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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】強化海中電力ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/08 20060101AFI20240118BHJP
   H01B 7/14 20060101ALI20240118BHJP
   H02G 1/14 20060101ALI20240118BHJP
   H02G 9/02 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H02G15/08
H01B7/14
H02G1/14
H02G9/02
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019194315
(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公開番号】P2020080638
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】18202837.3
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519099829
【氏名又は名称】エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ティルバーグ, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ノルドルンド, クリステル
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第2435284(US,A)
【文献】米国特許第2894057(US,A)
【文献】特開2003-151375(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0367164(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 15/00-15/196
H01B 7/14
H02G 1/14
H02G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体(7)を含む電力コア(3)であって、前記導体(7)が、前記電力コア(3)のジョイント領域(R)内に導体ジョイント(7a)を有する電力コア(3)と、
前記電力コア(3)の周囲に配置され、前記電力コア(3)の軸方向に伸長する複数のメイン外装ワイヤ(11a)を含むメイン外装層(11)と、
前記メイン外装ワイヤ(11a)に対して軸方向にロックされた複数のジョイント強化外装ワイヤ(13a)を含むジョイント強化外装層(13)と、
を含み、
前記ジョイント強化外装層(3)は、前記ジョイント領域内のみに提供されており、前記メイン外装層(11)に積層して配置されており、前記ジョイント強化外装層(13)及び前記メイン外装層(11)はこれにより、前記ジョイント領域(R)内のみに二重層外装を形成し、
前記二重層外装は、前記導体ジョイント(7a)上に提供されており、前記導体ジョイント(7a)にわたって軸方向に伸長し、
前記メイン外装ワイヤ(11a)は、前記電力コア(3)の周りにらせん状に配置されており、全ての前記メイン外装ワイヤ(11a)は、第1のより方向を有し、
前記ジョイント強化外装ワイヤ(13a)は、前記電力コア(3)の周りにらせん状に配置されており、全ての前記ジョイント強化外装ワイヤ(13a)は、前記第1のより方向と反対の第2のより方向を有する、
海中電力ケーブル(1)。
【請求項2】
前記電力コア(3)の周囲に、前記導体ジョイント(7a)から、前記導体(7)の第1の軸方向に、軸方向に離れて配置された第1の金属リング(15a)を含み、
前記複数のジョイント強化外装ワイヤ(13a)のそれぞれの第1の軸方向の端部及び前記メイン外装ワイヤ(11a)は、前記第1の金属リング(15a)に接続されている、
請求項1に記載の海中電力ケーブル(1)。
【請求項3】
前記ジョイント強化外装ワイヤ(13a)及び前記メイン外装ワイヤ(11a)は、前記第1の金属リング(15a)に溶接されている、請求項2に記載の海中電力ケーブル(1)。
【請求項4】
前記電力コア(3)の周囲に、前記導体ジョイント(7a)から、前記導体(7)の第2の軸方向に、軸方向に離れて配置された第2の金属リング(15b)を含み、
前記第2の軸方向は、前記第1の軸方向とは反対であり、
前記複数のジョイント強化外装ワイヤ(13a)のそれぞれの第2の軸方向の端部及び前記メイン外装ワイヤ(11a)は、前記第2の金属リング(15b)に接続されている、請求項2又は3に記載の海中電力ケーブル(1)。
【請求項5】
前記ジョイント強化外装ワイヤ(13a)及び前記メイン外装ワイヤ(11a)は、前記第2の金属リング(15b)に溶接されている、請求項4に記載の海中電力ケーブル(1)。
【請求項6】
前記ジョイント強化外装ワイヤ(13a)は、前記メイン外装ワイヤ(11a)の半径方向の外側に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の海中電力ケーブル(1)。
【請求項7】
前記ジョイント強化外装ワイヤ(13a)は、前記導体ジョイント(7a)から軸方向の双方に、少なくとも3メートル、少なくとも4メートル、又は少なくとも5メートルなど、少なくとも2メートル伸長する、請求項1から6のいずれか一項に記載の海中電力ケーブル(1)。
【請求項8】
前記ジョイント強化外装ワイヤ(13a)は、前記導体ジョイント(7a)から軸方向の双方に、最長で1000メートル、最長で500メートル、最長で300メートル、最長で200メートル、最長で100メートル、最長で50メートル、最長で40メートル、又は最長で30メートルなど、最長で1500m伸長する、請求項1から7のいずれか一項に記載の海中電力ケーブル(1)。
【請求項9】
前記メイン外装ワイヤ(11a)の少なくともいくつかは、スチール、特に亜鉛めっきスチール若しくはステンレススチール、アルミニウム、又は銅などの金属を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の海中電力ケーブル(1)。
【請求項10】
前記ジョイント強化外装ワイヤ(13a)の少なくともいくつかは、前記メイン外装ワイヤ(11a)と同じ材料の金属を含む、請求項に記載の海中電力ケーブル(1)。
【請求項11】
前記メイン外装ワイヤ(11a)のそれぞれは、前記ジョイント領域(R)内でのその長さに沿って同じ材料製である、請求項1から10のいずれか一項に記載の海中電力ケーブル(1)。
【請求項12】
前記電力コア(3)は、それぞれが導体ジョイント(7a)を有する、複数の追加的ジョイント領域(R)を有し、
前記追加的ジョイント領域(R)のそれぞれは対応する前記追加的ジョイント領域(R)内のみに提供されたそれぞれの追加的ジョイント強化外装層(13)を有し、
前記追加的ジョイント強化外装層(13)のそれぞれは、前記メイン外装ワイヤ(11a)に対して軸方向にロックされた複数のジョイント強化外装ワイヤ(13a)を含み、
前記追加的ジョイント強化外装層(13)及び前記メイン外装層(11)はこれによりそれぞれの前記追加的ジョイント領域(R)内のみに二重層外装を形成する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の海中電力ケーブル(1)。
【請求項13】
前記ジョイント強化外装ワイヤ(13a)のピッチは、前記メイン外装ワイヤ(11a)のピッチに基づいて選択される、
請求項1から12のいずれか一項に記載の海中電力ケーブル(1)。
【請求項14】
前記ジョイント強化外装ワイヤ(13a)のピッチは、前記メイン外装ワイヤ(11a)のピッチ以上である、
請求項13に記載の海中電力ケーブル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的に、外装付き海中電力ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
海中電力ケーブルは、設置中に張力の影響を受ける。この張力は、海中電力ケーブルの重量により生じる。張力はまた、海水の動きを理由とする、設置を行う船舶の垂直運動からの動的な力により生じる。海中電力ケーブルはしたがって一般的に、外装を有する。外装は通常、1つ又はそれ以上の電力コアの周りにらせん状に巻かれた、複数の金属ワイヤを含む。外装は、張力に対する安定性を提供する。さらに、外装はまた、例えば、設置ツールや、アンカーなどの海中の物体に対する、海中電力ケーブルの機械的保護を提供する。
【0003】
外装は、1つ又はそれ以上の、外装ワイヤの層を含んでよい。使用される外装層の数は、例えば、ケーブルサイズ及び/又は設置深さに依存する。単層外装付きケーブルは通常、ほどほどの水深にて使用される。単層外装付きケーブルの利点は、複層外装付きケーブルに比較して、軽量で、安価なことである。複層外装はしかし、外力に対する機械的保護を、単層外装より良好に提供する。複層外装の場合、2層のワイヤが互いに逆方向のらせん状に配置される場合がある。その結果、2層のねじり力が釣り合うか、又は、互いに均等に打ち消し合うことができる。単層外装付きケーブルはねじりに対して釣り合っていないため、高い負荷が導体に伝わる。複層外装付きケーブルでは、負荷のおおよそ10%~20%を導体(単一又は複数)が担う。一方、単層外装付きケーブルでは、負荷の60%~80%を導体(単一又は複数)が一般的に担う。
【発明の概要】
【0004】
海中電力ケーブルの機械的に最も弱い部分は、導体ジョイントである。ジョイントの強度にはしたがって、ケーブル上の最大許容張力に関する限度が設定される。
【0005】
上記を考慮して、本開示の一般的な目的は、従来技術の問題を解決するか、又は少なくとも軽減する海中電力ケーブルを提供することである。
【0006】
したがって、本開示の第1の態様によると、海中電力ケーブルが提供される。この海中電力ケーブルは、導体を含む電力コアであって、この導体が、電力コアのジョイント領域内に導体ジョイントを有する電力コアと、電力コアの周囲に配置され、電力コアの軸方向に伸長する複数のメイン外装ワイヤを含むメイン外装層と、メイン外装ワイヤに対して軸方向にロックされた複数のジョイント強化外装ワイヤを含むジョイント強化外装層と、を含む。ジョイント強化外装層は、ジョイント領域内のみに提供されており、メイン外装層に積層して配置されている。ジョイント強化外装層及びメイン外装層はこれにより、ジョイント領域内のみに二重層外装を形成する。
【0007】
ジョイント領域内のみに第2の外装層を提供することにより、海中電力ケーブルは、これに相当する複層外装付きケーブルよりも軽くなり、安価になる。さらに、複層外装付きケーブルよりも少ない外装を含むため、本海中電力ケーブルは、環境に対する負荷が小さい。海中電力ケーブルの強度はしかし、単層外装付きケーブルに比較して顕著に大きくなる。特に、海中電力ケーブルの強度は、導体ジョイントの周囲にて局所的に大きくなり、導体ジョイントへの負荷が減る。海中電力ケーブルの最大許容張力がこれにより大きくなり得、したがって、設置深さが深くなり得る。
【0008】
二重層外装は、導体ジョイント上に提供されており、この導体ジョイントにわたって軸方向に伸長する。二重層外装はしたがって、導体ジョイントの一方の側から、導体ジョイントの他方の側へ、軸方向に伸長する。
【0009】
ジョイント領域は、海中電力ケーブルの全長に対して、導体ジョイントからの、軸方向の双方における伸長範囲が決まっている。ジョイント領域の軸方向の伸長範囲は、海中電力ケーブルの全長よりも実質的に短い。
【0010】
海中電力ケーブルの長さの大半は、好ましくは、メイン外装層のみを外装として有する。したがって、好ましくは、海中電力ケーブルの長さの大半は、単一の外装層、つまりメイン外装層のみを有する。
【0011】
一実施形態は、電力コアの周囲に、導体ジョイントから、導体の第1の軸方向に、軸方向に離れて配置された第1の金属リングを含む。複数のジョイント強化外装ワイヤのそれぞれの第1の軸方向の端部及びメイン外装ワイヤは、第1の金属リングに接続されている。
【0012】
第1の金属リングは、ジョイント強化外装ワイヤ及びメイン外装ワイヤと同じ材料製であってよい。第1の金属リングは、ステンレススチール又は亜鉛めっきスチールなどのスチールを含んでよい。
【0013】
一例によると、海中電力ケーブルは、第1の金属リングを含む。ジョイント強化外装ワイヤは、第1の金属リングのみに溶接されている。海中電力ケーブルにはさらに、第1の金属リングの軸方向のスライディングを防止するよう構成されている第1のラジアルストップ構造が提供されている。第1のラジアルストップ構造は、例えばテープの層により作られた、メイン外装層の周囲に伸長するラジアル突起であってよい。第1の金属リングはこの例ではしたがって、メイン外装ワイヤに溶接されていない。
【0014】
一例によると、個々のジョイント強化外装ワイヤの第1の軸方向の端部は、メイン外装層に、特にメイン外装ワイヤに直接溶接されている。
【0015】
一例によると、海中電力ケーブルは、第1の摩擦部材を含む。ジョイント強化外装ワイヤの第1の端部は、ジョイント強化外装ワイヤの周囲に配置された第1の摩擦部材を用いて、メイン外装ワイヤに対して軸方向にロックされている。第1の摩擦部材は、半径方向に内向きに向けられた圧力を、ジョイント強化外装層及びメイン外装層上に印加するよう構成されてよい。第1の摩擦部材は、例えばロープ又はテープであってよい。
【0016】
一実施形態によると、ジョイント強化外装ワイヤ及びメイン外装ワイヤは、第1の金属リングに溶接されている。
【0017】
一実施形態は、電力コアの周囲に、導体ジョイントから、導体の第2の軸方向に、軸方向に離れて配置された第2の金属リングを含む。第2の軸方向は、第1の軸方向とは反対である。複数のジョイント強化外装ワイヤのそれぞれの第2の軸方向の端部及びメイン外装ワイヤは、第2の金属リングに接続されている。
【0018】
第2の金属リングは、ジョイント強化外装ワイヤ及びメイン外装ワイヤと同じ材料製であってよい。第2の金属リングは、ステンレススチール又は亜鉛めっきスチールなどのスチールを含んでよい。
【0019】
一例によると、海中電力ケーブルは、第2の金属リングを含む。ジョイント強化外装ワイヤは、第2の金属リングのみに溶接されている。海中電力ケーブルには、第2の金属リングの軸方向のスライディングを防止するよう構成されている第2のラジアルストップ構造が提供されている。第2のラジアルストップ構造は、例えばテープの層により作られた、メイン外装層の周囲に伸長するラジアル突起であってよい。第2の金属リングはこの例ではしたがって、メイン外装ワイヤに溶接されていない。
【0020】
一例によると、個々のジョイント強化外装ワイヤの第2の軸方向の端部は、メイン外装層に、特にメイン外装ワイヤに直接溶接されている。
【0021】
一例によると、海中電力ケーブルは、第2の摩擦部材を含む。ジョイント強化外装ワイヤの第2の端部は、ジョイント強化外装ワイヤの周囲に配置された第2の摩擦部材を用いて、メイン外装ワイヤに対して軸方向にロックされている。第2の摩擦部材は、半径方向に内向きに向けられた圧力を、ジョイント強化外装層及びメイン外装層上に印加するよう構成されてよい。第2の摩擦部材は、例えばロープ又はテープであってよい。
【0022】
ジョイント領域は、第1の金属リング及び第2の金属リングにより区切られた、軸方向に伸長する領域であってよい。
【0023】
一実施形態によると、ジョイント強化外装ワイヤ及びメイン外装ワイヤは、第2の金属リングに溶接されている。
【0024】
一実施形態によると、ジョイント強化外装ワイヤは、メイン外装層の半径方向の外側に配置されている。
【0025】
一実施形態によると、ジョイント強化外装ワイヤは、導体ジョイントから軸方向の双方に、少なくとも3メートル、少なくとも4メートル、又は少なくとも5メートルなど、少なくとも2メートル伸長する。ジョイント領域は、導体ジョイントを中心としてよく、対称であってよく、したがって、少なくとも6メートル、少なくとも8メートル、又は少なくとも10メートルなど、少なくとも4メートルの長さを有する。
【0026】
海中電力ケーブルが、数本のよってある電力コア、したがって、数個の導体ジョイントを同じ領域内に含む場合、ジョイント強化外装は、電力コアのすべてを囲み、一つの軸方向に、海中電力ケーブルの第1の軸方向に最も遠くに配置されている、複数の導体ジョイントのその導体ジョイントから、少なくとも3メートル、少なくとも4メートル、又は少なくとも5メートルなど、少なくとも2メートル、及び、他の軸方向に、海中電力ケーブルの第2の軸方向に最も遠くに配置されている、複数の導体ジョイントのその導体ジョイントから、少なくとも3メートル、少なくとも4メートル、又は少なくとも5メートルなど、少なくとも2メートル、伸長してよい。この場合、ジョイント領域はしたがって、互いから軸方向に最も遠くに配置されている2つの導体ジョイントの間の範囲の中心にある。
【0027】
ジョイント領域は、海中電力ケーブルの全長の限られた一部である、軸方向の伸長範囲又は長さを有する。数箇所のジョイント領域の場合では、各ジョイント領域は、海中電力ケーブルの全長の限られた一部である、軸方向の伸長範囲又は長さを有する。
【0028】
一実施形態によると、ジョイント強化外装ワイヤは、導体ジョイントから軸方向の双方に、最長で1000メートルなどの最長で1500m、又は、最長で500メートル、又は、最長で200メートル、最長で100メートル、最長で50メートル、最長で40メートル、若しくは最長で30メートルなどの最長で300メートル、伸長する。ここでは、ジョイント領域は、最長で2000メートルなどの最長で3000メートル、又は、最長で1000メートル、又は、最長で400メートル、最長で200メートル、最長で100メートル、最長で80メートル、若しくは最長で60メートルなどの最長で600メートル、の長さを有する。数箇所のジョイント領域の場合、各ジョイント領域は、最長で2000メートルなどの最長で3000メートル、又は、最長で1000メートル、又は、最長で400メートル、最長で200メートル、最長で100メートル、最長で80メートル、若しくは最長で60メートルなどの最長で600メートル、の長さを有してよい。これらの長さは、通常は10キロメートル~100キロメートルの間に伸長する海中電力ケーブルの長さに比較して、依然として非常に短い。
【0029】
一実施形態によると、メイン外装ワイヤは、電力コアの周りにらせん状に配置されており、第1のより方向を有する。
【0030】
一実施形態によると、ジョイント強化外装ワイヤは、電力コアの周りにらせん状に配置されており、第2のより方向を有する。
【0031】
一実施形態によると、第2のより方向は、第1のより方向とは反対である。
【0032】
ジョイント強化外装ワイヤのより長さ又はピッチは、全体としてねじりに対して安定しているケーブルを達成するために選択されている。ここでは、ジョイント強化外装ワイヤのピッチは、メイン外装ワイヤのピッチに基づいて選択されている。2層のねじり力が、これにより釣り合うことができる、又は、均等に打ち消し合うことができる。マルチコア海中電力ケーブルについては、強化外装ワイヤのピッチはさらに、導体の断面積、導体の弾性係数、及び電力コアのより線ピッチに基づくものであってよい。ジョイント強化外装ワイヤのピッチは例えば、メイン外装ワイヤのピッチと同じであってよく、又は、メイン外装ワイヤのピッチより広くてよい。
【0033】
一実施形態によると、メイン外装ワイヤの少なくともいくつかは、スチール、特に、亜鉛めっきスチール若しくはステンレススチール、アルミニウム、又は銅などの金属を含む。
【0034】
一実施形態によると、ジョイント強化外装ワイヤの少なくともいくつかは、スチール、特に、亜鉛めっきスチール若しくはステンレススチール、アルミニウム、又は銅などの金属を含む。
【0035】
一例によると、メイン外装ワイヤのいくつかは金属製であってよく、メイン外装ワイヤのいくつかは、ポリマー材料などのプラスチック材料製であってよい。一例によると、ジョイント強化外装ワイヤのいくつかは金属製であってよく、ジョイント強化外装ワイヤのいくつかは、ポリマー材料などのプラスチック材料製であってよい。
【0036】
一実施形態によると、各メイン外装ワイヤは、ジョイント領域内でのその長さに沿って同じ材料製である。
【0037】
一実施形態によると、電力コアは、それぞれが導体ジョイントを有する、複数の追加的ジョイント領域を有する。各追加的ジョイント領域は、対応する追加的ジョイント領域内のみに提供されたそれぞれの追加的ジョイント強化外装層を有する。各追加的ジョイント強化外装層は、メイン外装ワイヤに対して軸方向にロックされた、複数のジョイント強化外装ワイヤを含む。追加的ジョイント強化外装層及びメイン外装層はこれにより、追加的ジョイント領域内のみに二重層外装を形成する。
【0038】
一例によると、約150メートルから最大で約250メートルまでなどの水深の深海に設置される導体ジョイントのみが、ジョイント強化外装層が提供されたジョイント領域を有する。約70メートル~120メートルなどの水深の、より浅い水域に設置される海中電力ケーブルの長さにわたり、単一の外装層、すなわちメイン外装層のみを伴うジョイント領域を有する導体ジョイントをあってよい。
【0039】
海中電力ケーブルは、直流(direct current又はDC)電力ケーブル、又は、交流(alternating current又はAC)電力ケーブルであってよい。海中電力ケーブルはしたがって、1つ又はそれ以上の電力コアを含んでよい。
【0040】
一般的に、特許請求の範囲にて使用するすべての用語は、本明細書にて明確に定義しない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味にしたがって解釈される。「1つの/前記(a/an/the)要素、機器、構成要素、手段、など」にて言及するすべては、明確に規定しない限り、当該要素、機器、構成要素、手段、などの少なくとも1つの例と呼ばれるものとして広く解釈される。
【0041】
本発明に関するコンセプトの具体的な実施形態を、例示を目的として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、海中電力ケーブルの一例の側面図を模式的に示す。
図2図2は、外側サービング又は外側シースが取り外されている、図1に示す海中電力ケーブルの側面図を模式的に示す。
図3a図3aは、切断線A-Aに沿う、図2に示す海中電力ケーブルの断面図を模式的に示す。
図3b図3bは、切断線B-Bに沿う、図2に示す海中電力ケーブルの断面図を模式的に示す。
図3c図3cは、切断線C-Cに沿う、図2に示す海中電力ケーブルの断面図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明に関するコンセプトを、添付図面を参照して以下に更に詳細に説明する。ここでは、実施形態を例示する。本発明に関するコンセプトはしかし、多くの異なる形態にて体現されてよく、以下に示す実施形態に限定されるものとして理解すべきでない。むしろこれらの実施形態は、例示を目的として、この開示が完璧で完全となり、本発明に関するコンセプトの範囲を当業者に十分に伝えるよう提供される。本明細書を通して、類似の参照番号は類似の構成要素を示す。
【0044】
図1は、海中電力ケーブル1の一例を模式的に示す。例示の電力ケーブルはDCケーブルであるが、その代わりに多相ACケーブルであり得る。海中電力ケーブルは、DC又はACの場合であっても、中電圧又は高電圧ケーブルであってよい。海中電力ケーブル1は、外側サービング又は外側シース3を有する。
【0045】
図2は、外側サービング又は外側シース3が取り外され、その内部構成要素が露出している海中電力ケーブル1を模式的に示す。なお、最外層に加えて、ビチューメン層といった防食層などの、外側サービング又は外側シース3の内側に潜在的に存在する追加層は図示していない。さらに、最外構成要素の半径方向の内側の特定の構成要素は、以下において明確となるよう、点線を用いて可視化している。
【0046】
海中電力ケーブル1は、図2に示す2つの切断線A-Aのいずれに沿う断面図である図3aに示すように、電力コア5を含む。電力コア5は、導体7を含む。導体7は、銅又はアルミニウムなどの金属製である。導体7は、例えば、個体導体、又は、よってある導体であってよい。導体7がよってある導体の場合、これは例えば、よってある丸形の導体、セグメント状の(ミリケン(Milliken))導体、圧縮された導体、又はプロファイル化された導体であってよい。導体7は、図2では点線で示す。なぜなら、他の構成要素が、導体7の半径方向の外側に位置するからである。
【0047】
導体7は、ジョイント接合されている。導体7はしたがって、導体ジョイント7aを有する。このために、2つの導体部分/セクションが、製造中にジョイント接合されて、導体ジョイント7aを有する単一の導体部分/セクションを形成する。これは通常、それぞれの電力ケーブル部分の、電気絶縁システムの端部を取り除き、それぞれの導体の、ジョイント接合させる1つの端部を露出させることを含んでよい。電気絶縁システムは、導体がジョイント接合されてから復元される。したがって形成されたケーブルジョイントは通常、ファクトリーにて作られた「ファクトリージョイント」であってよいが、その代わりに、ケーブルの設置中にオンサイトにて作られた「フレキシブルジョイント」であり得る。導体ジョイント7aは、ここでは電力コア3のジョイント領域Rと呼ばれる、電力コア3の軸方向のセクション/部分の一部を形成する。海中電力ケーブル1は、それぞれの導体ジョイント7aをそれぞれが有する又は含む、1つ又は複数のジョイント領域Rを含んでよい。特に、いずれの導体ジョイント7aが、対応するジョイント領域Rを有する。
【0048】
電力コア5はさらに、導体7を電気的に絶縁するよう構成されている電気絶縁システム9を含む。電気絶縁システム9は好ましくは、個体の電気絶縁システムである。電気絶縁システム9は、例えば、外側半導体層9aと、外側半導体層9aの半径方向の内側に配置された個体絶縁層9bと、個体絶縁層9bの半径方向の内側に配置された内側半導体層9cと、を含んでよい。外側半導体層9a及び内側半導体層9cは、例えば、カーボンブラックなどの半導体の粉末と混ぜ合わされた架橋ポリマー(cross-linked polymer又はXLPE)を含んでよい。個体絶縁層9bは、例えば、XLPEを含んでよい。外側半導体層9aは、電気的アース/グラウンドに接続されるよう構成されてよい。海中電力ケーブル1は、上記のXLPE絶縁構造を有する代わりに、マス含浸(mass-impregnated又はMI)ケーブルなどであり得る。
【0049】
海中電力ケーブル1はさらに、メイン外装層11を含む。メイン外装層11は、電力コア3の半径方向の外側に配置されている。メイン外装層11は、複数のメイン外装ワイヤ11aを含む。メイン外装ワイヤ11aは、電力コア3の周りに巻かれている。メイン外装ワイヤ11aは、電力コア3の周りにらせん状に巻かれている。メイン外装ワイヤ11aは、メイン外装ワイヤピッチにて巻かれていてよい。メイン外装ワイヤピッチは、メイン外装ワイヤ11aが、電力コア3の周囲に一回転する長さである。メイン外装層11は、電力コア3に沿って軸方向に伸長する。メイン外装層11は、例えば海中電力ケーブル1の全長に沿って、海中電力ケーブル1の長さの大半に沿って伸長する。
【0050】
メイン外装ワイヤ11aは好ましくは、ステンレススチール又は亜鉛めっきスチールなどのスチールといった金属製である。
【0051】
海中電力ケーブル1が多相ACケーブルである例では、海中電力ケーブル1は、よってあってよい、複数の電力コアを含む。メイン外装ワイヤはこの場合、よってある電力コアの外側にらせん状に巻かれている。
【0052】
海中電力ケーブル1は、複数のジョイント強化外装ワイヤ13aを含むジョイント強化外装層13を含む。ジョイント強化外装層13は、ジョイント領域R内にのみ提供されている。ジョイント強化外装ワイヤ13aは、ジョイント領域R内にてメイン外装ワイヤ11aと共に積層されている。図2に示す例では、ジョイント強化外装ワイヤ13aは、ジョイント領域R内にてメイン外装ワイヤ11aの半径方向の外側に配置されている。メイン外装ワイヤ11aはしたがって、ジョイント領域R内にて点線で示されている。海中電力ケーブル1は、メイン外装層11により形成された、いずれのジョイント領域Rの外側の単層外装と、いずれのジョイント領域R内の複層又は二重層外装と、のみを有する。複層外装は、メイン外装ワイヤ11a及びジョイント強化外装ワイヤ13aにより形成されている。
【0053】
ジョイント強化外装ワイヤ13aは好ましくは、外装層のワイヤ11aと同じ材料製である。ジョイント強化外装ワイヤ13aは好ましくは、ステンレススチール又は亜鉛めっきスチールなどのスチールといった金属製である。1つのバリエーションによると、ジョイント強化外装ワイヤ13aのいくつかは、ポリマー材料などのプラスチック製であってよい。
【0054】
ジョイント強化外装ワイヤ13aは、メイン外装ワイヤ11aに対してロックされている。ジョイント強化外装ワイヤ13aは、メイン外装ワイヤ11aに機械的に接続されてよい。例示の海中電力ケーブル1は、第1の金属リング15aと、第1の金属リング15aから軸方向に離れている第2の金属リング15bと、を含む。第1の金属リング15aは、導体7に沿って、導体ジョイント7aから第1の軸方向に離れて配置されている。第2の金属リング15bは、導体ジョイント7aから、第1の軸方向とは反対である第2の軸方向に離れて配置されている。導体ジョイント7aは、例えば、第1の金属リング15aと第2の金属リング15bとの間の中心、又は実質的に中心にあってよい。メイン外装ワイヤ11aは、第1の金属リング15a及び第2の金属リング15aに接続されている。メイン外装ワイヤ11aは、第1の金属リング15a及び第2の金属リング15bに溶接されてよい。第1の金属リング15a及び第2の金属リング15bは好ましくは、メイン外装ワイヤ11aと同じ材料製であってよい。第1の金属リング15aは好ましくは、ステンレススチール若しくは亜鉛めっきスチールなどのスチール又はアルミニウム製であってよい。第2の金属リング15bは好ましくは、ステンレススチール若しくは亜鉛めっきスチールなどのスチール又はアルミニウム製であってよい。
【0055】
各ジョイント強化外装ワイヤ13aは、第1の軸方向の端部と、第1の軸方向の端部とは反対である第2の軸方向の端部と、を有する。各ジョイント強化外装ワイヤ13aの第1の軸方向の端部は、第1の金属リング15aに直接接続されている。各ジョイント強化外装ワイヤ13aの第2の軸方向の端部は、第2の金属リング15bに直接接続されている。ジョイント強化外装ワイヤ13aは、例えば、第1の金属リング15a及び第2の金属リング15bに溶接又は半田付けされてよい。図2に示す例によると、第1の金属リング15a及び第2の金属リング15bは、メイン外装ワイヤ11aの半径方向の外側に配置されている。第1の金属リング15aは、単一片に作られてよく、又は、設置を促進するために、例えば2つに分割された、数個の部分を含んでよい。第2の金属リング15bは、単一片に作られてよく、又は、設置を促進するために、例えば2つに分割された、数個の部分を含んでよい。ジョイント強化外装ワイヤ13aは、メイン外装層11の半径方向の外側に配置されている。第1の金属リング15a及び第2の金属リング15bはしたがって、メイン外装層11とジョイント強化外装層13との間に配置されている。第1の金属リング15aにて、切断線B-Bに沿う、海中電力ケーブル1の断面図を描く図3bは、この構成をより詳細に示す。メイン外装層11は内側外装層を形成し、ジョイント強化層セクション13は、ジョイント領域R内のみにて、メイン外装層11に対する外側層を形成する。ジョイント領域Rはこの例では、第1の金属リング15a及び第2の金属リング15bにより区切られた、軸方向に伸長する領域により画定されている。ジョイント領域Rの外側では、電力コア3の周りにメイン外装層11のみが提供されている。
【0056】
メイン外装層に対して軸方向にジョイント強化外装層をロックする別の代替例は、例えば、ジョイント強化外装ワイヤを第1の金属リング及び第2の金属リングに溶接するのみとし、第1の金属リング及び第2の金属リングの軸方向への移動を防止又は制限するよう構成されているそれぞれのラジアルストップ構造を提供することである。さらに別の代替例は、メイン外装層に対するジョイント強化外装層の軸方向の変位を防止するよう構成されている摩擦部材など、摩擦を利用することである。そのような摩擦部材は、例えば、ジョイント強化外装層の周囲に配置され、半径方向に内向きに向けられた力を、ジョイント強化外装層上に印加するよう構成されているロープ及び/又はテープであってよい。
【0057】
図3cは、切断線C-Cに沿う、ジョイント領域R内の海中電力ケーブル1の断面図を示す。ここでは、複層又は二重層外装を見ることができる。単層外装は、ジョイント領域Rの外側の、切断線A-Aに沿う断面図にて、図3aに可視化されている。
【0058】
海中電力ケーブル1は、複数の追加的ジョイント領域Rを含んでよい。この場合、各追加的ジョイント領域Rは好ましくは、上記の構成、つまり、追加的ジョイント領域内のみに存在する、メイン外装層11と共に積層された追加的ジョイント強化外装層を伴う構成を有する。
【0059】
本発明に関するコンセプトを、いくつかの例を参照して主に説明した。しかし、当業者にただちに明白であるように、上記に開示するものとは異なる他の実施形態も、特許請求の範囲に規定されるように、本発明に関するコンセプトの範囲内にて等しく可能である。
図1
図2
図3a
図3b
図3c