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特許7421864ソーラーセルをパネルに取り付けるための無加圧接合プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ソーラーセルをパネルに取り付けるための無加圧接合プロセス
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/05 20140101AFI20240118BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H01L31/04 570
C09J201/00
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019033451
(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公開番号】P2019195046
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】15/907,943
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リュック, フィル
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/016451(WO,A1)
【文献】特開2012-248713(JP,A)
【文献】国際公開第2009/091068(WO,A1)
【文献】特開2014-078668(JP,A)
【文献】特開昭63-278279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/056
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネル(400)を形成するための方法(600)であって、
第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)の第1の表面(102)に少なくとも1つのタッキングパッド(130)を接着することと、
前記第1の表面(102)、第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)の第2の表面(112)のうちの1つ、又は両方に接着剤(140)を分注することと、
前記少なくとも1つのタッキングパッド(130)の前記接着の後、且つ前記接着剤(140)の前記分注の後に、前記第2の表面(112)を前記少なくとも1つのタッキングパッド(130)に物理的に接触させて配置することにより、前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)と前記第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)とを互いに貼り合わせることと、
前記配置の間に、前記第1の表面(102)及び第2の表面(112)に前記接着剤(140)を物理的に接触させることであって、当該配置の間に、前記接着剤(140)の厚さが減少し、前記接着剤(140)の表面積が増加するように、物理的に接触させることと、
前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)と前記第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)とを互いに貼り合わせることの後に前記接着剤(140)を硬化させることと
を含み、
前記少なくとも1つのタッキングパッド(130)が、前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)の第1の表面(102)及び第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)の第2の表面(112)に第1の接着力で接着され、
前記接着剤(140)が、前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)の前記第1の表面(102)及び前記第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)の前記第2の表面(112)に前記第1の接着力よりも大きい第2の接着力で接着される、
方法(600)。
【請求項2】
前記第1の表面(102)に前記少なくとも1つのタッキングパッド(130)を接着することは、前記第1の表面(102)に複数のタッキングパッド(130)を接着することを更に含む、請求項1に記載の方法(600)。
【請求項3】
前記接着剤(140)を分注することは、物理的に間隔を空けた複数の接着剤(140)のドットを前記第1の表面(102)、前記第2の表面(112)のうちの1つ、又は前記第1の表面(102)及び前記第2の表面(112)の両方にわたって分注することを含む、請求項1又は2に記載の方法(600)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのタッキングパッド(130)は感圧タッキングパッド(130)である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法(600)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのタッキングパッド(130)は、アクリル系接着剤(204)の2つの層の間に位置付けられるポリマーキャリア(202)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(600)。
【請求項6】
前記接着剤(140)は、30分から4時間の可使時間を有するシリコーンエラストマーを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(600)。
【請求項7】
前記接着剤(140)は、前記第2の表面(112)を前記少なくとも1つのタッキングパッド(130)に物理的に接触させて配置することの後に前記第1の表面(102)の40%から90%にわたって広がる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法(600)。
【請求項8】
前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)及び第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)のうち少なくとも1つはソーラーセルのアレイを備え、前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)及び第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)のうち他方はプリント回路を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(600)。
【請求項9】
前記ソーラーパネル(400)の前記接着剤(140)のボンドラインに基づく厚さを有するように前記タッキングパッド(130)を選択することを更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法(600)。
【請求項10】
ソーラーセルのアレイ(114)を備える第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)と、
プリント回路(104)を備える第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)と、
前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)と前記第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)との間に位置決めされ、前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)の第1の表面(102)及び第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)の第2の表面(112)に第1の接着力で接着された少なくとも1つのタッキングパッド(130)と、
前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)と前記第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)との間に位置決めされ、前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)の前記第1の表面(102)及び前記第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)の前記第2の表面(112)に前記第1の接着力よりも大きい第2の接着力で接着された接着剤層(140)と
を備えるソーラーパネル(400)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのタッキングパッド(130)は複数のタッキングパッド(130)を備え、各タッキングパッド(130)は2.54mmから12.7mm(0.1インチから0.5インチ)までの幅を含む、請求項10に記載のソーラーパネル(400)。
【請求項12】
前記接着剤層(140)は、物理的に間隔を空けた複数の接着剤ドットを備える、請求項10又は11に記載のソーラーパネル(400)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのタッキングパッド(130)は前記第1の表面(102)及び前記第2の表面(112)に1098.5 kg/mから1977.3kg/m(1平方インチあたり25オンスから45オンス(oz/in))の粘着力で取り付けられる、請求項10から12のいずれか一項に記載のソーラーパネル(400)。
【請求項14】
前記接着剤(140)は、前記第1の表面(102)の領域の40%から90%にわたって広がり、且つ物理的に接触する、請求項10から13のいずれか一項に記載のソーラーパネル(400)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのタッキングパッド(130)の厚さは、 前記接着剤(140)のボンドラインの±5%以内である、請求項10から14のいずれか一項に記載のソーラーパネル(400)。
【請求項16】
複数のソーラーパネル(400)を備える電子デバイス(500)であって、各ソーラーパネル(400)は、
ソーラーセルのアレイを備える第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)と、
プリント回路を備える第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)と、
前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)と前記第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)との間に位置決めされ、前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)の第1の表面(102)及び前記第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)の第2の表面(112)に第1の接着力で接着された少なくとも1つのタッキングパッド(130)と、
前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)と前記第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)との間に位置決めされ、前記第1のソーラーパネルサブアセンブリ(100)の前記第1の表面(102)及び前記第2のソーラーパネルサブアセンブリ(110)の前記第2の表面(112)に、前記第1の接着力よりも大きい第2の接着力で接着された接着剤(140)の層と
を備える、電子デバイス(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、ソーラーパネルの分野に関し、具体的には、ソーラーパネルの構築及び構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーパネルは、典型的には、プリント回路板(PCB)、フレキシブルプリント回路(フレックス回路)、又はリジッド面の形態のプリント回路を含む第1のサブアセンブリ(本明細書では基板と呼ぶ)、及び別個のアセンブリとして形成された、個々のソーラーセル又はソーラーセルアレイを含む第2のサブアセンブリ(本明細書では回路と呼ぶ)を含む。ソーラーパネルの構築中、ペースト接着剤を用いて当該基板と回路とが互いに取り付けられる。接着剤がサブアセンブリの1つ又は両方に分注されると、基板と回路とは近接して、接着剤に接触して位置付けられる。サブアセンブリは次いで、24時間から7日を要しうる接着剤の硬化中、典型的には固定具を用いて位置合わせ及び固定される。例えば真空を用いて、連続的な外部圧縮圧力が加えられる。外部圧力は、サブアセンブリ間の間隔及び接着剤の厚さが設計許容誤差の範囲内となるように、接着剤のボンドライン又は厚さを設定するのに十分なものである。加えて、最終的なソーラーパネルアセンブリにおいて接着剤の厚さ及びサブアセンブリ間の間隔が正確なものとなるように、接着剤は、設計された接着ボンドラインにおよそ等しい直径のガラス充填剤を含む場合がある。接着剤が十分に硬化する前に、回路と基板との間から流れ出る余分な接着剤は取り除かれる。硬化処理が達成されると外部圧縮圧力は取り除かれ、続いて更なる組み立てが実施されうる。
【0003】
ソーラーパネルを形成するための簡略化された方法、及び当該簡略化された方法により得られるソーラーパネルは、当技術分野で歓迎されるであろう。
【発明の概要】
【0004】
以下、本教示の一又は複数の実装形態のいくつかの態様について基本的な理解を提供するため、簡略化した概要を提示する。本概要は、広範な概説ではなく、また本教示の主要な要素又は重要な要素を特定することや本開示の範囲を定めることを意図するものでもない。むしろ、本概要の本質的な目的は、後に提示する詳細な説明の前置きとして簡略的に一又は複数の概念を提示するためのものに過ぎない。
【0005】
本教示の実装形態では、ソーラーパネルを形成するための方法は、第1のソーラーパネルサブアセンブリの第1の表面に少なくとも1つのタッキングパッドを接着することと、第1の表面、第2のソーラーパネルサブアセンブリの第2の表面のうちの1つ、又は両方に接着剤を分注することと、少なくとも1つのタッキングパッドの接着の後、且つ接着剤の分注の後に、第2の表面を少なくとも1つのタッキングパッドに物理的に接触させて配置することにより、第1のソーラーパネルサブアセンブリと第2のソーラーパネルサブアセンブリとを互いに貼り合わせることとを含む。方法は、当該配置の間に、第1及び第2の表面に接着剤を物理的に接触させることであって、当該配置の間に、接着剤の厚さが減少し、接着剤の表面積が増加するように、物理的に接触させることと、第1のソーラーパネルサブアセンブリと第2のソーラーパネルサブアセンブリとを互いに貼り合わせることの後に接着剤を硬化させることとを更に含む。任意選択的に、第1の表面に少なくとも1つのタッキングパッドを接着することは、第1の表面に複数のタッキングパッドを接着することを更に含む。接着剤を分注することは、物理的に間隔を空けた複数の接着剤のドットを第1の表面、第2の表面のうちの1つ、又は第1の表面及び第2の表面の両方にわたって分注することを含みうる。
【0006】
少なくとも1つのタッキングパッドは感圧タッキングパッドであってよく、アクリル系接着剤の2つの層の間に位置付けられたポリマーキャリア(ポリマー担体)を含みうる。接着剤は、30分から4時間の可使時間を有するシリコーンエラストマーを含んでいてよく、第2の表面を少なくとも1つのタッキングパッドに物理的に接触させて配置することの後に第1の表面の40%から90%にわたって広がりうる。
【0007】
一実装形態では、第1及び第2のソーラーパネルサブアセンブリのうちの少なくとも1つは、ソーラーセルのアレイを含むことができ、第1及び第2のソーラーパネルサブアセンブリのうち他方はプリント回路を含みうる。方法は、ソーラーパネルの接着剤のボンドラインに基づく厚さを有するようにタッキングパッドを選択することを任意選択的に更に含みうる。
【0008】
別の実装形態では、ソーラーパネルは、ソーラーセルのアレイを有する第1のソーラーパネルサブアセンブリと、プリント回路を含む第2のソーラーパネルサブアセンブリと、第1のソーラーパネルサブアセンブリと第2のソーラーパネルサブアセンブリとの間に位置決めされ、第1のソーラーパネルサブアセンブリの第1の表面及び第2のソーラーパネルサブアセンブリの第2の表面に第1の接着力で接着された少なくとも1つのタッキングパッドと、第1のソーラーパネルサブアセンブリと第2のソーラーパネルサブアセンブリとの間に位置決めされ、第1のソーラーパネルサブアセンブリの第1の表面及び第2のソーラーパネルサブアセンブリの第2の表面に、第1の接着力よりも大きい第2の接着力で接着された接着剤層とを備える。
【0009】
少なくとも1つのタッキングパッドは複数のタッキングパッドを任意選択的に含むことができ、各タッキングパッドは、約0.1インチから約1.0インチまで、又は約0.1インチから約0.5インチまでの幅を含む。接着剤層は、物理的に間隔を空けた複数の接着剤ドットを含みうる。少なくとも1つのタッキングパッドは感圧タッキングパッドであってよく、ポリマーキャリア及びアクリル系接着剤を含みうる。ソーラーパネルの接着剤は、シリコーンエラストマーであるか、又はシリコーンエラストマーを含みうる。
【0010】
一実装形態では、少なくとも1つのタッキングパッドは、第1及び第2の表面に1平方インチあたり25オンスから45オンス(oz/in)の粘着力で取り付けられうる。接着剤は、第1の表面の領域の40%から90%にわたって広がり、且つ物理的に接触する。少なくとも1つのタッキングパッドの厚さは、接着剤のボンドラインの±5%以内でありうる。
【0011】
別の実装形態では、電子デバイスは複数のソーラーパネルを含み、各ソーラーパネルは、ソーラーセルのアレイを有する第1のソーラーパネルサブアセンブリと、プリント回路を有する第2のソーラーパネルサブアセンブリと、第1のソーラーパネルサブアセンブリと第2のソーラーパネルサブアセンブリとの間に位置決めされ、第1のソーラーパネルサブアセンブリの第1の表面及び第2のソーラーパネルサブアセンブリの第2の表面に第1の接着力で接着された少なくとも1つのタッキングパッドと、第1のソーラーパネルサブアセンブリと第2のソーラーパネルサブアセンブリとの間に位置決めされ、第1のソーラーパネルサブアセンブリの第1の表面及び第2のソーラーパネルサブアセンブリの第2の表面に、第1の接着力よりも大きい第2の接着力で接着された接着剤層とを含む。電子デバイスは、ソーラーパネルに電気的に連結された少なくとも1つのバッテリを更に含みうる。
【0012】
本明細書に組み込まれ本明細書の一部を構成している添付図面は、本教示の実装形態を示し、且つ記載部分と共に本開示の原理を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】Aは、本教示の一実装形態に係る第1のソーラーパネルサブアセンブリを示す斜視図であり、Bは、本教示の一実装形態に係る第2のソーラーパネルサブアセンブリを示す斜視図である。
図2】第1及び第2のソーラーパネルサブアセンブリを互いに近接して位置付けした後の、図1A及び図1Bの2-2に沿った拡大断面図である。
図3】第1のソーラーパネルサブアセンブリの第1の表面及び第2のソーラーパネルサブアセンブリの第2の表面を複数のタッキングパッド及び接着剤に物理的に接触させた後の図2の構造を示す。
図4】完成したソーラーパネルの斜視図である。
図5】複数のソーラーパネルを含む、本教示の一実装形態を示す。
図6】本教示に係るソーラーパネル及び電子デバイスを形成するための方法の一実装形態を示すフローチャートである。
【0014】
図面の一部の細部は、厳密な構造的精度、細部、及び縮尺を維持するためというよりはむしろ、本教示の理解を容易にするために簡略化され図示されていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本教示の例示的な実装形態を詳細に参照し、その実施例を添付図面に示す。好都合な場合には、同一又は類似の部分を指すために、図面全体を通して同一の参照番号を使用する。
【0016】
上述のように、基板及び回路を含むソーラーパネルサブアセンブリは、ソーラーパネルの形成中に接着剤を用いて互いに取り付けられる。接着剤の硬化中、ソーラーパネルサブアセンブリは典型的には、該2つのサブアセンブリを固定された相対位置に位置合わせし維持する固定具の内部に配置される。接着剤のボンドラインを設定するために固定具がサブアセンブリに圧縮圧力を加えうるか、又は硬化が真空環境で実施されうる。接着剤の硬化には、1日から7日を要しうる。
【0017】
接着剤の硬化中にサブアセンブリを位置付けるために固定具を使用することは、ソーラーパネル製造における最新技術として現在認識されているものの、様々な欠点がある。例えば、固定具を設計し製造すること又は供給業者から固定具を購入することにより、ソーラーパネルの製造コストが増大する。加えて、固定具は典型的にはソーラーパネルの特定の設計用にカスタマイズされるため、ソーラーパネルの設計変更のためには取り換えや再ツーリング(工具の再選定、再設定等)が必要となる。更に、固定具は保管及びメンテナンスしなければならず、また、固定具をソーラーパネルサブアセンブリに取り付けること及びそれに続く固定具の取り外しにより、労働コストが加わる。回路/セル間での接着剤のはみ出し分を洗浄することもまた、時間がかかり、回路/セルを破損させる。
【0018】
本教示の一実装形態は、例えばタッキングパッドを使用して整合した接着剤のボンドラインを設定することによって、作業のやり直しを減らすことが可能なソーラーパネルの簡略化した構築をもたらし、これにより、不適切なサイズの接着剤ボンドラインを有するアセンブリの作業をやり直す必要が生じることを防止することができる。本明細書に記載の構築方法の実装形態により、例えば接着剤の硬化中に、従来の方式でサブアセンブリ同士を固定された相対的な位置合わせに維持する工具などの量が低減され、更には、このような工具を配置すること及び取り外すことに関連する労働力が不要となる。作業のやり直し、工具、及び労働力を減らすことにより、ソーラーパネル構築の従来の方法と比較して製造コストを低減することができる。
【0019】
従来のソーラーパネル構築方法と更に異なり、本教示の実装形態は、接着剤の部分的硬化又は完全な硬化の間に、第1のソーラーパネルアセンブリ及び第2のソーラーパネルサブアセンブリを共に保持するために圧縮圧力を加えることを必要としない。従来の方法では、接着剤の硬化中にソーラーパネルサブアセンブリ同士を固定された位置合わせに維持するため、固定具、真空、又は別の圧縮源のうち1つ以上がソーラーパネルサブアセンブリに適用される。この点で、接着剤を硬化する間にソーラーパネルサブアセンブリを固定された位置合わせに保持するために圧縮圧力を当該ソーラーパネルサブアセンブリに加える必要がないため、本明細書では本方法の実装形態を「無加圧」であるとするが、いくつかの実装形態は、加えた圧力の使用を含んでもよい。一実装形態では、一又は複数のタッキングパッドが、接着剤硬化処理段階中にソーラーパネルサブアセンブリを互いに固定された位置合わせに維持する。
【0020】
図1Aから図4は、本教示の一実装形態に係る、ソーラーパネル形成中のインプロセス構造を示す。図1Aは、第1の表面102を有する第1のソーラーパネルサブアセンブリ100を示す斜視図であり、第1のソーラーパネルサブアセンブリ100は、第1の基板106の上及び/又は内部に形成されるソーラーパネル回路104を含む。第1の基板106は、例えば、プリント回路板、フレキシブルプリント回路(すなわち、フレックス回路)、リジッド基板などであってよい。図1Bは、第2の表面112を有する第2のソーラーパネルサブアセンブリ110を示し、第2のソーラーパネルサブアセンブリ110は一又は複数のソーラーセルアレイ114を含み、ソーラーセルアレイ114の各々は、第2の基板116上に形成された複数のソーラーセル(簡略化のため、個別には図示しない)を含む。第2の基板116は、例えば、ソーラーセルアレイ114を形成するパターニングされたメタライゼーションを含む一又は複数のガラス製パネルであってよい。第1のソーラーパネルサブアセンブリ100及び第2のソーラーパネルサブアセンブリ110は、既知の技術に従って形成することができる。
【0021】
図1A及び図1Bは更に、第1の表面102、第2の表面112のうちの1つ、又は第1の表面102及び第2の表面112の両方に取り付けられる少なくとも1つのタッキングパッド130、例えば複数のタッキングパッド130を示す。更に、図1A及び図1Bは、第1の表面102、第2の表面112のうちの1つ、又は第1の表面102及び第2の表面112の両方に分注される接着剤140を示す。説明のため、図1A及び図1Bは、第1の表面102及び第2の表面112の両方に取り付けられるタッキングパッド130、並びに第1の表面102及び第2の表面112の両方に分注される接着剤140を示す。
【0022】
タッキングパッド130は、作業者又は技術者により手作業で、自動化ピックアンドプレース機器などの自動化機器を用いて、又は別の適切な配置技術を用いて配置されうる。同様に、接着剤140は、手作業で、又は自動化接着剤分注システムなどの自動化機器を用いて分注されうる。
【0023】
タッキングパッド130は、表面102及び/又は表面112全体にわたり、完成したデバイスの構築又は作動に悪影響を及ぼさない箇所に配置することができる。例えば、完成したソーラーパネルの作動中に電気的接触がなされる導電性接点パッド150は避けられうるが、これはタッキングパッド130又は接着剤140のいずれかを配置することで、導電性接点パッド150への後の電気的接続が阻まれるか又は妨げられる場合があるためである。
【0024】
タッキングパッド130は、例えば円形、正方形、矩形などの任意の所望の形状、及び、ソーラーセルのサイズに応じて例えば0.1インチから約0.5インチなどの任意の所望のサイズを有するように形成されうる。過度に大きい及び/又は不適切な形状のタッキングパッド130は、完成したソーラーパネルの作動に干渉しない領域に容易に配置することに適していない。小さすぎるタッキングパッド130では、接着剤140の硬化中にソーラーパネルサブアセンブリ100、110の正確且つ安定的な位置合わせを維持するために数多くのタッキングパッド130を配置することが必要となる。一実装形態では、タッキングパッド130は、完成したソーラーパネルの第1の表面102及び第2の表面112の約1%から約5%の上に形成されうる。タッキングパッド130を施す領域が小さすぎると、接着剤140の硬化中にソーラーパネルサブアセンブリ100、110が固定された相対位置にしっかりと維持されず、ソーラーパネルサブアセンブリ100、110は、位置合わせがずれた状態となる可能性がある。タッキングパッド130を施す領域が大きすぎると、接着剤140の硬化後にソーラーパネルサブアセンブリ100、110の接着強度が低下し、それゆえ結果として完成したソーラーパネルに不具合が生じる場合がある。
【0025】
同様に、接着剤140は、表面102及び/又は表面112全体にわたり、完成したデバイスの構築又は作動に悪影響を及ぼさない箇所に、例えば、導電性接点パッド150、及びタッキングパッド130の接着特性に干渉しないよう当該タッキングパッドが配置される部位を避けて配置することができる。一実装形態では、接着剤140は、図 1A及び図1Bに示すような複数の接着剤ドットとして塗布することができ、この際、各接着剤ドットは、接着剤140の特定の体積又は重量が目標とされる。一実装形態では、各接着剤ドットは、約0.01グラムから約0.5グラム、又は約0.01グラムから約0.1グラムまでの重量を有しうる。接着剤140の硬化後に第1及び第2のソーラーパネルサブアセンブリ100、110が互いに十分に接着され、予想作動状況下で完成したソーラーパネルが分離することを回避できるように、多数の接着剤ドットが塗布される。過度な量の接着剤140を塗布すると、第1のソーラーパネルサブアセンブリ100と第2のソーラーパネルサブアセンブリ110との間から流れ出る接着剤が過剰となり、過度な洗浄が必要となったり、ソーラーパネルの望ましくない箇所に接着剤140が流れる可能性が生じうる。接着剤140の量が不足している場合には接着が不十分となり、完成したソーラーパネルの分離や不具合の可能性が生じうる。一実装形態では、接着剤140は、完成したソーラーパネルの第1の表面102及び第2の表面112の約40%から約90%の上に形成されうる。
【0026】
図2は、組み立てプロセス中に第2の表面112を第1の表面102の近傍に配置した後の、図1A及び図1Bの2-2に沿った拡大断面図である。本実装形態では、第1のソーラーパネルサブアセンブリ100が、組み立て中に加工面200上に配置されうる。
【0027】
図2に示すように、タッキングパッド130は、2つの接着剤層204の間に位置付けられるキャリア(すなわち、キャリア層)202を含む感圧タッキングパッド130であってよく、接着剤層204はキャリア202に自己接着する。キャリア202は、例えば、十分な表面接着強度を有する熱硬化性プラスチック又はポリイミドなどのポリマーであってよい。接着剤層204は、アクリル系接着剤などの材料からなる乾燥した粘着性の接着剤の層でありうる。タッキングパッド130としての使用に適した市販の材料は、例えば、所望のサイズ及び形状に切断されたAdhesive Transfer Tape 966などの3MTM High Temperature Acrylic Adhesive 100を含む。
【0028】
接着剤140は、使用中の完成したソーラーパネルの予想作動状況に適した接着剤でありうる。航空宇宙における実装形態では、例えば、接着剤140は、宇宙の環境及び極限温度範囲などにおける広い作動温度範囲にわたって十分な接着を維持する、宇宙グレードで低アウトガス性の、白金硬化接着剤であってよい。一実装形態では、硬化後の接着剤140は、-175°Cから+155°Cの温度範囲にわたって十分な接着特性を維持することができる。接着剤140は、ソーラーパネルの製造時間を低減するため、例えばシリコーンエラストマーなどの熱硬化性接着剤でありうるか又は熱硬化性接着剤を含みうる。接着剤140としての使用に適した市販の材料は、NuSil Technology LLCより入手可能なCV1-2289-1シリコーンエラストマーを含む。接着剤140は、第1のソーラーパネルサブアセンブリ100及び第2のソーラーパネルサブアセンブリ110の組み立てを可能にするのに十分な、例えば、30分から4時間の可使時間を有する。
【0029】
図2は、接着剤140を分注した後、且つソーラーパネルを組み立てる前の、タッキングパッド130の固定厚“T”に対する接着剤140の初期可変厚“T”を更に示す。本実装形態において、図 2の加工段階では、T>Tである。図 2に示すように、接着剤140は、当該接着剤140の分注後に第1の表面領域を有する。図2は、接着剤140が分注される表面にわたる、且つ当該表面に物理的に接触する初期幅“W”を有する接着剤140を更に示し、当該表面は、図2においては第1のソーラーパネルサブアセンブリ100の第1の表面102である。
【0030】
図2及び図3の間に、タッキングパッド130を第1の表面102及び第2の表面112の少なくとも1つに接着した後、且つ接着剤140を第1の表面102及び第2の表面112のうち少なくとも1つに分注した後で、第2の表面112はタッキングパッド130に物理的に接触して配置される。接着剤140の厚さを薄くし、第1及び第2の表面102、112の両方を接着剤140及びタッキングパッド130の接着剤層204に接触させるために、第1及び第2のソーラーパネルサブアセンブリ100、110に十分な圧縮力が加えられる。図3に示すように、タッキングパッド130を用いて第1の表面102及び第2の表面112が互いに貼り合わせられ、これにより第1のソーラーパネルサブアセンブリ100と第2のソーラーパネルサブアセンブリ110とが互いに貼り合わせられる。図2及び図3に示すように、第2の表面112を接着剤140に物理的に接触させる間、接着剤140の厚さは図2のTから図3のTまで減少し、接着剤140の幅は図2のWから図3のWまで増加し、これにより接着剤140の表面積も増加する。したがって、タッキングパッド130の厚さTにより、図3の接着剤140のボンドラインが決定され、当該ボンドラインはTに等しい。
【0031】
第1のソーラーパネルサブアセンブリ100及び第2のソーラーパネルサブアセンブリ110を互いに図3に示すように貼り合わせた後、接着剤140は、図4に示す完成したソーラーパネル400が得られるように、接着剤140及びソーラーパネルの十分なプロセスの他のコンポーネントに適したプロセスを用いて硬化される。硬化方法は、接着剤140を室温で、ある期間、例えば7日間維持することを含みうる。別の実装形態では、硬化方法は、接着剤140を約65°Cから約150°C、例えば約65°Cの温度まで、約15分から約4時間、例えば約4時間の持続時間加熱することを含みうる。現在のソーラーパネル加工技術では、接着剤硬化に要する最短時間は7日であり、従来のソーラーパネル形成と比較した硬化時間のこの改善によって、製品の加工時間が減少し、生産高が増加し、したがってコストが減少する。
【0032】
ソーラーパネル400を形成した後、一又は複数のソーラーパネル400は、電子デバイスのソーラーパワーを生成するための電子デバイスサブコンポーネントとして利用することができる。図5は、ソーラーエネルギーを電気エネルギーに変換するのに使用される複数のソーラーパネル400を示し、ここで複数のソーラーパネル400は、衛星として代表的に示される電子デバイス500を形成するために他のコンポーネントと共に組み立てられる。特定の代表的な実装形態では、他のコンポーネントは、例えば、複数のソーラーパネル400に電気的に結合される一又は複数のバッテリ504、燃料タンク506などを収容し保護するハウジング502を含みうる。他のコンポーネントはまた、一又は複数のアンテナ508も含むことができる。一又は複数のソーラーパネル400を、衛星以外の電子デバイス500、例えば、他の航空宇宙機器及び輸送ビークル、軍事及び民間ビークル及び機器、ソーラーファームなどの未処理の電力の発電と共に使用することも考えられる。
【0033】
ソーラーパネルを形成するためのプロセス又は方法600を、図6のフローチャートに示す。方法600は、上記の図に示した構造の一又は複数の操作又は使用により進行することができるため、図1Aから図5を参照して説明する。しかしながら、本明細書で明示しない限り、方法600はいかなる特定の構造及び使用にも限定されないことが理解されよう。例えば、一連の作用又は事象として方法600を記載しているが、本教示はそのような作用又は事象の順序に限定されないことが理解されよう。いくつかの作用は、異なる順序で、且つ/又は本明細書に記載されたものとは別の作用又は事象と同時に生じることがある。更に、本教示に係る方法は、簡略化のため図示していない他の作用又は事象を含むこともでき、一方、説明した他の作用又は事象は除外又は変更してもよい。
【0034】
602で示すように、方法600は、第1のソーラーパネルサブアセンブリ100の第1の表面102若しくは第2のソーラーパネルサブアセンブリ110の第2の表面112、又は第1及び第2の表面102、112の両方に少なくとも1つのタッキングパッド130を取り付けることを含みうる。604の時点で、第1及び第2の表面102、112のうちの1つ又は両方に接着剤140が分注される。続いて、606に示すように、第1及び第2の表面102、112を一又は複数のタッキングパッド130と接触させて配置することにより、第1のソーラーパネルサブアセンブリ100と第2のソーラーパネルサブアセンブリ110とが互いに貼り合わせられる。第1及び第2の表面102、112をタッキングパッド130に接触させて配置する間、608の時点で第1及び第2の表面102、112は接着剤140に接触し、これにより610の時点で接着剤140の厚さが減少し、表面積は増加する。次に、612の時点で、ソーラーパネル400を形成するために接着剤140が硬化される。614の時点で、電子デバイス500を形成するために一又は複数のソーラーパネル400は他のコンポーネントと共に組み立てられうる。
【0035】
このように、本教示の実装形態は、従来の方法と比較して簡略化された、ソーラーパネルを形成するための方法、及び当該方法を用いて形成されるソーラーパネルを提供する。ソーラーパネルは、主要接着剤の硬化中に第1のソーラーパネルアセンブリと第2のソーラーパネルサブアセンブリとを固定された位置合わせに維持する補助接着剤を提供する一又は複数のタッキングパッドを含む。タッキングパッドは完成したソーラーパネルの一部に留まる一方で、主要接着剤は、完成したソーラーパネルにおける第1及び第2のソーラーパネルサブアセンブリの接着の大部分を提供する。すなわち、完成したソーラーパネルにおいて第1及び第2の表面は、タッキングパッドによって第1の接着力で互いに接着され、且つ接着剤によって第1の接着力よりも大きい第2の接着力で接着される。完成したソーラーパネルのいくつかの実装形態では、主要接着剤は、第1及び第2のソーラーパネルサブアセンブリの間の接着力の95%以上(ただし一般的には100%未満)に寄与することができ、タッキングパッドは、当該接着力の5%以下(一般的には0%よりも大きい)を提供する。一実装形態では、接着力は、粘着力として定義することができ、タッキングパッド又は複数のタッキングパッドの当該粘着力は1平方インチあたり約25オンスから約45オンス(oz/in)である。第1及び第2の接着力は、例えば、破壊的及び/又は非破壊的試験を用いて測定することができる。接着力は、任意の数のタッキングパッド130のみを用いて接着された第1及び第2のソーラーパネルサブアセンブリ100、110を含む第1の試験サンプル、及び任意の量の接着剤140のみを用いて接着された第1及び第2のソーラーパネル100、110を含む第2の試験サンプルを使用して測定及び比較することができる。試験サンプル中のタッキングパッド130の数及び接着剤140の量は、完成したソーラーパネル400の設計に使用されるものと類似であってよい。一例示的な測定技術では、従来の引張強度試験機器を用いて試験サンプルの各々に引張力が加えられうる。引張力は、例えば、ニュートン毎平方メートル(N/m、すなわちパスカル)、キログラム毎平方センチメートル(Kg/cm)、ポンド毎平方インチ(PSI)、オンス毎平方インチ(oz/in)などで測定されうる。
【0036】
加えて、接着剤及びタッキングパッドは、完成したソーラーパネルの作動に電気的に寄与しない誘電材料である。更に、タッキングパッドの厚さにより、第1及び第2のソーラーパネルサブアセンブリの間の接着剤のボンドラインが決定されるか又は設けられる。一実装形態では、例えば内製により、又は供給者との作業により、各タッキングパッドの厚さを高精度に規定して、完成したソーラーパネルの、制御された所望のボンドラインを提供することができる。
【0037】
ソーラーパネルサブアセンブリを互いに貼り合わせるために一又は複数のタッキングパッドを使用することにより、例えばボンドラインを設定するために間隔を空ける目的でのガラスビーズ又はマイクロバルーンの添加剤を接着剤中に含める必要がなくなる。この点は、重量、そして添加剤に適合する接着剤を使用する必要性を低減することに寄与する。これにより、コンポーネントを組み合わせる必要性も低減する及び/又はなくなり、したがって手作業を組み合わせることが減り、人間工学面が改善される。更に、例えばはみ出し分などの余分な接着剤を手作業で除去する必要性もなくなる。これにより接着材料の使用をより少なくすることができ、このことは最終アセンブリの重量を低減する点において重要である。また、接着剤の堆積量、及び配置/パターニングをより高い精度で制御できる機能も提供される。
【0038】
上述のように、接着剤が硬化する間にソーラーパネルサブアセンブリを固定された位置合わせに保持するための圧縮圧力をかける必要がないので、本明細書においては本方法の実装形態について「無加圧(pressureless)」であると言及しているが、いくつかの実装形態では、加えた圧力の使用を含んでもよい。一実装形態では、一又は複数のタッキングパッドは、接着剤硬化処理段階中にソーラーパネルサブアセンブリを互いに固定された位置合わせに維持する。
【0039】
更に、本開示は下記の条項による実施例を含む。
【0040】
条項1 ソーラーパネルを形成するための方法であって、第1のソーラーパネルサブアセンブリの第1の表面に少なくとも1つのタッキングパッドを接着することと、第1の表面、第2のソーラーパネルサブアセンブリの第2の表面のうちの1つ、又は両方に接着剤を分注することと、少なくとも1つのタッキングパッドの接着の後、且つ接着剤の分注の後に、第2の表面を少なくとも1つのタッキングパッドに物理的に接触させて配置することにより、第1のソーラーパネルサブアセンブリと第2のソーラーパネルサブアセンブリとを互いに貼り合わせることと、当該配置の間に、第1の表面及び第2の表面に接着剤を物理的に接触させることであって、当該配置の間に、接着剤の厚さが減少し、接着剤の表面積が増加するように、物理的に接触させることと、第1のソーラーパネルサブアセンブリ及び第2のソーラーパネルサブアセンブリを互いに貼り合わせることの後に接着剤を硬化させることとを含む方法。
【0041】
条項2 第1の表面に少なくとも1つのタッキングパッドを接着することは、第1の表面に複数のタッキングパッドを接着することを更に含む、条項1に記載の方法。
【0042】
条項3 接着剤を分注することは、物理的に間隔を空けた複数の接着剤のドットを第1の表面、第2の表面のうちの1つ、又は第1の表面及び第2の表面の両方にわたり分注することを含む、条項1又は2に記載の方法。
【0043】
条項4 少なくとも1つのタッキングパッドは感圧タッキングパッドである、条項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0044】
条項5 少なくとも1つのタッキングパッドは、アクリル系接着剤の2つの層の間に位置付けられたポリマーキャリアを含む、条項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
条項6 接着剤は、30分から4時間の可使時間を有するシリコーンエラストマーを含む、条項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0046】
条項7 接着剤は、第2の表面を少なくとも1つのタッキングパッドに物理的に接触させて配置することの後に第1の表面の40%から90%にわたって広がる、条項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0047】
条項8 第1のソーラーパネルサブアセンブリ及び第2のソーラーパネルサブアセンブリのうち少なくとも1つはソーラーセルのアレイを備え、第1のソーラーパネルサブアセンブリ及び第2のソーラーパネルサブアセンブリのうち他方はプリント回路を備える、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
条項9 ソーラーパネルの接着剤のボンドラインに基づく厚さを有するように、タッキングパッドを選択することを更に含む、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0049】
条項10 ソーラーセルのアレイを備える第1のソーラーパネルサブアセンブリと、プリント回路を備える第2のソーラーパネルサブアセンブリと、第1のソーラーパネルサブアセンブリと第2のソーラーパネルサブアセンブリとの間に位置決めされ、第1のソーラーパネルサブアセンブリの第1の表面及び第2のソーラーパネルサブアセンブリの第2の表面に第1の接着力で接着された少なくとも1つのタッキングパッドと、第1のソーラーパネルサブアセンブリと第2のソーラーパネルサブアセンブリとの間に位置決めされ、第1のソーラーパネルサブアセンブリの第1の表面及び第2のソーラーパネルサブアセンブリの第2の表面に、第1の接着力よりも大きい第2の接着力で接着された接着剤層とを備えるソーラーパネル。
【0050】
条項11 少なくとも1つのタッキングパッドは複数のタッキングパッドを含み、各タッキングパッドは0.1インチから0.5インチまでの幅を含む、条項10に記載のソーラーパネル。
【0051】
条項12 接着剤層は、物理的に間隔を空けた複数の接着剤ドットを含む、条項10又は11に記載のソーラーパネル。
【0052】
条項13 少なくとも1つのタッキングパッドは感圧タッキングパッドである、条項10から12のいずれか一項に記載のソーラーパネル。
【0053】
条項14 少なくとも1つのタッキングパッドは、ポリマーキャリア及びアクリル系接着剤を含む、条項10から13のいずれか一項に記載のソーラーパネル。
【0054】
条項15 接着剤は、シリコーンエラストマーを含む、条項10から14のいずれか一項に記載のソーラーパネル。
【0055】
条項16 少なくとも1つのタッキングパッドは、第1及び第2の表面に1平方インチあたり25オンスから45オンス(oz/in)の粘着力で取り付けられる、条項10から15のいずれか一項に記載のソーラーパネル。
【0056】
条項17 接着剤は、第1の表面の領域の40%から90%にわたって広がり、且つ物理的に接触する、条項10から16のいずれか一項に記載のソーラーパネル。
【0057】
条項18 少なくとも1つのタッキングパッドの厚さは、接着剤のボンドラインの±5%以内である、条項10から17のいずれか一項に記載の方法。
【0058】
条項19 複数のソーラーパネルを備える電子デバイスであって、各ソーラーパネルは、ソーラーセルのアレイを備える第1のソーラーパネルサブアセンブリと、プリント回路を備える第2のソーラーパネルサブアセンブリと、第1のソーラーパネルサブアセンブリと第2のソーラーパネルサブアセンブリとの間に位置決めされ、第1のソーラーパネルサブアセンブリの第1の表面及び第2のソーラーパネルサブアセンブリの第2の表面に第1の接着力で接着された少なくとも1つのタッキングパッドと、第1のソーラーパネルサブアセンブリと第2のソーラーパネルサブアセンブリとの間に位置決めされ、第1のソーラーパネルサブアセンブリの第1の表面及び第2のソーラーパネルサブアセンブリの第2の表面に、第1の接着力よりも大きい第2の接着力で接着された接着剤層とを備える電子デバイス。
【0059】
条項20 ソーラーパネルに電気的に連結された少なくとも1つのバッテリを更に含む、条項19に記載の電子デバイス。
【0060】
本教示を、ソーラーパネル、及び2つのソーラーパネルサブアセンブリを互いに接着することに関して記載してきたが、第1のアセンブリを第2のアセンブリに取り付けるための本教示の他の使用も企図される。例えば、1つの特定の使用では、本教示の実装形態を用いてミラーリフレクタ(第1のアセンブリ)を支持基板(第2のアセンブリ)に接合することもできる。
【0061】
本教示の広い範囲を明示する数値的範囲及びパラメータは概算であるが、特定の実施例において明示された数値は、できる限り正確に報告されている。しかしながら、すべての数値は、それぞれの試験的測定に見られる標準偏差から必然的に生じる若干の誤差を本質的に含む。更に、本明細書で開示された全ての範囲は、本明細書内に包含される任意の全ての下位範囲を含むことを理解すべきである。例えば、「10未満」という範囲は、最小値0から最大値10の間の(それらを含む)任意の全ての下位範囲を含んでいてよく、すなわち、任意の全ての下位範囲は、例えば1から5などの、0以上の最小値及び10以下の最大値を有する。場合によっては、パラメータとして記述した数値が負の値であってもよい。この場合、「10未満」として記載されている例示の範囲は、例えば-1、-2、-3、10、-20、-30などの負の値を想定することができる。
【0062】
本教示を、一又は複数の実装形態に関して説明してきたが、添付の請求項の主旨及び範囲から逸脱することなく、示されている実施例に対して変更及び/又は修正を行うことができる。例えば、一連の作用又は事象としてプロセスを記載しているが、本教示はそのような作用又は事象の順序に限定されないことが理解されよう。そのような作用は、異なる順番で、且つ/又は、本明細書に記載されたものとは別の作用又は事象と同時に起こることがある。また、本教示の一又は複数の態様又は実装形態に係る方法を実行するために全てのプロセス段階が必要とはされない場合もある。構造的コンポーネント及び/又は加工段階を追加してもよく、既存の構造的コンポーネント及び/又は加工段階を除外又は修正してもよいことが理解されよう。更に、本明細書に図示した作用のうちの一又は複数は、一又は複数の別個の作用及び/又は段階で実行されることがある。更には、「含んでいる」「含む」「有している」「有する」「伴う」という用語又はそれらの変形は、詳細な説明と特許請求の範囲のいずれかで使用されている限り、「含む/備える(comprising)」と同様に包含的であることが意図される。「~のうちの少なくとも1つ」という用語は、列挙された項目のうちの一又は複数を選択できることを意味するために使用される。本明細書において、例えば「A及びB」などの項目の列挙に関する「一又は複数の」という用語は、A単独、B単独、又はA及びBを意味する。更に、本明細書の記述及び特許請求の範囲において、1つの材料が他方の材料の「上に(on)」にある2つの材料に関して使用する、「上に(on)」という用語は、当該材料間に少なくとも何らかの接触があることを意味するのに対し、「上方に(over)」は、複数の材料が互いに近接しているが、一又は複数の追加の介在材料を伴う場合があり、接触することは可能であるが必須ではないことを意味する。「上に(on)」、「上方に(over)」のいずれも、本明細書で使用する限り、何らかの方向性を示唆するわけではない。「コンフォーマル」という用語は、下にある材料の角度がコンフォーマル材料によって保護されるコーティング材を表す。「約(about)」という用語は、例示した実装形態にプロセス又は構造上の不適合が生じない限り、列挙した値を幾らか変更してもよいことを示す。最後に、「例示的な(exemplary)」は、記載が理想的であることを示唆するよりもむしろ、例として使用されていることを示している。明細書の検討及び本明細書の開示を実施することによって、当業者には他の実装形態も明らかになるであろう。明細書及び実施例は単なる例示にすぎないものと見なされることが意図され、本教示の真の範囲及び主旨は、以下の特許請求の範囲によって示されている。
【0063】
本出願で使用する相対位置の用語は、ワークピースの方向付けに関わらず、ワークピースの従来の平面又は作業面に平行な平面に基づき定義される。本出願で使用する「水平方向の(horizontal)」又は「横方向の(lateral)」という用語は、ワークピースの配向に関わらず、ワークピースの従来の平面又は作業面に平行な平面として定義される。「垂直方向の(vertical)」という用語は、水平に対し直角な方向を指す。「上に(on)」、「(「側壁」という用語に見られるような)側面(side)」、「より高い(higher)」、「より低い(lower)」、「上方に(over)」、「最上部(top)」、「下に(under)」などの用語は、ワークピースの配向に関わらず、ワークピースの最上面に位置する従来の平面又は作業面に対して定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6