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  • 特許-フラビン結合型グルコース脱水素酵素 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】フラビン結合型グルコース脱水素酵素
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/53 20060101AFI20240118BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240118BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240118BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240118BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240118BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240118BHJP
   C12N 9/04 20060101ALI20240118BHJP
   C12Q 1/54 20060101ALI20240118BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240118BHJP
   C12Q 1/32 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
C12N15/53 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N9/04 Z
C12Q1/54
C12M1/34 E
C12Q1/32
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020516244
(86)(22)【出願日】2019-04-15
(86)【国際出願番号】 JP2019016161
(87)【国際公開番号】W WO2019208308
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2018093351
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000210067
【氏名又は名称】池田食研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宅見 高史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 恵美
(72)【発明者】
【氏名】竹中 涼
(72)【発明者】
【氏名】眞田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】本田 通済
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/022074(WO,A1)
【文献】特開2015-139376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
C12N 9/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)、(b)又は(c)のアミノ酸配列からなり、グルコース脱水素酵素活性を有し、かつ酸素を電子受容体としないフラビン結合型グルコース脱水素酵素
(a)配列番号3もしくは15に示されるZygorhynchus exponens由来のアミノ酸配列又は配列番号もしくは16に示されるHyphomucor sp.由来のアミノ酸配列;
(b)配列番号3もしくは15に示されるZygorhynchus exponens由来のアミノ酸配列又は配列番号もしくは16に示されるHyphomucor sp.由来のアミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列;
(c)配列番号3もしくは15に示されるZygorhynchus exponens由来のアミノ酸配列と少なくとも98%の同一性、又は配列番号6もしくは16に示されるHyphomucor sp.由来のアミノ酸配列と少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列。
【請求項2】
請求項1に記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素をコードするポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項2に記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
【請求項4】
請求項2に記載のポリヌクレオチドを含む形質転換細胞。
【請求項5】
請求項4に記載の細胞を培養し、培養物からフラビン結合型グルコース脱水素酵素を採取することを特徴とするフラビン結合型グルコース脱水素酵素の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素を使用する、グルコースの測定方法。
【請求項7】
請求項1記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素を含む、グルコース測定試薬組成物。
【請求項8】
請求項1記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素を含む、グルコース測定用バイオセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコース脱水素酵素、該酵素をコードするポリヌクレオチド、該酵素の製造方法、該酵素を用いたグルコースの測定方法、測定試薬組成物及びバイオセンサ等に関する。
【背景技術】
【0002】
血液中のグルコース(血糖)濃度の測定は、主に糖尿病患者の血糖コントロールにおいて重要である。血糖測定において、酵素を利用した血糖測定機器として、バイオセンサが広く使われている。
【0003】
バイオセンサに使用可能な酵素として、グルコース酸化酵素やグルコース脱水素酵素が知られている。しかし、グルコース酸化酵素は、血中の溶存酸素により測定誤差が生じるという問題があった。グルコース脱水素酵素のうち、真核細胞由来のフラビン結合型グルコース脱水素酵素は、溶存酸素の影響を受けないこと、補酵素の添加を必要としないこと及び基質特異性に優れることから、バイオセンサ用の酵素として有用である(特許文献1~5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2004/058958号パンフレット
【文献】国際公開2006/101239号パンフレット
【文献】国際公開2008/001903号パンフレット
【文献】国際公開2010/140431号パンフレット
【文献】国際公開2013/022074号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、基質特異性の高い新規なグルコース脱水素酵素、該酵素をコードするポリヌクレオチド、該酵素の製造方法、該酵素を用いたグルコースの測定方法、測定試薬組成物及びバイオセンサを提供する。更に、測定試薬組成物及びバイオセンサの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、種々の微生物由来のグルコース脱水素酵素を探索し、基質特異性の高いフラビン結合型グルコース脱水素酵素を見出した。更に、効率的なフラビン結合型グルコース脱水素酵素の製造方法を見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]の態様に関する。
[1]以下の(a)、(b)又は(c)のアミノ酸配列を有し、かつグルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質:
(a)配列番号3、6、15又は16に示されるアミノ酸配列;
(b)配列番号3、6、15又は16に示されるアミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列;
(c)配列番号3もしくは15に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性、又は配列番号6もしくは16に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列。
[2][1]に記載のタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[3][2]に記載のポリヌクレオチドを含む組換えベクター。
[4][2]に記載のポリヌクレオチドを含む形質転換細胞。
[5][4]に記載の細胞を培養し、培養物からフラビン結合型グルコース脱水素酵素を採取することを特徴とするフラビン結合型グルコース脱水素酵素の製造方法。
[6][5]記載の製造方法によって得られたフラビン結合型グルコース脱水素酵素。
[7][1]又は[6]記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素を使用する、グルコースの測定方法。
[8][1]又は[6]記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素を含む、グルコース測定試薬組成物。
[9][1]又は[6]記載のフラビン結合型グルコース脱水素酵素を含む、グルコース測定用バイオセンサ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、基質特異性の高い新規なフラビン結合型グルコース脱水素酵素が得られ、該酵素を簡便に製造できるようになった。更に、該酵素を使用したグルコース測定が可能になり、該酵素を含むグルコース測定試薬組成物やグルコース測定用バイオセンサが製造できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の酵素によるD-グルコース測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のグルコース脱水素酵素は、下記(a)、(b)又は(c)のアミノ酸配列を有し、かつグルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質である。「タンパク質」とは糖タンパク質も含む。
(a)配列番号3、6、15又は16に示されるアミノ酸配列。
(b)配列番号3、6、15又は16に示されるアミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列。
(c)配列番号3もしくは15に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性、又は配列番号6もしくは16に示されるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列。
該酵素は、好ましくは(a)、(b)又は(c)のアミノ酸配列からなり、かつグルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質である。
【0011】
本発明のグルコース脱水素酵素は、前記配列を有するタンパク質であれば特に限定されず、細胞を培養して得られた酵素でもよく、合成によって得られた合成酵素でもよい。好ましくは遺伝子組換えによって得られた組換え酵素である。
【0012】
本発明のフラビン結合型グルコース脱水素酵素は、下記の性質(1)~(4)を有する。フラビンとしては、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、フラビンモノヌクレオチド(FMN)が挙げられ、好ましくはFADである。
(1)作用:電子受容体存在下で、グルコースを酸化する反応を触媒する酵素である。
(2)可溶性である。
(3)酸素を実質的に電子受容体としない。
【0013】
(4)基質特異性が高い。50mMグルコースに対する作用性を100%とした場合に、50mMマルトースに対する作用性が、何れも好ましくは多くとも2.0%、より好ましくは多くとも1.5%、さらに好ましくは多くとも1.0%である。
【0014】
本発明のポリヌクレオチドは、下記(i)、(ii)、(iii)又は(iv)からなり、かつグルコース脱水素酵素活性を有するタンパク質をコードする。
(i)前記(a)、(b)又は(c)に記載のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
(ii)配列番号1、2、4又は5に示される塩基配列を有するポリヌクレオチド。
(iii)配列番号1、2、4又は5に示される塩基配列において3、6又は9個の塩基が欠失又は付加されたポリヌクレオチド。又は配列番号1、2、4又は5に示される塩基配列において1~10個、好ましくは多くとも9個、8個、6個、5個、4個、3個もしくは2個の塩基が置換された塩基配列を有するポリヌクレオチド。
(iv)配列番号1、2、4又は5に示される塩基配列と同一性を有する塩基配列を有するポリヌクレオチド。
前記同一性は、少なくとも90%、92%又は95%が好ましく、少なくとも97%、98%又は99%がより好ましい。
【0015】
本書での同一性は、NCBIのBLAST解析により算出されたidentityの値とする。
【0016】
本発明の組換えベクターは、クローニングベクター又は発現ベクターであり、ベクターは適宜選択できる。ベクターは、インサートとして本発明のポリヌクレオチドを含む。インサートとして挿入するポリヌクレオチドは、宿主細胞に対応して、コドンユーセージを最適化したポリヌクレオチドでも良い。終止コドンを宿主に最適な終止コドンに置換することで組換えタンパク質の発現量を向上させても良い。さらに、宿主で発現可能であれば、シグナル配列を含むアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドであっても、シグナル配列を含まないアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドであっても良い。例えば、シグナル配列を含まない配列番号15及び16のようなアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの場合は、開始コドンATGを付加して挿入する、又はそのまま挿入してベクター側の発現用ペプチドもしくはシグナル配列を利用することができる。又は、シグナル配列をコードする配列を例えば宿主に適切なシグナル配列をコードする配列に置換したポリヌクレオチドでも良い。尚、必要に応じて、シャペロンやリゾチームなどの発現に寄与するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを、本発明のポリヌクレオチドと同一のベクターに導入する、及び/又は別のベクターに導入して同一宿主に保持させることも可能である。更に、Hisタグ、FLAGタグ、GFPなど各種タグを付加した融合タンパク質として発現できるベクターを使用して、本発明のグルコース脱水素酵素を発現しても良い。
【0017】
原核細胞で組換えタンパク質を発現させる場合には、イントロンを含まないcDNA配列をインサートとし、発現ベクターとしては、pUC系、pBluescriptII、pET発現システム、pGEX発現システム、pCold発現システムなどが例示できる。
【0018】
真核細胞で組換えタンパク質を発現させる場合には、インサートとしてのポリヌクレオチドは、例えば配列番号1及び4のようなイントロンを含んだDNA配列でも良く、例えば配列番号2及び5のようなcDNA配列でも良い。発現ベクターとしては、pGAPZα、pKA1、pCDM8、pSVK3、pSVL、pBK-CMV、pBK-RSV、EBVベクター、pRS、pYE82などが例示できる。
【0019】
宿主細胞としては、例えば、大腸菌、枯草菌等の原核細胞や、真菌(酵母、糸状菌(子嚢菌、担子菌等)等)、昆虫細胞、哺乳動物細胞等の真核細胞等を使用することができ、本発明のベクターを該細胞に導入して形質転換させることで、本発明の形質転換細胞を得ることができる。前記ベクターを、プラスミドのような状態で形質転換細胞内に維持しても良く、染色体中に組み込ませて維持しても良い。又は、遺伝子編集技術を用いて、本発明のポリヌクレオチドを含む形質転換細胞を得ることができる。更に、糖鎖の要、不要、その他のペプチド修飾の必要性に応じて、適宜宿主は選択することができるが、糖鎖付加可能な宿主を選択し、糖鎖を有する酵素(糖タンパク質)を製造することが好ましい。
【0020】
本発明の形質転換細胞を培養して得られた培養物からグルコース脱水素酵素を採取することによって、組換えグルコース脱水素酵素を製造することができる。
【0021】
本発明で使用されるグルコース脱水素酵素生産菌の培養には、通常の微生物培養用培地が使用できる。例えば、炭素源、窒素源、ビタミン類、無機物、その他使用する微生物が必要とする微量栄養素を程よく含有するものであれば、合成培地、天然培地の何れでも使用可能である。炭素源としては、グルコース、スクロース、デキストリン、澱粉、グリセリン及び糖蜜等が使用できる。窒素源としては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及びリン酸アンモニウム等の無機塩類、DL-アラニン及びL-グルタミン酸等のアミノ酸類、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、麦芽エキス及びコーンスティープリカー等の窒素含有天然物が使用できる。無機物としては、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、硫酸マグネシウム及び塩化第二鉄等が使用できる。
【0022】
本発明のグルコース脱水素酵素を得るための培養は、通常、振盪培養や通気攪拌等の方法による好気的条件下で行うのが良い。グルコース脱水素酵素生産菌の特性を踏まえて、グルコース脱水素酵素の生産に適した培養条件に設定すれば良い。例えば、培養温度は20℃から50℃、かつpH4からpH8の範囲で行うのが好ましく、生産性を考慮して培養中にpH調整をしても良い。培養期間は、2日から10日の範囲が好ましい。この様な方法で培養することにより、培養物中にグルコース脱水素酵素を生成蓄積することができる。
【0023】
培養物中からグルコース脱水素酵素を得る方法は、通常のタンパク質の製造方法が利用できる。例えば、最初にグルコース脱水素酵素生産菌を培養後、遠心分離により培養上清液を得る。又は培養菌体を得、適当な方法で該培養微生物を破砕し、破砕液から遠心分離等によって上清液を得る。次に、これらの上清液中に含まれるグルコース脱水素酵素を、通常のタンパク質の精製方法で精製し、精製酵素を得ることができる。例えば、限外ろ過、塩析、溶媒沈殿、熱処理、透析、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲルろ過、アフィニティークロマトグラフィー等の精製操作を組み合わせることによって精製できる。
【0024】
本発明のグルコース脱水素酵素は乾燥して使用することができる。酵素が失活しなければ乾燥方法は制限されないが、凍結乾燥により、凍結乾燥品を得るのが好ましい。乾燥工程で、緩衝液剤及び安定化剤を添加することができる。乾燥後に粉砕して、粉末化し、粉末品にしても良い。
【0025】
本発明のグルコース脱水素酵素を用いて、グルコースを測定することができる。本発明のグルコース測定方法は、グルコースを含む被検試料と本発明のグルコース脱水素酵素とを接触させる工程を含むことにより、被検試料中のグルコースを定量できる。被検試料は特に限定されないが、生体試料が例示でき、具体例として血液、涙、唾液、尿又は間質液等が例示できる。本発明の酵素は、特に血糖測定に有用である。
【0026】
本発明は、本発明のグルコース脱水素酵素を用いてグルコース測定用試薬組成物、グルコース測定用キット又はグルコース測定用バイオセンサを製造する製造方法を提供する。本発明の酵素は基質特異性が高く、酸素を実質的に電子受容体としないため、グルコース測定において、測定試料中の他の糖類及び溶存酸素の影響を受け難い。よって、他の糖類や溶存酸素の影響を受け難いグルコース測定用試薬組成物、グルコース測定用キット又はグルコース測定用バイオセンサが提供でき、測定精度の高いグルコース測定が可能である。
【0027】
本発明のグルコース測定用試薬組成物は、酵素として本発明のグルコース脱水素酵素を含む試薬組成物であれば良い。該組成物中の酵素量は、試料中のグルコースを測定できれば特に限定されないが、1測定あたりの酵素量が0.01から100U程度が好ましく、0.05から50U程度がより好ましく、0.1から20U程度が更に好ましい。該組成物は、緩衝剤を含むことが好ましく、安定化剤等の当業者に公知の他の任意成分を適宜含有させ、該酵素や試薬成分の熱安定性や保存安定性を高めるのがより好ましい。前記成分としては、牛血清アルブミン(BSA)若しくは卵白アルブミン、該酵素と作用性のない糖類若しくは糖アルコール類、カルボキシル基含有化合物、アルカリ土類金属化合物、アンモニウム塩、硫酸塩又はタンパク質等を例示できる。更に、被験試料中に存在する、測定に影響を与える夾雑物質の影響を抑える公知の物質を、該測定試薬に含ませても良い。本発明のグルコース測定用キットは、前記試薬組成物を含み、グルコース標準液を含ませることができる。
【0028】
本発明のバイオセンサは、酵素として本発明のグルコース脱水素酵素を含むセンサであれば良い。例えば、酵素として本発明のグルコース脱水素酵素を反応層に含むセンサであって、例えば、電気化学式バイオセンサは、基板、対極、作用極、メディエータ及び前記酵素を備えることによって作製される。メディエータは、ヘム等のタンパク質性電子メディエータや、フェリシアン化化合物、キノン系化合物、オスミウム系化合物、フェナジン系化合物、フェノチアジン系化合物等が例示できる。この他に、イオン変化、発色強度又はpH変化等を検知する方式のバイオセンサも構築可能である。該バイオセンサを用いてグルコース測定が可能である。
【0029】
更に本発明のグルコース脱水素酵素は、バイオ電池に用いることができる。本発明のバイオ電池は、酸化反応を行うアノード極及び還元反応を行うカソード極から構成され、必要に応じてアノードとカソードを隔離する電解質層を含んで構成される。上記の電子メディエータ及びグルコース脱水素酵素を含む酵素電極をアノード電極に使用し、基質を酸化することによって生じた電子を電極に取り出すと共に、プロトンを発生させる。一方、カソード側には、一般的にカソード電極に使用される酵素を使用すれば良く、例えばラッカーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ又はビリルビンオキシダーゼを使用し、アノード側で発生させたプロトンを酸素と反応させることによって水を生成させる。電極としては、カーボン、金、白金族金属等、一般的にバイオ電池に使用される電極を用いることができる。
【0030】
本酵素の活性測定においては、該酵素を、好ましくは終濃度0.15-0.6U/mLになるように適宜希釈して用いる。尚、該酵素の酵素活性単位(U)は1分間に1μmolのグルコースを酸化する酵素活性である。本発明のグルコース脱水素酵素の酵素活性は、次の方法で測定できる。
【0031】
(グルコース脱水素酵素(GLD)活性測定法)
100mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)1.00mL、1M D-グルコース溶液1.00mL、3mM 2,6-ジクロロフェノールインドフェノール(以下DCIPという)0.14mL及び3mM 1-メトキシ-5-メチルフェナジウムメチルサルフェイト0.20mL及び超純水0.61mLを混合し、37℃で10分間保温後、酵素溶液0.05mLを添加し、反応を開始した。反応開始時から5分間、酵素反応の進行に伴う600nmにおける吸光度の1分間あたりの減少量(ΔA600)を測定し、直線部分から次式に従い酵素活性を算出した。この際、酵素活性は、37℃、pH6.0で1分間に1μmolのDCIPを還元する酵素量を1Uと定義した。
【0032】
グルコース脱水素酵素(GLD)活性(U/mL)=(-(ΔA600-ΔA600blank)×3.0×酵素の希釈倍率)/(10.8×1.0×0.05)
尚、式中の3.0は反応試薬+酵素溶液の液量(mL)、10.8はpH6.0におけるDCIPのモル吸光係数、1.0はセルの光路長(cm)、0.05は酵素溶液の液量(mL)、ΔA600blankは酵素の希釈溶液を酵素溶液の代わりに添加して反応開始した場合の600nmにおける吸光度の1分間あたりの減少量を表す。
【実施例
【0033】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0034】
[実施例1]
(フラビン結合型グルコース脱水素酵素(GLD)のクローニング)
GLD生産菌の探索を行った結果、Zygorhynchus exponens Burgeff var.exponens NBRC100517及びHyphomucor sp.RD055426の培養上清にGLD活性が確認できた。Z.exponens Burgeff var.exponens NBRC100517由来GLDをZeGLD、H.sp.RD055426由来GLDをHsGLDとする。
【0035】
(1)菌体培養
パインデックス(松谷化学工業社製)4%(w/v)、脱脂大豆(昭和産業社製)1%(w/v)、コーンスティープリカー(サンエイ糖化社製)1%(w/v)、リン酸二水素カリウム(ナカライテスク社製)0.5%(w/v)、硫酸マグネシウム七水和物(ナカライテスク社製)0.05%(w/v)及び水からなる液体培地をpH6.0に調整し、各10mLを2本の太試験管に入れ、121℃、20分間オートクレーブした。冷却した液体培地に、前記GLD生産菌を各々接種し、25℃で72時間振とう培養した後、さらしを用いて、各湿菌体を回収した。
【0036】
(2)ゲノムDNAの抽出
(1)で取得した湿菌体各200mgを-80℃で凍結した後、バイオマッシャーII(ニッピ社製)中で、200mM Tris‐HCl(pH8.0)、50mM EDTA、200mM NaCl、1% N-lauroyl sarcosine sodium saltからなるBufferを0.5 mL添加し、菌体破砕をおこなった。菌体破砕後は破砕液上清に対し、フェノール・クロロホルム処理、エタノール沈殿を行い、各ゲノムDNAを取得した。
【0037】
(3)GLDをコードするゲノムDNAの取得
(2)で取得した各ゲノムDNAを鋳型とし、GLD遺伝子取得用プライマー対を用いてそれぞれPCRを行った。その結果、各GLD遺伝子の内部配列と思われるPCR産物が確認された。尚、前記プライマー対は、本発明者らが、種々のGLD遺伝子取得用に設計したプライマーである。前記各PCR産物を精製し、DNA Ligation Kit(タカラバイオ社製)を用いて、T-vector pMD20(タカラバイオ社製)にライゲーションした。
【0038】
得られた各プラスミドベクターを、大腸菌JM109コンピテントセル(タカラバイオ社製)にそれぞれ導入して形質転換した。得られた各形質転換体を培養して、集菌した菌体から、NucleoSpin Plasmid QuickPure(タカラバイオ社製)を用いて各プラスミドベクターを抽出した。各プラスミドベクター中のインサートの塩基配列をそれぞれ決定し、決定した各塩基配列を基に、GLD遺伝子の上流及び下流配列を解明するためのプライマーを設計した。これらのプライマーを用いてInverse PCR法を行い、各GLDをコードするゲノムDNA配列を決定した。ZeGLDをコードする開始コドンから終止コドンまでの全長DNA配列を配列番号1、及びHsGLDをコードする開始コドンから終止コドンまでの全長DNA配列を配列番号4に示した。
【0039】
(4)全RNAの単離
(1)で取得した各湿菌体200mgを-80℃で凍結した後、ISOGENII(ニッポンジーン社製)を用いて各100μgの全RNAを抽出した。
【0040】
(5)cDNAライブラリーの調製
(4)で取得した各全RNAから、逆転写酵素およびアダプター配列付きオリゴdTプライマーを用いた逆転写反応により各cDNAライブラリーを調製した。反応試薬は、SMARTer RACE cDNA Amplification kit(タカラバイオ社製)を使用し、反応条件は説明書記載のプロトコールに準じて行った。
【0041】
(6)GLD遺伝子を含む発現用プラスミドベクターの調製1
公知文献1(Aspergillus属の異種遺伝子発現系、峰時俊貴、化学と生物、38、12、831-838、2000)に記載してあるアスペルギルス・オリゼ由来のアミラーゼ系の改良プロモーターを使用してプラスミドベクターを調製した。最初に、(5)で取得したcDNAライブラリーを鋳型とし、各GLD遺伝子を含むPCR産物をそれぞれ取得した。ZeGLD遺伝子を含むPCR産物の取得には下記のF6309-Ori(配列番号7)及びF6309-R-1st(配列番号8)のプライマー対を使用した。またHsGLD遺伝子を含むPCR産物の取得には、下記のF6292-Ori(配列番号10)及びF6292-R-1st(配列番号11)のプライマー対を使用した。次に、前記PCR産物を鋳型とし、ベクター挿入用のZeGLD遺伝子、及びHsGLD遺伝子を調製した。ZeGLD遺伝子の調製には下記のF6309-Ori(配列番号7)及びF6309-R-2nd(配列番号9)のプライマー対を、HsGLD遺伝子の調製には下記のF6292-Ori(配列番号10)及びF6292-R-2nd(配列番号12)のプライマー対を使用した。
【0042】
最終的に、前記プロモーターの下流に、それぞれ調製したGLD遺伝子を結合させて、各遺伝子が発現可能なプラスミドベクターを作製した。作製した各発現用プラスミドベクターを、大腸菌JM109コンピテントセルにそれぞれ導入して形質転換した。得られた各形質転換体を培養して、集菌した菌体から、NucleoSpin Plasmid QuickPureを用いて各プラスミドベクターを抽出した。各プラスミドベクター中のインサートの配列解析を行ったところ、各GLD遺伝子を含む塩基配列が確認できた。ZeGLDをコードするcDNA配列を配列番号2、ZeGLDのアミノ酸配列を配列番号3、HsGLDをコードするcDNA配列を配列番号5及びHsGLDのアミノ酸配列を配列番号6に示した。
【0043】
F6309-Ori(配列番号7):
5’-(CCGCAGCTCGTCAAA)ATGAAGATCTCTGCTGCTATCG-3’
(括弧内:転写増強因子)
F6309-R-1st(配列番号8):
5’-((GTTCATTTA))AAGATTATTTTGCTTCT-3’
(二重括弧内:pSENSベクター配列)
F6309-R-2nd(配列番号9):
5’-((GTTACGCTTCTAGAGCATGCGTTCATTTA))AAGATTATTTTGCTT-3’
(二重括弧内:pSENSベクター配列、下線部:制限酵素部位(SphI))
F6292-Ori(配列番号10):
5’-(CCGCAGCTCGTCAAA)ATGAAAATCTCTGCTGCTATTG-3’
(括弧内:転写増強因子)
F6292-R-1st(配列番号11):
5’-((GTTCATTTA))GTGCTTTTTGTAAGTAGAC-3’
(二重括弧内:pSENSベクター配列)
F6292-R-2nd(配列番号12):
5’-((GTTACGCTTCTAGAGCATGCGTTCATTTA))GTGCTTTTTG-3’
(二重括弧内:pSENSベクター配列、下線部:制限酵素部位(SphI))
【0044】
(7)形質転換体の取得1
(6)で抽出した各プラスミドベクターを用いて、公知文献2(Biosci.Biotech.Biochem.,61(8),1367-1369,1997)及び公知文献3(清酒用麹菌の遺伝子操作技術、五味勝也、醸協、494-502、2000)に記載の方法に準じて、各GLDを生産する組換えカビ(アスペルギルス・オリゼ)をそれぞれ作製した。得られた各組換え株をCzapek-Dox固体培地で純化し、ZeGLD生産組換えカビ及びHsGLD生産組換えカビを取得した。使用する宿主としては、アスペルギルス・オリゼNS4株を使用した。本菌株は、独立行政法人酒類総合研究所で分譲されているものが入手可能である。
【0045】
(8)組換えカビ由来GLDの確認
パインデックス4%(w/v)、脱脂大豆1%(w/v)、コーンスティープリカー1%(w/v)、リン酸二水素カリウム0.5%(w/v)、硫酸マグネシウム七水和物0.05%(w/v)及び水からなる液体培地をpH7.0に調整し、各10mLを2本の太試験管(22mm×200mm)に入れ、121℃、20分間オートクレーブした。冷却した液体培地に、(7)で取得した各組換えカビを植菌し、30℃で72時間振とう培養した。培養終了後、遠心して各上清を回収し、前述のGLD活性測定法でGLD活性を測定したところ、何れも本発明のGLD活性が確認できた。
【0046】
(9)GLD遺伝子を含む発現用プラスミドベクターの調製2
シグナル予測プログラムSignalP4.1を用いて、配列番号6に記載のHsGLDアミノ酸配列におけるシグナル配列を予測した結果、1~20番目のアミノ酸がシグナル配列と予測された。予測シグナル配列を除いた配列番号16記載のアミノ酸配列をコードする遺伝子を増幅できるようにプライマー(配列番号13及び14)を設計し、(5)で取得したcDNAを鋳型にPCRを行った。得られたPCR産物を分泌型プラスミドベクターpGAPZα(ThermoFisher Scientific社製)に導入し、プラスミドベクターpGAPZα/HsGLDを取得した。該プラスミドベクターを大腸菌JM109株に導入して形質転換した。得られた形質転換体よりプラスミドを抽出し、該プラスミドベクター中のインサートの配列解析を行ったところ、HsGLD遺伝子である配列番号4記載の61番目以降のDNA配列(1848bp)を含む塩基配列が確認できた。
【0047】
なお、シグナル予測プログラムSignalP4.1を用いて、配列番号3に記載のZeGLDアミノ酸配列におけるシグナル配列を予測した結果、1~20番目のアミノ酸がシグナル配列と予測された。予測シグナル配列を除いた配列を配列番号15に記載した。
【0048】
F6292-PP-F(配列番号13):
5’-(GCTGAAGCTGAATTC)CAATCACAAGGTACTACTAG-3’
(括弧内:pGAPZαベクター配列)
F6292-PP―R(配列番号14):
5’-(GAGTTTTTGTTCTAGA)TTAGTGCTTTTTGTAAGTAG-3’
(括弧内:pGAPZαベクター配列)
【0049】
(10)形質転換体の取得2
(9)で抽出したプラスミドベクター(pGAPZα/HsGLD)を酵母Pichia pastoris KM71Hに導入して形質転換した。導入は、公知文献(pGAPZ A,B,and C,pGAPZα A,B,and C、Thermo Fisher Scientific、Rev.Date:28 June 2010、Manual Part No.25-0174)に記載の条件に従って実施し、HsGLD生産組換え酵母を作成した。
【0050】
(11)組換え酵母由来GLDの確認
イーストエクストラクト(BD社製)1.0%、ハイポリペプトン(日本製薬社製)2.0%、100mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)、Yeast Nitrogen Base without Aminoacids(Sigma社製)1.34%、(+)‐ビオチン(和光純薬社製)0.00004%、グリセロール(ナカライテスク社製)1.0%からなるBMGY培地150mLを含む500mL容の坂口フラスコに入れ、121℃、20分間オートクレーブした。冷却した液体培地に、(10)で取得した組換え酵母を植菌し、30℃、120rpmで72時間振とう培養した。培養終了後、遠心して上清を回収し、前述のGLD活性測定法に準じ、プレートリーダー(モレキュラーデバイス社製)を用いてGLD活性を測定した結果、GLD活性が確認できた。
【0051】
[実施例2]
(フラビン結合型グルコース脱水素酵素(GLD)の取得)
(1)ZeGLD
実施例1の(8)に記載の液体培地150mLを500mL容の坂口フラスコに入れ、121℃、20分間オートクレーブした。冷却した液体培地に、実施例1の(7)で取得したZeGLD生産組換えカビを植菌し、30℃で72時間振とう培養して種培養液とした。前記と同様の培地組成にクロラムフェニコール(ナカライテスク社製)0.005%(w/v)及び消泡剤を添加した培地3.5Lを5L容ジャーファーメンターに入れ、121℃、30分間オートクレーブした。冷却した液体培地に、前記種培養液を100mL植菌し、30℃、400rpm、1v/v/mで96時間培養した。培養終了後、培養液をろ布でろ過し、回収したろ液を遠心して上清を回収し、更にメンブレンフィルター(10μm、アドバンテック社製)でろ過して粗酵素液を回収した。
【0052】
回収した粗酵素液について、Cellufine A-500(JNC社製)カラム及びTOYOPEARL Butyl-650C(東ソー社製)カラムを用いて夾雑タンパクを除去して精製した。精製サンプルを分画分子量8,000の限外ろ過膜で濃縮後、水置換し、ZeGLDサンプルとした。該ZeGLDサンプルをSDS-ポリアクリルアミド電気泳動に供したところ、ZeGLDがメインバンドを示すことを確認した。
【0053】
(2)HsGLD
実施例1の(11)に記載の方法で培養した培養上清を、分画分子量10,000の限外ろ過膜(ザルトリウス社製)を用いて、低分子成分を除去すると共に濃縮し、HsGLDサンプルとした。
【0054】
[実施例3]
(本発明のGLDの酵素化学的性質の検討)
実施例2で得られたZeGLD及びHsGLDの諸性質を調べた。
(1)吸収スペクトルの測定
ZeGLD及びHsGLDについて、D-グルコース添加前後の300-600nmにおける吸収スペクトルをプレートリーダー(SpectraMax Plus384、モレキュラーデバイス社製)を用いて測定した。その結果、何れのGLDも、波長360-380nm付近及び波長450-460nm付近に認められた吸収極大が、D-グルコース添加により消失したことから、本発明のGLDはフラビン結合型タンパク質であることが明らかになった。
【0055】
(2)グルコース酸化酵素(GOD)活性の測定
1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)0.2mL、1M D-グルコース2.0mL、25mM 4-アミノアンチピリン0.2mL、420mMフェノール0.2mL、1mg/mLペルオキシダーゼ0.2mL及び超純水0.2mLを混合し、混合液0.1mLを96穴プレートに入れ、25℃で5分間保温した。ZeGLD又はHsGLDを0.1mL添加し、反応を開始した。反応開始時から5分間、酵素反応の進行に伴う500nmにおける吸光度変化を前記プレートリーダーで測定し、GOD活性を調べた。尚、コントロールは、GLDの代わりに水を添加して反応を開始した。その結果、ZeGLD及びHsGLDは、何れもコントロールと同様に吸光度変化は見られなかった。
【0056】
この結果から、本発明のGLDにはグルコース酸化酵素活性がないことが確認された。よって、本発明のGLDは酸素を電子受容体として利用しないため、D-グルコースを定量する際に反応系の溶存酸素の影響を受けにくいことが示された。
【0057】
(3)基質特異性
前記GLD活性測定法に準じ、基質に終濃度50mMのD-グルコース又はマルトースをそれぞれ用いて、各基質に対するZeGLD又はHsGLDの活性を測定した。D-グルコースに対する活性を100%とした場合のマルトースに対する活性を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
本発明のGLDは、D-グルコースに対する活性を100%とした場合に、マルトースに対する活性は1.2%又は0.9%であり、何れも2.0%以下だった。
【0060】
[実施例4]
(吸光度計によるグルコースの測定)
実施例2で得られたZeGLD及びHsGLDを用いて、前記GLD活性測定法に準じ、0、1、2、5、10、20、50又は100mM D-グルコースにおける、吸光度変化を測定した。各グルコース濃度における相対活性値を図1に示す。その結果、吸光度計を用いたD-グルコース測定において、D-グルコースの濃度依存的に活性の増加が見られたことから、本発明のGLDを用いてD-グルコースの定量が可能であることが示された。
図1
【配列表】
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