(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】撚線導体
(51)【国際特許分類】
H01B 5/08 20060101AFI20240118BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240118BHJP
H01F 5/06 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H01B5/08
H01F27/28 123
H01F5/06 H
(21)【出願番号】P 2023117088
(22)【出願日】2023-07-18
【審査請求日】2023-08-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395005169
【氏名又は名称】三洲電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 俊文
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-158331(JP,A)
【文献】特開2020-057538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/08
H01F 27/28
H01F 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、最外層部と、該最外層部の径方向内側に設けた第1外層部を有する撚り線導体であって、
前記最外層部と、前記第1外層部において、その一つの層を構成する素線の直径を全て同じとし、
前記最外層部と前記第1外層部を、夫々複数層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数と、前記第1外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、
前記最外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数を、前記最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数の半分の数とし、
前記最外層部と、前記第1外層部において、その一つの層を構成する素線を同一円周上に配設するとともに、周方向に隣り合う素線は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設し、
径方向の最も外側に位置する層以外で、かつ、前記最外層部、及び、前記第1外層部の一つの層を構成する素線は、その一つの層における一つ外側に位置する層を構成し、かつ、隣り合う素線で構成される内側の谷間部
において、その隣り合う両素線に当接し、
前記第1外層部を構成する各素線の径を、前記最外層部を構成する各素線の径より細くしたことを特徴とする撚線導体。
【請求項2】
最外層部と、該最外層部の径方向内側に設けた第1外層部と、該第1外層部の径方向内側に設けた第2外層部を有し、
前記最外層部と、前記第1外層部と、前記第2外層部において、その一つの層を構成する素線の直径を全て同じとし、
前記第2外層部を複数層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数と、前記第1外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数と、前記第2外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、
前記第1外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数を、前記最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数の半分の数とし、
前記最外層部、及び、前記第1外層部、及び、前記第2外層部において、その一つの層を構成する素線を同一円周上に配設するとともに、周方向に隣り合う素線は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設し、
径方向の最も外側に位置する層以外で、かつ、前記最外層部、及び、前記第1外層部、及び、前記第2外層部の一つの層を構成する素線は、その一つの層における一つ外側に位置する層を構成し、かつ、隣り合う素線で構成される内側の谷間部
において、その隣り合う両素線に当接し、
前記第2外層部を構成する各素線の径を、前記第1外層部を構成する各素線の径より細くしたことを特徴とする請求項1記載の撚線導体。
【請求項3】
前記最外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数と、前記第1外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数を同じとするとともに、前記最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数の半分の数としたことを特徴とする請求項1記載の撚線導体。
【請求項4】
前記最外層部と前記第1外層部を、夫々2層で構成したことを特徴とする請求項3記載の撚線導体。
【請求項5】
前記最外層部と前記第1外層部を、夫々3層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、
前記第1外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとしたことを特徴とする請求項3記載の撚線導体。
【請求項6】
前記最外層部を、3層で構成し、前記第1外層部を2層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとしたことを特徴とする請求項3記載の撚線導体。
【請求項7】
前記最外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数と、前記第1外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数と、前記第2外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数を同じとするとともに、前記最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数の半分の数としたことを特徴とする請求項2記載の撚線導体。
【請求項8】
前記最外層部と前記第1外層部と前記第2外層部を、夫々2層で構成したことを特徴とする請求項7記載の撚線導体。
【請求項9】
前記最外層部と前記第1外層部と前記第2外層部を、夫々3層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、
前記第1外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、
前記第2外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとしたことを特徴とする請求項7記載の撚線導体。
【請求項10】
前記最外層部を3層で構成し、前記第1外層部と前記第2外層部を、夫々2層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとしたことを特徴とする請求項7記載の撚線導体。
【請求項11】
前記最外層部と前記第1外層部を夫々3層で構成し、前記第2外層部を2層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、
前記第1外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとしたことを特徴とする請求項7記載の撚線導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撚線導体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電線市場において、電線及びケーブルの細径化、軽量化、高機能化の観点から、断面が円形状に近い撚線導体が求められている。
【0003】
撚線導体に用いられる線材として、裸銅線、錫メッキ線、ニッケルメッキ線、銀メッキ線、アルミ線、合金線、リッツ線、無酸素銅線、線形結晶無酸素銅線、単結晶状高純度無酸素銅線などが使用される。
【0004】
撚線導体の外形を、円形状に近い形成したものとして、
図18,
図19に示すように、外層101を複数層で構成し、各層102,103,104,105を構成する素線102a,103a,104a,105aは、同一円周上に配設されるとともに、全て同じ数で構成されている。また、一つの層102,103,104を構成する素線102a,103a,104aの直径は、その内側に位置する層103,104,105を構成する素線103a,104a,105aの直径より大きくした撚線導体110,111が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1において、撚線導体110,111の形状を安定化させるには、外層101を構成する層の数を増やすことが望ましく、
図18の撚線導体110より
図19の撚線導体111の方が、形状が安定化する。
【0007】
層の数を増やすと、撚線導体110,111を構成する素線の総数が増加し、生産効率の低下や製造コストの増加という問題点が生じる。
【0008】
そこで、撚線導体の形状を安定化させつつ、構成する素線の総数を削減できる撚線導体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本願発明は、少なくとも、最外層部と、該最外層部の径方向内側に設けた第1外層部を有する撚り線導体であって、
前記最外層部と、前記第1外層部において、その一つの層を構成する素線の直径を全て同じとし、
前記最外層部と前記第1外層部を、夫々複数層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数と、前記第1外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、
前記最外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数を、前記最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数の半分の数とし、
前記最外層部と、前記第1外層部において、その一つの層を構成する素線を同一円周上に配設するとともに、周方向に隣り合う素線は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設し、
径方向の最も外側に位置する層以外で、かつ、前記最外層部、及び、前記第1外層部の一つの層を構成する素線は、その一つの層における一つ外側に位置する層を構成し、かつ、隣り合う素線で構成される内側の谷間部において、その隣り合う両素線に当接し、
前記第1外層部を構成する各素線の径を、前記最外層部を構成する各素線の径より細くしたことを特徴とするものである。
【0010】
また、最外層部と、該最外層部の径方向内側に設けた第1外層部と、該第1外層部の径方向内側に設けた第2外層部を有し、
前記最外層部と、前記第1外層部と、前記第2外層部において、その一つの層を構成する素線の直径を全て同じとし、
前記第2外層部を複数層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数と、前記第1外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数と、前記第2外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、
前記第1外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数を、前記最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数の半分の数とし、
前記最外層部、及び、前記第1外層部、及び、前記第2外層部において、その一つの層を構成する素線を同一円周上に配設するとともに、周方向に隣り合う素線は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設し、
径方向の最も外側に位置する層以外で、かつ、前記最外層部、及び、前記第1外層部、及び、前記第2外層部の一つの層を構成する素線は、その一つの層における一つ外側に位置する層を構成し、かつ、隣り合う素線で構成される内側の谷間部において、その隣り合う両素線に当接し、
前記第2外層部を構成する各素線の径を、前記第1外層部を構成する各素線の径より細くしてもよい。
【0011】
また、前記最外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数と、前記第1外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数を同じとするとともに、前記最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数の半分の数としてもよい。
【0012】
また、前記最外層部と前記第1外層部を、夫々2層で構成してもよい。
【0013】
また、前記最外層部と前記第1外層部を、夫々3層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、
前記第1外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとしてもよい。
【0014】
また、前記最外層部を、3層で構成し、前記第1外層部を2層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとしてもよい。
【0015】
また、前記最外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数と、前記第1外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数と、前記第2外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数を同じとするとともに、前記最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数の半分の数としてもよい。
【0016】
また、前記最外層部と前記第1外層部と前記第2外層部を、夫々2層で構成してもよい。
【0017】
また、前記最外層部と前記第1外層部と前記第2外層部を、夫々3層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、
前記第1外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、
前記第2外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとしてもよい。
【0018】
また、前記最外層部を3層で構成し、前記第1外層部と前記第2外層部を、夫々2層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとしてもよい。
【0019】
また、前記最外層部と前記第1外層部を夫々3層で構成し、前記第2外層部を2層で構成し、
前記最外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、
前記第1外層部の最も外側に位置する層と、その内側に位置する層を構成する素線の数を同じとしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本願発明によれば、少なくとも、最外層部と、最外層部の径方向内側に設けた第1外層部を有し、最外層部と、第1外層部において、その一つの層を構成する素線の直径を全て同じとし、最外層部と前記第1外層部を、夫々複数層で構成し、最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数と、第1外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数を同じとし、最外層部の最も内側に位置する層を構成する素線の数を、最外層部の最も外側に位置する層を構成する素線の数の半分の数とし、最外層部と、第1外層部において、その一つの層を構成する素線を同一円周上に配設するとともに、周方向に隣り合う素線は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設し、径方向の最も外側に位置する層以外で、かつ、最外層部、及び、第1外層部の一つの層を構成する素線は、その一つの層における一つ外側に位置する層を構成し、かつ、隣り合う素線で構成される内側の谷間部に当接したことにより、形状を安定化させつつ、上記従来技術より構成する素線の総数を減らすことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例1に係る撚線導体の横断面図。
【
図2】本発明の実施例3に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【
図3】本発明の実施例3に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
【
図4】本発明の実施例3に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
【
図5】本発明の実施例3に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
【
図6】本発明の実施例4に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【
図7】本発明の実施例4に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
【
図8】本発明の実施例4に係る撚線導体の他例を示す横断面図。
【
図9】本発明の実施例5に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【
図10】本発明の実施例6に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【
図11】本発明の実施例7に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【
図12】本発明の実施例8に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【
図13】本発明の実施例9に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【
図14】本発明の実施例10に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【
図15】本発明の実施例11に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【
図16】本発明の実施例13に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【
図17】本発明の実施例14に係る撚線導体の一例を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0023】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る撚線導体1の軸方向と直交する方向に切断した横断面図で、その各素線の断面を示す斜線は、図の煩雑を避けるために省略した。
【0024】
撚線導体1は、最外層第1素線21、最外層第2素線22、第1外層第1素線31、第1外層第2素線32、中心線51の5種類の素線で構成されている。
【0025】
最外層第1素線21と第1外層第1素線31は、夫々12本、最外層第2素線22と第1外層第2素線32は、夫々、最外層第1素線21の数の半分の6本で構成されている。
【0026】
各素線21,22,31,32,51の基となる線材としては、裸銅線、無酸素銅線、線形結晶無酸素銅線、単結晶状高純度無酸素銅線等の銅線、この銅線に、錫、ニッケル、銀等をメッキしたもの、アルミ線、各種合金線、及び、エナメル線、リッツ線、ホルマル線等の絶縁被覆されたもの等を使用することができる。各素線21,22,31,32,51の素材は、同じ素材を用いてもよいし、異なる素材を用いてもよい。
【0027】
撚線導体1は、
図1に示すように、最外層第1層20aと最外層第2層20bの2層で構成された最外層部20と、第1外層第1層30aと第1外層第2層30bの2層で構成された第1外層部30を備えている。第1外層部30は、最外層部20における撚線導体1の径方向内側に設けられ、第1外層部30における撚線導体1の径方向内側には、内層部50を構成する1本の中心線51が配設されている。
【0028】
最外層第1層20aは、
図1に示すように、12本の最外層第1素線21を同一円周上に配置して構成されている。最外層第1層20aは、断面円形で、全て同一の直径の最外層第1素線21で構成されている。また、撚線導体1の中心を中心とする周方向に隣り合う最外層第1素線21,21は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0029】
最外層第2層20bは、最外層第1層20aにおける撚線導体1の径方向内側に設けられている。最外層第2層20bは、
図1に示すように、6本の最外層第2素線22を同一円周上に配置して構成されている。最外層第2層20bは、断面円形で、全て同一の直径の最外層第2素線22で構成されている。
【0030】
撚線導体1の中心を中心とする周方向に隣り合う最外層第2素線22,22は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。最外層第2素線22は、撚線導体1の中心を中心とする周方向に隣り合う最外層第1素線21,21で構成される内側の谷間部25に、最外層第2素線22の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0031】
最外層第2素線22の直径d22は、最外層第1素線21の直径d21と同じ形成されている。
【0032】
第1外層第1層30aは、最外層第2層20bにおける撚線導体1の径方向内側に設けられている。第1外層第1層30aは、
図1に示すように、12本の第1外層第1素線31を同一円周上に配置して構成されている。第1外層第1層30aは、断面円形で、全て同一の直径の第1外層第1素線31で構成されている。
【0033】
撚線導体1の中心を中心とする周方向に隣り合う第1外層第1素線31,31は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。周方向に隣り合う2本の第1外層第1素線31,31は、撚線導体1の中心を中心とする周方向に隣り合う最外層第2素線22,22で構成される内側の谷間部26に、第1外層第1素線31の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0034】
第1外層第1素線31の直径d31は、最外層第2素線22の直径d22より細く形成されている。
【0035】
第1外層第2層30bは、第1外層第1層30aにおける撚線導体1の径方向内側に設けられている。第1外層第2層30bは、
図1に示すように、6本の第1外層第2素線32を同一円周上に配置して構成されている。第1外層第2層30bは、断面円形で、全て同一の直径の第1外層第2素線32で構成されている。
【0036】
撚線導体1の中心を中心とする周方向に隣り合う第1外層第2素線32,32は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。第1外層第2素線32は、撚線導体1の中心を中心とする周方向に隣り合う第1外層第1素線31,31で構成される内側の谷間部35に、第1外層第2素線32の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0037】
第1外層第2素線32の直径d32は、第1外層第1素線31の直径d31と同じに形成されている。すなわち、第1外層部30を構成する各素線31,32の径d31,d32は、最外層部20を構成する各素線21,22の径d21,d22より細く形成されている。
【0038】
1本の中心線51は、第1外層第2層30bにおける撚線導体1の径方向内側に、6本の第1外層第2素線32と当接するように設けられている。
【0039】
本実施例1では、中心線51を直径d5とすると、d22=d21,d3=0.215×d21,d31=d21,d32=d21,d51=d3の関係が成立する各素線21,22,31,32,51を用いた。
【0040】
また、撚線導体1の断面形状が、略真円形状、つまり、撚線導体1の中心から、最外層第1層20aを構成する各最外層第1素線21の最外縁端までの距離L1が、略同一となるように形成されている。
【0041】
本願発明の撚線導体1は、上記の構造を有しているために、次のような作用、効果を奏する。
【0042】
撚線導体1の外形形状を圧縮することなく、略真円形状とし、かつ、素線21,22,31,32,51が、隣接する略全ての素線21,22,31,32,51と接触することができる。また、撚線導体1の外形を圧縮することなく略真円形状とすることができる。
【0043】
また、最外層第2層20bを構成する素線22の数を、最外層第1層20aを構成する素線21の数の半分とし、第1外層第2層30bを構成する素線32の数を、第1外層第1層30aを構成する素線31の数の半分としたことで、本発明の撚線導体1を構成する素線の総数は、上記従来技術の撚線導体を構成する素線の総数より少なくすることが出来、上記従来技術よりも、生産効率を高め、製造コストを低減できる。
【0044】
撚線導体1の外形を圧縮することなく略真円形状としたことで、各素線21,22,31,32,51は、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性を損うことがなく、物理特性を維持することができる。そのため、撚線導体1は、信頼性の高い品質を得ることができ、自動車用電線分野や、音響電線分野等において有効に活用することができる。
【0045】
[実施例2]
上記実施例1の撚線導体1を構成する素線を、最外層第2層20bを構成する素線22の数を、最外層第1層20aを構成する素線21の数の半分とし、第1外層第2層30bを構成する素線32の数を、第1外層第1層30aを構成する素線31の数の半分とするとともに、第1外層部30を構成する各素線31,32の径d31,d32を、最外層部20を構成する各素線21,22の径d21,d22より細く形成して撚線導体1を構成すれば、上記実施例1に記載の径を有する素線以外にも任意の素線を用いて撚線導体を構成することができる。また、撚線導体において最も外側に位置する層である最外層第1層20aの外側から圧縮ダイス等により、圧縮してもよい。
【0046】
この圧縮により、最外層第1層20aを構成する最外層第1素線21の外周部は、圧縮変形され、撚線導体の外形形状をより真円形状に近づけることができる。圧縮ダイス等による圧縮は、撚線導体を製造する際に行っても良いし、撚線導体を製造した後に行っても良い。なお、圧縮率に関しては、任意に設定する。
【0047】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるため説明を省略する。
【0048】
本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用効果を発揮することができる。
【0049】
[実施例3]
上記実施例1,2においては、最外層第1素線21と第1外層第1素線31は、夫々12本、最外層第2素線22と第1外層第2素線32は、夫々、最外層第1素線21の数の半分の6本で構成したが、最外層第1素線21と第1外層第1素線31の数を同じとし、最外層第2素線22と第1外層第2素線32を、夫々、最外層第1素線21の数の半分とするとともに、最外層第1素線21と第1外層第1素線31を、10本以上の偶数本とすれば、素線21,22,31,32,51の数は、夫々任意の数に設定することができる。
【0050】
最外層第1素線21、最外層第2素線22、第1外層第1素線31、第1外層第2素線32、中心線51は、上記実施例1,2と同様の規則性で配列されている。
【0051】
第1外層部30を構成する各素線31,32の径d31,d32は、最外層部20を構成する各素線21,22の径d21,d22より細く形成されている。
【0052】
例えば、図示しない、最外層第1素線21と第1外層第1素線31を、夫々10本、最外層第2素線22と第1外層第2素線32を、夫々、最外層第1素線21の数の半分の5本で構成した撚線導体の場合には、d22=0.875×d21,d31=0.15×d21,d32=0.13×d1,d51=0.09×d21の関係が成立する各素線21,22,31,32,51の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0053】
また、
図2に示すように、最外層第1素線21と第1外層第1素線31を、夫々14本、最外層第2素線22と第1外層第2素線32を、夫々、最外層第1素線21の数の半分の7本で構成した撚線導体2の場合には、d22=1.1×d21,d31=0.27×d21,d32=0.30×d21,d51=0.39×d21の関係が成立する各素線21,22,31,32,51の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体2の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0054】
また、
図3に示すように、最外層第1素線21と第1外層第1素線31を、夫々16本、最外層第2素線22と第1外層第2素線32を、夫々、最外層第1素線21の数の半分の8本で構成した撚線導体3の場合には、d22=1.18×d21,d31=0.32×d21,d32=0.38×d21,d51=0.615×d11の関係が成立する各素線21,22,31,32,51の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体3の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0055】
また、
図4に示すように、最外層第1素線21と第1外層第1素線31を、夫々18本、最外層第2素線22と第1外層第2素線32を、夫々、最外層第1素線21の数の半分の9本で構成した撚線導体4の場合には、d22=1.25×d21,d31=0.365×d21,d32=0.455×d21,d51=0.875×d21の関係が成立する各素線21,22,31,32,51の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体4の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0056】
また、
図5に示すように、最外層第1素線21と第1外層第1素線31を、夫々20本、最外層第2素線22と第1外層第2素線32を、夫々、最外層第1素線21の数の半分の10本で構成した撚線導体5の場合には、d22=1.305×d21,d31=0.405×d21,d32=0.53×d21,d51=1.185×d21の関係が成立する各素線21,22,31,32,51の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体5の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0057】
その他の構造は、上記実施例1,2と同様であるため説明を省略する。
【0058】
本実施例3においても、上記実施例1,2と同様の作用効果を発揮することができる。
【0059】
[実施例4]
上記実施例1乃至3においては、最外層部20を2層、第1外層部30を、夫々2層で構成したが、最外層部20と第1外層部30を構成する層の数は、複数であれば任意の数に設定することが出来る。
【0060】
最外層部を構成する各層の素線の数を全て同じとする。また、最外層部を構成する各層は、全て同一の直径からなる素線を同一円周上に配置して構成されている。また、最外層部において、撚線導体の径方向の最も内側に位置する層を構成する素線の数は、撚線導体の径方向の最も外側に位置する層を構成する素線の数の半分で構成されている。最外層部において撚線導体の径方向の最も内側に位置する層以外を構成する素線の数は、撚線導体の径方向の最も外側に位置する層を構成する素線の数と同じとなるように構成されている。
【0061】
また、最外層部を構成する各層において、撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う最素線は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において、当接するように配設されている。
【0062】
第1外層部を構成する各層の素線の数を全て同じとする。また、第1外層部を構成する各層は、全て同一の直径からなる素線を同一円周上に配置して構成されている。また、第1外層部において、撚線導体の径方向の最も内側に位置する層を構成する素線の数は、撚線導体の径方向の最も外側に位置する層を構成する素線の数の半分で構成されている。第1外層部において、撚線導体の径方向の最も内側に位置する層以外を構成する素線の数は、撚線導体の径方向の最も外側に位置する層を構成する素線の数と同じとなるように構成されている。
【0063】
また、第1外層部を構成する各層において、撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う最素線は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において、当接するように配設されている。
【0064】
最外層部を構成する層の数と、第1外層部を構成する層の数は、同じ数であることが好ましい。
【0065】
最外層部を構成し、撚線導体の径方向の最も外側に位置する層以外の一つの層を構成する素線は、その一つの層における一つ外側に位置する層を構成し、かつ、隣り合う素線で構成される内側の谷間部に当接するようになっている。また、第1外層部の一つの層を構成する素線は、その一つの層における一つ外側に位置する層を構成し、かつ、隣り合う素線で構成される内側の谷間部に当接するようになっている。
【0066】
例えば、
図6~
図8に示すように、最外層部60を、最外層第1素線61で構成された最外層第1層60aと、その撚線導体6,7,8の径方向内側に設けられ、かつ、最外層第2素線62で構成された最外層第2層60bと、その撚線導体6,7,8の径方向内側に設けられ、かつ、最外層第3素線63で構成された最外層第3層60cの3層で構成する。
【0067】
また、第1外層部70を、第1外層第1素線71で構成された第1外層第1層70aと、その撚線導体6,7,8の径方向内側に設けられ、かつ、第1外層第2素線72で構成された第1外層第2層70bと、その撚線導体1の径方向内側に設けられ、かつ、第1外層第3素線73で構成された第1外層第3層70cの3層で構成する。第1外層部70の第1外層第3層70cにおける撚線導体6,7,8の径方向内側に、内層部90を構成する1本の中心線91が配設する。
【0068】
最外層第1素線61と最外層第2素線62は同じ本数で構成し、最外層第3素線63の数を、最外層第1素線61の半分で構成する。
【0069】
最外層第1層60aは、上記実施例1乃至3の最外層第1層20aと同様に構成し、最外層第3層60cは、上記実施例1乃至3の最外層第1層20bと同様に構成する。
【0070】
最外層第2層60bは、最外層第2素線62を同一円周上に配置して構成されている。最外層第2層60bは、断面円形で、全て同一の直径の最外層第2素線62で構成されている。また、撚線導体6,7,8の中心を中心とする周方向に隣り合う最外層第2素線62,62は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0071】
撚線導体6,7,8の中心を中心とする周方向に隣り合う最外層第2素線62,62は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。最外層第2素線62は、撚線導体6,7,8の中心を中心とする周方向に隣り合う最外層第1素線61,61で構成される内側の谷間部65に、最外層第2素線62の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0072】
最外層第3素線63は、撚線導体6,7,8の中心を中心とする周方向に隣り合う最外層第2素線62,62で構成される内側の谷間部66に、最外層第3素線63の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0073】
最外層第1素線61と第1外層第1素線71と第1外層第2素線72は同じ本数で構成し、第1外層第3素線73の数を、最外層第1素線61の半分で構成する。
【0074】
第1外層第1層70aは、上記実施例1乃至3の第1外層第1層30aと同様に構成し、第1外層第3層70cは、上記実施例1乃至3の第1外層第1層30bと同様に構成する。
【0075】
第1外層第2層70bは、第1外層第2素線72を同一円周上に配置して構成されている。第1外層第2層70bは、断面円形で、全て同一の直径の第1外層第2素線72で構成されている。また、撚線導体6,7,8の中心を中心とする周方向に隣り合う第1外層第2素線72,72は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0076】
周方向に隣り合う2本の第1外層第2素線71,71は、撚線導体6,7,8の中心を中心とする周方向に隣り合う最外層第3素線63,63で構成される内側の谷間部67に、第1外層第2素線71の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0077】
撚線導体6,7,8の中心を中心とする周方向に隣り合う第1外層第2素線72,72は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。第1外層第2素線72は、撚線導体6,7,8の中心を中心とする周方向に隣り合う第1外層第1素線71,71で構成される内側の谷間部75に、第1外層第2素線72の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0078】
第1外層第3素線73は、撚線導体6,7,8の中心を中心とする周方向に隣り合う第1外層第2素線72,72で構成される内側の谷間部76に、第1外層第3素線73の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0079】
例えば、
図6に示すように、最外層第1素線61と最外層第2素線62と第1外層第1素線71と第1外層第2素線72を、夫々16本、最外層第3素線63と第1外層第3素線73を、夫々、最外層第1素線61の数の半分の8本で構成した撚線導体6、最外層第1素線61の直径をd61、最外層第2素線62の直径をd62、最外層第3素線63の直径をd63、第1外層第1素線71の直径をd71、第1外層第2素線72の直径をd72、第1外層第3素線73の直径をd73、中心線91の直径をd91とした場合には、d62=0.71×d61,d63=0.84×d61,d71=0.225×d61,d72=0.16×d61,d73=0.19×d61,d91=0.305×d61の関係が成立する各素線61,62,63,71,72,73,91の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体6の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0080】
また、
図7に示すように、最外層第1素線61と最外層第2素線62と第1外層第1素線71と第1外層第2素線72を、夫々18本、最外層第3素線63と第1外層第3素線73を、夫々、最外層第1素線61の数の半分の9本で構成した撚線導体7の場合には、d62=0.735×d61,d63=0.92×d61,d71=0.27×d61,d72=0.20×d61,d73=0.25×d61,d91=0.48×d61の関係が成立する各素線61,62,63,71,72,73,91の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体7の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0081】
また、
図8に示すように、最外層第1素線61と最外層第2素線62と第1外層第1素線71と第1外層第2素線72を、夫々20本、最外層第3素線63と第1外層第3素線73を、夫々、最外層第1素線61の数の半分の10本で構成した撚線導体8の場合には、d62=0.76×d61,d63=0.995×d61,d71=0.31×d61,d72=0.235×d61,d73=0.305×d61,d91=0.68×d61の関係が成立する各素線61,62,63,71,72,73,91の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体8の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0082】
その他の構造は、上記実施例1乃至3と同様であるため説明を省略する。
【0083】
本実施例4においても、上記実施例1乃至3と同様の作用効果を発揮することができる。
【0084】
[実施例5]
上記実施例4の撚線導体6,7,8の第1外層部70を、第1外層第1層70aと、第1外層第2層70bと、第1外層第3層70cの3層で構成したが、例えば、
図9に示すように、第1外層第1層70aと、第1外層第3層70cの2層で構成した撚線導体9とするようにしてもよい。
【0085】
第1外層第3素線73は、撚線導体9の中心を中心とする周方向に隣り合う第1外層第1素線71,71で構成される内側の谷間部75に、第1外層第3素線73の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0086】
例えば、
図9に示すように、最外層第1素線61と最外層第2素線62と第1外層第1素線71を、夫々26本、最外層第3素線63と第1外層第3素線73を、夫々、最外層第1素線61の数の半分の13本で構成した撚線導体9の場合には、d62=0.81×d61,d63=1.165×d61,d71=0.405×d61,d73=0.58×d61,d91=1.84×d61の関係が成立する各素線61,62,63,71,73,91の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体9の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0087】
その他の構造は、上記実施例4と同様であるため説明を省略する。
【0088】
本実施例5においても、上記実施例1乃至4と同様の作用効果を発揮することができる。
【0089】
[実施例6]
本実施例6は、上記実施例4の撚線導体6,7,8の第1外層部70の第1外層第3層70cを、設けない実施例であり、上記実施例4の撚線導体6,7,8の第1外層部70を、第1外層第1層70aと、第1外層第2層70bと、第1外層第3層70cの3層で構成したが、第1外層第1層70aと、第1外層第2層70bの2層で構成するようにしてもよい。
【0090】
例えば、
図10に示すように、最外層第1素線61と最外層第2素線62と第1外層第1素線71と第1外層第2素線72を、夫々16本、最外層第3素線63を、夫々、最外層第1素線61の数の半分の8本で構成した撚線導体10の場合には、d62=0.71×d61,d63=0.84×d61,d71=0.225×d61,d73=0.16×d61,d91=1.66×d61の関係が成立する各素線61,62,63,71,72,91の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体10の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0091】
その他の構造は、上記実施例4と同様であるため説明を省略する。
【0092】
本実施例5においても、上記実施例1乃至5と同様の作用効果を発揮することができる。
【0093】
[実施例7]
本実施例7は、上記実施例1乃至3の撚線導体1,2,3,4,5の第1外層部30における撚線導体の径方向内側に第2外層部40を設けた実施例である。
【0094】
本実施例の最外層部20と、第1外層第1層は30、上記実施例1乃至3の撚線導体1,2,3,4,5の最外層部20と第1外層部30と同様に構成されている。
【0095】
第2外層部40は、第2外層第1層40aと、第2外層第1層40aにおける撚線導体の径方向内側に設けられた第2外層第2層40bの2層で構成されている。第2外層部30における撚線導体の径方向内側に、内層部50を構成する1本の中心線51が配設されている。
【0096】
第2外層第1層40aは、第1層第2層30bにおける撚線導体の径方向内側に設けられている。第2外層第1層40aは、例えば、
図11に示すように、第2外層第1素線41を同一円周上に配置して構成されている。第2外層第1層40aは、断面円形で、全て同一の直径の第2外層第1素線41で構成されている。
【0097】
撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う第2外層第1素線41,41は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。第2外層第1素線41は、撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う第1外層第2素線32,32で構成される内側の谷間部36に、第2外層第1素線41の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0098】
第2外層第2層40bは、第2外層第1層40aにおける撚線導体の径方向内側に設けられている。第2外層第2層40bは、例えば、
図11に示すように、第2外層第2素線42を同一円周上に配置して構成されている。第2外層第2層40bは、断面円形で、全て同一の直径の第2外層第2素線42で構成されている。
【0099】
撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う第2外層第2素線42,42は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。第2外層第2素線42は、撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う第2外層第1素線41,41で構成される内側の谷間部45に、第2外層第2素線42の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0100】
第2外層部40を構成する各素線41,42の径d41,d42は、第1外層部30を構成する各素線31,32の径d31,d32より細く形成されている。
【0101】
内層部50を構成する1本の中心線51は、第2外層第2層40bにおける撚線導体の径方向内側に、各第2外層第2素線42と当接するように設けられている。
【0102】
例えば、
図11に示すように、最外層第1素線21と第1外層第1素線31と第2外層第1素線41を、夫々26本、最外層第2素線22と第1外層第2素線32と第2外層第2素線42を、夫々、最外層第1素線21の数の半分の13本で構成した撚線導体11の場合には、d22=1.435×d21,d31=0.50×d21,d32=0.72×d21,d41=0.25×d21,d42=0.36×d21,d51=1.145×d21の関係が成立する各素線21,22,31,32,41,42,51の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体11の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0103】
その他の構造は、上記実施例1乃至3と同様であるため説明を省略する。
【0104】
本実施例7においても、上記実施例1乃至3と同様の作用効果を発揮することができる。
【0105】
[実施例8]
本実施例8は、上記実施例4の撚線導体6,7,8の第1外層部70における撚線導体の径方向内側に第2外層部80を設けた実施例である。
【0106】
本実施例の最外層部60と、第1外層第1層は70、上記実施例4の撚線導体6,7,8の最外層部60と第1外層部70と同様に構成されている。
【0107】
第2外層部80は、第2外層第1層80aと、第2外層第1層80aにおける撚線導体の径方向内側に設けられた第2外層第2層80bと、第2外層第2層80bにおける撚線導体の径方向内側に設けられた第2外層第3層80cの3層で構成されている。第2外層部80における撚線導体の径方向内側に、内層部90を構成する1本の中心線91が配設されている。
【0108】
第2外層第1層80aは、第1層第3層70cにおける撚線導体の径方向内側に設けられている。第2外層第1層80aは、例えば、
図12に示すように、第2外層第1素線81を同一円周上に配置して構成されている。第2外層第1層80aは、断面円形で、全て同一の直径の第2外層第1素線81で構成されている。
【0109】
撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う第2外層第1素線81,81は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。第2外層第1素線81は、撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う第1外層第3素線73,73で構成される内側の谷間部77に、第2外層第1素線81の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0110】
第2外層第2層80bは、第2外層第1層80aにおける撚線導体の径方向内側に設けられている。第2外層第2層80bは、例えば、
図12に示すように、第2外層第2素線82を同一円周上に配置して構成されている。第2外層第2層80bは、断面円形で、全て同一の直径の第2外層第2素線82で構成されている。
【0111】
撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う第2外層第2素線82,82は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。第2外層第2素線82は、撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う第2外層第1素線81,81で構成される内側の谷間部85に、第2外層第2素線82の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0112】
第2外層第3層80cは、第2外層第2層80bにおける撚線導体の径方向内側に設けられている。第2外層第3層80cは、例えば、
図12に示すように、第2外層第3素線83を同一円周上に配置して構成されている。第2外層第3層80cは、断面円形で、全て同一の直径の第2外層第3素線83で構成されている。
【0113】
撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う第2外層第3素線83,83は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設されている。第2外層第3素線83は、撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う第2外層第2素線82,82で構成される内側の谷間部86に、第2外層第3素線83の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0114】
第2外層部80を構成する各素線81,82,83の径d81,d82,d83は、第1外層部70を構成する各素線71,72,73の径d71,d72,d73より細く形成されている。
【0115】
内層部90を構成する1本の中心線91は、第2外層第3層80cにおける撚線導体の径方向内側に、各第2外層第3素線83と当接するように設けられている。
【0116】
例えば、
図12に示すように、最外層第1素線61と最外層第2素線62と第1外層第1素線71と第1外層第2素線72と第2外層第1素線81と第2外層第2素線82を、夫々26本、最外層第3素線63と第1外層第3素線73と第2外層第3素線83を、夫々、最外層第1素線61の数の半分の13本で構成した撚線導体12の場合には、d62=0.81×d61,d63=1.165×d61,d71=0.405×d61,d72=0.325×d61,d73=0.465×d61,d81=0.16×d61,d82=0.13×d61,d83=0.185×d61,d91=0.585×d61の関係が成立する各素線61,62,63,71,72,73,81,82,83,91の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体12の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0117】
その他の構造は、上記実施例4と同様であるため説明を省略する。
【0118】
本実施例8においても、上記実施例4と同様の作用効果を発揮することができる。
【0119】
[実施例9]
上記実施例8の撚線導体12の第2外層部80を、第2外層第1層80aと、第2外層第2層80bと、第2外層第3層80cの3層で構成したが、例えば、
図13に示すように、第2外層第1層80aと、第2外層第3層80cの2層で構成するようにしてもよい。
【0120】
第2外層第3素線83は、撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う第2外層第1素線81,81で構成される内側の谷間部85に、第2外層第3素線83の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0121】
例えば、
図13に示すように、最外層第1素線61と最外層第2素線62と第1外層第1素線71と第1外層第2素線72と第2外層第1素線81を、夫々26本、最外層第3素線63と第1外層第3素線73と第2外層第3素線83を、夫々、最外層第1素線61の数の半分の13本で構成した撚線導体12の場合には、d62=0.81×d61,d63=1.165×d61,d71=0.405×d61,d72=0.325×d61,d73=0.465×d61,d81=0.16×d61,d83=0.23×d61,d91=0.74×d61の関係が成立する各素線61,62,63,71,72,73,81,83,91の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体13の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0122】
その他の構造は、上記実施例4と同様であるため説明を省略する。
【0123】
本実施例5においても、上記実施例1乃至4と同様の作用効果を発揮することができる。
【0124】
[実施例10]
上記実施例9の撚線導体13の第1外層部70を、第1外層第1層70aと、第1外層第2層70bと、第1外層第3層70cの3層で構成したが、例えば、
図14に示すように、第1外層第1層70aと、第1外層第3層70cの2層で構成するようにしてもよい。
【0125】
第1外層第3素線73は、撚線導体の中心を中心とする周方向に隣り合う第1外層第1素線71,71で構成される内側の谷間部75に、第1外層第3素線73の軸方向全体、又は、軸方向の一部において当接するように配設されている。
【0126】
例えば、
図14に示すように、最外層第1素線61と最外層第2素線62と第1外層第1素線71と第2外層第1素線81を、夫々26本、最外層第3素線63と第1外層第3素線73と第2外層第3素線83を、夫々、最外層第1素線61の数の半分の13本で構成した撚線導体12の場合には、d62=0.81×d61,d63=1.165×d61,d71=0.405×d61,d73=0.58×d61,d81=0.20×d61,d83=0.57×d61,d91=0.181×d61の関係が成立する各素線61,62,63,71,73,81,83,91の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体14の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0127】
その他の構造は、上記実施例9と同様であるため説明を省略する。
【0128】
本実施例10においても、上記実施例9同様の作用効果を発揮することができる。
【0129】
[実施例11]
本実施例11は、上記実施例8の撚線導体12の第2外層部80の最も内側の第2外層第3層80cを、設けない実施例であり、上記実施例8の撚線導体12の第2外層部80を、第2外層第1層80aと、第2外層第2層80bと、第2外層第3層80cの3層で構成したが、第2外層第1層80aと、第2外層第2層80bの2層で構成するようにしてもよい。
【0130】
例えば、
図15に示すように、最外層第1素線61と最外層第2素線62と第1外層第1素線71と第1外層第2素線72と第2外層第1素線81と第2外層第2素線82を、夫々26本、最外層第3素線63と第1外層第3素線73を、夫々、最外層第1素線61の数の半分の13本で構成した撚線導体15の場合には、d62=0.81×d61,d63=1.165×d61,d71=0.405×d61,d72=0.325×d61,d73=0.465×d61,d81=0.16×d61,d82=0.13×d61,d91=0.945×d61の関係が成立する各素線61,62,63,71,72,73,81,82,91の基となる線材を用いることで、非圧縮若しくは低い圧縮率で、撚線導体15の断面形状を略真円形状とするとことができる。
【0131】
その他の構造は、上記実施例8と同様であるため説明を省略する。
【0132】
本実施例11においても、上記実施例8と同様の作用効果を発揮することができる。
【0133】
[実施例12]
上記実施例1乃至11においては、撚線導体1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15の内層部50,90を、1本の中心線51,91で構成したが、複数の素線で構成してもよいし、任意の直径からなる複数本の素線や、カーボンファイバー等の任意の素材で構成された線材を配列するようにしてもよい。
【0134】
その他の構造は、上記実施例1乃至11と同様であるため説明を省略する。
【0135】
本実施例12においても、上記実施例1乃至11と同様の作用効果を発揮することができる。
【0136】
[実施例13]
上記実施例1乃至12の最外層部20,60の最も外側に位置する層20a,60aを構成し、かつ、周方向に隣接する素線21,21(61,61)と、その一つ内側に位置する層を構成し、かつ、周方向に隣接する素線の計4本の素線で形成される空隙94内に、例えば、
図16に示すように、素線や、カーボンファイバー等の任意の素材で構成された線材95を配列して撚線導体16を構成してもよい。
【0137】
その他の構造は、上記実施例1乃至12と同様であるため説明を省略する。
【0138】
本実施例13においても、上記実施例1乃至12と同様の作用効果を発揮することができる。
【0139】
[実施例14]
上記実施例1乃至13においては、撚線導体1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15の中心部に、内層部50,90を設けたが、この内層部50,90を設けず、
図17に示すように、撚線導体1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16の中心部に、中空状の中空部96を形成して撚線導体17を構成してもよい。
【0140】
その他の構造は、上記実施例1乃至13と同様であるため説明を省略する。
【0141】
本実施例14においても、上記実施例1乃至13と同様の作用効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0142】
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17 撚線導体
20,60 最外層部
20a,20b,60a,60b,60c 最外層部を構成する層
21,22,61,62,63 最外層部を構成する素線
30,70 第1外層部
30a,30b,70a,70b,70c 第1外層部を構成する層
31,32,71,72,73 第1外層部を構成する素線
40,80 第2外層部
40a,40b,80a,80b,80c 第2外層部を構成する層
41,42,81,82,83 第2外層部を構成する素線
【要約】
【課題】撚線導体の形状を安定化させつつ、構成する素線の総数を削減できる撚線導体を提供する。
【解決手段】
最外層部20と、第1外層部30において、その一つの層20a,20b,30a,30bを構成する素線21,22,31,32の直径を全て同じとし、最外層部20の最も内側に位置する層20bを構成する素線21の数を、最外層部20の最も外側に位置する層20bを構成する素線22の数の半分の数とし、最外層部20と、第1外層部30において、その一つの層20a,20b,30a,30bを構成する素線21,22,31,32を同一円周上に配設するとともに、周方向に隣り合う素線21,22,31,32は、その軸方向全体、又は、その軸方向の一部において当接するように配設した。
【選択図】
図1