(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240118BHJP
【FI】
G06Q10/10
(21)【出願番号】P 2020023787
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】513076693
【氏名又は名称】株式会社ラクス
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【氏名又は名称】奥 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100173510
【氏名又は名称】美川 公司
(72)【発明者】
【氏名】田村 大地
(72)【発明者】
【氏名】峰村 崇
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-250558(JP,A)
【文献】特開2017-016307(JP,A)
【文献】特開2007-108979(JP,A)
【文献】特開2006-174348(JP,A)
【文献】特開2008-130006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムに含まれるコンピュータを、
経費の申請を行う申請者の端末装置からの、当該経費を負担する負担組織の設定操作を受け付ける負担組織設定受付手段、
前記負担組織の承認者を示す負担組織承認者データが記録されている場合に、前記受け付けられた負担組織の設定操作に対応した前記負担組織承認者データを取得する負担組織承認者データ取得手段、
前記端末装置からの、前記経費を使用する業務を行うための組織であって当該経費の負担をしない業務組織の設定操作を受け付ける業務組織設定受付手段、
前記業務組織の承認者を示す業務組織承認者データが記録されている場合に、前記受け付けられた業務組織の設定操作に対応した前記業務組織承認者データを取得する業務組織承認者データ取得手段、
前記端末装置からの、前記取得した負担組織承認者データ又は前記取得した業務組織承認者データのいずれか一方に対応した承認を受けるべき前記経費の申請に対応した申請データを受け付ける申請データ受付手段、及び、
前記受け付けられた申請データを、当該申請データに対応した承認結果及び前記申請者に関連付けて記録する記録手段、
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、前記業務組織承認者データが記録されていない場合であって前記業務組織の設定操作が受け付けられたとき、当該業務組織承認者データが記録されていない旨のエラー情報の出力を禁止するエラー情報出力制御手段として更に機能させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記エラー情報出力制御手段として機能する前記コンピュータを、前記負担組織承認者データが記録されていない場合であって前記負担組織の設定操作が受け付けられたとき、当該負担組織承認者データが記録されていない旨のエラー情報を出力するように機能させることを特徴とする請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記業務組織設定受付手段として機能する前記コンピュータにより、複数の前記業務組織の前記設定操作が受け付けられたとき、前記業務組織承認者データ取得手段として機能する前記コンピュータを、当該受け付けられた設定操作の対象の前記業務組織それぞれに対応する複数の前記業務組織承認者データを取得するように機能させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記負担組織の前記承認者は、当該負担組織について予め設定されており、
前記負担組織承認者データは、当該予め設定された承認者を示す当該負担組織承認者データであり、
前記業務組織の前記承認者は、当該業務組織について予め設定されており、
前記業務組織承認者データは、当該予め設定された承認者を示す当該業務組織承認者データであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
一回の前記経費の申請において、前記負担組織承認者データを用いた前記経費の申請に対応した前記申請データ、又は前記業務組織承認者データを用いた前記経費の申請に対応した前記申請データのいずれか一方のみを受け付けるように、前記申請データ受付手段として機能する前記コンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
端末装置に接続された情報処理装置において、
経費の申請を行う申請者の端末装置からの、当該経費を負担する負担組織の設定操作を受け付ける負担組織設定受付手段と、
前記負担組織の承認者を示す負担組織承認者データが記録されている場合に、前記受け付けられた負担組織の設定操作に対応した前記負担組織承認者データを取得する負担組織承認者データ取得手段と、
前記端末装置からの、前記経費を使用する業務を行うための組織であって当該経費の負担をしない業務組織の設定操作を受け付ける業務組織設定受付手段と、
前記業務組織の承認者を示す業務組織承認者データが記録されている場合に、前記受け付けられた業務組織の設定操作に対応した前記業務組織承認者データを取得する業務組織承認者データ取得手段と、
前記端末装置からの、前記取得した負担組織承認者データ又は前記取得した業務組織承認者データのいずれか一方に対応した承認を受けるべき前記経費の申請に対応した申請データを受け付ける申請データ受付手段と、
前記受け付けられた申請データを、当該申請データに対応した承認結果及び前記申請者に関連付けて記録する記録手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
情報処理システムに含まれるコンピュータにより実行される情報処理方法であって、
経費の申請を行う申請者の端末装置からの、当該経費を負担する負担組織の設定操作を受け付けるステップと、
前記負担組織の承認者を示す負担組織承認者データが記録されている場合に、前記受け付けられた負担組織の設定操作に対応した前記負担組織承認者データを取得するステップと、
前記端末装置からの、前記経費を使用する業務を行うための組織であって当該経費の負担をしない業務組織の設定操作を受け付けるステップと、
前記業務組織の承認者を示す業務組織承認者データが記録されている場合に、前記受け付けられた業務組織の設定操作に対応した前記業務組織承認者データを取得するステップと、
前記端末装置からの、前記取得した負担組織承認者データ又は前記取得した業務組織承認者データのいずれか一方に対応した承認を受けるべき前記経費の申請に対応した申請データを受け付けるステップと、
前記受け付けられた申請データを、当該申請データに対応した承認結果及び前記申請者に関連付けて記録するステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務の実行のために必要となった経費の精算に関する処理を行う情報処理システムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
企業活動においては、その企業に属する社員が出張する場合の旅費や、出張先において業務上発生する費用等が、いわゆる経費として日常的に発生する。また経費は、上記出張以外の通常の企業活動においても発生する。このような経費については、それに対応する業務が終了した時点で精算される必要がある。この精算に当たっては、通常、経費を申請する申請者に対応した承認者の承認が必要となる。ここで、上記承認者による経費申請の承認に関する先行技術を開示している文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。このとき、特許文献1には、「申請された経費について、最終提出先である担当部門の審査結果が承認か差戻しかを判別する」構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-338140号公報(
図13及びその関連部分等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、業務が実行される場合において、経費を負担しない業務組織としてのプロジェクトがその業務を実行する主体となることがある。このとき、当該プロジェクトは、通常、経費の負担をする負担部門(例えば経理部等)とは別の組織である。そして、このようなプロジェクトが業務の実行主体となる場合に、当該プロジェクト自体にも経費の承認者が必要となる場合がある。
【0005】
ここで、上記プロジェクト自体に経費の承認者が設定されている場合に、経費の精算を行う申請者が使用する端末装置において、経費の負担部門(例えば経理部等)の承認者と、経費を負担しない上記プロジェクトの承認者と、をそれぞれ確認し、いずれかの承認者が設定されている場合に、その承認者を示す承認者データを取得して経費の申請を行うことができれば便利である。しかしながら、上記特許文献1には、上記の点については、開示も示唆も見当たらない。
【0006】
そこで、本発明は、上記の要請に鑑みて為されたものであり、経費を負担する負担部門以外のプロジェクトにおける経費の承認者を設定した経費の申請ができ、実際の業務の実行態様に合わせた経費申請が可能な情報処理プログラム、情報処理装置及び情報処理方法を提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、情報処理システムに含まれるコンピュータを、経費の申請を行う申請者の端末装置からの、当該経費を負担する負担組織の設定操作を受け付ける負担組織設定受付手段、前記負担組織の承認者を示す負担組織承認者データが記録されている場合に、前記受け付けられた負担組織の設定操作に対応した前記負担組織承認者データを取得する負担組織承認者データ取得手段、前記端末装置からの、前記経費を使用する業務を行うための組織であって当該経費の負担をしない業務組織の設定操作を受け付ける業務組織設定受付手段、前記業務組織の承認者を示す業務組織承認者データが記録されている場合に、前記受け付けられた業務組織の設定操作に対応した前記業務組織承認者データを取得する業務組織承認者データ取得手段、前記端末装置からの、前記取得した負担組織承認者データ又は前記取得した業務組織承認者データのいずれか一方に対応した承認を受けるべき前記経費の申請に対応した申請データを受け付ける申請データ受付手段、及び、前記受け付けられた申請データを、当該申請データに対応した承認結果及び前記申請者に関連付けて記録する記録手段、として機能させることを特徴とする。
【0008】
請求項7に記載の発明は、端末装置に接続された情報処理装置において、経費の申請を行う申請者の端末装置からの、当該経費を負担する負担組織の設定操作を受け付ける負担組織設定受付手段と、前記負担組織の承認者を示す負担組織承認者データが記録されている場合に、前記受け付けられた負担組織の設定操作に対応した前記負担組織承認者データを取得する負担組織承認者データ取得手段と、前記端末装置からの、前記経費を使用する業務を行うための組織であって当該経費の負担をしない業務組織の設定操作を受け付ける業務組織設定受付手段と、前記業務組織の承認者を示す業務組織承認者データが記録されている場合に、前記受け付けられた業務組織の設定操作に対応した前記業務組織承認者データを取得する業務組織承認者データ取得手段と、前記端末装置からの、前記取得した負担組織承認者データ又は前記取得した業務組織承認者データのいずれか一方に対応した承認を受けるべき前記経費の申請に対応した申請データを受け付ける申請データ受付手段と、前記受け付けられた申請データを、当該申請データに対応した承認結果及び前記申請者に関連付けて記録する記録手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項8に記載の発明は、情報処理システムに含まれるコンピュータにより実行される情報処理方法であって、経費の申請を行う申請者の端末装置からの、当該経費を負担する負担組織の設定操作を受け付けるステップと、前記負担組織の承認者を示す負担組織承認者データが記録されている場合に、前記受け付けられた負担組織の設定操作に対応した前記負担組織承認者データを取得するステップと、前記端末装置からの、前記経費を使用する業務を行うための組織であって当該経費の負担をしない業務組織の設定操作を受け付けるステップと、前記業務組織の承認者を示す業務組織承認者データが記録されている場合に、前記受け付けられた業務組織の設定操作に対応した前記業務組織承認者データを取得するステップと、前記端末装置からの、前記取得した負担組織承認者データ又は前記取得した業務組織承認者データのいずれか一方に対応した承認を受けるべき前記経費の申請に対応した申請データを受け付けるステップと、前記受け付けられた申請データを、当該申請データに対応した承認結果及び前記申請者に関連付けて記録するステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項1、請求項7又は請求項8のいずれか一項に記載の発明によれば、経費を負担する負担組織以外の業務組織における経費の承認者を設定した経費の申請ができるので、実際の業務の実行態様に合わせた経費申請が可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理プログラムにおいて、前記コンピュータを、前記業務組織承認者データが記録されていない場合であって前記業務組織の設定操作が受け付けられたとき、当該業務組織承認者データが記録されていない旨のエラー情報の出力を禁止するエラー情報出力制御手段として更に機能させることを特徴とする。これにより、業務組織の特性に合わせた経費申請が可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の情報処理プログラムにおいて、前記エラー情報出力制御手段として機能する前記コンピュータを、前記負担組織承認者データが記録されていない場合であって前記負担組織の設定操作が受け付けられたとき、当該負担組織承認者データが記録されていない旨のエラー情報を出力するように機能させることを特徴とする。これにより、業務組織の特性に対比させて、負担組織の特性に合わせた経費申請が可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理プログラムにおいて、前記業務組織設定受付手段として機能する前記コンピュータにより、複数の前記業務組織の前記設定操作が受け付けられたとき、前記業務組織承認者データ取得手段として機能する前記コンピュータを、当該受け付けられた設定操作の対象の前記業務組織それぞれに対応する複数の前記業務組織承認者データを取得するように機能させることを特徴とする。これにより、経費申請の対象となる業務組織の申請者による確認の利便性が向上する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理プログラムにおいて、前記負担組織の前記承認者は、当該負担組織について予め設定されており、前記負担組織承認者データは、当該予め設定された承認者を示す当該負担組織承認者データであり、前記業務組織の前記承認者は、当該業務組織について予め設定されており、前記業務組織承認者データは、当該予め設定された承認者を示す当該業務組織承認者データであることを特徴とする。これにより、負担組織又は業務組織について既定された承認者に承認を求める必要がある場合でも、効率的に経費の申請をすることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理プログラムにおいて、一回の前記経費の申請において、前記負担組織承認者データを用いた前記経費の申請に対応した前記申請データ、又は前記業務組織承認者データを用いた前記経費の申請に対応した前記申請データのいずれか一方のみを受け付けるように、前記申請データ受付手段として機能する前記コンピュータを機能させることを特徴とする。これにより、一回の経費の申請における負担組織承認者データを用いた経費の申請と業務組織承認者データを用いた経費の申請の重複を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、経費を負担する負担組織以外の業務組織における経費の承認者を設定した経費の申請ができ、実際の業務の実行態様に合わせた経費申請が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態の情報処理システムSの概要構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態のシステム制御部23の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図3】実施形態の領収書等の処理時における申請者端末1等と情報処理サーバ2との間のやり取りを示すシーケンス図である。
【
図4】実施形態の承認者データの再取得処理を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態の承認フローマスタの新規登録用画面の一例を示す図である。
【
図6】(a)は実施形態のプロジェクトマスタの編集用画面の一例を示す図である。(b)は実施形態の負担部門の承認者設定用画面の一例を示す図である。
【
図7】実施形態の経費精算の申請用画面の一例を示す図(I)である。
【
図8】実施形態の経費精算の申請用画面の一例を示す図(II)である。
【
図9】実施形態の経費精算の承認用画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、クラウド型の情報処理システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0019】
[1.情報処理システムSの構成及び機能]
先ず、
図1を参照して、本実施形態の情報処理システムSの構成及び概要機能について説明する。
図1は、情報処理システムSの概要構成の一例を示す図である。
図1に示すように、情報処理システムSは、申請者端末1(本発明の端末装置の一例)、情報処理サーバ2(本発明の情報処理装置の一例)、管理者端末3及び承認者端末4等を含んで構成されている。申請者端末1、情報処理サーバ2、管理者端末3及び承認者端末4は、それぞれ、インターネット等のネットワークNWに接続される。なお、
図1の例では、申請者端末1、管理者端末3及び承認者端末4のそれぞれを1台ずつ示しているが、実際には、複数台の申請者端末1及び承認者端末4が存在し、また、管理者端末3が複数台存在してもよい。
【0020】
申請者端末1は、情報処理サーバ2にログインするためのアカウントが発行された組織(例えば、企業)のユーザであり且つ経費の精算を申請する申請者により使用される。申請者端末1は、ウェブブラウザによりネットワークNWを介して情報処理サーバ2にアクセスしてログインした後、情報処理サーバ2から送信された画面データ(例えば、ウェブページ)に従って図示しないディスプレイ上に各種画面を表示する。申請者等による上記ログインの際には、当該ログインを行う申請者等自身を識別するための識別データや、当該申請者が属する組織を識別するための情報等が、申請者データとして申請者端末1から情報処理サーバ2に送信される。上記ログインの際に申請者端末1から送信される上記識別データにより、その申請者等が経費の精算の申請権限を有するか否か等が示される。なお、申請者端末1には、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット等が適用可能である。
【0021】
管理者端末3は、上記申請者からの経費精算の申請が準拠すべき規則等を管理する管理者により使用される。この管理者は、通常、上記申請者と同じ組織に属する組織の管理者であり、情報処理システムSの管理者でもある。管理者端末3も、上記申請者端末1と同様に、ウェブブラウザによりネットワークNWを介して情報処理サーバ2にアクセスしてログインした後、情報処理サーバ2から送信された画面データ(例えば、ウェブページ)に従って図示しないディスプレイ上に各種画面を表示する。なお、管理者端末3もまた、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット等が適用可能である。
【0022】
承認者端末4は、上記申請者からの経費精算の申請を承認する権限を有する承認者により使用される。この承認者は、通常、上記申請者及び上記管理者と同じ組織に属する経費精算の承認者である。承認者端末4も、上記申請者端末1及び上記管理者端末3と同様に、ウェブブラウザによりネットワークNWを介して情報処理サーバ2にアクセスしてログインした後、情報処理サーバ2から送信された画面データ(例えば、ウェブページ)に従って図示しないディスプレイ上に各種画面を表示する。なお、承認者端末4もまた、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット等が適用可能である。
【0023】
情報処理サーバ2は、クラウド環境に構築され、クラウドサービスを提供するためのサーバである。クラウドサービスの一例として、経費(消耗品代金、交通費、旅費など)に関わる処理を一元管理するサービスがあるが、特に限定されるものではない。なお、情報処理サーバ2は、一台のコンピュータにより構成されていてもよいし、複数台のコンピュータにより構成されていてもよい。また、情報処理サーバ2は、
図1に示すように、通信部21、記録部22、及びシステム制御部23等を備える。
【0024】
通信部21は、システム制御部23の制御の下、ネットワークNWを介して申請者端末1、管理者端末3及び承認者端末4との間で通信を行う。記録部22は、例えば、ハードディスクドライブ等から構成され、OS(オペレーティングシステム)、OS上で動作する各種アプリケーション、及び各種データを格納する。各種データには、アプリケーションで使用される設定データ、及びアプリケーションに従って実行された処理で得られたデータ等が含まれる。各種アプリケーションには、例えば、実施形態の経費承認アプリケーションが含まれる。実施形態の経費承認アプリケーションは、申請者が申請者端末1を用いて作成した経費精算申請用の申請データに基づいて、その経費申請の承認を、承認者端末4を使用する承認者に承認させる処理を行うアプリケーションである。実施形態の精算又はその対象となる経費には、例えば、「交通費精算」、「出張精算」、「海外出張精算」、「経費精算」、「支払依頼」及び「交際費精算」等がある。実施形態の申請者端末1上には、上記精算又はその対象ごとに実施形態の申請用画面が表示される。
【0025】
ここで、実施形態の申請者からの経費精算の申請内容を承認する承認者(即ち、実施形態の経費承認アプリケーションに関わる承認者)には、上記組織においてその経費を実際に負担する部門に属する承認者に加えて、その申請者が属しているプロジェクトの承認者(そのプロジェクトに属する承認者)が含まれる。このとき、当該「プロジェクト」とは、上記組織に属する者がその編制上所属する組織(部門)として継続的に存在する組織(例えば、「営業部」や「業務部」等)とは異なり、例えば販売活動や営業活動、或いは新たな商品開発の際に、その都度、上記組織に属する者等で編成される新たな且つ一時的な組織である。このようなプロジェクトでは、その業務の実行に必要な経費を当該プロジェクト自体が負担することはなく、且つ、そのプロジェクトを構成する者の変更も容易になし得る。なお、上記経費を実際に負担する上記部門(例えば、その組織の経理部や財務部等)を、以下「負担部門」と称し、その負担部門で上記申請内容を承認する承認者を、以下「負担部門承認者」と称する。更に、上記プロジェクトの承認者を、以下「プロジェクト承認者」と称する。上記負担部門は、本発明における「負担組織」の一例である。また上記プロジェクトは、本発明における「業務組織」の一例である。
【0026】
そして、実施形態の経費承認アプリケーションでは、申請者からの申請内容を上記各承認者が承認すべく、当該申請内容を示す申請データが、当該承認者が使用する承認者端末4に、各承認者としての承認順序に沿って送信される。このとき、実施形態の経費承認アプリケーションにおいて、各承認者の承認を受けるための一連の流れ(申請データの承認者端末4間の流れ)を、以下「承認フロー」と称する。また、各承認者がその申請内容を承認するタイミング(換言すれば、承認対象たる申請データが、その申請内容を承認すべき承認者が使用する承認者端末4に送信されるタイミング)又は当該各承認者端末4を、それぞれ「承認ポイント」と称する。即ち、一の経費申請に対応する承認フローにおいては、その経費申請を承認する権限又は義務を有する承認者ごとに、対応する承認ポイントにおいてその承認を受けることとなるが、実施形態の経費承認アプリケーションでは、この場合の承認者に、上記負担部門承認者だけでなく上記プロジェクト承認者が含まれるのである。このとき、実施形態の経費承認アプリケーションでは、負担部門承認者による承認ポイントと、プロジェクト承認者による承認ポイントと、が、一つの承認フローにおいて併存すること(例えば、一つの承認フローとして、プロジェクト承認者による承認の次に負担部門承認者による承認が予定されること等)はないこととされている。
【0027】
また、上記承認フロー及びそれに含まれる一又は複数の承認ポイント(換言すれば、当該承認ポイントにおける承認者)は、例えば、実施形態の管理者端末3を用いる管理者により予め設定され、その情報が記録部22に不揮発性に記録される。このため、管理者端末3上には、承認フロー又は承認ポイントを設定するための後述する承認フロー等設定用画面が表示される。そして、上記管理者端末3による設定結果は上記記録部22内に記録される。このとき、当該設定結果としては、上記負担部門承認者を示すデータ、上記プロジェクト承認者を示すデータ、及び上記負担部門及び上記プロジェクト以外の上記組織に属する者としての承認者を示す社員承認者データが含まれており、これらは、
図1に示す記録部22内の社員承認者データベース221、負担部門承認者データベース222及びプロジェクト承認者データベース223にそれぞれ区分して記録される。これら各承認者のデータは、後述する承認者データ取得/出力部233からの要求に基づいて当該承認者データ取得/出力部233に出力される。
【0028】
実施形態の上記申請データは、上記申請者の例えば出張に必要な旅費や宿泊費等の経費又は消耗品を購入した場合等の費用をその申請者が申請する際に申請者端末1において生成され、情報処理サーバ2に送信されるデータである。なお、経費承認アプリケーションには、本発明の情報処理プログラムが組み込まれる。
【0029】
システム制御部23は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等から構成され、対応するOS上で動作するアプリケーションに従ってCPUが各種処理を実行する。
図2は、システム制御部23の機能ブロックの一例を示す図である。
図2に示すように、システム制御部23は、承認者設定データ取得部231、表示制御部232、承認者データ取得/出力部233、申請データ取得部234、承認処理部235及び申請処理部236等として機能する。即ち、実施形態の経費承認アプリケーションによって、コンピュータとしてのシステム制御部23は、承認者設定データ取得部231、表示制御部232、承認者データ取得/出力部233、申請データ取得部234、承認処理部235及び申請処理部236として機能する。なお、承認者データ取得/出力部233は、本発明における「負担組織設定受付手段」、「業務組織設定受付手段」、「負担組織承認者データ出力手段」、「業務組織承認者データ出力手段」及び「エラー情報出力制御手段」の一例である。申請データ取得部234は、本発明における「申請データ取得手段」の一例である。承認処理部235は、本発明における「記録手段」の一例である。
【0030】
承認者設定データ取得部231は、上記承認フロー等設定用画面を用いて設定された上記負担部門承認者を示すデータ、上記プロジェクト承認者を示すデータ、及び上記社員承認者データを含む承認者設定データを管理者端末3から取得し、これらを、上記社員承認者データベース221、上記負担部門承認者データベース222又は上記プロジェクト承認者データベース223のいずれかに記録する。
【0031】
表示制御部232は、管理者端末3を使用する管理者からの承認フロー等設定用画面要求に基づいて、上記承認ポイント及びこれらを含む上記承認フローを設定すると共に、当該承認フローに対応した上記社員承認者、上記負担部門承認者又は上記プロジェクト承認者のいずれかを設定するための上記承認フロー等設定用画面のデータを、ネットワークNWを介して管理者端末3に送信し、対応する承認フロー等設定用画面を表示させる。この承認フロー等設定用画面については、後ほど
図5並びに
図6(a)及び
図6(b)を主として用いて説明する。
【0032】
これに加えて、表示制御部232は、申請者端末1を使用する申請者からの申請用画面要求に基づいて、経費申請を行うための申請用画面のデータを、ネットワークNWを介して申請者端末1に送信し、対応する申請用画面を表示させる。この申請用画面については、後ほど
図7及び
図8を主として用いて説明する。
【0033】
承認者データ取得/出力部233は、申請者端末1を使用する申請者により経費申請が行われる際に、当該申請者端末1に表示されている上記申請用画面を用いて当該申請の対象たる経費の負担部門が入力された場合、当該入力された負担部門を示す負担部門入力データを、ネットワークNWを介して申請者端末1から取得する。一方、上記申請用画面を用いて、当該経費が使用されたプロジェクトが入力された場合、承認者データ取得/出力部233は、当該入力されたプロジェクトを示すプロジェクト入力データを、同様に申請者端末1から取得する。
【0034】
ここで、上述したように、実施形態の経費承認アプリケーションでは、負担部門承認者による承認ポイントと、プロジェクト承認者による承認ポイントと、が、一つの承認フローにおいて併存することがないこととされている。このため、一つの承認フロー内において、上記負担部門入力データと上記プロジェクト入力データの双方が申請者端末1から出力された場合、それらに対応する負担部門の指定及びプロジェクトの指定の同時指定自体は可能であるが、これらの指定に対応して承認者データが取得等されるのは、上記承認者設定データに基づき、負担部門承認者又はプロジェクト承認者のいずれか一方となる。即ち、承認者データ取得/出力部233は、負担部門入力データ又はプロジェクト入力データのいずれか一方に対応する承認者データを、記録部22の負担部門承認者データベース222又はプロジェクト承認者データのいずれか一方から取得し、それを、負担部門入力データ又はプロジェクト入力データを送信してきた申請者端末1に、ネットワークNWを介して送信すると共に、承認処理部235に出力する。
【0035】
また、申請データ取得部234は、上記負担部門又は上記プロジェクトの設定を含む上記経費申請が行われる場合に、上記申請用画面を用いて入力された当該経費申請の申請データを、ネットワークNWを介して申請者端末1から取得する。この申請データには、上記組織内で申請者を特定するための識別データ、及び申請される経費の内容を示す内容データに加えて、上記負担部門又は上記プロジェクトを示すデータが少なくとも含まれている。申請データ取得部234は、取得した申請データを承認処理部235に出力する。なお、上記プロジェクトを示すデータを除く上記申請データの内容自体は、従来の申請データと同様である。
【0036】
承認処理部235は、承認者データ取得/出力部233から出力された承認者データ(即ち、経費の申請内容の承認をすべき承認者を示す承認者データ)と、申請データ取得部234により取得された上記申請データと、を含む承認要求データを生成し、上記承認者データにより示される承認者端末4にネットワークNWを介して出力し、その承認結果を示す承認結果データを、当該承認者端末4から取得する。このとき、承認者端末4の図示しないディスプレイ上に表示される承認用画面については、後ほど
図9を主として用いて説明する。そして、承認処理部235は、上記承認結果データ、及び申請データ取得部234により取得された上記申請データを、申請処理部236に出力する。
【0037】
申請処理部236は、承認処理部235から出力された上記申請データ及び上記承認結果データに基づき、申請データ取得部234により取得された上記申請データに対応する申請結果画面のデータを、ネットワークNWを介して、当該申請データを送信してきた申請者端末1に出力する。このとき、申請処理部236は、上記承認結果を含む上記申請結果画面のデータを申請者端末1に送信する。申請者端末1に送信された申請結果画面は、上記承認結果と共に、申請者端末1の例えば図示しないディスプレイ上に表示される。
【0038】
[2.情報処理システムSの動作]
次に、
図3~
図9を参照して、実施形態の経費承認アプリケーションによる経費の承認における情報処理システムSの動作について説明する。
図3は、実施形態の領収書等の処理時における申請者端末1等と情報処理サーバ2との間のやり取りを示すシーケンス図である。
図4は、実施形態の承認者データの再取得処理を示すフローチャートである。
図5は、実施形態の承認フローマスタの新規登録用画面の一例を示す図である。
図6は、実施形態のプロジェクトマスタの編集用画面の一例等を示す図である。
図7及び
図8は、実施形態の経費精算の申請用画面の一例をそれぞれ示す図である。
図9は、実施形態の経費精算の承認用画面の一例を示す図である。以下の説明では、上記申請データに対する実施形態の経費承認アプリケーションによる経費の承認を、単に「実施形態の経費承認」と称する。また、実施形態の経費精算の申請用画面を、単に「実施形態の申請用画面」と称する。更に、実施形態の経費精算の承認用画面を、単に「実施形態の承認用画面」と称する。
【0039】
初めに、実施形態の経費承認における情報処理システムSの動作について説明する前に、管理者端末3を使用する管理者により実行される、上記承認フロー及びそれに含まれる一又は複数の承認ポイント(換言すれば、当該承認ポイントにおける承認者)の設定処理について説明する。即ち、実施形態の経費承認が実行される前提となるいわゆる初期設定として、上記承認フロー及び上記承認ポイントの設定処理が行われる。当該承認フロー及び当該承認ポイントの設定処理は、管理者端末3と情報処理サーバ2とのセッションが確立され、管理者端末3から情報処理サーバ2へのログインが行われた後、管理者端末3を使用する管理者による操作に応じて開始される。即ち、
図3に示すように、実施形態の承認フロー及び承認ポイントの設定処理は、管理者端末3から、当該設定処理を行う旨と共に、当該設定処理を行うための承認フロー等設定用画面の取得要求が、ネットワークNWを介して送信されることで開始される(ステップS-A)。この取得要求には、当該取得要求を送信する管理者端末3を申請者端末1から識別するための端末IDが含まれている。
【0040】
上記承認フロー等設定用画面の取得要求が送信されてくると、システム制御部23の表示制御部232は、必要な項目が含まれている承認フロー等設定用画面を、当該承認フロー等設定用画面の取得要求を送信してきた管理者端末3に送信して表示させる(ステップS-B)。ステップS-Bにおける承認フロー等設定用画面の送信は、上記取得要求と共に送信されてきた上記端末IDを手掛かりとして行われる。
【0041】
ステップS-Bで管理者端末3の上記ディスプレイに表示される承認フロー等設定用画面には、
図5に例示する承認フロー設定用画面50と、
図6(a)に例示するプロジェクト設定用画面51と、
図6(b)に例示する負担部門承認者設定用画面52がある。このうち、
図5に示す承認フロー設定用画面50には、設定対象たる承認フローの諸元(例えば、
図5に例示するような承認フローコードや承認フロー名等)を設定する際に用いられる承認フロー設定欄50aと、設定対象たる承認フローに含まれるべき承認ポイントの種類又は属性を設定する際に用いられる承認ポイント設定欄50bと、当該承認フロー設定欄50a及び承認ポイント設定欄50bを用いた各設定内容を確定し上記設定結果としてとして情報処理サーバ2に送信する際に操作される確定ボタン50cと、が設けられている。このとき、承認ポイント設定欄50bでは、各承認ポイントの種類又は属性を、承認ポイントごとに、
図5に例示するプルダウンメニュー50baを用いて選択/設定することが可能とされている。プルダウンメニュー50baでは、従来の承認フローと同様の、役職(役職付きの承認者)、部門(負担部門以外の部門に属する承認者)、社員(その他の社員たる承認者)及び部門グループ(複数の部門を含む部門グループとして承認を得る場合)に加えて、実施形態の負担部門承認者又はプロジェクト承認者の選択肢の中から、いずれかが択一的に選択可能とされている。
【0042】
一方、
図6(a)に示すプロジェクト設定用画面51は、
図5に示す承認フロー設定用画面50を用いて設定された承認フローに含まれる承認ポイントに対応したプロジェクト承認者を設定するための設定用画面である。そして、当該プロジェクト設定用画面51には、
図6(a)に示すように、当該プロジェクトの諸元(例えば、
図6に例示するようなプロジェクトコードやプロジェクト名、当該プロジェクトが属すべき組織内のカテゴリ等)を設定する際に用いられるプロジェクト設定欄51aと、そのプロジェクトの実行又は進行により発生する経費の負担部門の範囲を設定する際に用いられる負担部門設定欄51bと、当該プロジェクト設定欄51a及び負担部門設定欄51bを用いた各設定内容を確定し上記設定結果として情報処理サーバ2に送信する際に操作される確定ボタン51cと、が設けられている。このとき、プロジェクト設定欄51aには、そのプロジェクトにおける経費についての上記プロジェクト承認者を設定する際に用いられるプロジェクト承認者設定欄51aaが含まれている。このプロジェクト承認者設定欄51aaには、設定対象たるプロジェクト承認者の氏名又は識別コード等が入力可能とされている。
【0043】
他方、
図6(b)に示す負担部門承認者設定用画面52は、
図5に示す承認フロー設定用画面50を用いて設定された承認フローに含まれる承認ポイントに対応した負担部門承認者(換言すれば、後述する申請用画面53又は申請用画面54を用いて申請される負担部門の承認者)を設定するための設定用画面である。そして、当該負担部門承認者設定用画面52には、
図6(b)に示すように、経理部等の当該負担部門における上記負担部門承認者を設定する際に用いられる負担部門承認者設定欄52aと、当該負担部門承認者設定欄52aを用いた設定内容を確定し上記設定結果として情報処理サーバ2に送信する際に操作される確定ボタン52bと、が設けられている。この負担部門承認者設定欄52aには、設定対象たる負担部門承認者の氏名又は識別コード等が入力可能とされている。そして、上記承認フロー設定用画面50、上記プロジェクト設定用画面51及び上記負担部門承認者設定用画面52を用いてそれぞれ設定された結果は、上記承認者設定データを含む設定結果データとして、ネットワークNWを介して管理者端末3からシステム制御部23の承認者設定データ取得部231により取得される(ステップS-C)。承認者設定データ取得部231は、取得した承認者設定データを記録部22に記録し、対応するいずれかのデータベースに記録させる(ステップS-D)。
【0044】
続いて、実施形態の経費承認における情報処理システムSの動作について説明する。実施形態の経費承認は、申請者端末1と情報処理サーバ2とのセッションが確立され、申請者端末1から情報処理サーバ2へのログインが行われた後、申請者端末1を使用する申請者による操作に応じて開始される。このログイン時には、申請者等自身を識別するための識別データ、及びログイン元の申請者端末1を他の申請者端末1、管理者端末3及び承認者端末4から識別するための端末IDが、申請者端末1から情報処理サーバ2にネットワークNWを介して送信される。そして、
図3に示すように、実施形態の経費承認は、いずれかの申請者端末1から、経費の申請を行う旨と共に、当該申請用画面の取得要求がネットワークNWを介して送信されることで開始される(ステップS1)。この取得要求には、当該取得要求を送信する申請者端末1を識別するための上記端末IDが含まれている。
【0045】
上記申請用画面の取得要求が送信されてくると、システム制御部23の表示制御部232は、当該申請のために必要な項目が含まれている申請用画面を、当該申請用画面の取得要求を送信してきた申請者端末1に送信して表示させる(ステップS2)。ステップS2における申請用画面の送信は、当該申請用画面の取得要求と共に送信されてきた上記端末IDを手掛かりとして行われる。
【0046】
ステップS2で申請者端末1の上記ディスプレイに表示される申請用画面としては、
図7に例示する申請用画面53と、
図8に例示する申請用画面54と、のいずれか一方がある。ここで、当該申請用画面53は、そのヘッダ欄内で、経費の申請時に指定すべきプロジェクトを複数の経費明細について一括して設定する場合に用いられる申請用画面である。一方、当該申請用画面53は、経費の申請時に設定すべきプロジェクトを、その申請用画面53で纏めて経費申請しようとする経費明細ごとに設定する場合に用いられる申請用画面である。
【0047】
即ち、申請用画面53には、
図7に示すように、経費を申請する経費明細の諸元(例えば、
図7に例示するような伝票番号や申請日、部門グループとしての負担部門(プロジェクトと同様の、実施形態の負担部門(経費を負担する負担部門)とは異なる例えば部門グループとしての負担部門)等を設定する際に用いられるヘッダ欄53aと、申請対象たる経費の明細の内容を入力する先に用いられる入力欄53bと、入力した結果が一覧として表示される明細表示欄53cと、が設けられている。このとき、ヘッダ欄53aには、申請対象たる経費が発生する業務を実行するプロジェクトを設定する際に用いられるプロジェクト設定欄53aaが含まれている。このプロジェクト設定欄53aaには、設定対象たるプロジェクトのプロジェクト名又はプロジェクトコード等が入力可能とされている。なお、申請用画面53には、申請対象たる経費の承認が行われるべき承認フローを示す承認フロー表示欄53dと、当該承認フローに含まれる承認ポイントをそれぞれ示す承認ポイント表示欄53eも含まれている。
【0048】
これに対し、申請用画面54には、
図8に示すように、経費を申請する経費明細の諸元(例えば、
図8に例示するような伝票番号や申請日、部門グループとしての負担部門(上記申請用画面53と同様に、実施形態の負担部門とは異なる例えば部門グループとしての負担部門)等を設定する際に用いられるヘッダ欄54aと、申請対象たる経費の明細の内容を入力する先に用いられる入力欄54bと、入力した結果が一覧として表示される明細表示欄54cと、が設けられている。このとき、ヘッダ欄54aには、上記申請用画面53におけるプロジェクト設定欄53aaに相当する欄は設けられていない。これに代えて、申請用画面54では、明細表示欄54cに表示されている明細ごとに、当該明細の経費が発生する業務を実行するプロジェクトを設定する際に用いられるプロジェクト設定欄54caが、それぞれ含まれている。このプロジェクト設定欄54caには、申請用画面53のプロジェクト設定欄53aaと同様に、設定対象たるプロジェクトのプロジェクト名又はプロジェクトコード等が入力可能とされている。なお、申請用画面54には、申請用画面53と同様の、申請対象たる経費の承認が行われるべき承認フローを示す承認フロー表示欄54dと、当該承認フローに含まれる承認ポイントをそれぞれ示す承認ポイント表示欄54eも含まれている。
【0049】
ステップS2で申請用画面53又は申請用画面54が送信されたら、次にシステム制御部23の承認者データ取得/出力部233は、ステップS-Dで記録部22に記録されている承認フロー及び承認ポイントのデータ、及び社員承認者データベース221に格納されている社員承認者データを対象として、実施形態の承認者データの再取得処理を実行する(ステップS3)。
【0050】
ここで、上記ステップS3における承認者データの再取得処理について、具体的に
図4を用いて説明する。
図4に示すように、ステップS3における承認者データの再取得処理において、先ず、承認者データ取得/出力部233は、取得した承認者データが一覧的且つ一時的に記録される承認者リストをシステム制御部23の例えばRAM上に設定する等の初期化処理を行い(ステップSa)、上記ステップS-Cで記録部22に記録されている設定結果データ(上記承認フロー設定用画面50及び上記プロジェクト設定用画面51を用いてそれぞれ設定された承認者設定データを含む設定結果データ)を記録部22から取得する(ステップSb)。次に、承認者データ取得/出力部233は、上記承認リストを空リストとし(即ち初期化し)(ステップSc)、上記ステップS1で取得されている端末ID又は識別データにより特定される申請者の現在の所属の承認者を示す承認者データを、例えば社員承認者データベース221から取得する(ステップSd)。その後、承認者データ取得/出力部233は、以下に説明するステップSe乃至ステップSsを、ステップSbで取得した設定結果データに含まれている承認ポイントごとに繰り返す。
【0051】
即ち、承認者データ取得/出力部233は、最初の承認ポイントが、申請者が属する組織における役職の承認者による承認ポイント、又は負担部門以外の部門の承認者による承認ポイントのいずれかであるか否かを確認する(ステップSe)。ステップSeの確認において、その承認ポイントが、上記役職の承認者による承認ポイント又は負担部門以外の部門の承認者による承認ポイントであった場合(ステップSe:YES)、承認者データ取得/出力部233は、上記承認者リストに、ステップSeで確認された上記役職の承認者を示す承認者データ又は上記負担部門以外の部門の承認者を示す承認者データを追加し(ステップSf)、後述するステップSgに移行する。一方、ステップSeの確認において、その承認ポイントが、上記役職の承認者による承認ポイントでも負担部門以外の部門の承認者による承認ポイントでもなかった場合(ステップSe:NO)、次に、承認者データ取得/出力部233は、その承認ポイントが、負担部門承認者による承認ポイントであるか否かを確認する(ステップSg)。
【0052】
ステップSgの確認において、その承認ポイントが上記負担部門承認者による承認ポイントであった場合(ステップSg:YES)、承認者データ取得/出力部233は、負担部門承認者データベース222内を検索して、当該承認ポイントにおいて承認すべき負担部門承認者を示す承認者データの取得を試みる(ステップSh、ステップSi)。ステップSiの試行において、当該負担部門承認者を示す承認者データが取得できた場合(ステップSi:YES)、承認者データ取得/出力部233は、上記承認者リストに、ステップSh及びステップSiで取得された上記負担部門承認者を示す承認者データを追加し(ステップSk)、後述するステップSmに移行する。一方、ステップSh及びステップSiの試行において、当該負担部門承認者を示す承認者データが取得できない場合(ステップSi:NO)、本来設定されているべき負担部門承認者が設定されていない(即ち、最終的な経費精算ができない)ことになるので、承認者データ取得/出力部233は、例えば申請者端末1を使用する申請者又は管理者端末3を使用する管理者に対して、必要な負担部門承認者を設定すべき旨の警告を提示するエラー処理を行い(ステップSj)、後述するステップS4以降の処理(
図3参照)に移行する。
【0053】
他方、ステップSgの確認において、その承認ポイントが上記負担部門承認者による承認ポイントでない場合(ステップSg:NO)、次に、承認者データ取得/出力部233は、その承認ポイントが、プロジェクト承認者による承認ポイントであるか否かを確認する(ステップSm)。ステップSmの確認において、その承認ポイントが上記プロジェクト承認者による承認ポイントであった場合(ステップSm:YES)、承認者データ取得/出力部233は、プロジェクト承認者データベース223内を検索して、当該承認ポイントにおいて承認すべきプロジェクト承認者を示す承認者データの取得を試みる(ステップSn、ステップSo)。ステップSoの試行において、当該プロジェクト承認者を示す承認者データが取得できた場合(ステップSo:YES)、承認者データ取得/出力部233は、上記承認者リストに、ステップSn及びステップSoで取得された上記プロジェクト承認者を示す承認者データを追加し(ステップSp)、後述するステップSqに移行する。一方、ステップSm及びステップSoの試行において、当該プロジェクト承認者を示す承認者データが取得できない場合(ステップSo:NO)、承認者データ取得/出力部233は、上記ステップSjのようなエラー処理を行うことなく、次に、申請者が属する組織における役職以外の社員としての承認者による承認ポイント、又は負担部門以外の部門グループの承認者による承認ポイントのいずれかであるか否かを確認する(ステップSq)。
【0054】
ステップSqの確認において、その承認ポイントが、上記社員の承認者による承認ポイント又は負担部門以外の部門グループの承認者による承認ポイントであった場合(ステップSq:YES)、承認者データ取得/出力部233は、上記承認者リストに、ステップSqで確認された上記社員の承認者を示す承認者データ又は上記負担部門以外の部門グループの承認者を示す承認者データを追加し(ステップSr)、後述するステップSsに移行する。一方、ステップSqの確認において、その承認ポイントが、上記社員の承認者による承認ポイントでも負担部門以外の部門グループの承認者による承認ポイントでもなかった場合(ステップSq:NO)、承認者データ取得/出力部233は、現在ステップS3の対象となっている承認フローにおいて、これまで上記ステップSe乃至ステップSrの対象としてきた承認ポイントの次の承認ポイントが設定されているか否かを確認する(ステップSs)。ステップSsの確認において、当該次の承認ポイントが設定されている場合(ステップSs:YES)、承認者データ取得/出力部233は、当該次の承認ポイントを対象として上記ステップSe乃至ステップSrを行うべく、上記ステップSeに戻り、当該次の承認ポイントを対象として上記ステップSe乃至ステップSrを実行する。一方、ステップSsの確認において、当該次の承認ポイントが設定されていない場合(ステップSs:NO)、承認者データ取得/出力部233及びシステム制御部23は、例えば
図4に示す承認者データの再取得処理を実行中における上記承認フローの変更等の理由により、上記ステップSsの確認までを終えたタイミングにおける承認者リストに含まれている承認者データにより示される承認者と、そのタイミングにおける承認フローに含まれる各承認ポイントに対応した承認者とが一致しているか否か等の確認処理を行う(ステップSt)。その後、承認者データ取得/出力部233は、ステップStの確認処理の結果に対応した処理を現在の承認者リストに施しつつ、後述するステップS4以降の処理(
図3参照)に移行する。
【0055】
図3に戻って、申請者端末1において、上記申請用画面53又は上記申請用画面54を用いた実施形態の負担部門又はプロジェクトの設定のための入力が実行されると(ステップS4。
図7又は
図8参照)、当該負担部門又はプロジェクトの入力データがネットワークNWを介して情報処理サーバ2に送信される(ステップS5)。
【0056】
その後、システム制御部23の承認者データ取得/出力部233は、当該ステップS5で送信されてきた負担部門又はプロジェクトの入力データを用いて、上記ステップS3と同様の承認者データの再取得処理を再度行う(ステップS6)。このステップS6において実行される承認者データの再取得処理のステップSg乃至ステップSk、及びステップSm乃至ステップSp(
図4参照)では、ステップS5で送信されてきた負担部門又はプロジェクトの入力データに基づいて、対応する承認者データが承認者リストに追加される。
【0057】
次に、申請者端末1では、実施形態の負担部門又はプロジェクトの設定のための入力が実行された後(ステップS4参照)、更に申請データの作成(具体的には、当該申請データを構成する各項目の内容の入力)が完了すると(ステップS7)、当該作成された申請データが、ネットワークNWを介して情報処理サーバ2に送信される(ステップS8)。
【0058】
次に、送信された申請データがシステム制御部23の申請データ取得部234により取得されると、システム制御部23の承認処理部235は、申請データ取得部234により取得された上記申請データと、上記承認者データ再取得処理(ステップS6)で取得された承認者データが追加された承認者リストと、に基づいた、承認者端末4との間の上記承認要求データ及び上記承認結果データの授受を含む承認処理を、承認フローに含まれる承認ポイントごとに当該承認フローに対応した順序に沿って行う(ステップS9)。ステップS9の承認処理には、承認者端末4において承認された申請データを、当該申請データの経費を申請した申請者及びその承認結果に関連付けて記録部22に記録する記録処理が含まれる。
【0059】
ステップS9で承認者端末4のディスプレイに表示される実施形態の承認用画面は、
図9に例示する承認用画面55である。この承認用画面55には、承認対象たる経費の諸元(例えば、
図9に例示するような伝票番号や申請日、又は申請者等)が表示される経費諸元表示欄55aと、承認対象たる経費の内容が明細ごとに表示される明細表示欄55bと、が設けられている。このとき、明細表示欄55bに表示されている各明細には、当該明細ごとに、当該明細の経費が発生した業務を実行するプロジェクトが表示されるプロジェクト表示欄55baが、それぞれ含まれている。なお、承認用画面55には、承認対象たる経費の承認が行われるべき承認フローを示す承認フロー表示欄55cと、当該承認フローに含まれる承認ポイントをそれぞれ示す承認ポイント表示欄55dと、が含まれている。そして、承認ポイント表示欄55dには、各承認ポイントに対応付けて、承認端末4を使用する承認者が明細表示欄55bにそれぞれ表示されている各明細により示される経費の内容を承認する際に操作される承認ボタン55daと、当該経費の内容を承認しない際に操作される差戻ボタン55dbと、が含まれている。なお、
図9に例示する承認用画面55は、
図8に例示する申請用画面54を用いて申請された経費(明細ごとにプロジェクトが設定されている経費)の承認をする際に用いられる承認用画面55であり、これらの明細により示される経費を一括して承認する場合は承認ボタン55daが操作され、当該経費を一括しては承認しない場合は差戻ボタン55dbが操作される。そして、承認用画面55を用いた承認の結果が、上記承認結果データとして承認者端末4から承認処理部235に送信され、当該承認処理部235による承認処理に供される。
【0060】
その後、申請処理部236は、ステップS9の承認結果を含む実施形態の申請結果画面を表示するためのデータを、上記申請データを送信してきた申請者端末1に対してネットワークNWを介して送信し(ステップS10)、当該申請結果画面を申請者端末1において表示させる(即ち告知させる。ステップS11。)。この場合の送信は、申請データと共に送信されてきた端末IDを手掛かりとして行われる。なお、ステップS11で申請者端末1のディスプレイに表示される申請結果画面は、上記承認結果を含んだ従来と同様の申請結果画面となる。
【0061】
以上説明したように、実施形態の経費承認アプリケーションの動作によれば、情報処理サーバ2は、負担部門承認者の承認者データが記録部22に記録されている場合に、負担部門の設定操作に対応した負担部門承認者の承認者データを取得し(
図4ステップSg乃至ステップSk参照)、プロジェクト承認者の承認者データが記録部22に記録されている場合に、プロジェクトの設定操作に対応したプロジェクト承認者の承認者データを取得し(
図4ステップSm乃至ステップSp参照)、負担部門承認者の承認者データ又はプロジェクト承認者の承認者データのいずれか一方に対応した承認を受けるべき経費の申請に対応した申請データを受け付け、受け付けた申請データを、対応する承認結果及び申請者に関連付けて記録部22に記録する(
図4ステップS9参照)。よって、経費を負担する負担部門以外のプロジェクトにおける経費の承認者を設定した経費の申請ができるので、実際の業務の実行態様に合わせた経費申請が可能となる。
【0062】
また、プロジェクト承認者の承認者データが記録部22に記録されていない場合であってプロジェクトの設定操作が受け付けられたとき、当該プロジェクト承認者の承認者データが記録されていない旨のエラー情報の出力を禁止するので(
図4ステップSo参照)、プロジェクトの特性に合わせた経費申請が可能となる。
【0063】
更に、負担部門承認者の承認者データが記録部22に記録されていない場合であって負担部門の設定操作が受け付けられたとき、当該負担部門承認者の承認者データが記録されていない旨のエラー情報を出力させるので(
図4ステップSj参照)、プロジェクトの特性に対比させて、負担部門の特性に合わせた経費申請が可能となる。
【0064】
更にまた、複数のプロジェクトの設定操作が受け付けられた場合(
図8参照)に、当該受け付けられた設定操作の対象のプロジェクトそれぞれに対応する複数のプロジェクト承認者の承認者データを出力するので(ステップS9及び
図9参照)、経費申請の対象となるプロジェクトの申請者による確認の利便性が向上する。
【0065】
また、負担部門の承認者が当該負担部門について既定されており、負担部門承認者の承認者データが当該既定された承認者を示す承認者データであり、プロジェクトの承認者が当該プロジェクトについて既定されており、プロジェクト承認者の承認者データが当該既定された承認者を示す承認者データであるので、負担部門又はプロジェクトについて既定された承認者に承認を求める必要がある場合でも、効率的に経費の申請をすることができる。
【0066】
更に、一回の経費の申請においては(即ち、一の承認フローにおいては)、負担部門承認者の承認者データを用いた経費の申請に対応した申請データ又はプロジェクト承認者の承認者データを用いた経費の申請に対応した申請データのいずれか一方のみが受け付けられるので、負担部門承認者による経費の申請とプロジェクト承認者による経費の申請が、一の承認フローによる経費の申請において重複することを防ぐことができる。
【0067】
なお、上述した本発明の一実施形態では、出張等に関連する旅費や宿泊費或いは消耗品代金を経費の一例としたが、これ以外に、企業活動において必要となる費用について、本発明を広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
S 情報処理システム
1 申請者端末
2 情報処理サーバ
3 管理者端末
4 承認者端末
21 通信部
22 記録部
221 社員承認者データベース
222 負担部門承認者データベース
223 プロジェクト承認者データベース
23 システム制御部
231 承認者設定データ取得部
232 表示制御部
233 承認者データ取得/出力部
234 申請データ取得部
235 承認処理部
236 申請処理部
NW ネットワーク