(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】工作機械の稼働状況管理装置、稼働状況管理方法、及び稼働状況管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/18 20060101AFI20240118BHJP
G05B 19/4063 20060101ALI20240118BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240118BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240118BHJP
【FI】
G05B19/18 W
G05B19/4063 L
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2019202387
(22)【出願日】2019-11-07
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小関 清高
(72)【発明者】
【氏名】福田 政樹
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-085701(JP,A)
【文献】特開2010-221423(JP,A)
【文献】特開2013-033349(JP,A)
【文献】特開2018-005355(JP,A)
【文献】特開平07-251356(JP,A)
【文献】特開2007-094924(JP,A)
【文献】特開2018-198042(JP,A)
【文献】特開2002-087703(JP,A)
【文献】特開2019-174971(JP,A)
【文献】特開2006-039712(JP,A)
【文献】特開平06-110529(JP,A)
【文献】特開平06-138931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18-19/416
G05B 19/418
B23Q 37/00-41/08
G06Q 10/00-10/30
G06Q 30/00-30/08
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の稼働状況として時間ごとに
、前記工作機械がワークを加工する運転の状態、
前記工作機械がワークを加工する運転前の準備の状態である段取り、前記工作機械が運転の状態でも段取りでもない待機の状態と
を選択的に設定した稼働状況データを記憶部より読み出し、前記稼働状況データに基づいて、運転の時間と
段取りの時間と待機の時間とを示すグラフをディスプレイに表示するグラフ表示部と、
前記グラフにおけるいずれかの待機の時間が指示され、指示された時間の待機に関するメモが入力されたら、入力されたメモを指示された待機の時間に対応付けて、前記記憶部に記憶されている前記稼働状況データを更新する稼働状況データ更新部と、
前記グラフ表示部が更新された前記稼働状況データに基づいて、運転の時間と
段取りの時間と待機の時間とを示すグラフを前記ディスプレイに表示するとき、メモが対応付けられている待機の時間の色をメモが対応付けられていない待機の時間の色と異ならせる色設定部と、
を備え
、
前記グラフ表示部は、2つの待機の時間に挟まれた所定時間未満の段取りをグラフに表示せず、前記2つの待機の時間を連結させてグラフに表示する
工作機械の稼働状況管理装置。
【請求項2】
前記記憶部は前記工作機械が備える稼働状況記憶部であり、
前記稼働状況データ更新部は、前記稼働状況記憶部に記憶されている前記稼働状況データを更新する
請求項1に記載の工作機械の稼働状況管理装置。
【請求項3】
前記工作機械は、前記稼働状況データ及び更新された前記稼働状況データを、ネットワークを介してクラウドサーバに送信する通信装置を備え、
前記グラフ表示部は、前記クラウドサーバに記憶された、更新された前記稼働状況データに基づいて、前記グラフを前記ディスプレイに表示する
請求項1または2に記載の工作機械の稼働状況管理装置。
【請求項4】
前記ディスプレイはタッチパネルディスプレイであり、
前記タッチパネルディスプレイによって前記グラフにおけるいずれかの待機の時間が触れられたとき、待機の理由を選択するための複数の選択肢を前記タッチパネルディスプレイに表示し、
選択された選択肢を触れられた待機の時間に対応付ける
請求項1~3のいずれか1項に記載の工作機械の稼働状況管理装置。
【請求項5】
工作機械の稼働状況として時間ごとに
、前記工作機械がワークを加工する運転の状態、
前記工作機械がワークを加工する運転前の準備の状態である段取り、前記工作機械が運転の状態でも段取りでもない待機の状態と
を選択的に設定した稼働状況データに基づいて、
所定時間未満の段取りが2つの待機の時間に挟まれているという条件を満たせば前記所定時間未満の段取りをグラフに表示せず、前記2つの待機の時間を連結させてグラフに表示しながら、運転の時間と
前記条件を満たさない段取りの時間と待機の時間とを示すグラフをディスプレイに表示し、
前記グラフにおけるいずれかの待機の時間が指示され、指示された時間の待機に関するメモが入力されたら、入力されたメモを指示された待機の時間に対応付けて、前記稼働状況データを更新し、
更新された前記稼働状況データに基づいて、運転の時間と
前記条件を満たさない段取りの時間と待機の時間とを示すグラフを前記ディスプレイに表示するとき、メモが対応付けられている待機の時間の色をメモが対応付けられていない待機の時間の色と異ならせる
稼働状況管理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
工作機械の稼働状況として時間ごとに
、前記工作機械がワークを加工する運転の状態、
前記工作機械がワークを加工する運転前の準備の状態である段取り、前記工作機械が運転の状態でも段取りでもない待機の状態と
を選択的に設定した稼働状況データに基づいて、
所定時間未満の段取りが2つの待機の時間に挟まれているという条件を満たせば前記所定時間未満の段取りをグラフに表示せず、前記2つの待機の時間を連結させてグラフに表示しながら、運転の時間と
前記条件を満たさない段取りの時間と待機の時間とを示すグラフをディスプレイに表示するステップと、
前記グラフにおけるいずれかの待機の時間が指示され、指示された時間の待機に関するメモが入力されたら、入力されたメモを指示された待機の時間に対応付けて、前記稼働状況データを更新するステップと、
更新された前記稼働状況データに基づいて、メモが対応付けられている待機の時間の色をメモが対応付けられていない待機の時間の色と異ならせて、運転の時間と
前記条件を満たさない段取りの時間と待機の時間とを示すグラフを前記ディスプレイに表示するステップと、
を実行させる稼働状況管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の稼働状況管理装置、稼働状況管理方法、及び稼働状況管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工作機械の運転、待機、停止の各時間を集計したグラフを表示部に表示することが記載されている。特許文献2には、工作機械の状態を色分けして表示部に表示することが記載されている。特許文献3には、射出成型機の稼働状態を色分けして表示部に表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-85701号公報
【文献】特開2004-38565号公報
【文献】特開2004-164023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工作機械の稼働率を向上させるには、工作機械の稼働状況をより詳しく把握して管理者が稼働状況を確認できるようにすることが必要である。工作機械の電源が投入されているにもかかわらず運転していない待機の状態を減らせば稼働率を向上させることができるので、待機の状態を管理することが望まれる。ところが、従来においては、管理者が稼働状況を確認しても何が原因で待機の状態となっているのか分からず、待機の状態を削減するためにどのような対策を講じればよいのか分からなかった。
【0005】
本発明は、待機の状態を管理することができる工作機械の稼働状況管理装置、稼働状況管理方法、及び稼働状況管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、工作機械の稼働状況として時間ごとに、前記工作機械がワークを加工する運転の状態、前記工作機械がワークを加工する運転前の準備の状態である段取り、前記工作機械が運転の状態でも段取りでもない待機の状態とを選択的に設定した稼働状況データを記憶部より読み出し、前記稼働状況データに基づいて、運転の時間と段取りの時間と待機の時間とを示すグラフをディスプレイに表示するグラフ表示部と、前記グラフにおけるいずれかの待機の時間が指示され、指示された時間の待機に関するメモが入力されたら、入力されたメモを指示された待機の時間に対応付けて、前記記憶部に記憶されている前記稼働状況データを更新する稼働状況データ更新部と、前記グラフ表示部が更新された前記稼働状況データに基づいて、運転の時間と段取りの時間と待機の時間とを示すグラフを前記ディスプレイに表示するとき、メモが対応付けられている待機の時間の色をメモが対応付けられていない待機の時間の色と異ならせる色設定部とを備え、前記グラフ表示部は、2つの待機の時間に挟まれた所定時間未満の段取りをグラフに表示せず、前記2つの待機の時間を連結させてグラフに表示する工作機械の稼働状況管理装置を提供する。
【0007】
本発明は、工作機械の稼働状況として時間ごとに、前記工作機械がワークを加工する運転の状態、前記工作機械がワークを加工する運転前の準備の状態である段取り、前記工作機械が運転の状態でも段取りでもない待機の状態とを選択的に設定した稼働状況データに基づいて、所定時間未満の段取りが2つの待機の時間に挟まれているという条件を満たせば前記所定時間未満の段取りをグラフに表示せず、前記2つの待機の時間を連結させてグラフに表示しながら、運転の時間と前記条件を満たさない段取りの時間と待機の時間とを示すグラフをディスプレイに表示し、前記グラフにおけるいずれかの待機の時間が指示され、指示された時間の待機に関するメモが入力されたら、入力されたメモを指示された待機の時間に対応付けて、前記稼働状況データを更新し、更新された前記稼働状況データに基づいて、運転の時間と前記条件を満たさない段取りの時間と待機の時間とを示すグラフを前記ディスプレイに表示するとき、メモが対応付けられている待機の時間の色をメモが対応付けられていない待機の時間の色と異ならせる稼働状況管理方法を提供する。
【0008】
本発明は、コンピュータに、工作機械の稼働状況として時間ごとに、前記工作機械がワークを加工する運転の状態、前記工作機械がワークを加工する運転前の準備の状態である段取り、前記工作機械が運転の状態でも段取りでもない待機の状態とを選択的に設定した稼働状況データに基づいて、所定時間未満の段取りが2つの待機の時間に挟まれているという条件を満たせば前記所定時間未満の段取りをグラフに表示せず、前記2つの待機の時間を連結させてグラフに表示しながら、運転の時間と前記条件を満たさない段取りの時間と待機の時間とを示すグラフをディスプレイに表示するステップと、前記グラフにおけるいずれかの待機の時間が指示され、指示された時間の待機に関するメモが入力されたら、入力されたメモを指示された待機の時間に対応付けて、前記稼働状況データを更新するステップと、更新された前記稼働状況データに基づいて、メモが対応付けられている待機の時間の色をメモが対応付けられていない待機の時間の色と異ならせて、運転の時間と前記条件を満たさない段取りの時間と待機の時間とを示すグラフを前記ディスプレイに表示するステップとを実行させる稼働状況管理プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の工作機械の稼働状況管理装置、稼働状況管理方法、及び稼働状況管理プログラムによれば、待機の状態を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ネットワークを介してクラウドサーバに接続された各種の工作機械を示すブロック図である。
【
図2】工作機械の一例としてレーザ加工機とクラウドサーバの具体的な構成例を示すブロック図である。
【
図3】レーザ加工機の稼働状況と稼働状況記憶部に記憶されている稼働状態データの一例を概念的に示す図である。
【
図4】一実施形態の工作機械の稼働状況管理装置である携帯端末とクラウドサーバの具体的な構成例を示すブロック図である。
【
図5】稼働状態データに基づいて携帯端末のディスプレイに表示されるグラフの一例を示す図である。
【
図6】レーザ加工機と携帯端末との具体的な構成例を示すブロック図である。
【
図7】携帯端末のディスプレイに表示されるグラフによって待機の理由を選択して入力している状態を示す図である。
【
図8】レーザ加工機の稼働状況と待機の理由が入力された稼働状態データの一例を概念的に示す図である。
【
図9】
図8に示す稼働状態データに基づいて携帯端末のディスプレイに表示されるグラフの一例を示す図である。
【
図10】
図9に示すグラフの待機の箇所に指を触れて待機の理由を表示させている状態を示す図である。
【
図11】一実施形態の工作機械の稼働状況管理装置を示すブロック図である。
【
図12】短時間の段取りを非表示にして2つの待機の時間を連結させた状態の部分的なグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態の工作機械の稼働状況管理装置、稼働状況管理方法、及び稼働状況管理プログラムについて、添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、ネットワーク30には、各種の工作機械と、クラウドサーバ20とが接続されている。工作機械は、レーザ加工機10L1及び10L2、ベンディングマシン(プレスブレーキ)10B1及び10B2、パンチングマシン10P1及び10P2、パンチ・レーザ複合マシン10PL1を含む。ネットワーク30には、1台のレーザ加工機のみが接続されていてもよいし、1台のベンディングマシンのみが接続されていてもよいし、1台のパンチングマシンのみが接続されていてもよいし、1台のパンチ・レーザ複合マシンのみが接続されていてもよい。ネットワーク30には、任意の工作機械が任意の台数、接続されていればよい。
【0013】
各工作機械には固有のIDが付与されている。例えば、レーザ加工機10L1のIDはEN001、ベンディングマシン10B1のIDはHG001、パンチングマシン10P1のIDはEM001、パンチ・レーザ複合マシン10PL1のIDはLC001である。クラウドサーバ20は、レーザ加工機10L1及び10L2、ベンディングマシン10B1及び10B2、パンチングマシン10P1及び10P2、パンチ・レーザ複合マシン10PL1の製造販売会社が運営している。
【0014】
工作機械の構成及び動作を、レーザ加工機10L1を代表して説明する。概略的に、レーザ加工機10L1は、レーザ加工機10L1の動作を制御するNC装置11と、ネットワーク30と通信するための通信装置12を備える。レーザ加工機10L1のオペレータ(または管理者)50は、携帯端末40を所持している。携帯端末40は、レーザ加工機10L1と通信することができ、ネットワーク30を介してクラウドサーバ20と通信することができる。携帯端末40は有線または無線でレーザ加工機10L1またはネットワーク30と接続されている。
【0015】
携帯端末40は、クラウドサーバ20と通信するクラウド通信モードと、レーザ加工機10L1と通信する工作機械通信モードとを選択して、クラウドサーバ20またはレーザ加工機10L1と通信することができる。
【0016】
ネットワーク30はLAN(Local Area Network)またはインターネットである。携帯端末40は無線LANでレーザ加工機10L1またはネットワーク30と接続されるのが好ましい。携帯端末40は、スマートフォンであってもよいし、タブレット端末であってもよい。
【0017】
図2に示すように、レーザ加工機10L1は、NC装置11及び通信装置12の他に、電源13、加工機本体部14、操作部15、表示部16を備える。NC装置11は、中央処理装置(CPU)111、記憶部112、稼働状況記憶部113を備える。記憶部112には、図示していないCAM(Computer Aided Manufacturing)装置によって作成されてレーザ加工機10L1に転送された加工プログラムが記憶されている。稼働状況記憶部113は、レーザ加工機10L1の後述する稼働状況を記憶する。
【0018】
加工機本体部14は、動作部141及び142とその他の動作部を備え、構成部材143及びその他の構成部材を備える。動作部141とは例えば加工ヘッドであり、動作部142とは例えばワークの吸着装置である。構成部材とは例えば扉である。
【0019】
CPU111は、電源13が投入された後の稼働状態を稼働状況記憶部113に記憶させる。具体的には、CPU111は、レーザ加工機10L1が加工プログラムに基づいてワークを加工する状態である運転の状態、運転前の準備の状態である段取り、運転中に発生するアラーム、運転でも段取りでもない待機の状態を区別して稼働状況記憶部113に記憶させる。CPU111は、少なくとも運転の状態と待機の状態とを区別して稼働状況記憶部113に記憶させてもよい。CPU111は、稼働状況記憶部113に記憶された稼働状態データを通信装置12によってネットワーク30を介してクラウドサーバ20に送信(アップロード)する。
【0020】
クラウドサーバ20は、中央処理装置(CPU)21、通信部22、稼働状況記憶部23を備える。CPU21は、通信部22が受信したレーザ加工機10L1からの稼働状態データをレーザ加工機10L1のIDであるEN001と対応付けて稼働状況記憶部23に記憶させる。稼働状況記憶部23は、ベンディングマシン10B1、パンチングマシン10P1、パンチ・レーザ複合マシン10PL1、及び
図2では図示していない他の工作機械から送信された稼働状態データを記憶している。
【0021】
図3は、レーザ加工機10L1の稼働状況と、稼働状況記憶部113に記憶されている稼働状態データの一例を概念的に示している。オペレータ50は午前9時にレーザ加工機10L1の電源13を投入したとする。午前9時にレーザ加工機10L1の電源13が投入されて所定時間の待機の後、オペレータ50は1回目の段取りを実行し、短時間の待機の後に2回目の段取りを実行して、レーザ加工機10L1は午前10時まで運転したとする。例えば、1回目の段取りはノズルの芯出しであり、2回目の段取りは焦点調整である。
【0022】
レーザ加工機10L1における各種の段取りは、表示部16に実行しようとする段取りを示す操作画像を表示して、操作部15によって操作することによって実行される。よって、CPU111は、実行した段取りを示す段取りIDを稼働状況記憶部113に記憶させることができる。ノズルの芯出しの段取りIDがSP002、焦点調整の段取りIDがSP003であるとする。稼働状況記憶部113には、午前9時以降、待機、段取りIDとしてSP002、待機、段取りIDとしてSP003、運転と記憶される。
【0023】
レーザ加工機10L1は、午前10時から所定時間待機した後に運転し、午前11時少し前にアラームが発生して停止したとする。加工機本体部14の動作部141及び142とその他の動作部、構成部材143及びその他の構成部材は、異常が発生するとアラームを発報するように構成されている。CPU111は、加工機本体部14が発報したアラームを示すアラームIDを稼働状況記憶部113に記憶させる。
【0024】
動作部141が発報するアラームは例えばヘッド連結異常であり、動作部142が発報するアラームは例えばワーク吸着失敗である。構成部材143が扉であるとき、運転中に扉を開けるとアラームが発報する。ヘッド連結異常のアラームIDはAR005であるとする。稼働状況記憶部113には、午前10時以降、待機に続けて、アラームIDとしてAR005と記憶される。
【0025】
レーザ加工機10L1は、アラームIDがAR005のアラーム停止が解消された後、待機、段取りIDがSP001の段取りに続けて運転し、アラームIDがAR007のアラーム停止が発生したとする。レーザ加工機10L1は、アラームIDがAR007のアラーム停止が解消された後、待機となったとする。稼働状況記憶部113には、待機、段取りIDとしてSP001、運転、アラームIDとしてAR007、待機と記憶される。
【0026】
稼働状況記憶部113には、単位時間ごとに、待機、段取り、運転、アラーム停止のいずれかの状態が記憶される。段取り及びアラーム停止の場合には、稼働状況記憶部113にはCPU111が自動的に付与した段取りIDまたはアラームIDが記憶される。上記のように、
図3のように稼働状況記憶部113に記憶された稼働状況データはクラウドサーバ20に送信され、稼働状況記憶部23に記憶される。
【0027】
携帯端末40をクラウド通信モードとすることによって、携帯端末40はクラウドサーバ20の稼働状況記憶部23に記憶された稼働状況データを読み出すことができる。
図4に示すように、携帯端末40は、中央処理装置(CPU)41、通信部42、データ記憶部43、記憶部44、タッチパネルディスプレイ45を備える。携帯端末40は、クラウドサーバ20から読み出した稼働状況データに基づいて、レーザ加工機10L1またはその他の工作機械の稼働状況をタッチパネルディスプレイ45に表示することができる。
【0028】
記憶部44は、稼働状況を管理するアプリケーションプログラムである稼働状況管理プログラムを記憶している。データ記憶部43は稼働状況データをタッチパネルディスプレイ45に表示する際に用いられる作業用のメモリである。オペレータ50は、タッチパネルディスプレイ45に表示された後述するグラフによってレーザ加工機10L1等の稼働状況を確認することができる。
【0029】
CPU41は、タッチパネルディスプレイ45に表示する稼働状況データとして、レーザ加工機10L1の稼働状況データを選択したとする。CPU41は、稼働状況管理プログラムを実行させることによって、レーザ加工機10L1の稼働状況データに基づいて、タッチパネルディスプレイ45に
図5に示すようなグラフを表示させることができる。一例として、CPU41は、待機、段取り、運転、アラーム停止の各時間をそれぞれ黄色、橙色、緑色、赤色で表示する。グラフの近傍に各色の定義を示しているが、この表示はなくてもよい。
【0030】
オペレータ50が指で例えば11時前後のアラーム停止の箇所に触れると、CPU41は、11時前後のアラーム停止はアラームIDがAR005であるヘッド連結異常であるので、例えば吹き出しの形態でヘッド連結異常の文字を表示する。稼働状況管理プログラムには段取りID及びアラームIDの各IDの定義が記述されているから、オペレータ50がグラフを指で触れると、CPU41はアラーム停止の理由をタッチパネルディスプレイ45に表示させることができる。
【0031】
上記のように、段取り及びアラーム停止の場合には、稼働状況記憶部113にはCPU111が自動的に付与した段取りIDまたはアラームIDが記憶される。しかしながら、レーザ加工機10L1が待機の状態であるとき、CPU111はレーザ加工機10L1がどのような理由で待機の状態であるのかを管理することはできない。そこで、オペレータ50が携帯端末40によって待機の理由を入力することが好ましい。
【0032】
図6に示すように、携帯端末40を工作機械通信モードとすることによって、携帯端末40はレーザ加工機10L1と通信するよう互いに接続される。携帯端末40のCPU41は、稼働状況管理プログラムを実行させることによって、レーザ加工機10L1の稼働状況データに基づいて、タッチパネルディスプレイ45に
図7に示すようなグラフを表示させる。
図7に示すグラフは
図5に示すグラフと同様である。
【0033】
図7に示すように、携帯端末40が工作機械通信モードであるとき、オペレータ50がグラフの例えば午前10時からの待機の箇所を指で触れると、CPU41は、稼働状況管理プログラムを実行させることによって、待機の理由を選択するための複数の選択肢をタッチパネルディスプレイ45に表示させる。オペレータ50が指を選択肢のウィンドウまでドラッグして、所定の理由に触れた状態で指を離すことによって、理由を選択することができる。ここでは、オペレータ50は待機の理由として材料準備を選択したとする。材料準備の待機IDはWT001であるとする。
【0034】
すると、
図8に示すように、レーザ加工機10L1のCPU111は、稼働状況記憶部113に記憶されている稼働状況データにおける午前10時からの待機の箇所に材料準備の待機IDであるWT001を記憶させる。同様にして、アラームIDとしてAR005と記憶されているアラーム停止の次の待機の箇所には、待機IDとしてWT002が記憶されている。
図7に示すように、待機の理由としては、材料準備の他に、検査、加工プログラム待ち、残材処理、2次加工等がある。
【0035】
以上のようにして、携帯端末40は工作機械通信モードで待機の理由を選択して、レーザ加工機10L1の稼働状況記憶部113に待機IDを記憶させることができるので、待機の状態を管理することができる。選択肢によって選択した待機の理由は待機に関するメモの一例である。オペレータ50が待機の理由を文章で入力してもよいし、写真を撮影して写真を保存してもよい。写真もメモに含まれるとする。
【0036】
図9は、待機IDが追加されて稼働状態データが更新された後に、稼働状況記憶部113に記憶されている稼働状況データに基づいて、タッチパネルディスプレイ45に表示されるグラフを示している。
図9に示すように、CPU41は、待機の理由等の待機に関するメモが入力済みの待機の箇所をメモが未入力の待機の箇所と色を異ならせて表示している。CPU41は、例えば、メモが入力済みの待機の箇所を黄緑色で表示する。オペレータ50は、グラフを見て即座に、待機の箇所にメモが入力されているか否かを認識することができる。
【0037】
CPU111は、更新された稼働状態データをクラウドサーバ20に送信する。CPU41は、携帯端末40をクラウド通信モードとし、稼働状況管理プログラムを実行させて、クラウドサーバ20に記憶された稼働状況データを読み出して、タッチパネルディスプレイ45にグラフを表示することができる。この場合も
図9のように、待機に関するメモが入力済みの待機の箇所とメモが未入力の待機の箇所は異なる色で表示される。
【0038】
図10に示すように、オペレータ50が指で例えば10時からのメモ入力済みの待機の箇所に触れると、CPU41は、10時からの待機には待機IDとして材料準備を示すWT001が記憶されているから、例えば吹き出しの形態で材料準備の文字を表示する。稼働状況管理プログラムには各待機IDの定義が記述されているから、オペレータ50がグラフを指で触れると、CPU41は待機の理由をタッチパネルディスプレイ45に表示させることができる。オペレータ50が入力した文章または写真が記憶されている場合には、CPU41は記憶されている文章または写真を読み出してタッチパネルディスプレイ45に表示させる。
【0039】
以上のようにして、オペレータ50は、タッチパネルディスプレイ45に稼働状況データに基づくグラフを表示させて、待機の理由を確認することができる。オペレータ50はメモが未入力の待機の箇所を即座に認識することができるので、携帯端末40を工作機械通信モードとして、待機の理由等のメモを入力することができる。
【0040】
本実施形態においては、携帯端末40が工作機械通信モードであるとき、稼働状況記憶部113に記憶されている稼働状況データに待機IDを追加するように構成しているが、クラウド通信モードで稼働状況記憶部23に記憶されている稼働状況データに待機IDを追加するようにしてもよい。但し、この場合は、クラウド通信モードで稼働状況記憶部23に記憶されている稼働状況データに待機IDを追加した後に、稼働状況記憶部113に記憶されている稼働状況データを同様に更新する必要がある。
【0041】
CPU111は、稼働状況記憶部113に記憶された稼働状態データをクラウドサーバ20にアップロードするよう構成しているので、携帯端末40を工作機械通信モードとして、稼働状況記憶部113に記憶されている稼働状況データに待機IDを追加するのがよい。
【0042】
携帯端末40は工作機械の稼働状況管理装置として機能する。
図11に示すように、CPU41(コンピュータ)が稼働状況管理プログラムを実行すると、CPU41は機能的に次の構成を備えて以下のステップを実行させる稼働状況管理装置として機能する。グラフ表示部411は、工作機械の稼働状況として時間ごとに少なくとも運転の状態と待機の状態とのいずれかを設定した稼働状況データを記憶部より読み出す。記憶部は稼働状況記憶部113とするのがよく、記憶部はクラウドサーバ20であってもよい。
【0043】
グラフ表示部411は、稼働状況データに基づいて、運転の時間と待機の時間とを示すグラフをタッチパネルディスプレイ45のディスプレイ451に表示する(グラフをディスプレイに表示するステップ)。グラフ表示部411は、グラフをタッチパネルディスプレイ45以外のディスプレイに表示してもよい。
【0044】
稼働状況データ更新部412は、グラフにおけるいずれかの待機の時間が指示され、指示された時間の待機に関するメモが入力されたら、入力されたメモを指示された待機の時間に対応付けて、記憶部に記憶されている稼働状況データを更新する(稼働状況データを更新するステップ)。待機の時間の指示及びメモの入力はタッチパネル452によってなされるが、タッチパネル452の操作部Bによってなされてもよい。
【0045】
色設定部413は、グラフ表示部411が更新された稼働状況データに基づいて、運転の時間と待機の時間とを示すグラフをディスプレイ451に表示するとき、メモが対応付けられている待機の時間の色をメモが対応付けられていない待機の時間の色と異ならせる(色と異ならせて運転の時間と待機の時間とを示すグラフをディスプレイに表示するステップ)。
【0046】
図12の(a)は、待機の状態であるとき3分未満のような極めて短時間の段取りを実行し、その後に再び待機の状態となった場合を示している。短時間の段取りの前後で待機の理由が同じであったとしても、待機の理由は待機の開始から終了までの時間単位で入力することができるから、短時間の段取りの前後で待機の理由を入力しなければならない。このような場合、極めて短時間の段取りをグラフで表示する必要がないことがある。
【0047】
そこで、グラフ表示部411は、2つの待機の時間に挟まれた所定時間未満の段取りをグラフに表示せず、
図12の(b)に示すように、2つの待機の時間を連結させてグラフに表示することが好ましい。所定時間未満は3分未満に限定されない。
【0048】
CPU41は、1日、1週間、1か月等の所定の期間で、運転の時間と待機の時間と段取りの時間とアラーム停止の時間を集計してタッチパネルディスプレイ45にグラフ表示することもできる。CPU41は、稼働率を計算してタッチパネルディスプレイ45に稼働率を表示することもできる。
【0049】
本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
図1及び
図2に示す例では、レーザ加工機10L1が通信装置12を備えているが、通信装置12は工作機械の外部に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10L1,10L2 レーザ加工機
10B1,10B2 ベンディングマシン
10P1,10P2 パンチングマシン
10PL1 パンチ・レーザ複合マシン
11 NC装置
12 通信装置
13 電源
14 加工機本体部
15 操作部
16 表示部
20 クラウドサーバ
21,41,111
22,42 通信部
23,113 稼働状況記憶部
30 ネットワーク
43 データ記憶部
44 記憶部
411 グラフ表示部
412 稼働状況データ更新部
413 色設定部
451 ディスプレイ
452 タッチパネル