(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20240118BHJP
A47K 1/14 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
E03C1/22 C
A47K1/14 B
(21)【出願番号】P 2019226241
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】高野 枝里子
(72)【発明者】
【氏名】幸泉 博雄
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-291624(JP,A)
【文献】特開2011-137330(JP,A)
【文献】特開2007-321479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/298
A47K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管に対して取り付けられる排水栓装置であって、
側壁部分に嵌合孔領域または嵌合凹部領域を有する排水部本体と、
昇降機構によって昇降されるシャフト部と、
前記シャフト部の上端に固定されて前記シャフト部の昇降に伴って前記排水管の上端の排水口を開閉可能な蓋部と、
を備え、
前記シャフト部には、径方向外側に突出するように設けられた弾性突片が設けられており、当該弾性突片が前記嵌合孔領域内または前記嵌合凹部領域内で所定範囲だけ昇降可能に嵌合されて
おり、
前記シャフト部が前記昇降機構によって上昇される最高位置において、前記弾性突片は前記嵌合孔領域または前記嵌合凹部領域の上縁に未だ当接せず、当該位置から前記シャフト部は更に手動で持ち上げ可能である
ことを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
前記シャフト部には、直径方向に対向する位置において径方向外側に突出するように設けられた一対の前記弾性突片が設けられており、当該一対の前記弾性突片が一対の前記嵌合孔領域内または一対の前記嵌合凹部領域内にそれぞれ所定範囲だけ昇降可能に嵌合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
【請求項3】
前記シャフト部には、周方向に離散的な位置において径方向外側に突出するように設けられた複数の前記弾性突片が設けられており、当該複数の前記弾性突片が複数の前記嵌合孔領域内または複数の前記嵌合凹部領域内にそれぞれ所定範囲だけ昇降可能に嵌合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
【請求項4】
前記シャフト部は、1回転以上できないように回転規制されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の排水栓装置。
【請求項5】
前記嵌合孔領域または前記嵌合凹部領域の上縁は、側方に向かうにつれて高さがより低くなっている
ことを特徴とする請求項4に記載の排水栓装置。
【請求項6】
前記昇降機構による前記シャフト部の昇降のストロークよりも、前記更なる手動での持ち上げのストロークの方が、小さい
ことを特徴とする請求項
1乃至5のいずれかに記載の排水栓装置。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれかに記載の排水栓装置と、
前記排水栓装置が設置可能なボウル部と、
を備えたことを特徴とする洗面台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水栓装置に関し、特に、排水口が形成された洗面ボウルを有する洗面台に設けられる排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗面台の洗面ボウルは、水を貯めて使用できるように排水栓により排水口を止水できるようになっている。このような洗面台として、排水栓を手に持って排水口に挿入する構造を有する洗面台が広く用いられていた(特許文献1参照)。このような洗面台は、単純な構成であるため、製造コストが低いという利点がある。
【0003】
また、本件出願人は、周囲に傾斜面を有する排水口を確実に止水することができる洗面台を安価で提供するべく、排水口が形成された洗面ボウルを有する洗面台であって、排水口の周囲には当該排水口に向けて傾斜する傾斜面が形成されており、洗面ボウルに対して玉鎖で繋がれ、外周に環状のシール部を有し、排水口を止水する排水栓と、排水口を止水する際に、シール部の全周が傾斜面に当接するように、排水栓の位置を規制する規制手段と、を備えたことを特徴とする洗面台を開示している(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案第3050011号公報
【文献】特開2012-200331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、排水栓は、清掃性を向上させるという点では、洗面ボウルに対して着脱可能であることが好ましい。しかしながら、公共の施設に設けられる洗面台においては、洗面台への「いたずら」を防止するため、及び、排水栓の「盗難」を防止するため、排水栓が洗面ボウルから取り外せないようになっている方が好ましい。
【0006】
図6は、公共の施設に設けられる従来の洗面台を示す概略斜視図であり、
図7は、当該洗面台の概略斜視断面図であり、
図8は、当該洗面台の排水口及び排水栓を示す概略縦断面図である。
【0007】
図6乃至
図8に示すように、洗面台50は、上端にフランジ部61を有する略円筒状の排水部本体60を備えている。排水部本体60の上端側の開口部が、排水口62を形成している。また、排水部本体60の側方には、洗面台50のオーバーフロー口と連通される連絡孔63が形成されている。
【0008】
排水栓70は、不図示の昇降機構に接続されたシャフト部71と、シャフト部71の上端に固定されてシャフト部71の昇降に伴って排水口62を開閉可能な蓋部72と、を有している。また、シャフト部71には、径方向に延びる案内羽根73が取り付けられている。また、シャフト部71の下端部には、雄ネジ部74が設けられている。
【0009】
そして、排水部本体60の中程の高さ位置に、横方向にリブ64が渡されていて、当該リブ64の中央に雌ネジ孔65が設けられている。雌ネジ孔65は、シャフト部71の雄ネジ部74よりも上方の部分とは遊嵌する(シャフト部71が軸方向に円滑に移動できる)一方で、シャフト部71の雄ネジ部74とは緩やかに螺合する(シャフト部71がネジ山に沿って円滑に移動できる)ようになっている。
【0010】
図6乃至
図8に示す従来の洗面台50は、不図示の昇降機構を作動させることによって、排水口62を任意に開閉することができる。また、清掃時には、排水栓70を排水口62から取り外した方が作業性が増すため、不図示の昇降機構を作動させて排水栓70を最高位置にまで上昇させた状態から、手作業で排水栓70を取り外す。具体的には、排水栓70を更に持ち上げてシャフト部71の下端部の雄ネジ部74を雌ネジ孔65に当接させ、続いて排水栓70を回転することで雄ネジ部74を雌ネジ孔65と螺合させながら雌ネジ孔65を通過させていく(
図8参照)。
【0011】
このような手作業の手順は、洗面台50の構造を知っている作業員にとっては造作ないが、洗面台50の構造を知らない者にとっては意外と分かり難い。このため、当該構造は、洗面台への「いたずら」を防止したり排水栓の「盗難」を防止したりする上で、極めて効果的であった。
【0012】
しかしながら、前述した構造は、排水部本体60にリブ64を設ける必要があり、更にリブ64に高い位置決め精度で雌ネジ孔65を設ける必要があり、製造がやや大変である。
【0013】
本発明は、以上の背景に基づいてなされたものである。本発明の目的は、一般の人が排水口から取り外すことが難しい排水栓装置であって、製造が比較的簡単な排水栓装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、側壁部分に嵌合孔領域または嵌合凹部領域を有する排水管に対して取り付けられる排水栓装置であって、昇降機構によって昇降されるシャフト部と、前記シャフト部の上端に固定されて前記シャフト部の昇降に伴って前記排水管の上端の排水口を開閉可能な蓋部と、を備え、前記シャフト部には、径方向外側に突出するように設けられた弾性突片が設けられており、当該弾性突片が前記嵌合孔領域内または前記嵌合凹部領域内で所定範囲だけ昇降可能に嵌合されていることを特徴とする排水栓装置である。
【0015】
本発明によれば、弾性突片が嵌合孔領域内または嵌合凹部領域内に嵌合していることによって、一般の人が排水口から取り外すことが難しい排水栓装置が実現されている。(排水栓装置を排水口から取り外す際には、弾性突片を径方向内側に変形させつつ、排水栓装置を排水口から引き抜く作業が必要である。)また、従来のようなリブを必要としないため、製造が比較的簡単である。
【0016】
更に、弾性突片とシャフト部とは、樹脂によって一体成形可能である。この場合、材料コストを抑制することも可能である。
【0017】
弾性突片と嵌合孔領域または嵌合凹部領域とは、直径方向に一対が設けられてもよい。すなわち、本発明は、対向する側壁部分に一対の嵌合孔領域または嵌合凹部領域を有する排水管に対して取り付けられる排水栓装置であって、昇降機構によって昇降されるシャフト部と、前記シャフト部の上端に固定されて前記シャフト部の昇降に伴って前記排水管の上端の排水口を開閉可能な蓋部と、を備え、前記シャフト部には、直径方向に対向する位置において径方向外側に突出するように設けられた一対の弾性突片が設けられており、当該一対の弾性突片が前記一対の嵌合孔領域内または前記一対の嵌合凹部領域内にそれぞれ所定範囲だけ昇降可能に嵌合されていることを特徴とする排水栓装置である。
【0018】
弾性突片と嵌合孔領域または嵌合凹部領域とは、周方向に離散的に複数が設けられてもよい。すなわち、本発明は、側壁部分に周方向に離散的に複数の嵌合孔領域または嵌合凹部領域を有する排水管に対して取り付けられる排水栓装置であって、昇降機構によって昇降されるシャフト部と、前記シャフト部の上端に固定されて前記シャフト部の昇降に伴って前記排水管の上端の排水口を開閉可能な蓋部と、を備え、前記シャフト部には、周方向に離散的な位置において径方向外側に突出するように設けられた複数の弾性突片が設けられており、当該複数の弾性突片が前記複数の嵌合孔領域内または前記複数の嵌合凹部領域内にそれぞれ所定範囲だけ昇降可能に嵌合されていることを特徴とする排水栓装置である。
【0019】
以上の各発明において、前記シャフト部は、1回転以上できないように回転規制されていることが好ましい。例えば、嵌合孔領域または嵌合凹部領域が弾性突片の周回を許容しない形状を有していれば、弾性突片が嵌合孔領域または嵌合凹部領域の側縁と当接することで、シャフト部は回転規制される。
【0020】
これによれば、
図6乃至
図8を用いて説明した従来の構造とは異なることを、作業員が容易に認識できる。
【0021】
また、この場合、更に、前記嵌合孔領域または前記嵌合凹部領域の上縁は、側方に向かうにつれて高さがより低くなっていることが好ましい。
【0022】
これによれば、シャフト部を回転させた時、弾性突片が嵌合孔領域または嵌合凹部領域の上縁によって規制されてシャフト部が下降することになるため、
図6乃至
図8を用いて説明した従来の構造とは異なることを、作業員がより一層容易に認識できる。
【0023】
また、前記シャフト部が前記昇降機構によって上昇される最高位置において、前記弾性突片は前記嵌合孔領域または前記嵌合凹部領域の上縁に未だ当接せず、当該位置から前記シャフト部は更に手動で持ち上げ可能であることが好ましい。
【0024】
これによれば、排水栓装置を取り外すことなく、ある程度の清掃時の作業性を確保することができる。
【0025】
また、この場合、更に、前記昇降機構による前記シャフト部の昇降のストロークよりも、前記更なる手動での持ち上げのストロークの方が、小さいことが好ましい。
【0026】
これによれば、更なる手動での持ち上げにおいて勢いが付いて弾性突片が嵌合孔領域または嵌合凹部領域から外れてしまう、という事態の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、弾性突片が嵌合孔領域内または嵌合凹部領域内に嵌合していることによって、一般の人が排水口から取り外すことが難しい排水栓装置が実現されている。(排水栓装置を排水口から取り外す際には、弾性突片を径方向内側に変形させつつ、排水栓装置を排水口から引き抜く作業が必要である。)また、従来のようなリブを必要としないため、製造が比較的簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態による排水栓装置の組立時の状態を示す概略縦断面図である。
【
図3】
図1の排水栓装置の蓋部の閉塞時の状態を示す概略縦断面図である。
【
図4】
図1の排水栓装置の蓋部の開放時の状態を示す概略縦断面図である。
【
図5】
図1の排水栓装置のシャフト部の手動上昇時の状態を示す概略縦断面図である。
【
図6】公共の施設に設けられる従来の洗面台の概略斜視図である。
【
図8】
図6の洗面台の排水口及び排水栓を示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による排水栓装置について説明する。
【0030】
(構成)
図1は、本発明の一実施形態による排水栓装置20の組立時の状態を示す概略縦断面図であり、
図2は、
図1の排水栓装置20の概略斜視断面図であり、
図3は、
図1の排水栓装置20の蓋部22の閉塞時の状態を示す概略縦断面図であり、
図4は、
図1の排水栓装置20の蓋部22の開放時の状態を示す概略縦断面図であり、
図5は、
図1の排水栓装置20のシャフト部21の手動上昇時の状態を示す概略縦断面図である。
【0031】
図1乃至
図5に示す排水栓装置20は、直径方向に対向する側壁部分に一対の嵌合孔領域13を有する排水部本体10に対して取り付けられている。排水部本体10は、主として円筒状のSUS管材からなるが、上端に黄銅鍛造材(Crメッキ)からなるフランジ部11が取り付けられている。排水部本体10の上端側の開口部が、排水口12を形成している。嵌合孔領域13は、洗面台のオーバーフロー口(不図示)と連通するようになっている。
【0032】
排水栓装置20は、排水部本体10の下端近傍に設けられた公知の昇降機構30によって昇降されるシャフト部21と、シャフト部21の上端に固定されてシャフト部21の昇降に伴って排水口12を開閉可能な蓋部22と、を備えている。
【0033】
更に、本実施形態のシャフト部21には、直径方向に対向する位置において径方向外側に突出するように設けられた一対の弾性突片23が設けられている。当該一対の弾性突片23が、一対の嵌合孔領域13内に、それぞれ所定範囲だけ昇降可能に嵌合されている。弾性突片23の昇降可能な所定範囲は、嵌合孔領域13の上縁と下縁とによって規制されている。
【0034】
また、本実施形態のシャフト部21には、径方向に延びる案内羽根24が設けられている。本実施形態の案内羽根24は、一対の弾性突片23が延在する平面に対して直交する方向に延びている。
【0035】
また、本実施形態では、シャフト部21と弾性突片23と案内羽根24とが樹脂によって一体成形されている。これにより、材料コストが抑制されている。
【0036】
弾性突片23の形態例について説明を補足すれば、本実施形態の弾性突片23は、シャフト部21から側方に延出する肩部23aと、当該肩部23aの周縁から垂下する腕部23bと、当該腕部23bの下端から径方向外側に突出する突部23cと、を有している。肩部23a、腕部23b及び突部23cは、いずれも比較的薄い厚み(
図1の紙面に垂直な方向の寸法)を有しているが、肩部23aはある程度の高さを有していて弾性は小さい(ほとんど変形しない)。一方、腕部23bは径方向の厚みも小さく、弾性が大きい(変形しやすい)。組立時には、腕部23bの弾性が利用される(
図1参照)。
【0037】
また、本実施形態では、シャフト部21は、1回転以上できないように回転規制されている。具体的には、嵌合孔領域13が弾性突片23の周回を許容しない形状を有しており、弾性突片23が嵌合孔領域13の側縁と当接することでシャフト部21が回転規制されるようになっている。
【0038】
また、本実施形態では、
図1乃至
図5に示すように、嵌合孔領域13の上縁の高さが、滑らかな曲線(例えば楕円状の曲線)に沿って、側方に向かうにつれてより低くなっている。
【0039】
更に、本実施形態では、
図4に示すように、シャフト部21が昇降機構30によって上昇される最高位置において、弾性突片23は嵌合孔領域13の上縁に未だ当接しないようになっている。そして、当該位置からシャフト部21は更に手動で持ち上げ可能となっている(
図5参照)。
【0040】
但し、当該手動での持ち上げのストローク(
図4→
図5)の方が、昇降機構30によるシャフト部21の昇降のストローク(
図3→
図4)よりも、小さくなっている。
【0041】
(動作)
以上に説明した本実施形態の排水栓装置20においては、公知の昇降機構30を作動させることによって蓋部22を昇降させることで、排水口12を任意に開閉することができる(
図3→
図4→
図3→・・・)。
【0042】
そして、例えば排水口12に詰まった異物を除去する時などには、
図4の位置(シャフト部21が昇降機構30によって上昇される最高位置)から更に手動でシャフト部21を持ち上げることによって、排水口12へのアクセス性を高めることができる(
図4→
図5)。
【0043】
更に、清掃時には、
図5の位置から、特殊なジグないし工具を用いる等して一対の弾性突片23を径方向内側に変形させつつ、排水栓装置20を更に排水口12から引き抜くことで、排水栓装置20を排水口12から取り外すことができる。
【0044】
排水栓装置20の取り外し作業は、洗面台の構造を知っている作業員にとっては造作ないが、洗面台の構造を知らない者にとっては意外と分かり難い。このため、本実施形態の排水栓装置20は、洗面台への「いたずら」を防止したり排水栓装置20の「盗難」を防止したりする上で、極めて効果的である。
【0045】
(取り付け)
一旦取り外した排水栓装置20を再び排水口12に取り付ける際には、
図1に示すように、弾性突片23の腕部23bの変形を利用しつつ、排水栓装置20を排水口12内に押し入れていけばよい。これにより、極めて簡単な作業で、排水栓装置20を排水口12に取り付けることができる。
【0046】
(作用効果)
以上に説明した本実施形態の排水栓装置20によれば、弾性突片23が嵌合孔領域13内に嵌合していることによって、一般の人が排水口12から取り外すことが難しい排水栓装置20が実現されている。(排水栓装置20を排水口12から取り外す際には、弾性突片23を径方向内側に変形させつつ、排水栓装置20を排水口12から引き抜く作業が必要である。)また、従来のようなリブを必要としないため、製造が比較的簡単である。
【0047】
また、本実施形態の排水栓装置20によれば、シャフト部21と弾性突片23と案内羽根24とが樹脂によって一体成形されているため、材料コストを抑制することが可能である。
【0048】
また、本実施形態の排水栓装置20によれば、シャフト部21が1回転以上できないように回転規制されているため、
図6乃至
図8を用いて説明した従来の構造とは異なることを、作業員が容易に認識できる。
【0049】
特に、本実施形態の排水栓装置20によれば、嵌合孔領域13の上縁の高さが側方に向かうにつれてより低くなっているため、シャフト部21を回転させた時、弾性突片23が嵌合孔領域13の上縁によって規制されてシャフト部21が下降することになる。これにより、
図6乃至
図8を用いて説明した従来の構造とは異なることを、作業員がより一層容易に認識できる。
【0050】
また、本実施形態の排水栓装置20によれば、シャフト部21が昇降機構30によって上昇される最高位置(
図4参照)において、弾性突片23は嵌合孔領域13の上縁に未だ当接せず、当該位置からシャフト部21は更に手動で持ち上げ可能である。これにより、排水栓装置20を取り外さなくても、ある程度の清掃時の作業性を確保することができる。
【0051】
また、本実施形態の排水栓装置20によれば、昇降機構30によるシャフト部21の昇降のストローク(
図3→
図4)よりも、更なる手動での持ち上げのストローク(
図4→
図5)の方が小さくなっている。これにより、更なる手動での持ち上げにおいて勢いが付いて、弾性突片23が嵌合孔領域13から外れてしまう、という事態の発生を抑制することができる。
【0052】
(変形例)
前述の実施形態では、弾性突片と嵌合孔領域との組は、直径方向に一対が設けられていたが、本発明はこの態様に限定されない。弾性突片と嵌合孔領域との組は、一個のみが設けられていてもよい。あるいは、弾性突片と嵌合孔領域との組は、周方向に離散的に3以上が(例えば周方向に等間隔に)設けられていてもよい。
【0053】
また、弾性突片が嵌合する排水管の領域は、側壁部分を貫通する嵌合孔領域の代わりに、側壁部分(内壁部分)において径方向に貫通しないように設けられた嵌合凹部領域であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 排水部本体
11 フランジ部
12 排水口
13 嵌合孔領域
20 排水栓装置
21 シャフト部
22 蓋部
23 弾性突片
23a 肩部
23b 腕部
23c 突部
24 案内羽根
30 昇降機構
50 洗面台
60 排水部本体
61 フランジ部
62 排水口
63 連絡孔
64 リブ
65 雌ネジ孔
70 排水栓
71 シャフト部
72 蓋部
73 案内羽根
74 雄ネジ部
80 排水管