(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-16
(45)【発行日】2024-01-24
(54)【発明の名称】キトサン繊維ワンステップ紡糸装置
(51)【国際特許分類】
D01F 9/00 20060101AFI20240117BHJP
D01D 5/14 20060101ALI20240117BHJP
D01D 10/00 20060101ALI20240117BHJP
D01D 5/06 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
D01F9/00 A
D01D5/14
D01D10/00 Z
D01D5/06 103
(21)【出願番号】P 2023078186
(22)【出願日】2023-05-10
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】202211180509.X
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523174088
【氏名又は名称】温州佳遠生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【氏名又は名称】柳元 八大
(72)【発明者】
【氏名】林 亮
(72)【発明者】
【氏名】厳 信徐
(72)【発明者】
【氏名】韓 瑞
(72)【発明者】
【氏名】郭 朋
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534248(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102277656(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114481357(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0136137(US,A1)
【文献】米国特許第03048465(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D1/00-13/02
D01F1/00-6/96
9/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラック(1)を含み、前記ラック(1)には左から右へ原液タンク(2)、凝固浴(201)、可塑化延伸浴(5)、水洗プール(6)、乾燥機構(7)及び巻き取り機構(8)が順に取り付けられ、前記凝固浴(201)の左側壁に紡糸口金(3)が取り付けられ、前記紡糸口金(3)と前記原液タンク(2)との間に計量ポンプ(4)が接続され、前記凝固浴(201)、前記可塑化延伸浴(5)及び前記水洗プール(6)内にいずれもテンションローラ(9)が取り付けられたキトサン繊維ワンステップ紡糸装置であって、
送水管(10)及び水タンク(23)を更に含み、
前記送水管(10)は、前端が前記水洗プール(6)の前端内壁に固定され、かつ後端が前記水洗プール(6)を貫通して前記水洗プール(6)の後端の外側に位置し、前記送水管(10)に取り付けスリーブ(101)が回転可能に外嵌され、前記送水管(10)は、高さ方向に沿って分布する2つの前記テンションローラ(9)の間に位置し、前記取り付けスリーブ(101)は、前端軸受が前記水洗プール(6)の前端内壁に取り付けられ、後端が前記水洗プール(6)を貫通して前記水洗プール(6)の後端の外側に位置し、前記取り付けスリーブ(101)の外側に取り付け板(11)が固定され、前記取り付け板(11)の外端に可動溝(12)が形成され、前記可動溝(12)内に軸受によりスクリュー(13)が取り付けられ、前記スクリュー(13)にねじ山により
複数の操作ベース(14)が
前記スクリュー(13)の延在方向に沿って間隔を空けて配列されるように外嵌され、
複数の前記操作ベース(14)の外端に
複数の操作ヘッド(15)が
それぞれ固定され、
隣り合う一方の操作ヘッド(15)
の他方の操作ヘッド(15)と対向するとともに前記スクリュー(13)の延在方向に対し傾斜する傾斜対向面に点状突起(16)が接着され、前記スクリュー(13)の後端にギアロール(17)が接続され、前記ギアロール(17)の側辺位置にラックバー(18)が設けられ、前記ラックバー(18)は、前記水洗プール(6)の後側内壁に固定され、前記水洗プール(6)の後側の外部に支持ベース(19)が固定され、前記支持ベース(19)の内部に二軸モータ(20)が嵌め込まれて固定され、前記二軸モータ(20)の一端にギア(21)が接続され、前記ギア(21)の上部にリングギア(22)が噛み合い、前記リングギア(22)は、前記取り付けスリーブ(101)の後端に外嵌され、
前記水タンク(23)は、前記送水管(10)の後端の頂部位置に取り付けられ、前記送水管(10)の後端の頂部位置には前記水タンク(23)の底部と連通する給水口(24)が形成され、前記送水管(10)の後端面に弾性伸縮ロッド(25)により押圧プレート(26)が接続され、前記押圧プレート(26)の中央部にクロスバー(27)によりピストンプレート(28)が接続され、前記ピストンプレート(28)は、前記送水管(10)内に位置し、前記押圧プレート(26)の後端に案内プレート(29)が設けられ、前記案内プレート(29)は、前記二軸モータ(20)の他端に接続され、前記送水管(10)の内壁に給水孔(102)が貫通して形成され、前記給水孔(102)の外側に導水室(103)が設けられ、前記導水室(103)は、前記取り付けスリーブ(101)の内壁に形成され、前記取り付けスリーブ(101)の外側にある前記取り付け板(11)の内部が中空構造で前記導水室(103)に貫通し、前記取り付け板(11)の左側面には前記取り付け板(11)の内部の中空構造に貫通する噴水孔(104)が等間隔で形成される、
ことを特徴とするキトサン繊維ワンステップ紡糸装置。
【請求項2】
前記導水室(103)は、円弧状構造に設計され、かつ弧長が前記給水孔(102)の直径より大きく、前記給水孔(102)は、前記送水管(10)に設けられ、前記送水管(10)の外側の前記取り付けスリーブ(101)を前記送水管(10)と貼り合するように内壁にゴム材料が敷設される、
ことを特徴とする請求項1に記載のキトサン繊維ワンステップ紡糸装置。
【請求項3】
前記取り付け板(11)は、前記取り付けスリーブ(101)の外側に等角度で分布し、各前記取り付け板(11)上の操作ベース(14)は互いにオフセットして設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のキトサン繊維ワンステップ紡糸装置。
【請求項4】
前記操作ベース(14)は、前記スクリュー(13)により前記可動溝(12)内に貼り合されて摺動し、前記スクリュー(13)の両端のねじ山の方向が逆である、
ことを特徴とする請求項1に記載のキトサン繊維ワンステップ紡糸装置。
【請求項5】
前記点状突起(16)は、半球状構造となり、等間隔で前記操作ヘッド(15)の外側面に分布し、前記点状突起(16)の直径が前記操作ヘッド(15)の外端に向かう方向に徐々に大きくなり、前記操作ヘッド(15)の外側面の幅が前記操作ヘッド(15)の外端に向かう方向に徐々に小さくなり、前記操作ヘッド(15)及び前記点状突起(16)は、いずれもゴム材料を用いる、
ことを特徴とする請求項1に記載のキトサン繊維ワンステップ紡糸装置。
【請求項6】
前記ラックバー(18)は、円弧状構造となり、前記水洗プール(6)内に対角に2つ設けられ、2つの前記ラックバー(18)は、いずれも前記ギアロール(17)と噛み合い、下方の前記ラックバー(18)は、前記ギアロール(17)の外部位置にあり、上方の前記ラックバー(18)は、前記ギアロール(17)の内部位置にある、
ことを特徴とする請求項1に記載のキトサン繊維ワンステップ紡糸装置。
【請求項7】
前記ピストンプレート(28)は、頂部が前記送水管(10)の頂部の内壁に貼り合され、前記送水管(10)の両端は、閉塞構造である、
ことを特徴とする請求項1に記載のキトサン繊維ワンステップ紡糸装置。
【請求項8】
前記案内プレート(29)は、半分が突起構造に設計され、突起位置の動作軌跡が前記押圧プレート(26)と接触し、前記突起位置の端部が傾斜構造に設計される、
ことを特徴とする請求項1に記載のキトサン繊維ワンステップ紡糸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キトサン繊維紡糸の技術分野に関し、具体的には、キトサン繊維ワンステップ紡糸装置である。
【背景技術】
【0002】
キトサン繊維は、濃アルカリ処理で脱アセチル化されて製造された繊維であり、静菌、血止め、傷口の癒合を促進するなどの効果を有しており、キトサンは、キチンの重要な誘導体である一方、キチンは、エビ、カニ、昆虫の外骨格及び藻類の細胞壁に広く存在する。キトサン繊維の製造について、湿式紡糸プロセス、乾湿式紡糸プロセス及び静電紡糸プロセスが一般的であり、湿式紡糸プロセスでは、一般的に、キトサン原料を酢酸水溶液に溶解させ、濾過し、脱泡した後に一定の粘度がある紡糸原液を製造し、次に計量ポンプを経て紡糸口金から押し出し、細流状の原液を凝固浴中で固体繊維に凝固させ、その後に更に延伸加工した後に完成品の繊維を得る。一貫性のワンステップ紡糸プロセスを用いることが多いが、従来のワンステップ紡糸装置は、使用時に以下の問題がある。
【0003】
従来のワンステップ紡糸装置では、繊維の成形性能を向上させるために、可塑化延伸及び水洗浴延伸を行う必要があることが多く、水洗浴延伸の過程において、可塑化延伸を行った後、大量の溶剤が繊維トウ内に入り、水洗及び押圧により除去して、更に成形する必要がある。しかしながら、従来のワンステップ紡糸装置では、水洗浴操作を行う場合、繊維トウを均一に掻き分けて、整合した位置で水洗することに不便であり、テンションローラの押圧及び水洗だけにより、堆積された繊維トウの内部の溶剤を除去しにくく、後続の成形に影響を与え、キトサン繊維紡糸の品質が低下してしまう。
【0004】
上記問題に対して、早急に従来のワンステップ紡糸装置を基に創造して設計する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、キトサン繊維ワンステップ紡糸装置を提供して、上記背景技術に提出した従来のワンステップ紡糸装置における繊維トウを均一に掻き分けて位置合わせて水洗することに不便であるという問題を解決することであり、本発明は、従来の技術手段に存在する技術的問題に対して、従来技術に明らかに異なる解決手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る技術手段は、以下のとおりである。キトサン繊維ワンステップ紡糸装置は、ラックを含み、前記ラックには左から右へ原液タンク、凝固浴、可塑化延伸浴、水洗プール、乾燥機構及び巻き取り機構が順に取り付けられ、前記凝固浴の左側壁に紡糸口金が取り付けられ、前記紡糸口金と前記原液タンクとの間に計量ポンプが接続され、前記凝固浴、前記可塑化延伸浴及び前記水洗プール内にいずれもテンションローラが取り付けられ、
送水管及び水タンクを更に含み、
前記送水管は、前端が前記水洗プールの前端内壁に固定され、かつ後端が前記水洗プールを貫通して前記水洗プールの後端の外側に位置し、前記送水管に取り付けスリーブが回転可能に外嵌され、前記送水管は、高さ方向に沿って分布する2つの前記テンションローラの間に位置し、前記取り付けスリーブは、前端軸受が前記水洗プールの前端内壁に取り付けられ、後端が前記水洗プールを貫通して前記水洗プールの後端の外側に位置し、前記取り付けスリーブの外側に取り付け板が固定され、前記取り付け板の外端に可動溝が形成され、前記可動溝内に軸受によりスクリューが取り付けられ、前記スクリューにねじ山により操作ベースが外嵌され、前記操作ベースの外端に操作ヘッドが固定され、前記操作ヘッドの側面に点状突起が接着され、前記スクリューの後端にギアロールが接続され、前記ギアロールの側辺位置にラックバーが設けられ、前記ラックバーは、前記水洗プールの後側内壁に固定され、前記水洗プールの後側の外部に支持ベースが固定され、前記支持ベースの内部に二軸モータが嵌め込まれて固定され、前記二軸モータの一端にギアが接続され、前記ギアの上部にリングギアが噛み合い、前記リングギアは、前記取り付けスリーブの後端に外嵌され、
前記水タンクは、前記送水管の後端の頂部位置に取り付けられ、前記送水管の後端の頂部位置には前記水タンクの底部と連通する給水口が形成され、前記送水管の後端面に弾性伸縮ロッドにより押圧プレートが接続され、前記押圧プレートの中央部にクロスバーによりピストンプレートが接続され、前記ピストンプレートは、前記送水管内に位置し、前記押圧プレートの後端に案内プレートが設けられ、前記案内プレートは、前記二軸モータの他端に接続され、前記送水管の内壁に給水孔が貫通して形成され、前記給水孔の外側に導水室が設けられ、前記導水室は、前記取り付けスリーブの内壁に形成され、前記取り付けスリーブの外側にある前記取り付け板の内部が中空構造で前記導水室に貫通し、前記取り付け板の左側面には前記取り付け板の内部の中空構造に貫通する噴水孔が等間隔で形成される。
【0007】
好ましくは、前記導水室は、円弧状構造に設計され、かつ弧長が前記給水孔の直径より大きく、前記給水孔は、前記送水管の左下部の30°の位置に設けられ、前記送水管の外側の前記取り付けスリーブを前記送水管と貼り合するように内壁にゴム材料が敷設される。導水室が給水孔と重なり合うと、送水管内の水が導水室に入り、更に噴水孔から噴出され、繊維トウを水洗すると共に、取り付けスリーブが送水管に回転し、その他の貼り合箇所で水漏れが発生しない。
【0008】
好ましくは、前記取り付け板は、前記取り付けスリーブの外側に等角度で分布し、正面図における外端の断面が球状構造となり、高さが前記取り付けスリーブと前記テンションローラ上の繊維トウとの垂直距離より大きく、各前記取り付け板上の操作ベースは互いにオフセットして設けられる。取り付けスリーブが取り付け板を回転させるように駆動し、取り付け板が繊維トウと接触するとき、繊維トウをある程度に押圧し、張力を増加させ、成形効率を向上させ、水洗に合わせて、洗浄効果を向上させる。
【0009】
好ましくは、前記操作ベースは、前記スクリューにより前記可動溝内に貼り合されて摺動し、前記スクリューの両端のねじ山の方向が逆であり、前記スクリュー上のピッチが中央部から両側に向かって徐々に大きくなる。スクリューが回転し、両側の操作ベースが外側へ移動するように駆動すると共に、ねじ山の密度の設定により操作ベースを等割合で変位させることにより、各操作ベース間の距離をいずれも増加させる。
【0010】
好ましくは、前記点状突起は、半球状構造となり、等間隔で前記操作ヘッドの外側面に分布し、前記点状突起の直径が前記操作ヘッドの外端に向かう方向に徐々に大きくなり、前記操作ヘッドの外側面の幅が前記操作ヘッドの外端に向かう方向に徐々に小さくなり、前記操作ヘッド及び前記点状突起は、いずれもゴム材料を用いる。操作ヘッドにより繊維トウを迅速に掻き分け、点状突起に合わせて繊維トウを制限し、操作ヘッド自体の弾性に合わせて、繊維トウが突っ張るときに順に反発することができる。
【0011】
好ましくは、前記ラックバーは、円弧状構造となり、前記水洗プール内に対角に2つ設けられ、2つの前記ラックバーは、いずれも前記ギアロールと噛み合い、下方の前記ラックバーは、前記ギアロールの外部位置にあり、上方の前記ラックバーは、前記ギアロールの内部位置にあり、そして前記ラックバーの中心点の相接線が前記テンションローラ上の繊維トウの位置と平行である。取り付けスリーブが時計回りに回転するとき、ギアロールと下方のラックバーとが噛み合って反時計回りに回転し、スクリューを回転させるように駆動することにより、操作ベースを外に移動させ、ギアロールが上方のラックバーと噛み合う場合、スクリューが操作ベースをリセットするように駆動し、次回の操作を容易にすると共に、ラックバーの位置の分布に合わせて、操作ベースが繊維トウと接触するときに外に移動し、繊維トウを掻く。
【0012】
好ましくは、前記ピストンプレートは、側断面が「L」字状構造設計となり、頂部が前記送水管の頂部の内壁に貼り合され、前記給水口の位置に対応し、前記送水管の両端は、閉塞構造である。ピストンプレートの往復移動により、送水管内の水を押圧すると共に、水タンクの水が送水管に入りやすい。
【0013】
好ましくは、前記案内プレートは、前記押圧プレートと平行であり、半分が突起構造に設計され、突起位置の動作軌跡が前記押圧プレートと接触し、前記突起位置の端部が傾斜構造に設計される。案内プレートの回転により、弾性伸縮ロッドの使用に合わせて、押圧プレートの往復移動を駆動し、更にピストンプレートの往復移動を駆動することができる。
【発明の効果】
【0014】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
【0015】
1、本発明によれば、繊維トウを均一に掻き分ける機構を設け、二軸モータが取り付けスリーブを回転させるように駆動することにより取り付け板を回転させるように駆動することができ、取り付け板の外部のギアロールが下方のラックバーと噛み合い、スクリューを回転させるように駆動し、更に操作ベースを両側に等割合で移動させるように駆動し、この場合に操作ヘッドが繊維トウ内に挿入され、繊維トウを中央部から両側に送り、繊維トウが複数本の小トウを分けられて点状突起の間の位置に配置され、点状突起及び操作ヘッドがゴム材料を用い、一定の柔軟性を有し、繊維トウが突っ張り位置に掻き分けられると、点状突起及び操作ヘッドが応力を受けて変形し、突っ張られた繊維トウをリセットし、操作ヘッドの端部の外側が傾斜構造であるため、上層の繊維トウの延伸位置が下層の繊維トウの延伸位置に比べて距離が遠く、更に上層の繊維トウが先に突っ張られて先にリセットさせ、また上層の点状突起の直径が大きいため、上層の繊維トウをリセットするときに下方の点状突起の外端から直接的にリセットし、下方の繊維トウをリセットするように駆動せず、この構造により、堆積された繊維トウを掻き分けることができ、掻き分けられないトウが元の位置に戻らず、繊維トウの短時間での均一な掻き分けを実現し、後続きの均一な水洗を容易にすることができ、これに対して、従来の技術では、繊維トウを水に浸漬し、テンションローラに合わせて押圧及び水洗を行うことが多く、繊維トウの内部に残留した溶剤を除去しにくく、更に、本発明によれば、繊維トウを均一に掻き分けるとき、まず取り付け板の外端により繊維トウを下向きに押圧し、縦方向に延伸させ、更に掻き分けの過程で、繊維トウを両側に送り、横方向に延伸させ、多方向での延伸により繊維トウの成形効率を更に向上させる。
【0016】
2、本発明によれば、位置合わせされた水洗機構を設け、二軸モータが運転して繊維トウを均一に掻き分けると共に、案内プレートを回転させるように駆動することができ、案内プレート上の凹凸位置で、弾性伸縮ロッドに合わせて押圧プレートが往復摺動するように駆動し、更にピストンプレートを送水管内で往復移動するように駆動することができ、ピストンプレートの断面の「L」字状構造に合わせて、送水管内の水が押圧されるとき、水タンク内の水で送水管を補充しやすく、送水管内の水が押圧されるとき、この時に導水室が給水孔の箇所に回転することにより、水が導水室を通過して噴水孔から噴出され、導水室の弧長が給水孔の直径より大きく、噴水時間を延長し、均一に掻き分けられた繊維トウにスプレーし、当該繊維トウを水洗することができ、単一の二軸モータを用い、構造の設計に合わせて、掻き分けられた繊維トウを同期に水洗し、従来の技術における直接的な水浴洗浄に比べて、本発明によれば、掻き分けられたトウを均一にスプレーし、一方で水を節約し、他方で均一に水洗し、水洗の効果が高く、更に、二軸モータの回転速度を制御し、掻き分けの速度を向上させることにより、短い繊維トウ距離内に複数回の掻き分け操作を行うことができ、各取り付け板上の操作ベースが互いにオフセットして設けられ、操作ベースの初期に繊維トウ内に挿入された位置を調整することにより、掻き分け位置を調整することができ、繊維トウの掻き分けの均一性を更に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明の水洗プールの正断面概略構成図である。
【
図3】本発明の水洗プールの側断面概略構成図である。
【
図4】本発明の操作ベースの側面展開概略構成図である。
【
図5】本発明の操作ベースの側面概略構成図である。
【
図6】本発明の案内プレートの斜視概略構成図である。
【
図7】本発明の
図2におけるA箇所の拡大概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術手段を明確かつ完全的に説明する。明らかに、説明される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を行わない前提で得られる他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0019】
図1~7に示すように、本発明に係る技術手段であるキトサン繊維ワンステップ紡糸装置は、ラック1、原液タンク2、凝固浴201、紡糸口金3、計量ポンプ4、可塑化延伸浴5、水洗プール6、乾燥機構7、巻き取り機構8、テンションローラ9、送水管10、取り付けスリーブ101、給水孔102、導水室103、噴水孔104、取り付け板11、可動溝12、スクリュー13、操作ベース14、操作ヘッド15、点状突起16、ギアロール17、ラックバー18、支持ベース19、二軸モータ20、ギア21、リングギア22、水タンク23、給水口24、弾性伸縮ロッド25、押圧プレート26、クロスバー27、ピストンプレート28及び案内プレート29を含む。
【0020】
(実施例1)
図1~5に示すように、ラック1には左から右へ原液タンク2、凝固浴201、可塑化延伸浴5、水洗プール6、乾燥機構7及び巻き取り機構8が順に取り付けられ、凝固浴201の左側壁に紡糸口金3が取り付けられ、紡糸口金3と原液タンク2との間に計量ポンプ4が接続され、凝固浴201、可塑化延伸浴5及び水洗プール6内にいずれもテンションローラ9が取り付けられ、送水管10は、前端が水洗プール6の前端内壁に固定され、かつ後端が水洗プール6を貫通して水洗プール6の後端の外側に位置し、送水管10に取り付けスリーブ101が回転可能に外嵌され、送水管10は、高さ方向に沿って分布する2つのテンションローラ9の間に位置し、取り付けスリーブ101は、前端軸受が水洗プール6の前端内壁に取り付けられ、後端が水洗プール6を貫通して水洗プール6の後端の外側に位置し、取り付けスリーブ101の外側に取り付け板11が固定され、取り付け板11の外端に可動溝12が形成され、可動溝12内に軸受によりスクリュー13が取り付けられ、スクリュー13にねじ山により操作ベース14が外嵌され、操作ベース14の外端に操作ヘッド15が固定され、操作ヘッド15の側面に点状突起16が接着され、スクリュー13の後端にギアロール17が接続され、ギアロール17の側辺位置にラックバー18が設けられ、ラックバー18は、水洗プール6の後側内壁に固定され、水洗プール6の後側の外部に支持ベース19が固定され、支持ベース19の内部に二軸モータ20が嵌め込まれて固定され、二軸モータ20の一端にギア21が接続され、ギア21の上部にリングギア22が噛み合い、リングギア22は、取り付けスリーブ101の後端に外嵌され、取り付け板11は、取り付けスリーブ101の外側に等角度で分布し、正面図における外端の断面が球状構造となり、高さが取り付けスリーブ101とテンションローラ9上の繊維トウとの垂直距離より大きく、各取り付け板11上の操作ベース14は互いにオフセットして設けられ、操作ベース14は、スクリュー13により可動溝12内に貼り合されて摺動し、スクリュー13の両端のねじ山の方向が逆であり、スクリュー13上のピッチが中央部から両側に向かって徐々に大きくなり、点状突起16は、半球状構造となり、等間隔で操作ヘッド15の外側面に分布し、点状突起16の直径が操作ヘッド15の外端に向かう方向に徐々に大きくなり、操作ヘッド15の外側面の幅が操作ヘッド15の外端に向かう方向に徐々に小さくなり、操作ヘッド15及び点状突起16は、いずれもゴム材料を用い、ラックバー18は、円弧状構造となり、水洗プール6内に対角に2つ設けられ、2つのラックバー18は、いずれもギアロール17と噛み合い、下方のラックバー18は、ギアロール17の外部位置にあり、上方のラックバー18は、ギアロール17の内部位置にあり、そしてラックバー18の中心点の相接線がテンションローラ9上の繊維トウの位置と平行であり、取り付けスリーブ101が回転して、取り付け板11を回転させるように駆動し、ギアロール17が下方のラックバー18と噛み合い、スクリュー13により操作ベース14が両側へ移動するように駆動し、操作ヘッド15及び点状突起16に合わせて、繊維トウを掻き分け、後続きの水洗を容易にする。
【0021】
(実施例2)
図1~3及び
図6~7に示すように、水タンク23は、送水管10の後端の頂部位置に取り付けられ、送水管10の後端の頂部位置には水タンク23の底部と連通する給水口24が形成され、送水管10の後端面に弾性伸縮ロッド25により押圧プレート26が接続され、押圧プレート26の中央部にクロスバー27によりピストンプレート28が接続され、ピストンプレート28は、送水管10内に位置し、押圧プレート26の後端に案内プレート29が設けられ、案内プレート29は、二軸モータ20の他端に接続され、送水管10の内壁に給水孔102が貫通して形成され、給水孔102の外側に導水室103が設けられ、導水室103は、取り付けスリーブ101の内壁に形成され、取り付けスリーブ101の外側の取り付け板11の内部が中空構造で導水室103に貫通し、取り付け板11の左側面には取り付け板11の内部の中空構造に貫通する噴水孔104が等間隔で形成され、導水室103は、円弧状構造に設計され、かつ弧長が給水孔102の直径より大きく、給水孔102は、送水管10の左下部の30°の位置に設けられ、送水管10の外側の取り付けスリーブ101を送水管10と貼り合するように内壁にゴム材料が敷設され、ピストンプレート28は、側断面が「L」字状構造設計となり、頂部が送水管10の頂部の内壁に貼り合され、給水口24の位置に対応し、送水管10の両端は、閉塞構造であり、案内プレート29は、押圧プレート26と平行であり、半分が突起構造に設計され、突起位置の動作軌跡が押圧プレート26と接触し、突起位置の端部が傾斜構造に設計され、二軸モータ20により案内プレート29を回転させるように駆動し、押圧プレート26が移動するように駆動し、クロスバー27によりピストンプレート28が移動するように駆動し、送水管10内の水を押圧することにより、水が給水孔102、導水室103を通過して噴水孔104から噴出され、掻き分けられた繊維トウを水洗する。
【0022】
動作原理は以下のとおりである。当該キトサン繊維ワンステップ紡糸装置を脂油する際、
図1~7に示すように、まず、キトサン原料を溶解させ、濾過して脱泡して原液タンク2内に入れ、計量ポンプ4を起動して、原液を紡糸口金3を介して凝固浴201内に噴入し、原液を凝固浴201に噴入した後に繊維トウに成形し、そしてテンションローラ9により可塑化延伸浴5内に導入し、可塑化延伸浴5内のグリセリン及び水溶液によりテンションローラ9に合わせて繊維トウを可塑化して延伸させ、次に水洗プール6内に導入し、二軸モータ20を起動し、二軸モータ20がギア21とリングギア22との噛み合いにより取り付けスリーブ101が送水管10で時計回りに回転するように駆動し、取り付けスリーブ101が取り付け板11を回転させるように駆動し、取り付け板11の外側のギアロール17が下方のラックバー18の位置まで回転するときにスクリュー13が可動溝12内で反時計回りに回転させるように駆動し、操作ベース14が外側へ摺動するように駆動し、このときに操作ベース14上の操作ヘッド15が繊維トウ内に挿入され、操作ベース14及び操作ヘッド15に合わせて外側へ摺動し、繊維トウを外側に掻き分け、繊維トウが掻き分けられる過程で更に延伸し、小さな繊維トウが2つの点状突起16の間に係入され、点状突起16及び操作ヘッド15がゴム材料を用い、一定の柔軟性を有し、繊維トウが突っ張り位置に掻き分けられると、操作ヘッド15の端部の外側が傾斜構造であるため、上層の繊維トウの延伸位置が下層の繊維トウの延伸位置に比べて距離が遠く、更に上層の繊維トウが先にリセットさせ、また上層の点状突起16の直径が大きいため、上層の繊維トウをリセットするときに下方の点状突起16の外端から直接的にリセットし、下方の繊維トウをリセットするように駆動せず、この構造により、掻き分けられないトウが元の位置に戻らず、繊維トウの短時間での均一な掻き分けを実現することができ、取り付けスリーブ101が回転し続けるに連れて、操作ヘッド15が繊維トウから離脱し、繊維トウがリセットされ、短時間の掻き分け操作を完了し、取り付け板11の外側のギアロール17が上方のラックバー18の位置まで回転すると、ギアロール17が時計回りに回転し、スクリュー13を逆方向に回転させるように駆動し、かつ操作ベース14をリセットするように駆動することができ、次回の操作を容易にする。
【0023】
次に、操作ヘッド15により繊維トウを掻き分ける過程で、二軸モータ20が案内プレート29を回転させるように駆動し、案内プレート29上の突出位置が押圧プレート26と接触し、押圧プレート26を押圧することにより、押圧プレート26がクロスバー27によりピストンプレート28を送水管10内に移動するように駆動し、ピストンプレート28上の横方向位置で給水口24を閉塞し、水タンク23内の水が送水管10内に流入せず、更にピストンプレート28により送水管10内の水を押圧し、この時に導水室103がちょうど給水孔102の箇所に回転することにより、送水管10内の水が給水孔102を通過して導水室103に入り、次に取り付け板11の内部空洞に入り、かつ噴水孔104により噴出され、水を掻き分けられた繊維トウの位置にスプレーし、均一な水洗を実現し、案内プレート29が回転し続けるに連れて、案内プレート29の突出位置が押圧プレート26から離れ、弾性伸縮ロッド25の作用で押圧プレート26がリセットされ、更にピストンプレート28をリセットするように駆動し、給水口24が開かれ、水タンク23内の水が送水管10内に補充され、ピストンプレート28の往復移動により、操作ヘッド15に合わせて繊維トウを絶えず掻き分け、繊維トウを均一に水洗すると共に、取り付け板11の端部及び操作ヘッド15により繊維トウに追加の引張力を提供し、繊維トウの成形効果を向上させ、後続きの繊維トウを乾燥機構7に入れて乾燥させ、巻き取り機構8により巻き取る。
【0024】
本明細書において詳細に説明されていない内容は、当業者の周知の従来技術に属し、本発明の説明において、特別な説明がない限り、「複数」は、2つ以上を意味する。用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」、「前端」、「後端」、「頭部」、「尾部」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は要素が必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成されて動作することを示すか又は示唆するものでないため、本発明を限定するものと理解すべきではない。また、用語「第1」、「第2」、「第3」などは、説明の目的のためのみに用いられ、相対的な重要性を示すか又は示唆するものと理解すべきではない。なお、本発明の説明において、別に明確な規定及び限定がない限り、用語「連結」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であっても、着脱可能な接続であっても、一体的な接続であってもよく、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、直接的な接続であってもよく、中間媒体を介した間接的な接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0025】
上記実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、依然として上記各実施例に記載された技術手段を修正するか、又はそのうちの一部の技術的特徴に対して均等物の置換を行うことができ、本発明の精神と原則内で行われたいかなる修正、同等置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0026】
1 ラック
2 原液タンク
201 凝固浴
3 紡糸口金
4 計量ポンプ
5 可塑化延伸浴
6 水洗プール
7 乾燥機構
8 巻き取り機構
9 テンションローラ
10 送水管
101 取り付けスリーブ
102 給水孔
103 導水室
104 噴水孔
11 取り付け板
12 可動溝
13 スクリュー
14 操作ベース
15 操作ヘッド
16 点状突起
17 ギアロール
18 ラックバー
19 支持ベース
20 二軸モータ
21 ギア
22 リングギア
23 水タンク
24 給水口
25 弾性伸縮ロッド
26 押圧プレート
27 クロスバー
28 ピストンプレート
29 案内プレート
【要約】 (修正有)
【課題】繊維トウを均一に掻き分けて位置合わせて水洗することが容易な、ワンステップ紡糸装置を提供する。
【解決手段】本発明のキトサン繊維ワンステップ紡糸装置は、ラック1を含み、原液タンク2、凝固浴201、可塑化延伸浴5、水洗プール6、乾燥機構7及び巻き取り機構8が順に取り付けられ、送水管10は、前端が前記水洗プールの前端内壁に固定され、取り付けスリーブの前端軸受が前記水洗プールの前端内壁に取り付けられ、取り付け板の外端に可動溝が形成され、操作ベースの外端に操作ヘッドが固定され、二軸モータの一端にギアが接続され、水タンクは、送水管の後端の頂部位置に取り付けられ、送水管の後端面に弾性伸縮ロッドにより押圧プレートが接続され、押圧プレートの後端に案内プレートが設けられ、送水管の内壁に給水孔が貫通して形成され、取り付けスリーブの外側にある取り付け板の内部が中空構造で導水室に貫通する。
【選択図】
図1