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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】入力装置、及び、入力モジュール
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240117BHJP
   B06B 1/04 20060101ALI20240117BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G06F3/01 560
B06B1/04 S
G06F3/041 480
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021575668
(86)(22)【出願日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 JP2021000315
(87)【国際公開番号】W WO2021157275
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2020017990
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 素
(72)【発明者】
【氏名】涌田 宏
(72)【発明者】
【氏名】大和田 幸
(72)【発明者】
【氏名】沼田 哲
(72)【発明者】
【氏名】太刀岡 俊樹
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09182825(US,B2)
【文献】特開2019-200638(JP,A)
【文献】特開2019-188285(JP,A)
【文献】特開2013-168134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
B06B 1/04
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸を軸支する固定部材と、
前記回動軸に対して軸支された一端を有し、前記固定部材に対して回動自在な操作部と、
前記操作部に行われる回動操作に応じて、前記操作部に前記回動軸の軸方向に沿った振動を発生させる振動素子と
前記操作部の前記一端に固定され、前記回動操作に応じて前記操作部とともに回動自在な可動部材と、
前記固定部材と前記可動部材との間に設けられ、前記操作部への前記回動操作を検出する検出部と
を含
前記回動軸に軸支された一端を有する操作部は、前記回動軸に対して前記一端よりも離れた位置にある自由端を有し、
前記固定部材は、前記回動軸に対して離れた位置にある端部を有し、
前記操作部の自由端から、前記固定部材の端部にかけて、前記操作部、前記回動軸、前記振動素子、前記検出部の順に配置されている、入力装置。
【請求項2】
回動軸を支え前記回動軸に対して回動しない固定部材と、
前記回動軸に対して軸支された一端を有し、前記固定部材に対して回動自在な操作部と、
前記操作部に行われる回動操作に応じて、前記操作部に前記回動軸の軸方向に沿った振動を発生させる振動素子と、
前記操作部の前記一端に固定され、前記回動操作に応じて前記操作部とともに回動自在な可動部材と、
前記固定部材と前記可動部材との間に設けられ、前記操作部への前記回動操作を検出する検出部と
を含み、
前記回動軸に軸支された一端を有する操作部は、前記回動軸に対して前記一端よりも離れた位置にある自由端を有し、
前記固定部材は、前記回動軸に対して離れた位置にある端部を有し、
前記操作部の自由端から、前記固定部材の端部にかけて、前記操作部、前記回動軸、前記振動素子、前記検出部の順に配置されている、入力装置。
【請求項3】
回動軸を軸支する固定部材と、
前記回動軸側に設けられ前記回動軸とともに回動可能な一端を有し、前記固定部材に対して回動自在な操作部と、
前記操作部に行われる回動操作に応じて、前記操作部に前記回動軸の軸方向に沿った振動を発生させる振動素子と、
前記操作部の前記一端に固定され、前記回動操作に応じて前記操作部とともに回動自在な可動部材と、
前記固定部材と前記可動部材との間に設けられ、前記操作部への前記回動操作を検出する検出部と
を含み、
前記回動軸に軸支された一端を有する操作部は、前記回動軸に対して前記一端よりも離れた位置にある自由端を有し、
前記固定部材は、前記回動軸に対して離れた位置にある端部を有し、
前記操作部の自由端から、前記固定部材の端部にかけて、前記操作部、前記回動軸、前記振動素子、前記検出部の順に配置されている、入力装置。
【請求項4】
前記回動軸は、当該回動軸の軸方向に移動可能に前記固定部材に保持されている、請求項2又は3記載の入力装置。
【請求項5】
前記振動素子は、前記固定部材と前記可動部材との間に設けられ、前記可動部材に前記回動軸の軸方向に沿った振動を発生させることによって、前記操作部に前記回動軸の軸方向に沿った振動を発生させる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記固定部材に対する前記可動部材の回動による押圧力を検出する圧力センサである、請求項1乃至5のいずれか1項記載の入力装置。
【請求項7】
前記圧力センサを複数含む、請求項6記載の入力装置。
【請求項8】
前記複数の圧力センサは、前記回動軸から離れる方向に沿って配置される、請求項7記載の入力装置。
【請求項9】
前記複数の圧力センサと前記可動部材との間にそれぞれ設けられる複数のラバー部材をさらに含み、
前記複数のラバー部材のバネ定数は、前記回動操作を検出する際に必要とされる圧力の閾値を等しくする構成を有する、請求項7又は8記載の入力装置。
【請求項10】
前記振動素子は、固定子と可動子とを有し、
前記固定子は、前記固定部材に取り付けられ、
前記可動子は、前記可動部材に取り付けられる、請求項乃至8のいずれか一項記載の入力装置。
【請求項11】
前記固定部材は、
基部と、
前記基部に取り付けられ、前記回動軸を前記回動軸の軸方向に沿って直線運動自在に軸支するリニアブッシュと
を有する、請求項乃至10のいずれか一項記載の入力装置。
【請求項12】
前記操作部に設けられるタッチセンサをさらに含む、請求項乃至11のいずれか一項記載の入力装置。
【請求項13】
請求項乃至12のいずれか一項記載の入力装置と、
前記操作部に設けられるタッチセンサと、
前記入力装置に接続され、前記検出部の出力が閾値以上になると前記回動操作が行われたと判定し、前記タッチセンサの出力に基づいてタッチ位置を検出する制御装置と
を含み、
前記制御装置は、前記タッチ位置が前記回動軸に近いほど前記閾値を小さく設定し、前記タッチ位置が前記回動軸から遠いほど前記閾値を大きく設定する、入力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、及び、入力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一端が固定され、他端が一端を支点として揺動可能な自由端である片持ち部材と、アクチュエータと、前記片持ち部材の前記他方の面側に配置されたタッチパッドと、備え、前記片持ち部材は、前記片持ち部材の延在方向に沿って該片持ち部材の一方の面側に前記アクチュエータを保持する保持部を有し、前記片持ち部材が他方の面側から接触物により押圧されると、該片持ち部材が変位するとともに前記アクチュエータが圧縮され、前記アクチュエータが伸長すると、前記片持ち部材に前記押圧に反する力を発生させて前記接触物に対して触感を呈示し、前記アクチュエータは、前記タッチパッドへの前記接触物の接触位置に応じて伸縮変位される、触感呈示装置がある。アクチュエータが伸縮変位を行うと、片持ち部材は、固定端を支点にして、自由端を上下に揺動変位する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-204299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の触感呈示装置では、片持ち部材は固定端を支点にして自由端を上下に揺動変位するため、片持ち部材に生じる振動は、片持ち部材の表面を貫く方向である。片持ち部材を操作部として使う場合に、操作部の表面を貫く方向に振動すると、使いにくい場合がある。特に、片持ち部材の固定端と自由端のそれぞれに対して発生される操作感触が異なる場合がある。
【0005】
そこで、片持ち式の操作部の表面に沿った方向に振動する入力装置、及び、入力モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態の入力装置は、回動軸を軸支する固定部材と、前記回動軸に対して軸支された一端を有し、前記固定部材に対して回動自在な操作部と、前記操作部に行われる回動操作に応じて、前記操作部に前記回動軸の軸方向に沿った振動を発生させる振動素子とを含む。
【発明の効果】
【0007】
片持ち式の操作部の表面に沿った方向に振動する入力装置、及び、入力モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態の入力モジュールを示す斜視図である。
図2】入力装置を示す斜視図である。
図3】入力装置を示す分解図である。
図4図1におけるA-A矢視断面を示す図である。
図5】入力装置を示す斜視図である。
図6】ホルダ、ベース、及びフレームを示す斜視図である。
図7A】アクチュエータを示す図である。
図7B】アクチュエータの固定部を示す図である。
図8】入力装置の構成を示すブロック図である。
図9】ベースをシャフトに取り付ける取り付け構造を示す断面図である。
図10図1におけるA-A矢視断面において位置(1)、(2)、(3)を示す図である。
図11】実施の形態の第1変形例の入力装置を示す図である。
図12】実施の形態の第1変形例の入力装置を示す図である。
図13】入力装置におけるストロークとモーメントの関係を示す図である。
図14】実施の形態の第2変形例の入力装置を示す図である。
図15】実施の形態の第3変形例の入力装置を示す図である。
図16】実施の形態の第4変形例の入力装置を示す図である。
図17】実施の形態の第5変形例の入力装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の入力装置、及び、入力モジュールを適用した実施の形態について説明する。
【0010】
<実施の形態>
図1は、実施の形態の入力モジュール300を示す斜視図である。入力モジュール300は、入力装置100及び制御装置200を含む。
【0011】
以下では、図1に加えて図2乃至図7Bを用いて説明する。図2は、入力装置100を示す斜視図である。図3は、入力装置100を示す分解図である。図4は、図1におけるA-A矢視断面を示す図である。図5は、入力装置100を示す斜視図である。図6は、ホルダ160、ベース180、及びフレーム190を示す斜視図である。図7Aは、アクチュエータ130を示す図である。図7Bは、アクチュエータの固定部130Aを示す図である。図8は、入力装置100の構成を示すブロック図である。なお、図5では、ノブ195A、静電センサ195B、カバー195Cを省略する。また、図1及び図8以外では、制御装置200を省略する。
【0012】
入力装置100は、ボード110、リニアブッシュ120、シャフト125、アクチュエータ130、台座140、圧力センサ150、ダンパ155、ホルダ160、サポータ170、ベース180、フレーム190、ノブ195A、静電センサ195B、カバー195Cを含む。
【0013】
制御装置200は、例えば、マイクロコンピュータのようなコンピュータシステムであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。
【0014】
以下では、XYZ座標系を定義して説明する。XY平面は、ボード110の表面110Aに平行である。また、以下では、説明の便宜上、平面視とはXY面視をいい、Z軸正方向側を上側、Z軸負方向側を下側とする上下関係を用いて説明するが、普遍的な上下関係を表すものではない。
【0015】
ボード110、リニアブッシュ120、台座140、及びサポータ170は、固定部材の一例である。ボード110は、基部の一例である。アクチュエータ130は、振動素子の一例である。圧力センサ150は、フレーム190、ノブ195A、カバー195Cに対してなされる回動操作を検出する検出部の一例である。ダンパ155は、ラバー部材の一例である。ホルダ160及びベース180は、可動部材の一例である。フレーム190、ノブ195A、カバー195Cは、操作部の一例である。静電センサ195Bは、タッチセンサの一例である。また、カバー195Cの表面195C1は、入力装置100の操作面100Aである。
【0016】
入力装置100は、図4に示す状態において、シャフト125に対してフレーム190を時計回りの方向に押圧する回動操作を行うことができる入力装置である。図4に示すフレーム190の位置は、回動操作が行われていない初期位置である。フレーム190の回動操作のストロークは、フレーム190の端部190Aから最も離れた先端190B側で下方向に、一例として1mm以下である。
【0017】
入力装置100は、ケーブル201(図1参照)を介して制御装置200に接続されている。制御装置200は、アクチュエータ130の駆動制御、圧力センサ150の検出結果の取得、静電センサ195Bの検出結果の取得を行う。
【0018】
ボード110は、一例として樹脂製の板状の部材である。ボード110は、+Z方向側の表面110Aには、リニアブッシュ120、アクチュエータ130の固定部130A、台座140、圧力センサ150、及びサポータ170が固定される。
【0019】
リニアブッシュ120は、挿通孔120Aの内部にベアリングを内蔵しており、ボード110の表面110AのY軸正方向側に固定されている。回動軸であるシャフト125が挿通孔120A内に挿通された状態で、リニアブッシュ120は、シャフト125をシャフト125の軸線方向に沿って移動可能に軸支している。シャフト125は、リニアブッシュ120の挿通孔120Aに対して軸方向に移動可能であるが、挿通孔120Aに対して回動はしない。
【0020】
シャフト125の両端は、ベース180の取り付け部182によって軸支されており、ベース180はシャフト125に対して回動可能となっている。また、リニアブッシュ120はシャフト125を回動自在かつ直線運動自在に軸支する構成としてもよい。その際にはベース180の取り付け部182がシャフト125を軸支する際、シャフト125とベース180とが共に回動可能とするようにしてもよい。
【0021】
アクチュエータ130は、2つの固定部130Aと、2つの固定部130Aと空間を介して対向する2つの可動部130Bを有する。固定部130Aは固定子の一例であり、可動部130Bは可動子の一例である。2つの固定部130Aは、ボード110の表面110Aに固定され、X方向に配列されている。2つの可動部130Bは、ホルダ160のZ軸方向負側であり、ボード110の表面110Aに対向する表面160Aに固定され、X方向に配列されている。
【0022】
固定部130Aは、図7A及び図7Bに示すように、ヨーク131A、ヨーク132A、及びコイル133A、134Aを有する。ヨーク131Aは、板状のヨークであり、図7Bにおける上面から2つのヨーク132Aが突出している。2つのヨーク132Aの周りには、2つのコイル133A、134Aがそれぞれ設けられている。
【0023】
可動部130Bは、ヨーク131Bと磁石132Bとを有する。ヨーク131Bは、板状のヨークであり、図7Aにおける両端がヨーク131Aの方に(図7Aにおける下方に)向けて湾曲している。磁石132Bは、図7Aに示すように、下半分がN極で上半分がS極の永久磁石である。磁石132BのS極は、ヨーク131Bと接しているため、ヨーク131Bの両端は、S極になる。
【0024】
2つのコイル133A、134Aに互いに逆向きの電流を流すと、固定部130Aに対して可動部130BがX軸方向に沿って一方向に移動させられる磁力を受けるため、2つのコイル133A、134Aに流す電流の向きを周期的に反転させることにより、固定部130Aに対して可動部130BをX軸方向に沿って左右方向に振動させることができる。
【0025】
より具体的には、例えば、コイル133Aに平面視で反時計回りの方向の電流を流し、コイル134Aに平面視で時計回りの方向の電流を流すと、左側のヨーク132Aの上がN極になり、右側のヨーク132Aの上側がS極になる。このため、左側のヨーク132Aの上側のN極と、ヨーク131Bの左側のS極とが引き合うとともに、右側のヨーク132Aの上側のS極と、磁石132Bの下側のN極とが引き合うことで、可動部130Bは右方向に移動する。
【0026】
また、コイル133Aに平面視で時計回りの方向の電流を流し、コイル134Aに平面視で反時計回りの方向の電流を流すと、左側のヨーク132Aの上がS極になり、右側のヨーク132Aの上側がN極になる。このため、左側のヨーク132Aの上側のS極と、磁石132Bの下側のN極とが引き合うとともに、右側のヨーク132Aの上側のN極と、ヨーク131Bの右側のS極とが引き合うことで、可動部130Bは左方向に移動する。
【0027】
したがって、2つのコイル133Aに互いに逆方向に流す電流の向きを所定の周波数で反転させれば、固定部130Aに対して可動部130Bを図7A中における左右方向に振動させることができる。
【0028】
台座140は、ボード110の表面110Aでアクチュエータ130よりも-Y方向側に固定されており、一例として樹脂製である。アクチュエータ130よりも-Y方向側であるということは、アクチュエータ130よりもシャフト125から離れた側に配置されていることを意味する。
【0029】
台座140は、板状の部材であり、2つのスプリング145にそれぞれ通された2本のシャフト145Aが固定される。スプリング145は、台座140とホルダ160の押圧部163との間に自然長よりも収縮された状態で設けられており、押圧部163を+Z方向に付勢している。ホルダ160は、ベース180を介してフレーム190に固定されており、スプリング145は、フレーム190を初期位置に付勢するために設けられている。
【0030】
圧力センサ150は、センサ部151と、配線部152とを有する。センサ部151は、Z方向に離間して設けられた2つの電極を有し、ダンパ155の下面と、ホルダ160の表面160Aとの間に挟まれた状態で設けられる。配線部152は、センサ部151に接続される配線部であり、台座140の上面からボード110の下面にわたって延在している。すなわち、圧力センサ150は、アクチュエータ130よりもシャフト125から離れた側に配置されている。
【0031】
入力装置100に接続される制御装置200は、圧力センサ150の出力値が所定の閾値以上になったときに、入力装置100の操作面100Aに対してユーザの押し込みによる回動操作が行われたと判定する。このように圧力センサ150を用いると、入力装置100の操作面100Aに対する回動操作が行われたことを容易かつ正確に検出することができる。制御装置200が回動操作が行われたと判定することは、制御装置200が回動操作を検出することと同義である。制御装置200は、回動操作を検出すると、利用者の操作が確定したことを利用者に触覚でフィードバックするために、アクチュエータ130を駆動し操作面100Aに対して振動を与える。
【0032】
ダンパ155は、ゴムの塊であり、弾性部材の一例である。ダンパ155は、圧力センサ150のセンサ部151と、ホルダ160の押圧部163との間に挟まれた状態で設けられる。
【0033】
ホルダ160は、本体部161、延在部162、及び押圧部163を有し、一例として樹脂製である。本体部161は、平面視でX方向に長手方向を有する矩形状の板状部材であり、-Z方向側に表面160Aを有する。表面160Aには、アクチュエータ130の可動部130Bが固定される。また、ホルダ160のY方向側の位置は表面160Aに固定されたアクチュエータ130の可動部130Bが、アクチュエータ130の固定部130Aと対向する位置となるように配置される。
【0034】
延在部162は、本体部161から+Y方向側に延在する2つの板状部材であり、本体部161に対して+Z方向側にオフセットして段差を形成している。延在部162は、取り付け部162Aとネジ孔162Bとを有する。取り付け部162Aは、延在部162の+Y方向側の端部に位置し、ホルダ160に対するフレーム190の角度に対応してXY平面に対して傾斜して形成されている。取り付け部162Aには、ベース180がネジ164によってネジ留めされる。取り付け部162Aに、ベース180がネジ留めされることにより、ホルダ160とベース180は固定される。
【0035】
押圧部163は、本体部161のX方向の幅の中央から-Y方向に突出する板状の部材である。押圧部163のX方向の幅は、本体部161のX方向の幅よりも狭い。押圧部163は、-Z方向側の面のX方向側の両端に、2つの突出部163Aを有する。押圧部163の-Z方向側の面の中央の破線で示す円163Bには、ダンパ155が当接し、押圧部163のZ軸正方向側の面のY軸負方向側端部のX方向側の両端の2つの円163Cには、スプリング145が当接する。
【0036】
サポータ170は、ボード110の表面110Aに固定されているXZ面視でL字型の2つの部材である。サポータ170は、一例として樹脂製である。2つのサポータ170は、X方向に折り曲げられた先端部170A同士が向かい合うように配置されている。先端部170Aは、ホルダ160の押圧部163と平面視で重なっている。スプリング145によって+Z方向に付勢される押圧部163は、操作面100Aに回動操作が行われていない状態で、サポータ170の先端部170Aに当接する。すなわち、操作面100A、及び操作面100Aを支持するフレーム190が初期位置にあるときには、押圧部163は、先端部170Aに当接している。つまり、サポータ170は、回動操作が行われていない状態でフレーム190を初期位置に位置させるために設けられている。
【0037】
ベース180は、本体部181及び2つの取り付け部182を有し、一例として樹脂製である。本体部181は、X方向に長手方向を有する板状の部材であり、2つの取り付け部182は、本体部181の-Z方向側の表面から-Z方向に突出している。取り付け部182は、X方向に貫通する貫通孔182Aを有し、貫通孔182Aには、シャフト125が挿通される。ここで、ベース180の説明においては、図1乃至図7Bに加えて図9を用いる。図9は、ベース180をシャフト125に取り付ける取り付け構造を示す断面図である。
【0038】
ベース180は、リニアブッシュ120の挿通孔120Aに挿通されたシャフト125を取り付け部182の貫通孔122Aに挿通した状態で、シャフト125の両端のネジ穴125Aにワッシャ125Bを介してネジ125Cを締結することでシャフト125に対して回動自在に取り付けられる。シャフト125は、リニアブッシュ120の挿通孔120Aに対して軸方向に移動可能に取り付けられており、挿通孔120Aに対して回動はしない。
【0039】
ベース180は、2つの取り付け部182(図6参照)の貫通孔182Aにシャフト125を挿通し、ワッシャ125Bを介してネジ125Cをシャフト125に締結することによって、シャフト125に対して回動自在に軸支される。ベース180は、シャフト125に対してX方向(シャフト125の軸方向)には移動せず、シャフト125に対して回動自在である。シャフト125は、リニアブッシュ120に対してX方向(シャフト125の軸方向)に移動可能である。このため、アクチュエータ130を駆動すると、ボード110に対してシャフト125を介して保持されているホルダ160、ベース180、及びフレーム190がX方向に振動する。X方向の振動は、カバー195Cの表面195C1に沿った振動になる。アクチュエータ130の駆動時の動作(振動)をそのままシャフト125に伝えるために、シャフト125の両端部をX方向(シャフト125の軸方向)においてベース180と固定している。
【0040】
また、本体部181のX方向の両端には、-Z方向に開放端を有するコの字状に形成されたフレーム190の-Z方向側の端部におけるX軸方向の両端を固定する固定部181Aが設けられている。固定部181Aは、フレーム190を固定する際にフレーム190の両端をY方向に沿って挟むように、+Z方向に開放端を有するコの字型に形成されている。
【0041】
フレーム190は、-Z方向に開放端を有するコの字型の部材であり、一例として樹脂製である。フレーム190は、+Z方向側に配置された平板上の先端190BのX方向両端部から-Z方向側に突出して形成された平板状の端部190Aを有している。この端部190Aがベース180の固定部181Aにネジ191によってネジ留めされている。このため、端部190Aは、片持ち状の部材であるフレーム190の固定端である。また、先端190Bは、片持ち状の部材であるフレーム190の自由端である。端部190Aは、フレーム190の一端の一例である。なお、フレーム190は、ノブ195Aと一体であってもよいが、ここでは別体の形態について説明する。
【0042】
フレーム190は、ベース180を介してホルダ160に固定されており押圧部163の+Z方向側の表面がサポータ170に当接する位置(初期位置)と、ホルダ160の押圧部163がダンパ155を押し潰した位置(フルストロークの位置)との間で回動自在である。つまり、操作面100Aに対して回動操作がなされた際には、フレーム190、ベース180、ホルダ160は一体に回動動作する。なお、フルストロークの位置において、押圧部163の突出部163Aは、台座140には当接しない。
【0043】
フレーム190は、ベース180を介してシャフト125に対して回動自在に取り付けられている。また、フレーム190のノブ195A、静電センサ195B、カバー195Cが取り付けられる側は、ノブ195A、静電センサ195B、カバー195Cが取り付けられる取り付け部190Cとして機能する。
【0044】
フレーム190とベース180及びホルダ160とは、シャフト125の軸方向(X方向)から見て、互いに角度を有するように固定されている。フレーム190とベース180及びホルダ160とは、図4に示すように、シャフト125を支点、フレーム190に回動操作の荷重が掛かる点を力点、ダンパ155を押圧するホルダ160の押圧部163を作用点とする梃子を構成している。
【0045】
フレーム190には、図4における上側から下側に回動させるように押圧される回動操作が操作面100Aを介して行われる。フレーム190の図4における上側には、ノブ195A、静電センサ195B、カバー195Cがこの順に重ねられた状態で取り付けられる。
【0046】
ノブ195Aは、フレーム190に取り付けられる板状の部材であり、一例として樹脂製である。ノブ195Aには、利用者の手等による回動操作が行われる。フレーム190に取り付けられるノブ195Aにおいてもフレーム190と自由端と固定端の位置関係は同様である。すなわち+Z方向の端部が自由端であり、-Z方向の端部が固定端となる。
【0047】
静電センサ195Bは、ノブ195Aに重ねて設けられ、ノブ195Aとカバー195Cとの間に設けられる。静電センサ195Bは、カバー195Cに利用者の手等が触れる(タッチする)位置(タッチ位置)を検出するために設けられている。カバー195Cに利用者の手等が触れる位置とは、カバー195Cの表面195C1に対して回動操作が行われる位置である。
【0048】
静電センサ195Bは、略矩形状であり、1軸195B1の方向と、2軸195B2の方向とに沿って配列される複数の電極を有する。複数の電極は、静電容量の値によって位置を検出する電極である。1軸195B1の方向に沿って延在する複数の電極と、2軸195B2の方向とに沿って延在する複数の電極とは離間している。静電センサ195Bは、電極同士の交点における静電容量の値を出力する。
【0049】
静電センサ195Bは、一例として、カバー195Cの表面195C1を複数の領域に分けておき、各領域に所定の機能を割り当てた場合に、回動操作が表面195C1のどの領域に対して行われたかを区別することで、利用者に選択された機能を特定するために利用される。
【0050】
カバー195Cは、静電センサ195Bに重ねて固定されており、一例として樹脂製である。カバー195Cの表面195C1は、利用者による回動操作が行われる操作面100Aである。
【0051】
なお、操作部の一例であるフレーム190、ノブ195A、及びカバー195Cは、上述のような構成により、シャフト125に近い一端側を回動中心として回動可能である。
【0052】
制御装置200は、図8に示すように、アクチュエータ130、圧力センサ150、及び静電センサ195Bにバス等を介して接続されている。また、制御装置200は、一例として車両のECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)に接続されている。
【0053】
制御装置200は、静電センサ195Bの出力に基づいて、カバー195Cの表面195C1に対して指先が触れた位置(タッチ位置)を検出し、例えば、検出した位置に応じた機能を特定する。制御装置200は、特定した機能を表す信号を車両のECUに出力する。
【0054】
制御部200は、圧力センサ150の出力に基づいて回動操作を検出すると、制御装置200はアクチュエータ130を駆動するとともに、特定した機能に対する操作が確定したことを表す信号を車両のECUに出力する。これにより、回動操作が受け付けられたことがカバー195Cに接触している利用者に触覚を通じてフィードバックされる。また、車両のECUは、制御装置200から入力される信号に基づいて特定される機能を実行する。
【0055】
以上のような入力装置100において、操作面100Aであるカバー195Cに対して、利用者による回動操作が行われて、制御装置200が圧力センサ150の出力に基づいて回動操作を検出すると、制御装置200はアクチュエータ130を駆動する。アクチュエータ130は、操作面100Aであるカバー195Cに対して振動を付与する。つまり、回動操作が受け付けられたことをカバー195Cに接触している利用者に触覚を通じてフィードバックするために駆動される。そして、タッチ位置によって特定される機能が車両のECUによって実行される。
【0056】
ここで、アクチュエータ130は、ボード110に固定された固定部130Aに対して、ホルダ160に固定された可動部130BがX方向に振動することにより、X方向に振動する。ホルダ160は、ベース180を介してフレーム190に固定されており、フレーム190には、ノブ195A、静電センサ195B、及びカバー195Cが固定されている。また、ベース180はリニアブッシュ120に対して直線運動自在に支持されているシャフト125を軸支していることから、アクチュエータ130駆動時にはベース180はシャフト125の軸線方向(X方向)に沿ってアクチュエータ130の可動部130Bと共に振動する。そのため、アクチュエータ130の可動部130BがX方向に沿って振動する際には、ホルダ160及びベース180、フレーム190他も一体となって振動する。
【0057】
このため、アクチュエータ130は、カバー195Cの表面195C1をX方向に振動させる。カバー195Cの表面C1は、アクチュエータ130の可動部130Bが振動する方向であるX方向に沿って延在しているため、アクチュエータ130を駆動すると、カバー195Cの表面C1には、表面195C1に沿った振動が生じる。
【0058】
したがって、片持ち式のカバー195Cの表面195C1に沿った方向に振動する入力装置100を提供することができる。
【0059】
また、表面195C1に沿った振動の振幅及び強度は、表面195C1の全体において均等である。従来のアクチュエータのように固定端を支点にして、自由端を上下に揺動変位する振動のように、自由端側で振幅が増幅されることがないからである。
【0060】
このため、カバー195Cの表面195C1の全体で均等に振動する入力装置100を提供することができる。カバー195Cの回動軸(シャフト125)に近い側と、先端側とで強度と振幅が均等な振動が得られるからである。このように均等な振動は、人間の手等の感覚器で感知しやすいため、利用者が感知しやすい振動を発生させると共に操作位置によって振動が異なることがないため、操作時に違和感を感じることがない入力装置100を提供することができる。
【0061】
また、車両等の移動体に入力装置100を固定する場合には、入力装置100は、移動体の走行に伴って上下方向の振動を受けることになる。このため、表面195C1が略水平になるように入力装置100を車両等の移動体に固定すれば、走行に伴う上下方向の振動と表面195C1に生じる振動との方向が異なることになり、表面195C1に沿った振動が走行に伴う上下方向の振動の影響を受けにくくなるので、アクチュエータ130の振動によって表面195C1に生じる振動を利用者が感知しやすくなる。
【0062】
また、アクチュエータ130は、ボード110と、ボード110に重ねて設けられるホルダ160との間に設けられており、回動操作が行われるフレーム190側に設けられていない。このため、デザイン性に優れる入力装置100を提供することができる。また更に、フレーム190側にアクチュエータ130を設置しようとする場合には、設置面積に制限があるために振動の強度を上げ難い。しかし、ボード110側にアクチュエータ130を設ける場合においては、フレーム190のサイズに依存することがないことから、大型のアクチュエータ130を設置可能となり、結果として振動の強度を上げやすいものである。
【0063】
また、入力装置100では、フレーム190の先端190B側からボード110の-Y方向側の端部にかけて、操作部(フレーム190、ノブ195A、カバー195C)、回動軸(シャフト125)、振動素子(アクチュエータ130)、検出部(圧力センサ150)の順に配置されている。このため、操作部(フレーム190、ノブ195A、カバー195C)への回動操作を回動軸(シャフト125)を介してホルダ160側に伝達し、梃子の原理を利用して圧力センサ150で検出することができる。検出部(圧力センサ150)を振動素子(アクチュエータ130)よりも回動軸(シャフト125)から離れた側に配置することで、回動操作を容易に検出することができる。なお、回動操作を容易に検出できるのであれば、各部の配置は上述のような配置に限られない。
【0064】
また、入力装置100では、アクチュエータ130の固定部130Aがボード110に固定され、可動部130Bがホルダ160に固定されるため、固定部材(ボード110、リニアブッシュ120、台座140、及びサポータ170)と、可動部材(ホルダ160及びベース180)との間で効率的に振動を発生させることができる。
【0065】
なお、以上では、カバー195Cの表面195C1に回動操作が行われる位置に関係なく、制御装置200が圧力センサ150の出力に基づいて回動操作を検出する閾値が一定値である形態について説明したが、次のようにしてもよい。
【0066】
図10は、図1におけるA-A矢視断面において位置(1)、(2)、(3)を示す図である。図10は、図4と同様であるが、カバー195Cの表面195C1の位置(1)、(2)、(3)を示す。位置(1)、(2)、(3)は、シャフト125からの距離が異なる。
【0067】
例えば、制御装置200が圧力センサ150の出力に基づいて回動操作を検出する閾値が一定値である場合には、図10に示すカバー195Cの表面195C1の位置(1)、(2)、(3)を指先で下方向に押して回動操作を行うときに、梃子の原理によって回動操作に必要な力(操作荷重)の大きさが異なる。シャフト125が支点、位置(1)、(2)、(3)が力点、ホルダ160の押圧部163のダンパ155を押圧する点が作用点になるため、位置(1)を押圧する際には圧力センサ150にかかる圧力の閾値を満たすために必要とされる力が最も小さくなり、位置(3)を押圧する際には圧力センサ150にかかる圧力の閾値を満たすために必要とされる力が最も大きくなる。
【0068】
このような回動操作に必要な力の大きさの違いを均等化するには、例えば、静電センサ195Bで検出される位置のシャフト125からの距離に応じて、制御装置200が圧力センサ150の出力に基づいて回動操作が行われたことを判定する閾値を変更すればよい。例えば、カバー195Cの表面195C1をシャフト125からの距離に応じて3つのエリアに分け、シャフト125に最も近いエリアで回動操作が行われた場合の閾値を最も小さくし、シャフト125から最も遠いエリアで回動操作が行われた場合の閾値を最も大きくすれば、制御装置200によって回動操作が行われたと判定されるのに必要な回動操作の操作荷重をシャフト125からの距離に拘わらずに均等化することができる。
【0069】
また、制御装置200が回動操作を検出する閾値を可変にする代わりに、圧力センサ150及びダンパ155を複数組含む構成にしてもよい。
【0070】
図11及び図12は、実施の形態の第1変形例の入力装置100M1を示す図である。図11は、図4に対応する断面を示す図である。図12は、入力装置100M1を+Z方向側から見た図である。図12には、圧力センサ150が見えるようにするために、ホルダ160を取り外した状態の入力装置100M1を示す。
【0071】
入力装置100M1は、2つの台座140、2つの圧力センサ150A、150B、ダンパ155A、155Bを含む点が図1乃至6に示す入力装置100と異なる。また、これに伴い、ホルダ160の押圧部163が大きい。
【0072】
2つの圧力センサ150A、150Bは、それぞれ、2つのダンパ155A、155Bの上面と、ホルダ160の押圧部163の下面との間に設けられている。2つの圧力センサ150A、150Bと、2つのダンパ155A、155Bとは、図11に示すように、Y方向に配列されてボード110の表面110Aに固定されている。また、入力装置100M1は、静電センサ195Bによる位置検出は行わないものとする。
【0073】
図13は、入力装置100M1におけるストロークとモーメント(圧力センサ150にかかる圧力と同義である)の関係を示す図である。ここでは、図11及び図12に示す入力装置100M1に、図1に示す制御装置200が接続されているものとして説明する。
【0074】
また、ここでは、回動操作が図11に示す位置(1)又は位置(3)において行われることとするが、入力装置100M1は、静電センサ195Bによる位置検出は行わないため、いずれの位置で回動操作が行われたかを静電センサ195Bの出力から検出することはできない。
【0075】
圧力センサ150A及び150Bの構成は同一であり、上述した圧力センサ150と等しい。また、制御装置200が圧力センサ150A及び150Bの出力に基づいて回動操作を検出する際の閾値は、等しい。
【0076】
入力装置100M1では、シャフト125に近い+Y方向側のダンパ155Aのバネ定数と、シャフト125から遠い-Y方向側のダンパ155Bのバネ定数とを調整しており、シャフト125からの位置が異なる2つの圧力センサ150A及び150Bの出力に基づいて制御装置200が回動操作を検出する際のモーメントの閾値が等しい構成になっている。
【0077】
より具体的には、一例として、シャフト125に近い+Y方向側のダンパ155Aのバネ定数を、シャフト125から遠い-Y方向側のダンパ155Bのバネ定数よりも小さくすることで、シャフト125からの位置が異なる2つの圧力センサ150A及び150Bの出力に基づいて制御装置200が回動操作を検出する際のモーメントの閾値が等しくなるようにしている。
【0078】
圧力センサ150A及び150Bには、シャフト125からの距離に応じたモーメントが働くため、それぞれシャフト125からの距離の違いに基づきストロークに対するモーメントの特性が異なる。ただし、ダンパ155Aとダンパ155Bのバネ定数を調整することによって、圧力センサ150A及び150Bが受けるモーメントがM1のときに、圧力センサ150A及び150Bの出力に基づいて制御装置200が回動操作を検出するように設定されている。
【0079】
図13における横軸のストロークは、利用者がカバー195Cの表面195C1のいずれかの位置を押圧して回動操作を行うときのストロークを表す。また、縦軸のモーメントは、圧力センサ150A及び/又は150Bが回動操作によって受けるモーメントである。圧力センサ150A及び150Bが回動操作によって受けるモーメントは、それぞれ、ダンパ155A及び155Bの反力によるモーメントとつり合う。
【0080】
利用者が操作面100Aであるカバー195Cの表面195C1のいずれかの位置を押圧して回動操作を行うとき、カバー195Cの回動動作すると共に、ホルダ160も回動動作が行われる。図13の縦軸のモーメントは、圧力センサ150Aと圧力センサ150Bがカバー195Cへなされる回動操作によってカバー195Cと共に回動動作されるホルダ160によって押圧されることによる圧力センサ150Aと圧力センサ150Bの出力を表す。
【0081】
図13に示す3本の特性は、ストロークに対して圧力センサ150Aが受けるモーメントの特性、ストロークに対して圧力センサ150Bが受けるモーメントの特性、及び、ストロークに対して圧力センサ150Aが受けるモーメントと圧力センサ150Bが受けるモーメントとの合計の特性を表す。圧力センサ150A及び150Bが受けるモーメントの合計は、利用者の回動操作によってカバー195Cの表面195C1に加えられるモーメントである。
【0082】
すなわち、図13に示す3本の特性は、圧力センサ150Aの出力、圧力センサ150Bの出力、及び、圧力センサ150A及び150Bの合計の出力を表す。制御装置200は、圧力センサ150A及び150Bの出力に基づいて、位置(1)又は位置(3)において回動操作が行われたことを検出する。それぞれの圧力センサ150A,Bが受けるモーメントはシャフト125からの距離に応じて異なるが、ダンパ155A,155Bのバネ定数を調整することで制御装置200が回動操作を検出する際のモーメントの閾値は等しくなるように設定されている。
【0083】
制御装置200は、圧力センサ150Bの出力のみによって回動操作を検出した場合には、位置(3)で回動操作が行われたと判定する。また、制御装置200は、圧力センサ150Bの出力によって回動操作を検出してから、さらに圧力センサ150Aの出力によって回動操作を検出した場合には、位置(1)で回動操作が行われたと判定する。なお、圧力センサ150Bの出力のみに基づいて回動操作を検出した場合の回動操作が位置(3)の回動操作を表し、圧力センサ150Bの出力によって回動操作を検出してから、さらに圧力センサ150Aの出力によって回動操作を検出した場合の回動操作が、位置(1)の回動操作を表すことは、制御装置200の内部メモリに格納しておけばよい。
【0084】
カバー195Cの表面195C1が押圧され、ストロークがS1に到達すると、圧力センサ150Bが受けるモーメントがM1に到達する。このときに、圧力センサ150Aが受けるモーメントは、M1の約1/3であるため、制御装置200は、位置(3)で回動操作が行われたことを検出する。
【0085】
また、カバー195Cの表面195C1がさらに押圧され、ストロークがS3に到達すると、圧力センサ150Bが受けるモーメントはM1の約3倍に到達し、圧力センサ150Aが受けるモーメントがM1に到達する。このため、制御装置200は、位置(1)で回動操作が行われたことを検出する。つまり、圧力センサ150A,Bそれぞれの受けるモーメントの状況を複合的に検出することで、回動操作が行われた位置を推定することができるものである。
【0086】
なお、ここでは、シャフト125からの距離が異なる2つの圧力センサ150A及び150Bを用いる形態について説明したが、シャフト125からの距離が異なる3つ以上の圧力センサ150を用いれば、カバー195Cの表面195C1におけるシャフト125からの距離が異なる3つ以上の位置のいずれで回動操作が行われたかを検出できる。
【0087】
以上のように、入力装置100M1は、静電センサ195Bによる位置検出を利用せずに、カバー195Cの表面195C1におけるシャフト125からの距離が異なる複数の位置のいずれで回動操作が行われたかを検出できる。
【0088】
したがって、実施の形態の第1変形例によれば、カバー195Cの表面195C1に沿った方向に振動させることができるとともに、カバー195Cの表面195C1におけるシャフト125からの距離が異なる複数の位置のいずれで回動操作が行われたかを検出できる入力装置100M1を提供することができる。
【0089】
なお、このようなダンパ155A及び155Bのバネ定数の調整は、ダンパ155A及び155Bのゴムの塊の硬度、形状、材質等を変えることによって実現することができる。硬度を高くすると、バネ定数を大きくすることができる。また、形状については、厚くすればバネ定数を大きくすることができる。また、材質は、硬い材質を用いることでバネ定数を高くすることができる。
【0090】
また、図14乃至図17に示す入力装置100M2乃至100M5のような構成にしてもよい。図14乃至図17は、実施の形態の第2変形例乃至第5変形例の入力装置100M2乃至100M5を示す図である。
【0091】
図14に示す入力装置100M2は、圧力センサ150及びダンパ155を6組含み、6組の圧力センサ150及びダンパ155は、マトリクス状に、X方向に3つ、Y方向に2つ配置されている。
【0092】
このように6組の圧力センサ150及びダンパ155を含む入力装置100M2は、シャフト125からの距離が異なるY方向において2つの圧力センサ150が配列されているため、第1変形例の入力装置100M1と同様に、静電センサ195Bによる位置検出を利用せずに、カバー195Cの表面195C1におけるシャフト125からの距離が異なる2つの位置のいずれで回動操作が行われたかを検出できる。
【0093】
また、カバー195Cは、回動操作が行われたときに、X方向において変形する、又は、撓むことが有り得る。このような場合には、Y方向に2つ、X方向に3つ配列された合計6つの圧力センサ150の出力に基づいて、カバー195Cの表面195C1におけるいずれで回動操作が行われたかを検出すればよい。6つの圧力センサ150の出力は、フレーム190、ノブ195A、静電センサ195B、及びカバー195Cの平面的な剛性の分布等と、シャフト125からの距離とに応じて、出力特性が異なるため、第1変形例と同様に、6つの圧力センサ150の出力に基づいて回動操作を検出した数と、回動操作の検出に貢献した圧力センサ150の配置パターンとに基づいて、カバー195Cの表面195C1をX方向に3つ、Y方向に2つに分割した6つの領域のいずれで回動操作が行われたかを検出すればよい。
【0094】
図15に示す第3変形例の入力装置100M3は、圧力センサ150及びダンパ155を4組含み、4組の圧力センサ150及びダンパ155は、十字状に、X方向に2つ、Y方向に2つ配置されている。
【0095】
このように4組の圧力センサ150及びダンパ155を含む入力装置100M3は、シャフト125からの距離が異なるY方向における3箇所に圧力センサ150が配列されているため、第1変形例の入力装置100M1と同様の手法によって、静電センサ195Bによる位置検出を利用せずに、カバー195Cの表面195C1におけるシャフト125からの距離が異なる3つの位置のいずれで回動操作が行われたかを検出できる。
【0096】
また、カバー195Cは、回動操作が行われたときに、X方向において変形する、又は、撓むことが有り得る。このような場合には、Y方向に2つ、X方向に2つ配列された合計4つの圧力センサ150の出力に基づいて、カバー195Cの表面195C1におけるいずれで回動操作が行われたかを検出すればよい。4つの圧力センサ150の出力は、フレーム190、ノブ195A、静電センサ195B、及びカバー195Cの平面的な剛性の分布等と、シャフト125からの距離とに応じて、出力特性が異なるため、第1変形例と同様に、4つの圧力センサ150の出力に基づいて回動操作を検出した数と、回動操作の検出に貢献した圧力センサ150の配置パターンとに基づいて、カバー195Cの表面195C1をX方向に3つ、Y方向に3つに分割した領域のいずれで回動操作が行われたかを検出すればよい。
【0097】
図16及び図17に示す第4及び第5変形例の入力装置100M4及び100M5は、圧力センサ150及びダンパ155を3組含み、3組の圧力センサ150及びダンパ155は、三角形状に配列されている。3組の圧力センサ150及びダンパ155のうちの2組と、残りの1組とは、シャフト125からの距離に相当するY方向の位置が異なる。また、3組の圧力センサ150及びダンパ155のうちの2組と、残りの1組とは、X方向の位置が異なる。
【0098】
このように3組の圧力センサ150及びダンパ155を含む入力装置100M4及び100M5は、シャフト125からの距離が異なるY方向において2つの圧力センサ150が配列されているため、第1変形例の入力装置100M1と同様に、静電センサ195Bによる位置検出を利用せずに、カバー195Cの表面195C1におけるシャフト125からの距離が異なる2つの位置のいずれで回動操作が行われたかを検出できる。
【0099】
また、カバー195Cは、回動操作が行われたときに、X方向において変形する、又は、撓むことが有り得る。このような場合には、三角形状に配列された合計3つの圧力センサ150の出力に基づいて、カバー195Cの表面195C1におけるいずれで回動操作が行われたかを検出すればよい。3つの圧力センサ150の出力は、フレーム190、ノブ195A、静電センサ195B、及びカバー195Cの平面的な剛性の分布等と、シャフト125からの距離とに応じて、出力特性が異なるため、第1変形例と同様に、3つの圧力センサ150の出力に基づいて回動操作を検出した数と、回動操作の検出に貢献した圧力センサ150の配置パターンとに基づいて、回動操作が行われた位置を検出すればよい。
【0100】
以上、本発明の例示的な実施の形態の入力装置、及び、入力モジュールについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0101】
なお、本国際出願は、2020年2月5日に出願した日本国特許出願2020-017990号に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。
【符号の説明】
【0102】
100、100M1~100M5 入力装置
110 ボード
120 リニアブッシュ
125 シャフト
130 アクチュエータ
150、150A、150B 圧力センサ
155、155A、155B ダンパ
160 ホルダ
170 サポータ
180 ベース
190 フレーム
195B 静電センサ
195C カバー
200 制御装置
300 入力モジュール
図1
図2
図3
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図6
図7A
図7B
図8
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図16
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