(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】バイオ再生可能な高性能ポリエステルポリオール
(51)【国際特許分類】
C08G 18/42 20060101AFI20240117BHJP
C08G 63/66 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
C08G18/42 044
C08G63/66
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022125822
(22)【出願日】2022-08-05
(62)【分割の表示】P 2019515910の分割
【原出願日】2017-09-25
【審査請求日】2022-09-02
(32)【優先日】2016-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513160707
【氏名又は名称】ピーティーティー グローバル ケミカル パブリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アーネ・マシュー・ターウィルガー
(72)【発明者】
【氏名】チャーリス・デニストン
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-529657(JP,A)
【文献】特表2013-540184(JP,A)
【文献】特表2010-503736(JP,A)
【文献】特表2013-510917(JP,A)
【文献】特開2016-069600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00 - 18/87
C08G 63/00 - 64/42
C08G 71/00 - 71/04
C08F 283/01
C08F 290/00 - 290/14
C08F 299/00 - 299/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート成分と、少なくとも50%のバイオ再生可能な含有分を含むポリエステルポリオールを含むポリオール成分とを反応させることを含む、二成分ポリウレタン・システムの調製方法であって、
前記ポリエステルポリオールは、バイオ再生可能なコハク酸に由来する繰り返し単位、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールに由来する繰り返し単位、バイオ再生可能なイソソルビドに由来する繰り返し単位およびダイマー酸またはトリマー酸に由来する任意の繰り返し単位を含み、
前記ポリエステルポリオールの調製方法は、
a)バイオ再生可能なコハク酸をバイオ再生可能なイソソルビドと接触させる工程であって、初期反応において前記バイオ再生可能なコハク酸が前記バイオ再生可能なイソソルビドの第2級ヒドロキシル基と反応する工程、及び
b)工程a)の初期反応から得られた混合物に、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールを加える工程
を含み、
前記ポリエステルポリオールは、第2級ヒドロキシル基よりも第1級ヒドロキシル基を多く有する、調製方法。
【請求項2】
前記ポリエステルポリオールは、バイオ再生可能なコハク酸に由来する繰り返し単位、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールに由来する繰り返し単位、バイオ再生可能なイソソルビドに由来する繰り返し単位およびダイマー酸に由来する繰り返し単位を含み、
バイオ再生可能なコハク酸をバイオ再生可能なイソソルビドと接触させる前記工程a)は、ダイマー酸の存在下で行われる、請求項1に記載の二成分ポリウレタン・システムの調製方法。
【請求項3】
前記ポリエステルポリオールは、バイオ再生可能なコハク酸に由来する繰り返し単位、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールに由来する繰り返し単位、バイオ再生可能なイソソルビドに由来する繰り返し単位およびダイマー酸に由来する繰り返し単位を含み、
工程a)の初期反応から得られた混合物に、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールを加える前記工程b)は、工程a)の初期反応から得られた混合物に、ダイマー酸を加える工程をさらに含む、請求項1に記載の二成分ポリウレタン・システムの調製方法。
【請求項4】
前記ダイマー酸は、C
36水素化ダイマー脂肪酸である、請求項2または3に記載の二成分ポリウレタン・システムの調製方法。
【請求項5】
前記ポリエステルポリオールは、バイオ再生可能なコハク酸に由来する繰り返し単位、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールに由来する繰り返し単位、バイオ再生可能なイソソルビドに由来する繰り返し単位およびトリマー酸に由来する繰り返し単位を含み、
工程a)の初期反応から得られた混合物に、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールを加える前記工程b)は、工程a)の初期反応から得られた混合物に、トリマー酸を加える工程をさらに含む、請求項1に記載の二成分ポリウレタン・システムの調製方法。
【請求項6】
前記イソシアネート成分は、脂肪族イソシアネートを含む、請求項1に記載の二成分ポリウレタン・システムの調製方法。
【請求項7】
前記イソシアネート成分は、芳香族イソシアネートを含む、請求項1に記載の二成分ポリウレタン・システムの調製方法。
【請求項8】
バイオ再生可能なコハク酸をバイオ再生可能なイソソルビドと接触させる前記工程a)は、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールの存在下で行われる、請求項1に記載の二成分ポリウレタン・システムの調製方法。
【請求項9】
工程a)の初期反応から得られた混合物に、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールを加える前記工程b)は、工程a)の初期反応から得られた混合物に、バイオ再生可能なコハク酸を加える工程をさらに含む、請求項1に記載の二成分ポリウレタン・システムの調製方法。
【請求項10】
前記ポリエステルポリオールは、
トリメチロールプロパンに由来する繰り返し単位をさらに含み、
バイオ再生可能なコハク酸をバイオ再生可能なイソソルビドと接触させる前記工程a)は、
トリメチロールプロパンの存在下で行われる、請求項1に記載の二成分ポリウレタン・システムの調製方法。
【請求項11】
前記ポリエステルポリオールは、
トリメチロールプロパンに由来する繰り返し単位をさらに含み、
工程a)の初期反応から得られた混合物に、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールを加える前記工程b)は、工程a)の初期反応から得られた混合物に、
トリメチロールプロパンを加える工程をさらに含む、請求項1に記載の二成分ポリウレタン・システムの調製方法。
【請求項12】
前記ポリエステルポリオールは、
トリメチロールプロパンに由来する繰り返し単位をさらに含み、
前記ポリエステルポリオールの調製方法は、前記ポリエステルポリオールの調製方法の最後において
トリメチロールプロパンを後ブレンドする工程をさらに含む、請求項1に記載の二成分ポリウレタン・システムの調製方法。
【請求項13】
測定可能な重量損失なしに少なくとも1000サイクルである摩耗抵抗を有する、請求項2、3、4または
11に記載の調製方法から得られた二成分ポリウレタン・システムから製造されたポリウレタン材料。
【請求項14】
請求項1に記載の調製方法から得られた二成分ポリウレタン・システムから製造された、ポリウレタン分散体。
【請求項15】
少なくとも200秒のペンデュラム硬度を有する、請求項
10に記載の調製方法から得られた二成分ポリウレタン・システムから製造されたポリウレタン分散体。
【請求項16】
請求項1に記載の調製方法から得られた二成分ポリウレタン・システムから製造された、熱可塑性ポリウレタン。
【請求項17】
請求項1に記載の調製方法から得られた二成分ポリウレタン・システムから製造された、UV硬化性ウレタンアクリレート。
【請求項18】
イソシアネート成分と、
少なくとも50%のバイオ再生可能な含有分を含むポリエステルポリオールを含むポリオール成分とを含み、
前記ポリエステルポリオールは、バイオ再生可能なコハク酸に由来する繰り返し単位、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールに由来する繰り返し単位、バイオ再生可能なイソソルビドに由来する繰り返し単位、
トリメチロールプロパンに由来する繰り返し単位およびダイマー酸またはトリマー酸に由来する任意の繰り返し単位を含み、
前記ポリエステルポリオールは、第2級ヒドロキシル基よりも第1級ヒドロキシル基を多く有する、二成分ポリウレタン・システム。
【請求項19】
前記ポリエステルポリオールは、バイオ再生可能なコハク酸に由来する繰り返し単位、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールに由来する繰り返し単位、バイオ再生可能なイソソルビドに由来する繰り返し単位、
トリメチロールプロパンに由来する繰り返し単位およびダイマー酸に由来する繰り返し単位を含む、請求項
18に記載の二成分ポリウレタン・システム。
【請求項20】
前記ダイマー酸は、C
36水素化ダイマー脂肪酸である、請求項
19に記載の二成分ポリウレタン・システム。
【請求項21】
前記ポリエステルポリオールは、バイオ再生可能なコハク酸に由来する繰り返し単位、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールに由来する繰り返し単位、バイオ再生可能なイソソルビドに由来する繰り返し単位、
トリメチロールプロパンに由来する繰り返し単位およびトリマー酸に由来する繰り返し単位を含む、請求項
18に記載の二成分ポリウレタン・システム。
【請求項22】
前記イソシアネート成分は、脂肪族イソシアネートを含む、請求項
18に記載の二成分ポリウレタン・システム。
【請求項23】
前記イソシアネート成分は、芳香族イソシアネートを含む、請求項
18に記載の二成分ポリウレタン・システム。
【請求項24】
測定可能な重量損失なしに少なくとも1000サイクルである摩耗抵抗を有する、請求項
19または
20に記載の二成分ポリウレタン・システムから製造されたポリウレタン材料。
【請求項25】
請求項
18に記載の二成分ポリウレタン・システムを反応させることによって形成されたポリウレタンを含む、ポリウレタン分散体。
【請求項26】
前記ポリエステルポリオールは、バイオ再生可能なコハク酸に由来する繰り返し単位、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールに由来する繰り返し単位、バイオ再生可能なイソソルビドに由来する繰り返し単位、
トリメチロールプロパンに由来する繰り返し単位およびダイマー酸に由来する繰り返し単位を含む、請求項
25に記載のポリウレタン分散体。
【請求項27】
前記ダイマー酸は、C
36水素化ダイマー脂肪酸である、請求項
26に記載のポリウレタン分散体。
【請求項28】
前記ポリエステルポリオールは、バイオ再生可能なコハク酸に由来する繰り返し単位、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールに由来する繰り返し単位、バイオ再生可能なイソソルビドに由来する繰り返し単位、
トリメチロールプロパンに由来する繰り返し単位およびトリマー酸に由来する繰り返し単位を含む、請求項
25に記載のポリウレタン分散体。
【請求項29】
前記イソシアネート成分は、脂肪族イソシアネートを含む、請求項
25に記載のポリウレタン分散体。
【請求項30】
前記イソシアネート成分は、芳香族イソシアネートを含む、請求項
25に記載のポリウレタン分散体。
【請求項31】
少なくとも200秒のペンデュラム硬度を有する、請求項
25に記載のポリウレタン分散体。
【請求項32】
請求項
18に記載の二成分ポリウレタン・システムを反応させることによって形成されたポリウレタンを含む、UV硬化性ウレタンアクリレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月25日に出願された米国仮特許出願第62/399,423号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、優れた物理特性を有する二成分ポリウレタン、熱可塑性ウレタン、ポリウレタン分散体(または分散液または分散系;dispersion)、ポリエステルアクリレートアクリレートおよびポリエステルウレタンアクリレートを製造する分野に関する。より具体的には、本発明は、生物学的ソースに由来するバイオ再生可能な含有物(または内容物または含有量または含量;content)を高い割合で有する高性能ポリエステルポリオールを使用して二成分ポリウレタン、熱可塑性ウレタン、ポリウレタン分散体、ポリエステルアクリレートおよびポリエステルウレタンアクリレートを合成することに関する。
【0003】
ポリエステルポリオールは、二成分ポリウレタン、熱可塑性ウレタン、ポリウレタン分散体、ポリエステルアクリレートおよびポリエステルウレタンアクリレートを含むウレタン・システムに使用するために化石(fossil)炭化水素に由来するモノマーを使用して数十年間製造されてきた。近年、ポリエステルポリオールの合成に使用される石油由来モノマーを生物学的ソースに由来する再生可能なモノマーに置き換えることについてウレタン産業の関心が高まっている。ポリエステルポリオール合成に有用なそのようなバイオ再生可能なモノマーの例は、1,3-プロパンジオール、コハク酸、ダイマー酸、およびイソソルビドを含むが、これらに限定されない。バイオ再生可能なモノマーの組み合わせを使用して、ウレタン・システムに有用な95%以上のバイオ系含有物を有するポリエステルポリオールを製造することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再生可能な生物学的ソースに由来する種々の市販製品および原料(feedstock)は、現在は石油ソースに由来する類似の製品および原料に代わるものを提供する。再生可能な生物学的ソースに由来する市販製品を使用したいという要望はあるが、再生可能な生物学的ソースに由来する製品および原料の物理特性が、石油ソース由来の製品および原料の物理特性を満たすことができないという懸念があった。再生可能な生物学的ソースに由来する製品および原料について一般的に認識されていることには、色の悪さ、臭いの悪さ、および性能の悪さに対するおそれが含まれる。その結果、生物学的ソースに由来する製品および原料の使用には消極的である。せいぜい、生物学的ソース由来の生成物および原料には、引っ張り強度、伸び、接着性および摩耗抵抗(または耐摩耗性;abrasion resistance)のような所望の物理特性を達成するために、石油ソース由来の類似の生成物および原料で希釈するくらいである。本発明の目的は、非常に高い割合でバイオ再生可能な成分を含むだけでなく、優れた機械的性質をも示し、高性能ウレタン・システムでの使用に理想的に適しているポリエステルポリオールをもたらす製造方法を開発することである。
【0005】
本発明は、生物学的ソースに由来する原料を使用して種々のポリエステルポリオールを製造する方法を提供する。本発明に係る生物学的ソースに由来するポリエステルポリオールは、所望の物理特性を有する二成分ポリウレタン、熱可塑性ウレタン、ポリウレタン分散体、ポリエステルアクリレートおよびポリエステルウレタンアクリレートの合成を含む種々の用途に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、二成分ポリウレタン、熱可塑性ウレタン、ポリウレタン分散体、ポリエステルアクリレートおよびポリエステルウレタンアクリレートを含むポリウレタン・システムの製造方法を提供する。本発明のポリウレタン・システムは、バイオ再生可能な含有物を高い割合で有するポリエステルポリオールに由来する。
【0007】
一実施形態では、本発明は、バイオ再生可能な含有分を高い割合で有するポリエステルポリオールの製造方法を提供する。本実施形態の好ましい態様では、本発明に従って製造されたポリエステルポリオールは、少なくとも50%のバイオ再生可能な含有分を含む。一般に、本実施形態によれば、ポリエステルポリオールは、多官能カルボン酸および多価アルコールを使用して製造される。好ましい態様では、多官能カルボン酸はジカルボン酸であり、多価アルコールはジオールである。本実施形態のさらに別の好ましい態様では、ポリエステルポリオールの製造に使用されるジカルボン酸およびジオールの両方は、再生可能な生物学的ソース由来である。本実施形態の一態様では、生物学的ソースに由来するコハク酸は、ジカルボン酸のソースとして使用される。本実施形態の別の態様では、生物学的ソースまたは石油ソースのいずれかに由来するアジピン酸を、ジカルボン酸のソースとして使用する。本実施形態の一態様では、生物学的ソースに由来する1,3-プロパンジオールを、ポリエステルポリオールの製造においてジオールのソースとして使用する。本実施形態のさらに別の態様では、生物学的ソースに由来するイソソルビドを、ジオールのソースとして使用する。本実施形態の別の態様では、可撓性ポリエステルポリオールの製造において使用されるダイマー酸は、生物学的ソースから誘導される。
【0008】
本発明の別の実施形態では、200~220のヒドロキシル価および~2.1の官能基価(または官能価;functionality)を有するHP210(High Performance 210)と呼ばれる汎用ポリエステルポリオールが提供される。本実施形態の一態様では、汎用ポリエステルHP210は、再生可能なコハク酸、1,3-プロパンジオールおよびイソソルビドを使用して製造される。HP210は、本発明の様々なポリウレタンの製造に必要な可撓性および硬度のバランスとともに良好な出発点を提供する。本実施形態の一態様では、310~340のヒドロキシル価および2.5の官能基価を有するHP310(High Performance 310)と呼ばれる硬質で高度に架橋されたポリエステルポリオールが提供される。本実施形態のさらに別の態様では、HP210Flex(High Performance 210Flex)と呼ばれる可撓性タイプのポリエステルポリオールが提供される。HP210Flexポリエステルポリオールは、200~220のヒドロキシル価および~2.1の官能基価を有するHP210ポリエステルポリオールに類似するが、ポリマー骨格(polymeric backbone)に組み込まれた追加的な可撓性を有する。
【0009】
本発明の別の実施形態では、二成分ウレタンの製造方法が提供される。本実施形態の一態様では、コハク酸、イソフタル酸および1,6-ヘキサンジオールを使用して製造されるポリエステルポリオールを、イソシアネートと反応させ、二成分ウレタンを生成する。本実施形態の別の態様では、アジピン酸、イソフタル酸および1,6-ヘキサンジオールを使用して製造されるポリエステルポリオールを、イソシアネートと反応させ、二成分ウレタンを生成する。本実施形態のさらに別の態様では、再生可能なコハク酸、再生可能な1,3-プロパンジオール、および再生可能なイソソルビドを使用して製造されるHP210ポリエステルポリオールを、イソシアネートと反応させ、汎用ウレタンを生成する。本実施形態のさらに別の態様では、硬質で高度に架橋されたポリエステルポリオールHP310を、イソシアネートと反応させ、その物理構造において硬いポリウレタンを生成する。本実施形態のさらに別の態様では、可撓性ポリエステルポリオールHP210Flexは、イソシアネートと反応し、可撓性ポリウレタンを生成する。本明細書で使用する用語二成分ウレタン、汎用ウレタンおよび可撓性ポリウレタンは、当業者によく知られている。
【0010】
本発明の別の実施形態では、1または他の種類のポリエステルポリオールを使用するポリウレタン分散体の製造方法が提供される。本実施形態の一態様では、汎用ポリエステルポリオールを使用して、ポリウレタン分散体を製造する。本発明の別の態様では、硬質で高度に架橋されたポリエステルポリオールを使用して、ポリウレタン分散体を製造する。本実施形態の別の態様では、可撓性ポリエステルポリオールを使用して、ポリウレタン分散体を製造する。
【0011】
本発明の別の実施形態では、1または他の種類のポリエステルポリオールを使用する熱可塑性ウレタンの製造方法が提供される。本実施形態の一態様では、汎用ポリエステルポリオールHP56を使用して、熱可塑性ウレタンを製造する。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態では、生物学的ソース由来のポリエステルポリオールを使用するポリエステルアクリレートおよびポリエステルウレタンアクリレートの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の図および表は、本発明の特定の態様を例示するために含まれており、限定的な実施形態として考えるべきではない。開示する対象は、当業者が想起するように、そして、本開示の恩恵を受け得るように、形態および機能において相当な修正、変更、組み合わせおよび均等化が可能である。
【0014】
【
図1】
図1は、バイオ再生可能なコハク酸、イソソルビドおよび1,3-プロパンジオールを使用して製造される高性能ポリエステルポリオール(HP56、およびHP210)の一般的化学構造を示す。この図には、イソソルビドおよびコハク酸からなるプレポリマーの構造ならびに代表的なポリエステルポリオール生成物の構造が示されている。
【0015】
【
図2】
図2は、バイオ再生可能なコハク酸、バイオ再生可能なイソソルビド、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールおよびダイマー酸Radiacid0976を使用して製造される可撓性高性能ポリエステルポリオールHP210Flexの化学構造を示す。
【0016】
【
図3】
図3は、汎用高性能ポリエステルポリオールHP56、イソシアネートMDIおよび1,4-ブタンジオールを使用して製造される熱可塑性ウレタン化学構造を示す。
【0017】
【
図4】
図4は、汎用High PerformanceポリエステルポリオールHP210、高性能可撓性ポリエステルポリオールHP210Flex、イソフタル酸(IPA)、アジピン酸(AA)および1,6-ヘキサンジオール(HDO)を含んで成るポリエステルポリオールならびにイソフタル酸(IPA)、コハク酸(SAC)および1,6-ヘキサンジオール(HDO)を含んで成るポリエステルポリオールを使用して製造されるポリウレタン分散体の化学構造を示す。
【0018】
【
図5】
図5は、汎用高性能ポリエステルポリオールHP210を使用して製造されるウレタンアクリレートの化学構造を示す。
【0019】
【
図6】
図6は、本発明に従って製造された様々なポリウレタンの引っ張り強度の比較を示す。初めに様々なポリエステルポリオールを製造し、実施例16に記載されているように、イソシアネートと反応させ対応するポリウレタンを製造した。HP210ポリウレタンは、実施例3に記載のHP210ポリオールから得た。HP310ポリウレタンは、実施例4に記載のHP310ポリオールから得た。HP210Flexポリウレタンは、実施例5に記載のHP210Flexポリオールから得た。HDO AAポリウレタンは、実施例9のように1,6-ヘキサンジオールをアジピン酸と反応させることにより得たポリエステルポリオールから得た。HDO SACポリウレタンは、実施例8のように1,6-ヘキサンジオールをコハク酸と反応させることにより得たポリエステルポリオールから得た。様々なポリウレタン生成物の引っ張り強度は、ASTM D638に記載の手順で測定した。
【0020】
【
図7】
図7は、本発明に従って製造された様々なポリウレタンの降伏点での伸びの比較を示す。初めに様々なポリエステルポリオールを製造し、その後、実施例16に記載されているようにイソシアネートと反応させて対応するポリウレタンを製造した。HP210ポリウレタンは、実施例3に記載されたHP210ポリオールから得た。HP310ポリウレタンは、実施例4に記載されたHP310ポリエステルポリオールから得た。HP210Flexポリウレタンは、実施例5に記載されたHP210Flexポリオールから得た。HDO AAポリウレタンは、実施例9のように1,6-ヘキサンジオールをアジピン酸と反応させることにより得たポリエステルポリオールから得た。HDO SACポリウレタンは、実施例8のように1,6-ヘキサンジオールをコハク酸と反応させることにより得たポリエステルポリオールから得た。様々なポリウレタン生成物の引っ張り強度がASTM D638に記載された手順により測定した。
【0021】
【
図8】
図8は、本発明に従って製造されるバイオ由来材料を含むウレタンアクリレート(左に表示)および市販の石油由来のウレタンアクリレート(右に表示)の色の比較を示す。実施例3に記載の手順で製造されたHP210ポリエステルポリオールを実施例20に記載の手順に従ってイソホロンジイソシアネートおよび他の試薬で処理して、バイオ由来材料を含むウレタンアクリレートを生成した。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書で使用される用語「バイオ系(biobased)」は、再生可能な原料に由来するモノマーから直的的にまたは間接的に得られる少なくとも約50重量%の含量で有するポリエステルポリオールをいう。用語「バイオ再生可能な(biorenewable)」はまた、用語「バイオ系(biobased)」および「再生可能な(renewable)」と互換的に使用する。
【0023】
本発明で定義されるように、再生可能な生物学的材料(biological material)には、石油化学原料に由来する材料とは対照的に、植物または動物材料に由来するいずれの原料も含まれる。用語「再生可能な生物学的材料」はまた、用語「バイオマス」と互換的に使用される。本発明で使用される用語「バイオマス」は、本発明において有用なモノマーの発酵生産(fermentative production)に使用することができる再生可能な植物資源に由来する炭化水素、糖、グリセロールおよびリグノセルロース系物質(lignocellulosic material)をいう。再生可能な生物学的材料から得られるコハク酸、1,3-プロパンジオールおよびその誘導体のようなモノマーは、「バイオマス-由来(biomass-derived)」または「バイオ系」または「バイオ再生可能な」または「再生可能な」とよぶ。一方、石油化学原料から得られるコハク酸、1,3-プロパンジオールおよびその誘導体は、「石油化学-由来(petrochemical-derived)」または「石油化学-系(petrochemical-based)」とよぶ。
【0024】
本発明に有用なバイオ系モノマーは、米国材料試験協会(American Society of Testing and Materials)により提供される方法ASTM-D6866に従う炭素-14含量に基づいて石油原料含む伝統的な方法に従って製造されるモノマーと区別することができる。宇宙線は、窒素の中性子衝撃により成層圏に14C(「放射性炭素」)を生成する。14C原子は、大気中の酸素原子と結合して重い14CO2を形成するが、これは放射性崩壊(radioactive decay)の場合を除き通常の二酸化炭素と区別がつかない。CO2濃度および14C/12C比は、地球上で均一であり、植物により使用されるため、比14C/12Cは、バイオマスにより保持され、元々光合成エネルギー変換に由来する化石原料中の14C含量は、5730年という短い半減期のために崩壊している。14C対12Cの比を分析することによって、バイオマス-由来炭素に対する化石燃料由来炭素の比を決定することが可能である。国際特許出願公開第WO2009/155085 A2号および米国特許第6,428,767号は、化学組成物中のバイオマス-由来の炭素含量の割合を決定するためのASTM-D6866方法の使用についての詳細を提供する。米国特許第6,428,767号に開示されている炭素年代測定(carbon dating)に関する詳細は、参照により本明細書に組み込まれる。「液体シンチレーションβ分光法による化石燃料とバイオ燃料との区別-直接法(Differentiation between Fossil and Biofuels by Liquid Scintillation Beta Spectrometry - Direct Method)」と題するPerkin Elmerからのアプリケーション・ノート(application note)は、ASTM規格D6866を含む方法についての詳細を提供する。
【0025】
第1の工程では、本発明は、1または複数のモノマーのジカルボン酸および1または複数のジオールを使用するポリエステルポリオールの製造方法を提供する。好ましい実施形態では、モノマーのジカルボン酸およびジオールは、再生可能な生物学的ソースから誘導される。本発明の第2の工程では、本発明の第1の工程で製造されるポリエステルポリオールを使用する1つまたは他のポリウレタン・システムの製造方法を提供する。本発明の一実施形態では、少なくとも50%バイオ系成分を有する1または他のポリエステルポリオールを使用する二成分ポリウレタン・システムの製造方法を提供する。本発明の別の実施形態では、少なくとも50%のバイオ系成分を有するポリエステルポリオールを使用する1または他の種類のポリウレタン分散体の製造方法を提供する。本発明の別の実施形態では、少なくとも50%のバイオ系成分を有するポリエステルポリオールを使用するポリエステルウレタンアクリレートの製造方法を提供する。
【0026】
バイオ系ポリエステルポリオールは、エステル化反応において生物学的ソース由来のモノマーの多官能カルボン酸および多価アルコールを反応させることにより製造される。本発明の好ましい実施形態では、多官能カルボン酸はジカルボン酸であり、多価アルコールはジオールである。エステル化反応は、ポリエステル合成用の種々のモノマーで実施することができる。種々の多官能カルボン酸および多価アルコールを使用することができる。本発明に適した多官能カルボン酸(またはそれらのアルキルエステル)のリストは、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、スバリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸無水物;ジメチルテレフタレート、テレフタル酸、イソフタル酸、1,8-ナフタル酸無水物、1,8-ナフタレンジカルボン酸(1,8-naphthalic dicarboxylic acid)、1,8-ジメチルナフタレート、ジメチルイソフタレート、フタル酸、ジメチルテレフタレートボトム(bottom)、フタル酸無水物ボトム、ピロメリット酸無水物、メリット酸無水物、メリット酸、トリメリット酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3'4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ポリエチレンテレフタレートリサイクル(recycled)ポリマー、ポリブチレンテレフタレートリサイクルポリマー、ポリエチレンテレフタレートバージン(virgin)ポリマー、ポリブチレンテレフタレートバージンポリマー、およびそれらの混合物等を含むが、これらに限定されない。
【0027】
ポリエステルポリオールの製造における使用に適した多価アルコールの好ましい例は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,3-トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、および各繰り返し単位がエチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはブチレンオキシドの重付加に由来する2つまたは4つの炭素原子を含むポリ(オキシアルキレン)ポリオールならびにそれらの混合物を含む。
【0028】
バイオ系ポリエステルポリオールは、約25~約330、特に約40~約130、より具体的には 約50~約100の範囲の水酸基価(OH)を有する。
【0029】
イソソルビド30.8%、コハク酸49.8%および1,3-プロパンジオール19.3%を含んで成るポリエステルポリオールは、理論的にはヒドロキシル価56.1およびOH官能基価2.0を有するであろう。このポリエステルポリオールは、任意の数またはポリウレタン生成物(または製造物または製品;product)を合成するために使用され得る。しかしながら、全ての反応物が一段階プロセス(one-stage process)で初期に反応すると、1,3-プロパンジオールの第1級ヒドロキシル基が優先的に初期に反応するであろうから、ペンダント・ヒドロキシル基は全て第2級であろう。得られたポリエステルポリオールは十分であるが、これはポリウレタン・システムの合成のための理想的な出発物質ではない。本発明は、所望の特性を有するポリエステルポリオールを製造するための変更された二段階プロセス(two stage process)を提供する。
【0030】
本発明によれば、コハク酸、1,3-プロパンジオールおよびイソソルビドを含む反応において単一工程において3つの成分全てを反応させて所望の酸価を達成する代わりに、1,3-プロパンジオールが二段階で添加するか、または本実施形態の好ましい態様では、1,3-プロパンジオールを第2段階でのみ添加する。第1段階では、全てのイソソルビドがコハク酸と反応しているであろうし、1,3-プロパンジオールを第2段階で添加する場合、残りのヒドロキシル基が主に第1級ヒドロキシル基である最終ポリエステルポリオールを生成するであろう。第2段階における1,3-プロパンジオールの添加がイソソルビドサクシネートポリエステルの酸官能基を事実上エステル交換(trans-esterify)することが一般に予想され、それにより第2級ヒドロキシルを再生するであろう。しかしながら、イソソルビド結合(linkage)の妨げとなる性質(hindered nature)は、エステル交換速度を事実上低下させ、その結果として得られるポリエステルポリオールは、一段階プロセスに対して以下の利点を有するであろう:(1)大部分のヒドロキシル基は第1級ヒドロキシル基である;(2)得られるポリエステルポリオールは、加水分解安定性が増加する;(3)反応プロセスはサイクル時間(ポリエステルを反応させるのに必要な加熱時間)が短い;および(4)驚くべきことに、本発明に従って製造されたポリエステルポリオールの使用から得られたウレタン生成物は、優れた機械的性質を有する。
【0031】
上記のように製造されるポリエステルポリオールの機械的性能のさらなる改善は、少量の三官能材料を添加することによって達成することができる。得られるポリエステルポリオールの分子量が高すぎると、合成の完了時に液体または非晶質固体のままではないであろう。むしろ、それは、反応器中で、重合ゲル(polymerized gel)を形成し、ウレタン合成のための原料として使用できないであろう。しかしながら、三官能性材料の一部を最後まで留保し、後混合すると、ポリエステルポリオール生成物は、液体のままであり続け、驚くべきことに高度に架橋された材料の性能を示す。さらに、たとえ、全ての架橋性モノマーを添加することにより、加工可能な(または実用的な;workable)液体特性を有するポリエステルポリオールを前もって生成するとしても、ウレタン粘度および結果として得られる物理特性は、ポリエステルポリオールの製造において三官能性モノマーの一部を最後にブレンドするポリエステルを留保するプロセス(polyester undergoing process)よりも劣るであろう。
【0032】
本発明はまた、ポリイソシアネート、触媒、および1または複数の任意の添加剤、または架橋剤およびエクステンダー(または延長剤)のような補助化合物と組み合わせて、本明細書に記載の本発明のポリエステルポリオールからポリウレタン・システムを合成することに関する。
【0033】
本発明で使用され得るポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式、アリール脂肪族および芳香族ポリイソシアネートを含む。可撓性スラブストック・フォーム(slabstock foam)の製造には、芳香族ポリイソシアネートが好ましい。適切な芳香族ポリイソシアネートの例は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’-、2,4’および2,2’-異性体、それらのブレンド、ならびにポリマーおよびモノマーのMDIブレンド、トルエン-2,4-および2,6-ジイソシアネート(TDI)、m-およびp-フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート、ジフェニレン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネート-3,3’-ジメチルジフェニル、3-メチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートおよびジフェニルエーテルジイソシアネートおよび2,4,6-トリイソシアナートトルエンおよび2,4,4’-トリイソシアナートジフェニルエーテルを含む。
【0034】
トルエンジイソシアネートの2,4-および2,6-異性体の市販の混合物のようなイソシアネートの混合物が使用され得る。TDI/MDIブレンドもまた使用され得る。ポリオールで作製されたMDIまたはTDI系プレポリマーも使用され得る。イソシアネート-末端プレポリマーは、アミン化(aminated)ポリオールもしくはそれらのイミン/エナミンまたはポリアミンを含むポリオールと過剰のポリイソシアネートを反応させることにより製造される。
【0035】
脂肪族ポリイソシアネートの例は、エチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、4,4’-ジクロロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、上述の芳香族イソシアネートの飽和類似体(saturated analogue)ならびにそれらの混合物を含む。
【0036】
好ましいポリイソシアネートは、トルエン-2,4-および2,6-ジイソシアネートまたはMDIまたはTDI/MDIの組み合わせまたはそれらから作製されたプレポリマーである.
【0037】
1または複数の触媒が、ポリイソシアネートとのポリエステルポリオールの反応について使用され得る。第3級アミン化合物、イソシアネート反応性基を有するアミンおよび有機金属化合物を含む、任意の適切なウレタン触媒が使用され得る。典型的な第3級アミン触媒は、トリエチレンジアミン、N-メチルモルフォリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、1-メチル-4-ジメチルアミノエチル-ピペラジン、3-メトキシ-N-ジメチルプロピルアミン、N-エチルモルフォリン;ジメチルエタノールアミン、N-ココモルフォリン、N,N-ジメチル-N’,N’-ジメチルイソプロピルプロピレンジアミン、N,N-ジエチル-3-ジエチルアミノ-プロピルアミンおよびジメチルベンジルアミンを含む。典型的な有機金属触媒は、有機ビスマス、有機水銀、有機鉛、有機鉄および有機スズ触媒を含み、これらの中で有機スズ触媒が好ましい。適切なスズ触媒は、塩化第1スズ、ジブチルスズジラウレートのようなカルボン酸のスズ塩、およびオクタン酸第1スズ、ならびに他の有機金属化合物を含む。アルカリ金属アルコキシドのようなポリイソシアヌレートをもたらすポリイソシアネートの三量体化のための触媒も、本明細書において任意に採用され得る。アミン触媒の量は、一般に配合物中0.02~5パーセントの範囲で変えることができる。有機金属触媒の量は、一般に配合物中0.001~1パーセントの範囲で変えることができる。
【0038】
架橋剤または鎖延長剤は、必要に応じて添加剤としてまたは補助化合物として添加してもよい。架橋剤または鎖延長剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、およびグリセリンのような低分子量多価アルコール;ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンのような低分子量アミンポリオール;エチレンジアミン、キシリレンジアミン、およびメチレン-ビス(o-クロロアニリン)のようなポリアミンを含む。
【0039】
ポリウレタン製品は、射出、流し込み、噴霧(spraying)、キャスティングおよびカレンダリング(またはカレンダー掛け;calendering)によって連続的にまたは不連続的に製造される。これらのポリウレタン製品は、離型剤、金型コーティング、または型に入れたインサートもしくはスキンを用いてまたは用いないで、フリーライズ(free rise)または成形条件下で製造される。可撓性スラブストック・フォームは、フォーム成分を混合して、それらを反応混合物が反応し、大気に対して自由に上昇し(時にはフィルムまたは他の可撓性カバーの下で)、硬化するトラフ(trough)または他の領域に分配することによって製造される。一般的商業規模の可撓性スラブストック・フォームの製造では、フォーム成分またはそれらの様々な混合物を混合ヘッドに独立して送り込み、そこでそれらを混合して紙またはプラスチックで裏打ちされたコンベヤー上に分配する。発泡および硬化がコンベヤー上で起こり、フォーム・バンを形成する。得られたフォームは、典型的には、密度が約10kg/m3から最大80kg/m3である。好ましい範囲は、密度が約10kg/m3~60kg/m3、より好ましい範囲は約10kg/m3~50kg/m3である。さらに好ましい態様では、可撓性スラブストック・フォームは、40kg/m3以下の密度を有する。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、ポリウレタン分散体の製造方法を提供する。ポリウレタン分散体の製造では、所望のバイオ再生可能な含量を有する任意の数のポリエステルポリオールが使用され得る。本実施形態の特定の好ましい態様では、以下の5つの種類のポリエステルポリオールが本発明で使用される:(1)イソフタル酸、アジピン酸および1,6-ヘキサンジオールから合成され、200~220の範囲のヒドロキシル価および2.0の理論官能基価を有するコントロール・ポリエステル;(2)イソフタル酸、コハク酸および1,6-ヘキサンジオールを含んで成り、200~220の範囲のヒドロキシル価および2.0の理論官能基価を有する標準バイオ系ポリエステルポリオール;(3)上記HP210を含み、200~220の範囲のヒドロキシル価および2.1の理論官能基価を有する汎用高性能ポリエステルポリオール材料;(4)約78のヒドロキシル価および2.1理論官能基価を有する上記可撓性高性能ポリエステルポリオール材料HP110Flex;(5)約728のヒドロキシル価および2.1理論官能基価を有する上記高性能ポリエステルポリオール材料HP56。
【0041】
上記段落に記載のポリエステルポリオールを使用して、ポリウレタン分散体は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のようなイソシアネート、中和アミントリエチルアミン(TEA)および鎖延長エチレンジアミンを使用して、以下のアセトン・プロセスまたはNMPプロセスのいずれかに従って合成することができる。一般に、アセトン・プロセスでは、ポリエステルポリオールおよびアセトンをガラス容器に投入し、ガラス容器を窒素雰囲気下で温めて還流する。次の工程で、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA)およびTEAを添加し、続いてIPDIおよび触媒をゆっくりと添加することで反応を開始する。反応の過程で、最終生成物の適切なスペックの達成を確保するために、イソシアネート定量滴定を行う。所望のスペックに達成すると、水を添加して、続いてエチレンジアミンを添加する。反応終了時にアセトンを留去してポリウレタン分散体を得る。しかしながら、本実施形態に係るポリウレタン分散体は、再生可能な生物学的ソースに由来する他の種類のポリエステルポリオールを使用して別のイソシアネートを使用して製造できることを理解すべきである。
【0042】
別の実施形態では、本発明は、上記再生可能な生物学的ソースに由来する汎用ポリエステルポリオール、イソホロンジイソシアネート(IPDI)および2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)を使用してウレタンアクリレートを製造する方法を提供する。しかしながら、本実施形態に係るウレタンアクリレートは、再生可能な生物学的ソースに由来する他の種類のポリエステルポリオールを使用し、別のイソシアネートおよび別のヒドロキシル官能性アクリレートモノマーを使用して製造できることを理解すべきである。
【実施例】
【0043】
一般的留意事項
酸価の測定:サンプル約1.00~2.00グラムをエルレンマイヤー・フラスコに入れ、続いてトルエン約75mlを加える。サンプルは攪拌棒を使用して溶解する。フラスコを加熱して、サンプルを溶解してもよい。一旦、サンプルが溶解すると、トルエン2/3(v/v)およびメタノール1/3(v/v)ならびに2%フェノールフタレインのエタノール溶液3~5mlを含んで成る総容量1,000mlの酸価溶液(Acid Value Solution)75mlが添加される。酸価溶液の添加後、溶液を0.1N水酸化カリウム(KOH)のメタノール溶液でピンク色の終点まで滴定する。酸価は以下の式から算出される:酸価=[V×N×56.1]/サンプル重量(g)、ここで、Vは添加しKOH溶液のミリリットル単位の体積であり、NはKOH溶液の規定度である。
【0044】
水酸基価の測定:無水酢酸試薬溶液を、無水酢酸60ML、P-トルエンスルホン酸7.2Gおよび酢酸エチル180MLを混合することにより製造する。ピリジン-水溶液を、1MLの水に対して約3MLのピリジンを添加することによって製造する。水酸基価の測定のために、サンプル約0.75~5.0グラムをアセチル化フラスコ250MLに秤取する。水酸基価の分析に使用するサンプルの質量は、予想される水酸基価に依存する。無水酢酸試薬5MLを、フラスコへ添加し、エアー・コンデンサー(または空気冷却器;AIR CONDENSER)に取り付ける。サンプル・ブランクを、サンプルなしで、対応する容量の試薬で準備する。フラスコは、70~72℃のバス中で液面に浸され、すべての固体材料が溶け、完全に混合されるまで攪拌する。70~72℃で溶液を1時間加熱した後、フラスコを取り出し、少なくとも10分間室温バス中で冷却する。エアー・コンデンサーを通してDI水2MLをフラスコに加え、続いてエアー・コンデンサーを通してピリジン-水溶液10MLを添加する。フラスコを激しく撹拌し、内容物を完全に混合する。フラスコを70~72℃バスに10分間戻し、過剰の無水酢酸試薬の加水分解を完了させ、頻繁に攪拌する。フラスコを取り出し、少なくとも10分間冷却する。コンデンサーを取り除き、クレゾール・レッド-チモール・ブルー指示薬溶液1MLをフラスコに添加する。マグネティック・スターラー・バーをフラスコに入れ、サンプルおよびブランクを0.5Nメタノール性水酸化カリウムで滴定する。ブランクの終点は、はっきりとした(または派手な;BOLD)青で、赤の痕跡はない。サンプルの終点は、サンプルの色に依存するが、通常、最後の赤の痕跡が消えた濃いグレー・ブルーである。滴定の終了直前に、サンプリを熱水下で加熱し、残っている痕跡量の酸を放出させる。水酸基価は、以下のように算出される:[(ML KOHブランク-ML KOHサンプル)*N KOH*56.1]/サンプルのグラム数。
【0045】
イソシアネート割合(またはイソシアネート百分率;percent isocyanate)の測定:イソシアネート割合(%)は、以下の手順を用いて測定される。フラスコにおいて、ジブチルアミン40mlをトルエン500mlに添加し、得られた溶液をDBA溶液と呼ぶ。イソシアネート割合の測定に際して、試験サンプル1.0~3.0グラムを、エルレンマイヤー・フラスコ250ml中のトルエン50mlに添加し、試験サンプルが完全に溶解するまで攪拌プレート上に置く。一旦、サンプルが完全に溶解すると、DBA溶液20mLおよびブロモフェノール・ブルー指示薬2滴を添加し、続いて溶液の紫色が明るい黄色の終点に変わるまで、イソプロパノール中0.5N塩酸で滴定する。トルエン50mL、DBA溶液20mLおよびブロモフェノール・ブルー指示薬を含んで成る「ブランク」を調製し、同じ方法で滴定する。0.5N塩酸の総容量が添加され、溶液の両方について終点に到達するために添加された「ブランク」および「サンプル」が記録される。試験サンプルのイソシアネート割合は、以下の式を使用して算出される:イソシアネート割合=[(「ブランク」に添加された0.5N塩酸の体積-「サンプル」に添加された0.5N塩酸の体積)×2.101]/サンプル重量。
【0046】
ポリウレタン・サンプルの全固形分の測定は、ASTM D4906-95の方法に従って実施される。ポリウレタン・サンプルの粘度の測定は、ASTM D445-15Aの方法に従って実施される。ポリウレタン・サンプルの硬度の測定は、ASTM D2240の方法に従って実施される。ポリウレタン・サンプルの接着性の測定は、ASTM D3359の方法に従って実施される。ポリウレタン・サンプルの引っ張り特性の測定は、ASM D638の方法に従って実施される。ポリウレタン・サンプルの様々な物理特性の測定についてのこれらのASTM手順は、当業者によく知られている。
【0047】
実施例1
HDO-SAC-イソフタル酸ポリエステルポリオール(Myr113-132)
1,6-ヘキサンジオール(「HDO」)1456グラムを、イソフタル酸393グラムおよびコハク酸(「SAC」)652グラムを含む混合物に添加し、酸価が20未満になるまで205℃で加熱した。その時点で、ReaxisC-256触媒0.63グラムを添加し、酸価が1未満に到達するまで205℃で加熱を続けた。得られたHDO-イソフタル酸-SACポリエステルポリオールの水酸基価は206.7であることがわかった。
【0048】
実施例2
HDO-AA-イソフタル酸ポリエステルポリオール(Myr113-137)
1,6-ヘキサンジオール(「HDO」)1391グラムを、アジピン酸(「AA」)747グラムおよびイソフタル酸364グラムを含む混合物に添加し、酸価が20未満になるまで加熱した。その時点でReaxisC-256触媒0.63グラムを添加し、酸価が1未満に到達するまで205℃での加熱を続けた。得られたポリエステルポリオールの水酸基価は215であることがわかった。
【0049】
実施例3
HP210ポリエステルポリオール(Myr113-128)
ガラス容器において、バイオ再生可能なイソソルビド1223グラム、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオール240グラム、トリメチロールプロパン224グラム、バイオ予備再生可能な(bioprenewable)コハク酸1976グラム、Anox1315(添加剤;発色を最小化するための酸化防止剤)9.9グラムおよびReaxisC-256触媒0.68グラムを添加し、窒素下で210℃で13時間加熱し、約120の酸価に到達した。この初期加熱中に、バイオ再生可能な(biorenwable)コハク酸は、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールおよびトリメチロールプロパンの第1級ヒドロキシル基の代わりに、バイオ再生可能なイソソルビド上の第2級ヒドロキシル基と反応する。この最初の加熱期間の終わりに、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオール875グラムを添加し、酸価が20未満に到達するまで205℃にて加熱を続けた。この時点で、ReaxisC-256触媒0.68グラムが添加され、酸価が1未満に下がるまで加熱が続けられた。得られた生成物のヒドロキシル価(hydroxyl number)は253.6であった。
【0050】
HDO-AA-イソフタル酸ポリエステルポリオール、HDO-SAC-イソフタル酸ポリエステルポリオールおよびHigh Performance210(HP210)ポリエステルポリオールを、pH、全固形分および粘度について試験し、それらの結果は表1に示す。
【0051】
実施例4
HP310ポリエステルポリオール(Myr113-140)
上記の実施例3に記載のように製造したHP210ポリオール92グラムを、窒素下、80℃でトリメチロールプロパン8グラムとブレンドした。得られた生成物の水酸基価は、333であった。
【0052】
実施例5
HP210Flexポリエステルポリオール(Myr113- 130)
ガラス容器中に、バイオ再生可能なイソソルビド358グラム、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオール47グラム、バイオ再生可能なコハク酸434グラム、Anox1315(発色を最小化するための酸化防止剤)3.9グラムおよびReaxisC-256触媒0.3グラムを加え、窒素下、210℃で9時間加熱し、約120の酸価に達した。この初期の加熱期間中、コハク酸は、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールおよびトリメチロールプロパンの第1級ヒドロキシル基の代わりに、バイオ再生可能なイソソルビドの第2級ヒドロキシル基と反応する。この初期の加熱期間の終わりに、トリメチロールプロパン65.7グラム、1,3-プロパンジオール410グラムおよびRadiacid0976(Oleon;可撓性を増加させるためのダイマー酸)701グラムを加え、酸価が20未満に到達するまで加熱を205℃で続けた。この時点で、ReaxisC-256触媒0.3グラムを加え、酸価が1を未満になるまで加熱を続けた。得られた生成物のヒドロキシル価は253.6であった。可撓性ポリエステルポリオールの製造においてダイマー酸の代わりに、PRIPOL1040(Croda International Plc., East York Shire ,英国)のようなトリマー酸を使用することも可能である。
【0053】
実施例6
HP110FLEXポリエステルポリオール(MYR173-46)
ガラス容器中で、バイオ再生可能なイソソルビド248グラム、バイオ再生可能なコハク酸262グラム、Radiacid0976(Oleon;可撓性を増加させるためのダイマー酸)641グラム、Anox1315(添加剤;発色を最小化するための酸化防止剤)3.2グラムおよびReaxisC-256触媒0.24グラムを加え、窒素下、210℃で9時間加熱し、約120の酸価に達した。この初期加熱期間中、コハク酸は、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオールおよびトリメチロールプロパン上の第1級ヒドロキシル基の代わりに、イソソルビド上の第2級ヒドロキシル基と反応する。この初期加熱期間の終わりに、トリメチロールプロパン22.8グラム、バイオ再生可能な1,3-プロパンジオール304グラムおよびバイオ再生可能なコハク酸132グラムを添加し、酸価が20未満に到達するまで加熱が205℃で続けた。この時点で、ReaxisC-256触媒0.24グラムを添加し、酸価が1を下回るまで、加熱を続けた。得られた生成物のヒドロキシル価は、78であった。
【0054】
実施例7
HP56ポリエステルポリオール(MYR160-44)
ガラス容器中で、イソソルビド722グラム、コハク酸1247グラム、1,3-プロパンジオール160グラム、Anox1315(添加剤;発色を最小化するための酸化防止剤)5グラムおよびReaxisC-256触媒0.5グラムを加え、窒素下、210℃で9時間加熱し、約120の酸価に到達した。この初期の加熱期間中、コハク酸は、1,3-プロパンジオール上の第1級ヒドロキシル基の代わりに、イソソルビド上の第2級ヒドロキシル基と反応する。この初期の加熱期間の終わりに、1,3-プロパンジオール331グラムを添加し、酸価が20未満に到達するまで加熱を205℃で続けた。この時点で、ReaxisC-256触媒0.5グラムが添加され、酸価が1を下回るまで加熱を続けた。得られた生成物のヒドロキシル価は、72.8であった。
【0055】
実施例8
HDO-SACポリエステルポリオール
1,6-ヘキサンジオール1378グラムを、コハク酸1122グラムを含む混合物に加え、酸価が20未満となるまで205℃で加熱した。その時点で、ReaxisC-256触媒0.63グラムを添加し、酸価が1未満に到達するまで205℃で加熱を続けた。得られたHDO-SACポリエステルポリオールの水酸基価は、108であることがわかった。
【0056】
実施例9
HDO-アジペートポリエステルポリオール
1,6-ヘキサンジオール1261グラムを、アジピン酸1239グラムを含む混合物に加え、酸価が20を下回るまで205℃で加熱した。この時点で、ReaxisC-256触媒0.63グラムを添加し、酸価が1未満に到達するまで205℃での加熱を続けた。得られたポリエステルポリオールの水酸基価は95であることがわかった。
【0057】
実施例10
HDO-アジピン酸(Adipic)-イソフタル酸(Isophthalic)ポリエステルポリオールポリウレタン分散体(Myr113-144)
窒素雰囲気下で、上記実施例2と同様に製造したHDO-AA-イソフタル酸ポリエステルポリオール100グラム、アセトン56.6グラム、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA)12.8グラムおよびトリメチルアミン(TEA)8.7グラムを、ガラス容器に加え、DMPAが溶解するまで攪拌した。次の工程では、イソホロンジイソシアネート96.6グラムが15分でゆっくりと加え、続いてジブチルスズジラウレート0.08グラムを添加し、イソシアネートのパーセンテージが5%未満となるまで、または一定に保たれるまで、反応させた。次の工程では、水363.9グラムを、急激に加え、続いてエチレンジアミン8.2グラムを加えた。温度を徐々に上げて、アセトンを留去した。
【0058】
実施例11
HDO-SAC-イソフタル酸ポリエステルポリオールポリウレタン分散体(Myr113-146)
窒素雰囲気下で、上記実施例1と同様に製造したHDO-SAC-イソフタル酸ポリエステルポリオール100グラム、アセトン55.4グラム、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(DMPA)12.4グラムおよびトリメチルアミン(TEA)8.4グラムがガラス容器に加え、DMPAが溶解するまで攪拌した。次の工程では、イソホロンジイソシアネート93グラムを15分でゆっくりと加え、続いてジブチルスズジラウレート0.08グラムを添加し、イソシアネートのパーセンテージが5%未満となるまで、または一定に保たれるまで、反応させる。次の工程では、水356.3グラムを急激に加え、続いてエチレンジアミン7.9グラムを添加した。温度を徐々に上げ、アセトンを留去した。
【0059】
実施例12
HP210ポリエステルポリオールポリウレタン分散体(Myr113-148)
窒素雰囲気下で、上記実施例3と同様に製造された汎用ポリエステルポリオールHP210 100グラム、アセトン60.7グラム、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(DMPA)13.7グラムおよびトリメチルアミン(TEA)9.3グラムを、ガラス容器に加え、DMPAが溶解するまで攪拌した。次の工程で、イソホロンジイソシアネート110.3グラムを15分でゆっくりと加え、続いてジブチルスズジラウレート0.09グラムを付加し、イソシアネートのパーセンテージが5%未満となるまで、または一定に保たれるまで、反応させた。次の工程で、水390グラムを急激に加え、続いてエチレンジアミン9.4グラムを添加した。温度を徐々に上げ、アセトンを留去した。
【0060】
実施例10、11、および12で記載されたポリウレタン分散体を、ペンデュラム硬度(または振り子硬度;pendulum hardness)(ASTM D4366)、クロスハッチ付着(crosshatch adhesion)(ASTM D3359)、およびジュロメータ硬度(durometer hardness)(ASTM D2240)について試験した。これらの物理分析の結果を表1および2に示す。
【0061】
実施例13
HP110Flexポリエステルポリオールポリウレタン分散体
清浄な反応容器に、VestanatH12MDI(Evonik Corporation, Parsippany, NJ, USA)131.15グラムを入れ、攪拌を開始した。HP110Flex728.57グラムを加え、反応物を75℃で加熱した。その後、ジブチルスズジラウレート0.051グラムを加え、反応物は発熱した。発熱がおさまった後、イソシアネート含量をチェックし、N-メチル-2-ピロリドン106グラムを反応物に加えた。約90℃の温度を維持されるように温度調整し、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA)67.1グラムを反応器に添加した。イソシアネート含量をモニターしながら、反応させた。イソシアネート含量をプレポリマー反応の完了を示す所望の範囲内に低下した場合に、反応器は約78℃に冷却した。プレポリマーは、その後、プレポリマー・タンクに移し、トリエチルアミン(TEA)1.0当量を添加した。温度を、78℃付近に保った。バッチ重量当たり0.02%のDEE FO(登録商標)PI40 Defoamer(Munzing)に加えて、最終PUDにおいて35%固形分含量を達成するのに適切な質量の水を分散体タンクに添加した。プレポリマー/TEA溶液を、十分な攪拌で分散体タンク内の水に定常的に添加して、分散させた。一旦プレポリマーの添加が完了したら、分散体を10分間混合し、その後、15%ヒドラジンを有する水溶液を強く混合しながら分散液に添加した。FTIRを使用してイソシアネート含量を確認することにより、反応をモニターして完了させた。微量のイソシアネートが残った状態になると、反応物を冷却し、100μmフィルター・バッグを通して排出した。
【0062】
実施例14
HDO-AAポリエステルポリオールポリウレタン分散体
清浄な反応容器に、VestanatH12MDI(Evonik Corporation, Parsippany, NJ, USA)131.15グラムを入れ、攪拌を開始した。Piothane(登録商標)67-1000(Panolam Industries International LLC, Shelton CT)1,6-ヘキサンジオールおよびアジピン酸由来のポリエステルポリオール)728.57グラムを添加し、反応物を75℃に加熱した。その後、ジブチルスズジラウレート0.051グラムを加え、反応物は発熱した。発熱がおさまった後、イソシアネート含量をチェックし、N-メチル-2-ピロリドン106グラムを反応物に加えた。約90℃の温度を維持するように温度調整し、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA)67.1グラムを反応器に添加した。イソシアネート含量をモニターしながら反応を進めた。イソシアネート含量がプレポリマー反応の完了を示す所望の範囲内に低下した場合、反応器を約78℃に冷却した。プレポリマーを、その後、プレポリマー・タンクに移し、トリエチルアミン(TEA)1.0当量を添加した。温度を、約78℃に保った。バッチ重量当たり0.02%のDEE FO(登録商標)PI40 Defoamer(Munzing)に加えて、最終PUDにおける35%固形分含量を達成するために適切な質量の水が分散体タンクに添加した。プレポリマー/TEA溶液を、十分な攪拌で分散体タンク内の水に定常的に添加し、分散した。一旦プレポリマーの添加が完了したら、分散液を10分間混合し、その後15%ヒドラジンを含む水溶液が、強く混合しながら分散液に添加された。FTIRを使用してイソシアネート含有物を確認することにより、反応は完了についてモニターされた。微量のイソシアネートが残った場合、反応は、冷却され、100μmフィルター・バッグを通して排出された。
【0063】
実施例15
ポリカーボネートポリオールポリウレタン分散体
清浄な反応容器に、VestanatH12MDI(Evonik)131.15グラムを入れ、攪拌を開始した。ポリカーボネートポリオールOxymerHD-112およびOxymerHD-56(Perstrop Holdings AB, Sweden)のトリメチロールプロパン配合物のブレンドを作製し、HP110Flexと同じ機能性(官能基価)およびヒドロキシル価を実現した。このポリカーボネート材料728.57グラムを反応容器に加え、反応物を75℃に加熱した。その後、ジブチルスズジラウレート0.051グラムを添加し、反応物は発熱した。発熱がおさまった後、イソシアネート含量をチェックして、N-メチル-2-ピロリドン106グラムを反応物に添加した。温度を調整し約90℃の温度を維持し、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(DMPA)67.1グラムを反応器に添加した。イソシアネート含量をモニターしながら、反応を進行させた。イソシアネート含量がプレポリマー反応の完了を示す所望の範囲内に低下した場合、反応器を約78℃に冷却した。プレポリマーを、その後プレポリマー・タンクに移し、トリエチルアミン(TEA)1.0当量を添加した。温度を約78℃に保った。バッチ重量当たり0.02%のDEE FO(登録商標)PI40 Defoarmer(Munzing)に加えて、最終PUDにおいて35%固形分含量を達成するための適切な質量の水を分散体タンクに添加した。プレポリマー/TEA溶液を、十分な攪拌で分散体タンク内の水に定常的に添加し分散させた。一旦プレポリマーの添加が完了したら、分散液が10分間混合され、その後、15%ヒドラジンを含む水溶液を強く混合しながら、分散液に添加した。FTIRを使用してイソシアネート含量を確認することにより、反応をモニターして完了させた。微量のイソシアネートが残っている場合、反応物を冷却し、100μmフィルター・バッグを通して排出した。
【0064】
加水分解安定性を試験するために、硬化フィルムを、均一なストリップに切断した。これらのストリップを、その後、100%相対湿度および華氏120度(120°F)の湿度室(humidity chamber)に500時間、配置した。ストリップは、定期的に取り出して、引っ張り強度を測定した。データを表3に示す。
【0065】
実施例16
キャスト・ウレタンの製造
上記の実施例3、4、5、8、および9で説明したように調製しHP210、HP310、HP210Flex、HDO-アジピン酸およびHDO-コハク酸ポリエステルポリオールを、乾燥条件下で貯蔵した。キャスト・ウレタンは、その後、適切な量のポリエステルポリオール、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)100ppmおよびイソシアネートを指数1.05(NCO/OH当量比)で手で混合することにより、キャスト・ウレタンを調製した。混合物を、ドック・ボーン型に流し込み、気泡の捕捉を軽減するために最初に40℃で硬化した。最初のゲル化後、ドック・ボーンを室温で一晩硬化し、その後、90℃で4時間硬化した。最初のキャスティングから少なくとも7日後に最終機械的試験を実施した(
図6および7)。
【0066】
実施例17
熱可塑性ポリウレタン(TPU)の製造
TPUは、ワン-ショット法(one-shot method)を使用して製造した。TPU製造前に、HP56ポリエステルポリオールおよび1,4-ブタンジオールは、必要に応じて、真空下で<0.05%の水に乾燥することにより脱湿した。TPUは、34%ハード・セグメント濃度を目標として、1.02イソシアネート・インデックス(NCO/OH当量ratio)で製造した。スピード・ミキサー機を使用してHP5639.61グラム、1,4-ブタンジオール3.27グラム、およびMondurM(CovestroからのMDI)17.12グラムを混合した。HP56および1,4-ブタンジオールは、予め100℃に温めていたが、MondurMを70℃に加熱した。このTPUのための混合時間は40秒であり、ゲル化時間は86秒であり、プレス温度は120℃であった。最終TPUを、120℃で2時間硬化し、続いて100℃で20時間硬化し、その後、室温で7日間さらに硬化した。
【0067】
本実施例で説明した手順に従って製造されたTPUの引っ張り強度、高温での引っ張り損失(tensile loss)および高温での伸び損失(elongation loss)は、ASTM D412に記載の手順に従って測定した。本実施例で説明した手順に従って製造したTPUの線形引裂強さ(linear tear strength)は、ASTM D6246に記載の手順に従って測定された。本実施例で説明した手順に従って製造したTPUの耐溶媒性(solvent resistance)は、1インチのストリップを3日間溶媒中に浸漬し、3日の終わりに重量割合の増加を測定することにより測定された。これらの物理および化学分析の結果を表4に示している。
【0068】
実施例18
二成分ウレタン・コーティングの作製
本試験では、キャスティングを、5マイヤー・ロッド(Meyer rod)を使用して鋼製テーバー・プレート(steel Taber plate)上で行った。系は、HP210、HP210Flexを含む試験ポリオール、および1.05インデックスのHDIトリマーを有するコントロール・ポリカーボネートポリオールOxymerHD-112から構成した。系は、100ppmのDBTDLにより触媒され、流動性およびレベリングのために界面活性剤を添加した。系は、MEK溶媒中で70%固形分で適用した。硬化は、一晩周囲条件で行われ、続いて、80℃で4時間、室温で1週間行った。摩耗試験は、ASTM D4060標準Tezt法 摩耗抵抗に従って、1000g重量のCS-27ホイールを使用して行った。ホイールは、500試験サイクル毎に50サイクル調整した。摩耗試験の結果は、表5に示している。
【0069】
実施例19
ポリエステルアクリレート
HP210 1046グラムおよびp-トルエンスルホン酸17.4グラムを、反応フラスコに加えた。窒素ブランケットを有するエア・スパージを、出口にコンデンサーを備えたフラスコに適用し、ディーン・スターク・トラップ(Dean Stark trap)に還流した。温度を、80℃に設定した。4-メトキシフェノール1.39グラムおよびブチルヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene)1.39グラムをアクリル酸344グラムに溶解し、反応フラスコに添加した。必要に応じてヘプタンの添加を可能とするために、ヘプタン約200mLが反応フラスコおよびディーン・スターク・トラップ上の添加漏斗に加えた。温度は最大102まで増加され、反応を進行させ、ディーン・スタークにおいて凝縮された水を集めた。水の生成が遅くなった時、酸価をモニターした。一定のAVを到達した時、ヘプタンを真空で留去した。酸価25.2が測定され、得られたCarduraE10P 94.4グラムを加え、温度を110℃に設定した。一旦酸価が8.4mg/kgOHに低下したら、ポリエステルアクリレートが冷却され、注ぎこんだ。
【0070】
実施例20
ウレタンアクリレート(Myr113-99)
実施例3と同じ方法で製造されたHP210ポリオール114.5グラムを、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート67.2グラムと予備混合し、添加中に移された場合の材料の滞留を考慮してわずかに過剰の予備混合された材料を生成した。イソホロンジイソシアネート96.6グラム、ブチルヒドロキシトルエン0.13グラム(抑制剤)およびジブチルスズジラウレート触媒0.05グラムを、ガラス容器に加え、大気下で70℃に加熱され、続いて発熱を制御しながら2-ヒドロキシエチルアクリレート50.5グラムを添加した。全ての2-ヒドロキシエチルアクリレートを添加すると、反応を10分間70℃で保持し、続いて予備混合したHP210および1,6-ヘキサンジオールジアクリレートの173グラムを添加した。得られた溶液を、イソシアネートのパーセンテージが0.1%未満になるまで90℃まで加熱した。
【0071】
得られたウレタンアクリレートの性能を試験するために、試験オリゴマーならびにエポキシアクリレートおよびポリエルテルアクリレート・コントロールを、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートと80%になるまでブレンドした。それに、1%TPO光開始剤が添加された。樹脂組成物は、その後、Tygon管に入れ、UVランプ下で硬化された。最終的に、チューブを切って除去し、硬化した樹脂を小さなロッドに切断することにより、キャスト「ロッド」を得た。これらの試料は、インストロンを使用して引っ張り分析を受けた。
【0072】