(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】エレベータの着床検出板位置決め治具、着床検出装置および着床検出板位置決め方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
B66B7/00 M
(21)【出願番号】P 2022194488
(22)【出願日】2022-12-05
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】藤井 みゆき
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-195184(JP,A)
【文献】特開2021-194977(JP,A)
【文献】特開2020-117394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかごガイドレールに昇降路ブラケットを介して固定される着床検出板の位置決めを行うための着床検出板位置決め治具であって、
前記着床検出板を検出対象とする着床スイッチを支持するサポートに固定されたガイドブラケットと、
前記ガイドブラケットの上面に載置されたブロックであって、前記ガイドブラケットに案内されながら、前記着床検出板の主面に垂直な移動方向に移動可能なブロックと、
前記着床検出板に設けられた嵌合穴と、
を備え、
前記ブロックは、前記着床検出板の側の面から突出する嵌合突出部であって、前記嵌合穴に嵌合可能な嵌合突出部を含む、
エレベータの着床検出板位置決め治具。
【請求項2】
前記ガイドブラケットの上面に、前記移動方向に延びるガイド凸部が設けられ、
前記ブロックの移動は、前記ガイド凸部によって案内される、
請求項1に記載のエレベータの着床検出板位置決め治具。
【請求項3】
前記嵌合突出部は、先端に向かって先細状に形成されている、
請求項1または2に記載のエレベータの着床検出板位置決め治具。
【請求項4】
前記ブロックの前記着床検出板の側の面に、前記着床検出板と前記昇降路ブラケットとを締結する締結部が挿入可能な挿入溝が設けられている、
請求項1または2に記載のエレベータの着床検出板位置決め治具。
【請求項5】
前記嵌合穴は、前記昇降路ブラケットの上方に配置されている、
請求項1または2に記載のエレベータの着床検出板位置決め治具。
【請求項6】
前記ガイドブラケットは、前記ブロックが前記ガイドブラケットから上方に移動することを防止する係止部を含む、
請求項1または2に記載のエレベータの着床検出板位置決め治具。
【請求項7】
エレベータのかごガイドレールに昇降路ブラケットを介して固定された着床検出板と、
乗りかごに設けられ、前記着床検出板を検出対象とする着床スイッチと、
前記着床スイッチを支持するサポートと、
前記着床検出板の位置決めを行うための請求項1または2に記載のエレベータの着床検出板位置決め治具と、
を備えた、エレベータの着床検出装置。
【請求項8】
エレベータのかごガイドレールに昇降路ブラケットを介して固定される着床検出板の位置決めを行うための着床検出板位置決め方法であって、
前記ガイドレールに前記昇降路ブラケットを介して前記着床検出板を仮固定する工程と、
前記着床検出板を検出対象とする着床スイッチを支持するサポートに、ガイドブラケットを固定するとともに、前記ガイドブラケットの上面に、嵌合突出部を含むブロックを載置する工程と、
前記ブロックを前記着床検出板に前進させて、前記着床検出板に設けられた嵌合穴に前記嵌合突出部を嵌合させる工程と、
前記嵌合突出部が前記嵌合穴に嵌合した状態で、前記着床検出板を前記昇降路ブラケットに固定する工程と、
前記ブロックを前記着床検出板から後退させる工程と、
を備えた、エレベータの着床検出板位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、エレベータの着床検出板位置決め治具、着床検出装置および着床検出板位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかごが乗場に着床したことを検出する着床検出装置が知られている。着床検出装置は、昇降路内で停止階毎に設置された着床検出板と、乗りかごに取り付けられた着床スイッチと、を備えている。乗りかごの昇降中、着床スイッチが着床検出板を検出することにより、乗りかごの位置が特定される。この乗りかごの位置に基づいて、制御盤が乗りかごの運転を制御する。
【0003】
着床スイッチは、投光部と受光部を備えた構造が一般に知られている。乗りかごの昇降中、着床検出板が着床スイッチの投光部から受光部に向かって発せられる光を遮ると、着床スイッチのON-OFFが切り替わる。このようにして、乗りかごの着床を検出することができる。
【0004】
着床検出板は、乗りかごの検出の精度を向上させるために、所定の位置に位置決めされている。位置決めを行う場合、まず、着床検出板に対して乗りかごを所望の位置に位置付けて、着床検出板の位置決めを行う。この状態では、着床スイッチなどの構造物の存在によって、着床検出板を固定するためのボルトの締め付け作業を行うことができない。このため、乗りかごを移動させてボルトの締め付け作業を行う。その後、乗りかごを元の位置に戻して着床検出板の位置の確認を行う。このため、着床検出板の位置決めに伴う工数が多いという問題があった。そして、着床検出板は停止階毎に設置されているため、全数の着床検出板の位置決めに多くの工数を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-179459号公報
【文献】実開昭61-6237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施の形態は、着床検出板の位置決めに伴う工数を低減することができるエレベータの着床検出板位置決め治具、着床検出装置および着床検出板位置決め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態によるエレベータの着床検出板位置決め治具は、エレベータのかごガイドレールに昇降路ブラケットを介して固定される着床検出板の位置決めを行うための治具である。着床検出板位置決め治具は、着床検出板を検出対象とする着床スイッチを支持するサポートに固定されたガイドブラケットと、ガイドブラケットの上面に載置されたブロックであって、ガイドブラケットに案内されながら、着床検出板の主面に垂直な移動方向に移動可能なブロックと、着床検出板に設けられた嵌合穴と、を備えている。ブロックは、着床検出板の側の面から突出する嵌合突出部であって、嵌合穴に嵌合可能な嵌合突出部を含んでいる。
【0008】
実施の形態によるエレベータの着床検出装置は、エレベータのかごガイドレールに昇降路ブラケットを介して固定された着床検出板と、乗りかごに設けられ、着床検出板を検出対象とする着床スイッチと、着床スイッチを支持するサポートと、着床検出板の位置決めを行うための上述のエレベータの着床検出板位置決め治具と、を備えている。
【0009】
実施の形態によるエレベータの着床検出板位置決め方法は、エレベータのかごガイドレールに昇降路ブラケットを介して固定される着床検出板の位置決めを行うための方法である。着床検出板位置決め方法は、ガイドレールに昇降路ブラケットを介して着床検出板を仮固定する工程と、着床検出板を検出対象とする着床スイッチを支持するサポートに、ガイドブラケットを固定するとともに、ガイドブラケットの上面に、嵌合突出部を含むブロックを載置する工程と、ブロックを着床検出板に前進させて、着床検出板に設けられた嵌合穴に嵌合突出部を嵌合させる工程と、嵌合突出部が嵌合穴に嵌合した状態で、着床検出板を昇降路ブラケットに固定する工程と、ブロックを着床検出板から後退させる工程と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施の形態によるエレベータ装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態によるエレベータの着床検出板位置決め治具を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図3の着床検出板および昇降路ブラケットを取り除いた状態でブロックを示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態におけるエレベータの着床検出板位置決め治具、着床検出装置および着床検出板位置決め方法について説明する。ここではまず、本実施の形態によるエレベータ装置について説明する。
【0012】
図1に示すように、エレベータ装置1は、昇降路2内に配置された乗りかご3および釣合錘4を備えている。乗りかご3と釣合錘4は、主ロープ5を介して連結されている。主ロープ5は、巻上機6に設けられたトラクションシーブに巻き掛けられている。巻上機6が主ロープ5を巻き上げることにより、乗りかご3および釣合錘4が昇降する。乗りかご3は、上下方向D1に延びるかごガイドレール7に案内されながら昇降する。釣合錘4は、上下方向D1に延びる錘ガイドレール8に案内されながら昇降する。
【0013】
主ロープ5は、反らせシーブ9にも巻き掛けられている。巻上機6は、昇降路2の上方に設けられた機械室10内に設置されている。機械室10には、制御盤11が設置されている。制御盤11は、巻上機6を含むエレベータ装置1の全体を制御する装置である。例えば、制御盤11は、乗場呼び、およびかご呼びに応じて巻上機6の運転を制御し、乗りかご3を呼び登録された階床の乗場12に着床させる。
【0014】
なお、エレベータ装置1は、
図1に示す形態に限られることはない。例えば、いわゆる機械室レスのエレベータ装置であってもよい。すなわち、機械室10を設けることなく、巻上機6や制御盤11を昇降路2の上部等に設けるようにしてもよい。また、主ロープ5に釣合錘4が連結されずに、乗りかご3に連結された主ロープ5を巻上機6が巻き上げるまたは繰り出すようにしてもよい。この場合においても、巻上機6は、主ロープ5を介して乗りかご3を昇降させることができる。すなわち、エレベータ装置1は、釣合錘4を備えていないエレベータ装置であってもよい。
【0015】
次に、本実施の形態によるエレベータの着床検出装置20について
図2~
図5を用いて説明する。
【0016】
図2に示すように、着床検出装置20は、着床検出板21と、着床スイッチ22と、サポート23と、着床検出板位置決め治具30と、を備えている。
【0017】
着床検出板21は、昇降路2内で停止階毎に設置されている。着床検出板21は、かごガイドレール7に、昇降路ブラケット24を介して取り付けられている。昇降路ブラケット24は、かごガイドレール7から横方向D3に延びた板状の部材である。
【0018】
着床検出板21は、上下方向D1に延びる板状の部材である。着床検出板21は、着床スイッチ22の側に位置する第1面21a(主面)と、第1面21aとは反対側に位置する第2面21bと、を含んでいる。第2面21bに、昇降路ブラケット24が当接している。着床検出板21は、昇降路ブラケット24の着床スイッチ22側の面に取り付けられている。
【0019】
図3および
図4に示すように、着床検出板21は、複数の(ここでは2つの)締結ボルト25および締結ナット26等を用いて昇降路ブラケット24に固定されている。締結ボルト25の頭部は、着床検出板21の第1面21aに当接している。締結ナット26は、昇降路ブラケット24の着床検出板21とは反対側の面に当接している。
【0020】
図4および
図5に示すように、着床検出板21に、締結ボルト25が貫通する検出板ボルト穴27が形成されている。
図5に示すように、検出板ボルト穴27は、上下方向D1に延びるように長穴で形成されている。
図4に示すように、昇降路ブラケット24に、締結ボルト25が貫通するブラケットボルト穴28が形成されている。このブラケットボルト穴28は、円形状に形成されていてもよい。
【0021】
図2~
図4に示すように、本実施の形態による着床検出板21は、上方から見たときに、板状の部材をコの字状に折り曲げて形成されている。すなわち、第1面21aの両縁から着床スイッチ22の側に突出する一対の被検出部21cが形成されている。
【0022】
図2に示すように、着床スイッチ22は、乗りかご3に設けられている。乗りかご3には、複数の着床スイッチ22が設けられていてもよい。
図2に示す例では、着床検出板21の一方の被検出部21cに対向するように、当該被検出部21cを検出対象とする3つの着床スイッチ22が配置されている。これら3つの着床スイッチ22は、上下方向D1に所定の間隔で配置されている。他方の被検出部21cに対向するように、当該被検出部21cを検出対象とする1つの着床スイッチ22が配置されている。
【0023】
サポート23は、乗りかご3のかご枠3aにかごブラケット29を介して固定されている。サポート23は、複数の着床スイッチ22を支持している。サポート23は、着床検出板21を横切るように配置されている。
【0024】
次に、本実施の形態による着床検出板位置決め治具30について
図2~
図6を用いて説明する。着床検出板位置決め治具30は、エレベータのかごガイドレール7に昇降路ブラケット24を介して固定される着床検出板21の位置決めを行うための治具である。
【0025】
図2に示すように、着床検出板位置決め治具30は、ガイドブラケット40と、ブロック50と、嵌合穴60と、を備えている。
【0026】
ガイドブラケット40は、上述したサポート23に固定されている。ガイドブラケット40は、板状の部材を折り曲げてL字状に形成されている。ガイドブラケット40は、上下方向D1に延びる縦板部41と、後述するブロック50の移動方向D2に延びる横板部42と、を含んでいる。移動方向D2は、上下方向D1に垂直である。縦板部41は、サポート23の着床スイッチ22とは反対側の面に当接してボルト締結される。横板部42は、縦板部41の上端から着床検出板21に向かって延びている。横板部42は、着床検出板21までには達しておらず、着床検出板21に対して離間している。横板部42は、着床検出板21の2つの被検出部21cの間に配置されており、各被検出部21cに対しても離間している。
【0027】
ガイドブラケット40の横板部42の上面に、後述するブロック50の移動方向D2に延びるガイド凸部43が設けられている。ガイド凸部43は、着床検出板21の第1面21aに垂直に延びている。ガイド凸部43の横断面形状は、矩形でもよく、円弧状でもよく、ホームベース形状でもよく、任意である。
【0028】
ブロック50は、ガイドブラケット40の上面に載置されている。ブロック50は、ガイドブラケット40に案内されながら、着床検出板21の第1面21aに垂直な移動方向D2に移動可能になっている。ブロック50は、着床検出板21に対して前進および後退可能になっている。ブロック50の後面50aは、着床スイッチ22などの構造物で覆われていない。後面50aは、後述する対向面50bと反対側の面である。
【0029】
ブロック50の移動は、ガイド凸部43によって案内される。ブロック50の下面に、ガイド凸部43に嵌合するガイド凹部51が形成されている。ガイド凹部51は、ブロック50の移動方向D2に延びている。ガイド凹部51は、ブロック50の後面50aから対向面50bまで移動方向D2に延びており、ブロック50を移動方向D2に貫通している。
【0030】
図4に示すように、ブロック50の横方向D3の寸法は、一対の被検出部21cの間の横方向D3の寸法よりも小さくなっている。ブロック50は各被検出部21cに対して離間している。ブロック50は、概して、直方体状または立方体状に形成されていてもよい。横方向D3は、上下方向D1および移動方向D2に垂直になっている。
【0031】
図2および
図6に示すように、ブロック50は、後述する対向面50bから着床検出板21に向かって突出する嵌合突出部52を含んでいる。嵌合突出部52は、着床検出板21に設けられた嵌合穴60に嵌合可能になっている。嵌合突出部52は、先端に向かって先細状に形成されている。嵌合突出部52は、嵌合穴60を貫通して着床検出板21の反対側に突出可能になっている。嵌合突出部52の横断面形状は、矩形である。嵌合突出部52は、ブロック50の上面に配置されている。すなわち、ブロック50の上面から着床検出板21に向かって嵌合突出部52が延びている。嵌合突出部52は、後述する挿入溝53の上方に配置されている。
【0032】
図4および
図6に示すように、ブロック50は、着床検出板21の側に位置する対向面50bを含んでいる。対向面50bに、複数の挿入溝53が設けられている。挿入溝53は、着床検出板21と昇降路ブラケット24とを締結する締結部が挿入可能になっている。本実施の形態においては、締結部の一例としての上述した締結ボルト25の頭部が、挿入溝53に挿入されている。挿入溝53は、締結ボルト25の回転を防止可能とするために、締結部を嵌合可能になっていてもよい。挿入溝53は、締結ボルト25の頭部が嵌合可能な幅(横方向D3の寸法)になっている。締結ボルト25が六角ボルトである場合、頭部の2面幅に相当する幅で挿入溝53が形成されていてもよい。着床検出板21の第1面21aに、締結ボルト25の頭部ではなく締結ナット26が当接している場合には、挿入溝53には締結ナット26が挿入されていてもよい。この場合、挿入溝53は、締結ナット26が嵌合可能な幅になっていてもよい。
【0033】
挿入溝53は、ブロック50の下面からブロック50の上面まで上下方向D1に延びている。すなわち、挿入溝53は、ブロック50を上下方向D1に貫通している。
【0034】
図5に示すように、嵌合穴60は、着床検出板21に設けられている。嵌合穴60は、昇降路ブラケット24の上方であって、検出板ボルト穴27の上方に配置されている。嵌合穴60は、嵌合突出部52の横断面形状と同様な形状で形成されている。本実施の形態による嵌合穴60は、嵌合突出部52と同様に矩形状に形成されている。
【0035】
次に、本実施の形態によるエレベータの着床検出板位置決め方法について説明する。
【0036】
まず、かごガイドレール7に昇降路ブラケット24を介して着床検出板21を仮固定する。この際、後の工程で着床検出板21を昇降路ブラケット24に対して位置調整可能なように、締結ボルト25と締結ナット26は、緩く締め付けておく。
【0037】
着床スイッチ22を支持するサポート23に、ガイドブラケット40が固定されるとともに、ガイドブラケット40の上面に、ブロック50が載置される。この際、ガイドブラケット40の上面に形成されたガイド凸部43に、ブロック50の下面に形成されたガイド凹部51が嵌合する。
【0038】
乗りかご3を、対象の着床検出板21に対して所望の位置に位置付ける。このことにより、ブロック50の嵌合突出部52が、着床検出板21に設けられた嵌合穴60に対向する。
【0039】
ブロック50を着床検出板21に向けて移動方向D2に前進させる。そして、嵌合突出部52を、嵌合穴60に挿入して嵌合させる。嵌合突出部52が先細状に形成されているため、ブロック50の前進に伴い、嵌合突出部52が着床検出板21の位置を自動的に調整できる。締結ボルト25は、ブロック50の対向面50bに形成された挿入溝53に挿入されて嵌合する。
【0040】
嵌合突出部52が嵌合穴60に嵌合した状態で、着床検出板21が昇降路ブラケット24に固定される。この際、締結ボルト25および締結ナット26が、所定のトルクで締め付けられる。締め付け時には、例えば、作業者が左手でブロック50の後面50aを着床検出板21に向けて押し付けることができる。ブロック50を押し付けるようにしてブロック50と着床検出板21を握ってもよい。このように後面50aを押し付けながら右手で締結ナット26を締め付けることができる。このことにより、着床検出板21の位置決めと締め付け作業を、一人の作業者で同時に行うことができる。このため、着床検出板21の位置決めを行った後、締結ボルト25および締結ナット26を締め付けるために乗りかご3を移動させることを不要にできる。
【0041】
締め付け作業後、ブロック50を移動方向D2に後退させ、着床検出板21から離間させるとともに、嵌合突出部52を嵌合穴60から抜き出す。
【0042】
このようにして、対象の着床検出板21の位置決め作業が完了する。
【0043】
この後に他の階床に設置された着床検出板21の位置決めを行うことができる。この場合、乗りかご3を昇降させて、対象の着床検出板21に対応する所望の位置に位置付ける。その後、上述と同様の手順で、着床検出板21の位置決めを行うことができる。他の階床に設置された着床検出板21に乗りかご3を移動させる場合、ガイドブラケット40をサポート23から取り外さずに、ブロック50をガイドブラケット40の上面に載置した状態で、乗りかご3を移動させてもよい。
【0044】
このように本実施の形態によれば、着床スイッチ22を支持するサポート23にガイドブラケット40が固定され、ガイドブラケット40の上面に、ブロック50が載置される。ブロック50は、ガイドブラケット40に案内されながら、着床検出板21の第1面21aに垂直に移動可能に構成されている。ブロック50は、対向面50bから突出する嵌合突出部52であって、着床検出板21に設けられた嵌合穴60に嵌合可能な嵌合突出部52を含んでいる。このことにより、乗りかご3を着床検出板21に対して所望の位置に位置付けた後に、ブロック50を着床検出板21に向かって前進させて嵌合突出部52を嵌合穴60に嵌合させることができる。嵌合突出部52を嵌合穴60に嵌合させた状態で、着床検出板21を昇降路ブラケット24に固定することができる。このため、乗りかご3の移動を不要にでき、着床検出板21の位置決めに伴う工数を低減することができる。
【0045】
また、本実施の形態によれば、ガイドブラケット40の上面に、移動方向D2に延びるガイド凸部43が設けられ、ブロック50の移動が、ガイド凸部43によって案内されている。このことにより、ブロック50が、横方向D3に位置ずれすることを防止できる。このため、着床検出板21の位置決め作業を容易化させることができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、嵌合突出部52は、先端に向かって先細状に形成されている。このことにより、嵌合突出部52を嵌合穴60に容易に挿入することができる。また、ブロック50を移動方向D2に前進させながら、着床検出板21の位置を自動的に調整することができる。このため、着床検出板21の位置決め作業を容易化させることができる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、ブロック50の対向面50bに、着床検出板21と昇降路ブラケット24とを締結する締結ボルト25が挿入可能な複数の挿入溝53が設けられている。このことにより、着床検出板21の位置決めの際に、締結ボルト25の頭部が、ブロック50の対向面50bに当接することを防止できる。このため、ブロック50を着床検出板21に近づけることができ、嵌合突出部52を嵌合穴60に深く挿入して嵌合穴60に嵌合させることができる。
【0048】
また、本実施の形態によれば、挿入溝53は、締結ボルト25を嵌合可能になっている。このことにより、締結ボルト25および締結ナット26を締め付ける際、挿入溝53が締結ボルト25の回転を防止することができる。このため、締結ボルト25を直接押さえなくても締結ナット26を締め付けることができ、着床検出板21の昇降路ブラケット24への締結作業を容易化させることができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、挿入溝53は、ブロック50の下面から上面まで上下方向D1に延びている。このことにより、ブロック50に対する締結ボルト25の上下方向D1の位置ずれを許容できる。このため、着床検出板21の位置決め作業を容易化させることができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、嵌合穴60は、昇降路ブラケット24の上方に配置されている。このことにより、嵌合突出部52が嵌合穴60を貫通して、着床検出板21の反対側に突出することができる。このため、嵌合穴60への嵌合突出部52の嵌合状態を安定化させることができ、着床検出板21の位置決め作業を容易化させることができる。また、着床検出板21の位置決め精度を向上させることができる。
【0051】
なお、上述した本実施の形態においては、ガイドブラケット40は、ブロック50がガイドブラケット40から上方に移動することを防止する係止部44を含んでいてもよい。例えば、
図7に示すように、係止部44が、ガイド凸部43の上端から横方向D3に延びて、ガイド凸部43と係止部44がT字状に形成されていてもよい。ブロック50のガイド凹部51も、同様にT字状に形成されることにより、ブロック50の上方移動が係止される。この場合、着床検出板21の位置決め作業中に、ブロック50がガイドブラケット40から取り外されることを防止でき、位置決め作業の作業性を改善することができる。
【0052】
また、上述した本実施の形態においては、ブロック50は、1つの嵌合突出部52を含んでいる例について説明した。しかしながら、本実施の形態は、このことに限られることはない。例えば、ブロック50は、2つ以上の嵌合突出部52を含んでいてもよい。この場合、例えば、上下方向D1において互いに異なる位置に2つの嵌合突出部52が配置されていてもよい。2つの嵌合突出部52の横断面形状は、矩形であってもよく、円形であってもよく、任意である。
【0053】
以上述べた実施の形態によれば、着床検出板21の位置決めに伴う工数を低減することができることができる。
【0054】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
3:乗りかご、7:かごガイドレール、20:着床検出装置、21:着床検出板、21a:第1面、24:昇降路ブラケット、25:締結ボルト、30:着床検出板位置決め治具、40:ガイドブラケット、43:ガイド凸部、44:係止部、50:ブロック、52:嵌合突出部、53:挿入溝、60:嵌合穴
【要約】
【課題】着床検出板の位置決めに伴う工数を低減することができるエレベータの着床検出板位置決め治具を提供する。
【解決手段】実施の形態による着床検出板位置決め治具は、着床検出板を検出対象とする着床スイッチを支持するサポートに固定されたガイドブラケットと、ガイドブラケットの上面に載置されたブロックであって、ガイドブラケットに案内されながら、着床検出板の主面に垂直な移動方向に移動可能なブロックと、着床検出板に設けられた嵌合穴と、を備えている。ブロックは、着床検出板の側の面から突出する嵌合突出部であって、嵌合穴に嵌合可能な嵌合突出部を含んでいる。
【選択図】
図2