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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】制御装置、配送システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20240117BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240117BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
G05D1/02 P
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022543255
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(86)【国際出願番号】 JP2020031704
(87)【国際公開番号】W WO2022038784
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 琢也
(72)【発明者】
【氏名】河口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】澤浪 寿人
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-7753(JP,A)
【文献】特開2017-134794(JP,A)
【文献】特開2017-215821(JP,A)
【文献】国際公開第2014/167704(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を特定空間内で自動移動する自動移動装置を有し該物品を配送する配送システムに用いられる制御装置であって、
前記特定空間での前記自動移動装置が移動可能な領域が変化する変化領域及び該領域が変化する変化時刻を含む変化情報及び前記自動移動装置が動作開始する動作時刻を含む動作情報のうち少なくとも一方を含む予定情報を記憶する記憶部と、
前記予定情報に基づいて前記特定空間の基準マップに対して変更を加え前記自動移動装置が使用する使用マップを作成する処理を行う処理制御部と、
を備えた制御装置。
【請求項2】
前記処理制御部は、前記予定情報に含まれる変化時刻に基づいて該予定情報に含まれる変化領域を前記基準マップに反映させて前記使用マップを作成する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記処理制御部は、前記予定情報に含まれる動作時刻に基づいて該予定情報に含まれる変化領域を前記基準マップに反映させて前記使用マップを作成する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記処理制御部は、動作する前記自動移動装置から、又は動作する前記自動移動装置以外から前記特定空間に存在する物体の情報を取得すると、取得した物体の情報に基づいて前記基準マップに対して該自動移動装置が移動可能な領域に変更を加え前記使用マップを作成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記処理制御部は、前記予定情報に含まれる情報に比して、動作する前記自動移動装置から、又は動作する前記自動移動装置以外から取得した前記特定空間に存在する物体の情報を優先して前記基準マップに対して該自動移動装置が移動可能な領域に変更を加える、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記処理制御部は、前記基準マップに変更を加えるに際して、前記特定空間に対して相対的に移動する移動領域を該基準マップに結合する処理及び前記移動領域を前記基準マップから分離する処理のうち少なくとも一方を行う、請求項1~5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記移動領域には、前記物品を配送する配送車の領域及び前記自動移動装置が搭乗する作業用エレベータの領域のうち少なくとも1以上が含まれる、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記処理制御部は、前記基準マップに設定されている出入口領域に前記移動領域を結合する処理を行う、請求項6又は7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記処理制御部は、前記自動移動装置から前記移動領域の出入口が閉鎖されている旨の信号を取得したときには、前記出入口が閉鎖されている旨の情報を出力する、請求項6~8のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
物品を配送する配送システムであって、
請求項1~9のいずれか1項に記載の制御装置を備えた管理装置と、
物品を特定空間内で自動移動する自動移動装置と、を備え、
前記自動移動装置は、前記制御装置が作成した前記使用マップを該制御装置から取得し前記物品の移動に使用する、配送システム。
【請求項11】
物品を特定空間内で自動移動する自動移動装置を有し該物品を配送する配送システムに用いられる制御方法であって、
前記特定空間での前記自動移動装置が移動可能な領域が変化する変化領域及び該領域が変化する変化時刻を含む変化情報及び前記自動移動装置が動作開始する動作時刻を含む動作情報のうち少なくとも一方を含む予定情報に基づいて前記特定空間の基準マップに対して変更を加え前記自動移動装置が使用する使用マップを作成する処理を行うステップ、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、制御装置、配送システム及び制御方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を自動移動するシステムにおいて、1以上のロボットデバイスが1以上のタスクを実行する際に、タスクを発展させるデータを受信するとこのデータに基づいてマップをアップデートしてタスクを実行するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、更新されたマップを用いて物品を移動することができる。また、マップを作成する制御装置としては、ユーザの入力によって部分地図を連結する連結ポイントを設定するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この装置では、部分的なレイアウト変更に柔軟に対応することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国公開公報第2016/129592号
【文献】特開2010-92147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、マップを更新するデータが得られない場合は、マップをアップデートすることができないことがあった。また、特許文献2の装置では、マップを連結する際にユーザが連結ポイントを指定する必要があった。このように、配送システムにおいて、物品を移動する際により円滑に実行することが求められていた。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、物品を移動する特定空間の状況の変化に応じて物品の移動をより円滑に実行することができる制御装置、配送システム及び制御方法を提供することを主目的とする。
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本明細書で開示する制御装置は、
物品を特定空間内で自動移動する自動移動装置を有し該物品を配送する配送システムに用いられる制御装置であって、
前記特定空間での前記自動移動装置が移動可能な領域が変化する変化領域及び該領域が変化する変化時刻を含む変化情報及び前記自動移動装置が動作開始する動作時刻を含む動作情報のうち少なくとも一方を含む予定情報を記憶する記憶部と、
前記予定情報に基づいて前記特定空間の基準マップに対して変更を加え前記自動移動装置が使用する使用マップを作成する処理を行う処理制御部と、
を備えたものである。
【0008】
この制御装置では、特定空間での自動移動装置が移動可能な領域が変化する変化領域及びこの領域が変化する変化時刻を含む変化情報及び自動移動装置が動作開始する動作時刻を含む動作情報のうち少なくとも一方を含む予定情報に基づいて特定空間の基準マップに対して変更を加え自動移動装置が使用する新たな使用マップを作成する処理を行う。この制御装置では、予定情報を用いて特定空間の状況を加味し実際の状態により近い使用マップを事前に作成することができる。したがって、この制御装置では、物品を移動する特定空間の状況の変化に応じて物品の移動をより円滑に実行することができる。ここで、「物品」としては、配送するものであれば特に限定されず、例えば、機械や装置のユニット及び部品などを含む産業品や、一般的な生活用品、食品や生鮮品などが挙げられる。また、「特定空間」としては、例えば、物品を集積する物流センタや倉庫、店舗、物品を配送する移動輸送体の荷室などが挙げられる。移動輸送体としては、自動車や列車などの車両、船舶、航空機のほか、エレベータなどが挙げられる。また、「自動移動装置」としては、予め定められた走路を移動するAGV(Automatic Guided Vehicle)としてもよいし、周囲を検知して自由なルートで移動するAMR(Autonomous Mobile Robot)としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】配送システム10の一例を示す概略説明図。
図2】物流センター20の一例を示す説明図。
図3】記憶部24に記憶された情報の一例を示す説明図。
図4】基準マップ36の一例を示す説明図。
図5】自動移動装置40の一例を示す説明図。
図6】台車12と接続した自動移動装置40の説明図。
図7】使用マップ作成送信処理ルーチンの一例を表すフローチャート。
図8】使用マップ80から新たな使用マップ83を作成する説明図。
図9】使用マップ83に移動領域85を結合し使用マップ86を作成する説明図。
図10】移動領域87を結合し使用マップ90を作成する説明図。
図11】障害物領域91を加え使用マップ92を作成する説明図。
図12】別の物流センター20Bの一例の説明図。
図13】自動移動制御処理ルーチンの一例を表すフローチャート。
図14】テールゲート62が閉鎖された状態での説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、配送システム10の一例を示す概略説明図である。図2は、物流センター20の一例を示す説明図である。図3は、記憶部24に記憶された予定情報31および障害物情報35の一例を示す説明図である。図4は、記憶部24に記憶された基準マップ36の一例を示す説明図である。図5は、自動移動装置40の一例を示す説明図である。図6は、台車12と接続した自動移動装置40の説明図であり、図6Aが平面図、図6Bが正面図である。配送システム10は、物品を特定空間内で自動移動する自動移動装置を有し、この物品を配送する処理を行うシステムである。この配送システム10は、物品の輸送を台車12を利用して行うものを一例として説明するが、特にこれに限定せず、台車12を省略したり、他の構成物を用いるものとしてもよい。ここで、「物品」としては、配送するものであれば特に限定されず、例えば、機械や装置、装置のユニット、部品などを含む産業品や、一般に日用的に用いられる生活用品、食品や生鮮品などが挙げられる。また、「配送元」や「配送先」としては、例えば、物品を集積、配送する物流センターや物品を保管する倉庫、物品を販売する店舗などが挙げられる。また、「特定空間」としては、例えば上記配送元や配送先のほか、物品を配送する移動輸送体の荷室や作業用エレベータ18(図2参照)なども含む。移動輸送体としては、配送車60や列車などの車両、船舶、航空機などが挙げられる。ここでは、説明の便宜のため、配送元としての物流センター20から配送先の店舗50へ配送車60により生活用品や生鮮品などの商品を配送する配送システム10を主として説明する。また、「特定空間」は、物流センター20。配送車60の荷室61のほか作業用エレベータ18(図2参照)とする。なお、本実施形態において、左右方向、前後方向及び上下方向は、各図に示した通りとして説明する。
【0011】
台車12は、積載部13とキャスター14とを備えている。積載部13は、物品を積載する平板状の部材である。キャスター14は、台車12を走行させる車輪を有し、積載部13の下面側に配設されている。この台車12は、かご台車としてもよい。
【0012】
物流センター20は、物品を集積し、各地の店舗50や他の物流センター20へ物品を配送する場所である。物流センター20には、1以上の自動移動装置40を有しており、台車12を自動移動することができる。この物流センター20は、例えば、床面の特定の領域を配送先に応じた集積領域としている。この物流センター20では、作業者や図示しないアームロボットなどが、配送先に応じた台車12に物品を載せる作業を行う。物流センター20は、図2に示すように、自動移動装置40が移動可能な移動可能領域15と、自動移動装置40が移動できない移動不可領域16とを含む。移動不可領域16は、例えば、柱などの物理的に進入不可能な構造物や、台車12の集積領域などを含む。また、物流センター20は、出入口17と、作業用エレベータ18とを有している。出入口17は、外部と連通するが基本的に自動移動装置40が進入できない境界である。出入口17は、配送車60が横付けされて物品の搬入搬出が行われたり、作業用エレベータ18が配置されて他階への移動が可能になったりする開口部である。自動移動装置40は、配送先が特定されている台車12を集積したり、搬入、搬出する作業を行う。配送車60は、物流センター20で台車12を荷室61に積載して配送先へ物品を配送し、空の台車12を物流センター20へ返却する。
【0013】
店舗50は、配送された物品を陳列して販売する。店舗50は、1以上の自動移動装置40を有しており、台車12を自動移動することができる。店舗50は、物品を陳列する陳列棚59を有しており、作業者がこの陳列棚へ物品を陳列する。
【0014】
配送システム10は、図1に示すように、物流PC21と、店舗PC51と、自動移動装置40と、管理サーバ70とを含んで構成されている。物流PC21は、物流センター20に配設され、物流センター20での商品管理などを行う。この物流PC21は、制御装置22と、記憶部24と、通信部28とを備えている。制御装置22は、CPU23を有し、装置全体の制御を司る。記憶部24は、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する。通信部28は、自動移動装置40などの外部機器と通信を行う。通信部28は、ネットワーク11を介して管理サーバ70や店舗PC51と情報のやりとりを行う。
【0015】
記憶部24には、図1、3に示すように、配送管理情報30や、予定情報31、障害物情報35、基準マップ36、使用マップ38などが記憶されている。配送管理情報30には、例えば、配送先と物品とを対応付けた配送情報や、物品を積載した台車12と物品とを対応付けた対応情報などが含まれる。予定情報31は、図3に示すように、作業内容と、作業実行者、作業時刻、作業を行う領域や作業位置、自動移動装置40の移動経路などを対応付けた作業予定の情報を含む。この予定情報31には、変化情報32や動作情報33を含む。変化情報32は、特定空間での自動移動装置40が移動可能な領域が変化する変化領域及びこの領域が変化する変化時刻を含む情報である。変化情報32には、例えば特定の配送先への台車12の集積を行う領域やその領域を設定する時刻等の情報や、所定の出入口領域37に配送車60が到着する時刻および所定の出入口領域37から配送車60が出発する時刻等の情報が含まれる。動作情報33には、自動移動装置40が動作開始する動作時刻や、物品の移動元の位置と移動先の位置とその移動経路などが含まれる。障害物情報35は、物流センター20内に存在する、自動移動装置40の移動を阻害する障害物の位置や大きさのほか、それを検出した装置や時刻などの情報が含まれる。障害物情報35は、フロアを移動する自動移動装置40によって逐次更新される。障害物情報35に含まれる障害物の情報は、その後、退去されると、消去される。
【0016】
基準マップ36は、物流センター20に関係する自動移動装置40の領域の基本的なマップである。図4に示すように、基準マップ36には、図2に示した物流センター20のフロアマップ36aや、作業用エレベータ18のフロアマップ36b、配送車60の荷室のフロアマップ36cなどが含まれる。フロアマップ36a~36cには、外部へ通過可能な出入口領域37が含まれる。また、フロアマップ36b,36cは、フロアマップ36aに対して相対的に移動し、結合および分離する移動領域である。使用マップ38は、自動移動装置40が物流センター20を移動する際に使用するマップである。この使用マップ38は、基準マップ36に対して、新たに生じた移動不可領域16や移動領域を結合した自動移動装置40が現在移動可能である現状の状態を基準マップ36に反映したマップである(後述図8,9参照)。この使用マップ38は、物流PC21で作成されて自動移動装置40へ送信され、自動移動装置40が利用する。
【0017】
店舗PC51は、店舗50に配設され、店舗50での商品管理などを行う。この店舗PC51は、制御部52と、記憶部54と、通信部58とを備えている。制御部52は、CPUを有し、装置全体の制御を司る。記憶部54は、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶するものである。通信部58は、自動移動装置40などの外部機器と通信を行うものである。通信部58は、ネットワーク11を介して管理サーバ70や物流PC21と情報のやりとりを行う。記憶部54には、物品と陳列棚とを対応付けた商品管理情報や、予定情報、自動移動装置40が利用する基準マップや使用マップなどが記憶される。記憶部54には、物流PC21に記憶された予定情報31や障害物情報35、基準マップ36、使用マップ38と同様の内容を含むものとしてもよい。
【0018】
自動移動装置40は、台車12を自動移動する車両である。この自動移動装置40は、台車12の積載部13の下面側においてキャスター14の間の空間に入り込み、積載部13を下方からリフト部44で持ち上げるようにして台車12に接続し、台車12を移動させる。この自動移動装置40は、予め定められた走路を移動するAGV(Automatic Guided Vehicle)としてもよいし、周囲を検知して自由なルートで移動するAMR(Autonomous Mobile Robot)としてもよい。ここでは、AMRの構成を有する自動移動装置40について説明する。
【0019】
自動移動装置40は、図5に示すように、移動制御部41と、記憶部42と、車体部43と、リフト部44と、メカナムホイール45と、移動駆動部46と、検出センサ47と、通信部48とを有する。移動制御部41は、自動移動装置40の装置全体を制御するコントローラである。この移動制御部41は、リフト部44や移動駆動部46、通信部48へ制御信号などを出力すると共に、検出センサ47や通信部48からの入力信号を入力する。移動制御部41は、移動駆動部46の駆動状態などに基づいて自動移動装置40の移動方向や移動距離、現在位置などを把握する。記憶部42は、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する。記憶部42には、例えば、台車12を移動する予定情報31や、物流センター20の使用マップ38などが記憶される。予定情報やマップデータは、物流PC21から通信で取得する。リフト部44は、自動移動装置40の車体部43に対して上方にせり出して積載部13の下面を押圧することにより、台車12と接続するものである(図6参照)。メカナムホイール45は、車軸に対して45°傾斜して自由回転可能に軸支されたローラを接地面側に複数配設された構造を有する。この自動移動装置40では、4輪のメカナムホイール45を備え、それぞれを独立して前方回転又は後方回転することにより、全方位への自動移動装置40の移動や、超信地旋回、信地旋回、緩旋回などを実行可能に構成されている。移動駆動部46は、それぞれのメカナムホイール45に接続され、接続されたメカナムホイール45を回転駆動することにより自動移動装置40を走行駆動するモータである。検出センサ47は、自動移動装置40の周囲に存在する物体やその距離を検出するものである。検出センサ47は、例えば、レーザなどの光や音波などを周囲に照射し、反射波を検出することによって物体の存在やその距離などを検出する。移動制御部41は、検出センサ47からの情報に基づいて、自動移動装置40の移動や停止を制御する。通信部48は、物流PC21などの外部機器と無線で情報のやりとりを行う。移動制御部41は、通信部48を介して物流PC21から得られた指令に基づいて、台車12の位置へ移動し、台車12と接続したのち、設定されている移動経路に沿って移動先の位置へ台車12を移動させる。
【0020】
配送車60は、1以上の台車12を積載して配送する車両である。この配送車60は、図1に示すように、荷室61と、テールゲート62と、テールリフト63とを備えている。荷室61は、台車12を集積する特定空間である。テールゲート62は、車両後部に設けられており、閉鎖扉によって荷室61を開放、閉鎖する。テールリフト63は、閉鎖扉の解放時に水平となる作業台に台車12や作業者などを積載して荷室61の床面と配送車60の走行面との間でこの作業台を上下動するものである。この配送車60は、テールゲート62、テールリフト63などがモータや油圧などによって機械動作することが可能になっている。なお、本実施形態では、台車12の配送をトラックの配送車60で行うものとしたが、特にこれに限定されず、列車や、船舶、航空機などの移動輸送体で行うものとしてもよい。
【0021】
管理サーバ70は、配送システム10の管理を行う装置である。この管理サーバ70は、制御部72と、記憶部74と、通信部78とを備えている。制御部72は、CPUを有し、装置全体の制御を司る。記憶部74は、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶するものである。記憶部74には、物品の配送を管理するのに用いられる配送管理情報や、物流センター20や店舗50で利用されている台車12を管理する台車情報、物流センター20や店舗50の基準マップなどが記憶される。配送管理情報には、配送先と物品とを対応付けた配送情報や、物品を積載した台車12と物品とを対応付けた対応情報などを含む。予定情報には、作業内容と、作業実行者、作業時刻、作業を行う領域や作業位置、自動移動装置40の移動経路などを対応付けた作業予定の情報を含む。通信部78は、ネットワーク11を介して物流PC21や店舗PC51などの外部機器と情報のやりとりを行うものである。
【0022】
次に、このように構成された配送システム10において、移動不可領域16を更新し、移動領域を結合して現状を反映した使用マップ38を作成する処理について説明する。図7は、物流PC21の制御装置22が実行する使用マップ作成送信処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、制御装置22が有する記憶部24に記憶され、物流センター20の始業時から実行される。このルーチンを開始するとCPU23は、管理サーバ70から予定情報31を取得し、記憶部24から障害物情報35を読み出して取得し(S100)、予定情報31に基づいて、現時刻が領域の変化する時刻であるかを判定する(S110)。ここで、「領域が変化する時刻」とは、例えば、領域変化する時刻に基づく時刻としてもよく、変化時刻の所定時間前(例えば、2分前や、5分前、10分前など)や、変化時刻ちょうど、変化時刻に至った所定時間後(例えば、1分後や、2分後など)、などとしてもよい。また、「領域が変化」とは、所定の範囲で移動可能領域15が移動不可領域16に変化した場合や、移動不可領域16が移動可能領域15に変化した場合を含む。この例としては、例えば、特定の配送先への台車12の集積領域がフロアに設定された場合や、その集積領域がフロアから解除された場合などが挙げられる。
【0023】
現時刻が領域が変化する変化時刻でないときには、CPU23は、予定情報31に基づいて、現時刻がいずれかの自動移動装置40が動作を開始する動作時刻であるか否かを判定する(S120)。この「動作を開始する動作時刻」とは、例えば、動作開始時刻に基づく時刻としてもよく、例えば、動作時刻の所定時間前(例えば、2分前や、5分前、10分前など)や、動作時刻ちょうど、動作時刻に至った所定時間後(例えば、1分後や、2分後など)、などとしてもよい。現時刻が動作時刻であるとき、または、S110で現時刻が変化時刻であるとき、CPU23は、現時刻において移動可能領域15に変化があるか否かを判定する(S130)。移動可能領域15に変化があるときには、CPU23は、変化した移動可能領域15を基準マップ36に反映させた使用マップ38を作成する(S140)。
【0024】
ここで、自動移動装置40が作業する物流センター20での使用マップ38について、具体例を用いて説明する。図8は、使用マップ80から新たな使用マップ83を作成する説明図であり、図8Aが使用マップ80、図8Bが使用マップ83の説明図である。例えば、CPU23は、図4に示すフロアマップ36aを基準マップ36とするときに、現在の状況をフロアマップ36aに反映させ、移動可能領域81と移動不可領域82を含む使用マップ80を作成する(図8A)。次に、変化時刻や動作時刻に至ると、CPU23は、現在の状況を反映させ、新たな移動不可領域82を含む使用マップ83を作成する(図8B)。ここで、CPU23は、使用マップ83を作成するに際して、毎回基準マップ36に対して現在の状況をすべて反映させてもよいし、基準マップ36を含む前回の使用マップ80に対して変化を反映させてもよい。
【0025】
一方、S140のあと、または、S130で移動可能領域15が変化しないときには、CPU23は、移動領域が変化したか否かを判定する(S150)。ここで、「移動領域が変化」とは、移動領域(例えば配送車60)が物流センター20に結合されるか、移動領域が物流センター20から分離されるか、のいずれかを含む。移動領域が変化したときには、CPU23は、出入口領域37に対して移動領域を反映させ使用マップ38を作成する(S160)。
【0026】
ここで、自動移動装置40が作業する物流センター20の使用マップ38について、具体例を用いて説明する。図9は、使用マップ83に移動領域85を結合し使用マップ86を作成する説明図であり、図9Aが使用マップ83、図9Bが使用マップ86の説明図である。例えば、CPU23は、現在の状況をフロアマップ36aに反映させ、移動可能領域81と移動不可領域82を含む使用マップ83を作成する(図9A)。次に、変化時刻や動作時刻に至ると、CPU23は、現在の状況を反映させ、移動領域85を出入口領域84に結合した使用マップ86を作成する(図9B)。ここで、配送車60は、予め予定情報31に定められた出入口17に接するものとし、CPU23は、これに準じて移動領域85を所定の出入口領域84に結合させる。なお、CPU23は、使用マップ86を作成するに際して、毎回基準マップ36に対して現在の状況をすべて反映させてもよいし、基準マップ36を含む前回の使用マップ83に対して変化を反映させてもよい。
【0027】
また、移動領域としての作業用エレベータ18のマップの切り替えについて説明する。図10は、作業用エレベータ18の移動領域87を結合し使用マップ90を作成する説明図であり、図10Aが使用マップ88、図10Bが移動領域87、図10Cが使用マップ90の説明図である。図10では、説明の便宜のため、自動移動装置40を図示した。CPU23は、自動移動装置40が出入口領域89で作業用エレベータ18を待機する際は、移動領域87を出入口領域89に結合し使用マップ88を作成する(図10A)。次に、自動移動装置40が作業用エレベータ18に乗り込み、他階へ移動するときには、物流センター20フロアマップを移動領域として分離させ、移動領域87をフロアマップとする(図10B)。他階へ到着すると、他階のフロアマップを出入口領域89で移動領域87に結合し、使用マップ90を作成する(図10C)。このように、CPU23は、作業用エレベータ18でのマップを切り替えることによって、自動移動装置40を適切に移動させる。
【0028】
S160のあと、CPU23は、障害物情報35の情報に基づいて、更に障害物の領域を反映させた使用マップ38を作成し(S170)、作成した使用マップ38を用いて最適な移動経路を導出する(S180)。CPU23は、最適な移動経路を予定情報31に反映するものとしてもよい。続いて、CPU23は、作成した使用マップ38および導出した移動経路を自動移動装置40へ送信する(S190)。CPU23は、特定空間に存在する障害物の情報を優先することによって、現在の状況をより反映させた使用マップ38を作成する。障害物情報35は、現在存在する障害物の情報が逐次更新されている。図11は、障害物領域91を加え使用マップ92を作成する説明図である。図11では、使用マップ86(図9)に障害物領域91を加えるものとした。このように、CPU23は、新たに変更された移動不可領域82や、新たに結合された移動領域85、現地で検出された障害物領域91などを反映することにより、現状の特定空間により近い使用マップ92を提供することができる。
【0029】
また、ここで、別の物流センター20Bでの処理についても説明する。物流センター20Bは、配送車60がその内部に入り込むオープンスペースで構成されている。図12は、別の物流センター20Bの一例の説明図であり、図12Aが物流センター20Bの説明図、図12Bが使用マップ80Bの説明図である。この物流センター20Bには、集積された台車12や、配送車60などの位置を検出する1以上の領域検出装置29が配設されている。領域検出装置29は、非接触式センサとしてもよいし、カメラとしてもよい。この物流センター20Bでは、CPU23は、配送車60や集積された台車12の位置を領域検出装置29で検出し、移動不可領域82Bや移動領域85Bをフロアマップに反映させ、使用マップ80Bを作成する。使用マップ80Bでは、出入口領域84Bからのみ、移動領域87Bの内部へ移動可能となる。このように、CPU23は、基準マップ36の内部に移動領域85Bを内包する使用マップ80Bを作成するものとしてもよい。CPU23は、使用マップ80Bを用いて、自動移動装置40の移動を適切に確保することができる。
【0030】
S190のあと、または、S110で変化時刻でもなくS120で動作時刻でもないときには、CPU23は、いずれかの自動移動装置40から障害物の報告を取得したか否かを判定する(S200)。自動移動装置40は、フロアでの作業中に、新たな障害物の存在、および障害物が除去済みであることを検出すると、その報告を物流PC21へ送信する。CPU23は、この報告を受けると障害物情報35を更新する(S210)。S210のあと、または、S200で障害物の報告を受けていないときには、CPU23は、すべての作業が完了したか否かを判定し(S220)、全ての作業を完了していないときには、S100以降の処理を実行する。即ち、CPU23は、予定情報31に基づいて、変化時刻及び動作時刻に至ると新たな使用マップ38を作成して自動移動装置40へ送信する。一方、S220で全ての作業を完了したときには、このルーチンを終了する。
【0031】
次に、自動移動装置40が物流センター20で台車12を移動する処理について説明する。図13は、自動移動装置40の移動制御部41が実行する自動移動制御処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、記憶部42に記憶され、自動移動装置40が起動されたあと実行される。このルーチンを開始すると、移動制御部41は、自機の予定情報31を物流PC21から取得し(S300)、動作時刻になるまで待機する(S310)。動作時刻に至ると、移動制御部41は、物流PC21から送信された使用マップ38を取得し(S320)、予定情報31に基づいて、移動処理及び所定の作業を行う(S330)。移動処理では、例えば、台車12の移動元の位置へ移動し、台車12を移動先の位置へ移動させる。所定の作業では、台車12の下部でリフト部44の上下動を行い、接続、接続解除する。移動制御部41は、S330での処理を継続中に、検出センサ47で新たな障害物を検出したか、または既存の障害物を検出しなかったかを判定する(S340)。新たな障害物を検出したか、または既存の障害物を検出しなかったときには、移動制御部41は、その旨の障害物に関する報告を物流PC21へ送信し(S350)、物流PC21から別の移動経路を取得する(S360)。S360のあと、または、S340で新たな障害物を検出しないか、または既存の障害物を検出したときには、移動制御部41は、今回の予定情報31での作業を終了したか否かを判定する(S370)。今回の作業が終了していないときには、移動制御部41は、S320以降の処理を実行する。なお、移動制御部41は、変化時刻に至るたびに物流PC21から最新の使用マップ38が送信され、これを用いて移動処理を実行する。一方、S370で今回の作業が終了したときには、移動制御部41は、全ての作業が完了したか否かを判定する(S380)。全ての作業が完了していないときには、移動制御部41は、S300以降の処理を実行し、全ての作業が完了したときには、待機位置へ移動し(S390)、このルーチンを終了する。このように、自動移動装置40は、最新の使用マップ38を用いながら台車12の移動を行う。
【0032】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の物流センター20、店舗50、作業用エレベータ18及び荷室61が特定空間に相当し、台車12が台車に相当し、配送システム10が配送システムに相当する。また、制御装置22が制御装置に相当し、CPU23が処理制御部に相当し、記憶部24が記憶部に相当する。また、予定情報31が予定情報に相当し、変化情報32が変化情報に相当し、動作情報33が動作情報に相当し、基準マップ36,フロアマップ36a~36cが基準マップに相当し、使用マップ38,80,83,86,88,90,92が使用マップに相当する。なお、本実施形態では、配送システム10の動作を説明することにより、本開示の制御方法の一例も明らかにしている。
【0033】
以上説明した本実施形態の制御装置22では、特定空間での自動移動装置40が移動可能な移動可能領域15が変化する変化領域及びこの領域が変化する変化時刻を含む変化情報32及び自動移動装置40が動作開始する動作時刻を含む動作情報33を含む予定情報31に基づいて特定空間の基準マップ36に対して変更を加え自動移動装置40が使用する新たな使用マップ38を作成する処理を行う。この制御装置22では、予定情報31を用いて特定空間の状況を加味し実際の状態により近い使用マップ38を事前に作成することができる。したがって、この制御装置22では、物品を移動する特定空間の状況の変化に応じて物品の移動をより円滑に実行することができる。また、制御装置22は、使用マップ38を用いて最適な自動移動装置40の移動経路を導出するため、効率のよい移動経路を事前に提供することができる。
【0034】
また、制御装置22は、予定情報31に含まれる変化時刻に基づいてこの予定情報に含まれる変化領域を基準マップ36に反映させて使用マップ38を作成するため、領域の変化する時刻に合わせて実際の状態により近い使用マップ38を作成することができる。また、制御装置22は、予定情報31に含まれる変化時刻に基づいて、変化領域を反映した使用マップ38を自動移動装置40へ送信するため、特定空間の変化時刻に合わせて実際の状態により近い使用マップ38を自動移動装置40が利用することができる。更に、制御装置22は、予定情報31に含まれる動作時刻に基づいてこの予定情報31に含まれる変化領域を基準マップ38に反映させて使用マップ38を作成するため、自動移動装置40の動作時刻に合わせて実際の状態により近い使用マップ38を作成することができる。更にまた、制御装置22は、予定情報31に含まれる動作時刻に基づいて、変化領域を反映した使用マップ38を自動移動装置40へ送信するため、自動移動装置40の動作時刻に合わせて実際の状態により近い使用マップ38を自動移動装置40が利用することができる。
【0035】
更に、制御装置22は、動作中の自動移動装置40から、又は動作中の他の自動移動装置40から特定空間に存在する物体(障害物)の情報を取得すると、取得した障害物の情報に基づいて基準マップ36に対してこの自動移動装置40の移動可能領域15に変更を加え使用マップ38を作成する。この制御装置22では、自走移動装置40自身あるいは他の装置が認識した実際の情報を用いて使用マップ38を作成することができる。更にまた、制御装置22は、予定情報31に含まれる情報に比して、自機の自動移動装置40又は他の自動移動装置40から取得した障害物の情報を優先して移動可能領域15に変更を加えるため、より実際に近い使用マップ38を作成することができる。そして、制御装置22は、特定空間に対して相対的に移動する移動領域を基準マップ36に結合する処理及び移動領域を基準マップ36から分離する処理を行うため、移動領域を新たに結合したり分離することにより、自動移動装置40が移動可能又は移動不可能な領域を含む使用マップ38を作成することができる。また、制御装置22は、移動領域として、物品を配送する配送車60の領域及び自動移動装置40が搭乗する作業用エレベータ18の領域が含まれるため、自動移動装置40の移動可能範囲領域に追加されたり、分離される領域を結合、分離することができる。そしてまた、制御装置22は、基準マップ36に設定されている出入口領域37に移動領域を結合する処理を行うため、予め定められた位置に移動領域を結合することが可能であり、移動領域を結合した使用マップを円滑に作成することができる。
【0036】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0037】
例えば、上述した実施形態では、制御装置22は、現時刻が予定情報31に含まれる変化時刻に至ったとき、および現時刻が予定情報31に含まれる動作時刻に至ったとき、新たな使用マップ38を作成するものとしたが、特にこれに限定されず、現時刻が変化時刻又は動作時刻のいずれかに至ったときに新たな使用マップ38を作成するものとしてもよい。また、制御装置22は、現時刻が予定情報31に含まれる変化時刻に至ったとき、および現時刻が予定情報31に含まれる動作時刻に至ったとき、使用マップ38を自動移動装置40へ送信するものとしたが、特にこれに限定されず、現時刻が変化時刻又は動作時刻のいずれかに至ったときに使用マップ38を自動移動装置40へ送信するものとしてもよい。このような制御装置22においても、実際の状態により近い使用マップ38を事前に作成、送信することができ、物品を移動する特定空間の状況の変化に応じて物品の移動をより円滑に実行することができる。
【0038】
上述した実施形態では、制御装置22は、特定空間に存在する物体(障害物)の情報を用いて使用マップ38を作成するものとしたが、特にこれに限定されず、この処理を省略してもよい。この制御装置22では、処理を簡略化して、実際の状態により近い使用マップ38を事前に作成することができる。なお、障害物の検出は、自動移動装置40のほか、特定空間内に配設された領域検出装置29(図12参照)などを用いてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、自動移動装置40が出入口17から出入り可能である場合について説明したが、自動移動装置40が出入口17から配送車60へ移動できない場合について説明する。図14は、テールゲート62が閉鎖された状態での説明図であり、図14Aが物流センター20の説明図、図14Bが物流センター20の使用マップ80の説明図、図14Cが物流センター20Bの説明図、図14Dが物流センター20Bの使用マップ80Bの説明図である。このような場合、自動移動装置40の移動制御部41は、検出センサ47によって、移動領域85の出入口領域84が閉鎖されていることを検出する。そして、移動制御部41は、移動不能ある旨の情報を物流PC21へ送信する。制御装置22のCPU23は、自動移動装置40から移動領域85の出入口が閉鎖されている旨の信号を取得したときには、テールゲート62が閉鎖されている旨の情報を表示出力する。これを確認した作業者は、配送車60へテールゲート62を開放するよう連絡する。この制御装置22では、自動移動装置40の現地での検出によって、追加された移動領域85に進入することができるように対処することができる。なお、制御装置22は、物流センター20Bにおいても、同様に対処することができる。
【0040】
上述した実施形態では、配送車60が予め定められた出入口17に接続するものとして説明したが、配送車60がずれて出入口17に接続した場合は、以下のように対処するものとしてもよい。自動移動装置40の移動制御部41は、検出センサ47によって移動領域85がすれて接続されていることを検出することができる。この場合、移動制御部41は、配送車60のずれ量を検出センサ47の検出値を用いて算出し、物流PC21へこのずれ量を送信する。物流PC21の制御装置22は、このずれ量を用いて、移動領域をずらした状態で基準マップ36に結合させ、使用マップ38を作成する。制御装置22は、新たに作成した使用マップ38を自動移動装置40へ送信し、自動移動装置40がこの新たな使用マップ38を用いて移動処理する。この制御装置22では、配送車60がずれていても、自動移動装置40は、適正に移動することができる。なお、配送車60がずれやすい、オープンスペースの物流センター20B(図12)に適用する意義が高い。あるいは、配送車60がフロアマップに対してずれている場合、自動移動装置40が自機の位置をずらす処理を行って対処してもよい。
【0041】
上述した実施形態では、基準マップ36に変更を加えるに際して、特定空間内で移動可能領域15と移動不可領域16との間の変更を加えて使用マップ38を作成するものとしたが、特にこれに限定されず、この処理を省略してもよい。あるいは、上述した実施形態では、基準マップ36に変更を加えるに際して、特定空間に対して相対的に移動する移動領域を基準マップ36に結合する処理を行うものとして説明したが、特にこれに限定されず、この処理を省略してもよい。使用マップ38の作成は、特定空間内への変更か、特定空間への結合分離か、のいずれかで行うものとしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、自動移動装置40は、AMRであるものとして説明したが、特にこれに限定されず、予め定められた走路を移動するAGV(Automatic Guided Vehicle)としてもよい。この自動移動装置40においても、台車12を自動移動することができ、作業者の作業負担をより低減することができる。なお、自動移動装置40がAGVである場合、検出センサ47は、より簡素な構成としてもよいし、これを省略してもよい。
【0043】
上述した実施形態では、物流センター20での使用マップ38の作成について説明したが、特にこれに限定されず、店舗50に適用してもよい。また、物流PC21の制御装置22が使用マップを作成するものとしたが、特にこれに限定されず、管理サーバ70の制御部72や店舗PC51の制御部52、自動移動装置40の移動制御部41などのいずれか1以上が使用マップ38を作成するものとしてもよい。即ち、作成した使用マップ38を自動移動装置40へ直接又は間接的に送信可能であれば、本開示の制御装置の機能は、どの装置が有しているものとしてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、自動移動装置40は、メカナムホイール45を備え、縦横無尽に移動可能としたが、走行可能な構成であれば、特にこれに限定されず。通常のホイールを有するものとしてもよい。このとき、自動移動装置40は、ホイールを4輪備えてもよいし、3輪備えてもよいし、2輪のメインホイールと1以上のサブホイールとを備えるものとしてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、本開示を配送システム10や制御装置22として説明したが、特にこれに限定されず、配送システムに用いられる制御方法としてもよい。
【0046】
ここで、本開示は、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の制御装置において、前記処理制御部は、前記予定情報に含まれる変化時刻に基づいて該予定情報に含まれる変化領域を前記基準マップに反映させて前記使用マップを作成するものとしてもよい。この制御装置では、領域の変化する時刻に合わせて実際の状態により近い使用マップを作成することができる。ここで、「変化時刻に基づいて基準マップに反映」とは、例えば、変化時刻の所定時間前(例えば、2分前や、5分前、10分前など)に基準マップへ反映させるものとしてもよいし、変化時刻に基準マップへ反映させるものとしてもよいし、変化時刻に至ったのち基準マップへ反映させるものとしてもよい。また、本開示の制御装置は、前記予定情報に含まれる変化時刻に基づいて、前記変化領域を反映した使用マップを前記自動移動装置へ送信するものとしてもよい。この制御装置では、特定空間の変化時刻に合わせて実際の状態により近い使用マップを自動移動装置が利用することができる。この「変化時刻に基づいて使用マップを送信」とは、例えば、上記と同様に、変化時刻の所定時間前や、変化時刻、もしくは変化時刻に至ったのち、使用マップを送信するものとしてもよい。
【0047】
本開示の制御装置において、前記処理制御部は、前記予定情報に含まれる動作時刻に基づいて該予定情報に含まれる変化領域を前記基準マップに反映させて前記使用マップを作成するものとしてもよい。この制御装置では、自動移動装置の動作時刻に合わせて実際の状態により近い使用マップを作成することができる。ここで、「動作時刻に基づいて基準マップに反映」とは、例えば、動作時刻の所定時間前(例えば、2分前や、5分前、10分前など)に基準マップへ反映させるものとしてもよいし、動作時刻に基準マップへ反映させるものとしてもよいし、動作時刻に至ったのち基準マップへ反映させるものとしてもよい。また、本開示の制御装置は、前記予定情報に含まれる動作時刻に基づいて、前記変化領域を反映した使用マップを前記自動移動装置へ送信するものとしてもよい。この制御装置では、自動移動装置の動作時刻に合わせて実際の状態により近い使用マップを自動移動装置が利用することができる。この「動作時刻に基づいて使用マップを送信」とは、例えば、上記と同様に、動作時刻の所定時間前、動作時刻、もしくは動作時刻に至ったのち、使用マップを送信するものとしてもよい。
【0048】
本開示の制御装置において、前記処理制御部は、動作する前記自動移動装置から、又は動作する前記自動移動装置以外から前記特定空間に存在する物体の情報を取得すると、取得した物体の情報に基づいて前記基準マップに対して該自動移動装置が移動可能な領域に変更を加え前記使用マップを作成するものとしてもよい。この制御装置では、自走移動装置自身あるいは他の装置が認識した物体の位置や大きさの実際の情報を用いて使用マップを作成することができる。ここで、「自動移動装置以外」の装置としては、他の自動移動装置や特定空間内に配設された検出装置などが挙げられる。
【0049】
特定空間に存在する物体の情報を取得する態様の本開示の制御装置において、前記処理制御部は、前記予定情報に含まれる情報に比して、動作する前記自動移動装置から、又は動作する前記自動移動装置以外から取得した前記特定空間に存在する物体の情報を優先して前記基準マップに対して該自動移動装置が移動可能な領域に変更を加えるものとしてもよい。この制御装置では、より実際に近い使用マップを作成することができる。
【0050】
本開示の制御装置において、前記処理制御部は、前記基準マップに変更を加えるに際して、前記特定空間に対して相対的に移動する移動領域を該基準マップに結合する処理及び前記移動領域を前記基準マップから分離する処理のうち少なくとも一方を行うものとしてもよい。この制御装置では、移動領域を新たに結合したり分離することにより、自動移動装置が移動可能又は移動不可能な領域を含む使用マップを作成することができる。
【0051】
移動領域を結合又は分離する態様の本開示の制御装置において、前記移動領域には、前記物品を配送する配送車の領域及び前記自動移動装置が搭乗する作業用エレベータの領域のうち少なくとも1以上が含まれるものとしてもよい。この制御装置では、配送車や作業用エレベータなど、自動移動装置の移動可能範囲領域に追加されたり、分離される領域を結合、分離することができる。
【0052】
移動領域を結合又は分離する態様の本開示の制御装置において、前記処理制御部は、前記基準マップに設定されている出入口領域に前記移動領域を結合する処理を行うものとしてもよい。この制御装置では、予め定められた位置に移動領域を結合することができるため、移動領域を結合した使用マップを円滑に作成することができる。
【0053】
移動領域を結合又は分離する態様の本開示の制御装置において、前記処理制御部は、前記自動移動装置から前記移動領域の出入口が閉鎖されている旨の信号を取得したときには、前記出入口が閉鎖されている旨の情報を出力するものとしてもよい。この制御装置では、自動移動装置が追加された移動領域に進入することができるように対処することができる。このとき、前記処理制御部は、前記出入口の開放指令を前記移動領域に該当する装置へ出力するものとしてもよい。
【0054】
本開示の配送システムは、物品を配送する配送システムであって、上述したいずれかに記載の制御装置を備えた管理装置と、物品を特定空間内で自動移動する自動移動装置と、を備え、前記自動移動装置は、前記制御装置が作成した前記使用マップを該制御装置から取得し前記物品の移動に使用するものである。この配送システムは、上述したいずれかの制御装置を備えるため、採用した態様に合わせた効果を得ることができる。
【0055】
本開示の制御方法は、
物品を特定空間内で自動移動する自動移動装置を有し該物品を配送する配送システムに用いられる制御方法であって、
前記特定空間での前記自動移動装置が移動可能な領域が変化する変化領域及び該領域が変化する変化時刻を含む変化情報及び前記自動移動装置が動作開始する動作時刻を含む動作情報のうち少なくとも一方を含む予定情報に基づいて前記特定空間の基準マップに対して変更を加え前記自動移動装置が使用する使用マップを作成する処理を行うステップ、
を含むものである。
【0056】
この制御方法は、上述した制御装置と同様に、予定情報を用いて特定空間の状況を加味し実際の状態により近い使用マップを事前に作成することができる。したがって、この制御装置では、物品を移動する特定空間の状況の変化に応じて物品の移動をより円滑に実行することができる。なお、この制御方法において、上述した制御装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した制御装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示の台車整列装置、自動移動装置、配送システム及び制御方法は、商品を配送する商品流通システムの技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 配送システム、11 ネットワーク、12 台車、13 積載部、14 キャスター、15 移動可能領域、16 移動不可領域、17 出入口、18 作業用エレベータ、20 物流センター、21 物流PC、22 制御装置、23 CPU、24 記憶部、28 通信部、29 領域検出装置、30 配送管理情報、31 予定情報、32 変化情報、33 動作情報、35 障害物情報、36 基準マップ、36a~36c フロアマップ、37 出入口領域、38 使用マップ、40 自動移動装置、41 移動制御部、42 記憶部、43 車体部、44 リフト部、45 メカナムホイール、46 移動駆動部、47 検出センサ、48 通信部、50 店舗、51 店舗PC、52 制御部、54 記憶部、58 通信部、59 陳列棚、60 配送車、61 荷室、62 テールゲート、63 テールリフト、70 管理サーバ、72 制御部、74 記憶部、78 通信部、80,83,86,88,90,92 使用マップ、81 移動可能領域、82 移動不可領域、84,89 出入口領域、85,87 移動領域、91 障害物領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14