(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】エンクロージャ内の電気信号へのパススルーアクセスを提供する電気パネルアダプタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/74 20060101AFI20240118BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20240118BHJP
H01R 13/447 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H01R13/74 J
G01R31/00
H01R13/447
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019111052
(22)【出願日】2019-06-14
【審査請求日】2022-06-10
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509233459
【氏名又は名称】フルークコーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Fluke Corporation
【住所又は居所原語表記】6920 Seaway Boulevard, Everett, Washington 98203 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェルディナンド ワイ ラウリーノ
(72)【発明者】
【氏名】カーリー ニコール マカッチェン
(72)【発明者】
【氏名】ヒルトン ジー ハモンド
(72)【発明者】
【氏名】アロイス ソマー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ハイデグ
(72)【発明者】
【氏名】ポール クラル
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0015234(US,A1)
【文献】実開昭57-072578(JP,U)
【文献】特開2002-151211(JP,A)
【文献】特開2005-063766(JP,A)
【文献】特開2006-351509(JP,A)
【文献】特開昭61-280702(JP,A)
【文献】特表2000-515677(JP,A)
【文献】特開2009-041952(JP,A)
【文献】特開2008-131699(JP,A)
【文献】特開2010-238582(JP,A)
【文献】特開2007-086876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
H01R13/73-13/74
G01R31/00-31/01
G01R31/24-31/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのパネルで形成されたエンクロージャ用の電気パネルアダプタであって、前記電気パネルアダプタは、
前部分及び後部分を有する主ユニットであって、前記後部分は
、エンクロージャの内側に位置する電気配線及び/又は機器に接続するように適合された第1の複数の電気的接続部を含み、前記前部分は、前記エンクロージャの内側の電圧及び電流の両方を測定するために、前記エンクロージャの外側に位置する1つ以上の電気デバイスに接続するように適合された第2の複数の電気的接続部を含み、前記第2の複数の電気的接続部は、前記第1の複数の電気的接続部に電気結合されている、主ユニットを備え、
前記電気パネルアダプタは、前記主ユニットの前記後部分が、前記エンクロージャ内側に位置付けられ、前記主ユニットの前記前部分が、前記少なくとも1つのパネルの開口部を通って延在し、それによって、前記第2の複数の電気的接続部が前記エンクロージャの外側に位置する電気デバイスへの接続のために前記エンクロージャの外側からアクセス可能になるように、前記エンクロージャ上に設置可能であり、また、設置されるとき、前記電気パネルアダプタは、前記エンクロージャの外側の電気デバイスが、前記エンクロージャが開けられることを必要とせずに、前記第1及び前記第2の複数の電気的接続部を介して、前記エンクロージャの内側の前記電気配線及び/又は機器に電気結合されることを可能にし、
前記主ユニットに固設可能であるベースフレームを更に備え、前記電気パネルアダプタが前記エンクロージャ上に設置されるとき、前記ベースフレーム及び前記主ユニットが、前記少なくとも1つのパネルの反対の側面に位置付けられ、
前記少なくとも1つのパネルの少なくとも一部が前記ベースフレームと前記主ユニットとの間に挟まれ、前記ベースフレームは、前記少なくとも1つのパネルを通って延在し、かつ前記主ユニットに連結する、締結具を介して、前記主ユニットに固設され、それによって、前記電気パネルアダプタを前記エンクロージャの前記少なくとも1つのパネルに固設する、電気パネルアダプタ。
【請求項2】
前記ベースフレーム及び前記主ユニットは、前記締結具が前記少なくとも1つのパネルの前記開口部を通って延在するようにサイズ決定及び構成され、前記ベースフレーム及び前記主ユニットが、前記少なくとも1つのパネルの前記反対の側面に当接する縁部分を有する、請求項1に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのパネルの前記
反対の側面に当接する前記ベースフレーム及び前記主ユニットの前記縁部分が、前記少なくとも1つのパネルの前記開口部の周りに封止部を形成して前記エンクロージャの外部環境から前記エンクロージャの内部を保護する、請求項2に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項4】
前記ベースフレームに連結された保護カバーを更に備え、前記保護カバーは、閉位置と開位置との間で位置付け可能であり、前記保護カバーが閉位置にあるとき、前記保護カバーは、前記ベースフレームに対して封止して、前記第2の複数の電気的接続部を前記エンクロージャの外側の環境から保護する、請求項1に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項5】
前記保護カバーが、透明な表面を含み、それによって、前記保護カバーが前記閉位置に位置付けられるとき、前記第2の複数の電気的接続部が、前記透明な表面を通して、前記エンクロージャの外側の環境に視認可能である、請求項4に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項6】
前記ベースフレームが、環状であり、前記少なくとも1つのパネル内の前記開口部を通って延在する前記主ユニットの前記前部分への外部アクセスを提供するようにサイズ決定されたアクセスポートを提供する、請求項1に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項7】
前記ベースフレーム内に嵌合し、前記少なくとも1つのパネルを通って延在する前記締結具を受容するようにサイズ決定及び構成された環状の固定リングを更に備え、前記固定リングは、前記ベースフレームの少なくとも一部分の内径よりも大きい外径を有し、前記固定リングは、前記締結具が前記ベースフレームを前記主ユニットに固設するときに、前記ベースフレームに当接する、請求項6に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項8】
前記ベースフレーム内に嵌合し、前記少なくとも1つのパネルを通って延在する前記締結具を受容するようにサイズ決定及び構成された固定プレートを更に備え、前記固定プレートが、前記第2の複数の電気的接続部に対応し、前記第2の複数の電気的接続部への外部アクセスを提供する、開口部を含み、前記固定プレートは、前記ベースフレームの少なくとも一部分の内径よりも大きい直径を更に有し、前記固定プレートは、前記締結具が前記ベースフレームを前記主ユニットに固設するときに、前記ベースフレームに当接する、請求項6に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項9】
前記主ユニットが、前記少なくとも1つのパネルに対して、前記エンクロージャの内側に位置する電気配線及び/又は機器への前記第2の複数の電気的接続部の接続を容易にする所望の配向を有する装着位置へと回転可能である、請求項1に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項10】
前記第1の複数の電気的接続部が、前記エンクロージャの内側の電圧及び電流の両方を含む電気パラメータを測定するために、ケーブル布線を介して前記エンクロージャの内側の試験点に接続可能である端子である、請求項1に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項11】
前記第1の複数の電気的接続部に隣接する前記主ユニットの表面から延在するノッチ構造を更に備え、前記ノッチ構造が、前記第1の複数の電気的接続部を前記電気配線及び/又は機器に接続する前記ケーブル布線に歪み緩和を提供するように構成されている、請求項10に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項12】
前記第2の複数の電気的接続部が、前記第1の複数の電気的接続部と前記エンクロージャの外側の1つ以上の電気デバイスとの間で電気信号を通信するための、前記エンクロージャの外側に位置する1つ以上の電気デバイスに、ケーブル布線を介して接続可能であるソケットであり、前記第2の複数の電気的接続
部のうちの少なくとも1つが、前記エンクロージャの内側の電圧を測定するための電気信号を通信するように構成されており、前記第2の複数の電気
的接続
部のうちの少なくとも別の1つが、前記エンクロージャの内側の電流の測定のための電気信号を通信するように構成されている、請求項1に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項13】
前記エンクロージャ内の電圧を測定するために前記エンクロージャ外の第1の電気的接続部が前記エンクロージャ内の第2の電気的接続部に接続されるとき、前記電気パネルアダプタは、前
記第1の電気的接続部と
前記第2の電気的接続部との間に結合されている過電流保護デバイスを更に
含み、
前記エンクロージャ内の電流を測定するために前記エンクロージャ外の前記第1の電気的接続部が前記エンクロージャ内の前記第2の電気的接続部に接続されるとき、前記電気パネルアダプタは、前記第1の電気的接続部と
前記第2の電気的接続部との間に
過電流保護デバイスを含まない、請求項1に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項14】
出力ソケットに電力を供給するために前記出力ソケットに接続された1つ以上の電気ラインを含む、前記
主ユニット内の出力ソケット及び回路を更に備え、前記電力が、前記第1の複数の電気的接続部のうちの少なくとも1つに接続されている、前記エンクロージャの内側の電気配線又は機器から引き出される、請求項1に記載の電気パネルアダプタ。
【請求項15】
少なくとも1つのパネルで形成されたエンクロージャ上に電気パネルアダプタを設置する方法であって、
前記電気パネルアダプタの主ユニットを前記エンクロージャの前記少なくとも1つのパネル内に画定された開口部内に嵌合させることと、を含み、前記主ユニットは、前部分及び後部分を有し、前記後部分は、前記エンクロージャの内側に位置する電気配線及び/又は機器に接続するように適合された第1の複数の電気的接続部を含み、前記前部分は、前記エンクロージャの外側に位置する1つ以上の電気デバイスに接続するように適合された第2の複数の電気的接続部を含み、前記第2の複数の電気的接続部は、前記第1の複数の電気的接続部に電気結合されており、
設置されるとき、前記主ユニットの前記後部分は、前記エンクロージャの内側に位置付けられ、前記主ユニットの前記前部分は、前記開口部を通って延在し、それによって、前記第2の複数の
電気的接続部が、前記エンクロージャの外側の電気デバイスへの接続のために前記エンクロージャの外側からアクセス可能であり、前記電気パネルアダプタは、前記エンクロージャの外側の電気デバイスが、前記エンクロージャが開けられることを必要とせずに、前記第1及び前記第2の電気的接続部を介して、前記エンクロージャの内側の前記電気配線及び/又は機器に電気結合されることを可能にし、
前記電気パネルアダプタが、前記主ユニットに固設可能であるベースフレームを更に有し、
前記ベースフレーム及び前記主ユニットを、前記エンクロージャの前記少なくとも1つのパネルの反対の側面に位置付けることと、
前記少なくとも1つのパネルの少なくとも一部が前記ベースフレームと前記主ユニットとの間に挟まれるように、前記少なくとも1つのパネルを通って延在する締結具を介して前記ベースフレームを前記主ユニットに固設し、それによって、前記電気パネルアダプタを前記エンクロージャの前記少なくとも1つのパネルに固設することと、を更に含む、電気パネルアダプタを設置する方法。
【請求項16】
前記電気パネルアダプタが、前記ベースフレームに連結された保護カバーを更に有し、前記保護カバーが、閉位置と開位置との間で位置付け可能であり、
前記保護カバーを前記閉位置に位置付けることと、
前記保護カバーを前記ベースフレームに対して封止して、前記エンクロージャの外側の環境から前記第2の複数の電気的接続部を保護することと、を更に含む、請求項15に記載の電気パネルアダプタを設置する方法。
【請求項17】
前記電気パネルアダプタが、前記ベースフレーム内に嵌合するように、かつ前記少なくとも1つのパネルを通って延在する前記締結具を受容するようにサイズ決定及び構成された環状の固定リングを更に有し、前記固定リングが、前記ベースフレームの少なくとも一部分の内径よりも大きい外径を有し、前記方法が、
前記固定リングが前記ベースフレームに当接するように、前記固定リングを前記ベースフレームに挿入することと、
前記固定リング及び前記少なくとも1つのパネルを通して前記締結具を延在させ、かつ前記締結具を前記主ユニットに結合することによって、前記ベースフレームを前記主ユニットに固設することと、を更に含む、請求項15に記載の電気パネルアダプタを設置する方法。
【請求項18】
前記電気パネルアダプタが、前記ベースフレーム内に嵌合し、前記少なくとも1つのパネルを通って延在する前記締結具を受容するようにサイズ決定及び構成された固定プレートを更に有し、前記固定プレートが、前記ベースフレームの少なくとも一部の内径よりも大きい直径を有し、前記方法が、
前記固定プレートが前記ベースフレームに当接するように、前記固定プレートを前記ベースフレームに挿入することと、
前記固定プレート内の開口部を、前記主ユニットの前記前部分上の前記第2の複数の電気的接続部と整列させることと、
前記締結具を前記固定プレート及び前記少なくとも1つのパネルを通して延在させ、かつ前記締結具を前記主ユニットに結合することによって、前記ベースフレームを前記主ユニットに固設することと、を更に含む、請求項15に記載の電気パネルアダプタを設置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気パネルドアの背後の電気配線及び機器を収容するエンクロージャに関し、より具体的には、電気パラメータを測定するためにこのような電気配線及び機器からの電気信号へのアクセスを提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
電力品質試験をすることなどの、電気パネルの背後の電気配線及び機器にアクセスし、測定する、電気技師の現在のワークフローは、時間効率が悪く、安全ではない場合がある。電気技師がエンクロージャ内の配線及び機器への安全なアクセスを得るように電気機器の休止時間をスケジューリングするとき、時間効率が失われる。現在のワークフローはまた、通電されている電気ライン及び機器へのアクセスを得るために、電気技師がパネルドアを開いたときに、彼らを危険な環境に曝す。
[発明が解決しようとする課題]
【0003】
携帯デバイスで電力を測定すること又は電力品質の記録を取ることなどの測定を実行する、電気技師の典型的なワークフローは、電気エンクロージャ内に電流センサを設置し、電圧試験リードを設置するための時間がかかる準備作業を必要とする。有害な環境に曝されることを回避するために、電気技師は、大がかりな個人用保護機器を着用することが必要な場合がある。信頼性のない、又は更には不正確な接続は、このような緊迫した状態での作業から生じることが多い。設備での休止時間のスケジューリングは、より安全な選択肢であるが、まれな場合にのみ実行可能である。必要なのは、電気パネルの背後に位置する通電された電気配線及び機器へのより容易かつ安全なアクセスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、例えば、エンクロージャのパネルドアであり得る、エンクロージャの少なくとも1つのパネル上に設置するための電気パネルアダプタが開示される。電気パネルアダプタは、エンクロージャ内の配線及び機器の電気パラメータを測定するための直通の電気信号を供給し、電気技師がパネルドアの背後に位置する通電された配線及び測定デバイスへの接続を行うときに、個人用保護機器を着用する必要性を排除するように構成されている。パネルアダプタは、エンクロージャが開けられることを必要とせずに、(限定するものではないが)例えば、エンクロージャの内側の電圧及び電流の測定値を含む電気パラメータを測定するために、エンクロージャの外部からパネルの背後及びエンクロージャ内の複数の電気配線及び/又は機器へのアクセスを提供する。少なくとも1つの実施形態では、最大で4つまでの電圧チャネル及び5つまでの電流チャネル(例えば、3つの位相、ニュートラル、及び接地)にアクセスが提供される。
【0006】
様々な実施形態では、パネルアダプタは、エンクロージャのパネルに画定された開口部に隣接して、又はその内部に固定される。パネルアダプタは、硬い若しくは撚り合わせた配線を含む電気配線、及び/又はエンクロージャ内から電気信号(例えば、電流信号及び電圧信号)を受信するための測定機器に接続するのに好適な端子をその後側面に有する。パネルアダプタの前側面は、標準的な4mm安全ソケットなどのソケットの形態の出力部を含み、これにより、エンクロージャの外側の電気技師が、電力品質ロガー又はデジタルマルチメータ(DMM)などの測定機器をパネルアダプタの出力部に接続し、エンクロージャの内側の電気配線及び機器の測定を行うことを可能にする。加えて、パネルアダプタは、パネルアダプタの端子に結合された測定ラインによって給電することができる器具、例えば、Fluke Corporationによって提供される173x及び174xの電気エネルギー/電力ロガーをサポートする。様々な実施形態では、パネルアダプタ内の顧客アクセス可能なヒューズは、測定接続部での過電流を防止する。
【0007】
パネルアダプタの出力部は、パネルの内側の電気配線に設置されたFluke i17XX可撓性電流クランプなどの測定機器からの電気信号のフィードスルーを提供する。例えば、円形の4ピンコネクタが、そのような電流測定機器に典型的に見られる内蔵EEPROMをサポートするために含まれてもよい。測定機器内のセンサは、例えば、Fluke 173x及び174xロガーによって自動的に検出することができる。アダプタケーブルはまた、電気配線及び機器を、Fluke 43Xアクセサリ、及び、EEPROM(例えば、市販の分割コア変圧器)のないアクセサリに接続するために使用することもできる。
【0008】
したがって、本明細書の説明から理解されるように、本開示の少なくとも1つの実施形態は、少なくとも1つのパネルから形成されるエンクロージャ用の電気パネルアダプタを提供する。電気パネルアダプタは、前部分及び後部分を有する主ユニットを含む。主ユニットの後部分は、エンクロージャの内側に位置する電気配線及び/又は機器に接続するように適合された第1の複数の電気的接続部を含み、一方、主ユニットの前部分は、エンクロージャの外側に位置する1つ以上の電気デバイスに接続するように適合された第2の複数の電気的接続部を含み、第2の複数の電気的接続部は、第1の複数の電気的接続部に電気結合される。
【0009】
電気パネルアダプタは、主ユニットの後部分がエンクロージャの内側に位置付けられ、主ユニットの前部分が少なくとも1つのパネルの開口部を通って延在し、それによって、第2の複数の接続部が、エンクロージャの外側に位置する電気デバイスに接続するためにエンクロージャの外側からアクセス可能になるように、エンクロージャ上に設置可能である。設置されるとき、電気パネルアダプタは、エンクロージャの外側の電気デバイスが、エンクロージャが開けられることを必要とせずに、第1及び第2の電気的接続部を介してエンクロージャの内側の電気配線及び/又は機器に電気結合されることを可能にする。
【0010】
パネルアダプタの設置は、簡単である。パネルアダプタの少なくとも1つの実施形態では、設置は、パネルドア内に95mm(4インチ)の穴を開けること、及びパネルドアの穴に隣接して又はその内部にパネルアダプタを装着することを必要とするだけである。確実な保護アース接続のために、パネルアダプタは、Fluke Corporationによって提供されるAutoGround(商標)機構を利用してもよい。次いで、エンクロージャの内側の電気配線及び測定デバイスは、パネルドアが閉じられたままである間に、電気配線及び測定デバイスへの継続的なアクセスを提供する。
【0011】
したがって、少なくとも1つのパネルで形成されたエンクロージャ上に電気パネルアダプタを設置する方法は、エンクロージャの少なくとも1つのパネルに開口部を画定することと、電気パネルアダプタの主ユニットを画定された開口部に嵌合させることと、を含み、主ユニットは前部分及び後部分を有し、後部分は、エンクロージャの内側に位置する電気配線及び/又は機器に接続するように適合された第1の複数の電気的接続部を含み、前部分は、エンクロージャの外側に位置する1つ以上の電気デバイスに接続するように適合された第2の複数の電気的接続部を含み、第2の複数の電気的接続部は、第1の複数の電気的接続部に電気結合されている。設置されるとき、主ユニットの後部分は、エンクロージャの内側に位置付けられ、主ユニットの前部分は、第2の複数の接続部が、エンクロージャの外側の電気デバイスに接続するために、エンクロージャの外側からアクセス可能になるように開口部を通って延在する。したがって、電気パネルアダプタは、エンクロージャの外側の電気デバイスが、エンクロージャが開けられることを必要とせずに、第1及び第2の電気的接続部を介してエンクロージャの内側の電気配線及び/又は機器に電気結合されることを可能にする。
【0012】
したがって、本明細書に開示されるパネルアダプタの様々な実施形態は、非限定的な例として、以下の概念及び特徴の一部又は全てを含むことができる。
(1)電気キャビネットフィードスルーインターフェースであって、キャビネット内の三相電圧及び電流の試験点などの電気試験点に測定器具を接続する、電気キャビネットフィードスルーインターフェース。
(2)電気キャビネットを開けることを必要とせずに、職員を有害な電気環境に曝すことを回避する、三相試験点などの電気的試験点への電気アクセス。
(3)便利なルーチン電気測定を、動作している機器を停止し、ロックアウトタグアウトプロセスを実行することを必要とせずに、行うことができる。
(4)標準的なソケットを使用する測定器具への、電圧接続及び電流接続などの便利な電気接続部。
(5)標準的なネジ端子及びODU又はBNC工業標準接続部を使用した、電流センサプローブ用の永久配線内部電圧接続部。
(6)設置の際、パネルアダプタの向きを360度回転させて、パネルアダプタを任意の配向で装着することを可能にすることができる。
(7)パネルドアに開口部を画定するためにKwikステッパドリルビット及び電気油圧穴パンチ(直径100mm、4インチ)を使用する簡易化された設置が可能である。
(8)IEC 61010によるCat III 1000V/Cat IV 600Vの安全性評価は、パネルアダプタが閉じた位置で保護カバーによって保護されたときのIP67定格で達成することができる。
【0013】
これらの概念及び特徴、並びに他の概念及び特徴は、本明細書に記載される電気パネルアダプタの様々な実施形態によって例示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、開位置にある保護カバーを有する、本開示による電気パネルアダプタの一実施形態の正面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるような、エンクロージャのパネルドアに固定されたパネルアダプタを有するエンクロージャの斜視図であり、保護カバーは閉位置にある。
【
図3】
図3は、開口部が内部に画定されたパネルドアに関して、
図1に示すようなパネルアダプタの一実施形態を形成する要素の分解斜視側面図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示によるパネルアダプタの少なくとも1つの実施形態の設置のプロセスの一例を示す。
【
図4B】
図4Bは、本開示によるパネルアダプタの少なくとも1つの実施形態の設置のプロセスの一例を示す。
【
図4C】
図4Cは、本開示によるパネルアダプタの少なくとも1つの実施形態の設置のプロセスの一例を示す。
【
図5A】
図5Aは、本開示による、異なる装着配向でベースフレームに装着された主ユニットを有するパネルアダプタの正面図を示す。
【
図5B】
図5Bは、本開示による、異なる装着配向でベースフレームに装着された主ユニットを有するパネルアダプタの正面図を示す。
【
図5C】
図5Cは、本開示による、異なる装着配向でベースフレームに装着された主ユニットを有するパネルアダプタの正面図を示す。
【
図5D】
図5Dは、本開示による、異なる装着配向でベースフレームに装着された主ユニットを有するパネルアダプタの正面図を示す。
【
図6】
図6は、電圧測定ライン及び電流測定デバイスなどの電気配線及び機器を主ユニットに結合するための電気接続点を有するパネルアダプタの主ユニットの背面図である。
【
図8A】
図8Aは、外部測定デバイスの後部分の入力部にケーブル布線を介して結合可能な、主ユニットの前部分上の電気ソケットを有するパネルアダプタの斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、パネルアダプタの電気ソケットを
図8Aに示す外部測定デバイスに結合するために使用され得るケーブル布線の斜視図である。
【
図8C】
図8Cは、外部測定デバイスの後部分上の他の入力部にケーブル布線を介して結合可能な、主ユニットの前部分上の電気ソケットを有する、
図8Aに示されるパネルアダプタの斜視図である。
【
図8D】
図8Dは、パネルアダプタの電気ソケットを
図8Cに示す外部測定デバイスに結合するために使用され得るケーブル布線の斜視図である。
【
図9A】
図9Aは、主ユニットに電圧測定ラインを結合するための接続点を有するパネルアダプタの主ユニットの背面斜視断面図である。
【
図9B】
図9Bは、主ユニットへの電圧測定ラインの結合を更に示す、
図9Aに示されるパネルアダプタの主ユニットの背面斜視図である。
【
図9C】
図9Cは、電流測定デバイスを主ユニットに結合するための接続点を更に示す、
図9Aに示されるパネルアダプタの主ユニットの背面斜視図である。
【
図10】
図10は、パネルアダプタの主ユニットの少なくとも1つの実施形態の内側の回路を示す概略図である。
【
図12A】
図12Aは、主ユニットの寸法的態様を示す主ユニットの少なくとも1つの実施形態の絵画的正面図である。
【
図12B】
図12Bは、主ユニットの寸法的態様を示す主ユニットの少なくとも1つの実施形態の絵画的側面図である。
【
図12C】
図12Cは、主ユニットの寸法的態様を示す主ユニットの少なくとも1つの実施形態の絵画的正面図である。
【
図13】
図13は、本開示によるパネルアダプタの実施形態を形成する要素の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の様々な実施形態では、電気パネルアダプタが、電気エンクロージャの少なくとも1つのパネルに設置されて、例えば、エンクロージャの内側の電圧及び電流などの電気的パラメータの測定のために、エンクロージャを開けることを必要とせずに、エンクロージャの外側から電気エンクロージャの内側の電気配線及び機器へのアクセスを与えることができる。したがって、このパネルアダプタは、エンクロージャの外側で電気技師に安全を提供しつつ、エンクロージャの内側の通電された電気パラメータの測定により大きな時間効率を提供する。
【0016】
図1は、(例えば、
図2に示すような)エンクロージャのパネルドアに固定可能である電気パネルアダプタ10の実施形態を示す。アダプタ10は、主ユニット12と、ベースフレーム14と、この例ではヒンジ18によってベースフレーム14に結合されている保護カバー16と、を含む。
図1では、保護カバー16が開位置で示されており、電気ソケット20へのアクセスは、エンクロージャの内側の配線及び機器の電圧及び電流などの電気パラメータを測定するために提供される。エンクロージャの一例は、
図2に示すような電気ボックス又はキャビネット22である。
図2では、アダプタ10が、保護カバーが閉位置にある状態で、電気ボックス又はキャビネット22のパネルドア(又は他のパネル)24に固定されて示されている。
【0017】
図3は、
図1及び
図2に示されるパネルアダプタ10の一実施形態を形成する要素の分解斜視側面図である。
図3では、主ユニット12はパネル24の背後に置かれる。主ユニット12の前部分は、パネル24内に画定された開口部26に嵌合、及び/又は、開口部を通って延在するようにサイズ決定される。パネル24の反対の側面上には、設置されたときにパネル24に当接し、かつ、開口部26内に、及び/又は、開口部を通って突出する主ユニット12の前部分への外部アクセスを提供するようにサイズ決定されたアクセスポート28を提供する、ベースフレーム14がある。パネルアダプタ10のこの実施形態では、固定リング30は、フレーム14に嵌合するようにサイズ決定及び構成され、かつ、固定リング30を通って主ユニット12に入るネジ又は他の締結具32を受容する。固定リング30は、ベースフレーム14の内側側壁の少なくとも一部分の内径よりも大きい外径を有する。したがって、固定リング30がフレーム14に嵌合されるとき、固定リング30を通過するネジ32は、フレーム14を、その間に挟まれたパネル24で主ユニット12に固設し、それによって、フレーム14及び主ユニット12をパネル24に固定する。
【0018】
例示した実施形態では、図示のように、フレーム14は、ヒンジ18によってフレーム14に接続され、かつ、閉位置で、保護カバー16が開位置にあるときに、本来ならフレーム14のアクセスポート28を通ってアクセス可能である主ユニット12の電気ソケットへの環境保護を提供する、保護カバー16を更に含む。閉位置において、保護カバー16は、好ましくは、フレーム14の外周に当接し、パネルアダプタ10の外側の環境からアクセスポート28及び主ユニット12の前部分を封止する。更なる環境保護のために、フレーム14の背面は、好ましくは、フレーム14が間にパネル24を伴って主ユニット12に設置及び固設されるとき、パネル24に対して封止する。少なくとも1つの実施形態では、フレーム14及び主ユニット12は、パネル24の反対の側面に当接し、パネル24の開口部26の周囲に封止部を形成して、エンクロージャの外側の環境からエンクロージャの内部を保護する縁部分を有する。
【0019】
少なくともいくつかの実施形態では、保護カバー16は透明な表面を含む。保護カバーが閉位置に位置付けられるとき、電気ソケットは、透明な表面を通し、エンクロージャの外側の環境に視認可能である。
【0020】
図4A~
図4Cは、パネルアダプタ10の少なくとも1つの実施形態の設置のためのプロセスの一例を示す。第1の工程40では、開口部がパネルドアに画定される。例えば、Kwikステッパドリルビット又は電気油圧穴パンチを使用して、パネルドアに開口部を切断又は別の方法で画定することができる。
【0021】
第2の工程42では、
図3に示されるようなベースフレーム及びヒンジ接続された保護カバーが、画定された開口部の周囲のパネルドアの外側に嵌め合わされる。同時に、
図3に記載されるような主ユニットは、主ユニットの一部分が開口部内に及び/又は開口部を通って延在するように、パネルドアの反対の側面に位置付けられる。ベースフレーム及び主ユニットは、その後、ベースフレーム及び主ユニットがパネルドアの反対の側面に固定されるように互いに固設される。例えば、
図3に記載されるような固定リング30又は
図13に示される固定プレート90を使用して、ベースフレームを、それらの間にパネルドアを伴って主ユニットに固設することができる。
【0022】
したがって、第3の工程44において、主ユニット及びベースフレームは、パネルドアの反対の側面で互いに固設された状態で、保護カバーは、ベースフレームに対してヒンジ接続部を中心に回転して、保護カバーをベースフレーム上に閉じることができる。閉位置では、保護カバーは、パネルドア及びパネルアダプタの外部の環境から、主ユニットの前部分上の電気ソケットを保護する。
【0023】
ここで
図5A~
図5Dを参照すると、様々な実施形態において、主ユニット12は、異なる装着位置でベースフレーム14に固設されてもよい。例えば、
図5Aでは、主ユニット12は、主ユニット12の電気ソケット20がフレーム14のアクセスポート28内で装着されて、フレームの左半分の電流測定接続部及びフレームの右半分の電圧測定接続部を提供するように位置付けられている。
図5Bでは、例えば、主ユニット12は、電流測定接続部がフレームの上半分にあり、電圧測定接続部はフレームの下半分にあるように、フレーム14のアクセスポート28内で回転されて装着される。例えば、
図5Cでは、主ユニット12は、電流測定接続部がフレームの下半分にあり、電圧測定接続部がフレームの上半分にあるように、フレーム14のアクセスポート28内で更に回転されて装着される。最後に、例えば、
図5Dでは、主ユニット12は、電圧測定接続部がフレームの左半分にあり、電流測定接続部がフレームの右半分にあるように、フレーム14のアクセスポート28内で回転されて装着される。
【0024】
このようにして、主ユニット12が、例えば、パネル24に対して最大360度回転することを可能にすることにより、主ユニット12を電気エンクロージャの内側の電気配線及び機器に接続するとき、より高い柔軟性が提供される。
図3で見られ、
図9A~
図9Cで更に詳細に見られるように、主ユニット12は、例えば、電気エンクロージャの内側の電圧測定ライン及び電流測定機器を主ユニット12に接続するための電気接続点を含む。電圧測定ライン及び電流測定機器が主ユニット12に接続されると、主ユニット12の前方の電気ソケット20は、電気エンクロージャの内側の電圧測定ライン及び電流測定機器から電気信号への外側パススルーアクセスを提供する。電気エンクロージャの内側の電圧測定ライン及び電流測定機器の相対位置に応じて、電気技師は、
図5A~
図5Dに示されるように、フレーム14のアクセスポート28内で主ユニット12を選択的に回転させて装着して、主ユニット12の電圧測定ライン及び電流測定機器への結合を容易にすることができる。例えば、パネルアダプタを設置するとき、電気技師は、パネルドアの異なる領域に主ユニット12を選択的に装着し、かつ、主ユニット12の接続点が、パネルドアの背後の電圧測定ライン及び電流測定機器により容易に結合されるように、主ユニット12をフレーム14内に装着することができる。設置する電気技師が主ユニット12の接続点へのアクセスを遮断する電気エンクロージャ内の他の構成要素を見つけた場合は、主ユニット12は、同様に、フレーム14内で、異なる配向に回転されて装着され得る。
【0025】
図6は、エンクロージャの内側の、電圧測定ラインなどの測定ラインを主ユニット12に結合するための電気接続点50、並びに、エンクロージャの内側の、電流測定機器などの測定機器を主ユニット12に結合するための電気接続点52を有する主ユニット12の背面図である。電気接続点50及び52は、
図9A~
図9C及び
図11に更に示されている。
図6に見られるように、主ユニット12は、好ましくは、電圧接続点50に対する適切な標識(この例では、それぞれ、A/L1、B/L2、C/L3、N及びPEと標識された、3つのライン又は位相、ニュートラル、及びアース又は接地接続を含んでいる)を含む。
図7は、電流接続点52に対する適切な標識(この例では、それぞれA/L1、B/L2、C/L3、N及びPEと標識された、3つの位相、ニュートラル、及び接地についてと同様に、5つの電流チャネルを含んでいる)を有する主ユニット12の側面図である。
【0026】
図1に描かれるような主ユニット12の前部分上の電気ソケット20が、
図8A~
図8Dを参照して更に図示及び考察される。先に述べたように、電圧測定などの電気測定が所望される電気エンクロージャ内の試験点は、主ユニット12の接続点50に結合されてもよい。主ユニット12内の回路(
図10及び
図11に関して以下で考察される)は、接続点50を、主ユニット12の前面上の対応する電気ソケット60と電気結合する。フレーム14のアクセスポート28を介してアクセス可能である電気ソケット60は、
図8Aに示されるような電力品質ロガー62などの1つ以上の測定デバイス上の入力部にケーブル布線を介して結合されてもよい。
図8Bは、測定デバイス62の電圧測定入力部などの測定入力部を電気ソケット60に電気結合するための好適なコネクタを有するケーブル64を示す。例えば、少なくとも1つの実施形態では、電気ソケット60は、
図8Bに示されるように標準的な4mmリードを使用して電力品質ロガー62などの測定デバイスに接続可能である5つの4mmの安全ソケットから構成される。
【0027】
また、先に述べたように、電気エンクロージャ内で、電流測定デバイスなどの測定デバイスは、電流測定が所望される電気配線又は機器を流れる電流を測定するように配設されてもよい。エンクロージャ内の電流測定デバイスは、主ユニット12の接続点52に結合される。主ユニット12内の回路は、
図8Cに示されるように、主ユニット12の前部分上の対応する電気ソケット66と接続点52を電気結合する。フレーム14のアクセスポート28を通してアクセス可能である電気ソケット66は、
図8Cに示される電力品質ロガー62などの1つ以上の測定デバイスにケーブル布線を介してそれぞれ結合されてもよい。
図8Dは、
図8Cの測定デバイス62の測定入力部、例えば、電流測定入力部を電気ソケット66に電気結合するための好適なコネクタを有するケーブル68を示す。例えば、少なくとも1つの実施形態では、電気ソケット66は、
図8Dに示される接続ケーブル68を使用して電力品質ロガー62などの測定デバイスに接続可能な5つのODUソケットから構成される。
【0028】
図9A及び
図9Bは、電圧測定ラインになることができる測定ライン70を主ユニット12に接続するための接続点50を更に示す。パネルアダプタ10の少なくとも1つの実施形態では、パネルアダプタ10の設置の間、測定ライン70は、主ユニット12上のネジ端子を介して接続点50に接続される。測定ライン70の露出された端部は、接続点50の周りに巻き付けられるか、又はさもなければ接続点50に固設されてよく、したがって、主ユニット12が位置するエンクロージャの内側の電気配線又は機器のそれぞれの試験点への配線ガルバニック接続が提供される。図示のように、主ユニット12は、接続点50に隣接する主ユニット12の表面から延在するノッチ構造72を更に含む。測定ライン70が設置され、接続点50に接続されるとき、測定ライン70をノッチ構造72のノッチ内に嵌合することができる。ノッチ構造は、それによって、例えば、測定ユニット12が装着されたパネルドアが後で開けられる場合に、測定ラインの移動からラインに生じ得るひずみから測定ライン70に対する緩和を提供する。
【0029】
図9Cは、電流測定デバイスなどの測定デバイス(一例はロゴウスキーコイル74である)を主ユニット12に接続するための接続点52を示す。パネルアダプタ10の少なくとも1つの実施形態では、アダプタ10の設置中に、電流測定デバイス74は、接続点52のソケットと合致する適切なコネクタを有するケーブル76を介して接続点52に電気接続される。例えば、標準的なFluke電流センサなどの電流測定デバイス74は、既知のODUコネクタを使用して、それぞれのケーブル76によって結合されてもよい。このように接続されると、電流測定デバイス74は、電気エンクロージャの内側の関心対象の配線を通って流れる電流を測定し、電流測定値を主ユニット12に提供する。主ユニット12内の回路は、接続点52を、電力品質ロガー62などの測定デバイスによる電流測定値への外部アクセスを提供する、電気ソケット66(
図8Cを参照)に電気結合する。
【0030】
パネルアダプタ10は、パネルアダプタに結合された1つ以上の測定ラインによって給電され得る器具を支持するように適合させることができることに留意されたい。主ユニット12内の回路は、測定されている電気ライン又は機器から少量の電力を引き込み、その電力をパネルアダプタ10に結合された測定デバイスに供給する出力ソケットに接続された1つ以上の電気ラインを含むことができる。
【0031】
図10は、主ユニット12の少なくとも1つの実施形態の回路の内側を示す概略図を提供し、一方、
図11は、この回路を含む主ユニット12の背面斜視断面図である。A/L1、B/L2、C/L3、及びNと標識された電圧接続点50は、それぞれの過電流保護デバイス80を介してそれぞれの電気ソケット60に結合される。任意の標準型のヒューズ又は回路ブレーカを備えることができる過電流保護デバイス80は、電気ソケット60に結合された、
図8A及び
図8Cに示される電力品質ロガー62などの測定機器に過電流保護を提供する。電流測定接続点52は、それぞれの電気ソケット66に、直接、電気結合される。
図9Cに示されるロゴウスキーコイル74などの電流測定デバイスは、電気配線又は機器にガルバニック接続されていないが、代わりに、電流変圧器技術を使用して電磁場によって電流を感知するので、接続点52と電気ソケット66との間の過電流保護は必要とされない。
【0032】
図12Aは、主ユニットの寸法的態様を示す主ユニット12の少なくとも1つの実施形態の絵画的正面図である。
図12Bは、主ユニットの寸法的態様を示す主ユニット12の少なくとも1つの実施形態の絵画的側面図であり、
図12Cは、主ユニット12の更なる寸法的態様を示す主ユニット12の少なくとも1つの実施形態の絵画的正面図である。これらの特定の実施形態では、具体的な寸法が、本開示による主ユニット12を構築及び設置するときに有用であり得る。
【0033】
最後に、
図13は、パネルアダプタ10の一実施形態を形成する要素の分解斜視図を提供する。
図13では、主ユニット12は、先に説明したような電気ソケット及び接続部に結合された電気回路ボードを有する筐体から構成される。ベースフレーム14は、主ユニット12の前部分上の電気ソケットへの外部アクセスを提供するようにサイズ決定される。保護カバー16は、フレーム14にヒンジ接続される。しかしながら、
図3とは対照的に、固定プレート90を使用して、フレーム14を主ユニット12に固設する。固定プレート90は、フレーム14に嵌合するようにサイズ決定され、固定プレート90を通って主ユニット12に入るネジ又は他の締結具92を受容する。固定プレート90は、ベースフレーム14の内側側壁の部分よりも広い外径を有する。したがって、固定プレート90がフレーム14に嵌合され、ネジ92が固定プレート90を通して主ユニット12の前部分に駆動されるとき、固定プレート90は、フレーム14を主ユニット12に固設する。パネルドアがそれらの間に挟まれるとき(例えば、
図3に示されるように)、フレーム14及び主ユニット12は、パネルドアに固定される。
【0034】
前述の説明で分かるように、様々な実施形態において、主ユニット12を含むパネルアダプタ10は、以下の特徴の一部又は全部を提供するように構築することができる。
(1)測定器具電圧測定接続部が、標準的な4mmの安全ソケットを介して提供される。
(2)測定器具電流測定接続部が、4ピンODUソケット又はBNCアダプタを介して提供される。
(3)内部キャビネット電圧接続部が、標準的なねじ端子を介して主ユニットに配線される。
(4)電圧接続部は、過電流状態から保護する直列のヒューズを使用して、安全に保護される。
(5)内部キャビネット電流試験点は、4ピンODUコネクタ又はBNCアダプタを介して標準電流センサに接続される。
(6)電流接続ソケットは、キャビネットの内側で標準的な市販の電流センサを使用することを容易にする。
(7)主ユニットの設置配向は、キャビネットパネルドアの4つのコーナーのいずれかなどの、キャビネットの異なる領域にパネルアダプタを装着することを可能にするために360度回転させることができ、したがって、キャビネットの内側の電気配線又は測定器具への主ユニットの接続を容易にすることができる。
(8)パネルアダプタを装着するためのパネルドア内の開口部を画定するために、Kwikステッパドリルビット又は電気油圧穴パンチを使用して、簡略化された設置が達成される。
(9)Cat III 1000V/Cat IV 600V安全評価は、保護カバーが設置され、閉位置に置かれたときにIP67定格を有するIEC 61010に従って提供される。
【0035】
前述の説明を考慮すると、本開示の様々な実施形態は、少なくとも1つのパネルで形成されたエンクロージャ用の電気パネルアダプタを含むことができ、電気パネルアダプタは、前部分及び後部分を有する主ユニットを備えることが容易に理解される。後部分は、エンクロージャの内側に位置する電気配線及び/又は機器に接続するように適合された電気端子であってよい、第1の複数の電気的接続部を含む。前部分は、電気配線及び/又は機器内の電圧及び電流の両方を測定するために、エンクロージャの外側に位置する1つ以上の電気デバイスに接続するように適合された、電気ソケットであってよい、第2の複数の電気的接続部を含む。上述のように、第2の複数の電気的接続部は、第1の複数の電気的接続部に電気結合される。
【0036】
電気パネルアダプタは、主ユニットの後部分がエンクロージャの内側に位置付けられ、主ユニットの前部分が少なくとも1つのパネルの開口部を通って延在するように、エンクロージャ上に設置可能である。したがって、第2の複数の接続部は、エンクロージャの外側に位置する電気デバイスに接続するために、エンクロージャの外側からアクセス可能である。電気パネルアダプタが設置されるとき、パネルアダプタは、エンクロージャの外側の電気デバイスが、エンクロージャが開けられることを必要とせずに、第1及び第2の電気的接続部を介して、エンクロージャの内側の電気配線及び/又は機器に電気結合されることを可能にする。
【0037】
様々な実施形態では、電気パネルアダプタは、少なくとも1つの第1の電気的接続部と少なくとも1つの第2の電気的接続部との間に結合された過電流保護デバイスを更に含んでもよく、少なくとも1つの第1の電気的接続部は、エンクロージャの内側の電圧の測定のための電気信号を受信するように構成されている。逆に、過電流保護デバイスは、第1の電気的接続部が、エンクロージャの内側の電流の測定のための電気信号を受信するように構成されているときに、第1の電気的接続と第2の電気的接続との間に必ずしも結合されない。
【0038】
様々な実施形態では、電気パネルアダプタは、主ユニットに固設可能であるベースフレームを更に備えてもよい。電気パネルアダプタがエンクロージャ上に設置されるとき、ベースフレーム及び主ユニットは、少なくとも1つのパネルの反対の側面に位置付けられる。ベースフレームは、少なくとも1つのパネルを通って延在し、主ユニットに結合する締結具を介して主ユニットに固設され、それによって、電気パネルアダプタをエンクロージャの少なくとも1つのパネルに固設する。ベースフレームは、環状であってもよく、少なくとも1つのパネル内の開口部を通って延在する主ユニットの前部分への外部アクセスを提供するようにサイズ決定されたアクセスポートを提供してもよい。
【0039】
様々な実施形態では、ベースフレーム及び主ユニットは、締結具がエンクロージャの少なくとも1つのパネルの開口部を通って延在するようにサイズ決定及び構成されてもよい。更に、ベースフレーム及び主ユニットは、少なくとも1つのパネルの反対の側面に当接する縁部分を有していてもよい。ベースフレーム及び主ユニットの縁部分は、少なくとも1つのパネルの反対の側面に当接し、少なくとも1つのパネルの開口部の周りに封止部を形成して、エンクロージャの外側の環境からエンクロージャの内部を保護する。
【0040】
様々な実施形態では、電気パネルアダプタは、パネルアダプタに、例えば、パネルアダプタのベースフレームに結合された保護カバーを更に備える。保護カバーは、閉位置と開位置との間で位置付け可能である。保護カバーが閉位置にあるとき、保護カバーは、好ましくは、ベースフレームに対して封止して、エンクロージャの外側の環境から第2の複数の電気的接続部を保護する。保護カバーは、保護カバーが閉位置に位置付けられたときに、主ユニットの第2の電気的接続部が透明表面を通してエンクロージャの外側の環境に視認可能なように、透明な表面を含んでもよい。
【0041】
様々な実施形態では、電気パネルアダプタは、ベースフレームに嵌合し、少なくとも1つのパネルを通って延在する締結具を受容するようにサイズ決定及び構成された環状の固定リングを更に備えてもよい。固定リングは、ベースフレームの少なくとも一部分の内径よりも大きい外径を有してもよい。このような構成では、締結具がベースフレームを主ユニットに固設するときに、固定リングは、ベースフレームに対して当接し得る。
【0042】
代替的に、様々な実施形態において、電気パネルアダプタは、ベースフレーム内に嵌合し、少なくとも1つのパネルを通って延在する締結具を受容するようにサイズ決定及び構成された固定プレートを更に備えてもよい。固定プレートは、第2の複数の電気的接続部に対応する開口部を含み、第2の複数の電気的接続部への外部アクセスを提供する。固定プレートは、ベースフレームの少なくとも一部分の内径よりも大きい直径を有してもよい。固定リングと同様に、このような構成では、締結具がベースフレームを主ユニットに固設するとき、固定プレートは、ベースフレームに当接し得る。
【0043】
様々な実施形態では、主ユニットは、少なくとも1つのパネルに対して回転可能である。したがって、主ユニットは、エンクロージャの内側に位置する電気配線及び/又は機器への第2の複数の電気的接続部の接続を容易にする所望の配向を有する装着位置に回転されてもよい。
【0044】
先に述したように、第1の複数の電気的接続部は、主ユニットの後部分上の端子であってもよい。このような実施形態では、端子は、エンクロージャの内側に位置する電気配線及び/又は機器の電気パラメータを測定するために、ケーブル布線を介して電気配線及び/又は機器上の試験点に接続可能である。
【0045】
様々な実施形態では、電気パネルアダプタは、主ユニットの表面から延在するノッチ構造を更に備えてもよい。ノッチ構造は、第1の複数の電気的接続部に隣接する表面から延在してもよい。好ましくは、ノッチ構造は、第1の複数の電気的接続部を電気配線及び/又は機器に接続するケーブル布線への歪み緩和を提供するように構成される。
【0046】
また、先に述したように、第2の複数の電気的接続部は、主ユニットの前部分上のソケットであってもよい。このような実施形態では、ソケットは、第1の複数の電気的接続部とエンクロージャの外側の電気デバイス(複数可)との間で電気信号を通信するために、エンクロージャの外側に位置する1つ以上の電気デバイスにケーブル布線を介して接続可能である。第2の複数の電気的接続部のうちの少なくとも1つは、エンクロージャの内側の電圧を測定するための電気信号を通信するように構成され、第2の複数の電気的接続部のうちの少なくとも別の1つは、エンクロージャの内側の電流の測定するための電気信号を通信するように構成されている。
【0047】
様々な実施形態では、電気パネルアダプタは、エンクロージャの外側のデバイスに電力を供給する出力ソケットを更に備えてもよい。このような実施形態では、主ユニット内の回路は、出力ソケットに接続されて出力ソケットに電力を供給する1つ以上の電気ラインを含んでもよい。好ましくは、回路は、第1の電気的接続部のうちの少なくとも1つに接続された、エンクロージャの内側の電気配線又は機器から電力を引き出す。
【0048】
上記の説明を考慮すると、本開示の様々な実施形態は、少なくとも1つのパネルで形成されたエンクロージャ上に電気パネルアダプタを設置する方法を含むことも容易に理解される。様々な実施形態では、本方法(複数可)は、エンクロージャの少なくとも1つのパネル内に開口部を画定することと、電気パネルアダプタの主ユニットを画定された開口部内に嵌合させることと、を含み、主ユニットが、前部分及び後部分を有し、後部分が、エンクロージャの内側に位置する電気配線及び/又は機器に接続するように適合された第1の複数の電気的接続部を含み、前部分は、エンクロージャの外側に位置する1つ以上の電気デバイスに接続するように適合された第2の複数の電気的接続部を含み、第2の複数の電気的接続部は、第1の複数の電気的接続部に電気結合されている。
【0049】
電気パネルアダプタの設置は、エンクロージャの内側の主ユニットの後部分及びエンクロージャの少なくとも1つのパネル内に画定された開口部内の主ユニットの後部分を、本体ユニットの前部分が開口部を通って延在するように、位置付けることを含む。したがって、主ユニットの前部分上の第2の複数の接続部は、エンクロージャの外側から、エンクロージャの外側の電気デバイスにアクセス可能である。このようにして、電気パネルアダプタは、エンクロージャの外側の電気デバイスが、エンクロージャが開けられることを必要とせずに、第1及び第2の電気的接続部を介してエンクロージャの内側の電気配線及び/又は機器に電気結合されることを可能にする。
【0050】
様々な実施形態では、電気パネルアダプタを設置する方法は、主ユニットに固設可能であるベースフレームを更に有する電気パネルアダプタと共に用いられてもよい。このような実施形態では、本方法は、エンクロージャの少なくとも1つのパネルの反対の側面にベースフレーム及び主ユニットを位置付けることと、少なくとも1つのパネルを通って延在する締結具を介してベースフレームを主ユニットに固設し、それによって、電気パネルアダプタをエンクロージャの少なくとも1つのパネルに固設することと、を更に含んでもよい。
【0051】
様々な実施形態では、電気パネルアダプタを設置する方法は、ベースフレームに結合された保護カバーを更に有する電気パネルアダプタと共に用いられてもよく、保護カバーは、閉位置と開位置との間で位置付け可能である。このような実施形態では、本方法は、保護カバーを閉位置に位置付けることと、保護カバーをベースフレームに対して封止して、エンクロージャの外側の環境から第2の複数の電気的接続部を保護することを更に含む。
【0052】
様々な実施形態では、電気パネルアダプタを設置する方法は、ベースフレーム内に嵌合するようにサイズ決定及び構成された環状の固定リングを更に有する電気パネルアダプタと共に用いられてもよい。固定リングは、ベースフレームの少なくとも一部の内径よりも大きい外径を有し、エンクロージャの少なくとも1つのパネルを通って延在する締結具を受容する。このような実施形態では、本方法は、固定リングがベースフレームに当接するように固定リングをベースフレームに挿入することと、固定リング及び少なくとも1つのパネルを通って締結具を延在させ、締結具を主ユニットに結合することによって、ベースフレームを主ユニットに固設することと、を更に含む。
【0053】
代替的に、様々な実施形態において、電気パネルアダプタを設置する方法は、ベースフレーム内に嵌合するようにサイズ決定及び構成された固定プレートを有する電気パネルアダプタと共に用いられてもよい。固定プレートは、ベースフレームの少なくとも一部の内径よりも大きい直径を有し、少なくとも1つのパネルを通って延在する締結具を受容する。このような実施形態では、本方法は、固定プレートがベースフレームに当接するように固定プレートをベースフレームに挿入することと、固定プレート内の開口部を、主ユニットの前部分上の第2の複数の電気的接続部と整列させることと、締結具を、固定プレート及び少なくとも1つのパネルを通して、延在させ、締結具を主ユニットに結合することによって、ベースフレームを主ユニットに固設することと、を更に含む。
【0054】
上記の様々な実施形態を組み合わせて、電気パネルアダプタ10のなお更なる実施形態、及びそれを設置する方法を提供することができることを理解されたい。実施形態の態様は、上記の発明を実施するための形態に照らして、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、修正されてもよく、他の変更が実施形態に加えられてもよい。
【0055】
上記の発明を実施するための形態を考慮すれば、これら及び他の変更が実施形態に加えられてもよい。一般的に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、請求項を、明細書及び請求項に開示される具体的な実施形態に限定するものと解釈すべきではないが、このような請求項によって権利が与えられる全均等物の範囲に沿った全ての可能な実施形態を含むと解釈すべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって制限されるものではない。