(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】物体に対する不適合データを可視化するための拡張現実システム
(51)【国際特許分類】
B64F 5/60 20170101AFI20240118BHJP
【FI】
B64F5/60
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019181906
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-09-27
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スコット, ジェレマイア ケント
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー, ロバート スティーヴン カネマツ
(72)【発明者】
【氏名】ベレッタ, ブライアン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルドーニ, マイケル ルイス
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-205485(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0075343(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 5/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造のフェーズ(236)において物理的な物体(204)に対する不適合データ(210)を可視化するための拡張現実システム(212)であって、
センサシステム(232)及び表示システム(226)を有する、携帯可能計算デバイス(214)であって、前記携帯可能計算デバイス(214)及び前記センサシステム(232)が、
前記製造のフェーズ
(236)において前記物理的な物体(204)に対する空間内のポイントを表す走査データ(230)を生成するように構成されている、携帯可能計算デバイス(214)、
実行されたときに、前記走査データ(230)を使用して前記物理的な物体(204)の領域(240)の表面輪郭の点群表現(242)を生成する
ように配置された、走査アプリケーション(218)、
実行されたときに、前記物理的な物体(204)の前記領域(240)に対する前記点群表現(242)を使用して、画定された座標立方体(246)内の前記物理的な物体(204)の前記領域(240)のモデル(244)を生成する
ように配置された、モデル化アプリケーション(220)、
実行されたときに、
前記物理的な物体(204)に対する位置目標(250)を位置特定し、前記位置目標(250)の目標位置(252)を使用して、前記携帯可能計算デバイス(214)を、
前記位置目標(250)に基づいて、前記画定された座標立方体(246)内の前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の前記モデル(244)に位置決めし、前記物理的な物体(204)に対する前記携帯可能計算デバイス(214)の位置(248)を特定する
ように配置された、位置決めアプリケーション(222)、並びに
実行されたときに、
前記物理的な物体(204)上の不適合位置(208)に対応する点(234)を前記画定された座標立方体(246)内にプロットし、
前記携帯可能計算デバイス(214)によって取得された前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の画像(238)内で視認可能な前記画定された座標立方体(246)内でプロットされた前記点(234)のサブセット(254)であって、前記携帯可能計算デバイス(214)の前記位置(248)から見たときに、
前記画像(238)内の物理的な物体の構造物を
所定の距離を超えて位置付けられていると判定され
たことにより、前記携帯可能計算デバイス(214)の前記位置(248)からの視界から隠されたプロットされた点を排除するサブセット(254)を決定し、
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記表示システム(226)上で表示され
た前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)に対する前記不適合位置(208)のサブセット(256)に関連付けて、前記画像(238)内で視認可能な前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)を表示
し、
前記携帯可能計算デバイス(214)が、前記物理的な物体(204)のパノラミックビュー向けに選択された前記物理的な物体(204)からの距離より離れた位置にあるかどうかを決定し、
前記携帯可能計算デバイス(214)が前記選択された前記物理的な物体(204)からの距離より離れた位置にあると決定した場合に、前記画定された座標立方体(246)内の前記不適合位置(208)の全てに対する前記点(234)を表示して、前記不適合位置(208)の全てのパノラミックビューを提供するように配置された、拡張現実アプリケーション(224)を備える、拡張現実システム(212)。
【請求項2】
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記表示システム(226)上で表示され
た前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)に対する前記不適合位置(208)の前記サブセット(256)に関連付けて、前記画像(238)内で視認可能な前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)を表示することにおいて、前記拡張現実アプリケーション(224)が、前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の前記画像(238)内の視界から隠され
ている前記不適合位置(208)に対する前記不適合データ(210)を表示することなしに、前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記表示システム(226)上に表示され
た前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)に対する前記不適合位置(208)の前記サブセット(256)に関連付けて、前記画像(238)内で視認可能な前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)を表示する
ように配置された、請求項1に記載の拡張現実システム(212)。
【請求項3】
前記携帯可能計算デバイス(214)によって取得された前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の画像(238)内で視認可能な前記画定された座標立方体(246)内でプロットされた前記点(234)の前記サブセット(254)であって、前記携帯可能計算デバイス(214)の前記位置(248)から見たときに、前記物理的な物体の構造物を超えて位置付けられていると判定されたプロットされた点を排除する前記サブセット(254)を決定することにおいて、前記拡張現実アプリケーション(224)が、前記不適合位置(208)に対する前記画定された座標立方体(246)内にプロットされた前記点(234)のうちのどれが、前記画像(238)内の前記物理的な物体の構造物を所定の距離以上超えて位置付けられており、前記位置(248)にある前記携帯可能計算デバイス(214)からの視界から隠され
ているかを決定
するように配置され、前記物理的な物体の構造物を前記所定の距離
を超えているこれらの点が、前記点(234)の前記サブセット(254)から排除され
ている、請求項1に記載の拡張現実システム(212)。
【請求項4】
前記物理的な物体(204)が航空機構造物であり、前記携帯可能計算デバイス(214)の前記位置(248)において前記携帯可能計算デバイス(214)によって取得された前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の画像(238)内で視認可能な前記画定された座標立方体(246)内でプロットされた前記点(234)の前記サブセット(254)を決定することにおいて、前記拡張現実アプリケーション(224)が、表示され
た航空機構造物からの各不適合位置の距離が、視界から隠され
ている前記不適合位置に対応する所定の距離を超えていると
決定するように配置された、請求項1に記載の拡張現実システム(212)。
【請求項5】
前記拡張現実アプリケーション(224)が、実行されたときに、時間情報に基づいて前記不適合データ(210)をフィルタして、
既に解決された又は再作業された歴史的な不適合データ(210)又は
未だ解決されていないアクティブな不適合データ(210)のうちの少なくとも一方を表示する、請求項1に記載の拡張現実システム(212)。
【請求項6】
前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)が、
前記物理的な物体(204)内に未だ存在するライブの不適合データ(210)である、請求項1に記載の拡張現実システム(212)。
【請求項7】
前記物理的な物体(204)上の前記不適合位置(208)を受け取るように構成されたインターフェースを更に備える、請求項1に記載の拡張現実システム(212)。
【請求項8】
前記センサシステム(232)が、三次元スキャナ、カメラ、全地球測位システム受信器、構造化された光三次元スキャナ、ライダーシステム、レーザースキャナ、コノスコープホ
ログラフシステム、又は飛行時
間型三次元スキャナのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の拡張現実システム(212)。
【請求項9】
前記携帯可能計算デバイス(214)が、携帯電話、タブレットコンピュータ、頭部装着デバイス、及びスマート
グラスを含む、群から選択され、陸上ベース構造体、水上ベース構造体、宇宙ベース構造体、航空機、民間航空機、回転翼航空機、水上艦、戦車、人員運搬車、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋、ダム、家屋、製造工場、建物、航空機構造物、主翼、胴体セクション、エンジンハウジング、エンジン、複合材パネル、壁、及び外板のうちの1つを備える、前記物理的な物体(204)に対する前記不適合データを表示するためのディスプレイを含む、請求項1に記載の拡張現実システム(212)。
【請求項10】
物理的な物体(204)に対する不適合データ(210)を可視化するための方法であって、
携帯可能計算デバイス(214)内の拡張現実アプリケーション(224)によって、前記物理的な物体(204)上の不適合位置(208)に対応する点(234)を、画定された座標立方体(246)内にプロットすること、
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記携帯可能計算デバイス(214)によって取得された前記物理的な物体(204)の領域(240)の画像(238)内で視認可能な前記物理的な物体(204)の前記領域(240)に対応する前記画定された座標立方体(246)内でプロットされた前記点(234)のサブセット(254)であって、前記携帯可能計算デバイス(214)の位置(248)から見たときに
前記画像(238)内の物理的な物体の構造物を
所定の距離を超えて位置付けられていると判定されたプロットされた点を排除し、前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)の物理的な物体の構造物によって視界から隠され
ている不適合位置(208)を排除する前記点(234)のサブセット(254)を決定すること
、
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記携帯可能計算デバイス(214)内の表示システム(226)上に表示され
た前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)に対する前記不適合位置(208)のサブセット(256)に関連付けて、前記画像(238)内で視認可能な前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)を表示すること
、
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記携帯可能計算デバイス(214)が、前記物理的な物体(204)のパノラミックビュー向けに選択された前記物理的な物体(204)からの距離より離れた位置にあるかどうかを決定すること、及び
前記携帯可能計算デバイス(214)が前記選択された前記物理的な物体(204)からの距離より離れた位置にあると決定した場合に、前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記画定された座標立方体(246)内の前記不適合位置(208)の全てに対する前記点(234)を表示して、前記不適合位置(208)の全てのパノラミックビューを提供することを含む、方法。
【請求項11】
前記決定するステップが、
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記不適合位置(208)に対する前記画定された座標立方体(246)内にプロットされた前記点(234)が、前記画像(238)内の前記物理的な物体の構造物を所定の距離
を超えて位置付けられており、前記位置(248)にある前記携帯可能計算デバイス(214)からの視界から隠され
ている
かを判定すること、及び
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記物理的な物体の構造物を所定の距離
を超えているこれらの点を排除することであって、残っている点(258)が前記点(234)の前記サブセット(254)を形成する、これらの点を排除することを含み、
前記方法が、
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記不適合位置(208)に対する残っている点(258)のうちのどれが、前記画像(238)内で表示され
た前記物理的な物体の構造物からの各不適合位置の距離を、視界から隠され
ている不適合位置に対応する所定の距離
を超えていると判定することによって、隠されるべきか決定する、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記表示するステップが、
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の前記画像(238)内の視界から隠され
ている前記不適合位置(208)に対する前記不適合データ(210)を表示することなしに、前記携帯可能計算デバイス(214)内で前記表示システム(226)上に表示され
た前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)に対する前記不適合位置(208)の前記サブセット(256)に関連付けて、前記画像(238)内で視認可能な前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)を表示することを含む、請求項
10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記携帯可能計算デバイス(214)が、携帯電話、タブレットコンピュータ、頭部装着デバイス、及びスマート
グラスを含む、群から選択され、陸上ベース構造体、水上ベース構造体、宇宙ベース構造体、航空機、民間航空機、回転翼航空機、水上艦、戦車、人員運搬車、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋、ダム、家屋、製造工場、建物、並びに、航空機構造物、主翼、胴体セクション、エンジンハウジング、エンジン、複合材パネル、壁、外板、及び椅子のうちの1つを備える、前記物理的な物体(204)に対する不適合データを表示するためのディスプレイを含む、請求項
10から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、航空機を製造することに関し、特に、製造のフェーズにある航空機に対する不適合データを可視化する方法、装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機を製造することにおいて、製造の種々のフェーズ中に多くの検査が行われる。その検査は、自動化された装備、作業人員、又はそれらの何らかの組み合わせによって実行されてよい。例えば、作業人員は、不適合性に関して航空機又は航空機構造物を視覚的に検査してよい。例えば、航空機構造物は、胴体セクション、エンジンハウジング、主翼、又は航空機用の何らかの他の構造物であってよい。例えば、不適合は、亀裂、引っかき傷、層剥離、不正確な寸法、不正確な色、又は何らかの他の不正確な特徴であってよい。
【0003】
更に、作業人員は、航空機構造物の物理的な状態を検証するために、航空機構造物の問題になっているエリアに接触することもできる。作業人員は、航空機構造物を検査するために、渦電流テスター、超音波機械、又は他のツールを使用することもできる。
【0004】
航空機上で不適合な場所が見つかったときに、その場所は、一片のテープやクイックレスポンス(QR)コードなどの物理的なマーカーで、物理的にマークされる。何れの場合でも、物理的なマーカーは、航空機構造物上の不適合な場所に置かれる。
【0005】
更に、作業人員は、再作業を必要とするエリアの場所の説明をノートすることもできる。不適合についての物理的なマーカー及びノートは、三穴バインダー又はノートブックに記録を付けられる。例えば、場所と物理的なノート用の識別子とが、三穴バインダー内に記録を付けられてよい。
【0006】
この情報は、データベースにも入力される。それによって、不適合を解決するための作業順序が生成されてよい。その作業人員又は別の作業人員は、後に、その作業順序を使用して、不適合に対する物理的なタグの位置を見つけ、不適合を解決するために必要な作業を行うことができる。
【0007】
この種の検査プロセスは、時間がかかり非効率である。したがって、少なくとも上述の問題点のうちの幾つかと、起こり得る他の問題点を考慮した方法及び装置を有することが望ましいであろう。例えば、航空機の不適合を効率的に特定し解決することによって技術的な問題を克服する、方法及び装置を有することが望ましいだろう。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一実施形態は、物理的な物体に対する不適合データを可視化するための拡張現実システムを提供する。この拡張現実システムは、携帯可能計算デバイス、走査アプリケーション、モデル化アプリケーション、位置決め(localization)アプリケーション、及び拡張現実アプリケーションを備える。携帯可能計算デバイスは、センサシステム及び表示システムを有する。携帯可能計算デバイスは、製造のフェーズにおいて物理的な物体に対する空間内のポイントを表す走査データを生成するように構成されている。走査アプリケーションは、実行されたときに、走査データを使用して物理的な物体の領域の表面輪郭の点群表現を生成する。モデル化アプリケーションは、実行されたときに、物理的な物体の領域に対する点群表現を使用して、画定された座標立方体内の物理的な物体の領域のモデルを生成する。位置決めアプリケーションは、実行されたときに、携帯可能計算デバイスを、位置目標に基づいて、画定された座標立方体内の物理的な物体の領域のモデルに位置決めし、物理的な物体に対する携帯可能計算デバイスの位置を特定する。拡張現実アプリケーションは、実行されたときに、物理的な物体上の不適合位置に対応する点を画定された座標立方体内にプロットし、携帯可能計算デバイスによって取得された物理的な物体の領域の画像内で視認可能な画定された座標立方体内でプロットされた点のサブセットであって、携帯可能計算デバイスの位置から見たときに、物理的な物体の構造物を超えて位置付けられていると判定されたプロットされた点を排除するサブセットを決定し、携帯可能計算デバイス内の表示システム上で表示される画像内の物理的な物体に対する不適合位置のサブセットに関連付けて、画像内で視認可能な点のサブセットに対する不適合データを表示する。
【0009】
別の例示的な一実施形態は、物理的な物体に対する不適合データを可視化するための拡張現実システムを提供する。この拡張現実システムは、携帯可能計算デバイス及び拡張現実アプリケーションを備える。携帯可能計算デバイスは、物理的な物体の画像を取得するように構成されている。拡張現実アプリケーションは、携帯可能計算デバイスによって実行されたときに、物理的な物体上の不適合位置に対応する点を、画定された座標立方体内にプロットし、携帯可能計算デバイスの位置において携帯可能計算デバイスによって取得された画像内で視認可能な物理的な物体の領域に対応する画定された座標立方体内でプロットされた点のサブセットであって、画像内の物理的な物体の構造物によって視界(ビュー)から隠される不適合位置を排除する点のサブセットを決定し、携帯可能計算デバイス内の表示システム上に表示される画像内の物理的な物体に対する不適合位置のサブセットに関連付けて、画像内で視認可能な点のサブセットに対する不適合データを表示する。
【0010】
更に別の例示的な一実施形態は、物理的な物体に対する不適合データを可視化するための方法を提供する。携帯可能計算デバイス内の拡張現実アプリケーションは、物理的な物体上の不適合位置に対応する点を画定された座標立方体内にプロットする。携帯可能計算デバイス内の拡張現実アプリケーションは、携帯可能計算デバイスによって取得された物理的な物体の領域の画像内で視認可能な物理的な物体の領域に対応する画定された座標立方体内でプロットされた点のサブセットであって、携帯可能計算デバイスの位置から見たときに物理的な物体の構造物を超えて位置付けられていると判定されたプロットされた点を排除し、画像内の物理的な物体の構造物によって視界(ビュー)から隠される不適合位置を排除する点のサブセットを決定する。携帯可能計算デバイス内の拡張現実アプリケーションは、携帯可能計算デバイス内の表示システム上に表示される画像内の物理的な物体に対する不適合位置のサブセットに関連付けて、画像内で視認可能な点のサブセットに対する不適合データを表示する。
【0011】
これらの特徴及び機能は、本開示の様々な実施形態で単独で実現可能であるか、又は、以下の説明及び図面を参照して更なる詳細を理解し得る更に別の実施形態において、組み合わされてよい。
【0012】
例示的な実施形態の特性と考えられる新規な特徴は、付随する特許請求の範囲に明記される。しかし、例示的な実施形態並びに好ましい使用モード、さらなる目的及びそれらの特徴は、添付図面を参照しつつ本開示の例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことによって、最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】例示的な一実施形態による、航空機製造環境の図である。
【
図2】例示的な一実施形態による、可視化環境のブロック図の例示である。
【
図3】例示的な一実施形態による、画定された座標立方体内の航空機構造物のモデルの例示である。
【
図4】例示的な一実施形態による、不適合位置を示すために拡張された操縦室の画像の例示である。
【
図5】例示的な一実施形態による、不適合位置を示すために拡張された操縦室の画像の例示である。
【
図6】例示的な一実施形態による、航空機のパノラミックビュー(panoramic view)の例示である。
【
図7】例示的な一実施形態による、物理的な物体に対する不適合データを可視化するためのプロセスのフローチャートの例示である。
【
図8】例示的な一実施形態による、点のサブセットを決定するためのプロセスのフローチャートの例示である。
【
図9】例示的な一実施形態による、携帯可能計算デバイスの位置を特定するためのプロセスのフローチャートの例示である。
【
図10】例示的な一実施形態による、不適合データをフィルタリングするためのプロセスのフローチャートの例示である。
【
図11】例示的な一実施形態による、データ処理システムのブロック図の例示である。
【
図12】例示的な一実施形態による、航空機製造及び保守方法のブロック図の例示である。
【
図13】例示的な一実施形態が実装され得る航空機のブロック図の例示である。
【
図14】例示的な一実施形態による、製品管理システムのブロック図の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例示的な実施形態は、1以上の種々の検討事項を認識し考慮する。例えば、例示的な実施形態は、航空機などの輸送体を検査するために現在使用されている技術が、物理的な紙のノートを使用して、望ましいよりも多くの時間と労力を必要とすることを認識し考慮する。例示的な実施形態は、航空機を検査するために現在使用されている技術が、不適合についての情報を集めるための正確な測定基準及び測定法なしに、処理システムのばらばらな集合を採用していることも認識し考慮する。
【0015】
例示的な実施形態は、検査を実行する作業人員向けの拡張現実体験を提供するプロセスが採用され得ることを認識し考慮する。例示的な一実施形態では、該プロセスが、輸送体内の携帯可能検査デバイスの位置を特定する。携帯検査デバイスの位置に基づいて、携帯可能検査デバイスの視野内の一群のアイテム内の1つのアイテムに対して作業人員によって行われる一群のジェスチャーを含む、ユーザ入力が受け取られる。携帯可能検査デバイスの視野内の一群のアイテム内のアイテムに関連付けて、輸送体に対する位置でノートが生成される。そのノートが、その位置に割り当てられる。携帯検査デバイス用の表示システム上のグラフィカルユーザインターフェース上の視野内で、ノートがアイテムに関連付けて表示される。
【0016】
航空機などの物体に対する不適合を特定するために、検査中にこの種のプロセスが使用されるときに、これらの不適合を解決することは、拡張現実システムを用いてより効率的に実行され得る。例示的な実施形態は、作業人員が、物理的なマーカーに頼ることなしに不適合を位置特定し得ることを認識し考慮する。結果として、より効率的な検査が実行され得る。
【0017】
例示的な一実施形態では、物理的な物体に対する不適合データを可視化するために、拡張現実システムが使用される。拡張現実システムは、携帯可能計算デバイス及び拡張現実アプリケーションを備える。本開示に従って実装されるように利用され且つ構成され得る拡張現実アプリケーションソフトウェアの一例は、Vuforia and PTC Incorporatedによって開発されたVuforia(商標)拡張現実ソフトウェアである。携帯可能計算デバイスは、物理的な物体の画像を取得するように構成されている。拡張現実アプリケーションは、物理的な物体上の不適合位置に対応する点を、座標立方体内にプロットする。
【0018】
拡張現実アプリケーションは、携帯可能計算デバイスの位置において携帯可能計算デバイスによって取得された画像内で視認可能な物理的な物体の領域に対応する座標立方体内でプロットされた点のサブセットを決定する。点のサブセットは、取得された画像内の物理的な物体の構造物によって視界(ビュー)から隠される不適合位置を排除する。拡張現実アプリケーションは、携帯可能計算デバイス内の表示システム上に表示される画像内の物理的な物体に対する不適合位置のサブセットに関連付けて、画像内で視認可能な点のサブセットに対する不適合データを表示する。
【0019】
次に、図面、特に
図1を参照すると、例示的な一実施形態による、航空機製造環境の例示が描かれている。この実施例では、航空機製造環境100が、胴体セクション102を含む。描かれているように、作業人員104が、内装106を通って歩き、製造の現在のフェーズにおける胴体セクション102の検査を実行する。
【0020】
この例示的な実施例では、作業人員104が、携帯可能計算デバイスの一種であるタブレットコンピュータ108を持ち運ぶ。タブレットコンピュータ108は、作業人員104が、胴体セクション102に対する不適合の位置を可視化することを可能にする。描かれているように、不適合の位置は、タブレットコンピュータ108の位置に基づいて見られ得る内装106内の位置である。この例示的な実施例では、位置が、三次元空間内のタブレットコンピュータ108の位置と、タブレットコンピュータ108の配向とを含む。言い換えると、タブレットコンピュータ108は、作業人員104に胴体セクション102の内装106の画像を表示するために、作業人員104によって種々の方向に向けられてよい。
【0021】
この例示的な実施例では、タブレットコンピュータ108上に表示される画像が、胴体セクション102の内装106のライブビュー(live view)向けである。拡張現実表示を提供するために、不適合データは、ライブビューで表示することができる。不適合データは、タブレットコンピュータ108上で実行されている拡張現実アプリケーションを使用して、胴体セクション102のライブビュー上に重ねて表示することができる。タブレットコンピュータ108が胴体セクション102の内装106内又は近くにある間、ライブビューは、胴体セクション102の内装106のビューである。言い換えると、胴体セクション102の内装106の画像は、重ねられた不適合データを伴って生成され拡張される。タブレットコンピュータ108が位置を変えると、画像は、タブレットコンピュータ108の現在の位置からのビューを示すように変化する。ライブビュー用の画像は、リアルタイムの動画として表示されてよい。言い換えると、作業人員104は、タブレットコンピュータ108のカメラの視界(ビュー)内にあるものを見ることができる。
【0022】
描かれているように、タブレットコンピュータ108は、胴体セクション102に対する空間内の点を表す走査データを生成するように構成されたセンサシステムを含む。センサシステムは、カメラ、ステレオカメラ、レーザースキャナ、又は走査データを生成することができる何らかの他の適切な種類のデバイスのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0023】
この走査データ(又はカメラ若しくはセンサによって取得された画像データ)は、無線通信リンク112を使用してサーバコンピュータ110に送られてよい。この例示的な実施例では、タブレットコンピュータ108とサーバコンピュータ110が、拡張現実システムを形成する。
【0024】
描かれているように、サーバコンピュータ110は、走査データを処理して、胴体セクション102の領域の表面輪郭の点群表現を生成する。この点群表現は、概して、ライブビュー内の同じ胴体セクションに対応する。更に、サーバコンピュータ110は、点群表現を使用して、胴体セクション102の領域のモデルを生成する。
【0025】
この例示的な実施例では、タブレットコンピュータ108(及び胴体セクション102に対するその位置)が、胴体セクション102の領域のモデルに位置決めされてよい。更に、胴体セクション102に対するタブレットコンピュータ108の位置(及び配向)は位置決め技術を通じて特定されてよい。その場合、配向は、タブレットコンピュータ108が向けられている方向であってよい。タブレットコンピュータ108が移動するときに、この環境内のタブレットコンピュータ108の位置を追跡すると同時に、航空機製造環境100の地図を構築し又は更新することを可能にする、同時位置決め地図作成(SLAM)向けの現在利用可能な技術を使用して、位置決めし且つ位置を特定することができる。
【0026】
位置決めは、胴体セクション102に対して特定可能な基準点を使用して実行することができる。この基準点は、同時位置決め地図作成プロセスによって特定され又は認識される位置目標であってよい。位置目標は、カメラの画像、レーザースキャン、又は他の適切な検出手段を介して特定可能な胴体セクション102の表面上に配置された反射目標などの、胴体セクション102上の物体又は構造物内にあってよい。例えば、目標位置は、胴体セクション102のモデルに対して知られた位置を有する出入口、モニュメント、窓、アンカープレート、又は胴体セクション102上の何らかの他の構造物若しくは特徴であってよい。
【0027】
位置目標は、タブレットコンピュータ108が、位置目標の位置を胴体セクション102のモデル内の対応する位置に相関させることを可能にする。この特定は、タブレットコンピュータ108が、知られた位置を有する位置目標に対するタブレットコンピュータ108の位置を特定し、更に、それ自体を、胴体セクション102と胴体セクション102のモデルに対して位置決めすることを可能にする。
【0028】
この例示的な実施例では、サーバコンピュータ110が、胴体セクション102上の不適合位置に対応する座標立方体内にある(例えば、不適合データベースから読み出され得る)点をプロットすることができる。サーバコンピュータ110は、不適合位置に対するどの点が、タブレットコンピュータ108上に表示された胴体セクション102の画像内で視認可能であるかも決定することができる。これらの決定された視認可能な点は、作業人員104によって見られるビューを拡張するために画像内に表示される。描かれているように、画像内のビューから隠されると判定された他のプロットされた点は、点群表現に対するタブレットコンピュータ108の位置及び胴体セクション102の領域に関連付けられた生成されたモデルに基づいて、タブレットコンピュータ108によって表示される画像上で表示されない。
【0029】
したがって、タブレットコンピュータ108は、作業人員104が、不適合が胴体セクション102内に存在する位置を可視化することを可能にする、拡張現実ビューを作業人員104に提供する。
【0030】
更に、作業人員104は、新しく特定された不適合位置を入力し、マークし、又は記録するように、タブレットコンピュータ108を動作させることもできる。
図1の航空機製造環境100の例示は、拡張現実システム向けの例示的な一実施態様として提供され、他の拡張現実システムが実装され得るやり方を制限することを意図していない。例えば、サーバコンピュータ110によって実行されているように表されている種々の動作の1以上は、タブレットコンピュータ108上で利用可能な処理資源の量に応じて、タブレットコンピュータ108によって行われてよい。更に、タブレットコンピュータ108を使用して、胴体セクション102以外の他の物体に対する不適合データを可視化することもできる。例えば、他の物体は、完成した航空機、主翼、自動車、列車、建物、又は不適合データの可視化が望まれる何らかの他の適切な構造物を含んでよい。
【0031】
次に、
図2を参照すると、例示的な一実施形態による、可視化環境のブロック図の例示が描かれている。可視化環境200は、物理的な物体204に対する情報が可視化され得る環境である。この例示的な実施例では、物理的な物体204が、幾つかの不適合位置208における幾つかの不適合206を有してよい。本明細書で使用される際に、アイテムに関して使用される「幾つかの」は、1以上のアイテムを意味する。例えば、幾つかの不適合206は、1以上の不適合206である。
【0032】
この例示的な実施例では、不適合が、物理的な物体204の一部分が仕様、標準、又は何らかの他の規則から逸脱するときに生じる。この例示的な実施例では、仕様、標準、又は何らかの他の規則が、政府機関、連邦航空局、製造業者、保守プロバイダ、アソシエーション、又は何らかの他の適切なソースからのものであってよい。標準は、性能、安全性、美観、又は他の要因のうちの少なくとも1つに関する規則を強要する。
【0033】
描かれているように、物理的な物体204は、幾つかの異なる形態を採ってよい。例えば、物理的な物体204は、移動プラットフォーム、固定プラットフォーム、陸上ベース構造体、水上ベース構造体、宇宙ベース構造体、航空機、民間航空機、回転翼航空機、水上艦、戦車、人員運搬車、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋、ダム、家屋、製造工場、建物、航空機構造物、主翼、胴体セクション、エンジンハウジング、エンジン、複合材パネル、壁、外板、椅子、及び他の適切な物体を含む、群から選択される。
【0034】
描かれているように、物理的な物体204に対する不適合データ210は、拡張現実システム212を使用して可視化することができる。この例示的な実施例では、拡張現実システム212が、幾つかの種々の構成要素を含む。描かれているように、拡張現実システム212は、携帯可能計算デバイス214、コンピュータシステム216、走査アプリケーション218、モデル化アプリケーション220、位置決めアプリケーション222、及び拡張現実アプリケーション224を備える。
【0035】
コンピュータシステム216は、物理的なハードウェアシステムであり、1以上のデータ処理システムを含む。2以上のデータ処理システムがコンピュータシステム216内に存在するときに、それらのデータ処理システムは、通信媒体を使用して互いに通信する。通信媒体は、ネットワークであってよい。データ処理システムは、コンピュータ、サーバコンピュータ、タブレットコンピュータ、又は何らかの他の適切なデータ処理システムのうちの少なくとも1つから選択されてよい。
【0036】
描かれているように、携帯可能計算デバイス214は、不適合データ210を可視化することにおいて使用される表示システム226を含む、データ処理システムである。携帯可能計算デバイス214は、作業人員228によって持ち運ばれるように構成された、サイズ、重量、又は形状のうちの少なくとも1つを有する。携帯可能計算デバイス214は、作業人員228によって保持されてよく、又は着用されてよい。
【0037】
携帯可能計算デバイス214は、幾つかの異なる形態を採ってよい。例えば、携帯可能計算デバイス214は、携帯電話、タブレットコンピュータ、頭部装着デバイス、スマート眼鏡、及び他の適切なデバイスを含む、群から選択されてよい。
【0038】
この例示的な実施例では、携帯可能計算デバイス214が、携帯可能計算デバイス214内のセンサシステム232を使用して、走査データ230を生成するように構成されている。
【0039】
描かれているように、不適合データ210は、データベース233内に位置付けられる。この例示的な実施例では、データベース233が、拡張現実システム212に対して遠隔位置にある。他の例示的な実施例では、データベース233が、コンピュータシステム216内に位置付けられてよい。
【0040】
この例示的な実施例では、走査データ230が、製造236のフェーズにある物理的な物体204に対する点234を表している。製造236のフェーズは、構造フェーズ、主翼胴体接合、最終胴体接合、システム設置、内装設置、飛行試験、及び他の適切なフェーズを含む、群から選択されてよい。この例示的な実施例では、物理的な物体204の領域240の画像238が、携帯可能計算デバイス214内のセンサシステム232を使用して生成される。
【0041】
描かれているように、物理的な物体204の領域240の画像238は、携帯可能計算デバイス214内の表示システム226上に表示される。この例示的な実施例では、領域240の画像238が、携帯可能計算デバイス214を使用して見られるような、物理的な物体204のライブビューである。携帯可能計算デバイス214が移動するときに、携帯可能計算デバイス214内の表示システム226上で新しい画像が生成され表示されてよい。新しい画像は、物理的な物体204の現在のビューを示している。物理的な物体204の画像は、リアルタイムで周期的に生成され、表示システム226上に動画として表示されてよい。
【0042】
この例示的な実施例では、センサシステム232が、幾つかの構成要素を含む物理的なセンサシステムである。例えば、センサシステム232は、三次元スキャナ、カメラ、全地球測位システム受信器、構造化された(structured)光三次元スキャナ、ライダー(lidar)システム、レーザースキャナ、コノスコープホノグラフ(conoscopic holograph)システム、飛行時(time of flight)三次元スキャナ、又は他の適切な種類のセンサのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0043】
本明細書で使用される場合、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1以上の種々の組み合わせが使用されてもよく、且つ列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされてもよいということを意味する。換言すると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせ、及び幾つかのアイテムが、列挙された中から使用され得ることを意味するが、列挙されたアイテムの全てが必要となる訳ではないことを意味する。アイテムは、特定の物体、物、又はカテゴリであってよい。
【0044】
例えば、限定するものではないが、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、アイテムA、アイテムA及びアイテムB、若しくはアイテムBを含むことができる。この例はまた、アイテムA、アイテムB、及びアイテムC、若しくはアイテムB及びアイテムCも含むことができる。言うまでもなく、これらのアイテムのいずれかの組み合わせが存在し得る。幾つかの実施例では、「~のうちの少なくとも1つ」は、限定しないが例として、「2個のアイテムA、1個のアイテムB、及び10個のアイテムC」、「4個のアイテムB及び7個のアイテムC」、又は他の好適な組み合わせであってよい。
【0045】
レーザースキャナは、物理的な物体204を走査して、走査データ230を生成することができる。カメラは、物理的な物体204の領域240の画像238を生成することができる。
【0046】
携帯可能計算デバイス214は、走査データ230をコンピュータシステム216に送る。この例示的な実施例では、携帯可能計算デバイス214が、コンピュータシステム216と通信する。通信は、ネットワーク、無線通信リンク、有線通信リンクなどの通信媒体を使用して、又は何らかの他の適切な媒体を使用して、容易にされてよい。
【0047】
コンピュータシステム216内の走査アプリケーション218はソフトウェアである。走査アプリケーション218が、コンピュータシステム216によって実行されたときに、走査アプリケーション218は、走査データ230を使用して、物理的な物体204の領域240に対する点群表現242を生成する。この例示的な実施例では、走査アプリケーション218は、物理的な物体204の領域240内で検出された走査データ230内の点234を点群表現242の中に置く。
【0048】
点群表現242は、三次元モデルを生成するために、モデル化アプリケーションの中に取り込まれてよい。この例示的な実施例では、コンピュータシステム216内のモデル化アプリケーション220が、点群表現242からモデル244を生成するソフトウェアである。モデル244は、三次元モデルであり、例えば、コンピュータ援用設計(CAD)モデル、コンピュータ援用製造(CAM)モデル、又は何らかの他の適切なモデルであってよい。この実施例では、モデル化アプリケーション220が、物理的な物体204の領域240に対する点群表現242を使用して、画定された座標立方体246内で物理的な物体204の領域240のモデル244を生成することができる。
【0049】
この例示的な実施例では、携帯可能計算デバイス214内の位置決めアプリケーション222が、携帯可能計算デバイス214を、位置目標250に基づいて、画定された座標立方体246内の物理的な物体204の領域240の表面輪郭の点群表現242から生成されたモデル244に位置決めし、物理的な物体204に対する携帯可能計算デバイス214の位置248を特定する、ソフトウェアである。この実施例では、位置決めアプリケーション222が、可視化環境200内で携帯可能計算デバイス214の位置248を追跡すると同時に、航空機製造環境100の地図を構築し又は更新することを可能にする、同時位置決め地図作成(SLAM)向けの現在利用可能な技術を実装することができる。この例示的な実施例では、携帯可能計算デバイス214の位置248が、三次元空間内の携帯可能計算デバイス214の位置と、携帯可能計算デバイス214の配向とである。
【0050】
例示的な一実施例では、携帯可能計算デバイス214をモデル244に位置決めすることにおいて、位置決めアプリケーション222が、物理的な物体204に対する位置目標250を位置特定する。位置決めアプリケーション222は、位置目標250の目標位置252を使用して、計算デバイス214を、画定された座標立方体246内の物理的な物体204の領域240のモデル244に位置決めし、物理的な物体204に対する携帯可能計算デバイス214の位置248を特定する。
【0051】
この例示的な実施例では、位置目標250が物理的な特徴である。例えば、位置目標250は、プレート、バーコード、無線周波数識別子(RFID)デバイス、アンカー、空間的なアンカー、アンカープレート、又は何らかの他の適切な構造物であってよい。位置目標250は、物理的な物体204上の知られた位置にあり、物理的な物体204を表すモデル244内に対応する位置を有する。その位置は、三次元内にあり、位置目標250の配向も知られている場合、目標位置252であってよい。
【0052】
位置目標250の位置は、物理的な物体204に対する携帯可能計算デバイス214の位置248を特定することができるように、モデル244内の対応する位置と相関してよい。位置目標250は、位置決めアプリケーション222によって、取得された画像238内の物理的な物体204のライブビュー上に所望のレベルの精度で、携帯可能計算デバイス214内の拡張現実アプリケーション224による拡張現実情報を表示し且つ/又は重ね合わせるための基準として使用されてよく、携帯可能計算デバイス214内の表示デバイス226上に表示されてよい。この実施例では、携帯可能計算デバイス214の位置248が、位置目標250を使用して、位置決めアプリケーション222によって、より高い精度で特定されてよい。
【0053】
描かれているように、拡張現実アプリケーション224は、携帯可能計算デバイス214内に位置付けられている。この実施例では、拡張現実アプリケーション224が、物理的な物体204上の不適合位置208に対応する点234を、画定された座標立方体246内にプロットする。拡張現実アプリケーション224は、携帯可能計算デバイス214の位置248において携帯可能計算デバイス214によって取得された物理的な物体204の領域240の画像238内で視認可能な画定された座標立方体246内にプロットされた点234のサブセット254を決定する。
【0054】
この例示的な実施例では、画像238内で視認可能な画定された座標立方体246内にプロットされた点234のサブセット254を決定することにおいて、拡張現実アプリケーション224が、不適合位置208に対する画定された座標立方体246内にプロットされた点234のうちのどれが、画像238内の物理的な物体の構造物を所定の距離以上超えて位置付けられており、位置248にある携帯可能計算デバイス214からの視界(ビュー)から隠されるかを決定する。例えば、携帯可能計算デバイス214の位置から見たときに(モデル/点群表現に基づいて)物理的な物体の構造物を超えると判定された位置などである。
【0055】
例えば、所与の不適合位置と携帯可能計算デバイス214の位置との間の特定された距離が、携帯可能計算デバイス214からの物理的な物体の構造物の距離より長いと判定された場合、そのような不適合位置は、携帯可能計算デバイスの位置から見られる物理的な構造物を超えている可能性がある。別の一実施例では、携帯可能計算デバイス214が、物理的な物体の構造物の内装空間内に位置付けられ、物理的な物体の構造物の一部分に向けて方向付けられ、所与の不適合位置が、不適合位置と物理的な物体の構造物のモデル表現との比較に基づいて内装空間の外側に位置付けられていると判定された場合、そのような不適合位置は、携帯可能計算デバイス214の位置から見たときに物理的な物体の構造物を超えている。物理的な物体の構造物から所定の距離以上超えているこれらの点は、点234のサブセット254から排除される。
【0056】
例示的な一実施例では、物理的な物体204が航空機であり、物理的な物体の構造物が航空機構造物である。拡張現実アプリケーション224は、不適合位置208に対する画定された座標立方体246内の残っている点258のうちのどれが、表示される航空機構造物からの各不適合位置の距離を、視界(ビュー)から隠される不適合位置に対応する所定の距離以上超えていると判定することによって、隠されるべきか決定する。
【0057】
拡張現実アプリケーション224は、携帯可能計算デバイス214内の表示システム226上に表示される画像238内の物理的な物体204に対する不適合位置208のサブセット256に関連付けて、画像238内で視認可能な点234のサブセット254に対する不適合データ210を表示する。この実施例では、点234のサブセット254に対する不適合データ210が、ライブの不適合データである。言い換えると、この不適合データは、物理的な物体204内に未だ存在する不適合を反映する。言い換えると、これらのライブの不適合は、解決されていない。
【0058】
この例示的な実施例では、不適合データ210を表示することにおいて、拡張現実アプリケーション224が、物理的な物体204の領域240の画像238内のビューから隠される不適合位置208に対する不適合データ210を表示することなしに、携帯可能計算デバイス214内で表示システム226上に表示される画像238内の物理的な物体204に対する不適合位置208のサブセット256に関連付けて、画像238内で視認可能な点234のサブセット254に対する不適合データ210を表示する。例えば、不適合な位置が、画像238内で視認可能でない物理的な物体204の表面上に位置付けられている場合、その不適合位置は、隠されると考えられ表示されない。
【0059】
描かれているように、位置234、不適合データ210、又は位置248にある携帯可能計算デバイス214にとって視認可能な不適合位置208に対する他の情報、のうちの少なくとも1つの表示は、グラフィカルインジケータ257を使用して実行される。グラフィカルインジケータ257内のグラフィカルインジケータは、アイコン、絵文字、表意文字、グラフィック、画像、テキスト、アニメーション、ボールディング(bolding)、グラフ、線、矢印、又は他の適切なグラフィックのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0060】
このやり方では、不適合データ210を有する画像238の拡張は、画像238内で作業人員228が見ることができる物理的な物体204の部分に対して行われる。作業人員228が、携帯可能計算デバイス214を伴って移動するときに、携帯可能計算デバイス214の位置248は変化する。位置248のこの変化は、どの表面が視認可能であるかを変化させ得る。それは、不適合データ210の表示に影響を与え得る。このやり方では、物理的な物体204の拡張されたビューは、携帯可能計算デバイス214の位置248が物理的な物体204に対して変化するときに、動的に変化し得る。
【0061】
別の例示的な一実施例では、視認可能な不適合位置及び隠される不適合位置を含む、全ての不適合位置208に対する点234が表示されてよい。そのような特徴は、物理的な物体204のパノラミックビュー260向けに有用であってよい。例えば、拡張現実アプリケーション224は、携帯可能計算デバイス214が、パノラミックビュー260向けに選択された距離より大きいかどうかを判定してよく、画定された座標立方体246内の不適合位置208の全てに対する点234を表示して、不適合位置208の全てのパノラミックビュー260を提供することができる。
【0062】
更に、拡張現実アプリケーション224は、時間情報に基づいて不適合データ210をフィルタして、歴史的な不適合データ又はアクティブな不適合データのうちの少なくとも一方を表示することもできる。歴史的な不適合データは、物理的な物体204又は物理的な物体204の他の事例のうちの少なくとも一方に対する不適合データである。不適合に対する歴史的なデータは、既に解決された又は再作業された不適合を含んでよい。フィルタリングは、特定の期間だけ行われてよい。この例示的な実施例では、アクティブな不適合データが、未だ解決されていない物理的な物体204に対する不適合データ210である。
【0063】
別の例示的な一実施例では、フィルタリングが、その種の他の物理的な物体に対する不適合データ210向けに実行されてよい。したがって、不適合206のビューは、複数の物理的な物体に対して見られてよい。これらの同じ時間の物理的な物体は、同じ施設又はラインで製造された物理的な物体であってよい。別の一実施例では、不適合206が、同じ保守施設で整備されている複数の物理的な物体から見られてよい。
【0064】
走査アプリケーション218、モデル化アプリケーション220、位置決めアプリケーション222、又は拡張現実アプリケーション224は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせで実装されてよい。ソフトウェアが使用されるときに、これらの構成要素によって実行される動作は、プロセッサユニットなどのハードウェア上で動作するように構成されたプログラムコード内に実装されてよい。ファームウェアが使用されるときに、これらの構成要素によって実行される動作は、プログラムコード及びデータ内に実装されてよく、プロセッサユニット上で動作するような永続メモリ内に記憶されてよい。ハードウェアが採用されるときに、ハードウェアは、これらの構成要素内で動作を実行するように動作する回路を含んでよい。
【0065】
例示的な実施例において、ハードウェアは、回路システム、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス、又は幾つかの動作を実行するよう構成された何らかの他の適切な種類のハードウェア、のうちの少なくとも1つから選択された形態を採り得る。プログラマブル論理デバイスを用いる場合、デバイスは、幾つかの動作を実施するように構成することができる。デバイスは、後で再構成されてよく、又は数々の動作を実行するように恒久的に構成されてよい。プログラマブル論理デバイスは、例えば、プログラマブル論理アレイ、プログラマブルアレイ論理、フィールドプログラマブル論理アレイ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、及び他の適切なハードウェアデバイスを含む。加えて、これらのプロセスは、無機構成要素と一体化された有機構成要素内に実装されてよく、人間以外の有機構成要素から全体的に構成されてよい。例えば、これらのプロセスは、有機半導体内の回路として実装されてよい。
【0066】
例示的な一実施例では、航空機の不適合を効率的に特定し解決することに関する技術的な問題を克服する、1以上の技術的な解決策が存在する。結果として、1以上の技術的な解決策は、画像238内の物理的な物体204のライブビューを拡張する技術的な効果を提供して、作業人員228に、画像238内のビューで視認可能であり且つ隠されていない不適合位置208の可視化を提供することができる。
【0067】
コンピュータシステム216及び携帯可能計算デバイス214は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせを使用する種々の例示的な実施例における、ステップ、動作、又は作業のうちの少なくとも1つを実行するように構成されてよい。結果として、コンピュータシステム216又は携帯可能計算デバイス214のうちの少なくとも一方は、これらの構成要素内の種々のアプリケーションが、物理的な物体204の拡張されたビュー内で不適合データ210を可視化することを可能にする、特殊目的のコンピュータシステムとして動作する。特に、拡張現実アプリケーション224は、拡張現実アプリケーション224を有さない現在利用可能な汎用コンピュータシステムと比較して、コンピュータシステム216又は携帯可能計算デバイス214を、特殊目的のコンピュータシステムに変換する。
【0068】
このやり方では、タブレットコンピュータ108が、作業人員104が、点群生成、同時位置決め地図作成プロセス、及び不適合データのデータベースを使用して、胴体セクション102に対する不適合データを見ることを可能にする。
【0069】
図2の可視化環境200の例示は、例示的な一実施形態が実装され得るやり方への物理的な又は構造上の限定を示唆することを意図するものではない。示されている構成要素に加えて又は代えて他の構成要素が使用されてよい。幾つかの構成要素は不要であってよい。更に、一部の機能構成要素を図示するために、ブロックが提示されている。例示的な実施形態に実装されるときに、これらのブロックのうちの1以上が、結合され、分割され、又は結合且つ分割されて異なるブロックになってよい。
【0070】
例えば、インターフェースなどの別の構成要素が、拡張現実システム212内に存在してよい。インターフェースは、物理的な物体204上の不適合位置208を受け取るように構成されてよい。これらの例示的な実施例では、インターフェースが、不適合データ210のデータベース233との通信を提供してよい。
【0071】
更に、コンピュータシステム216内に位置付けられているとして示されている構成要素の一部は、他の構成要素内に実装されてよい。例えば、ある例示的な実施例では、走査アプリケーション218が、コンピュータシステム216の代わりに、携帯可能計算デバイス214内に位置付けられてよい。
【0072】
別の例示的な一実施例では、位置決めアプリケーション222が、携帯可能計算デバイス214の代わりに、又は携帯可能計算デバイス214に加えて分散プロセスとして、コンピュータシステム216内に位置付けられてよい。したがって、コンピュータシステム216は、走査アプリケーション218、モデル化アプリケーション220、位置決めアプリケーション222、又は拡張現実アプリケーション224のうちの少なくとも1つを含んでよい。拡張現実デバイス214は、走査アプリケーション218、モデル化アプリケーション220、位置決めアプリケーション222、又は拡張現実アプリケーション224のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0073】
次に、
図3を参照すると、例示的な一実施形態による、画定された座標立方体内の航空機構造物のモデルの例示が描かれている。この例示的な実施例では、画定された座標立方体302内に位置付けられたモデル300が表示されている。
【0074】
この実施例では、モデル300が航空機の一部分を表す。この実施例では、モデル300が、胴体310のノーズ304及び部分308を含む。この実施例では、モデル300が、航空機の一部分の点群表現を使用して生成されたモデルの一実施例である。
【0075】
例えば、モデル300は、航空機のコンピュータ援用設計から幾何学的形状及び他の情報を抽出することによって生成されてよい。モデル300から抽出されたコンピュータ援用設計モデルの部分は、航空機の点群表現に基づいてよい。この例示的な実施例では、モデル300が、コンピュータ援用設計(CAD)モデルであってもよい。
【0076】
次に、
図4を参照すると、例示的な一実施形態による、不適合位置を示すように拡張された操縦室の画像の例示が描かれている。例示的な実施例では、複数の図中で同一の参照番号が使用され得る。異なる図中で参照番号が繰り返し使用される場合には、異なる図中の同一の要素を表している。
【0077】
この例示的な実施例では、画像400が、航空機403内の操縦室402を示している。画像400は、
図2の表示システム226上で携帯可能計算デバイス214によって表示された画像238の一例である。それは、操縦室402のライブビューである。この例示的な実施例では、航空機403内の操縦室402が、
図3のモデル300内でモデル化されている。
【0078】
この例示的な実施例では、不適合位置が、操縦室402内に存在する。この実施例では、これらの不適合位置が、不適合位置410、不適合位置412、不適合位置414、不適合位置416、不適合位置418、不適合位置420、及び不適合位置422を含む。これらの不適合位置は、操縦室402の詳細を含む不適合データ及びモデル300から特定されてよい。
【0079】
画像400内の操縦室402のライブビューは、グラフィカルインジケータを用いて拡張されて、不適合の存在を示す。この例示的な実施例では、画像400内で視認可能な不適合が、グラフィカルインジケータを用いて拡張される一方で、画像400内で不明瞭な不適合が、グラフィカルインジケータを使用して特定されない。
【0080】
描かれているように、不適合位置410、不適合位置412、不適合位置414、及び不適合位置416は、画像400内で視認可能である。しかし、不適合位置418、不適合位置420、及び不適合位置422は、不明瞭である。この描かれている実施例では、画像400内の操縦室402のこのビューで、これらの不適合位置が椅子424によって不明瞭になっている。
【0081】
この例示的な実施例では、視認可能な不適合位置が、グラフィカルインジケータを用いて画像400のライブビューを拡張して不適合位置を特定することによって、画像400内で特定されている。この実施例では、グラフィカルインジケータが星形である。描かれているように、不適合位置410は、星形430を使用して示され、不適合位置412は、星形432を使用して示され、不適合位置414は、星形434を使用して示され、不適合位置416は、星形436を使用して示されている。不適合位置418、不適合位置420、及び不適合位置422に対するグラフィカルインジケータは、画像400上に表示されていない。何故ならば、これらの位置は、操縦室402のこのビューからは不明瞭だからである。
【0082】
この例示的な実施例では、グラフィカルインジケータを選択することによって、不適合についての更なる情報の表示をもたらすことができる。例えば、不適合位置414に対する星形434の選択は、窓442内の不適合データ440の表示をもたらしている。不適合データ440は、幾つかの異なる形態を採ってよい。例えば、不適合データ440は、不適合の説明、不適合を解決するための指示命令、不適合の3点位置(three point location)、作業順序、画像、更なる情報に対するリンク、又は他の適切な情報のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0083】
携帯可能計算デバイス214の位置が変化するときに、視認可能な不適合位置及び不明瞭な不適合位置が変化し得る。これらの変化は、操縦室402の新しい画像上の視認可能な不適合位置に対するグラフィカルインジケータを表示することによって特定され得る。
【0084】
次に、
図5を参照すると、例示的な一実施形態による、不適合位置を示すように拡張された操縦室の画像の例示が描かれている。
【0085】
この図では、画像500が、その中で携帯可能計算デバイス214が位置を変えたところの操縦室402のライブビューである。描かれているように、不適合位置410、不適合位置412、不適合位置414、不適合位置416、不適合位置418、不適合位置420、及び不適合位置422は、画像500内の操縦室402のこのビュー内にある。
【0086】
この位置では、視認可能な不適合位置と不明瞭な不適合位置の変化が生じる。不適合位置410、不適合位置412、不適合位置414、不適合位置420、及び不適合位置422は、画像500内の操縦室402のこのビュー内で視認可能である。不適合位置416と不適合位置418は、画像500内の操縦室402のこのビュー内で不明瞭である。
【0087】
結果として、画像500内の操縦室402のライブビューは、画像500内の視認可能な不適合位置を示すように拡張されている。この実施例では、不適合位置410、不適合位置412、及び不適合位置414が、未だ視認可能であり、それぞれ、星形430、星型432、及び星形434を使用して示されている。不適合位置420は、星形510を有し、不適合位置422は、星形512を有する。
【0088】
次に、
図6を参照すると、例示的な一実施形態による、航空機のパノラミックビューの例示が描かれている。航空機403のライブ外装ビューが、画像600内に描かれている。画像600は、
図2の携帯可能計算デバイス214によって生成された画像の238の別の一例である。
【0089】
このビューでは、携帯可能計算デバイス214の位置が、航空機403のパノラミックビュー602をもたらす、航空機403からの選択された距離にある。このビューでは、画像600が、画像600内の航空機403に対する全ての不適合位置を示すように、グラフィカルインジケータによって拡張されている。
【0090】
この実施例では、グラフィカルインジケータが、不適合位置が、画像600内のライブビュー内の外装上で視認可能かどうかを示している。この実施例では、星形の形態を採るグラフィカルインジケータが、視認可能な不適合位置を示している。円の形態を採るグラフィカルインジケータが、不明瞭な不適合位置を示している。
【0091】
この実施例では、パノラミックビュー602が、画像600内の航空機403のこのビュー内で視認可能な不適合位置を示すために、星形610、星形612、星形614、星形616、星形618、星形620、星形622、星形624を含む。
【0092】
描かれているように、画像600内の航空機403のこのビュー内で不明瞭な不適合位置は、円630、円632、円634、円636、円638、円640、円642、円644、円646、円648、円650、円652、及び円654を含む。
【0093】
このやり方では、作業人員は、どの不適合位置が、画像600内の航空機403のライブビュー内で実際に視認可能かを特定することができる。
【0094】
次に、
図7を参照すると、例示的な一実施形態による、物理的な物体に対する不適合データを可視化するためのプロセスのフローチャートが描かれている。
図7のプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方の中に実装可能である。ソフトウェア内に実装されるときに、該プロセスは、1以上のコンピュータシステム内の1以上のハードウェアデバイスに位置付けられた1以上のプロセッサユニットによって実行されるプログラムコードの形態を採ってよい。例えば、これらのプロセスは、
図1のタブレットコンピュータ108又は
図2の携帯可能計算デバイス214内に実装されてよい。これらのプロセスは、これらの計算システムのうちの1つの中に位置付けられた拡張現実アプリケーション内に実装されてよい。
【0095】
該プロセスは、物理的な物体上の不適合位置に対応する点を、画定された座標立方体内にプロットすることによって開始する(動作700)。動作700では、画定された座標立方体が、モデル化される物理的な物体の領域を画定する。
【0096】
例示的な一実施例では、画定された座標立方体が、物理的な物体の全て又は部分を含んでよい。物理的な物体のうちのどれだけがモデル化されるかの選択は、物理的な物体のモデル向けに生成されるデータの量に対して利用可能な処理リソースに依存する。
【0097】
該プロセスは、携帯可能計算デバイスによって取得された物理的な物体の領域の画像内で視認可能な物理的な物体の領域に対応する画定された座標立方体内でプロットされた点のサブセットであって、携帯可能計算デバイスの位置から見たときに物理的な物体の構造物を超えて位置付けられていると判定されたプロットされた点を排除するサブセットを決定する(動作702)。点のサブセットは、画像内の物理的な物体の構造物によって視界(ビュー)から隠される不適合位置を排除する。動作702が実装され得る1つのやり方は、不適合位置に対する残っている点のうちのどれが、画像内で表示される物理的な物体構造からの各不適合位置の距離を、視界(ビュー)から隠される不適合位置に対応する所定の距離以上超えていると判定することによって、隠されるべきか決定することを含む。
【0098】
該プロセスは、携帯可能計算デバイス内の表示システム上に表示される画像内の物理的な物体に対する不適合位置のサブセットに関連付けて、画像内で視認可能な点のサブセットに対する不適合データを表示する(動作704)。その後、該プロセスは終了する。
【0099】
次に、
図8を参照すると、例示的な一実施形態による、点のサブセットを決定するためのプロセスのフローチャートの例示が描かれている。
図8で示されているプロセスは、
図7の動作702向けの例示的な一実施態様であり、その中で、携帯可能計算デバイスの現在の位置にある携帯可能計算デバイスにとって視認可能な不適合位置に対する点のサブセットが特定される。
【0100】
該プロセスは、不適合位置に対する画定された座標立方体内でプロットされた点が、画像内の物理的な物体の構造物を所定の距離以上超えて位置付けられており、携帯可能計算デバイスの位置にある携帯可能計算デバイスからの視界(ビュー)から隠されると判定することによって開始する(動作800)。該プロセスは、物理的な物体の構造物を所定の距離以上超えているこれらの点を排除する(動作802)。残っている点は、点のサブセットを形成する。その後、該プロセスは終了する。
【0101】
次に、
図9を参照すると、例示的な一実施形態による、携帯可能計算デバイスの位置を特定するためのプロセスのフローチャートの例示が描かれている。
図9におけるプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方の中に実装されてよい。ソフトウェア内に実装されるときに、プロセスは、1以上のコンピュータシステム内の1以上のハードウェアデバイスに位置付けられた1以上のプロセッサユニットによって実行されるプログラムコードの形態を採ってよい。例えば、これらのプロセスは、
図1のタブレットコンピュータ108内に実装されてよく、又は
図2の携帯可能計算デバイス214若しくはコンピュータシステム216のうちの少なくとも一方で実行され得る、
図2の位置決めアプリケーション222内に実装されてよい。これらのプロセスは、これらの計算システムのうちの1つの中に位置付けられた拡張現実アプリケーション内に実装されてよい。
【0102】
該プロセスは、物理的な物体に対する位置目標を位置特定することによって開始する(動作900)。位置目標は、特定の物理的な物体の構造物であってよい。例えば、位置目標は、バーコード、プレート、ポータル、出入口、又は物理的な物体内の何らかの他の適切な構造物であってよい。この位置目標は、物理的な物体内の知られた位置、並びに物理的な物体のモデル内の対応する位置を有する。
【0103】
該プロセスは、位置目標の目標位置を使用して、携帯可能計算デバイスを、画定された座標立方体内の物理的な物体の領域のモデルに位置決めする(動作902)。
【0104】
該プロセスは、物理的な物体に対する携帯可能計算デバイスの位置を特定する(動作904)。その後、該プロセスは終了する。
【0105】
図10を参照すると、例示的な一実施形態による、不適合データをフィルタリングするためのプロセスのフローチャートの例示が描かれている。
図10のプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方の中に実装されてよい。ソフトウェア内に実装されるとときに、プロセスは、1以上のコンピュータシステム内の1以上のハードウェアデバイスに位置付けられた1以上のプロセッサユニットによって実行されるプログラムコードの形態を採ってよい。例えば、これらのプロセスは、
図1のタブレットコンピュータ108若しくはサーバコンピュータ110のうちの少なくとも一方の中に実装されてよく、又は
図2の携帯可能計算デバイス214若しくはコンピュータシステム216のうちの少なくとも一方の中に実装されてよい。
図10のプロセスは、不適合データを携帯可能計算デバイス上に表示するために選択され得る1つのやり方の一例である。
【0106】
該プロセスは、その中で不適合データが所望されるところの空間を特定することによって開始する(動作1000)。動作1000では、その空間が、画定された座標立方体であってよい。該プロセスは、その中に携帯可能計算デバイスが位置付けられるところの物理的な物体を含む、物理的な物体の一組を特定する(動作1002)。動作1002では、物理的な物体の一組が、その中に携帯可能計算デバイスが位置付けられるところの物理的な物体に加えて、同じ種類の物理的な物体を含んでよい。このやり方では、不適合データが、同じ種類の他の物理的な物体向けに読み出されてよい。この種の読み出しは、同じ種類の異なる物理的な物体にわたる不適合の比較を可能にする。例えば、同じ種類の物体は、特定のライン上又は特定の製造施設内の全ての物理的な物体であってよい。
【0107】
該プロセスは、それに対して不適合データが所望されるところの時間も特定する(動作1004)。この時間は、現在の時間であってよく、その場合、不適合データは、不適合データが現在存在する物理的な物体に対するものである。別の例示的な一実施例では、その時間が、物理的な物体に対して解決されたかもしれない不適合を含む時間の範囲であってよい。
【0108】
次いで、該プロセスは、時間及び物理的な物体の組を使用して、不適合データを読み出す(動作1006)。その後、該プロセスは終了する。
【0109】
図示した種々の実施形態におけるフローチャート及びブロック図は、例示的な一実施形態における、装置及び方法の幾つかの可能な実施態様の構造、機能、及び動作を示している。これに関し、フローチャート又はブロック図内の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、又は動作若しくはステップの一部分のうちの少なくとも1つを表し得る。例えば、1以上のブロックは、プログラムコード、ハードウェア、又はプログラムコードとハードウェアの組み合わせとして実装されてよい。ハードウェア内に実装されたときに、ハードウェアは、例えば、フローチャート又はブロック図の1以上の動作を実行するように製造又は構成された集積回路の形態を採り得る。プログラムコードとハードウェアの組み合わせとして実装されたときに、この実装態様は、ファームウェアの形態を採り得る。フローチャート又はブロック図の各ブロックは、種々の動作を実行する専用ハードウェアシステム、又は専用ハードウェアと専用ハードウェアによって実行されるプログラムコードとの組み合わせを使用して実装され得る。
【0110】
例示的な一実施形態の幾つかの代替的な実施態様では、ブロック内に記載された1以上の機能が、図中に記載された順序を逸脱して出現し得る。例えば、場合によっては、連続して示される2つのブロックがほぼ同時に実施されること、又は時には含まれる機能に応じてブロックが逆順に実施されることもあり得る。また、フローチャート又はブロック図に示されているブロックに加えて、他のブロックが追加されることもある。
【0111】
次に、
図11を参照すると、例示的な一実施形態による、データ処理システムのブロック図の例示が描かれている。データ処理システム1100を使用して、
図1のタブレットコンピュータ108及びサーバコンピュータ110を実装することができる。データ処理システム1100を使用して、
図2の携帯可能計算デバイス214及びコンピュータシステム216を実装することもできる。この例示的な実施例では、データ処理システム1100が、通信フレームワーク1102を含み、これによりプロセッサユニット1104、メモリ1106、固定記憶装置1108、通信ユニット1110、入出力(I/O)ユニット1112、及び表示ユニット1114間の通信が行われる。この実施例では、通信フレームワーク1102が、バスシステムの形態を採る。
【0112】
プロセッサユニット1104は、メモリ1106にロードされ得るソフトウェア向けの指示命令を実行する役割を果たす。プロセッサユニット1104は、1以上のプロセッサを含む。例えば、プロセッサユニット1104は、マルチコアプロセッサ、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、物理処理装置(PPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ、又は何らかの他の適切な種類のプロセッサのうちの少なくとも1つから選択されてよい。
【0113】
メモリ1106及び固定記憶装置1108は、記憶デバイス1116の実施例である。記憶デバイスは、例えば、限定するものではないが、データ、機能的な形態のプログラムコードなどの情報、又は他の適切な情報のうちの少なくとも1つを一時的に及び/若しくは永続的に記憶できる、任意のハードウェアである。これらの例示的な実施例では、記憶デバイス1116が、コンピュータ可読記憶デバイスとも称され得る。これらの実施例では、例えば、メモリ1106が、ランダムアクセスメモリ、又は任意の他の適切な揮発性若しくは不揮発性の記憶デバイスであってよい。固定記憶装置1108は、特定の実施態様に応じて、様々な形態を採ってよい。
【0114】
例えば、固定記憶装置1108は、1以上の構成要素又はデバイスを含んでよい。例えば、固定記憶装置1108は、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ、書換え型光学ディスク、書換え可能磁気テープ、又は上述の何らかの合わせであってよい。固定記憶装置1108によって使用される媒体は、着脱式のものであってもよい。例えば、固定記憶装置1108には、着脱式ハードドライブを使用してよい。
【0115】
これらの例示的な実施例では、通信ユニット1110が、他のデータ処理システム又はデバイスとの通信を提供する。これらの例示的な実施例では、通信ユニット1110が、ネットワークインタフェースカードである。
【0116】
入/出力ユニット1112は、データ処理システム1100に接続され得る他のデバイスとの間で、データの入出力を可能にする。例えば、入/出力ユニット1112は、キーボード、マウス、又は何らかの他の適切な入力デバイスのうちの少なくとも1つを通じて、ユーザ入力用の接続を提供してよい。更に、入/出力ユニット1112は、プリンタに出力を送ってよい。ディスプレイ1114は、ユーザに情報を表示するための機構を提供する。
【0117】
オペレーティングシステム、アプリケーション、又はプログラムのうちの少なくとも1つに対する指示命令が、通信フレームワーク1102を通じてプロセッサユニット1104と通信する記憶デバイス1116内に位置付けられてよい。種々の実施形態のプロセスは、メモリ1106などのメモリ内に位置付けられ得る、コンピュータに実装された指示命令を使用して、プロセッサユニット1104によって実行されてよい。
【0118】
これらの指示命令は、プロセッサユニット1104内のプロセッサによって読まれ実行され得る、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、又はコンピュータ可読プログラムコードと称される。種々の実施形態のプログラムコードは、メモリ1106や固定記憶装置1108などの種々の物理的な媒体又はコンピュータ可読記憶媒体上に具現化されてよい。
【0119】
プログラムコード1118は、選択的に着脱可能であるコンピュータ可読媒体1120上に機能的な形態で位置付けられ、プロセッサユニット1104による実行向けにデータ処理システム1100にロードしたり転送したりしてよい。これらの実施例では、プログラムコード1118とコンピュータ可読媒体1120が、コンピュータプログラム製品1122を形成する。例示的な実施例では、コンピュータ可読媒体1120が、コンピュータ可読記憶媒体1124である。
【0120】
これらの例示的な実施例では、コンピュータ可読記憶媒体1124が、プログラムコード1118を伝搬させるか又は送信する媒体というよりはむしろ、プログラムコード1118を記憶するために使用される物理的な又は有形の記憶デバイスである。
【0121】
代替的に、プログラムコード1118は、コンピュータ可読信号媒体を使用して、データ処理システム1100に伝送されてよい。コンピュータ可読信号媒体は、例えば、プログラムコード1118を含む伝播データ信号であってよい。例えば、コンピュータ可読信号媒体は、電磁信号、光信号、又は他の任意の適切な種類の信号のうちの少なくとも1つであってよい。これらの信号は、無線接続、光ファイバーケーブル、同軸ケーブル、電線、又は任意の他の適切な種類の接続などの、接続を経由して送信されてよい。
【0122】
データ処理システム1100に関して図示されている種々の構成要素は、種々の実施形態が実施され得るやり方に対して構造的制限を設けることを意図していない。ある例示的な実施例では、構成要素の1以上が、別の構成要素内に組み込まれてよく、又はさもなければ別の構成要素の一部分を形成してよい。例えば、メモリ1106又はその部分は、幾つかの例示的な実施例では、プロセッサユニット1104内に組み込まれてよい。種々の例示的実施形態は、データ処理システム1100に対して図示されている構成要素に対する追加的又は代替的な構成要素を含む、データ処理システム内に実装されてよい。
図11に示した他の構成要素は、図示されている例示的な実施例と異なることがある。種々の実施形態は、プログラムコード1118を実行し得る任意のハードウェアデバイス又はシステムを使用して実装されてよい。
【0123】
本開示の例示的な実施形態は、
図12に示す航空機の製造及び保守方法1200、及び
図13に示す航空機1300に照らして説明され得る。先ず、
図12を参照すると、例示的な実施形態による航空機の製造及び保守方法のブロック図が示されている。製造前段階では、航空機の製造及び保守方法1200は、
図13の航空機1300の仕様及び設計1202、並びに材料の調達1204を含み得る。
【0124】
製造段階では、
図13の航空機1300の、構成要素及びサブアセンブリの製造1206とシステムインテグレーション1208とが行われる。その後、
図13の航空機1300は、運航1212に供されるために、認可及び納品1210を経てよい。顧客による運航1212の期間中に、
図13の航空機1300には、改造、再構成、改修、及びその他の整備又は保守を含み得る定期的な整備及び保守1214が予定される。
【0125】
航空機の製造及び保守方法1200の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、事業者、又はこれらの幾つかの組み合わせによって、実施又は実行され得る。これらの実施例では、事業者は顧客であってよい。この明細書において、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含んでよいが、それらに限定されるわけではなく、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでよいが、それらに限定されるわけではなく、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってよい。
【0126】
次に、
図13を参照すると、例示的な実施形態が実装され得る航空機のブロック図が描かれている。この例では、航空機1300は、
図12の航空機の製造及び保守方法1200によって製造され、且つ複数のシステム1304と内装1306とを有する機体1302を含み得る。システム1304の例には、推進システム1308、電気システム1310、液圧システム1312、及び環境システム1314のうちの1以上が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれていてもよい。航空宇宙産業の例が示されているが、種々の例示的な実施形態が、自動車産業といった他の産業に適用されてよい。
【0127】
本明細書で実施される装置及び方法は、
図12の航空機の製造及び保守方法1200の各段階のうちの少なくとも1つで採用され得る。
【0128】
例示的な一例では、
図12の構成要素及びサブアセンブリの製造1206で製造される構成要素又はサブアセンブリは、
図12で航空機1300の運航1212中に製造される構成要素又はサブアセンブリと同様の方法で作製又は製造される。更に別の実施例では、1以上の複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、
図12の構成要素及びサブアセンブリの製造1206並びにシステムインテグレーション1208などの製造段階で利用することができる。1以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、航空機1300が、
図12の運航1212中、整備及び保守1214の間、又はその両方の間にあるときに利用することができる。例えば、
図2の拡張現実システム212が、構成要素及びサブアセンブリの製造1206並びにシステムインテグレーション1208の間に使用されて、製造のフェーズにおいて航空機1300内の部品又はアセンブリ内に存在し得る不適合を可視化することができる。更に、拡張現実システム212を使用して、整備及び保守1214の間に不適合を位置特定することもできる。
【0129】
幾つかの異なる例示的な実施形態の利用により、航空機1300の組み立てを大幅に効率化すること、航空機1300のコストを削減すること、又は航空機1300の組み立てを大幅に効率化すること及び航空機1300のコストを削減することの両方が可能になる。
図2の拡張現実システム212を使用することによって、航空機1300又は航空機1300向けの部品若しくはアセンブリのライブビューを拡張することを通じて、不適合位置を見つけるのに必要な時間を低減させることができる。更に、拡張現実システム212は、不適合の位置に加えて不適合データを用いてライブビューを拡張することもできる。
【0130】
次に、
図14を参照すると、例示的な一実施形態による、製品管理システムのブロック図の例示が描かれている。製品管理システム1400は、物理的なハードウェアシステムである。この例示的な実施例では、製品管理システム1400は、製造システム1402又は整備システム1404のうちの少なくとも一方を含んでよい。
【0131】
製造システム1402は、
図13の航空機1300などの製品を製造するように構成されている。描かれているように、製造システム1402は、製造設備1406を含む。製造設備1406は、加工設備1408又は組立設備1410のうちの少なくとも1つを含む。
【0132】
加工設備1408は、
図13の航空機1300の形成に使用される部品用の構成要素を加工するために使用され得る機器である。例えば、加工設備1408は機械及びツールを含んでよい。これらの機械及びツールは、ドリル、油圧プレス、加熱炉、金型、複合材テープ載置機、真空システム、旋盤、又は他の適切な種類の機器のうちの少なくとも1つであってよい。加工設備1408を使用して、金属部品、複合材部品、半導体、回路、ファスナ、リブ、外板、スパー、アンテナ、または他の適切な種類の部品のうちの少なくとも1つが加工されてよい。
【0133】
組立設備1410は、
図13の航空機1300を形成する部品を組み立てるために使用される設備である。具体的には、組立設備1410を使用して、
図13の航空機1300を形成するための構成要素及び部品を組み立てることができる。組立設備1410は、機械及びツールもまた含んでよい。このような機械及びツールは、ロボットアーム、クローラ、ファスナ設置システム、レールベースの穿孔システム、またはロボットのうちの少なくとも1つであってよい。組立設備1410を使用して、
図13の航空機1300向けの座席、水平安定板、翼、エンジン、エンジンハウジング、着陸装置システムなどの部品、及び他の部品を組み立てることができる。
【0134】
この例示的な実施例では、整備システム1404が、整備設備1412を含んでよい。整備設備1412は、
図13の航空機1300の整備を実施するのに必要なあらゆる設備を含んでよい。整備設備1412は、
図13の航空機1300の部品に種々の作業を実行するためのツールを含んでよい。これらの作業は、部品の分解、部品の改修、部品の検査、部品の再加工、交換部品の製造、又は
図13の航空機1300に整備を実施するための他の動作のうちの少なくとも1つを含んでよい。これらの作業は、定期的整備、検査、アップグレード、改修、又は他の種類の保守作業であってよい。
【0135】
この例示的な実施例では、整備設備1412は、超音波検査装置、X線撮像システム、ビジョンシステム、ドリル、クローラ、及び他の適切なデバイスを含んでよい。ある場合には、整備設備1412は、整備に必要であり得る部品を生産し組み立てるための、加工設備1408、組立設備1410、又はこれらの両方を含んでよい。
【0136】
製品管理システム1400は、制御システム1414もまた含む。制御システム1414は、ハードウェアシステムであり、ソフトウェア又は他の種類の構成要素も含んでよい。制御システム1414は、製造システム1402又は整備システム1404のうちの少なくとも一方の動作を制御するように構成されている。具体的には、制御システム1414が、加工設備1408、組立設備1410、又は整備設備1412のうちの少なくとも1つの動作を制御してよい。
【0137】
制御システム1414のハードウェアは、コンピュータ、回路、ネットワーク、及び他の種類の設備を含み得る、ハードウェアを使用して実装されてよい。制御は、製造設備1406の直接制御の形態を採ってよい。例えば、ロボット、コンピュータ制御機械、及び他の設備は、制御システム1414によって制御されてよい。他の例示的な実施例では、制御システム1414が、航空機1300の製造又は整備の実施において、作業人員1416によって実行される作業を管理してよい。例えば、制御システム1414は、任務を割り当てる、指示命令を与える、モデルを表示する、又は作業人員1416が実行する作業を管理するための他の作業を実行してよい。このような例示的な実施例では、
図2の拡張現実システム212は、制御システム1414内に実装され、
図13の航空機1300の製造又は保守のうちの少なくとも一方を管理してよい。
【0138】
例えば、拡張現実システム212を作業人員1416が使用して、不適合についての情報を取得することができる。例えば、拡張現実システム212内の携帯可能計算デバイス214は、製造のフェーズ中に部品、アセンブリ、又は製品のライブビューを拡張することができる。
【0139】
拡張を使用することによって、作業人員1416が、より少ない時間で不適合位置を特定することが可能となる。更に、拡張を使用することによって、
図13の航空機1300の製造又は保守のうちの少なくとも一方を制御することにおいて、作業人員1416に情報及び指示命令を提供することもできる。
【0140】
種々の例示的な実施例において、作業人員1416は、製造設備1406、整備設備1412、若しくは制御システム1414のうちの少なくとも1つを操作してよく、又はそれらのうちの少なくとも1つとやり取りしてよい。
図13の航空機1300を製造するために、このやり取りが実施されてよい。
【0141】
当然ながら、製品管理システム1400は、
図13の航空機1300以外の他の製品を管理するように構成されてよい。製品管理システム1400は、航空宇宙産業における製造に関連して記載されているが、製品管理システム1400は、他の産業の製品を管理するようにも構成されていてよい。例えば、製品管理システム1400は、自動車産業、及び任意の他の適切な産業の製品を製造するように構成されてよい。
【0142】
したがって、例示的な実施例は、作業人員が、製造のフェーズ中に航空機などの物理的な物体上の不適合の位置を特定することを可能にする、拡張現実システムを提供する。例示的な実施例は、三次元点群生成、同時位置決め地図作成プロセス、及び不適合についてのデータを組み合わせて、携帯可能計算デバイスを操作している作業人員に、物理的な物体に対する携帯可能計算デバイスの相対的な位置に基づく情報を提供する。
【0143】
このやり方では、航空機内のものなどの、画定された物理的ローカル座標系内で見ることがしばしば困難な不適合が、
図2の拡張現実システム212を使用して可視化され得る。例示的な実施例では、拡張現実が、三次元走査技術を利用して、点群モデルを生成する。モデルの点は、現在利用可能な同時位置決め地図作成(SLAM)プロセスを使用して、基準点に対する携帯可能計算デバイスの位置を特定する。不適合データのデータベースにアクセスして、携帯可能計算デバイスからのライブビュー内で視認可能な不適合に対する不適合情報を提供する。
【0144】
種々の例示的な実施形態の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であること、又は開示された形態の実施形態に限定することは意図されていない。動作又は作業を実施する構成要素が、種々の実施例によって説明される。一実施例においては、構成要素は、記載された動作や作業を実施するように構成され得る。例えば、この構成要素は、実施例において構成要素によって実施されると説明されている動作又は作業を実施する能力をこの構成要素に提供する構造向けの構成又は設計を有し得る。
【0145】
更に本発明は、以下の条項による実施形態を含む。
条項1.
物理的な物体(204)に対する不適合データ(210)を可視化するための拡張現実システム(212)であって、
センサシステム(232)及び表示システム(226)を有する、携帯可能計算デバイス(214)であって、前記携帯可能計算デバイス(214)及び前記センサシステム(232)が、製造(236)のフェーズにおいて前記物理的な物体(204)に対する空間内のポイントを表す走査データ(230)を生成するように構成されている、携帯可能計算デバイス(214)、
実行されたときに、前記走査データ(230)を使用して前記物理的な物体(204)の領域(240)の表面輪郭の点群表現(242)を生成する、走査アプリケーション(218)、
実行されたときに、前記物理的な物体(204)の前記領域(240)に対する前記点群表現(242)を使用して、画定された座標立方体(246)内の前記物理的な物体(204)の前記領域(240)のモデル(244)を生成する、モデル化アプリケーション(220)、
実行されたときに、前記携帯可能計算デバイス(214)を、位置目標(250)に基づいて、前記画定された座標立方体(246)内の前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の前記モデル(244)に位置決めし、前記物理的な物体(204)に対する前記携帯可能計算デバイス(214)の位置(248)を特定する、位置決めアプリケーション(222)、並びに
実行されたときに、
前記物理的な物体(204)上の不適合位置(208)に対応する点(234)を前記画定された座標立方体(246)内にプロットし、
前記携帯可能計算デバイス(214)によって取得された前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の画像(238)内で視認可能な前記画定された座標立方体(246)内でプロットされた前記点(234)のサブセット(254)であって、前記携帯可能計算デバイス(214)の前記位置(248)から見たときに、物理的な物体の構造物を超えて位置付けられていると判定されたプロットされた点を排除するサブセット(254)を決定し、
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記表示システム(226)上で表示される前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)に対する前記不適合位置(208)のサブセット(256)に関連付けて、前記画像(238)内で視認可能な前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)を表示する、拡張現実アプリケーション(224)を備える、拡張現実システム(212)。
条項2.
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記表示システム(226)上で表示される前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)に対する前記不適合位置(208)の前記サブセット(256)に関連付けて、前記画像(238)内で視認可能な前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)を表示することにおいて、前記拡張現実アプリケーション(224)が、前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の前記画像(238)内の視界から隠される前記不適合位置(208)に対する前記不適合データ(210)を表示することなしに、前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記表示システム(226)上に表示される前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)に対する前記不適合位置(208)の前記サブセット(256)に関連付けて、前記画像(238)内で視認可能な前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)を表示する、条項1に記載の拡張現実システム(212)。
条項3.
前記携帯可能計算デバイス(214)によって取得された前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の画像(238)内で視認可能な前記画定された座標立方体(246)内でプロットされた前記点(234)の前記サブセット(254)であって、前記携帯可能計算デバイス(214)の前記位置(248)から見たときに、前記物理的な物体の構造物を超えて位置付けられていると判定されたプロットされた点を排除する前記サブセット(254)を決定することにおいて、前記拡張現実アプリケーション(224)が、前記不適合位置(208)に対する前記画定された座標立方体(246)内にプロットされた前記点(234)のうちのどれが、前記画像(238)内の前記物理的な物体の構造物を所定の距離以上超えて位置付けられており、前記位置(248)にある前記携帯可能計算デバイス(214)からの視界から隠されるかを決定し、前記物理的な物体の構造物を前記所定の距離以上超えているこれらの点が、前記点(234)の前記サブセット(254)から排除される、条項1に記載の拡張現実システム(212)。
条項4.
前記物理的な物体(204)が航空機構造物であり、前記携帯可能計算デバイス(214)の前記位置(248)において前記携帯可能計算デバイス(214)によって取得された前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の画像(238)内で視認可能な前記画定された座標立方体(246)内でプロットされた前記点(234)の前記サブセット(254)を決定することにおいて、前記拡張現実アプリケーション(224)が、表示される航空機構造物からの各不適合位置の距離が、視界から隠される前記不適合位置に対応する所定の距離を超えていると判定する、条項1に記載の拡張現実システム(212)。
条項5.
前記携帯可能計算デバイス(214)を、前記画定された座標立方体(246)内の前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の前記モデル(244)に位置決めし、前記物理的な物体(204)に対する前記携帯可能計算デバイス(214)の位置(248)を特定することにおいて、前記位置決めアプリケーション(222)が、前記物理的な物体(204)に対する位置目標(250)を位置特定し、前記位置目標(250)の目標位置(252)を使用して前記携帯可能計算デバイス(214)を前記画定された座標立方体(246)内の前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の前記モデル(244)に位置決めし、前記物理的な物体(204)に対する前記携帯可能計算デバイス(214)の前記位置(248)を特定する、条項1に記載の拡張現実システム(212)。
条項6.
前記拡張現実アプリケーション(224)が、実行されたときに、前記携帯可能計算デバイス(214)が、パノラミックビュー向けに選択された距離より大きいかどうかを判定し、前記画定された座標立方体(246)内の前記不適合位置(208)の全てに対する前記点(234)を表示して、前記不適合位置(208)の全てのパノラミックビューを提供する、条項1に記載の拡張現実システム(212)。
条項7.
前記拡張現実アプリケーション(224)が、実行されたときに、時間情報に基づいて前記不適合データ(210)をフィルタして、歴史的な不適合データ(210)又はアクティブな不適合データ(210)のうちの少なくとも一方を表示する、条項1に記載の拡張現実システム(212)。
条項8.
前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)が、ライブの不適合データ(210)である、条項1に記載の拡張現実システム(212)。
条項9.
前記物理的な物体(204)上の前記不適合位置(208)を受け取るように構成されたインターフェースを更に備える、条項1に記載の拡張現実システム(212)。
条項10.
前記センサシステム(232)が、三次元スキャナ、カメラ、全地球測位システム受信器、構造化された光三次元スキャナ、ライダーシステム、レーザースキャナ、コノスコープホノグラフシステム、又は飛行時三次元スキャナのうちの少なくとも1つを備える、条項1に記載の拡張現実システム(212)。
条項11.
前記携帯可能計算デバイス(214)が、携帯電話、タブレットコンピュータ、頭部装着デバイス、及びスマート眼鏡を含む、群から選択される、条項1に記載の拡張現実システム(212)。
条項12.
前記物理的な物体(204)が、移動プラットフォーム、固定プラットフォーム、陸上ベース構造体、水上ベース構造体、宇宙ベース構造体、航空機、民間航空機、回転翼航空機、水上艦、戦車、人員運搬車、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋、ダム、家屋、製造工場、建物、航空機構造物、主翼、胴体セクション、エンジンハウジング、エンジン、複合材パネル、壁、外板、及び椅子を含む、群から選択される、条項1に記載の拡張現実システム(212)。
条項13.
物理的な物体(204)に対する不適合データ(210)を可視化するための拡張現実システム(212)であって、
物理的な物体(204)の画像(238)を取得するように構成された携帯可能計算デバイス(214)と、
前記携帯可能計算デバイス(214)によって実行されたときに、前記物理的な物体(204)上の不適合位置(208)に対応する点(234)を画定された座標立方体(246)内にプロットし、前記携帯可能計算デバイス(214)の位置(248)において前記携帯可能計算デバイス(214)によって取得された前記画像(238)内で視認可能な前記物理的な物体(204)の領域(240)に対応する前記画定された座標立方体(246)内でプロットされた前記点(234)のサブセット(254)であって、前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)の物理的な物体の構造物によって視界から隠される不適合位置(208)を排除する前記点(234)のサブセット(254)を決定し、前記携帯可能計算デバイス(214)内の表示システム(226)上に表示される前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)に対する前記不適合位置(208)のサブセット(256)に関連付けて、前記画像(238)内で視認可能な前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)を表示する、拡張現実アプリケーション(224)とを備える、拡張現実システム(212)。
条項14.
前記携帯可能計算デバイス(214)が、製造(236)のフェーズにおいて前記物理的な物体(204)に対する空間内の点(234)を表す走査データ(230)を生成するように構成された、センサシステム(232)を含み、
前記拡張現実システム(212)が更に、
実行されたときに、前記走査データ(230)を使用して前記物理的な物体(204)の領域(240)の表面輪郭の点群表現(242)を生成する、走査アプリケーション(218)と、
実行されたときに、前記物理的な物体(204)の前記領域(240)に対する前記点群表現(242)を使用して、画定された座標立方体(246)内の前記物理的な物体(204)の前記領域(240)のモデル(244)を生成する、モデル化アプリケーション(220)と、
実行されたときに、前記携帯可能計算デバイス(214)を、位置目標(250)に基づいて、前記画定された座標立方体(246)内の前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の前記モデル(244)に位置決めし、前記物理的な物体(204)に対する前記携帯可能計算デバイス(214)の位置(248)を特定する、位置決めアプリケーション(222)とを備える、条項13に記載の拡張現実システム(212)。
条項15.
コンピュータシステムであって、前記走査アプリケーション(218)、前記モデル化アプリケーション(220)、及び前記位置決めアプリケーション(222)のうちの少なくとも1つが、前記コンピュータシステム内に位置付けられている、コンピュータシステムを更に備える、条項14に記載の拡張現実システム(212)。
条項16.
前記走査アプリケーション(218)、前記モデル化アプリケーション(220)、及び前記位置決めアプリケーション(222)のうちの少なくとも1つが、前記携帯可能計算デバイス(214)内に位置付けられている、条項14に記載の拡張現実システム(212)。
条項17.
前記携帯可能計算デバイス(214)の前記位置(248)において前記携帯可能計算デバイス(214)によって取得された前記画像(238)内で視認可能な前記物理的な物体(204)の前記領域(240)に対応する前記画定された座標立方体(246)内でプロットされた前記点(234)の前記サブセット(254)を決定することにおいて、前記拡張現実アプリケーション(224)が、不適合位置(208)に対する前記画定された座標立方体(246)内にプロットされた前記点(234)のうちのどれが、前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)の前記物理的な物体の構造物を所定の距離以上超えて位置付けられており、前記位置(248)にある前記携帯可能計算デバイス(214)からの視界から隠されるかを決定し、前記物理的な物体の構造物を前記所定の距離以上超えているこれらの点が、前記点(234)の前記サブセット(254)から排除される、条項13に記載の拡張現実システム(212)。
条項18.
物理的な物体(204)に対する不適合データ(210)を可視化するための方法であって、
携帯可能計算デバイス(214)内の拡張現実アプリケーション(224)によって、前記物理的な物体(204)上の不適合位置(208)に対応する点(234)を、画定された座標立方体(246)内にプロットすること、
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記携帯可能計算デバイス(214)によって取得された前記物理的な物体(204)の領域(240)の画像(238)内で視認可能な前記物理的な物体(204)の前記領域(240)に対応する前記画定された座標立方体(246)内でプロットされた前記点(234)のサブセット(254)であって、前記携帯可能計算デバイス(214)の位置(248)から見たときに物理的な物体の構造物を超えて位置付けられていると判定されたプロットされた点を排除し、前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)の物理的な物体の構造物によって視界から隠される不適合位置(208)を排除する前記点(234)のサブセット(254)を決定すること、及び
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記携帯可能計算デバイス(214)内の表示システム(226)上に表示される前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)に対する前記不適合位置(208)のサブセット(256)に関連付けて、前記画像(238)内で視認可能な前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)を表示することを含む、方法。
条項19.
前記決定するステップが、
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記不適合位置(208)に対する前記画定された座標立方体(246)内にプロットされた前記点(234)が、前記画像(238)内の前記物理的な物体の構造物を所定の距離以上超えて位置付けられており、前記位置(248)にある前記携帯可能計算デバイス(214)からの視界から隠されると判定すること、及び
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記物理的な物体の構造物を所定の距離以上超えているこれらの点を排除することであって、残っている点(258)が前記点(234)の前記サブセット(254)を形成する、これらの点を排除することを含む、条項18に記載の方法。
条項20.
前記決定するステップが、
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記不適合位置(208)に対する残っている点(258)のうちのどれが、前記画像(238)内で表示される前記物理的な物体の構造物からの各不適合位置の距離を、視界から隠される不適合位置に対応する所定の距離以上超えていると判定することによって、隠されるべきか決定することを含む、条項18に記載の方法。
条項21.
前記物理的な物体(204)に対する位置目標(250)を位置特定すること、
前記位置目標(250)の目標位置(252)を使用して、前記携帯可能計算デバイス(214)を、前記位置目標(250)に基づいて、前記画定された座標立方体(246)内の前記物理的な物体(204)の前記領域(240)のモデル(244)に位置決めすること、及び
前記物理的な物体(204)に対する前記携帯可能計算デバイス(214)の前記位置(248)を特定することを更に含む、条項18に記載の方法。
条項22.
前記表示するステップが、
前記携帯可能計算デバイス(214)内の前記拡張現実アプリケーション(224)によって、前記物理的な物体(204)の前記領域(240)の前記画像(238)内の視界から隠される前記不適合位置(208)に対する前記不適合データ(210)を表示することなしに、前記携帯可能計算デバイス(214)内で前記表示システム(226)上に表示される前記画像(238)内の前記物理的な物体(204)に対する前記不適合位置(208)の前記サブセット(256)に関連付けて、前記画像(238)内で視認可能な前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)を表示することを含む、条項18に記載の方法。
条項23.
前記携帯可能計算デバイス(214)が、パノラミックビュー向けに選択された距離より大きいかどうかを判定し、前記画定された座標立方体(246)内の前記不適合位置(208)の全てに対する前記点(234)を表示して、前記不適合位置(208)の全てのパノラミックビューを提供することを更に含む、条項18に記載の方法。
条項24.
前記拡張現実アプリケーション(224)が、実行されたときに、時間情報に基づいて前記不適合データ(210)をフィルタして、歴史的な不適合データ(210)又はアクティブな不適合データ(210)のうちの少なくとも一方を表示する、条項18に記載の方法。
条項25.
前記点(234)の前記サブセット(254)に対する前記不適合データ(210)が、ライブの不適合データ(210)である、条項18に記載の方法。
条項26.
前記携帯可能計算デバイス(214)が、携帯電話、タブレットコンピュータ、頭部装着デバイス、及びスマート眼鏡を含む、群から選択される、条項18に記載の方法。
条項27.
前記物理的な物体(204)が、移動プラットフォーム、固定プラットフォーム、陸上ベース構造体、水上ベース構造体、宇宙ベース構造体、航空機、民間航空機、回転翼航空機、水上艦、戦車、人員運搬車、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋、ダム、家屋、製造工場、建物、並びに、航空機構造物、主翼、胴体セクション、エンジンハウジング、エンジン、複合材パネル、壁、外板、及び椅子を含む、群から選択される、条項18に記載の方法。
【0146】
当業者には、多くの修正形態及び変形形態が自明であるだろう。更に、種々の例示的な実施形態によって、他の好ましい実施形態と比較して異なる特徴が提供され得る。選択された1以上の実施形態は、実施形態の原理、実際の用途を最もよく説明するため、及び他の当業者に対して、様々な実施形態の開示内容と考慮される特定の用途に適した様々な修正の理解を促すために選択及び記述されている。