(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】薬剤揮散体
(51)【国際特許分類】
A01M 1/20 20060101AFI20240118BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20240118BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A01M1/20 D
B65D83/00 F
B65D85/00 A
(21)【出願番号】P 2019175404
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】田丸 友裕
(72)【発明者】
【氏名】下方 宏文
(72)【発明者】
【氏名】中山 幸治
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-187797(JP,A)
【文献】実開昭63-028375(JP,U)
【文献】特開平10-115905(JP,A)
【文献】特開2002-114255(JP,A)
【文献】実開平01-058476(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0045317(US,A1)
【文献】特開2006-136313(JP,A)
【文献】特開2019-151334(JP,A)
【文献】特開2010-064797(JP,A)
【文献】特開2009-022164(JP,A)
【文献】特開2011-026290(JP,A)
【文献】特開平10-028508(JP,A)
【文献】特開2013-183701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00-99/00
B65D 83/00
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースから薬剤を取り出し可能な開状態と取り出し不能な閉状態とを切り替え可能にした薬剤揮散体であって、
前記ケースを構成する一対の第一ケース部及び第二ケース部と、
前記第一ケース部に付設された第一把持部と、
前記第二ケース部に付設された第二把持部と、
を備え、
前記第一把持部及び前記第二把持部に、一方の要所を凹ませることで他方に突出する滑り止め凸部が所定間隔を存して複数個形成されており、
前記ケースを前記閉状態にしたとき、正面視において、前記第一把持部及び前記第二把持部は、少なくとも一部が互いに接触していない離間状態で、
前記第一ケース部及び前記第二ケース部から互いに直交する方向に突出するように配置されている薬剤揮散体。
【請求項2】
前記離間状態は、前記ケースを前記閉状態にしたときの正面視において、前記第一把持部及び前記第二把持部の少なくとも一部が互いに重なっていない状態である請求項1に記載の薬剤揮散体。
【請求項3】
前記離間状態は、前記ケースを前記閉状態にしたときの正面視において、前記第一把持部及び前記第二把持部が互いに重なっていない状態である請求項1に記載の薬剤揮散体。
【請求項4】
前記離間状態は、前記ケースを前記閉状態にしたときの側面視において、前記第一把持部と前記第二把持部との間に隙間が存在する状態である請求項1~3の何れか一項に記載の薬剤揮散体。
【請求項5】
前記第一ケース部と前記第二ケース部とを接続するヒンジ部をさらに備え、
前記ヒンジ部を軸として、前記第一ケース部と前記第二ケース部とを回動させることにより、前記ケースの前記開状態と前記閉状態とを切り替え可能に構成してある請求項1~4の何れか一項に記載の薬剤揮散体。
【請求項6】
前記ケースを吊り下げるフック部が、前記第一ケース部又は前記第二ケース部の一方に設けられている請求項1~5の何れか一項に記載の薬剤揮散体。
【請求項7】
前記フック部は、使用可能な展開状態と使用しない折畳状態とを切り替え可能に構成してあり、
前記ケースを前記閉状態にしたとき、正面視において、前記展開状態にある前記フック部の基部と一部が重なるように、前記第一ケース部又は前記第二ケース部の他方に第三把持部が付設されている請求項6に記載の薬剤揮散体。
【請求項8】
前記薬剤は、害虫防除成分を含む薬液を含浸させた含浸体を不織布袋に収納したものである請求項1~7の何れか一項に記載の薬剤揮散体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースから薬剤を取り出し可能な開状態と取り出し不能な閉状態とを切り替え可能にした薬剤揮散体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、揮散性の薬剤を特定の担体に含浸させたものを通気性のある容器に収納して使用場所(例えばクローゼット等)に設置するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に係る薬剤揮散体においては、本体部及び蓋体部よりなる樹脂製の容器内に薬剤が収納されている。
【0004】
また、環境への配慮から、薬剤のみを新しいものに交換することができるタイプのものが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
特許文献2には、常温揮散性薬剤を含浸した粒状物を封入してなる板状の封入体を交換可能に収納する収納ケースに関する発明が開示されている。収納ケースの一側面には、封入体を挿入するための長孔状の挿入口が形成されている。封入体の詰め替えは、収納ケースから挿入口を通して古い封入体を抜き出し、その後、挿入口を通して新しい封入体を収納ケース内に挿入することによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-39112号公報
【文献】特開2013-183701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に係る薬剤揮散体は、本体部と蓋体部とが例えば超音波溶着等で固着されていて容器を開閉できる構造とはなっておらず、薬剤を詰め替えることについては考慮されていない。このため、使用後は容器ごと廃棄されることとなり、環境やコストの点では好ましいものではない。
【0008】
特許文献2に係る収納ケースは、再利用可能なものであるが、収納ケースの一側面に設けられた長孔状の挿入口に対し板状の封入体を出し入れする構造であるため、封入体の詰め替えの際、挿入口に対し封入体を片寄ることなく真っ直ぐに出し入れしなければ、詰め替え作業が滞る虞がある。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ケースを容易に開けることができ、薬剤の詰め替え作業をスムーズに行うことができる再利用可能な薬剤揮散体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明に係る薬剤揮散体の特徴構成は、
ケースから薬剤を取り出し可能な開状態と取り出し不能な閉状態とを切り替え可能にした薬剤揮散体であって、
前記ケースを構成する一対の第一ケース部及び第二ケース部と、
前記第一ケース部に付設された第一把持部と、
前記第二ケース部に付設された第二把持部と、
を備え、
前記ケースを前記閉状態にしたとき、前記第一把持部及び前記第二把持部は、少なくとも一部が互いに接触していない離間状態で配置されていることにある。
【0011】
本構成の薬剤揮散体は、ケースから薬剤を取り出し可能な開状態と取り出し不能な閉状態とを切り替え可能に構成されている。ケースを開状態にする際には、閉状態のケースにおける第一把持部及び第二把持部をそれぞれ手指で把持して、第一ケース部と第二ケース部とを引き離すように操作する。ケースが閉状態のときにおいて、第一把持部及び第二把持部は、少なくとも一部が互いに接触していない離間状態で配置されているので、第一把持部と第二把持部とを容易に手指で把持することができる。本構成の薬剤揮散体によれば、ケースが閉状態であっても、第一把持部と第二把持部とを手指で容易に把持することができ、これら第一把持部及び第二把持部を介して、第一ケース部と第二ケース部とを引き離すような操作力を第一ケース部及び第二ケース部に確実に作用させることができる。従って、ケースを容易に開けることができ、ケースから薬剤を取り出し可能な開状態とすることによって、薬剤の詰め替え作業をスムーズに行うことができる。
【0012】
本発明に係る薬剤揮散体において、
前記離間状態は、前記ケースを前記閉状態にしたときの正面視において、前記第一把持部及び前記第二把持部の少なくとも一部が互いに重なっていない状態であることが好ましい。
【0013】
本構成の薬剤揮散体によれば、ケースを閉状態にしたときの正面視において、第一把持部及び第二把持部の少なくとも一部が互いに重なっていない状態とされる。すなわち、第一把持部及び第二把持部の少なくとも一部が正面視でずれた状態とされるので、第一把持部及び第二把持部をより容易に手指で把持することができる。
【0014】
本発明に係る薬剤揮散体において、
前記離間状態は、前記ケースを前記閉状態にしたときの側面視において、前記第一把持部と前記第二把持部との間に隙間が存在する状態であることが好ましい。
【0015】
本構成の薬剤揮散体によれば、ケースを閉状態にしたときの側面視において、第一把持部と第二把持部との間に隙間が存在する状態とされる。これにより、第一把持部と第二把持部との間の隙間から手指を第一把持部及び第二把持部に引っ掛けるようにしてそれら把持部の隙間を広げることができ、第一把持部及び第二把持部をより容易に手指で把持することができる。
【0016】
本発明に係る薬剤揮散体において、
前記第一ケース部と前記第二ケース部とを接続するヒンジ部をさらに備え、
前記ヒンジ部を軸として、前記第一ケース部と前記第二ケース部とを回動させることにより、前記ケースの前記開状態と前記閉状態とを切り替え可能に構成してあることが好ましい。
【0017】
本構成の薬剤揮散体によれば、第一ケース部と第二ケース部とを接続するヒンジ部を軸として、第一ケース部と第二ケース部とを回動させることにより、ケースの開状態と閉状態とを切り替え可能に構成されているので、ケースの開閉動作を容易に行うことができる。また、第一ケース部又は第二ケース部を紛失するのを防ぐことができる。
【0018】
本発明に係る薬剤揮散体において、
前記ケースを吊り下げるフック部が、前記第一ケース部又は前記第二ケース部の一方に設けられていることが好ましい。
【0019】
本構成の薬剤揮散体によれば、ケースを吊り下げるフック部が、第一ケース部又は第二ケース部の一方に設けられているので、例えばクローゼット等のハンガパイプに掛けられた衣装の間に吊るして使用することができる。
【0020】
本発明に係る薬剤揮散体において、
前記フック部は、使用可能な展開状態と使用しない折畳状態とを切り替え可能に構成してあり、
前記ケースを前記閉状態にしたとき、正面視において、前記展開状態にある前記フック部の基部と一部が重なるように、前記第一ケース部又は前記第二ケース部の他方に第三把持部が付設されていることが好ましい。
【0021】
本構成の薬剤揮散体によれば、フック部を展開状態とすることで吊るして使用することができるとともに、フック部を折畳状態とすることで輸送・保管に便利な形態にすることができる。また、本構成の薬剤揮散体によれば、ケースが閉状態のときに、展開操作されたフック部が更に進んで倒れ込もうとすると、フック部の基部が第三把持部に当接されるので、フック部の倒れ込みを防止することができる。この場合、ケースを開状態とするには、フック部及び第三把持部をそれぞれ手指で把持して、第一ケース部と第二ケース部とを引き離すように操作すれば、ケースを容易に開けることができ、ケースから薬剤を取り出し可能な開状態とすることによって、薬剤の詰め替え作業をスムーズに行うことができる。
【0022】
本発明に係る薬剤揮散体において、
前記ケースを前記閉状態にしたとき、正面視において、前記第一把持部及び前記第二把持部は、前記ケース部から互いに異なる方向に突出するように配置されていることが好ましい。
【0023】
本構成の薬剤揮散体によれば、ケースを閉状態にしたとき、正面視において、第一把持部及び第二把持部が、ケース部から互いに異なる方向に突出するように配置されているので、第一把持部を把持する一方の手の手指と、第二把持部を把持する他方の手の手指とが干渉するのを防ぐことができ、第一ケース部と第二ケース部との引き離し動作をスムーズに行うことができる。
【0024】
本発明に係る薬剤揮散体において、
前記第一把持部及び前記第二把持部は、互いに直交する方向に配置されていることが好ましい。
【0025】
本構成の薬剤揮散体によれば、第一把持部及び第二把持部が、互いに直交する方向に配置されているので、第一把持部を把持する一方の手の手指と、第二把持部を把持する他方の手の手指とが干渉するのを確実に防ぐことができるとともに、直感的に第一把持部と第二把持部とを把持して引っ張り易くなり、第一ケース部と第二ケース部との引き離し動作をよりスムーズに行うことができる。
【0026】
本発明に係る薬剤揮散体において、
前記薬剤は、害虫防除成分を含む薬液を含浸させた含浸体を不織布袋に収納したものであることが好ましい。
【0027】
本構成の薬剤揮散体によれば、害虫防除成分を含む薬液を含浸させた含浸体を不織布袋に収納したものによって薬剤が構成されているので、薬剤の取り扱いがより容易になり、薬剤の詰め替え作業をよりスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤揮散体の閉状態の全体斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る薬剤揮散体の開状態の全体斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る薬剤揮散体の閉状態の正面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る薬剤揮散体の全開状態の正面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る薬剤揮散体の閉状態のときの第一把持部及び第二把持部の配置を示し、(a)は
図3のA部拡大図、(b)は(a)のC矢視図である。
【
図7】
図7は、別実施形態1に関する説明図であり、(a)は薬剤揮散体が閉状態のときの第一把持部及び第二把持部の配置を示す正面視の要部拡大図、(b)は(a)のD矢視図、(c)は(a)のE矢視図である。
【
図8】
図8は、別実施形態2に関する説明図であり、(a)は把持部が半円形状である態様例、(b)は把持部が三角形状である態様例、(c)は把持部が等脚台形状である態様例である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明について、
図1~
図8を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、例えばクローゼットのハンガパイプに吊るして使用するものであって、揮散性の防虫剤をケース内に収納した薬剤揮散体を例に挙げて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。
【0030】
<全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤揮散体の閉状態の全体斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る薬剤揮散体の開状態の全体斜視図である。
図1及び
図2に示されるように、薬剤揮散体1は、薬剤2(
図2参照)を収納するケース3と、ケース3を吊り下げるフック部4とを備えている。薬剤揮散体1は、ケース3から薬剤2を取り出し可能な
図2に示される開状態と取り出し不能な
図1に示される閉状態とを切り替え可能に構成されている。薬剤揮散体1は、図示されないハンガパイプにフック部4を引っ掛けて、ハンガパイプに掛けられた衣装の間に吊るして使用される。
【0031】
<薬剤>
薬剤2は、害虫防除成分(忌避成分)を含む薬液を含浸させた含浸体2aを不織布袋2bに収納してなるものである。ここで、薬液は、衣料害虫、貯穀害虫、匍匐害虫やダニ等の各種害虫に対する防虫効果に優れる害虫防除成分を主成分とし、香料、植物性消臭剤等が適宜に配合されてなるものである。害虫防除成分としては、例えば、エムペントリン、プロフルトリン、メトフルトリン、トランスフルトリン、p-メンタン-3,8-ジオール、ディート、3-(N-ブチルアセトアミド)プロピオン酸エチルエステル、1-メチルプロピル 2-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペリジンカルボキシレート、1,6-ヘキサンジオール、ベンジルアセテート、シトロネラール、シトロネロール、シトラール、リナロール、テルピネオール、メントール、α-ピネン、カンファー、ゲラニオール、カラン-3,4-ジオール等の合成又は天然の各種化合物、桂皮、シトロネラ、レモングラス、クローバ、ベルガモット、月桂樹、ユーカリ等から採取される精油又は抽出液などが挙げられる。これらのうち、p-メンタン-3,8-ジオールが好適に使用される。含浸体2aとしては、例えば、粒状パルプ、シリカゲル等が挙げられる。不織布袋2bの材質としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等が挙げられる。このような構成の薬剤2は、取り扱い易く、後述する薬剤2の詰め替え作業をよりスムーズに行うことができる。
【0032】
<ケース>
ケース3は、
図1において正面側に配される第一ケース部5と、
図1において背面側に配される第二ケース部6とを備えている。第一ケース部5と第二ケース部6とは、互いの下端部同士がヒンジ部7によって接続されている。ケース3においては、ヒンジ部7を軸として、第一ケース部5と第二ケース部6とを回動させることにより、当該ケース3の
図2に示される開状態と、
図1に示される閉状態とを切り替えることができるようになっている。
【0033】
<第一ケース部>
図3は、本発明の一実施形態に係る薬剤揮散体の閉状態の正面図である。
図3に示されるように、第一ケース部5は、正面板部11、環状側部12、及び第一フランジ体13を備えている。
【0034】
[正面板部]
正面板部11は、上下左右にそれぞれ側辺部を有する矩形板状に形成されている。正面板部11は、ケース3の正面壁を形成するように、ケース3の正面側に配されている。正面板部11には、ケース3内に収納される薬剤2(
図2参照)の害虫防除成分をケース3の外部へと放出するための通気孔として機能する所要の開口部14が形成されている。
【0035】
[環状側部]
環状側部12は、正面板部11の外周縁から背面側(
図3の紙面を垂直に貫通する方向)に向って突出するように正面板部11に一体的に形成されている。環状側部12は、正面板部11の上側辺部、下側辺部、左側辺部、及び右側辺部にそれぞれ一体的に連設される上側板部21、下側板部22、左側板部23、及び右側板部24によって構成されている。
【0036】
[第一フランジ体]
第一フランジ体13は、環状側部12の全周に亘って外向きに張り出すように形成されている。第一フランジ体13は、環状側部12の上側板部21、下側板部22、左側板部23、及び右側板部24にそれぞれ一体的に連設される上フランジ部31、下フランジ部32、左フランジ部33、及び右フランジ部34によって構成されている。
【0037】
<第二ケース部>
図4は、本発明の一実施形態に係る薬剤揮散体の全開状態の正面図である。第二ケース部6は、背面板部41、環状突部42、及び第二フランジ体43を備えている。
【0038】
[背面板部]
背面板部41は、上下左右にそれぞれ側辺部を有する矩形板状に形成されている。背面板部41は、ケース3の背面壁を形成するように、ケース3の背面側に配されている。背面板部41には、ケース3内に収納される薬剤2(
図2参照)の害虫防除成分をケース3の外部に放出するための通気孔として機能する所要の開口部44が形成されている。背面板部41は、ケース3を
図1に示されるような閉状態にしたときに、第一ケース部5の正面板部11と所定間隔を存して対向する。そして、ケース3の閉状態において、正面板部11と背面板部41との間には、薬剤2を収納可能な空間が形成される。
【0039】
[環状突部]
環状突部42は、背面板部41の外周縁から正面側(
図4の紙面に垂直で手前側に向かう方向)に向って突出するように、背面板部41に一体的に形成されている。環状突部42は、ケース3を
図3に示されるような閉状態にしたときに、第一ケース部5の環状側部12の内周側に嵌合する形状に形成されている。環状突部42は、上内側板部51、下内側板部52、左内側板部53、及び右内側板部54と、上外側板部61、下外側板部62、左外側板部63、及び右外側板部64と、上連結板部71、下連結板部72、左連結板部73、右連結板部74とによって構成されている。
【0040】
環状突部42における上下左右の各内側板部51,52,53,54は、背面板部41における上下左右の各側辺部にそれぞれ一体的に連設されている。環状突部42における上下左右の各外側板部61,62,63,64は、環状突部42における上下左右の各内側板部51,52,53,54に対し、それぞれ所定間隔を存して対向配置されている。環状突部42における上下左右の各連結板部71,72,73,74は、環状突部42における上下左右の各内側板部51,52,53,54、及び上下左右の各外側板部61,62,63,64をそれぞれ正面側で連結している。
【0041】
[第二フランジ体]
第二フランジ体43は、環状突部42の全周に亘って外向きに張り出すように形成されている。第二フランジ体43は、環状突部42における上外側板部61、下外側板部62、左外側板部63、及び右外側板部64にそれぞれ一体的に連設される上フランジ部81、下フランジ部82、左フランジ部83、及び右フランジ部84によって構成されている。
【0042】
[係合凸部]
第一ケース部5における左側板部23には、内方に突出するように係合凸部25が形成されている。係合凸部25は、左側板部23の長手方向の所定領域において所定間隔を存して複数個(本例では2個)配設されている。右側板部24にも同様に係合凸部25が配設されている。
【0043】
[係合凹部]
第二ケース部6における左外側板部63と左連結板部73との交わりの角部には、ケース3が閉状態のときに、左側板部23に設けられた係合凸部25と係合する係合凹部75が形成されている。右外側板部64と右連結板部74との交わりの角部にも同様に、ケース3が閉状態のときに、右側板部24に設けられた係合凸部25と係合する係合凹部75が形成されている。ここで、左右一対の係合凸部25と左右一対の係合凹部75とは、ケース3が閉じたときに、締め代を持たせた状態で係合するように相互の位置関係や寸法等が定められている。これにより、第一ケース部5と第二ケース部6とに所定以上の引き離し力がケース3の開方向に作用しない限り、左右一対の係合凸部25と左右一対の係合凹部75との係合によって、ケース3が閉じた状態が保持される。
【0044】
<ヒンジ部>
ヒンジ部7は、第一ケース部5と第二ケース部6との連結部分に断続的に切れ目を入れてミシン目を形成することによって構成されるものである。なお、ヒンジ部7としては、ミシン目を形成することによって構成されるものに限定されず、例えば、第一ケース部5と第二ケース部6との連結部分に溝を形成することによって構成されるものであってもよい。
【0045】
<フック部>
フック部4は、例えばハンガパイプに掛け止めることができるように逆Uの字状に形成される掛止部4aと、掛止部4aと第二ケース部6とを繋ぐように延在される脚部4bとを有している。脚部4bは、第二ケース部6の上フランジ部81に、前述したヒンジ部7と同様の構成のヒンジ部90を介して接続されている。
【0046】
フック部4は、ヒンジ部90を軸として回動させることにより、
図1中実線で示される、使用可能な展開状態と、
図1中二点鎖線で示される、使用しない折畳状態とを切り替え可能に構成している。こうして、フック部4を展開状態とすることでハンガパイプに吊るして使用することができるとともに、フック部4を折畳状態とすることで輸送・保管に便利な形態にすることができる。
【0047】
フック部4においては、ハンガパイプに掛止部4aを引っ掛けたときに掛止部4aにおけるハンガパイプと当接する部分が、上フランジ部81の長手方向(横方向)中間部に対応した位置に配された状態で、脚部4bの基端部(下端部)が上フランジ部81における長手方向中間部よりも右寄りの部分に接続されるようにヒンジ部90による接続位置が定められている。こうして、掛止部4aのハンガパイプへの当接部分と、薬剤を収納したケース3の重心とが、鉛直方向の一直線上に並ぶように位置することになり、ハンガパイプに薬剤揮散体1を吊り下げたときに、ケース3が傾くのを防ぐようにされている。
【0048】
フック部4の正面側の面には、凹部95が形成されている。凹部95は、掛止部4aから脚部4bに至る略全域に亘って、両側縁部に対しその両側縁部で挟まれる中間部を相対的に凹ませることによって形成されている。
【0049】
<第一把持部>
第一ケース部5には、略台形状の第一把持部101が付設されている。第一把持部101は、第一フランジ体13における上フランジ部31と右フランジ部34との交わりの角部において、
図4の右方向に突出するように右フランジ部34に一体的に形成されている。
【0050】
<第二把持部>
第二ケース部6には、略台形状の第二把持部102が付設されている。第二把持部102は、第二フランジ体43における上フランジ部81と右フランジ部84との交わりの角部において、
図4の上方向に突出するように上フランジ部81に一体的に形成されている。
【0051】
図5は、本発明の一実施形態に係る薬剤揮散体の閉状態のときの第一把持部及び第二把持部の配置を示し、(a)は
図3のA部拡大図、(b)は(a)のC矢視図である。
図5(a)に示されるように、第一把持部101及び第二把持部102は、互いに接触していない離間状態とされている。この場合の離間状態とは、ケース3を閉状態にしたときの正面視において、第一把持部101及び第二把持部102が互いに重なっていない状態のことである。このような離間状態とされることにより、第一把持部101及び第二把持部102をより容易に手指で把持することができる。
【0052】
図5(a)に示されるように、第一把持部101は、右フランジ部34から右方向に水平に突設される一方で、第二把持部102は、上フランジ部81から鉛直上方向に突設されている。このように、ケース3を閉状態にしたとき、正面視において、第一把持部101及び第二把持部102は、ケース部5,6から互いに異なる方向に突出するように配置されている。特に、本実施形態の場合、第一把持部101及び第二把持部102は、互いに直交する方向に配置されている。これにより、第一把持部101を把持する一方の手(例えば、左手)の手指と、第二把持部102を把持する他方の手(例えば、右手)の手指とが干渉するのを確実に防ぐことができるとともに、直感的に第一把持部と第二把持部とを把持して引っ張り易くなり、第一ケース部5と第二ケース部6との引き離し動作をよりスムーズに行うことができる。
【0053】
なお、本実施形態では、ケース3を閉状態にしたとき、第一把持部101の全体と第二把持部102の全体とが互いに接触していない離間状態、すなわちケース3を閉状態にしたときの正面視において、第一把持部101の全体と第二把持部102の全体とが互いに全く重なっていない状態である例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、上フランジ部31と右フランジ部34との交わりの角部において、第一把持部101が右フランジ部34から更に上フランジ部31に亘って形成され、及び/又は、上フランジ部81と右フランジ部84との交わりの角部において、第二把持部102が上フランジ部81から更に右フランジ部84に亘って形成され、ケース3を閉状態にしたときの正面視において、第一把持部及101及び第二把持部102の一部が互いに重なっている態様もある。
【0054】
要するに、ケース3を閉状態にしたときに、第一把持部101及び第二把持部102の少なくとも一部が互いに接触していない離間状態、すなわちケース3を閉状態にしたときの正面視において、第一把持部101及び第二把持部102の少なくとも一部が互いに重なっていない状態で配置されていれば、第一把持部101及び第二把持部102を容易に把持することができ、ケース3を容易に開けることができる。
【0055】
<第三把持部>
図3に示されるように、第一ケース部5には、略山形状の第三把持部103が付設されている。第三把持部103は、ケース3を閉状態にしたとき、正面視において、展開状態にあるフック部4における脚部4bの基部と一部が重なるように、第一フランジ体13における上フランジ部31に一体的に形成されている。こうして、ケース3が閉状態のときに、展開操作されたフック部4が更に進んで倒れ込もうとすると、フック部4の基部(脚部4bの基部)が第三把持部103に当接されることになり、フック部4の倒れ込みを防止することができる。
【0056】
図6は、
図3のB-B線断面図である。
図6に示されるように、ケース3を閉状態にしたときには、第三把持部103の背面とフック部4における凹部95の奥面との間に隙間S
1が存在するような離間状態とされる。こうして、ケース3を閉状態にしたときの平面視において、第三把持部103とフック部4との間に隙間S
1が存在する状態とされる。これにより、第三把持部103とフック部4との間の隙間S
1から一方の手(例えば、左手)の手指を第三把持部103に引っ掛けるようにして第三把持部103を把持することができ、フック部4が展開状態であっても、第三把持部103を容易に手指で把持することができる。
【0057】
<滑り止め凸部>
図5(a)及び(b)に示されるように、第一把持部101には、背面側の要所を凹ませることで結果的に正面側に突出する滑り止め凸部111が形成されている。滑り止め凸部111は、第一把持部101において、上下に所定間隔を存して複数個(本例では2個)設けられている。第二把持部102においても同様に、正面側の要所を凹ませることで結果的に背面側に突出する滑り止め凸部112が形成されている。滑り止め凸部112は、第二把持部102において、左右に所定間隔を存して複数個(本例では2個)設けられている。こうして、滑り止め凸部111,112が設けられることにより、第一把持部101及び第二把持部102をそれぞれ手指で把持して、第一ケース部5と第二ケース部6とを引き離す操作を行う際に、手指が滑り止め凸部111,112に引っ掛かり、第一把持部101及び第二把持部102に対して手指が滑らないようにすることができ、第一ケース部5と第二ケース部6との引き離し操作を確実に行うことができる。
【0058】
図6に示されるように、第三把持部103には、背面側の要所を凹ませることで結果的に正面側に突出する滑り止め凸部113が形成されている。滑り止め凸部113は、第三把持部103において、中央部に1個設けられている。こうして、滑り止め凸部113が設けられることにより、第三把持部103及びフック部4をそれぞれ手指で把持して、第一ケース部5と第二ケース部6とを引き離す操作を行う際に、手指が滑り止め凸部113に引っ掛かり、第三把持部103に対して手指が滑らないようにすることができ、第一ケース部5と第二ケース部6との引き離し操作を確実に行うことができる。
【0059】
<材質>
ケース等(ケース3、フック部4、第一把持部101、第二把持部102を含む)の材質は、例えば、ポリエステル、ポリアミド等のプラスチックであり、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好適である。ケース等は、例えば、射出成形や、熱板圧空成形によって作製される。
【0060】
以上に述べたように構成される薬剤揮散体1の使用方法について説明する。
【0061】
図1に示される薬剤揮散体1は、クローゼットのハンガパイプに掛けられた衣料の間に吊るして使用する。ケース3に設けられた開口部14,44からは、ケース3内に収納されている薬剤2(
図2参照)の害虫防除成分が放散される。これにより、クローセット内の衣料がイガ、コイガ等の衣料害虫に食害されることや、クローゼット内へのダニ等の害虫の侵入を防ぐことができる。
【0062】
薬剤揮散体1の使用が進むに従って、薬剤2に含まれる害虫防除成分が揮散により減少し、ある一定期間使用すると、防虫効果が無くなるため、薬剤2を詰め替える必要がある。
【0063】
薬剤2の詰め替え作業は、次のようにして行われる。まず、
図1に示される薬剤揮散体1おいて、左手の手指で第一把持部101を把持するとともに、右手の手指で第二把持部102を把持する。次いで、
図1中実線矢印で示されるように、第一把持部101及び第二把持部102を介して、第一ケース部5と第二ケース部6とを引き離すような操作力を第一ケース部5及び第二ケース部6に作用させる。このとき、手指が滑り止め凸部111,112に引っ掛かるため、第一把持部101及び第二把持部102に対して手指が滑らずに、第一ケース部5と第二ケース部6との引き離し操作を確実に行うことができる。また、第一把持部101及び第二把持部102が、互いに直交する方向に配置されているので、第一把持部101を把持する左手の手指と、第二把持部102を把持する右手の手指とが干渉するのを確実に防ぐことができるとともに、直感的に第一把持部と第二把持部とを把持して引っ張り易くなり、第一ケース部5と第二ケース部6との引き離し動作をよりスムーズに行うことができる。
【0064】
上記のようにして、第一ケース部5と第二ケース部6とに対して所定以上の引き離し力を作用させると、係合凸部25(
図4参照)と係合凹部75(
図4参照)との係合が解除されて、第一ケース部5と第二ケース部6とがヒンジ部7を軸としてケース3の開方向に回動され、
図2に示されるように、ケース3が開状態とされる。
【0065】
ケース3が
図2に示されるような開状態とされた後、古い薬剤2をケース3内から取り出し、古い薬剤2に替えて新しい薬剤2をケース3内に入れ、その後、ヒンジ部7を軸として、第一ケース部5と第二ケース部6とを、ケース3の閉方向に回動させ、ケース3を閉状態とする。このとき、左右一対の係合凸部25(
図4参照)と左右一対の係合凹部75(
図4参照)とは、両者間に締付力が作用した状態で係合する。このため、第一ケース部5と第二ケース部6とをケース3の閉方向に回動操作する際には、一定以上の回動操作力を要する。そして、一定以上の回動操作力を加えることにより、それら係合凸部25と係合凹部75とを締め代を持たせた状態で係合させることができ、ケース3の閉状態が保持される。
【0066】
上記の薬剤2の詰め替え作業においては、第一把持部101及び第二把持部102をそれぞれ把持して、第一ケース部5と第二ケース部6との引き離し操作により、ケース3を開状態とするようにしたが、第三把持部103及びフック部4をそれぞれ把持して、第一ケース部5と第二ケース部6との引き離し操作により、ケース3を開状態とすることもできる。
【0067】
すなわち、まず、
図1に示される薬剤揮散体1おいて、右手の手指でフック部4の脚部4bを把持するとともに、左手の手指で第三把持部103を把持する。このとき、第三把持部103とフック部4との間の隙間S
1(
図6参照)から左手の手指を第三把持部103に引っ掛けるようにして第三把持部103を把持することにより、フック部4が展開状態であっても、第三把持部103を容易に手指で把持することができる。
【0068】
次いで、
図1中点線矢印で示されるように、第三把持部103及びフック部4を介して、第一ケース部5と第二ケース部6とを引き離すような操作力を第一ケース部5及び第二ケース部6に作用させる。このとき、左手の手指が滑り止め凸部113に引っ掛かり、しかもフック部4の脚部4bは細長く手指を掛け易い形状であるため、第三把持部103及びフック部4に対して手指が滑らずに、第一ケース部5と第二ケース部6との引き離し操作を確実に行うことができる。
【0069】
上記のようにして、第一ケース部5と第二ケース部6とに対して所定以上の引き離し力を作用させると、係合凸部25(
図4参照)と係合凹部75(
図4参照)との係合が解除されて、第一ケース部5と第二ケース部6とがヒンジ部7を軸としてケース3の開方向に回動され、ケース3が
図2に示されるような開状態とされる。
【0070】
以上、本発明の薬剤揮散体について、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。具体的な別実施形態は以下のとおりである。
【0071】
(別実施形態1)
図7は、別実施形態1に関する説明図であり、(a)は薬剤揮散体が閉状態のときの第一把持部及び第二把持部の配置を示す正面視の要部拡大図、(b)は(a)のD矢視図、(c)は(a)のE矢視図である。
図7(a)に示されるように、第一把持部101は、上フランジ部31と右フランジ部34との交わりの角部において、右方向に突出するように右フランジ部34に一体的に形成されている。一方、第二把持部102は、上フランジ部81と右フランジ部84との交わりの角部において、第一把持部101に対し所定の突出代を持たせて第一把持部101よりも更に右方向に突出するように右フランジ部84に一体的に形成されている。こうして、ケース3を閉状態にしたときの正面視において、第一把持部101及び第二把持部102の少なくとも一部、すなわち第一把持部101及び第二把持部102の各々の突出方向先端部が互いに重なっていない状態とされる。
【0072】
また、
図7(b)及び(c)に示されるように、第一把持部101においては、その主体部101aを右フランジ部34に対し正面側にずらした位置に配するようにするために主体部101aと右フランジ部34とが折曲部101bによって接続されている。一方、第二把持部102においては、その主体部102aを右フランジ部84に対し背面側にずらした位置に配するようにするために主体部102aと右フランジ部84とが折曲部102bによって接続されている。こうして、
図7(b)に示されるように、ケース3を閉状態にしたときの側面視において、第一把持部101と第二把持部102との間に隙間S
2が存在する状態とされる。なお、
図7(c)に示されるように、ケース3を閉状態にしたときの平面視においても、第一把持部101と第二把持部102との間に隙間S
2が存在する状態とされる。こうして、第一把持部101と第二把持部102との間に隙間S
2が存在する状態とされることにより、第一把持部101と第二把持部102との間の隙間S
2から手指を第一把持部101及び第二把持部102に引っ掛けるようにしてそれら把持部101,102の間の隙間S
2を広げることができ、第一把持部101及び第二把持部102をより容易に手指で把持することができる。
【0073】
(別実施形態2)
図8は、別実施形態2に関する説明図であり、(a)は把持部が半円形状である態様例、(b)は把持部が三角形状である態様例、(c)は把持部が等脚台形状である態様例である。上記の実施形態では、第一把持部101及び第二把持部102の何れも、略台形状である態様例を示した。しかしながら、
図8(a)に示されるように、把持部101,102が半円形状であっても、
図8(b)に示されるように、把持部101,102が三角形状であっても、
図8(c)に示されるように、把持部101,102が等脚台形状であってもよい。要するに、手指で把持し易い形状であれば、把持部101,102の形状は特に限定されるものではない。
【0074】
(別実施形態3)
上記の実施形態では、第一ケース部5と第二ケース部6とをヒンジ部7で接続して両者を分離不能な態様例を示したが、第一ケース部5と第二ケース部6とをヒンジ部7で接続せずに分離できるようにした態様例もある。
【0075】
(別実施形態4)
上記の実施形態では、把持部101,102,103の滑り止め手段として設けられる滑り止め凸部111,112,113を、それら滑り止め凸部111,112,113が設けられる面の反対側の面に点状の凹部を形成することで形成する例を示したが、例えば、エンボス加工を施すことにより任意の形状の凸部を形成して、これを滑り止め手段としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の薬剤揮散体は、ケース内に収納した揮散性の薬剤(例えば、防虫・防ダニ剤、芳香剤、消臭剤、防カビ剤等)を使用場所(例えばクローゼット等)で揮散する用途において利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 薬剤揮散体
2 薬剤
2a 含浸体
2b 不織布袋
3 ケース
4 フック部
5 第一ケース部
6 第二ケース部
7 ヒンジ部
101 第一把持部
102 第二把持部
103 第三把持部
S1,S2 隙間