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特許7421803ヨーグルト発酵器及びヨーグルト発酵器の自動温度制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ヨーグルト発酵器及びヨーグルト発酵器の自動温度制御方法
(51)【国際特許分類】
   A23C 9/12 20060101AFI20240118BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240118BHJP
   C12M 1/38 20060101ALI20240118BHJP
   G05D 23/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A23C9/12
C12M1/00 C
C12M1/38
G05D23/00 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020560835
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 KR2018014996
(87)【国際公開番号】W WO2019212114
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-10-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】10-2018-0049987
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520417252
【氏名又は名称】イージーヨーグルト カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】ファン ユンテク
【合議体】
【審判長】植前 充司
【審判官】中村 和正
【審判官】磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-308151(JP,A)
【文献】特開2010-119371(JP,A)
【文献】特開2005-65673(JP,A)
【文献】実開昭51-71889(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0189894(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C
C12M
G05D
G01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部と;
前記ヘッド部の下側に設けられ、発酵容器の入口部に結合される結合部と;
前記ヘッド部の下面に結合され、下方に延設されて前記発酵容器の内部に位置するもので、下部には発熱体が内蔵されて前記発酵容器の下部に位置し、上部には温度センサーが内蔵されて前記発酵容器の上部に位置する発熱棒と;
前記温度センサーで測定された温度に基づいて、予め定められた制御ロジックに従って前記発熱体の発熱量を制御する制御部と;を含み、
前記制御部は、
i)前記温度センサーで測定された温度が、予め定められた第1発酵基準温度以下である場合には、前記発熱体が、予め定められた第1発熱量を供給するように制御し、
ii)前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から、前記温度センサーで測定された温度に基づいて、発酵物質の温度を、予め定められた第2発酵基準温度を目標値に収束して維持するように前記発熱体の発熱量を制御し、
iii)その後、発酵物質の上部温度が発酵物質の下部温度よりも低くなって上部と下部の温度が逆転する時点よりも、予め定められた余裕時間だけ先立った時点から前記第1発熱量の半分以下の大きさを有する第2発熱量を前記発熱体が供給するように制御し、
前記第1発酵基準温度は、前記第2発酵基準温度よりも低く、
前記余裕時間は、前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点までの時間よりも小さいことを特徴とする、ヨーグルト発酵器。
【請求項2】
内部に発酵物質を貯蔵し、下部には発熱体が内蔵され、側上部には温度センサーが内蔵される本体部と;
前記温度センサーで測定された温度に基づいて、予め定められた制御ロジックに従って前記発熱体の発熱量を制御する制御部と;を含み、
前記制御部は、
i)前記温度センサーで測定された温度が、予め定められた第1発酵基準温度以下である場合には、前記発熱体が、予め定められた第1発熱量を供給するように制御し、
ii)前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から、前記温度センサーで測定された温度に基づいて、発酵物質の温度を、予め定められた第2発酵基準温度を目標値に収束して維持するように前記発熱体の発熱量を制御し、
iii)その後、発酵物質の上部温度が発酵物質の下部温度よりも低くなって上部と下部の温度が逆転する時点よりも、予め定められた余裕時間だけ先立った時点から前記第1発熱量の半分以下の大きさを有する第2発熱量を前記発熱体が供給するように制御し、
前記第1発酵基準温度は、前記第2発酵基準温度よりも低く、
前記余裕時間は、前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点までの時間よりも小さいことを特徴とする、ヨーグルト発酵器。
【請求項3】
前記制御部は、DB部をさらに含み、
前記DB部は、
前記発酵容器が位置する空間の温度を示す外気温度ごとに、前記温度センサーで測定された温度が、予め定められた第1温度から予め定められた第2温度まで上昇するのにかかる第1時間情報を含む第1時間データを含み、
前記それぞれの外気温度に対して前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点までかかる第2時間情報を含む第2時間データをさらに含み、
前記制御部は、前記温度センサーで測定された温度が前記第1温度から前記第2温度まで上昇するのにかかる時間を測定した後、前記第1時間データとマッチングさせることにより外気温度を推定し、前記推定された外気温度と前記第2時間データとをマッチングさせて第2時間値を導出することにより、発酵物質の上部温度が下部温度よりも低くなる時点を推定し、
前記第1温度は、前記第2温度よりも低く、
前記第2温度は、前記第1発酵基準温度よりも低いか同じであることを特徴とする、請求項1に記載のヨーグルト発酵器。
【請求項4】
前記ヘッド部または前記結合部には、外部温度を測定する外部温度センサーが取り付けられ;
前記制御部は、DB部をさらに含み、
前記DB部は、
前記発酵容器が位置する空間の温度を示す外気温度ごとに、前記温度センサーで測定された温度が、前記第1発酵基準温度に到達した時点から発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点までにかかる第2時間情報を含む第2時間データをさらに含み、
前記制御部は、前記外部温度センサーから外気温度を測定し、前記測定された外気温度と前記第2時間データとをマッチングさせて第2時間値を導出することにより、発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点を推定することを特徴とする、請求項1に記載のヨーグルト発酵器。
【請求項5】
前記制御部は、
前記温度センサーで測定された温度が、前記第1発酵基準温度に到達した時点から特定の時間経過した時点を発酵物質の上部温度が下部温度よりも低くなる時点として推定し、
前記特定の時間は、前記発酵容器が位置する空間の温度を示す外気温度ごとに、前記温度センサーの測定温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から発酵物質の上部温度が下部温度よりも低くなる時点までの時間を測定して平均した時間として予め定められた時間であることを特徴とする、請求項1に記載のヨーグルト発酵器。
【請求項6】
前記制御部は、DB部をさらに含み、
前記DB部は、
前記発酵容器が位置する空間の温度を示す外気温度ごとに、前記温度センサーで測定された温度が、予め定められた第1温度から予め定められた第2温度まで上昇するのにかかる第1時間情報を含む第1時間データを含み、
記外気温度ごとに、うまく発酵しながらも、前記発熱棒に焦げ付くことのない第2発熱量情報を含む第2発熱量データをさらに含み、
前記制御部は、前記温度センサーで測定された温度が前記第1温度から前記第2温度まで上昇するのにかかる時間を測定した後、前記第1時間データとマッチングさせることにより外気温度を推定し、前記推定された外気温度と記第2発熱量データとをマッチングさせて第2発熱量値を導出し、
前記第1温度は、前記第2温度よりも低いことを特徴とする、請求項1に記載のヨーグルト発酵器。
【請求項7】
前記ヘッド部または前記結合部には、外部温度を測定する外部温度センサーが取り付けられ;
前記制御部は、DB部をさらに含み、
前記DB部は、
前記発酵容器が位置する空間の温度を示す外気温度ごとに、うまく発酵しながらも前記発熱棒に焦げ付くことのない第2発熱量情報を含む第2発熱量データを含み、
前記制御部は、外部温度センサーから前記外気温度を測定し、前記測定された外気温度と前記第2発熱量データとをマッチングさせることにより、第2発熱量値を導出することを特徴とする、請求項1に記載のヨーグルト発酵器。
【請求項8】
発酵容器の下部に熱を供給する発熱体と、前記発酵容器の上部温度をリアルタイムで測定する温度センサーとを含むヨーグルト発酵器の自動温度制御方法であって、
a)前記温度センサーで測定した温度が、予め定められた第1発酵基準温度以下である場合には、前記発熱体が、予め定められた第1発熱量を供給するように制御するステップと、
b)前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から、前記温度センサーで測定された温度に基づいて発酵物質の温度を、前記第1発酵基準温度よりも高くし、予め定められた第2発酵基準温度を目標値に収束して維持するように前記発熱体の発熱量を制御するステップと、
c)その後、発酵物質の上部温度が発酵物質の下部温度よりも低くなって上部と下部の温度が逆転する時点よりも、予め定められた余裕時間だけ先立った時点から前記第1発熱量の半分以下の大きさを有する第2発熱量を前記発熱体が供給するように制御するステップと;を含み、
前記余裕時間は、前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点までの時間よりも小さいことを特徴とする、ヨーグルト発酵器の自動温度制御方法。
【請求項9】
前記ヨーグルト発酵器は、
前記発酵容器が位置する空間の温度を示す外気温度ごとに、前記温度センサーで測定された温度が、予め定められた第1温度から、予め定められ且つ前記第1発酵基準温度よりも低いか同じ第2温度まで上昇するのにかかる第1時間情報を含む第1時間データを含むDB部をさらに含み、
前記ステップa)の途中で、
前記温度センサーで測定された温度が前記第1温度から第2温度まで上昇するのにかかる時間を測定した後、前記第1時間データとマッチングさせることにより外気温度を推定するか、或いはヨーグルト発酵器に取り付けられる外部温度センサーから外気温度を測定するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載のヨーグルト発酵器の自動温度制御方法。
【請求項10】
前記DB部は、前記発酵容器が位置する空間の温度を示す外気温度ごとに、前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から、発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点までの第2時間情報を含む第2時間データをさらに含み、
ステップc)の前に、
前記推定または測定された外気温度と前記第2時間データとをマッチングさせて第2時間値を導出することにより、発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点を推定するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のヨーグルト発酵器の自動温度制御方法。
【請求項11】
前記DB部は、前記外気温度ごとに、マッチングされ、予め定められる第2発熱量情報を含む第2発熱量データをさらに含み、
前記推定または測定された外気温度と前記第2発熱量データとをマッチングさせて前記第2発熱量値を導出するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のヨーグルト発酵器の自動温度制御方法。
【請求項12】
ステップc)の前に、
前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から特定の時間経過した時点を、発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点として推定するステップをさらに含み、
前記特定の時間は、前記発酵容器が位置する空間の温度を示す外気温度ごとに、前記温度センサーの測定温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点までの時間を測定して平均した時間として予め定められた時間であることを特徴とする、請求項8に記載のヨーグルト発酵器の自動温度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳容器に直接結合され、牛乳をヨーグルトに発酵させるヨーグルト発酵器、及びヨーグルトの最適発酵のためのヨーグルト発酵器の自動温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳をヨーグルトに発酵させるには、牛乳にヨーグルト種菌を混合して牛乳混合物を作った後、発酵適温を維持しなければならない。冷蔵庫から取り出した牛乳を発酵適温まで加熱し、発酵適温を維持して低流動性ないし非流動性のヨーグルトを作るのに通常8時間がかかる。このような作業を行う従来のヨーグルト発酵器は、牛乳にヨーグルト種菌を混ぜた後、10余個の発酵用カップに分けて注ぎ、加温用ハウジングに静置する構造を持つ。しかし、このような方法の従来のヨーグルト発酵器は、加温用ハウジングの大きさのため、発酵器の保管及び使用時に多くのスペースを占める。また、牛乳混合物を、個別発酵用カップに分けて注がなければならないという不便さがあり、完成したヨーグルト入りの発酵用カップを10余個冷蔵保管しなければならないという煩わしさも伴う。もちろん、ヨーグルトを食べるたびに発酵用カップを洗浄しなければならないなどの後処理も不便である。
【0003】
これにより、本発明の発明者は、通常の牛乳容器に着脱式に結合可能なヨーグルト発酵器を発明し、特許登録を受けたことがある(韓国特許第10-1521699号)。そして、本発明の発明者は、発明したヨーグルト発酵器でヨーグルトの最適発酵のために自動的に温度を制御する方法を講ずることになった。
【0004】
図1は従来のヨーグルト発酵器における温度制御方法を示すグラフである。図1を参照すると、従来のヨーグルト発酵器の温度制御方法は、温度センサーが測定した牛乳混合物の温度を数段階に区分し、牛乳混合物の温度が上昇するにつれて発熱量を段階的に減らす段階別温度制御方式である。例えば、図1に示すように、牛乳混合物の温度が35℃以下である場合には40W(Watt)の発熱量、牛乳混合物の温度が35~40℃の間である場合には30Wの発熱量、牛乳混合物の温度が40~42℃の間である場合には15Wの発熱量、牛乳混合物の温度が42℃以上である場合には5Wの発熱量をそれぞれ発生させ、牛乳混合物の温度が45℃以上である場合には発熱を遮断する方法である。ヨーグルト発酵器に設けられるコントロールパネルなどを介して発酵時間を設定すると、設定され全体発酵時間の間、発熱体が上述の方法で駆動され、設定された発酵時間が経過すると発熱体が発熱を停止する。
【0005】
しかし、このような温度制御方法を適用する場合、牛乳混合物が燃えるか、或いはタンパク質が硬く固まって発熱部に焦げ付くなどの問題が発生することを確認することができた。牛乳容器は、上下の高さが幅に比べて大きく、従来のヨーグルト発酵器の発熱部が牛乳容器の下部に位置するので、発酵が進むにつれて牛乳混合物の流動性が次第に低下することにより、牛乳混合物入りの発酵容器の上部と下部の温度偏差が大きくなり、発熱部の表面温度が牛乳混合物の変性温度以上に上昇するからである。特に牛乳容器の外部気温が低いほど発熱量が多くなるため、このような現象はさらに激しくなる。このため、十分な発熱量を供給して発酵をよく起こしながらも牛乳混合物が発熱部に焦げ付かない温度制御方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、季節や地域に応じた外気温度の変化に関係なく、ヨーグルトが最適の状態に発酵しながらも、発熱部に牛乳混合物が燃えるか或いはタンパク質が凝固してくっ付くことが生じないようにするヨーグルト発酵器、及びヨーグルト発酵器の温度制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ヘッド部と;前記ヘッド部の下側に設けられ、発酵容器の入口部に結合される結合部と;前記ヘッド部の下面に結合され、下方に延設されて前記発酵容器の内部に位置するもので、下部には発熱体が内蔵されて前記発酵容器の下部に位置し、上部には温度センサーが内蔵されて前記発酵容器の上部に位置する発熱棒と;前記温度センサーで測定された温度に基づいて、予め定められた制御ロジックに従って前記発熱体の発熱量を制御する制御部と;を含み、前記制御部は、i)前記温度センサーで測定された温度が、予め定められた第1発酵基準温度以下である場合には、前記発熱体が、予め定められた第1発熱量を供給するように制御し、ii)前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から、前記温度センサーで測定された温度に基づいて、発酵物質の温度を、予め定められた第2発酵基準温度を目標値に収束して維持するように前記発熱体の発熱量を制御し、iii)その後、発酵物質の上部温度が発酵物質の下部温度よりも低くなって上部と下部の温度が逆転する時点よりも、予め定められた余裕時間だけ先立った時点から前記第1発熱量の半分以下の大きさを有する第2発熱量を前記発熱体が供給するように制御し、前記第1発酵基準温度は、前記第2発酵基準温度よりも低く、前記余裕時間は、前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点までの時間よりも小さいことを特徴とする、ヨーグルト発酵器が提供できる。
【0008】
本発明の他の態様によれば、内部に発酵物質を貯蔵し、下部には発熱体が内蔵され、側上部には温度センサーが内蔵される本体部と;前記温度センサーで測定された温度に基づいて、予め定められた制御ロジックに従って前記発熱体の発熱量を制御する制御部と;を含み、前記制御部は、i)前記温度センサーで測定された温度が、予め定められた第1発酵基準温度以下である場合には、前記発熱体が、予め定められた第1発熱量を供給するように制御し、ii)前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から、前記温度センサーで測定された温度に基づいて、発酵物質の温度を、予め定められた第2発酵基準温度を目標値に収束して維持するように前記発熱体の発熱量を制御し、iii)その後、発酵物質の上部温度が発酵物質の下部温度よりも低くなって上部と下部の温度が逆転する時点よりも、予め定められた余裕時間だけ先立った時点から前記第1発熱量の半分以下の大きさを有する第2発熱量を前記発熱体が供給するように制御し、前記第1発酵基準温度は、前記第2発酵基準温度よりも低く、前記余裕時間は、前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点までの時間よりも小さいことを特徴とする、ヨーグルト発酵器が提供できる。
【0009】
本発明の別の態様によれば、発酵容器の下部に熱を供給する発熱体と、前記発酵容器の上部温度をリアルタイムで測定する温度センサーとを含むヨーグルト発酵器の自動温度制御方法であって、a)前記温度センサーで測定した温度が、予め定められた第1発酵基準温度以下である場合には、前記発熱体が、予め定められた第1発熱量を供給するように制御するステップと、b)前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から、前記温度センサーで測定された温度に基づいて発酵物質の温度を、前記第1発酵基準温度よりも高くし、予め定められた第2発酵基準温度を目標値に収束して維持するように前記発熱体の発熱量を制御するステップと、c)その後、発酵物質の上部温度が発酵物質の下部温度よりも低くなって上部と下部の温度が逆転する時点よりも、予め定められた余裕時間だけ先立った時点から前記第1発熱量の半分以下の大きさを有する第2発熱量を前記発熱体が供給するように制御するステップと;を含み、前記余裕時間は、前記温度センサーで測定された温度が前記第1発酵基準温度に到達した時点から発酵物質の上部温度が下部温度より低くなる時点までの時間よりも小さいことを特徴とする、ヨーグルト発酵器の自動温度制御方法が提供できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態に係るヨーグルト発酵器及びヨーグルト発酵器の自動温度制御方法によれば、制御部で、予め格納された情報を用いて、発酵容器に入った発酵物質の上部と下部の温度が逆転する上下部温度逆転時点を推定して、予め発熱体の発熱量を下げることにより、発酵物質が発熱部に焦げ付かず安定的に発酵することができる。さらに発酵物質の温度が一定の区間に上る時間を測定することにより、これを基に外気温度を推定して、発熱量を下げるレベルを決定することができる。これにより、外気温度が季節または地域によって異なっても、均一な発酵結果を得ることができ、発熱部も通常のたわしで簡単に洗浄することができるため、ユーザーが便利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来のヨーグルト発酵器における温度制御方法を示すグラフである。
【0012】
図2】本発明の一実施形態によるヨーグルト発酵器の斜視図である。
【0013】
図3図2のヨーグルト発酵器が牛乳容器に結合された形態を概略的に示す図である。
【0014】
図4図2のヨーグルト発酵器の横断面図である。
【0015】
図5】本発明の他の実施形態によるヨーグルト発酵器の横断面図である。
【0016】
図6図2のヨーグルト発酵器で比例制御を利用する方法によって発酵が行われる間、温度センサーの測定温度に基づいて決定される発熱体の発熱量の変化を示すグラフである。
【0017】
図7図2のヨーグルト発酵器で比例制御を利用する方法によって発酵が行われる間、時間に応じて変化する発熱体の発熱量の変化を示すグラフである。
【0018】
図8図2のヨーグルト発酵器で比例制御を利用する方法によって発酵が行われる間、発酵物質の上部及び下部の温度と、発熱部の表面温度の変化を示すグラフである。
【0019】
図9図2のヨーグルト発酵器で本発明に係る温度制御方法によって発酵が行われる間、時間による発熱体の発熱量の変化を示すグラフである。
【0020】
図10図2のヨーグルト発酵器で比例制御を利用する方法によって発酵が行われる間、発酵物質の上部及び下部の温度と、温度センサーの測定温度の変化を示すグラフである。
【0021】
図11】本発明の一実施形態によるヨーグルト発酵器の自動温度制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。下記の説明は、本発明を具体的な例示を挙げて記述するものと理解されるべきであり、本発明の技術的思想が下記の説明に限定されるものではない。そして、添付図面は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、本発明の技術的思想は、添付図面に限定されない。また、図面において、各部材の厚さや大きさなどは、説明の便宜などのために誇張、省略、または概略的に示されることがある。
【0023】
本明細書に記載された本発明の構造についての説明で位置関係や方向は、特に言及しない限り、本明細書に添付された図面を基準とする。
【0024】
本明細書に記載された本発明の構造についての説明において、空間に対する説明や位置関係に対する説明は、本発明を構成する構成要素間の相対的な位置を意味する。また、特に言及しない限り、一つの構成要素と他の構成要素との間の空間には別の構成要素が存在することがある。例えば、本明細書において、一つの構成要素の「上部」または「上」に他の構成要素が位置することを言及する場合、一つの構成要素のすぐ上に他の構成要素が位置する場合だけでなく、一つの構成要素と他の構成要素との間に別の構成要素が位置する場合も含む。
【0025】
図2は本発明の一実施形態によるヨーグルト発酵器100の斜視図、図3はヨーグルト発酵器100が牛乳容器に結合された形態を概略的に示す図、図4はヨーグルト発酵器100の断面図である。
【0026】
図2乃至図4を参照すると、ヨーグルト発酵器100は、ヘッド部110、結合部120、発熱棒130及び制御部140(図4)を含む。ヘッド部110は、発熱棒130の内部に位置する発熱体132を制御するための制御部140を内蔵し、ユーザーにヨーグルト発酵器100を動作させるためのユーザーインターフェース(USER INTERFACE)を提供する。結合部120は、ヘッド部110の下側に設けられ、ヘッド部110を発酵容器の入口部に結合させる。発熱棒130は、ヘッド部110の下面に結合され、発酵容器の内部に位置して発酵のための熱を供給する。各構成についての具体的な説明は後述する。
【0027】
一般に、牛乳は、HDPE(High Density Polyethylene)材質のボトル形状の牛乳容器或いはカートンパック(Carton Pack)に入れられて市中に流通する。ボトル形状の牛乳容器は、1リットル、1.8リットル、2.3リットルの容量を持つのが一般的であるが、牛乳容器の入口及び蓋の規格が牛乳のブランドや容量の区別なく類似であるため、蓋を互換して使用することができる。ヨーグルト発酵器100は、結合部120が牛乳容器の蓋10b(図3)の代わりに牛乳容器の入口に締結できるので、ヨーグルト発酵器100は、容量1リットル、1.8リットル、2.3リットルの牛乳容器のすべてに使用できる。具体的には、ヨーグルト発酵器100は、市中に流通する牛乳容器を発酵容器として使用することができる。例えば、図3に示すように、牛乳容器10の蓋10bを除去し、ヨーグルト種菌を投入して混合する。次いで、ヨーグルト発酵器100の発熱棒130を牛乳容器10の内部に進入させた後、結合部120を牛乳容器10の入口部10aに結合させることにより、ヨーグルト発酵器100を牛乳容器10に結合させて使用することができる。以下、ヨーグルト種菌が混合された牛乳を「発酵物質」と称し、牛乳容器10を「発酵容器」10と称する。
【0028】
次に、ヨーグルト発酵器100の各構成について具体的に説明する。
【0029】
ヘッド部110は、ヨーグルト発酵器100の最上部に位置する。これにより、ヘッド部110は、ヨーグルト発酵器100が発酵容器10に結合されたとき、発酵容器10の入口部10aを閉鎖する。ヘッド部110の下側には結合部120が設けられる。結合部120は、ヘッド部110を発酵容器10の入口部10aと結合させる。ヘッド部110の下面には発熱棒130が結合される。ヘッド部110は制御部140を内蔵する。制御部140は発熱体132の発熱量を制御する。ヘッド部110は、本明細書の添付図面に図示された形状以外にも様々な形状を有するように形成できる。ただし、ヘッド部110は、ユーザーが手で把持することが容易であり、発酵容器10の入口部10aに相応する形状及び大きさを有することがより好ましい。ヘッド部110の側部には電源コード112が接続できる。電源コード112は、外部電源をヨーグルト発酵器100に供給することができる。本明細書の添付図面では、電源コード112がヘッド部110に固定式で結合された形態を示しているが、着脱式に形成されてもよい。または、電源コード112が省略され、バッテリー(battery)によって電源を供給してもよい。
【0030】
ヘッド部110の上端にはコントロールパネル111が設けられ得る。コントロールパネル111は、ヨーグルト発酵器100を動作させることができるユーザーインターフェース(USER INTERFACE)を提供する。コントロールパネル111は、ボタン式、タッチ式などの様々な入力方法を持つことができる。一実施形態において、コントロールパネル111は作動ボタン111a、時間調節ボタン111bを含む。作動ボタン111aは、ヨーグルト発酵器100の作動を開始または中断させる。時間調節ボタン111bは、ユーザーが発酵時間を増減することができるようにする。例えば発酵時間を8時間に設定する場合、低流動性ないし非流動性ヨーグルトを製造することができ、個人的な好みに応じて発酵時間を増減することができる。コントロールパネル111は、発酵経過時間または残余時間などを表示するためのディスプレイ(図示せず)をさらに含むことができる。もちろん、ディスプレイには、それ以外の情報(例えば、外部温度など)も表示できる。上述した内容以外にも、コントロールパネル111は、ヨーグルト発酵器100の状態(電源のOn/Off状態など)を表示する表示灯(図示せず)をさらに含むことができる。
【0031】
結合部120は、ヘッド部110の下側に設けられ、発酵容器10の入口部10aに結合される。結合部120が発酵容器10の入口部10aに結合されることにより、入口部10aがヘッド部110によって閉鎖される形態を有する。このため、結合部120は、内側に、発酵容器10の入口部10aの側部に形成されるねじ山に対応するねじ溝を有するように形成できる。
【0032】
一実施形態において、結合部120は、ヘッド部110に固定される方法で形成できる。結合部120は、ヘッド部110と一体に結合されて一緒に回転してもよく、場合によってはヘッド部110とは別に回転するように結合してもよい。すなわち、結合部120が発酵容器10の入口部10aに結合されるために回転しても、ヘッド部110と発熱棒130は回転しないことがある。この場合、ヘッド部110に設けられる電源コード112が結合部120の回転に応じて一緒に回転しないので、電源コード112がねじれないという利点がある。
【0033】
他の実施形態において、結合部120は、ヘッド部110に着脱可能な方法で形成されてもよい。この場合、様々な形状及び大きさに形成される入口部10aを有する発酵容器10に対して、これに適した結合部120で交換しながら使用することができる。
【0034】
一方、本発明の実施形態に係るヨーグルト発酵器100において、結合部120は、本発明の発明者が出願して登録を受けた韓国特許第10-1521699号公報に記載されている「発酵器締結部」、「着脱式締結部」または「回転部及び着脱式締結部」と同一または類似に構成でき、これについての重複説明は省略する。
【0035】
一方、ヘッド部110または結合部120には、外気温度を測定する外気温度センサー(図示せず)が装着できる。ここで、外気温度は発酵容器10の周囲温度を意味する。
【0036】
結合部120が発酵容器10の入口部10aに結合されたとき、発熱棒130は、発酵容器10の内部に位置し、具体的には発酵物質に挿入される。発熱棒130は、下部に発熱体132を内蔵しており、発酵物質に直接熱を供給して発酵物質を発酵させる。
【0037】
発熱棒130はケース131、発熱体132及び温度センサー135を含む。ケース131は発熱棒130の外形をなす。ケース131は発熱体132と温度センサー135を内蔵する。ケース131は、内蔵された発熱体132から供給される熱を外部の発酵物質に伝達することができるように熱伝達率の高い素材で形成できる。さらに、ケース131は発酵物質に直接挿入されるので、ケース131は耐熱性、耐食性、耐薬品性に優れた性質を持つことができる。例えば、ケース131は金属素材(例えば、ステンレス鋼)で形成できる。
【0038】
一実施形態において、ケース131は、ヘッド部110の下面に上端が結合され、下方に延設される棒またはロッドの形状を持つことができる。ケース131は、ヘッド部110の下面の中央付近に結合できる。ケース131の長さは、発酵容器10の長さと相応することができる。より具体的には、ヨーグルト発酵器100が発酵容器10に結合されたとき、発熱棒130のケース131の下端が発酵容器10の下端に近接して位置するようにすることができる。例えば、ケース131の下端は発酵容器10の下端から略2cmほどに近接して位置することができる。
【0039】
発熱体132は、ケース131に内蔵され、より具体的にはケース131の下部に内蔵される。ここで、ケース131の下部は、図4に表記されたb区間のようにケース131の中央部を基準に下側区間(ケースの下端から上方向に1/2地点の付近)を意味する。発熱体132は、ヘッド部110に内蔵された制御部140から電力供給を受けることができ、制御部140の制御に基づいて発熱量が制御できる。
【0040】
一方、発熱棒130は、発熱体132の上部に配置される絶縁部134をさらに含むことができる。絶縁部134は、発熱体132の上部を熱的に密閉させて、発熱体132が発熱するときにヘッド部110、制御部140、温度センサー135などに影響が及ばないようにすることができる。
【0041】
温度センサー135は、ケース131に内蔵され、より具体的にはケース131の上部に内蔵される。ここで、ケース131の上部は、図4に表記されたa区間のようにケース131の中央部を基準に上側区間を意味する。発酵容器10において発酵が進むと、発熱体132から直接熱の伝達を受ける発酵物質の下部、及び発熱体132から間接的に熱の伝達を受ける発酵物質の上部における温度変化が現れる。このとき、温度センサー135は発酵物質の上部温度を測定する。
【0042】
制御部140はヘッド部110に内蔵される。制御部140はヨーグルト発酵器100の動作を制御する。具体的には、制御部140は、温度センサー135で測定された温度に基づいて、予め定められた制御ロジックに従って発熱体132の発熱強度及び発熱時間を制御することにより、発熱体132の発熱量を調節することができる。また、前述したコントロールパネル111に接続され、コントロールパネル111を用いたユーザーの操作に対応してヨーグルト発酵器100の動作を制御する。
【0043】
制御部140は、DB部(図示せず)をさらに含むことができる。DB部は、制御部140が発熱量を制御するために予め格納された情報を含む。制御部140は、DB部に格納された情報と温度センサー135で測定された温度情報に基づいて発熱量を制御するための制御信号を生成することができる。前記情報の例としては、特定の温度に上昇するのにかかる時間データを含む時間情報や、特定の現象が発生する時間データを含む時間情報などがあり、これについては具体的に後述する。
【0044】
一方、図示してはいないが、ヨーグルト発酵器100は、ヨーグルト発酵器100を保管するための保護ケース(図示せず)をさらに含むことができる。一実施形態において、保護ケースは、結合部120の下部に結合され、発熱棒130を内側に収容する形でヨーグルト発酵器100を保管することができる。このために、保護ケースの上側には、結合部120の内周面のねじ山と対応するねじ山が形成できる。保護ケースの形状は、特定されず、例えば円柱状、多角柱状を有することができる。また、本発明に係るヨーグルト発酵器100は、市中に流通する牛乳容器に直接結合されて牛乳混合物を発酵させることができるという点で利便性を持つが、必ずしもこのように使用されるべきではない。ヨーグルト発酵器100の結合部120と結合可能な別の専用発酵容器を備えて使用することも可能である。
【0045】
図5は本発明の他の実施形態によるヨーグルト発酵器200の正面横断面図である。本発明の他の実施形態によれば、ヨーグルト発酵器200は本体部210及び制御部230を含む。
【0046】
本体部210は、ヨーグルト発酵器200の外形をなす。本体部210は、発酵物質11を収容することができるように内部空間を持つ。一実施形態において、本体部210は、上部が開放された箱形に形成でき、本体部210の上部には、本体部210を開閉可能な蓋211が設けられてもよい。図示してはいないが、本体部210の側面にはコントロールパネルが設けられてもよい。コントロールパネルは、ヨーグルト発酵器200を動作させることができるユーザーインターフェースを提供する。コントロールパネルは、前述した実施形態の場合と同一または類似であるので、重複説明は省略する。同様に図示してはいないが、本体部210の側面には、外部電源を供給するための電源コードが接続できる。
【0047】
本体部210の下部には発熱体220が内蔵される。発熱体220は、本体部210に貯蔵された発酵物質11に熱を供給する。このために、本体部210は、発熱体220から供給される熱を内部の発酵物質に伝達することができるように熱伝達率の高い素材で形成できる。例えば、本体部210は金属素材(例えばステンレス鋼)で形成できる。
【0048】
本体部210の側上部には温度センサー221が内蔵される。温度センサー221は、本体部210の高さの中央付近を基準に上側区間に内蔵される。温度センサー221は発酵物質11の上部温度を測定する。本実施形態における温度センサー221は、前述した実施形態における温度センサー135と同一または類似であり得る。
【0049】
本体部210は制御部230を内蔵する。制御部230は、発熱体220と電気的に接続され、発熱体220に電力を供給するだけでなく、発熱体220の発熱強さ及び発熱時間を制御することにより、発熱体220の発熱量を調節する。また、制御部230は、コントロールパネルに接続され、コントロールパネルを用いたユーザーの操作に対応してヨーグルト発酵器200の動作を制御する。
【0050】
制御部230は、温度センサー221で測定された温度に基づいて、予め定められた制御ロジックに従って発熱体220の発熱量を制御する。本実施形態における制御部230は、機能的に、前述した実施形態における制御部140と同一または類似であり得るので、重複説明は省略する。
【0051】
以下、本発明に係るヨーグルト発酵器における制御部の自動温度制御方法について具体的に説明する。本発明に係る自動温度制御方法は、前述した実施形態に該当するヨーグルト発酵器の制御部を用いて行われ得る。
【0052】
本発明に係る自動温度制御方法は、最大発熱量で発酵物質の温度を上昇させるステップ、発酵物質の温度を一定の温度範囲に維持するステップと、適切な時点で発熱量を減らすステップとから構成される。発酵物質の温度を上昇させるステップでは、発酵物質が焦げ付かない範囲で最大発熱量で発酵物質の温度をできる限り迅速に上昇させて発酵適温に近くする。発酵物質の温度を発酵適温の範囲に維持するステップでは、オン・オフ(on-off)制御、段階(stepwise)制御、比例(P)制御、比例積分(PI)制御、比例微分(PD)制御、比例微積分(PID)制御などのさまざまな方法が使用できる。しかし、いずれの温度制御方法を使用しても、一つの制御方法を適用し続けて発酵物質の温度を維持しようとすると、従来では、発熱部に発熱量が累積しながら発熱部に発酵物質が焦げ付く現象が生じた。このような現象は、発酵物質が焦げ付き始める前の適切な時点で発熱量を最大発熱量の1/2以下に減少させることにより防止することができる。以下、実現が比較的簡単で説明が容易な比例制御を利用する方法に基づいて、本発明の自動温度制御方法について説明する。
【0053】
本発明に係る自動温度制御方法の説明に先立ち、発酵物質の温度に一つの制御方法のみ、さらに具体的には比例制御を利用する方法のみを適用してヨーグルトを発酵させるときに現れる発酵物質の上部と下部における温度変化について説明する。つまり、発酵開始の後、最初には一定の発熱量を提供し、温度センサーで測定した発酵物質の温度(「温度センサーの測定温度」という。)が第1発酵基準温度(T1)に達した後には、発酵時間が完了するまで第2発酵基準温度(T2)を基準に比例制御方法を利用して温度を制御する方法である。比例制御によって温度を制御すると、従来の段階別温度制御方法に比べて発熱量の反応が速くて連続的であるため、発酵物質の温度変化の範囲を狭めてさらに安定的な発酵を誘導することができるという利点がある。
【0054】
図6は比例制御を利用する方法によって発酵が行われる間、温度センサーの測定温度に基づいて決定される発熱体132の発熱量の変化を示すグラフであり、図7は比例制御を利用する方法によって発酵が行われる間、時間に応じて変化する発熱体132の発熱量の変化を示すグラフであり、図8は比例制御を利用する方法によって発酵が行われる間の発酵物質の上部及び発酵物質の下部と、発熱部133の表面温度の変化を示すグラフである。発酵物質の上部温度とは、発酵物質の上部半分の平均温度であって、およそ温度センサーが位置した高さにおける発熱棒130と発酵容器10の外郭部との中間程度の距離で測定した温度であり、発酵物質の下部温度とは、発酵物質の下部半分の平均温度であって、およそ発熱体132が位置した高さにおける発熱棒130と発酵容器10の外郭部との中間程度の距離で測定した温度である。そして、本発明に係るヨーグルト発酵器における温度センサー135は発酵容器10の上部に位置するので、「温度センサーの測定温度」とは、発酵物質の上部温度を温度センサー135で測定した温度を意味する。
【0055】
図6を参照すると、X軸は温度センサーの測定温度(℃)を示し、Y軸は発熱量(W、watt)を示す。比例制御を利用する方法によれば、1)温度センサーの測定温度が、予め定められた第1発酵基準温度(T1)以下である場合には、発熱体132が、予め定められた第1発熱量(図6において、W1と表記)を一定に供給するように制御し、2)温度センサーの測定温度が、予め定められた第1発酵基準温度(T1)を超える場合、及び予め定められた第2発酵基準温度(T2)未満である場合には、発熱体132が第2発酵基準温度(T2)を基準に温度差の程度に応じて比例的に発熱量を下げて供給するように比例制御し、3)温度センサーの測定温度が第2発酵基準温度(T2)以上である場合には、最小発熱量(図6において、Wminと表記)を一定に供給するように制御することができる。最小発熱量(Wmin)を0に設定する場合には、温度センサーの測定温度が第2発酵基準温度(T2)以上に上がると、発熱を遮断する。
【0056】
比例制御を利用する方法を図7を参照して説明すると、X軸は発酵開始からの経過時間(分)を示し、Y軸は発熱量(W、watt)を示す。比例制御を利用する方法によれば、温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)以下である場合には、第1発熱量(図7において、W1と表記)を供給するように制御する。温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)を超える場合には、温度センサーの測定温度と第2発酵基準温度(T2)との差に比例して発熱量を供給し、これにより、発熱量は第1発熱量(W1)と最小発熱量(Wmin)との間で変動する。
【0057】
このように比例制御を利用する方法を用いてヨーグルトを発酵させると、図8のようなグラフの様相が現れる。図8を参照すると、X軸は発酵開始からの経過時間(分)を示し、Y軸は温度(℃)を示す。そして、実線は発酵物質の上部温度の変化(1)、一点鎖線は発酵物質の下部温度の変化(2)、破線は発熱部133(図4)の表面温度の変化(3)を示す。発酵物質の温度が低い発酵初期(図8において、区間Aと表記)には、第1発熱量W1が均一に供給されることにより、発酵物質の上部と下部が類似の速度で昇温する。発酵物質の温度が上昇して温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)に到達すると、以後発酵中期(図8において、区間Bと表記する)の間に発熱量が第1発熱量(W1)と最小発熱量(Wmin)の範囲内で増減しながら発酵物質の温度上昇が鈍くなり、発酵物質の温度が狭い範囲で維持される時間が続く。発酵初期(A)ないし発酵中期(B)では、発酵物質が流動性を有し、発酵容器10の下部の発熱体132の周りにあった発酵物質が暖かくなることにより、発酵容器10の上部に対流が盛んに起こる。これにより、発酵物質の上部が下部に比べて相対的に高い温度に維持される。この区間では、発熱体132が発酵物質の対流によって熱を多く奪われ、発熱部133の表面温度が高く上がらず、発酵物質が発熱部133に焦げ付く現象も生じない。
【0058】
しかし、発酵が進むにつれて発酵物質の流動性が次第に低くなり、発酵末期(図8において、区間Cと表記)になると、発酵物質が低流動または非流動状態になって熱による対流が起こり難くなり、発酵物質を通じた伝導によって一部の熱のみ制限的に発酵容器10の上部に伝達される。これにより、温度センサー135がある発酵容器10の上部は、熱の供給が相対的に減少しながら、発酵物質の上部温度が徐々に降下する。そして、発熱体132が位置した発酵容器10の下部は、発熱部133を中心に熱が累積して発酵物質の下部温度が相対的に速く上昇し、その結果、発酵物質の上部と下部の温度が逆転する現象(図8において、X時点で発生)が現れる。以後、発酵物質の上部と下部の温度差は、発酵末期(C)に時間が経つほど次第に大きくなって発酵初期及び中期に比べてより大きくなる。
【0059】
ここで注目すべき部分は、発酵物質の上部と下部の温度が逆転する時点(X、「上下部温度逆転時点」という。)の約30分前から発熱部133の表面温度が急激に上昇し、この時点を前後にして発熱部133の表面に発酵物質が焦げ付き始めるものと推定されるということである。特に、発酵末期(C)には、発酵物質の上部温度の降下によって温度センサー135の測定温度が低くなり、発熱体132は発熱量を増やし続け、発酵物質を通じた熱伝導が制限的に起こるので、発熱量が発熱部133の近くに累積する。これにより、発熱部133の表面温度が高く上がり、発酵物質が発熱部133に焦げ付く現象が発生する。このように発熱部133に焦げ付く発酵物質は、追って発熱部133を研磨性たわしで研磨すればこそ除去できるので、ヨーグルト発酵器の使用に煩わしさをもたらす。
【0060】
もし発酵末期(C)に発酵物質が発熱部133に焦げ付く現象を防止するために、第1発酵基準温度(T1)と第2発酵基準温度(T2)を下げると、発酵初期ないし発酵中期に十分な熱が供給されないため、発酵物質が十分に発酵されないこともある。したがって、比例制御を利用する方法によれば、発熱部133に発酵物質が焦げ付くのを防止するのが難しい。
【0061】
さらに比例制御を利用する方法を用いて発酵物質を発酵させる場合、発酵容器10の外部の気温も発酵の様相に影響を及ぼす。発酵容器10の外気温度が低いほど発酵容器から外部に抜け出す熱量も多くなり、それにより発酵初期(A)の発酵物質の上部と下部の両方とも温度上昇速度が遅くなり、温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)に到達する時間(図8において、区間Aの長さ)も長くなる。このような現象は、発酵初期(A)の間に外気温度と関係なく発熱量が第1発熱量(W1)と一定であるために現れる現象と把握される。この区間で発酵物質の上部温度が下部温度よりも高く維持される様相は持続される。温度センサーの測定温度が一旦第1発酵基準温度(T1)に到達すると、発酵物質の上部と下部の温度は、外気温度に関係なく一定の範囲で安定し、温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)に到達する以後から上下部温度逆転時点(X)までの時間も、外気温度に大きく影響されないと把握される。これは、外気温度が低ければ、温度制御によって平均的な発熱量をさらに増やすためであると考えられる。結果的には、外気温度が低いほど発酵開始以後から上下部温度逆転時点(X)までの時間はさらに長くなる。上下部温度逆転時点(X)以後の発酵末期(C)には、外気温度が低いほど発酵物質の上部と下部の温度が上昇する速度は遅くなり、降下する速度は速くなる。具体的には、発酵末期(C)中に外気温度が低いほど発酵容器10の上部温度がより速く下がり、温度センサーの測定温度が速く下がるにつれて、発熱量が第1発熱量に増加する時点に速く到達する。したがって、外気温度が低いほど発熱部133に発酵物質が焦げ付く程度はさらに激しくなる。
【0062】
以上では、比例制御を利用する方法によって発酵物質の温度を制御する場合を基準に発酵物質の上部温度と下部温度、発熱部133の表面温度が変わる過程を説明したが、その原理に照らしてみると、発酵物質の温度をオンオフ制御、段階別制御、比例制御、比例微分制御、比例積分制御、比例微積分制御などのいずれの方法を使用して制御しても、一つの制御方法のみ適用し続けると、発酵物質の上部温度と下部温度、発熱部133の表面温度が類似のパターンに変化し、発熱部133に発酵物質が焦げ付くのを避けることができないことが分かる。
【0063】
したがって、本発明の実施形態に係るヨーグルト発酵器では、かかる問題を解決するために、ヨーグルト発酵の過程を発酵ステップ1と発酵ステップ2の2つのステップに分け、制御部140で、予め保有した情報と温度センサー135で測定された温度に基づいて発熱体132の発熱量を制御するようにしたのである。ヨーグルトの最適発酵のためには、牛乳混合物を42℃前後の温度に維持しなければならないと知られている。そして、家庭用ヨーグルト発酵器は、通常8時間程度作動すると、ヨーグルトが作られるものと認識されている。以下では、このようなヨーグルト生成のための適正温度区間である41~42℃を「発酵適温区間」と称する。8時間内に最適なヨーグルトを生成するためには、発酵物質の温度をできるだけ速く上昇させた後、発酵適温区間に維持することが重要である。そして、別に記載がない限り、本発明についての以下の説明は1.8リットルの発酵容器を基準にする。
【0064】
次に、図9及び図10を参照して、本発明の実施形態に係るヨーグルト発酵器の温度制御方法を説明する。図9は本発明の実施形態に係るヨーグルト発酵器の温度制御方法によって発酵が行われる間、時間による発熱体132の発熱量の変化を示すグラフであり、図10は比例制御を利用する方法によって発酵が行われる間に発酵物質の上部及び発酵物質の下部温度と温度センサーの測定温度の変化を示すグラフである。図9のグラフにおいて、X軸は発酵開始からの経過時間(分)を示し、Y軸は発熱量(W、watt)を示す。
【0065】
図9を参照すると、発酵開始後、温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)に達する時点(図9図10において、Qと表記、「第1発酵基準温度到達時点」)までは、第1発熱量(図9において、W1と表記)を一定に供給するように制御し、以後、第1発酵基準温度到達時点(Q)から特定の時点(図9において、Rと表記、「温度制御切替時点」)までは、温度センサーの測定温度と第2発酵基準温度(T2)との差に比例して発熱量を供給するように比例制御し、温度制御切替時点(R)から発酵終了時点までは、第1発熱量(W1)の0~1/2のレベルで定められる第2発熱量(図9において、W2と表記)を一定に供給するように制御する。
【0066】
このような本発明の実施形態に係るヨーグルト発酵器の温度制御方法の原理を図10を参照して説明する。図10を参照すると、X軸は発酵開始からの経過時間(分)を示し、Y軸は温度(℃)を示す。そして、一点鎖線は発酵容器の上部温度の変化(1)、実線は発酵容器の下部温度の変化(2)、破線は温度センサーの測定温度の変化(3)をそれぞれ示す。
【0067】
まず、発酵初期(図8の区間A)に該当する温度制御ステップ1(図10に表記)について説明する。温度制御ステップ1は、図9及び図10において、発酵開始から第1発酵基準温度到達時点(Q)までの時間であって、さらに具体的には、温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)まで上昇する時間である。温度制御ステップ1の間は、第1発熱量(W1)を一定に供給するように制御し、図10に示すように、この区間で発酵物質の上部温度と下部温度、そして温度センサーの測定温度が上昇し続ける。この区間の間に発酵物質の上部温度が下部温度よりも高くなるのは、比例制御を利用する方法についての説明で考察した通りである。第1発熱量(W1)は、最適な発酵結果を得るために発熱体132が発し得る最大発熱量を意味する。一実施形態において、第1発熱量は20W~50Wであり得る。第1発熱量(W1)が上述の範囲未満である場合には、発酵物質の温度上昇が遅くなりながら発酵が正常に行われないことがあり、極端な場合には、発酵物質の温度が上昇しないこともある。第1発熱量(W1)が上述の範囲を超える場合には、発酵物質が発熱部に焦げ付くか或いは発熱体132においてオーバーシュート(overshooting)現象が現れて温度制御が困難になるおそれがある。オーバーシュート現象は、発熱体132が過熱され、電源が遮断されても発熱体132でしばらく発熱が続いて発酵物質の温度が上昇する現象である。さらに、あまり発熱量が高い場合には、ユーザーが火傷する事故の危険もある。第1発熱量(W1)の具体的な数値は、発酵容器の容量によって異なり得る。例えば、最も多く消費される1.8リットルの牛乳容器を発酵容器として使用する場合、第1発熱量は30Wが好ましい。
【0068】
次に、温度制御ステップ2(図10に表記)について説明する。図9及び図10において、第1発酵基準温度到達時点(Q)と温度制御切替時点(R)との間では、第2発酵基準温度(T2)を基準温度とした比例制御で発熱量が制御され、発酵物質の温度は、発酵適温区間に近く維持される。すなわち、温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)から第2発酵基準温度(T2)に上昇する間、発熱量は第2発酵基準温度(T2)と温度センサーの測定温度との差に比例して第1発熱量(W1)から最小発熱量(Wmin)に減少する。つまり、温度センサーの測定温度が上昇すると、それに比例して発熱体132の発熱量が低くなり、逆に温度センサーの測定温度が降下すると、それに比例して発熱体132の発熱量が高くなる方法である。温度センサーの測定温度が第2発酵基準温度(T2)であるときに、速い温度制御のために、最小発熱量(Wmin)は0であることが好ましい。温度制御ステップ2の間、温度センサーの測定温度は、第1発酵基準温度(T1)と第2発酵基準温度(T2)を含む一定の区間で増減を繰り返して、発酵物質の上部温度と下部温度はほぼ一定に維持される。また、この時間の間にも、発酵物質の上部温度が発酵物質の下部温度よりも高い状態を維持する。
【0069】
第1発酵基準温度(T1)は、発酵適温区間との差が大きくないことが有利である。温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)を超えた時点から発熱量が減少するため、第1発酵基準温度(T1)と発酵適温区間との差が大きいほど、発酵物質の温度が発酵適温区間に達する時間が長くかかり得るからである。第2発酵基準温度(T2)は、温度センサーの測定温度の変動の上限線となるため、発酵適温区間よりも少し高いことが有利である。第1発酵基準温度(T1)は、発酵適温区間との差が大きくないことが有利な他の理由は、第1発酵基準温度(T1)と第2発酵基準温度(T2)との差が大きければ、比例温度制御方法によって発酵物質の温度を制御することは容易でないからである。例えば、第1発熱量(W1)が30W、第1発酵基準温度(T1)が33℃、第2発酵基準温度(T2)が43℃であるとすると、温度差が10℃であり、比例温度制御方法では、1℃の温度変化に対して3Wの発熱量のみを調節することができるだけである。本発明の実施形態に係るヨーグルト発酵器の場合、発熱体132は発酵容器10の下部に位置するのに対し、温度センサー135は、発酵容器10の上部のケース131内に位置するので、発熱体132と温度センサー135との間の離隔距離とそれによる時差が存在する。したがって、温度変化に対して小幅の発熱量制御では発酵物質の温度変化にリアルタイムで対応することが難しくなり、その分発酵物質の温度変動幅も大きくなる。
【0070】
もし第1発酵基準温度(T1)と第2発酵基準温度(T2)が同一に設定される場合、温度制御ステップ2は、第2発酵基準温度(T2)を基準としたオン・オフ(on-off)制御になる。つまり、温度センサーの測定温度が第2発酵基準温度(T2)を超える場合には、発熱が遮断され、温度センサーの測定温度が第2発酵基準温度(T2)未満になる場合には、第1発熱量(W1)が供給される。温度制御ステップ2をオン・オフ制御で制御する場合は、比例制御とする場合に比べて、発熱部133の表面温度の変動幅が相対的に大きくなる。
【0071】
本発明の実施形態において、第1発酵基準温度(T1)と第2発酵基準温度(T2)は、第2発酵基準温度(T2)が第1発酵基準温度(T1)と同じかそれより高いという条件の下で30~50℃の範囲で設定でき、より具体的には、第1発酵基準温度(T1)と第2発酵基準温度(T2)との差が0~7℃の範囲であることが好ましい。さらに具体的には、第1発酵基準温度(T1)は40℃、第2発酵基準温度(T2)は43℃であることが好ましい。これにより、以下では、便宜上、第1発酵基準温度(T1)は40℃、第2発酵基準温度(T2)は43℃、第1発熱量(W1)は30W、最小発熱量(Wmin)は0Wである場合を中心に説明する。この場合、温度センサーの測定温度が40℃以下である場合には最大発熱量である30Wを維持し、温度センサーの速度温度が41℃である場合には20W、温度センサーの速度温度が42℃である場合には10W、温度センサーの速度温度が43℃以上である場合には0Wの発熱量がそれぞれ供給される。このとき、温度センサーの測定温度が41℃から40℃に降下すると、発熱量は20Wから30Wに10Wだけ増え、発酵物質の温度を上昇させる。温度センサーの測定温度が42℃から43℃に上昇すると、発熱量は10Wから0Wに減少することにより、発酵物質の温度を降下させる。これにより、発酵物質の温度を主に41~42℃の範囲で制御することができる。もし第1発酵基準温度(T1)と第2発酵基準温度(T2)を同じ温度に設定すると、例えば、42℃に設定すると、温度制御ステップ2における温度制御方法は、42℃を基準温度としたオン・オフ(on-off)制御方法になる。
【0072】
温度制御方法を温度制御ステップ3(図10に表記)に切り替えるためには、温度制御切替時点(図10において、Rと表記)に温度制御方法を切り替えて発熱量を下げなければならないが、その時点と発熱量を決定する方法について説明する。比例制御を利用する方法によってヨーグルトを発酵させる場合には、発酵開始の後から上下部温度逆転時点(図10において、Xと表記)までを発酵ステップ1と称し、上下部温度逆転時点後から発酵終了時までを発酵ステップ2と称する。発酵ステップ1では、発酵物質の流動性が高く、発酵容器10の下部に位置する発熱体132の発熱によって昇温した発酵物質が対流現象によって上昇することにより、発酵容器10の上部温度が下部温度よりも高く現れる。これにより、発酵ステップ1では、発酵容器10の上部がさらによく発酵するものと推定される。その後、発酵物質の流動性が低下しながら上下部温度逆転時点(X)が現れるが、発酵ステップ2では、発酵物質が流動性を失うことにより、発熱体132の発熱量が発熱部133の周辺に累積しながら発熱部133の表面温度が高く上がって発酵物質が発熱部133に焦げ付く現象が生ずるのは先立って説明した。この時、図8を参照すると、発酵物質の上部と発酵物質の下部の温度逆転現象が現れる約30分前から発熱部133の表面温度が上昇し始めるが、発熱部133の表面温度が上昇する前から温度制御方法を切り替えて発熱部133の周囲に発熱量が累積しない程度に発熱量を予め下げれば、上下部温度逆転時点(X)が到来しても、発酵物質が発熱部133に焦げ付くのを防止することができる。このために、上下部温度逆転時点(X)から、予め定められた余裕時間(Tg)の前に、温度制御方法を切り替えて(R)発熱量を下げることができる。ここで、余裕時間(Tg)は、0より大きく、第1発酵基準温度到達時点(Q)から上下温度逆転時点(X)までの時間よりも小さい値を持つ。外気温度が低いほど発酵容器の外部にさらに多くの熱が抜け出すため、温度制御切替時点(R)以後の温度制御ステップ3で第2発熱量(W2)を少し少なく下げ、外気温度が高いほど第2発熱量(W2)を多く下げればこそ、発熱部133に焦げ付くのが生じないながらも発酵物質の下部もうまく発酵することができる。このとき、温度制御切替時点(R)以後に外気温度が極端に高くて発酵適温区間に近い場合、例えば35℃以上の場合には、第1発熱量(W1)の10分の1レベルの第2発熱量(W2)でも発酵物質の温度が上昇し続けることができるので、温度センサーの測定温度が第2発酵基準温度(T2)を超えると発熱を遮断するように設定することもできる。
【0073】
このために、本発明の実施形態に係るヨーグルト発酵器において、制御部140は、DB部をさらに含み、前記DB部には、上下部温度逆転時点(X)に対する第2時間(Tx)情報、温度センサー測定温度が特定の温度区間を上昇するのにかかる第1時間(Ts)情報及び第2発熱量(W2)情報を含むことができる。
【0074】
まず、前記DB部は、発酵物質の上部温度と下部温度が逆転する上下部温度逆転時点(X)についての情報を予め格納することを一特徴とする。上下部温度逆転時点(X)についての情報は、温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)に到達した時点(Q)から上下部温度逆転時点(X)までの時間(図10において、Txと表記される、「第2時間」という。)として記録される。発酵開始時点からの時間として記録しない理由は、発酵が開始する時に発酵物質の最初の温度が変わることにより、上下部温度逆転時点(X)までの時間が影響を受ける可能性があるからである。一方、上下部温度逆転時点(X)は、発酵容器が位置する外気温度に影響を受けることができるので、上下部温度逆転時点(X)についての情報は、外気温度別に情報が格納されなければならない。例えば、前記DB部は、外気温度別に第1発酵基準温度(T1)である40℃に到達した時点(Q)から上下部温度逆転時点(X)までの第2時間データを含むことができる。このとき、時間は分(minute)単位または秒(second)単位であり得る。
【0075】
外気温度は、外部温度センサー(図示せず)によって測定することもでき、温度制御ステップ1で温度センサーの測定温度が特定の温度区間に上がるのにかかる時間によって類推することもできる。温度制御ステップ1では、発熱量が第1発熱量(W1)と一定であり、外気温度が低いほど発酵容器から多くの熱が抜け出すため、温度センサーの測定温度が上昇する速度も遅くなり、外気温度が高いほど、温度センサーの測定温度が上昇する速度が速くなる。したがって、温度センサーの測定温度が特定の区間を上昇するのにかかる時間と外気温度が(-)比例関係を示すため、温度センサーの測定温度が特定の区間に上昇するのにかかる時間を測定すると、その時間から外気温度を推定することができる。したがって、本発明の前記DB部は、それぞれの外気温度に対して温度センサーの測定温度が、予め定められた第1温度(S1と表記)から予め定められた第2温度(S2と表記)まで上昇するのにかかる時間(図10において、Tsと表記される、「第1時間」という。)についてのデータをさらに含むことができる。このとき、時間は、分(minute)単位または秒(second)単位であり得る。第1温度(S1)が常温よりも多く低ければ、発酵物質が発熱部133だけでなく、周囲空間からも熱量を吸収することにより、温度センサーの測定温度が急激に上昇するので、誤差が大きくなる可能性があるため、第1温度(S1)は、常温レベルで設定されることが好ましい。第2温度(S2)は、第1発酵基準温度(T1)よりも低い温度に設定されなければならない。温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)より高く上がれば、発熱量が減少しながら、温度センサーの測定温度の変化と昇温にかかる時間(Ts)との線形関係が壊れるためである。また、第1温度(S1)と第2温度(S2)の差が大きいほど、昇温にかかる時間(Ts)を測定するのに誤差が減るため、第2温度(S2)は、第1発酵基準温度(T1)より高くないながら最大限に高い温度、すなわち第1発酵基準温度(T1)と同一に設定することが好ましい。例えば、第1発酵基準温度(T1)が40℃である場合には、第1温度(S1)は、20℃~35℃の範囲内にあり、第2温度(S2)は、第1温度(S1)よりは高く、第1発酵基準温度(T1)以下である25℃~40℃の範囲内にあり得るが、40℃であることが好ましい。以下では、より具体的に、第1温度(S1)が27℃、第2温度(S2)が40℃、第1発酵基準温度(T1)が40℃、第2発酵基準温度(T2)が43℃である場合を仮定して説明する。
【0076】
本発明の前記DB部は、第2発熱量データを含むこともできる。第2発熱量(図9において、W2と表記される)は、前記それぞれの外気温度条件にマッチングされるものと実験によって予め決定でき、第1発熱量(W1)の0~1/2のレベルで決定される第2発熱量(W2)情報を含む。外気温度が低くなると、第2発熱量(W2)は高くなり、外気温度が高くなると、第2発熱量(W2)は低くなり、例えば、第1発熱量(W1)が30Wであるとき、第2発熱量(W2)は、0W~15Wの範囲内にあり得る。
【0077】
第1時間(Ts)情報、第2時間(Tx)情報及び第2発熱量(W2)情報を例示するために、[表1]を提示する。[表1]のデータは、発酵容器が1.8リットルの容量を持つ条件で繰り返し実験によって測定されたものであり、第1時間(Ts)情報、第2時間(Tx)情報及び第2発熱量(W2)情報が[表1]に記載の数値に限定されるものではない。
【0078】
【表1】
【0079】
例えば、外気温度が23℃であるとき、発酵容器内の温度センサーの測定温度が27℃から40℃まで上昇するには80分(第1時間、Ts)がかかり、第1発酵基準温度(T1)が40℃であるとき、温度センサーの測定温度が40℃に到達した時点(Q)から発酵容器の上下部温度逆転時点(X)が発生するには150分(第2時間、Tx)がかかる。そして、同じ外気温度の下で第2発熱量(W2)を8Wと提供すれば、発酵の結果が良いことを示す。
【0080】
本発明の実施形態に係るヨーグルト発酵器において、制御部は、DB部に含まれる前記情報を用いて発熱体132の発熱量を制御することができる。具体的に、制御部は、温度センサーの測定温度が第1温度(S1、例えば27℃)から第2温度(S2、例えば40℃)まで上昇するのにかかる第1時間(Ts)を測定する。第1温度(S1)及び第2温度(S2)はいずれも第1発酵基準温度(T1)以下に該当するので、発熱体132の発熱量は第1発熱量(W1)を維持する。制御部において第1時間(Ts)を測定すると、制御部は、DB部に含まれる第1時間(Ts)データと測定された第1時間(Ts)とを直接マッチングさせるか或いは補間法を適用することにより、外気温度を推定することができる。例えば[表1]を基準に、制御部で測定した第1時間(Ts)の値が80分である場合、外気温度を23℃と推定することができるだろう。外気温度が推定されると、同様に[表1]を介して第2時間(Tx)の値を抽出することができる。この場合、外気温度23℃に該当する第2時間(Tx)は150分である。すなわち、第1時間(Ts)を測定して80分になると、外気温度が23℃であることを推定することができ、温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)である40℃に到達した時点から150分(Tx)ほどの後に上下部温度逆転時点(X)が発生すると推定することができる。
【0081】
次に、制御部は、発熱体132が第2発熱量(W2)を供給するように温度制御方法を切り替える「温度制御切替時点」を抽出する。ここでは、温度制御切替時点(図10において、Rと表記)は、推定された上下部温度逆転時点(X)より余裕時間(図10において、Tgと表記)だけ早い時点に該当する。より具体的には、余裕時間(Tg)は0~90分の時間になることができ、余裕時間(Tg)が60分であることが好ましい。これは、上下部温度逆転時点(X)の約30分前から発熱部133の表面温度が急激に上昇するからであるが、発熱部133の表面温度が上がり始める時点と実験との誤差を考慮して上下部温度逆転時点(X)から十分に繰り上げると、約60分早い時点になるからである。しかし、温度制御切替時点(R)をあまり繰り上げると、温度制御ステップ2で発酵適温区間を維持する時間が短くなるので、ヨーグルト発酵がその分だけ不足することがある。例えば、外気温度が23℃である例において、制御部が発酵開始後30W(W1)の発熱量を供給し、温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)40℃に到達した時点から比例温度制御を行い、第1発酵基準温度到達時点(Q)から90分=(150分-60分)程度の後に第2発熱量(W2)である8Wで供給されるように制御すると、発熱部133に焦げ付くのがないながらも発酵物質の上部と下部がまんべんなくよく発酵することができる。
【0082】
まとめると、制御部で第1時間(Ts)を測定して外気温助とそれによる上下部温度逆転時点(X)を推定し、上下部温度逆転時点(X)が発生する余裕時間(Tg)前に発熱体132の発熱量を第2発熱量(W2)に下げるように温度制御方法を切り替えるのである。そして、上下部温度逆転時点(X)は、温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)40℃に到達した時点から第2時間(Tx)の後に現れるので、温度センサーの測定温度が第1発酵基準温度(T1)に到達した時点から(Tx-Tg)の後に温度制御方法を切り替えて、当該外気温度にマッチングされる第2発熱量(W2)が供給されるように制御すれば良い。
【0083】
前述したように、温度制御切替時点(R)を上下温度逆転時点(X)に連動させる方法の利点は、外気温度が低くなる場合、温度制御切替時点(R)が遅らせられても、発酵物質が発酵適温区間を維持する時間がほぼ一定に維持されて発酵物質がうまく発酵しながらも、発熱部133に焦げ付かないのである。
【0084】
一方、[表1]に示すように、外気温度と第2時間(Tx)とは相関関係が高くなく、分布範囲が広くないため、第2時間(Tx)をデータの大略的な平均値である145分に設定し、外気温度と関係なく第1発酵基準温度到達時点(Q)から85分=(145分-60分)の後に温度制御を切り替えて、当該外気温度に該当する第2発熱量(W2)を供給するように制御することもできる。この場合、前記DB部には、第2時間(Tx)データを含まなくてもよい。
【0085】
他方では、前記DB部を用いた温度制御方法において、第1時間(Ts)測定値から外気温度を推定し、外気温度から第2時間(Tx)値と第2発熱量(W2)値を導出せず、第1時間(Ts)測定値を第2時間(Tx)データと直接マッチングさせて第2時間(Tx)値を導出するか、或いは第1時間(Ts)測定値を第2発熱量(W2)データとマッチングさせて第2発熱量(W2)値を導出することもできる。すなわち、前記DB部は、各外気温度による第1時間(Ts)データ、第2時間(Tx)データ、第2発熱量(W2)データを持たず、各第1時間(Ts)による第2時間(Tx)データ、第2発熱量(W2)データで構成されることも可能である。
【0086】
一方、本発明に係るヨーグルト発酵器では、外気温度を直接測定することもできる。例えば、ヨーグルト発酵器のヘッド部または結合部には、外気温度を測定するための外部温度センサーが装着でき、これにより、外気温度を直接測定することができるだろう。この場合には、制御部で第1時間(Ts)を測定しなくても、上下部温度逆転時点(X)を予測することができるので、第1発酵基準温度到達時点(Q)から(Tx-Tg)の後に温度制御方法を切り替えて当該外気温度に該当する第2発熱量(W2)を供給するように制御することができる。この場合、前記DB部には、第1時間(Ts)データを含まなくてもよい。
【0087】
さらに、本発明に係るヨーグルト発酵器において、制御部に含まれるDB部の情報は、特定の容量(例えば、1.8リットル)を有する発酵容器を基準に収集されたものであっても、それとは異なる容量を持つ発酵容器にも同じデータを利用することができるだろう。例えば、ヨーグルト発酵器において制御部に含まれるDB部の情報が容量1.8リットルの発酵容器を基準に収集されたものと仮定し、前記ヨーグルト発酵器に容量2.3リットルの発酵容器を結合した場合を仮定する。この場合、容量2.3リットルの発酵容器に入った発酵物質の単位容積当たりに供給される熱量は、容量1.8リットルの発酵容器に入った発酵物質の単位容積当たりに供給される熱量よりも小さくなるので、発酵速度は相対的に遅くなる。すなわち、第1時間(Ts)が相対的に長くなり、上下部温度逆転時点(X)も相対的に遅くなるだろう。他の観点からすれば、DB部に格納された情報の基準容量よりも大きい容量を持つ発酵容器を使用する場合は、外気温度がより低くなる場合と同じであると見ることができる。したがって、ヨーグルト発酵器に結合される発酵容器の容量とは無関係に、制御部で第1時間(Ts)値を測定すると、DB部に格納された情報を用いて、外気温度がより低くなったものと認識することになり、これにより、温度制御方法を切り替える時点(R)も遅らせられ、第2発熱量(W2)も相対的に高く決定されるので、結果的には発酵容器の容量による誤差は少ないか無いだろう。
【0088】
以上、本発明の温度制御方法について、比例制御を利用する方法を基本として説明したが、温度制御ステップ2で発酵物質の温度を発酵適温区間に維持するのにオン・オフ制御、段階別制御、比例制御、比例微分制御、比例積分制御、比例微積分制御などのいずれの方法を使用しても、上下部温度逆転時点(X)は類似に決定されることを推定することができる。これは、特定の外気温度条件の下で第1発熱量(W1)と第1発酵基準温度到達時点(Q)以後の発酵物質の温度が発酵適温区間に維持される時間(Tx)によって上下部温度逆転時点(X)が決定されるからである。したがって、発酵物質の温度を発酵適温区間に維持するのにオン・オフ制御、段階別制御、比例制御、比例微分制御、比例積分制御、比例微積分制御などのいずれの方法を使用しても、本発明の温度制御方法を適用することができる。ここで、共通に、第2発酵基準温度(T2)は、発酵適温に設定される温度であり、第1発酵基準温度(T1)は、第2発酵基準温度(T2)よりも0~7℃低い温度であって、発酵適温に近く発酵物質の温度を一定に維持するステップの制御を開始する温度であり、この温度以下では、最大発熱量が提供されるので、正常な制御範囲で発酵物質の温度がもはやその温度以下に降下しないものと期待される温度である。
【0089】
図11は本発明の一実施形態によるヨーグルト発酵器の自動温度制御方法を示すフローチャートである。図11を参照して特定の例示を挙げて本発明の一実施形態によるヨーグルト発酵器の自動温度制御方法を説明する。本発明に係るヨーグルト発酵器の自動温度制御方法は、先立って説明した本発明の実施形態に係るヨーグルト発酵器に適用できる。
【0090】
本例示において、第1発酵基準温度(T1)は40℃、第2発酵基準温度(T2)は43℃、第1発熱量(W1)は30W、余裕時間(Tg)は60分、制御部に含まれるDB部に格納される情報は[表1]と仮定する。
【0091】
ヨーグルト発酵器を発酵容器(例えば1.8リットルの牛乳容器)に結合し、ヨーグルト発酵器を作動させる。ヨーグルト発酵器の温度センサーは、発酵物質の上部温度をリアルタイムで測定する。発酵初期発熱体132は、第1発熱量(W1、30W)を継続的に供給し、これにより発酵物質の温度は継続的に上昇する(S11)。このとき、温度センサーで測定される温度が[表1]に基づいて、第1温度(S1)である27℃に到達すると、制御部ではその時点をチェックする。次に、温度が上昇し続けて、温度センサーで測定される温度が第2温度(S2)である40℃に到達すると、制御部ではその時点をチェックすることにより、第1時間(Ts)値を測定する(S12)。温度センサーで測定される温度が、第1発酵基準温度(T1)である40℃に到達した時点(S13)から、制御部は発酵物質の温度が発酵適温区間に維持されるように発熱体132の発熱量を制御する。このとき、温度制御方法は、オン・オフ制御、段階別制御、比例制御、比例微分制御、比例積分制御、比例微積分制御などのいずれの方法でも適用可能である(S14)。これにより、発酵物質の温度は約41℃~42℃を維持する。
【0092】
一方、これとは別に、制御部は、測定された第1時間(Ts)値に基づいて、DB部に格納された情報とマッチングさせることにより、発酵容器の外部温度を推定するか、或いはヨーグルト発酵器のヘッド部または結合部に設けられた外部温度センサーによって外気温度を直接測定することができる(S15)。そして、推定または測定された外気温度に基づいてDB部のデータとマッチングすることにより、温度センサーで測定された温度が第1発酵基準温度(40℃)に到達した時点(Q)から発酵物質の上部温度が下部温度よりも低くなる時点(X)までの第2時間(Tx)値を推定し(S16)、推定または測定された外気温度にマッチングされる第2発熱量(W2)も導出する(S17)。ここで、第1時間(Ts)値を直接DB部のデータとマッチングすることにより(S18)、第2時間(Tx)値と第2発熱量(W2)を導出することもできる。そして、第2時間(Tx)値は、それぞれの外気温度で実験された第2時間(Tx)の平均値として予め定められた値になることもできる。
【0093】
そして、発酵物質の温度を一定に保つための温度制御を持続してから、導出された第2時間(Tx)よりも余裕時間(Tg、60分)先行する時点から第2発熱量(W2)を提供するように制御する(S19、S20)。全体発酵時間が経過すると、発酵プロセスを終了する(S21)。
【0094】
以上、本発明の技術的思想を具体的に説明した。しかし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想の範囲内で技術の具体的な適用による単純な設計変更、一部の構成要素の省略、単なる用途の変更など、本発明を多様に変形させることができ、それらの変形も本発明の権利範囲内に含まれるのは自明である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11