(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】工程表作成方法、工程表作成支援プログラム及び工程表作成支援装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240118BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240118BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2019216940
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】吉野 広泰
(72)【発明者】
【氏名】染矢 寛
(72)【発明者】
【氏名】小宮 秀則
(72)【発明者】
【氏名】門谷 吾郎
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-039617(JP,A)
【文献】特開2004-178379(JP,A)
【文献】特開2015-176240(JP,A)
【文献】特開2007-233762(JP,A)
【文献】特開2015-197865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリを構成する各部品に対する加工工程の工程順を示す部品別の工程データを読み込む読込ステップと、
複数の前記部品にそれぞれ対応する前記工程データの加工工程を、全ての前記部品に対する前記加工工程の工程順を1つにまとめて示す全体工程表上に、工程順を変えず、かつ、基準工程に指定された加工工程の工程位置を前記各部品間で揃えて配置する第1配置ステップと、
前記全ての部品の工程順の最後の工程位置に、前記全ての部品を組み付けて前記アセンブリとする組み付け工程を配置する第2配置ステップと、
を含む工程表作成方法。
【請求項2】
前記第1配置ステップを部品毎に繰り返し実行する請求項1に記載の工程表作成方法。
【請求項3】
前記複数の部品のうち一の部品に対応する前記工程データにおける前記基準工程よりも工程順が早い工程側に存在する前記加工工程の工程数に対して、前記複数の部品のうち他の部品の前記工程データにおける前記基準工程よりも工程順が早い工程側に存在する前記加工工程の工程数の方が多い場合に、前記第1配置ステップにおいて、前記一の部品の前記基準工程の工程位置を、前記全体工程表上の工程順が遅い工程側に再配置する請求項1又は2に記載の工程表作成方法。
【請求項4】
前記全体工程表上にそれぞれ配置した前記各部品の前記工程データの前記加工工程のうち、前記基準工程以外の加工工程を、前記基準工程よりも工程順が早い工程側と前記基準工程よりも工程順が遅い工程側とのそれぞれにおいて、工程順を変えず、かつ、同一の前記加工工程の工程位置を前記部品間で揃えて、前記全体工程表上に再配置する第3配置ステップをさらに含む請求項1~3のうちいずれか1項に記載の工程表作成方法。
【請求項5】
前記第3配置ステップにおいて、前記同一の加工工程の工程位置を、前記全体工程表上の工程順が最も遅い前記部品に揃える請求項4に記載の工程表作成方法。
【請求項6】
前記同一の加工工程の工程位置の直前に、前記同一の加工工程の工程位置を揃えた前記部品同士の組み付けにより構成されるサブアセンブリの組み付け工程を挿入する挿入ステップと、前記サブアセンブリの組み付け工程を挿入した前記各部品に対する前記加工工程の工程順を配置した前記全体工程表のマトリクス上の行又は列を、隣り合う行又は列に再配置する第4配置ステップとをさらに含む請求項4又は5に記載の工程表作成方法。
【請求項7】
前記全体工程表上に、前記各部品の前記工程データの前記加工工程として、前記加工工程に対応する加工前又は加工後の状態を示す前記各部品のサムネイル画像が配置される請求項1~6のうちいずれか1項に記載の工程表作成方法。
【請求項8】
コンピュータに、
アセンブリを構成する各部品に対する加工工程の工程順を示す部品別の工程データを読み込む読込ステップと、
複数の前記部品にそれぞれ対応する前記工程データの加工工程を、全ての前記部品に対する前記加工工程の工程順を1つにまとめて示す全体工程表上に、工程順を変えず、かつ、基準工程に指定された加工工程の工程位置を前記各部品間で揃えて配置する第1配置ステップと、
前記全ての部品の工程順の最後の工程位置に、前記全ての部品を組み付けて前記アセンブリとする組み付け工程を配置する第2配置ステップと、
を実行させる工程表作成支援プログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
前記第1配置ステップを部品毎に繰り返し実行させる、
請求項8に記載の工程表作成支援プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
前記複数の部品のうち一の部品に対応する前記工程データにおける前記基準工程よりも工程順が早い工程側に存在する前記加工工程の工程数に対して、前記複数の部品のうち他の部品の前記工程データにおける前記基準工程よりも工程順が早い工程側に存在する前記加工工程の工程数の方が多い場合に、前記第1配置ステップにおいて、前記一の部品の前記基準工程の工程位置を、前記全体工程表上の工程順が遅い工程側に再配置させる、
請求項8又は9に記載の工程表作成支援プログラム。
【請求項11】
コンピュータに、
前記全体工程表上にそれぞれ配置した前記各部品の前記工程データの前記加工工程のうち、前記基準工程以外の加工工程を、前記基準工程よりも工程順が早い工程側と前記基準工程よりも工程順が遅い工程側とのそれぞれにおいて、工程順を変えず、かつ、同一の前記加工工程の工程位置を前記部品間で揃えて、前記全体工程表上に再配置する第3配置ステップをさらに実行させる、
請求項8~10のうちいずれか1項に記載の工程表作成支援プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
前記第3配置ステップにおいて、前記同一の加工工程の工程位置を、前記全体工程表上の工程順が最も遅い前記部品に揃えさせる、
請求項11に記載の工程表作成支援プログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
前記同一の加工工程の工程位置の直前に、前記同一の加工工程の工程位置を揃えた前記部品同士の組み付けにより構成されるサブアセンブリの組み付け工程を挿入する挿入ステップと、前記サブアセンブリの組み付け工程を挿入した前記各部品に対する前記加工工程の工程順を配置した前記全体工程表のマトリクス上の行又は列を、隣り合う行又は列に再配置する第4配置ステップとをさらに実行させる請求項11又は12に記載の工程表作成支援プログラム。
【請求項14】
コンピュータに、前記各部品の前記工程データの前記加工工程として前記全体工程表上に、前記加工工程に対応する加工前又は加工後の状態を示す前記各部品のサムネイル画像を配置させる請求項8~13のうちいずれか1項に記載の工程表作成支援プログラム。
【請求項15】
アセンブリを構成する各部品に対する加工工程の工程順を示す部品別の工程データを読み込む読込部と、
複数の前記部品にそれぞれ対応する前記工程データの加工工程を、全ての前記部品に対する前記加工工程の工程順を1つにまとめて示す全体工程表上に、工程順を変えず、かつ、基準工程に指定された加工工程の工程位置を前記各部品間で揃えて配置する第1配置部と、
前記全ての部品の工程順の最後の工程位置に、前記全ての部品を組み付けて前記アセンブリとする組み付け工程を配置する第2配置部と、
を備える工程表作成支援装置。
【請求項16】
前記第1配置部は、前記各部品について、対応する前記工程データの加工工程を前記部品毎に繰り返して前記全体工程表上に配置する請求項15に記載の工程表作成支援装置。
【請求項17】
前記第1配置部は、前記複数の部品のうち一の部品に対応する前記工程データにおける前記基準工程よりも工程順が早い工程側に存在する前記加工工程の工程数に対して、前記複数の部品のうち他の部品の前記工程データにおける前記基準工程よりも工程順が早い工程側に存在する前記加工工程の工程数の方が多い場合に、前記一の部品の前記基準工程の工程位置を、前記全体工程表上の工程順が遅い工程側に再配置する請求項15又は16に記載の工程表作成支援装置。
【請求項18】
前記全体工程表上にそれぞれ配置した前記各部品の前記工程データの前記加工工程のうち、前記基準工程以外の加工工程を、前記基準工程よりも工程順が早い工程側と前記基準工程よりも工程順が遅い工程側とのそれぞれにおいて、工程順を変えず、かつ、同一の前記加工工程の工程位置を前記部品間で揃えて、前記全体工程表上に再配置する第3配置部をさらに備える請求項15~17のうちいずれか1項に記載の工程表作成支援装置。
【請求項19】
前記第3配置部は、前記同一の加工工程の工程位置を、前記全体工程表上の工程順が最も遅い前記部品に揃える請求項18に記載の工程表作成支援装置。
【請求項20】
前記同一の加工工程の工程位置の直前に、前記同一の加工工程の工程位置を揃えた前記部品同士の組み付けにより構成されるサブアセンブリの組み付け工程を挿入する挿入部と、前記サブアセンブリの組み付け工程を挿入した前記各部品に対する前記加工工程の工程順を配置した前記全体工程表のマトリクス上の行又は列を、隣り合う行又は列に再配置する第4配置部とをさらに備える請求項18又は19に記載の工程表作成支援装置。
【請求項21】
前記全体工程表上に、前記各部品の前記工程データの前記加工工程として、前記加工工程に対応する加工前又は加工後の状態を示す前記各部品のサムネイル画像が配置される請求項15~20のうちいずれか1項に記載の工程表作成支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工程表作成方法、工程表作成支援プログラム及び工程表作成支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を構成する複数の部品を、板金加工を含む金属加工によって製造する際には、それぞれの部品の形状又は機能等に応じた加工を行う工程が発生する。このため、製造中の部品の形状は、工程を進めるにつれて変化する。ここで、工程順を間違えると加工の続行が不可能になる場合がある。例えば、曲げ加工では、部品の形状が大きく変わる。そのため、例えば、曲げ加工前の形状では行える加工が曲げ加工後の形状では行えなくなることがある。
【0003】
そこで、各部品に対する加工を、熟練した作業者が立てた工程表の工程順にしたがって行うか、あるいは、過去に行った同じ部品に対する加工の際に用いた工程表の工程順にしたがって行うことがある。工程表の工程順で部品に対する加工を行う場合、部品は、工程表の各工程の加工を行う作業場所に、工程表の工程順で順次供給される。作業場所には、加工用の機器又は加工作業を行う作業者が配置されている。
【0004】
ところで、部品に対する加工は、部品単体の状態で終わることもあれば、他の部品と組み付けた構成部品又は製品の状態で終わる場合もある。単体のまま加工が終わる部品は、部品毎に分けて作業場所に供給するのが合理的である。一方、構成部品又は製品となって加工が終わる部品の場合は、複数の部品を同時に加工する組み付け加工が工程中に存在することから、組み付け加工の対象となる部品を一緒にまとめて作業場所に供給するのが合理的である。
【0005】
複数の部品をまとめて供給する場合は、各作業場所に、そこでは加工を行わない部品も供給される。したがって、各作業場所では、供給された部品の中から、その作業場所で加工する部品を選んで取り出す必要がある。この場合にも、工程表の情報は、作業場所に供給された部品がそこで加工する部品かどうかを確認するために必要となる。なお、工程表の情報を利用して、作業場所での部品の確認を行うためには、全ての部品に関する加工工程が工程表に記されている必要がある。また、各作業場所でそれぞれ行われる加工工程が工程表に全て記されている必要がある。
【0006】
ところで、構成部品又は製品となって加工が終わる部品においては、他の部品との組み付け加工の前には行える加工が組み付け加工の後には行えなくなることがある。他の部品との組み付け加工により部品の形状が大きく変わるからである。このため、作業場所での部品の確認に用いる工程表は、他の部品との組み付け加工が他の加工を実行する妨げとならないように考慮された工程順であることが求められる。特許文献1には、部品同士の組み付けを含む加工の工程表の例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された工程表では、部品単体の状態で加工が終わる部品の工程順だけでなく、構成部品又は製品となって加工が終わる部品の工程順も把握することができる。但し、部品の組み付けには複数の部品が関係することから、組み付けを含む加工を行う部品の工程順を決めるのは、単体のまま加工が終わる部品の工程順を決めるよりも複雑で難しい。このため、特許文献1に記載された工程表を作成するには、部品毎に工程順を決める以上に熟練した作業者の知識が求められる。しかし、特許文献1では、部品同士の組み付けを含む加工を行う全体の工程表を作成する具体的な方法について触れられていない。
【0009】
本発明の目的は、部品同士を組み付ける加工工程を含む製品の製造工程の全体を示す工程表が容易に得られるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明の第1の態様に係る工程表作成方法は、
アセンブリを構成する各部品に対する加工工程の工程順を示す部品別の工程データを読み込む読込ステップと、
複数の前記部品にそれぞれ対応する前記工程データの加工工程を、全ての前記部品に対する前記加工工程の工程順を1つにまとめて示す全体工程表上に、工程順を変えず、かつ、基準工程に指定された加工工程の工程位置を前記各部品間で揃えて配置する第1配置ステップと、
前記全ての部品の工程順の最後の工程位置に、前記全ての部品を組み付けて前記アセンブリとする組み付け工程を配置する第2配置ステップと、
を含む。
【0011】
また、上記目的を達成するため本発明の第2の態様に係る工程表作成支援プログラムは、
コンピュータに、
アセンブリを構成する各部品に対する加工工程の工程順を示す部品別の工程データを読み込む読込ステップと、
複数の前記部品にそれぞれ対応する前記工程データの加工工程を、全ての前記部品に対する前記加工工程の工程順を1つにまとめて示す全体工程表上に、工程順を変えず、かつ、基準工程に指定された加工工程の工程位置を前記各部品間で揃えて配置する第1配置ステップと、
前記全ての部品の工程順の最後の工程位置に、前記全ての部品を組み付けて前記アセンブリとする組み付け工程を配置する第2配置ステップと、
を実行させる。
【0012】
さらに、上記目的を達成するため本発明の第3の態様に係る工程表作成支援装置は、
アセンブリを構成する各部品に対する加工工程の工程順を示す部品別の工程データを読み込む読込部と、
複数の前記部品にそれぞれ対応する前記工程データの加工工程を、全ての前記部品に対する前記加工工程の工程順を1つにまとめて示す全体工程表上に、工程順を変えず、かつ、基準工程に指定された加工工程の工程位置を前記各部品間で揃えて配置する第1配置部と、
前記全ての部品の工程順の最後の工程位置に、前記全ての部品を組み付けて前記アセンブリとする組み付け工程を配置する第2配置部と、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、部品同士を組み付ける加工工程を含む製品の製造工程の全体を示す工程表が容易に得られるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る板金加工システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の工程表作成支援装置で作成される全体工程表の一例を示す図である。
【
図3】
図1のCAD装置から取得した製品形状データから抽出した部品データ及び部品別の工程データの内容を
図2の全体工程表に展開した状態の一例を示す図である。
【
図4】
図3のパネルアセンブリの加工工程を反映させた状態の全体工程表を示す図である。
【
図5】
図3のベースの加工工程を読み込んだ状態の全体工程表を示す図である。
【
図6】
図3のベースの加工工程を反映させた状態の全体工程表を示す図である。
【
図7】
図3のシェードの加工工程を読み込む過程の全体工程表を示す図である。
【
図8】
図3のシェードの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図9】
図3のシェードの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図10】
図3のシェードの加工工程を反映させた状態の全体工程表を示す図である。
【
図11】
図3のフロントビームの加工工程を読み込む過程の全体工程表を示す図である。
【
図12】
図3のフロントビームの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図13】
図3のフロントビームの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図14】
図3のフロントビームの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図15】
図3のフロントビームの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図16】
図3のフロントビームの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図17】
図3のフロントビームの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図18】
図3のフロントビームの加工工程を反映させた状態の全体工程表を示す図である。
【
図19】
図3のバックビームの加工工程を読み込む過程の全体工程表を示す図である。
【
図20】
図3のバックビームの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図21】
図3のバックビームの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図22】
図3のバックビームの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図23】
図3のバックビームの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図24】
図3のバックビームの加工工程を反映させた状態の全体工程表を示す図である。
【
図25】
図3のトッププレートの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図26】
図3のトッププレートの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図27】
図3のトッププレートの加工工程を反映させる過程の全体工程表を示す図である。
【
図28】
図3のトッププレートの加工工程を反映させた状態の全体工程表を示す図である。
【
図29】
図3のパネルアセンブリの加工工程を反映させた状態の全体工程表を示す図である。
【
図30】
図1の工程表作成支援装置が溶接工程を挿入する指示を受け付けた際の全体工程表を示す図である。
【
図31】
図1の工程表作成支援装置が溶接により組み付けてサブアセンブリとする対象を
図3のフロントビーム及びトッププレートとする指示を受け付けた際の全体工程表を示す図である。
【
図32】
図1の工程表作成支援装置が溶接により組み付けてサブアセンブリとする対象を
図3のフロントビーム及びトッププレートとする指示を受け付けた際の全体工程表を示す図である。
【
図33】
図1の工程表作成支援装置が溶接により組み付けてサブアセンブリとする対象を
図3のフロントビーム及びトッププレートとする指示を受け付けた際の全体工程表を示す図である。
【
図34】
図3のフロントビーム及びトッププレートを溶接により組み付けてサブアセンブリとしたフロントビームユニットの工程データを反映させた全体工程表を示す図である。
【
図35】
図1の工程表作成支援装置がねじ止め工程を挿入する指示を受け付けた際の全体工程表を示す図である。
【
図36】
図1の工程表作成支援装置がねじ止めにより組み付けてサブアセンブリとする対象を
図3のベース及びバックビームとする指示を受け付けた際の全体工程表を示す図である。
【
図37】
図1の工程表作成支援装置がねじ止めにより組み付けてサブアセンブリとする対象を
図3のベース及びバックビームとする指示を受け付けた際の全体工程表を示す図である。
【
図38】
図1の工程表作成支援装置がねじ止めにより組み付けてサブアセンブリとする対象を
図3のベース及びバックビームとする指示を受け付けた際の全体工程表を示す図である。
【
図39】
図1の工程表作成支援装置がねじ止めにより組み付けてサブアセンブリとする対象を
図3のベース及びバックビームとする指示を受け付けた際の全体工程表を示す図である。
【
図40】
図1の生産管理装置がプログラムに基づいて実行する全体工程表の作成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図41】
図1の生産管理装置がプログラムに基づいて実行する全体工程表の作成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図42】
図1の生産管理装置がプログラムに基づいて実行する全体工程表の作成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図43】
図1の生産管理装置がプログラムに基づいて実行する全体工程表の作成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図44】
図1の生産管理装置がプログラムに基づいて実行する全体工程表の作成処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一あるいは同等の部位、又は構成要素には、同一の符号を付している。
【0016】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものである。この発明の技術的思想は、各構成要素の材質、形状、構造、配置、機能等を下記のものに特定するものでない。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る板金加工システムの全体構成図である。
図1に示す板金加工システム1は、製品を構成する複数の部品に対する板金加工を行うシステムである。以下の説明では、全部品を組み付けた製品をアセンブリと称することがある。また、一部の部品同士を組み付けた構成部品をサブアセンブリと称することがある。
【0018】
板金加工システム1は、板金材料(図示せず)から製品を生産するシステムである。この板金加工システム1では、複数の作業場所3,3,…において分散して行われる作業によって、板金材料から製品を生産する。各作業場所3では、加工機5を用いた加工作業、あるいは、作業者の手作業による加工作業がそれぞれ行われる。加工機5を用いた加工作業は、例えば、レーザ加工機を用いた抜き加工、ベンディングマシンを用いた曲げ加工、溶接機を用いた溶接加工等を含んでいる。作業者の手作業による加工作業は、例えば、バリ取り等の仕上げ加工等を含んでいる。
【0019】
板金加工システム1は、各加工機5に加えて、CAD装置7、CAM装置9、各加工機5にそれぞれ対応する複数のNC装置11、生産管理装置13及び工程表作成支援装置15を有している。板金加工システム1の加工機5を除く各要素は、LAN(ローカルエリアネットワーク)17によって相互に通信可能に構成されている。LAN17は有線、無線、それらの組み合わせのいずれでもよい。
【0020】
CAD装置7、CAM装置9、複数のNC装置11、生産管理装置13及び工程表作成支援装置15は、例えば、パーソナルコンピュータによって構成することができる。パーソナルコンピュータは、コンピュータ本体19、入力装置21、表示装置23等を有している。
【0021】
コンピュータ本体19は、RAM、ROM、CPU、ハードディスク等のデータストレージを内蔵している。コンピュータ本体19は、例えば、データストレージにインストールされたソフトウェアをCPUが実行することにより、後述する機能を実現することができる。
【0022】
入力装置21は、例えば、キーボード、マウスを含むものとすることができる。表示装置23の画面上に配置されたタッチパネルを入力装置21に含めてもよい。表示装置23は、例えば、液晶ディスプレイ等によって構成することができる。
【0023】
CAD装置7は、製品の発注図面のデータから、製品形状データを作成する。製品形状データは、板金材料を加工して製造する製品のデータである。CAD装置7は、作成した製品形状データを、コンピュータ本体19の補助記憶装置に記憶する。CAD装置7は、コンピュータ本体19のCPUがROMのプログラムを実行することによって、製品形状データを作成する機能を実現することができる。製品形状データは、3次元(3D)CADモデルとして作成することができる。
【0024】
製品形状データは、部品データ及び部品別の工程データを含んでいる。部品データは、製品を構成する部品を定めたデータである。部品別の工程データは、加工機5又は作業者が行う部品毎の加工工程と工程順とを定めたデータである。部品データは、部品の形状を示すサムネイル画像のデータを含んでいてもよい。部品別の工程データは、各部品の加工工程の内容を示すサムネイル画像のデータを含んでいてもよい。また、製品形状データは、製品の内容を示すサムネイル画像のデータを含んでいてもよい。
【0025】
部品別の工程データは、部品の形状が加工によって変化することを考慮して決定された工程順を示すデータである。この工程順は、工程の途中でそれ以降の工程の加工が不可能とならないように考慮されたものである。工程順は、例えば、熟練した作業者によって立てられたものとすることができる。また、過去に同じ部品を製造した実績がある場合は、そのときに使用された部品別の工程データを、同じ部品を次に製造する際に再利用できるようにしてもよい。
【0026】
図1のCAD装置7は、また、製品形状データに基づいて、各部品の展開図データを作成する。展開図データは、部品の素材となる板金材料を平面状に展開した展開図のデータである。
【0027】
CAM装置9は、CAD装置7が作成した製品形状データ及び展開図データに基づいて、各加工機5による板金材料の加工プログラムを作成する。加工プログラムとは、機械制御コードであるNCデータである。CAM装置9は、コンピュータ本体19のCPUがROMのプログラムを実行することによって、加工プログラムを作成する機能を実現することができる。
【0028】
CAD装置7とCAM装置9とは、
図1に示すように別々に構成されていてもよいし、一体的に構成されていてもよい。
【0029】
NC装置11は、各加工機5にそれぞれ対応して設けられている。各NC装置11は、CAM装置9が作成した加工プログラムに基づいて、対応する各加工機5における板金材料の加工動作を制御する。
【0030】
生産管理装置13は、CAD装置7が作成した製品形状データ及び展開図データ、CAM装置9が作成した加工プログラム等に基づいて、板金加工システム1において製品を効率的に生産するための加工機5の運用管理等の処理を行う。
【0031】
工程表作成支援装置15は、CAD装置7が作成した製品形状データをLAN17を介して取得する。工程表作成支援装置15は、製品形状データをCAM装置9を経由して取得してもよい。取得した製品形状データは、工程表作成支援装置15のコンピュータ本体19の補助記憶装置に記憶させてもよく、インターネット25を介して接続されたクラウド上のデータベース装置27に記憶させてもよい。
【0032】
そして、工程表作成支援装置15は、取得した製品形状データに基づいて、全体工程表を作成する。全体工程表は、板金加工システム1の各作業場所3において加工機5あるいは作業者が行う全ての部品の加工工程及び工程順を1つにまとめて示すものである。工程表作成支援装置15は、全体工程表において加工工程及び工程順を示す部品を、製品形状データ中の部品データによって特定することができる。全体工程表が示す加工工程及び工程順には、部品同士を組み付けてアセンブリ又はサブアセンブリとする組み付け工程も含まれている。
【0033】
全体工程表の工程順は、製品を構成する部品の形状が加工によって変化することを考慮して決定される。工程表作成支援装置15は、全体工程表における加工工程の工程順を、製品形状データ中の部品別の工程データが示す各部品の工程順に基づいて決定することができる。工程表作成支援装置15は、コンピュータ本体19のCPUがROMの工程表作成支援プログラムを実行することによって、工程表作成支援システムを実現することができる。工程表作成支援システムでは、全体工程表の作成を支援することができる。
【0034】
次に、本実施形態の工程表作成支援装置15が支援して作成される全体工程表について、
図2を参照して説明する。
図2は、工程表作成支援装置15が支援して作成される全体工程表の一例を示す図である。
【0035】
工程表作成支援装置15が作成した全体工程表は、例えば、
図1に示す、工程表作成支援装置15の表示装置23に表示させることができる。あるいは、全体工程表は、例えば、インターネット25を介して工程表作成支援装置15に接続された携帯端末29のWebコンソールを利用し、携帯端末29のディスプレイ上にWebブラウザによって表示させることもできる。
【0036】
携帯端末29は、例えば、作業場所3において作業者又は加工機5のオペレータが操作し使用することができる。また、全体工程表は、例えば、LAN17に接続されたネットワークプリンタ(図示せず)によって用紙に印刷することもできる。
【0037】
図2に示す全体工程表は、1つの列が延在する縦方向、即ち、列方向と、1つの行が延在する横方向、即ち、行方向とに区画されたマトリクスで構成されている。
【0038】
全体工程表の各列には、製品が完成するまでに行われる全ての加工工程が、工程順に割り当てられている。全体工程表の枠外上方には、各列に割り当てられた加工工程の工程名と、製品全体の製造工程における工程順を示す工程番号とが記載されている。
図2に示す例の全体工程表では、工程名の記載から、製品が完成するまでに行われる加工工程が、抜き、タップ、カシメ、曲げ、カシメ、溶接、タップ、スタッド、ねじ止め、組立の10工程であることが分かる。
【0039】
全体工程表の各行には、製品であるアセンブリ、アセンブリを構成する部品、及び、製品の完成前に一部の部品同士を組み付けたサブアセンブリが割り当てられている。全体工程表の先頭列の各区画、即ち、各行の一番左の各区画には、各行に割り当てられたアセンブリ、部品又はサブアセンブリの形状を示すサムネイル画像が配置されている。全体工程表の左から2列目の各区画には、各行に割り当てられたアセンブリ、部品又はサブアセンブリの名称が記載されている。
【0040】
図2に示す例の全体工程表では、2列目の名称の記載から、製品がパネルアセンブリ(PANEL-ASSY)であり、パネルアセンブリに5つの部品が存在することが分かる。5つの部品は、ベース(BASE)、シェード(SHADE)、フロントビーム(FR-BEAM)、バックビーム(BK-BEAM)及びトッププレート(TP-PLATE)である。
【0041】
さらに、
図2の全体工程表では、2列目の名称の記載から、パネルアセンブリの完成前に、2つのサブアセンブリが構成されることが分かる。2つのサブアセンブリのうち1つは、ベース及びバックビームを組み付けたベースビームユニット(BASE-BEAM-UNIT)である。もう1つのサブアセンブリは、フロントビーム及びトッププレートを組み付けたフロントビームユニット(FR-BEAM-UNIT)である。各サブアセンブリは、それぞれのサブアセンブリを構成する部品の上の行にそれぞれ配置されている。
【0042】
上述した
図2の全体工程表では、各行において、アセンブリ、各サブアセンブリ及び各部品についてそれぞれ行う加工工程が工程順に示される。具体的には、アセンブリの行では、アセンブリについて行う加工工程に対応する列の区画に、その加工工程に応じた状態のアセンブリを示すサムネイル画像が配置されている。また、各サブアセンブリの行では、各サブアセンブリについてそれぞれ行う加工工程に対応する列の区画に、その加工工程に応じた状態のサブアセンブリを示すサムネイル画像が配置されている。
【0043】
さらに、各部品の行では、各部品についてそれぞれ行う加工工程に対応する列の区画に、その加工工程に応じた状態のサブアセンブリを示すサムネイル画像が配置されている。アセンブリ、各サブアセンブリ及び各部品について行わない加工工程に対応する区画は、空欄とされている。
【0044】
なお、
図2の全体工程表では、加工工程間を結ぶ矢印の線によって、各部品及び各サブアセンブリの加工工程の流れが示されている。また、複数の矢印の線が合流する加工工程は、部品又はサブアセンブリが組み付けられる組立工程を示している。
【0045】
図1の工程表作成支援装置15は、取得した製品形状データ中の部品データ及び部品別の工程データがサムネイル画像のデータを含んでいる場合、このデータを利用して、全体工程表の各区画に部品のサムネイル画像を配置することができる。また、部品データ及び部品別の工程データがサムネイル画像のデータを含んでいない場合でも、工程表作成支援装置15は、取得した製品形状データを利用してサムネイル画像のデータを作成し、全体工程表の各区画に部品のサムネイル画像を配置することができる。
【0046】
取得した製品形状データ中の部品データ及び部品別の工程データのいずれもが含んでいない、各サブアセンブリのサムネイル画像のデータも、工程表作成支援装置15は、CAD装置7又はCAM装置9から取得した製品形状データを利用して作成することができる。
【0047】
工程表作成支援装置15は、CAD装置7から取得した製品形状データ中の部品データにおいて定められた部品毎に、部品別の工程データにおいて定められた加工工程と工程順とを読み込んで、
図2の全体工程表に反映させる。ここで、「反映」とは、工程表作成支援装置15が先に読み込んで全体工程表に取り入れた部品の加工工程の工程順を考慮して、工程データにおいて定められた全ての加工工程を工程順を変えずに全体工程表に取り込むことを意味する。
【0048】
全体工程表に反映させた部品の名称を記載した区画は、太線の枠で囲まれている。全体工程表に反映させた部品の加工内容のサムネイル画像を配置した区画も、太線の枠で囲まれている。太線の枠で囲まれた区画は、例えば、背景色を変える等して、全体工程表にまだ反映させていない区画と区別することができる。
【0049】
全体工程表の行及び列は、必要に応じて増減させることができる。また、全体工程表の行方向と列方向とで各区画の配置を入れ替えてもよい。
【0050】
続いて、工程表作成支援装置15による全体工程表の作成手順について、
図3~
図39を参照して説明する。
図3~
図39の各図に示す内容の全体工程表は、
図2に示す全体工程表が完成するまでの作成手順を示している。
図3~
図39の全体工程表の中には、工程表作成支援装置15が
図2の全体工程表を作成する過程で一時的に発生するものが含まれている。この全体工程表は、
図1の表示装置23又は携帯端末29で表示し作業者に提示するために発生するものではないことに留意する必要がある。
【0051】
まず、工程表作成支援装置15は、アセンブリの製品形状データを取得すると、製品形状データ中の部品データ及び部品別の工程データを抽出する。部品データ及び工程データがサムネイル画像のデータを含んでいる場合、工程表作成支援装置15は、サムネイル画像のデータも合わせて抽出する。そして、工程表作成支援装置15は、抽出した部品データ及び部品別の工程データの内容を、空欄の全体工程表に展開する。
【0052】
図3は、空欄の全体工程表に展開された部品データ及び部品別の工程データの内容の一例を示す図である。
図3では、部品データ及び部品別の工程データの内容を、サムネイル画像を用いて表形式に可視化して示している。
【0053】
図3の全体工程表では、工程表作成支援装置15によって、各行の1列目及び2列目、即ち、表の左から1列目及び2列目の各区画に、製品形状データ又は部品データにおいて定められた製品又は部品のサムネイル画像及び名称が展開されている。即ち、全体工程表の1列目及び2列目の各区画が、部品データの内容を示している。
【0054】
また、
図3の全体工程表では、工程表作成支援装置15によって、1行目の3列目の区画に、「組立」の加工工程を示すサムネイル画像が展開されている。「組立」の加工工程は、製品を完成させるために行う部品の最後の組立工程である。全体工程表の2行目以降では、工程表作成支援装置15によって、部品別の工程データにおいてそれぞれ定められた加工工程のサムネイル画像が、3列目以降の各区画に工程順に展開されている。即ち、全体工程表の2行目以降の各行が、部品別の工程データの内容をそれぞれ示している。
【0055】
図3に示す例では、工程表作成支援装置15が取得した製品形状データの製品が、パネルアセンブリ(PANEL-ASSY)である場合を示している。したがって、全体工程表の1行目の1列目及び2列目の各区画には、工程表作成支援装置15によって、パネルアセンブリのサムネイル画像と「PANEL-ASSY」の名称とがそれぞれ配置されている。全体工程表の1行目の3列目の区画にも、工程表作成支援装置15によって、製品の「組立」の加工工程を示すサムネイル画像として、1列目の区画と同じパネルアセンブリのサムネイル画像が配置されている。
【0056】
パネルアセンブリのサムネイル画像のデータは、例えば、パネルアセンブリの製品形状データの3次元CADモデルから、工程表作成支援装置15が作成することができる。パネルアセンブリのサムネイル画像は、例えば、パネルアセンブリの2次元又は3次元の斜視画像とすることができる。
【0057】
また、
図3に示す例では、部品データにおいて定められたパネルアセンブリの部品が、
図2の全体工程表にも存在した、ベース、シェード、フロントビーム、バックビーム及びトッププレートの5つである場合を示している。したがって、部品データの内容が展開された
図3の全体工程表の2行目以降では、1列目及び2列目の各区画に、各部品のサムネイル画像及び名称がそれぞれ配置されている。各部品のサムネイル画像は、例えば、それぞれの2次元又は3次元の斜視画像とすることができる。
【0058】
さらに、
図3に示す例では、ベースの工程データにおいて定められた加工工程及び工程順が、抜き、曲げ及びスタッド(溶接)の3つである場合を示している。同様に、
図3に示す例では、シェードの工程データにおいて定められた加工工程及び工程順が、抜き、カシメ及び曲げの3つである場合を示している。また、
図3に示す例では、フロントビームの工程データにおいて定められた加工工程及び工程順が、抜き、曲げ、カシメ、タップ及びスタッドの5つである場合を示している。
【0059】
さらに、
図3に示す例では、バックビームの工程データにおいて定められた加工工程及び工程順が、抜き、タップ、カシメ及び曲げの4つである場合を示している。また、
図3に示す例では、トッププレートの工程データにおいて定められた加工工程及び工程順が、抜き及びタップの2つである場合を示している。
【0060】
各部品の加工内容を示すサムネイル画像は、例えば、各部品の加工前又は加工後の状態を示す2次元又は3次元の斜視画像とすることができる。
【0061】
ところで、工程表作成支援装置15には、基準工程が指定される。基準工程が指定されると、工程表作成支援装置15は、部品別の工程データにおいて定義された加工工程の中に、基準工程が含まれている部品に対し、基準工程の加工が同時に行われるように、全体工程表における各部品の加工工程の配置を調整する。
【0062】
工程表作成支援装置15は、1つ目の部品の工程データの内容を全体工程表に展開した後、2つ目以降の各部品の工程データの内容を全体工程表に展開する際に、加工工程の配置を調整することができる。以後、ベースの工程データの内容を全体工程表に展開した後、シェード、フロントビーム、バックビーム及びトッププレートの各工程データの内容を全体工程表に順次展開する際に、工程表作成支援装置15が加工工程の配置を調整する場合について説明する。
【0063】
工程表作成支援装置15は、この調整を、各部品における基準工程と他の加工工程との工程順が調整によって入れ替わらないように行う。したがって、基準工程よりも工程順が早い加工工程は、基準工程の配置が調整によって変わった後も、基準工程よりも早い工程順のまま変わらない。同様に、基準工程よりも工程順が遅い加工工程は、基準工程の配置が調整によって変わった後も、基準工程よりも遅い工程順のまま変わらない。
【0064】
なお、基準工程は、工程表作成支援装置15が、製品形状データから抽出した部品データ及び部品別の工程データの内容を全体工程表に展開する前に、工程表作成支援装置15に予め指定されていてもよい。あるいは、製品形状データから抽出した部品データ及び部品別の工程データの内容を、工程表作成支援装置15が全体工程表に展開する際に、工程表作成支援装置15に対して基準工程が指定されるようにしてもよい。
【0065】
後者の場合は、例えば、表示装置23の画面に表示された全体工程表の、基準工程とする工程の名称が配置された区画にカーソルを合わせた状態で、入力装置21の操作を行うことで、基準工程を指定することができる。入力装置21の操作は、例えば、キーボードの「Enter」キーの操作又はマウスのクリック操作とすることができる。
【0066】
ここで、基準工程としてどの加工を指定するかは、基本的に任意である。但し、各部品の加工工程に存在する度合いが相対的に高い加工、つまり、より多くの部品において行われる加工を、基準工程に指定すれば、次に述べる利点を得ることができる。
【0067】
上述したように、工程表作成支援装置15が作成する全体工程表では、基準工程に指定した加工が、その加工を工程中に含む全ての部品について同時に行われる。よって、より多くの部品において行われる加工を基準加工に指定すれば、工程表作成支援装置15が作成する全体工程表の加工工程の数、つまり、製品を生産するために行う加工工程の数がより少なくなる。これにより、
図3に示す例では行方向に展開された全体工程表の加工工程の長さが短くなり、製品を生産するために各部品に対して行う全ての加工工程を、全体工程表上で把握しやすくすることができるという利点が得られる。
【0068】
なお、
図3に示す例では、パネルアセンブリを構成する、ベース、シェード、フロントビーム、バックビーム及びトッププレートの5つの部品のうち、トッププレートを除く各部品に、「曲げ」の加工が存在する。即ち、「曲げ」の加工は、パネルアセンブリを生産するために行う各部品の加工工程に存在する度合いが、他の加工に比べて相対的に高い。そこで、本実施形態では、基準工程を「曲げ」とし、工程表作成支援装置15に、「曲げ」が基準工程として指定されているものとする。
【0069】
ちなみに、一般に、「曲げ」の加工を行う前と後とでは、部品の形状が大きく変わる。このため、「曲げ」の加工よりも工程順が早い他の加工は、工程順を変えずに「曲げ」の加工よりも先に済ませる方が無難である。これに対し、工程表作成支援装置15は、製品形状データから抽出した各部品の工程データの内容を全体工程表に展開する際に、基準工程と他の加工工程との工程順が入れ替わらないように加工工程の配置を調整する。このため、各部品の工程データの内容を全体工程表に展開する際に、「曲げ」の加工とその他の加工との順番が入れ替わらないようにする意味でも、「曲げ」を基準加工に指定することには利点がある。
【0070】
そして、工程表作成支援装置15は、まず、全体工程表の1行目に展開された、パネルアセンブリの「組立」の加工工程を読み込んで、全体工程表に反映させる。また、工程表作成支援装置15は、
図4に示すように、1列目及び2列目のパネルアセンブリのサムネイル画像及び名称と、3列目の「組立」のサムネイル画像とを、反映済みを示す標記に切り替える。さらに、工程表作成支援装置15は、全体工程表の枠外上方における、「組立」の加工工程が配置された工程番号「1」の工程名として、「組立」の名称を配置する。
【0071】
続いて、工程表作成支援装置15は、全体工程表の2行目に展開された、1つ目の部品であるベースについて行う「抜き」、「曲げ」及び「スタッド」の3つの加工工程を読み込む。このとき、工程表作成支援装置15は、
図5に示すように、ベースの3つの加工工程のサムネイル画像を、読み込み中を示す標記に切り替える。そして、工程表作成支援装置15は、全体工程表の枠外上方における、ベースの3つの加工工程が配置された工程番号「1」~「3」の工程名として、「抜き」、「曲げ」及び「スタッド」の名称を配置する。
【0072】
そして、工程表作成支援装置15は、読み込んだベースの3つの加工工程を、全体工程表に反映させる。また、工程表作成支援装置15は、
図6に示すように、ベースの名称と、ベースの3つの加工工程のサムネイル画像とを、反映済みを示す標記に切り替える。さらに、工程表作成支援装置15は、各加工工程のサムネイル画像が配置された工程番号「1」~「3」の隣り合う区画の間に、工程順を示す矢印の線を表示させる。
【0073】
なお、工程番号「1」~「3」がベースの3つの加工工程となることから、この時点で工程番号「1」の区画に配置されているパネルアセンブリの「組立」の加工工程を、工程番号「1」~「3」の工程から外す必要がある。そこで、工程表作成支援装置15は、ベースの3つの加工工程とパネルアセンブリの「組立」の加工工程とが干渉しないように、全体工程表の加工工程の配置を調整する。
【0074】
具体的には、工程表作成支援装置15は、
図5に示すように、パネルアセンブリの「組立」の加工工程を3つ遅い工程にずらして、パネルアセンブリの「組立」のサムネイル画像を、ベースの3つの加工工程に続く工程番号「4」の区画に再配置する。そして、工程表作成支援装置15は、全体工程表の工程番号「1」の工程名として配置されていた「組立」を、工程番号「4」の工程名として再配置する。
【0075】
続いて、工程表作成支援装置15は、パネルアセンブリのシェード以降の部品について、全体工程表に展開された加工工程を読み込み、全体加工表に反映させる手順を、シェード~トッププレート毎に繰り返す。
【0076】
まず、工程表作成支援装置15は、全体工程表の3行目に展開された、2つ目の部品であるシェードについて行う「抜き」、「カシメ」及び「曲げ」の3つの加工工程を読み込む。このとき、工程表作成支援装置15は、
図7に示すように、基準工程に指定された「曲げ」の加工工程に注目する。シェードについては、「曲げ」の加工工程の前に「抜き」及び「カシメ」の2つの加工工程を行う必要がある。このため、シェードの「曲げ」の加工工程の工程順は、3番目よりも早くすることができない。
【0077】
そこで、工程表作成支援装置15は、シェードの「曲げ」の加工工程を、工程番号「3」の工程順とするように、全体工程表に反映させる。そして、工程表作成支援装置15は、
図8に示すように、シェードの「曲げ」の加工工程のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。
【0078】
この時点では、
図7に示すように、ベースの「曲げ」の加工工程が全体工程表の工程番号「2」の区画に配置されており、シェードの「曲げ」の加工工程が全体工程表の工程番号「3」の区画に配置されている。即ち、「曲げ」の工程位置がベースとシェードとでずれている。そこで、工程表作成支援装置15は、「曲げ」の工程位置がベースとシェードとで一致するように、全体工程表の加工工程の配置を調整する。
【0079】
具体的には、工程表作成支援装置15は、
図8に示すように、「曲げ」の加工工程を配置した工程番号がシェードよりも小さいベースの「曲げ」の加工工程と、その次の「スタッド」の加工工程とを再配置する。即ち、「曲げ」及び「スタッド」のサムネイル画像を、1つずつ遅い工程の、全体工程表の工程番号「3」、「4」の区画にずらして再配置する。これにより、ベース及びシェードの「曲げ」の加工工程の工程順が工程番号「3」に揃えられる。また、工程表作成支援装置15は、工程順を示す矢印の線を、各加工工程のサムネイル画像が配置された工程番号「1」、「3」の区画の間と、工程番号「3」、「4」の区画の間とにそれぞれ表示させる。
【0080】
なお、全体工程表のベースの加工工程が展開された行の工程番号「2」の区画は、ブランクとなる。また、工程番号「4」が「スタッド」の加工工程となることから、
図7に示すように、この時点で工程番号「4」の区画に配置されているパネルアセンブリの「組立」の加工工程を、工程番号「4」の工程から外す必要がある。そこで、工程表作成支援装置15は、ベースの「スタッド」の加工工程とパネルアセンブリの「組立」の加工工程とが干渉しないように、全体工程表の加工工程の配置を調整する。
【0081】
具体的には、工程表作成支援装置15は、
図8に示すように、パネルアセンブリの「組立」の加工工程を1つ遅い工程にずらして、パネルアセンブリの「組立」のサムネイル画像を工程番号「5」の区画に再配置する。さらに、工程表作成支援装置15は、全体工程表の工程番号「2」~「4」の工程名として配置されていた「曲げ」、「スタッド」及び「組立」を、工程番号「3」~「5」の工程名として再配置する。
【0082】
次に、工程表作成支援装置15は、全体工程表のシェードの加工工程が展開された行の工程番号「1」の区画に配置された、「抜き」の加工工程に注目する。「抜き」の工程位置はベースとシェードとで一致している。このため、工程表作成支援装置15は、「抜き」の加工工程の工程順をベースとシェードとで一致させるための調整を行わない。そして、工程表作成支援装置15は、
図9に示すように、シェードの「抜き」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。
【0083】
続いて、工程表作成支援装置15は、全体工程表のシェードの加工工程が展開された行の工程番号「2」の区画に配置された、「カシメ」の加工工程に注目する。「カシメ」の加工工程はベースには存在しない。このため、工程表作成支援装置15は、「カシメ」については工程位置を調整しない。そして、工程表作成支援装置15は、
図10に示すように、シェードの「カシメ」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。また、工程表作成支援装置15は、全体工程表の工程番号「2」の工程名として、「カシメ」の名称を配置する。
【0084】
以上で、シェードの全ての加工工程が全体工程表に反映されたので、工程表作成支援装置15は、シェードの名称を、反映済みを示す標記に切り替える。また、工程表作成支援装置15は、各加工工程のサムネイル画像が配置された工程番号「1」、「2」、「3」の隣り合う区画の間に、工程順を示す矢印の線をそれぞれ表示させる。
【0085】
次に、工程表作成支援装置15は、全体工程表の4行目に展開された、3つ目の部品であるフロントビームについて行う「抜き」、「曲げ」、「カシメ」、「タップ」及び「スタッド」の5つの加工工程を読み込む。このとき、工程表作成支援装置15は、
図11に示すように、基準工程に指定された「曲げ」の加工工程に注目する。
【0086】
この時点では、ベース及びシェードの「曲げ」の加工工程が全体工程表の工程番号「3」の区画に配置されており、フロントビームの「曲げ」の加工工程が全体工程表の工程番号「2」の区画に配置されている。即ち、「曲げ」の工程位置がベース及びシェードとフロントビームとでずれている。そこで、工程表作成支援装置15は、「曲げ」の工程位置がベース、シェード及びフロントビームの間で一致するように、全体工程表の加工工程の配置を調整する。
【0087】
具体的には、工程表作成支援装置15は、
図12に示すように、フロントビームの「曲げ」以降の各加工工程を、1つずつ遅い工程にずらして、全体工程表の工程番号「3」~「6」の区画に再配置する。これにより、ベース~フロントビームの「曲げ」の加工工程の工程順が工程番号「3」に揃えられる。そして、工程表作成支援装置15は、フロントビームの「曲げ」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。
【0088】
続いて、工程表作成支援装置15は、全体工程表のフロントビームの加工工程が展開された行の工程番号「1」の区画に配置された、「抜き」の加工工程に注目する。「抜き」の工程位置は、ベース及びシェードとフロントビームとで一致している。このため、工程表作成支援装置15は、「抜き」の加工工程の工程順をベース及びシェードとフロントビームとで一致させるための調整を行わない。そして、工程表作成支援装置15は、
図13に示すように、フロントビームの「抜き」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。なお、同じ行の工程番号「2」の区画は、ブランクとなる。
【0089】
さらに、工程表作成支援装置15は、
図14に示すように、全体工程表のフロントビームの加工工程が展開された行の工程番号「4」の区画に配置された、「カシメ」の加工工程に注目する。「カシメ」の加工工程はシェードにも存在する。但し、シェードの「カシメ」の加工工程は、「曲げ」の加工工程よりも早い工程番号「2」の区画に配置されている。したがって、工程順が早いシェードの「カシメ」の工程位置を、工程順が遅いフロントビームの「カシメ」の工程位置と揃えると、シェードの「カシメ」の加工工程と「曲げ」の加工工程との工程順が入れ替わってしまう。このため、工程表作成支援装置15は、「カシメ」については工程位置を調整しない。
【0090】
そして、工程表作成支援装置15は、
図15に示すように、シェードの「カシメ」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。また、工程表作成支援装置15は、全体工程表の工程番号「4」の工程名として、「カシメ」の名称を配置する。さらに、工程表作成支援装置15は、全体工程表の工程番号「4」、「5」の工程名として配置されていた「スタッド」及び「組立」を、工程番号「5」、「6」の工程名として再配置する。
【0091】
なお、工程番号「4」が「カシメ」の加工工程となることから、この時点で工程番号「4」の区画に配置されているベースの「スタッド」の加工工程を、工程番号「4」の工程から外す必要がある。そこで、工程表作成支援装置15は、ベースの「スタッド」の加工工程とフロントビームの「カシメ」の加工工程とが干渉しないように、全体工程表の加工工程の配置を調整する。
【0092】
具体的には、工程表作成支援装置15は、
図16に示すように、ベースの「スタッド」の加工工程を1つ遅い工程にずらして、ベースの「スタッド」のサムネイル画像を工程番号「5」の区画に再配置する。これにより、ベースの「スタッド」のサムネイル画像が、「スタッド」の工程名の工程位置に配置される。また、工程表作成支援装置15は、ベースの工程順を示す矢印の線を、再配置後のベースの「曲げ」及び「スタッド」のサムネイル画像が展開された工程番号「3」、「5」の区画の間に表示させる。なお、同じ行の工程番号「4」の区画は、ブランクとなる。
【0093】
また、工程番号「5」が「スタッド」の工程となることから、
図14に示すように、この時点で工程番号「5」の区画に配置されているパネルアセンブリの「組立」の加工工程を、工程番号「5」の工程から外す必要がある。そこで、工程表作成支援装置15は、ベースの「スタッド」の加工工程とパネルアセンブリの「組立」の加工工程とが干渉しないように、全体工程表の加工工程の配置を調整する。
【0094】
具体的には、工程表作成支援装置15は、
図15に示すように、パネルアセンブリの「組立」の加工工程を1つ遅い工程にずらして、パネルアセンブリの「組立」のサムネイル画像を工程番号「6」の区画に再配置する。
【0095】
次に、工程表作成支援装置15は、
図16に示すように、全体工程表のフロントビームの加工工程が展開された行の工程番号「5」の区画に配置された、「タップ」の加工工程に注目する。「タップ」の加工工程はベース及びシェードには存在しない。このため、工程表作成支援装置15は、「タップ」については工程位置を調整しない。
【0096】
そして、工程表作成支援装置15は、
図17に示すように、シェードの「タップ」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。また、工程表作成支援装置15は、全体工程表の工程番号「5」の工程名として、「タップ」の名称を配置する。さらに、工程表作成支援装置15は、全体工程表の工程番号「5」、「6」の工程名として配置されていた「スタッド」及び「組立」を、工程番号「6」、「7」の工程名として再配置する。
【0097】
なお、工程番号「5」が「タップ」の加工工程となることから、この時点で工程番号「5」の区画に配置されているベースの「スタッド」の加工工程を、工程番号「5」の工程から外す必要がある。そこで、工程表作成支援装置15は、ベースの「スタッド」の加工工程とフロントビームの「タップ」の加工工程とが干渉しないように、全体工程表の加工工程の配置を調整する。
【0098】
具体的には、工程表作成支援装置15は、
図17に示すように、ベースの「スタッド」の加工工程を1つ遅い工程にずらして、ベースの「スタッド」のサムネイル画像を工程番号「6」の区画に再配置する。これにより、ベースの「スタッド」のサムネイル画像が、「スタッド」の工程名の工程位置に配置される。また、工程表作成支援装置15は、ベースの工程順を示す矢印の線を、再配置後のベースの「曲げ」及び「スタッド」のサムネイル画像が展開された工程番号「3」、「6」の区画の間に表示させる。なお、同じ行の工程番号「5」の区画は、ブランクとなる。
【0099】
また、工程番号「6」が「スタッド」の工程となることから、
図16に示すように、この時点で工程番号「6」の区画に配置されているパネルアセンブリの「組立」の加工工程を、工程番号「6」の工程から外す必要がある。そこで、工程表作成支援装置15は、ベースの「スタッド」の加工工程とパネルアセンブリの「組立」の加工工程とが干渉しないように、全体工程表の加工工程の配置を調整する。
【0100】
具体的には、工程表作成支援装置15は、
図17に示すように、パネルアセンブリの「組立」の加工工程を1つ遅い工程にずらして、パネルアセンブリの「組立」のサムネイル画像を全体工程表の工程番号「7」の区画に再配置する。これにより、パネルアセンブリの「組立」のサムネイル画像が、「組立」の工程名の工程位置に配置される。
【0101】
続いて、工程表作成支援装置15は、全体工程表のフロントビームの加工工程が展開された行の工程番号「6」の区画に配置された、「スタッド」の加工工程に注目する。「スタッド」の加工工程はベースにも存在する。
【0102】
この時点では、ベースの「スタッド」の加工工程が全体工程表の工程番号「6」の区画に配置されており、「スタッド」の工程位置がベースとフロントビームとで一致している。このため、工程表作成支援装置15は、「スタッド」の加工工程の工程順をベースとフロントビームとで一致させるための調整を行わない。そして、工程表作成支援装置15は、
図18に示すように、フロントビームの「スタッド」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。
【0103】
以上で、フロントビームの全ての加工工程が全体工程表に反映されたので、工程表作成支援装置15は、フロントビームの名称を、反映済みを示す標記に切り替える。また、工程表作成支援装置15は、各加工工程のサムネイル画像が配置された工程番号「1」、「3」~「6」の隣り合う区画の間に、工程順を示す矢印の線をそれぞれ表示させる。
【0104】
次に、工程表作成支援装置15は、全体工程表の5行目に展開された、4つ目の部品であるバックビームについて行う、「抜き」、「タップ」、「カシメ」及び「曲げ」の4つの加工工程を読み込む。このとき、工程表作成支援装置15は、
図19に示すように、基準工程に指定された「曲げ」の加工工程に注目する。
【0105】
この時点では、ベース~フロントビームの「曲げ」の加工工程が全体工程表の工程番号「3」の区画に配置されており、バックビームの「曲げ」の加工工程が全体工程表の工程番号「4」の区画に配置されている。即ち、「曲げ」の工程位置がベース~フロントビームとバックビームとでずれている。そこで、工程表作成支援装置15は、「曲げ」の工程位置がベース~バックビームの間で一致するように、全体工程表の加工工程の配置を調整する。
【0106】
具体的には、工程表作成支援装置15は、
図20に示すように、ベース、シェード及びフロントビームの「曲げ」の加工工程を、1つ遅い工程にずらして、全体工程表の工程番号「4」の区画に再配置する。これにより、ベース~バックビームの「曲げ」の加工工程の工程順が工程番号「4」に揃えられる。
【0107】
そして、工程表作成支援装置15は、バックビームの「曲げ」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。また、工程表作成支援装置15は、全体工程表の工程番号「4」の工程名として、「曲げ」の名称を配置する。さらに、工程表作成支援装置15は、全体工程表の工程番号「4」~「7」の工程名として配置されていた「カシメ」、「タップ」、「スタッド」及び「組立」を、工程番号「5」~「8」の工程名として再配置する。
【0108】
なお、工程番号「4」が「曲げ」の加工工程となることから、この時点で工程番号「4」~「7」の各区画に配置されている加工工程を、工程番号「4」~「7」の各工程から外す必要がある。対象となるのは、
図19に示す、パネルアセンブリの「組立」、ベースの「スタッド」、フロントビームの「カシメ」、「タップ」及び「スタッド」の各加工工程である。そこで、工程表作成支援装置15は、これらの各加工工程とベース~バックビームの「曲げ」の加工工程とが干渉しないように、全体工程表の加工工程の配置を調整する。
【0109】
具体的には、工程表作成支援装置15は、
図20に示すように、パネルアセンブリ、ベース及びフロントビームの工程番号「4」以降の各区画に配置されている加工工程を、1つずつ遅い工程にずらして、工程番号「5」~「8」の区画に再配置する。
【0110】
続いて、工程表作成支援装置15は、全体工程表のバックビームの加工工程が展開された行の工程番号「1」の区画に配置された、「抜き」の加工工程に注目する。「抜き」の工程位置はベース~フロントビームとバックビームとで一致している。このため、工程表作成支援装置15は、「抜き」の加工工程の工程順をベース~フロントビームとバックビームとで一致させるための調整を行わない。そして、工程表作成支援装置15は、
図21に示すように、バックビームの「抜き」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。
【0111】
次に、工程表作成支援装置15は、
図22に示すように、全体工程表のバックビームの加工工程が展開された行の工程番号「2」の区画に配置された、「タップ」の加工工程に注目する。「タップ」の加工工程はフロントビームにも存在する。但し、フロントビームの「タップ」の加工工程は、「曲げ」よりも遅い工程番号「6」に配置されている。したがって、バックビームの「タップ」の工程位置をフロントビームの「タップ」の工程位置と揃えると、バックビームの「タップ」の加工工程と「曲げ」の加工工程との工程順が入れ替わってしまう。このため、工程表作成支援装置15は、「タップ」については工程位置を調整しない。
【0112】
そして、工程表作成支援装置15は、
図23に示すように、バックビームの「タップ」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。また、工程表作成支援装置15は、全体工程表の工程番号「2」の工程名として、「タップ」の名称を配置する。さらに、工程表作成支援装置15は、全体工程表の工程番号「2」の工程名として配置されていた「カシメ」を、工程番号「3」の工程名として再配置する。
【0113】
なお、工程番号「2」が「タップ」の加工工程となることから、
図22に示すように、この時点で工程番号「2」の区画に配置されているシェードの「カシメ」の加工工程を、工程番号「2」の工程から外す必要がある。そこで、工程表作成支援装置15は、バックビームの「タップ」の加工工程とシェードの「カシメ」の加工工程とが干渉しないように、全体工程表の加工工程の配置を調整する。
【0114】
具体的には、工程表作成支援装置15は、
図23に示すように、シェードの「カシメ」の加工工程を1つ遅い工程にずらして、シェードの「カシメ」のサムネイル画像を工程番号「3」の区画に再配置する。これにより、シェードの「カシメ」のサムネイル画像が、「カシメ」の工程名の工程位置に配置される。そして、シェード及びバックビームの「カシメ」の加工工程の工程順が工程番号「3」に揃えられる。
【0115】
また、工程表作成支援装置15は、シェードの工程順を示す矢印の線を、再配置後のシェードの「抜き」及び「カシメ」のサムネイル画像が展開された工程番号「1」、「3」の区画の間に表示させる。なお、同じ行の工程番号「2」の区画は、ブランクとなる。
【0116】
「カシメ」の加工工程はフロントビームにも存在する。フロントビームの「カシメ」の加工工程は、「曲げ」よりも遅い工程番号「5」の区画に配置されている。一方、シェード及びバックビームの「カシメ」の加工工程は、「曲げ」よりも早い工程番号「3」の区画に配置されている。即ち、「カシメ」の工程位置が、シェード及びバックビームとフロントビームとでずれている。
【0117】
ここで、工程順が早いシェード及びバックビームの「カシメ」の工程位置を、工程順が遅いフロントビームの「カシメ」の工程位置と揃えると、シェード及びバックビームにおいて、「カシメ」と「曲げ」との工程順が入れ替わってしまう。このため、工程表作成支援装置15は、シェード及びバックビームの「カシメ」の工程位置をフロントビームの「カシメ」の工程位置に揃えるための調整を行わない。
【0118】
次に、工程表作成支援装置15は、バックビームの「カシメ」の加工工程に注目する。バックビームの「カシメ」の加工工程が再配置された、全体工程表の工程番号「3」の区画には、「カシメ」以外の加工工程が配置されていない。このため、工程表作成支援装置15は、工程番号「3」の区画に再配置された「カシメ」については工程位置を調整しない。そして、工程表作成支援装置15は、
図24に示すように、バックビームの「カシメ」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。
【0119】
以上で、バックビームの全ての加工工程が全体工程表に反映されたので、工程表作成支援装置15は、バックビームの名称を、反映済みを示す標記に切り替える。また、工程表作成支援装置15は、各加工工程の名称が配置された工程番号「1」~「4」の隣り合う区画の間に、工程順を示す矢印の線をそれぞれ表示させる。
【0120】
次に、工程表作成支援装置15は、全体工程表の6行目に展開された、5つ目の部品であるトッププレートについて行う、「抜き」及び「タップ」の2つの加工工程を読み込む。トッププレートの加工工程には、基準工程に指定された「曲げ」の加工工程は存在しない。
【0121】
そこで、工程表作成支援装置15は、トッププレートの加工工程が展開された行の工程番号「1」の区画に配置された、「抜き」の加工工程に注目する。「抜き」の工程位置はベース~バックビームとトッププレートとで一致している。このため、工程表作成支援装置15は、「抜き」の加工工程の工程順をベース~バックビームとトッププレートとで一致させるための調整を行わない。そして、工程表作成支援装置15は、
図25に示すように、バックビームの「抜き」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。
【0122】
次に、工程表作成支援装置15は、
図26に示すように、全体工程表のトッププレートの加工工程が展開された行の工程番号「2」の区画に配置された、「タップ」の加工工程に注目する。「タップ」の加工工程はフロントビーム及びバックビームにも存在する。フロントビームの「タップ」の加工工程は、「曲げ」よりも遅い工程番号「6」に配置されている。バックビームの「タップ」の加工工程は、トッププレートと同じく、「曲げ」よりも早い工程番号「2」に配置されている。
【0123】
トッププレートの加工工程には、「曲げ」の加工工程は存在しない。したがって、トッププレートの「タップ」の工程位置を、工程順が遅いフロントビームの「タップ」の工程位置と揃えても、トッププレートにおいて、「タップ」と「曲げ」との工程順の入れ替わりは発生しない。そこで、工程表作成支援装置15は、「タップ」の工程位置がフロントビームとトッププレートとの間で一致するように、全体工程表の加工工程の配置を調整する。
【0124】
具体的には、工程表作成支援装置15は、
図27に示すように、トッププレートの「タップ」の加工工程を4つ遅い工程にずらして、トッププレートの「タップ」のサムネイル画像を工程番号「6」の区画に再配置する。これにより、フロントビーム及びトッププレートの「タップ」の加工工程の工程順が工程番号「6」に揃えられる。
【0125】
なお、バックビームの「タップ」の工程位置を、フロントビーム及びトッププレートの「タップ」の工程位置に揃えると、バックビームの「タップ」と「曲げ」との工程順が入れ替わってしまう。このため、工程表作成支援装置15は、バックビームの「タップ」については工程位置を調整しない。そして、工程表作成支援装置15は、
図28に示すように、トッププレートの「タップ」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記に切り替える。
【0126】
以上で、トッププレートの全ての加工工程が全体工程表に反映されたので、工程表作成支援装置15は、トッププレートの名称を、反映済みを示す標記に切り替える。また、工程表作成支援装置15は、「抜き」及び「タップ」のサムネイル画像が配置された工程番号「1」、「6」の間に、工程順を示す矢印の線をそれぞれ表示させる。
【0127】
なお、同じ加工工程の工程順を各ベース~トッププレートの間で一致させる工程表作成支援装置15の調整は、上述したように自動で行われてもよく、作業者の操作を伴って行われてもよい。後者の場合、作業者の操作は、例えば、表示装置23の画面に表示された全体工程表上で、対象の加工工程のサムネイル画像を、他の部品の同一の加工工程のサムネイル画像が配置された工程番号の区画に移動させる、マウスのドラッグアンドドロップ操作とすることができる。そして、この操作が、「曲げ」との工程順の入れ替えにつながる内容である場合に、工程表作成支援装置15が、移動されたサムネイル画像を、マウスの操作終了後に移動先の工程番号の区画に固定させず元の工程番号の区画に強制的に戻すようにしてもよい。
【0128】
表示装置23の画面に表示された全体工程表にベース~トッププレートの加工工程が全て反映されると、工程表作成支援装置15は、
図29に示すように、全体工程表のベース~トッププレートの最終工程から「組立」の加工工程に向かう矢印の線を表示させる。
【0129】
また、パネルアセンブリを完成させる工程の途中に加工工程を追加する場合は、追加の加工工程を全体工程表に挿入することができる。全体工程表に追加の加工工程を挿入する場合は、例えば、入力装置21の操作によって、加工工程を挿入する直前又は直後の加工工程を工程表作成支援装置15に指定する。この指定は、例えば、表示装置23の画面に表示された全体工程表における、加工工程を挿入する直前又は直後の加工工程が配置された区画にカーソルを合わせた状態で、入力装置21を操作することで、行うことができる。
【0130】
加工工程を挿入する直前又は直後の加工工程が指定されると、工程表作成支援装置15は、
図30に示すように、全体工程表の指定された加工工程の直後又は直前に1工程分の列を挿入させる。
図30に示す例では、工程表作成支援装置15は、工程番号「5」の加工工程の後に工程番号「6」の加工工程を挿入し、挿入前の工程番号「6」の加工工程を、工程番号「7」以降に繰り下げている。この状態で、工程表作成支援装置15は、表示装置23の画面上に工程一覧画面(図示せず)をポップアップ表示させる。作業者は、入力装置21により工程一覧画面上で工程名を選択する操作を行うことで、挿入する加工工程の内容を工程表作成支援装置15に対して指定することができる。
【0131】
挿入する加工工程の工程名を工程一覧画面上で指定すると、工程表作成支援装置15は、全体工程表の枠外上方に、挿入した工程番号「6」の工程名として、指定された工程名を配置する。また、挿入する加工工程の工程名を工程一覧画面上で指定した場合は、工程番号「6」の工程が挿入された状態の全体工程表上で、工程一覧画面において選択した工程名の加工を行う対象の部品を指定することができる。例えば、表示装置23の画面上で、工程番号「6」の列における対象の部品に対応する行の区画を、入力装置21の操作によって指定することで、対象の部品を工程表作成支援装置15に対して指定することができる。対象の部品の指定は、例えば、キーボードの「Cntl」キー+マウスのクリック操作によって行うことができる。
【0132】
対象の部品が指定されると、工程表作成支援装置15は、指定された部品に対応する区画を強調表示させる。なお、この状態の全体工程表上で、例えば、対象の部品の挿入した加工工程に関するコメントの入力、添付ファイルの登録等を行えるようにしてもよい。これらは、例えば、表示装置23に表示させたオプション画面上で行えるようにすることができる。工程表作成支援装置15は、例えば、作業者によるマウスの右クリック操作を受け付けることで、オプション画面を表示装置23の画面上にポップアップ表示させることができる。
【0133】
なお、部品同士の組み付けに用いる工程名が工程一覧画面において選択されると、工程表作成支援装置15は、サブアセンブリの組み付け工程を全体工程表に挿入するものと認識する。
図30に示す例では、部品同士を組み付ける加工の1つである「溶接」が、工程番号「6」の加工工程の工程名として指定されている。「溶接」が工程名として指定された場合は、工程番号「6」の工程が挿入された状態の全体工程表上で、組み付けてサブアセンブリとする複数の部品を指定することができる。
【0134】
図31に示す例では、サブアセンブリとする部品として、フロントビーム及びトッププレートが、作業者による入力装置21の操作によって指定されている。工程表作成支援装置15は、破線の枠線で囲まれたフロントビーム及びトッププレートの区画を、サブアセンブリとする部品として指定された区画として強調表示させている。
【0135】
ところで、フロントビーム及びトッププレートは、工程番号「6」の加工工程において溶接されると、それ以降の加工工程では、溶接により組み付けられた1つのサブアセンブリとして取り扱われる。したがって、工程番号「5」の区画から工程番号「6」の区画に向かう、フロントビーム及びトッププレートの加工工程の流れを示す矢印の線を、1本に合流させる必要がある。
図31に示す現在の配置では、フロントビーム及びトッププレートからの矢印の線を、バックビームの加工工程の流れを示す矢印の線を跨いで合流させることになる。
【0136】
ある線が他の線を跨ぐ、即ち、複数の線が交差する表示形態は、サブアセンブリとする対象の部品を正しく認識させる上で、必ずしも理想的な表示形態とは言えない。そこで、一部の部品同士を組み付けてサブアセンブリとした場合に、工程表作成支援装置15は、サブアセンブリとする対象の部品が連続する行に配置されて隣り合うように、部品毎の加工工程をそれぞれ示す行の配置を入れ替える。
【0137】
例えば、組み付けてサブアセンブリとするフロントビーム及びトッププレートの指定が確定されると、工程表作成支援装置15は、
図32に示すように、全体工程表のトッププレートの加工工程を示す行を、バックビームの加工工程を示す行と入れ替える。これにより、全体工程表のトッププレートの加工工程を示す行が、
図33に示すように、組み付け相手のフロントビームの加工工程を示す行と隣り合わせとなる。
【0138】
そして、工程表作成支援装置15は、隣り合う行に配置されたフロントビーム及びトッププレートの加工工程を示す行の直上に、フロントビーム及びトッププレートを組み付けたサブアセンブリの加工工程を示す行を挿入させる。
図34に示す例では、工程表作成支援装置15は、フロントビーム及びトッププレートを組み付けたサブアセンブリの加工工程を示す行を、フロントビームの加工工程を示す行の直上に挿入させている。
【0139】
なお、この状態の全体工程表上で、サブアセンブリのタイトルを入力できるようにしてもよい。サブアセンブリのタイトルは、例えば、表示装置23にポップアップ表示させたオプション画面上で、作業者の入力装置21の操作によって、工程表作成支援装置15に入力させることができる。工程表作成支援装置15は、例えば、入力されたサブアセンブリのタイトルを、サブアセンブリの加工工程を示す行の2列目の区画に、サブアセンブリの名称として表示させることができる。
図34に示す例では、オプション画面からサブアセンブリのタイトルとして「フロントビームユニット(FR-BEAM-UNIT)」が入力されて、全体工程表に表示されている。
【0140】
また、工程表作成支援装置15は、フロントビームユニットの加工工程を示す行の、工程番号「6」の区画に、フロントビームユニットの「溶接」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記で配置する。フロントビームユニットのサムネイル画像のデータは、例えば、パネルアセンブリの製品形状データの3次元CADモデルから、工程表作成支援装置15が作成することができる。あるいは、工程表作成支援装置15に代わって、CAD装置7が、パネルアセンブリの製品形状データからフロントビームユニットのサムネイル画像のデータを作成し、工程表作成支援装置15に供給してもよい。作成したサムネイル画像のデータは、CAM装置9を介して工程表作成支援装置15に供給してもよい。フロントビームユニットのサムネイル画像は、例えば、フロントビームユニットの2次元又は3次元の斜視画像とすることができる。
【0141】
さらに、工程表作成支援装置15は、工程順を示す矢印の線を、フロントビーム及びトッププレートの工程番号「5」の各区画と、フロントビームユニットの工程番号「6」の区画との間に表示させる。
【0142】
続いて、工程表作成支援装置15は、フロントビーム及びトッププレートの加工工程を示す各行の工程番号「7」、「8」の区画から、その区画に配置されている「タップ」及び「スタッド」のサムネイル画像を削除する。その代わりに、工程表作成支援装置15は、フロントビームユニットの工程番号「7」、「8」の区画に、「タップ」及び「スタッド」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記で配置する。
【0143】
そして、工程表作成支援装置15は、フロントビームユニットの各加工工程のサムネイル画像が配置された工程番号「6」~「8」の隣り合う区画の間に、工程順を示す矢印の線をそれぞれ表示させる。また、工程表作成支援装置15は、フロントビームユニットの工程番号「8」の区画と、パネルアセンブリの「組立」のサムネイル画像を配置した工程番号「9」の区画との間にも、工程順を示す矢印の線を表示させる。
【0144】
フロントビームユニットの各加工内容を示すサムネイル画像は、例えば、フロントビームユニットの加工前又は加工後の状態を示す2次元又は3次元の斜視画像とすることができる。
【0145】
全体工程表のトッププレートの加工工程を示す行を、バックビームの加工工程を示す行と入れ替えると、フロントビーム及びトッププレートの工程順をそれぞれ示す2つの矢印の線が、フロントビームユニットの工程番号「6」の工程の手前で合流する。2つの矢印の線は、他のベース、シェード、バックビームの工程順をそれぞれ示す矢印の線を跨がずに合流する。このため、どの部品を組み付けてサブアセンブリとするのかを見間違えないようにすることができる。
【0146】
また、フロントビーム及びトッププレートの加工工程を示す行の隣りに、フロントビームユニットの加工工程を示す行を挿入すると、フロントビーム及びトッププレートを組み付けた後の加工工程が、フロントビームユニットの加工工程として示される。このため、フロントビームユニットに対して行う加工工程を行う作業者又は加工機5のオペレータに、自身の作業場所3において加工する対象が、溶接前のフロントビーム又はトッププレートではなく、両者を溶接したフロントビームユニットであることを、わかりやすく伝えることができる。
【0147】
一部の部品を組み付けてサブアセンブリとする工程は、既にサブアセンブリの組み付け工程が挿入されている状態でも挿入することができる。この場合も、例えば、入力装置21の操作によって、組み付け工程を挿入する直前又は直後の加工工程を工程表作成支援装置15に指定する。加工工程が指定されると、工程表作成支援装置15は、全体工程表の指定された加工工程の直後又は直前に1工程分の列を挿入させる。
【0148】
図35に示す例では、工程表作成支援装置15は、工程番号「9」の加工工程を全体工程表に挿入し、挿入前の工程番号「9」の加工工程を工程番号「10」に繰り下げている。この状態で、工程表作成支援装置15は、表示装置23の画面上に工程一覧画面をポップアップ表示させる。作業者は、入力装置21により工程一覧画面上で、部品同士の組み付けに用いる工程名を選択する操作を行うことで、挿入する組み付け工程の内容を工程表作成支援装置15に対して指定することができる。
【0149】
図35に示す例では、組み付け工程の内容として、部品同士を組み付ける加工の1つである「ねじ止め」が指定されている。したがって、工程表作成支援装置15は、サブアセンブリの組み付け工程を全体工程表に挿入するものと認識する。「ねじ止め」が工程名として指定された場合は、工程番号「9」の工程が挿入された状態の全体工程表上で、組み付けてサブアセンブリとする複数の部品を指定することができる。
【0150】
図36に示す例では、サブアセンブリとする部品として、ベース及びバックビームが、作業者による入力装置21の操作によって指定されている。工程表作成支援装置15は、破線の枠線で囲まれたベース及びバックビームの区画を、サブアセンブリとする部品として指定された区画として強調表示させている。
【0151】
このときも、例えば、マウスの操作によりオプション画面を表示装置23に表示させて、サブアセンブリに関するタイトルあるいはコメントの入力、添付ファイルの登録等を行えるようにしてもよい。
【0152】
なお、タイトルあるいはコメントの入力、ファイルの関連付け等は、例えば、上述したマウスの右クリック操作により表示装置23に表示させたオプション画面を通じて、全体工程表の任意の区画において行えるようにしてもよい。
【0153】
そして、組み付けてサブアセンブリとするベース及びバックビームの指定が確定されると、
図37に示すように、工程表作成支援装置15は、全体工程表のバックビームの加工工程を示す行を、シェード、フロントビームユニット、フロントビーム及びトッププレートの加工工程を示す行と入れ替える。これにより、全体工程表のバックビームの加工工程を示す行が、
図38に示すように、組み付け相手のベースの加工工程を示す行と隣り合わせとなる。
【0154】
そして、工程表作成支援装置15は、隣り合う行に配置されたベース及びバックビームの加工工程を示す行の直上に、ベース及びバックビームを組み付けたサブアセンブリの加工工程を示す行を挿入させる。
図39に示す例では、工程表作成支援装置15は、ベース及びバックビームを組み付けたサブアセンブリであるベースビームユニットの加工工程を示す行を、ベースの加工工程を示す行の直上に挿入させている。
【0155】
なお、ここで、表示装置23にポップアップ表示させたオプション画面上で、サブアセンブリのタイトルを入力できるようにしてもよい。
図39に示す例では、例えば、作業者の入力装置21の操作によって、オプション画面からサブアセンブリのタイトルとして「ベースビームユニット(BASE-BEAM-UNIT)」が入力されて、全体工程表に表示されている。
【0156】
また、工程表作成支援装置15は、ベースビームユニットの加工工程を示す行の、工程番号「9」の区画に、ベースビームユニットの「ねじ止め」のサムネイル画像を、反映済みを示す標記で配置する。ベースビームユニットのサムネイル画像のデータは、例えば、パネルアセンブリの製品形状データの3次元CADモデルから、工程表作成支援装置15が作成することができる。あるいは、工程表作成支援装置15に代わって、CAD装置7が、パネルアセンブリの製品形状データからベースビームユニットのサムネイル画像のデータを作成し、工程表作成支援装置15に供給してもよい。作成したサムネイル画像のデータは、CAM装置9を介して工程表作成支援装置15に供給してもよい。ベースビームユニットのサムネイル画像は、例えば、ベースビームユニットの2次元又は3次元の斜視画像とすることができる。
【0157】
さらに、工程表作成支援装置15は、工程順を示す矢印の線を、ベース及びバックビームの工程番号「8」の各区画と、ベースビームユニットの工程番号「9」の区画との間に表示させる。また、工程表作成支援装置15は、ベースビームユニットの工程番号「9」の区画と、パネルアセンブリの「組立」のサムネイル画像を配置した工程番号「10」の区画との間にも、工程順を示す矢印の線を表示させる。
【0158】
ベースビームユニットの各加工内容を示すサムネイル画像は、例えば、ベースビームユニットの加工前又は加工後の状態を示す2次元又は3次元の斜視画像とすることができる。
【0159】
全体工程表のバックビームの加工工程を示す行を、シェード、フロントビームユニット、フロントビーム及びトッププレートの加工工程を示す行と入れ替えると、ベース及びバックビームの工程順をそれぞれ示す2つの矢印の線が、ベースビームユニットの工程番号「9」の工程の手前で合流する。2つの矢印の線は、他のシェード、フロントビームユニット、フロントビーム及びトッププレートの工程順をそれぞれ示す矢印の線を跨がずに合流する。このため、どの部品を組み付けてサブアセンブリとするのかを見間違えないようにすることができる。
【0160】
また、ベース及びバックビームの加工工程を示す行の隣りに、ベースビームユニットの加工工程を示す行を挿入すると、ベース及びバックビームを組み付けた後の加工工程が、ベースビームユニットの加工工程として示される。このため、ベースビームユニットに対して行う加工工程を行う作業者又は加工機5のオペレータに、自身の作業場所3において加工する対象が、ねじ止め前のベース又はバックビームではなく、両者を溶接したベースビームユニットであることを、わかりやすく伝えることができる。
【0161】
以上に説明した手順で全体工程表を作成するために、工程表作成支援装置15のコンピュータ本体19のCPUは、ROM等に格納されたプログラムを実行する。このプログラムについて、
図40~
図44のフローチャートを参照して説明する。
【0162】
まず、
図40のフローチャートを参照して、全体工程表の編集処理の手順を説明する。全体工程表の編集処理とは、製品形状データから抽出した部品別の工程データにおいて定義された各部品の加工工程を、そのままの工程順で全体工程表に配置する処理である。この編集処理において工程表作成支援装置15のCPUは、主に、
図3~
図28を参照して説明した全体工程表の作成手順に対応する処理を実行する。
【0163】
そして、工程表作成支援装置15のCPUは、まず、データベース装置27からダウンロードされたパネルアセンブリの製品形状データを取得し、部品データ及び部品別の工程データを抽出する(ステップS101)。これらのデータを取得及び抽出すると、CPUは、
図3の全体工程表のデータを作成する。次に、工程表作成支援装置15のCPUは、組み立て工程配置を開始する(ステップS103)。組み立て工程配置を開始すると、CPUは、製品形状データから最初に工程データを抽出したベースのサムネイル画像と、パネルアセンブリの加工工程のサムネイル画像とを、全体工程表上で工程順を変えずに配置及び再配置する。即ち、CPUは、
図4~
図6の全体工程表のデータを順次作成する。
【0164】
なお、パネルアセンブリの製品形状データは、CAD装置7からオフラインで工程表作成支援装置15に供給されたものでもよい。あるいは、パネルアセンブリの製品形状データは、例えば、データベース装置27等、CAD装置7以外の要素から工程表作成支援装置15に供給されたものでもよい。
【0165】
続いて、工程表作成支援装置15のCPUは、製品形状データから部品別の工程データを抽出する次の部品があるか否かを確認し(ステップS105)、次の部品がない場合は(ステップS105で「無し」)、CPUは、一連の処理を終了する。また、次の部品がある場合は(ステップS105で「有り」)、CPUは、次の部品の工程データを製品形状データから抽出する(ステップS107)。そして、CPUは、抽出した次の部品の工程データの内容中に、基準工程である「曲げ」の加工工程があるか否かを確認する(ステップS109)。
【0166】
「曲げ」の加工工程がある場合も(ステップS109で「有り」)、「曲げ」の加工工程がない場合も(ステップS109で「無し」)、工程表作成支援装置15のCPUは、抽出した次の部品の工程データにおいて定義された加工工程を全体工程表に追加で配置する(ステップS111又はステップS113)。このとき、CPUは、次の部品の加工工程を、部品別の工程データにおいて定義された工程順を変えずに全体工程表に配置する。そして、CPUは、次の部品に対するループ処理に戻る処理を行い(ステップS115)、ステップS105にリターンする。
【0167】
なお、次の部品の工程データ中に「曲げ」の加工工程がある場合、工程表作成支援装置15のCPUは、全体工程表に追加する次の部品の加工工程の配置を、「曲げ」以外の加工工程の工程順が「曲げ」の加工工程よりも早いか遅いかを考慮した配置とする。具体的には、CPUは、
図7~
図24を参照して説明した手順で、次の部品の加工工程を全体工程表上に配置する。
【0168】
一方、次の部品の加工工程に「曲げ」がない場合、工程表作成支援装置15のCPUは、加工工程に「曲げ」がある場合のような点を考慮しない配置で、次の部品の加工工程を全体工程表に追加で配置する。具体的には、CPUは、
図25~
図29を参照して説明した手順で、次の部品の加工工程を全体工程表上に配置する。
【0169】
工程表作成支援装置15のCPUは、ステップS111又はステップS113において、次の部品の加工工程を全体工程表に追加で配置する際に、必要に応じて、全体工程表に既に配置した部品の加工工程の配置も変更することができる。
【0170】
次に、
図41のフローチャートを参照して、全体工程表の工程編集処理の手順を説明する。全体工程表の工程編集処理とは、全体工程表に加工工程を配置した部品の一部を、パネルアセンブリの完成の前に組み付けてサブアセンブリとする組み付け工程を、全体工程表に挿入する処理である。この工程編集処理において工程表作成支援装置15のCPUは、主に、
図30~
図39を参照して説明した全体工程表の作成手順に対応する処理を実行する。
【0171】
そして、工程表作成支援装置15のCPUは、全体工程表に追加の加工工程を挿入する位置を選択する入力装置21の操作を受け付ける(ステップS201)。挿入位置の選択入力を受け付けると、CPUは、選択された位置に、
図30又は
図35に示すように追加の加工工程を挿入する。
【0172】
続いて、CPUは、追加の加工工程の工程名を選択する入力装置21の操作を受け付ける(ステップS203)。そして、CPUは、受け付けた加工工程の工程名が、例えば、「溶接」又は「ねじ止め」等、一部の部品を組み付けてサブアセンブリとする加工工程の工程名であるか否かを確認する(ステップS205)。サブアセンブリの組み付け工程の工程名である場合は(ステップS205でYES)、CPUは、部品選択処理(ステップS207)、サブアセンブリ名称入力受付(ステップS209)、及び、サブアセンブリ化処理(ステップS211)の実行後、一連の処理を終了する。
【0173】
このうち、ステップS207の部品選択処理では、CPUは、組み付け対象の部品を指定する入力装置21の操作を受け付けて、指定された部品を組み付け対象とする。また、CPUは、追加した組み付け工程中の対象部品に対応する区画を、
図31又は
図36に示すように強調表示する。ステップS209のサブアセンブリ名称入力受付では、CPUは、オプション画面からのサブアセンブリの名称の入力を受け付ける。ステップS211のサブアセンブリ化処理では、CPUは、ステップS207の部品選択処理で組み付け対象とした部品を、組み付けてサブアセンブリとする内容に、全体工程表の内容を変更する。ステップS211のサブアセンブリ化処理の詳細な内容は、
図42を参照して後述する。
【0174】
また、受け付けた工程がサブアセンブリの組み付け工程の工程名でない場合は(ステップS205でNO)、CPUは、部品工程編集処理を行った後(ステップS213)、一連の処理を終了する。部品工程編集処理では、CPUは、ある部品の加工工程が展開された行のサムネイル画像を、同じ行の他の工程番号に対応する区画に移動させる、即ち、特定の加工工程の工程位置を変更する入力装置21の操作を受け付ける。このときに入力装置21で行う操作は、例えば、工程位置を移動する加工工程に対応する区画のサムネイル画像を入力装置21のマウスでドラッグし、移動先の工程位置の区画にドロップする操作とすることができる。
【0175】
但し、この操作が、同じ部品の「曲げ」の加工工程との工程順が入れ替わる内容である場合は、工程表作成支援装置15のCPUは、サムネイル画像の移動を拒否してもよい。その場合、CPUは、例えば、移動されたサムネイル画像を、マウスの操作終了後に移動先の工程番号の区画に固定させず、元の工程番号の区画に強制的に戻すようにしてもよい。
【0176】
続いて、ステップS211のサブアセンブリ化処理の詳細な内容について、
図42のフローチャートを参照して説明する。このサブアセンブリ化処理において工程表作成支援装置15のCPUは、主に、
図32~
図34、
図37~
図39を参照して説明した全体工程表の作成手順に対応する処理を実行する。
【0177】
そして、工程表作成支援装置15のCPUは、サブアセンブリ化処理として、まず、構成部品移動処理(ステップS301)を行う。構成部品移動では、CPUは、組み付けてサブアセンブリとする各部品に対応する行間に配置された他の部品に対応する行を、サブアセンブリとする各部品に対応する行間の外に移動させる。即ち、CPUは、
図32及び
図33、あるいは、
図37及び
図38に示すように、サブアセンブリとする各部品の工程データを展開した行を、隣り合わせとなるように再配置させる。
【0178】
次に、CPUは、SUBASSY欄作成処理(ステップS303)を行う。SUBASSY欄作成では、CPUは、ステップS301で隣り合わせとなるように再配置したサブアセンブリとする各部品に対応する行のすぐ上の行に、組み付けた後のサブアセンブリの工程が工程順に配置される行を挿入する。SUBASSY欄作成処理を行った後、CPUは、サブアセンブリ化処理を終了して、
図41のステップS211を終了し、
図41の工程編集処理を終了する。
【0179】
次に、
図43のフローチャートを参照して、情報登録処理の手順を説明する。情報登録処理とは、全体工程表の各ベース~トッププレートのサムネイル画像、あるいは、フロントビームユニット又はベースビームユニットのサムネイル画像が配置された区画に対し、コメント又は添付ファイルを関連付けて登録する処理である。
【0180】
そして、工程表作成支援装置15のCPUは、まず、部品工程選択処理を行う(ステップS401)。この部品工程選択処理では、CPUは、例えば、全体工程表の各サムネイル画像が配置された区画にカーソルを合わせた状態での、オプション画面を表示装置23に表示させるマウスの右クリック操作を受け付ける。次に、CPUは、ステップS401で受け付けたマウスの操作で表示装置23に表示されたオプション画面において、入力装置21により入力されたのが、コメント登録要求であるか添付ファイルの登録要求であるかを確認する(ステップS403)。
【0181】
入力されたのがコメント登録要求である場合は(ステップS403で「コメント」)、CPUは、コメントの登録画面(図示せず)を表示装置23に表示させる(ステップS405)。この登録画面では、CPUは、登録するコメントを入力する入力装置21の操作を受け付け、又は、工程表作成支援装置15に記憶されたコメントの中から登録するコメントを選択する入力装置21の操作を受け付ける。
【0182】
続いて、CPUは、入力又は選択されたコメントの登録を指示する入力装置21からの入力を受け付ける(ステップS407)。コメントの登録指示は、例えば、登録画面の登録ボタンを押圧する入力装置21の操作によって行うことができる。登録ボタンは、例えば、キーボードの「Enter」キーの操作又はマウスのクリック操作によって押圧操作することができる。コメントの登録指示を受け付けた後、CPUは、入力又は選択されたコメントを、例えば、工程表作成支援装置15のコンピュータ本体19の補助記憶装置に記憶させてもよい。あるいは、インターネット25を介して接続されたクラウド上のデータベース装置27に、入力又は選択されたコメントを記憶させてもよい。そして、CPUは、一連の処理を終了する。
【0183】
一方、入力されたのが添付ファイルの登録要求である場合は(ステップS403で「ファイル」)、CPUは、添付ファイルの登録画面(図示せず)を表示装置23に表示させる(ステップS409)。この登録画面では、CPUは、登録する添付ファイルを選択する入力装置21の操作を受け付ける。
【0184】
続いて、CPUは、選択された添付ファイルの登録を指示する入力装置21からの入力を受け付ける(ステップS411)。添付ファイルの登録指示は、例えば、ステップS407で受け付けるコメントの登録指示と同様のものとすることができる。添付ファイルの登録指示を受け付けた後、CPUは、入力又は選択されたコメントを、例えば、工程表作成支援装置15のコンピュータ本体19の補助記憶装置に記憶させてもよい。あるいは、インターネット25を介して接続されたクラウド上のデータベース装置27に、入力又は選択されたコメントを記憶させてもよい。そして、CPUは、一連の処理を終了する。
【0185】
次に、
図44のフローチャートを参照して、工程抽出処理の手順を説明する。工程抽出処理とは、工程表作成支援装置15のCPUが、パネルアセンブリの製品形状データを取得し、ベース~トッププレートの工程データを抽出する処理である。パネルアセンブリの製品形状データは、工程表作成支援装置15のコンピュータ本体19の補助記憶装置に記憶されたものでもよく、インターネット25を介してログインしたクラウド上のデータベース装置27のデータストレージからダウンロードされたものでもよい。
【0186】
そして、工程表作成支援装置15のCPUは、まず、製品一覧表示処理を行う(ステップS501)。この製品一覧表示処理では、CPUは、入力装置21の入力操作により表示装置23に、工程表作成支援システムへのログイン画面を表示させて、入力装置21の操作によるID等の入力による工程表作成支援システムへのログインを受け付ける。そして、CPUは、受け付けたログインの許可後に、入力されたIDに対応する作業者が担当する製品の一覧画面を表示装置23に表示させる。さらに、CPUは、一覧画面上の製品を選択する入力装置21の入力操作を受け付けて、受け付けた製品の選択入力に対応する製品形状データを、工程表作成支援装置15の補助記憶装置又はデータベース装置27から受け取る。
【0187】
次に、CPUは、受け取った製品形状データから、ベース~トッププレートの工程データを抽出する工程抽出処理を行う(ステップS503)。抽出された工程データは、全体工程表にベース~トッププレートの加工工程を配置する際に利用される。工程抽出処理の後、CPUは、一連の処理を終了する。
【0188】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、
図40のフローチャートにおけるステップS101の処理を実行することで、工程表作成方法及び工程表作成支援プログラムにおける読込ステップが実現される。即ち、
図40のステップS101は、工程表作成支援装置における読込部に対応する処理となっている。
【0189】
また、本実施形態では、
図40のステップS103以降の各ステップの処理を実行することで、工程表作成方法及び工程表作成支援プログラムにおける第1配置ステップの一部が実現される。即ち、
図40のステップS103以降の各ステップは、工程表作成支援装置における第1配置部の一部に対応する処理となっている。そして、第1配置ステップ及び第1配置部の一部に対応する、1つ目の部品に相当するベースの加工工程を、工程順を変えずに全体工程表に配置する処理は、例えば、
図5及び
図6を参照して説明した手順で実現できる。
【0190】
なお、本実施形態では、
図40のステップS111が、工程表作成方法及び工程表作成支援プログラムにおける第1配置ステップの残りの一部に対応する処理となっている。即ち、
図40のステップS111の処理を実行する工程表作成支援装置15のCPUが、工程表作成支援装置における第1配置部の残りの一部の機能を果たしている。この機能に対応する、2つ目以降の部品に相当するシェード~トッププレートの加工工程を、工程順を変えずに全体工程表に配置する処理は、例えば、
図7~
図26を参照して説明した手順で実現できる。
【0191】
また、本実施形態では、工程表作成支援装置15のCPUが、
図4~
図39を参照して説明した、全体工程表中の最後の工程順の区画にパネルアセンブリの加工工程を示す「組立」のサムネイル画像を配置する処理を実行する。したがって、本実施形態では、工程表作成支援装置15のCPUが、工程表作成支援装置における第2配置部の機能を果たしている。即ち、工程表作成支援装置15のCPUが、「組立」の加工工程を最後の工程順に配置する処理のために実行したプログラムが、工程表作成方法及び工程表作成支援プログラムにおける第2配置ステップに対応する処理となっている。
【0192】
さらに、本実施形態では、工程表作成支援装置15のCPUが、
図23及び
図24を参照して説明した、全体工程表中のシェードの「カシメ」の加工工程をバックビームの「カシメ」の工程位置に合わせて再配置する処理を実行する。また、工程表作成支援装置15のCPUが、
図27を参照して説明した、トッププレートの「タップ」の加工工程をフロントビームの「タップ」の工程位置に合わせて再配置する処理を実行する。したがって、本実施形態では、工程表作成支援装置15のCPUが、工程表作成支援装置における第3配置部の機能を果たしている。即ち、工程表作成支援装置15のCPUが、「カシメ」の加工工程を再配置する処理のために実行したプログラムが、工程表作成方法及び工程表作成支援プログラムにおける第3配置ステップに対応する処理となっている。
【0193】
また、本実施形態では、
図42のステップS301が、工程表作成方法及び工程表作成支援プログラムにおける挿入ステップに対応する処理となっている。即ち、
図42のステップS301の処理を実行する工程表作成支援装置15のCPUが、工程表作成支援装置における挿入部の機能を果たしている。この機能に対応する、ベース~トッププレートの工程順の最後の工程位置の直後に、ベース~トッププレートを組み付けてパネルアセンブリとする組み付け工程を追加する処理は、例えば、
図30~
図39を参照して説明した手順で実現できる。
【0194】
さらに、本実施形態では、
図42のステップS303が、工程表作成方法及び工程表作成支援プログラムにおける第4配置ステップに対応する処理となっている。即ち、
図42のステップS303の処理を実行する工程表作成支援装置15のCPUが、工程表作成支援装置における第4配置部の機能を果たしている。この機能に対応する、溶接によりフロントビームユニットとするフロントビーム及びトッププレートの加工工程を工程順に配置した全体工程表の行を、隣り合う行に再配置する処理は、例えば、
図32及び
図33を参照して説明した手順で実現できる。また、ねじ止めによりベースビームユニットとするベース及びバックビームの加工工程を工程順に配置した全体工程表の行を、隣り合う行に再配置する処理は、例えば、
図37及び
図38を参照して説明した手順で実現できる。
【0195】
以上に説明した本実施形態の板金加工システム1では、工程表作成支援装置15が作成する全体工程表において、パネルアセンブリを構成するベース~トッププレートの工程データから、全体工程表に各ベース~トッププレートの加工工程を工程順を変えずに配置した。また、工程表作成支援装置15が作成する全体工程表において、基準工程とした「曲げ」の加工工程の工程順を、ベース~バックビーム間で揃えた。
【0196】
このため、ベース~トッププレートの工程順を、部品別の工程データにおいて定義された工程順を変えずに1つにまとめて示す全体工程表を、熟練した作業者の知識に頼らずに、部品別の工程データを利用して容易に得ることができる。
【0197】
また、工程表作成支援装置15が作成する全体工程表において、他の加工工程も、「曲げ」よりも早い工程順、又は、「曲げ」よりも遅い工程順の範囲内で、「曲げ」との工程順が入れ替わらないように、同じ加工工程の工程順をベース~トッププレート間で揃えた。
【0198】
このため、工程表作成支援装置15が作成する全体工程表の工程数が必要以上に多くなるのを抑制しつつ、パネルアセンブリの全体工程表を効率的な作成を支援することができる。
【0199】
さらに、本実施形態の板金加工システム1では、全体工程表の各部品、サブアセンブリ、アセンブリの各加工工程にそれぞれ対応する区画に、加工前又は加工後の部品、サブアセンブリ、アセンブリのサムネイル画像を配置するようにした。
【0200】
このため、加工前のサムネイル画像とする場合は、作業場所3のオペレータ又は作業者が、作業場所3に供給されたものの中から、その作業場所3で加工する部品、サブアセンブリ又はアセンブリを、サムネイル画像で確認して正しく選び出すことができる。
【0201】
また、加工後のサムネイル画像とする場合は、作業場所3のオペレータ又は作業者が、その作業場所3で、部品、サブアセンブリ又はアセンブリの加工が正しく行われたかどうかを、サムネイル画像によって確認することができる。
【0202】
なお、全体工程表における工程順を示す矢印の線を色分けしてもよい。例えば、各加工機5に各ベース~トッププレートを台車等でまとめて供給する際に、各加工機5において加工するベース~トッププレートを作業者が容易に見分けることができるようにすることもできる。
【0203】
全体工程表における矢印の線の色分けは、例えば、各作業場所3の作業者又は加工機5のオペレータから見て、次の工程順に当たる加工工程又はその作業場所3毎に行ってもよい。また、各作業場所3に一緒に供給される部品群毎に、全体工程表における矢印の線の色分けを行ってもよい。あるいは、各サブアセンブリを構成する部品群毎に、全体工程表における矢印の線の色分けを行ってもよい。色分けする際の矢印の線の色は、例えば、全体工程表を表示したマウス等の入力装置21の操作によって表示装置23上に表示させた色指定画面上で指定することができる。
【0204】
また、以上の実施形態では、全体工程表に配置する加工前又は加工後の部品、サブアセンブリ、アセンブリのサムネイル画像を、CAD装置7又は工程表作成支援装置15が作成するものとした。しかし、役割分担次第では、CAM装置9がCAD装置7からの製品形状データに基づいて、全体工程表に配置する加工前又は加工後の部品、サブアセンブリ、アセンブリのサムネイル画像を作成してもよい。
【0205】
さらに、以上の実施形態では、オプション画面を表示させて、全体工程表のサムネイル画像が配置された区画の加工工程に対してコメント又は添付ファイルを登録する操作を、工程表作成支援装置15において行うものとした。しかし、インターネット25を介して工程表作成支援装置15に接続された携帯端末29のWebコンソールを利用し、携帯端末29のディスプレイ上で、加工工程に対してコメント又は添付ファイルを登録する操作を行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0206】
1 板金加工システム
3 作業場所
5 加工機
7 CAD装置
9 CAM装置
11 NC装置
13 生産管理装置
15 工程表作成支援装置
17 LAN
19 コンピュータ本体
21 入力装置
23 表示装置
25 インターネット
27 データベース装置
29 携帯端末