(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】土石流チャネル単位幅流出量の計測方法、及びモニタリング早期警報システム
(51)【国際特許分類】
G01D 21/00 20060101AFI20240118BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20240118BHJP
G01F 1/00 20220101ALI20240118BHJP
G01W 1/00 20060101ALI20240118BHJP
G01W 1/10 20060101ALI20240118BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20240118BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G01D21/00 D
E02D17/20 106
G01F1/00 M
G01W1/00 Z
G01W1/10 P
G08B21/10
G08B25/04 K
(21)【出願番号】P 2023100112
(22)【出願日】2023-06-19
【審査請求日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】202310678665.7
(32)【優先日】2023-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518398497
【氏名又は名称】成都理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】魏 振磊
(72)【発明者】
【氏名】範 宣梅
(72)【発明者】
【氏名】鄭 愛武
(72)【発明者】
【氏名】張 宗碩
(72)【発明者】
【氏名】楊 杰
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-221800(JP,A)
【文献】特開2001-208574(JP,A)
【文献】特開2023-29115(JP,A)
【文献】特開2019-2924(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111473819(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 21/00
E02D 17/20
G01F 1/00
G01W 1/00-1/10
G08B 21/10
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土石流チャネル
単位幅流出量の計測方法であって、
現場調査により基礎データを取得し、計算ユニットを設定し、式1-1及び式1-2に基づいて、土石流チャネル形成領域の地表の計算ユニットの単位幅流出量を計算し、式1-1及び式1-2の計算結果の大きい方の値を計算ユニットの単位幅流出量qとして取る、
式1-1、式1-2において、q-形成領域計算ユニット地表
単位幅流出量、m
3、
τ
bx、τ
by-水流と地面との間の摩擦応力τのx方向、y方向における成分、Pa、
h-地表流出深さ、m、それは、現場モニタリングにより収集され、又は基礎データに基づいて決定され、
ρ-水密度、定数、t/m
3、
g-重力加速度定数、m/s
2、
n-粗さ係数、値0.035~0.04、
u、v-流出平均流速Vのx方向、y方向における成分、m
3/s、それは、現場モニタリングにより収集され、又は基礎データに基づいて決定され、C-シェジー係数、それは、基礎データに基づいて決定され、
前記x方向は、土石流チャネル方向であり、y方向は、垂直土石流チャネル方向である、
ことを特徴とする
土石流チャネル単位幅流出量の計測方法。
【請求項2】
土石流チャネル形成領域の地表の流出ハイドログラフデータを取得し、流出ハイドログラフデータを入力として、形成領域の地表の流出条件特徴を計測し、前記地表の流出条件特徴は、hと、uと、vとを
含む、
式2~式7において、t-計算時間変数、s、
a-流量保存量ベクトル、
f、j-流量フラックスベクトルのx方向、y方向における成分、
s
b-溝床床面勾配効果のソースアイテムベクトル、
s
f-溝床床面摩擦効果のソースアイテムベクトル、
β-溝床床面勾配、°、それは、基礎データに基づいて決定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の
土石流チャネル単位幅流出量の計測方法。
【請求項3】
前記形成領域の地表の流出ハイドログラフデータの取得は、降雨分布データを取得し、Hで表現される形成領域の地表の流出計算モデルを確立し、形成領域の地表の流出ハイドログラフを得るステップに基づいて
実施される、
式8、式9において、H-形成領域の地表の産流深さ、mm、
P-降雨強度、mm、それは、降雨分布データによって決定され、
S
2-形成領域の地表の最大潜在的貯水量、mm、
C
n-流出曲線数、値35~80である、
ことを特徴とする請求項2に記載の
土石流チャネル単位幅流出量の計測方法。
【請求項4】
前記降雨分布データは、気象予報データを利用して構築され、又は極端な降雨イベントデータを利用して構築され、又は、リアルタイムでモニタリングされる降雨データによって構築される、
ことを特徴とする請求項3に記載の
土石流チャネル単位幅流出量の計測方法。
【請求項5】
前記極端な降雨イベントデータを利用して降雨分布データを構築することは、式10に基づいて計算して異なる再現期の降雨強度H
pを決定して
得られる、
式10において、H
p-異なる再現期の降雨強度、mm/h、
K
p-降雨の継続時間係数、min、それは、形成領域の現地の豪雨アトラスによって決定され、
ことを特徴とする請求項4に記載の
土石流チャネル単位幅流出量の計測方法。
【請求項6】
土石流チャネル形成領域のモニタリング早期警報システムであって、
土石流チャネル形成領域の地表の
単位幅流出量をモニタリングし、
土石流チャネル形成領域をモニタリング早期警報領域とし、モニタリング早期警報領域内の計算ユニット測定断面を決定し、測定断面に測定機器を配置し、上位機/計算センター信号に接続し、
モニタリング早期警報領域の基礎データを上位機/計算センターに入力し、測定機器は、流出特徴データを収集し、上位機/計算センターに入力し、
上位機/計算センターは、請求項1に記載の土石流チャネル
単位幅流出量の計測方法に基づいて土石流チャネル形成領域の地表の計算ユニットの
単位幅流出量を計測する、
ことを特徴とするモニタリング早期警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地質災害モニタリング測定技術分野、地質災害防止の技術分野に属し、土石流モニタリング早期警報の技術に関し、特に土石流チャネル形成領域の単幅流出量の計測方法とそれに基づいて実現される土石流発生降雨閾値の計測方法、土石流モニタリング早期警報方法、及び各方法の応用に関する。
【背景技術】
【0002】
溝谷型土石流は、一般的には坂道侵食をメインとする土石流タイプであり、山間部流域で降雨シーズンに最もよく見られる土石流タイプであり、山間部の社会経済と生態環境に対する危害の程度は、極めて高い。溝谷型土石流は、主に一定規模の降水によって地表が洗われ、侵食され、土体内部の安定構造が破壊され、大量の土石が地表流出に巻き込まれて発生するためである。
【0003】
土石流のモニタリング早期警報技術は、山地環境地質災害防止分野の主な研究内容の一つである。従来の技術、CN2018107475705は、流域土石流早期警報案を開示し、土石流発生降雨I-D曲線閾値の構築方法をもとにして構築される土石流モニタリング早期警報の技術である。方法のコア部分、即ちI-D曲線閾値の構築方法は、まず、RichardモデルとVan Genuchten方程式数値シミュレーションのために必要な流域下地面データを取得し、与えられた降雨強度条件で水文シミュレーションプロセスを起動し、時間シーケンスに沿って流域の各グリッドの安定性と産流状況を判断し、水土混合物の容積重を計算し、制御点に合致するデータを記録してI-D曲線をフィッティングし、最終的に前期雨量条件における1グループのI-D閾値を得る。この方法は、水文モデルシミュレーション土石流流域降水条件変化を出力として利用してから、土石流形成物理プロセスにおける水土結合特徴の変化傾向を根拠とする分析手段により、水土混合物の容積重値ρの動的変化を中間量として生成し、フィッティングにより土石流発生のモニタリング閾値を決定するためのI-D曲線方程式を生成することによって、土石流発生のモニタリング早期警報を実現する。この技術は、従来の溝谷型土石流モニタリング早期警報技術案の基本構想を表しており、即ち、降水データを水文モデルとして入力し、水文プロセス数値シミュレーションによって土石流形成を誘発する肝心な水文パラメータを取得してから、さらに異なるタイプの水土特徴指標を土石流発生の早期警報のモニタリング対象として計測する。
【0004】
従来の土石流モニタリング早期警報技術は、降水を決定的な誘発要因とする土石流モニタリング早期警報に応用できるが、溝谷型土石流に応用する場合は、まだ欠陥がある。主な欠陥は、それが選択した水土特徴指標タイプ(CN2018107475705において水土混合物の容積重値ρを選択する)がチャネル侵食を特徴づける理想指標ではないことである。従来の研究によると、地表流出特徴を特徴づける指標は、洪水侵食溝床による土石流の形成が臨界条件に達しているか否かをモニタリングする有力な指標であり、ここで、流出深さ、単幅流出量などを含むことが発見された。しかしながら、従来の技術は、単幅流出量を土石流モニタリング早期警報案のモニタリング対象指標として使用していなかった。ひいては地質災害防止研究分野で、単幅流出量指標は、長期的に流出総量指標としてのみ使用される場合の付随的な記述指標であり、効果的に利用されていない。この現象が形成された理由は、従来の技術で単幅流出量の計算問題がまだ解決されていないため、それを各類土石流又は高沙含有の洪水研究分野における重要な指標として利用できず、この指標の計測技術と上流の水文条件シミュレーション技術及び下流の土石流モニタリング早期警報技術を融合することができないからである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、従来の技術の不足に対して、地表の単幅流出計測方法、及びそれに基づいて実現される土石流モニタリング早期警報案を提供することである。
【0006】
上記目的を実現するために、本発明は、まず、土石流チャネル形成領域の地表の単幅流出量を計測するための土石流チャネル単幅流出量の計測方法を提供する。その技術案は、以下の通りである。
【0007】
土石流チャネル単幅流出量の計測方法であって、土石流チャネル形成領域の地表の計算ユニットの単幅流出量を計測し、現場調査により基礎データを取得し、計算ユニットを設定し、各計算ユニットに対し、式1-1及び式1-2に基づいて計算し、計算結果の大きな値を計算ユニットの単幅流出量q計測結果として取り、
式1-1、式1-2において、q-形成領域計算ユニット地表単幅流出量、m
3、
h-地表流出深さ、m、それは、現場モニタリングにより収集され、又は基礎データに基づいて決定され、
ρ-水密度、定数、t/m
3、
g-重力加速度定数、m/s
2、
n-粗さ係数、値0.035~0.04、
u、v-流出平均流速Vのx方向、y方向における成分、m
3/s、それは、現場モニタリングにより収集され、又は基礎データに基づいて決定され、
C-シェジー係数、それは、基礎データに基づいて決定され、
前記x方向は、順溝通方向であり、y方向は、垂直土石流チャネル方向であることを特徴とする。
【0008】
上記土石流チャネル単幅流出量の計測方法において、パラメータh、u、vは、地表流出条件特徴を特徴づけ、単幅流出量を計算する重要なデータ基礎である。一般的には、地表流出深さhと流出平均流速Vは、現場測定、歴史観測記録、hとVを計測する従来の技術によって取得されることができ、特に土石流モニタリング技術分野で、比較的に成熟している現場モニタリング技術案がある。しかしながら、歴史記録によって決定されるh、u、v値は、科学的な数学表現形式がなく、関連モデルを構築するための十分なデータ規模を提供することができず、従来の計算方法で決定されたh、u、v値は、計測原理において本発明の単幅流出量の計測と完全に一致せず、完全且つ総合的な計算モデルの構築に不利である。本発明は、上記土石流チャネル単幅流出量の計測方法の最適化案をさらに提供し、流出ハイドログラフに基づいてパラメータh、u、vの数学表現形式を確立する。具体的には、
土石流チャネル形成領域の地表の流出ハイドログラフデータを取得し、流出ハイドログラフデータを入力として、式2~式7を連立して形成領域の地表の流出条件特徴の3つの指標、h、u、vを計測し、
上記式2~式7において、t-計算時間変数、s、
a-流量保存量ベクトル、
f、j-流量フラックスベクトルのx方向、y方向における成分、
β-溝床床面勾配、°、それは、基礎データに基づいて決定される。
【0009】
一般的には、地表流出ハイドログラフは、ローカル歴史観測記録によって取得され、又は地形水文条件の相似領域のデータを科学的に借用してもよい。単幅流出量の計測の現地性を向上させるために、地表流出ハイドログラフの取得方法をさらに最適化し、具体的には、
形成領域の地表の流出ハイドログラフデータの取得は、降雨分布データを取得し、Hで表現される形成領域の地表の流出計算モデル(式8、式9)を確立し、形成領域の地表の流出ハイドログラフを得るステップに基づき、
式8、式9において、H-形成領域の地表の産流深さ、mm、
【0010】
上記最適化案において、降雨分布データの取得は、気象予報データを利用して構築され、又は極端な降雨イベントデータを利用して構築されてもよく、又は、リアルタイムでモニタリングされる降雨データによって構築されてもよい。三者は、それぞれ将来、歴史、現在の降雨分布データである。極端な降雨イベントデータを利用して降雨分布データを構築するには、具体的に、降雨再現期のデータを利用してもよい。極端な降雨イベントデータを利用して降雨分布データを構築する場合、式10に基づいて異なる再現
【0011】
上記土石流チャネル単幅流出量の計測方法をもとにして、本発明は、溝谷型土石流発生のモニタリング早期警報方法をさらに提供し、その技術案は、以下の通りである。
【0012】
上記土石流チャネル単幅流出量の計測方法を利用して実現する溝谷型土石流発生のモニタリング早期警報方法であって、土石流チャネル形成領域をモニタリング早期警報領域とし、モニタリング早期警報領域内の各計算ユニットの地表の単幅流出量qを計測
場合、計算ユニットを不安定性ユニットとしてマークし、逆に安定性ユニットとしてマークし、不安定性ユニット数のすべての計算ユニット数における割合が不安定性比閾値に達する場合、モニタリング早期警報領域に溝谷型土石流の発生リスクが存在すると判
て決定されることを特徴とし、
θ-土石流チャネル形成領域の平均勾配、°、それは、基礎データに基づいて決定され、
【0013】
上記溝谷型土石流発生のモニタリング早期警報方法は、計算ユニット単幅流出量qを
る場合、この計算ユニットを不安定性ユニットとしてマークし、不安定性ユニット数がモニタリング早期警報領域のすべての計算ユニット数における割合が不安定性割合閾値に達すると、モニタリング早期警報領域に溝谷型土石流の発生リスクが存在すると判断し、該当する警示信号を出さなければならない。さらに、異なるレベルの不安定性割合閾値を設定することで、土石流の発生リスクの段階的な早期警報を初歩的に実現することができる。不安定性割合閾値は、従来の方法を参照して決定されてもよい。この溝谷型土石流発生のモニタリング早期警報方法は、直接に単幅流出量qをモニタリング対象指標としてもよい。最適化案において、土石流チャネル形成領域の地表の流出ハイドログラフデータを入力として形成領域の地表の流出条件特徴を計測する方案を採用する場合、形成領域全体内の不安定性計算ユニット数の割合が不安定性割合閾値に達することを招く降雨イベント(リスク降雨イベントと呼ばれてもよい)を計算してマークすることができ、リスク降雨イベントの降雨条件をさらに統計すると、形成領域土石流発生の早期警報のための降雨条件閾値を構築することができる。この最適化案において、降雨分布データを始点として、直接に降雨データをモニタリング対象指標とすることによって、土石流モニタリング早期警報の技術路線を短縮することができる。
【0014】
さらに、上記モニタリング早期警報方法は、さらにモニタリング早期警報領域内の溝谷型土石流を誘発する降雨閾値を計測することができる。具体的には、研究領域の降雨分布データを構築し、降雨分布データを入力として、異なる降雨条件における形成領域の地表の流出条件特徴、及び該当する地表の単幅流出量qを計測し、形成領域の降雨分布データと地表の単幅流出量q二次元曲線を構築し、式11に基づいて各計算ユニット
の不安定性計算ユニットの割合量のリアルタイム幅流出量に沿う変化曲線を構築し、研究領域内の不安定性計算ユニットの割合量が不安定性割合閾値に達することを招く降雨イベントを不安定性降雨イベントとしてマークし、不安定性降雨イベントにおける降雨条件閾値を統計する。
【0015】
本発明は、土石流チャネル形成領域のモニタリングシステムをさらに提供し、このシステムは、本発明の上記土石流チャネル単幅流出量の計測方法と溝谷型土石流発生のモニタリング早期警報方法を技術コアとして、形成領域の地表の計算ユニットの単幅流出量をモニタリングし、及び形成領域内の土石流の発生リスクをモニタリングすることができる。その技術案は、以下の通りである。
【0016】
土石流チャネル形成領域のモニタリングシステムであって、土石流チャネル形成領域の地表の単幅流出量をモニタリングし、土石流チャネル形成領域をモニタリング早期警報領域とし、モニタリング早期警報領域内の計算ユニット測定断面を決定し、測定断面に測定機器を配置し、上位機/計算センター信号に接続し、モニタリング早期警報領域の基礎データを上位機/計算センターに入力し、測定機器は、流出特徴データを収集し、上位機/計算センターに入力し、上位機/計算センターは、本発明の上記土石流チャネル単幅流出量の計測方法に基づいて土石流チャネル形成領域の地表の計算ユニットの単幅流出量を計測することを特徴とする。
【0017】
上記モニタリングシステムが、さらにモニタリング早期警報領域内に雨量計を配置し、上位機/計算センターに降雨データをリアルタイムで入力する場合、上位機/計算センターは、本発明の上記溝谷型土石流発生のモニタリング早期警報方法を利用して形成領域内の土石流の発生リスクをモニタリングすることができる。
【0018】
本技術でいう現場調査は、工程が位置する山洪土石流チャネル現場に対する様々な地質調査、踏査、測量、測定作動、及び分野内の従来のシミュレーション実験、テスト実験、観測実験、分析実験、及び歴史災害記録取得、及び関連技術規範、及び参考になる経験方法及びデータの取得などを含む。現場調査で取得されるデータは、本技術案の基礎データと総称される。
【0019】
従来の技術と比べて、本発明の有益な効果は、以下の通りである。(1)従来の技術に土石流形成領域の地表の単幅流出の測定計測案が欠けている欠陥に対し、本発明は、具体的には、土石流形成領域の地表の単幅流出量の計測方法を提供し、従来の技術において解決できない技術的な問題を解決した。この単幅流出量測定計測方法は、先行調査データに基づいて、数学モデルを利用して計算を完了し、科学性が高く、且つ各類土石流防止の技術案に応用しやすく、又は該当する土石流防止の技術案に拡張する。本発明の単幅流出の測定計測方法は、土石流研究分野で数学モデル方式によって単幅流出量を計量するという技術的な問題を解決することによって、この指標が研究と技術開発における効果的な利用見通しを拡張した。(2)単幅流出量の計測方法に基づく溝谷型土石流発生のモニタリング早期警報方法を提供し、早期警報領域内土石流の発生リスク、及び土石流を誘発する降雨閾値を計測することができる。(3)土石流チャネル形成領域のモニタリング早期警報システムを提供しており、このシステムは、早期警報形成領域の単幅流出量、及び土石流の発生リスクをモニタリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】溝谷型土石流発生のモニタリング早期警報方法の技術路線概略図である。
【
図2a-2b】異なる降雨の継続時間と異なる降雨再現期の条件における流出量ハイドログラフである。
【
図3a-3d】異なる降雨再現期の条件におけるモニタリング早期警報領域の単幅流出量qモニタリング曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図面を結び付けながら、本発明の好ましい実施例をさらに記述する。
【0022】
<実施例1>
図1から
図4に示すように、本発明を用いてある土石流チャネルのために溝谷型土石流発生のモニタリング早期警報技術案を設計する。
【0023】
図1は、溝谷型土石流発生のモニタリング早期警報方法の技術路線概略図である。
【0024】
1、モニタリング早期警報領域の現場調査
浙江省奉化市の33省道の土石流の小さな流域(即ち土石流チャネル)は、溝谷型土石流が発生しやすい地形に属する。このチャネル形成領域を本プロジェクトのモニタリング早期警報システムのモニタリング早期警報領域に画定し、早期警報領域という。
【0025】
モニタリング早期警報領域の現場調査により基礎データを取得することは、以下を含む。
【0026】
(1)土石流チャネルDEMグリッドデータ。DEMグリッドを計算ユニットとして設定する。各計算ユニット面積は、約8*8m2であり、モニタリング早期警報領域は、計で720の計算ユニットがある。
【0027】
(2)モニタリング早期警報領域の物源粒子傾斜と形成領域の地形条件データであって、該当するデータは、各DEMグリッド(表1は、モニタリング早期警報領域の緩い堆積物の粒径分布であり、表2は、モニタリング早期警報領域の溝谷断面特徴である)に配置される。
【0028】
【0029】
【0030】
(3)モニタリング早期警報領域の極端な降雨イベントデータを取得することは、モニタリング早期警報領域の5年に一度、10年に一度、20年に一度及び100年に一度の豪雨アトラスである。
【0031】
【0032】
【0033】
2.2 モニタリング早期警報領域の構築降雨分布データを構築する
異なる回帰期の豪雨アトラスをもとにして、式10で計算し、モニタリング早期警報領域の極端な降雨イベントデータ構築降雨分布データを得る。表3は、異なる回帰期の降雨分布データである。
【0034】
【0035】
2.3 モニタリング早期警報領域の地表流出ハイドログラフを構築する
表3の降雨分布データを利用し、式8、式9に基づいてモニタリング早期警報領域の地表流出ハイドログラフを計測する。地表流出ハイドログラフは、地表産流深さHが異なる降雨再現期の条件における時間曲線である。
図2a、
図2bは、それぞれ異なる降雨の継続時間と異なる降雨再現期の条件における流出量ハイドログラフである。
図2aは、降雨の継続時間1hと3h異なる降雨再現期の流出量分布状況を示し、
図2bは、降雨の継続時間6hと24h異なる降雨再現期の流出量分布状況を示す。
【0036】
2.4 モニタリング早期警報領域の地表流出条件特徴の分布曲線を構築する
流出ハイドログラフデータを入力として、式2~式7を連立してモニタリング早期警報領域の地表流出条件特徴の分布曲線を計測し、それぞれ地表流出深さh、流出平均流速V、及びVがxとy方向における成分u、vである。例えば、降雨条件が24時間再現期の100年33600秒の時に形成領域の一部の水動力条件の状況を表4に示す。
【0037】
【0038】
【0039】
3、モニタリング早期警報領域の降雨の組み合わせ条件閾値を決定する
本発明の具体的な実施形態では、従来の技術に基づき、不安定性割合閾値を10%に設定する。
図3aから
図3dに基づいて、10%以上の計算ユニットの不安定性を招く降雨イベントを選択し、リスク降雨イベントとしてマークし、リスク降雨イベントの降雨条件閾値をモニタリング早期警報降雨条件閾値として計算する。本実施の形態において、I-D曲線を降雨条件閾値として選択する。具体的には、リスク降雨イベントの降雨の継続時間(h)と降雨強度(mm/h)を計算し、リスク降雨イベントを降雨の継続時間(h)を横座標として、降雨強度(mm/h)を縦座標とする座標係にプロットすると、I-D降雨閾値曲線を得る。
図4I-D降雨閾値曲線(灰色の点は、リスク降雨イベントを表す)。I-D降雨閾値曲線を利用することで、モニタリング早期警報領域内に土石流を誘発する降雨の組み合わせ条件閾値を決定することができる。
【要約】 (修正有)
【課題】土石流チャネル単幅流出量の計測方法、モニタリング早期警報方法とシステムを開示する。
【解決手段】土石流チャネル単幅流出量の計測方法の最適化案は、流出ハイドログラフをもとにして地表流出条件の特徴パラメータを計測し、及び降雨分布データを利用して形成領域の地表の流出ハイドログラフを構築する方法を含む。本発明は、土石流チャネル単幅流出量の計測案を利用して実現する溝谷型土石流発生のモニタリング早期警報方法を提供し、土石流の発生リスクと土石流を誘発する降雨閾値を計測し、土石流チャネル形成領域のモニタリング早期警報システムを提供する。単幅流出量の計測方法は、数学モデル方式によって単幅流出量を計量する技術的な問題を解決し、この指標の効果的な利用見通しを拡張した。計測方法は、数学モデルを利用して計算を完了し、各類土石流防止の技術案でドッキングし、又は応用しやすい。
【選択図】
図1