-MOM),44.8(CH-6),6.8(CH-TES),5.0(CH-TES)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:385.20(M+Na,100)。HRMS(ESI):C1734NaOSiについての計算値385.2017;実測値385.2006。
【0115】
(5R,6R)-6-((R)-4,4-ジブロモ-1-(メトキシメトキシ)ブタ-3-エン-1-イル)-8,8-ジエチル-5-ビニル-2,4,7-トリオキサ-8-シラデカン(10)の合成
【化62】
CHCl(5ml)中のZn(78mg、1.2mmol)の懸濁液に、連続してCBr(398mg、1.2mmol)およびPPh(317mg、1.2mmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、CHCl(1ml)中の化合物9(87mg、0.24mmol)およびピリジン(195μL、2.4mmol)を添加し、混合物を同じ条件で2時間保った。EtO(15ml)を添加し、懸濁液を濃縮した。残渣を、酢酸エチル-ヘキサン(10%)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物10(97mg、78%)を無色油状物、Rf:0.75(20%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):2953,2878,1726,1150,1099,1029,741。H-NMR(CDCl,δ):6.56(1H,t,J=7.1Hz,H-7),5.77(1H,m,H-2),5.33(2H,m,H-1),4.70(2H,dd,J=6.8/5.2Hz,CH-MOM),4.61(1H,d,J=6.8Hz,CH-MOM),4.58(1H,d,J=6.8Hz,CH-MOM),3.98(1H,m),3.88(1H,m),3.75(1H),3.41(3H,s,CH-MOM),3.39(3H,s,CH-MOM),2.40(2H,m,CH-6),1.00(9H,t,J=7.9Hz,CH-TES),0.68(6H,q,J=7.9Hz,CH-TES)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):136.7(CH-7),134.7(CH-2),119.0(CH-1),95.3(CH-MOM),94.5(CH-MOM),89.1(C-8),78.8(CH),76.3(CH),75.9(CH),55.8(CH-MOM),55.6(CH-MOM),33.8(CH-6),6.9(CH-TES),5.1(CH-TES)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:539.04(M+Na,50),541.04(M+Na,100),543.03(M+Na,50)。HRMS(ESI):C1834BrNaOSiについての計算値541.0415;実測値541.0398。
【0116】
(5R,6R)-6-((R)-4,4-ジブロモ-1-(メトキシメトキシ)ブタ-3-エン-1-イル)-8,8-ジエチル-5-ビニル-2,4,7-トリオキサ-8-シラデカン(10)の合成(2工程)
【化63】
-78℃に冷却されたCHCl(12ml)中の8(500mg、1.39mmol)の溶液に、ヘキサン中の1MのDIBAL-Hの溶液(1.53ml、1.53mmol)を添加し、7分間撹拌した。溶液に対して、MeOH(10ml)およびNHClの飽和溶液(5ml)を滴下添加し、CHCl(2×10ml)で抽出した。NaSOで乾燥した後、溶媒を濃縮した。
【0117】
CHCl(18ml)中のZn(454mg、6.95mmol)の懸濁液に、連続してCBr(2.3g、6.95mmol)およびPPh(1.8g、6.95mmol)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、CHCl(5ml)中の先の粗生成物およびピリジン(1.11mL、13.9mmol)を添加し、混合物を同じ条件で2時間保った。EtO(40ml)を添加し、懸濁液を濃縮した。残渣を、酢酸エチル-ヘキサン(10%)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物10(502mg、70%)を得た。
【0118】
(5R,6R)-8,8-ジエチル-6-((R)-1-(メトキシメトキシ)アリル)-5-(プロパ-2-イン-1-イル)-2,4,7-トリオキサ-8-シラデカン(11)の合成
【化64】
-78℃のTHF(5ml)中の化合物10(151mg、0.29mmol)の溶液に、ヘキサン中の2.5Mのn-BuLi(174μl、0.43mmol)を滴下添加し、混合物を、茶色になるまで、この温度で10分間撹拌したままにした。その時間の後、NHClの飽和水溶液(5mL)を添加し、生成物をEtOAc(3×10mL)で抽出した。ひとまとめにした有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させて、残渣を得て、これを酢酸エチル-ヘキサン(3%)を用いるクロマトグラフを行って、化合物11(101mg、99%)を無色油状物、Rf:0.52(10%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):3310,2952,2877,1441,1030,919,740。H-NMR(CDCl,δ):5.83(1H,m,H-2),5.33(2H,m,H-1),4.76(2H,d,J=1.3Hz,CH-MOM),4.66(2H,m,CH-MOM),4.11(1H,m),3.91(2H,m),3.45(3H,s,CH-MOM),3.39(3H,s,CH-MOM),2.57(2H,m,CH-6),1.99(1H,s,H-8),1.00(9H,m,CH-TES),0.66(6H,m,CH-TES)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):135.3(CH-2),118.8(CH-1),96.3(CH-MOM),94.6(CH-MOM),82.3(C-7),78.5(CH),76.4(CH),76.0(CH),69.6(CH-8),55.9(CH-MOM),55.7(CH-MOM),20.8(CH-6),6.9(CH-TES),5.1(CH-TES)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:381.20(M+Na,100)。HRMS(ESI):C1834NaOSiについての計算値381.2068;実測値381.2059。
【0119】
((3-(メトキシメトキシ)プロポキシ)メチル)ベンゼン(13)の合成
【化65】
0℃に冷却されたCHCl(30mL)中のアルコール12(5g、30mmol)の溶液に、DIPEA(10.5mL、60mmol)を滴下添加し、混合物を10分間撹拌した。次いで、クロロメチルメチルエーテル(4.6mL、60mmol)を添加し、撹拌を2時間続け、混合物を徐々に室温に到達させた。反応をHO(20mL)でクエンチし、CHCl(3×20mL)で抽出した。ひとまとめにした有機層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、溶媒を減圧下蒸発させた。残渣を溶離液としてEtOAc/ヘキサン(10%)を使用するシリカゲル上のクロマトグラフを行って、13(6.04g、96%)を無色油状物、Rf:0.76(20%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):2928,2875,1453,1102,1038,918,735,696。H-NMR(CDCl,δ):7.37(5H,m,Ph),4.64(2H,s,CH-Bn),4.54(2H,s,CH-MOM),3.68(2H,t,J=6.4Hz,CH-1/3),3.62(2H,t,J=6.3Hz,CH-1/3),3.38(3H,s,CH-MOM),1.95(2H,m,CH-2)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):138.6(C-Ph),128.4(CH-Ph),127.6(CH-Ph),96.5(CH-MOM),73.0(CH-Bn),67.3(CH-1/3),64.8(CH-1/3),55.1(CH-MOM),30.2(CH-2)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:179.10(100),211.13([M+1],27),233.11([M+Na],63)。HRMS(ESI):C1219についての計算値211.1329および実測値211.1328。
【0120】
3-(メトキシメトキシ)プロピルメタンスルホネート(14)の合成
【化66】
MeOH(40mL)中の化合物13(6.04g、28.7mmol)の溶液に、触媒量のPd/C(10%)を添加し、懸濁液を、H下、室温で24時間撹拌した。次いで、混合物をセライトを通して濾過し、濾液を回転蒸発させて、残渣を得た。0℃のCHCl(40mL)中の先の残渣の溶液に、EtN(12.0mL、86.1mmol)、触媒量のDMAPおよびMsCl(6.7mL、86.1mmol)を添加した。混合物をこの温度で3時間撹拌した後、HO(20ml)を添加し、生成物をCHCl(3×15mL)で抽出した。ひとまとめにした有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得て、これを溶離液としてEtOAc/ヘキサン(35%)を使用するシリカゲル上のクロマトグラフを行って、メシレート14(5.67g、99%)を無色油状物、Rf:0.52(50%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):3556,2937,2886,1347,1169,1040,942。H-NMR(CDCl,δ):4.50(2H,s,CH-MOM),4.23(2H,t,J=6.3Hz,CH-1),3.52(2H,t,J=6.0Hz,CH-3),3.24(3H,s,CH-MOM),2.92(3H,s,CH-Ms),1.91(2H,m,CH-2)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):96.4(CH-MOM),67.3(CH-1),63.0(CH-3),55.1(CH-MOM),36.9(CH-Ms),29.3(CH-2)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:155.04(100),167.04(60),([M+1],10)。HRMS(ESI):C15Sについての計算値199.0635および実測値199.0638。
【0121】
(5R,6R)-6-((R)-1-(メトキシメトキシ)アリル)-5-(プロパ-2-イン-1-イル)-2,4,7,11,13-ペンタオキサテトラデカン(15)の合成
【化67】
化合物11(0.45g、1.26mmol)を有するフラスコに、THF中のTBAFの1.0Mの溶液(3.76mL、3.76mmol)を添加し、混合物を1時間撹拌した。次いで、混合物に、PhMe(20mL)中のメシレート14(1.25g、6.30mmol)および50%のNaOH水溶液(10mL)を添加し、これを室温で6日間激しく撹拌した。その時間の後、生成物をEtOAc(3×20mL)で抽出した。ひとまとめにした有機相を乾燥し、濾過し、蒸発させて、残渣を得て、これを溶離液としてEtOAc/ヘキサン(20%)を使用するシリカゲル上のクロマトグラフを行って、化合物15(0.44g、90%)を無色液体、Rf:0.50(30%のEtOAc/ヘキサン)として得た。IR(ATR,cm-1):3273,2925,2889,1151,1102,1034,918。H-NMR(CDCl,δ):5.89(1H,m,H-2),5.32(2H,m,H-1),4.74(4H,m,CH-MOM),4.62(2H,s,CH-MOM),4.25(1H,m,H-4),3.88(1H,m),3.82(1H,m),3.75(1H,m),3.62(2H,m),3.52 (1H,m),3.45(3H,s,CH-MOM),3.39(3H,s,CH-MOM),3.36(3H,s,CH-MOM),2.66(2H,m,H-6),2.02(1H,m,H-8),1.90(2H,m,H-10)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):135.7(CH-2),118.7(CH-1),97.0(CH-MOM),96.5(CH-MOM),94.5(CH-MOM),82.7(CH-4),81.6(C-7),77.4(CH),76.2(CH),70.5(CH),70.1(CH-8),64.9(CH),56.0(CH-MOM),55.9(CH-MOM),55.2(CH-MOM),30.5(CH-10),21.2(CH-6)ppm。MS(ESI)[m/z,(%)]:239.12(55),369.18([M+Na],100)。HRMS(ESI):C1730NaOについての計算値369.1883および実測値369.1873。
【0122】
(1R,2R,3R,Z)-5-(2-((1R,3aS,7aR,E)-1-((R)-6-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン-2-イル)-7a-メチルオクタヒドロ-4H-インデン-4-イリデン)エチリデン)-2-(3-ヒドロキシプロポキシ)-4-メチレンシクロヘキサン-1,3-ジオール(エルデカルシトール)の合成
【化68】
エンイン15(55mg、0.11mmol)および臭化ビニル16(69mg、0.17mmol)をEtN/PhMe(1:1、4mL)に溶解し、Pd(PPhを触媒量で添加した。生じた黄色溶液を110℃で2時間撹拌した。反応混合物をEtO(5mL)でクエンチし、溶液を蒸発させて、残渣を得た。MeOH(4mL)中の後の溶液に、CSA(191mg、0.82mmol)を添加し、混合物を室温で3日間撹拌した。残渣を濾過し、生じた固体を、溶離液としてMeOH/CHCl(5%)を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物エルデカルシトール(19mg、36%)を無色油状物、Rf:0.33(EtOAc)として得た。H-NMR(CDCl,δ):6.36(1H,dd,J=11.2/1.7Hz,H-6),6.05(1H,d,J=11.2Hz,H-7),5.51(1H,t,J=2.2Hz,H-19),5.08(1H,t,J=2.2Hz,H-19),4.32(1H,d,J=9.1Hz,H-1),4.27(1H,d,J=3.3Hz,H-3),3.92(2H,m,CH-3’),3.72(2H,m,CH-1’),3.26(1H,dd,J=9.0/2.8Hz,H-2),2.82(1H,dd,J=12.0/4.1Hz),2.54(1H,dd,J=14.5/3.9Hz),2.42(1H,d,J=14.3Hz),1.99(2H,m),1.86(3H,m),1.67(2H,m,CH-2’),1.43(8H,m),1.28(4H,m),1.22(6H,s,CH-26/27),0.94(3H,d,J=6.4Hz,CH-21),0.87(m,1H),0.55(3H,s,CH-18)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):144.3(C-10),142.9(C-8),132.3(C-5),124.8(CH-6),117.2(CH-7),111.8(CH-19),85.4(CH-2),71.4(CH-1),71.2(C-25),68.2(CH-1’),66.5(CH-3),61.9(CH-3’),56.5(CH),56.4(CH),45.9(C-13),44.4(CH),40.5(CH),36.4(CH),36.1(CH-20),34.0(CH),31.8(CH-2’),29.3(CH-26/27),29.2(CH-26/27),29.1(CH),27.7(CH),23.7(CH),22.3(CH),20.8(CH),18.8(CH-21),11.9(CH-18)ppm。
【0123】
(1R,2R,6R,Z)-2,6-ビス(メトキシメトキシ)-4-(2-((1R,3aS,7aR,E)-1-((R)-6-(メトキシメトキシ)-6-メチルヘプタン-2-イル)-7a-メチルオクタヒドロ-4H-インデン-4-イリデン)エチリデン)-3-メチレンシクロヘキサン-1-オール(17)の合成
【化69】
エンイン11(137mg、0.38mmol)および臭化ビニル16(230mg、0.57mmol)をEtN/PhMe(1:1、12mL)に溶解し、Pd(PPhを触媒量で添加した。生じた黄色溶液を110℃で3時間撹拌した。反応混合物をEtO(5mL)でクエンチし、溶液を蒸発させて、残渣を得て、これをTHF(4mL)中に取った。次いで、THF中のTBAFの1.0Mの溶液(1.14mL、1.14mmol)を添加し、混合物を20時間撹拌した。溶媒蒸発の後、残渣を、溶離液としてEtOAc/ヘキサン(37%)でのカラムクロマトグラフィーによって精製して、アルコール17(103mg、32%)を無色油状物、Rf:0.23(30%のEtOAc/ヘキサン)として得た。H-NMR(CDCl,δ):6.36(1H,d,J=11.3Hz,H-6),6.01(1H,d,J=11.3Hz,H-7),5.44(1H,s,H-19),5.20(1H,d,J=2.2Hz,H-19),4.74(6H,m,CH-MOM),4.22(1H,d,J=6.2Hz,H-1),4.06(1H,dt,J=7.7/3.5Hz,H-2),3.90(1H,dd,J=6.3/2.9Hz,H-3),3.42(6H,s,CH-MOM),3.37(3H,s,CH-MOM),2.82(1H,m),2.61(1H,dd,J=13.7/8.2Hz),2.43(1H,dd,J=13.6/4.1Hz),2.00(2H,m),1.88(1H,dt,J=9.9/5.2Hz),1.68(8H,m),1.45(6H,m),1.22(6H,s,CH-26/27),1.05(1H,m),0.93(3H,d,J=6.2Hz,CH-21),0.52(3H,s,CH-18)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):143.1(C-10),141.6(C-8),132.5(C-5),124.3(CH-6),117.1(CH-7),113.0(CH-19),95.9(CH-MOM),94.8(CH-MOM),91.0(CH-MOM),79.6(CH-2),76.4(C-25),75.7(CH-1),73.2(CH-3),56.5(CH),56.3(CH),55.7(CH-MOM),55.7(CH-MOM),55.1(CH-MOM),45.9(C-13),42.2(CH),40.5(CH),38.0(CH),36.4(CH),36.1(CH-20),29.1(CH),27.7(CH),26.5(CH-26/27),26.4(CH-26/27),23.6(CH),22.2(CH),20.5(CH),18.8(CH-21),11.9(CH-18)ppm。
【0124】
3-(((1R,2R,6R,Z)-2,6-ビス(メトキシメトキシ)-4-(2-((1R,3aS,7aR,E)-1-((R)-6-(メトキシメトキシ)-6-メチルヘプタン-2-イル)-7a-メチルオクタヒドロ-4H-インデン-4-イリデン)エチリデン)-3-メチレンシクロヘキシル)オキシ)プロパン-1-オール(18)の合成
【化70】
PhMe(2.5mL)中のアルコール17(97mg、0.17mmol)、アクリル酸エチル(0.37mL、3.43mmol)、MeNOH(HO中25%、20μL)およびNaOH(HO中50%、1mL)の混合物を室温で27時間激しく撹拌した。その時間の後、HO(3mL)を添加し、生成物をCHCl(3×10mL)で抽出した。ひとまとめにした有機相を乾燥し、濾過し、蒸発させて、残渣を得た。-78℃のCHCl(1mL)中の先の残渣の溶液に、ヘキサン中の1.0MのDIBAL-Hの溶液(0.15mL、0.15mmol)を添加し、混合物を6時間撹拌した。その時間の後、CHCl(3mL)およびNHClの飽和溶液(0.3mL)を添加した。次いで、NaSOおよびシリカゲルを添加し、混合物を20分間撹拌した。溶液を濃縮して、残渣を得て、これを溶離液としてEtOAc/ヘキサン(60%)を使用するシリカゲル上のクロマトグラフを行って、アルコール18(25mg、23%)を無色油状物、Rf:0.12(30%のEtOAc/ヘキサン)として得た。H-NMR(CDCl,δ):6.37(1H,d,J=11.3Hz,H-6),6.02(1H,d,J=11.2Hz,H-7),5.37(1H,s,H-19),5.22(1H,s,H-19),4.73(2H,m,CH-MOM),4.71(4H,s,CH-MOM),4.57(1H,d,J=9.2Hz,H-1),4.29(1H,d,J=3.5Hz,H-3),3.95(2H,m,CH-3’),3.80(2H,m,CH-1’),3.45(1H,d,J=9.1Hz,H-2),3.43(3H,s,CH-MOM),3.40(3H,s,CH-MOM),3.39(3H,s,CH-MOM),3.03(1H,d,J=12.0Hz),2.82(1H,dd,J=14.7/4.0Hz),2.63(1H,d,J=14.3Hz),2.00(2H,m),1.85(3H,m),1.70(4H,m),1.41(6H,m),1.27(4H,m),1.24(6H,s,CH-26/27),0.93(3H,d,J=6.3Hz,CH-21),0.87(m,1H),0.54(3H,s,CH-18)ppm。13C-NMR(CDCl,δ):143.1(C-10),141.2(C-8),132.4(C-5),124.5(CH-6),118.9(CH-19),117.0(CH-7),95.5(CH-MOM),93.9(CH-MOM),91.0(CH-MOM),80.5(CH-2),77.2(CH-1),76.4(C-25),74.2(CH-3),70.4(CH-1’),62.1(CH-3’),56.5(CH),56.3(CH),55.7(CH-MOM),55.6(CH-MOM),55.1(CH-MOM),45.9(C-13),42.2(CH),40.5(CH),38.0(CH),36.4(CH),36.1(CH-20),32.0(CH-2’),29.0(CH),27.7(CH),26.5(CH-26/27),26.4(CH-26/27),23.5(CH),22.2(CH),20.5(CH),18.8(CH-21),14.2(CH-18)ppm。
【0125】
(R)-6-((1R,3aS,7aR,E)-4-((Z)-2-((3R,4R,5R)-3,5-ビス(メトキシメトキシ)-4-(3-(メトキシメトキシ)プロポキシ)-2-メチレンシクロヘキシリデン)エチリデン)-7a-メチルオクタヒドロ-1H-インデン-1-イル)-2-メチルヘプタン-2-オール(20)の合成
【化71】
エンイン15(47mg、0.13mmol)および臭化ビニル19(95mg、0.25mmol)をEtN/PhMe(1:1、4mL)に溶解し、Pd(PPhを触媒量で添加した。生じた黄色溶液を110℃で2時間撹拌した。反応混合物をEtO(5mL)でクエンチし、溶液を蒸発させて、残渣を得た。-78℃のTHF(3mL)中の先の残渣の溶液に、EtO中の1.6MのMeLi・LiBrの溶液(0.17mL、0.27mmol)を添加し、混合物を3時間撹拌した。HO(5mL)を添加し、生成物をCHCl(3×10mL)で抽出した。ひとまとめにした有機相を乾燥し、濾過し、蒸発させて、残渣を得て、これを溶離液としてEtOAc/ヘキサン(35%)を使用するシリカゲル上のクロマトグラフを行って、アルコール20(39mg、47%)を無色液体、Rf:0.43(50%のEtOAc/ヘキサン)として得た。