(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】搬送機構及び組合せ計量機
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G01G19/387 C
(21)【出願番号】P 2020047425
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】榎並 伸哉
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-26339(JP,A)
【文献】特表平11-509637(JP,A)
【文献】特開平7-285637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
B65G27/00-27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送するトラフと、前記トラフが着脱自在に連結され、かつ前記トラフを振動させる振動部を有する支持部材と、を有する搬送機構であって、
前記トラフは、前記物品を搬送する搬送部材と、前記支持部材に当接するプレート部材と、前記搬送部材と前記プレート部材を連結する連結部材と、を有し、
前記連結部材は、円形の断面を有し、
前記円形の軸方向に延びる壁部と、
前記壁部の上端に位置し、前記搬送部材に当接する上端面と、
前記壁部の下端に位置し、前記支持部材に当接する下端面と、を有し、
前記上端面と前記下端面のうち少なくとも一方は、長軸方向と短軸方向を有する楕円形状であり、前記壁部の外周面に対する角度が非垂直である非垂直端面である、搬送機構。
【請求項2】
前記壁部における前記外周面に対して90度の前記連結部材の断面形状は、正円形状であり、
前記非垂直端面の前記長軸方向は、前記壁部の前記外周面に対して非垂直である、請求項1に記載の搬送機構。
【請求項3】
前記長軸方向及び上下方向に沿った断面において、前記壁部は、前記長軸方向の一方側に位置する第1壁部と、前記長軸方向の他方側に位置する第2壁部と、を有し、
前記上端面及び前記下端面は、前記非垂直端面であって、
前記第1壁部の外周面と、前記上端面に沿って前記上端面から前記長軸方向の外側に延びる上端仮想線と、がなす第1上角度は、鋭角であって、
前記第2壁部の外周面と、前記上端仮想線と、がなす第2上角度は、鈍角であって、
前記第1壁部の外周面と、前記下端面に沿って前記下端面から前記長軸方向の外側に延びる下端仮想線と、がなす第1下角度は、鈍角であって、
前記第2壁部の外周面と、前記下端仮想線と、がなす第2下角度は、鋭角であって、
前記第1壁部の上下方向の長さは、前記第2壁部の上下方向の長さよりも長く、
前記第2壁部の前記長軸方向の長さは、前記第1壁部の長軸方向の長さよりも短い、請求項1又は請求項2に記載の搬送機構。
【請求項4】
前記長軸方向及び上下方向に沿った断面において、前記壁部は、前記長軸方向の一方側に位置する第3壁部と、前記長軸方向の他方側に位置し、前記上下方向の長さが前記第3壁部よりも短い第4壁部と、を有し、
前記第3壁部の外周面と、前記非垂直端面に沿って前記非垂直端面から前記長軸方向の外側に延びる長軸仮想線と、がなす第3角度は、鋭角であって、
前記第4壁部の外周面と、長軸仮想線と、がなす第2角度は、鈍角である、請求項1又は請求項2に記載の搬送機構。
【請求項5】
前記長軸方向及び上下方向に沿った断面において、前記壁部は、前記長軸方向の一方側に位置する第5壁部と、前記第5壁部よりも前記長軸方向の他方側に位置し、前記長軸方向の長さが第5壁部よりも短い第6壁部と、を有し、
前記第5壁部の外周面と、前記非垂直端面に沿って前記非垂直端面から前記長軸方向の外側に延びる長軸仮想線と、がなす第5角度は、鈍角であって、
前記第6壁部の外周面と、前記長軸仮想線と、がなす第6角度は、鋭角である、請求項1又は請求項2に記載の搬送機構。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の搬送機構を複数有する組合せ計量機であって、
物品を供給する供給機構と、前記供給機構の下流に配設され、物品の重量を計量するために物品を一時的に貯留する複数の計量ホッパと、前記複数の計量ホッパから排出された物品を集合させる集合シュートと、を備え、
各前記搬送機構は、前記供給機構から供給された物品を、各前記計量ホッパに搬送する、組合せ計量機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送機構に関し、特に、複数の計量ホッパを有する組合せ計量機に用いられる搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、物品を搬送するトラフと、トラフが着脱自在に連結され、かつトラフを振動させる振動部を有する支持部材と、を有する搬送機構を開示している。特許文献1のトラフは、物品を搬送する搬送面を有する搬送部材と、搬送部材の裏側に位置し、かつ支持部材に当接するプレート部材と、を有する。プレート部材は、上下方向に延びる壁部を有する皿を伏せた形状である。プレート部材の壁部によってトラフの搬送部材と支持部材の間に上下方向の距離が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
トラフに物品を供給して搬送する搬送機構では、物品と接するトラフを定期的に洗浄する。そのため、トラフの接合部分は、周囲から内部に水分が入らないように、連続的に溶接することが求められている。しかし、接合部分よりもプレート部材及び搬送部材が外側に張り出している形態にあっては、溶接トーチの先端を接合部分に当て続け難いことがあった。特に、物品を搬送する搬送面の面積を広く確保すると、搬送部材が外側に張り出している面積が大きくなり、連続的に溶接し難いおそれがあった。また、接合部分の断面形状が正円形状でなく、楕円形状の形態にあっては、楕円形状の全周囲に亘って連続して溶接する必要があるが、楕円形状の長軸方向から接合部分にアクセスし難く、連続的に溶接し難いおそれがあった。
【0005】
そこで、トラフの搬送部材とプレート部材と連結する連結部材を連続的に溶接し易い搬送機構、及び搬送機構を有する組み合わせ計量機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る搬送機構は、物品を搬送するトラフ(10)と、前記トラフが着脱自在に連結され、かつ前記トラフを振動させる振動部を有する支持部材(30)と、を有する。前記トラフは、前記物品を搬送する搬送部材(12)と、前記支持部材に当接するプレート部材(11)と、前記搬送部材(12)と前記プレート部材(11)を連結する連結部材(20)と、を有する。前記連結部材(20)は、円形の断面を有し、前記円形の軸方向に延びる壁部(23)と、前記壁部の上端に位置し、前記搬送部材(12)に当接する上端面(25)と、前記壁部の下端に位置し、前記支持部材(30)に当接する下端面(26)と、を有する。前記上端面と前記下端面のうち少なくとも一方は、長軸方向(LD)と短軸方向(SD)を有する楕円形状であり、前記壁部の外周面に対する角度が非垂直である非垂直端面である。非垂直端面は、壁部の外周面に対する角度が非垂直、すなわち、90度以外である。非垂直端面は、外周面に対する角度が90度以外であり、外周面に対する角度が90度の形態と比較して、その断面面積が大きくなる。非垂直端面の断面面積が大きくなることにより、非垂直端面の接合部分にアクセスし易く、接合部分を連続的に溶接し易くなる。また、非垂直端面の断面面積が大きくなることにより、接合部分の長さを確保でき、接合強度を高めることができる。非垂直断面が楕円形状であるため、長軸方向の長さを長く確保できる。溶接トーチが入り難い部分に長軸部分を配置することにより、溶接トーチのアクセス性を向上させることができる。
【0007】
好ましい一態様によれば、前記壁部における前記外周面に対して90度の前記連結部材の断面形状は、正円形状であり、前記非垂直端面の前記長軸方向(LD)は、前記壁部の前記外周面に対して非垂直である。壁部における前記外周面に対して90度の断面形状は、正円形状であり、正円形状の円筒又は正円形状の円柱を斜めに切断することによって、楕円形状の非垂直端面を得ることができる。切断する角度を適宜異ならせることにより、楕円形状の縦横比を適宜設定でき、所望の縦横比の断面形状を有する連結部材を得ることができる。また、非垂直端面の長軸方向が外周面に対して非垂直であるため、壁部の上端に位置する上端面と壁部の下端に位置する下端面の位置は、長軸方向にずれる。そのため、上端面と下端面の位置が一致する構成と比較して、溶接トーチの先端を挿入し易くなり、接合部分を連続的に溶接し易くなる。
【0008】
好ましい一態様によれば、前記長軸方向及び上下方向に沿った断面において、前記壁部は、前記長軸方向の一方側に位置する第1壁部(27)と、前記長軸方向の他方側に位置する第2壁部(28)と、を有し、前記上端面及び前記下端面は、前記非垂直端面であって、前記第1壁部の外周面と、前記上端面に沿って前記上端面から前記長軸方向の外側に延びる上端仮想線(XL)と、がなす第1上角度(θ11)は、鋭角であって、前記第2壁部の外周面と、前記上端仮想線と、がなす第2上角度(θ21)は、鈍角であって、前記第1壁部の外周面と、前記下端面に沿って前記下端面から前記長軸方向の外側に延びる下端仮想線(YL)と、がなす第1下角度(θ12)は、鈍角であって、前記第2壁部の外周面と、前記下端仮想線と、がなす第2下角度(θ22)は、鋭角であって、前記第1壁部の上下方向の長さ(H27)は、前記第2壁部の上下方向の長さ(H28)よりも長く、前記第2壁部の前記長軸方向の長さ(L28)は、前記第1壁部の長軸方向の長さ(L27)よりも短い。本態様によれば、第1壁部の外周面と上端仮想線がなす第1上角度は、鋭角であり、第1壁部と搬送部材間の角度が小さい。しかし、第1壁部の上下方向の長さ(H27)が長いため、部材間の角度が小さくても、部材間の空間を広く設け、溶接トーチのアクセス性を向上できる。また、第2壁部の外周面と下端仮想線がなす第2下角度は、鋭角であり、第2壁部とプレート部材間の角度が小さい。しかし、第2壁部の長軸方向の長さ(L28)が短く、接合部分が長軸方向の内側に入り込む長さが比較的短い。すなわち、溶接トーチを挿入する長さを短くできる。そのため、部材間の角度が小さく、部材間の空間が狭くても、溶接トーチの先端を当てて接合部分を連続的に溶接し易くなる。
【0009】
好ましい一態様によれば、前記長軸方向及び上下方向に沿った断面において、前記壁部は、前記長軸方向の一方側に位置する第3壁部(53)と、前記長軸方向の他方側に位置し、前記上下方向の長さが前記第3壁部よりも短い第4壁部(54)と、を有する。前記第3壁部の外周面と、前記非垂直端面に沿って前記非垂直端面から前記長軸方向の外側に延びる長軸仮想線(EL)と、がなす第3角度(θ3)は、鋭角であって、前記第4壁部の外周面と、長軸仮想線(EL)と、がなす第2角度(θ4)は、鈍角である。第3壁部の外周面と長軸仮想線がなす第3角度は、鋭角であり、部材(第3壁部と搬送部材又は第3壁部とプレート部材)間の角度が小さい。しかし、第3壁部の上下方向の長さ(H53)が長いため、部材間の角度が小さくても、部材間の空間を広く設け、溶接トーチのアクセス性を向上できる。
【0010】
好ましい一態様によれば、前記長軸方向及び上下方向に沿った断面において、前記壁部は、前記長軸方向の一方側に位置する第5壁部(55)と、前記第5壁部よりも前記長軸方向の他方側に位置し、前記長軸方向の長さが第5壁部よりも短い第6壁部(56)と、を有する。前記第5壁部の外周面と、前記非垂直端面に沿って前記非垂直端面から前記長軸方向の外側に延びる長軸仮想線(EL)と、がなす第5角度(θ5)は、鈍角であって、前記第6壁部の外周面と、前記長軸仮想線(EL)と、がなす第6角度(θ6)は、鋭角である。第6壁部の外周面と長軸仮想線がなす第6角度は、鋭角であり、部材(第6壁部と搬送部材又は第6壁部とプレート部材)間の角度が小さい。しかし、第6壁部の長軸方向の長さ(L56)が短く、接合部分が長軸方向の内側に入り込む長さが比較的短い。すなわち、溶接トーチを挿入する長さを短くできる。そのため、部材間の角度が小さく、部材間の空間が狭くても、溶接トーチの先端を当てて接合部分を連続的に溶接し易くなる。
【0011】
一態様に係る組合せ計量機は、複数の上述の搬送機構(1)と、物品を供給する供給機構と、前記供給機構の下流に配設され、物品の重量を計量するために物品を一時的に貯留する複数の計量ホッパ(105)と、前記複数の計量ホッパから排出された物品を集合させる集合シュート(106)と、を備える。各前記搬送機構は、前記供給機構から供給された物品を、各前記計量ホッパに搬送する。本態様によれば、トラフの接合部分を連続溶接し、周囲から内部に水分が入らないように構成することで、トラフによって搬送する物品を衛生的に搬送することができ、物品の衛生面を担保しつつ所定値に計量した物品の集合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図7】第2実施形態に係るトラフの模式側面図である。
【
図8】第3実施形態に係るトラフの模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態に係る搬送機構1及び組合せ計量機100について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
図1は、組合せ計量機100の全体斜視図である。
図2は、組合せ計量機100の模式図である。組合せ計量機100は、供給シュート101、分散テーブル102、放射フィーダ103、プールホッパ104、計量ホッパ105、集合シュート106、及びタイミングホッパ107を有してよい。
【0014】
組合せ計量機100は、被計量物としての物品を計量しつつ搬送する。物品は、例えば食品である。物品は、供給シュート101に投入され、供給シュート101に投入された物品は、分散テーブル102に供給される。分散テーブル102は、物品を分散させながら搬送してもよい。分散テーブル102は、分散テーブル102の周囲に配置された複数の放射フィーダ103に物品を供給する。放射フィーダ103のそれぞれは、分散テーブル102から供給された物品を、各放射フィーダ103に対応して設けられたプールホッパ104に搬送する。なお、供給シュート101及び分散テーブル102の少なくとも一方は、本発明の「供給機構」を構成し、放射フィーダ103は、本発明の「搬送機構」を構成してよい。なお、本実施の形態の搬送機構は、放射フィーダを構成しているが、本発明の搬送機構は、放射フィーダに限定されず、供給シュート、集合シュート、プールホッパ等の組合せ計量機の他の機構を構成してもよい。搬送機構については、後述にて詳細に説明する。
【0015】
各プールホッパ104に供給された物品は、プールホッパ104の下方に配置された計量ホッパ105へと受け渡されてもよい。計量ホッパ105は、供給機構の下流に配設され、物品の重量を計量するために物品を一時的に貯留する。計量ホッパ105により計量された物品の計量値を基に、組合せ計量演算が行われてもよい。組合せ計量演算の結果が所定の許容範囲内で、かつ最も目標値に近くなる物品の組合せが選択されてもよい。選択された組合せに含まれる計量ホッパ105内の物品は、集合シュート106へと排出されてもよい。集合シュート106は、複数の計量ホッパ105から排出された物品を集合させる。集合シュート106に排出された物品は、タイミングホッパ107に供給されてもよい。タイミングホッパ107は、例えば、搬送機構1の後段に設置された包装機等に物品を供給してもよい。
【0016】
次いで、
図3から
図6に基づいて、第1実施形態に係る搬送機構1について詳細に説明する。
図3は、搬送機構1の分解側面図である。
図4は、搬送機構の分解平面図である。なお、
図4においては、説明の便宜上、支持部材30については、当接部材31以外を省略している。
図5は、第1実施形態に係るトラフの模式側面図である。
図6は、連結部材の斜視図である。上述のように、本実施の形態の搬送機構1は、放射フィーダ103を構成する。
【0017】
搬送機構1は、トラフ10と、支持部材30と、を有してよい。トラフ10は、物品を搬送する。トラフ10は、物品を搬送する搬送部材13と、支持部材30に当接するプレート部材11と、搬送部材13とプレート部材11を連結する連結部材20と、を有する。搬送部材13の搬送面は、組合せ計量機100の放射方向に延び、プールホッパ104に向けて物品を導く。プレート部材11は、プレート状であり、長軸方向LDと短軸方向SDを有する楕円形状であってよい。なお、第1当接部材は、楕円形状でなくてもよく、正円形であってもよいし、矩形であってもよい。連結部材20は、搬送部材13とプレート部材11の間に延び、搬送部材13とプレート部材11を連結する。連結部材20については、後述にて詳細に説明する。
【0018】
支持部材30は、トラフ10が着脱自在に連結される。支持部材30は、トラフ10に当接する当接部材31を有する。当接部材31は、プレート部材11の周縁である第1周縁12と上下に重なり合う第2周縁32を有する。当接部材31は、プレート状であり、長軸方向LDと短軸方向SDを有する楕円形状であってよい。第1周縁12の形状と、第2周縁32の形状と、は、一致してよい。支持部材30は、トラフ10を振動させる振動部38を有する。振動部38は、当接部材31のプレート部材11側と反対の面に連結されている。換言すると、振動部38は、当接部材31の下面に連結されている。支持部材30は、振動部38と当接部材31の連結部分を覆う防水カバー39を有する。
【0019】
トラフ10と支持部材30は、巻き締めバンド40によって着脱自在に連結される。巻き締めバンド40は、第1フレーム材41と、第2フレーム材42と、を有してよい。第1フレーム材41と第2フレーム材42のそれぞれは、第1周縁12の半周(第2周縁32の半周)を覆うように構成されている。第1フレーム材41の一端と第2フレーム材42の一端は、回転方向に移動可能に連結されている。巻き締めバンド40は、プレート部材11の第1周縁12と当接部材31の第2周縁32を上下に重ね合わせた状態で、それらの周縁を挟む。より詳細には、第1周縁12と第2周縁32が重なった状態で、それぞれの周縁を側方から、第1フレーム材41と第2フレーム材42で挟み込んで上下から加圧する。このようにして、巻き締めバンド40によってトラフ10と支持部材30を連結する。
【0020】
このように構成されたトラフ10を製造する際は、搬送部材13とプレート部材11をそれぞれ製造し、連結部材20によって搬送部材13とプレート部材11を連結することによって、トラフ10を製造できる。このとき、搬送機構1の洗浄時に搬送機構1の内部に水分が入らないように、各部材の連結部分を連続的に溶接することが好ましい。本実施の形態の搬送機構1は、トラフの搬送部材13とプレート部材11と連結する連結部材20を連続的に溶接し易く構成されている。次いで、連結部材20の溶接時の作業性を向上させる構成について説明する。
【0021】
連結部材20は、円形の断面を有する。すなわち、連結部材20は、円柱状であってもよいし、円筒状であってもよい。本実施の形態の連結部材20は、
図6に示すように、内周面と外周面24を有する円筒形状である。連結部材20は、円形の軸方向に延びる壁部23と、壁部23の上端に位置し、搬送部材13に当接する上端面25と、壁部23の下端に位置し、支持部材30に当接する下端面26と、を有する。上端面25と下端面26のうち少なくとも一方は、長軸方向LDと短軸方向SDを有する楕円形状であって、壁部23の外周面24に対する角度が非垂直である非垂直端面である。なお、壁部23の外周面に対する角度は、長軸方向LDに沿う断面(
図3に示す断面)視における外周面に対する角度であってもよいし、短軸方向SDに沿う断面視における外周面に対する角度であってもよい。すなわち、壁部の外周面のうちいずれか部分に対する角度であればよい。本実施の形態は、上端面25及び下端面26共に外周面に対する角度が90度以外である。そのため、上端面25及び下端面26のいずれも非垂直端面を構成する。なお、他の形態において、上端面25及び下端面26のいずれかが非垂直端面を構成してよい。
【0022】
非垂直端面は、壁部23の外周面に対する角度が非垂直、すなわち、90度以外である。非垂直端面は、外周面に対する角度が90度以外であり、外周面に対する角度が90度の形態と比較して、その断面面積が大きくなる。非垂直端面の断面面積が大きくなることにより、非垂直端面の接合部分にアクセスし易く、接合部分を連続的に溶接し易くなる。また、非垂直端面の断面面積が大きくなることにより、接合部分の長さを確保でき、接合強度を高めることができる。
図5において、連結部材20の接合部分(連結部材20の上端面25と搬送部材13との接合部分、及び連結部材20の下端面26と搬送部材13との接合部分)14を、一点鎖線によって囲んで示している。また、非垂直断面が楕円形状である形態にあっては、長軸方向LDの長さを長く確保できる。溶接トーチが入り難い部分に長軸方向LDを配置することにより、溶接トーチのアクセス性を向上させることができる。
【0023】
壁部23における外周面24に対して90度の連結部材20の断面形状は、正円形状であってよい。
図6において、壁部23における外周面24に対して90度の連結部材20の断面形状を二点鎖線で示す。壁部23における外周面に対して90度の断面形状は、正円形状である形態にあっては、正円形状の円筒又は正円形状の円柱を斜めに切断することによって、楕円形状の非垂直端面を得ることができる。切断する角度を適宜異ならせることにより、楕円形状の縦横比を適宜設定でき、所望の縦横比の断面形状を有する連結部材20を得ることができる。また、非垂直端面の長軸方向LDは、壁部23の外周面24に対して非垂直であってよい。非垂直端面の長軸方向LDが外周面24に対して非垂直であるため、壁部23は、長軸方向LDに対して垂直でなく、長軸方向LDに対して傾斜して延びる。よって、壁部23の上端に位置する上端面25と壁部23の下端に位置する下端面26の位置は、長軸方向LDにずれる。そのため、上端面25と下端面26の位置が一致する構成と比較して、溶接トーチの先端を挿入し易くなり、接合部分を連続的に溶接し易くなる。
【0024】
本実施の形態では、上端面25と下端面26のいずれもが非垂直端面を構成している。また、上端面25の長軸方向LDと下端面26の長軸方向LDは、平行でなく、長軸方向LDの一端側における上端面25と下端面26の距離と、長軸方向LDの他端側における上端面25と下端面26の距離と、は異なっている。
図5に示すように、長軸方向LD及び上下方向VDに沿った断面において、壁部23は、長軸方向LDの一方側に位置する第1壁部27と、長軸方向LDの他方側に位置する第2壁部28と、を有する。第1壁部27の上下方向VDの長さH27は、第2壁部28の上下方向VDの長さH28よりも長く、第2壁部28の長軸方向LDの長さL28は、第1壁部27の長軸方向LDの長さL27よりも短い。よって、
図5に示す左側に位置する左壁部が第1壁部27を構成し、右側に位置する右壁部が第2壁部28を構成する。
【0025】
第1壁部27の外周面24と、上端面25に沿って上端面25から長軸方向LDの外側に延びる上端仮想線XLと、がなす第1上角度θ11は、鋭角である。第2壁部28の外周面24と、上端仮想線XLと、がなす第2上角度θ21は、鈍角である。第1壁部27の外周面24と、下端面26に沿って下端面26から長軸方向LDの外側に延びる下端仮想線YLと、がなす第1下角度θ12は、鈍角である。第2壁部28の外周面24と、下端仮想線YLと、がなす第2下角度θ22は、鋭角である。第1壁部27の外周面24と上端仮想線XLがなす第1上角度θ11は、鋭角であり、第1壁部27と搬送部材13間の角度が小さい。また、第1上角度θ11をなす第1壁部27の外周面24の上端面は、第1下角度θ12をなす第1壁部27の外周面24の下端面よりも長軸方向の内側に位置し、溶接トーチのアクセス性が悪い。しかし、第1壁部27の上下方向VDの長さH27が長いため、部材間の角度が小さくても、部材間の空間を広く設け、溶接トーチのアクセス性を向上できる。また、第2壁部28の外周面24と下端仮想線YLがなす第2下角度θ22は、鋭角であり、第2壁部28とプレート部材11間の角度が小さい。また、第2下角度θ22をなす第2壁部28の外周面24の下端面は、第2上角度θ21をなす第2壁部27の外周面24の上端面よりも長軸方向の内側に位置し、溶接トーチのアクセス性が悪い。しかし、第2壁部28の長軸方向LDの長さL28が短く、接合部分14が長軸方向LDの内側に入り込む長さが比較的短い。すなわち、溶接トーチを挿入する長さを短くできる。そのため、部材間の角度が小さく、部材間の空間が狭くても、溶接トーチの先端を当てて接合部分を連続的に溶接し易くなる。
【0026】
連結部材20は、プレート部材11と搬送部材13のそれぞれに接合される。連結部材20の接合の順序は、特に制限されない。好適には、比較的大きい面積の部材を先に接合した後に、比較的小さい面積の部材を接合することが好ましい。大きい面積の部材を溶接した後に小さい面積の部材を溶接するよりも、後の溶接作業の溶接トーチのアクセス性を向上できる。本実施の形態では、搬送部材13の面積よりもプレート部材11の面積の方が小さく、連結部材20に搬送部材13を接合した後に、連結部材20にプレート部材11を接合してよい。
【0027】
非垂直端面は、本実施の形態のように、上端面25と下端面26の両方でなくてもよい。次いで、
図7及び
図8に基づいて、連結部材20の両端面のうち一方の面に着目し、当該一方の面と連結先の部材(搬送部材又はプレート部材)の好適な位置関係を説明する。なお、以下に示す第2実施形態及び第3実施形態は、トラフ自体の形状は、上述の第1実施形態と同様である。第2実施形態及び第3実施形態は、第1実施形態における第1壁部及び第2壁部を、第3壁部から第6壁部に置きかえて説明している。
【0028】
図7は、第2実施形態に係るトラフ10Aの模式側面図である。壁部は、第3壁部53と、第3壁部53よりも上下方向VDの長さが短い第4壁部54と、を有する。すなわち、第3壁部53の上下方向VDの長さH53は、第4壁部54の上下方向VDの長さH54よりも長い。本実施の形態では、
図7において左側に位置する壁部が第3壁部53を構成し、
図7において右側に位置する壁部が第4壁部54を構成し、上端面25が非垂直端面を構成する。第3壁部53の外周面と、非垂直端面(上端面25)に沿って非垂直端面から長軸方向LDの外側に延びる長軸仮想線ELと、がなす第3角度θ3は、鋭角であって、第4壁部54の外周面と、長軸仮想線ELと、がなす第4角度θ4は、鈍角である。第3壁部53の外周面と長軸仮想線ELがなす第3角度θ3は、鋭角であり、部材(第3壁部53と搬送部材13)間の角度が小さい。また、第3角度θ3をなす第3壁部53の外周面の上端面は、第3壁部53の外周面の下端面よりも長軸方向の内側に位置し、溶接トーチのアクセス性が悪い。しかし、第3壁部53の上下方向VDの長さH53が長いため、部材間の角度が小さくても、部材間の空間を広く設け、溶接トーチのアクセス性を向上できる。すなわち、壁部と外周面の角度が鋭角であって、当該角度をなす壁部が長軸方向の内側に位置していても、壁部の上下方向の長さ(プレート部材11と支持部材との距離が長ければ、溶接トーチのアクセス性を向上できる。
【0029】
図8は、第3実施形態に係るトラフ10Bの模式側面図である。壁部は、第5壁部55と、第5壁部55よりも長軸方向LDの長さが短い第6壁部56と、を有する。すなわち、第5壁部55の長軸方向LDの長さL55は、第6壁部56の長軸方向LDの長さL56よりも長い。
図8において左側に位置する壁部が第5壁部を構成し、
図8において右側に位置する壁部が第6壁部を構成し、下端面26が非垂直端面を構成する。第5壁部の外周面と、非垂直端面に沿って非垂直端面から長軸方向の外側に延びる長軸仮想線ELと、がなす第5角度θ5は、鈍角であって、第6壁部の外周面と、長軸仮想線ELと、がなす第6角度θ6は、鋭角である。第6壁部の外周面と長軸仮想線がなす第6角度θ6は、鋭角であり、部材(第6壁部とプレート部材11)間の角度が小さい。また、第6角度θ6をなす第6壁部56の外周面の下端面は、第6壁部56の外周面の上端面よりも長軸方向の内側に位置し、溶接トーチのアクセス性が悪い。しかし、第6壁部56の長軸方向LDの長さL56が短く、接合部分14が長軸方向LDの内側に入り込む長さが比較的短い。すなわち、溶接トーチを挿入する長さを短くできる。そのため、部材間の角度が小さく、部材間の空間が狭くても、溶接トーチの先端を当てて接合部分を連続的に溶接し易くなる。すなわち、壁部と外周面の角度が鋭角であって、当該角度をなす壁部が長軸方向の内側に位置していても、壁部の長軸方向の長さが短ければ、溶接トーチを差し込む長さが短くて済むため、溶接トーチのアクセス性を維持できる。
【0030】
上述のように、搬送機構1は、組合せ計量機100に用いられ、供給機構から供給された物品を各計量ホッパ105に搬送する。トラフの接合部分を連続溶接し、周囲から内部に水分が入らないように構成することで、トラフ10によって搬送する物品を衛生的に搬送することができる。当該搬送機構を有する組合せ計量機によれば、物品の衛生面を担保しつつ所定値に計量した物品の集合体を得ることができる。
【0031】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0032】
1 :搬送機構
10、10A、10B :トラフ
11 :プレート部材
13 :搬送部材
14 :接合部分
20 :連結部材
23 :壁部
24 :外周面
25 :上端面
26 :下端面
27 :第1壁部
28 :第2壁部
53 :第3壁部
54 :第4壁部
55 :第5壁部
56 :第6壁部
30 :支持部材
31 :当接部材
100 :組合せ計量機
101 :供給シュート(供給機構)
102 :分散テーブル(供給機構)
103 :放射フィーダ(搬送機構)
104 :プールホッパ
105 :計量ホッパ
106 :集合シュート
107 :タイミングホッパ
EL :長軸仮想線
LD :長軸方向
SD :短軸方向
VD :上下方向
XL :上端仮想線
YL :下端仮想線
θ11 :第1上角度
θ12 :第1下角度
θ21 :第2上角度
θ22 :第2下角度
θ3 :第3角度
θ4 :第4角度
θ5 :第5角度
θ6 :第6角度