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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】決済媒体の有効化方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/34 20120101AFI20240118BHJP
【FI】
G06Q20/34 400
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019134530
(22)【出願日】2019-07-22
(65)【公開番号】P2021018647
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-07-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成31年4月25日に株式会社Kyash内会議室で開かれた記者会見にて発表。
(73)【特許権者】
【識別番号】516075204
【氏名又は名称】株式会社Kyash
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 真一
(72)【発明者】
【氏名】椎野 孝弘
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-235683(JP,A)
【文献】特開2004-062772(JP,A)
【文献】特開2000-231655(JP,A)
【文献】特開2011-044021(JP,A)
【文献】特開2009-295005(JP,A)
【文献】特開2017-037594(JP,A)
【文献】“ウォレットアプリ「Kyash」、実店舗で使えるVisaカードを提供--2%ポイント還元も”,[online],2018年06月07日,[2023年9月22日検索],インターネット <URL:https://japan.cnet.com/article/35120457/>
【文献】“Kyashのリアルカードが届いたので早速カードの有効化をやってみた”,[online],2019年06月01日,[2023年9月22日検索],インターネット <URL:https://www.nobody-nowhere.info/kyashyukoka/>
【文献】“Kyash 決済テクノロジーをAPIで外部企業に開放 金融資産をカード決済につなぐ「Kyash Direct」”,CardWave,日本,株式会社インフキュリオン,2019年06月25日,第32巻, 第3号,pp.10~13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバが、
管理者が操作する端末から済媒体の発行要求を受け付ける第1受付ステップと
前記第1受付ステップに基づいて、前記管理者の業務に従事する従業員が決済に利用する前記決済媒体を発行する発行ステップと
前記発行ステップにおいて発行した前記決済媒体の有効化要求を前記従業員が操作する端末から受け付ける第2受付ステップと、
前記有効化要求に基づいて、前記決済媒体と、前記決済媒体の発行要求を行った前記管理者と、を関連付けてデータベースに記憶した状態で、前記決済媒体を有効化する有効化ステップと、
を実行する、有効化方法。
【請求項2】
前記発行ステップでは、前記決済媒体は、前記管理者に発行される、請求項1記載の有効化方法。
【請求項3】
前記第2受付ステップは、前記従業員が操作する端末から、前記決済媒体に紐づけたコードを受け付けることにより実行される、請求項記載の有効化方法。
【請求項4】
管理者が操作する端末から決済媒体の発行要求を受け付ける第1受付ステップと
前記第1受付ステップに基づいて、前記管理者の業務に従事する従業員が決済に利用する前記決済媒体を発行する発行ステップと
前記発行ステップにおいて発行した前記決済媒体の有効化要求を前記従業員が操作する端末から受け付ける第2受付ステップと、
前記有効化要求に基づいて、前記決済媒体と、前記決済媒体の発行要求を行った前記管理者と、を関連付けてデータベースに記憶した状態で、前記決済媒体を有効化する有効化ステップと、
を実行する、サーバ。
【請求項5】
コンピュータに、
管理者が操作する端末から決済媒体の発行要求を受け付ける第1受付ステップと
前記第1受付ステップに基づいて、前記管理者の業務に従事する従業員が決済に利用する前記決済媒体を発行する発行ステップと
前記発行ステップにおいて発行した前記決済媒体の有効化要求を前記従業員が操作する端末から受け付ける第2受付ステップと、
前記有効化要求に基づいて、前記決済媒体と、前記決済媒体の発行要求を行った前記管理者と、を関連付けてデータベースに記憶した状態で、前記決済媒体を有効化する有効化ステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済媒体の有効化方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、法定通貨バリュー、電子マネー、その他ポイント等の金銭的価値を有する無形資産(以下、「バリュー」という)による決済が普及しており、一例として、電子マネー決済の一般的な仕組みにおいて、利用者は、所定の方法により、一定の金額相当の電子マネーを事前または即座にチャージし、電子マネー利用者である加盟店に渡すことで、その加盟店が販売する商品またはサービスを購入し、加盟店舗は、電子マネー発行者から売上金相当の電子マネーと引き換えに現金等の支払を受ける。
【0003】
電子マネーのチャージ方法として、現金によるチャージのほか、クレジットカードや銀行口座等の支払能力を担保することが可能な対象と連動したチャージ方法が挙げられる(例えば、特許文献1)。また、複数のチャージ方法(ファンディングソース)を利用者が選択肢の中から選択できる方法も開示されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許6473487号公報
【文献】特開2018-160267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来から、電子マネーを始めとするバリューの決済媒体(例えば、プラスチックに所定のカード情報を印字した物理カード)を用いて店頭等では決済が行われているが、決済媒体を利用するにあたり有効化するための手続きにおいては、利用者が入力する項目が多かったりするなど、利用者が煩雑と感じることがあった。
【0006】
また、特に法人において、従業員に法人カードとして物理カードを使用させる場合、従業員が有効化のために入力した情報がカード会社を経由することとなり、カード会社が大量の個人情報を取り扱うこととなるため、セキュリティ対策などの負荷が大きくなる。
【0007】
そこで、本発明では、より簡便な決済媒体の有効化方法及びシステムを提供すること、特に法人向けの場合決済媒体提供者における個人情報管理の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
金銭的価値を有するバリューによる支払用の決済媒体を提供する決済媒体提供者により前記決済媒体を有効化する有効化方法であって、利用者または管理者が登録情報を登録し、 前記登録情報に基づき、前記決済媒体提供者から前記決済媒体及び識別コードを前記利用者または前記管理者へ提供し、前記利用者が少なくとも前記識別コード及び利用者識別情報または管理者識別情報を含む有効化要求を決済媒体提供者に送信し、前記有効化要求に基づき、前記決済媒体を有効化する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より簡便な決済媒体の有効化方法及びシステムを提供すること、特に法人向けの場合、決済媒体提供者における個人情報管理の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るシステムを示すブロック構成図である。
図2図1のカード会社端末100を示す機能ブロック構成図である。
図3図1の利用者端末200を示す機能ブロック構成図である。
図4図1の管理者端末300を示す機能ブロック構成図である。
図5】カード会社端末100に格納される利用者データの一例を示す模式図である。
図6】カード会社端末100に格納される電文データの一例を示す模式図である。
図7】カード会社端末100に格納される管理者データの一例を示す模式図である。
図8】本発明の一の実施形態に係る、有効化方法に係るフローチャートの変形例である。
図9】本発明の他の実施形態に係る、有効化方法に係るフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。
【0012】
<構成>
図1は、本発明の実施形態に係る決済媒体有効化システムを示すブロック構成図である。本実施形態は、一例として、物理カードを発行するカード会社の端末である、カード会社端末100と、その物理カードを利用する利用者の端末である、利用者端末200と、例えば利用者が法人に属する社員である場合に、物理カードの発行を管理する管理者の端末である、管理者端末300と、利用者がカードを利用する際に支出元となるファンディングソース400とにより構成されるシステムを例示して説明する。このシステムは例示であり、この構成に限るものではなく、例えば個人で物理カードを利用する場合には管理者端末300を備えなくてもよく、すべての構成同士がネットワークNWを介して相互に接続されていなくてもよい。
【0013】
カード会社は、所謂、クレジットカードやプリペイドカードのイシュアーと呼ばれ、利用者に対し、カードを発行し、与信管理を行い、例えばプリペイドカードであれば、利用者の電子マネーの残高を管理し、利用者が商品と引き換えにプリペイドカードを加盟店舗で利用した際に、その取引のオーソリ(承認)を行う。利用者は、個人利用者または法人利用者が考えられ、また、法人の場合は、その法人が二次イシュアー(パートナー)として、さらに他の法人に対してカードを発行し、カードに自社が提供する機能を追加してサービス提供をすることも考えられる。また、利用者が法人に属する従業員であって、カード会社が法人カードとしてカード発行する場合は、法人に属する管理者は、そのカードを事業部または従業員向けに発行し、利用者は、出張、会議及び接待等、業務に付随する用途のためにそのカードを利用することも考えられる。
【0014】
また、カード会社は、例えばプリペイドカードとして、所謂、バーチャルカードといわれる、利用者がスマートフォン等の携帯端末にインストールしたアプリケーションソフトを介して表示されるプリペイドカードを発行したり、利用者からの要求に応じて、物理カードといわれる、クレジットカードまたはデビットカード等のプラスチックに所定のカード情報を印字した、磁気カードまたはICチップを内蔵したICカードを発行することもできる。一般的に、バーチャルカードは、オンラインショッピング等のオンラインにおける商品の購入等の取引に、物理カードは、実店舗における商品またはサービスの購入等の取引に際して利用される。なお、カード会社は、例えば他にも、利用者がスマートフォン等の携帯端末にインストールしたアプリケーションソフト等を介し、店舗等に設置された非接触端末装置を用いて支払いを行うサービス(カード情報を直接用いた支払いであっても、トークンを用いた支払いであってもよい。)を直接的または間接的に提供してもよい。
【0015】
カード会社端末100と、利用者端末200、管理者端末300、ファンディングソース400は、ネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等により構成される。
【0016】
カード会社端末100は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。本実施形態においては、説明の便宜上カード会社端末として1台を例示しているが、これに限定されず、複数台であってもよい。
【0017】
利用者端末200や管理者端末300は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置であるが、スマートフォンや携帯電話、PDA等により構成しても良い。
【0018】
ファンディングソース400は、バリュープールであればどのような形態でもよく、例えばクレジットカード、デビットカード、銀行口座、ブロックチェーン口座、及びキャリア決済のいずれかであってもよく、他にも売上金(カード決済によって蓄積されたバリューなど)、金融資産と等価である価値(信用など)、ユーザーがファンディングするにあたりそれに値するバリューを扱うバリュープールであってもよい。
【0019】
本実施形態では、システム1は、カード会社端末100、利用者端末200、管理者端末300、ファンディングソース400を有するものと説明するが、上述のように、二次イシュアー(パートナー)を利用者端末とすることもでき、また、パートナーのカード利用者が他の法人または個人となる例において、そのパートナーを本システムにおけるカード会社(カード会社端末100)に置き換え、そのパートナーが発行するカードの利用者を本システムにおける利用者(利用者端末200)に置き換えることもできる。パートナーがカード会社に置き換えられる場合は、元のカード会社のAPI(Application Programming Interface)を利用することも考えられる。
【0020】
図2は、図1のカード会社端末100の機能ブロック構成図である。カード会社端末100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0021】
通信部110は、ネットワークNWを介して利用者端末200または管理者端末300と通信を行うための通信インタフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0022】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、カード利用者が加盟店で商品またはサービスを購入した場合の取引のオーソリ(承認)や電子マネーのチャージに必要な各種データを格納する、利用者データ格納部121、加盟店から受信するオーソリ電文に関連するデータを格納する、電文データ格納部122、管理者データ格納部123(図2においては図示せず。図7にて後述する。)等を有する。さらに、記憶部120は、利用者端末200または管理者端末300と通信を行ったデータを一時的に記憶することもできる。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120外に構築されていてもよい。
【0023】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、カード会社端末100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、利用者端末200からの指示を受け付ける要求受付部131と、カード発行要求に対して承認のための処理を行うカード発行承認処理部132と、カードの有効化に関連する処理を行う、有効化処理部133と、を有する。この要求受付部131、カード発行承認処理部132、有効化処理部133は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるカード会社端末100により実行される。なお、制御部130には、必要に応じて、オーソリ要求に対して承認のための処理を行う承認処理部や、電子マネーのチャージに関連する処理を行う、チャージ処理部を有してもよい。
【0024】
要求受付部131は、例えば、利用者端末200においてインストールされるアプリケーションを介して表示されるユーザインターフェースにおいて、利用者が、例えば、利用者情報を登録したり、バーチャルまたは物理的なカードを発行する等の所定の要求を行ったときに、利用者端末200から通信部110を介して要求を受付ける。また、利用者が、例えば、加盟店でカードを使って商品またはサービスの購入を行い、店舗端末のリーダによって物理カードの読み取り操作を行い、オーソリ要求を行うためにオーソリ電文を送信したときに、店舗端末から通信部110を介して要求を受付ける。
【0025】
カード発行承認処理部132は、利用者端末200から、カード発行要求を受付けたときに、その要求の承認を行うための所定の処理を行う。
【0026】
有効化処理部133は、利用者端末200から、カード有効化要求を受付けたときに、後述の有効化を行うための所定の処理を行う。
【0027】
図3は、図1の利用者端末200を示す機能ブロック構成図である。利用者端末200は、通信部210と、表示操作部220と、記憶部230と、制御部240とを備える。
【0028】
通信部210は、ネットワークNWを介してカード会社端末100と通信を行うための通信インタフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0029】
表示操作部220は、利用者が指示を入力し、制御部240からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザインターフェースであり、利用者端末200がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、利用者端末200がタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部220は、記憶部230に記憶されているアプリケーションプログラム等の制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)である利用者端末200により実行される。
【0030】
記憶部230は、各種制御処理や制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部230は、カード会社端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0031】
制御部240は、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、利用者端末200の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
【0032】
なお、カード会社端末100に利用者端末200に記憶されているアプリケーションプログラム等の制御プログラムの機能を全部または一部備える構成としても良い。
【0033】
図4は、図1の管理者端末300を示す機能ブロック構成図である。管理者端末300は、通信部310と、表示操作部320と、記憶部330と、制御部340とを備える。
【0034】
通信部310は、ネットワークNWを介してカード会社端末100と通信を行うための通信インタフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0035】
表示操作部320は、管理者が指示を入力し、制御部340からの入力データに応じてテキスト、画像等を表示するために用いられるユーザインターフェースであり、管理者端末300がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、管理者端末300がタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部320は、記憶部330に記憶されているアプリケーションプログラム等の制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)である管理者端末300により実行される。
【0036】
記憶部330は、各種制御処理や制御部340内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部330は、カード会社端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0037】
制御部340は、記憶部330に記憶されているプログラムを実行することにより、管理者端末300の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
【0038】
なお、カード会社端末100に管理者端末300に記憶されているアプリケーションプログラム等の制御プログラムの機能を全部または一部備える構成としても良い。
【0039】
図5は、カード会社端末100に格納される利用者データの一例を示す模式図である。
【0040】
図5に示す利用者データ1000は、カードを利用する利用者に関連する各種データを格納する。図5において、説明の便宜上、一利用者(利用者ID「10001」で特定される利用者)の例を示すが、複数の利用者の情報を格納することができる。利用者に関連する各種データとして、例えば、利用者の登録情報(個人の場合は、氏名、生年月日、性別、住所、及び連絡先(電話番号、Eメールアドレス等)、また、カード情報(例えば、カード番号(PAN)、カード会員名、有効期限(EXP)、暗証番号(PIN)、セキュリティコード(CAV/CVC2/CVV2/CID)、及びトラックデータ等)が含まれる。また、与信に関連する情報(例えば、電子マネー残高、利用限度額等)、利用者のファンディングソース情報(クレジットカード情報、デビットカード情報、銀行口座情報、仮想通貨口座情報及びキャリア決済用の情報等))も含まれる。
【0041】
図6は、カード会社端末100に格納される電文データの一例を示す模式図である。
【0042】
図6に示す電文データ2000は、オーソリ電文に格納される各種データを格納する。オーソリ電文に関連する各種データとして、例えば、加盟店で利用されたカード情報、加盟店ID、利用日時、利用金額等の情報が含まれる。
【0043】
図7は、利用者が法人に属する従業員である場合、カード会社端末100に格納される管理者データ3000の一例を示す模式図である。なお、この場合、従業員に関する利用者データ1000は、カード会社端末100に格納されていないことがより好ましい。これにより、カード会社が大量の個人情報を取り扱う負担を軽減することができる。
【0044】
図7に示す管理者データ3000は、管理者に関連する各種データを格納する。図7において、説明の便宜上、一管理者(管理者ID「30001」で特定される管理者)の例を示すが、複数の管理者の情報を格納することができる。管理者に関連する各種データとして、例えば、管理者の登録情報(法人の場合は、法人名、連絡先、代表者氏名、代表者住所等)、また、カード情報(例えば、カード番号(PAN)、カード会員法人名、有効期限(EXP)、暗証番号(PIN)、セキュリティコード(CAV/CVC2/CVV2/CID)、及びトラックデータ等)が含まれる。また、与信に関連する情報(例えば、電子マネー残高、利用限度額等)、管理者のファンディングソース情報(クレジットカード情報、デビットカード情報、銀行口座情報、仮想通貨口座情報及びキャリア決済用の情報等)も含まれる。
【0045】
<処理の流れ>
図8を参照しながら、特に個人向けにおける、本実施形態のシステム1が実行する物理カードの有効化方法の処理の流れについて説明する。図8は、本発明の一の実施形態に係る、物理カードの有効化方法に係るフローチャートの一例である。
【0046】
まず、利用者は、物理カードを発行するため、利用者端末200からWebサイトまたはアプリケーションソフト等にアクセスし、提供されるユーザインターフェースにおいて利用者データを登録し(S101)、物理カードの発行要求を行う(S102)。
【0047】
なお、S102の処理時点において登録する利用者データは、少なくとも後述する物理カード発行のための承認(S103)に必要な情報が登録されていればよい。より具体的な例としては、物理カードとしてプリペイドカードを発行する場合には、前述の利用者の登録情報(例えば、氏名、住所等)が少なくとも登録されていればよい。ここで、すでにWebサイトまたはアプリケーションソフト等を介してバーチャルカードが発行済みである場合には、情報登録(S101)は省略され、バーチャルカード発行時に登録された利用者データを参照してもよい。また、物理カードとしてクレジットカードやデビットカードなどを発行する場合には、従来のカード発行審査に用いられる利用者に関する情報(例えば、職業や収入等)なども登録される必要がある。その他の利用者データについては、各情報が必要なタイミングまでに登録されていればよく、例えば物理カード利用時までにファンディングソース情報が登録されていればよい。また、後述されるように、物理カードのカード情報は、有効化処理時に登録されてもよい。
【0048】
次に、カード会社は、利用者端末200から受信した利用者データを基に物理カードの発行のための承認を行う(S103)。
【0049】
次に、承認された場合には、カード会社から物理カードを利用者宛に送付する。この時、例えば、物理カードと共に、利用者端末200により読み取り可能な、物理カードに紐づけた識別コードを送付する。なお、本実施形態においては、この時点では、識別コードと利用者データとはサーバ100において互いに紐づいていないため、カード会社にとって物理カードの発行が簡便であるが、この限りではなく、予め互いに紐づけていてもよい。また、識別コードは、例えばバーコードなどの1次元コード、QRコードなどの二次元コードなどの画像認識で読み取られるものでもよい。さらに、例えば物理カードのICチップに格納されている情報を識別コードとして、利用者端末200で直接的またはリーダ等を介して間接的に読み取られるものでもよい。
【0050】
次に、利用者は、アプリケーションソフトを起動し、物理カードに紐づけた識別コードを利用者端末200により読み取る(S104)。そして、読み取った識別コード及び利用者識別情報(例えば、管理者ID、特にアプリケーションソフト等に紐づいた利用者ID)を含む有効化要求をカード会社端末100に送信する(S105)。なお、この送信は、利用者が送信指示を実行する(例えば、送信ボタンを押す)だけで実行されることとしてもよいが、少なくとも有効化のための手続きが簡便になっていればよい場合には、必要に応じて、利用のために不足している個人情報やそれ以外の情報の入力を促し、それらの情報も合わせて送信するようにしてもよい。
【0051】
最後に、カード会社端末100にて受信した識別コード及び利用者識別情報に基づき、利用者データと物理カードを紐づけ、物理カードを有効化する処理を実行する(S108)。
【0052】
これにより、利用者は物理カード等の決済媒体の有効化処理の際に、カード会社等の決済媒体提供者から送付された識別コードをアプリケーションソフト等により読み取るだけでよいので、従来よりも簡便な有効化処理が実行されることとなる。
【0053】
<処理の流れ>
図9を参照しながら、特に法人向けにおける、本実施形態のシステム1が実行する物理カードの有効化方法の処理の流れについて説明する。図9は、本発明の他の実施形態に係る、物理カードの有効化方法に係るフローチャートの一例である。
【0054】
まず、管理者は、従業員に物理カードを発行するため、管理者端末300からWebサイトまたはアプリケーションソフト等にアクセスし、提供されるユーザインターフェースにおいて管理者データを登録し(S101)、物理カードの発行要求を行う(S102)。
【0055】
なお、S102の処理において登録する管理者データは、少なくとも後述する物理カード発行のための承認(S103)に必要な情報が登録されていればよい。より具体的な例としては、物理カードとしてプリペイドカードを発行する場合には、前述の管理者の登録情報(例えば、法人名、連絡先、代表者氏名、代表者住所、カード枚数等)が少なくとも登録されていればよい。ここで、すでにアプリケーションソフトを介してバーチャルカードが発行済みである場合には、バーチャルカード発行時に登録された管理者データを参照してもよい。また、物理カードとしてクレジットカードやデビットカードなどを発行する場合には、従来のカード発行審査に用いられる管理者に関する情報(例えば、資本金等)なども登録される必要がある。その他の利用者データについては、各情報が必要なタイミングまでに登録されていればよく、例えば従業員が物理カード利用時までにファンディングソース情報が登録されていればよい。
【0056】
次に、カード会社は、管理者端末300から受信した管理者データを基に物理カードの発行のための承認を行う(S104)。
【0057】
次に、承認された場合には、カード会社から物理カードを管理者宛に送付され、管理者から従業員である利用者へ配布される。この時、物理カードと共に、利用者端末200により読み取り可能な、物理カードに紐づけた識別コードを送付する。なお、本実施形態においては、この時点では、識別コードと利用者データとはサーバ100において互いに紐づいていないため、カード会社にとって物理カードの発行が簡便であるが、この限りではなく、予め互いに紐づけていてもよい。また、識別コードは、例えばバーコードなどの1次元コード、QRコードなどの二次元コードなどの画像認識で読み取られるものでもよい。さらに、例えば物理カードのICチップに格納されている情報を識別コードとして、利用者端末200で直接的またはリーダ等を介して間接的に読み取られるものでもよい。
【0058】
次に、利用者は、アプリケーションソフトを起動し、物理カードに紐づけた識別コードを利用者端末200により読み取る(S104)。そして、読み取った識別コード及び管理者識別情報(例えば、管理者ID、特にアプリケーションソフト等に紐づいた管理者ID)を含む有効化要求をカード会社端末100に送信する(S105)。なお、この送信は、利用者が送信指示を実行する(例えば、送信ボタンを押す)だけで実行されることとしてもよいが、少なくとも有効化のための手続きが簡便になっていればよい場合には、必要に応じて、個人情報以外の情報の入力を促し、それらの情報も合わせて送信するようにしてもよい。また、カード会社が個人情報の取り扱いを受け入れ可能である場合には、利用者の個人情報(例えば、名前や社員番号など)を含んでもよい。
【0059】
最後に、カード会社端末100にて受信した識別コード及び管理者識別情報に基づき、管理者データと物理カードを紐づけ、物理カードを有効化する処理を実行する(S108)。
【0060】
なお、図8及び図9においては、物理カードの有効化処理までを説明したが、その後、さらにWebサイトまたはアプリケーションソフト等を介してバーチャルカードの発行手続きを行い、物理カードと紐づけを行うようにしてもよい。
【0061】
これにより、利用者は物理カード等の決済媒体の有効化処理の際に、カード会社等の決済媒体提供者から送付された識別コードをアプリケーションソフト等により読み取るだけでよいので、従来よりも簡便な有効化処理が実行されることとなる。また、決済媒体提供者が従業員である大量の利用者の個人情報を取り扱うことがなくなるため、決済媒体提供者における個人情報管理の負担を軽減することができる。
【0062】
なお、上記実施形態の適用は、物理カードに対する有効化方法に限られず、電子マネーや法的通貨バリュー、各種ポイント等を含む、一定の金銭的価値を有するバリューに適用され、また、QRコード等を印字したシート媒体、QRコード等を表示したWebページ等の電子媒体、Webサービスやアプリ等の仮想媒体等の、媒体提供者により提供される決済媒体に対しても適用することができる。
【0063】
以上、開示に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 システム
100 カード会社端末
110 通信部
120 記憶部
130 制御部
200 利用者端末
300 管理者端末
400 ファンディングソース
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9