(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】アンチ・リッピング機能を有するリファイナー・プレート・セグメント
(51)【国際特許分類】
D21D 1/30 20060101AFI20240118BHJP
B02C 7/06 20060101ALI20240118BHJP
B02C 7/12 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
D21D1/30
B02C7/06
B02C7/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019097455
(22)【出願日】2019-05-24
【審査請求日】2022-02-22
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502278600
【氏名又は名称】アンドリッツ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルヴィンド エム シンハル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター アンテンシュタイナー
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】特開昭47-004002(JP,A)
【文献】米国特許第05944271(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0167538(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21D 1/00 - 99/00
B02C 7/06
B02C 7/12
B02C 18/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リファイナーであって、前記リファイナーが:
少なくとも2つの対向するリファイニング組立体であって、前記少なくとも2つの対向するリファイニング組立体の各々が、バッキング構造と、前記バッキング構造に係合されるリファイナー・プレート・セグメントとを備える、少なくとも2つの対向するリファイニング組立体
を備え、
各リファイナー・プレート・セグメントが:
外弧を有する基体と、
前記基体上に配置される一連の交互のバーおよび溝と
を備え、
前記バーと前記基体との間の領域が溝を画定し、
前記一連の交互のバーおよび溝がリファイニング面を画定し、
前記少なくとも2つの対向するリファイナー組立体の第1のリファイニング組立体が回転軸を中心として回転するように構成され、
前記第1のリファイニング組立体の前記リファイニング面が第2のリファイニング組立体の前記リファイニング面に対向し、
前記第1のリファイニング組立体の前記リファイナー・プレート・セグメントが、前記第1のリファイニング組立体の前記基体の前記外弧の最も近くに配置されるバーの2つ以上の終端縁部によって画定される終端縁部境界線を有し、
前記第2のリファイニング組立体の前記リファイナー・プレート・セグメントが、前記第2のリファイニング組立体の前記基体の前記外弧の最も近くに配置されるバーの最外終端バー縁部によって画定される最外縁部円周を有し、
前記終端縁部境界線が前記最外縁部円周と少なくとも一点で交差する、
リファイナー。
【請求項2】
前記終端縁部境界線が、前記終端縁部境界線に沿うすべてのポイントにおいて前記回転軸から等距離というわけではない、請求項1に記載のリファイナー。
【請求項3】
単一のリファイナー・プレート・セグメント上の前記終端縁部境界線が、線分、一連の線分、曲線、一連の曲線、およびそれらの組み合わせのいずれかで配置される、請求項1に記載のリファイナー。
【請求項4】
前記終端
縁部境界線が、完全に組み立てられたリファイニング組立体の前面に1つの形状を形成し、前記形状が、丸みのある多角形、正多角形、不規則な多角形および卵形状からなる群から選択される、請求項1に記載のリファイナー。
【請求項5】
前記終端縁部境界線が前記第1のリファイニング組立体上に24角形を形成し、前記第1のリファイニング組立体上の前記バーの50%が前記第2の
リファイニング組立体の対向する前記最外縁部円周を越えて径方向外側に延在する、請求項4に記載のリファイナー。
【請求項6】
前記終端縁部境界線が前記第1のリファイニング組立体上に16角形を形成し、前記第1のリファイニング組立体上の前記バーの15%が前記第2の
リファイニング組立体の対向する前記最外縁部円周を越えて径方向外側に延在する、請求項4に記載のリファイナー。
【請求項7】
前記終端縁部境界線が前記第1のリファイニング組立体上に12角形を形成し、前記第1のリファイニング組立体上の前記バーの8%が前記第2の
リファイニング組立体の対向する前記最外縁部円周を越えて径方向外側に延在する、請求項4に記載のリファイナー。
【請求項8】
前記終端縁部境界線が前記第1のリファイニング組立体上に8角形を形成し、前記第1のリファイニング組立体上の前記バーの4%が前記第2の
リファイニング組立体の対向する前記最外縁部円周を越えて径方向外側に延在する、請求項4に記載のリファイナー。
【請求項9】
複数の重なり合うポイントをさらに有し、前記複数の重なり合うポイントが湾曲線を形成する、請求項1に記載のリファイナー。
【請求項10】
前記湾曲線が中心角で形成される円弧長を有し、前記中心角が5.00度から89.99度の間の範囲内の値を有する、請求項9に記載のリファイナー。
【請求項11】
前記リファイナー・プレート・セグメントの前記終端縁部境界線と前記外弧との間の表面領域が第1の距離および第2の距離を有し、前記第1の距離が第2の距離より大きい、請求項1に記載のリファイナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、米国特許法第35巻第119条(e)の下での2018年6月8日に出願された米国仮特許出願第62/682,484号の出願日遡及の特典を主張するものであり、当該米国仮特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、概して、物質を粉砕してパルプ、粉末、または他の粒子状物質にするように構成された機械的リファイナーに関する。本開示は、より詳細には、リグノセルロース物質を分離、展開(develop)、または切断するように構成された低コンシステンシー・リファイナーのためのリファイナー・プレート・セグメントに関する。
【背景技術】
【0004】
一般に、リファイナーは、高コンシステンシー・リファイナー(”HCR(high-consistency refiner)”)または低コンシステンシー・リファイナー(”LCR(low-consistency refiner)”)として特徴付けられ得る。HCRは、一般に、供給材料を粉砕して細かくし、多数の製品で使用され得る粒子状物質にする。供給材料がリグノセルロース物質である場合、機械式パルプ化リファイナーが、通常、リグノセルロース物質を分離、展開、および切断し、それにより線維に特定の機械的特性および物理的特性を与える。例えば、リファイニング(refine)される物質の種類およびグレードに応じて、リファイニングされる物質が、パルプ、紙、板材(中密度繊維の板材など)、建築材料、包装材、および液体吸収性フィラー材料(liquid-absorbent filler material)を作るのに適し得る。
【0005】
対照的に、LCRは一般にパルプをリファイニングするのに使用される。パルプは水中の繊維(木材または非木材)の混合物であり、通常は1.5%から8%のコンシステンシーを有する。パルプは他の添加物を含有することができる。
【0006】
ミル・オペレータは、通常、所望の品質を提供するようにパルプ繊維を機械的にフィブリル化して切断するのに低コンシステンシーのリファイニングを利用する。リファイニングされる物質が、次いで、一般には、多様な種類の紙、および/または添加物へと変質させられる。
【0007】
リファイナーは、通常、同様の種類の2つ以上の対向するリファイナー組立体を備える。各組立体が、リファイニング側に、あるパターンの隆起リファイニング・バー(refining bar)を有する。溝が隣接するリファイニング・バーを分離する。通常、これらのリファイニング組立体は、円形ディスク、環状ディスク、入れ子状のシリンダ、または入れ子状の円錐切頭体のいずれかである。各リファイナー組立体は、バッキング構造にボルトで留められる複数の環状扇形形状のセグメントを備えることができ、それにより、リファイナー円形ディスク、リファイナー環状ディスク、リファイナーシリンダ、またはリファイナー円錐切頭体を形成する。対向するリファイニング組立体のリファイニング側は互いに向い合い、それにより、対向するリファイナー組立体を分離する狭いリファイニング用の隙間を画定する。リファイニング組立体のうちの少なくとも1つのリファイニング組立体は、軸を中心として高速で回転するように構成されたロータである。
【0008】
ロータ・リファイニング組立体がスピンすると、オペレータがセルロース繊維または他の供給材料をリファイナーの中へとさらにはリファイニング用の隙間を通るように圧送する。セルロース繊維は、一般に、「薄層」または「線維壁」と呼ばれる複数の同心円層を有する管状構造である。各薄層は「小繊維」と呼ばれるより細かい構造成分を含み、これらが互いに結合されて薄層を形成する。ロータがスピンするとき、対向するリファイナー組立体の上のリファイニング・バーおよび溝が連続的に重なり合う。一般的な低コンシステンシー・ロータ・リファイナー組立体は、約325の毎分回転数(「rpm」)から1,000rpmの範囲でスピンする。パルプ・コンシステンシーは、約1.5%(つまり、パルプおよび他の固体の濃度が、水100当たり約1.5である)から約8%であってよい。
【0009】
対向するバーおよび溝が連続的に重なり合うことにより、二者択一的に、リファイニング用の隙間の中でパルプを圧縮したり膨張させるのを可能にしたりする。このように圧縮および膨張を交互に高速に行うことにより、線維パッドが作られる。機械的なリファイニングは主として繊維パッド内で起こる。摩擦が繊維を剥離させ、薄層を含む小繊維を擦り減らし、それにより繊維の表面積が大幅に増大する。これが、繊維状パルプから製造される紙または他の製品の強度に寄与する。言い換えると、線維パッド内で隣接する供給材料に接触させて供給材料を強制的に動かすことが、繊維の展開、分離、および切断に大きく寄与する。
【0010】
動作中、特には低コンシステンシー・リファイナーでは、対向するリファイニング組立体の外周が一般に完全には位置合わせされない。その原因はリファイナーの種類に応じて変わる可能性がある。例えば、ロータ組立体と、ステータ組立体とを備えるディスク・リファイナーおよび円錐リファイナーでは、このような1つの原因は、リファイナー・プレート・セグメントの固定具用孔のデザインである可能性がある。
【0011】
製造業者は、通常、バッキング構造の固定具用孔よりわずかに大きくなるようにリファイナー・プレートの固定具用孔を設計する。製造業者がこれを行うのは、鋳造工程の細かい違いに対応することと、バッキング構造内の固定具用孔に対してリファイナー・プレートの固定具用孔が位置合わせされるようになる可能性を向上させることとを目的としている。これらのわずかに大きい固定具用孔はまた、バッキング構造に対してリファイナー・プレート・セグメントが係合されるときに小さい遊びつまり「ゆとり(give)」を与えることができる。遊びはロータ・リファイナー組立体のスピン時にロータ・リファイナー・プレート・セグメントをわずかに径方向外側に摺動させるのを可能にし、それにより対向するリファイニング組立体の間でのリファイニング・バーの終端縁部の位置をずらす。
【0012】
別の例では、オペレータが多様なセットのロータ・プレート・セグメントおよびステータ・プレート・セグメントを設置するのを採択することができる。製造業者は採択されるリファイナー・プレート・セグメントを多様な目的のために設計することができ、したがって採択されるリファイナー・プレート・セグメントは多様な寸法を有することができる。結果として、回転の多様なタイミングで、1つまたは複数のプレート・セグメント上のバーの外側縁部が、対向するプレート・セグメント上のバーの外側縁部の径方向外側に配置され得る。
【0013】
対向するリファイナー・プレートの間で重なり合うバーは同程度の速度で摩滅する傾向がある。これらのリファイニング・バーは、概して、リファイニング組立体の外周に向かって延在する。動作するリファイニング組立体の外周が対向するリファイニング組立体の外周を越えると、バーの径方向最外縁部が対向するリファイニング組立体上のいかなるバーにも対向しなくなる可能性があり、それにより摩耗パターンが一様ではなくなる。言い換えると、摩耗は概してセグメントが重なり合うところで発生する。リファイナー・プレート・セグメントの外側部分は重なり合わず、したがって、少なくとも1つのセットのリファイナー・プレート・セグメントの上での一様ではない摩耗を許容し、またリップの形成を許容する。
【0014】
リファイナー・プレート・セグメントの外弧の近くにあるこれらの「リップ」または「歯」が、リファイニング用の隙間から外に出る線維を切断する。このようにして、リップが線維を短くして、リファイニングされる物質の品質を低下させる。例えば、短い繊維から製造される紙は、より長い繊維から製造される紙と比較して低い強度を有する傾向がある。従来、オペレータは保守管理の最良実施例を採用することにより(例えば、位置がずれないプレートを設置することにより)この問題に対処することを試みてきた。しかし、これらの最良実施例でも、多数の箇所で発生するリッピング(lipping)の問題が残る。例えば、対向するリファイニング組立体を位置合わせするのに十分な時間をとる場合、設置に時間がかかる可能性があり、持続的な製造ロスにつながる。さらに、現在の多くのリファイナーはステータの外径(「O.D.(outer diameter)」)上に保持リングを有さない。据付者によっては、対向するリファイニング組立体を位置合わせするのを試みるときに保持リングを使用する。
【0015】
これまでに、セグメントではなく完全なディスクを使用してリップの形成を軽減することを試みる人もいた。しかし、完全なディスクを使用することでも正確な位置合わせは必要であり、また、交換用のリファイナー・プレートを迅速に設置するときの時間的制約により正確な位置合わせがしばしば不可能となる。さらに、この解決策は、スイング・ドア形式のリファイナー、および約24インチ以下の直径を有するリファイナーのみで実用的である。リファイナー・ディスクのサイズが26インチを超えると、ディスク全体の設置が困難なものとなり、クレーンおよびフォークリリフト・トラックが必要となる。完全なディスクはより大きい質量を有し、より多くのピンチ・ポイントを有する。据付者は一般に完全なディスクを設置するのに設置ディスクの近くで作業を行い、最大限に正確なクレーンでも、通常、最小の追加の移動がミリメートルではなくインチのオーダーを有することになる。したがって、完全な円形のプレートは設置中のスペースを狭くし、深刻な安全性リスクをもたらし、設置期間、および事故または負傷事故の発生時の保守管理期間における製造ロスを拡大する可能性もある。
【0016】
したがって、繊維の品質を向上させることを目的として、重なり合わないバーの径方向最外縁部のところでの繊維の切断の問題を軽減するための長年にわたる未解決の要求が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
対向するリファイナー・プレート組立体の径方向最外縁部の間の一様ではない摩耗を原因とする、重なり合わないバーの径方向最外縁部のところでの線維の切断の問題と、拙速に設置することを原因とする、位置合わせされない対向するリファイナー・プレート・セグメントによるリップの形成の問題とが、少なくとも2つの対向するリファイニング組立体を備える機械的リファイナーを使用することによって軽減され、各リファイニング組立体は、バッキング構造と、バッキング構造に係合されるリファイナー・プレート・セグメントとを備え、各リファイナー・プレート・セグメントは、外弧を有する基体と、基体上に配置される一連の交互のバーおよび溝とを備え、バーと基体との間の領域が溝を画定し、一連の交互のバーおよび溝がリファイニング面を画定し、少なくとも2つの対向するリファイナー組立体の第1のリファイニング組立体が回転軸を中心として回転するように構成され、第1のリファイニング組立体のリファイニング面は第2のリファイニング組立体のリファイニング面の方を向き、第1のリファイニング組立体のリファイナー・プレート・セグメントは、第1のリファイニング組立体の基体の外弧の最も近くに配置されるバーの2つ以上の終端縁部によって画定される終端縁部境界線を有し、第2のリファイニング組立体のリファイナー・プレート・セグメントは、第1のリファイニング組立体の方を向く第2のリファイニング組立体の基体の外弧の最も近くに配置されるバーの最外終端縁部によって画定される最外縁部円周を有し、第1のリファイニング組立体の終端縁部境界線は、第2のリファイニング組立体の最外縁部円周に平行ではない。
【0018】
リファイニング組立体は、好適には、一連のリファイナー・プレート・セグメントを備える。
【0019】
本明細書で説明される特定の例示の実施形態は、リファイニング組立体のうちの少なくとも1つのリファイニング組立体の上のバーの終端縁部のところに作られるリップの量を低減することができることが企図される。
【0020】
さらに、本明細書で説明される例示のリファイナー・プレート・セグメント上に形成されるすべてのリップは、従来の位置のずれるリファイナー・プレート・セグメントによって形成されるリップと比較して、短くされ得、より目立たなくされ得ることが企図される。
【0021】
特定の例示の実施形態は、リップの形成を全体として低減することにより、稼働時間中の消費エネルギー当たりで得られるパルプ品質を持続しながら、停止時間中に、従来可能であったよりも迅速に、摩耗したリファイナー・プレート・セグメントを据付者が交換するのを可能にすることができる。
【0022】
上記のことが、添付図面に示される本開示の例示の実施形態の以下のより細かい説明から明らかとなる。図面は必ずしも正確は縮尺ではなく、開示される実施形態を説明するために強調が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】低コンシステンシー・ディスク・リファイナーを示す斜視図である。
【
図1B】開いているロータ側およびステータ側を示している、完全に組み立てられた低コンシステンシー・ディスク・リファイナーを示す斜視図である。
【
図2A】リファイナー・プレート・セグメントの基体の外弧の近くにリップを有する従来のリファイナー・プレート・セグメントを示す斜視図である。
【
図2B】内弧および側部を向く
図2Aの従来のリファイナー・プレート・セグメントを示す図である。
図2Bは、共通の摩耗平面の上方にはみ出るリップを描いている。
【
図3A】対向する最外縁部円周と重なり合う終端縁部境界線を備える例示のリファイナー・プレート・セグメントのリファイニング面を示す正面図(facing view)である。
【
図3B】
図3Aに描かれる例示のリファイナー・プレート・セグメントの内弧および側部を示す正面図である。
図3Bは共通の摩耗面の上方にはみ出るリップを描いている。
【
図4】終端縁部境界線と最外縁部円周との交差部分を示している、対向するリファイニング組立体上にある対向するリファイナー・プレート・セグメントを示す拡大斜視図である。
【
図5】例示のリファイナー・プレート・セグメントのリファイニング面を示す正面図であり、完全に組み立てられたリファイニング組立体での終端縁部境界線が24角形を形成し、バーの約50%が最外縁部円周を越えて径方向に延在する。
【
図6】例示のリファイナー・プレート・セグメントのリファイニング面を示す正面図であり、完全に組み立てられたリファイニング組立体での終端縁部境界線が16角形を形成し、バーの約15%が最外縁部円周を越えて径方向に延在する。
【
図7】例示のリファイナー・プレート・セグメントのリファイニング面を示す正面図であり、完全に組み立てられたリファイニング組立体での終端縁部境界線が12角形を形成し、バーの約8%が最外縁部円周を越えて径方向に延在する。
【
図8】例示のリファイナー・プレート・セグメントのリファイニング面を示す正面図であり、完全に組み立てられたリファイニング組立体での終端縁部境界線が8角形を形成し、バーの約4%が最外縁部円周を越えて径方向に延在する。
【
図9】例示のリファイナー・プレート・セグメントのリファイニング面を示す正面図であり、完全に組み立てられたリファイニング組立体での終端縁部境界線が48角形を形成し、バーの約3%が最外縁部円周を越えて径方向に延在する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好適な実施形態の以下の詳細な説明は例示および説明のみを目的として提示されるものであり、包括的であることを意図されず、また本発明の範囲および精神を限定することを意図されない。本発明の原理およびその実際的な適用を最も良好に説明することを目的として実施形態が選択されて説明される。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書で開示される本発明に対して多くの変形形態が作られ得ることを当業者であれば認識するであろう。
【0025】
特に明記しない限り、複数の図を通して同様の参照符号は対応する部分を示す。例えば、218、318、518から918は、すべて、描かれるリファイナー・プレート・セグメントの第1の側部を示す。図面が本開示による種々の特徴および構成要素の実施形態を表すが、図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、本開示の実施形態をより良好に例示するために特定の特徴が強調され得、このような例示は本開示の範囲を限定するものとして解釈されない。
【0026】
本明細書で明記されない限り、本明細書では以下の解釈法則が適用される:(a)本明細書で使用されるすべての単語は、状況により求められることに関する性別または数(単数または複数)を有するものとして解釈される;(b)本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、特に明記しない限り、複数形も含む;(c)記載される範囲または値に付けられる前置句「約」は、既知であるかまたは測定により当技術分野において予期される範囲または値の偏差の範囲内での近似を示すものである;(d)「herein」、「hereby」、「hereto」、「hereinbefore」、および「hereinafter」という単語、ならびに同様の趣旨の単語は、本明細書の全体を意味するものであり、特に明記しない限り、特定のパラグラフ、請求項、または他の下位区分を一切意味しない;(e)説明的な見出しは単に便宜上のものであり、本明細書の任意の部分の意味または構成を支配したりそれらに影響したりするものではない;ならびに(f)「or」および「any」は排他的ではなく、「include」および「including」は限定的ではない。さらに、「comprising」、「having」、「including」、および「containing」という用語は非限定の用語として解釈される(つまり、「限定するわけではないが、有する」を意味する)。
【0027】
本明細書において「一実施形態」、「実施形態」、「例示の実施形態」などに言及することは、説明される実施形態が特定の特徴、構造、または特性を有することができるが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造、または特性を有するわけではなくてよい、ことを示す。さらに、このようなフレーズは必ずしも同じ実施形態を参照するわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明される場合、特に明記されていてもいなくても、これらの特定の特徴、構造、または特性が、他の実施形態に関連させてそのような特徴、構造、または特性に影響を与えるような当業者の知識の範囲内にあるものと考えられる。
【0028】
説明を補助するのに必要な程度で、添付の特許請求の範囲の主題および/または本文が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0029】
本明細書において値の範囲を記載することは、本明細書において特に明記しない限りにおいて、その範囲の中にある任意の下位の範囲内にあるものとしての、その範囲内の各々の個別の値を個々に意味するための単純な形の手法としての働きをすることを単に意図される。記載される範囲内の各々の個別の値は、本明細書において各々の個別の値が個々に記載されているようなものとして、本明細書または特許請求の範囲に組み込まれる。値の特定の範囲が提供される場合、特に明記しない限り、下限値の10分の1以下までの、その範囲の上限と下限との間の各介在値、あるいは他の記載される値またはその記載される範囲内のもしくはその下位の範囲内の介在値が、本明細書に包含される、ことを理解されたい。すべての下位の範囲も包含されるものとする。これらのより狭い範囲の上限および下限も、記載される範囲の具体的にかつ明確に排除される任意の境界値に従う形で、本明細書に包含される。
【0030】
本明細書で使用される用語のうちの一部の用語が相対的な用語であることに留意されたい。例えば、「上側」および「下側」という用語はその位置が互いに相対的であり、つまり所与の向きにおいて上側の構成要素が下側の要素より高いところに位置するが、デバイスがひっくり返される場合はこれらの用語は変更され得る。「入口」および「出口」という用語は、所与の構造に関しての、そこを通って流れる流体に関連する用語であり、例えば、流体が入口を通って構造の中まで流れたり、出口を通って構造の外へと流れたりする。「上流」および「下流」という用語は、種々の構成要素を通って流体が流れるときの方向に関連する用語であり、つまり、流体は、下流の構成要素を通って流れるより先に上流の構成要素を通って流れる。
【0031】
「水平方向」および「垂直方向」という用語は、絶対基準、つまり地表面を基準として方向を示すのに使用される。しかし、これらの用語は、構造が互いに絶対的に平行であるかまたは互いに対して絶対的に垂直である必要があると解釈されるべきではない。例えば、第1の垂直方向の構造および第2の垂直方向の構造は必ずしも互いに平行ではない。「頂部」および「底部」または「基部」という用語は、絶対基準、つまり地球の表面を基準として頂部が常に底部/基部より高いところにあるようなロケーション/表面を意味するのに使用される。「上向き」および「下向き」という用語も絶対基準に関連する用語であり、上向きの流れは常に地球の重力に逆らう。
【0032】
図1Aはディスク・リファイナー100を描いている。この図は、第1のリファイニング組立体101に対してリファイナー・プレート・セグメント105が如何にして設置されているかを描くためにバッキング構造174から部分的に取り外されている頂部側および底部側のリファイナー・プレート・セグメント105を有する第1のリファイニング組立体101を描く。第1のリファイニング組立体101が完全に組み立てられた第2のリファイニング組立体102の反対側に配置される。第1のリファイニング組立体101が、回転軸Cを中心としてスピンするように構成されたロータ・リファイニング組立体である。第2のリファイニング組立体102がステータ・リファイニング組立体である。第1および第2のリファイニング組立体101、102がハウジング179内に着座する。各リファイニング組立体101、102が、バッキング構造174上に設置されるリングを形成するように環状に並べられる複数のリファイナー・プレート・セグメント(第1のリファイニング組立体101で105aとして示され、第2のリファイニング組立体102で105bとして示される)を備える。
図1Aは、それぞれのリファイニング組立体101、102をより良好に描くためにヒンジ183を中心として開いているハウジングのステータ側104を示す。しかし、動作中、ステータ側104がヒンジ183を中心として閉じており、固定具(図示せず)がそれぞれの固定具孔182を通って延在し、それによりハウジングのステータ側104をロータ側106に固定的に係合させる。第2のリファイニング組立体102および第1のリファイニング組立体101が互いに向い合う場合、第2のリファイニング組立体102および第1のリファイニング組立体101が、対向するリファイナー・プレート・セグメント105a、105bのリファイニング面117の間に隙間449(
図4)を画定する。第2のリファイニング組立体上の対向する特徴に関連させて第1のリファイニング組立体上の特徴を考察する場合に正確さを上げるために有用である場合、出願人が、第1のリファイニング組立体101上の特定の特徴を意味するのに「a」を使用し、第2のリファイニング組立体102上の特定の特徴を意味するのに「b」を使用する。関係が考察されず、「a」または「b」の表示が使用されない場合、特定のリファイニング組立体要素が一般には第1のリファイニング組立体101および第2のリファイニング組立体102の両方に存在してよいことを理解されたい。
【0033】
ボルトまたは他の固定具(図示せず)がプレート固定具用孔169を通って延在してリファイナー・プレート・セグメント105をバッキング構造174に係合させることができ、それにより環状扇形形状のリファイナー・プレート・セグメント105をバッキング構造174に固定的に係合させる。
【0034】
動作中のリファイナー100では、リグノセルロース系の供給材料(一般的には、木材チップの形態)であってよい供給材料147(
図1B)がステータ・リファイニング組立体(102を参照)の中央の開口部181を通って流れ、その後ロータ・ハブ186またはロータ・フリンガ187に当たる。ロータ・リファイニング組立体(101を参照)が、通常、325rpmから960rpmの範囲で回転軸Cを中心としてスピンし、それにより供給材料147を径方向外側へと飛ばして(fling)隙間449の中に入れる。ブレーカ・バー(描かれないが、一般には多様なバージョンのリファイナー・バー123である)が供給材料147を停止させ、その後、供給材料147がさらに隙間449(
図4)を通って流れ、対向するリファイナー・プレート・セグメント105aおよび105b上の交互のリファイニング・バー123およびリファイニング溝126によって画定されるリファイニング面117を横断する。リファイニングされる物質117および部分的に粉砕された物質167が出口188を通ってリファイナー100から出る。次いで、オペレータが、部分的に粉砕された物質167から、所望される通りにリファイニングされる物質177をふるいにかけ、部分的に粉砕された物質167を第2のステージのリファイナー(100を参照)まで移送する。オペレータが、部分的に粉砕された物質167にさらなるリファイニングを施すことの代わりに、またはそれに加えて、部分的に粉砕された物質167を化学的に処理することができる。
【0035】
図2Aは、リファイナー・プレート・セグメントの基体215の外弧224の近くにリップ226を有する摩耗した従来のリファイナー・プレート・セグメント205の一部分の斜視図である。描かれるリファイナー・プレート・セグメント205は、例えば、第1のロータ・リファイニング組立体(101を参照)の一部分であってよい。
図2Aは、基体215の厚さTに沿って、リファイナー・プレート・セグメントの前面213と後面219との間に配置されるリファイナー・プレート・セグメントの第1の側部218を描いている。1つまたは複数のプレート固定具用孔269が基体215を通って延在する。リファイニング面217は、隣接するバー223c、223dの間に配置される一連の交互のバー223および溝226を備える。
【0036】
図2Aには、描かれるリファイナー・プレート・セグメント205のリファイニング面217の方を向く対向するリファイナー・プレート・セグメントが描かれていないが、曲線248が第2のリファイニング組立体102の最外縁部円周248を表している(第2のリファイニング組立体402上のリファイナー・プレート・セグメント405bの方を向くリファイナー・プレート・セグメント405aを有する第1のリファイニング組立体401を示している本発明の例示の実施形態のための
図4を参照されたい)。リファイナー・プレート・セグメント(405a)の基体(415a)の外弧(424a)の最も近くに配置されるバー(423a)の最外終端バー縁部(
図4の445を参照)が、回転中心C(
図1A)を中心として最外終端バー縁部(445を参照)が動くときの曲線を画定する。この曲線は本開示を通して「最外縁部円周」248と称される。さらに、第2のリファイニング組立体102がステータ・リファイニング組立体である場合、「最外縁部円周」248が、回転中心Cを中心としたステータ・リファイニング組立体の回転時に最外終端バー縁部(445を参照)が通ることになる経路によって画定されることを理解されたい。描かれるリファイナー・プレート・セグメント205を参照すると、線262が、終端縁部境界線262を画定するように基体215の外弧224の最も近くに配置されるバー223の径方向終端縁部235に接続されることを意味され得る。
図2Aでは、終端縁部境界線262が、特にはラジアル面に沿って、対向するリファイナー・プレート・セグメント(105aを参照)上の最外縁部円周248と平行である。最外縁部円周248が終端縁部境界線262の径方向内側に配置される。
【0037】
理論に拘束されるわけではないが、対向するリファイナー・プレート・セグメント(
図4を参照)上のリファイニング面(217を参照)の方を向くバー223の部分242が実質的に一様な速度で摩滅すると考えられる。最外縁部円周248から径方向外側に配置される対向するリファイナー・バーがないことにより、描かれるバー223の終端縁部235が、最外縁部円周248の径方向内側に配置されるバー223の部分242より遅く摩滅することが可能となり得る。
【0038】
例えば、新しいリファニング・バー223が約6ミリメートル(mm)から10mmの高さを有することができる。経時的に、対向するリファイナー・プレート・セグメント(405a、405bを参照)上の重なり合う対向するリファイニング・バー(423a、423bを参照)が約2mmから4mmの高さまで摩滅することができる。しかし、対向するリファイナー・プレート・セグメント(405bを参照)上のバー(423bを参照)に対向しないリファイナー・プレート・セグメント205上のバー223の終端縁部235がその元の高さhの大部分を維持し、それにより経時的に「リップ」または「歯」を作る。リップ226が、リファイニング用の隙間449(
図4)から外に出る部分的に粉砕された物質167およびリファイニングされる物質177(
図1B)を切断する。リファイニングされる物質177(
図1B)がパルプである場合、かつパルプが紙になるように製造される場合、紙が、より長い繊維を有するパルプから作られる紙より低い強度を有する傾向がある。その結果、リップ266が形成されると、リファイナー100がより低質のパルプを作るのにも等しい量のエネルギーを使用することになる。
【0039】
図2Bは、
図2Aのリファイナー・プレート・セグメント205の内弧222および側部218、216の正面図である。経時的に、最外縁部円周248(
図2Aを参照)の径方向内側に配置されるバー223の部分242が摩耗面234を画定する。リップ266が形成されると、リップ266が横方向において摩耗面234を越えてリファイニング用の隙間449の中まで延在し、それによりリファイニング用の隙間449から、リファイニングされる物質177が外に出るときにリファイニングされる物質177を切断するような位置にくる。
【0040】
図3Aは、基体315に係合される一連の隆起バー323を備える例示のリファイナー・プレート・セグメント305の前面313およびリファイニング面317を描いている。基体315が径方向の長さRLの第1の端部312のところに配置される内弧322と、径方向の長さRLの第2の端部314のところに配置される外弧324とを有する。径方向の長さRLの第2の端部314が径方向の長さRLの第1の端部312の遠位側に位置する。第1の側部318が径方向の長さRLに沿って外弧324と内弧322との間に延在する。第2の側部316が同様に径方向の長さRLに沿って外弧324と内弧322との間に延在する。第2の側部316が第1の側部318の遠位側に配置される(つまり、基体315、内弧322、および外弧324が、第2の側部316から第1の側部318を分離する)。
【0041】
隣接するバー(例えば、323cおよび323d)ならびに基体215の前面313が、隣接するバー323c、323dの間に溝326を画定する。同様に、基体315に係合されて前面313から延在する一連の隆起バー323が、一連の交互のバー323および溝326を作る。これらの一連の交互のバー323および溝326がリファイニング面317を画定する。
【0042】
図3Aは、外弧324の近くに配置される終端縁部335を有する、外弧324の近くにあるバー323をさらに描いている。線または曲線362が、基体315の外弧324の近くに配置されるバー323の終端縁部335に接続されることを意味され得る。この線または曲線362が終端縁部境界線362を画定する。終端縁部境界線362がリファイナー・プレート・セグメント305の外弧324に平行ではない。描かれる実施形態では、終端縁部境界線362が円弧である。他の例示の実施形態では、終端縁部境界線362が、縁部角度Θ(
図5を参照)で配置される1つまたは複数の線を備えることができる。特定の例示の実施形態では、本開示が、外弧324に対して終端縁部境界線362が平行ではないという条件の、終端縁部境界線362のすべての構成または配置を含むことを理解されたい。点線348が、対向するリファイナー・プレート・セグメント(405bを参照)のバー(423bを参照)の最外終端バー縁部(445を参照)によって画定される対向するリファイナー・プレート・セグメント(405bを参照)の最外縁部円周348を表す。描かれる実施形態では、終端縁部境界線362が、ラジアル面に沿って、対向する最外縁部円周348に平行ではない。この例示の実施形態では、リファイナー・プレート・セグメント305が対向するリファイナー・プレート・セグメント(405bを参照)に完全に対向するとき、終端縁部境界線362が分岐線A-Aのところで対向する最外縁部円周348と重なり合う。本開示が、対向するリファイナー組立体(401、402を参照)上のリファイナー・プレート・セグメント305によって画定される対向する最外縁部円周348に対して終端縁部境界線362が平行ではないという条件の、終端縁部境界線362のすべての構成または配置を含むことを理解されたい。
【0043】
しかし、描かれる実施形態では、分岐線A-Aの近くに配置されるバー323の終端縁部335が、第1の側部318および第2の側部316の両方のところに配置されるバー323の終端縁部335(つまり、小さい距離D2)より大きい距離D1で、リファイナー・プレート・セグメント305の外弧324から分離される。こうすることにより、リファイナー・プレート・セグメント305の終端縁部境界線326と外弧324との間の基体315の表面領域が弓形状I(つまり、2つの交差する円、卵形状、または他の曲線形状によって画定されるクレセント状の幾何形状)を画定する。出願人は、「クレセント」が等しいサイズの2つの交差する円によって画定される特定の種類の弓形であることを意図している。バー323の終端縁部335のうちの一部と外弧324との間の距離Dが増大するとリファイニング面315に侵入することになり、それにより供給材料147に対してリファイニング面315が行うことができる仕事が低減される、ことが認識されよう。
【0044】
しかし、弓形状の表面領域Iが、リッピングの有意な低減を実現しながらリファイニング面315の損失を最小にすることができる形状を表していると考えることができる。過度のリッピングを原因とする品質の問題を軽減することが、リファイニング面領域315のわずかな損失を優に凌駕することができると考えることができる。
【0045】
理論に拘束されるわけではないが、出願人は、終端縁部境界線362と重なり合う最外縁部円周348が最外縁部円周348の径方向内側に配置されるバー323の部分342を増大させ、それにより経時的にリップ366を大きくするバー323の数を減らすことになる、と考える。本明細書で開示される例示の実施形態が、リファイナー・プレート・セグメント305上の大部分のバー323の終端縁部335の摩耗面334の面積を効果的に増大させることができる。しかし、それでも、開示されるデザインは、リファイナー・プレート・セグメント305の径方向最外角部の近くにいくつかのリップ366を発生させる。理論に拘束されるわけではないが、出願人が、表面領域に対して垂直に力が加えられる場合にp=F/Aであることを一部の理由として、従来のリファイナー・プレート・セグメントのデザインおよび構成を介して作られるリップ(266を参照)よりも、任意の残留周縁部リップ366の方が短くなる、と考える。この式では、「p」が圧力、「F」が力、「A」が表面積である。実際的に述べると、周縁部リップ366の表面積が小さいことを理由として、残留周縁部リップ366を通過するように移動する部分的に粉砕された物質267およびリファイニングされる物質277の圧力が増大する(すべての他のファクタが等しい場合の
図2に描かれるリップ266上の部分的に粉砕された物質267およびリファイニングされる物質277の圧力と比較する)。その結果、残留周縁部リップ366は、従来のリップ(266を参照)と比較して、数が減少し、目立ちにくくなっている。
【0046】
図3Aは回転中心Cから実質的に径方向外側に扇形に広がるバー323および溝326のパターンを描いているが、本開示の範囲が、バー323が外弧324の近くに配置される終端縁部335を有することになるような、すべてのパターンのバー323および溝326をリファイニング・プレート・セグメント305上に有することを意図される。
【0047】
さらに、描かれないが、本明細書で開示される例示のリファイナー・プレート・セグメントが円錐リファイナーまたは円筒形リファイナーで使用されるようにも構成され得ることが理解されよう。開示されるリファイナー・プレート・セグメント305に適合する他の種類のリファイナー100には、必ずしも限定しないが、2つの反対に回転するロータ組立体を備える反対方向回転リファイナー、ならびに複数のリファイニング組立体(101および102を参照)を備える複数の組立体のリファイナーが含まれる。
【0048】
図3Bは、
図3Aに示される例示のリファイナー・プレート・セグメント305の内弧322および側部316、318の正面図である。理論に拘束されるわけではないが、外に出るリファイニングされる物質177および部分的に粉砕された物質167がより小さい面積に等しい大きさの摩擦力を作用させることを理由として、本明細書で開示される例示の実施形態がさらに、残留周縁部リップ366の高さhを減少させることができる。このようにして、残留リップ366のところに摩擦力が集中され得、非平行の終端縁部境界線362および対向する最外縁部円周348(
図2Aを参照)を有さないリファイナー・プレート・セグメントの上でより高い速度で残留リップ366が破壊されることになる。開示される実施形態はリップ366を完全には排除することができないが、開示される実施形態はリップの数を低減して残留リップ366の高さhを減少させることができ、それによりリファイニングされる物質177に対しての意図されないダメージを軽減することができる。
【0049】
図4は、第1のリファイニング組立体401と第2のリファイニング組立体402との間に隙間449を画定するように第1のリファイニング組立体401の上に配置される第2のリファイニング組立体402の拡大図を概略的に描いている。厚さTがリファイナー・プレート・セグメント405の後面419を前面(313を参照)から分離する。
【0050】
第2のリファイニング組立体402上のリファイナー・プレート・セグメント405bのリファイニング面317(
図3を参照)が、基体415bの外弧424bの最も近くに配置される最外終端バー縁部445bを備えるリファイニング・バー423bを有する。描かれる拡大図がリファイナー・プレート・セグメント405bごとに1つの最外終端バー縁部445bを示しているが、他の例示の実施形態がリファイナー・プレート・セグメント405bごとに複数の最外終端バー縁部445bを有することもできることが理解されよう。最外終端バー縁部445bが回転中心C(
図1A)を中心として動くとき、最外終端バー縁部445bが曲線を画定する。1回の回転後の最外終端バー縁部445bの経路が「最外縁部円周」448を作る。本明細書で使用される「最外縁部円周」という用語は、文脈に応じて、全円周、または円周の一セグメントを意味するのに使用され得る。
【0051】
第1のリファイニング組立体401のリファイナー・プレート・セグメント405a上で、線462が外弧424aの最も近くに配置されるバー423aの終端縁部435aに接続されることを意味され得る。対向するリファイナー・プレート・セグメント405bおよび405aがリファイニング中に互いに物理的に接触しないが、
図4に描かれる角度で見て、第1のリファイニング組立体401の終端縁部境界線462が第2のリファイニング組立体402の最外縁部円周448と重なり合う。
図4の視点では、終端縁部境界線462がポイントIのところで最外縁部円周448と交差するように見える。このようにして、終端縁部境界線462がラジアル面に沿って最外縁部円周に平行ではない。言い換えると、終端縁部境界線462および最外縁部円周448が、回転軸Cから径方向外側に延在するすべてのポイントにおいて回転軸Cから等距離というわけではない。
【0052】
図5~
図9は、描かれるリファイナー・プレート・セグメント505、605、705、805、および905の終端縁部境界線562、662、762、862、および962がそれぞれ、完全なリファイニング組立体を備える場合に正多角形を形成するように構成されるような他の例示の実施形態を示す。それぞれの終端縁部境界線562、662、762、862、および962の形状をより良好に示すために、第2のリファイニング組立体(402を参照)が取り外されている。描かれないが、完全なリファイニング組立体を備える場合の終端縁部境界線(562、662、762、862、および962を参照)の形状は、対向するリファイニング組立体の最外縁部円周448に対して終端縁部境界線の形状が平行ではないことを条件として、任意の形状をとることができると考えられる。このような形状には、丸みのある多角形(rounded polygon)、正多角形、不規則な多角形、卵形状、接した双曲線(joined hyperbola)、およびその組み合わせが含まれてよい。リファイナー・プレート・セグメントがリファイニング組立体内に配置されていない場合、単一のリファイナー・プレート・セグメント605上の終端縁部境界線562、662、762、862、および962が、線分、一連の線分、曲線(凹形または凸形)、または一連の曲線など、あるいはその組み合わせで配置され得る。
【0053】
図5は24角形を形成する終端縁部境界線562を描いており、第1のリファイニング組立体401上のバー523の約50%が第2のリファイナー組立体(402を参照)の最外縁部円周548を越えて径方向に延在する。描かれる実施形態では、バー523の終端縁部535と外弧524との間の前面513の表面領域が、隣接する最外終端バー縁部545によって境界を画定される弦セグメント592を画定する。描かれる実施形態が6つの弦セグメント592を示す。描かれる実施形態では最外終端バー縁部545が外弧524まで延在するが、他の例示の実施形態では最外終端バー縁部545が外弧524まで延在しなくてもよいことを理解されたい。
【0054】
図6は、4つのリファイナー・プレート・セグメント605を備えるリファイニング組立体上の16角形を形成する終端縁部境界線662を描いており、第1のリファイニング組立体601上のバー623の約15%が第2のリファイナー組立体(402を参照)の最外縁部円周648を越えて径方向に延在する。描かれる実施形態は、外弧624と隆起バー623の終端縁部635との間に4つの弦セグメント692を示す。
図7は、4つのリファイナー・プレート・セグメント705を備えるリファイニング組立体上に12角形を形成する終端縁部境界線762を描いており、第1のリファイニング組立体701上のバー723の約8%が第2のリファイナー組立体(402を参照)の最外縁部円周748を越えて径方向に延在する。描かれる実施形態は、外弧724と隆起バー723の終端縁部735との間に3つの弦セグメント792を示す。
図8は、4つのリファイナー・プレート・セグメント805を備えるリファイニング組立体上に8角形を形成する終端縁部境界線862を描いており、第1のリファイニング組立体801上のバー823の約4%が第2のリファイナー組立体(402を参照)の最外縁部円周848を越えて径方向に延在する。描かれる実施形態は、外弧824と隆起バー823の終端縁部835との間の2つの弦セグメント892を示す。弦セグメント892の数が減ると、リファニング面817を有さない前面813の表面積が増大することが理解されよう(つまり、交互のバー823および溝826を有さない表面)。これらの例示の実施形態ではリファイニング面がないことで、初期状態におけるリファイニング能力の損失につながるが、所望の品質の繊維を持続的に産出することで、リファイナー・プレート・セグメント(305、405、505、605、705、805、および905)の摩耗時にリファイナーの消費エネルギーを有意に増大させることなく、この損失が埋め合わされ得ると考えられる。
【0055】
図9は、4つのリファイナー・プレート・セグメント905を備えるリファイニング組立体上に48角形を形成する終端縁部境界線962を描いており、第1のリファイニング組立体901上のバー923の約3%が第2のリファイナー組立体(402を参照)の最外縁部円周948を越えて径方向に延在する。バー923の終端縁部935と外弧924との間の前面913の表面領域が、隣接する最外終端バー縁部545によって境界を画定される短くなったセクタ(abbreviated sector)993を画定する。描かれる実施形態では、バー923の終端縁部935が、終端縁部935の隣接するアレイに対して角度941で配置される複数のアレイ936を形成する。短くなったセクション993が、外弧924と、隣接する最外終端縁部945と、外弧924を基準としたすかし角941を形成するように収束する終端縁部935の2つのアレイ936c、936dとによって境界を画定される。描かれる実施形態は4つの短くなったセクタ593を示す。描かれる実施形態では最外終端バー縁部945が外弧924まで延在するが、他の例示の実施形態では最外終端バー縁部945が外弧924まで延在しなくてもよいことを理解されたい。
【0056】
図5~
図9に描かれる実施形態では、終端縁部境界線562、662、762、862、および962が、10度から50度の間の縁部角度Θで配置され得る。縁部角度Θは、リファイナー・プレート・セグメント505、605、705、805、および905のそれぞれの最外終端バー縁部545、645、745、845、および945のところの、終端縁部境界線562、662、762、862、および962と、接線572、672、772、872、および972との間の角度である。
【0057】
第2のリファイニング組立体(402を参照)の最外縁部円周(548、648、748、848、および948を参照)と平行ではない第1のリファイニング組立体(401を参照)の終端縁部境界線(562、662、762、862、および962を参照)に加えて、終端縁部境界線(562、662、762、862、および962を参照)が、例示のリファイナーまたはリファイナー・プレート・セグメントのリファイニング面(517、617、717、817、および917を参照)で見て、最外縁部円周(548、648、748、848、および948)と「交差する」と言うことができる。つまり、リファイニング面(517、617、717、817、および917を参照)の正面図で見て、終端縁部境界線(562、662、762、862、および962を参照)および最外縁部円周(548、648、748、848、および948を参照)が重なり合うポイントがある。特定の例示の実施形態では、2つ以上の交差ポイントが存在し得る。つまり、終端縁部境界線および最外縁部円周が複数のポイントのところで重なり合うことができる。特定の例示の実施形態では、重なり合うポイントが湾曲線を形成することができる(
図3A)。このような例示の実施形態では、湾曲線が、中心角で形成される円弧長を有することができ、中心角が約5.00度から約89.99度の間の範囲内の値を有する。
【0058】
理論に拘束されるわけではないが、バーの大部分を対向するリファイニング面の最外縁部円周(548、648、748、848、および948)の下方に有することにより、第1のリファイニング面上のバーの大部分が、対向するリファイナー表面上のバーまたは溝に対して常に露出されることになる。この構成により、完全に対向するバーの全体が実質的に等しい速度で摩滅することが可能となり、それによりリファイナー・プレート・セグメントの終端縁部のところでのリップの形成を低減する。
【0059】
リファイナーのための例示のリファイナー・プレート・セグメントが、基体であって、この基体が、径方向長さと、径方向長さの第1の端部のところに配置される内弧と、径方向長さの第2の端部のところに配置される外弧であって、外弧が径方向長さに沿って径方向において内弧から離間されて位置する、外弧と、径方向長さに沿って内弧と外弧との間に延在する第1の側部と、径方向長さに沿って内弧と外弧との間に延在する第2の側部であって、第2の側部が第1の側部の遠位側に配置される、第2の側部と、厚さに沿って前面の反対側に配置される後面であって、後面および前面が、外弧と、内弧と、第1の側部と、第2の側部との間に延在する、後面と、を有する基体と、内弧と外弧との間に配置される基体と、基体から延在する一連の隆起バーであって、隣接するバーおよび基体が隣接するバーの間に溝を画定し、バーが外弧の近くで終端縁部を有し、一連の隣接する終端縁部が終端縁部境界線を画定し、終端縁部境界線が基体の外弧と平行ではない、一連の隆起バーと、を備える。
【0060】
特定の例示の実施形態では、終端縁部境界線が10度から50度の間の縁部角度で配置され、縁部角度は、基体の外弧の近くに配置されるバーの最外終端縁部のところでの終端縁部境界線と接線との間の角度である。特定の例示の実施形態では、終端縁部境界線が円弧である。
【0061】
特定の例示の実施形態では、終端縁部境界線が、対向するリファイナー・プレート・セグメントの基体の外弧の最も近くに配置されるバーの最外終端バー縁部によって画定される最外縁部円周と重なり合うように構成され、対向するリファイナー・プレート・セグメントが、リファイナー・プレート・セグメントのバーおよび溝の方を向くリファイニング面を有し、その結果、リファイナー・プレート・セグメントの終端縁部境界線および対向するリファイナー・プレート・セグメントの最外縁部円周が1つのポイントで重なり合う。特定の例示の実施形態が複数の重なり合うポイントを有し、複数の重なり合うポイントが湾曲線を形成する。湾曲線が、中心角で形成される円弧長を有することができ、中心角が約5.00度から約89.99度の間の範囲内の値を有する。特定の例示の実施形態では、リファイナー・プレート・セグメントの終端縁部境界線と外弧との間の表面領域が第1の距離および第2の距離を有し、第1の距離が第2の距離より大きい。このような例示の実施形態では、表面領域が、弓形部分と、弦セグメントと、短くなったセクタとから実質的に構成された形状を画定することができる。
【0062】
別の例示の実施形態では、リファイナーが、少なくとも2つの対向するリファイニング組立体であって、少なくとも2つの対向するリファイニング組立体の各々が、バッキング構造と、バッキング構造に係合されるリファイナー・プレート・セグメントとを備える、少なくとも2つの対向するリファイニング組立体を備え、各リファイナー・プレート・セグメントが、外弧を有する基体と、基体上に配置される一連の交互のバーおよび溝とを備え、バーと基体との間の領域が溝を画定し、一連の交互のバーおよび溝がリファイニング面を画定し、少なくとも2つの対向するリファイナー組立体の第1のリファイニング組立体が回転軸を中心として回転するように構成され、第1のリファイニング組立体のリファイニング面が第2のリファイニング組立体のリファイニング面に対向し、第1のリファイニング組立体のリファイナー・プレート・セグメントが、第1のリファイニング組立体の基体の外弧の最も近くに配置されるバーの2つ以上の終端縁部によって画定される終端縁部境界線を有し、第2のリファイニング組立体のリファイナー・プレート・セグメントが、第2のリファイニング組立体の基体の外弧の最も近くに配置されるバーの最外終端バー縁部によって画定される最外縁部円周を有し、第1のリファイニング組立体の終端縁部境界線が第2のリファイニング組立体の最外縁部円周と平行ではない。
【0063】
特定の例示の実施形態では、終端縁部境界線が、終端縁部境界線に沿うすべてのポイントにおいて回転軸から等距離というわけではない。単一のリファイナー・プレート・セグメント上の終端縁部境界線が、線分、一連の線分、曲線、一連の曲線、およびそれらの組み合わせで配置され得る。終端部縁境界線が、完全に組み立てられたリファイニング組立体の前面に1つの形状を形成することができ、その形状が、丸みのある多角形、正多角形、不規則な多角形、卵形状、およびその組み合わせからなる群から選択される。
【0064】
特定の例示の実施形態では、終端縁部境界線が第1のリファイニング組立体上に24角形を形成し、第1のリファイニング組立体上のバーの約50%が第2のリファイナー組立体の対向する最外縁部円周を越えて径方向外側に延在する。他の例示の実施形態では、終端縁部境界線が第1のリファイニング組立体上に16角形を形成し、第1のリファイニング組立体上のバーの約15%が第2のリファイナー組立体の対向する最外縁部円周を越えて径方向外側に延在する。他の例示の実施形態では、終端縁部境界線が第1のリファイニング組立体上に12角形を形成し、第1のリファイニング組立体上のバーの約8%が第2のリファイナー組立体の対向する最外縁部円周を越えて径方向外側に延在する。他の例示の実施形態では、終端縁部境界線が第1のリファイニング組立体上に8角形を形成し、第1のリファイニング組立体上のバーの約4%が第2のリファイナー組立体の対向する最外縁部円周を越えて径方向外側に延在する。
【0065】
本発明の例示の実施形態を参照して本発明を具体的に示して説明してきたが、添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱することなく、形態および細部における多様な変更形態が本発明において作られ得ることが当業者には理解されよう。