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  • 特許-感熱記録体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】感熱記録体
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/333 20060101AFI20240118BHJP
   B41M 5/337 20060101ALI20240118BHJP
   B41M 5/42 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B41M5/333 220
B41M5/337 212
B41M5/337 214
B41M5/42 221
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023074599
(22)【出願日】2023-04-28
【審査請求日】2023-09-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】播摩 英伸
(72)【発明者】
【氏名】郷地 有治
(72)【発明者】
【氏名】藤井 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】藤本 かおり
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-217615(JP,A)
【文献】国際公開第2016/204215(WO,A1)
【文献】特開2013-188987(JP,A)
【文献】国際公開第2023/038131(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/333
B41M 5/337
B41M 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、感熱記録層が積層された感熱記録体であり、
前記感熱記録層は、顕色剤と、保存性向上剤と、無機顔料と、有機顔料とを含有し、
前記顕色剤として、下記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物を含有し、
【化1】
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を示す。nは0~3の整数を示す。)
前記保存性向上剤として、分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を含有する、感熱記録体。
【請求項2】
前記無機顔料として、シリカ顔料を含み、前記有機顔料として、中空粒子を含む、請求項に記載の感熱記録体。
【請求項3】
前記感熱記録層における、前記シリカ顔料と前記中空粒子の質量比(感熱記録層中のシリカ顔料の固形分質量/感熱記録層中の中空粒子の固形分質量)が10:90~90:10である、請求項に記載の感熱記録体。
【請求項4】
前記顕色剤として、4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホンを含有する請求項1からのいずれか1項に記載の感熱記録体。
【請求項5】
前記保存性向上剤として、下記式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の感熱記録体。
【化2】
(式(2)中、R14は炭素原子数4以下のアルキル基を、R15は炭素原子数4以下のアルキル基又はシクロヘキシル基をそれぞれ表す。複数のR14、R15は、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項6】
前記保存性向上剤として、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタンを含有する、請求項1からのいずれか1項に記載の感熱記録体。
【請求項7】
前記感熱記録体は、さらにトップコート層を備え、
前記基材上に、前記感熱記録層と、前記トップコート層とが、この順で積層され、
前記トップコート層は、滑剤を含有し、
前記滑剤として、ポリエチレンワックス及び/又はパラフィンワックスを含有する、請求項1からのいずれか1項に記載の感熱記録体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録体は、サーマルヘッド等の加熱によって化学反応により発色し、記録画像が得られるものであり、ファクシミリや自動券売機、科学計測機の記録用媒体としてだけではなく、小売店等のPOSシステムの感熱記録ラベル、レシート用紙等として広範な用途に使用されている。
【0003】
上記のように感熱記録体は広範に利用されている。このため、感熱記録体には様々な性能が求められる。例えば、水や高温に晒される等の過酷な環境下での長期保存時においても印字部の発色濃度を維持できる性能、すなわち耐水性や耐熱性等が求められる。
【0004】
過酷な環境下であっても発色性能や白紙部の耐熱性等に優れる感熱記録材料としては、例えば、感熱記録層中に顕色剤としてのウレアウレタン化合物と、4-ヒドロキシ-4’-ベンジルオキシジフェニルスルホンとを併用した感熱記録材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/204215号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の感熱記録材料は、光に長時間晒されたときの非印字部の黄変の起こりにくさ、すなわち耐光性に関する開示はなく、当該性能は不明であった。また、耐水性や、高温高湿条件下での長期保存時においても印字部の発色濃度を維持できる性能、すなわち耐湿熱性についても開示はなく、当該性能は不明であった。
【0007】
従って本発明の目的は、耐光性、耐水性、及び耐湿熱性に優れた感熱記録体を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、上記に加えて動感度にも優れた感熱記録体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下の事項を見出した。すなわち、
1.感熱記録層に顕色剤として式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物を含有し、さらに保存性向上剤として分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を含有することにより、耐光性、耐水性、及び耐湿熱性に優れる感熱記録体を提供することができること。
2.上記に加えて感熱記録層に顔料としてシリカ顔料及び/又は中空粒子を配合することにより、動感度にも優れる感熱記録体を提供することができること。
本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0010】
すなわち、本発明は基材上に、感熱記録層が積層された感熱記録体であり、上記感熱記録層は、顕色剤と、保存性向上剤と、無機顔料と、有機顔料とを含有し、上記顕色剤として、下記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物を含有し、上記保存性向上剤として、分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を含有する、感熱記録体を提供する。
【化3】
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を示す。nは0~3の整数を示す。)
【0012】
上記無機顔料として、シリカ顔料を含み、上記有機顔料として、中空粒子を含むことが好ましい。
【0013】
上記感熱記録層における、上記シリカ顔料と上記中空粒子の質量比(感熱記録層中のシリカ顔料の固形分質量/感熱記録層中の中空粒子の固形分質量)が10:90~90:10であることが好ましい。
【0014】
上記顕色剤として、4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホンを含有することが好ましい。
【0015】
上記保存性向上剤として、下記式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。
【化2】
(式(2)中、R14は炭素原子数4以下のアルキル基を、R15は炭素原子数4以下のアルキル基又はシクロヘキシル基をそれぞれ表す。複数のR14、R15は、同一であっても異なっていてもよい。)
【0016】
上記保存性向上剤として、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタンを含有することが好ましい。
【0017】
上記感熱記録体は、さらにトップコート層を備え、
上記基材上に、上記感熱記録層と、上記トップコート層とが、この順で積層され、
上記トップコート層は、滑剤を含有し、
上記滑剤として、ポリエチレンワックス及び/又はパラフィンワックスを含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、耐光性、耐水性、及び耐湿熱性に優れる感熱記録体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の感熱記録体の一実施形態を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において、「発色性」とは感熱記録体の加熱により非印字部(無地部)が黒色に変化する能力を意味する。また、各種保存条件下(例えば水、湿熱、可塑剤等に晒される環境下)においても、印字部の濃度(発色濃度)が低下しにくい能力を「印字保存性」と呼ぶことがある。すなわち本明細書において、印字部の耐水性、耐湿熱性、及び耐可塑剤性を包含する用語として「印字保存性」と使用することがある。
【0021】
[感熱記録体]
本発明の感熱記録体は、基材上に、少なくとも感熱記録層が積層された積層構造を有する。本発明の感熱記録体において、上記感熱記録層は少なくとも、顕色剤と、保存性向上剤とを含有する。
【0022】
本発明の感熱記録体は、上記顕色剤として、式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物を含有する。
【0023】
また、本発明の感熱記録体は、上記保存性向上剤として、分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を含有する。
【0024】
以下、本発明の感熱記録体の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明の感熱記録体の一実施形態を示す模式的な断面図である。
【0026】
本実施形態の感熱記録体1は、図1に示すように、シート状の基材2上に、下塗り層6、感熱記録層3、中間層4、及びトップコート層5が、この順で積層された積層構造を有する。
【0027】
(基材)
本実施形態において、基材2は、感熱記録体1の支持体として機能する。基材2は特に限定されず、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、クラフト紙、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙等の紙類、合成紙、及び不織布等の多孔質材料を用いることができる。また、透明の合成樹脂フィルム、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を用いることができる。
【0028】
上記基材2の厚みは特に限定されないが、例えば、10μm~100μm程度が塗工性及び透明性に優れ、好ましい。また、上記基材2の坪量は特に限定されないが、例えば、10g/m2~200g/m2程度が塗工性及び透明性に優れ、好ましい。
【0029】
(下塗り層)
本実施形態において、下塗り層6は、サーマルヘッドから与えられた熱の放散を防ぐ断熱性や、クッション性等の機能を有する。また、基材2と感熱記録層3との密着性を向上させる機能を有する。下塗り層6は特に限定されず、例えば、結着剤に、充填剤として中空粒子を添加することにより形成される。
【0030】
上記のような、断熱性を有する下塗り層6を感熱記録体1に設けることにより、印字の際にサーマルヘッドから与えられる熱の放散が抑制される。これによって印字の際の熱エネルギーが効率的に感熱記録層に与えられることとなるため、より少ない印字エネルギーで印字することができる。すなわち、断熱性を有する下塗り層を設けることで、印字の感度が向上する。このため、サーマルヘッドの印加電圧の上昇を抑制することができ、その結果として、サーマルヘッドの焼付きを抑制することができる。
【0031】
本実施形態において、下塗り層6に充填剤として添加される中空粒子の平均粒子径は特に限定されず、好ましくは0.1μm~100μmであり、より好ましくは0.2μm~20μmであり、さらに好ましくは0.3μm~5μmであり、特に好ましくは0.5μm~3μmである。このような範囲であれば、下塗り層6の断熱性向上の効果が十分得られ、かつ、均一に塗布しやすくなるため、乾燥後の表面が十分平滑なものとなる。ここで、平均粒子径とは、レーザー回折法により測定される重量平均粒子径である。レーザー回折法による平均粒子径の測定は、例えば、マイクロトラック・ベル社製の商品名「MT3300EX-II」を用いて行うことができる。
【0032】
上記中空粒子の中空率は特に限定されず、好ましくは30%~99%である。このような範囲であれば十分な断熱性が得られる。また、中空粒子は、その中空率が大きいほど、断熱効果が高くなる。このため、より少ない印字エネルギーでも有効に発色し得る。つまり、中空粒子の中空率が大きいほど、感熱記録体1の動感度が向上し、ひいては印字品質が向上すると考えられる。
【0033】
ここで、中空粒子の中空率は、次式で算出される。
中空率={(空隙の体積)/(中空粒子の体積)}×100
【0034】
本実施形態において、下塗り層6に含まれる中空粒子の含有割合は、下塗り層の固形分質量を100質量%としたときに、40質量%~90質量%が好ましい。40質量%以上であれば、下塗り層6の断熱性向上の効果が十分得られ、感熱記録体1の動感度がより向上するため好ましい。また、90質量%以下であれば、基材2と感熱記録層3との密着性が十分なものとなるため好ましい。
【0035】
なお、本明細書において「固形分質量」とは、塗液やその原料に含まれる水等の溶媒(揮発成分)を除いた不揮発性分(固形分)の質量をいうものとする。
【0036】
中空粒子を構成する材料は特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、例えば、スチレン-アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂等のポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、尿素-ホルマリン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂等が挙げられる。また、これらの中空粒子は、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0037】
本実施形態における下塗り層6の充填剤として、中空粒子以外を用いてもよい。例えば、焼成カオリン、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、活性白土、タルク、クレー、カオリナイト、ケイソウ土、ホワイトカーボン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ポリスチレン樹脂粒子、尿素-ホルマリン樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子等を挙げることができる。また、これらの充填剤は、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0038】
本実施形態における下塗り層6に含まれる結着剤は特に限定されず、例えば、変性スチレンブタジエンラテックス、アクリル-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリル-ブタジエン-スチレン共重合体、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0039】
また、上記以外の結着剤として、ポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド-アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド-アクリル酸エステル-メタクリル酸三元共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子を用いてもよい。また、これらの結着剤は、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0040】
本実施形態における下塗り層6の塗布量(乾燥重量)は特に限定されるものではないが、例えば1g/m2~10g/m2であり、好ましくは2g/m2~5g/m2である。
【0041】
本実施形態における下塗り層6の厚みは特に限定されるものではないが、例えば1μm~20μmであり、好ましくは2μm~10μmである。
【0042】
本実施形態における下塗り層6の塗布量、及び厚みが上記の範囲にある場合、下塗り層6の断熱性の機能がより好ましいものとなり、ひいては動感度がより向上するため好ましい。
【0043】
(感熱記録層)
本実施形態において、感熱記録層3は、サーマルヘッド等の加熱によって化学反応により発色し、感熱記録体1に記録画像を形成する層である。本実施形態において、感熱記録層3は少なくとも、顕色剤と、保存性向上剤とを含有する。また、上記感熱記録層は発色剤と顔料を含有することが好ましく、さらに必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
【0044】
本実施形態では、感熱記録層3は上記顕色剤として、少なくとも下記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物を含有する。
【化3】
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を示す。nは0~3の整数を示す。)
【0045】
上記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物は、加熱時にフェノール性水酸基が、例えば後述する染料にプロトンを供給して発色させると共に、染料と分子間水素結合を形成して、発色状態を維持すると考えられる。
【0046】
上記「置換基」としては、水素原子以外の基を特に限定なく使用することができ、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基等が挙げられる。
【0047】
上記「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。
【0048】
上記「アルキル基」及び「アルキル」としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ノルマルペンチル基、イソペンチル基、ターシャリーペンチル基、ネオペンチル基、2,3-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、ノルマルヘキシル基、イソヘキシル基、2-ヘキシル基、3-ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、ノルマルヘプチル基、ノルマルオクチル基、ノルマルノニル基、ノルマルデシル、ノルマルウンデシル基、ノルマルドデシル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~12個のアルキル基が挙げられる。
【0049】
上記「アルケニル基」としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、ペンテニル基、1-ヘキセニル基、3,3-ジメチル-1-ブテニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数2~6個のアルケニル基が挙げられる。
【0050】
上記「アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、セカンダリーブトキシ基、ターシャリーブトキシ基、ノルマルペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ターシャリーペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチルプロピルオキシ基、1-エチルプロピルオキシ基、1-メチルブチルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、ノルマルヘプチルオキシ基、ノルマルオクチルオキシ基等の直鎖又は分岐鎖状の炭素原子数1~8個のアルコキシ基が挙げられる。
【0051】
上記「アリール基」及び「アリール」としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の炭素数6~10個の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0052】
上記「ジアルキルアミノ基」において、2つのアルキル基は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0053】
上記式(1)で表される化合物としては、具体的には、4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4'-フェノキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4'-フェネチルオキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4'-(3-フェニルプロポキシ)ジフェニルスルホン等が挙げられる。中でも、4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホンが特に好ましい。
【0054】
本実施形態において、感熱記録層3の顕色剤全体の質量を100質量%としたときに、上記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物の質量は、50質量%よりも大きく、より好ましくは60質量%よりも大きく、さらに好ましくは70質量%よりも大きく、さらに好ましくは80質量%よりも大きく、特に好ましくは90質量%よりも大きく、最も好ましくは100質量%の場合である。この範囲にある場合、感熱記録体1の印字後の光学濃度が十分高くなり、ひいては印字保存性がより向上するため好ましい。
【0055】
本実施形態において、感熱記録層3は顕色剤として、上記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物を単独で含有していてもよく、2種以上の上記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物を含有していてもよい。
【0056】
本実施形態において、感熱記録層3は顕色剤として、上記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物以外の顕色剤(その他の顕色剤)を、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。
【0057】
その他の顕色剤としては、例えば、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2’-メチレンビス(4-クロロフェノール)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、ポリ(4-ヒドロキシ安息香酸)、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、α-{4-[(4-ヒドロキシフェニル)スルホニル]フェニル}-ω-ヒドロキシポリ(重合度n=1~7)(オキシエチレンオキシエチレンオキシ-p-フェニレンスルホニル-p-フェニレン)、3,5-ビス(α-メチルベンジル)サリチル酸、ビス[4-(n-オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]、4,4’-ビス(p-トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4-ヒドロキシベンゼンスルホンアニリド、2’-(3-フェニルウレイド)ベンゼンスルホンアニリド、N-(2-ヒドロキシフェニル)-2-[(4-ヒドロキシフェニル)チオ]アセトアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-[(4-ヒドロキシフェニル)チオ]アセトアミド、4-[[4-[4-[4-[[4-(1-メチルエトキシ)フェニル]スルホニルフェノキシ]ブトキシ]フェニル]スルホニル]フェノール、4-tert-ブチルフェノール・ホルムアルデヒド重縮合物、N-(p-トルエンスルホニル)-N’-(3-p-トルエンスルホニルオキシフェニル)ウレア、1-フェニル-3-(4-メチルフェニルスルホニル)ウレア等が挙げられる。
【0058】
本実施形態において、感熱記録層3の固形分質量を100質量%としたときに、上記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物の質量は、10質量%以上70質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましく、30質量%以上50質量%以下がさらに好ましく、35質量%以上45質量%以下が特に好ましい。上記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物の質量が10質量%以上であると、顕色剤の含有量が十分となり、印字後の光学濃度が十分高くなり、ひいては印字保存性がより向上するため好ましい。また70質量%以下であると、サーマルヘッドから与えられる熱が少なくても顕色剤が十分に溶融して発色できる。すなわち、動感度がより向上するため好ましい。
【0059】
本実施形態において、感熱記録層3は保存性向上剤として少なくとも、分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を含有する。
【0060】
上記分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物は、フェノール性水酸基が、空気酸化により生じるハイドロパーオキシラジカルを捕捉することにより、上記顕色剤や後述する発色剤の酸化分解を防止することができ、その結果、耐光性及び印字保存性を向上させると考えられる。
【0061】
上記分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物としては、中でも、下記式(2)で表される化合物が好ましい。
【化4】
【0062】
式(2)中、R14は炭素原子数4以下のアルキル基を、R15は炭素原子数4以下のアルキル基又はシクロヘキシル基をそれぞれ表す。複数のR14、R15は、同一であっても異なっていてもよい。
【0063】
上記式(2)で表される化合物としては、具体的には、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、トリス(2,6-ジメチル-4-t-ブチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等が挙げられる。中でも、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタンが特に好ましい。
【0064】
本実施形態において、感熱記録層3は保存性向上剤として、上記分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を単独で含有していてもよく、2種以上の上記分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を含有していてもよい。優れた耐光性や印字保存性を得るためにはフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を単独で含有することが好ましい。
【0065】
本実施形態において、感熱記録層3は保存性向上剤として、上記フェノール性水酸基を3個以上有する化合物以外の保存性向上剤(その他の保存性向上剤)を、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。
【0066】
上記のその他の保存性向上剤は特に限定されず、例えば、ナトリウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、4,4,ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、トリス(2,6-ジメチル-4-t-ブチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4-(2-メチルグリシルオキシ)-4’-ベンジルオキシジフェニルスルホン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ジエチルチオウレア、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、及び4,4’-チオビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)等が挙げられる。また、公知の界面活性剤を含有してもよい。これらの保存性向上剤は、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0067】
本実施形態において、感熱記録層3に含まれる保存性向上剤全体の質量を100質量%としたときの分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物の質量は、特に限定されないが、耐光性と印字保存性を向上させる観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上が特に好ましい。この範囲にある場合、感熱記録体1の耐光性及び印字保存性がより向上するため好ましい。
【0068】
本実施形態において、感熱記録層3の固形分質量を100質量%としたときに、分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物の質量は、0.1質量%以上40質量%以下が好ましく、0.5質量%以上35質量%以下がより好ましく、1質量%以上30質量%以下がさらに好ましく、3質量%以上25質量%以下がさらに好ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以上15質量%以下が特に好ましい。分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物の質量が0.1質量%以上である場合、本実施形態の感熱記録体1に、より優れた耐光性や印字保存性を付与できる点で好ましい。また、質量が40質量%以下である場合、耐熱性や耐湿熱性がより優れたものとなるため好ましい。
【0069】
本実施形態では、分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を感熱記録層3に含有させることによって、感熱記録体1の耐光性、耐水性、及び耐湿熱性が向上する。また、上記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物は、単独では耐光性が低い傾向にあるところ、上記分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物と組み合わせることによって、感熱記録体1の耐光性、耐水性、及び耐湿熱性が著しく向上する傾向を示す。
【0070】
本実施形態において、感熱記録層3に含まれる上記顕色剤全体の質量を100質量部としたときに、上記保存性向上剤全体の質量としては、2質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましく、20質量部以上がさらに好ましく、30質量部以上がさらに好ましく、40質量部以上が特に好ましい。この範囲にある場合、感熱記録体1の耐光性及び印字保存性がより向上するため好ましい。また、感熱記録層3に含まれる上記顕色剤全体の質量を100質量部としたときに、上記保存性向上剤全体の質量としては、100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましく、80質量部以下がさらに好ましく、70質量部以下がさらに好ましく、60質量部以下がさらに好ましく、50質量部以下が特に好ましい。この範囲にある場合、費用対効果の点で好ましい。
【0071】
本実施形態において、感熱記録層3は顔料を含有してもよい。顔料は特に限定されず、例えば、無機顔料や有機顔料が挙げられる。具体的には、無機顔料としては、シリカ顔料(主に二酸化ケイ素)、炭酸カルシウム、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、及び水酸化アルミニウム等を挙げることができる。中でも、シリカ顔料を含有すると動感度がより向上するため好ましい。また、有機顔料としては、中空粒子等を挙げることができ、中空粒子を含有すると動感度がより向上するため好ましい。これらの顔料は、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0072】
本実施形態において、感熱記録層3は無機顔料及び有機顔料を含有することが好ましい。中でもシリカ顔料及び中空粒子を含有することがより好ましい。これらを含有することにより、動感度がより向上する傾向にある。
【0073】
上記シリカ顔料の平均粒子径は特に限定されず、好ましくは0.01μm~100μmであり、より好ましくは0.05μm~20μmであり、さらに好ましくは0.1μm~5μmであり、特に好ましくは0.2μm~2μmである。このような範囲であれば、動感度がより向上し、かつ、均一に塗布しやすくなり乾燥後の表面が十分平滑なものとなるため好ましい。ここで、平均粒子径とは、レーザー回折法により測定される重量平均粒子径である。レーザー回折法による平均粒子径の測定は、例えば、マイクロトラック・ベル社製の商品名「MT3300EX-II」を用いて行うことができる。
【0074】
上記中空粒子を構成する材料は特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂である。上記熱可塑性樹脂は、例えば、スチレン-アクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、尿素-ホルマリン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂等のポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂からなる中空粒子は、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0075】
上記中空粒子の平均粒子径は特に限定されず、好ましくは0.1μm~100μmであり、より好ましくは0.2μm~20μmであり、さらに好ましくは0.5μm~5μmである。このような範囲であれば、断熱性向上の効果が十分得られることから動感度が向上し、かつ、均一に塗布しやすくなるため、乾燥後の表面が十分平滑なものとなる。ここで、平均粒子径とは、レーザー回折法により測定される重量平均粒子径である。レーザー回折法による平均粒子径の測定は、例えば、マイクロトラック・ベル社製の商品名「MT3300EX-II」を用いて行うことができる。
【0076】
上記中空粒子の中空率は特に限定されるものではないが、好ましくは30%~99%である。このような範囲であれば十分な断熱性が得られる。また、中空粒子は、その中空率が大きいほど、断熱効果が高くなる。このため、より少ない印字エネルギーでも有効に発色し得る。つまり、中空粒子の中空率が大きいほど、感熱記録体1の動感度が向上し、ひいては印字品質は向上すると考えられる。
【0077】
ここで、中空粒子の中空率は、次式で算出される。
中空率={(空隙の体積)/(中空粒子の体積)}×100
【0078】
本実施形態において、感熱記録層3の固形分質量を100質量%としたときに、顔料の質量は、0.1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましく、3質量%以上20質量%以下がさらに好ましく、5質量%以上10質量%以下が特に好ましい。顔料をこの範囲で含むことにより、優れた動感度を得ることができる。
【0079】
本実施形態において、感熱記録層3に含まれるシリカ顔料:中空粒子の質量比は特に限定されるものではないが、10:90~90:10が好ましく、20:80~80:20がより好ましく、30:70~70:30がさらに好ましく、40:60~60:40がさらに好ましく、50:50が特に好ましい。シリカ顔料と中空粒子の質量比がこの範囲にあるとき、優れた耐光性と印字保存性を備えつつ、優れた動感度をも達成することができる。
【0080】
本実施形態において、感熱記録層3は発色剤を含有してもよい。本明細書における発色剤とは加熱により発色する発色剤であり、例えばサーマルヘッド等の加熱によって化学反応により発色し、本実施形態の感熱記録体1に、記録画像を形成する成分である。加熱により発色する発色剤としては特に限定されるものではなく、一般に使用されている公知の染料を用いることができる。この染料としては、例えば、3-(N-イソブチル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-イソペンチル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-o-クロロアニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エトキシプロピル-N-エチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-n-プロピル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-p-トルイジノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-8-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-ブロモフルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジメチルアミノ-5-メチル-7-メチルフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、クリスタルバイオレットラクトン等を単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0081】
上記発色剤の平均粒子径は、0.1μm~1.0μmであることが好ましい。発色剤は融解して反応するため、粒子径が大きくなるにつれて反応が鈍化していき、感度特性が低くなる。一方、粒子径が小さくなるにつれて、塗料を乾燥させるときの熱により予期しない温度で発色してしまうリスクが高まる。本実施形態では、発色剤の粒子径を上記のような範囲に設定することにより、発色剤の感度特性及び発色温度を適切に調整できる。ここで、平均粒子径とは、レーザー回折法により測定される重量平均粒子径である。レーザー回折法による平均粒子径の測定は、例えば、マイクロトラック・ベル社製の商品名「MT3300EX-II」を用いて行うことができる。
【0082】
本実施形態において、感熱記録層3の固形分質量を100質量%としたときに、発色剤の質量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上45質量%以下がより好ましく、15質量%以上40質量%以下がさらに好ましく、20質量%以上35質量%以下が特に好ましい。発色剤をこの範囲で含む場合、印字後の光学濃度が十分高くなり、ひいては印字保存性がより向上するため好ましい。なお、上記顕色剤は、乾燥重量比で発色剤1に対して1~3の比率で含有させることが好ましい。この比率で含有することにより、印字後の光学濃度が十分高くなり、ひいては印字保存性がより向上するため好ましい。
【0083】
また、本実施形態における感熱記録層3は、必要に応じて、結着剤、増感剤、滑剤、及び充填剤等の添加剤を適宜含有してもよい。
【0084】
本実施形態における感熱記録層3に含まれる結着剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン、カゼイン、ゼラチン、ポリアミド、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン-アクリル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン-無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、メチルビニル-無水マレイン酸共重合体、イソプロピレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メチルビニルエーテル等が挙げられる。これらの結着剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0085】
本実施形態における感熱記録層3に含まれる増感剤としては特に限定されず、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アニリド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、1-ベンジルオキシナフタレン、2-ベンジルオキシナフタレン、2,6-ジイソプロピルナフタレン、1,2-ジフェノキシエタン、1,2-ジフェノキシメチルベンゼン、1,2-ビス(3,4-ジメチルフェノル)エタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ビス(4-メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ(p-クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p-メチルベンジル)、シュウ酸ジベンジル、p-ベンジルビフェニル、m-ターフェニル、ジフェニルスルホン、p-ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、テレフタル酸ジベンジル、p-トルエンスルホンアミド等の、常温で固体、好ましくは約70℃以上の融点を有するもの等が挙げられる。これらの増感剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0086】
本実施形態における感熱記録層3に含まれる滑剤としては特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、オレイン酸等の脂肪酸類、ポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックス類、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類、カルナバワックス等のエステルワックス類、シリコンオイル、鯨油等の油類が挙げられる。これらの滑剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0087】
本実施形態における感熱記録層3に含まれる充填剤としては特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、活性白土、タルク、クレー、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、ホワイトカーボン、酸化亜鉛、酸化珪素、コロイダルシリカ、スチレン-アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂粒子、尿素-ホルマリン樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子等が挙げられる。これらの充填剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0088】
本実施形態における感熱記録層3の塗布量(乾燥重量)は特に限定されるものではないが、例えば1g/m2~10g/m2であり、好ましくは2g/m2~5g/m2である。
【0089】
本実施形態における感熱記録層3の厚みは特に限定されるものではないが、例えば1μm~20μmであり、好ましくは2μm~5μmである。
【0090】
本実施形態における感熱記録層3の塗布量、及び厚みが上記の範囲にある場合、感熱記録層3の耐光性及び印字保存性がより好ましいものとなる。
【0091】
(中間層)
本実施形態において、中間層4は感熱記録体1の印字保存性を向上させる機能を有する。具体的には、例えば感熱記録体1に付着した可塑剤等が感熱記録層3まで浸透した場合、発色剤が変質し、印字部が消えてしまうことがある。そのような場合、上記中間層4を上記感熱記録層3の上記トップコート層側に設けることによって印字部が付着物等の影響を受けづらくなり、印字保存性が向上することとなる。
【0092】
上記中間層4は主に樹脂によって形成される。例えば、アクリル樹脂のエマルジョン、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂等の水溶性樹脂や、スチレンブタジエン共重合体(SBR)樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0093】
さらに、上記中間層4に含まれる樹脂は、水溶性部分を有する樹脂、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール(PVA)樹脂、あるいは、疎水性のコア粒子を水溶性のシェルポリマーでコーティングしたコアシェル構造の樹脂、例えば、コアシェル型アクリル樹脂等を使用することができる。これらのコアシェル型樹脂を用いることにより、感熱記録体1の印字保存性や透明性を向上させることができる。
【0094】
上記コアシェル型の樹脂は、例えば、コアシェル型アクリル樹脂として、「バリアスター(三井化学社製)」の名称で市販されているもの等を使用することができる。また、これらの樹脂は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0095】
本実施形態における中間層4の塗布量(乾燥重量)は特に限定されるものではないが、例えば0.1g/m2~10g/m2であり、好ましくは1g/m2~5g/m2である。
【0096】
本実施形態における中間層4の厚みは特に限定されるものではないが、例えば0.5μm~20μmであり、好ましくは1μm~5μmである。
【0097】
本実施形態における中間層4の塗布量、及び厚みが上記の範囲にある場合、感熱記録体1の印字保存性がより向上するため好ましい。
【0098】
(トップコート層)
本実施形態において、トップコート層5は、ヘッドに対するマッチング性(適性)の向上、すなわちヘッドの滑り性の向上やヘッドへのカス付着を抑制する機能を有する。
【0099】
上記トップコート層5の材料としては特に限定されず、例えば結着剤中に滑剤、充填剤、架橋剤等を添加したものが用いられる。
【0100】
本実施形態におけるトップコート層5に含まれる結着剤としては特に限定されず、例えば、樹脂が挙げられる。具体的には、アクリル樹脂のエマルジョン、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂等の水溶性樹脂や、スチレンブタジエン共重合体(SBR)等が挙げられる。これらの材料は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0101】
本実施形態におけるトップコート層5に含まれる架橋剤としては特に限定されず、例えば、炭酸ジルコニウム等が挙げられる。
【0102】
本実施形態におけるトップコート層5に含まれる滑剤としては特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、オレイン酸等の脂肪酸類、ポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックス類、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類、カルナバワックス等のエステルワックス類、シリコンオイル、鯨油等の油類が挙げられる。また、これらの滑剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、ポリエチレンワックス、パラフィンワックスを用いることにより、感熱記録体1の動感度やヘッドに対するマッチング性(適性)がより向上するため好ましい。
【0103】
本実施形態において、トップコート層5の固形分質量を100質量%としたときに、滑剤全体の質量は特に限定されるものではないが、例えば1質量%以上であり、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、13.5質量%以上がさらに好ましく、15質量%以上が特に好ましい。また、例えば40質量%以下であり、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。滑剤をこの範囲で含む場合、感熱記録体1の動感度やヘッドに対するマッチング性(適性)がより向上するため好ましい。
【0104】
上記滑剤であるポリエチレン及びパラフィンの平均粒子径は、1.5μm以下であることが好ましい。ここで、平均粒子径とは、レーザー回折法により測定される重量平均粒子径である。レーザー回折法による平均粒子径の測定は、例えば、マイクロトラック・ベル社製の商品名「MT3300EX-II」を用いて行うことができる。
【0105】
本実施形態におけるトップコート層5に含まれる充填剤は特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、活性白土、タルク、クレー、カオリナイト、ケイソウ土、ホワイトカーボン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ポリスチレン樹脂粒子、尿素-ホルマリン樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子等が挙げられる。また、これらの充填剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、炭酸カルシウムを配合した場合、感熱記録体1のコストパフォーマンスとサーマルヘッドに対するマッチング性(適性)がより向上するため好ましい。
【0106】
中でも、トップコート層5の固形分質量を100質量%としたときに、充填剤の質量は、5質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上60質量%以下がより好ましく、20質量%以上50質量%以下がさらに好ましく、30質量%以上40質量%以下が特に好ましい。充填剤をこの範囲で含む場合、感熱記録体1のコストパフォーマンスとサーマルヘッドに対するマッチング性(適性)がより向上するため好ましい。
【0107】
上記充填剤が上記の範囲にある場合、表面に凹凸ができ、感熱記録体1とサーマルヘッドとの接地面積が少なくなることで滑り性が向上し、ひいては発色性(印字特性)もより優れたものとなる。
【0108】
上記充填剤の平均粒子径は、1.0μm以下であることが好ましい。ここで、平均粒子径とは、レーザー回折法により測定される重量平均粒子径である。レーザー回折法による平均粒子径の測定は、例えば、マイクロトラック・ベル社製の商品名「MT3300EX-II」を用いて行うことができる。
【0109】
本実施形態におけるトップコート層5の塗布量(乾燥重量)は特に限定されるものではないが、例えば0.1g/m2~10g/m2であり、好ましくは0.5g/m2~5g/m2である。
【0110】
本実施形態におけるトップコート層5の厚みは特に限定されるものではないが、例えば0.1μm~20μmであり、好ましくは0.5μm~2μmである。
【0111】
本実施形態におけるトップコート層5の塗布量、及び厚みが上記の範囲にある場合、感熱記録体1の耐光性及び印字保存性がより向上するため好ましい。
【0112】
本実施形態では、基材2上に、下塗り層6、感熱記録層3、中間層4、及びトップコート層5をこの順に形成しているが、本発明の他の実施形態として、下塗り層6、中間層4、及びトップコート層5の少なくともいずれか一種類の層を省略してもよい。また、各層の表面上に一種類以上の異なる層を形成してもよい。
【0113】
上記実施形態の感熱記録体は、上記構成を有することにより、耐光性、及び印字保存性(特に耐水性、耐可塑剤性、及び耐湿熱性)に優れる。
【0114】
上記実施形態の感熱記録体は、実施例に記載の方法及び条件で耐水性試験をした場合、試験後の印字部の光学濃度(OD値)は、例えば1.0以上であり、1.1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.3以上がさらに好ましい。
【0115】
上記実施形態の感熱記録体は、実施例に記載の方法及び条件で耐可塑剤性試験をした場合、試験後の印字部の光学濃度(OD値)は、例えば1.0以上であり、1.1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.3以上がさらに好ましい。
【0116】
上記実施形態の感熱記録体は、実施例に記載の方法及び条件で40℃での耐湿熱性試験をした場合、試験後の印字部の光学濃度(OD値)は、例えば1.0以上であり、1.1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.3以上がさらに好ましく、1.4以上が特に好ましい。
【0117】
上記実施形態の感熱記録体は、実施例に記載の方法及び条件で50℃での耐湿熱性試験をした場合、試験後の印字部の光学濃度(OD値)は、例えば1.0以上であり、1.1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.3以上がさらに好ましく、1.4以上が特に好ましい。
【0118】
上記実施形態の感熱記録体は、実施例に記載の方法及び条件で耐光性試験をした場合、試験後の非印字部のb値は、例えば3.1以下であり、2.8以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.3以下がさらに好ましく、2.2以下が特に好ましい。
【0119】
上記実施形態の感熱記録体は、実施例に記載の方法及び条件で耐光性試験をした場合、試験前後の非印字部のΔb値は、例えば1.6以下であり、1.4以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.9以下がさらに好ましく、0.8以下が特に好ましい。
【0120】
[感熱記録体の製造方法]
本発明の感熱記録体の製造方法は特に限定されるものではない。例えば、各層に含まれる成分を水等の溶媒中に分散させた塗液を公知乃至慣用の方法によって各層ごとに調製し、それらを公知乃至慣用の方法によって塗工、乾燥させることで製造することができる。
【0121】
上記塗液は各成分を全て同じ溶媒中にあらかじめ分散させて調製してもよい。また、お互いに反応する発色剤と顕色剤とを、別々の分散液として調製してから両者を混合し、塗液としてもよい。その際、その他の成分は発色剤を含む分散液と、顕色剤を含む分散液とのどちらに添加してもよいし、両者に添加してもよい。上記塗液を調製する方法は特に限定されず、例えば、超音波処理、あるいはボールミル、ビーズミル、サンドミル、高圧ホモジナイザー等を用いた解砕処理等が挙げられる。
【0122】
上記塗液を塗工する方法は特に限定されず、例えば、エアーナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング等が挙げられる。
【0123】
本実施形態では、各層を例えばカーテンコータ等によって多層同時塗工してもよいし、個別に順次形成してもよい。また、一部の層を同時塗工し、一部の層を個別に順次形成してもよい。
【実施例
【0124】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。なお、実施例1~8、12を参考例1~9と読み替えるものとする。
【0125】
基材上に、下塗り層、感熱記録層、中間層、及びトップコート層をこの順に積層した感熱記録体を以下の工程によって作製し、後述の各試験に用いて評価した。
(実施例1~12、比較例1、2)
(感熱記録体の作製)
<下塗り層>
充填剤として、中空粒子(商品名「ローペイクHP-1055」、固形分濃度26.5質量%、中空率55容量%、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製)を70質量部、結着剤として、変性スチレンブタジエンラテックス(固形分濃度49質量%)を10質量部、水を20質量部の割合で混合攪拌して得た下塗り層用塗液を、基材である坪量70g/m2の上質紙(厚さ:80μm)上に塗布し、これを乾燥させて、乾燥時の塗布量が3.0g/m2であり、厚さが5μmの下塗り層を形成した。
【0126】
<感熱記録層>
表1に示す組成の感熱記録層用塗液を調製し、上記の下塗り層上に塗布し、これを乾燥させて、乾燥時の塗布量が4.0g/m2であり、厚さが3.5μmの感熱記録層を形成した。なお、表1において、各配合材料の数値は、乾燥時における質量比率を示している。
【0127】
また、配合材料として、染料は粒子径が0.6~0.7μmの3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオロランを使用し、顕色剤1は4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン(商品名「BPS-MA3」、日華化学株式会社製)を使用し、顕色剤2はウレアウレタン化合物(商品名「UU」、ケミプロ化成株式会社製)を使用した。また、保存性向上剤1は1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン(商品名「DH43」、株式会社ADEKA製)を使用した。
【0128】
顔料1は、炭酸カルシウム(ヘキサメタリン酸ナトリウム5%水溶液に分散させることにより固形分濃度が30%の分散液にしたもの)を使用し、顔料2はシリカ顔料(商品名「ミズカシルP-527」、平均粒子径0.2~2.0μm、水澤工業株式会社製)を使用し、顔料3は中空粒子(商品名「ローペイクHP-1055」、固形分濃度26.5質量%、中空率55容量%、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製)を使用した。また、滑剤はステアリン酸亜鉛エマルジョンを使用し、結着剤はスチレンアクリル共重合体エマルジョンを使用した。
【0129】
<中間層>
樹脂として、アクリルエマルジョン(固形分濃度30質量%)液を、上記の感熱記録層上に塗布し、これを乾燥させて、乾燥時の塗布量が1.6g/m2であり、厚さが1.5μmの中間層を形成した。
【0130】
<トップコート層>
結着剤として、アクリルエマルジョン(固形分濃度30質量%)をトップコート層中の固形分として41.5質量%と、架橋剤として、炭酸ジルコニウムを5質量%と、滑剤として、ポリエチレンワックス(平均粒子径:1.3μm、軟化点:110℃)を13.5質量%と、充填剤として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を40質量%と、水とを含有するトップコート層形成用の塗液を調製し、調整したトップコート層形成用の塗液を、上記の中間層上に塗布し、これを乾燥させて、乾燥時の塗布量が1.0g/m2であり、厚さが0.9μmのトップコート層を形成した。なお、各配合材料(水を除く)の数値は、乾燥時における質量比率を示している。
【0131】
以上の方法により、実施例1~12、及び比較例1、2の感熱記録体を作製した。
【0132】
【表1】
【0133】
(耐水性評価)
耐水性評価では、各実施例及び各比較例における各感熱記録体について、耐水性試験前後の光学濃度(印字部のOD値/非印字部のOD値)を測定した。以下、耐水性評価の手順について説明する。なお上記の光学濃度には発色濃度の意義が含まれる。以下、耐水性試験、耐可塑剤性試験、耐湿熱性試験、耐光性試験、動感度試験における光学濃度も同様である。
【0134】
作製した感熱記録体に対して、感熱紙印字試験装置(オオクラエンジニアリング社製、商品名:パルスシュミレーターTH-M2/PP)を用い、印字速度50mm/sec、印加電圧17.0V、ヘッド抵抗値870Ω、パルス幅0.488~1.394msに設定して、印字エネルギー0.40mJ/dotの条件で印字を行った。
【0135】
<耐水性試験>
印字した感熱記録体のサンプルを23℃の条件下で水に24時間浸漬後、サンプルを取り出して乾燥させた。
【0136】
耐水性試験前(浸漬前)、及び耐水性試験後(浸漬後)の感熱記録体のサンプルについて、印字部及び非印字部の光学濃度(印字部のOD値/非印字部のOD値)を分光光度計(ビデオジェット・エックスライト株式会社製、商品名:eXact)を用いて測定した。
【0137】
上記の耐水性試験前後の測定結果を表2に示す。ここで、印字部の光学濃度(OD値)の数値について、耐水性試験前後の変化が小さい場合、すなわち耐水性試験後でも耐水性試験前と同等の光学濃度(OD値)の数値を維持できている場合(光の反射率が少ない状態を維持できている場合)、その感熱記録体の印字部は発色濃度(発色具合の黒色)を維持できていることを示す。一方、耐水性試験前後の変化が大きい場合、すなわち耐水性試験後の光学濃度(OD値)の数値が試験前より小さくなっている場合(光の反射率が増大した場合)、その感熱記録体の印字部は発色濃度が低下していることを示す。すなわち、本試験結果は感熱記録体を水中に浸漬したときの、印字部の発色濃度低下の程度を表すことになる。このため、印字部の耐水性評価は、水への浸漬によって印字部(発色部分)が消えないことによって確認できる。具体的には、耐水性試験後の印字部の光学濃度(OD値)の数値が耐水性試験前の数値に近いほど、その感熱記録体の印字部は耐水性に優れることを意味する。
【0138】
また、表2の測定結果において、非印字部の光学濃度(OD値)の数値について、耐水性試験前後の変化が小さい場合、すなわち耐水性試験前後の非印字部の光学濃度(OD値)の数値がいずれも小さい場合(光の反射率が大きい状態を維持できている場合)、その感熱記録体の非印字部は変色していない(地肌の白色が維持されている)ことを示す。一方、耐水性試験前後の変化が大きい場合、すなわち耐水性試験後の光学濃度(OD値)の数値が試験前より大きくなっている場合(光の反射率が減少した場合)、その感熱記録体の非印字部は変色していることを示す。すなわち、本試験結果は感熱記録体を水中に浸漬したときの、非印字部の変色の程度も表すことになる。このため、非印字部の耐水性評価は、水への浸漬によって非印字部が変色しないことによって確認できる。具体的には、耐水性試験後の非印字部の光学濃度(OD値)の数値が耐水性試験前の数値に近いほど、その感熱記録体の非印字部は耐水性に優れることを意味する。
【0139】
なお、表2において、印字部分と非印字部分の光学濃度(OD値)を「/」で区切って表示している。以下、耐可塑剤性試験、耐湿熱性試験においても同様である。
【0140】
(耐可塑剤性評価)
耐可塑剤性評価では、各実施例及び各比較例における各感熱記録体について、耐可塑剤性試験前後の光学濃度(印字部のOD値/非印字部のOD値)を測定した。以下、耐可塑剤性評価の手順について説明する。
【0141】
作製した感熱記録体に対して、上記の耐水性評価と同じ条件で印字を行った。
【0142】
<耐可塑剤性試験>
印字した感熱記録体のサンプルを塩化ビニルラップに貼り付け、その上にさらに塩化ビニルラップを重ねた。さらに300g/cm2の加重をかけ、40℃で15時間放置後、サンプルを取り出した。
【0143】
耐可塑剤性試験前、及び耐可塑剤性試験後の感熱記録体のサンプルについて、印字部及び非印字部の光学濃度(印字部のOD値/非印字部のOD値)を分光光度計(ビデオジェット・エックスライト株式会社製、商品名:eXact)を用いて測定した。
【0144】
上記の試験による測定結果を表2に示す。表2の測定結果に対して、上記の耐水性試験と同様に判定した。すなわち印字部については、耐可塑剤性試験後の印字部の光学濃度(OD値)の数値が耐可塑剤性試験前の数値に近いほど、その感熱記録体の印字部は耐可塑剤性に優れることを意味する。
【0145】
また、非印字部については、耐可塑剤性試験後の非印字部の光学濃度(OD値)の数値が耐可塑剤性試験前の数値に近いほど、その感熱記録体の非印字部は耐可塑剤性に優れることを意味する。
【0146】
(耐湿熱性評価)
耐湿熱性評価では、各実施例及び各比較例における各感熱記録体について、耐湿熱性試験前後の光学濃度(印字部のOD値/非印字部のOD値)を測定した。以下、耐湿熱性評価の手順について説明する。
【0147】
作製した感熱記録体に対して、上記の耐水性評価と同じ条件で印字を行った。
【0148】
<耐湿熱性試験>
印字した感熱記録体のサンプルを40℃100%RHの条件下、または50℃100%RHの条件下でそれぞれ24時間静置させた。
【0149】
耐湿熱性試験前、及び耐湿熱性試験後の感熱記録体のサンプルについて、印字部及び非印字部の光学濃度(印字部のOD値/非印字部のOD値)を分光光度計(ビデオジェット・エックスライト株式会社製、商品名:eXact)を用いて測定した。
【0150】
上記の試験による測定結果を表2に示す。表2の測定結果に対して、上記の耐水性試験と同様に判定した。すなわち印字部については、耐湿熱性試験後の光学濃度(OD値)の数値が耐湿熱性試験前の数値に近いほど、その感熱記録体の印字部は耐湿熱性に優れることを意味する。
【0151】
また、非印字部については、耐湿熱性試験後の非印字部の光学濃度(OD値)の数値が耐湿熱性試験前の数値に近いほど、その感熱記録体の非印字部は耐湿熱性に優れることを意味する。
【0152】
(耐光性評価)
耐光性評価では、各実施例及び各比較例における各感熱記録体について、耐光性試験前後の非印字部の色調(b値)を測定した。以下、耐光性評価の手順について説明する。
【0153】
<耐光性試験>
照度計を用いて、5000Luxになるように蛍光灯からの距離を確認し、その位置に作製した感熱記録体を設置して100時間放置した。
【0154】
耐光性試験前、及び耐光性試験後の感熱記録体のサンプルについて、非印字部の色調(b値)を色差計(ビデオジェット・エックスライト株式会社製、商品名:SpectroEye)を用いて測定した。
【0155】
上記の試験による測定結果を表2に示す。表2の測定結果において、非印字部の色調の指標であるb値は青色から黄色の変化を示す指標であり、b値の数値が正に大きいほど黄色味が増す(黄変の程度が強い)ことを意味し、負に大きいほど青色味が増すことを意味する。この指標に基づき、下記の数式(1)から耐光性の指標としてΔb値を算出した。
Δb値=(試験後のb値)-(試験前のb値) (1)
【0156】
すなわち、非印字部の色調(b値)の数値について、耐光性試験前後の変化(Δb値)が小さい場合、その感熱記録体の非印字部は黄変しづらい(地肌の白色が維持されている)ことを示す。一方、耐光性試験前後の変化(Δb値)が大きい場合、その感熱記録体の非印字部は黄変しやすいことを示す。すなわち、Δb値は感熱記録体が光に晒されたときの、非印字部の黄変の程度を表すことになる。このため、非印字部の耐光性評価は、上記試験によって非印字部が黄変しないことによって確認できる。具体的には、Δb値が0に近いほど、その感熱記録体の非印字部は耐光性に優れることを意味する。
【0157】
なお、b値の変化率ではなく、b値そのものの大小によって、その感熱記録体の非印字部の色調を定性的に評価することも可能である。すなわち、作製した感熱記録体の非印字部のb値が0に近いほど、その感熱記録体の非印字部は黄色味が抑えられている(より白色に近い)ことを意味する。
【0158】
【表2】
【0159】
表2から以下のことが確認できた。
【0160】
耐水性に関しては、実施例1~7の通り、保存性向上剤である1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタンの配合割合が増えるにつれて耐水性試験後のOD値は高くなり、印字部の耐水性が向上していることがわかる。また、耐水性試験後の非印字部については特に傾向はなく、実施例及び比較例のいずれも変色を起こしていないことがわかる。
【0161】
耐可塑剤性に関しては、実施例及び比較例の耐可塑剤性試験後の印字部のいずれも高い光学濃度(OD値)を維持できていることがわかる。また、耐可塑剤性試験後の非印字部についてはいずれも変色を起こしていないことがわかる。
【0162】
耐湿熱性に関しては、実施例1~7の通り、保存性向上剤である1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタンの配合割合が増えるにつれて耐湿熱性試験後のOD値は高くなり、印字部の耐水性が向上していることがわかる。また、耐湿熱性試験後の非印字部については特に傾向はなく、実施例及び比較例のいずれも変色を起こしていないことがわかる。
【0163】
上記のように、いずれの実施例及び比較例についても優れた発色性を示すことがわかる。また、程度の違いはあるものの、優れた耐水性、耐可塑剤性、及び耐湿熱性を示すことから、優れた印字保存性であることがわかる。なお、上記の耐水性評価、耐可塑剤性評価、及び耐湿熱性評価に関しては、試験後の印字部の光学濃度(OD値)が1.20以上、非印字部の光学濃度(OD値)が0.05以下であれば、十分に優れた耐水性、耐可塑剤性があると評価できる。
【0164】
耐光性に関しては、実施例1~7の通り、保存性向上剤である1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタンの配合割合が増えるにつれてΔb値は小さくなり、非印字部の耐光性が向上することがわかる。一方、保存性向上剤が配合されていない比較例1はΔb値が各実施例より大きく、非印字部が黄変していることがわかる。また、顕色剤であるウレアウレタン化合物が配合された比較例2は、表2の中で最も強く黄変していることがわかる。すなわち、ウレアウレタン化合物は印字保存性の向上には有効だが、本実施形態における耐光性については無配合の場合よりも劣ることがわかる。
【0165】
また、実施例1と比較例1のΔb値及び試験前のb値との対比から、保存性向上剤である1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタンを1%だけでも配合することによって、非印字部の耐光性試験後の黄変及び耐光性試験前の黄色味を効果的に抑制できていることがわかる。
【0166】
上記のように、いずれの実施例についても、優れた耐光性を示すことと非印字部の黄色味が抑制されていることがわかる。なお、上記の耐光性試験に関しては、試験前後の非印字部のΔb値が0.90以下であれば、十分に優れた耐光性があると評価できる。また、試験前の非印字部のb値が1.50以下であれば、非印字部の黄色味が非常に抑制されていると評価できる。
【0167】
(動感度評価)
動感度試験では、各実施例及び各比較例における各感熱記録体に対して、異なる印字エネルギーで印字を行い、それぞれの印字エネルギーにおける光学濃度(印字部のOD値)を測定した。この測定結果から、各実施例及び各比較例における各感熱記録体の動感度を評価した。以下、動感度試験の手順について説明する。
【0168】
<動感度試験>
作製した感熱記録体に対して、感熱紙印字試験装置(オオクラエンジニアリング社製、商品名:パルスシュミレーターTH-M2/PP)を用い、印字速度50mm/sec、印加電圧17.0V、ヘッド抵抗値870Ω、パルス幅0.488~1.394msに設定して、印字エネルギー0.20mJ/dot、及び0.24mJ/dotの各条件で印字を行い、当該印字エネルギー条件における光学濃度(OD値)を、分光光度計(X-rite社製、商品名:eXact)を用いて測定した。
【0169】
上記の動感度試験による各光学濃度(OD値)の測定結果を表3に示す。表3の測定結果において、光学濃度(OD値)の数値が大きいほど、より明瞭に発色していることを示し、数値が小さいほど、発色が不十分であることを示す。すなわち、印字エネルギーが小さいにも関わらず、光学濃度(OD値)の数値が大きい場合は、動感度が高く、熱応答性に優れることを示す。一方、印字エネルギーが大きいにも関わらず、光学濃度(OD値)の数値が小さい場合は、動感度が低く、熱応答性に劣ることを示す。また、動感度が高いほど、小さい印字エネルギーでも明瞭に印字できることを意味するため、動感度が高い感熱記録体は、ひいては発色性にも優れると評価できる。
【0170】
【表3】
【0171】
表3から以下のことが確認できた。
【0172】
顔料として炭酸カルシウムが配合された実施例6と、炭酸カルシウムをシリカ顔料及び/または中空粒子に置き換えた実施例8~12とを対比すると、シリカ顔料及び/または中空粒子を配合した場合の方が高い動感度を示し、熱応答性に優れる傾向がわかる。
【0173】
また、動感度はシリカ顔料と中空粒子の比によっても変化し、特にシリカ顔料:中空粒子の質量比が50:50となる場合、すなわち、シリカ顔料と中空粒子の和を100質量%としたときにシリカ顔料の質量比が50質量%となる実施例10の場合に極めて優れた動感度を示すことがわかる。
【0174】
上記のように、いずれの実施例についても優れた動感度を示すものの、その中でも特定の比率でシリカ顔料及び中空粒子を配合することによって極めて優れた動感度を達成できることがわかる。なお、上記の試験に関しては、0.24mJ/dotで印字した時の印字部の光学濃度(OD値)が1.30以上であれば、十分動感度に優れると評価できる。
【0175】
以上のまとめとして、本発明の構成及びそのバリエーションを以下に付記する。
[付記1]基材上に、感熱記録層が積層された感熱記録体であり、
前記感熱記録層は、顕色剤と、保存性向上剤とを含有し、
前記顕色剤として、下記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物を含有し、
【化5】
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を示す。nは0~3の整数を示す。)
前記保存性向上剤として、分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を含有する、感熱記録体。
[付記2]前記感熱記録層に無機顔料及び有機顔料を含有する、請求項1に記載の感熱記録体。
[付記3]前記無機顔料として、シリカ顔料を含み、前記有機顔料として、中空粒子を含む、請求項2に記載の感熱記録体。
[付記4]前記感熱記録層における、前記シリカ顔料と前記中空粒子の質量比(感熱記録層中のシリカ顔料の固形分質量/感熱記録層中の中空粒子の固形分質量)が10:90~90:10である、請求項3に記載の感熱記録体。
[付記5]前記顕色剤として、4-ベンジルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホンを含有する請求項1から4のいずれか1項に記載の感熱記録体。
[付記6]前記保存性向上剤として、下記式(2)で表される化合物を含有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【化6】
(式(2)中、R14は炭素原子数4以下のアルキル基を、R15は炭素原子数4以下のアルキル基又はシクロヘキシル基をそれぞれ表す。複数のR14、R15は、同一であっても異なっていてもよい。)
[付記7]前記保存性向上剤として、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタンを含有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の感熱記録体。
[付記8]前記感熱記録体は、さらにトップコート層を備え、
前記基材上に、前記感熱記録層と、前記トップコート層とが、この順で積層され、
前記トップコート層は、滑剤を含有し、
前記滑剤として、ポリエチレンワックス及び/又はパラフィンワックスを含有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の感熱記録体。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明の感熱記録体は、耐光性、耐水性、及び耐湿熱性に優れるため、例えば、光や雨に晒される屋外や、高温高湿下での長期間の保存など、過酷な使用環境下においても好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0177】
1 感熱記録体
2 基材
3 感熱記録層
4 中間層
5 トップコート層
6 下塗り層
【要約】      (修正有)
【課題】耐光性、耐水性、及び耐湿熱性に優れた感熱記録体を提供する。
【解決手段】感熱記録体1は、基材2上に、感熱記録層3が積層された構成を有する。感熱記録層3は、顕色剤と、保存性向上剤とを含有する。顕色剤は、下記式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物を含有し、保存性向上剤は、分子内にフェノール性水酸基を3個以上有する化合物を含有する。

(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を示す。nは0~3の整数を示す。)
【選択図】図1
図1