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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B62B5/00 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020004737
(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公開番号】P2021109634
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 義久
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-217858(JP,A)
【文献】特開2019-137155(JP,A)
【文献】登録実用新案第3189533(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に延びて上面が辺支持面となる梁部を有する複数の辺部材と、
上面に隅支持面を有すると共に、前記隅支持面の下側に前記梁部の端部が挿入される少なくとも孔部又は切欠部を有し、前記複数の辺部材を連結するコーナー部材と、
によって積載物を載置するための台部を構成するフレーム部材を備える台車において、
前記辺支持面と前記隅支持面の高低差によって生じる段差を埋めるための前記辺部材とは別体の段差埋部材を備え、
前記段差埋部材は、前記梁部の前記端部が前記孔部又は前記切欠部に挿入された状態で、前記辺支持面に載置される
ことを特徴とする台車。
【請求項2】
横方向に延びて上面が辺支持面となる梁部を有する複数の辺部材と、
上面に隅支持面を有すると共に、前記隅支持面の下側に前記梁部の端部が挿入される少なくとも孔部又は切欠部を有し、前記複数の辺部材を連結するコーナー部材と、
によって積載物を載置するための台部を構成するフレーム部材を備える台車において、
前記辺支持面と前記隅支持面の高低差によって生じる段差を埋めるための段差埋部材を備え、
前記段差埋部材は、前記梁部の前記端部が前記孔部又は前記切欠部に挿入されて、前記辺部材に固定された状態で、前記辺支持面に載置される
ことを特徴とする台車。
【請求項3】
前記辺部材は、縦片と、前記梁部となる横片と、を有するアングル材を有し、
前記段差埋部材は、前記縦片に沿う埋部材縦片と、前記辺支持面に載置さる埋部材横片と、を有して断面L字状に形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の台車。
【請求項4】
隙間埋部材を更に備え、
前記隙間埋部材は、前記段差埋部材と前記コーナー部材の隣接部分において前記段差埋部材と前記コーナー部材とに隣接する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車に関し、さらに詳しくは、複数の辺部材と、複数の辺部材を連結するコーナー部材と、を有する台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の辺部材と、複数の辺部材を連結するコーナー部材と、を備えた台車が知られている(例えば特許文献1参照)。辺部材は、横方向に延びて上面が積載物の載置面となる。また、コーナー部材は、上面が積載物の載置面となり、側面に辺部材の端部が挿入される孔部を有する。
【0003】
特許文献1に示す台車にあっては、辺部材の載置面は、コーナー部材の載置面よりも下側に位置しており、載置面が同一平面とならず、載置面の間に段差が形成されていた。このため、積載物を水平に積載しにくく、また、積載物が段差に引っ掛かって動かしにくい等、段差が形成されてしまうことによる問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3189533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、積載物を支持する支持面に段差が生じにくい台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る一形態の台車は、横方向に延びて上面が辺支持面となる梁部を有する複数の辺部材と、上面に隅支持面を有すると共に、前記隅支持面の下側に前記梁部の端部が挿入される少なくとも孔部又は切欠部を有し、前記複数の辺部材を連結するコーナー部材と、によって積載物を載置するための台部を構成するフレーム部材を備える。前記台車は、前記辺支持面と前記隅支持面の高低差によって生じる段差を埋めるための段差埋部材を備える。前記段差埋部材は、前記梁部の前記端部が前記孔部又は前記切欠部に挿入された状態で、前記辺支持面に載置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る台車にあっては、積載物を支持する支持面に段差が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第一実施形態に係る台車の斜視図である。
図2図2Aは、同上の台車の平面図である。図2Bは、同上の台車の側面図である。図2Cは、同上の台車の正面図である。
図3図3は、同上の台車の分解斜視図である。
図4図4Aは、同上の台車のフレーム部材の一部の縦断面図である。図4Bは、フレーム部材に段差埋部材を取り付けた状態の一部の縦断面図である。
図5図5Aは、同上の段差埋部材の側面図である。図5Bは、同上の段差埋部材の平面図である。図5Cは、同上の段差埋部材の正面図である。
図6図6Aは、同上の台車の隙間埋部材の平面図である。図6Bは、同上の隙間埋部材の側面図である。図6Cは、同上の隙間埋部材の下面図である。
図7図7Aは、段差埋部材の他例の斜視図である。図7Bは、同上の段差埋部材の段差埋部材の別の角度から見た斜視図である。
図8図8は、段差埋部材の更なる他例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、台車に関する。以下、本発明に係る台車を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0010】
一実施形態に係る台車について、図1図6Cに基いて説明する。図1図2Cに示すように、台車1は、台部2と、キャスター部3と、を備える。台部2は、上面に積載物が載置される。図2Aに示すように、台部2は、平面視矩形状をしており、一辺は概ね30cm~1mである。特に、本実施形態では、台部2は平面視長方形状をしており、平面視における中央部には、上下に貫通する貫通部20が形成されている。図1に示すように、台車1は、設計上、前後左右が決められており、長辺に沿う方向の一方を前方とすると共に他方を後方とし、短辺に沿う方向の一方を左方とすると共に他方を右方としている。本実施形態では、台車1の平面視における形状は、短辺の中央を通る長辺に沿った線を中心として対称(すなわち左右対称)である。
【0011】
図3に示すように、台部2は、フレーム部材4と、段差埋部材7と、隙間埋部材8と、を備える。フレーム部材4は、台部2の主体となる構造部材であり台部2を構成する必須の部材であるが、段差埋部材7及び隙間埋部材8は台部2の構造部材ではないため、これらが設けられなくてもフレーム部材4のみで台部2として機能する。フレーム部材4の外郭形状により、台部2の外郭形状が決まる。
【0012】
キャスター部3は、車輪部31と、車輪部31を吊り下げ支持する支持部32と、を有する。特に図示しないが、車輪部31は、回転軸、リム、タイヤ等を有する。タイヤはゴム製であることが好ましいが、特に限定されない。支持部32は、上片、車輪部31の回転軸と上片とを連結する連結片、上片と連結片とを互いに回転可能に連結する軸等を有する。連結片が上片に回転可能であることにより、車輪部31の回転軸の方向が転換可能となる。このようなキャスター部3は、従来公知であり、様々な公知のキャスターが適宜利用可能である。キャスター部3は、適宜の方法により、台部2の下面に取り付けられる。
【0013】
台部2の主体をなすフレーム部材4は、複数の辺部材5と、複数の辺部材5を連結するコーナー部材6と、を有する。本実施形態では、フレーム部材4は平面視長方形の枠状をしているため、フレーム部材4は、四個の辺部材5と、四個のコーナー部材6と、を有している。
【0014】
辺部材5は、横方向(台車1が水平面に載置された状態での水平方向)に延びて上面が積載物を支持する辺支持面51となる梁部52を有する。本実施形態では、フレーム部材4は、辺部材5として、左側の長辺に沿う側辺部材53と、右側の長辺に沿う側辺部材53と、後側の短辺に沿う後辺部材54、前側の短辺に沿う前辺部材55と、を有する。
【0015】
二個の側辺部材53は、互いに左右が反転している点を除いて、同一である。
【0016】
側辺部材53は、アングル材530を有する。アングル材530は、縦片531と、梁部52となる横片532と、を有し、金属により形成される。横片532の上面は、積載物を支持する辺支持面51となる。なお、側辺部材53の辺支持面51(上面)は直接的に積載物を支持することももちろん可能であるが、本実施形態では、側辺部材53の辺支持面51は、後述する段差埋部材7を介して間接的に積載物を支持する。縦片531は、横片532の外側(平面視におけるフレーム部材4の外端側)の端縁より上方に起立する。縦片531は、横片532の上面に載置される積載物が外方に移動して横片532より落下しないように、積載物が外方に移動するのを規制する規制部(言い換えると落下防止部)として機能する。また、このような縦片531が一体に形成されることにより、積載物が載置される横片532及び台車1全体の曲げ剛性が向上して横片532(台車1)がたわみにくくなると共に、台車1の衝撃に対する強度が向上する。
【0017】
後辺部材54は、側辺部材53と同様に、縦片541と、梁部52となる横片542と、を有する金属製のアングル材540を有する。横片542の上面が辺支持面51となる点、縦片541が規制部(落下防止部)として機能する点及び縦片541により横片542がたわみにくくなる点も側辺部材53と同様である。なお、本実施形態では、後辺部材54の辺支持面51(上面)は、直接的に積載物を支持する。
【0018】
前辺部材55は、梁部52となる横片551と、垂下片552と、を有する金属製のアングル材550を有する。横片551の上面が辺支持面51となる点は、側辺部材53及び後辺部材54と同様である。垂下片552は、横片551の前側の端縁より下方に垂下する。このような垂下片552が一体に形成されることにより、積載物が載置される横片551がたわみにくくなる。
【0019】
コーナー部材6は、上面が積載物を支持する隅支持面61となる。コーナー部材6は、隅支持面61の下側に梁部52の端部が挿入される切欠部62を有する。本実施形態では、フレーム部材4は、コーナー部材6として、後側の短辺の左右両端部にそれぞれ配置される後コーナー部材63と、前側の短辺の左右両端部にそれぞれ配置される前コーナー部材64と、を有する。
【0020】
二個の後コーナー部材63は、互いに左右が反転している点を除いて、同一である。後コーナー部材63は、横片631と、縦片632と、を有し、樹脂により形成される。横片631は、平面視三角形状をしている。横片631の上面は、積載物を支持する隅支持面61となる。縦片632は、横片631の外側(平面視におけるフレーム部材4の外端側)の端縁、具体的には横片631の後側の端縁及び左右方向の外側の端縁より上方に起立する。縦片632は、規制部(落下防止部)として機能する。また、このような縦片632が一体に形成されることにより、積載物が載置される横片631がたわみにくくなる。
【0021】
縦片632には、下方に開口する溝部633が形成される。更に説明すると、縦片632のうち台部2の長辺に沿う部分には、下方及び前方に開口する溝部633が形成され、この溝部633に側辺部材53の縦片531が挿入される。また、縦片632のうち台部2の短辺に沿う部分には、下方及び左方又は右方に開口する溝部633が形成され、この溝部633に後辺部材54の縦片541が挿入される。
【0022】
横片631には、下面(すなわち隅支持面61の下側)に、辺部材5の梁部52の端部が挿入される切欠部62が形成される。更に説明すると、横片631の下面のうち側辺部材53の縦片531が挿入される溝部633に沿う部分には、側辺部材53の横片532が挿入される切欠部62が形成される。また、横片631の下面のうち後辺部材54の縦片541が挿入される溝部633に沿う部分には、後辺部材54の横片542が挿入される切欠部62が形成される。
【0023】
このように、コーナー部材6が隅支持面61の下側に梁部52の端部が挿入される切欠部62を有することにより、コーナー部材6の下面と辺部材5の下面との間に段差が生じにくくなる。あるいは、コーナー部材6の下面と辺部材5の下面とが同一平面上に位置するようにすることができる。
【0024】
前コーナー部材64は、横片641と、縦片642と、を有し、樹脂により形成される。横片641が平面視三角形状をしている点、横片641の上面が隅支持面61となる点は後コーナー部材63と同様である。縦片642は、横片641の左右方向の外側の端縁より上方に起立する。縦片642が規制部(落下防止部)として機能する点、縦片642により横片641がたわみにくくなる点は後コーナー部材63と同様である。
【0025】
縦片642には、下方に開口する溝部が形成され、この溝部に側辺部材53の縦片531が挿入される。横片641の下面には、後辺部材54の横片542が挿入される切欠部(不図示)が形成される。更に、横片641の上面には、前辺部材55の横片551が挿入される切欠部644が形成される。このような切欠部644が形成されることにより、コーナー部材6の上面と辺部材5の上面との間に段差が生じにくくなる。あるいは、コーナー部材6の上面と辺部材5の上面とが同一平面上に位置するようにすることができる。本実施形態では、前コーナー部材64の隅支持面61と前辺部材55の横片551の上面は同一平面上である。なお、横片551の上面が隅支持面61よりも低く、隅支持面61に対して少し凹んでいてもよいが、前コーナー部材64の隅支持面61と前辺部材55の横片551の上面の位置関係は限定されない。
【0026】
更に、縦片642の前面には、前辺部材55の垂下片552が挿入される切欠部645が形成される。このような切欠部645が形成されることにより、コーナー部材6の前面と辺部材5の前面との間に段差が生じにくくなる。あるいは、コーナー部材6の前面と辺部材5の前面とが同一平面上に位置するようにすることができる。なお、本実施形態では、垂下片552が切欠部645に挿入された状態で、垂下片552の前面が前コーナー部材64の前面よりも後方に位置している。
【0027】
前コーナー部材64の上面の切欠部644が形成された部分には、貫通孔643が形成されている。また、前辺部材55の横片551の対応する部分には、ねじが通る貫通孔553が形成されている。前辺部材55の横片551が前コーナー部材64の上面の切欠部644に挿入された状態で、貫通孔553と貫通孔643が通じるため、リベット(不図示)を貫通孔553及び貫通孔643に通してリベット止めをすれば、前辺部材55を前コーナー部材64に取り付けることができる。
【0028】
コーナー部材6の縦片632、642の溝部633に辺部材5の縦片531が挿入され、コーナー部材6の横片631、641の切欠部62に辺部材5の横片532が挿入された状態で、コーナー部材6を介して辺部材5にリベット(不図示)等を打ち込むことにより、コーナー部材6と辺部材5とが固定される。これにより、フレーム部材4が構成される。
【0029】
辺部材5(側辺部材53及び後辺部材54)の横片532、542は、コーナー部材6の隅支持面61の下側に挿入されている。このため、図4Aに示すように、辺部材5(側辺部材53及び後辺部材54)の横片532、542の上面である辺支持面51は、隅支持面61よりも下側に位置する。この状態で台部2の支持面である辺支持面51及び隅支持面61に積載物を載置しようとすると、積載物を水平に載置しにくくなる。また、辺支持面51と隅支持面61の高低差によって生じる段差に積載物が引っ掛かって、積載物を動かしにくくなる。そこで、辺支持面51と隅支持面61の高低差によって生じる段差を埋めるための段差埋部材7が設けられる。図4Bに示すように、段差埋部材7は、梁部52の端部が切欠部62に挿入された状態で、辺支持面51に載置される。図5A図5Cに段差埋部材7を示す。
【0030】
図5Cに示すように、段差埋部材7は、埋部材縦片71と、埋部材横片72と、を有して断面L字状に形成されている。段差埋部材7は、樹脂により形成される。段差埋部材7は、押出成形により形成されており、長手方向に直交する断面における形状は一定である。埋部材縦片71は、埋部材横片72の左右方向の外側の端縁より上方に起立する。埋部材縦片71は、側辺部材53の縦片531に沿う。埋部材縦片71が規制部(落下防止部)として機能する。埋部材縦片71には、下方に開口する溝部711が形成され、この溝部711に側辺部材53の縦片531が挿入される。
【0031】
段差埋部材7の長手方向の長さは、後コーナー部材63の前面と前コーナー部材64の後面との間の距離と同じ長さとなっている。これにより、段差埋部材7は、後コーナー部材63の前面と前コーナー部材64の後面との間に隙間が形成されないため、リベット等により辺部材5に固定しなくても辺部材5より外れにくい。
【0032】
段差埋部材7の長手方向の長さは、側辺部材53の長手方向の長さよりも短い。すなわち、段差埋部材7の上面74の前後方向の長さは、側辺部材53の辺支持面51の前後方向の長さよりも短い。
【0033】
図4Bに示すように、埋部材横片72は、辺支持面51に載置される。図5Cに示すように、埋部材横片72には、側辺部材53の横片532が挿入される溝部721が形成される。埋部材横片72の溝部721に側辺部材53の横片532が挿入された状態で、埋部材横片72の溝部721の上側の部分に形成されるリブ722の下面が、辺支持面51に載置される。また、埋部材横片72には、隙間埋部材8が挿入される挿入孔723が形成される。
【0034】
図4Bに示すように、本実施形態では、埋部材横片72の上面74は、辺支持面51と同一平面上に位置する。これにより、辺支持面51と隅支持面61との間に形成される段差をなくすことができる。この結果、辺支持面51と隅支持面61とが同一平面上に位置しないことにより、積載物が水平にならずに傾いてしまう、といったことが生じない。また、辺支持面51と隅支持面61との間に形成される段差に積載物が引っ掛かって、積載物を動かしにくくなるといったことが生じない。
【0035】
本実施形態では、段差埋部材7は、側辺部材53に載置されるが、後辺部材54及び前辺部材55には載置されない。積載物は、前方より台部2に載置されて、後方にスライドさせることがよくある。このため、側辺部材53の辺支持面51と、後コーナー部材63及び前コーナー部材64の隅支持面61との間の段差がなくなるかあるいは低減されれば、台部2に載置された積載物の後方へスライドが妨げられにくくなる。段差埋部材7は、後辺部材54には載置されないため、後コーナー部材63の隅支持面61に載置された積載物の下面と後辺部材54の上面(辺支持面51)との間には、隙間が形成される。
【0036】
段差埋部材7は、埋部材縦片71に形成された溝部711に側辺部材53の縦片531が挿入され、埋部材横片72に形成された溝部721に側辺部材53の横片532が挿入される。これにより、段差埋部材7が側辺部材53に取り付けられた後は、段差埋部材7を側辺部材53の長手方向にスライドさせない限り、段差埋部材7は側辺部材53から外れない。すなわち、台部2(段差埋部材7を含む)が組み立てられた状態では、台部2を分解しない限り、段差埋部材7は外れない。
【0037】
なお、埋部材横片72の上面74は、辺支持面51と同一平面上に位置しなくてもよい。この場合でも、段差埋部材7が設けられない場合と比較して、辺支持面51と隅支持面61との間に形成される段差を小さくすることができる。なお、上面74が辺支持面51と同一平面上に位置しない場合、辺支持面51は上面74より低く位置することが好ましい。
【0038】
本実施系形態では、図2A図3に示すように、台車1は、隙間埋部材8を更に備える。図6A図6Cに隙間埋部材8を示す。隙間埋部材8は、段差埋部材7とコーナー部材6の隣接部分において段差埋部材7とコーナー部材6とに隣接する。隙間埋部材8は、樹脂により形成される。図2Aに示すように、段差埋部材7とコーナー部材6の隣接部分において、コーナー部材6の側面65と段差埋部材7の側面73との間には、隙間としての三角形状の凹所11が形成される。この凹所11に隙間埋部材8が配置されて、凹所11が埋められる。
【0039】
隙間埋部材8は、本体部81と、本体部81より突出する挿入部82と、を有する。本体部81は、平面視三角形状をしており、三角形状をした凹所11に配置される。挿入部82は、段差埋部材7の埋部材横片72に形成された挿入孔723に挿入される。挿入部82の大きさは、本体部81の大きさよりも大きい。
【0040】
隙間埋部材8の上面83は、段差埋部材7の上面74及びコーナー部材6の上面(隅支持面61)と同一平面上に位置する。また、隙間埋部材8の側面84は、段差埋部材7の側面73と同一平面上に位置する。
【0041】
このような隙間埋部材8が設けられることにより、段差埋部材7とコーナー部材6との間に形成される隙間に積載物が入り込んで引っ掛かったりしにくくなる。
【0042】
次に、変形例について説明する。
【0043】
台部2には、上下に貫通する貫通部20が形成されなくてもよい。
【0044】
台部2の形状は、平面視正方形状であってもよいし、平面視矩形状でなくてもよく、特に限定されない。また、台部2及び台車1の形状は、左右対称でなくてもよい。台部2の大きさは、特に限定されない。
【0045】
台部2の全てを樹脂により形成してもよい。また、台部2の全てを金属により形成してもよい。
【0046】
キャスター部3の車輪部31の回転軸の方向が、支持部32に対して転換不能であってもよい。
【0047】
上述した実施形態では、フレーム部材4は、側辺部材53、後辺部材54及び前辺部材55からなる辺部材5と、後コーナー部材63及び前コーナー部材64からなるコーナー部材6により構成されていた。これに対して、前辺部材55に替えて後辺部材54を用いると共に、前コーナー部材64に替えて後コーナー部材63を用いてフレーム部材4を構成してもよい。
【0048】
辺部材5とコーナー部材6の個数は、四個でなくてもよく、個数は限定されない。また、辺部材5とコーナー部材6の個数は、同数でなくてもよい。
【0049】
辺部材5は、二個の側辺部材53と後辺部材54と前辺部材55とにより構成されるものでなくてもよい。例えば、一個の側辺部材53と後辺部材54とが一体に形成されたりしてもよい。
【0050】
二個の側辺部材53は、互いに左右が反転している点を除いて同一でなくてもよいし、互いに左右が反転していなくてもよいし、完全に同一であってもよく、互いの関係は限定されない。
【0051】
辺部材5は、アングル材530、540、550を有するものに限定されず、また、辺部材5の形状、大きさ、材質等も限定されない。
【0052】
後辺部材54の辺支持面51が、段差埋部材7を介して間接的に積載物を支持するようにしてもよい。
【0053】
側辺部材53や段差埋部材7について、長さの異なる部品に交換することで、台車1の長さを変更することができる。
【0054】
コーナー部材6は、二個の後コーナー部材63と二個の前コーナー部材64とにより構成されるものでなくてもよい。
【0055】
コーナー部材6は、隅支持面61の下側に梁部52の端部が挿入される切欠部62の代わりに、隅支持面61の下側に梁部52の端部が挿入される孔部を有してもよい。
【0056】
二個の後コーナー部材63は、互いに左右が反転している点を除いて同一でなくてもよいし、互いに左右が反転していなくてもよいし、完全に同一であってもよく、互いの関係は限定されない。
【0057】
コーナー部材6の形状、大きさ、材質等は限定されない。
【0058】
段差埋部材7は、樹脂により形成されなくてもよい。また、段差埋部材7は、押出成形により形成されなくてもよい。
【0059】
段差埋部材7の他例を図7A及び図7Bに示す。この他例では、段差埋部材7の埋部材横片72に挿入孔723(図5C参照)が形成されていない。すなわち、段差埋部材7には、隙間埋部材8が挿入される挿入孔723が形成されていなくてもよく、挿入孔723は任意の構成である。
【0060】
段差埋部材7の更なる他例を図8に示す。この他例では、段差埋部材7は、埋部材縦片71(図7A等参照)を有していない。段差埋部材7は、埋部材横片72を有している。埋部材横片72は、凹部75を有している。埋部材横片72の上面のうち凹部75以外の部分が、積載物を支持する上面74となる。なお、積載物は、凹部75に載置されてもよい。この他例では、段差埋部材7は、埋部材横片72の凹部75の部分を介して辺部材5にリベットが打ち込まれて、辺部材5に固定される。
【0061】
リベットが打ち込まれる部材(辺部材5、コーナー部材6、段差埋部材7等)には、リベットが打ち込まれる前に、リベットが通る孔が予め形成されてもよい。
【0062】
隙間埋部材8の上面83は、段差埋部材7の上面74及びコーナー部材6の上面(隅支持面61)と同一平面上に位置しなくてもよい。また、隙間埋部材8の側面84は、段差埋部材7の側面73と同一平面上に位置しなくてもよい。また、隙間埋部材8の形状、大きさ、材質等は限定されない。また、隙間埋部材8は、任意の構成であり、台車1に備えられなくてもよい。
【0063】
隙間埋部材8は、コーナー部材6と一体成形されてもよい。
【0064】
以上、述べた実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様の台車1は、横方向に延びて上面が辺支持面51となる梁部52を有する複数の辺部材5と、上面に隅支持面61を有すると共に、隅支持面61の下側に梁部52の端部が挿入される少なくとも孔部又は切欠部62を有し、複数の辺部材5を連結するコーナー部材6と、によって積載物を載置するための台部2を構成するフレーム部材4を備える。台車1は、辺支持面51と隅支持面61の高低差によって生じる段差を埋めるための段差埋部材7を備える。段差埋部材7は、梁部52の端部が孔部又は切欠部62に挿入された状態で、辺支持面51に載置される。
【0065】
第1の態様によれば、段差埋部材7が設けられない場合と比較して、辺支持面51と隅支持面61との間に形成される段差をなくしたり、段差を小さくすることができる。
【0066】
第2の態様では、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、辺部材5は、縦片531と、梁部52となる横片532と、を有するアングル材を有する。段差埋部材7は、縦片531に沿う埋部材縦片71と、辺支持面51に載置される埋部材横片72と、を有して断面L字状に形成されている。
【0067】
第2の態様によれば、辺部材5の縦片531及び段差埋部材7の埋部材縦片71により、横片532の上面に載置される積載物が外方に移動して横片より落下するのが抑制される。
【0068】
第3の態様では、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、台車1は、隙間埋部材8を更に備える。隙間埋部材8は、段差埋部材7とコーナー部材6の隣接部分において段差埋部材7とコーナー部材6とに隣接する。
【0069】
第3の態様によれば、隙間埋部材8が設けられることにより、段差埋部材7とコーナー部材6との間に形成される隙間に積載物が入り込んで引っ掛かったりしにくくなる。
【符号の説明】
【0070】
1 台車
4 フレーム部材
5 辺部材
51 辺支持面
52 梁部
530 アングル材
531 縦片
532 横片
6 コーナー部材
61 隅支持面
62 切欠部
7 段差埋部材
71 埋部材縦片
72 埋部材横片
74 上面
8 隙間埋部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8