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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】立入り防止柵の乗越え梯子及び設置方法
(51)【国際特許分類】
   E06C 1/06 20060101AFI20240118BHJP
   E06C 9/14 20060101ALI20240118BHJP
   E04G 1/30 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
E06C1/06
E06C9/14 A
E04G1/30 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023193167
(22)【出願日】2023-11-13
【審査請求日】2023-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506341928
【氏名又は名称】株式会社フェアデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100221855
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 康造
(72)【発明者】
【氏名】山本 佳顕
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-089377(JP,A)
【文献】特開2012-255275(JP,A)
【文献】実公昭47-004222(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0163340(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C1/00-9/14
E04G1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立入り防止柵を乗り越えるための乗越え梯子であって、
前記乗越え梯子は、吊り梯子と手摺とを備え、
前記吊り梯子は、胴縁用鉤と、鋼索と、井桁踏板とから構成し、
前記胴縁用鉤は、逆U字形状で前記立入り防止柵の上側胴縁を跨いで掛けられ、
前記逆U字形状の両側下端に連結された前記鋼索により、前記井桁踏板は吊り下げられ、
前記手摺は、乗越え手摺と、前記乗越え手摺に連結された支柱部を備え、
前記乗越え手摺は、前記上側胴縁の部材に対応した胴縁掛金具を有し、
前記支柱部の下端には、前記立入り防止柵の下側胴縁と連結固定する固定治具を有することを特徴とする乗越え梯子。
【請求項2】
前記井桁踏板は、一対の棒状の縦桁と、前記縦桁と直して連結された一対の棒状の横桁とから構成し、
前記縦桁の両端部には、前記鋼索と連結するための鋼索用孔を有することを特徴とする請求項1に記載の乗越え梯子。
【請求項3】
前記支柱部は、一対の鉛直材と、前記鉛直材と直して連結された上水平材と下水平材とから構成し、
前記下水平材は、前記固定治具を有し、前記固定治具は、下側胴縁固定鎖と、鎖用鉤とから構成されたことを特徴とする請求項1に記載の乗越え梯子。
【請求項4】
前記胴縁掛金具は、鋼管タイプ用掛金具と、山形鋼タイプ用掛金具とから構成されたことを特徴とする請求項1に記載の乗越え梯子。
【請求項5】
請求項1に記載の乗越え梯子の設置方法であって、
前記胴縁用鉤を前記立入り防止柵の前記上側胴縁を跨いで掛ける工程と、
前記胴縁用鉤の一端に前記鋼索を連結し、前記井桁踏板を吊り下げ展開する工程と、
前記胴縁用鉤の他端に前記鋼索を連結し、前記井桁踏板を結束した状態で保持する工程と、
前記乗越え手摺の前記胴縁掛金具を、前記立入り防止柵の前記上側胴縁の部材に対応して固定する工程と、
前記立入り防止柵の前記下側胴縁と前記支柱部を、前記固定治具により連結固定する工程と、
前記乗越え手摺を使用して、前記井桁踏板の結束を解除して展開する工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする乗越え梯子の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梯子と手摺を分離して、軽量で持ち運び容易な、立入り防止柵の乗越え梯子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
点検業務や維持清掃作業のため、立入り防止柵を乗り越える必要がある。その際、立入り防止柵の金網につま先をかけての乗り越えでは、つま先が外れて転落事故となる危険がある。このため、立入り防止柵に足場を取付ける製品が、いくつか販売されている。しかしながら、これらの販売事例の商品には、立入り止柵を乗り越えるときに体を支持する物がないので、安全に立入り防止柵を乗り越えられないという課題がある。
【0003】
特許文献1には、立入り防止柵としての金網型フェンスに着脱自在なフック2を設けた支柱1に、滑り止めチャンネル6を設けた踏み板3を取り付け、支柱1と踏み板3にスライドアーム4を取り付けた、フェンス用携帯足場が記載され、脚立を使用せずに安全にフェンスを乗り越えることができることが、記載されている。
【0004】
特許文献2には、第2図の非常梯子において、窓の棧や横木に引っかけて梯子全体を保持するための金具となる保持金具1の、先端の小孔につり紐を通し、棚板3~棚板6が等距離に固定され、各棚板は側面がはめ込み式となり、この各棚板を取りはずすことにより連続した梯子段となる組合せをもった非常梯子が、記載されている。
【0005】
特許文献3には、窓の内側又は屋上等に設けたる梯子を、容置し得へる容こう7内にロープ取付部8を突設し、之に容こう7の周縁を越えて外方に垂下せしむるに足る長さのワイヤーロープ3の一端を取付け、各ワイヤーロープの他端に、連鎖1とステップ2とより成る梯子の、最上部のステップの両側二隅に、連結せる連鎖1を夫々連結し、而かも連鎖1は一本の金属杆aの両端部bcを環状に屈曲し、互に行違わせ且両端を夫々金属杆aの中央部に捲附けたる敷多の連環4の連続より成り、一定間隔を存してステップ2を連鎖1に堅持せしむべく、ステップ2の四隅に設けたる又状部に依り、連環4に於ける環状に屈曲せる両端部bcを、挟持せしめて成る救難梯子の構造が、記載されている。
【0006】
特許文献4には、上下方向に配置された複数本の横桟1と、上下に隣接する横桟1の両端部同士を連結する折り畳み自在な縦材2と、各横桟1に取り付けられた棒状の突子3と、最上段の横桟1に取り付けられた吊り下げ金具4とを備え、不使用時には縦材2が折り畳まれて横桟同士が当接する折り畳み状態になると共に、使用時には吊り下げ金具4が建物の窓枠等に掛けられて建物壁面Wに沿って伸長垂下状態になる避難梯子に於いて、上下に隣接する横桟1の対向する面の一方の面に、横桟1の長手方向に沿う凸部1aを、又、他方の面に、前記凸部1aに嵌合される凹部1bを夫々形成する避難梯子が、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】登録実用新案公報第3060018号
【文献】実公昭47-4222号
【文献】実公昭8―16285号
【文献】特開平7―238760
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、特許文献1に記載の発明は、立入り防止柵のフェンス乗越え用携帯足場であり、小型・軽量で、折りたたむことにより持ち運びが容易と記載されている。しかしながら、踏み板3は1段で、支柱1はフェンスの上端までしかない。このため高いフェンスでは、踏み板3が多数必要で重量が増加し、大型・重量となる。また乗り越える際、体を支える手摺がなく安全上問題がある。特許文献2に記載の発明は、窓の棧や横木に引っかけて梯子全体を保持する非常梯子であり、日常は棚板を接続して家具として使用できる、非常梯子兼つり棚である。このため、非常梯子兼つり棚を持ち運ぶことは困難であり、乗り越える際の手摺はない。特許文献3に記載の発明は、窓の内側又は屋上等に設けたロープ取付部8に、ワイヤーロープ3の一端を取付け、さらに連鎖1を垂らして、ステップ2の四隅を支持した、特に火災に際して強度低減を生じない救難梯子である。このため、重量も重く持ち運ぶことは困難であり、乗り越える際の手摺はない。特許文献4に記載の発明は、吊り下げ金具4と、折り畳み自在な縦材2と、複数本の横桟1とを備えた、アルミ角パイプにより折り畳み可能とした避難梯子で、持ち運ぶことは困難であり、乗り越える際の手摺はない。
【0009】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものである。乗り越える際の手摺を備え、梯子と手摺を分離して、軽量で持ち運び容易な、立入り防止柵の乗越え梯子及び設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願請求項1に係る発明は、立入り防止柵を乗り越えるための乗越え梯子であって、前記乗越え梯子は、吊り梯子と手摺とを備え、前記吊り梯子は、胴縁用鉤と、鋼索と、井桁踏板とから構成し、前記胴縁用鉤は、逆U字形状で前記立入り防止柵の上側胴縁を跨いで掛けられ、前記逆U字形状の両側下端に連結された前記鋼索により、前記井桁踏板は吊り下げられ、前記手摺は、乗越え手摺と、前記乗越え手摺に連結された支柱部を備え、前記乗越え手摺は、前記上側胴縁の部材に対応した胴縁掛金具を有し、前記支柱部の下端には、前記立入り防止柵の下側胴縁と連結固定する固定治具を有することを特徴とする乗越え梯子である。
【0011】
本願請求項2に係る発明は、前記井桁踏板は、一対の棒状の縦桁と、前記縦桁と直して連結された一対の棒状の横桁とから構成し、前記縦桁の両端部には、前記鋼索と連結するための鋼索用孔を有することを特徴とする請求項1に記載の乗越え梯子である。
【0012】
本願請求項3に係る発明は、前記支柱部は、一対の鉛直材と、前記鉛直材と直して連結された上水平材と下水平材とから構成し、前記下水平材は、前記固定治具を有し、前記固定治具は、下側胴縁固定鎖と、鎖用鉤とから構成されたことを特徴とする請求項1に記載の乗越え梯子である。
【0013】
本願請求項4に係る発明は、前記胴縁掛金具は、鋼管タイプ用掛金具と、山形鋼タイプ用掛金具とから構成されたことを特徴とする請求項1に記載の乗越え梯子である。
【0014】
本願請求項5に係る発明は、請求項1に記載の乗越え梯子の設置方法であって、前記胴縁用鉤を前記立入り防止柵の前記上側胴縁を跨いで掛ける工程と、前記胴縁用鉤の一端に前記鋼索を連結し、前記井桁踏板を吊り下げ展開する工程と、前記胴縁用鉤の他端に前記鋼索を連結し、前記井桁踏板を結束した状態で保持する工程と、前記乗越え手摺の前記胴縁掛金具を、前記立入り防止柵の前記上側胴縁の部材に対応して固定する工程と、前記立入り防止柵の前記下側胴縁と前記支柱部を、前記固定治具により連結固定する工程と、前記乗越え手摺を使用して、前記井桁踏板の結束を解除して展開する工程と、を少なくとも備えたことを特徴とする乗越え梯子の設置方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、立入り防止柵を乗り越えるための乗越え梯子は、吊り梯子と手摺とを備えており、手摺を使用して安全に乗り越えることができる。また、吊り梯子は、鋼索と井桁踏板から構成され、軽量で持ち運びが容易である。そして、逆U字形状の胴縁用鉤を立入り防止柵の上側胴縁に配設することにより、立入り防止柵の内側及び外側である胴縁用鉤の両側下端に、吊り梯子を簡単に設置できる。さらに、乗越え手摺は、立入り防止柵の上側胴縁の部材に対応した胴縁用鉤留金具を有しており、日本全国のどの地域の立入り防止柵の上側胴縁に、設置可能である。さらに、手摺は支柱部の固定治具により立入り防止柵の下側胴縁と、確実に連結固定される。
【0016】
加えて、井桁踏板は、縦桁と横桁とを有し、縦桁の両端部の鋼索用孔により鋼索と連結され、軽量で持ち運びが容易である。
【0017】
加えて、支柱部の下端は下側胴縁固定鎖と鎖用鉤からなる固定治具を有し、下側胴縁固定鎖の一端を下側胴縁の上側から下側に通して鎖用鉤に掛けることにより、容易に支柱部を連結固定することができる。
【0018】
加えて、胴縁掛金具は、地域特性に対応した鋼管タイプ用掛金具と山形鋼タイプ用掛金具とから構成されており、全国の地域に適用可能である。
【0019】
加えて、乗越え梯子は、一の井桁踏板を吊り下げ展開し、他の井桁踏板を結束した状態で保持し、乗越え手摺を使用して、他の井桁踏板の結束を解除して展開する工程により、安全・容易に立入り防止柵の内側及び外側に、乗越え梯子を設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1に係る乗越え梯子を、立入り防止柵(山形鋼タイプ)に設置した概要図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図2】本発明の実施例2に係る吊り梯子で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図、(d)は胴縁用鉤の詳細図である。
図3】本発明の実施例3に係る井桁踏板で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図4】本発明の実施例4に係る手摺で、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
図5】本発明の実施例5に係る手摺の支柱部で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は固定治具の詳細図である。
図6】立入り防止柵(鋼管タイプ)の組立図である。
図7】立入り防止柵(山形鋼タイプ)の組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されないことは言うまでもない。また、以下に記載する各部材等の材質、形状及び寸法は、実施例としての一例であり、変更することは設計的事項である。
【0022】
<座標軸>
図面には、座標軸としてX軸、Y軸及びZ軸を記載している。道路の車線方向をX軸、
本線側から側道側をY軸、道路面に対して鉛直に起立した上方向をZ軸方向としている。
【0023】
<定義>
上、下:道路面に対して鉛直に起立した軸(Z軸方向)に対し、道路面と反対側(Z軸プラス方向)を「上」、道路面側(Z軸マイナス方向)を「下」とする。
【0024】
<立入り防止柵の乗越え梯子の概要>
図1は、本発明の実施例1に係る乗越え梯子2を、立入り防止柵1(山形鋼タイプ)に設置した概要図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。乗越え梯子2は、1対の吊り梯子3・3と手摺4から構成されている。立入り防止柵1の上側胴縁111に胴縁用鉤31を介して、1対の吊り梯子3・3を立入り防止柵1の本線側15及び側線側16に吊り下げて展開している。さらに、吊り梯子3の車線方向両側には、手摺4が設置されている。このため、立入り防止柵1を、手摺4を使用して吊り梯子3により昇り、乗り越える際には、立入り防止柵1より上側に伸びている手摺4を使用して安全に、本線側15から側線側16に乗り越えることができる。なお、実施例1では、本線側15から乗越え梯子2を設置して、側線側16に乗り越えているが、逆の場合も同様である。
【0025】
<吊り梯子>
図2は、本発明の実施例2に係る吊り梯子3の図である。吊り梯子3は、胴縁用鉤31と、鋼索32(ワイヤーロープ)と、井桁踏板33とから構成されている。(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【0026】
胴縁用鉤31・31は、一例として逆U字形状で立入り防止柵1の上側胴縁111に、吊り梯子3の鋼索32・32の横幅(X軸方向)の間隔で、車線方向(X軸方向)に1対設置される。そして、逆U字形状の両側(Y軸方向)下端に吊り梯子3・3を、本線側15と側道側16に吊下げるものである。立入り防止柵1の上側胴縁111は、地域特性により山形鋼タイプ(L40×40mm)と鋼管タイプ(φ76.8mm)との2種類がある(図6、7を参照)。このため、胴縁用鉤31は、両タイプの上側胴縁111に対して、安定して跨いで掛けられ逆U字形状となっている。そして、胴縁用鉤31は、山形鋼タイプと鋼管タイプを、内側上部で安定支持できる、一例として内半径r=39mm、外半径r=59mm、高さH=99mm、厚さt=5mmの、逆U字の形状をアルミニュウム板材で形成している。そして、逆U字形状の両側下端には各鋼索用孔31a(φ8mm)を有し、鋼索用孔31aに留金具31b(一例としてカラビナ)を介して、鋼索32が連結される。
【0027】
鋼索32は、一例としてSUSステンレスワイヤロープφ3mm(W7-3)を使用している。そして、一例として4段の井桁踏板33を、井桁踏板33を構成する一対の縦桁332・332の両端部(井桁踏板33の四隅)を、座金332bと留金具332cにより各支持して、吊り梯子3を構成している。井桁踏板33の四隅を吊ることで、安定して支持することができる。図3を参照のこと。
【0028】
一対の胴縁用鉤31・31の逆U字形状の片側下端の鋼索用孔31a・31aより、1対の鋼索32・32で吊られた吊り梯子3は、一例として井桁踏板33を4段有している。井桁踏板33・33・33・33の間隔は、一例として胴縁用鉤31・31の直下はL1=250mm、他の3段はL2、3、4=300mmである。そして、最下段の井桁踏板33の地面からの設置高さは、H=194mmとなる。したがって、吊り梯子3により、高さH=1500mmの立入り防止柵を、容易に昇り降りすることができる。
【0029】
図3は、本発明の実施例3に係る井桁踏板33の詳細図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。井桁踏板33は、一例としてアルミニュ-ム製の角管20×20×2mmにより、横桁331(20×20×300mm)と縦桁332(20×20×200mm)を井桁状に組み立てたものである。横桁331は車線方向(X軸方向)に縦桁332の中心位置に対して離間距離100mmで2本配置されている。縦桁332は車線直角方向(Y軸方向)に外側間隔300mmで2本配置されている。縦桁332の上に横桁331が直して配設され、一例として横型331と縦桁332の交差部が溶着されている。縦桁332の両端部には鋼索用孔332a(φ4mm)を有し、一対の縦桁332で四隅の鋼索用孔332aが形成されている。踏板を井桁踏板33とすることで、安定して人の足を支持することが可能で、かつ軽量(400g/井桁踏板)な構造となっている。
【0030】
吊り梯子3は、立入り防止柵1の上側胴縁111に胴縁用鉤31を配設することで、本線側15及び側道側16の両側に、容易に設置することができる。また、吊り梯子3を鋼索32と井桁踏板33とから構成することで、軽量で、かつ折り畳めて結束することで持ち運びが容易で、さらに結束を解除することで展開が容易な構造となっている。
【0031】
<手摺>
図4は、本発明の実施例4に係る手摺4を示す図で、(a)は斜視図、(b)は側面図である。手摺4は、一対の乗越え手摺41と、一対の乗越え手摺41に連結された支柱部42とから構成されている。乗越え手摺41の下部には、立入り防止柵1の上側胴縁111の部材に対応して固定できる、胴縁掛金具411を有している。乗越え手摺41は、一例として断面30×40×2mm、長さ1200mmの角形のアルミニュウム形材で形成されている。そして、立入り防止柵1の上側胴縁111に固定された胴縁掛金具411から、上方に延伸した乗越え手摺41となる。このため、乗越え手摺41を使用することにより、安全に立入り防止柵1を乗越えることができる。
【0032】
胴縁掛金具411は、一例として乗越え手摺41から一方側(Y軸プラス側)に突設した板状部材である鋼管タイプ用掛金具411aと、他方側(Y軸マイナス側)に突設した板状部材である山形鋼タイプ用掛金具411bと、から構成されている。鋼管タイプ用掛金具411aは、鋼管タイプの上側胴縁111に使用し、山形鋼タイプ用掛金具411bは、山形鋼タイプの上側胴縁111に使用するものである。そして、鋼管タイプ用掛金具411aの下側には鋼管(φ76.8mm)の上半分に対応した半円形(R=38mm)の切欠きが形成されている。さらに、山形鋼タイプ用掛金具411bの下側には山形鋼(L=40×40mm)の上半分に対応した矩形(45×20mm)の切欠きが形成されている。
【0033】
乗越え手摺41の下部と、支柱部42の上部とは、一例としての入子構造である連結部43で連結される。その際、乗越え手摺41下方の胴縁掛金具411は、上側胴縁111に対応したものとなるよう方向を選択され、一例として3箇所の連結孔とボルトナット等の連結治具431により、高さ調整されて固定される。そして、立入り防止柵1に、乗越え手摺41の支柱部42の下端が、連結固定される。図4(a)(b)を参照のこと。
【0034】
図5は、本発明の実施例5に係る手摺4の支柱部42を示す図で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は固定治具の詳細図である。支柱部42は、一対の鉛直材420・420と、鉛直材420と直して連結された上水平材421と下水平材422を備えている。鉛直材420は、一例として断面30×40×2mm、長さ1250mmの角形のアルミニュウム形材で形成されている。上水平材421は、支柱部42の略中央付近に配設され、下水平材422は支柱部42の下端部に配設されている。そして、下水平材422は、立入り防止柵1の下側胴縁112と連結して支柱部42を連結固定する固定治具を有している。固定治具は、一例として下側胴縁固定鎖422a(SUSチェーン、2.5-A)と鎖用鉤422bとから構成されている。下側胴縁固定鎖422aの一端は、ボルトにより下水平材422の中央付近の上面に固定されている。下水平材422の中央付近の側面には、鉤開口を上側として鎖用鉤422bが固定されている。
【0035】
支柱部42の下水平材422を、立入り防止柵1の下側胴縁112と連結固定する際、下側胴縁固定鎖422aの他端を下側胴縁112の上側から下側に通して、鎖用鉤422bに掛けるだけで、容易に支柱部42を連結固定することができる。
【0036】
<乗越え梯子の設置方法>
本発明の実施例6に係る、立入り防止柵1への乗越え梯子2の設置方法は、
(a)胴縁用鉤31を立入り防止柵1の上側胴縁111を跨いで掛ける工程、
(b)胴縁用鉤31の一端に鋼索32を連結し、井桁踏板33を吊り下げ展開する工程、
(c)胴縁用鉤31の他端に鋼索32を連結し、井桁踏板33を結束した状態で保持する工程、
(d)乗越え手摺41の胴縁掛金具411を、立入り防止柵1の上側胴縁111の部材に対応して固定する工程、
(e)立入り防止柵1の下側胴縁112と支柱部42を、固定治具により連結固定する工程、
(f)乗越え手摺41を使用して、井桁踏板33の結束を解除して展開する工程、
を少なくとも備えている。
【0037】
準備工程として、一例として、本線側において2個の吊り梯子3と手摺4を準備する。2個の吊り梯子3は、井桁踏板33を結束した状態で運搬する。また手摺4は乗越え手摺41と支柱部42は分離した状態で運搬する。なお、側道側からの乗越え梯子の設置方法も同様な工程となる。
【0038】
(a)胴縁用鉤31を立入り防止柵1の上側胴縁111を跨いで掛ける工程。胴縁用鉤31・31は、本線側より立入り防止柵1の上側胴縁111のX軸方向に、吊り梯子3の鋼索32・32の横幅の間隔(L=180mm)で1対設置される。立入り防止柵1の上側胴縁111は、地域特性により山形鋼タイプ(L40×40mm)と鋼管タイプ(φ76.8mm)との2種類があるが、胴縁用鉤31は両タイプに安定して跨いで設置可能である。実施例6では、立入り防止柵1の上側胴縁111は山形鋼タイプである。
【0039】
(b)胴縁用鉤31の一端に、鋼索32を連結し、井桁踏板33を吊り下げ展開する工程。一対の胴縁用鉤31・31の逆U字形状の本線側の片側下端の鋼索用孔31a・31aより、留金具31b・31bを介して1対の鋼索32・32が連結される。そして、一例として4段の井桁踏板33を吊り下げ展開して、本線側15の乗越え梯子2の設置を完了する。
【0040】
(c)胴縁用鉤31の他端に、鋼索32を連結し、井桁踏板33を結束した状態で保持する工程。本線側15から、側道側16である一対の胴縁用鉤31・31の逆U字形状の側道側16の片側下端の鋼索用孔31a・31aより、留金具31b・31bを介して1対の鋼索32・32が連結される。そして、一例として4段の井桁踏板33を結束した状態で保持し、側道側16の乗越え梯子2の仮設置を完了する。
【0041】
乗越え手摺41と支柱部42とを、連結部43により連結治具431を使用して仮連結する。そして手摺4を組み立て、本線側15に設置した吊り梯子3の両側に設置する。
【0042】
(d)乗越え手摺41の胴縁掛金具を、立入り防止柵の上側胴縁の部材に対応して固定する工程。吊り梯子3の両側に設置された、一方の乗越え手摺41の胴縁掛金具411を、立入り防止柵1の上側胴縁111の部材(山形鋼タイプ)に対応して、山形鋼タイプ用掛金具411bを選択し、かつ乗越え手摺41と支柱42との連結部43の連結治具431を使用して、高さを調整して設置固定する。他方の乗越え手摺41の胴縁掛金具411も同様である。
【0043】
(e)立ち入り防止柵1の下側胴縁112と支柱部42を固定治具により連結固定する工程。下側胴縁固定鎖422aの自由端を、下側胴縁112の上側から下側に通して、鎖用鉤422bに掛けて連結固定する。
【0044】
(f)乗越え手摺を使用して、井桁踏板の結束を解除して展開する工程。乗越え手摺41を使用して、本線側15から吊り梯子3を昇り、側道側16の井桁踏板33の結束を解除して展開する。
【0045】
乗越え梯子2は、本線側15の胴縁用鉤31の一端に、井桁踏板33を吊り下げ展開し、側道側16の胴縁用鉤31の他端に、井桁踏板33を結束した状態で保持される。そして、本線側15から設置した乗越え手摺41を使用して、井桁踏板33の結束を解除して展開する工程により、安全・容易に乗越え梯子を設置できる。
【0046】
図6及び図7は、立入り防止柵1の組立て図である。立入り防止柵1は、上側・下側に車線方向(X軸方向)に配設された胴縁(地上から上側胴縁上端までL=1500mm)を、所定間隔(L=1500~2000mm)に設けた柱で支持し、ひし形金網及び骨線を張った構成である。上側胴縁は、降雪地域では雪荷重を考慮して、図6の鋼管タイプ(φ76.8mm)が採用され、それ以外の地域では、図7の山形鋼タイプ(L40×40mm)が採用されている。
【0047】
<他の実施例>
立入り防止柵1には、上側胴縁111より上方に、有刺鉄線部を備えたものがある(図示省略)。この場合、乗越え梯子2の乗越え手摺41・41に、有刺鉄線部より上方位置に、吊り梯子3を支持する吊り梯子支持具を配設する。吊り梯子支持具は、手摺連結部と支持部とを備えている。手摺連結部は、両側の乗越え手摺41・41間をX軸方向に連結する。手摺連結部の両端部には、手摺連結部に直交し立入り防止柵1の本線側15と側道側16までY軸方向に伸びた、一対の支持部が配設されている。そして、支持部の本線側15と側道側16に各位置する両端部の下端には、鋼索用孔(φ8mm)を有し、鋼索用孔に留金具(一例としてカラビナ)を介して、鋼索が連結される。そして、実施例2の構造形式に準拠した、吊り梯子3を設置する。有刺鉄線部より上方位置に、吊り梯子支持具を配設することにより、吊り梯子3を立入り防止柵1の本線側15と側道側16に容易に配置することができ、有刺鉄線部のある立入り防止柵1を安全に乗り越えることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 立入り防止柵
11 胴縁
11a 鋼管
11b 山形鋼
111 上側胴縁
112 下側胴縁
12 支柱
13 金網
15 本線側
16 側道側
2 乗越え梯子
3 吊り梯子
31 胴縁用鉤
31a 鋼索用孔
31b 留金具(クランプ)
32 鋼索(ワイヤーロープ)
32a 胴縁用鉤留金具
33 井桁踏板
331 横桁
332 縦桁
332a 鋼索用孔
332b 座金
332c 留金具
4 手摺
41 乗越え手摺
411 胴縁掛金具
411a 鋼管タイプ用掛金具
411b 山形鋼タイプ用掛金具
42 支柱部
420 鉛直材
421 上水平材
422 下水平材
422a 下側胴縁固定鎖(固定治具)
422b 鎖用鉤(固定治具)
43 連結部
431 連結治具
【要約】
【課題】軽量で持ち運び容易な、立入り防止柵の乗越え梯子及び設置方法を提供する。
【解決手段】立入り防止柵1を乗り越えるための乗越え梯子2であって、乗越え梯子は、吊り梯子3と手摺4とを備え、吊り梯子は、胴縁用鉤31と、鋼索32と、井桁踏板33とから構成し、胴縁用鉤は、逆U字形状で乗越え防止柵の上側胴縁111を跨いで掛けられ、胴縁用鉤の両側下端に連結された鋼索により、井桁踏板は吊り下げられ、手摺は、乗越え手摺41と支柱部42とから構成し、乗越え手摺には、立入り防止柵の上側胴縁の部材に対応した胴縁掛金具411を有し、支柱部の下端には、立入り防止柵の下側胴縁112と連結固定する固定治具を有した、立入り防止柵の乗越え梯子及び設置方法。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7