(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】浮揚高さの調節が可能な空中浮揚物
(51)【国際特許分類】
A63H 27/10 20060101AFI20240117BHJP
A63H 33/00 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
A63H27/10 B
A63H33/00 301B
(21)【出願番号】P 2021573315
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(86)【国際出願番号】 KR2020007462
(87)【国際公開番号】W WO2020256330
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2019-0073216
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521538620
【氏名又は名称】ワン,ソン ホ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ソン ホ
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-006361(JP,A)
【文献】特表2008-520478(JP,A)
【文献】特開2001-199397(JP,A)
【文献】特開2000-75826(JP,A)
【文献】特開平11-313988(JP,A)
【文献】特開平8-280523(JP,A)
【文献】特開平6-210986(JP,A)
【文献】実開昭64-12595(JP,U)
【文献】実開昭57-5297(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0130960(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0268742(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
B64B 1/00- 1/70
B64C 1/00-99/00
G09F 19/00,21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖構造の本体部(101)と、
前記本体部(101)の内側面に融着されて本体部内部を上下に区画する隔壁(103)と、
前記隔壁(103)の上部に位置して浮揚気体が充填される気体貯蔵部(110)と、
前記隔壁(103)の下部に位置し、物品を収納する収納部(120)と、を含み、
前記収納部(120)には物品を収納できるように開放口(105)が収納部の周りに1つ以上形成され、
前記気体貯蔵部(110)の上面には滑り防止のための突起(131)が形成されていることを特徴とする空中浮揚物。
【請求項2】
前記収納部(120)には重量物(140)が収納されることを特徴とする、請求項
1に記載の空中浮揚物。
【請求項3】
前記気体貯蔵部(110)には、浮揚気体を注入する気体注入口(111)が形成されたことを特徴とする、請求項
1に記載の空中浮揚物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空中浮揚物に関し、特に、収納部を形成して収納部に収容された重量物の重さと空中浮揚物の浮揚力を調節して、空中浮揚物の浮揚高さを調節できるように構成したものである。
【背景技術】
【0002】
浮揚気体を充填して空中に浮揚させる空中浮揚物としては、熱気球、風船、アドバルーンなどがあり、各空中浮揚物の目的に応じて気体貯蔵部の大きさ及び充填される浮揚気体の種類が異なるように設定される。
【0003】
空中浮揚物のうち風船の場合、風船に浮揚気体を充填して牽引紐を結んで風船が空に飛んで行かないようにする。
【0004】
通常、浮揚気体が充填された風船は、浮揚力の発生によって風船が空に飛んで行かずに、ユーザの周辺に位置するように風船に牽引紐を結んで牽引紐を握っている。
【0005】
このような従来の風船は、単に空中に浮いている機能だけを実現しているため、子どもたちがすぐに飽きてしまい、むしろ、空高く飛んでいく風船を見るために牽引紐を放してしまうこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記で説明したような従来技術の問題を解決するために発明されたもので、愛玩動物、キャラクター、飛行機、空飛ぶ円盤などの形状を有する気体貯蔵部の浮揚力と重量物の重さがバランスを取り、ユーザの目の高さで浮揚する位置に来るように調節することで、興味の誘発を持続することができ、牽引紐を放しても浮揚位置を保持できるように構成した浮揚高さの調節が可能な空中浮揚物を提供することにその目的がある。
【0007】
また、気体貯蔵部の下部にモノを収納できる収納部を形成し、物品を保管できるように構成した浮揚高さの調節が可能な空中浮揚物を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような目的を達成するための本発明に係る空中浮揚物は、浮揚気体が充填されるように密閉された構造の気体貯蔵部と、気体貯蔵部の下方に形成された収納部を含むことを技術的な特徴とする。
【0009】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、気体貯蔵部の上面には突起が形成される。
【0010】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、気体貯蔵部の上面には突起が形成された滑り防止パッドが取り付けられる。
【0011】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、収納部は一方が開放されるように縁部が気体貯蔵部に取り付けられているポケット部と、ポケット部の開放された一方を開放したり閉鎖したりするように、気体貯蔵部に一方が取り付けられる開閉部とを含む。
【0012】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、空中浮揚物は、閉鎖構造の本体部と、本体部の内側面に融着して気体貯蔵部と収納部とを区画する隔壁と、収納部に該当する部位の本体部に形成された開放口を含む。
【0013】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、収納部には重量物が収納される。
【0014】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、重量物は薄い片の構造として、1つ以上の片が収納部に収納される。
【0015】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、気体貯蔵部には浮揚気体を注入する気体注入口が形成される。
【0016】
また、本発明の好ましい実施形態によれば、気体貯蔵部には牽引紐が固定されている。
【発明の効果】
【0017】
上記で説明したように、本発明に係る浮揚高さの調節が可能な空中浮揚物は、子どもの視線の高さに愛玩動物、キャラクター、飛行機、空飛ぶ円盤などの形状の空中浮揚物が浮揚して位置するように、重量物により浮揚高さを調節することができる。したがって、子どもの隣に愛玩動物、キャラクター、飛行機、空飛ぶ円盤などが位置して、子どもについてくる感じを提供することで、子どもたちがすぐに飽きることなく、楽しく空中浮揚物をもって遊ぶことができるという長所がある。
【0018】
一方、本発明に係る浮揚高さの調節が可能な空中浮揚物は、その下部に収納部を形成して収納部に物品を保管できるように構成することで、目の高さに浮いている収納部を容易に確認することができ、必要な物品の保管が容易であるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る空中浮揚物として、気体貯蔵部が愛玩犬の形状を有するように構成した空中浮揚物の使用状態図である。
【
図2】
図1に示された収納部を示した概念図である。
【
図3】
図1に示された収納部に収納された重量物の重量変化による気体貯蔵部の高さ調節関係を示した概念図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る空中浮揚物の斜視図である。
【
図6】
図4に示された空中浮揚物の高さがユーザの視線に合うように位置する状態を示した概念図である。
【
図7】
図4に示された空中浮揚物の変形例を示した斜視図である。
【
図8】
図1に示された空中浮揚物の変形例を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明に係る収納部を備える空中浮揚物の好ましい実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図面において、
図1は、本発明の第1実施形態に係る空中浮揚物として気体貯蔵部が愛玩犬の形状を有するように構成した空中浮揚物の使用状態図である。そして、
図2は、
図1に示された収納部を示した概念図であり、
図3は、
図1に示された収納部に収納された重量物の重量変化による気体貯蔵部の高さ調節関係を示した概念図である。
【0022】
図1に示すように、空中浮揚物100は、大きく浮揚気体が収容される密閉構造の気体貯蔵部110と、気体貯蔵部110の下方に形成された収納部120とに区分される。
【0023】
以下では、空中浮揚物100の気体貯蔵部110及び収納部120の構成について具体的に説明する。
【0024】
気体貯蔵部110は、内部に浮揚気体が充填され得る密閉構造の空間であって、浮揚気体が漏れない合成樹脂材質から構成されることが好ましい。そして、気体貯蔵部110の下部には浮揚気体を注入するための気体注入口111が形成される。
【0025】
より好ましくは、気体貯蔵部110は、子どもの好奇心を誘発できるように愛玩動物、キャラクター、飛行機、空飛ぶ円盤などの形状を有してもよい。
【0026】
図1に示した実施形態において、愛玩犬の形状の気体貯蔵部110を備える場合、気体貯蔵部110の下に収納部120が形成される。
【0027】
収納部120は、一方だけが開放されるように縁部が気体貯蔵部110の下部に取り付けられるポケット部121と、ポケット部121の開放された一方を開放したり閉鎖したりするように、気体貯蔵部110の下部に一方が取り付けられる開閉部123を含む。
【0028】
そして、
図2に示すように、収納部120の内部には重量物140の薄い重量片141がポケット部121の開放された部位を介して収納部120内に収納される。この状態で、開閉部123の他の側に装着されたスナップボタンとポケット部121に装着されたスナップボタンとを互いに締結し、重量片141が収納部120の外側に離脱しないようにポケット部121の開放された部位を閉鎖する。
【0029】
ここで、ユーザは、空中浮揚物100の浮揚高さを調節できるように収納部120に収納する重量片141の個数を調節する。即ち、
図3に示すように、収納部120に収納される重量片141の個数が増えれば、その重さに応じて空中浮揚物100の高さH1、H2は低くなり、浮揚気体によって発生する浮揚力と重量片141の荷重が平衡をなす地点で空中浮揚物100、即ち、愛玩犬の形状の気体貯蔵部110が停止する。
【0030】
したがって、ユーザは、収納部120に収納される重量片141の個数を調節し、愛玩犬の形状の気体貯蔵部110を備えた空中浮揚物100が子どもの目の高さに位置するように調節する。
【0031】
そして、気体貯蔵部110には牽引紐107が延びて子どもの目の高さに位置する空中浮揚物100を子どもが牽引紐107を引っ張って移動できるように構成される。
【0032】
このように構成された空中浮揚物100において、子どもが牽引紐107を把持して歩いて移動する場合、子どもの目の高さで愛玩犬の形状の気体貯蔵部110が移動することにより、子どもが実際の愛玩犬を引っ張って散歩するような興味を与えることができ、周辺の他の子どもたちも気体貯蔵部110を容易に観測することができ、気体貯蔵部110を通した広告効果も期待することができる。
【0033】
図1において、愛玩犬の形状の気体貯蔵部110を備えた空中浮揚物100についてのみ示しているが、前述のように気体貯蔵部の形状は、愛玩犬以外にキャラクター、飛行機、空飛ぶ円盤などであってもよい。
【0034】
また、ポケット構造の収納部120は、気体貯蔵部110の下部に薄く密着する構造を有することで、異質感の感じないように構成することができ、重量物140を薄い片の構造で構成することで、複数の重量片141を収納部120に保管しても外部に露出されないという長所がある。
【0035】
[第2実施形態]
第1実施形態において、収納部がポケット構造であると説明したが、以下では第2実施形態において、重量片の代わりにユーザが使用している物品を収納できるように構成したことに違いがある。したがって、第2実施形態の構成を説明するにおいて、第1実施形態で説明した同じ類似の構成の具体的な説明は省略する。
【0036】
図面において、
図4は、本発明の第2実施形態に係る空中浮揚物の斜視図であり、
図5は、
図4に示された空中浮揚物の断面図であり、
図6は、
図4に示された空中浮揚物の高さがユーザの視線に合うように位置する状態を示した概念図である。そして、
図7は、
図4に示された空中浮揚物の変形例を示した斜視図であり、
図8は、
図1に示された空中浮揚物の変形例を示した斜視図である。
【0037】
図4~
図6に示すように、空中浮揚物100は、円柱の構造であることが好ましく、気体貯蔵部110の上面には突起131が形成された滑り防止パッド130が取り付けられているが、ここで、滑り防止パッド130に代って気体貯蔵部110の上面自体に突起が形成された形態の構造に気体貯蔵部110を構成してもよい。
【0038】
このように構成された気体貯蔵部110には、浮揚気体で不燃性のヘリウム気体が充填される。図面に示していないが、ヘリウムガスが貯蔵された高圧タンクから延びた注入チップを気体注入口111に加圧すれば、高圧タンクのヘリウムガスが気体貯蔵部110に流入して充填される。
【0039】
気体貯蔵部110にヘリウムガスが充填されれば、ヘリウムガスの量に応じて空中浮揚物100が浮揚することになる。
【0040】
一方、気体貯蔵部110の下方には収納部120が形成されている。
【0041】
図4~
図6に示すように、気体貯蔵部110及び収納部120は、閉鎖構造の円柱形態の本体部101を備え、本体部101の高さの中間の下に隔壁103が本体部101の内側面に融着され、隔壁103を中心に上部に気体貯蔵部110が形成され、下部に収納部120が形成されることが好ましい。収納部120には開放口105が収納部120の円周の周りに1つ以上形成され、収納部120の内部に重量物の物品(
図4では、物品としてメガネを示す)を収納できるように構成することができる。
【0042】
気体貯蔵部110に充填されている浮揚気体の量に応じて、収納部120に収納され得る物品の重さが決定されるが、気体貯蔵部110が大きく多量の浮揚気体が充填されるほど、物品の重さも増加することになる。
【0043】
以下では、このように構成された収納部を備える空中浮揚物を用いて物品を収納する関係について説明する。
【0044】
図4~
図6に示すように、気体貯蔵部110に適正量の浮揚気体を充填すれば浮揚力が発生し、空中浮揚物100は浮揚する。室内で浮揚した空中浮揚物100は天井に接するか、又は、室内に配置されている机又はその他のモノの底面に接することになるが、このとき、気体貯蔵部110の上面に取り付けられている滑り止めパッド130の突起131が天井又はモノの底面に接して摩擦力が生じることになる。発生した摩擦力は、室内の空気の流れに応じて空中浮揚物100が移動しないように支持する機能を果たす。すなわち、滑り止めパッド130の突起131、又は図示されていないが、気体貯蔵部の上面に形成された突起がない場合、空中浮揚物100は、室内空気の流れに応じて室内の様々な場所に移動するが、突起131が平らな天井又はテーブルなどのモノの底面に接している場合、摩擦力によって移動するのを防止することができる。
【0045】
このように浮揚した空中浮揚物100の収納部120に収納物を収納すると、収納物の重さによって空中浮揚物100は下向きに下がる。ここで、浮揚気体の量によって発生する浮揚力よりも収納物の重さが大きい場合、空中浮揚物100は底に下がり、浮揚力よりも収納物の重さが小さい場合、空中浮揚物100は天井へ浮揚し、浮揚力と収納物の重さが適正に平衡を取れば、空中浮揚物100は、
図6に示すように室内の適正の高さに浮揚することになる。
【0046】
ユーザの視線の高さに空中浮揚物100が浮揚する場合、収納部120に収納される収納物を容易に把握して探すことができるという長所があり、収納物が収納されていない場合、天井に付いて位置することにより、収納部に収納物がないことを容易に把握することができる。
【0047】
一方、
図7に示すように、滑り防止パッド130の代わりに吸着板135を取り付けてもよい。この場合、吸着板135をモノの底面に吸着して固定することで、空中浮揚物100を物体に固定して収納部120を一般的な収納空間として活用してもよい。
【0048】
一方、本発明に係る収納部を備える空中浮揚物は、気体貯蔵部110を人形の1つの形態として構成して、気体貯蔵部110の下に収納部120を形成するが、収納部120には、空中浮揚物100の浮揚高さを調節する重量物の様々な重り142(例えば、0.1g、1g、10g、100gなど)を収納するように構成することで、空中浮揚物100の浮揚高さを調整するのに便利なように構成することができる。
【0049】
一方、
図8に示すように、重り142を収納できる収納部120を、
図1に示した愛玩犬の形状の気体貯蔵部110に装着してもよい。このように、重り142を収納できる収納部120を設けることにより、
図1に示されたポケット構造の収納部120を代替する。
【0050】
ここで、
図8に示すように、重りを置くことのできる皿状の収納部120は、気体貯蔵部110に一端が固定された複数の紐125に連結して、収納部120に重り142を載せられるように構成できる。