(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】ハイパースペクトルカメラ
(51)【国際特許分類】
G01J 3/36 20060101AFI20240117BHJP
G01J 3/18 20060101ALI20240117BHJP
G01J 3/14 20060101ALI20240117BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20240117BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240117BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20240117BHJP
H04N 25/10 20230101ALI20240117BHJP
H04N 23/10 20230101ALI20240117BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240117BHJP
【FI】
G01J3/36
G01J3/18
G01J3/14
G02B13/00
G02B13/18
G03B11/00
H04N25/10
H04N23/10
G03B15/00 T
(21)【出願番号】P 2022203028
(22)【出願日】2022-12-20
【審査請求日】2022-12-20
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515084100
【氏名又は名称】オプティツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】ロプ ヘーマン
(72)【発明者】
【氏名】エトヴィン ヴォルテリンク
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-258990(JP,A)
【文献】特開2017-049043(JP,A)
【文献】特開2021-032629(JP,A)
【文献】特開2009-192284(JP,A)
【文献】特開平07-098250(JP,A)
【文献】特開2005-300197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/36
G01J 3/18
G01J 3/14
G02B 13/00
G02B 13/18
G03B 11/00
H04N 25/10
H04N 23/10
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を該入射光の全てではなく一部を戻り光として反射するように構成された反射材料の細長ストリップを備える反射スリットアセンブリの上に集束させるように構成された第1のレンズであって、該反射材料の細長ストリップからの該戻り光を少なくとも部分的に平行化するように構成された前記第1のレンズと、
前記第1のレンズからの前記戻り光を反射するように構成された第1のミラーと、
前記第1のミラーからの前記戻り光を反射するように構成された第2のミラーと、
前記第1のミラーからの前記戻り光を波長の関数として分離するように構成された光学要素と、
前記光学要素からの前記戻り光を第1の検出器の上に集束させるように構成された第2のレンズであって、該第1の検出器が、該戻り光の強度を該第1の検出器上の2次元位置の関数として測定するように構成される前記第2のレンズと、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
前記第1の検出器によって測定された前記光の強度からハイパースペクトル画像を生成するように構成されたプロセッサ、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記第1のミラー、前記第1のレンズ、及び前記反射スリットアセンブリは、第1の光軸に沿って配置され、
前記第2のミラー、前記第2のレンズ、及び前記第1の検出器は、前記第1の光軸と平行である第2の光軸に沿って配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項4】
前記光学要素は、前記第2の光軸に沿って配置されることを特徴とする請求項3に記載のカメラ。
【請求項5】
前記光学要素は、透過回折格子であることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項6】
前記光学要素は、プリズムであることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項7】
前記反射材料の細長ストリップは、長さLと幅Wを有し、
前記長さLは、前記幅Wよりも大きく、
前記長さLは、第1の(X)方向に延び、
前記光学要素は、前記戻り光を前記第1の(X)方向と直交する第2の(Y)方向に波長の関数として分離するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項8】
前記光学要素は、前記第1の(X)方向に長手に延びる回折線を含むことを特徴とする請求項7に記載のカメラ。
【請求項9】
前記光学要素は、前記第2のミラーと前記第2のレンズの間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項10】
前記光学要素は、前記第1のミラーと前記第2のミラーの間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項11】
前記第1のミラーは、前記入射光を前記第1のレンズまで伝達するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項12】
前記第1のミラーは、50パーセントビームスプリッタであることを特徴とする請求項11に記載のカメラ。
【請求項13】
前記第1のレンズは、少なくとも4つの非球面を有するレンズスタックを備えることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項14】
前記第2のレンズは、少なくとも4つの非球面を有するレンズスタックを備えることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項15】
前記第1のレンズは、
2つの対向する凸球面を含む第1のレンズ構成要素、及び
前記第1のレンズ構成要素に対面する第1の凹面と第2の平坦面とを含む第2のレンズ構成要素、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項16】
前記第2のレンズは、
2つの対向する凸球面を含む第1のレンズ構成要素、及び
前記第1のレンズ構成要素に対面する第1の凹面と第2の平坦面とを含む第2のレンズ構成要素、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項17】
前記反射スリットアセンブリは、前記反射材料の細長ストリップの直近に光吸収材料を備えることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項18】
前記反射スリットアセンブリは、
前記第1のレンズによって集束された入射光の強度を第2の検出器上の2次元位置の関数として測定するように構成された当該第2の検出器、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項19】
前記第1の検出器によって測定された前記光の強度から及び前記第2の検出器によって測定された該光の強度から重ね合わせ画像を生成するように構成されたプロセッサ、
を更に備えることを特徴とする請求項18に記載のカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル撮像に関連し、より具体的には、プッシュ・ブルームハイパースペクトル撮像のための小型光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイパースペクトル撮像は、シーンの画像内の各ピクセルに関するスペクトルデータを収集する段階を伴う。スペクトルデータは、それが由来する空間場所(すなわち、ピクセル)と組み合わせて物体を見つけ出す、材料を識別する、又は工程を検出するのに使用することができる。3つの一般的タイプのスペクトル撮像器が存在する。経時的な空間走査を伴うプッシュ・ブルーム(ライン)スキャナ及びウィスク・ブルーム(ポイント)スキャナと、異なる波長で区域の画像を取得するスペクトル走査を伴う帯域連続スキャナと、画像を瞬時に発生させるのにアレイを使用するスナップショットハイパースペクトル撮像とが存在する。ハイパースペクトル撮像は、電磁スペクトルの広範な部分を使用して物体を注視する。ある一定の物体は、特に画像内の空間場所と組み合わされた時に電磁スペクトルに独特な「フィンガープリント」を残す。スペクトル特徴として公知のこれらの「フィンガープリント」は、走査されたシーンを構成する材料又は物体の識別を可能にする。
【0003】
プッシュ・ブルームハイパースペクトル撮像は、シーンのストリップを取り込み、スリット画像をプリズム又は格子を用いてスペクトル分散させてストリップからスペクトルデータを収集する段階を伴う。
図1は、シーン3のストリップ2からの光1がカメラ4によって取り込まれるプッシュ・ブルーム撮像概念を概念的に示している。この例での光1は、X方向にシーン3の寸法全体からかつ直交するY方向にシーン3の寸法の幅狭部分だけから発する。しかし、X方向にシーン寸法の一部のみの複数走査を行うことも可能である。光1は、
図2に概念的に示すように、1又は2以上のレンズ5によって平行化され、1又は2以上の光学要素6(例えば、回折格子、プリズムなど)を使用して波長によって分離され、かつ1又は2以上のレンズ8によって検出器7の上に集束される。いずれかの所与の時間にシーンからの光1のストリップのみを取り込むために、シーンからの光は、シーン3から発した全ての光のうちの光1部分のストリップのみを透過するレンズ5と検出器7間の光路に置かれた透過性ストリップ(図示せず)を通過する。シーンからの残りの光は、それが検出器7に到達しないように遮蔽される、散乱される、又は遠くに反射される。透過性ストリップは、例えば、光1のストリップが通過する細長開口(すなわち、スリット)を有する不透明シートとすることができる。検出器7は、画像のX方向寸法にわたる各位置に対して光1のストリップの波長成分の振幅を測定する。シーン3のストリップ2に対するこの空間及びスペクトルデータは、
図3に示すように、2つの空間次元(X,Y)と1つのスペクトル次元(λ)とを有するハイパースペクトルデータキューブ9とも呼ばれるハイパースペクトル画像に表すことができる。シーン3のストリップ2は、別々に走査され、ストリップからの空間/スペクトルデータは、
図4に示すように、互いに縫い合わされてシーン3の完全なハイパースペクトルデータキューブ9を生成する。キューブ内の各ピクセルに対するデータ値は、シーン3内の1つの空間場所で検出された特定の波長の値を表している。従来のプッシュ・ブルームハイパースペクトルカメラは、必要な多数の光学構成要素のために大きくかつ嵩高である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より簡単かつ小型の光学設計を利用するプッシュ・ブルームハイパースペクトル撮像デバイスに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の問題及び必要性は、入射光を反射スリットアセンブリの上に集束させるように構成された第1のレンズを含むカメラによって対処される。反射スリットアセンブリは、入射光の全てではなく一部を戻り光として反射するように構成された反射材料の細長ストリップを備える。第1のレンズは、反射材料の細長ストリップからの戻り光を少なくとも部分的に平行化するように構成される。第1のミラーは、第1のレンズからの戻り光を反射するように構成される。第2のミラーは、第1のミラーからの戻り光を反射するように構成される。光学要素は、第1のミラーからの戻り光を波長の関数として分離するように構成される。第2のレンズは、光学要素からの戻り光を第1の検出器の上に集束させるように構成される。第1の検出器は、戻り光の強度を第1の検出器上の2次元位置の関数として測定するように構成される。
【0006】
本発明の他の目的及び特徴は、本明細書、特許請求の範囲、及び添付図面の精査によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】従来のハイパースペクトルカメラの斜視図である。
【
図2】従来のハイパースペクトルカメラの概略図である。
【
図3】ハイパースペクトルデータキューブ内の単一ラインのピクセルのグラフィック表現を示す図である。
【
図4】ハイパースペクトルデータキューブ内の全てのピクセルのグラフィック表現を示す図である。
【
図7A】光を波長の関数として分離する光学要素としての回折格子の側面図である。
【
図7B】光を波長の関数として分離する光学要素としてのプリズムの側面図である。
【
図9】カメラの中に入射する光の経路を示すカメラの概略図である。
【
図10】カメラの内側の戻り光の経路を示すカメラの概略図である。
【
図11】カメラ内の波長の関数としての光の分離を示す概略図である。
【
図12】反射スリットアセンブリの代替例の斜視図である。
【
図13】反射スリットアセンブリの代替例の斜視図である。
【
図17】第1又は第2のレンズの代替例の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
シーンのストリップ画像から空間及びスペクトルデータを取り込むために簡単で小型の光学構成を利用するプッシュ・ブルームハイパースペクトル撮像デバイスタイプカメラを開示する。
図5は、入射瞳22と、第1のミラー24と、第1のレンズ26と、反射スリットアセンブリ28と、第2のミラー30と、光を波長の関数として分離する光学要素32と、第2のレンズ34と、(第1の)検出器36とを含むカメラ20の例を例示している。
【0009】
入射瞳22は任意であり、かつシーンからの光が通過する他は不透明材料である開口又は透過性材料とすることができる。第1のミラー24は、入射瞳22を通って入射する光の少なくとも一部が第1のミラー24を通過する(すなわち、伝達する)ことを可能にするように半透明である。第1のミラー24の非限定例は、いずれの方向から入射する光もそのうちの50パーセントを伝達し、50パーセントを反射する50パーセントスプリッタキューブ又は他のタイプの50パーセントビームスプリッタ又はミラーである。第1のレンズ26は、第1のミラー24からの光を反射スリットアセンブリ28の上に集束させる。反射スリットアセンブリ28(
図6により明確に示す)は、(第1の)X方向に長さLを有し、(第2の)Y方向に幅Wを有する(すなわち、(第1の)X方向は、(第2の)Y方向と直交する)反射材料の細長ストリップ40(本明細書ではミラーストリップ40とも呼ぶ)を除いて光吸収又は散乱材料38で製造された又はそれによって覆われた上面を有し、この場合に、長さLは、幅Wよりも大きい(すなわち、光吸収材料38は、ミラーストリップ40の直近にある)。好ましくは、ミラーストリップ40は、X方向には反射スリットアセンブリ28に到達する画像の寸法全体に適合するが、Y方向にはこの画像の小さい寸法のみが反射スリットアセンブリ28に到達するように構成され、この構成は、幅Wよりも大きい長さLを有することによって達成される。光吸収又は散乱材料38は、ミラーストリップ40を取り囲み、ミラーストリップ40によって反射されない光を吸収する又は散乱させるように位置決めされる。光吸収又は散乱材料38は、例えば、黒色クロム(酸化クロム)、酸化銀(Ag
2O)のような金属酸化物、エッチングされた無電解ニッケルリン、酸化鉄、黒色基質、炭素、誘電材料コーティング、セレン化銅(CuSe
5)、グラフェン、並びにアクターブラック、ベンタブラック、ダイヤモンドブラックADLC、及び陽極酸化面のような市販の黒色吸収材料とすることができる。ミラーストリップ40は、例えば、TiO
2、SiO
2、Ta
2O
5、Cr、Al、Au、Agのようないずれかの良好な光反射材料とすることができる。非限定例として幅Wは、例えば、1.5μmとすることができ、長さLは、例えば、3~5mmとすることができる(例えば、検出器36のX方向寸法と類似)。
【0010】
第1のミラー24は、ミラーストリップ40によって第2のミラー30に向けて反射された(かつ第1のレンズ26を通った)光の少なくとも一部を反射するように構成される。第2のミラー30は、第1のミラー24からの光を光学要素32に向けて反射し、光学要素32は、入射光を波長に基づいて異なる方向に分離する(例えば、回折又は屈折により)。非限定例として光学要素32は、
図7Aに示すように透過回折格子とすることができる。透過回折格子は、通過する光を光波長の関数として異なる角度で回折する周期構造体32bをその上又は中に有する透明基板32aを含むことができる。周期構造体32bは、例えば、X方向に長手に延びる1ミリメートル毎に500本の回折線(すなわち、細長リッジ及び/又はバレー)とすることができると考えられる。別の非限定例として光学要素32は、
図7Bに示すようにプリズムとすることができる。プリズムは、非平行側面32dを有する(X方向に見た時)透明基板32cを含むことができる。第2のレンズ34は、光学要素32からの光を検出器36の上に集束させる。検出器36は、カメラ20の光学要素によって生成された2次元画像をアレイ上の2次元位置の関数として光強度を測定することによって解像することができる2次元ピクセルセンサアレイ(すなわち、画像センサ)とすることができる。検出器36の非限定例は、2800平方μmのものであり、約1μm毎ピクセルの解像度(すなわち、ピクセルサイズ)を有する。検出器36からの出力信号は、プロセッサ70に提供される。
【0011】
第1及び第2のレンズ26/34は、互いに同一とすることができる。各第1及び第2のレンズ26/34の1つの非限定例は、
図8に示すように、2つのレンズ構成要素42が互いに積み重ねられ、従って、各レンズ26/34に対して4つの非球面44が存在するレンズスタックとすることができる。4よりも多い非球面44が望ましい場合に、2よりも多いレンズ構成要素42を互いに積み重ねることができる。各レンズ26/34の2つのレンズ構成要素42の寸法は互いに異なることが可能であり、及び/又は異なる材料で製造することができる(非限定例として、改善された色性能を達成するために、2つのレンズ構成要素42それぞれに対してアクリラートベースのポリマー及びエポキシベースのポリマーのような2つの異なるポリマー材料を使用することができる)。レンズ26/34は、PIM(プラスチック射出成形レンズ)、成形ガラス、機械加工及び研磨ガラス、ガラスレンズの組合せ(例えば、アクロマート)、ガラスレプリカレンズ、ウェーハレベル光学系、又はそのいずれかの組合せとすることができる。
【0012】
図9及び
図10に示すように、入射瞳22、第1のミラー24、第1のレンズ26、及び反射スリットアセンブリ28は、第1の光軸OA1に沿って配置され(各光学要素の少なくとも一部分がこの光軸上に位置付けられ)、第2のミラー30、光学要素32、第2のレンズ34、及び検出器36は、第2の光軸OA2に沿って配置される。必ずしもそうとは限らないが、好ましくは、光軸OA1とOA2は互いに平行である。そうすることにより、光学要素によって占有される空間が最小にされる(例えば、全ての光学要素が要するフットプリントを最小にすることを可能にする)という利点を提供する。同様に、それによって光学要素の設計も単純になる(例えば、それらは、ウェーハ内のレンズが同じピッチを有すると考えられるのでウェーハスケールで製造することができる)。
【0013】
作動において、走査されているシーンからの入射光50は、
図9に示すように、入射瞳22を通って(それが使用される場合)カメラ20に入射し、第1のミラー24を伝達し、第1のレンズ26によって反射スリットアセンブリ28の上に集束される。例えば、シーンの画像は、反射スリットアセンブリの2次元区域の上に集束される。反射スリットアセンブリの上に集束される光の殆どは吸収又は散乱される。しかし、ミラーストリップ40の上に集束される入射光50の部分は、
図10に示すように、戻り光52として反射される。ミラーストリップ40からの戻り光52(シーンの画像のストリップのみに対応する)は、第1のレンズ26を通過し、そこで平行化又は少なくとも部分的に平行化される。第1のレンズ26からの戻り光は、第1のミラー24によって第2のミラー30に向けて反射される。第1のミラー24からの戻り光は、第2のミラー30によって光学要素32に向けて反射される。光学要素32は、第1及び第2のミラー24/30からの戻り光52を波長に基づいてミラーストリップ40の長さ方向に直交する(すなわち、光がそこから発せられたシーンのストリップの長さ方向に直交する)方向に分離し、第2のレンズ34は、第1/第2のミラー24/30及び光学要素32からの戻り光を検出器36の上に集束させる。具体的には、光学要素32は、ミラーストリップ40の長さ方向が延びるX方向に直交するY方向に戻り光52を波長に基づいて分離するように構成される(
図6と
図10を比較されたい)。従って、カメラ20の光学構成は、光の元の空間場所を画像内でX方向に(ミラーストリップ40によって反射されたままに)保存し、一方でX方向に沿ういずれかの所与の場所に対して光の色成分をY方向に分離する。この結果を
図11に例示しており、この図では、ミラーストリップ40のX方向に沿う各場所に対して戻り光52の青色波長成分52bは、検出器36の上側部分(Y方向に対して)に向けられ、戻り光52の緑色波長成分52gは、検出器36の中心部分(Y方向に対して)に向けられ、戻り光52の赤色波長成分52rは、検出器36の下側部分(Y方向に対して)に向けられる。従って、検出器36に到達する画像の部分は、X方向には空間的に維持されるが、Y方向には波長によって分離される。画像は、光強度を検出器36上の2次元位置の関数として測定することによって検出器36によって取り込まれる。好ましくは、異なる光波長に対する異なる焦点距離を受け入れるために、検出器36は、青色波長成分52bを感受する検出器36の部分が赤色波長成分52rを感受する検出器36の部分よりも第2のレンズ34に近いように傾斜角θだけ傾斜される。非限定例として傾斜角θは4度とすることができる。ミラー30の角度は、光学要素32の回折角/屈折角に最も的確に適合するように選択することができることにも注意しなければならない。
【0014】
図9~
図11に示すように、走査されているシーンの画像内の単一幅狭ストリップからの光のみがいずれかの所与の時間に検出器36に向けられる。シーン全体を走査するために、カメラ20は、走査されているシーンに対して移動することができ、又は光学系を使用して入射光をカメラの光学系に対してシフトすることができ、それによって走査されているシーンの個々のストリップに対するデータを順番に取り込むことができる。カメラ20は、検出器36からの信号を処理するための例えば検出器36からの信号によって表される空間及びスペクトルデータを処理するためのプロセッサ70を含む(又はそれに接続する)ことができる。このデータ処理は、収集データを表し、かつ次に、走査されているシーンの個々のストリップから収集されたデータを互いに縫い合わせる段階を含む走査されているシーンを表すハイパースペクトルデータキューブ又は他のハイパースペクトル画像を生成する段階を含むことができる。データ処理は、シーン、シーン内の1又は2以上の物体、及び/又はシーン内の材料を識別するために空間及びスペクトルデータを既知の値のライブラリと比較する段階を含むことができる。
【0015】
図12は、反射スリットアセンブリ28が、透過性材料58及びミラーストリップ40によって覆われた(第2の)検出器60を含み、そのために第1のレンズ26によって反射スリットアセンブリ28の上に集束されているシーンの全画像を取り込んで測定することができる(光強度を検出器60上の2次元位置の関数として測定することにより)代替例を例示している。検出器60によって検出される画像は、ミラーストリップ40の場所に対応する細いストリップが欠損している場合が考えられる。望ましい場合に、画像の欠損ストリップは、隣接データから外挿すること、又は欠損している画像の部分を表す検出器36からの信号を使用することのいずれかによってプロセッサ70内で埋めることができる。
図13は、透過性材料58が除外された別の代替例を示している。
【0016】
波長分離は、戻り光52が第2のミラー30によって反射された後に行う必要はない。例えば、
図14に示すように(光学要素32の後の光線の簡易表現を使用しているが)、光学要素32は、
図5に示すように第2のミラー30と第2のレンズ34の間ではなく第1のミラー24と第2のミラー30の間に配置することができる。この例では、第1のミラー24からの戻り光52は、第2のミラー30によって反射される前に波長によって分離される。
【0017】
図15A及び
図15Bは、入射光50が第1のレンズ26に到達するのに第1のミラー24を超えて進行するように第1のミラー24が位置決めされた(例えば、第1のミラー24が直接的に入射瞳22と第1のレンズ26の間に配置されず、従って、入射光が第1のミラー24に当たることなく第1のレンズ26に進行することができる)代替例を例示している。第1のミラー24は、反射スリットアセンブリ28からの戻り光52の全てを反射するように位置決めされる。この光学構成の利点は、第1のミラー24を通過することによって引き起こされる入射光50の一部分の損失がないことである。入射光50は、第1のミラー24を完全に回避する。更に、第1のミラー24は、戻り光52の全て(又は事実上全て)を反射する高反射要素とすることができる。入射光50に対する光損失の回避(第1のミラー24を通過する必要がないことによる)と戻り光52に対する光損失の回避(戻り光52の一部のみを反射するように第1のミラー24の構成を回避することによる)の両方は、検出器36に到達する光のレベルを高める(すなわち、いずれのSN比も高める)ことになる。
図16A及び
図16Bは、光学要素32が第2のミラー30と第2のレンズ34の間ではなく第1のミラー24と第2のミラー30の間に配置されることを除いて
図15A及び
図15Bの光学構成を示している(光学要素32の後の光線の簡易表現を使用しているが)。
【0018】
図17は、第1のレンズ構成要素80及び第2のレンズ構成要素84を含む第1及び第2のレンズ26/34に対する別の非限定例を例示している。第1のレンズ構成要素80は、2つの対向する凸球面82を含む。第1のレンズ構成要素は、単一要素とすることができ、又は
図17に示すように互いに接着された2つの要素とすることができる。非限定例として第1のレンズ構成要素80は、タイプN-BAK4ガラスで形成することができる。非球面82は、無被覆とすることができ、又は被覆することができる(非限定例としてコーティングは、視野にわたる解像度を最適化することができる約0.03mm厚のアクリルポリマーとすることができる)。第2のレンズ構成要素84は、2つの対向面86及び88を含み、この場合に、面86は、凹非球面であり、第1のレンズ構成要素80に対面し、面88は平面である。非限定例として第2のレンズ構成要素84は、タイプN-SF11ガラスで形成することができる。面86及び88は、無被覆であるか又は被覆することができる。非限定例として第1のレンズ構成要素80と第2のレンズ構成要素84の合計の厚みは、約10mmとすることができる。
【0019】
カメラ20は多くの利点を有する。カメラは、2つのレンズ26/34(この場合に、レンズ26は、光を反射スリットアセンブリ28の上に集束させ、かつ反射スリットアセンブリ28から反射された光を集束させるように双方向に使用される)、2つのミラー、及び1つの折り返し設計のみを含み、それによって光学構成要素は、2つの平行な光軸上に配置される。従って、カメラのサイズは、比較的小さくすることができ、カメラ20をウェアラブルにすること、又はセル電話のようなモバイルデバイスの中に組み込むことを可能にする。カメラ20は、可動部品を持たず、光路を簡素化し、電力消費量を低減し、かつ高い信頼性を提供する。光学系は、より大きくてより多数の光学構成要素を有する他のカメラシステムと比較して高い解像度を与える。反射スリットアセンブリ28の使用は、ミラーストリップ40によって光学要素32及び検出器36に反射される光を遮蔽することなく第1の光軸OA1に沿って位置決めされた任意的な検出器60の包含を可能にする。プロセッサ70は、検出器36と検出器60との両方からのデータを組み合わせて通常画像(検出器60からの)とハイパースペクトル画像(検出器36からの)との重ね合わせ画像を生成することができる。
【0020】
本発明は、上述して本明細書に示した例に限定されず、いずれの特許請求の範囲にも収まるいずれの及び全ての変形も包含することは理解されるものとする。例えば、本明細書での本発明への言及は、いずれの特許請求の範囲又は主張条項の範囲も限定するように意図しておらず、むしろ代わりに特許請求の範囲の1又は2以上によって網羅される場合がある1又は2以上の特徴を参照するだけである。上述した材料、工程、及び数値例は、単に例示であり、特許請求の範囲を限定すると考えてはならない。
【符号の説明】
【0021】
22 入射瞳
24 第1のミラー
26 第1のレンズ
28 反射スリットアセンブリ
OA1 第1の光軸