(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】食品用包装材
(51)【国際特許分類】
B65D 65/10 20060101AFI20240118BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B65D65/10 A
B65D85/50 140
(21)【出願番号】P 2020031537
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】白井 直人
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-196225(JP,A)
【文献】特開2019-010008(JP,A)
【文献】特開平03-150694(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0120898(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/10
B65D 85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の一端から他端にかけて開封用条体を有して第1方向と交差する第2方向に分離可能な外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、外シートと同方向に分離可能な内シートとを備え、シート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される食品用包装材であって、食品を挟んで第1方向に二つ折りにすること、両側の余分なシート片を中心側に折ること及びこの上にラベルを貼着することにより、食品を三角形状に包装する食品用包装材であり、
余分なシート片となる部分のうち、ラベルが貼着される領域に、切込線を備え、
ラベルが剥がれることにより、切込線の端点から開裂が生じ、切込線を基端とするシートの一部分が余分なシート片から分断されてラベルに転写されるように構成される
食品用包装材。
【請求項2】
第1方向の一端から他端にかけて開封用条体を有して第1方向と交差する第2方向に分離可能な外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、外シートと同方向に分離可能な内シートとを備え、シート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される食品用包装材であって、食品を挟んで第1方向に二つ折りにすること、両側の余分なシート片を中心側に折ること及びこの上にラベルを貼着することにより、食品を三角形状に包装する食品用包装材であり、
余分なシート片となる部分のうち、ラベルが貼着される領域に、切込線を備え、
ラベルが剥がれることにより、切込線の端点から開裂が生じ、開裂線がラベルの貼着領域外に延びるように構成される
食品用包装材。
【請求項3】
外シート及び内シートの接合部は、第2方向における側部接合部を備え、
切込線は、側部接合部に形成される
請求項1又は請求項2に記載の食品用包装材。
【請求項4】
側部接合部は、第1方向の一端側に、複数の凸部が第1方向に連続して並ぶ外縁形状を有する易破断部を備え、
切込線は、側部接合部のうち、易破断部の内側に形成される
請求項3に記載の食品用包装材。
【請求項5】
切込線は、湾曲ないし屈曲した線であり、
切込線の形成により形成される遊離片を備える
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の食品用包装材。
【請求項6】
ラベルは、剥がれ得る全ての方向に対し、易破断部を備える
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の食品用包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を包装するための食品用包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
正面形状が三角形状(主として正三角形状)で、所定の厚みを有する立体形状に仕上げられた三角おにぎり等の米飯加工食品等の食品を包装するための食品用包装材は、長手方向の一端から他端にかけて開封用条体を有して幅方向に分断可能な外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、外シートと同方向に分離可能な内シートとを備え、シート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される形態が一般的である。
【0003】
この種の食品用包装材は、食品を挟んで長手方向に二つ折りにし、両側の余分なシート片を中心側に折り、この上にラベルを貼着することにより、食品を三角形状に包装するものである(いわゆる三角包装、たとえば特許文献1)。そして、食品を食する際には、食品包装体の角部にある摘み部を摘み、摘み部を引っ張って開封用条体を縦回りに引き回し、外シートを長手方向に分断した後、右側の分断包装体片を引っ張り、次に左側の分断包装体片を引っ張り、各分断包装体片を食品及びシート状食品から分離する。これにより、食品をシート状食品と一体化させた状態で取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の食品包装体にあっては、食品包装体に係る商品がコンビニエンスストア等の店舗で陳列されている状態において、悪意者が、ラベルを剥がし、包装を解いて、食品包装体の内部に何かしらの不正行為を働くおそれや、悪意ではなく、偶発的にラベルが剥がれて、包装が解かれてしまうおそれがある。いずれの場合であっても、食品衛生上、当然に看過することができない問題である。
【0006】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、包装端部にラベルが貼着される食品包装体において、ラベルが剥がれたという事実があったことを的確に把握することができる食品用包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る食品用包装材は、
第1方向の一端から他端にかけて開封用条体を有して第1方向と交差する第2方向に分離可能な外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、外シートと同方向に分離可能な内シートとを備え、シート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される食品用包装材であって、食品を挟んで第1方向に二つ折りにすること、両側の余分なシート片を中心側に折ること及びこの上にラベルを貼着することにより、食品を三角形状に包装する食品用包装材であり、
余分なシート片となる部分のうち、ラベルが貼着される領域に、切込線を備え、
ラベルが剥がれることにより、切込線の端点から開裂が生じ、切込線を基端とするシートの一部分が余分なシート片から分断されてラベルに転写されるように構成される
食品用包装材である。
【0008】
また、別の本発明に係る食品用包装材は、
第1方向の一端から他端にかけて開封用条体を有して第1方向と交差する第2方向に分離可能な外シートと、シート状食品を挟んで外シートに重ね合わせられ、外シートと同方向に分離可能な内シートとを備え、シート状食品を囲むように外シートと内シートとが接合される食品用包装材であって、食品を挟んで第1方向に二つ折りにすること、両側の余分なシート片を中心側に折ること及びこの上にラベルを貼着することにより、食品を三角形状に包装する食品用包装材であり、
余分なシート片となる部分のうち、ラベルが貼着される領域に、切込線を備え、
ラベルが剥がれることにより、切込線の端点から開裂が生じ、開裂線がラベルの貼着領域外に延びるように構成される
食品用包装材である。
【0009】
ここで、本発明に係る食品用包装材の一態様として、
外シート及び内シートの接合部は、第2方向における側部接合部を備え、
切込線は、側部接合部に形成される
との構成を採用することができる。
【0010】
この場合、
側部接合部は、第1方向の一端側に、複数の凸部が第1方向に連続して並ぶ外縁形状を有する易破断部を備え、
切込線は、側部接合部のうち、易破断部の内側に形成される
との構成を採用することができる。
【0011】
また、本発明に係る食品用包装材の他態様として、
切込線は、湾曲ないし屈曲した線であり、
切込線の形成により形成される遊離片を備える
との構成を採用することができる。
【0012】
また、本発明に係る食品用包装材の別の態様として、
ラベルは、剥がれ得る全ての方向に対し、易破断部を備える
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る食品用包装材によれば、ラベルが剥がれると、切込線の端点から開裂が生じ、切込線を基端とするシートの一部分が余分なシート片から分断されてラベルに転写される。こうなると、ラベルの再封性が低下するため、ラベルを元の貼着位置に戻そうとしても、戻らない。これにより、ラベルが剥がれたという事実があったことを的確に把握することができる。
【0014】
また、別の本発明に係る食品用包装材によれば、ラベルが剥がれると、切込線の端点から開裂が生じ、開裂線がラベルの貼着領域外に延びる。こうなると、ラベルを元の貼着位置に戻すことができたとしても、本来存在しない開裂線がラベルの外縁からラベルの貼着領域外に延びる形で視認される。これにより、ラベルが剥がれたという事実があったことを的確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る食品用包装材の分解斜視図である。
【
図5】
図5(a)ないし(c)は、同食品用包装材を用いて食品を包装する過程の斜視図である。
【
図6】
図6(a)ないし(c)は、
図5に続く過程の斜視図である。
【
図7】
図7(a)は、同食品用包装材を用いて食品が包装された食品包装体の正面図である。
図7(b)は、同食品包装体の背面図である。
【
図8】
図8(a)ないし(d)は、同食品包装体を開封する過程の斜視図である。
【
図9】
図9(a)は、同食品包装体のラベルの上半分以上が大きく剥がれた状態の同食品包装体の背面図である。
図9(b)は、同ラベルが斜め上方から部分的に剥がれた状態の同食品包装体の背面図である。
【
図10】
図10(a)は、本発明の第2実施形態に係る食品用包装材を用いて食品が包装された食品包装体の背面図である。
図10(b)は、同食品用包装材の、
図2のA部に相当する部分の拡大図である。
【
図11】
図11(a)は、同食品包装体のラベルの上半分以上が大きく剥がれた状態の同食品包装体の背面図である。
図11(b)は、同ラベルが斜め上方から部分的に剥がれた状態の同食品包装体の背面図である。
【
図12】
図11(a)及び(b)は、同食品包装体の開封状態を示す同食品包装体の背面図である。
【
図13】
図13(a)は、本発明の第3実施形態に係る食品用包装材を用いて食品が包装された食品包装体の背面図である。
図13(b)は、同食品用包装材の、
図2のA部に相当する部分の拡大図である。
【
図14】
図14(a)は、同食品包装体のラベルの上半分以上が大きく剥がれた状態の同食品包装体の背面図である。
図14(b)は、同ラベルが元の貼着位置に戻された状態の同食品包装体の背面図である。
【
図15】
図15(a)は、同ラベルが斜め上方から部分的に剥がれた状態の同食品包装体の背面図である。
図15(b)は、同ラベルが元の貼着位置に戻された状態の同食品包装体の背面図である。
【
図16】
図16(a)は、本発明の第4実施形態に係る食品用包装材を用いて食品が包装された食品包装体の背面図である。
図16(b)は、同食品用包装材の、
図2のA部に相当する部分の拡大図である。
【
図17】
図17(a)は、同食品包装体のラベルの上半分以上が大きく剥がれた状態の同食品包装体の背面図である。
図17(b)は、同ラベルが元の貼着位置に戻された状態の同食品包装体の背面図である。
【
図18】
図18(a)は、同ラベルが斜め上方から部分的に剥がれた状態の同食品包装体の背面図である。
図18(b)は、同ラベルが元の貼着位置に戻された状態の同食品包装体の背面図である。
【
図19】
図19(a)は、本発明の第5実施形態に係る食品用包装材を用いて食品が包装された食品包装体の背面図である。
図19(b)は、同食品包装体のラベルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態に係る食品用包装材及びこの食品用包装材を用いて食品が包装された食品包装体について、
図1ないし
図9を参酌して説明する。
【0017】
図1ないし
図3に示すように、本実施形態に係る食品用包装材1は、本体10を備える。本体10は、一対のシート(外シート2、内シート3)が、シート状食品4を挟んで重ね合わせられ、シート状食品4を囲むように接合されるものである。一対のシートは、互いに直交する方向の一方が他方よりも長い形状を有する。シート状食品4は、三角おにぎりに巻く海苔等である。一対のシートは、長手方向の一端10a側及び他端10b側の端部接合部11,11と、両側部の側部接合部12,12とにより、四方が接合、封止される。なお、以下では、上記一方(
図2及び
図3では、上下方向)を「長手方向」又は「第1方向」といい、上記他方(
図2及び
図3では、左右方向)を「幅方向」又は「第2方向」という。
【0018】
外シート2は、長手方向に二つ折りにした状態で食品を包み込める大きさの長方形状(矩形状)を有する。外シート2は、内層に熱溶着層(ヒートシール層)を有する紙、和紙、紙質又は紙様(以下においては、これらを合わせて「紙等」ということがある。)のシート(フィルム)である。本実施形態においては、外シート2は、紙シート(フィルム)に二軸延伸ポリプロピレン(OPP)シート(フィルム)をラミネートした積層シート(フィルム)である。また、紙シートは、バイオベースポリエチレンテレフタレート(バイオベースPET、いわゆるバイオPET)を含む紙である。なお、外シート2は、従来と同様、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱溶着性を有するプラスチックシート(プラスチックフィルム)であってもよい。
【0019】
外シート2の一端10aには、切込線20が形成される。切込線20は、一対設けられ、幅方向に所定間隔を有して離間する。切込線20は、全切線、半切線(ハーフカット)、ミシン目等によって形成される。切込線20の形成によって、開封起点としての摘み部21が形成される。
【0020】
摘み部21から外シート2の他端10bにかけて、外シート2の内面には、開封用条体22が設けられる。開封用条体22は、細幅の帯状又は線状である。摘み部21を引き下ろすことにより、開封用条体22が所定の幅で外シート2を破断し、外シート2が幅方向(左右)に分離(分割)可能となる。本実施形態においては、開封用条体22は、外シート2の幅方向の中央部に配置される。
【0021】
開封用条体22は、一対設けられる。一対の開封用条体22,22は、外シート2の一端10aから他端10bにかけて、二つの波が形成されるよう、長手方向に対して蛇行した形で、外シート2に全長に亘って貼着される。これにより、外シート2の一端10aから他端10bにかけて、第1交点22a及び第2交点22bが形成される。一端10aと第1交点22aとの間には、第1幅広部22cが形成される。第1交点22aと第2交点22bとの間には、第2幅広部22dが形成される。本実施形態においては、一対の開封用条体22,22は、外シート2の一端10aから他端10bにかけて、小さい波と大きい波の二つの波が形成されるように、外シート2に貼着される。これにより、第1幅広部22cよりも第2幅広部22dの方が、幅が広く、長手方向における長さが長くなっている。
【0022】
開封用条体22は、外シート2を破断することができる強度を有するたとえばカットテープや糸等である。本実施形態においては、開封用条体22は、カットテープである。カットテープ22は、二軸延伸ポリエステルないしポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の熱溶着性を有するプラスチックシート(プラスチックフィルム)を細くカットしたものである。
【0023】
内シート3は、外シート2と同様、長手方向に二つ折りにした状態で食品を包み込める大きさの長方形状(矩形状)を有する。内シート3は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱溶着性を有するプラスチックシート(プラスチックフィルム)である。本実施形態においては、内シート3は、マット処理が施された二軸延伸ポリプロピレン(OPP)シート(フィルム)である。
【0024】
内シート3は、長手方向に沿って内側部同士が重ね合わせられた一対の内シート片(第1内シート片30及び第2内シート片31)を備える。内シート片30,31の内側部30a,31a同士が重ね合わせられた状態の大きさが外シート2と同じ大きさである。本実施形態においては、重ね合わせ部32は、内シート3の幅方向の中央部に配置され、開封用条体22,22と配置が重なる。
【0025】
第1内シート片30は、長手方向に長い長方形状(矩形状)を有する。第1内シート片30は、外シート2の幅方向の一方側(本実施形態においては、食品用包装材1の一端10aを上、他端10bを下にして食品用包装材1を正面(外面)から見た場合の右側)に配置される。第2内シート片31は、長手方向に長い長方形状(矩形状)を有する。第2内シート片31は、外シート2の幅方向の他方側(本実施形態においては、食品用包装材1を正面(外面)から見た場合の左側)に配置される。重ね合わせ部32は、第1内シート片30の内側部30aと第2内シート片31の内側部31aとの重ね合わせによって構成される。重ね合わせ部32は、内シート3の一端10aから他端10bの全域にわたって形成される。
【0026】
内シート3は、第1内シート片30の内側部30aを覆う被覆片33をさらに備える。被覆片33は、内シート3の幅方向に所定の幅を有して内シート3の長手方向に沿って長尺な帯状である。被覆片33は、内シート片30,31と同様、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱溶着性を有するプラスチックシート(プラスチックフィルム)である。本実施形態においては、被覆片33は、エンボス加工が施された無延伸ポリプロピレン(CPP)シート(フィルム)である。
【0027】
被覆片33は、内シート3の一端10aから他端10bの全域にわたる長さを有する。被覆片33は、内側部33aが内シート3の一端10aから他端10bの全域にわたって第1内シート片30の内側部30aを覆うように、配置される。これにより、第2内シート片31の内側部31aと被覆片33の内側部33aとの間に、第1内シート片30の内側部30aが挿入されて、第2内シート片31の内側部31a、第1内シート片30の内側部30a及び被覆片33の内側部33aの3層のシートによるラビリンス構造が形成される。被覆片33は、外側部33b側にて第2内シート片31に接合される(接合部34)。
【0028】
端部接合部11は、内シート片30,31の重ね合わせ部32を除き、外シート2及び内シート3の一端10a及び他端10bに沿って外シート2及び内シート3をヒートシールすることにより形成される。側部接合部12は、外シート2及び内シート3の側縁に沿って外シート2及び内シート3をヒートシールすることにより形成される。このようにして構成された本体10の内部がシート状食品4の収容部となる。本実施形態においては、端部接合部11は、それぞれが一端10a及び他端10bに沿って延び、互いに外シート2及び内シート3の長手方向に所定間隔を有して平行する複数の線状ないし細幅の帯状(複数条)の接合部で構成される。また、本実施形態においては、側部接合部12は、たとえば開封用条体22,22の第1幅広部22cの幅よりも広い所定の幅を有する帯状の接合部で構成される。そして、本実施形態においては、側部接合部12は、連通部12aを備える。連通部12aは、幅方向に通気可能とするためのもので、長手方向に適宜間隔で複数設けられる。
【0029】
食品用包装材1(本体10)の両側部のうち、長手方向の両端部、すなわち、四隅の角部には、切欠部13が形成される。切欠部13は、食品用包装材1を用いて食品を包装する際の、両側の余分なシート片の一部を切欠部13により無くすことにより、両側の余分なシート片を中心側に折って三角形状にするにあたり、シート片の重なりを少なくするためのものである。
【0030】
切欠部13は、第1外形線13aと、第2外形線13bとで構成される。第1外形線13aは、食品用包装材1の一端10a及び他端10bから長手方向に沿って所定長さ延びる。第2外形線13bは、第1外形線13aの終端を始端として食品用包装材1の側縁に延びる。本実施形態においては、第1外形線13aは、長手方向と平行な直線であり、第2外形線13bは、食品用包装材1の側縁に対して鋭角(たとえば30ないし60度)に交わる直線の斜線である。
【0031】
切欠部13と食品用包装材1の側縁とが交わる部分から食品用包装材1の側縁の所定範囲にかけて、食品用包装材1の側縁に沿って、易破断部14が形成される。すなわち、食品用包装材1の一端10a側の両側部には、切欠部13と隣接して、易破断部14が形成される。易破断部14は、三角形状の凸部が連続して並ぶ鋸歯状の外縁形状を有する。易破断部14は、各開封用条体22に対応して設けられ、易破断部14から幅方向に食品用包装材1を破断しやすくするためのものである。
【0032】
図4にも示すように、食品用包装材1(本体10)の両側部のうち、食品用包装材1の一端側10aの端部、すなわち、食品用包装材1の一端側10aの両側の角部には、切込線15が形成される。そして、当該部分には、切込線15の形成により、遊離片16が形成される。切込線15及び遊離片16は、シート状食品4の収容部である本体10の内部に接しないよう、側部接合部12に形成される。
【0033】
切込線15及び遊離片16は、側部接合部12のうち、易破断部14の内側に形成される。切込線15は、両端点(一端15a及び他端15b)が側部接合部12の外縁(易破断部14)に接近する形状の湾曲した線である。遊離片16は、切込線15を外形線とし、両端点15a,15b間を固定端とするものである。本実施形態においては、切込線15は、逆U字状に形成される。これにより、遊離片16は、側部接合部12の内縁に向かって凸となる舌片となる。
【0034】
遊離片16は、両端点(一端15a及び他端15b)が食品用包装材1の長手方向の中央部側に片寄るように、形成される。すなわち、遊離片16は、長手方向(側部接合部12の外縁に沿った縁線EL)に対する遊離片16の中心線CLの交差角θが鋭角(たとえば30ないし90度)となるように、形成される。ただし、交差角θは、鈍角(たとえば90ないし130度)であってもよい。
【0035】
切込線15及び遊離片16は、長手方向に並んで複数設けられる。本実施形態においては、切込線15及び遊離片16は、長手方向に適宜間隔を有して2つ設けられる。しかし、切込線15及び遊離16は、3つ以上であってもよい。あるいは、切込線15及び遊離16は、1つだけであってもよい。
【0036】
本実施形態に係る食品用包装材1は、以上の構成からなり、次に、この食品用包装材1を用いた食品の包装方法について説明する。
【0037】
まず、
図5(a)に示すように、食品用包装材1の内シート3の上に三角おにぎり5が載せられる。このとき、三角おにぎり5が内シート片30,31上に左右均等に載り、かつ、三角おにぎり5の一つの角部(頂角部)が食品用包装材1の一端10a側の摘み部21に向くように、三角おにぎり5が配置される。なお、三角おにぎり5の幅は、シート状食品4の幅とほぼ同じである。
【0038】
次に、同図(b)に示すように、食品用包装材1が、一端10a側とこれに対向する他端10b側を合わせるように長手方向に二つ折りにされ、折った側の部分は、三角おにぎり5の側面(三角形状の斜面)にも沿うように折られる。これにより、食品用包装材1の長手方向の一端10a側半分が三角おにぎり5の正面を覆い、他端10b側半分が三角おにぎり5の背面を覆うとともに、食品用包装材1の両側(左右)のシート片10c,10cが食品用包装材1の一端10aと他端10bの位置がずれた状態となって余る。
【0039】
そこで、同図(c)に示すように、両側のいずれか一方の余分なシート片10cが、折られて、食品用包装材1の、三角おにぎり5の背面を覆っている部分の上に重ねられ、この上に、
図6(a)に示すように、他方の余分なシート片10cが、折られて、食品用包装材1の、三角おにぎり5の背面を覆っている部分の上に重ねられる。このとき、食品用包装材1の両側端部の易破断部14,14のそれぞれ最も一端10a側の端部同士、より詳しくは、それぞれ最も一端10a側に位置する三角形状の凸部同士が重なるように、両側の余分なシート片10c,10cが折られるようにする。また、これに伴い、複数の切込線15,…は、易破断部14,14に沿って横並びの配置となる。
【0040】
ここで、従来では、同図(b)に示すように、両側の余分なシート片10c,10cの、切欠部13によって互いに重なっていないそれぞれの部分が、食品用包装材1の、三角おにぎり5の背面を覆っている部分にポイントシール等により接合される(接合部17)。しかし、本実施形態においては、接合は行われない。これは、外シート2として、紙等を使用する場合であって、外シート2の外面が熱溶着性を有さない場合は、そもそもポイントシールができないということ、及び、ポイントシールができる場合であっても、ポイントシールにより、切込線15が溶着して潰れるおそれがあるということからである。
【0041】
次に、同図(c)に示すように、ラベル7が貼着される。ラベル7は、ラベル基材の表面に、商品名、原材料名、消費期限、製造者等の商品情報を表示する印刷が施された品質表示ラベルである。ラベル基材は、内層に粘着層ないし接着層を有する紙である。これにより、ラベル7は、食品用包装材1の、三角おにぎり5の背面を覆っている部分に、粘着ないし接着により剥離可能に貼着される。
【0042】
以上の工程を経て、
図7に示すように、食品包装体6が完成する。
図7(b)に示すように、ラベル7は、食品包装体6の背面の三角形状に収まる大きさの長方形状(矩形状)を有する。これにより、ラベル7の中心部及び下半分は、食品用包装材1の長手方向の他端10b側半分における外シート2の外面に貼着される。ラベル7の右上部(右上の角部)は、一方の余分なシート片10cの外面(食品用包装材1の長手方向の一端10a側半分の一方の角部における外シート2の外面)に貼着される。ラベル7の左上部(左上の角部)は、他方の余分なシート片10cの外面(食品用包装材1の長手方向の一端10a側半分の他方の角部における外シート2の外面)に貼着される。
【0043】
そして、ラベル7の右上部が一方の余分なシート片10cの外面に貼着されることにより、一方の余分なシート片10cに設けられた易破断部14、切込線15及び遊離片16の上に、ラベル7の右上部が貼着される。また、ラベル7の左上部が他方の余分なシート片10cの外面に貼着されることにより、他方の余分なシート片10cに設けられた易破断部14、切込線15及び遊離片16の上に、ラベル7の左上部が貼着される。
【0044】
なお、
図7(a)に示すように、食品包装体6の正面には、ラベル8が貼着される。ラベル8は、商品名、おにぎりの中味(具材)、価格、商品のイメージ画像等を表示する印刷がラベル基材の表面に施され、食品包装体6に係る商品が店舗で陳列される際に正面側となる部分に貼着される商品表示ラベルである。
【0045】
ラベル7の下縁部(すなわち、ラベル7の縁部のうち、開封用条体22,22による開封起点側に位置する縁部)には、易破断部70が形成される。ラベル8の上縁部(すなわち、ラベル8の縁部のうち、開封用条体22,22による開封起点側に位置する縁部)には、易破断部80が形成される。易破断部70,80は、開封方向(長手方向)と交差する幅方向に所定間隔を有して並列する複数の切込線からなる。ラベル7,8が開封用条体22,22の一部の上に貼着され、開封用条体22,22による開封の抵抗となる。易破断部70,80は、開封用条体22,22がラベル7,8を破断できるようにして、できるだけ開封の抵抗が少なくなるようにするためのものである。
【0046】
食品包装体6においては、開封用条体22,22の第1交点22aは、食品包装体6の正面に配置され、開封用条体22,22の第2交点22bは、食品包装体6の背面のうち、開封用条体22,22による開封終点領域に配置される。すなわち、第1幅広部22cは、開封用条体22,22による開封起点(食品用包装材1の一端10a)から食品包装体6の正面の中央領域まで配置され、第2幅広部22dは、食品包装体6の正面の中央領域から食品包装体6の背面の長手方向に亘って開封用条体22,22による開封終点(食品用包装材1の他端10b)領域まで配置され、第2幅広部22dの最大幅の部分は、三角形状の底辺に相当する食品包装体6の底部ないし底部の近傍に配置される。
【0047】
かかる構成によれば、開封起点としての摘み部21は、広すぎず狭すぎない第1幅広部22cにより、適正な幅となり、摘まみやすいものとなる。また、かかる構成によれば、第2幅広部22dは、食品包装体6の、底部に向かうほど広がっていき、底部から離れるほど狭まっていく形状に対応した配置となる。このため、食品包装体6の三角形状に対応した好適な幅広開封(ワイド開封)を実現することができる。
【0048】
三角おにぎり5を食する際には、
図8(a)及び(b)に示すように、摘み部21を摘み、摘み部21を引っ張って開封用条体22,22を縦回りに引き回し、外シート2を長手方向に分断する。この際、開封用条体22,22は、互いに間隔を有する一対からなるので、分断開口23は、幅広となる。また、外シート2は、分断された結果、右側の第1外シート片24と左側の第2外シート片25とに分断される。第1外シート片24は、第1内シート片30に対応したシート片である。第1外シート片24及び第1内シート片30は、端部接合部11及び側部接合部12を介して一体化されていて、第1分断包装体片60を構成する。第2外シート片25は、第2内シート片31に対応したシート片である。第2外シート片25及び第2内シート片31は、端部接合部11及び側部接合部12を介して一体化されていて、第2分断包装体片61を構成する。
【0049】
そこで、まず、同図(c)に示すように、第1分断包装体片60を右側に引っ張り、第1分断包装体片60を三角おにぎり5及びシート状食品4から分離する。そして次に、同図(d)に示すように、第2分断包装体片61を左側に引っ張り、第2分断包装体片61を三角おにぎり5及びシート状食品4から分離する。これにより、三角おにぎり5をシート状食品4と一体化させた状態で取り出すことができる。
【0050】
次に、食品用包装材1及び食品包装体6の不正開封検知機能について説明する。想定としては、食品包装体6に係る商品が店舗で陳列されている状態において、悪意者が、ラベル7を剥がし、包装を解いて、食品包装体6の内部に何かしらの不正行為を働こうとする場合や、悪意ではなく、偶発的にラベル7が剥がれて、包装が解かれてしまう場合である。
【0051】
いずれの場合であっても、不正開封の契機は、ラベル7が剥がれることである。したがって、ラベル7が剥がれたという事実があったことを把握することができれば、不正開封があった可能性があるとして、その商品を排除することができ、不測の事態を回避することができる。
【0052】
本実施形態においては、切込線15及び遊離片16が不正開封検知機能を実現する。遊離片16は、ラベル7に貼着されている。このため、
図9(a)に示すように、ラベル7の上半分以上が大きく剥がれた場合や、
図9(b)に示すように、ラベル7が斜め上方から部分的に剥がれた場合、切込線15の端点15a,15bから開裂が生じ、遊離片16及びこれに続く部分がシート片10cから分断される。ラベル7が一旦剥がれ、かつ、シート片10cが部分的に分断され、これがラベル7に転写されると、剥離に伴って粘着性ないし接着性が低下すること及び粘着面積ないし接着面積が狭くなることにより、シート片10cに対するラベル7の再粘着性ないし再接着性(再封性)は、著しく低下する。こうなると、ラベル7を
図7(b)に示すような元の貼着位置に戻そうとしても、戻らず、ラベル7は、カールして剥がれたままの状態となる。これにより、販売者や購入者は、不正開封があった可能性を把握することができる。
【0053】
このように、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6によれば、ラベル7が貼着される領域に、切込線15及び遊離片16が形成されるという極めて簡単な構成により、不正開封を検知することができる。また、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6によれば、不正開封検知機能の世間での認知度の高まりに伴い、不正開封の未然防止効果が生じることを期待することができる。
【0054】
また、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6によれば、切込線15及び遊離片16は、食品用包装材1の側部接合部12に形成され、シート状食品4の収容部である本体10の内部に接していない。これにより、高い密封性を得ることができ、切込線15から異物等が内部に侵入するのを好適に防止することができ、食品衛生上優れた食品包装体6とすることができる。
【0055】
また、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6によれば、外シート2に紙を用いることにより、プラスチックの使用量を削減することができる。近年は、廃棄プラスチックが全世界的な環境問題となっているが、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6によれば、この環境問題に対し、有効な対策となる。しかし、上述のとおり、外シート2に紙を用いると、三角包装時にポイントシールができない場合がある。ポイントシールがされていることは、不正開封に一定の歯止めをかけることができるのであるが、ポイントシールがされていないと、不正開封されるリスクはある程度高まってしまう。したがって、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6のように、三角包装時にポイントシールしないものについては、不正開封検知機能は極めて有効である。
【0056】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態に係る食品用包装材及び食品包装体について、
図10ないし
図12を参酌して説明する。なお、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6が第1実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6と異なる点は、切込線15及び遊離片16の形状に関する点である。この点以外については、両者は、同じである。そこで、以下においては、異なる点のみを説明し、同じ点については、第1実施形態の記載のとおりであるとして、説明を省略するものとする。
【0057】
図10に示すように、切込線15及び遊離片16は、側部接合部12のうち、易破断部14の内側に形成される。切込線15は、両端点(一端15a及び他端15b)が側部接合部12の外縁(易破断部14)に接近する形状の湾曲した線である。遊離片16は、切込線15を外形線とし、両端点15a,15b間を固定端とするものである。本実施形態においては、切込線15は、円弧線状に形成される。これにより、遊離片16は、側部接合部12の内縁に向かって凸となる円弧片となる。
【0058】
遊離片16は、両端点(一端15a及び他端15b)が食品用包装材1の一端10a側に片寄るように、形成される。すなわち、遊離片16は、長手方向(側部接合部12の外縁に沿った縁線EL)に対する遊離片16の中心線CLの交差角θが鈍角(たとえば90ないし130度)となるように、形成される。ただし、交差角θは、鋭角(たとえば30ないし90度)であってもよい。
【0059】
切込線15及び遊離片16は、1つ設けられる。しかし、切込線15及び遊離16は、内側又は外側に並んで複数設けられるものであってもよい。
【0060】
本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6によっても、
図11に示すように、第1実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6と同じ作用効果を得ることができる。しかも、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6によれば、シート片10cから分断される遊離片16及びこれに続く部分の面積が大きい。このため、粘着面積ないし接着面積は、極めて狭小となり、ラベル7の再粘着性ないし再接着性(再封性)は、極めて小さい。したがって、ラベル7を元の貼着位置に戻して何事もないかのように装うとしても無理であり、不正開封を好適に検知することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6によれば、切込線15は、一端15aに向かうにつれて、開封用条体22,22に接近する形状となっている。これにより、
図12(a)に示すように、外シート2の開裂線が左右に膨らんでいって開封用条体22,22から脱線するいわゆる開封ずれが生じ、適切でない開封状態となってしまいそうになっても、
図12(b)に示すように、外シート2の開裂線が切込線15に誘導され、開封用条体22,22側の正規位置に戻される。したがって、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6によれば、開封ずれを効果的に防止することができる。
【0062】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態に係る食品用包装材及び食品包装体について、
図13ないし
図15を参酌して説明する。なお、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6が第1実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6と異なる点は、切込線15の形状及び遊離片16の有無に関する点である。この点以外については、両者は、同じである。そこで、以下においては、異なる点のみを説明し、同じ点については、第1実施形態の記載のとおりであるとして、説明を省略するものとする。
【0063】
第1及び第2実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6は、ラベル7の再封性を低下させることを主眼とする。これに対し、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6は、ラベル7が剥がれたことの痕跡を残すことを主眼とする。このため、
図13に示すように、切込線15は、他端15bに向かうにつれて、ラベル7の側縁に接近する形状となっている。
【0064】
図14(a)に示すように、ラベル7の上半分以上が大きく剥がれた場合や、
図15(a)に示すように、ラベル7が斜め上方から部分的に剥がれた場合、切込線15の他端15bから開裂が生じ、開裂線は、ラベル7の側縁から側方に延びる。したがって、
図14(b)及び
図15(b)に示すように、ラベル7が一旦剥がれても、ラベル7の再封性が残っていて、ラベル7を元の貼着位置に戻すことができたとしても、本来存在しない開裂線がラベル7の側縁からラベル7の貼着領域外に延びる形で視認される。これにより、販売者や購入者は、不正開封があった可能性を把握することができる。
【0065】
なお、切込線15の開裂がラベル7の貼着領域内に収まらず、ラベル7の側縁からラベル7の貼着領域外に確実に延びるようにするために、切込線15の他端15bは、ラベル7の側縁から僅かにはみ出るようにするのが好ましい。また、ラベル7の貼着位置が機械誤差や食品包装体6の個体差により多少ずれることに鑑みても、切込線15の他端15bは、ラベル7の側縁から僅かにはみ出るようにするのが好ましい。
【0066】
<第4実施形態>
以下、第4実施形態に係る食品用包装材及び食品包装体について、
図16ないし
図18を参酌して説明する。なお、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6が第1実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6と異なる点は、切込線15及び遊離片16の形状に関する点である。この点以外については、両者は、同じである。そこで、以下においては、異なる点のみを説明し、同じ点については、第1実施形態の記載のとおりであるとして、説明を省略するものとする。
【0067】
本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6は、第1及び第2実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6と第3実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6の複合型である。すなわち、本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6は、ラベル7の再封性を低下させ、かつ、ラベル7が剥がれたことの痕跡を残すものである。
【0068】
図16に示すように、切込線15は、一端15aと他端15bとの間に変曲点15cを有する。一端15a及び変曲点15c間の部分は、第2実施形態に係る切込線15と同様である。変曲点15c及び他端15b間の部分は、第3実施形態に係る、他端15bに向かうにつれて、ラベル7の側縁に接近する形状の切込線15と同様である。
【0069】
本実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6によれば、
図17及び
図18に示すように、第1ないし第3実施形態に係る食品用包装材1及び食品包装体6が奏する全ての作用効果を得ることができる。
【0070】
<第5実施形態>
以下、第5実施形態に係る食品用包装材及び食品包装体について、
図19を参酌して説明する。本実施形態では、ラベル7に特徴がある。このラベル7は、この種の三角包装のほか、突き上げ包装等、包装端部を固定するためにラベルを使用する各種の食品用包装材及び食品包装体に適用可能である。この点、本実施形態に係るラベル7に係る発明は、各実施形態に係る食品包装材1及び食品包装体6に係る発明とは独立した発明である。なお、突き上げ包装とは、食品を下方から突き上げて食品用包装材の内面の中央部に押し込むことで、食品用包装材を食品の形状に沿わすように変形させて、食品を包み込み、この後、食品用包装材の外周端部を集束させて、ここにラベルを貼着する包装のことをいう。
【0071】
図19に示すように、ラベル7は、全周、すなわち、上縁部、下縁部、左右の側縁部すべてに、易破断部70を備える。易破断部70は、各縁部に沿って所定間隔を有して並列する複数の切込線からなる。ラベル7がいずれかの部位から剥がされそうになった場合、いずれかの切込線から開裂が生じ、これが痕跡となって残る。したがって、ラベル7が一旦剥がれても、ラベル7の再封性が残っていて、ラベル7を元の貼着位置に戻すことができたとしても、開裂線が易破断部70からラベル7の中心に向かう形で視認される。これにより、販売者や購入者は、不正開封があった可能性を把握することができる。
【0072】
なお、本発明に係る食品用包装材及び食品包装体は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0073】
上記各実施形態における切込線15及び遊離片16の形状及び配置は、あくまで例示である。本発明に係る切込線及び遊離片の形状及び配置は、本発明の意図する範囲で種々決定することができる。
【0074】
また、上記各実施形態において、切込線15は、湾曲した線である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。切込線は、屈曲した線、又は、湾曲した線と屈曲した線が複合した線であってもよい。また、切込線は、直線であってもよい。
【0075】
また、上記各実施形態において、切込線15は、全切線である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。切込線は、ラベルが剥がれると、破断する、たとえば半切線(ハーフカット)やミシン目であってもよい。
【0076】
また、上記各実施形態において、切込線15は、側部接合部12が形成された後、すなわち、製袋された後に、たとえばダイカットにより、外シート2及び内シート3を貫通するように、形成される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。切込線は、製袋に先立ち、外シートだけに形成されるものであってもよい。
【0077】
また、上記各実施形態において、切込線15は、側部接合部12に形成される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、外シート又は内シートが側部接合部よりも延出する形態の食品用包装材において、切込線は、このシートの延出部分に形成されるものであってもよい。
【0078】
また、上記各実施形態において、側部接合部12は、連通部12aを備える。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、側部接合部は、食品用包装材の一端から他端にかけて連続したものであり、切込線は、この側部接合部に形成されるものであってもよい。
【0079】
また、上記各実施形態において、切欠部13及び易破断部14が設けられる。しかし、本発明において、これらは必須ではない。
【0080】
また、上記各実施形態において、ラベル7は、長方形状である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。ラベルは、円形状、楕円形状、三角形状等、各種の形状であってもよい。
【0081】
また、上記第5実施形態において、ラベル7の易破断部70は、外周全体的に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。易破断部が不正開封検知機能としても用いられることに鑑みれば、易破断部は、少なくとも、ラベルが剥がれ得る全ての方向に対し、設けられていればよい。
【0082】
また、上記各実施形態においては、開封用条体22は、一対の波形で互いに交差するものである。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。開封用条体は、一対の波形で互いに交差しないものや、一本の直線状のものや、二本の平行な直線状のものや、幅広な帯状のもの等、種々の形態のものを採用することができる。
【0083】
また、「三角形状」、「長方形状」、「矩形状」、「中央部」、「端部」、「側部」、「均等」、「一致」、「平行」、「垂直」といった形状、部位又は状態を特定する用語は、本発明において、そのもののほか、それに近いないし類するという意味の「略」の概念も含むものである。
【0084】
また、上記各実施形態においては、食品は、三角おにぎり(米飯加工食品)であり、シート状食品は、海苔である。しかし、包装対象の食品は、食品用包装材で包むことができる形であれば、おにぎり以外の米飯加工食品(たとえば、ピラフ、チャーハン、寿司等)や、米飯加工食品以外の食品(たとえば、饅頭等の和菓子、ケーキ等の洋菓子、パン、サンドイッチ、ハンバーガー等)であってもよく、食品の種類は、特に限定されるものではない。シート状食品も、食品用包装材の平面状の収容部に収容できる形であれば、シート状の昆布、畳鰯等であってもよく、シート状食品の種類は、特に限定されるものではない。
【0085】
また、包装対象の食品の形状も、特に限定されるものではない。たとえば、正面が三角形状ではなく、正面が円形状や四角形状の偏平な柱状であってもよい。また、ブロック状であってもよい。また、球状等、全面が連続した曲面状のものであってもよい。これらは一例にすぎず、要は、食品用包装材で包むことができる形であれば、どのような形状であってもよい。
【0086】
また、食品用包装材に用いられるシートは、上記のものに限定されない。たとえば、プラスチックシート(プラスチックフィルム)であってもよい。また、紙又は紙質シート等、その他の材質のシート(フィルム)であってもよい。また、単一の材質のシート(フィルム)ではなく、複数の材質のシート(フィルム)を積層した積層シート(積層フィルム)であってもよい。また、シートは、たとえば、二枚のシート(フィルム)を端部同士を接合して一枚のシートにしたものや、三枚のシート(フィルム)を順次端部同士を接合して一枚のシートにしたもののように、複数枚のシート(フィルム)を用いて一枚のシートに形成したものであってもよい。また、この場合、各シート(フィルム)の材質は、異なるものであってもよい。たとえば、一部のシート(フィルム)には、プラスチックシート(プラスチックフィルム)ではなく、紙又は紙質シートを用いるようにしてもよい。なお、本発明において、シートは、厚みによって定められるものではなく、フィルムを含む概念である。
【符号の説明】
【0087】
1…食品用包装材、10…本体、10a…一端、10b…他端、10c…余分なシート片、11…端部接合部、12…側部接合部、12a…連通部、13…切欠部、13a…第1外形線、13b…第2外形線、14…易破断部、15…切込線、15a…一端(端点)、15b…他端(端点)、15c…変曲点、16…遊離片、17…接合部、2…外シート、20…切込線、21…摘み部、22…開封用条体、22a…第1交点、22b…第2交点、22c…第1幅広部、22d…第2幅広部、23…分断開口、24…第1外シート片、25…第2外シート片、3…内シート、30…第1内シート片、30a…内側部、31…第2内シート片、31a…内側部、32…重ね合わせ部、33…被覆片、33a…内側部、33b…外側部、34…接合部、4…シート状食品、5…三角おにぎり、6…食品包装体、60…第1分断包装体片、61…第2分断包装体片、7…ラベル、70…易破断部、8…ラベル、80…易破断部、CL…中心線、EL…縁線