(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ビークルのための飛行/地上両用装置
(51)【国際特許分類】
B64C 3/38 20060101AFI20240118BHJP
B64C 25/10 20060101ALI20240118BHJP
B64C 27/26 20060101ALI20240118BHJP
B64C 29/00 20060101ALI20240118BHJP
B64C 27/20 20230101ALI20240118BHJP
【FI】
B64C3/38
B64C25/10
B64C27/26
B64C29/00 A
B64C27/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019140546
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2022-06-29
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500461860
【氏名又は名称】オーロラ フライト サイエンシズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ボスワース
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ヘフィズ
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05356094(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0185444(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0217571(US,A1)
【文献】特開2014-189070(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0014764(US,A1)
【文献】特表2014-503400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0305526(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0169834(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108327906(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 3/38
B64C 25/10
B64C 27/26
B64C 29/00
B64C 27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸を含む胴体と、
前記胴体に接続された推進システムと、
前記胴体に接続された一対の関節式アペンデージと、を含むビークルであって、前記一対の関節式アペンデージの各々は、複数の翼セグメントを含み、前記ビークルの離着陸中に前記一対の関節式アペンデージの各々が前記ビークルを支持する地上用構成と、前記ビークルの飛行中に前記一対の関節式アペンデージの各々が揚力を生成する飛行用構成との間を移行可能であり、
前記一対の関節式アペンデージの各々における前記複数の翼セグメントは、
前記胴体に接続された内側翼セグメントと、
第1枢動軸に沿って前記内側翼セグメントに枢動可能に接続された中間翼セグメントと、
第2枢動軸に沿って前記中間翼セグメントに枢動可能に接続された外側翼セグメントと、を含み、
前記第1枢動軸、及び、前記第2枢動軸のうちの少なくとも一方は、前記胴体の前記縦軸に対して傾斜している、ビークル。
【請求項2】
前記一対の関節式アペンデージの各々を独立して動作させるように構成されたコントローラをさらに含む、請求項1に記載のビークル。
【請求項3】
前記一対の関節式アペンデージの各々は、センサをさらに含み、前記センサは、前記コントローラに通信可能に接続されるとともに、前記ビークルの離着陸中において着陸面を検出するように構成されている、請求項2に記載のビークル。
【請求項4】
前記中間翼セグメントは、前記第1枢動軸を中心として、前記内側翼セグメントに対して上下に枢動可能である、請求項1~3のいずれか1つに記載のビークル。
【請求項5】
前記外側翼セグメントは、前記第2枢動軸を中心として、前記中間翼セグメントに対して上下に枢動可能である、請求項1~4のいずれか1つに記載のビークル。
【請求項6】
縦軸を含む胴体と、
前記胴体に接続された推進システムと、
前記胴体に接続された一対の関節式アペンデージと、を含むビークルであって、前記一対の関節式アペンデージの各々は、複数の翼セグメントを含み、前記ビークルの離着陸中に前記一対の関節式アペンデージの各々が前記ビークルを支持する地上用構成と、前記ビークルの飛行中に前記一対の関節式アペンデージの各々が揚力を生成する飛行用構成との間を移行可能であり、
前記一対の関節式アペンデージの各々における前記複数の翼セグメントは、
前記胴体に接続された内側翼セグメントと、
第1枢動軸に沿って前記内側翼セグメントに枢動可能に接続された中間翼セグメントと、
第2枢動軸に沿って前記中間翼セグメントに枢動可能に接続された外側翼セグメントと、を含み、
前記第1枢動軸、及び、前記第2枢動軸は、互いに対して傾斜している、ビークル。
【請求項7】
前記一対の関節式アペンデージの各々を独立して動作させるように構成されたコントローラをさらに含み、前記一対の関節式アペンデージの各々は、センサをさらに含み、前記センサは、前記コントローラに通信可能に接続されるとともに、前記ビークルの離着陸中において着陸面を検出するように構成されている、請求項
6に記載のビークル。
【請求項8】
前記一対の関節式アペンデージの各々は、
翼幅方向寸法、及び、翼弦方向寸法と、
前記翼幅方向寸法に沿って延びる複数の翼幅方向構造コンポーネントと、
前記翼幅方向構造コンポーネントに接続されるとともに、前記翼弦方向寸法に沿って延びる複数の翼弦方向構造コンポーネントと、
前記翼弦方向構造コンポーネントに接続された複数の外板パネルと、をさらに含む、請求項1~
7のいずれか1つに記載のビークル。
【請求項9】
前記胴体に接続された一対の第2関節式アペンデージをさらに含み、前記一対の第2関節式アペンデージの各々は、複数の第2翼セグメントを含み、前記ビークルの離着陸中に前記一対の第2関節式アペンデージの各々が前記ビークルを支持する地上用構成と、前記ビークルの飛行中に前記一対の第2関節式アペンデージの各々が揚力を生成する飛行用構成との間を移行可能である、請求項1~
8のいずれか1つに記載のビークル。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1つに記載のビークルを操作するための方法であって、
前記ビークルの胴体に接続された前記一対の関節式アペンデージの各々における前記複数の翼セグメントのうちの少なくとも1つを枢動させて前記飛行用構成に設定し、当該飛行用構成において、前記一対の関節式アペンデージの各々が、前記ビークルの飛行中に揚力を生成するようにし、
前記一対の関節式アペンデージの各々における前記複数の翼セグメントのうちの少なくとも1つを枢動させて前記地上用構成に設定し、当該地上用構成において、前記一対の関節式アペンデージの各々が、前記ビークルの離着陸中に前記ビークルを支持するようにする、方法。
【請求項11】
前記一対の関節式アペンデージの各々における前記複数の翼セグメントのうちの少なくとも1つを枢動させること、及び、回転させること、のうちの少なくともいずれか一方を行って、前記ビークルの飛行中に前記ビークルの姿勢を制御することを、さらに含む、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して飛行可能なビークルに関し、特に、飛行用構成と地上用構成との間を移行可能な飛行ビークルのための組合せ型装置、並びに、当該装置を用いて、離陸中、飛行中、及び、着陸中に飛行ビークルを操作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
揚力と推力との組み合わせにより、様々な種類のビークルが飛行可能である。ビークルには、推力を生成する推進システムと、揚力を生成する翼とを含む種類のものがあり、この揚力は、ビークルの前進運動及び翼の形状に起因して発生する。また、いくつかの種類のビークルは、揚力と推力との両方を生成する推進システムを含む。典型的には、これらの飛行ビークルはまた、地上でビークルを支持して、離着陸を容易にする着陸ギアを含む。しかしながら、着陸ギアは、飛行中にビークルにかかる抗力を増大させ、燃料効率に影響を与えうる。一般に、飛行中においては、ビークルにかかる抗力を低減するのが望ましい。
【0003】
一部のビークルにおいては、着陸ギアがビークルに固定されており、飛行中に当該ギアが露出しているため、ビークルにかかる抗力が大きい場合がある。また、他のビークルにおいては、ビークルの下側で着陸ギアが折り畳まれているが、飛行中は当該ギアが露出したままの状態である。このような構成においては、着陸ギアに起因してビークルにかかる抗力を低減することができる。さらに他のビークルにおいては、着陸ギアは格納式であり、ビークルの翼や胴体に格納されるため、着陸ギアに起因してビークルにかかる抗力を排除することができる。
【0004】
着陸ギアの特定の構成に関係なく、着陸ギアはビークルの重量を増加させるため、燃料効率、ペイロード容量、及び、航続距離(operational range)に影響を及ぼす可能性がある。一般的には、ビークルの重量を低減することが望ましい。しかしながら、多くの場合、着陸ギアに起因してビークルにかかる抗力を低減するために、ビークルの下側で着陸ギアを折り畳んだり、ビークルに着陸ギアを格納したりする機構は、ビークルの重量をさらに増加させることになる。
【0005】
したがって、飛行ビークルの分野では、当業者による研究及び開発の努力が続けられている。
【発明の概要】
【0006】
一例においては、本開示のビークルは、縦軸を有する胴体と、前記胴体に接続された推進システムと、を含む。前記ビークルは、前記胴体に接続された一対の関節式アペンデージをさらに含む。前記一対の関節式アペンデージの各々は、複数の翼セグメントを含み、前記ビークルの離着陸中に前記一対の関節式アペンデージの各々が前記ビークルを支持する地上用構成と、前記ビークルの飛行中に前記一対の関節式アペンデージの各々が揚力を生成する飛行用構成との間を移行可能である。
【0007】
一例においては、ビークルのための本開示の飛行/地上両用装置は、複数の翼セグメントを含む関節式アペンデージ106を含む。当該関節式アペンデージは、前記ビークルの離着陸中に前記関節式アペンデージが前記ビークルを支持する地上用構成と、前記ビークルの飛行中に前記関節式アペンデージが揚力を生成する飛行用構成との間を移行可能である。前記装置は、前記関節式アペンデージを動作させるように構成されたコントローラを、さらに含む。
【0008】
一例においては、ビークルを操作するための本開示の方法は、(1)前記ビークルの胴体に接続された一対の関節式アペンデージの各々における複数の翼セグメントのうちの少なくとも1つを枢動させて飛行用構成に設定し、当該飛行用構成において、前記一対の関節式アペンデージの各々が、前記ビークルの飛行中に揚力を生成するようにするステップと、(2)前記一対の関節式アペンデージの各々における前記複数の翼セグメントのうちの少なくとも1つを枢動させて地上用構成に設定し、当該地上用構成において、前記一対の関節式アペンデージの各々が、前記ビークルの離着陸中に前記ビークルを支持するようにするステップと、を含む。
【0009】
本開示の装置及び方法についての他の例は、以下に示す詳細な説明、添付図面、及び、添付の請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ビークル、及び、ビークルのための飛行/地上両用装置の例を示す概略ブロック図である。
【
図2】ビークル、及び、装置の例を示す概略上面図である。
【
図3】飛行用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略正面立面図である。
【
図4】地上用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略正面立面図である。
【
図5】飛行用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略斜視図である。
【
図6】地上用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略斜視図である。
【
図7】飛行用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略斜視図である。
【
図8】ビークル、及び、装置の例を示す概略上面図である。
【
図9】ビークル、及び、装置の例を示す概略斜視図である。
【
図10】装置の関節式アペンデージの例を示す概略平面図である。
【
図11】装置の関節式アペンデージの例を示す概略立面図である。
【
図12】装置の関節式アペンデージの例を示す概略立面図である。
【
図13】装置の関節式アペンデージの例を示す概略立面図である。
【
図14】地上用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略正面立面図である。
【
図15】地上用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略正面立面図である。
【
図16】飛行用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略正面立面図である。
【
図17】飛行用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略正面立面図である。
【
図18】飛行用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略正面立面図である。
【
図19】飛行用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略正面立面図である。
【
図20】飛行用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略斜視図である。
【
図21】地上用構成におけるビークル、及び、装置の例を示す概略斜視図である。
【
図22】装置の関節式アペンデージの例を示す概略斜視図である。
【
図23】装置の関節式アペンデージの例を示す概略斜視図である。
【
図24】装置の関節式アペンデージの例を示す概略分解斜視図である。
【
図25】装置の関節式アペンデージの例を示す概略斜視図である。
【
図26】装置の関節式アペンデージの例を示す概略斜視図である。
【
図27】装置の関節式アペンデージの例を示す概略立面図である。
【
図28】装置の関節式アペンデージの例を示す概略立面図である。
【
図29】装置の関節式アペンデージの例を示す概略立面図である。
【
図30】装置の関節式アペンデージの例を示す概略立面図である。
【
図31】装置の関節式アペンデージの例を示す概略分解斜視図である。
【
図32】装置の関節式アペンデージの例を示す概略斜視図である。
【
図33】装置の関節式アペンデージの例を示す概略斜視図である。
【
図34】装置の関節式アペンデージの例を示す概略斜視図である。
【
図35】装置の関節式アペンデージの例を示す概略斜視図である。
【
図36】ビークルを操作するための方法の例を示すフロー図である。
【
図37】例示的な航空機の製造及び保守方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、添付図面を参照しており、これらの図面は、本開示で説明する特定の実施例を示すものである。異なる構造及び工程を有する他の実施例も、本開示の範囲から逸脱するものではない。異なる図面において、同じ特徴、要素、又は部品には同様の参照番号を用いる場合がある。
【0012】
以下に、本開示による技術的事項の例示的且つ非包括的な実施例を示す。これらの実施例には、請求の範囲に記載されているものも、記載されていないものも含まれうる。
【0013】
図1~9を参照すると、ビークル100と、本明細書においては概括的に装置104と呼ばれる、当該ビークル100のための飛行/地上両用装置とが開示されている。ビークル100は、飛行ビークルとも呼ばれる飛行可能な様々な種類のビークルのうちの任意の1つのビークルである。様々な例においては、ビークル100は、航空機である。いくつかの例においては、ビークル100は飛行機である。いくつかの例においては、
図2~4、8、及び、
図9に示すように、ビークル100は、ヘリコプター、又は、他の回転翼機である。いくつかの例においては、
図5~6に示すように、ビークル100は、他の種類の垂直離着陸(VTOL)航空機である。一例においては、ビークル100は、無人航空機(UAV)である。一例においては、
図7に示すように、ビークル100はドローンである。
【0014】
様々な例においては、ビークル100は胴体102を含む。胴体102は、縦軸124を含むとともに、ビークル100の本体部分をなしている。胴体102は、乗務員、1人以上の乗客、貨物、他のペイロード、及び、動作制御システムなどを収容するように構成された任意の適切な中央構造体を含みうる。胴体102は、任意の形状、及び/又は、構成を有しうる。様々な例においては、胴体102は、胴体102の前端におけるノーズ部分146と、胴体102の後端におけるテール部分148とを含む。本開示において、「前方」及び「後方」なる表現は、当業者に知られている通常の意味を有しており、ビークル100の移動方向に対する位置を指す。
【0015】
様々な例においては、ビークル100は推進システム144を含む。一例においては、推進システム144は、空中でビークルを移動させる推進力を生成するように動作可能である。一例においては、推進システム144はまた、重力に逆らう揚力を生成するように動作可能である。いくつかの例においては、
図2~4及び
図7~9に示すように、推進システム144は、ビークル100のための揚力及び推力を生成する1つ以上のロータを含む。いくつかの例においては、
図5及び6に示すように、推進システム144は、ビークル100のための推力を生成する1つ以上のプロペラを含む。いくつかの例においては、
図5及び6に示すように、推進システム144はまた、ビークルのための揚力を生成する1つ以上のダクト付ファンを含む。いくつかの例においては、推進システム144は、ビークル100のための推力を生成する1つ以上のターボファンエンジンを含む。推進システム144の特定の構成、ビークル100における推進システム144の相対位置、ビークル100に推進システム144を動作可能に接続する態様は、例えば、実施する推進システムや飛行ビークルの種類によって異なりうる。したがって、上記以外の推進システム144の種類や構成も考えられる。
【0016】
本開示においては、ロータークラフトなどの飛行ビークルは、揚力及び推力を生成するために推進システムを利用し、固定翼機などの飛行ビークルは、推力を生成するために推進システムを利用し、且つ、揚力を生成するために翼を利用することが認識及び考慮されている。また、本開示においては、これら全ての飛行ビークルは、離着陸中に地上で自身を支持するために何らかの種類の着陸ギアを利用することが認識及び考慮されている。
【0017】
本明細書で開示される装置104は、揚力生成翼などの動翼の機能及び動作と、地上支持のための着陸ギアの機能及び動作とを組み合わせて1つのアセンブリ又は機構を形成しているため、有利である。したがって、本開示の装置104は、翼と着陸ギアとの組合せアセンブリとも呼ばれており、また、本開示のビークル100は、翼と着陸ギアとの組合せを有するビークルとも呼ばれている。
【0018】
様々な例においては、装置104は、少なくとも1つの関節式アペンデージ(articulated appendage)106を含む。いくつかの例においては、ビークル100は、少なくとも一対の関節式アペンデージ106を含む。いくつかの例においては、
図2~6に示すように、ビークル100は、一対の関節式アペンデージ106を含む。関節式アペンデージ106の各々は、ビークル100の胴体102に接続されている。一例においては、関節式アペンデージ106の関連する対は、胴体102の横方向に互いに反対の位置から延びている。一対の関節式アペンデージ106の各々は、ビークル100の着陸中に一対の関節式アペンデージ106の各々がビークル100を支持する地上用構成110と、ビークル100の飛行中に一対の関節式アペンデージ106の各々が揚力を生成する飛行用構成112との間を移行可能である。
【0019】
本開示においては、地上用構成110とは、ビークル100の離陸及び/又は着陸時に関節式アペンデージ106(一対の関節式アペンデージ106の各々)が地上や着陸パッド(landing pad)などの離着陸面でビークル100を支持するための、当該関節式アペンデージ106の状態、構成、位置、及び/又は、配向を指す。
【0020】
また、本開示においては、飛行用構成112とは、ビークル100の飛行中に関節式アペンデージ106(一対の関節式アペンデージ106の各々)がビークル100の揚力を生成するための、当該関節式アペンデージ106の状態、構成、位置、及び/又は、配向を指す。
【0021】
いくつかの例においては、
図8及び9に示すように、ビークル100は、一対の第2関節式アペンデージ130を含む。これらの例においては、一対の関節式アペンデージ106の各々は、第1関節式アペンデージである。第2関節式アペンデージ130の各々は、胴体102に接続されている。一例においては、第2関節式アペンデージ130の関連する対は、胴体102の横方向に互いに反対の位置から延びている。一対の第2関節式アペンデージ130の各々は、ビークル100の着陸中に一対の第2関節式アペンデージ130の各々がビークル100を支持する地上用構成110と、ビークル100の飛行中に一対の第2関節式アペンデージ130の各々が揚力を生成する飛行用構成112との間を移行可能である。
【0022】
いくつかの例においては、関節式アペンデージ106、すなわち、一対の関節式アペンデージ106の各々は、複数の翼セグメント108を含む。関節式アペンデージ106、すなわち、複数の関節式アペンデージ106の各々は、地上用構成110(
図4及び6)と飛行用構成112(
図2、3、5、及び、
図7)との間を移行可能である。
【0023】
いくつかの例においては、第2関節式アペンデージ130、すなわち、一対の第2関節式アペンデージ130の各々は、複数の第2翼セグメント132を含む。第2関節式アペンデージ130、すなわち、複数の第2関節式アペンデージ130の各々は、地上用構成110(
図9)と飛行用構成112(
図8)との間を移行可能である。
【0024】
本開示において、第2関節式アペンデージ130は、関節式アペンデージ106と実質的に類似した構造及び機能を有する。同様に、複数の第2翼セグメント132の各々は、複数の翼セグメント108の各々と実質的に類似している。したがって、本明細書で説明する関節式アペンデージ106及び/又は翼セグメント108の例は、それぞれ、第2関節式アペンデージ130及び/又は第2翼セグメント132にも適用可能である。
【0025】
図3~6に示すようにん、ビークル100が一対の関節式アペンデージ106を含む例においては、ビークル100は、さらに、脚柱166(landing strut)(
図4及び6)を含みうる。関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定されている場合、脚柱166は、ビークル100の離陸及び/又は着陸中に、関節式アペンデージ106と共に動作して、離着陸面でビークル100を支持するための第3接触点として機能する。一例においては、脚柱166は、ビークル100の胴体102に接続されており、具体的には当該胴体のテール部分148に近接して、或いは、後端側に接続されている。
【0026】
図8及び9に示すように、ビークル100が一対の関節式アペンデージ106と一対の第2関節式アペンデージ130とを含む例においては、関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定されている場合、関節式アペンデージ106及び第2関節式アペンデージ130は、ビークル100の離陸及び/又は着陸時に協働して、離着陸面でビークル100を支持する4つの接触点として機能する。
【0027】
いくつかの例においては、
図4、6、及び、
図9に示すように、装置104の関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定されている場合、又は、飛行用構成112から地上用構成110に移行する場合、関節式アペンデージ106の少なくとも一部が、胴体102の底部150を越えて延びるか、或いは、ビークル100の胴体102の下側に延びるように、翼セグメント108のうちの少なくとも1つが、隣接する翼セグメント108に対して枢動する。一例においては、関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定されている場合、関節式アペンデージ106の少なくとも一部が下方、又は、略垂直に配向されて、地面又は着陸パッドなどの離着陸面でビークル100を支持する。一例においては、関節式アペンデージ106の少なくとも外側端152(
図4及び6)が、離着陸面と接触係合するために、胴体102の下側に配置される。
【0028】
本開示において、「内側(inboard)」及び「外側(outboard)」なる表現は、当業者に知られている通常の意味を有しており、ビークル100の中央線、すなわち縦軸124に対する位置を指す。本開示において、「下方」及び「上方」なる表現は、当業者に知られている通常の意味を有しており、ビークル100に対する位置又は方向を指し、より具体的には、ビークル100の局所的水平面、又は、ビークル100の基準座標系(reference frame)160のXY平面に対する位置又は方向を指す。
【0029】
いくつかの例においては、
図2、3、5、7、及び、8に示すように、装置104の関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、又は、地上用構成110から飛行用構成112に移行する場合、関節式アペンデージ106が、ビークル100の胴体102の外側に延びるように、翼セグメント108のうちの少なくとも1つが、隣接する翼セグメント108に対して枢動する。一例においては、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、関節式アペンデージ106は、ビークル100が空中を移動する際の揚力を生成するために、外側又は略水平の位置に配向される。
【0030】
関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定されている場合、各関節式アペンデージ106は、離着陸面でビークル100を支持するための着陸ギア、脚柱、又は、着陸レッグとして動作又は機能する。関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、各関節式アペンデージ106は、飛行中に揚力を生成するための翼として動作又は機能する。したがって、装置104、より具体的には関節式アペンデージ106は、略水平位置に配置可能に構成されるとともに、飛行中にビークル100の胴体102から外側に延びる着陸ギア158(
図4、6、及び9)とも呼ばれる。これに代えて、装置104、より具体的には関節式アペンデージ106は、略垂直位置に選択的に操作可能に構成されるとともに、離陸及び/又は着陸中にビークル100の胴体102よりも下側に延びる翼156(
図3、5、及び8)とも呼ばれる。
【0031】
各翼セグメント108は、翼形状の断面を有する。各翼セグメント108の特定の翼形状は、当該翼セグメント108により、或いは、関節式アペンデージ106全体により生成しようとする特定の空力などによって異なりうる。いくつかの例においては、各翼セグメント108の翼形状は、断面が、半対称な、対称な、平底面の、又は、反った形状であるか、或いは、他の適切な翼輪郭形状である。
【0032】
一例においては、各翼セグメント108の翼形状がそれぞれ同じである。一例においては、少なくとも1つの翼セグメント108の翼形状が、他の少なくとも1つの翼セグメント108の翼形状とは異なる。一例においては、各翼セグメント108の翼形状がそれぞれ異なる。
【0033】
図2~6、8、及び、
図9を参照すると、概して、ビークル100は基準座標系160を有する。基準座標系160は、X軸、Y軸、及び、Z軸を有するとともに、ビークル100に対して定義された3次元の基準座標系である。一例において、基準座標系160のX軸は、ビークル100のロール軸、又は、縦軸とも呼ばれる。いくつかの例においては、基準座標系160のX軸は、胴体102の縦軸124と一致しているか、或いはこれに平行している。一例においては、基準座標系160のY軸は、ビークル100のピッチ軸、又は、横軸とも呼ばれる。一例においては、基準座標系160のZ軸は、ビークル100のヨー軸、又は、垂直軸とも呼ばれる。
【0034】
図2、3、5、及び、8を参照すると、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、関節式アペンデージ106は、翼幅方向軸154を含む。いくつかの例においては、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、関節式アペンデージ106、又は、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154は、局所垂直面(ビークル100のXZ平面)に対する様々な角度のうちの任意の角度に配向されているが、この角度は、関節式アペンデージ106のスイープ角(sweep angle)と呼ばれる。一例においては、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154は、局所(例えば、仮想)水平面で見て、胴体102の縦軸124に略垂直である。すなわち、一例においては、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154は、ビークル100のXY平面で見て、ビークル100の基準座標系160におけるX軸に略垂直であって、且つ、Y軸に平行である。一例においては、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154は、局所水平面で見て、胴体102の縦軸124に対して傾斜している。すなわち、一例においては、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154は、ビークル100のXY平面で見て、ビークル100の基準座標系160におけるX軸に対して傾斜するとともにY軸に対しても傾斜している。胴体102の縦軸124に対する翼幅方向軸154の角度配向は、例えば、関節式アペンデージ106の構造設計、胴体102に対する関節式アペンデージ106のスイープ角、及び、他の要因に依存する。
【0035】
いくつかの例においては、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、関節式アペンデージ106、又は、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154は、局所水平面(ビークル100のXY面)に対する様々な角度のうちの任意の角度に配向されているが、この角度は、関節式アペンデージ106の上反角(dihedral angle)と呼ばれる。一例においては、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、関節式アペンデージ106は、ニュートラルな上反角を有しており、この角度においては、関節式アペンデージ106の内側端162、又は、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154と、関節式アペンデージ106の外側端152、又は、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154とが、局所水平面に略配置される。一例においては、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、関節式アペンデージ106は、正の上反角を有しており、この角度においては、局所水平面に対して、関節式アペンデージ106の外側端152、又は、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154が、関節式アペンデージ106の内側端162、又は、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154よりも上側に配置されている。一例においては、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、関節式アペンデージ106は、負の上反角(下反角)を有しており、この角度においては、局所水平面に対して、関節式アペンデージ106の外側端152、又は、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154が、関節式アペンデージ106の内側端162、又は、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154よりも下側に配置されている。
【0036】
ビークル100が一対の関節式アペンデージ106と一対の第2関節式アペンデージ130とを含む例においては、ビークル100の基準座標系160におけるX軸に沿った、胴体102に対する一対の関節式アペンデージ106、及び、一対の第2関節式アペンデージ130の相対位置は、異なる。例えば、一対の第2関節式アペンデージ130は、一対の関節式アペンデージ106よりも胴体102の後方に配置されている。
【0037】
ビークル100が一対の関節式アペンデージ106と一対の第2関節式アペンデージ130とを含むいくつかの例においては、ビークル100の基準座標系160におけるZ軸に沿った、胴体102に対する一対の関節式アペンデージ106の相対位置、及び、一対の第2関節式アペンデージ130の相対位置は、同じである。ビークル100が一対の関節式アペンデージ106と一対の第2関節式アペンデージ130とを含むいくつかの例においては、ビークル100の基準座標系160におけるZ軸に沿った、胴体102に対する一対の関節式アペンデージ106の相対位置、及び、一対の第2関節式アペンデージ130の相対位置は、異なる。例えば、一対の第2関節式アペンデージ130は、一対の関節式アペンデージ106よりも上側又は下側に配置されている。
【0038】
ビークル100が一対の関節式アペンデージ106と一対の第2関節式アペンデージ130とを含むいくつかの例においては、一対の関節式アペンデージ106及び一対の第2関節式アペンデージ130のスイープ角、及び/又は、上反角は同じである。ビークル100が一対の関節式アペンデージ106と一対の第2関節式アペンデージ130とを含むいくつかの例においては、一対の関節式アペンデージ106及び一対の第2関節式アペンデージ130のスイープ角、及び/又は、上反角のうちの少なくとも一方は異なる。
【0039】
関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、関節式アペンデージ106は、翼幅方向軸154に沿ったいずれの位置においても翼形状の断面を有する。関節式アペンデージ106の翼形状は、各翼セグメント108の翼形状によって規定される。一例においては、関節式アペンデージ106の翼形状は、翼幅方向軸154に沿って一定である。一例においては、関節式アペンデージ106の翼形状は、翼幅方向軸154に沿って変化する。
【0040】
概して、関節式アペンデージ106の翼形状、又は、翼セグメント108のうちの任意の翼セグメントの翼形状は、飛行用構成112においては、ビークル100が空中を移動する際に好ましい揚抗比(lift-to-drag ratio)を実現するように設計される。このため、本開示の装置104は、着陸ギア158として選択的に用いられる関節式アペンデージ106の重量ペナルティ及び/又は抗力を有利に相殺する。具体的には、飛行中に関節式アペンデージ106が揚力を生成するように当該関節式アペンデージ106を保持することにより、言い換えれば、関節式アペンデージ106を翼156として選択的に用いることにより、相殺を行う。
【0041】
図10~13を参照すると、一例として、各関節式アペンデージ106の複数の翼セグメント108は、内側翼セグメント114と、中間翼セグメント116と、外側翼セグメント120とを含む。一例においては、内側翼セグメント114は、ビークル100の胴体102に接続されている。一例においては、中間翼セグメント116は、第1枢動軸118(
図10)、すなわち、内側枢動軸に沿って内側翼セグメント114に枢動可能に接続されている。関節式アペンデージ106は、内側翼セグメント114に対して、第1枢動軸118を中心として中間翼セグメント116を選択的に枢動させるように構成されている。一例においては、外側翼セグメント120は、第2枢動軸122(
図10)、すなわち、外側枢動軸に沿って中間翼セグメント116に枢動可能に接続されている。関節式アペンデージ106は、中間翼セグメント116に対して、第2枢動軸122を中心として外側翼セグメント120を選択的に枢動させるように構成されている。
【0042】
いくつかの例においては、
図10~13に示すように、関節式アペンデージ106は、第1枢動軸118及び第2枢動軸122によって規定された2つの関節点を含む。いくつかの他の例においては、関節式アペンデージ106は、追加の枢動軸によって規定された3つ以上の関節点を有する。一例においては、各関節式アペンデージ106の複数の翼セグメント108は、複数の中間翼セグメント116、又は、追加の中間翼セグメントを含んでおり、これらのセグメントは、内側翼セグメント114と外側翼セグメント120との間に配置及び接続されており、追加の枢動軸に沿って、内側翼セグメント114、外側翼セグメント120、又は、追加の中間翼セグメントのうち隣接する中間翼セグメントに枢動可能に接続されている。
【0043】
一例においては、内側翼セグメント114は、ビークル100の胴体102に対して固定されている。関節式アペンデージ106の内側端162又は基部の位置において、胴体102に内側翼セグメント114を固定することにより、関節式アペンデージ106をさらに構造的に支持するとともに耐荷重性を向上させることができる。また、内側翼セグメント114は、胴体102から中間翼セグメント116を離間させるとともに、胴体102から外側に第1枢動軸118を配置させることができる。これにより、中間翼セグメント116は、第1枢動軸118を中心として枢動する場合、例えば、関節式アペンデージ106を地上用構成110で動作させる場合などに、より広い可動域で動作することができる。
【0044】
概して、関節式アペンデージ106の寸法、例えば、関節式アペンデージ106のいずれか1つ、翼セグメント108のいずれか1つ、関節式アペンデージ106を構成する翼幅方向構造コンポーネント138(
図31)のいずれか1つ、及び/又は、関節式アペンデージ106を構成する複数の翼弦方向構造コンポーネント140(
図31)のいずれか1つの長さや翼幅方向寸法、及び/又は、幅や翼弦方向寸法は、例えば、設計、(例えば、翼156として使用する場合の)揚抗比などの所望の空力性能、(例えば、翼156や着陸ギア158として使用する場合の)必要耐荷重性能、及び、他の要因によって異なりうる。同様に、関節式アペンデージ106の長さ方向に沿った第1枢動軸118、及び/又は、第2枢動軸122の相対位置も異なりうる。概して、第1枢動軸118と第2枢動軸122との間の距離(例えば、中間翼セグメント116の長さ)、及び/又は、関節式アペンデージ106の第2枢動軸122と外側端152との間の距離(例えば、外側翼セグメント120の長さ)が増大すると、飛行中や離着陸中に関節式アペンデージ106の耐荷重構造体にかかる機械的応力が増大する可能性がある。いくつかの例においては、翼幅と、より高い揚抗比に対応する関節式アペンデージ106の構造体との間のトレードオフによって、最大長が規定されうる。いくつかの例においては、関節式アペンデージ106がビークル100の重量を支持するとともに、十分な(例えば、最小の)揚抗比を提供できるように、翼セグメント108を折り畳み可能にすることによって、最小長が規定されうる。
【0045】
一例においては、中間翼セグメント116は、第1枢動軸118を中心として、内側翼セグメント114に対して上下に枢動可能である。一例においては、
図12に示すように、第1枢動軸118を中心として、内側翼セグメント114又は局所水平面(ビークル100のXY平面)に対して下方向に中間翼セグメント116を枢動させることにより、内側翼セグメント114又は局所水平面に対して中間翼セグメント116を負の角度配向に配置することができる。一例においては、
図13に示すように、第1枢動軸118を中心として、内側翼セグメント114又は局所水平面に対して上方向に中間翼セグメント116を枢動させることにより、内側翼セグメント114又は局所水平面に対して中間翼セグメント116を正の角度配向に配置することができる。
【0046】
いくつかの例においては、中間翼セグメント116は、内側翼セグメント114又は局所水平面に対して、様々な角度配向のうちの任意の角度配向に配置される。一例においては、内側翼セグメント114又は局所水平面に対する中間翼セグメント116の枢動範囲は、最大約180度(例えば、局所水平面よりも上方向に約90度、局所水平面よりも下方向に約90度)である。
【0047】
一例においては、外側翼セグメント120は、第2枢動軸122を中心として、中間翼セグメント116に対して上下に枢動可能である。一例においては、第2枢動軸122を中心として、中間翼セグメント116に対して下方向に外側翼セグメント120を枢動させることにより、中間翼セグメント116に対して外側翼セグメント120を負の角度配向に配置することができる。一例においては、第2枢動軸122を中心として、中間翼セグメント116に対して上方向に外側翼セグメント120を枢動させることにより、中間翼セグメント116に対して外側翼セグメント120を正の角度配向に配置することができる。
【0048】
中間翼セグメント116は、第1枢動軸118を中心として、内側翼セグメント114に対して上下に枢動可能であり、外側翼セグメント120は、第2枢動軸122を中心として、中間翼セグメント116に対して上下に枢動可能であるため、関節式アペンデージ106は、地上用構成110及び飛行用構成112において、広い枢動範囲で動作することができる。
【0049】
一例においては、内側翼セグメント114は、内側翼幅方向軸126を含む。一例においては、中間翼セグメント116は、中間翼幅方向軸128を含む。一例においては、外側翼セグメント120は、外側翼幅方向軸164を含む。
【0050】
一例においては、内側翼幅方向軸126は、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154と一致しているか、或いはこれに平行している。内側翼セグメント114が胴体102に固定されている場合、関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154に対する内側翼幅方向軸126の角度配向も固定されている。
【0051】
図12~15を参照すると、いくつかの例においては、関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定されている場合、中間翼幅方向軸128は、内側翼幅方向軸126に対してゼロ以外の角度で配向されるとともに、これと交差している(例えば、内側翼幅方向軸126と一致しておらず、これに平行でもない)。いくつかの例においては、関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定されている場合、外側翼幅方向軸164は、中間翼幅方向軸128に対してゼロ以外の角度で配向されるとともに、これと交差している(例えば、中間翼幅方向軸128と一致しておらず、これに平行でもない)。
【0052】
図14及び15は、関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定されているか、或いは着陸ギア158として動作している場合における、ビークル100の例を示す概略図である。中間翼セグメント116、及び、外側翼セグメント120の枢動により、関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定され、外側翼セグメント120が略垂直な配向、すなわち、ビークル100の局所水平面に対して略直交するように配置される。
【0053】
状況によっては、
図14に示すように、離着陸面は略水平である。このような状況において、関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定されると、各関節式アペンデージ106の翼セグメント108は、ビークル100に対して略同じ配向で枢動する。
【0054】
一例においては、各関節式アペンデージ106の中間翼セグメント116は、内側翼セグメント114に対して下方向に枢動することにより、関節式アペンデージ106の一部が胴体102の下側に延びるようにする。例えば、中間翼セグメント116は、内側翼セグメント114に対して下方向に枢動することにより、外側翼セグメント120の少なくとも一部が胴体102の下側に配置されるようにする。さらに、各関節式アペンデージ106の外側翼セグメント120は、下方向に(例えば、ビークル100に向かって)枢動することにより、関節式アペンデージ106の一部が胴体102の下側に延びるようにし、且つ、関節式アペンデージ106の外側端152が離着陸面に接触して配置されるようにする。例えば、外側翼セグメント120は、下方向に枢動することにより、当該外側翼セグメント120が、離着陸面に対して略垂直な配向、又は、略法線方向に配置されるようにする。
【0055】
状況によっては、
図15に示すように、離着陸面は、略水平ではない場合や、様々な度合いの傾斜を有する場合がある。このような状況において、関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定されると、これらの関節式アペンデージ106のうちの1つ又は複数における翼セグメント108が、ビークル100に対して異なる配向になるように枢動して、ビークル100の直立姿勢を維持する。
【0056】
一例においては、関節式アペンデージ106のうちの1つの中間翼セグメント116が、内側翼セグメント114に対して上方向に枢動することにより、関節式アペンデージ106の一部が、傾斜した離着陸面の上側(例えば、上り勾配側)の部分で胴体102の下側に延びるようにする。例えば、中間翼セグメント116は、内側翼セグメント114に対して上方向に枢動することにより、外側翼セグメント120の少なくとも一部が胴体102の下側に配置されるようにする。さらに、各関節式アペンデージ106の外側翼セグメント120は、下方向に(例えば、ビークル100に向かって)枢動することにより、関節式アペンデージ106の一部が胴体102の下側に延びるようにし、且つ、関節式アペンデージ106の外側端152が離着陸面に接触して配置されるようにする。例えば、外側翼セグメント120は、下方向に枢動することにより、当該外側翼セグメント120が、傾斜した離着陸面の上側部分に対して略法線方向に配置されるようにする。
【0057】
一例においては、複数の関節式アペンデージ106のうちの横方向に反対側の関節式アペンテージの中間翼セグメント116が、内側翼セグメント114に対して下方向に枢動することにより、関節式アペンデージ106の一部が、傾斜した離着陸面の下側(例えば、下り勾配側)の部分で胴体102の下側に延びるようにする。例えば、中間翼セグメント116は、内側翼セグメント114に対して下方向に枢動することにより、外側翼セグメント120の少なくとも一部が胴体102の下側に配置されるようにする。さらに、各関節式アペンデージ106の外側翼セグメント120は、下方向に(例えば、ビークル100に向かって)枢動することにより、関節式アペンデージ106の一部が胴体102の下側に延びるようにし、且つ、関節式アペンデージ106の外側端152が離着陸面に接触して配置されるようにする。例えば、外側翼セグメント120は、下方向に枢動することにより、当該外側翼セグメント120が、傾斜した離着陸面の下側部分に対して略法線方向に配置されるようにする。
【0058】
図10、11、及び、16~19を参照すると、いくつかの例においては、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、中間翼幅方向軸128は、内側翼幅方向軸126と一致しているか、或いはこれに平行している。いくつかの例においては、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、外側翼幅方向軸164は、中間翼幅方向軸128と一致しているか、或いはこれに平行している。いくつかの例においては、
図10、11、及び、16に示すように、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、中間翼幅方向軸128、及び、外側翼幅方向軸164の両方は、内側翼幅方向軸126と一致しているか、或いはこれに平行している。いくつかの例においては、
図17に示すように、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、中間翼幅方向軸128は、内側翼幅方向軸126に対してゼロ以外の角度で配向されるとともに、これと交差しており、外側翼幅方向軸164は、中間翼幅方向軸128と一致しているか、或いはこれに平行している。いくつかの例においては、
図18に示すように、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、中間翼幅方向軸128は、内側翼幅方向軸126と一致しているか、或いはこれに平行しており、外側翼幅方向軸164は、中間翼幅方向軸128に対してゼロ以外の角度で配向されるとともに、これと交差している。いくつかの例においては、
図19に示すように、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、中間翼幅方向軸128は、内側翼幅方向軸126に対してゼロ以外の角度で配向されるとともに、これと交差しており、外側翼幅方向軸164は、中間翼幅方向軸128に対してゼロ以外の角度で配向されるとともに、これと交差している。
【0059】
図16~19は、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されているか、或いは翼156として動作している場合における、ビークル100の例を示す概略図である。中間翼セグメント116、及び、外側翼セグメント120の枢動により、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定され、中間翼セグメント116、及び、外側翼セグメント120のうちの少なくとも一方が、略水平に配向される。
【0060】
状況によっては、
図16~19に示すように、飛行中、すなわち、関節式アペンデージ106が飛行用構成112で動作している際、1つ以上の関節式アペンデージ106、又は、1つ以上の関節式アペンデージ106の一部の角度配向を調節することが望ましい場合もある。このような状況においては、1つ以上の翼セグメント108を、隣接する翼セグメント108に対して枢動させることにより、対応する関節式アペンデージ106の空力特性を変更してもよい。
【0061】
一例においては、
図16に示すように、中間翼セグメント116、及び、外側翼セグメント120を枢動させて、関節式アペンデージ106が胴体102から外側に延びるとともに、中間翼セグメント116、及び、外側翼セグメント120が略水平な配向になるようにする。
【0062】
一例においては、
図17に示すように、内側翼セグメント114に対して上方向に中間翼セグメント116を枢動させて、中間翼セグメント116、及び、外側翼セグメント120が正の上反角をなすようにこれらのセグメントを配置し、これによって、関節式アペンデージ106の内側端162よりも上側に関節式アペンデージ106の外側端152が配置されるようにする。また、一例においては、
図17に示すように、内側翼セグメント114に対して下方向に中間翼セグメント116を枢動させて、中間翼セグメント116、及び、外側翼セグメント120が負の上反角をなすようにこれらのセグメントを配置し、これによって、関節式アペンデージ106の内側端162よりも下側に関節式アペンデージ106の外側端152が配置されるようにする。
【0063】
一例においては、
図18に示すように、中間翼セグメント116に対して上方向に外側翼セグメント120を枢動させることにより、外側翼セグメント120が略垂直配向に配置されるようにする。一例においては、
図18に示すように、中間翼セグメント116に対して外側翼セグメント120を下方向に枢動させることにより、外側翼セグメント120が略垂直配向に配置されるようにする。これらの例においては、外側翼セグメント120は、ビークル100の垂直安定板として機能することができる。一例においては、中間翼セグメント116に対して上方向に一対の第2関節式アペンデージ130(ビークル100の後端側、或いは、これに近接して配置されている一対の関節式アペンデージ)の各々における外側翼セグメント120を枢動させて、外側翼セグメント120を略垂直方向に配置し、これにより、ビークル100が双垂直尾翼(twin tail)、すなわちH型尾翼の構成を有するようにする。
【0064】
一例においては、中間翼セグメント116に対して上方向に外側翼セグメント120を枢動させて、垂直配向と水平配向との間の任意の配向に外側翼セグメント120を配置する。この例においては、外側翼セグメント120は、ビークル100の垂直安定板として機能することができる。一例においては、中間翼セグメント116に対して上方向に一対の第2関節式アペンデージ130(ビークル100の後端側、或いは、これに近接して配置されている一対の関節式アペンデージ)の各々における外側翼セグメント120を枢動させて、垂直配向と水平配向との間の配向に外側翼セグメント120を配置し、その際、ビークル100がV型尾翼の構成を有するようにする。
【0065】
一例においては、
図19に示すように、内側翼セグメント114に対して上方向に中間翼セグメント116を枢動させ、中間翼セグメント116に対して上方向に外側翼セグメント120を枢動させることにより、関節式アペンデージ106が弓形状又は湾曲した輪郭を有するようにする。
【0066】
図20及び21を参照すると、ビークル100が、一対の関節式アペンデージ106と一対の第2関節式アペンデージ130とを含む例においては、一対の関節式アペンデージ106の翼幅方向寸法(すなわち、内側端162から外側端152までの関節式アペンデージ106の寸法)は、一対の第2関節式アペンデージ130の翼幅方向寸法とは異なる。これらの例においては、一対の第2関節式アペンデージ130(ビークル100の後端側、或いは、これに近接して配置されている一対の関節式アペンデージ)は、当該第2関節式アペンデージ130が飛行用構成112に設定されている場合、ビークル100の水平安定板として機能することができる。
【0067】
図22~28を参照すると、第1枢動軸118及び第2枢動軸122は、ビークル100の縦軸124、(飛行用構成112における)関節式アペンデージ106の翼幅方向軸154、内側翼セグメント114の内側翼幅方向軸126、中間翼セグメント116の中間翼幅方向軸128、及び/又は、外側翼セグメント120の外側翼幅方向軸164、のうちの1つ又は複数に対する様々な角度配向のうちの任意の配向を有することができる。
【0068】
いくつかの例においては、内側翼セグメント114に対して中間翼セグメント116を枢動させるために、関節式アペンデージ106は、中間翼セグメント116と内側翼セグメント114との間において関節式アペンデージ106の周囲に延びる第1枢動接合部176を含む。第1枢動軸118は、第1枢動接合部176を通るか、或いはこれに平行している。第1枢動軸118は、第1前端点172において関節式アペンデージ106の前端168と交差するとともに、第1後端点174において関節式アペンデージ106の後端170と交差している。
【0069】
いくつかの例においては、中間翼セグメント116に対して外側翼セグメント120を枢動させるために、関節式アペンデージ106は、外側翼セグメント120と中間翼セグメント116との間において関節式アペンデージ106の周囲に延びる第2枢動接合部178を含む。第2枢動軸122は、第2枢動接合部178を通るか、或いはこれに平行している。第2枢動軸122は、第2前端点180において関節式アペンデージ106の前端168と交差するとともに、第2後端点182において関節式アペンデージ106の後端170と交差している。
【0070】
いくつかの例においては、
図22、27、及び、28に示すように、第1枢動軸118は、胴体102の縦軸124、又は、ビークル100のXZ面に略平行している。いくつかの例においては、第1枢動軸118は、内側翼幅方向軸126及び中間翼幅方向軸128と交差しており、これらに対して略垂直である。
【0071】
いくつかの例においては、
図23~26、28、及び、29に示すように、第1枢動軸118は、胴体102の縦軸124、又は、ビークル100のXZ面に対して、ゼロ以外の第1枢動角度で配向されている。一例においては、第1枢動軸118は、胴体102の縦軸124、又は、ビークル100のXZ面に対して傾斜している。いくつかの例においては、第1枢動軸118は、内側翼幅方向軸126及び中間翼幅方向軸128と交差しており、これらに対して傾斜している。一例においては、
図23、26、及び、29に示すように、第1前端点172は、第1後端点174の外側に位置する。一例においては、
図24、25、及び、30に示すように、第1前端点172は、第1後端点174の内側に位置する。
【0072】
いくつかの例においては、
図22、29、及び、30に示すように、第2枢動軸122は、胴体102の縦軸124、又は、ビークル100のXZ面に略平行している。いくつかの例においては、第2枢動軸122は、中間翼幅方向軸128及び外側翼幅方向軸164と交差しており、これらに対して略垂直である。
【0073】
いくつかの例においては、
図23~28に示すように、第2枢動軸122は、胴体102の縦軸124、又は、ビークル100のXZ面に対して、ゼロ以外の第2枢動角度で配向されている。一例においては、第2枢動軸122は、胴体102の縦軸124、又は、ビークル100のXZ面に対して傾斜している。いくつかの例においては、第2枢動軸122は、中間翼幅方向軸128及び外側翼幅方向軸164と交差しており、これらに対して傾斜している。一例においては、
図23、25、及び、27に示すように、第2前端点180は、第2後端点182の外側に位置する。一例においては、
図24、26、及び、28に示すように、第2前端点180は、第2後端点182の内側に位置する。
【0074】
いくつかの例においては、
図22~24に示すように、第1枢動軸118及び第2枢動軸122は、互いに平行である。一例においては、第1枢動軸118の第1枢動角と第2枢動軸122の第2枢動角とは同じである。いくつかの例においては、
図25~30に示すように、第1枢動軸118及び第2枢動軸122は、互いに傾斜している。一例においては、第1枢動軸118の第1枢動角と第2枢動軸122の第2枢動角とは異なる。
【0075】
いくつかの例においては、第1枢動軸118、及び/又は、第2枢動軸122がゼロ以外の枢動角に配向されることにより、中間翼セグメント116、及び/又は、外側翼セグメント120が、動翼として機能して、例えば、飛行中に枢動が行われると、関節式アペンデージ106を横切る気流を調節(trim)することができる。したがって、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、一対の関節式アペンデージ106の各々における複数の翼セグメント108のうちの少なくとも1つを枢動させることにより、ビークル100の飛行中、当該ビークル100のピッチ及び/又はロール(本明細書においては、概して姿勢と呼ばれる)を制御することができる。
【0076】
図30を参照すると、関節式アペンデージ106、及び/又は、翼セグメント108の各々は、様々な構造形態のうちの任意の形態を有することができる。概して、関節式アペンデージ106、及び、翼セグメント108の各々は、離着陸中(すなわち、地上用構成110で動作中)、及び、飛行中(すなわち、飛行用構成で動作中)、関節式アペンデージ106に加わるあらゆる力、及び/又は、負荷に反応するように構築されている。
【0077】
関節式アペンデージ106は、限定するものではないが、複数の翼幅方向構造コンポーネント138、複数の翼弦方向構造コンポーネント140、及び、複数の外板パネル142を含む様々なコンポーネントで形成、及び/又は、構築される。なお、関節式アペンデージ106や各翼セグメント108の構造コンポーネントのいずれかについて「構造コンポーネント」なる表現を用いる場合、当該表現は、荷重を受けるように構成された耐荷重要素、又は、関節式アペンデージ106に加えられる応力や力に反応するように構成された耐荷重要素を指す。
【0078】
一例においては、関節式アペンデージ106は、翼幅方向寸法(すなわち、内側端162から外側端152までの関節式アペンデージの寸法)と、翼弦方向寸法(すなわち、前端168から後端170までの関節式アペンデージの寸法)とを有する。翼幅方向構造コンポーネント138は、翼幅寸法に沿って延びている。翼弦方向構造コンポーネント140は、翼幅方向構造コンポーネント138に接続されるとともに、翼弦方向寸法に沿って延びている。外板パネル142は、翼弦方向構造コンポーネント140に接続されている。
【0079】
翼幅方向構造コンポーネント138は、ビークル100の飛行中には飛行荷重を受けるように構成されており、ビークル100が着陸している状態においては、当該ビークルの重量に耐えるように構成されている。一例においては、翼幅方向構造コンポーネント138は、関節式アペンデージ106の翼桁を含むか、或いは、その形態をとる。翼弦方向構造コンポーネント140は、関節式アペンデージ106又は各翼セグメント108の翼形状を画定するとともに、ビークルの飛行中に飛行荷重を分担するように構成されている。一例においては、翼弦方向構造コンポーネント140は、関節式アペンデージ106のリブを含むか、或いは、その形態をとる。いくつかの例においては、外板パネル142は、飛行用構成112及び/又は地上用構成において、関節式アペンデージ106に加わる荷重を分担するように構成された応力外皮構造(stressed skin construction)を有する。
【0080】
一例においては、翼幅方向構造コンポーネント138は、少なくとも1つの内側翼幅構造コンポーネント188を含み、翼弦方向構造コンポーネント140は、少なくとも1つの内側翼弦方向構造コンポーネント190を含み、外板パネル142は、内側翼セグメント114を形成する一対の(例えば、上下の)内側外板パネル200を含む。一例においては、翼幅方向構造コンポーネント138は、少なくとも1つの中間翼幅構造コンポーネント192を含み、翼弦方向構造コンポーネント140は、少なくとも1つの中間翼弦方向構造コンポーネント194を含み、外板パネル142は、中間翼セグメント116を形成する一対の(例えば、上下の)中間外板パネル202を含む。一例においては、翼幅方向構造コンポーネント138は、少なくとも1つの外側翼幅構造コンポーネント196を含み、翼弦方向構造コンポーネント140は、少なくとも1つの外側翼弦方向構造コンポーネント198を含み、外板パネル142は、外側翼セグメント120を形成する一対の(例えば、上下の)外側外板パネル204を含む。
【0081】
図31~33を参照すると、いくつかの例においては、関節式アペンデージ106は、第1枢動ジョイント184、すなわち内側枢動ジョイントを含む。一例においては、第1枢動ジョイント184は、内側翼幅構造コンポーネント188と中間翼幅構造コンポーネント192とを枢動可能に接続することにより、内側翼セグメント114に対する中間翼セグメント116の枢動を可能にしている。一例においては、第1枢動ジョイント184は、第1枢動軸118を規定している。
【0082】
いくつかの例においては、関節式アペンデージ106は、第2枢動ジョイント186、すなわち外側枢動ジョイントを含む。一例においては、第2枢動ジョイント186は、中間翼幅構造コンポーネント192と外側翼幅構造コンポーネント196とを枢動可能に接続することにより、中間翼セグメント116に対する外側翼セグメント120の枢動を可能にしている。一例においては、第2枢動ジョイント186は第2枢動軸122を規定している。
【0083】
いくつかの他の例においては、関節式アペンデージ106、及び/又は、各翼セグメント108は、図示した例以外の構造形態を有しうる。一例においては、関節式アペンデージ106、及び/又は、各翼セグメント108は、トラス型の内部構造フレームと、当該内部構造フレームに接続された複数の空力フェアリング(aerodynamic fairings)とを含み、これらによって、関節式アペンデージ106、及び/又は、各翼セグメント108の翼形状が画定されている。この例においては、内部構造フレームは、内側フレームセクションと、第1枢動ジョイント184によって当該内側フレームセクションに枢動可能に接続された中間フレームセクションと、第2枢動ジョイント186によって当該中間フレームセクションに枢動可能に接続された外側フレームセクションと、を含む。
【0084】
いくつかの例においては、内側翼幅構造コンポーネント188は、内側翼幅方向軸126と平行に延びている。いくつかの例においては、中間翼幅構造コンポーネント192は、中間翼幅方向軸128と平行に延びている。いくつかの例においては、外側翼幅構造コンポーネント196は、外側翼幅方向軸164と平行に延びている。
【0085】
いくつかの例においては、第1枢動接合部176は、内側外板パネル200と中間外板パネル202との間に形成されている。第2枢動接合部178は、中間外板パネル202と外側外板パネル204との間に形成されている。第1枢動接合部176は、第1枢動ジョイント184を収容するように構成されている。第2枢動接合部178は、第2枢動ジョイント186を収容するように構成されている。
【0086】
図32及び33を参照すると、いくつかの例においては、関節式アペンデージ106は、当該関節式アペンデージ106の外側端152に配置又は接続された脚部206を含む。関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定されている場合、脚部206は、離陸及び/又は着陸中、離着陸面に接触するように構成されている。一例においては、脚部206は、第2枢動ジョイント186とは反対側に位置する、外側翼セグメント120の自由端に接続しているか、或いはこれと一体化している。脚部206は、離着陸面との接触を最大限にするように設計された様々な構成又は輪郭形状のうちの任意の1つを有しうる。一例においては、脚部206は、角度付けされている。一例においては、脚部206は、翼弦方向に見て、丸み付けされているか、或いは、湾曲した輪郭形状を有している。
【0087】
図34を参照すると、いくつかの例においては、中間翼セグメント116は、中間翼幅方向軸128を中心として内側翼セグメント114に対して回転可能である。内側翼セグメント114に対する中間翼セグメント116の回転運動により、飛行用構成112において、関節式アペンデージ106の空力特性を変化させることができる。また、一例においては、内側翼セグメント114に対する中間翼セグメント116の回転運動により、中間翼セグメント116及び外側翼セグメント120などの、関節式アペンデージ106の一部の迎え角(angle of attack)を調節することができる。
【0088】
図35を参照すると、いくつかの例においては、外側翼セグメント120は、外側翼幅方向軸164を中心として中間翼セグメント116に対して回転可能である。中間翼セグメント116に対する外側翼セグメント120の回転運動により、飛行用構成112において、関節式アペンデージ106の空力特性を変化させることができる。一例においては、中間翼セグメント116に対する外側翼セグメント120の回転運動により、外側翼セグメント120などの、関節式アペンデージ106の一部の迎え角を調節することができる。
【0089】
いくつかの例においては、内側翼セグメント114に対する中間翼セグメント116の回転運動、及び/又は、中間翼セグメント116に対する外側翼セグメント120の回転運動により、中間翼セグメント116、及び/又は、外側翼セグメント120が、動翼として機能して、例えば、飛行中に回転が行われると、関節式アペンデージ106を横切る気流を調節することができる。したがって、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合、一対の関節式アペンデージ106の各々における複数の翼セグメント108のうちの少なくとも1つを回転させることにより、ビークル100の飛行中、当該ビークル100のピッチ及び/又はロール(姿勢)を制御することができる。
【0090】
図34及び35を参照すると、いくつかの例においては、関節式アペンデージ106は、第1回転ジョイント208を含む。一例においては、第1回転ジョイント208は、内側翼幅構造コンポーネント188と中間翼幅構造コンポーネント192とを回転可能に接続することにより、内側翼セグメント114に対する中間翼セグメント116の回転を可能にしている。一例においては、第1回転ジョイント208は、中間翼幅方向軸128と一致しているか、或いはこれに平行する第1回転軸を規定している。
【0091】
いくつかの例においては、関節式アペンデージ106は、第2回転ジョイント210を含む。一例においては、第2回転ジョイント210は、外側翼幅構造コンポーネント196と中間翼幅構造コンポーネント192とを回転可能に接続することにより、中間翼セグメント116に対する外側翼セグメント120の回転を可能にしている。一例においては、第2回転ジョイント210は、外側翼幅方向軸164と一致しているか、或いはこれに平行する第2回転軸を規定している。
【0092】
図1を参照すると、いくつかの例においては、装置104は、少なくとも1つの枢動アクチュエータ212を含む。枢動アクチュエータ212は、第1枢動ジョイント184及び第2枢動ジョイント186と動作可能に接続している。枢動アクチュエータ212は、内側翼セグメント114に対して中間翼セグメント116を選択的に枢動させるか、或いは、中間翼セグメント116に対して外側翼セグメント120を選択的に枢動させるか、のうちの少なくとも一方を行うことにより、関節式アペンデージ106の位置及び/又は配向を選択的に調節するように構成されている。
【0093】
枢動アクチュエータ212は、任意の適切なタイプの制御可能な作動機構であってもよい。一例においては、枢動アクチュエータ212は、リニアアクチュエータである。一例においては、枢動アクチュエータ212は、回転アクチュエータである。いくつかの例においては、枢動アクチュエータ212は、第1枢動ジョイント184、及び/又は、第2枢動ジョイント186の枢動を制御するように構成された、油圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、機械式若しくは電気機械式のアクチュエータ、又は、他の適切なタイプの作動機構のうちの1つを含む。いくつかの例においては、枢動アクチュエータ212は、ステッピングモータ、サーボモータ、及び、選択的に制御可能な他の適切なタイプのモータを含む。
【0094】
いくつかの例においては、装置104は、第1枢動ジョイント184と第2枢動ジョイント186の両方を操作するように構成された1つの枢動アクチュエータ212を含む。いくつかの例においては、装置104は、複数の枢動アクチュエータ212を含み、これらのアクチュエータの各々は、第1枢動ジョイント184及び第2枢動ジョイント186のうちの対応する枢動ジョイントを操作するように構成されている。
【0095】
図1を参照すると、いくつかの例においては、装置104は、少なくとも1つの回転アクチュエータ214を含む。回転アクチュエータ214は、第1回転ジョイント208及び第2回転ジョイント210と動作可能に接続している。回転アクチュエータ214は、内側翼セグメント114に対して中間翼セグメント116を選択的に回転させるか、或いは、中間翼セグメント116に対して外側翼セグメント120を選択的に回転させるか、のうちの少なくとも一方を行うことにより、関節式アペンデージ106の位置及び/又は配向を選択的に調節するように構成されている。
【0096】
回転アクチュエータ214は、任意の適切なタイプの制御可能な作動機構であってもよい。一例においては、回転アクチュエータ214は、回転式のアクチュエータである。いくつかの例においては、回転アクチュエータ214は、第1回転ジョイント208、及び/又は、第2回転ジョイント210の回転を制御するように構成された、油圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、機械式若しくは電気機械式のアクチュエータ、又は、他の適切なタイプの作動機構のうちの1つを含む。いくつかの例においては、回転アクチュエータ214は、ステッピングモータ、サーボモータ、及び、選択的に制御可能な他の適切なタイプのモータを含む。
【0097】
いくつかの例においては、装置104は、第1回転ジョイント208と第2回転ジョイント210の両方を操作するように構成された1つの回転アクチュエータ214を含む。いくつかの例においては、装置104は、複数の回転アクチュエータ214を含み、これらのアクチュエータの各々は、第1回転ジョイント208及び第2回転ジョイント210のうちの対応する回転ジョイントを操作するように構成されている。
【0098】
図1を参照すると、いくつかの例においては、装置104は、少なくとも1つの枢動式動力伝達コンポーネント220を含む。枢動式動力伝達コンポーネント220は、枢動アクチュエータ212と動作可能に接続するとともに、第1枢動ジョイント184及び/又は第2枢動ジョイント186と動作可能に接続している。枢動式動力伝達コンポーネント220は、第1枢動ジョイント184及び/又は第2枢動ジョイント186のうちの対応する一方に対して、枢動アクチュエータ212から動力を伝達して、内側翼セグメント114に対して中間翼セグメント116を選択的に枢動させるように、及び/又は、中間翼セグメント116に対して外側翼セグメント120を選択的に枢動させるように、構成されている。
【0099】
枢動式動力伝達コンポーネント220は、任意の適切なタイプの動力伝達機構であってもよい。いくつかの例においては、枢動式動力伝達コンポーネント220は、歯車列(gear train)、チェーン、ベルトなどのうちの1つである。いくつかの例においては、装置104は、第1枢動ジョイント184と第2枢動ジョイント186の両方を操作するように構成された1つの枢動式動力伝達コンポーネント220を含む。いくつかの例においては、装置104は、複数の枢動式動力伝達コンポーネント220を含み、これらのコンポーネントの各々は、第1枢動ジョイント184及び第2枢動ジョイント186のうちの対応する枢動ジョイントを操作するように構成されている。
【0100】
図1を参照すると、いくつかの例においては、装置104は、少なくとも1つの回転型動力伝達コンポーネント222を含む。回転型動力伝達コンポーネント222は、回転アクチュエータ214と動作可能に接続するとともに、第1回転ジョイント208及び/又は第2回転ジョイント210と動作可能に接続している。回転型動力伝達コンポーネント222は、第1回転ジョイント208及び/又は第2回転ジョイント210のうちの対応する一方に対して、回転アクチュエータ214から動力を伝達して、内側翼セグメント114に対して中間翼セグメント116を選択的に回転させるように、及び/又は、中間翼セグメント116に対して外側翼セグメント120を選択的に回転させるように、構成されている。
【0101】
回転型動力伝達コンポーネント222は、任意の適切なタイプの動力伝達機構であってもよい。いくつかの例においては、回転型動力伝達コンポーネント222は、歯車列、チェーン、ベルトなどのうちの1つである。いくつかの例においては、装置104は、第1回転ジョイント208と第2回転ジョイント210の両方を操作するように構成された1つの回転型動力伝達コンポーネント222を含む。いくつかの例においては、装置104は、複数の回転型動力伝達コンポーネント222を含み、これらのコンポーネントの各々は、第1回転ジョイント208及び第2回転ジョイント210のうちの対応する一方の回転ジョイントを操作するように構成されている。
【0102】
図1を参照すると、いくつかの例においては、装置104は、少なくとも1つの枢動ロック216を含む。枢動ロック216は、第1枢動ジョイント184、及び/又は、第2枢動ジョイント186と動作可能に接続している。枢動ロック216は、ビークル100の飛行中、関節式アペンデージ106を飛行用構成112で選択的に固定し、ビークル100の離陸及び/又は着陸中に関節式アペンデージ106を地上用構成110で選択的に固定するように動作可能である。いくつかの例においては、枢動ロック216は、内側翼セグメント114に対して中間翼セグメント116を固定するため、及び/又は、中間翼セグメント116に対して外側翼セグメント120を固定するために、第1枢動ジョイント184、及び/又は、第2枢動ジョイント186のうちの対応する一方の枢動ジョイントを選択的に枢動させた位置で固定するように構成されている。
【0103】
枢動ロック216は、任意の適切なタイプのロック機構であってもよい。枢動ロック216の枢動ロック機能は、選択的に制御される様々なロック機構によって、様々な方法で実現される。一例においては、枢動を操作するために用いられる枢動アクチュエータ212、及び/又は、枢動型動力伝達コンポーネント220は、逆駆動不可であってもよい。なお、本開示において、「逆駆動不可」なる用語は、機構の基本的な配向により、一方向にのみ駆動可能な伝達機構を指す。そのような逆駆動不可の機構としては、例えば、ウォームギア(worm gears)や親ネジ(lead screws)などがある。強力な親ネジは、標準の構造要素(例えば、スチール棒)とほぼ同じ程度の剛性を有しうる。一例においては、枢動を操作するために用いられる枢動アクチュエータ212、及び/又は、枢動動力伝達コンポーネント220は、逆駆動可能であってもよい。そのような逆駆動可能な機構としては、例えば、所望の枢動位置にあるときに、全ての流体(例えば、油圧流体や空気)のポートを閉塞する油圧ピストンや空圧ピストンがある。逆駆動可能な機構は、離着陸中に関節式アペンデージ106を選択的に動作させるための制御アルゴリズムを実行する際に、有利であろう。強力な油圧ピストンは、標準の構造要素(例えば、スチール棒)とほぼ同じ程度の剛性を有しうる。一例においては、枢動ロック216の枢動ロック機能は、対応する枢動ジョイント(例えば、第1枢動ジョイント184、及び/又は、第2枢動ジョイント186)に対して、開閉する別個のアクチュエータを有する任意のタイプのブレーキやロックを取り付けることによって、実現される。一例においては、枢動ロック216は、ロック部材と、当該ロック部材に動作可能に接続されるとともに、ロック位置とロック解除位置との間で当該ロック部材を動作させるロックアクチュエータとを含む。ロック部材がロック構成又はロック位置に設定されている場合、ロック部材は、その動作に垂直な非常に大きい負荷に耐えることができる。一例においては、選択的に動作可能なロック部材を用いる枢動ロック216、及び、ロックアクチュエータは、逆駆動可能な枢動アクチュエータ212、及び/又は、枢動動力伝達コンポーネント220と共に使用することができる。
【0104】
いくつかの例においては、装置104は、第1枢動ジョイント184と第2枢動ジョイント186の両方を固定するように構成された1つの枢動ロック216を含む。いくつかの例においては、装置104は、複数の枢動ロック216を含み、これらの枢動ロックの各々は、第1枢動ジョイント184及び第2枢動ジョイント186のうちの対応する一方の枢動ジョイントを固定するように構成されている。
【0105】
図1を参照すると、いくつかの例においては、装置104は、少なくとも1つの回転ロック218を含む。回転ロック218は、第1回転ジョイント208、及び/又は、第2回転ジョイント210と機能接続している。回転ロック218は、ビークル100の飛行中、関節式アペンデージ106を飛行用構成112で選択的に固定するように動作可能である。いくつかの例においては、回転ロック218は、内側翼セグメント114に対して中間翼セグメント116を固定するため、及び/又は、中間翼セグメント116に対して外側翼セグメント120を固定するために、第1回転ジョイント208、及び/又は、第2回転ジョイント210のうちの対応する一方の回転ジョイントを選択的に回転させた位置で固定するように構成されている。
【0106】
回転ロック218は、任意の適切なタイプのロック機構であってもよい。回転ロック218の回転ロック機能は、選択的に制御される様々なロック機構によって、様々な方法で実現される。一例においては、回転を操作するために用いられる回転アクチュエータ214、及び/又は、回転型動力伝達コンポーネント222は、逆駆動不可であってもよい。一例においては、回転を操作するために用いられる回転アクチュエータ214、及び/又は、回転型動力伝達コンポーネント222は、逆駆動可能であってもよい。一例においては、回転ロック218の回転ロック機能は、対応する回転ジョイント(例えば、第1回転ジョイント208、及び/又は、第2回転ジョイント210)に対して、開閉する別個のアクチュエータを有する任意のタイプのブレーキやロックを取り付けることによって、実現される。
【0107】
いくつかの例においては、装置104は、第1回転ジョイント208と第2回転ジョイント210の両方を固定するように構成された1つの回転ロック218を含む。いくつかの例においては、装置104は、複数の回転ロック218を含み、これらの回転ロックの各々は、第1回転ジョイント208及び第2回転ジョイント210のうちの対応する一方の回転ジョイントを操作するように構成されている。
【0108】
図1を参照すると、いくつかの例においては、装置104は、さらに、コントローラ134を含む。コントローラ134は、関節式アペンデージ106を動作させるように構成されている。コントローラ134は、飛行用構成112と地上用構成110との間で関節式アペンデージ106を動作させるために、当該関節式アペンデージ106の選択的な作動を制御するように動作可能である。いくつかの例においては、コントローラ134は、ビークルにおける各関節式アペンデージ106の選択的な作動を独立して制御するように動作可能である。すなわち、コントローラ134は、ビークル100の飛行中、及び、ビークル100の離着陸中に、対応する一対の関節式アペンデージ106の各々の位置、及び/又は、配向を選択的且つ独立して制御するように構成されている。
【0109】
いくつかの例においては、コントローラ134は、枢動アクチュエータ212に対して動作可能に、或いは、通信可能に(例えば、電気的に)接続されている。コントローラ134は、内側翼セグメント114に対する中間翼セグメント116の枢動を選択的に制御するため、及び/又は、中間翼セグメント116に対する外側翼セグメント120の枢動を選択的に制御するために、枢動アクチュエータ212の作動を選択的に制御するように動作可能である。
【0110】
いくつかの例においては、コントローラ134は、回転アクチュエータ214に対して動作可能に、或いは、通信可能に接続されている。コントローラ134は、内側翼セグメント114に対する中間翼セグメント116の回転を選択的に制御するため、及び/又は、中間翼セグメント116に対する外側翼セグメント120の回転を選択的に制御するために、回転アクチュエータ214の作動を選択的に制御するように動作可能である。
【0111】
コントローラ134は、制御対象の装置(例えば、枢動アクチュエータ212、及び/又は、回転アクチュエータ214)から所望の結果を得るために命令信号を生成及び通信することが可能な、任意の適切な制御装置又はシステムであってもよい。一例においては、コントローラ134は、マイクロプロセッサを含む。一例において、コントローラ134は、コンピュータシステム(例えば、1つ以上のコンピュータ)において実現される。いくつかの例においては、コントローラ134は、ハードウェア、ソフトウェア、又は、ハードウェアとソフトウェアとの組合せによって実現される。ソフトウェアを使用する場合、実行される機能は、コンピュータ可読記憶媒体(例えば、非一時的コンピュータ可読記憶媒体)に保存されるとともに、プロセッサにより実行可能に構成されたプログラムコード又は命令として実現される。
ハードウェアを使用する場合、そのハードウェアは、機能を実行するように動作する回路を含みうる。
【0112】
いくつかの例においては、ハードウェアは、複数の機能を実行するように構成された、回路システム、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス、又は、適切な種類の他のハードウェアの形態をとりうる。プログラマブル論理デバイスを使用する場合、複数の機能を実行するデバイスを構成可能である。このデバイスは、複数の機能を実現するように、後に再構成したり、永続的に構成したりすることが可能である。プログラマブル論理デバイスの例としては、プログラマブルロジックアレイ、プログラマブルアレイロジック、フィールドプログラマブルロジックアレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び、他の適切なハードウェアデバイスが挙げられる。
【0113】
図1を参照すると、いくつかの例においては、装置104は、少なくとも1つのセンサ136を含む。センサ136は、コントローラ134に通信可能に接続している。関節式アペンデージ106が地上用構成110に設定されている場合、センサ136は、ビークル100の離陸及び/又は着陸中、離着陸面を検出するように動作可能である。コントローラ134は、センサ136により提供された情報に基づいて、関節式アペンデージ106、又は、各翼セグメント108を動作させるタイミング、及び、当該動作の程度を決定する。
【0114】
いくつかの例においては、センサ136は、関節式アペンデージ106の外側端152に近接して(例えば、外側端又はその近くに)配置されている。いくつかの例においては、
図32に示すように、センサ136は、関節式アペンデージ106の脚部206に接続されている。
【0115】
センサ136は、離着陸面の存在、ビークル100に対する離着陸面の相対的な動き、及び/又は、離着陸面の傾斜を特定可能に構成された任意の適切なタイプの検出装置であってもよい。一例においては、センサ136は、表面の構成を検出又は読み取るように動作する光センサである。一例においては、センサ136は、関節式アペンデージ106がタッチダウン(touches down)した時点(例えば、脚部206が表面に接触した時点)を検出するように動作可能な圧力センサである。一例においては、センサ136はまた、離着陸面によってどの程度の圧力が関節式アペンデージ106に加わっているのかを検出するように動作可能である。
【0116】
図1を参照すると、いくつかの例においては、装置104は、エンコーダ224を含む。エンコーダ224は、コントローラ134に通信可能に接続している。エンコーダ224もまた、枢動アクチュエータ212に通信可能に接続されており、内側翼セグメント114に対する中間翼セグメント116の相対的な枢動位置や配向、及び/又は、中間翼セグメント116に対する外側翼セグメント120の相対的な枢動位置や配向を特定する。エンコーダ224は、さらに、回転アクチュエータ214に通信可能に接続されており、内側翼セグメント114に対する中間翼セグメント116の相対的な回転位置や配向、及び/又は、中間翼セグメント116に対する外側翼セグメント120の相対的な回転位置や配向を特定する。エンコーダ224は、関節式アペンデージ106の翼セグメント108の各々の枢動位置、及び/又は、回転位置を相関させる位置データを、コントローラ134に提供するように動作可能である。コントローラ134は、飛行用構成112、又は、地上用構成110のうち対応する一方に関節式アペンデージ106を配置するために、エンコーダ224により提供された位置データに基づいて、関節式アペンデージ106、又は、各翼セグメント108を動作させるタイミング、及び、当該動作の程度を決定するように構成されている。
【0117】
いくつかの例においては、コントローラ134は、1つ以上の動作制御アルゴリズム226を実行するように動作可能である。一例においては、動作制御アルゴリズム226は、ソフトウェアプログラム、又は、コントローラ134の制御ロジックにより実現される。動作制御アルゴリズム226は、関節式アペンデージ106の動作及び位置を、ビークル100の飛行中は飛行用構成112に設定し、ビークル100の離着陸中は地上用構成110に設定する。
【0118】
いくつかの例においては、動作制御アルゴリズム226は、ビークル100が着陸する際、ビークル100のピッチ及びロールを継続して監視するように、コントローラ134に指示する。この例においては、上記ロジックは、必要に応じて関節式アペンデージ106に対して動きを指示することで、ビークル100のピッチ角及びロール角をほぼゼロに保つ。いくつかの例においては、動作制御アルゴリズム226は、コントローラ134が、関節式アペンデージ106の第1枢動ジョイント184、及び/又は、第2枢動ジョイント186に対して命令を送信するように当該コントローラに指示を与えるが、このコントローラの命令は、関節式アペンデージ106がタッチダウンする際に、これらの第1及び第2の枢動ジョイントに対して、自由に曲がることを指示するものである。例えば、センサ136から読み取った圧力が、ビークル100の所定の重量パーセントに到達すると、コントローラ134は、関節式アペンデージ106の位置を固定することを、枢動ロック216に命令する。
【0119】
いくつかの例においては、動作制御アルゴリズム226は、ジョイントを選択的に調節するために、コントローラ134に対して、ピッチ及びロールの読取り値を監視するとともに、センサ136及びエンコーダ224からの情報及びデータをフィードバックループに含めるように指示する。いくつかの例においては、コントローラ134は、予めプログラムされた所定の動作にアクセスを行う。
【0120】
図36を参照すると、ビークル100を操作するための方法1000が、さらに開示されている。方法1000の例においては、ビークル100の飛行中、及び、離着陸中に当該ビークルを操作するために、本開示の装置104が用いられる。
【0121】
一例においては、方法1000は、ビークル100の胴体102に接続された一対の関節式アペンデージ106の各々における複数の翼セグメント108のうちの少なくとも1つを枢動させて飛行用構成112に設定し、当該飛行用構成において、一対の関節式アペンデージ106の各々が、ビークル100の飛行中に揚力を生成するようにするステップを含む(ブロック1002)。
【0122】
一例においては、方法1000は、ビークル100の胴体102に接続された一対の関節式アペンデージ106の各々における複数の翼セグメント108のうちの少なくとも1つを枢動させて地上用構成110に設定し、当該地上用構成において、一対の関節式アペンデージ106の各々が、ビークル100の離着陸中にビークル100を支持するようにするステップを含む(ブロック1004)。
【0123】
一例においては、方法1000は、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合に、一対の関節式アペンデージ106の各々における複数の翼セグメント108のうちの少なくとも1つを枢動させて、ビークル100の飛行中にビークル100の姿勢を制御するステップを含む(ブロック1006)。
【0124】
一例においては、方法1000は、関節式アペンデージ106が飛行用構成112に設定されている場合に、一対の関節式アペンデージ106の各々における複数の翼セグメント108のうちの少なくとも1つを回転させて、ビークル100の飛行中にビークル100の姿勢を制御するステップを含む(ブロック1008)。
【0125】
本明細書で開示されるビークル100、装置104、及び、方法1000の例は、様々な用途に使用可能であり、特に、航空宇宙を例とする輸送業における用途において使用可能である。次に
図37及び38を参照すると、ビークル100、装置104、及び、方法1000の実施例は、
図37のフロー図に示す航空機の製造及び保守方法1100に関連させ、また、
図38に示す航空機1200に関連させて使用することができる。本開示の実施形態における航空機に関連する用途は、航空機1200の飛行中に揚力を生成する翼の機能及び動作と、航空機1200の離着陸中に地上で支持を行う着陸ギアの機能及び動作とを組み合わせて提供するために、航空機1200に対して複数の関節式アペンデージ106などの装置104を使用することを含みうる。いくつかの例においては、複数の翼セグメント108を枢動及び回転させることにより、これらの翼セグメントをビークル100の動翼として機能させることができる。
【0126】
図37に示すように、生産開始前の工程として、例示的な方法1100は、航空機1200の仕様決定及び設計(ブロック1102)と、材料調達(ブロック1104)とを含みうる。航空機1200の生産中の工程としては、航空機1200の部品及び小組立品の製造(ブロック1106)及びシステムインテグレーション(ブロック1108)が行われる。その後、航空機1200は、認証及び納品(ブロック1110)を経て、就航に入る(ブロック1112)。本開示の装置104、並びに、方法1000及び2000は、部品及び小組立品の製造(ブロック1106)、及び/又は、システムインテグレーション(ブロック1108)の一部として実現されてもよい。定例の整備及び保守(ブロック1114)には、航空機1200の1つ以上のシステムの改良、再構成、改修などが含まれうる。
【0127】
図37に示す方法1100の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施することができる。なお、システムインテグレータは、航空機メーカ及び主要システム下請業者をいくつ含んでもよいが、これに限定されない。第三者は、売主、下請業者、及び、供給業者をいくつ含んでもよいが、これに限定されない。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織等であってもよい。
【0128】
図38に示すように、例えば、方法1100により製造される航空機1200は、機体1202と、複数の高水準システム1204と、内装1206とを含みうる。高水準システム1204の例には、推進システム144(
図1)などの推進システム1208、電気システム1210、油圧システム1212、及び、環境システム1214のうちの1つ又は複数が含まれる。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。
【0129】
本明細書において図示又は説明した装置104及び方法1000の例は、
図37に示すフロー図に示す製造及び保守方法1100の任意の1つ以上の工程において採用することができる。例えば、装置104を含む部品及び小組立品などの、部品及び小組立品の製造(ブロック1106)に対応する部品及び小組立品は、航空機1200の就航中(ブロック1112)に製造される部品又は小組立品と同様の方法で製造することができる。また、装置104、方法1000、又は、これらの組合せについての1つ以上の例を生産工程中(ブロック1108及び1110)に用いてもよい。同様に、装置104、方法1000、又は、これらの組合せについての1つ以上の例を、例えば、限定するものではないが、航空機1200の就航中(ブロック1112)、並びに、整備及び保守の工程(ブロック1114)において採用することもできる。
【0130】
さらに、本開示は、以下の付記による実施形態も含む。
【0131】
付記1.縦軸を含む胴体と、
前記胴体に接続された推進システムと、
前記胴体に接続された一対の関節式アペンデージと、を含むビークルであって、前記一対の関節式アペンデージの各々は、複数の翼セグメントを含み、前記ビークルの離着陸中に前記一対の関節式アペンデージの各々が前記ビークルを支持する地上用構成と、前記ビークルの飛行中に前記一対の関節式アペンデージの各々が揚力を生成する飛行用構成との間を移行可能である、ビークル。
【0132】
付記2.前記一対の関節式アペンデージの各々における前記複数の翼セグメントは、
前記胴体に接続された内側翼セグメントと、
第1枢動軸に沿って前記内側翼セグメントに枢動可能に接続された中間翼セグメントと、
第2枢動軸に沿って前記中間翼セグメントに枢動可能に接続された外側翼セグメントと、を含む、付記1に記載のビークル。
【0133】
付記3.前記内側翼セグメントは、前記ビークルの前記胴体に対して固定されている、付記2に記載のビークル。
【0134】
付記4.前記中間翼セグメントは、前記第1枢動軸を中心として、前記内側翼セグメントに対して上下に枢動可能である、付記2又は3に記載のビークル。
【0135】
付記5.前記外側翼セグメントは、前記第2枢動軸を中心として、前記中間翼セグメントに対して上下に枢動可能である、付記2~4のいずれか1つに記載のビークル。
【0136】
付記6.前記中間翼セグメントは、中間翼幅方向軸を含み、
前記中間翼セグメントは、前記中間翼幅方向軸を中心として前記内側翼セグメントに対して回転可能である、付記2~5のいずれか1つに記載のビークル。
【0137】
付記7.前記外側翼セグメントは、外側翼幅方向軸を含み、
前記外側翼セグメントは、前記外側翼幅方向軸を中心として前記中間翼セグメントに対して回転可能である、付記2~6のいずれか1つに記載のビークル。
【0138】
付記8.前記第1枢動軸は、前記胴体の前記縦軸に平行である、付記2~7のいずれか1つに記載のビークル。
【0139】
付記9.前記第1枢動軸は、前記胴体の前記縦軸に対して傾斜している、付記2~7のいずれか1つに記載のビークル。
【0140】
付記10.前記第2枢動軸は、前記胴体の前記縦軸に平行である、付記2~7のいずれか1つに記載のビークル。
【0141】
付記11.前記第2枢動軸は、前記胴体の前記縦軸に対して傾斜している、付記2~7のいずれか1つに記載のビークル。
【0142】
付記12.前記第1枢動軸、及び、前記第2枢動軸は、互いに平行である、付記2~8のいずれか1つに記載のビークル。
【0143】
付記13.前記第1枢動軸、及び、前記第2枢動軸は、互いに傾斜している、付記2~7のいずれか1つに記載のビークル。
【0144】
付記14.前記一対の関節式アペンデージの各々を独立して動作させるように構成されたコントローラをさらに含む、先行する付記のいずれかに記載のビークル。
【0145】
付記15.前記一対の関節式アペンデージの各々は、センサをさらに含み、前記センサは、前記コントローラに通信可能に接続されるとともに、前記ビークルの離着陸中において着陸面を検出するように構成されている、付記14に記載のビークル。
【0146】
付記16.前記一対の関節式アペンデージの各々は、
翼幅方向寸法、及び、翼弦方向寸法と、
前記翼幅方向寸法に沿って延びる複数の翼幅方向構造コンポーネントと、
前記翼幅方向構造コンポーネントに接続されるとともに、前記翼弦方向寸法に沿って延びる複数の翼弦方向構造コンポーネントと、
前記翼弦方向構造コンポーネントに接続された複数の外板パネルと、をさらに含む、先行する付記のいずれかに記載のビークル。
【0147】
付記17.前記胴体に接続された一対の第2関節式アペンデージをさらに含み、前記一対の第2関節式アペンデージの各々は、複数の第2翼セグメントを含み、前記ビークルの離着陸中に前記一対の第2関節式アペンデージの各々が前記ビークルを支持する地上用構成と、前記ビークルの飛行中に前記一対の第2関節式アペンデージの各々が揚力を生成する飛行用構成との間を移行可能である、先行する付記のいずれかに記載のビークル。
【0148】
付記18.ビークルのための飛行/地上両用装置であって、
複数の翼セグメントを含む関節式アペンデージであって、前記ビークルの離着陸中に前記関節式アペンデージが前記ビークルを支持する地上用構成と、前記ビークルの飛行中に前記関節式アペンデージが揚力を生成する飛行用構成との間を移行可能な関節式アペンデージと、
前記関節式アペンデージを動作させるように構成されたコントローラと、を含む、飛行/地上両用装置。
【0149】
付記19.ビークルを操作するための方法であって、
前記ビークルの胴体に接続された一対の関節式アペンデージの各々における複数の翼セグメントのうちの少なくとも1つを枢動させて飛行用構成に設定し、当該飛行用構成において、前記一対の関節式アペンデージの各々が、前記ビークルの飛行中に揚力を生成するようにし、
前記一対の関節式アペンデージの各々における前記複数の翼セグメントのうちの少なくとも1つを枢動させて地上用構成に設定し、当該地上用構成において、前記一対の関節式アペンデージの各々が、前記ビークルの離着陸中に前記ビークルを支持するようにする、方法。
【0150】
付記20.前記一対の関節式アペンデージの各々における前記複数の翼セグメントのうちの少なくとも1つを枢動させること、及び、回転させること、のうちの少なくともいずれか一方を行って、前記ビークルの飛行中に前記ビークルの姿勢を制御することを、さらに含む、付記19に記載の方法。
【0151】
なお、ここでは航空宇宙産業に用いた場合の例を示しているが、本開示の原理は、他の産業にも使用することができる。したがって、本開示の原理は、航空機だけでなく、他のビークル(例えば、宇宙船、自律飛行体、水中航走体など)にも適用することができる。
【0152】
本明細書において、「例」とは、その例に関連して説明する1つ以上の特徴、構造、要素、コンポーネント、特性、及び/又は、動作ステップが、本開示による少なくとも1つの実施形態、及び/又は、技術的事項の実施態様に含まれていることを意味する。したがって、本開示において「例」、又は、これに類する用語が、同じ例について言及している場合もあるが、必ずしもそうとは限らない。さらに、1つの例を特徴付ける技術的事項が、他の例を特徴付ける技術的事項を含む場合もあるが、必ずしもそうとは限らない。
【0153】
本明細書において、特定の機能を実行するように「構成された(configured to)」システム、装置、構造、物品(article)、要素、部品、又は、ハードウェアは、一切の変更を要することなくその特定の機能を実行できるものを指し、何らかの変更を施せばその特定の機能を実行する可能性のあるものを指すのではない。言い換えれば、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、部品、又は、ハードウェアは、その特定の機能を実行することを目的として、具体的に選択、作製、実施、利用、プログラム化、及び/又は、設計されたものを指す。本明細書において、「構成された」ということは、システム、装置、構造、物品、要素、部品、又は、ハードウェアが既に備えている特性に言及するものであり、この特性により、当該システム、装置、構造、物品、要素、部品、又は、ハードウェアは、一切の変更を要することなくその特定の機能を実行することができる。本開示において、特定の機能を実行するように「構成された」と記載されるシステム、装置、構造、物品、要素、部品、又は、ハードウェアは、この記載に加えて、或いは、この記載に代えて、当該機能を実行するように「適合化された(adapted to)」、及び/又は、「動作可能な(operative to)」ものとして記載される場合もある。
【0154】
別段の示唆がない限り、「第1」、「第2」などの用語は、本明細書において、単に標識として用いられており、これらの用語が言及する要素に対して、順序、位置、又は、階層的な要件を課すものではない。さらに、「第2」の要素について言及することによって、より小さい序数の要素(例えば、「第1」の要素)、及び/又は、より大きい序数の要素(例えば、「第3」の要素)の存在を要件としたり、排除したりするものではない。
【0155】
本明細書において、「接続された」、「接続する」、及び、これに類する用語は、(例えば、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁気的に)相互に接合、結合、固定、連結、通信、又は、関連付けられている2つ以上の要素を指す。様々な例において、これらの要素は、直接、或いは間接的に関連付けられている。一例として、要素Aは、要素Bと直接関連付けられていてもよい。他の例として、要素Aは、例えば、他の要素Cを介して、要素Bと間接的に関連付けられていてもよい。なお、本開示の様々な要素間の関係が必ずしも全て示されているわけではない。したがって、図示したもの以外の接続が存在することもありうる。
【0156】
本明細書において、「少なくとも1つの」という語句が、要素の列挙とともに用いられる場合、列挙された要素のうちの1つ又は複数を様々な組み合わせで使用する場合もあるし、列挙された要素のうちの1つのみを必要とする場合もあることを意味する。例えば、「要素A、要素B、及び、要素Cのうちの少なくとも1つ」は、限定するものではないが、要素Aを含む場合もあるし、要素Aと要素Bを含む場合もある。また、この例においては、要素Aと要素Bと要素Cとを含む場合もあるし、要素Bと要素Cとを含む場合もある。場合によっては、「少なくとも1つ」は、例えば、限定するものではないが、2個の要素Aと、1個の要素Bと、10個の要素C;4個の要素Bと7個の要素C;又は、他の適切な組み合わせを意味する。
【0157】
本明細書において「約」なる用語は、記載した数量又は値に近い量であって、所望の機能を果たすか、或いは所望の結果をもたらす量を示す。例えば、「約」なる用語は、記載した数量又は値の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、及び、0.01%未満の範囲の量を指す場合がある。
【0158】
先に言及した
図1及び
図38において、各ブロックは、要素、コンポーネント、及び/又は、その一部を示しており、様々な要素、及び/又は、コンポーネントを繋ぐ実線が存在する場合、これらは、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁気的、及び、その他の接続、及び/又は、これらの組み合わせを示す。また、ブロック図に示す以外の接続も存在しうる。様々な要素、及び/又は、コンポーネントを示すブロック同士を繋ぐ破線が存在する場合、これらは、機能及び目的の面で、実線で表したものに類似する接続を示す。ただし、破線で示す接続は、選択的に設けられるもの、或いは、代替的な例に関するものである。同様に、破線で示す要素、及び/又は、コンポーネントが存在する場合、これらは、代替的な例を示している。実線や破線で示す1つ以上の要素を、本開示の範囲から逸脱することなく、ある特定の例から省くことも可能である。外部要素が存在する場合、これらは、点線で示されている。明確化のために、仮想上(想像上)の要素が図示されている場合もある。当業者であれば分かるように、
図1及び38に示す構成要素のいくつかは、
図1及び38、その他の図面、及び/又は、付随する開示に記載の他の構成要素を含むことなく様々な方法で組み合わせることができるが、そのような組み合わせは、本明細書において明確に例示されていなくても可能である。同様に、提示されている例に限定されない追加の構成要素を、本明細書で図示及び説明した構成要素の一部又は全てと組み合わせることも可能である。
【0159】
先に言及した
図36及び37において、ブロックは、工程、及び/又は、その一部を示しており、様々なブロック同士を繋ぐ線は、これらの工程、又は、その一部の特定の順序や従属関係を暗示するものではない。破線で示すブロックは、代替の工程、及び/又は、その一部を示す。様々なブロックを繋ぐ破線が存在する場合、これらは、工程、又は、その一部の代替的な従属関係を示す。なお、本開示の様々な工程間の従属関係が必ずしも全て示されているわけではない。
図36及び37、並びに、本明細書に記載する方法の工程を説明する付随の開示は、これらの工程の実行順序を必ずしも決定するものではない。むしろ、1つの例示的な順序が示されてはいるが、これらの工程の順序は適宜変更可能である。したがって、図示された工程に対して、変更、追加、及び/又は、削除を行うことが可能であり、また、工程のいくつかを、異なる順序で行ったり、同時に行ったりすることが可能である。さらに、当業者であれば分かるように、記載した工程の必ずしも全てを行う必要はない。
【0160】
本開示のビークル、装置、及び、方法の様々な例を図示、及び、説明してきたが、本明細書を読めば当業者には種々の変形が可能であろう。本願はそのような変形も包含し、請求の範囲によってのみ限定されるものとする。