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特許7421930デッキプレート用支持部材、デッキプレート支持構造及びデッキプレート支持方法
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  • 特許-デッキプレート用支持部材、デッキプレート支持構造及びデッキプレート支持方法 図1
  • 特許-デッキプレート用支持部材、デッキプレート支持構造及びデッキプレート支持方法 図2
  • 特許-デッキプレート用支持部材、デッキプレート支持構造及びデッキプレート支持方法 図3
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  • 特許-デッキプレート用支持部材、デッキプレート支持構造及びデッキプレート支持方法 図5
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  • 特許-デッキプレート用支持部材、デッキプレート支持構造及びデッキプレート支持方法 図7
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  • 特許-デッキプレート用支持部材、デッキプレート支持構造及びデッキプレート支持方法 図9
  • 特許-デッキプレート用支持部材、デッキプレート支持構造及びデッキプレート支持方法 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】デッキプレート用支持部材、デッキプレート支持構造及びデッキプレート支持方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/40 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
E04B5/40 E
E04B5/40 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019237882
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021105311
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】323005120
【氏名又は名称】センクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 克哉
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3038565(JP,U)
【文献】特開2012-207515(JP,A)
【文献】登録実用新案第3042952(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 5/00-5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁に固定され、デッキプレートを支持することが可能な支持部材であって、
板状の支持部材の一方の端部側に形成されるデッキプレートの支持部と、
前記支持部とは逆の端部側に形成される、梁への突き当て部と、
前記突き当て部に併設するように、前記突き当て部に対して板の下面方向に向けて形成される溶接受け部と、
を具備し、
前記溶接受け部の上面において、溶接範囲を示す溶接マークが形成されることを特徴とするデッキプレート用支持部材。
【請求項2】
梁に固定され、デッキプレートを支持することが可能な支持部材であって、
板状の支持部材の一方の端部側に形成されるデッキプレートの支持部と、
前記支持部とは逆の端部側に形成される、梁への突き当て部と、
前記突き当て部に併設するように、前記突き当て部に対して板の下面方向に向けて斜めに形成される溶接受け部と、
を具備し、
平面視において、前記突き当て部の先端から、前記溶接受け部が突出することを特徴とするデッキプレート用支持部材。
【請求項3】
前記溶接受け部は、前記突き当て部に対して板の下面方向に向けて斜めに形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のデッキプレート用支持部材。
【請求項4】
前記突き当て部は、互いに離間して複数個所に配置され、前記溶接受け部は、前記突き当て部の間に配置されることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載のデッキプレート用支持部材。
【請求項5】
梁に固定され、デッキプレートを支持することが可能なデッキプレート用支持部材を用いたデッキプレート支持構造であって、
前記デッキプレート用支持部材は、
板状の支持部材の一方の端部側に形成されるデッキプレートの支持部と、
前記支持部とは逆の端部側に形成される、梁への突き当て部と、
前記突き当て部に併設するように、前記突き当て部に対して板の下面方向に向けて形成される溶接受け部と、
を具備し、
前記突き当て部が梁のフランジ部の側端面に当接し、前記溶接受け部が前記フランジ部の下方に張り出すように前記デッキプレート用支持部材が配置され、
前記溶接受け部と前記フランジ部とが溶接され、
前記支持部の上にデッキプレートが設置されることを特徴とするデッキプレート支持構造。
【請求項6】
梁に固定され、デッキプレートを支持することが可能なデッキプレート用支持部材を用いたデッキプレート支持方法であって、
前記デッキプレート用支持部材は、
板状の支持部材の一方の端部側に形成されるデッキプレートの支持部と、
前記支持部とは逆の端部側に形成される、梁への突き当て部と、
前記突き当て部に併設するように、前記突き当て部に対して板の下面方向に向けて形成される溶接受け部と、
を具備し、
前記突き当て部を梁のフランジ部の側端面に当接させるとともに、前記溶接受け部が前記フランジ部の下方に張り出すように前記デッキプレート用支持部材を配置する工程と、
前記溶接受け部と前記フランジ部とを溶接する工程と、
前記支持部の上にデッキプレートを設置する工程と、
を具備することを特徴とするデッキプレート支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梁にデッキプレートを支持するためデッキプレート用支持部材と、これを用いたデッキプレート支持構造及びその支持方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、床スラブを構築する際に、デッキプレートが用いられる場合がある。デッキプレートは、型枠として機能し、コンクリートと一体化する。
【0003】
このようなデッキプレートを梁に設置する際には、所定間隔で配置された梁の上にデッキプレートをかけ渡して配置する。しかし、梁同士がスプライスプレートなどによって接続される部位においては、スプライスプレートによって梁の上部に段差が生じ、デッキプレートの設置の妨げとなる。
【0004】
このような梁の接合部においてデッキプレートを設置する方法として、梁同士の接合部に、スプライスプレートを固定するボルト等を避ける孔が形成され、両端部に支持部と水平受け部とが形成された受け金具を配置し、水平受け部にデッキプレートを設置する方法がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平7-16822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように、特殊な受け金具を用いたのでは、梁のサイズごとに金具を準備する必要がある。また、金具が大型であり、コスト増ともなる。これに対し、より簡易な方法として、梁のフランジ側面に板部材を溶接し、この板部材上にデッキプレートを設置する方法がある。
【0007】
図9は、板状のデッキプレート用支持部材107を用いたデッキプレート100の支持構造である。梁101は、一対のフランジ部105がウェブで接合されたH形鋼である。前述したように、梁101同士がスプライスプレート103によって接合されている。このため、梁101のフランジ部105の上面に凹凸が生じ、デッキプレート100を直接設置することができない。
【0008】
このため、梁101の上方のフランジ部105の側端面にデッキプレート用支持部材107が接合される。このように、デッキプレート用支持部材107をフランジ部105の側方に張り出させることで、デッキプレート100をデッキプレート用支持部材107上に設置することができる。
【0009】
図10(a)は、デッキプレート用支持部材107をフランジ部105の側端面に溶接する方法の一例を示す図である。デッキプレート用支持部材107の端部には、溶接用の開先部111が形成される。フランジ部105の側端面とデッキプレート用支持部材107との間に隙間を開けて、デッキプレート用支持部材107とフランジ部105は、互いの上面の位置を合わせて配置され、裏面側に裏当金113を配置した状態で溶接が行われる。
【0010】
しかし、この方法では、デッキプレート用支持部材107の上面に溶接部109が盛り上がるため、デッキプレート100との干渉を避けるため、溶接後、溶接部109の上面を研磨して平らにする必要がある。また、裏当金113を必要とするため、作業性が悪い。
【0011】
これに対し、図10(b)に示すように、開先部111を大きくとり、デッキプレート用支持部材107の側端面をフランジ部105の側端面に接触させることで、裏当金113は不要となる。しかし、このようにすると、溶接部109が小さくなるため、接合強度が低下する。また、この場合でも、溶接後に溶接部109の上部を研磨する必要があるため、作業性が悪い。
【0012】
また、図10(c)に示すように、デッキプレート用支持部材107とフランジ部105の上面を合わせずに、溶接を行うと、溶接代が十分でなく、接合強度を確保することが困難である。また、段差を形成すると、隣り合う他のデッキプレートとの間で高さが変わるため望ましくない。
【0013】
一方、図10(d)に示すように、デッキプレート用支持部材107とフランジ部105の上面の位置を合わせて配置して、下面側を溶接すると、デッキプレート用支持部材107とフランジ部105の上面は平坦となるが、デッキプレート用支持部材107への上方からの力に対して溶接強度を十分に確保することが困難である。
【0014】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、簡易な構造で、容易に固定することが可能なデッキプレート用支持部材、これを用いたデッキプレート支持構造及び支持方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、梁に固定され、デッキプレートを支持することが可能な支持部材であって、板状の支持部材の一方の端部側に形成されるデッキプレートの支持部と、前記支持部とは逆の端部側に形成される、梁への突き当て部と、前記突き当て部に併設するように、前記突き当て部に対して板の下面方向に向けて形成される溶接受け部と、を具備し、前記溶接受け部の上面において、溶接範囲を示す溶接マークが形成されることを特徴とするデッキプレート用支持部材である。
第2の発明は、梁に固定され、デッキプレートを支持することが可能な支持部材であって、板状の支持部材の一方の端部側に形成されるデッキプレートの支持部と、前記支持部とは逆の端部側に形成される、梁への突き当て部と、前記突き当て部に併設するように、前記突き当て部に対して板の下面方向に向けて斜めに形成される溶接受け部と、を具備し、平面視において、前記突き当て部の先端から、前記溶接受け部が突出することを特徴とするデッキプレート用支持部材である。
【0016】
前記溶接受け部は、前記突き当て部に対して板の下面方向に向けて斜めに形成されてもよい
【0019】
前記突き当て部は、互いに離間して複数個所に配置され、前記溶接受け部は、前記突き当て部の間に配置されてもよい。
【0020】
第1、第2の発明によれば、突き当て部に併設するように、突き当て部に対して板の下面方向に向けて形成される溶接受け部が形成されるため、突き当て部をフランジ部の側端面に接触させた際に、溶接受け部をフランジ部の下方に位置させることができる。このため、溶接時に裏当金が不要であり、また、フランジ部の厚み分を溶接可能であるため、十分な溶接代を確保することができる。このため高い接合強度を得ることができる。
【0021】
この際、溶接受け部が斜めに形成されれば、形状が簡易であり、製造も容易である。
【0022】
また、溶接受け部の上面に、溶接範囲を示す溶接マークを形成することで、溶接部が上方にはみ出すことを抑制するとともに、確実に必要な溶接代を確保することができる。
【0023】
また、平面視において、突き当て部の先端から、溶接受け部を突出させることで、より確実に溶接部を受けることができる。例えば、溶接受け部とフランジ部との間に多少の隙間が生じても、溶融金属が下方に流れてしまうことを抑制することができる。
【0024】
また、突き当て部が、互いに離間して複数個所に配置されれば、デッキプレート用支持部材をフランジ部に対して確実にまっすぐに配置することができ、デッキプレート用支持部材の配置が容易である。
【0025】
の発明は、梁に固定され、デッキプレートを支持することが可能なデッキプレート用支持部材を用いたデッキプレート支持構造であって、前記デッキプレート用支持部材は、板状の支持部材の一方の端部側に形成されるデッキプレートの支持部と、前記支持部とは逆の端部側に形成される、梁への突き当て部と、前記突き当て部に併設するように、前記突き当て部に対して板の下面方向に向けて形成される溶接受け部と、を具備し、前記突き当て部が梁のフランジ部の側端面に当接し、前記溶接受け部が前記フランジ部の下方に張り出すように前記デッキプレート用支持部材が配置され、前記溶接受け部と前記フランジ部とが溶接され、
前記支持部の上にデッキプレートが設置されることを特徴とするデッキプレート支持構造である。
【0026】
の発明によれば、梁同士の接合部のように、フランジ部の上面に凹凸があるような場合でも、確実にデッキプレートを支持することができる。
【0027】
の発明は、梁に固定され、デッキプレートを支持することが可能なデッキプレート用支持部材を用いたデッキプレート支持方法であって、前記デッキプレート用支持部材は、板状の支持部材の一方の端部側に形成されるデッキプレートの支持部と、前記支持部とは逆の端部側に形成される、梁への突き当て部と、前記突き当て部に併設するように、前記突き当て部に対して板の下面方向に向けて形成される溶接受け部と、を具備し、前記突き当て部を梁のフランジ部の側端面に当接させるとともに、前記溶接受け部が前記フランジ部の下方に張り出すように前記デッキプレート用支持部材を配置する工程と、前記溶接受け部と前記フランジ部とを溶接する工程と、前記支持部の上にデッキプレートを設置する工程と、を具備することを特徴とするデッキプレート支持方法である。
【0028】
の発明によれば、梁同士の接合部のように、フランジ部の上面に凹凸があるような場合でも、容易にデッキプレート用支持部材を設置することが可能であり、確実にデッキプレート支持構造を得ることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、簡易な構造で、容易に固定することが可能なデッキプレート用支持部材、これを用いたデッキプレート支持構造及び支持方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】デッキプレート用支持部材1を示す斜視図。
図2】デッキプレート用支持部材1を梁11に固定した状態の平面図。
図3】(a)は、図2のA-A線断面図、(b)は、図2のB-B線断面図。
図4】デッキプレート21を梁11にかけ渡した状態を示す図。
図5】デッキプレート21を梁11に設置する工程を示す図。
図6】デッキプレート支持構造20を示す図。
図7】デッキプレート用支持部材1aを示す斜視図。
図8】デッキプレート用支持部材1bの接合状態を示す図。
図9】デッキプレート100を梁101にかけ渡した状態を示す図。
図10】(a)~(d)は、デッキプレート用支持部材107の接合方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態にかかるデッキプレート用支持部材1について説明する。図1は、デッキプレート用支持部材1を示す斜視図である。デッキプレート用支持部材1は、梁に固定されて使用され、デッキプレートを支持することが可能な支持部材である。
【0032】
デッキプレート用支持部材1は、全体として略板状であり、板状の部材の一方の端部側にデッキプレート支持部3が形成される。デッキプレート支持部3は上面が平坦である。デッキプレート支持部3とは逆の端部側には、突き当て部5が形成される。突き当て部5は、梁へ突き当てられる部位である。突き当て部5は、互いに離間して複数個所に配置される。図示した例では、デッキプレート用支持部材1の両端部近傍の2カ所に配置される。デッキプレート支持部3と突き当て部5は、略同一面に形成される。
【0033】
一対の突き当て部5の間には、溶接受け部7が配置される。溶接受け部7は、突き当て部5に併設するように、突き当て部5及びデッキプレート支持部3に対して板の下面方向に向けて、略まっすぐに斜めに形成される。なお、突き当て部5の長さよりも、溶接受け部7の長さは長く、平面視において、突き当て部5の先端から、溶接受け部7が突出する。なお、溶接受け部の上面には、溶接範囲を示す溶接マーク9が形成される。溶接マーク9は、例えばケガキ線等で形成される。
【0034】
なお、デッキプレート用支持部材1は、板状の素材から、溶接受け部を折り曲げて形成してもよく、鋳造や鍛造などで形成してもよい。
【0035】
次に、デッキプレート用支持部材1の使用方法について説明する。図2は、デッキプレート用支持部材1を梁11に固定した状態を示す平面図、図3(a)は、図2のA-A線断面図、図3(b)は、図2のB-B線断面図である。なお、図2図3においては、簡単のため、スプライスプレート等の図示を省略する。
【0036】
前述したように、梁11はフランジ部13を有するH形鋼である。デッキプレート用支持部材1のデッキプレート支持部3の上面とフランジ部13の上面とが略同一面となるようにした状態で、突き当て部5の端面をフランジ部13の側端面に接触させる。
【0037】
この際、平面視において、突き当て部5の先端から、溶接受け部7が突出するため、溶接受け部7は、フランジ部13の下方に向けて突出する。すなわち、溶接受け部7は、フランジ部13の側端面(下縁部除く)とは面接触しない。
【0038】
この状態で、フランジ部13の側端面と溶接受け部7の上面とが溶接部15によって溶接される。以上により、デッキプレート用支持部材1が梁11に固定される。
【0039】
なお、溶接受け部7をフランジ部13の下方に突出させずに、溶接受け部7の長さを平面視において突き当て部5と同等としてもよい。このようにしても、溶接受け部7とフランジ部13との溶接を行うことができる。なお、図示した例では、溶接受け部7の上面とフランジ部13の下縁部とが接触するが、多少の隙間が形成されてもよい。溶接受け部7がフランジ部13の下方に突出しているため、多少の隙間が生じても、溶接時に溶融金属が下部に流れ落ちることが抑制される。
【0040】
ここで、溶接を行う際に、溶接受け部7の上面の溶接マーク9を目安にすることで、溶接量のばらつきを抑え、必要な溶接強度を確保することができる。なお、溶接受け部7の両端部(図2の左右方向端部)には、突き当て部5との間に隙間(図3(a)の溶接受け部7と突き当て部5との間の略三角形の隙間)が形成される。このため、溶接部15は、溶接受け部7の全幅に形成しなくてもよく、両端部に隙間を開けてもよい。この場合にも、幅方向の溶接範囲を示す溶接マーク9を溶接受け部7上に形成してもよい。
【0041】
次に、デッキプレート用支持部材1を用いたデッキプレート支持方法について説明する。図4は、デッキプレート21を梁11にかけ渡した状態を示す図である。デッキプレート21は、板状の鋼製部材であり、デッキプレート21の長手方向に沿って、主鉄筋が配置されて固定される。なお、図示した例では、所定の角度でラチス筋が接合され、鉄筋トラスが構成される。図示したように、梁11(フランジ部13)の上面が平坦である部位には、そのままデッキプレート21をフランジ部13上に配置すればよい。
【0042】
図5はこのようにしてデッキプレート21を梁11上に設置する工程を示す図である。デッキプレート21を設置する部位にスプライスプレート23がある部位には、予め、デッキプレート用支持部材1を接合しておく。より詳細には、突き当て部5を梁11のフランジ部13の側端面に当接させるとともに、溶接受け部7がフランジ部13の下方に張り出すようにデッキプレート用支持部材1を配置し、溶接受け部7とフランジ部13とを溶接することで、デッキプレート用支持部材1を梁11に接合する。
【0043】
図6は、この状態で、デッキプレート支持部3の上にデッキプレート21を設置することで得られるデッキプレート支持構造20を示す図である。この状態から、デッキプレート21上にコンクリートを打設することで、鉄筋構造体である床スラブを得ることができる。
【0044】
本実施の形態によれば、デッキプレート用支持部材1を用いることで、フランジ部13の厚み分を全て溶接部に使用することができる。このため、溶接部15が、デッキプレート支持部3及びフランジ部13の上面からはみ出さないように形成されても、十分な溶接強度を得ることができる。このため、溶接部15とデッキプレート21との干渉を避けるために、溶接部15の上面を研磨する必要がない。
【0045】
また、フランジ部13の厚みを全て溶接に使用しても、突き当て部5によって確実に位置合わせをすることができる。また、溶接受け部7によって、裏当金や開先加工も不要となり、溶接作業も容易である。
【0046】
また、溶接マーク9が形成されるため、溶接代を容易に把握することができ、溶接ばらつきや溶接部15の上方へのはみ出しを抑制するとともに、確実に所望の溶接強度を確保することができる。
【0047】
なお、前述の実施形態では、突き当て部5が2カ所である例を示したが、これには限られない。例えば、図7に示すデッキプレート用支持部材1aのように、突き当て部5を一カ所としてもよい。この場合にも、突き当て部5以外の部位を溶接受け部7とすればよい。このように、突き当て部5は、1カ所であってもよく、2カ所以上であってもよい。なお、突き当て部5が複数個所にあれば、デッキプレート用支持部材の向きや位置合わせなどが容易となるため望ましい。
【0048】
また、溶接受け部7も、連続した1カ所であってもよく、2カ所以上に分離されていてもよい。また、溶接受け部7は、デッキプレート支持部3と突き当て部5に対して斜めに形成されるのではなく、図8に示すデッキプレート用支持部材1bのように、段差状に折り曲げられた形状であってもよい。この場合でも、溶接受け部7の先端が、フランジ部13の下方に突出するように形成されることが望ましい。
【0049】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0050】
1、1a、1b………デッキプレート用支持部材
3………デッキプレート支持部
5………突き当て部
7………溶接受け部
9………溶接マーク
11………梁
13………フランジ部
15………溶接部
20………デッキプレート支持構造体
21………デッキプレート
23………スプライスプレート
100………デッキプレート
101………梁
103………スプライスプレート
105………フランジ部
107………デッキプレート用支持部材
109………溶接部
111………開先部
113………裏当金
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10