(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ダスト除去装置
(51)【国際特許分類】
B08B 1/32 20240101AFI20240118BHJP
B08B 1/20 20240101ALI20240118BHJP
【FI】
B08B1/04
B08B1/02
(21)【出願番号】P 2020003791
(22)【出願日】2020-01-14
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000226507
【氏名又は名称】株式会社ニックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 倫
(72)【発明者】
【氏名】西村 亮
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-189036(JP,A)
【文献】特開平11-260782(JP,A)
【文献】実開平06-070865(JP,U)
【文献】特開2007-083182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00 - 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に延設されて、ワークに付着したダストを除去する回転ブラシと、
左右方向に延びる軸線周りに前記回転ブラシを回転させる回転モータと、
前記回転ブラシを
上下方向にスライドさせるスライド機構と、
前記回転ブラシの回転数を検知する回転数センサと、
前記回転モータに供給される電流値を検知する電流センサと、
ワークを
前後方向に搬送するワーク搬送装置とを備えるダスト除去装置において、
前記回転ブラシに当接する当接位置、及び前記回転ブラシから離間した離間位置の間で
上下方向に
昇降可能なステージと、
前記ダスト除去装置の動作を制御するコントローラとを備え、
前記ワーク搬送装置は、左右方向に所定の間隔を隔てて配置され、ワークの左右方向の両端部を支持して回転することによって、ワークを前後方向に搬送する一対のコンベアを備え、
前記ステージは、
左右方向において、最大幅のときの一対の前記コンベアの間に配置され、
上下方向において、前記回転ブラシに対面する位置に配置され、
前記コントローラは、
前記ステージが前記当接位置のときに、前記回転数センサで検知される回転数が目標回転数に近づくように前記回転モータに供給する電流を増減させ、且つ前記電流センサに電流値を検知させる調整処理と、
前記ステージが前記離間位置のときに、前記回転ブラシが前記目標回転数で回転するように前記回転モータを駆動し、且つ前記ワーク搬送装置にワークを搬送させるダスト除去処理とを実行することを特徴とするダスト除去装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記調整処理において、前記電流センサで検知される電流値と相関のある数値を、ディスプレイに表示させることを特徴とする請求項1に記載のダスト除去装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記調整処理において、前記電流センサで検知される電流値が目標電流値に近づくように、前記スライド機構に前記回転ブラシをスライドさせることを特徴とする請求項1に記載のダスト除去装置。
【請求項4】
前記ワーク搬送装置は、
前記回転ブラシの軸方向におけるワークの両端をガイドする一対のガイド部材と、
前記一対のガイド部材の間隔を調整する間隔調整機構とを備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のダスト除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの表面のダストを除去するダスト除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークを搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送されるワークに当接した状態で回転することによって、当該ワークの表面に付着したダストを除去する回転ブラシとを備えるダスト除去装置が知られている。
【0003】
上記構成のダスト除去装置において、ワークに当接して回転する回転ブラシは徐々に摩耗するので、ダストの除去性能を担保するために、回転ブラシとワークとの接触量を定期的に調整する必要がある。
【0004】
このような課題を解決するために、特許文献1-3に記載のダスト除去装置は、回転ブラシを目標回転数に近づけるようにモータに供給する電流を増減させ、実際にモータに供給した電流の大きさ(以下、「電流値」と表記する。)をディスプレイに表示する。これにより、オペレータは、表示される電流値が目標電流値に近づくように、回転ブラシとワークとの接触量を調整すればよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-83182号公報
【文献】特開平5-309345号公報
【文献】実開平6-70865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1-3に記載のダスト除去装置は、いずれも実際のワークに回転ブラシが当接して回転するときの電流値を表示する。しかしながら、電流値は、回転ブラシとワークとの距離のみならず、ワークの種類(例えば、ワークの幅、ワークの表面の凹凸など)によっても変化する。そのため、オペレータは、ワークの種類毎に設定された目標電流値から適切な値を選択して、回転ブラシとワークとの接触量を調整する必要があり、調整作業が煩雑になるという課題がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転ブラシをワークに当接させた状態で回転させることによって、ワークの表面のダストを除去するダスト除去装置において、回転ブラシとワークとの接触量を容易に調整できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような技術的課題を解決するため、左右方向に延設されて、ワークに付着したダストを除去する回転ブラシと、左右方向に延びる軸線周りに前記回転ブラシを回転させる回転モータと、前記回転ブラシを上下方向にスライドさせるスライド機構と、前記回転ブラシの回転数を検知する回転数センサと、前記回転モータに供給される電流値を検知する電流センサと、ワークを前後方向に搬送するワーク搬送装置とを備えるダスト除去装置において、前記回転ブラシに当接する当接位置、及び前記回転ブラシから離間した離間位置の間で上下方向に昇降可能なステージと、前記ダスト除去装置の動作を制御するコントローラとを備え、前記ワーク搬送装置は、左右方向に所定の間隔を隔てて配置され、ワークの左右方向の両端部を支持して回転することによって、ワークを前後方向に搬送する一対のコンベアを備え、前記ステージは、左右方向において、最大幅のときの一対の前記コンベアの間に配置され、上下方向において、前記回転ブラシに対面する位置に配置され、前記コントローラは、前記ステージが前記当接位置のときに、前記回転数センサで検知される回転数が目標回転数に近づくように前記回転モータに供給する電流を増減させ、且つ前記電流センサに電流値を検知させる調整処理と、前記ステージが前記離間位置のときに、前記回転ブラシが前記目標回転数で回転するように前記回転モータを駆動し、且つ前記ワーク搬送装置にワークを搬送させるダスト除去処理とを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ワークの種類に拘わらず、回転ブラシとワークとの接触量を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】ステージが当接位置のときのダスト除去装置の正面図である。
【
図3】ステージが離間位置のときのダスト除去装置の正面図である。
【
図5】ダスト除去装置のハードウェア構成図である。
【
図6】ダスト除去装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係るダスト除去装置1を図面に基づいて説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
【0012】
図1は、
図4のI-Iにおけるダスト除去装置1の縦断面図である。
図2は、ステージ30が当接位置のときのダスト除去装置1の正面図である。
図3は、ステージ30が離間位置のときのダスト除去装置1の正面図である。
図4は、ダスト除去装置1の平面図である。
図5は、ダスト除去装置1のハードウェア構成図である。
【0013】
図1~
図4に示すように、ダスト除去装置1は、前後方向及び左右方向に延設される平板形状のベース2と、ベース2上の左右方向に離間した位置に立設される左右一対のスタンド3a、3bと、スタンド3a、3bの外側においてベース2上に立設される左右一対のリニアガイド4a、4bと、ベース2及びスタンド3a、3bに支持されたワーク搬送装置10と、リニアガイド4a、4bに支持された回転ブラシ20と、ベース2に支持されたステージ30とを主に備える。
【0014】
なお、本実施形態では、左右方向が「回転ブラシ20の軸方向」の一例であり、上下方向が「第1方向」の一例であり、前後方向が「第2方向」である。但し、回転ブラシ20の軸方向、第1方向、及び第2方向の関係は相対的なものであり、前述の例に限定されないのは言うまでもない。
【0015】
ワーク搬送装置10は、左右一対のスタンド3a、3bに支持されて、ワークWを前後方向に搬送する。
図1~
図5に示すように、ワーク搬送装置10は、左右一対のコンベア11a、11bと、左右一対のガイドレール(ガイド部材)12a、12bと、搬送モータ13と、間隔調整機構14と、押えローラ15a、15b、15c、15d(以下、これらを総称して、「押えローラ15」と表記することがある。)とを主に備える。
【0016】
ワークWは、ダスト除去装置1によって表面のダストが除去される対象物である。ワークWは、例えば、矩形で平板形状の外形を呈する。ワークWの種類としては、例えば、プリント基板、液晶ガラス基板、フレキシブル基板、セラミック基板、プラスチック板、液晶表示パネル、真空トレー、レンズ、導光板、フィルム、及び紙等が挙げられる。本実施形態では、電気部品を取り付けるための貫通孔と、プリント配線とが既に形成され、クリームはんだを塗布する前のプリント基板を、ワークWの例として説明する。
【0017】
図1に示すように、コンベア11bは、無端環状のベルトである。コンベア11bは、複数のガイドローラ16a、16b、16c、16dによって、所定のテンションが付与された状態で保持されている。また、コンベア11bの上面は、前後方向に直線状に延設されている。コンベア11bは、搬送モータ13の駆動力が伝達されて、
図1の反時計回りに回転する。ガイドレール12bは、コンベア11bの上面に配置されて、前後方向に延設されている。
【0018】
コンベア11a及びガイドレール12aの構成及び位置関係は、コンベア11b及びガイドレール12bと共通する。すなわち、コンベア11a、11bは、左右方向に所定の間隔を隔てて配置されている。同様に、ガイドレール12a、12bは、左右方向に所定の間隔を隔てて配置されている。また、コンベア11a、11bには、共通の搬送モータ13の駆動力が伝達されてもよいし、独立した搬送モータの駆動力が伝達されてもよい。
【0019】
間隔調整機構14は、コンベア11a、11b、ガイドレール12a、12b、及び押えローラ15の左右方向の間隔を調整する。より詳細には、間隔調整機構14は、コンベア11b、ガイドレール12b、及び押えローラ15c、15dを左右方向にスライドさせる。これにより、コンベア11a、11b、ガイドレール12a、12b、及び押えローラ15の左右方向の間隔は、
図2及び
図4に示す最大幅と、
図3に示す最小幅との間で、任意の幅に調整可能になる。
【0020】
本実施形態に係る間隔調整機構14は、所謂ボールねじ機構である。但し、間隔調整機構14は、ラックピニオン機構などの周知の構成を採用してもよい。
図2~
図4に示すように、間隔調整機構14は、ガイドシャフト17a、17bと、ボールねじ17cと、リニアブッシュ18a、18bと、ナット18cと、間隔調整モータ19とで構成される。
【0021】
ガイドシャフト17a、17bは、前後方向に離間した位置において、各々が左右方向に延設されている。また、ガイドシャフト17a、17bは、スタンド3a、3bに支持されている。リニアブッシュ18a、18bは、ガイドシャフト17a、17bに沿ってスライド可能に構成されている。また、リニアブッシュ18a、18bは、コンベア11b及びガイドレール12bに固定されている。
【0022】
ボールねじ17cは、前後方向におけるガイドシャフト17a、17bの間において、左右方向に延設されている。また、ボールねじ17cは、スタンド3a、3bに回転可能に支持されている。ナット18cは、ボールねじ17cに螺合されている。また、ナット18cは、コンベア11b及びガイドレール12bに固定されている。
【0023】
間隔調整モータ19は、ボールねじ17cを回転させるための駆動力を発生させる。ボールねじ17cが回転すると、ボールねじ17cに螺合したナット18cがコンベア11b、ガイドレール12b、及び押えローラ15c、15dと共に左右方向に移動する。これにより、コンベア11a、11b、ガイドレール12a、12b、及び押えローラ15の左右方向の間隔が調整される。
【0024】
押えローラ15a、15bは、上下方向において、コンベア11aの上面に対面して配置されている。押えローラ15c、15dは、上下方向において、コンベア11bの上面に対面して配置されている。押えローラ15a、15cは、回転ブラシ20より前方(ワークWの搬送方向の上流側)に配置されている。押えローラ15b、15dは、回転ブラシ20より後方(ワークWの搬送方向の下流側)に配置されている。
【0025】
上記構成のワーク搬送装置10において、コンベア11a、11b及びガイドレール12a、12bの左右方向の間隔は、ダスト除去装置1に供給されるワークWの左右方向の幅に一致するように、間隔調整機構14によって調整される。そして、ダスト除去装置1に供給されるワークWは、左右方向の両端部の下面がコンベア11a、11bによって支持され、左右方向の両端面がガイドレール12a、12bによって挟持される。すなわち、ワーク搬送装置10は、様々な幅のワークWを搬送することができる。
【0026】
そして、搬送モータ13の駆動力が伝達されてコンベア11a、11bが回転すると、コンベア11a、11bの上面に沿ってワークWが前方から後方に向けて搬送される。また、押えローラ15a~15dは、ワークWが搬送される過程において、当該ワークWの上面に当接して回転することによって、ワークWの浮き上がりを防止する。
【0027】
回転ブラシ20は、いわゆる導電ブラシである。回転ブラシ20は、略円柱からなるブラシ本体の周面に、例えば数10μm程度の直径を有する導電性繊維が植毛されている。回転ブラシ20は、その植毛部分がワークWの表面に転接して、ワークWの表面に付着したダストを掻き出すように除去すると共に、ワークWの表面の静電気を除電する。
【0028】
回転ブラシ20は、ワーク搬送装置10の上方において、左右方向(=軸方向)に延設されている。回転ブラシ20は、軸受(図示省略)を介してフレーム21に回転可能に支持されている。フレーム21は、左右方向に離間した位置において上下方向に延設された一対の側フレーム21a、21bと、側フレーム21a、21bの上端同士を接続する上フレーム21cとで構成される。
【0029】
回転ブラシ20は、回転モータ22の駆動力が伝達されて、左右方向に延びる軸線回りに
図1の反時計回りに回転する。また、回転ブラシ20は、回転モータ22の駆動力が進退機構(図示省略)を通じて伝達されて、軸方向に往復動可能に構成されていてもよい。回転モータ22は、例えば、供給される電流が大きいほど回転速度が増加するDCモータである。
【0030】
側フレーム21a、21bは、上下方向にスライド可能にリニアガイド4a、4bに支持されている。側フレーム21a、21bは、昇降シリンダ(スライド機構)23が伸縮することによって、リニアガイド4a、4bに沿って昇降する。これにより、フレーム21に支持された回転ブラシ20も上下方向にスライドする。昇降シリンダ23は、例えば、電動シリンダである。但し、スライド機構の具体例は、電動シリンダに限定されず、エアシリンダ、油圧シリンダ、電動モータ、油圧モータ等、あらゆるアクチュエータを採用することができる。
【0031】
回転ブラシ20の回転数[min-1]は、ロータリエンコーダ(回転数センサ)24によって検知される。ロータリエンコーダ24は、回転ブラシ20の回転数を検知し、検知結果を示す検知信号をコントローラ40に出力する。また、コントローラ40から回転モータ22に供給される電流[A]の大きさ(以下、「電流値」と表記する。)は、電流計(電流センサ)25によって検知される。電流計25は、回転モータ22に供給される電流値を検知し、検知結果を示す検知信号をコントローラ40に出力する。
【0032】
また、
図1に示すように、回転ブラシ20上方には、回転ブラシ20の周辺の空気を吸引する吸気口26が設けられている。吸気口26は、バキューム装置27に接続されている。バキューム装置27が駆動することによって、回転ブラシ20の周辺の空気が吸気口26を通じて吸引される。そして、回転ブラシ20によってワークWから除去されたダストは、空気と共に吸気口26に吸引される。
【0033】
図2~
図4に示すように、ステージ30は、左右方向の長さが前後方向より長い長方形の外形を呈する。ステージ30は、上下方向において、回転ブラシ20に対面する位置に配置されている。ステージ30の左右方向の長さは、コンベア11a、11bの最大幅より短く、コンベア11a、11bの最小幅より長い。但し、ステージ30の左右方向の長さは、前述の例に限定されない。
【0034】
ステージ30は、上下方向に延設されたガイドシャフト31、32によって支持されている。ガイドシャフト31、32は、左右方向に所定の間隔を隔てて配置されている。ガイドシャフト31、32は、ベース2を貫通して、ベース2の下面に取り付けられたリニアブッシュ35、36によって、上下方向に昇降可能に支持されている。
【0035】
ステージ30は、
図2に示す当接位置と、
図3に示す離間位置との間を、昇降シリンダ33によって昇降可能に構成されている。当接位置は、ステージ30の上面が回転ブラシ20の導電性繊維に当接し得る位置である。離間位置は、ステージ30の上面が回転ブラシの導電性繊維から離間する位置である。また、離間位置は、当接位置より下方の位置である。
【0036】
昇降シリンダ33のロッド34の先端は、左右方向におけるガイドシャフト31、32の間において、ステージ30の下面に接続されている。そして、昇降シリンダ33が伸長すると、ステージ30は上方に移動し、昇降シリンダ33が収縮すると、ステージ30は下方に移動する。昇降シリンダ33は、例えば、エアシリンダである。但し、昇降シリンダ33の具体例は、エアシリンダに限定されず、電動シリンダ、油圧シリンダ、電動モータ、油圧モータ等、あらゆるアクチュエータを採用することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、当接位置のステージ30の上面の位置(
図2)と、コンベア11a、11bの上面の位置(
図3)とが、上下方向において同一である。換言すれば、ワーク搬送装置10によって搬送されるワークWの上面の位置(
図3)は、当接位置のステージ30の上面の位置より、ワークWの厚み分だけ上方に位置することになる。当接位置のステージ30の上面の位置(
図2)と、ワーク搬送装置10によって搬送されるワークWの上面の位置(
図3)とが同一の位置であってもよい。
【0038】
ダスト除去装置1は、コントローラ40と、操作パネル44と、ディスプレイ45とを備える。操作パネル44は、オペレータにより入力操作を受け付け、受け付けた入力操作に対応する操作信号をコントローラ40に出力する。操作パネル44は、押しボタン、スイッチ、ダイヤル、ディスプレイ45に重畳されるタッチパネル等を含む。ディスプレイ45は、コントローラ40の制御に従って情報を表示する。
【0039】
コントローラ40は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、及びRAM(Random Access Memory)43を備える。コントローラ40は、ROM42に格納されたプログラムコードをCPU41が読み出して実行することによって、後述する処理を実現する。RAM43は、CPU41がプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
【0040】
但し、コントローラ40の具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0041】
コントローラ40は、ダスト除去装置1の動作を制御する。より詳細には、コントローラ40は、ロータリエンコーダ24及び電流計25から出力される検知信号、及び操作パネル44から出力される操作信号に基づいて、搬送モータ13、間隔調整モータ19、回転モータ22、昇降シリンダ23、33、バキューム装置27、及びディスプレイ45の動作を制御する。
【0042】
図6は、ダスト除去装置1の動作を示すフローチャートである。コントローラ40は、例えば、ダスト除去装置1の電源がONされたタイミングで、
図6に示す処理を開始する。なお、
図6に示す処理の開始時点において、コンベア11a、11b及びガイドレール12a、12bの幅は最大幅に設定され、ステージ30は離間位置に配置されているものとする。
【0043】
まず、コントローラ40は、昇降シリンダ33を伸長させて、ステージ30を離間位置から当接位置へ移動させる(S11)。次に、コントローラ40は、回転モータ22の駆動を開始する(S12)。ここで、コントローラ40は、ロータリエンコーダ24から出力される検知信号に基づいて、回転ブラシ20が予め定められた目標回転数で回転するように、回転モータ22に供給する電流を増減させる。
【0044】
なお、本実施形態では、回転モータ22と、ロータリエンコーダ24と、回転モータ22に供給する電流を増減させるコントローラ40とを、それぞれ独立した構成要素として説明しているが、回転モータ22と、回転数検知センサと、回転モータ22に供給する電流を増減させるドライバとがユニット化されていてもよい。このように、ダスト除去装置1の動作を制御するコントローラ40と、回転モータ22の回転を制御するドライバとが独立したハードウェアで構成されているとしても、本発明のコントローラは、これらを包含するものとして理解される。
【0045】
次に、コントローラ40は、電流計25から出力される検知信号に基づいて、回転モータ22に供給する電流値を、リアルタイムにディスプレイ45に表示させる(S13)。そして、コントローラ40は、操作パネル44の[完了ボタン]が押下されるまで(S14:No)、回転モータ22への電流の供給と、ディスプレイ45への電流値の表示とを継続する。
【0046】
なお、ステップS13でディスプレイ45に表示されるのは、電流値そのものに限定されず、電流計25で検知した電流値と相関関係のある数値であってもよい。すなわち、ディスプレイ45に表示される数値は、電流計25で検知した電流値の増加に伴って増加し、減少に伴って減少する値であればよい。電流値と相関関係のある数値とは、例えば、電流計25で検知した電流値を電圧値に変換し、この電圧値を増幅した値であってもよい。
【0047】
また、ステップS13でディスプレイ45に表示されるのは、数値に限定されず、電流計25で検知した電流値を目標電流値に近づけるために、回転ブラシ20を上下のどちらに移動させればよいかを、オペレータが認識し得るものであればよい。例えば、回転ブラシ20の移動方向を示す矢印などでもよい。
【0048】
ダスト除去装置1のオペレータは、操作パネル44を操作することによって、ディスプレイ45に表示される電流値が目標電流値に近づくように、回転ブラシ20を昇降させる。回転ブラシ20の位置は、例えば、0.1mm単位で調整することができる。また、ディスプレイ45に表示される電流値は、回転ブラシ20が下降するほど大きくなり、回転ブラシ20が上昇するほど小さくなる。
【0049】
より詳細には、オペレータは、ディスプレイ45に表示される電流値が目標電流値より大きい場合に、操作パネル44の[上矢印ボタン]を押下する。コントローラ40は、[上矢印ボタン]の押下回数(或いは、押下時間)に応じた量だけ昇降シリンダ23を伸長させて、回転ブラシ20を上昇させる。
【0050】
一方、オペレータは、ディスプレイ45に表示される電流値が目標電流値より小さい場合に、操作パネル44の[下矢印ボタン]を押下する。コントローラ40は、[下矢印ボタン]の押下回数(或いは、押下時間)に応じた量だけ昇降シリンダ23を収縮させて、回転ブラシ20を下降させる。
【0051】
そして、オペレータは、ディスプレイ45に表示された電流値が、目標電流値に一致した、或いは目標電流値を含む目標範囲に収まったタイミングで、操作パネル44の[完了ボタン]を押下する。これにより、回転ブラシ20の高さ位置が決定される。ステップS11~S14の処理は、調整処理の一例である。
【0052】
目標電流値は、ワーク搬送装置10によって搬送されるワークWに、回転ブラシ20が適正に接触するときの電流値である。目標電流値は、実験やシミュレーションなどによって予め定められた値である。また、目標電流値は、ワーク搬送装置10によって搬送されるワークWの種類によって変動しない固定値である。
【0053】
目標電流値は、例えば、ダスト除去装置1の取扱説明書に記載されていてもよいし、ダスト除去装置1に貼付されたシールに記載されていてもよいし、調整処理中にディスプレイ45に表示されてもよい。但し、「電流値と相関のある数値」がディスプレイ45に表示される場合、目標電流値に代えて、当該数値の目標値がオペレータに与えられる。
【0054】
次に、コントローラ40は、[完了ボタン]が押下された場合に(S14:Yes)、昇降シリンダ33を収縮させることによって、ステージ30を当接位置から離間位置に移動させる(S15)。なお、回転モータ22は、ステップS12から継続して駆動していてもよいし、[完了ボタン]が押下されたタイミングで一旦停止し、ステップS16で再び駆動開始されてもよい。
【0055】
次に、コントローラ40は、搬送モータ13を駆動させることによって、ワーク搬送装置10にワークWを搬送させる(S16)。また、コントローラ40は、バキューム装置27を駆動することによって、回転ブラシ20の周辺の空気を吸気口26を通じて吸引する。
【0056】
これにより、回転する回転ブラシ20が、ワーク搬送装置10によって搬送されるワークWに当接して、当該ワークWの表面に付着したダストを除去する。そして、ワークWから除去されたダストは、吸気口26を通じて空気と共に吸引される。さらに、ワーク搬送装置10は、ダストが除去されたワークWを、ダスト除去装置1の後工程の装置(例えば、はんだ塗布装置)に供給する。ステップS15~S16の処理は、ダスト除去処理の一例である。
【0057】
なお、ステップS16の処理に先立って、コンベア11a、11b及びガイドレール12a、12bの幅がワークWの幅に調整され、回転ブラシ20の高さがワークWの厚みに応じて調整されてもよい。
【0058】
より詳細には、コントローラ40は、ワークWの仕様設定の入力を操作パネル44を通じてオペレータから受け付ける。次に、コントローラ40は、入力されたワークWの仕様設定に対応する幅及び厚みを、ROM42或いはRAM43から読み出す。他の例として、コントローラ40は、ワークWの幅及び厚みをオペレータに入力させてもよい。
【0059】
次に、コントローラ40は、間隔調整モータ19を駆動することによって、コンベア11a、11b及びガイドレール12a、12bの幅を、ワークWの幅に調整する。また、コントローラ40は、昇降シリンダ23を駆動(伸長)することによって、回転ブラシ20の高さ位置を、ワークWの厚み分だけオフセット(上昇)させる。
【0060】
または、コントローラ40は、コンベア11a、11b及びガイドレール12a、12bの幅を増減させるオペレータの入力操作(例えば、左右の矢印ボタンの押下)と、回転ブラシ20の高さ位置を調整するオペレータの入力操作(例えば、上下の矢印ボタンの押下)とを、操作パネル44を通じて受け付けてもよい。そして、コントローラ40は、オペレータの入力操作に従って、間隔調整モータ19及び昇降シリンダ23を駆動してもよい。
【0061】
次に、コントローラ40は、全てのワークWに対するダスト除去処理を終了したか否かを判定する(S17)。そして、コントローラ40は、未処理のワークWが残っていると判定した場合に(S17:No)、搬送モータ13を停止して(S18)、ステップS11以降の処理を再び実行する。なお、コントローラ40は、ステップS11の処理に先立って、コンベア11a、11b及びガイドレール12a、12bの幅を最大幅に調整し、バキューム装置27を停止させる。
【0062】
そして、コントローラ40は、ステップS11~S18の処理を繰り返すことによって、複数のワークWそれぞれからダストを除去する。なお、ステップS11~S14の調整処理は、予め定められた数(1以上)のワークWに対するダスト除去処理を実行する度に実行されてもよいし、ダスト除去装置1の電源がONされたタイミングで1回だけ実行されてもよい。そして、コントローラ40は、全てのワークWに対するダスト除去処理を終了したと判定した場合に(S17:Yes)、ダスト除去処理を終了する。
【0063】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0064】
上記の実施形態によれば、回転ブラシ20にステージ30を当接させて調整処理を実行するので、ワーク搬送装置10によって搬送されるワークWの種類に拘わらず、単一の目標電流値に合わせるだけで、回転ブラシ20を適正位置に配置することができる。これにより、ワーク搬送装置10によって搬送されるワークWに回転ブラシ20を当接させた状態で、回転ブラシ20の位置を調整するのと比較して、オペレータの作業を簡素化することができる。
【0065】
その結果、回転ブラシ20とワークWとの接触量を常に適正値に保つことができるので、ワークWの表面のダストを適切に除去することができる。なお、本発明は、様々な幅のワークWに対応するために間隔調整機構14を備えたダスト除去装置1、貫通孔の数やプリント配線の向きが異なるワークWからダストを除去するダスト除去装置1に適用することによって、特に有利な作用効果を奏する。
【0066】
また、上記の実施形態では、オペレータが操作パネル44を操作して、回転ブラシ20の上下方向の位置を調整する例を説明したが、回転ブラシ20の位置はコントローラ40によって自動で調整されてもよい。
【0067】
すなわち、コントローラ40は、ステップS13において、電流計25で検知される電流値が目標電流値に近づくように、昇降シリンダ23を伸縮させてもよい。そして、コントローラ40は、電流計25で検知される電流値が、目標電流値に一致した、或いは目標電流値を含む目標範囲に収まったタイミングで(S14:Yes)、ステップS15以降の処理を実行すればよい。
【符号の説明】
【0068】
1 ダスト除去装置
2 ベース
3a,3b スタンド
4a,4b リニアガイド
10 ワーク搬送装置
11a,11b コンベア
12a,12b ガイドレール(ガイド部材)
13 搬送モータ
14 間隔調整機構
15a,15b,15c,15d 押えローラ
16a,16b,16c,16d ガイドローラ
17a,17b ガイドシャフト
17c ボールねじ
18a,18b,35,36 リニアブッシュ
18c ナット
19 間隔調整モータ
20 回転ブラシ
21 フレーム
22 回転モータ
23 昇降シリンダ(スライド機構)
24 ロータリエンコーダ(回転数センサ)
25 電流計(電流センサ)
26 吸気口
27 バキューム装置
30 ステージ
31,32 ガイドシャフト
33 昇降シリンダ
34 ロッド
40 コントローラ
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 操作パネル
45 ディスプレイ