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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】車両推進システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/18 20190101AFI20240118BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240118BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240118BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240118BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240118BHJP
   B60L 50/40 20190101ALI20240118BHJP
【FI】
B60L58/18
B60L50/60
B60L58/12
H02J7/00 P
H02J7/00 302C
H02J7/02 F
B60L50/40
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019137176
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2020074660
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】16/050,361
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モンティオネ,ジョエル テレンス
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-238108(JP,A)
【文献】特開2011-072080(JP,A)
【文献】特開2008-017560(JP,A)
【文献】特開2013-225963(JP,A)
【文献】特開2016-226127(JP,A)
【文献】特開平11-346404(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0250902(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両推進システムであって、該システムは、
車両プラットフォーム、
前記車両プラットフォームに動作可能に連結された複数の軸とホイール、
前記車両プラットフォームへ取り付けられており、かつ少なくとも1つの前記軸に動作可能に連結された主電動機、
推進回路を介して前記主電動機に電気的に連結された推力蓄電装置であって、ルートに沿って車両を推し進めるための牽引力を提供するために前記主電動機に動力を供給するように構成された、推力蓄電装置、
前記推力蓄電装置と前記主電動機との間にて前記推進回路に電気的に接続された第1の接触器、
補助的な回路を介して主電動機に電気的に連結された補助的な蓄電装置であって、前記推力蓄電装置とは異なるタイプの蓄電装置である、補助的な蓄電装置
補助的蓄電装置と主電動機との間にて前記補助的な回路に電気的に接続された第2の接触器、および、
1つ以上のプロセッサを有し、かつ前記第1の接触器と前記第2の接触器に動作可能に連結されたコントローラであって、ここで前記コントローラは、前記補助的な蓄電装置が、前記補助的な蓄電装置から前記主電動機へと電流を供給して前記主電動機に動力を供給するように、高い需要期間の際中に前記第2の接触器を閉状態に切り替えるか、または維持するように構成され、さらに、ここで前記コントローラは、高い需要期間の終わりに達したことに応じて、前記補助的な回路が電流を伝導しないよう遮断するために、前記第2の接触器を開状態に切り替え、およびその後、推進回路が前記推力蓄電装置から前記主電動機へと電流を供給して主電動機に動力を供給するために、前記第1の接触器を閉状態へと切り替えるように構成される、コントローラ、を含み、
前記補助的な蓄電装置は、前記推力蓄電装置よりも素早く充電と放電を行う、
車両推進システム。
【請求項2】
前記推力蓄電装置は、リチウムイオン蓄電装置である、請求項1に記載の車両推進システム。
【請求項3】
前記補助的な蓄電装置はウルトラキャパシタを含む、請求項1に記載の車両推進システム。
【請求項4】
前記推力蓄電装置は、前記補助的な蓄電装置よりも大きなエネルギー蓄積能力を有する、請求項1に記載の車両推進システム。
【請求項5】
前記推力蓄電装置はリチウム電池を含む、請求項1に記載の車両推進システム。
【請求項6】
前記高い需要期間は、静止位置からの前記車両の初期移動中に生じる、請求項1に記載の車両推進システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記補助的な蓄電装置が、前記補助的な蓄電装置内に保存された指定の0でない有効エネルギー供給に達したことに基づき、前記高い需要期間の終わりを決定するように構成される、請求項1に記載の車両推進システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記補助的な蓄電装置が、前記補助的な蓄電装置内に保存された有効エネルギー供給のすべてを使い尽くしたのに応じて、前記高い需要期間の終わりを決定するように構成される、請求項3に記載の車両推進システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記高い需要期間の開始から指定の量の時間が経過したことに基づき、前記高い需要期間の終わりを決定するように構成される、請求項1に記載の車両推進システム。
【請求項10】
前記車両推進システムは内燃機関を含まない、請求項1に記載の車両推進システム。
【請求項11】
回生制動期間中に、前記コントローラは、前記補助的な回路が前記主電動機から前記補助的な蓄電装置へと電流を伝導して前記補助的な蓄電装置を充電するために、前記第2の接触器を閉状態に切り替えるか、または維持するように構成され、さらに、前記コントローラは、前記推進回路が、前記主電動機から前記推力蓄電装置へと電流を伝導して、前記推力蓄電装置を充電するために前記第1の接触器を閉状態に切り替える前に、前記補助的な回路が電流を伝導しないよう遮断するために、前記第2の接触器を開状態に切り替えるように構成される、請求項1に記載の車両推進システム。
【請求項12】
前記高い需要期間は、電力需要が指定の0でない閾値を上回る期間を表し、および、前記コントローラは、前記電力需要が前記指定の0でない値まで、または値を下回って、低下することに基づいて、前記高い需要期間の終わりを決定するように構成される、請求項1に記載の車両推進システム。
【請求項13】
前記推進回路と前記補助的な回路が共通の時間間隔にわたり両方とも電流を伝導しないように、前記第1の接触器と前記第2の接触器を制御する、請求項1に記載の車両推進システム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記回生制動期間中に、前記補助的な蓄電装置が満タンレベルにあるとの判断に応答して、前記第2の接触器を開状態へと切り替えるように構成される、請求項11に記載の車両推進システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題の実施形態は、ルートに沿って機関車を推し進めるために機関車に動力を供給することができるシステム等の、機関車推進システムに関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの機関車は、燃料を動力とするエンジンの代わりに、またはそのようなエンジンに加えて、機関車を推進するエネルギーを提供するために、バッテリー等の蓄電動力源を利用し始めている。蓄電動力源は、ディーゼルエンジンおよび他の燃料を動力とするエンジンよりも、より効果的で、信頼性が高く、静かであり、および/またはより少ない排気を生み出す。例えば、いくつかの機関車は、1つ以上の交流(AC)主電動機に電流を提供する、リチウムイオン電池等の蓄電装置を含み得る。主電動機は、機関車のホイールおよび/または軸を回転させるのに使用される機械的エネルギーに電流を変換する。しかしながら、すべての牽引荷重と機関車の需要電力に動力を供給するために単一のタイプの蓄電装置に依存すると、蓄電装置の効率性および/または稼働寿命を減らす蓄電装置へのストレスがかかる場合もある。
【0003】
例えば、静止位置からの機関車の移動の開始、加速、上り坂に沿ったドライブ等の、旅程に従った特定の高い需要状況は、クルージング、ブレーキング、および下り坂に沿った移動等の他の状況よりも、蓄電装置に大きな負荷をかけ得る。例えば数千トンを超え得る大きな貨物列車では、そのような高い需要状況等の際中に存在する大きな慣性力は、結果として蓄電装置からかなりの電流を引き出す。そのような高い需要状況等の際中に大きな需要電力を満たすために電流を供給することは、蓄電装置内の電流供給を著しく減らす場合もあり、稼働の効率性を減らし、および再充電までに可能な移動距離を減らす。さらに、蓄電装置にかけられたストレスと、高い需要状況の際中に生成された熱は、蓄電装置および/または関連するコンポーネントを劣化させる場合もあり、交換までのこれらのパーツの稼働寿命を減らす。
【発明の概要】
【0004】
少なくとも1つの実施形態では、機関車プラットフォーム、複数の軸とホイール、主電動機、リチウムイオン蓄電装置、補助的な蓄電装置、およびコントローラを含む機関車推進システムが提供される。軸とホイールは、プラットフォームに動作可能に連結される。主電動機はプラットフォームへ取り付けられており、かつ少なくとも1つの軸に動作可能に連結されている。リチウムイオン蓄電装置は、推進回路を介して主電動機に電気的に連結される。リチウムイオン蓄電装置は、走路に沿って機関車を推し進めるために牽引力を提供するために、主電動機に動力を供給するように構成される。補助的な蓄電装置は、補助的な回路を介して主電動機に電気的に連結される。補助的な蓄電装置は、リチウムイオン蓄電装置とは異なるタイプの蓄電装置である。コントローラは1つ以上のプロセッサを有し、かつ推進回路と補助的な回路に動作可能に連結される。コントローラは、高い需要期間の際中に主電動機に動力を供給するために、補助的な回路を介して主電動機に電流を供給するよう補助的な蓄電装置に命令するように構成される。高い需要期間の終わりに、コントローラは、補助的な蓄電装置からの電流の伝導を中止するために補助的な回路を制御し、かつ主電動機に動力を供給するために推進回路を介して主電動機に電流を供給するようリチウムイオン蓄電装置に命令するように構成される。補助的な蓄電装置は、リチウムイオン蓄電装置よりも素早く充電と放電を行い、およびリチウムイオン蓄電装置は、補助的な蓄電装置よりも大きなエネルギー蓄積能力を有する。
【0005】
少なくとも1つの実施形態では、機関車プラットフォーム、複数の軸とホイール、主電動機、推力蓄電装置、補助的な蓄電装置、およびコントローラを含む機関車推進システムが提供される。軸とホイールは、プラットフォームに動作可能に連結される。主電動機はプラットフォームへ取り付けられており、かつ少なくとも1つの軸に動作可能に連結されている。推力蓄電装置は、推進回路を介して主電動機に電気的に連結され、かつ走路に沿って機関車を推し進めるための牽引力を提供するために主電動機に動力を供給するように構成される。補助的な蓄電装置は、補助的な回路を介して主電動機に電気的に連結される。補助的な蓄電装置は、推力蓄電装置とは異なるタイプの蓄電装置である。コントローラは、推進回路と補助的な回路に動作可能に連結される。コントローラは、高い需要期間の際中に主電動機に動力を供給するために、補助的な回路を介して主電動機に電流を供給するよう補助的な蓄電装置に命令するように構成される。高い需要期間の終わりに、コントローラは、補助的な蓄電装置からの電流の伝導を中止するために補助的な回路を制御し、かつ主電動機に動力を供給するために推進回路を介して主電動機に電流を供給するよう推力蓄電装置に命令するように構成される。少なくとも1つの実施形態では、補助的な蓄電装置は、推力蓄電装置よりも素早く充電と放電を行い、および推力蓄電装置は、補助的な蓄電装置よりも大きなエネルギー蓄積能力を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に記載される主題は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の記載を読むことで、よりよく理解されるだろう。
図1】実施形態に係る、ルートに沿って移動する機関車または他の車両システムの概略図を例示する。
図2】実施形態に係る、図1に示される車両システムの1つの推力生成車両の概略図である。
図3】実施形態に係る、移動中に経時的に、推力生成車両の推力蓄電装置(PESD)と補助的な蓄電装置(AESD)の各々内での、有効なエネルギー供給を示すグラフである。
図4】実施形態に係る、推力生成車両の移動中に経時的に、推進蓄電装置および補助的な蓄電装置に要求される電気的負荷を示すグラフである。
図5】移動中にルートに沿って推力生成車両に動力を供給するための方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載される創造性のある主題の1つ以上の実施形態は、機関車または他の車両システムの推進に動力を供給するシステムと方法を提供する。機関車は、車両システムの推進に使用するための電流を保存する多数の異なるタイプの蓄電装置を含む。例えば、多数の異なるタイプの蓄電装置の各々から供給された電流は、引張力を生成するために1つ以上の主電動機に動力を供給する。蓄電装置の1つは、機関車または他の車両システムの移動の大部分の間、1つ以上の主電動機に動力を供給するために利用される主要なメインの、または一次的な装置であってもよい。別の蓄電装置は、機関車または他の車両システムの移動の小部分の間に、1つ以上の主電動機に動力を供給するために利用される補助的な、または二次的な装置であってもよい。補助的な蓄電装置は特に、メイン蓄電装置の効率を高め、メイン蓄電装置にかかるストレスを減らし、メイン蓄電装置の稼働寿命を増やし、および/または機関車または他の車両システムが充電と充電の間に可能である移動距離を増やすために、メイン蓄電装置内に保存された電流供給を浪費しないために利用されてもよい。
【0008】
本明細書に記載されるシステムと方法は、列車、自動車(例えば自動運転の車およびトラック)、不斉地用自動車、船舶等の様々な種類の車両システムを制御するために使用することができる。本明細書に記載されるシステムと方法によって制御される各車両システムは、単一の車両のみ、または多数の車両を含んでもよい。多数の車両を含む車両システムでは、車両は、機械的および/または論理的に共に連結され、ルートに沿って一緒に移動する。
【0009】
図1は、実施形態に係る、ルート(102)に沿って移動する車両システム(100)の概略図を例示する。車両システム(100)は、ルート(102)に沿って一緒に移動する多数の車両(106)(108)を含む。車両(106)は、ルート(102)に沿って車両システム(100)を推し進めるために推進力を生成することができる、推力生成車両を表す。例示された実施形態における車両システム(100)は、3つの推力生成車両(106A)(106B)(106C)を有し、これらは列車の編成を表し得る。車両(108)は、ルート(102)に沿って車両システム(100)を推し進めるために推進力を生成することができない、非推力生成車両を表す。非推力生成車両(108)は、貨物および/または乗客を運ぶために使用されてもよい。非推力生成車両(108)は、推力生成車両(106)によってルート(102)に沿って推し進められる鉄道車両、トレーラー、または他の車両ユニットであってもよく、推力生成車両(106)は機関車、トラック牽引車等を表し得る。
【0010】
例示される実施形態では、車両システム(100)は、多数の機関車(106)と、ルート(102)を表す線路に沿って機関車(106)によって引っ張られる多数の受動的な鉄道車両(108)を含む列車である。機関車(106)の各々は、100トンを超える重さであってもよい(例えば200,000lbs)。3つの機関車(106)と3つの鉄道車両(108)が、例示される実施形態に示されているが、列車(100)は異なる数および/または配置の機関車(106)と鉄道車両(108)を有してもよい。例えば、列車(100)は、貨物を運ぶ貨物列車であってもよく、および何百もの鉄道車両(108)を含んでもよい。列車(100)は、1,000トンより多い総合重量または集団重量を有してもよい。代替的な実施形態では、車両システム(100)は、1つ以上の受動的トレーラー(108)を引っ張るトラック牽引車(106)を含む牽引トレーラーであってもよい。他の実施形態では、車両システム(100)は、不斉地用自動車(採掘トラック等)、船舶、自動車等であってもよく、またはこれらを含んでもよい。
【0011】
車両(106)(108)は、一連の相互に連結した車両を形成するために、連結器(110)等によって互いに機械的に連結される。推力生成車両(106A-C)が互いに直接連結されているのが示されるが、2つ以上の推力生成車両(106A-C)は、代替的な実施形態では車両(108)の1つ以上によって互いに分離していてもよい。車両システム(100)は、自身が移動中にルート(102)に沿って移動するにつれて、推力生成車両(106)の動作を調整することができる。
【0012】
代替的な実施形態では、車両(106)(108)は、互いに機械的に連結されていないが、むしろ隣接車両(106)(108)間の制御された間隔により互いに一定間隔で配置される。例えば、そのような代替的な実施形態では、車両(106)(108)は、ルート(102)に沿って一緒に移動するために、車両(106)(108)の速度、方向、および/または間隔を制御する通信ネットワークを介して論理的かつ動作可能に接続されてもよい。
【0013】
図2は、実施形態に係る、図1に示される車両システム(100)の推力生成車両(106)の1つの概略図である。推力生成車両(106)(本明細書では車両(106)と呼ばれる)は、図1に関して上記されるように、トラックのレール上を移動するように構成された機関車であってもよい。代替的に、車両(106)は、主に道路用のトラックまたは自動車(例えば、公道を移動するために設計されたもの)、不斉地用自動車(例えば、公道の移動のために設計されていない、または公道の移動を許可されていない車両)、船舶等の、機関車とは異なるタイプの車両であってもよい。車両(106)は孤立していてもよく、またはルート(102)に沿って一緒に移動するために1つ以上の他の車両と機械的または論理的に連結していてもよい(図1に図示)。
【0014】
車両(106)は、ルート(102)に沿って車両(106)を推し進めるために推進力を生成するための推進システム(200)を含む。車両(106)が機関車である実施形態では、推進システム(200)は機関車推進システムである。推進システム(200)は、1つ以上の主電動機(202)、推力蓄電装置(204)、補助的な蓄電装置(206)、コントローラ(208)、および様々な関連する回路類と電気装置(例えば変圧器、コンバータ、インバータ等)を含む。推進システム(200)は、図2に記載され示されるよりも多い、または少ないコンポーネントを含んでもよい。推進システム(200)は少なくとも部分的に、車両(106)に搭載されて配置される。例えば、図2において、推進システム(200)のすべてのコンポーネントは、車両(106)に搭載されて配置されており、例えばコンポーネントは、シャーシまたは他の支持構造物を意味する機関車プラットフォーム(201)に取り付けられて支持されていてもよい。代替的な実施形態では、コントローラ(208)、推力蓄電装置(204)、および/または補助的な蓄電装置(206)等の推進システム(200)の一部は、例示された車両(106)以外の車両システム(100)の異なる車両(図1に図示)に配置されてもよい。
【0015】
車両(106)の推進システム(200)は、例示される実施形態において2つの主電動機(202)を含む。第1の主電動機(202A)(図2では「TM 1」として示される)は、車両(106)(ホイールと軸(211)を有する)の第1のホイールセット(210)に連結され、および第2の主電動機(202B)(図2では「TM 2」として示される)は、車両(106)(それぞれのホイールと軸(211)をさらに有する)の第2のホイールセット(212)に連結される。主電動機(202)は、交流(AC)誘導電動機であってもよい。例えば、主電動機(202)は、電気エネルギーを機械的エネルギーに、またはその逆に変換するために固定子に対して回転するそれぞれの回転子を有してもよい。1つ以上の実施形態によれば、主電動機(202)は、蓄電装置(204)(206)から電流を選択的に受け取り、そして車両(106)を推し進めるために対応するホイールセット(210)(212)を回転させるための機械的な牽引力または力(例えばトルク)を生成するために電気エネルギーを利用する。推進システム(200)は、代替的な実施形態において、たった1つの主電動機(202)、または少なくとも3つの主電動機(202)を有してもよい。車両(106)は、2より多くのホイールセット(210)(212)を含んでもよい。実施形態例では、車両(106)は、合計6つのホイールセット(210)(212)、およびホイールセット(210)(212)の少なくとも4つに動作可能に連結された少なくとも4つの主電動機(202)を有する。
【0016】
車両(106)を加速するための推進力の提供に加えて、主電動機(202)は、回生制動期間中に車両(106)を減速させるために制動力を提供するように選択的に制御されてもよい。回生制動期間中に、回転ホイールセット(210)(212)からの入力機械的エネルギーが、電気エネルギーを生成するために主電動機(202)によって利用されるように、主電動機(202)は発電機として機能する。回生制動中に生成された電気エネルギーは、車両(106)がルートに沿って移動するにつれて、充電のために蓄電装置(204)(206)の一方または両方に運ばれ得る。
【0017】
1つ以上の実施形態では、車両(106)の推進システム(200)は内燃機関エンジンを欠いている。例えば、車両(106)は、ディーゼルエンジン、または推進用の電力を生成する他の燃料消費型車載エンジンを有さない。車両(106)は、車載蓄電装置(204)(206)内に保存された電流によって、全電力が供給されてもよい。随意に、車両(106)は、車両(106)がルートに沿って移動するにつれて、カテナリー線路、電化レール、または沿線の装置等の、車両(106)に搭載されていないものから電気エネルギーを受け取るように構成されてもよい。他の実施形態では、車両(106)は、同様に燃料消費型エンジンを含むハイブリッド車であってもよい。
【0018】
推力蓄電装置(204)(本明細書ではPESD(204)とも呼ばれる)は、推進回路(214)を介して主電動機(202)に電気的に連結される。推進回路(214)は、ワイヤー、ケーブル、集積回路等の1つ以上の導電体によって規定された導電性経路である。PESD(204)は、車両(106)を推し進めるために牽引力を生成するための主電動機(202)に動力を供給するために、推進回路(214)を介して主電動機(202)に電流を供給するように構成される。例示される実施形態では、推進回路(214)は、第1の主電動機(202A)に連結された第1の推進回路分岐(214A)、および第2の主電動機(202B)に連結された第2の推進回路分岐(214B)に分岐する。第1および第2の主電動機(202A)(202B)の両方が、推進回路(214)を介してPESD(204)によって供給された電流を受け取る。
【0019】
補助的な蓄電装置(206)(本明細書ではAESD(206)とも呼ばれる)は、補助的な回路(216)を介して主電動機(202)に電気的に連結される。補助的な回路(216)は、推進回路(214)に類似の導電性経路である。AESD(206)は、車両(106)を推し進めるために牽引力を生成するための主電動機(202)に動力を供給するために、補助的な回路(216)を介して主電動機(202)に電流を供給するように構成される。例示される実施形態では、補助的な回路(216)は、第1の主電動機(202A)に連結された第1の補助的な回路分岐(216A)、および第2の主電動機(202B)に連結された第2の補助的な回路分岐(216B)に分岐する。第1および第2の主電動機(202A)(202B)の両方が、補助的な回路(216)を介してAESD(206)によって供給された電流を受け取る。
【0020】
回路(214)(216)の各々は、図2では2つのそれぞれの分岐に分岐するが、代替的な実施形態では、各回路(214)(216)は、2つの分離した別個の導電性経路によって規定される。そのような代替的な実施形態では、推進回路(214)の2つの分岐(214A)(214B)は、図2に示されるようにPESD(204)と主電動機(202)との間の中間位置で連結する代わりに、互いに分離したままであり、および別々にPESD(204)に連結してもよい。同様に、補助的な回路(216)の2つの分岐(216A)(216B)は、互いに分離したままであり、および別々にAESD(206)へと連結する。
【0021】
コントローラ(208)は、推進回路(214)と補助的な回路(216)に動作可能に連結され、および回路(214)(216)に沿って電流の伝導を選択的に制御するように構成される。例えば、コントローラ(208)は、回路(214)(216)に沿って選択的に閉回路経路を形成するために、および回路(214)(216)に沿って選択的に開回路経路を形成するために(例えば、閉回路経路を切断する)、制御信号を生成して回路(214)(216)へと伝達してもよい。所与の回路(214)(216)に沿った閉回路経路の形成は、その回路(214)(216)を通る電流の伝導を確立し、および開回路経路の形成は、回路(214)(216)を通る電流の伝導を遮断または妨害する。コントローラ(208)は、回路(214)(216)上で統合された切替装置(220)に動作可能に連結されてもよい。切替装置(220)は、回路(214)(216)に沿って、比較的高い電流と電圧に抵抗するように構成される接触器(例えば電気リレー)であってもよい。切替装置(220)は、対応する回路(214)(216)に沿った導電性回路経路を開き(例えば切断する)、かつ閉じる(例えば連結する)ために制御可能である。切替装置(220)は、本明細書では接触器(220)と呼ばれるが、他の実施形態において推進システム(200)が、電気的切断等の他のタイプの切替装置(220)を含み得ることが認識される。
【0022】
コントローラ(208)は、例示される実施形態において導電性ワイヤ(222)を介して接触器(220)に動作可能に連結されるが、代替的な実施形態では接触器(220)にワイヤレスで連結され得る。接触器(220)は、コントローラ(208)から受け取った制御信号の電気エネルギーを、伝導を確立するために接触器(220)内の接触を係合させ、および伝導を遮断するために係合を解く、機械的エネルギーに変換するソレノイドを有し得る。コントローラ(208)は、それぞれ閉(例えば伝導)状態と開(例えば非伝導)状態との間で接触器(220)の各々を個別に制御するために接触器(220)に制御信号を伝達するように構成される。コントローラ(208)は、主電動機(202)へ行き来する電流の流れを調整し制御するため、コントローラ(208)は車両(106)にエネルギー管理サービスを提供し得る。
【0023】
例示される実施形態では、2つの回路(214)(216)の各々は、コントローラ(208)によって個別に制御される、異なるそれぞれの接触器(220)を有する。例えば、コントローラ(208)は、推進回路(214)に沿った電流の伝導を遮断するために開状態で推進回路(214)の接触器(220)を保持しながら、補助的な回路(216)に沿って電流の伝導を確立するために制御信号の通信を介して補助的な回路(216)の接触器(220)を閉じることができる。補助的な回路(216)上の接触器(220)を閉じることで、AESD(206)から主電動機(202A)(202B)の両方へと電流を向け、および接触器(220)を開くことで、主電動機(202A)(202B)の両方への電流の伝導を止めるように、接触器(220)は例示される実施形態において、回路(214)(216)の共有部分に沿って配置される。随意に、接触器(220)は、制御信号の受信に応答して開状態と閉状態とを切り替えるように構成されてもよく、または接触器(220)は、制御信号が受信されないことに応答して状態を切り替えてもよい。推進システム(200)は、代替的な実施形態において、2より多くの、または2未満の接触器(220)を有してもよい。例えば、推進システム(200)は4つの接触器を有してもよく、および各接触器は、主電動機(202)の各々への電流供給の個別制御を可能にする、分岐(214A)(214B)(216A)(216B)の異なる1つに沿って配置される。
【0024】
コントローラ(208)は、1つ以上のプロセッサ(218)、および/または触知可能な非一時的コンピュータ可読記憶媒体またはメモリに保存された命令に基づいて動作を行なう他の論理型デバイスを含み、またはこれらを代表する。コントローラ(208)は付加的または代替的に、デバイスのハード・ワイヤード・ロジックに基づいて動作を行なう1つ以上のハードワイヤードデバイスを含んでもよい。コントローラ(208)は、ソフトウェアまたはハードワイヤード命令に基づいて作動するハードウェア、動作を行うようにハードウェアに命令するソフトウェア、またはそれらの組み合わせを代表する。コントローラ(208)(例えば、その1つ以上のプロセッサ(218))によって行なわれる動作は、図3~5に関してより詳細に記載される。
【0025】
1つ以上の実施形態では、補助的な蓄電装置(PESD)(204)は、補助的な蓄電装置(AESD)(206)とは異なるタイプの蓄電装置である。2つの蓄電装置(204)(206)は異なる化学作用を有する場合もあり、そうすると装置(204)(206)は、異なるメカニズムと物質を使用して電荷を保存する。蓄電装置(204)(206)は、異なる特性と特徴を有するように選択されてもよく、および装置(204)(206)の異なる固有の特性と特徴に基づいて異なる状況と環境において主電動機(202)に動力を供給するためにコントローラ(208)によって利用されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、AESD(206)は、PESD(204)よりも素早く(例えばより少ない経過時間で)充電と放電を行う。PESD(204)は、AESD(206)よりも大きなエネルギー蓄積能力を有し得る。例えば、PESD(204)は、AESD(206)よりも多くの量の電荷(例えば電流)を保存し得る場合もある。その結果、PESD(204)は、1回の充電中にAESD(206)によって主電動機(202)に供給することができる電力よりも、1回の充電中に主電動機(202)により多くの電力を供給することができる場合もある。
【0026】
上記および本明細書のいずれかの記載に基づいて理解されるに違いないように、異なる「タイプ」は、異なる化学作用(デバイスがどのように電気化学的にエネルギーを保存するか)、異なる記憶容量、および/または異なる充電/放電特性の1つ以上を有する蓄電装置を指す。一実施形態では、異なるタイプの蓄電装置は、異なる化学作用、異なる性能、および異なる充電/放電特性を有する。
【0027】
デバイス(204)(206)の異なる特性と特徴ゆえに、コントローラ(208)は、車両(106)の移動の大部分の間、主電動機(202)に動力を供給するメインまたは一次エネルギー資源としてPESD(204)を利用するように構成されてもよい。コントローラ(208)は、車両(106)の移動の小部分の間、主電動機(202)に動力を供給するために補助的または追加のエネルギー源としてAESD(206)を利用してもよい。例えば、コントローラ(208)は、PESD(204)内でエネルギー供給を蓄えるためにそのような高い需要期間中にAESD(206)を利用し、およびそのような高い需要期間中にPESD(204)に対するストレスを回避してもよい。高い需要期間は、鉄道駅構内または停車場のまわりで機関車を短距離移動させるために、または収入サービス(revenue service)用の主電動機(202)に動力を供給するためにPESD(204)を係合させて利用する前に推進力を生成するために、停止位置から機関車を始動することを含んでもよい。1つ以上の実施形態では、コントローラ(208)は蓄電装置(204)(206)をひとつずつ連続的に利用し、そうすると主電動機(202)は、共通の期間中に蓄電装置(204)(206)の両方から電流を受け取らない。
【0028】
例示される実施形態において、PESD(204)とAESD(206)は、同じ主電動機(202)(例えば第1および第2の主電動機(202A)(202B))に動作可能に連結される。代替的に、PESD(204)とAESD(206)は、同じ主電動機(202)のすべてに動作可能に連結されなくてもよい。例えば、PESD(204)は、図2に示されるように、推進回路(214)を介して第1および第2の主電動機(202A)(202B)に連結されてもよく、およびAESD(206)は、補助的な回路(216)を介して第2の主電動機(202B)と第3の主電動機(図示せず)に連結されてもよい。したがって第1の主電動機(202A)はPESD(204)専用であり、および第3の主電動機はAESD(206)専用であってもよい。従って高い需要期間中に、AESD(206)は、車両(106)を推し進めるために第2の主電動機(202B)と第3の主電動機に電流を供給するように命令され、他方で第1の主電動機(202A)は利用されない。高い需要期間外では、PESD(204)は、車両(106)を推し進めるために第1および第2の主電動機(202A)(202B)に電流を供給するように命令されてもよいが、第3の主電動機は利用されない。
【0029】
一実施形態では、PESD(204)は1つ以上のバッテリセルを含む。PESD(204)は、バッテリパックに、共に連結された多数のバッテリセルを有してもよい。バッテリセルはリチウムを含んでもよい。例えば、バッテリセルは、リチウムイオンバッテリセル、リチウム金属バッテリセル等であってもよい。一実施形態では、AESD(206)は1つ以上のコンデンサを含む。例えば、AESD(206)は、多数のウルトラキャパシタ(またはスーパーキャパシタ)によって規定され得る。ウルトラキャパシタは、静電二重層コンデンサ、ハイブリッドコンデンサ、擬似コンデンサ等を含んでもよく、または代表してもよい。随意に、AESD(206)は、ウルトラキャパシタに加えて、電極間の堅い誘電体層を特色とする従来の電解コンデンサを含んでもよい。PESD(204)および/またはAESD(206)は、代替的な実施形態では、異なる構造と化学的性質を有している場合もある。
【0030】
随意に、車両(106)は、コントローラ(208)と動作可能に連結している1つ以上のセンサー(224)を含む。1つ以上のセンサー(224)は、推進システム(200)の様々なコンポーネントの動作をモニタリングし、および対応するコンポーネントの動作パラメーターを表すデータを取得するように構成される。例えば、1つ以上のセンサー(224)は、蓄電装置(204)(206)の温度を測定する温度センサー、蓄電装置(204)(206)内に保存された、または回路(214)(216)に沿って供給された電流を測定する電気センサー等を含んでもよく、または代表してもよい。
【0031】
車両(106)は随意に、コントローラ(208)に動作可能に連結された入出力デバイス(226)(本明細書ではI/Oデバイス(226)と呼ばれる)をさらに含む。I/Oデバイス(226)の入力コンポーネントは、キーボード、ペダル、ボタン、レバー、マイクロホン、タッチスクリーン等を含んでもよく、および出力コンポーネントは、スピーカー、ディスプレイスクリーン、ライト等を含んでもよい。I/Oデバイス(226)は、推進システム(200)に制御命令を入力するために、および/または推進システム(200)の動作をモニタリングするために、オペレーターによって使用されてもよい。例えば、オペレーターは、移動中の特定の時点で、主電動機(202)用の電流源としてPESD(204)かAESD(206)かを選択するために、I/Oデバイス(226)を利用してもよい。
【0032】
車両(106)は随意に、移動中に、車両(106)が移動するに伴って車両(106)の位置を判定する位置判定装置(228)を含む。位置判定装置(228)は、車両(106)の位置を表す位置データ(例えば座標)を取得する全地球測位システム(GPS)レシーバであってもよい。コントローラ(208)は、1つ以上の有線または無線接続を介して、位置判定装置(228)に通信可能に接続される。コントローラ(208)(例えばそのプロセッサ)は、移動中の様々な時点で、車両(106)の位置を判定するために位置データを分析するように構成されてもよい。コントローラ(208)は、ルートに沿った車両(106)の前進のレベル、および/または、目的地あるいは予定された停止位置等の、対象の1つ以上の位置への車両(106)の接近度を判定するために、車両(106)の位置データを地図または移動スケジュールと比較してもよい。
【0033】
車両システム(100)が多数の推力生成車両(106)を含む実施形態(例えば図2に示される実施形態)では、推力生成車両(106)の各々は、図2に示されるコンポーネントをすべて含む、それぞれの推進システム(200)を有し得る。代替的に、多数の推力生成車両(106)の1つのみがコントローラ(208)を含み、およびそのコントローラ(208)は、それらの車両(106)上の推進システムを制御するために他の推力生成車両(106)に制御信号を伝える。
【0034】
図3は、一実施形態に係る、移動中の経時的な、車両(106)(図2)の推力蓄電装置(PESD)(204)(図2に図示)および補助的な蓄電装置(AESD)(206)(図2)の各々内の有効エネルギー供給を示すグラフ(300)である。グラフ(300)の縦軸(302)は、有効エネルギーの供給を表す。グラフ(300)の横軸(303)は時間を表す。グラフ(300)は、PESD(204)内に保存されたエネルギー供給を浪費しないために、かつPESD(204)に対するストレスと熱関連の効果を減らすことによってPESD(204)の稼働寿命を延ばすために、主電動機(202)(図2)に動力を供給するためにコントローラ(208)(図2に図示)がどのように蓄電装置(204)(206)各々からの電流の供給を制御し得るかを例示するために提供される。プロット線(304)は、経時的なPESD(204)の有効エネルギー供給を表し、およびプロット線(306)は、経時的なAESD(206)の有効エネルギー供給を表す。
【0035】
グラフ(300)では、蓄電装置(204)(206)の有効エネルギー供給(304)(306)は共に、時間t0において満タンレベル(308)を有するものとして示され、したがって蓄電装置(204)(206)は完全に充電されている。PESD(204)はAESD(206)よりも多くの電気エネルギーを保存し、それによって満タンレベル(308)のPESD(204)は満タンレベル(308)のAESD(206)よりも有意に多くの電気エネルギーを有し得ることが認識される。有効エネルギー供給軸(302)は質的尺度であり、および満タンレベル(308)から枯渇レベル(310)へと延びる。枯渇レベル(310)は、主電動機(202)等の負荷に動力を供給するためのそれぞれの蓄電装置(204)(206)から、追加の電流が利用可能ではないことを表す場合もある。枯渇レベル(310)では、蓄電装置(204)(206)は電流を保持せず、または代替的に、依然としていくらかの電流を保持することもあるが、負荷に動力を供給するのに利用可能な電流を保持しないこともある。
【0036】
車両(106)は、時間t0では静止している。t0からt1までの時間は、車両(106)が静止位置から動き始める初期移動期間を表す。上記のように、車両(106)は重く、100トンを超える重さである場合もあり、および追加の受動的な車両(108)(図1に図示)を引っ張るために利用される場合もある。重い重量ゆえに、かなりの力(例えばトルク)が、慣性に打ち勝つために、かつ車両(106)の移動を開始して指定の速度に加速させるために必要とされる。蓄電装置(204)(206)の要求する電気的負荷(例えば電力)は、指定の閾値を上回る(かつ他の期間中のより低い需要よりも大きい)ため、初期移動期間は高い需要期間(312)と呼ばれる。
【0037】
図4は、一実施形態に係る、車両106(図2)の移動中に経時的に蓄電装置(204)(206)(図2に図示)の要求する電気的負荷を示すグラフ(400)である。縦軸(402)は電気的負荷を表し、および横軸(403)は時間を表す。プロット線(404)は、移動中の異なる時点の電気的負荷を表す。車両(106)は、図3と同様に、時間t0において静止位置から動き始める。時間t0での電気的負荷(404)は、指定の閾値(406)を上回る。負荷(404)は、高い需要期間(312)を表すt0からt1までの閾値(406)を上回る。
【0038】
指定の閾値(406)は、車両(106)のタイプとPESD(204)のタイプに基づいて判定されてもよい。例えば、閾値(406)を上回るPESD(204)への電気的負荷が、PESD(204)に持続不可能なレベルの緊張とストレスをかけ得るように、指定の閾値(406)は選択され得る。例えば、PESD(204)は閾値(406)を超える負荷の電力需要を満たすことができるであろうが、負荷は、PESD(204)に保存されたかなりの量の電流を消費する場合もあり、それによってPESD(204)内の有効エネルギー供給を減らし、かつPESD(204)を充電(例えば再充電)するために外部電源が必要となる前に車両(106)が移動することのできる有効な距離を短縮する。さらに、緊張とストレスは、PESD(204)にかなりの熱を生成させ、かつPESD(204)を劣化させ得る。したがって、静止位置からの車両(106)の移動を開始するために主電動機(202)に動力を供給するための電流を供給するために、PESD(204)に繰り返し依存することは、経時的にPESD(204)を劣化させる場合もあり、PESD(204)の有効性、PESD(204)の性能、および/またはPESD(204)の稼働寿命を減らす。
【0039】
指定の閾値(406)は、閾値(406)を上回らないPESD(204)に適用された電気的負荷が、PESD(204)により持続可能なレベルのストレスと緊張をかけ得るように選択されてもよい。例えば、閾値(406)以下の負荷は、PESD(204)に高い負荷ほどの熱を生成させず、およびPESD(204)を高い負荷ほど劣化させないかもしれず、これによりPESD(204)は、高い負荷にさらされた時よりも、より効率的に、かつより大きな稼働寿命で動作することができる。
【0040】
ここで図2と3を再度参照すると、車両(106)のコントローラ(208)は、高い需要期間(312)中に、主電動機(202)に動力を供給するために、主電動機(202)に電流を供給するためにAESD(206)を利用するように構成される。例えば、時間t0からt1の間の高い需要期間(312)中に、コントローラ(208)は、補助的な回路(216)に沿ってAESD(206)から主電動機(202)までの電流の伝導を確立する。コントローラ(208)は、補助的な回路(216)上の接触器(220)に閉じた伝導状態を取らせる制御信号の通信により、導電性経路を確立してもよい。
【0041】
1つ以上の実施形態では、コントローラ(208)は、PESD(204)内に有効エネルギーの供給を保存し、かつ高い負荷を満たすためにPESD(204)にかけられるストレスと緊張(および熱)を回避するために、高い需要期間(312)中に推進回路(214)に沿ってPESD(204)から主電動機(202)までの電流の伝導を遮断する。コントローラ(208)は、推進回路(214)上の接触器(220)に開いた非伝導状態を取らせる制御信号の通信により、伝導を遮断してもよく、これは推進回路(214)に沿った導電性経路を切断する。
【0042】
図3に示されるように、静止位置からの車両(106)の最初の移動中に生じる高い需要期間(312)中に、主電動機(202)に動力を供給するためにAESD(206)が利用されるため、AESD(206)の有効エネルギー供給(306)は減少する。PESD(204)が主電動機(202)に電流を供給しないので、PESD(204)の有効エネルギー供給(304)は、最初の高い需要期間(312)の間、満タンレベル(308)で一定のままである。例示される実施形態において、AESD(206)の有効エネルギー供給(306)は、時間t0での満タンレベル(308)から時間t1での枯渇レベル(310)へと落ちる。
【0043】
例示される実施形態では、最初の高い需要期間(312)は時間t0において終了する。高い需要期間(312)の終わり(314)に、コントローラ(208)は、AESD(206)からの電流の伝導を中止するために補助的な回路(216)を制御し、かつ主電動機(202)に動力を供給するために推進回路(214)を介して主電動機(202)に電流を供給するようPESD(204)に命令するように構成される。例えば、コントローラ(208)は、補助的な回路(216)上の接触器(220)に、AESD(206)と主電動機(202)との間の導電性経路を切断するために開いた伝導状態を取らせる1つ以上の制御信号を通信してもよい。コントローラ(208)は、推進回路(214)上の接触器(220)に、PESD(204)と主電動機(202)との間の導電性経路を確立するために閉じた伝導状態を取らせる1つ以上の制御信号を通信してもよい。したがって、高い需要期間(312)の終了後に、PESD(204)は、主電動機(202)に動力を供給するために、係合され、かつ電流供給のために利用され、他方でAESD(206)は、主電動機(202)から分離される。
【0044】
一実施形態では、コントローラ(208)は、推進回路(214)に沿って電流の伝導を確立する前に、補助的な回路(216)に沿った電流の伝導を遮断するように構成される。したがって蓄電装置(204)(206)は、主電動機(202)に動力を供給するために1つずつ利用される。コントローラ(208)は、共通の期間中に、補助的な回路(216)と推進回路(214)を介して電流の伝導を防ぐように構成されてもよい。補助的な回路(216)の接触器(220)を開くと、コントローラ(208)は直ちに推進回路(214)の接触器(220)を閉じてもよく、または推進回路(214)の接触器(220)を閉じる前に指定の量の期間(例えば10ms、1s等)待ってもよい。
【0045】
高い需要期間(312)の終わり(314)は、1つ以上の特定の事象の発生によって自動的に引き起こされ得る。一実施形態では、高い需要期間(312)は、AESD(206)の有効エネルギー供給(306)が指定のレベルに達したのに応じて終了する。例えば、例示される実施形態では、終わり(314)は、有効エネルギー供給(306)がAESD(206)内に保存された有効エネルギー全体が使い尽くされたことを示す枯渇レベル(310)レベルに達するのと同時である。AESD(206)が枯渇し、もはやモーター(202)に動力を供給することができなくなるまで(この時点で、コントローラ(208)は主電動機(202)に電力を提供するためにPESD(204)へと切り替える)、コントローラ(208)は主電動機(202)に動力を供給するためにAESD(206)に頼ってもよい。他の例では、AESD(206)の有効エネルギー供給(306)が枯渇レベル(310)よりも大きい指定された0でない有効エネルギー供給レベルに達したのに応じて、終わり(314)になってもよい。例えば、指定された0でないレベルは、AESD(206)の全容量の10%、15%、20%等であってもよい。車両(106)の1つ以上のセンサー(224)(図2に図示)は、経時的にAESD(206)の有効エネルギー供給(306)をモニタリングするように構成されてもよく、そうするとコントローラ(208)は、1つ以上のセンサー(224)から受け取ったデータに基づいて、AESD(206)がいつ枯渇し、または指定された0でないレベルになったかを判定する。
【0046】
他の実施形態では、高い需要期間(312)の終わり(314)は、高い需要期間(312)の開始からの経過時間に基づいて判定されてもよい。例えば、時間t0の後、コントローラ(208)は、t1において補助的な回路(216)に沿った電流の電導を遮断し、その後に推進回路(214)に沿った電流の伝導を確立する前に、1分、2分、3分等の指定の時間、待ってもよい。さらに他の実施形態では、高い需要期間(312)の終わり(314)は、車両(106)の運動特性に基づいて判定されてもよい。例えば、車両(106)の指定速度が達成され、または車両(106)が指定距離を移動するまで(この時点で、コントローラ(208)は、時間t1において補助的な回路(216)に沿って電流の伝導を遮断する)、コントローラ(208)はAESD(206)に主電動機(202)への電流を供給させてもよい。センサー(224)(例えばスピードセンサー)の1つは、車両(106)の速度をモニタリングするために利用されてもよく、および位置判定装置(228)は、車両(106)が移動した距離をモニタリングするために利用されてもよい。
【0047】
さらに他の実施形態では、高い需要期間(312)の終わり(314)は、電気的負荷に基づいて判定されてもよい。例えば、図4に関連して、終わり(314)は、電気的負荷(404)が指定の閾値(406)以下に下がると生じ得る。
【0048】
時間t1からt2の間、PESD(204)は、主電動機(202)に動力を供給するために推進回路(214)に沿って電流を供給する。PESD(204)の有効エネルギー供給(304)はこの期間に減少し、そうすると時間t2での供給(304)は完全なレベル(308)よりも小さい。上記のように、PESD(204)は、AESD(206)よりも大きなエネルギー蓄積能力、およびより遅い放電速度を有し得る。したがって、t1からt2の間のPESD(204)の有効エネルギー供給(304)は、高い需要期間(312)中に、AESD(206)の有効エネルギー供給(306)よりも徐々に減少する。補助的な回路(216)の接触器(220)が開いた非伝導状態であるので、AESD(206)の有効エネルギー供給(306)は、時間t1からt2の間、一定のままである。
【0049】
時間t2から時間t4までの期間は、回生制動期間(316)を表す。回生制動期間(316)の間、車両(106)は惰走している場合もあり、そうすると推進システム(200)は牽引力を生成していない。例えば、車両(106)は、下り坂を移動している、ブレーキをかけている等であり得る。主電動機(202)は、回生制動期間(316)中に、蓄電装置(204)(206)の一方または両方を充電するために発生器として利用される。一実施形態では、コントローラ(208)は、AESD(206)がPESD(204)に先立って充電されるように、蓄電装置(204)(206)の両方を順に1つずつ充電するように構成される。AESD(206)は、PESD(204)よりも速く充電されてもよく、したがって、回生制動期間(316)中にAESD(206)を完全に充電するように試みるために、AESD(206)がまず充電される。
【0050】
時間t2において、主電動機(202)は、ホイールセット(210)(212)の回転に基づいて電流を生成するために、発電機構成へと切り替えられる。時間t2において、コントローラ(208)は、推進回路(214)に沿った電流の伝導を遮断するために、推進回路(214)上の接触器(220)を開く。その結果、PESD(204)の有効エネルギー供給(304)は、時間t2からt3まで一定のままである。推進回路(214)の接触器(220)を開いた後に、主電動機(202)からAESD(206)への電流の伝導を確立してAESD(206)を充電するために、コントローラ(208)は、時間t2において補助的な回路(216)上の接触器(220)を閉じる。時間t2から時間t3までに、AESD(206)は満タンレベル(308)へと充電する。AESD(206)が時間t3において満タンレベル(308)に達した後、コントローラ(208)は補助的な回路(216)に沿った電流の伝導を遮断し(例えば、その接触器(220)を開くことによる)、そして次に、PESD(204)の充電を開始するために、推進回路(214)に沿った電流の伝導を確立する(例えば、その接触器(220)を閉じることによる)。PESD(204)が時間t3からt4の間に充電を行う間、PESD(204)の有効エネルギー供給(304)は増加し、他方でAESD(206)の有効エネルギー供給(306)は一定のままである。PESD(204)は、時間t3からt4の間の有効エネルギー供給(304)よりも、時間t2からt3の間の有効エネルギー供給(306)の傾斜がより大きいことによって示されるように、AESD(206)よりも徐々に充電する。
【0051】
主電動機(202)が、ルートに沿って車両(106)を推し進めるための牽引力を提供するために再度利用されると、回生制動期間(316)は時間t4で終了する。PESD(204)は、回生制動期間(316)の終了前に、全容量まで充電することはできないだろう。時間t4からt5の間、PESD(204)は推進回路(214)を介して主電動機(202)へ電流を供給する。時間t5は、他の高い需要期間(312)の開始を示す。車両(106)の移動を開始するための先の高い需要期間(312)と同様に、時間t5においてコントローラ(208)は、推進回路(214)上の接触器(220)を開いた非伝導状態に切り替え、および補助的な回路(216)上の接触器(220)を閉じた伝導状態に切り替えて、補助的な回路(216)を介してAESD(206)から主電動機(202)へと電流を供給する(他方で、推進回路(214)を介した電流の伝導を防ぐ)。AESD(206)の有効エネルギー供給(306)は、高い需要期間(312)中に減少し、他方でPESD(204)の有効エネルギー供給(304)は一定のままである。
【0052】
時間t5での高い需要期間(312)の開始(318)は、1つ以上の特定の事象の発生によって自動的に引き起こされ得る。一実施形態では、高い需要期間(312)は、指定の閾値を上回る蓄電装置(204)(206)上のモニタリングされた電気的負荷に応じて開始される。例えば、図4に関連して、電気的負荷(404)は、時間t2において指定の閾値(406)を上回り、これは図3に示されるグラフ(300)の時間t5に対応し得る。他の実施形態で、高い需要期間(312)の開始(318)は、指定の配向角度を有する、または上回るルートの傾斜勾配に応じて生じ得る。さらに他の実施形態では、高い需要期間(312)は、指定のスロットル設定に応じて開始され得る。例えば、コントローラ(208)は、車両(106)が一定角度の傾斜勾配に沿って移動していることの検出、および/または特定のスロットル設定または選択された加速の検出に応じて、主電動機(202)へ電流を供給するためにAESD(206)へと自動的に切り替わってもよい。高い需要期間(312)はまた、I/Oデバイス(226)を使用して、オペレーターによって手動で開始されてもよい。
【0053】
実施形態では、PESD(204)は、移動の大部分の際中に主電動機(202)に動力を供給するメインまたは一次エネルギー資源として利用される。PESD(204)がモーター(202)に電流を供給する集合的な期間(例えば、t1からt2、t4からt5、およびt6~)は、AESD(206)がモーター(202)に電流を供給する集合的な期間(例えばt0からt1、およびt5からt6)よりも大きい場合もある。高い需要期間(312)の集合的な時間量は、合計移動時間の5%未満または10%未満を表す場合もある。比較的短い突発(バースト)または期間の動力を提供するAESD(206)の使用は、PESD(204)のエネルギー供給(304)を節約し、およびPESD(204)に対する緊張とストレスを減らすことができる。
【0054】
図5は、移動中にルートに沿って推力生成車両に動力を供給するための方法(500)の一実施形態のフローチャートである。より具体的には、方法(500)は、走路に沿って機関車を推し進めるために牽引力を提供するために、主電動機に動力を供給するためのものであり得る。方法(500)は、図2に示される車両(106)の推進システム(200)に関して記載される。例えば、一実施形態では、方法(500)は、推進システム(200)のコントローラ(208)(例えば1つ以上のプロセッサ(218))によって、完全に、または少なくとも部分的に実行可能である。
【0055】
(502)において、推進システム(200)上で要求される電気的負荷が指定の閾値を超えるかどうかが判定される。電気的負荷は、車両(106)が静止位置から移動し始めた時、および/または車両(106)が傾斜勾配に沿って加速または移動している時等の、特定の状況で閾値を上回る場合もある。電気的負荷は、主電動機(202)に動力を供給するために使用される蓄電装置(204)(206)の一方または両方にかけられ、または適用され得る。単一の主電動機(202)は方法(500)に関連して記載されるが、方法(500)は、車両(106)を推し進めるための牽引力を提供するために、多数の主電動機(202)に動力を供給するために使用され得ることが理解される。
【0056】
電気的負荷が(502)で閾値を上回らない場合、方法(500)は(504)に進み、および車両(106)に搭載された推力蓄電装置(PESD)(204)は、主電動機(202)へ動力を供給するために推進回路(214)を介して主電動機(202)に電流を供給するように命令される。PESD(204)は、推進回路(214)上の接触器(220)を閉じた伝導状態に切り替えることによって主電動機(202)に電流を供給するように命令されてもよい。
【0057】
他方で、電気的負荷が閾値を上回る場合、方法(500)は(506)に進む。(506)において、車両(106)に搭載された補助的な蓄電装置(AESD)(206)は、主電動機(202)に動力を供給するために補助的な回路(216)を介して主電動機(202)に電流を供給するように命令される。AESD(206)は、高い需要期間中に主電動機(202)に電流を供給する。一実施形態では、PESD(204)は、高い需要期間中に主電動機(202)に電流を供給しない。
【0058】
(508)において、高い需要期間の終わりを示す誘因事象が生じたかどうかの判定がなされる。誘因事象は、AESD(206)がAESD(206)に保存された有効エネルギー供給のすべてを使い尽くすこと、AESD(206)がAESD(206)に保存された指定された0でない有効エネルギー供給に達すること、指定の量の時間が高い需要期間の開始から経過していること、車両(106)が指定の速度に達すること、車両(106)が指定の距離を移動したこと等の1つ以上であり得る。誘因事象が生じていない場合、方法(500)は(506)に戻り、およびAESD(206)は、主電動機(202)に導電的に連結されたままである(他方でPESD(204)は、主電動機(202)から分離されたままである)。他方で、誘因事象が生じた場合、方法(500)は(510)に進む。(510)において、補助的な回路(216)を介したAESD(206)から主電動機(202)への電流の伝導は中止される。例えば、伝導は、補助的な回路(216)上の接触器(220)または他の切替装置を開いた非伝導状態に切り替えることにより、中止され得る。(510)において補助的な回路(216)を介した電流の伝導を中止した後に、方法(500)は(504)に進み、およびPESD(204)は、推進回路(214)を介して主電動機(202)に電流を供給するように命令される。
【0059】
本明細書に記載されるシステムと方法の1つ以上の技術的効果は、(例えば、移動に従って主電動機(202)に動力を供給するために、メイン推力蓄電装置(204)のみを使用することと比較して)メイン推力蓄電装置(204)の電気エネルギー供給を節約し、充電が必要となる前により大きな距離の移動を可能にするように、高い需要期間中に主電動機(202)に動力を供給するために、補助的な蓄電装置(206)を使用することを含む。他の技術的効果は、補助的な蓄電装置(206)に高い負荷を適用し、および推力蓄電装置(204)に軽減された負荷(例えば高い負荷未満)を適用することにより、メイン推力蓄電装置(204)の有効性と稼働寿命を増加させることを含む場合もあり、これは、推力蓄電装置(204)により小さなストレスと緊張をかけ、および高い負荷が推力蓄電装置(204)に適用された場合よりも小さな劣化を引き起こす。
【0060】
少なくとも1つの実施形態では、推力蓄電装置、補助的な蓄電装置、および1つ以上のプロセッサを有するコントローラを含む推進システムが提供される。推力蓄電装置は、推進回路を介して機関車の主電動機に電気的に連結され、かつ走路に沿って機関車を推し進めるための牽引力を提供するために主電動機に動力を供給するように構成される。補助的な蓄電装置は、補助的な回路を介して主電動機に電気的に連結される。補助的な蓄電装置は、推力蓄電装置とは異なるタイプの蓄電装置である。コントローラは、推進回路と補助的な回路に動作可能に連結される。コントローラは、高い需要期間中に主電動機に動力を供給するために、補助的な回路を介して主電動機に電流を供給するよう補助的な蓄電装置に命令するように構成される。高い需要期間の終わりに、コントローラは、補助的な蓄電装置からの電流の伝導を中止するために補助的な回路を制御し、かつ主電動機に動力を供給するために推進回路を介して主電動機に電流を供給するよう推力蓄電装置に命令するように構成される。
【0061】
随意に、補助的な蓄電装置は、推力蓄電装置よりも素早く充電と放電を行う。
【0062】
随意に、推力蓄電装置は、補助的な蓄電装置よりも大きなエネルギー蓄積能力を有する。
【0063】
随意に、補助的な蓄電装置はウルトラキャパシタを含む。
【0064】
随意に、推力蓄電装置はリチウム電池を含む。
【0065】
随意に、高い需要期間は、静止位置からの機関車の初期移動の間に生じる。
【0066】
随意に、コントローラは、補助的な回路上の接触器に動作可能に連結される。コントローラは、補助的な回路を介して補助的な蓄電装置から主電動機へと電流を供給するために、接触器を閉状態に切り替えるように構成され、および蓄電装置からの電流の伝導を中止するために、接触器を開状態に切り替えるように構成される。
【0067】
随意に、コントローラは、推進回路を介して主電動機に電流を供給するよう推力蓄電装置に命令する前に、高い需要期間の終わりに補助的な蓄電装置からの電流の伝導を中止するために補助的な回路を制御するように構成される。
【0068】
随意に、コントローラは、補助的な蓄電装置が補助的な蓄電装置内に保存された指定の0でない有効エネルギー供給に達したのに応じて、高い需要期間の終わりに、補助的な蓄電装置からの電流の伝導を中止するために補助的な回路を制御するように構成される。
【0069】
随意に、コントローラは、補助的な蓄電装置が補助的な蓄電装置内に保存された有効エネルギー供給のすべてを使い尽くしたのに応じて、高い需要期間の終わりに、補助的な蓄電装置からの電流の伝導を中止するために補助的な回路を制御するように構成される。
【0070】
随意に、コントローラは、高い需要期間の開始から指定の量の時間が経過したのに応じて、高い需要期間の終わりに、補助的な蓄電装置からの電流の電導を中止するために補助的な回路を制御するように構成される。
【0071】
随意に、推進システムは内燃機関を欠いている。
【0072】
随意に、回生制動期間中に、コントローラは、主電動機から推力蓄電装置へと電流を伝導して推力蓄電装置を充電するために推進回路を制御する前に、主電動機から補助的な蓄電装置へと電流を伝導して補助的な蓄電装置を充電するために補助的な回路を制御するように構成される。
【0073】
少なくとも1つの実施形態では、推力蓄電装置、補助的な蓄電装置、および1つ以上のプロセッサを有するコントローラを含む推進システムが提供される。推力蓄電装置は、推進回路を介して機関車の主電動機に電気的に連結され、かつ走路に沿って機関車を推し進めるための牽引力を提供するために主電動機に動力を供給するように構成される。補助的な蓄電装置は、補助的な回路を介して主電動機に電気的に連結される。補助的な蓄電装置は、推力蓄電装置とは異なるタイプの蓄電装置である。コントローラは、推進回路と補助的な回路に動作可能に連結される。コントローラは、高い需要期間の際中に主電動機に動力を供給するために、補助的な回路を介して主電動機に電流を供給するように補助的な蓄電装置に命令するように構成される。高い需要期間の終わりに、コントローラは、補助的な蓄電装置からの電流の伝導を中止するために補助的な回路を制御し、かつ主電動機に動力を供給するために推進回路を介して主電動機に電流を供給するよう推力蓄電装置に命令するように構成される。補助的な蓄電装置は、推力蓄電装置よりも素早く充電と放電を行う。推力蓄電装置は、補助的な蓄電装置よりも大きなエネルギー蓄積能力を有する。
【0074】
随意に、高い需要期間は、電力需要が指定の0でない閾値を上回る期間を表す。
【0075】
随意に、高い需要期間は、静止位置からの機関車の初期移動の間に生じる。
【0076】
随意に、補助的な蓄電装置はウルトラキャパシタを含む。
【0077】
随意に、回生制動期間中に、コントローラは、主電動機から推力蓄電装置へと電流を伝導して推力蓄電装置を充電するために推進回路を制御する前に、主電動機から補助的な蓄電装置へと電流を伝導して補助的な蓄電装置を充電するために補助的な回路を制御するように構成される。
【0078】
一実施形態では、機関車推進システムは、機関車プラットフォーム、プラットフォームに動作可能に連結された複数の軸とホイール、およびプラットフォームに取り付けられ、かつ軸の少なくとも1つに動作可能に連結された主電動機を含む。システムはまた、推進回路を介して主電動機に電気的に連結されたリチウムイオン蓄電装置を含む。リチウムイオン蓄電装置は、走路に沿って機関車を推し進めるために牽引力を提供するために、主電動機に動力を供給するように構成される。システムはまた、補助的な回路を介して主電動機に電気的に連結された補助的な蓄電装置を含む。補助的な蓄電装置は、リチウムイオン蓄電装置とは異なるタイプの蓄電装置である。システムはまた、1つ以上のプロセッサを有し、かつ推進回路と補助的な回路に動作可能に連結されたコントローラを含む。コントローラは、高い需要期間の際中に主電動機に動力を供給するために、補助的な回路を介して主電動機へ電流を供給するよう補助的な蓄電装置に命令するように構成され、ここで高い需要期間の終わりに、コントローラは、補助的な蓄電装置からの電流の伝導を中止するために補助的な回路を制御し、および主電動機に動力を供給するために推進回路を介して主電動機に電流を供給するようリチウムイオン蓄電装置に命令するように構成される。補助的な蓄電装置は、リチウムイオン蓄電装置よりも素早く充電と放電を行い、およびリチウムイオン蓄電装置は、補助的な蓄電装置よりも大きなエネルギー蓄積能力を有する。補助的な蓄電装置は、1つ以上のウルトラキャパシタを含んでもよい。
【0079】
少なくとも1つの実施形態では、(例えば走路に沿って機関車を推し進めるための牽引力を提供するために主電動機に動力を供給するための)方法が提供される。該方法は、補助的な回路を介して高い需要期間中に主電動機に動力を供給するために、機関車に搭載された主電動機に電流を供給するように、機関車に搭載された補助的な蓄電装置に命令する工程を含む。補助的な蓄電装置は、走路に沿って機関車を推し進めるための牽引力を提供するために、主電動機に動力を供給するように構成される。該方法は、高い需要期間の終わりに補助的な蓄電装置からの電流の伝導を中止するために、補助的な回路を制御する工程を含む。補助的な回路を介して電流の伝導を中止する工程に続いて、該方法は、主電動機に動力を供給するために推進回路を介して主電動機に電流を供給するように、機関車に搭載された推力蓄電装置に命令する工程を含む。推力蓄電装置は、補助的な蓄電装置とは異なるタイプの蓄電装置である。
【0080】
随意に、補助的な回路を介して主電動機に電流を供給するように補助的な蓄電装置に命令する工程は、閉状態に補助的な回路上の接触器を切り替えることを含む。高い需要期間の終わりに電流の伝導を中止するために補助的な回路を制御する工程は、接触器を開状態に切り替えることを含む。
【0081】
上記の説明は例示を意図しているが、限定を意図していないことを理解すべきである。例えば、上記の実施形態(および/またはその態様)は互いに組み合わせて使用されてもよい。さらに、多くの修正が、その範囲から逸脱することなく、創造性のある本主題の教示に特定の状況または物質を適応させるためになされてもよい。本明細書に記載の物質の寸法とタイプは、創造性のある本主題のパラメーターを定義するように意図されているが、それらは決して限定的ではなく、実施形態の例である。他の多くの実施形態が、上記の記載を検討する際に当業者に明らかになるだろう。したがって創造性のある本主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、およびそのような特許請求の範囲に権利が付与される同等物の全範囲を用いて、決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、用語「含んでいる(including)」および「そこにおいて(in which)」はそれぞれ、用語「含んでいる(comprising)」および「ここで(wherein)」それぞれの英語の平易な相当物として使用される。さらに、以下の特許請求の範囲において、用語「第1」、「第2」、および「第3」等は、単に標識して使用され、対象に数的要件を課すことを意図していない。さらに、以下の特許請求の範囲の限定は、手段+機能の形式では書かれておらず、およびそのような特許請求の範囲の限定が、句「のための手段(means for)」を明らかに使用し、その後にさらなる構造を欠いた機能の記載が続くことがない限り、35 U.S.C.§112(f)に基づいて解釈されることを意図していない。
【0082】
この記述は、創造性のある本主題のいくつかの実施形態を開示し、さらに、装置またはシステムを作り使用すること、および組み込まれた方法を実施することを含む、創造性のある本主題の実施形態の実施が当業者にとって可能なように、例を使用する。創造性のある本主題の特許を受けることができる範囲は、特許請求の範囲によって規定され、および当業者に想起される他の例を含んでもよい。他のそのような例は、特許請求の範囲の文字どおりの用語と相違しない構造的要素を有していれば、または特許請求の範囲の文字どおりの用語と実質的に相違しない同等の構造的要素を含んでいる場合、特許請求の範囲内にあると意図される。
【0083】
創造性のある本主題の特定の実施形態の前述の記述は、添付の図面と併せて読み取られた時に、よりよく理解されるだろう。図が、様々な実施形態の機能ブロックの図を例示する程度まで、機能ブロックは、ハードウェア回路間の分割を必ずしも示さない。したがって、例えば、1つ以上の機能ブロック(例えばプロセッサまたはメモリ)は、単一ピースのハードウェアにおいて実装され得る(例えば、汎プロセッサ信号、マイクロコントローラ、ランダムアクセスメモリ、ハードディスク等)。同様に、プログラムはスタンドアロンのプログラムであってもよく、サブルーチンとしてオペレーティングシステムに組み込まれてもよく、インストールされたソフトウェアパッケージにおける機能であってもよく、等々である。様々な実施形態は、図に示される構成と手段に制限されない。
【0084】
本明細書で使用されるように、単数で列挙され、および「a」または「an」が前についている要素または工程は、除外すると明確に述べていない限り、複数の前記要素または工程を除外しないものとして理解されるべきである。さらに、創造性のある本主題の「一実施形態」への言及は、列挙された機能をさらに組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解されることを意図しない。さらに、そうではないと明確に述べられていない限り、特定の特性を有する1つの要素または複数の要素を「含む(comprising)」、「含む(including)」、または「有する(having)」実施形態は、その特性を持たない追加のそのような要素を含み得る。
【0085】
本明細書に含まれる創造性のある本主題の精神と範囲から逸脱することなく上記のシステムと方法に特定の変更を行ってもよいため、上記または添付の図面で示される主題の全ては、本明細書の発明概念を例示する単なる例として解釈され、創造性のある本主題を制限するものとしては解釈されないことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5