(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】プレートホルダー
(51)【国際特許分類】
G09F 1/10 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G09F1/10 F
G09F1/10 V
(21)【出願番号】P 2020023101
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000131511
【氏名又は名称】株式会社シブタニ
(74)【代理人】
【識別番号】100130007
【氏名又は名称】垣木 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】小笠 貴博
(72)【発明者】
【氏名】増田 創治朗
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-106222(JP,U)
【文献】米国特許第05237763(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0023419(US,A1)
【文献】特開2003-061799(JP,A)
【文献】特開2014-220205(JP,A)
【文献】特開2009-185451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 1/00- 7/22
B42F 1/00-23/00
A47F 5/00- 8/02
A47G 1/00- 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する2つの壁の間にプレートが差し込まれる溝が形成された本体を有するプレートホルダーであって、
前記本体の前記溝の底面に嵌合部が形成され、該嵌合部は、前記本体の幅方向の略中央部において垂直方向の高さが最も高い頂上部と、前記頂上部から前記本体の幅方向の両端部にかけて連続的に形成され、垂直方向の高さが徐々に低下する2つの裾野部を有する、ことを特徴とするプレートホルダー。
【請求項2】
前記本体の幅方向の垂直断面において、前記2つの裾野部は凹状であり、前記頂上部は凸状又は平坦であることを特徴とする請求項1に記載のプレートホルダー。
【請求項3】
前記溝の底面の前記2つの裾野部及び前記頂上部は、前記本体の幅方向の中央に対して左右
対称に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレートホルダー。
【請求項4】
前記本体の奥行き方向において、垂直方向における前記溝の上端部の幅寸法は、同方向における前記溝の底面の幅寸法よりも大きく、前記2つの壁の一方が略垂直であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプレートホルダー。
【請求項5】
前記2つの壁の表面及び前記溝の底面が鏡面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプレートホルダー。
【請求項6】
前記2つの壁の表面及び前記溝の底面に撥水加工が施されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプレートホルダー。
【請求項7】
前記本体が載置されるテーブル面を基準にして、垂直方向における前記2つの裾野部の下端は、前記2つの壁の最上部の高さの1/5よりも高い位置にあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプレートホルダー。
【請求項8】
前記2つの壁の一方に開口が形成され、前記本体の内部には、前記開口から前記溝側に接触部が突出する変位部材と、前記変位部材がプレートと接触し変位することによって電力を発生する発電素子と、前記発電素子による電力が発生されたときに所定の信号を送信する発信回路が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプレートホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードコートやオフィスの打ち合わせコーナーなど、不特定の利用者又はある程度特定された利用者が自由に使用できるテーブルなどの占有状態を表示するためのプレートホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模商業施設のフードコートやオフィスの打ち合わせコーナーなどでは、利用者が荷物などを置いて座席やテーブルを確保することが行なわれている。ところが、フードコートなど不特定の人々が利用するところでは、利用者が飲食物を購入するために席を離れている間に荷物を盗まれたりする虞れがあるといった間題が指摘されている。また、新たにフードコートを利用しようとする人は、無人のテーブルのそばまで行って座席やテーブルの上に荷物などが置かれていないかを確認する必要がある。そこで、テーブル上にプレートホルダーを設置し、利用者がプレートホルダーにプレートを差し込むことによってテーブルがすでに占有されていることを表示することが提案されている。
【0003】
このようなプレートホルダーは長期間にわたってテーブル上に設置されるため、プレートを差し込むための溝に埃が堆積したり、こぼれた飲食物などによる異物が侵入したり、付着した飲食物に起因するカビや雑菌が繁殖することが予想される。そのため、定期的にプレートホルダーを清掃する必要が生じる。プレートホルダーの外周面や底面は比較的容易に清掃できるが、プレートが差し込まれる溝の幅は狭いため、溝の部分の清掃は容易ではない。特に、大規模商業施設のフードコートの場合、元々清掃しなければならない範囲や箇所が多いことに加えて、さらにプレートホルダーまで清掃しなければならなくなるとすれば、作業者の負担がさらに大きくなってしまう。
【0004】
プレートホルダーの溝の清掃に応用できる技術として、例えば特許文献1では、磁気カード読み取り用のカードリーダーの溝清掃用のクリーニングカードであって、カードの外周部の一部に溝清掃用の刷毛が設けられたものが提案されている。カードリーダーの場合、カードを溝に差し込んで通過させる際に磁気情報を読み取るため、このようなクリーニングカードの使用は有効である。そこで、プレートホルダーの溝を清掃するための専用のクリーニングプレートを用いることによって、プレートホルダーの溝に堆積した埃や異物を除去することが考えられる。
【0005】
しかしながら、フードコートやオフィスの打ち合わせコーナーなどに設置されるプレートホルダーの場合、溝の底部にこぼれた飲食物による異物や液体が付着すると、カビやその他の苗が繁殖する原因となるため、より完全に清掃することが求められる。プレートホルダーの溝の清掃にこのようなクリーニングプレートを用いたとしても、溝の底部、特に隅に堆積した埃や異物や液体などを除去するのは容易ではなく、作業者が目視しながら複数回クリーニングプレートをプレートホルダーの溝を通過させなければならず、あまり清掃効率を向上させることは期待できない。また、フードコートでは幼児も利用するため、プレートに掃除用の刷毛を設けることは、衛生上の問題が生じうる。
【0006】
また、フードコートやオフィスの打ち合わせコーナーなどに設置されるプレートホルダーの場合、遠方からプレートが確認される必要があるため、プレートホルダーよりもプレートの方をより大きくする必要がある。プレートホルダーの溝の清掃にクリーニングプレートを用いる場合、プレートホルダーの溝の底部を平坦にしなければならず、プレートの差し込み方によってはプレートを安定して保持することが困難となる場合がある。そのため、プレートホルダーの溝の底部の形状としては、利用者によってどのような差し込み方がなされたとしても、ほぼ同じ状態でプレートを保持できるようにする必要があり、むしろ平坦でないことが好ましい。そうすると、クリーニングプレートを用いた清掃は現実的ではなくなる。
【0007】
さらに、プレートホルダーがフードコートやオフィスの打ち合わせコーナーなどに設置される場合、遠方からのプレートの確認が容易であるだけでなく、離れた場所に設置されているモニター装置などに、どのテーブルが占有されているかを表示できることが好ましい。そのため、プレートホルダーにプレートが差し込まれると、そのことを検出して無線通信などを介して信号を送信できるようにすることが有効である。その場合、プレートホルダー内の発信回路などの電源を如何に確保するかが間題となる。一般的には、プレートホルダーの底部に電池ボックスを設け、ボタン電池などから電力を供給することが考えられるが、液体がこぼれた場合は電池がショートしてしまう虞がある。一方、特許文献2に記載されているような電磁式エネルギー変換装置を用いて、プレートホルダーにプレートが差し込まれる際の機械エネルギーを用いて発電し、その電気エネルギーを用いて信号を送信することが考えられる。その場合、溝に差し込まれるプレートと機械的に接触して変位する変位部材を設ける必要があるため、プレートホルダーの内部にこぼれた液体が浸入しにくくなるように工夫しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実開平4-74373号公報
【文献】特表2010-531986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、利用者によってどのような差し込み方がなされたとしても、ほぼ同じ状態でプレートを保持できると共に、溝の清掃が容易なプレートホルダーを提供することを目的としている。また、本発明は、プレートホルダーにプレートが差し込まれたときに、そのことを検出して無線により信号を送信することができ、且つ、電池の交換を不要とし、内部にこぼれた液体が浸入しにくいプレートホルダーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るプレートホルダーは、
互いに対向する2つの壁の間にプレートが差し込まれる溝が形成された本体を有し、
前記本体の前記溝の底面に嵌合部が形成され、該嵌合部は、前記本体の幅方向の略中央部において垂直方向の高さが最も高い頂上部と、前記頂上部から前記本体の幅方向の両端部にかけて連続的に形成され、垂直方向の高さが徐々に低下する2つの裾野部を有する、ことを特徴とする。
【0011】
前記本体の幅方向の垂直断面において、前記2つの裾野部は凹状であり、前記頂上部は凸状又は平坦であるように構成してもよい。
【0012】
前記溝の底面の前記2つの裾野部及び前記頂上部は、前記本体の幅方向の中央に対して左右対称に形成されているように構成してもよい。
【0013】
前記本体の奥行き方向において、垂直方向における前記溝の上端部の幅寸法は、同方向における前記溝の底面の幅寸法よりも大きく、前記2つの壁の一方が略垂直であるように構成されていてもよい。
【0014】
前記2つの壁の表面及び前記溝の底面が鏡面に形成されているように構成してもよい。
【0015】
前記2つの壁の表面及び前記溝の底面に撥水加工が施されているように構成してもよい。
【0016】
前記本体が載置されるテーブル面を基準にして、垂直方向における前記2つの裾野部の下端は、前記2つの壁の最上部の高さの1/5よりも高い位置にあるように構成してもよい。
【0017】
前記2つの壁の一方に開口が形成され、前記本体の内部には、前記開口から前記溝側に接触部が突出する変位部材と、前記変位部材がプレートと接触し変位することによって電力を発生する発電素子と、前記発電素子による電力が発生されたときに所定の信号を送信する発信回路が設けられているように構成してもよい。
【0018】
また、本発明に係る他のプレートホルダーは、
互いに対向する2つの壁の間にプレートが差し込まれる溝が形成された本体を有し、
前記2つの壁の一方に開口が形成され、
前記本体の内部には、前記開口から前記溝側に接触部が突出する変位部材と、前記変位部材がプレートと接触し変位することによって電力を発生する発電素子と、前記発電素子による電力が発生されたときに所定の信号を送信する発信回路が設けられており、
前記開口と前記変位部材との隙間は、当該隙間に液体が浸入した場合に、表面張力によって前記開口と前記変位部材との間に液体が滞留する寸法及び形状に設定されている、
ことを特徴とする。
【0019】
プレートが差し込まれていない状態において、垂直方向における前記変位部材の前記接触部の上端面と当該上端面に対向する前記開口の上端面は互いに非平行であるように構成してもよい。
【0020】
プレートが差し込まれていない状態において、垂直方向における前記変位部材の前記接触部の下端面と当該下端面に対向する前記開口の下端面は互いに非平行であるように構成してもよい。
【0021】
プレートが差し込まれていない状態において、前記本体の幅方向における前記変位部材の前記接触部の左右端面と当該左右端面に対向する前記開口の左右端面は互いに非平行であるように構成してもよい。
【0022】
前記接触部の上端面と前記開口の上端面との隙間は、前記接触部の下端面と前記開口の下端面との隙間、及び、前記接触部の左右端面と前記開口の左右端面との隙間は、それぞれ鋭角で、且つ、少なくともいずれか一つ以上の前記隙間は、前記開口が設けられている壁から前記本体の内側に向かって広くなっているように構成してもよい。
【0023】
プレートが差し込まれていない状態において、前記変位部材のうち前記接触部以外の部分が、垂直方向における前記開口の下端面の前記本体の内部側と接触するように構成してもよい。
【0024】
本発明に係る他のプレートホルダーは、
互いに対向する2つの壁の間にプレートが差し込まれる溝が形成された本体を有し、
前記2つの壁の一方に開口が形成され、
前記本体の内部には、前記開口から前記溝側に接触部が突出する変位部材と、
前記溝にプレートが差し込まれたときに前記変位部材が該プレートと接触し変位することによって電力を発生する発電素子と、
前記発電素子による電力が発生されたときに所定の信号を送信する発信回路と、
が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明のプレートホルダーの構成によれば、本体のプレートが差し込まれる溝の底面にプレート側の嵌合部が形成されており、嵌合部は、本体の幅方向における略中央部に垂直方向の高さが最も高い頂上部が形成され、頂上部から溝の長手方向の両端部にかけて連続的に垂直方向の高さが徐々に低下する2つの裾野部が形成されている。そのため、プレートの下端部にこのプレートホルダー側の嵌合部と嵌合可能な嵌合部が形成されたプレート以外のプレートは、このプレートホルダーの溝に差し込むことができない。また、本体の幅方向において、プレート側の嵌合部とプレートホルダー側の嵌合部の位置がずれていたとしても、プレート側の嵌合部の凸部がプレートホルダー側の嵌合部の裾野部に沿って摺動し、プレート側の嵌合部の凹部及び凸部がそれぞれプレートホルダー側の嵌合部の頂上部及び裾野部にそれぞれ嵌合される。そのため、利用者によってどのような差し込み方がなされたとしても、ほぼ同じ状態でプレートを保持することができる。
【0026】
また、プレートホルダーの溝の底面の嵌合部に頂上部と2つの裾野部が連続的に形成され、さらに2つの壁の表面及び溝の底面が鏡面に形成されているので、溝の底面に埃や異物が堆積したり液体が溝にかかったとしても、エアーを吹き付けたり、綿棒やティッシュペーパーなどで拭き取ることによって、これら埃や異物あるいは液体などを容易に除去することができる。特に、2つの壁の表面及び溝の底面が鏡面に形成するためには、本体を樹脂成形する際の金型のうち2つの壁の表面及び溝の底面に対応する部分にパーティングラインを設けることができないので、結果的に2つの壁の表面及び溝の底面にははみ出した樹脂によるバリは存在せず、液体の付着によるカビや雑菌の繁殖を防止することができる。
【0027】
また、本発明のプレートホルダーの他の構成によれば、プレートが差し込まれる溝を形成する2つの壁の一方に開口が形成され、本体の内部に、開口から溝側に接触部が突出する変位部材と、変位部材がプレートと接触し変位することによって電力を発生する発電素子と、発電素子による電力が発生されたときに所定の信号を送信する発信回路が設けられているので、プレートがプレートホルダーの溝に差し込まれたときに所定の信号が送信される。離れた場所に設けられたモニター装置側で所定の信号を受信し、モニター装置の画面上に、所定の信号を送信したプレートホルダーに対応するテーブルの表示色を変化させるなどして、そのテーブルが占有されていることを表示することができる。また、電池を用いていないので、発電素子及び発信回路が機能している限りメンテナンスは不要である。
【0028】
また、本体の壁の開口と変位部材との隙間は、隙間に液体が浸入した場合に、表面張力によって開口と変位部材との間に液体が滞留する寸法及び形状に設定されているので、プレートホルダーの上から液体が掛けられたとしても、開口と変位部材の隙間から液体が本体の内部に侵入しにくくなり、本体の内部の発電素子や発信回路などがショートして故障する可能性が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係るプレートホルダーの溝にプレートを差し込んだ使用状態を示す斜視図。
【
図2】上記プレートホルダーとそれに対応するプレートとが分離されている状態を示す斜視図。
【
図4】上記プレートホルダーのプレートとの嵌合部の構成を示す正面断面図。
【
図5】上記プレートホルダーの他の構成を示す側部断面図であって、プレートホルダーの溝にプレートが差し込まれていない状態を示す図。
【
図6】上記プレートホルダーの他の構成を示す側部断面図であって、プレートホルダーの溝にプレートが差し込まれた状態を示す図。
【
図7】上記プレートホルダーの他の構成における防水構造を示す側部断面図であって、プレートホルダーの溝にプレートが差し込まれていない状態を示す図。
【
図8】上記プレートホルダーの他の構成における防水構造を示す側部断面図であって、プレートホルダーの溝にプレートが差し込まれた状態を示す図。
【
図9】上記プレートホルダーの他の構成における防水構造を示す平面断面図。
【
図10】上記プレートホルダーの他の構成において、プレートホルダーの溝にプレートが差し込まれていない状態で、防水構造が液体の侵入を阻止する様子を示す図。
【
図11】上記プレートホルダーの他の構成において、プレートホルダーの溝にプレートが差し込まれた状態で、防水構造が液体の侵入を阻止する様子を示す図。
【
図12】上記プレートホルダーのさらに他の構成における防水構造を示す側部断面図であって、プレートホルダーの溝にプレートが差し込まれていない状態を示す図。
【
図13】上記プレートホルダーのさらに他の構成において、プレートホルダーの溝にプレートが差し込まれた状態で、防水構造が液体の侵入を阻止する様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一実施形態に係るプレートホルダーについて説明する。
図1は、プレートホルダー1の本体10の溝11にプレート2を差し込んだ使用状態を示す。プレートホルダー1にプレート2が差し込まれた状態で、利用者の体や荷物などがプレート2に触れたときでもプレート2及びプレートホルダー1が倒れないように、プレートホルダー1の本体10は、プレート2の正面20の表面積の1/6~1/2程度の底面積を有している。また、プレートホルダー1は、利用者がテーブルを利用する際には、テーブルの一方の端に寄せられることが多いため、プレート2が差し込まれる溝11は、本体2の奥行き方向(Y方向)の中央部よりも何れかの方向にずれた位置に設けられている。
【0031】
プレート2は、プレートホルダー1に保持された状態で遠方から視認される必要があるため、一定以上の面積及び高さを有しており、垂直方向(Z方向)の寸法H3は、幅方向(X方向)の寸法W2よりも大きい。また、プレート2の幅方向の寸法W2は、プレートホルダー1の本体10の幅方向の寸法W1よりも若干大きくなるように設定されている。
図1に示す例では、プレート2は正面視で略矩形であるが、これに限定されるものではなく、動物や乗り物などのシルエットなど、任意の形状であってもよい。また、プレート2の下端部に後述する嵌合部22が形成されていればよく、必要に応じてその他の部分は立体的であってもよい。
【0032】
図2は、プレートホルダー1の本体10の溝11(以下、適宜「プレートホルダー1の溝11」と略称する)にプレート2を差し込む際、又は溝11からプレート2を引き抜く際の状態を示す。垂直方向におけるプレート2の下端部21、すなわちプレートホルダー1の溝11に差し込まれる部位には、プレートホルダー1の溝11の底面の形状に対応した形状の嵌合部22が形成されている。プレートホルダー1の溝11は、本体10の奥行き方向(Y方向)において互いに対向する2つの壁12及び13の間に形成されている。
【0033】
図3は、プレートホルダー1の本体10の側面図を示す。プレート2をプレートホルダー1の溝11に差し込みやすくするため、本体10の奥行き方向(Y方向)において、垂直方向(Z方向)における溝11の上端部の幅寸法T1は、同方向における溝11の底面の蝠寸法T2よりも大きくなるように設定されている。
図3に示す構成例では、プレートホルダー1の奥行き方向(Y方向)における本体10の溝11の中央に対して、壁12及び13の壁が
対称に傾斜するように形成されているが、これに限定されるものではなく、2つの壁12及び13の一方が略垂直であるように構成されていてもよい。フードコートなどでは、プレート2は不特定の利用者によって使用されるため傷みやすく、頻繁に交換する必要があり、プレート2自体にあまりコストをかけることはできない。そのため、例えばプレート2を厚さ2mm程度のボール紙製又は樹脂製とし、プレート2自体に磁気情報やICチップを設けなくてもよい。あるいは、磁気情報やICチップが埋め込まれた樹脂製のプレート2を用いてもよい。プレートホルダー1にプレート2を差し込んだ状態で、プレート2が本体部10の奥行き方向(Y方向)にあまり変位しないようにするため、上記溝11の底面の幅寸法T2は、プレート2の厚みに対して所定の公差分だけ大きくなるように設定されている。
【0034】
図4は、プレートホルダー1の本体部の奥行き方向(Y方向)における溝11の中央で切断した正面断面図(プレートホルダー1の本体10の幅方向の垂直断面)を示す。溝11の底面に形成された嵌合部14は、本体10の幅方向(X方向)の略中央部において垂直方向(Z方向)の高さが最も高い頂上部14aと、頂上部14aから本体10の幅方向の両端部にかけて連続的に形成され、垂直方向の高さが徐々に低下する2つの裾野部14b及び14cを有している。
図4に示す構成例では、2つの裾野部14b及び14cは凹面であり、頂上部14aは平面である。また、溝11の底面の嵌合部14の2つの裾野部14b及び14c及び頂上部14aは、本体10の幅方向(X方向)の中央に対して左右
対称に形成されている。なお、頂上部14a及び裾野部14b及び14cの形状はこれに限定されるものなく、例えば頂上部14aは、半円状などの連続した凸状であってもよく、裾野部14b及び14cは直線状の傾斜面であってもよい。また、2つの裾野部14b及び14c及び頂上部14aは、本体10の幅方向(X方向)の中央に対して左右
対称でなくてもよい。さらに、連続的に形成された頂上部14aと2つの裾野部14b及び14cとの接続部には、埃が付着しにくく、カビや雑菌が繁殖にくくなるように、直線状のエッジが生じないように、曲面14d及び14eが形成されている。
【0035】
プレートホルダー1の本体10は、樹脂成形により形成され、本体10を製造するための金型の表面は鏡面仕上げが施されていると共に、はみ出した樹脂によるバリが生じないように、金型のうち2つの壁12及び13の表面及び溝11の底面に対応する部分には、パーティングラインを設けないようにしている。その結果、2つの壁12及び13の表面及び溝11の底面14が鏡面に形成されている。
【0036】
プレートホルダー1は、フードコートやオフィスの打ち合わせコーナーなどで使用され、同じテーブル上で液体の入った容器が倒され、テーブル上に液体が流れ出すことを想定している。その際、プレートホルダー1の本体10の溝11に液体が流れ込まないように、プレートホルダー1の本体10が載置されるテーブル面を基準にして、垂直方向における2つの裾野部14b及び14cの下端は、テーブル面よりも一定の高さ以上に形成されていることが好ましい。具体的には2つの裾野部14b及び14cの高さH2は、2つの壁12及び13の最上部の高さH1の1/5よりも高い位置、より具体的には、テーブル面よりも約10mm以上高い位置とすることが好ましい。また、2つの壁12及び13の最上部の高さH1は、40~50mm程度とすることが好ましい。さらに、液体がプレートホルダー1の本体10の溝11に液体が流れ込んだ場合でも、速やかに溝11から液体を排出するために、2つの壁12及び13の表面及び溝11の底面など本体部10の表面に撥水加工を施してもよい。
【0037】
図1~4に示す本発明のプレートホルダー1によれば、プレート2が差し込まれる本体10の溝11の底面の嵌合部14に、本体10の幅方向の略中央部に垂直方向の高さが最も高い頂上部14aが形成され、頂上部14aから本体10の幅方向の溝11の両端部にかけて連続的に垂直方向の高さが徐々に低下する2つの裾野部14b及び14cが形成されているので、プレート2の下端部にこの嵌合部14と対応する形状の嵌合部22が形成されたもの以外は、このプレートホルダー1の溝11に差し込むことができない。本体10の幅方向(X方向)において、プレート2の下端部の嵌合部22とプレートホルダー1の溝11の嵌合部14の位置がずれていたとしても、プレート2の下端部21の嵌合部22の凸部がプレートホルダー1の溝11の底面の嵌合部14に沿って摺動しつつ降下し、プレート2側の嵌合部22の凹部及び凸部がそれぞれプレートホルダー1の溝11の嵌合部14の頂上部14a及び裾野部14b及び14cにそれぞれ嵌合される。そのため、利用者によってどのような差し込み方がなされたとしても、プレートホルダー1はほぼ同じ状態でプレート2を保持することができる。プレート2側の嵌合部22の形状は、プレートホルダー1の溝11に差し込む際に、プレートホルダー1の溝11の嵌合部14の裾野部14b又は14cと少なくとも2箇所で当接できればよく、プレートホルダー1の溝11の嵌合部14の形状と相似形であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0038】
また、プレートホルダー1の本体10の溝11の底面の頂上部14aと2つの裾野部14b及び14cが連続的に形成され、さらに2つの壁12及び13の表面及び溝11の底面14も滑らかに、且つ、連続的に、鏡面に形成されているので、溝11の底面に埃や異物が堆積したり液体が溝11に掛かったとしても、エアーを吹き付けたり、綿棒やティッシュペーパーなどで拭き取ることによって、これら埃や異物あるいは液体などを容易に除去することができる。特に、本体10の2つの壁12及び13の表面及び溝11の底面を鏡面に形成するためには、本体10を樹脂成形する際の金型の2つの壁12及び13及び溝11の底面に対応する部分にパーティングラインを設けることができないので、結果的に2つの壁12及び13の表面及び溝11の底面には、はみ出した樹脂によるバリは存在せず、液体の付着によるカビや雑菌の繁殖を防止することができる。
【0039】
プレートホルダー1は、遠方からプレート2が差し込まれていることだけを視認できればよい場合は、プレートホルダー1自体にプレート2が差し込まれたことを検出する機能を設ける必要はない。一方、プレートホルダー1がフードコートやオフィスの打ち合わせコーナーなどに設置される場合、離れた場所に設置されているモニター装置などに、どのテーブルが占有されているかを表示できることが好ましい。
図5及び
図6に示す構成例では、プレートホルダー1の溝11にプレート2が差し込まれたときに、プレート2が差し込まれたことを検出し、所定の信号を無線送信するように構成されている。
【0040】
図5は、プレートホルダー1の溝11にプレート2が差し込まれていない状態を示す。プレートホルダー1の本体10の一方の壁12には開口12aが設けられている。壁12における開口12aの位置及び数は特に限定されないが、例えば、開口12aが、本体10の幅方向(X方向)の中央に対して左右対称に2箇所設けられていてもよい。本体10の内部には、本体10の幅方向(X方向)に設けられた水平な回転軸15bを中心軸として旋回する変位部材15が設けられている。変位部材15は、側面視で略L状を有しており、垂直方向における変位部材15の上端部近傍には、本体10の壁12の開口12aから溝11側に突出する接触部15aが形成されている。垂直方向における変位部材15の下端部で、且つ、回転軸15bと反対側の端部15cにはコイルばね17が係合され、接触部15aが本体10の壁12の開口12aから溝11側に突出するように付勢されている。
【0041】
また、プレートホルダー1の本体10の内部には、プレート2が溝11に差し込まれたときに、所定の信号を発信する発信回路とその発信回路の電源を確保するための発電素子を備えた回路モジュール16が設けられている。回路モジュール16には旋回レバー16aが突出するように設けられており、旋回レバー16aは変位部材15に係合されている。発電素子としては、例えば旋回レバー16aの旋回(変位)によってコイルと磁石を相対的に移動させ、電磁誘導現象によって電流を発生するものや、旋回レバー16aの変位によって圧電素子に圧力を加え、圧電効果によって電圧を発生するものなどが考えられる。いずれの方式であっても、発電素子が発信回路に接続されているので、発電素子に電流又は電圧が発生されると、発信回路に電流が流れ、所定の信号が送信される。
【0042】
図6は、プレートホルダー1の溝11にプレート2が差し込まれた状態を示す。前述のように、プレートホルダー1の溝11の底面の幅寸法T2は、プレート2の厚みに対して所定の公差分しか大きくないので、溝11にプレート2が差し込まれると、プレート2の一方の表面が、本体10の壁12の開口12aから溝11側に突出している変位部材15の接触部15aと接触する。プレート2の表面と変位部材15の接触部15aとの接触により、接触部15が壁12から本体部10の内側に後退し、それに応じて変位部材15が回転軸15bを中心として旋回する。変位部材15の旋回に伴って発電モジュール16の旋回レバー16aも旋回し、それによって発電素子によって電力が発生され、発信回路から所定の信号が送信される。モニター装置(図示せず)がプレートホルダー1からの所定の信号を受信すると、モニター画面上に表示された複数のテーブルのうち、所定の信号を送信したプレートホルダー1に対応するテーブルの表示色を変化させるなどして、そのテーブルが占有されていることを表示することができる。
【0043】
プレート2が、プレートホルダー1の溝11から引き抜かれると、コイルばね17の弾性力によって変位部材15が反対方向に旋回し、発電モジュール16の旋回レバー16aも反対向きに旋回する。発電素子は、電磁誘導現象を利用するものにしろ、圧電効果を利用するものにしろ、旋回レバー16aが逆方向に旋回すると、逆向きの電流又は電圧が発生される。発信回路が、発電素子によって発生される電流又は電圧の向きによって異なる信号を発生するように構成されていれば、モニター装置がプレートホルダー1からの所定の信号とは異なる信号を受信すると、画面上に表示されたそのプレートホルダー1に対応するテーブルの表示色を再度変化させるなどして、そのテーブルの占有が解除されたことを表示することができる。また、電源として発電素子を用いているので、電池が不要であり、発電モジュール16が故障しない限りメンテナンスが不要となる。
【0044】
変位部材15は、接触部15aがプレート2と接触して変位することによって、回転軸15bを中心として角度ηだけ旋回する。そのため、接触部15aの変位によってより大きな旋回角を得るためには、回転軸15bから接触部15aまでの距離をより短くすることが好ましい。そのためには、本体部10の壁12に設ける開口部12aの位置は、可能な限り低い位置、溝11の底面に近い位置とすることが好ましい。また、より好ましくは、回転軸15bを接触部15aの真下に位置するように構成するのがよい。
【0045】
図5及び
図6に示すプレートホルダー1の構成では溝11を形成する、本体10の2つの壁12及び13のうち一方の壁12に開口12aが形成されているため、例えば本体10の上方から水などの液体が掛けられたときに、開口12aと変位部材15の接触部15aとの隙間から液体が本体10の内部に侵入しにくくする必要がある。
図7は、
図5に示すプレートホルダー1にプレート2が差し込まれていない状態における本体10の壁12の開口12aと変位部材15の接触部15aの間に設けられた防水構造を示す拡大図である。本体10の内部には、正面視で略凹字状の内部シール部材18が開口部を下向きにして開口12aを囲むように装着されており、内部シール部材18の開口部の傾斜面18bが開口12aの上端面12bに連続するように形成されている。なお、内部シール部材18の代わりに、本体10の壁12を厚くして傾斜面18bを開口12aの上端面12bと連続的に、且つ、一体的に形成してもよい。
図7から明らかなように、垂直方向における変位部材15の接触部15aの上端面15dと、この上端面15dに対向する開口12aの上端面12b及び内部シール部材18の傾斜面18bとは互いに非平行である。変位部材15の接触部15aの上端面15dと壁12の開口12aの上端面12bの隙間、及び変位部材15の接触部15aの上端面15dと内部シール部材18の傾斜面18bの隙間は、壁12から本体10の内側に向かって広くなっている。同様に、垂直方向における変位部材15の接触部15aの下端面15eと、この下端面15eに対向する開口12aの下端面12cとは互いに非平行である。変位部材15の接触部15aの下端面15eと壁12の開口12aの下端面12cの隙間も、壁12から本体10の内側に向かって広くなっている。また、変位部材15のうち接触部15a以外の部分、例えば接触部15aの下端面15eよりも下側の部分が、壁12の溝11とは反対側の内周面12fと、この内周面12fに対向する変位部材15の当接面15hと接触するように構成してもよい。その場合、変位部材15の当接面15h及び壁12の内周面12fは、コイルばね17による変位部材15の旋回のストッパーとして機能する。変位部材15の接触部15aの上端面15dと壁12の開口12aの上端面12bがなす角度α1、変位部材15の接触部15aの下端面15eと壁12の開口12aの下端面12cがなす角度β1、及び変位部材15の接触部15aの上端面15dと内部シール部材18の傾斜面18bがなす角度θ1はいずれも鋭角であり、5°<α1、β1、θ1<30゜の範囲が好ましい。また、この状態では、θ1<α1<β1である。
【0046】
図8は、
図6に示すプレートホルダー1にプレート2が差し込まれた状態における本体10の壁12の開口12aと変位部材15の接触部15aの間に設けられた防水構造を示す拡大図である。
図8から明らかなように、垂直方向における変位部材15の接触部15aの上端面15dと、この上端面15dに対向する開口12aの上端面12b及び内部シール部材18の傾斜面18bとは互いに非平行である。同様に、垂直方向における変位部材15の接触部15aの下端面15eと当該下端面15eに対向する開口12aの下端面12cとは互いに非平行である。変位部材15の接触部15aの上端面15dと壁12の開口12aの上端面12bがなす角度α2、変位部材15の接触部15aの下端面15eと壁12の開口12aの下端面12cがなす角度β2、及び変位部材15の接触部15aの上端面15dと内部シール部材18の傾斜面18bがなす角度θ2はいずれも鋭角であり、5°<α2、β2、θ2<30゜の範囲が好ましい。また、この状態では、α2>β2<θ2である。なお、プレートホルダー1にプレート2が差し込まれることによる変位部材15の回転角度をηとすると、α2=α1+η、θ2=θ1+η、β2=β1-ηとなる。また、プレートホルダー1にプレート2が差し込まれたときの変位部材15の接触部15aの上端面15dと内部シール部材18の傾斜面18bがなす角度θ2は、プレート2が差し込まれていないときの変位部材15の接触部15aの上端面15dと壁12の開口12aの上端面12bがなす角度α1とほぼ等しくなるように構成されている。
【0047】
図9は、本体10の壁12の開口12aと変位部材15の接触部15aの間に設けられた防水構造を示す水平断面を示す。変位部材15の接触部15aは水平方向には変位しないので、
図9に示すように、プレートホルダー1にプレート2が差し込まれていない状態及びプレート2が差し込まれた状態のいずれにおいても、本体10の幅方向における変位部材15の接触部15aの左右端面15f及び15gと左右端面15f及び15gに対向する開口12aの左右端面12d及び12eとは互いに非平行である。同様に、変位部材15の接触部15aの左右端面15f及び15gと左右端面15f及び15gに対向する内部シール部材18の左右端面18d及び18eとは互いに非平行である。変位部材15の接触部15aの左右端面15f及び15gと壁12の開口12aの左右端面12d及び12eの隙間は、壁12から本体10の内側に向かって広くなっている。同様に、変位部材15の接触部15aの左右端面15f及び15gと内部シール部材18の左右端面18d及び18eの隙間は、壁12から本体10の内側に向かって広くなっている。変位部材15の接触部15aの左右端面15f及び15gと、壁12の開口12aの左右端面12d及び12eのなす角度γは、いずれも鋭角であり、5°<γ<30゜の範囲が好ましい。同様に、変位部材15の接触部15aの左右端面15f及び15gと、内部シール部材18の左右端面18d及び18eのなす角度もγに設定されている。
【0048】
図10は、プレートホルダー1の溝11にプレート2が差し込まれていない状態で、且つ、プレートホルダー1の溝11に水などの液体が掛けられた状態を示す。液体は、壁12及び13の表面を流れ、大半は溝11の底面の嵌合部14の2つの裾野部14b及び14cに沿ってプレートホルダー1の本体部の両側に流れ落ちるが、一部は壁12の開口12aと変位部材15の接触部15aの隙間に液体が浸入する。また、
図11は、プレートホルダー1の溝11にプレート2が差し込まれた状態で、且つ、プレートホルダー1の溝11に水などの液体が掛けられた状態を示す。液体は、溝を形成する壁12及び13の表面とプレート2の表面に沿って流れ、大半は溝11の底面の嵌合部14の2つの裾野部14b及び14cに沿ってプレートホルダー1の本体部の両側に流れ落ちるが、一部は壁12の開口12aと変位部材15の接触部15aの隙間に侵入する。しかしながら、いずれの場合も、液体W1~W3は表面張力によって壁12の開口12aと変位部材15の接触部15aの隙間や接触部15aとプレート2の間等に滞留し、本体10の内部には侵入しない。そのため、本体10の内部に設けられた発電素子や発信回路などがショートして故障する可能性が低減される。
【0049】
図12は、プレートホルダー1の本体10の壁12に形成される開口12aの変形例を示す。
図12に示す変形例では、変位部材15の接触部15aの下端面15eと壁12の開口12aの下端面12cの隙間は、壁12から本体10の外側、すなわち溝11側に向かって広くなっている。変位部材15の接触部15aの下端面15eと壁12の開口12aの下端面12cがなす角度β3も鋭角であり、5°<β3<45゜の範囲が好ましい。また、変位部材15の接触部15aの下端面15eよりも下側の部分において、壁12の溝11とは反対側の内周面12fと、この内周面12fに対向する変位部材15の当接面15hと接触することは、
図7に示す構成例と同様であるが、当接面15hよりも下方の下方内部シール面15iは、壁12の内周面12fに対して角度τ1だけ傾斜しており、変位部材15の下方内部シール面15iと壁12の内周面12fの隙間は、当接面15hから本体10の内側に向かって広くなっている。
【0050】
図13は、プレートホルダー1の溝11にプレート2が差し込まれた状態で、且つ、プレートホルダー1の溝11に水などの液体が掛けられた状態を示す。プレートホルダー1の溝11にプレート2が差し込まれることによって変位部材15が角度ηだけ回転しており、それによって変位部材15の壁12の内周面12fに対する角度はτ2(τ2=τ1-η)に縮小される。ここで、5°<τ2<30°の範囲に設定されている。変位部材15の接触部15aの下端面15eと壁12の開口12aの下端面12cの隙間に侵入した液体W2は、表面張力により、壁12の溝11とは反対側の内周面12fと、この内周面12fに対向する変位部材15の当接面15hとの間に滞留する。そのため、本体10の内部に設けられた発電素子や発信回路などがショートして故障する可能性が低減される。
【0051】
なお、
図5~
図13では、プレートホルダー1の本体10の溝11の底面の嵌合部については特に言及していないが、
図1~4に示すように、本体10の幅方向の略中央部に垂直方向の高さが最も高い頂上部14aが形成され、頂上部14aから本体10の幅方向の溝11の両端部にかけて連続的に垂直方向の高さが徐々に低下する2つの裾野部14b及び14cが形成された嵌合部14を形成してもよい。
【0052】
なお、本発明に係るプレートホルダーの用途は、上記のような大規模商業施設のフードコートやオフィスの打ち合わせコーナーなどに限定されるものではなく、例えば議会における議員の出欠を表示するために用いることも可能である。一般的には、議員が議会に出席する際、自身の座席に設けられた名札を立て、退席する際はその名札を倒して行く。国会議事堂では、議員がテーブル上に載置されている自分の名札を立てると、光センサーが働いて出席したことが記録され、名札を倒すと、また光センサーが働いて退席したことが記録される。また、投票ボタンやディスプレイと一体化されたセンサーがテーブル上に固定されているので、メンテナンスが困難であったり、名札の位置を自由に移動させることができず、資料を拡げる際の不便も考えられる。また、予算の少ない地方議会に国会と同様の設備を導入することは困難である。そこで、議員の出欠確認のために本発明に係るプレートホルダーを用いることによって、安価に出欠を表示したり、出欠を記録するシステムを導入することができる。
【0053】
さらに、特定のファーストフードチェーンによっては、顧客が料理を注文してから調理を開始し、できあがった料理を座席まで配達してくれるサービスを提供している。その際、顧客は、テーブル上に載置するためのプレートホルダーと一体になった番号札を手渡され、店員はプレートホルダーに記載された番号を探しながらできあがった料理を配達している。ところが、周知のように、プレートホルダーと一体になった番号札は非常に持ちにくく、大きな荷物を持っている場合は邪魔になる。そこで、各テーブル上に本願発明に係るプレートホルダーを設置し、番号札として本願発明のプレートホルダーに対応したプレートを顧客に手渡すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 プレートホルダー
2 プレート
10 本体
11 溝
12 (溝を形成する)壁
12a 開ロ
12b 開口の上端面
12c 開口の下端面
12d、12e 開口の左右端面
12f 壁1の内周面
13 (溝を形成する)壁
14 (プレートホルダー側の)嵌合部
14a 頂上部
14b、14c 裾野部
15 変位部材
15a 接触部
15b 回転軸
15d 接触部の上端面
15e 接触部の下端面
15f、15g 接触部の左右端面
15h 変位部材の当接面
15i 下方内部シール面
16 回路モジュール
16a 旋回レバー
17 コイルばね
18 内部シール部材
18b 傾斜面
18d、18e 内部シール部材の左右端面