(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー
(51)【国際特許分類】
H02M 7/487 20070101AFI20240117BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240117BHJP
H02H 7/122 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
H02M7/487
H02M7/48 M
H02H7/122 Z
(21)【出願番号】P 2022511070
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2020092056
(87)【国際公開番号】W WO2021031642
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】201910773027.7
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515249628
【氏名又は名称】サングロー パワー サプライ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】リウ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン ジアツァイ
(72)【発明者】
【氏名】シュー ジュン
【審査官】鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1937380(CN,A)
【文献】特表2018-530306(JP,A)
【文献】国際公開第2013/005498(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102624243(CN,A)
【文献】特開2016-226223(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109474197(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/487
H02M 7/48
H02H 7/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーであって、
2つのハーフバスコンデンサと少なくとも1つのブリッジアームを含み、
前記ブリッジアームは、フライングコンデンサ、2つの内側トランジスタユニット、2つの外側トランジスタユニット及び2つのクランプダイオードを含み、
前記フライングコンデンサの容量値は、
外側トランジスタユニットに短絡故障が発生した場合、内側トランジスタユニットに短絡故障が発生した場合、又はブリッジアームスルーが発生した場合、その電圧変動によってスイッチトランジスタが過電圧になることはないように、特定値以上に設定され、それにより、スイッチトランジスタユニットの過電圧損壊を回避し、
2つのハーフバスコンデンサは、同じコンデンサであり、2つのクランプダイオードは、同じダイオードであり、
2つのハーフバスコンデンサが直列接続され、2つのクランプダイオードが直列接続され、2つのクランプダイオードの接続点は、2つのハーフバスコンデンサの接続点に接続され、
直列接続された2つのハーフバスコンデンサの一端は、1つの前記内側トランジスタユニットの一端に接続され、当該接続点は、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側正極とし、
直列接続された2つのハーフバスコンデンサの他端は、1つの前記外側トランジスタユニットの一端に接続され、当該接続点は、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側負極とする、ことを特徴とするフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項2】
直列接続された2つのハーフバスコンデンサの一端は、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側正極として、前記ブリッジアーム内において、1つの前記外側トランジスタユニットを介して、1つの前記内側トランジスタユニットの一端と、前記フライングコンデンサの一端と、直列接続された2つのクランプダイオードのカソードとに接続され、
直列接続された2つのハーフバスコンデンサの他端は、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側負極として、前記ブリッジアーム内おいて、もう1つの前記外側トランジスタユニットを介して、もう1つの前記内側トランジスタユニットの一端と、前記フライングコンデンサの他端と、直列接続された2つのクランプダイオードのアノードとに接続され、
2つの内側トランジスタユニットの接続点は、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの1つの交流側ポートとする、ことを特徴とする請求項1に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項3】
前記特定値は、Isc*Tsc/(Kprt*V(BR)DSS-Vin_max/2)であり、
その中、Iscは、短絡期間における平均短絡電流であり、Tscは、短絡継続時間であり、V(BR)DSSは、スイッチトランジスタユニットにおけるスイッチトランジスタの破壊電圧であり、Vin_maxは、最大入力電圧であり、Kprtは、保険係数である、ことを特徴とする請求項1に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項4】
前記内側トランジスタユニットと前記外側トランジスタユニットはいずれも、短絡検出ユニット、制御スイッチ、隔離駆動ユニット及びスイッチトランジスタを含み、
前記短絡検出ユニットは、前記スイッチトランジスタに短絡が発生したことを検出した後、故障信号を生成して前記制御スイッチに送信するために用いられ、
前記制御スイッチは、前記短絡検出ユニットから送信された前記故障信号を受信したときに、前記スイッチトランジスタをオフになるように制御し、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのマイクロ制御ユニットMCUから送信された禁止又はイネーブルの駆動信号を受信したときに、対応する駆動信号を前記隔離駆動ユニットに出力するために用いられ、
前記隔離駆動ユニットは、対応する駆動信号に基づき、前記スイッチトランジスタをオフ又はオンになるように制御するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項5】
前記短絡検出ユニットは、前記スイッチトランジスタに短絡が発生したことを検出した後、前記MCUが禁止の駆動信号を各制御スイッチに出力して、対応する隔離駆動ユニットによって対応するスイッチトランジスタをオフするように、前記故障信号を前記MCUに送信するためにも用いられる、ことを特徴とする請求項4に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項6】
さらに、故障シーリングユニットを含み、
前記短絡検出ユニットは、前記スイッチトランジスタに短絡が発生したことを検出した後、前記故障シーリングユニットが禁止の駆動信号を各制御スイッチに出力して、対応する隔離駆動ユニットによって対応するスイッチトランジスタをオフするように、前記故障信号を前記故障シーリングユニットに送信するためにも用いられる、ことを特徴とする請求項4に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項7】
前記故障シーリングユニットは、前記故障信号を前記MCUに送信するためにも用いられる、ことを特徴とする請求項6に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項8】
さらに、電圧管理回路を含み、
前記電圧管理回路は、前記フライングコンデンサ型
NPC3レベルトポロジーの電源が投入された後、前記フライングコンデンサを充電するために用いられる、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項9】
前記電圧管理回路は、充電ブランチと充電駆動ユニットとを含み、
前記充電駆動ユニットは、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのMCUが所定の条件を満たしている場合、前記フライングコンデンサを充電するように前記充電ブランチを制御するために用いられ、
前記充電ブランチは、一端が前記フライングコンデンサに接続され、他端が前記
フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側正極又は直流側負極に接続される、ことを特徴とする請求項8に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項10】
前記所定の条件とは、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーが電源投入後の所定の時間内にあること、前記所定の時間が前記充電ブランチの時間定数の3倍よりも大きいことである、ことを特徴とする請求項9に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項11】
前記電圧管理回路はさらに、前記フライングコンデンサの両端の電圧をサンプリングし、サンプリングされた前記フライングコンデンサの両端の電圧を前記MCUに送信するためのサンプリングユニットを含み、
前記所定の条件とは、前記フライングコンデンサの両端の電圧が[(1-k)Vin/2、(1+k)Vin/2]の外にあること、又は、前記フライングコンデンサの両端の電圧が(1-k)Vin/2以下であることであり、
その中、Vinは、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側入力電圧であり、kは、フライングコンデンサ電圧の起動係数である、ことを特徴とする請求項9に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項12】
前記充電ブランチは、抵抗と制御可能なスイッチを含み、
前記抵抗と前記制御可能なスイッチは、直列接続され、
前記制御可能なスイッチの制御端は、前記充電駆動ユニットの出力端に接続される、ことを特徴とする請求項9に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項13】
前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのブリッジアームの数が偶数である場合、
ブリッジアームにおける充電ブランチの半分が、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側正極と対応するフライングコンデンサとの間に設けられ、
ブリッジアームにおける充電ブランチの残りの半分が、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側負極と対応するフライングコンデンサとの間に設けられる、ことを特徴とする請求項9に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【請求項14】
ヒカップシーリングの期間に、2つの外側トランジスタユニットのうちの1つが常に導通している、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年08月21日に中国特許庁に提出した、出願番号が201910773027.7であって、発明の名称が「フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー」である中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全内容を援用により本出願に組み込む。
【0002】
本発明は、回路短絡保護技術の分野に属し、より具体的には、特にフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、3レベルトポロジーは、その各スイッチトランジスタの電圧ストレスが入力電圧の半分に過ぎないため、高調波成分を効果的に低減しながら、出力波形の品質を向上させることができ、そのため、新エネルギー発電、軌道輸送などの高入力電圧の場面で、広く使用される。
【0004】
NPC(Neutral Point Clamp)3レベルトポロジーは、最も古典的で最も広く使用されている3レベルトポロジーである。
図1を参照し、1つのNPC3レベルブリッジアームが4つの逆導通型スイッチトランジスタと2つのクランプダイオードにより構成され、逆導通型スイッチトランジスタS1、S4は、外側トランジスタであり、逆導通型スイッチトランジスタS2、S3は、内側トランジスタである。逆導通型スイッチトランジスタは、MOSFET、又は、逆並列ダイオードを有するIGBTであってもよい。コンデンサCd1とCd2は、直列接続され、入力電圧Vinを二等分する。逆導通型スイッチトランジスタS1、S4はそれぞれクランプダイオードDc1、Dc2によってコンデンサCd1とCd2の両端にクランプされるため、外側トランジスタS1とS4の電圧は、Vin/2を超えない。NPC3レベルトポロジーは、内側トランジスタS2とS3に対するクランプ作用がなく、外側トランジスタが内側トランジスタより遅れてオンし、内側トランジスタより先にオフするというロジックによって、内側トランジスタ電圧がVin/2を超えないことを確保する必要がある。
【0005】
しかし、NPC3レベルトポロジーに短絡が発生した場合、正常動作時のスイッチロジックが破壊され、NPC3レベルトポロジーは、内側トランジスタに対するクランプ作用がなく、内側トランジスタに過電圧損壊を引き起こす可能性があり、ひいては、ブリッジアーム全体ないし回路全体の損壊を引き起こす。NPC3レベルトポロジーが全ての短絡状況に対して効果的な保護を実現することができず、また、内側トランジスタに短絡が発生した後、一定時間遅延してオフしなければならず、それにより、スイッチトランジスタが損壊する可能性が高くなり、回路の安全性を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに鑑みて、本発明の目的は、スイッチトランジスタの過電圧損壊の可能性を低減し、回路の安全性を向上させるためのフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーを開示しており、
2つのハーフバスコンデンサと少なくとも1つのブリッジアームを含み、
前記ブリッジアームは、フライングコンデンサ、2つの内側トランジスタユニット、2つの外側トランジスタユニット及び2つのクランプダイオードを含み、
前記フライングコンデンサの容量値は、特定値以上であり、
2つのハーフバスコンデンサは、同じコンデンサであり、2つのクランプダイオードは、同じダイオードである。
【0008】
好ましくは、2つのハーフバスコンデンサが直列接続され、2つのクランプダイオードが直列接続され、
2つのクランプダイオードの接続点は、2つのハーフバスコンデンサの接続点に接続され、
直列接続された2つのハーフバスコンデンサの一端は、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側正極として、前記ブリッジアーム内において、1つの外側トランジスタユニットを介して、1つの内側トランジスタユニットの一端と、前記フライングコンデンサの一端と、直列接続された2つのクランプダイオードのカソードとに接続され、
直列接続された2つのハーフバスコンデンサの他端は、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側負極として、前記ブリッジアーム内において、もう1つの外側トランジスタユニットを介して、もう1つの内側トランジスタユニットの一端と、前記フライングコンデンサの他端と、直列接続された2つのクランプダイオードのアノードとに接続され、
2つの内側トランジスタユニットの接続点は、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの1つの交流側ポートとする。
【0009】
好ましくは、前記特定値は、Isc*Tsc/(Kprt*V(BR)DSS-Vin_max/2)であり、
その中、Iscは、短絡期間における平均短絡電流であり、Tscは、短絡継続時間であり、V(BR)DSSは、スイッチトランジスタユニットにおけるスイッチトランジスタの破壊電圧であり、Vin_maxは、最大入力電圧であり、Kprtは、保険係数である。
【0010】
好ましくは、前記内側トランジスタユニットと前記外側トランジスタユニットはいずれも、短絡検出ユニット、制御スイッチ、隔離駆動ユニット及びスイッチトランジスタを含み、
前記短絡検出ユニットは、前記スイッチトランジスタに短絡が発生したことを検出した後、故障信号を生成して前記制御スイッチに送信するために用いられ、
前記制御スイッチは、前記短絡検出ユニットから送信された前記故障信号を受信したときに、前記スイッチトランジスタをオフになるように制御し、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのマイクロ制御ユニットMCUから送信された禁止又はイネーブルの駆動信号を受信した場合、対応する駆動信号を前記隔離駆動ユニットに出力するために用いられ、
前記隔離駆動ユニットは、対応する駆動信号に基づき、前記スイッチトランジスタをオフ又はオンになるように制御するために用いられる。
【0011】
好ましくは、前記短絡検出ユニットは、前記スイッチトランジスタに短絡が発生したことを検出した後、前記MCUが禁止の駆動信号を各制御スイッチに出力して、対応する隔離駆動ユニットによって、対応するスイッチトランジスタをオフするように、前記故障信号を前記MCUに送信するためにも用いられる。
【0012】
好ましくは、さらに、故障シーリングユニットを含み、
前記短絡検出ユニットは、前記スイッチトランジスタに短絡が発生したことを検出した後、前記故障シーリングユニットが禁止の駆動信号を各制御スイッチに出力して、対応する隔離駆動ユニットによって、対応するスイッチトランジスタをオフするように、前記故障信号を前記故障シーリングユニットに送信するためにも用いられる。
【0013】
好ましくは、前記故障シーリングユニットは、前記故障信号を前記MCUに送信するためにも用いられる。
【0014】
好ましくは、さらに、電圧管理回路を含み、
前記電圧管理回路は、前記フライングコンデンサ型3レベルトポロジーの電源が投入された後、前記フライングコンデンサを充電するために用いられる。
【0015】
好ましくは、前記電圧管理回路は、充電ブランチと充電駆動ユニットとを含み、
前記充電駆動ユニットは、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのMCUが所定の条件を満たしている場合、前記充電ブランチが前記フライングコンデンサを充電するように制御するために用いられ、
前記充電ブランチは、一端が前記フライングコンデンサに接続され、他端が前記ライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側正極又は直流側負極に接続される。
【0016】
好ましくは、前記所定の条件とは、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーが、電源投入後の所定の時間内にあること、前記所定の時間が前記充電ブランチの時間定数の3倍よりも大きいことである。
【0017】
好ましくは、前記電圧管理回路はさらに、前記フライングコンデンサの両端の電圧をサンプリングし、サンプリングされた前記フライングコンデンサの両端の電圧を前記MCUに送信するためのサンプリングユニットを含み、
前記所定の条件とは、前記フライングコンデンサの両端の電圧が[(1-k)Vin/2、(1+k)Vin/2]の外にあること、又は、前記フライングコンデンサの両端の電圧が(1-k)Vin/2以下であることであり、
その中、Vinは、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側入力電圧であり、kは、フライングコンデンサ電圧の起動係数である。
【0018】
好ましくは、前記充電ブランチは、抵抗と制御可能なスイッチを含み、
前記抵抗と前記制御可能なスイッチは、直列接続され、
前記制御可能なスイッチの制御端は、前記充電駆動ユニットの出力端に接続される。
【0019】
好ましくは、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのブリッジアームの数が偶数である場合、
ブリッジアームにおける充電ブランチの半分が、前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側正極と対応するフライングコンデンサとの間に設けられ、
ブリッジアームにおける充電ブランチの残りの半分が前記フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側負極と対応するフライングコンデンサとの間に設けられる。
【0020】
好ましくは、ヒカップシーリングの期間に、2つの外側トランジスタユニットのうちの1つが常に導通している。
【0021】
上記の技術案から分かるように、本出願が提供するフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーにおいて、2つのハーフバスコンデンサと少なくとも1つのブリッジアームを含み、ブリッジアームは、フライングコンデンサ、2つの内側トランジスタユニット、2つの外側トランジスタユニット及び2つのクランプダイオードを含み、フライングコンデンサの容量値は特定値よりも大きい。フライングコンデンサは、2つの内側トランジスタユニットに対するクランプ作用を有し、また、フライングコンデンサの容量値が比較的大きいため、どのような短絡故障が発生しても、その電圧変動によってスイッチトランジスタが過電圧になることはなく、それにより、スイッチトランジスタユニットの過電圧損壊を回避し、回路の安全性をさらに向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】従来技術によるNPC3レベルトポロジーの概略図である。
【
図2】本出願の実施例によるフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの概略図である。
【
図3】本出願の実施例によるフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーにおけるスイッチトランジスタユニットの概略図である。
【
図4】本出願の実施例によるフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーにおける故障シーリングユニットの概略図である。
【
図5】本出願の実施例によるフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーにおける電圧管理ユニットの概略図である。
【
図6】本出願の実施例によるフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーにおける他の電圧管理ユニットの概略図である。
【
図7】
図7aは、本出願の実施例によるフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーにおける他の電圧管理ユニットの概略図であり、
図7bは、本出願の実施例によるフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーにおける他の電圧管理ユニットの概略図である。
【
図8】本出願の実施例によるフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーにおけるサンプリングユニットの概略図である。
【
図9】本出願の実施例によるフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの他の概略図である。
【
図10】従来技術によるNPC3レベルトポロジーのヒカップ期間における各スイッチトランジスタユニットの波形図である。
【
図11】本出願の実施例によるフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのヒカップ期間における各スイッチトランジスタユニットの波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本出願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本出願の実施例における図面に基づいて、本出願の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明された実施例は、全ての実施例ではなく、本出願の実施例の一部にすぎない。本出願における実施例に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られた他の全ての実施例は、本出願の保護の範囲に属する。
【0024】
本出願において、「含む」、「包含」という用語又はそれらの任意の変形は非排他的な包含をカバーすることを意図しているので、一連の要素を含むプロセス、方法、製品又はデバイスはそれらの要素だけでなく、明示的に列挙されない他の要素、又はこのプロセス、方法、製品又はデバイスに固有の要素も含む。それ以上の制限がない場合、「1つ……を含む」という文で制限される要素は、その要素を含むプロセス、方法、製品、又はデバイスに他の同じ要素があることを排除しない。
【0025】
本発明の実施例は、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーを開示しており、全ての短絡状況に対して効果的な保護を実現することができず、また、内側トランジスタに短絡が発生した後、一定時間遅延してオフしなければならず、それにより、スイッチトランジスタが損壊される可能性が高くなり、回路の安全性を低下させるという問題を解決するためのものである。
【0026】
図2を参照し、当該フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーは、2つのハーフバスコンデンサ(第1のコンデンサCd1、第2のコンデンサCd2)と少なくとも1つのブリッジアーム210を含み、ブリッジアーム210は、2つのクランプダイオード(第1のダイオードDc1、第2のダイオードDc2)、2つの外側トランジスタユニット(第1のスイッチトランジスタユニットS1、第4のスイッチトランジスタユニットS4)、2つの内側トランジスタユニット(第2のスイッチトランジスタユニットS2、第3のスイッチトランジスタユニットS)及びフライングコンデンサCssを含む。
【0027】
第1のコンデンサCd1の一端は、第1のスイッチトランジスタユニットS1の一端に接続され、接続点は、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側正極とする。第1のコンデンサCd1の他端は、第2のコンデンサCd2の一端と、第1のダイオードDc1のアノードと、第2のダイオードDc2のカソードとにそれぞれ接続されている。
【0028】
第2のコンデンサCd2の他端は、第4のスイッチトランジスタユニットS4の一端に接続され、接続点は、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側負極とする。そのため、第1のコンデンサCd1と第2のコンデンサCd2は直流側入力電圧を二等分して、第1のコンデンサCd1と第2のコンデンサCd2の両端の電圧はいずれも直流側入力電圧の半分である。
【0029】
フライングコンデンサCssの一端は、第1のダイオードDc1のカソードと第1のスイッチトランジスタユニットS1の他端と第2のスイッチトランジスタユニットS2の一端とにそれぞれ接続されている。フライングコンデンサCssの他端は、第2のダイオードDc2のアノードと第4のスイッチトランジスタユニットS4の他端と第3のスイッチトランジスタユニットS3の一端とにそれぞれ接続されている。したがって、フライングコンデンサCssは、第2のスイッチトランジスタユニットS2と第3のスイッチトランジスタユニットS3の電圧を直流側出力電圧の半分にクランプする。
【0030】
そのため、外側トランジスタユニットが内側トランジスタユニットより先にオフする必要がなくなり、第2のスイッチトランジスタユニットS2に短絡が発生したことが検出された場合、第2のスイッチトランジスタユニットS2が直ちにオフし、第1のスイッチトランジスタユニットS1がオフになるのを待ってからオフする必要がない。第1のスイッチトランジスタユニットS1及び第4のスイッチトランジスタユニットS4を外側トランジスタユニットと見なし、第2のスイッチトランジスタユニットS2及び第3のスイッチトランジスタユニットS3を内側トランジスタユニットと見なす。
【0031】
第2のスイッチトランジスタユニットS2の他端は、第3のスイッチトランジスタユニットS3の他端に接続され、接続点は、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの1つの交流側ポートとする。
【0032】
フライングコンデンサCssの容量値は、特定値以上であり、第1のコンデンサCd1と第2のコンデンサCd2は、同じコンデンサであり、第1のダイオードDc1と第2のダイオードDc2は、同じダイオードであり、第1のスイッチトランジスタユニットS1、第2のスイッチトランジスタユニットS2、第3のスイッチトランジスタユニットS3及び第4のスイッチトランジスタユニットS4は、同じスイッチトランジスタユニットである。
【0033】
フライングコンデンサCssの容量値が特定値よりも大きいことにより、外側トランジスタユニットに短絡故障が発生した場合、その電圧が内側トランジスタユニットの破壊電圧を超えないこと、内側トランジスタユニットに短絡故障が発生した場合、直流側入力電圧とその電圧との差が外側トランジスタユニットの破壊電圧を超えないことが保証される。
【0034】
実際の応用では、上記の特定値はIsc*Tsc/(k*V(BR)DSS-Vin_max/2)であってもよい。Iscは、短絡期間における平均短絡電流であり、Tscは、短絡継続時間であり、V(BR)DSSは、スイッチトランジスタユニットにおけるスイッチトランジスタの破壊電圧であり、Vin_maxは、最大入力電圧であり、kは、保険係数である。
【0035】
もちろん、当該特定値は、当該式Isc*Tsc/(k*V(BR)DSS-Vin_max/2)によって算出された値よりも大きい任意の値であってもよく、具体的には、実際のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの使用シーンに応じて決定され、いずれも本出願の保護範囲内にある。
【0036】
短絡継続時間とは、スイッチトランジスタの短絡故障から、故障が完全に除去されるまでに必要な時間であり、スイッチトランジスタの電流の大きさを計算基準とする。具体的には、短絡故障が発生する前に、スイッチトランジスタの電流は、ゼロ又は正常動作時の電流に等しく、短絡故障の期間に、スイッチトランジスタの電流が急激に増加し、短絡検出ユニットが短絡故障を検出して、スイッチトランジスタをオフさせ、スイッチトランジスタ電流が徐々にゼロに減少し、したがって、短絡継続時間は、スイッチトランジスタ電流が急激に増加してからゼロに減少するまでの時間を指すことができる。当該短絡継続時間は、短絡検出ユニット、故障シーリングユニット及び隔離駆動ユニットなどの反応速度に関連しており、実際の状況に応じて決定する必要がある。
【0037】
スイッチトランジスタが短絡故障によって損壊されないことを保証するために、使用されるスイッチトランジスタがMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である場合、短絡継続時間は、3usよりも小さく、使用されるスイッチトランジスタがIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である場合に、短絡継続時間は10usよりも小さい。
【0038】
Iscは、短絡継続期間におけるスイッチトランジスタの平均電流であり、フライングコンデンサCssの平均電流にもほぼ等しいため、スイッチトランジスタの平均電流をフライングコンデンサCssの平均電流とすることができる。
【0039】
具体的には、Isc*Tsc/(k*V(BR)DSS-Vin_max/2)である特定値を取得するための導出過程は以下のとおりである。
【0040】
短絡が発生した場合、フライングコンデンサCssの電圧の計算式は以下のとおりである。
△U=Isc*Tsc/Cs(1)
【0041】
その中、ΔUは、フライングコンデンサCssの電圧変化量であり、Csは、フライングコンデンサCssの容量値である。
【0042】
スイッチトランジスタユニットにおけるスイッチトランジスタの過電圧破壊を回避するために、ΔUは以下の関係を満たすべきである。
△U≦k*V(BR)DSS-Vin_max/2 (2)
【0043】
その中、V(BR)DSSは、スイッチトランジスタユニットにおけるスイッチトランジスタの破壊電圧であり、kの値は一般的に、70%~90%の範囲内にある。
【0044】
式(1)、(2)を組み合わせると、Cs≧Isc*Tsc/(k*V(BR)DSS-Vin_max/2)が得られるため、特定値は、Isc*Tsc/(k*V(BR)DSS-Vin_max/2)である。
【0045】
なお、寄生インダクタンスの存在により、スイッチトランジスタユニットは、オフする場合、受ける最大電圧値がフライングコンデンサCssの電圧値よりも大きく、そのため、フライングコンデンサCssの容量値が設計時に一定の余裕を残すことで、スイッチトランジスタが過電圧によって損壊しないことが保証される。
【0046】
本実施例では、第1のスイッチトランジスタユニットS1と第4のスイッチトランジスタユニットS4を外側トランジスタユニットと見なし、第2のスイッチトランジスタユニットS2と第3のスイッチトランジスタユニットS3を内側トランジスタユニットと見なす。ここで、内側トランジスタユニット及び/又は外側トランジスタユニットのいずれかが故障して短絡が発生した場合に、フライングコンデンサ3レベルトポロジーの保護プロセスは、以下のとおりである。
【0047】
内側トランジスタユニットのうちのいずれかのスイッチトランジスタユニットが故障して短絡が発生した場合、フライングコンデンサCssは、充電又は放電及びダイオードのクランプ作用を行うことにより、いずれかのスイッチトランジスタユニットの過電圧損壊を回避する。例えば、第1のスイッチトランジスタユニットS1と第2のスイッチトランジスタユニットS2が導通する期間に、第3のスイッチトランジスタユニットS3は、その駆動信号が干渉されることによって誤って導通し、この場合、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーに短絡が発生し、そのため、フライングコンデンサCssは、第2のスイッチトランジスタユニットS2と第3のスイッチトランジスタユニットS3によって短絡され、フライングコンデンサCssは、第2のスイッチトランジスタユニットS2と第3のスイッチトランジスタユニットS3を介して放電し、フライングコンデンサCssの電圧は、小さくなる。
【0048】
このとき、第2のダイオードDc2は、第4のスイッチトランジスタユニットS4の電圧を第2のコンデンサCd2の両端にクランプし、即ち、第4のスイッチトランジスタユニットS4の電圧が直流側入力電圧の半分に保持されるため、第4のスイッチトランジスタユニットS4の電圧がそれを破壊することに至らない。
【0049】
外側トランジスタユニットのうちのいずれかのスイッチトランジスタユニットが故障して短絡が発生した場合、フライングコンデンサCssは充電又は放電を行うことにより、いずれかのスイッチトランジスタユニットの過電圧損壊を回避する。例えば、第1のスイッチトランジスタユニットS1と第2のスイッチトランジスタユニットS2が導通する期間に、第4のスイッチトランジスタユニットS4は、その駆動信号が干渉されることによって誤って導通し、この場合、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーに短絡が発生し、そのため、フライングコンデンサCssは、第1のスイッチトランジスタユニットS1と第4のスイッチトランジスタユニットS4を介して直流側の正極と負極に短絡され、フライングコンデンサCssが充電され、つまり、フライングコンデンサCssの電圧が増大する。第3のスイッチトランジスタユニットS3の電圧がフライングコンデンサの電圧に等しく、且つ、フライングコンデンサの容量値が特定値よりも大きく、これにより、フライングコンデンサの電圧がスイッチトランジスタの破壊電圧を超えないことが保証される。
【0050】
フライングコンデンサCssを導入することで、トポロジーが正常に動作する場合に内側トランジスタユニットの電圧を入力電圧の半分にクランプすることができるだけでなく、トポロジーに短絡故障が発生した場合に内側トランジスタの電圧が過電圧によって損壊しないことを保証することもでき、また、第1のコンデンサCd1と第2のコンデンサCd2の電圧のバランスをとり、内側トランジスタユニットのスイッチ回路を小さくし、オフ際の電圧ピークの作用を低減させることもできる。
【0051】
なお、第1のスイッチトランジスタユニットS1、第2のスイッチトランジスタユニットS2、第3のスイッチトランジスタユニットS3及び第4のスイッチトランジスタユニットS4がいずれも正常に動作する場合、フライングコンデンサCssの両端の電圧は直流側入力電圧の半分である。
【0052】
なお、フライングコンデンサCssの電圧がスイッチトランジスタユニットの短絡に伴って変化するため、フライングコンデンサCssの電圧を検出することによって、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーに短絡が発生したか否かを判断することができる。具体的には、フライングコンデンサCssの電圧が所定の範囲内にない場合、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーに短絡が発生していることを意味する。
【0053】
本実施例において、短絡されたスイッチトランジスタユニットによって、短絡状況を5種類に分けることができ、この5種類の状況はさらに、内側トランジスタ短絡、外側トランジスタ短絡及びブリッジアームスルーの3種類に分けることができ、表1に示すように、以下のとおりである。
【0054】
【0055】
短絡種類が内側トランジスタ短絡である場合、フライングコンデンサCssは、第2のスイッチトランジスタユニットS2及び第3のスイッチトランジスタユニットS3を介して放電する。短絡種類が外側トランジスタ短絡である場合、直流側入力電源は、第1のスイッチトランジスタユニットS1及び第4のスイッチトランジスタユニットS4を介してフライングコンデンサCssを充電する。短絡種類がブリッジアームスルーである場合、フライングコンデンサCssは、充電回路と放電回路の両方があり、電圧偏向が不確定であるが、その電圧値が必ず外側トランジスタ短絡時の電圧値よりも低く、且つ内側トランジスタ短絡時の電圧値よりも高い。
【0056】
フライングコンデンサCssの容量値が特定値よりも大きいため、内側トランジスタ短絡、外側トランジスタ短絡又はブリッジアームスルーが発生した場合、フライングコンデンサCssの電圧の変化は、いずれかのスイッチトランジスタユニットの過電圧損壊を引き起こさない。また、フライングコンデンサCssの電圧は、内側トランジスタのクランプ電圧として作用するため、内側トランジスタ短絡、外側トランジスタ短絡又はブリッジアームスルーにかかわらず、故障したスイッチトランジスタユニットはいずれも、直ちにオフし、外側トランジスタユニットが内側トランジスタユニットより先にオフになる必要はなくない。
【0057】
なお、上記では、NPC3レベルトポロジーを例として、それに基づいて、フライングコンデンサCssを追加し、実際の応用では、ANPC3レベルトポロジーに基づいて、フライングコンデンサCssを追加することもでき、その動作プロセスと原理は、上記のフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーと同じであるので、ANPC3レベルトポロジーに基づいてフライングコンデンサCssを追加したフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジー及び対応する実行プロセスと原理も、本出願の保護範囲内にある。
【0058】
本実施例において、フライングコンデンサCssが第2のスイッチトランジスタユニットS2と第3のスイッチトランジスタユニットS3に対するクランプ作用を有し、且つ、フライングコンデンサCssの容量値が特定値よりも大きいため、フライングコンデンサCssの電圧がいずれかのスイッチトランジスタユニットの過電圧損壊を引き起こさなく、第2のスイッチトランジスタユニットS2又は第3のスイッチトランジスタユニットS3のいずれかが短絡した場合、第2のスイッチトランジスタユニットS2又は第3のスイッチトランジスタユニットS3は、過電圧によって損壊されることなく、それにより、スイッチトランジスタユニットの過電圧損壊を回避し、回路の安全性をさらに向上させる。
【0059】
好ましくは、本発明の上記の実施例の
図2に係る第1のスイッチトランジスタユニットS1、第2のスイッチトランジスタユニットS2、第3のスイッチトランジスタユニットS3及び第4のスイッチトランジスタユニットS4における各スイッチトランジスタユニットは、
図3を参照し、短絡検出ユニット310と、制御スイッチ320と、隔離駆動ユニット330と、スイッチトランジスタ340と、を含む。
【0060】
短絡検出ユニット310は、スイッチトランジスタ340に短絡が発生したことを検出した後、故障信号を生成して制御スイッチ320に送信するために用いられる。
【0061】
制御スイッチ320は、短絡検出ユニット310から送信された故障信号を受信した場合、スイッチトランジスタ340をオフになるように制御し、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのマイクロ制御ユニットMCUから送信された禁止又はイネーブルの駆動信号を受信した場合、対応する駆動信号を隔離駆動ユニット330に出力するために用いられる。
【0062】
隔離駆動ユニット330は、対応する駆動信号に基づいてスイッチトランジスタ340をオフ又はオンになるように制御するために用いられる。
【0063】
具体的には、短絡検出ユニット310は、スイッチトランジスタ340に短絡が発生したことを検出した後、故障信号を生成して制御スイッチ320の制御端に送信し、制御スイッチ320の制御端が故障信号を受信した後、制御スイッチ320は、スイッチトランジスタ340をオフになるように制御する。
【0064】
同時に、制御スイッチ320は、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのマイクロ制御ユニットMCUから送信された禁止又はイネーブルの駆動信号を受信した場合、対応する駆動信号を隔離駆動ユニット330に出力し、隔離駆動ユニット330は、対応する駆動信号を受信した後、スイッチトランジスタ340をオフ又はオンになるように制御。
【0065】
なお、隔離駆動ユニット330は、駆動信号を受信した後、まず、当該駆動信号を隔離して増幅し、次に、当該駆動信号に基づいてスイッチトランジスタ340を駆動する。具体的には、隔離駆動ユニット330は禁止の駆動信号を受信した後、まず、禁止の駆動信号を隔離して増幅し、次に、対応するスイッチトランジスタ340をオフになるように制御し、しかしながら、イネーブルの駆動信号を受信した後、まず、イネーブルの駆動信号を隔離して増幅し、次に、対応するスイッチトランジスタ340をオンになるように制御する。
【0066】
実際の応用では、短絡検出ユニット310は、対応するスイッチトランジスタ340の電流を検出することによって、スイッチトランジスタ340の短絡を検出したか否かを判断することができる。
【0067】
具体的には、短絡が発生した場合、短絡回路における電流は、正常動作時の電流よりも遥かに大きく、このときに、短絡検出ユニット310は、対応するスイッチトランジスタ340の電流が閾値よりも大きいことを検出したことで、当該スイッチトランジスタ340に短絡が発生したことが検出されることを確定し、それに応じて故障信号を生成して送信する操作を実行する。
【0068】
本実施例では、ハードウェア制御の方がソフトウェア制御よりも処理時間が短いため、短絡検出ユニット310は、制御スイッチ320を介して、隔離駆動ユニット330に禁止の駆動信号を出力し、それにより、スイッチトランジスタ340をオフになるように制御するのに必要な時間が比較的短く、それに応じて、スイッチトランジスタ340は、短絡からオフになるまでの時間が短く、転送とロジック判断遅延が回避され、保護速度がより速く、それにより、短絡が発生したスイッチトランジスタ340の過電流損壊の可能性を低減する。
【0069】
実際の応用では、
図3に係る短絡検出ユニット310は、スイッチトランジスタ340に短絡が発生したことと検出した後、MCUが禁止の駆動信号を各スイッチトランジスタユニット内の制御スイッチ320に出力して、対応する隔離駆動ユニット330によって、対応するスイッチトランジスタ340をオフするように、故障信号をMCUに送信するためにも用いられる。
【0070】
具体的には、短絡検出ユニット310は、スイッチトランジスタ340が故障したことを検出した場合、故障信号を生成して、制御スイッチ320とMCUに送信し、制御スイッチ320は、短絡検出ユニット310から送信された故障信号を受信した後、スイッチトランジスタ340をオフになるように制御する。
【0071】
同時に、MCUは、短絡検出ユニット310から送信された故障信号を受信した後、各スイッチトランジスタユニットにおける制御スイッチ320に禁止の駆動信号を送信し、各制御スイッチ320は、禁止の駆動信号を受信した後、禁止の駆動信号を対応する隔離駆動ユニット330に出力し、さらに、各隔離駆動ユニット330によって、対応するスイッチトランジスタ340をオフする。
【0072】
なお、このときに故障したスイッチトランジスタユニットの制御スイッチ320がオフ状態にあり、即ち、制御スイッチ320の入力端と出力端との間の接続が切断される場合、当該制御スイッチ320は、対応する駆動信号を出力することができない。しかし、このときに第1のスイッチトランジスタユニットS1のスイッチトランジスタ340は既にオフになったので、対応するスイッチトランジスタ340のオフに影響を与えない。
【0073】
例えば、第1のスイッチトランジスタユニットS1のスイッチトランジスタ340に短絡が発生した場合、第1のスイッチトランジスタユニットS1の短絡検出ユニット310は、当該スイッチトランジスタ340に短絡が発生したことを検出した後、故障信号を生成して第1のスイッチトランジスタユニットS1の制御スイッチ320とMCUに出力し、このときに、当該制御スイッチ320は、第1のスイッチトランジスタユニットS1のスイッチトランジスタ340をオフになるように制御する。
【0074】
同時に、MCUは、故障信号を受信した後、各スイッチトランジスタユニット(S1、S2、S3、S4)内の制御スイッチ320に禁止の駆動信号を送信し、各制御スイッチ320は、禁止の駆動信号を受信した後、禁止の駆動信号を対応する駆動隔離ユニット330に出力し、各隔離駆動ユニット330は、対応するスイッチトランジスタ340をオフにする。第1のスイッチトランジスタユニットS1の制御スイッチ320がオフ状態にある場合、第1のスイッチトランジスタユニットS1の隔離駆動ユニット330は、禁止の駆動信号を受信することができない。
【0075】
なお、スイッチトランジスタユニットはいずれも、対応するスイッチトランジスタ340が短絡されていることを検出することができ、故障検出が最も速い短絡検出ユニット310は故障信号をMCUに送信する。
【0076】
各スイッチトランジスタユニットにおけるスイッチトランジスタ340はいずれも2つの故障シーリング経路が存在する。一方の故障シーリング経路について、それ自体の短絡検出ユニット310は、短絡を検出した後、直接にシーリングし、他方の故障シーリング経路について、故障検出が最も速い短絡検出ユニット310がMCUに故障信号を送信した後、MCUによって全体シーリングされる。
【0077】
故障除去時間は、そのうちの速い方によって決定される。ここで、第1のスイッチトランジスタユニットS1、第2のスイッチトランジスタユニットS2、第3のスイッチトランジスタユニットS3及び第4のスイッチトランジスタユニットS4がいずれも短絡に関与する(即ち、ブリッジアームスルー)ことを例として、第2のスイッチトランジスタユニットS2における短絡検出ユニット310が最も速く短絡を検出すると仮定すると、直ちに第2のスイッチトランジスタユニットS2の制御スイッチ320及び隔離駆動ユニット330によって、第2のスイッチトランジスタユニットS2のスイッチトランジスタ340をオフにする。
【0078】
同時に、第2のスイッチトランジスタユニットS2における短絡検出ユニット310は、MCUに故障信号を送信し、MCUがそれを受信した後、全体シーリング信号を送信し、これにより、各スイッチトランジスタユニットの制御スイッチ320と隔離駆動ユニット330によって、各スイッチトランジスタユニットのスイッチトランジスタ340をオフにする。
【0079】
なお、第2のスイッチトランジスタユニットS2のスイッチトランジスタ340がオフにされた後、第1のスイッチトランジスタユニットS1のスイッチトランジスタ340と第4のスイッチトランジスタユニットS4のスイッチトランジスタ340は依然として短絡状態にあり、MCUから送信された全体シーリング信号が到着する前に、第1のスイッチトランジスタユニットS1の短絡検出ユニット310が短絡故障を検出した場合、第1のスイッチトランジスタユニットS1は直ちにそれ自体の制御スイッチ320をオフにして、それ自体のスイッチトランジスタ340をオフにする。第2のスイッチトランジスタユニットS2と第1のスイッチトランジスタユニットS1がオフにされた後、短絡状態ではないので、第3のスイッチトランジスタユニットS3と第4のスイッチトランジスタユニットS4は、故障信号を生成せず、MCUから送信された全体シーリング信号によってオフにする。
【0080】
MCUは故障信号に対して対応するロジック判断を行うために一定の時間を必要があるので、一般的に、故障が検出されたスイッチトランジスタユニットの制御スイッチ320は、先にそれ自体の短絡検出ユニット310の故障信号を受信した後、MCUから送信された禁止の駆動信号を受信し、このときに、当該故障が検出されたスイッチトランジスタユニットのスイッチトランジスタ340が既にオフになっている場合、当該スイッチトランジスタ340をオフに維持するだけでよく、オフ動作を実行する必要がない。
【0081】
好ましくは、本発明の上記の実施例の
図3に加えて、本出願の他の実施例において、
図4を参照し、さらに、故障シーリングユニット410を含むことができる。
【0082】
短絡検出ユニット310は、スイッチトランジスタ340に短絡が発生したことを検出した後、故障シーリングユニット410が禁止の駆動信号を各スイッチトランジスタユニット内の制御スイッチ320に出力して、対応する隔離駆動ユニット330によって、対応するスイッチトランジスタ340をオフするように、故障信号を故障シーリングユニット410に送信するためにも用いられる。
【0083】
つまり、短絡検出ユニット310は、スイッチトランジスタ340に短絡が発生したことを検出した後、故障信号を故障シーリングユニット410及び対応する制御スイッチ320に送信する。
【0084】
具体的には、短絡検出ユニット310は、スイッチトランジスタ340が故障していることを検出した場合、故障信号を生成して、それ自体の制御スイッチ320及び故障シーリングユニット410に送信し、それ自体の制御スイッチ320は、故障信号を受信した後、スイッチトランジスタ340をオフになるように制御する。
【0085】
同時に、故障シーリングユニット410は、短絡検出ユニット310から送信された故障信号を受信した後、各スイッチトランジスタユニットにおける制御スイッチ320に禁止の駆動信号を送信し、続いて、各制御スイッチ320は、禁止の駆動信号を対応する隔離駆動ユニット330に出力し、各隔離駆動ユニット330は、対応するスイッチトランジスタ340をオフする。
【0086】
故障シーリングユニット410による各スイッチトランジスタユニットの制御はハードウェア制御であるため、故障シーリングユニット410の使用時間が短い。一般的に故障したスイッチトランジスタユニットの制御スイッチ320は、先にそれ自体の短絡検出ユニット310から送信された故障信号を受信した後、故障シーリングユニット410から送信された禁止の駆動信号を受信し、このときに、当該故障が発生したスイッチトランジスタユニットのスイッチトランジスタ340が既にオフになっている場合、当該スイッチトランジスタ340をオフに維持するだけでよく、オフ動作を実行する必要がない。
【0087】
もちろん、故障したスイッチトランジスタユニットの制御スイッチ320は、先に故障シーリングユニット410から送信された禁止の駆動信号を受信した後、それ自体の短絡検出ユニット310から送信された故障信号を受信する可能性があり、このときに、当該故障したスイッチトランジスタユニットのスイッチトランジスタ340が既にオフになっている場合、当該スイッチトランジスタ340をオフに維持するだけでよく、オフ動作を実行する必要がない。
【0088】
本実施例において、ハードウェア制御の処理時間がソフトウェア制御の処理時間より短いため、故障シーリングユニット410によって各スイッチトランジスタ340をオフになるように制御するために必要な時間は、比較的短く、それに応じて、短絡の発生を検出してから各スイッチトランジスタ340をオフにするまでに必要な時間が比較的短く、スイッチトランジスタ340の過電圧損壊の可能性を低減させ、それによって、当該フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの安全な動作が保証される。
【0089】
また、本実施例において、各短絡検出ユニット310は、MCUに接続されず、故障シーリングユニット410によって、MCUに故障信号を送信してもよい。具体的には、故障シーリングユニット410は、短絡を最も速く検出した短絡検出ユニット310から送信された故障信号を受信した後、当該故障信号をMCUに送信し、その結果、MCUは、警報などの他の操作を実行する。もちろん、実際の応用では、各短絡検出ユニット310とMCUとの間の接続関係が一種の冗長保護として保留されることは除外されない。
【0090】
なお、
図2から
図4までの実施例のいずれかに係るフライングコンデンサCss、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーは、長時間動作しない。このとき、フライングコンデンサCssの電圧は、0であり、この場合、フライングコンデンサ型3レベルトポロジーが直接起動すると、フライングコンデンサ型3レベルトポロジーによって発生された突入電流は、フライングコンデンサCss又はスイッチトランジスタユニットなどの他のデバイスに過電流損壊を引き起こす可能性がある。
【0091】
したがって、本発明の上記の実施例の
図2から
図4に加えて、本出願の他の実施例において、
図5(
図2に基づいて例として示される)を参照し、さらに、電圧管理回路510を含むことができる。
【0092】
電圧管理回路510は、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの電源が投入された後、フライングコンデンサCssを充電するために用いられる。
【0093】
具体的には、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの電源投入後、電圧管理回路510は、フライングコンデンサCssを充電するように直流側正極又は直流側負極を制御し、この場合、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーにおけるブリッジアーム210は、動作停止状態にあり、即ち、フライングコンデンサCssの電圧が所定の範囲内にあるか又はフライングコンデンサCssを充電する時間が特定時間以上になるまで、ブリッジアーム210における全てのスイッチトランジスタユニットはいずれもオフし、この場合、フライングコンデンサ型3レベルトポロジーにおけるブリッジアーム210は、起動動作状態にあり、即ち、ブリッジアーム210における全てのスイッチトランジスタユニットは、動作状態のスイッチロジックに基づいて、対応するオン又はオフを実行する。
【0094】
本実施例において、電圧管路回路510は、フライングコンデンサCssを充電するように直流側正極又は直流側負極を制御する。そのため、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーが起動するときに、フライングコンデンサCssの電圧が0よりも大きく、ことにより、突入電流によるフライングコンデンサへの損壊を低減する。
【0095】
好ましくは、本発明の上記の実施例の
図5に係る電圧管理ユニット510は、
図6を参照し、充電ブランチ610と充電駆動ユニット620を含む。
【0096】
充電駆動ユニット620は、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのMCUが所定の条件を満たしている場合、フライングコンデンサCssを充電するように充電ブランチ610を制御するために用いられる。充電ブランチ610は、一端がフライングコンデンサCssに接続され、他端がライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側正極又は直流側負極に接続される。
【0097】
具体的には、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのMCUが所定の条件を満たしている場合、充電駆動ユニット620は、充電ブランチ610を導通するように制御し、即ち、ライングコンデンサCssが充電ブランチ610を介して直流側正極又は直流側負極に接続され、このとき、直流側正極又は直流側負極がフライングコンデンサCssを充電する。
【0098】
フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのMCUが所定の条件を満たしていない場合、充電駆動ユニット620は、充電ブランチ610を切断するように制御し、即ち、フライングコンデンサCssが直流側正極又は直流側負極に接続できず、このとき、直流側正極又は直流側負極がフライングコンデンサCssへの充電を停止する。
【0099】
図7aを参照し、充電ブランチ610がフライングコンデンサCssと直流側負極との間に接続されたフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーを示す。したがって、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのMCUが所定の条件を満たしている場合、充電駆動ユニット620は充電ブランチ610を導通するように制御し、即ち、フライングコンデンサCssが充電ブランチ610を介して直流側負極に接続され、このとき、直流側負極がフライングコンデンサCssを充電する。
【0100】
図7bを参照し、充電ブランチ610がフライングコンデンサCssと直流側正極との間に接続されたフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーを示す。したがって、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのMCUが所定の条件を満たしている場合、充電駆動ユニット620は充電ブランチ610を導通するように制御し、即ち、フライングコンデンサCssが充電ブランチ610を介して直流側正極に接続され、このとき、直流側正極がフライングコンデンサCssを充電する。
【0101】
また、本実施例において、電圧管理ユニット510は、さらに、放電回路を含むことができ、充電駆動ユニット620は、フライングコンデンサを放電するように放電回路を制御し、放電回路はフライングコンデンサCssと並列接続される。
【0102】
具体的には、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのMCUが所定の条件を満たしている場合、充電駆動ユニット620は、フライングコンデンサCssを充電するように充電ブランチ610を制御し、フライングコンデンサCssへの放電を停止するように放電ブランチを制御し、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのMCUが所定の条件を満たしていない場合、充電駆動ユニット620は、フライングコンデンサCssへの充電を停止するように充電ブランチ610を制御し、フライングコンデンサCssを放電するように放電ブランチを制御する。
【0103】
実際の動作において、本発明の上記の実施例の
図6に係る所定の条件とは、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーが電源投入後の所定の時間内にあることである。所定の時間は、充電ブランチの時間定数の3倍よりも大きい。
【0104】
具体的には、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーが電源投入後の所定の時間内にある場合、充電駆動ユニット620は、フライングコンデンサCssを充電するように充電ブランチ610を制御する。フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーは、電源投入の時点で、MCUが充電駆動ユニット620にイネーブルの駆動信号を一回送信してもよく、電源投入後の所定の時間内に、MCUが特定時間ごとに充電駆動ユニット620にイネーブルの駆動信号を送信してもよい。
【0105】
しかしながら、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーが電源投入後の所定の時間外にある場合、充電駆動ユニット620は、フライングコンデンサCssへの充電を停止するように充電ブランチ610を制御する。フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーは、電源投入後の所定の時間外にある場合、MCUが充電駆動ユニット620に禁止の駆動信号を送信してもよい。
【0106】
本実施例において、所定の時間が充電ブランチの時間定数の3倍よりも大きいため、フライングコンデンサCssの電圧が所定の電圧に達したことを確定し、フライングコンデンサCssが突入電流によって損壊されないことがさらに保証され、それにより、突入電流によるフライングコンデンサCssへの損壊を低減する。
【0107】
好ましくは、本発明の上記の実施例の
図7に係る電圧管理ユニット510は、
図8を参照し、さらに、サンプリングユニット810を含むことができる。
【0108】
サンプリングユニット810は、フライングコンデンサCssの両端の電圧をサンプリングし、サンプリングされたフライングコンデンサCssの両端の電圧をMCUに送信するために用いられる。
【0109】
したがって、本実施例において、上記所定の条件とは、フライングコンデンサCssの両端の電圧が[(1-k)Vin/2,(1+k)Vin/2]の外にあること、又は、フライングコンデンサCssの両端の電圧が(1-k)Vin/2以下であることであってもよい。Vinは、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側入力電圧であり、kは、フライングコンデンサ電圧の起動係数である。kは、0~5%の間の任意の値であってよく、kは、10%であってもよい。
【0110】
具体的には、サンプリングユニット810は、フライングコンデンサCssの両端の電圧をサンプリングし、サンプリングされたフライングコンデンサCssの両端の電圧をMCUに送信し、MCUは、フライングコンデンサCssの両端の電圧が[(1-k)Vin/2,(1+k)Vin/2]の外にあると判断する場合、充電駆動ユニット620にイネーブルの駆動信号を送信し、続いて、充電駆動ユニット620は、フライングコンデンサCssを充電するように充電ブランチ610を制御し、又は、MCUは、フライングコンデンサCssの両端の電圧が(1-k)Vin/2以下であると判断する場合、充電駆動ユニット620にイネーブルの駆動信号を送信し、続いて、充電駆動ユニット620はフライングコンデンサCssを充電ように充電ブランチ610を制御する。
【0111】
しかしながら、MCUは、フライングコンデンサCssの両端の電圧が[(1-k)Vin/2、(1+k)Vin/2]内にあると判断する場合、充電駆動ユニット620に禁止の駆動信号を送信し、続いて、充電駆動ユニット620は、フライングコンデンサCssへの充電を停止するように充電ブランチ610を制御し、或いは、フライングコンデンサCssの両端の電圧が(1-k)Vin/2よりも大きい場合、MCUは充電駆動ユニット620に禁止の駆動信号を送信し、続いて、充電駆動ユニット620は、フライングコンデンサCssへの充電を停止するように充電ブランチ610を制御する。
【0112】
なお、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーが複数のフライングコンデンサCssを含む場合、この時点で、いずれかのフライングコンデンサCssの両端の電圧が所定の条件を満たすと、充電駆動ユニット620は、フライングコンデンサCssを充電するように充電ブランチ610を制御する。
【0113】
また、本発明の上記の実施例の
図6及び
図7に係る充電ブランチ610は、
図9を参照し、抵抗Rと制御可能なスイッチKを含み、抵抗Rと制御可能なスイッチKは直列接続される。
【0114】
実際の応用では、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーのブリッジアームの数が偶数である場合、ブリッジアームにおける充電ブランチ610の半分がフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側正極と対応するフライングコンデンサCssとの間に設けられ、ブリッジアームにおける充電ブランチ610の残りの半分がフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側負極と対応するフライングコンデンサCssとの間に設けられる。
【0115】
もちろん、全てのブリッジアームは単一の接続方式を採用してもよく、例えば、全てのブリッジアームについて、充電ブランチ610をフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側負極と対応するフライングコンデンサCssとの間に設けること、又は、充電ブランチをフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーの直流側正極と対応するフライングコンデンサCssとの間に設けることを採用する。
【0116】
本実施例において、以下のように、全てのブリッジアームが混合接続を採用する場合を例として説明する。
【0117】
第1のブリッジアーム910において、抵抗Rは、一端がフライングコンデンサCssに接続され、他端が制御可能なスイッチKの一端に接続され、制御可能なスイッチKの他端は第2のコンデンサCd2に接続され、その接続点は直流側負極である。第2のブリッジアーム920において、抵抗Rは、一端が第1のコンデンサCd1に接続され、その接続点は直流側正極であり、他端が制御可能なスイッチKの一端に接続され、制御可能なスイッチKの他端はフライングコンデンサCssに接続される。
【0118】
ここで、ブリッジアームの数が2つであることを例として説明し、ブリッジアームの数が他の偶数値である接続方式は、ブリッジアームの数が2つである接続方式と同じであり、ここで説明を省略し、以下のとおりである。
【0119】
第1のブリッジアーム910において、フライングコンデンサCss1の充電経路は、2つがあり、一方の充電経路については、直流側入力電源→第1のコンデンサCd1→第1のブリッジアーム910における第1のダイオードDc1→第1のブリッジアーム910におけるフライングコンデンサCss1→第1のブリッジアーム910における抵抗R→第1のブリッジアーム910における制御可能なスイッチKである。他方の充電経路については、第2のコンデンサCd2→第1のブリッジアーム910における第1のダイオードDc1→第1のブリッジアーム910におけるフライングコンデンサCss1→第1のブリッジアーム910における抵抗R→第1のブリッジアーム910における制御可能なスイッチKである。2つの充電経路から分かるように、第1のブリッジアーム910におけるフライングコンデンサCss1の充電プロセスにおいて、第1のコンデンサCd1は充電し、第2のコンデンサCd2は、放電する。
【0120】
類似的に、第2のブリッジアーム920において、フライングコンデンサCss2の充電経路は2つがあり、一方の充電経路については、第1のコンデンサCd1→第2のブリッジアーム920における抵抗R→第2のブリッジアーム920における制御可能なスイッチK→第2のブリッジアーム920におけるフライングコンデンサCss2→第2のブリッジアーム920における第2のダイオードDc4である。他方の充電経路については、直流側入力電源→第2のブリッジアーム920における抵抗R→第2のブリッジアーム920における制御可能なスイッチK→第2のブリッジアーム920におけるフライングコンデンサCss2→第2のブリッジアーム920における第2のダイオードDc4→第2のコンデンサCd2である。2つの充電経路から分かるように、第2のブリッジアーム920におけるフライングコンデンサCss2の充電プロセスにおいて、第1のコンデンサCd1は充電し、第2のコンデンサCd2は放電する。
【0121】
したがって、第1のコンデンサCd1が充電し、第2のコンデンサCd2が放電することにより、フライングコンデンサ(即ち、Css1とCss2)の充電が第1のコンデンサCd1と第2のコンデンサCd2の電圧バランスに影響を与えないことが保証される。
【0122】
また、本実施例において、ブリッジアーム910及び/又はブリッジアーム920は、さらに、放電抵抗(例えば、
図9におけるブリッジアーム910のRcss1、及びブリッジアーム920のRcss2)を含んでもよく、放電抵抗は、対応するフライングコンデンサと並列接続され、放電抵抗は対応するフライングコンデンサの両端に並列接続され、且つ、短絡故障が頻繁に発生しないため、故障後に一般的に速い起動を要求しない。放電抵抗の抵抗値は、非常に大きくてもよく、回路効率への影響は無視できる。
【0123】
なお、スイッチ損失を低減するために、軽負荷時に、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーは通常ヒカップモードで動作する。ヒカップモードは動作及びシーリングの2つの段階に分けられ、
図10を参照し、t0~t1期間は動作段階であり、t1~t2はシーリング段階である。動作段階では、スイッチトランジスタユニットはパルス変調状態で動作し、シーリング段階では、全てのスイッチトランジスタユニットの駆動はいずれも低レベルであり、動作を停止する。
【0124】
フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーがヒカップモードで動作する場合、直流側の入力源が太陽光発電パネルであれば、動作段階では、直流側の入力電圧Vinが低下するため、t1時点で、出力電力がゼロに等しく、直流側の入力電圧Vinが開回路電圧にジャンプし、続いて、t1~t2の期間では、直流側の入力電圧Vinが変化しない。
【0125】
ヒカップモードの場合、全てのフライングコンデンサ電圧の波形は同じであり、
図9を参照し、次に、以下のように、第1のブリッジアーム910におけるフライングコンデンサCss1の電圧Vcss1を例として説明する。
【0126】
動作段階では、フライングコンデンサCss1の電圧Vcss1は常にVin/2に等しいので、フライングコンデンサCss1の電圧Vcss1は直流側の入力電圧Vinと同期して低減し、シーリング段階では、全てのスイッチトランジスタユニットはいずれもオフになっているため、フライングコンデンサCss1は、フローティング状態にあり、フライングコンデンサCss1の電圧Vcss1はt1時点の値を維持している。
【0127】
時刻t0では、フライングコンデンサCss1の電圧Vcss1がVin/2よりも小さいため、第1のスイッチトランジスタユニットS1が導通されるときに、第1のコンデンサCd1→第1のスイッチトランジスタユニットS1→フライングコンデンサCss1→第2のダイオードDc2を介して、フライングコンデンサCss1を充電し、又は、第4のスイッチトランジスタユニットS4が導通されるときに、第2のコンデンサCd2→第1のダイオードDc1→フライングコンデンサCss1→第4のスイッチトランジスタユニットS4を介して、フライングコンデンサCss1を充電する。電圧差が大きい場合、即ち、時刻t0では、当該電流は、パルス形状であり、且つ、振幅が大きく、そのため、第1のダイオードDc1、第2のダイオードDc2、第1のスイッチトランジスタユニットS1及び第4のスイッチトランジスタユニットS4を損壊する可能性がある。第2のブリッジアーム920と第1のブリッジアーム910の実行プロセス及び原理は類似しており、ここで説明を省略する。
【0128】
上記の問題を解決するために、
図2から
図9の実施例のいずれか1つのフライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーにおいて、ここで、
図2を例として説明し、ヒカップシーリングの期間に、第1のスイッチトランジスタユニットS1及び第4のスイッチトランジスタユニットS4のうちの1つは常に導通してもよい。例えば、ヒカップシーリングの期間に、第1のスイッチトランジスタユニットS1は常に導通しており、又は、第4のスイッチトランジスタユニットS4は常に導通している。
【0129】
図11を参照し、ヒカップシーリングの期間に、第1のスイッチトランジスタユニットS1が常に導通していること、及び第4のスイッチトランジスタユニットS4が常に導通していることについて、それぞれ以下のように説明する。
【0130】
第4のスイッチトランジスタユニットS4が常に導通している場合、t1~t2の期間に、第4のスイッチトランジスタユニットS4を導通したまま、フライングコンデンサCssを第2のコンデンサCd2に並列接続することにより、フライングコンデンサCssの電圧Vcssは常にVin/2に等しくなる。
【0131】
第1のスイッチトランジスタユニットS1が常に導通している場合、t1~t2の期間に、第1のスイッチトランジスタユニットS1を導通したまま、フライングコンデンサCssを第1のコンデンサCd1に並列接続することにより、フライングコンデンサCssの電圧Vcssは常にVin/2に等しくなる。
【0132】
なお、本出願で採用するフライングコンデンサCssの容量が比較的大きいため、それを第1のコンデンサCd1、第2のコンデンサCd2と並列接続する場合に無視できなく、そのため、直流側の分圧効果を向上させるために、フライングコンデンサ型NPC3レベルトポロジーに複数のブリッジアームがある場合、フライングコンデンサCssの半分を第1のコンデンサCd1に並列接続し、フライングコンデンサCssの残りの半分を第2のコンデンサCd2に並列接続する。
【0133】
ここで、2つのブリッジアームを例として取り上げ、
図9に示すように、シーリング期間に、第1のブリッジアーム910における第1のスイッチトランジスタユニットS1と第2のブリッジアーム920における第4のスイッチトランジスタユニットS8とを導通させ、或いは、第1のブリッジアーム910における第4のスイッチトランジスタユニットS4と第2のブリッジアーム920における第1のスイッチトランジスタユニットS5とを導通させる。もちろん、太陽光発電パネルに加えて、直流側入力電源は、他の入力源であってもよく、本出願の保護範囲内にもある。
【0134】
本実施例において、電圧差が比較的に小さく、対応する電流振幅が比較的に小さいので、第1のダイオードDc1、第2のダイオードDc2、第1のスイッチトランジスタユニットS1及び第4のスイッチトランジスタユニットS4の安全性が保証される。
【0135】
本明細書における各実施例に対して、いずれも漸進の方式で記載し、各実施例の間の同じまたは類似の部分について、互いに参照すればよく、各実施例はいずれも他の実施例との相違点を主に説明する。特に、システムまたはシステムの実施例について、方法の実施形態と基本的に類似しているため、記載が比較的簡単であり、関連部分について、方法の実施例の説明の一部を参照すればよい。上記のシステム及びシステムの実施例は単なる例示に過ぎない。個別の部材として説明されているユニットは、物理的に分離している場合があり、そうではない場合がある。ユニットとして表示されている部材は、物理的なユニットであってもよく、そうではなくてもよく、1つの場所に位置してもよいし、または、複数のネットワークユニットに分散されてもよい。実際の必要性に応じて、モジュールのいくつかまたは全てを選択することで、本実施例の技術案の目的を実現することができる。当業者は、進歩性に値する労働をしなくても、本発明を理解して実施することができる。
【0136】
当業者であれば、さらに意識できるように、本明細書に開示された実施例を結合して記載された各例示のユニット、及びアルゴリズムのステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はそれらの組み合わせによって実現されることができる。ハードウェアとソフトウェアとの間の互換性を明確に説明するために、各例示の構成及びステップは、以上、機能に従って一般的に説明した。これらの機能は、ハードウェアで実行されるかそれともソフトウェアで実行されるかということは、技術案の特定の適用及び設計制約条件に依存する。当業者は、各特定の適用ごとに、異なる方法を利用して、説明された機能を実施することができるが、このような実現は、本発明の範囲を超えると見なされるべきではない。
【0137】
開示された実施例に対する前述の説明によって、当業者は、本発明を実現または使用することができる。これらの実施例に対する様々な補正は、当業者には明らかであり、本明細書で定義された一般原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施例で実現することができる。従って、本発明は、本明細書に示されたこれらの実施例に限定されず、本明細書に開示された原理及び新規の特点と一致する最も幅広い範囲に合う。