(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】電気的接続装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20240118BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20240118BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G01R1/073 A
G01R31/26 J
H01L21/66 B
(21)【出願番号】P 2020070037
(22)【出願日】2020-04-08
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】戸次 翔大
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-313767(JP,A)
【文献】特開2006-153620(JP,A)
【文献】特表2008-525793(JP,A)
【文献】特開2009-139161(JP,A)
【文献】特開平05-102257(JP,A)
【文献】特開2000-206148(JP,A)
【文献】特開2016-217910(JP,A)
【文献】特開2008-026336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06-1/073
G01R 31/26
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブヘッドと、
前記プローブヘッドから先端が露出した状態で前記プローブヘッドが保持する、被検査体の測定に使用する測定用プローブと、
前記プローブヘッドから先端が露出した状態で前記プローブヘッドが保持し、前記プローブヘッドから露出した部分の先端までの長さである先端長が前記測定用プローブよりも短い確認用プローブと
を備え
、
前記確認用プローブが、前記プローブヘッドから露出した部分において径が変化する段付き構造を有する
ことを特徴とする電気的接続装置。
【請求項2】
前記測定用プローブと前記確認用プローブの前記先端長の差が、前記測定用プローブを前記被検査体に接触させる押圧に応じて設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電気的接続装置。
【請求項3】
前記先端長が相互に異なる複数の前記確認用プローブを備えることを特徴とする請求項
1又は2に記載の電気的接続装置。
【請求項4】
平面視で、前記測定用プローブを保持する領域の外側で、前記プローブヘッドが前記確認用プローブを保持することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の電気的接続装置。
【請求項5】
前記プローブヘッドの前記測定用プローブを保持する領域において前記測定用プローブと前記確認用プローブが混在することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の電気的接続装置。
【請求項6】
先端をそれぞれ露出した状態で測定用プローブと確認用プローブを保持するプローブヘッドであって、前記プローブヘッドから露出した部分の先端までの長さである先端長が前記測定用プローブよりも前記確認用プローブの方が短い前記プローブヘッドを準備するステップと、
前記プローブヘッドと検査用基板の間隔を狭くして、前記検査用基板に前記確認用プローブの先端を接触させるステップと、
前記確認用プローブの先端が前記検査用基板に接触した状態において前記測定用プローブに作用させたオーバードライブ量を記録するステップと
、
前記確認用プローブの先端が前記検査用基板に接触した後に、前記確認用プローブの前記先端長を短く加工する先端処理を行うステップと
を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項7】
前記測定用プローブと前記確認用プローブの前記先端長の差を、前記測定用プローブを被検査体に接触させる押圧に応じて設定することを特徴とする請求項
6に記載の検査方法。
【請求項8】
前記確認用プローブと前記検査用基板との電気的な接続を検出することにより、前記確認用プローブと前記検査用基板の接触を検出することを特徴とする請求項
6又は7に記載の検査方法。
【請求項9】
前記プローブヘッドから露出した部分において径が変化する段付き構造を有する前記確認用プローブを使用し、
前記先端処理において、前記段付き構造の部分で前記確認用プローブの先端を切断若しくは折り曲げることを特徴とする請求項
6乃至8のいずれか1項に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の電気的特性の測定に使用する電気的接続装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路などの被検査体の電気的特性をウェハから分離しない状態で測定するために、被検査体に接触させるプローブを有する電気的接続装置を用いる。電気的接続装置は、例えば、プローブを保持するプローブヘッドを配線基板に取り付けた構成を有する(特許文献1参照。)。プローブの基端が配線基板に接続し、被検査体の測定時にプローブの先端が被検査体に接触する。
【0003】
被検査体の測定では、プローブと被検査体が電気的に接続する。そのために、プローブを強く被検査体に押し付けるように、プローブにオーバードライブ(OD)が作用する。ODによってプローブが被検査体に所定の押圧で接触するように、一定のオーバードライブ量を電気的接続装置に設定する。以下において、設定するオーバードライブ量を「Program Over Drive(POD)」という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
設定したPODによってプローブに実際に作用するオーバードライブ量(以下において「Actual Over Drive(AOD)」という。)を確認することが、プローブと被検査体との電気的な接続を確保すために有効である。PODとAODの関係を正確に把握しないと、プローブが被検査体に所定の押圧で接触しない可能性がある。
【0006】
本発明は、被検査体に所定の押圧でプローブが接触する電気的接続装置および検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、プローブヘッドと、プローブヘッドが保持する測定用プローブおよび確認用プローブを備える電気的接続装置が提供される。プローブヘッドから露出した部分の先端までの長さである先端長は、測定用プローブよりも確認用プローブの方が短く、確認用プローブが、プローブヘッドから露出した部分において径が変化する段付き構造を有する。
【0008】
本発明の他の態様によれば、先端長が測定用プローブよりも短い確認用プローブが検査用基板に接触するまでプローブヘッドと検査用基板の間隔を狭くし、測定用プローブに作用させたオーバードライブ量を記録し、確認用プローブの先端が検査用基板に接触した後に、確認用プローブの先端長を短く加工する先端処理を行う検査方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被検査体に所定の押圧でプローブが接触する電気的接続装置および検査方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す模式図である。
【
図2】測定用プローブと確認用プローブの配置関係を示す模式的な平面図である。
【
図3】測定用プローブと確認用プローブの他の配置関係を示す模式的な平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る検査方法を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係る検査方法を説明するための模式図である(その1)。
【
図6】本発明の実施形態に係る検査方法を説明するための模式図である(その2)。
【
図7】確認用プローブと検査用基板の電気的な接続を検出する電気回路である。
【
図8】
図8(a)~
図8(d)は、段付き構造を有する確認用プローブの例を示す模式図である。
【
図9】本発明の実施形態の変形例に係る電気的接続装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0012】
図1に示す本発明の実施形態に係る電気的接続装置1は、半導体基板3に形成した被検査体(図示略)の電気的特性の測定に使用する。電気的接続装置1は、半導体基板3に対向して配置したプローブヘッド20と、プローブヘッド20が保持する測定用プローブ11および確認用プローブ12を備える。
【0013】
プローブヘッド20は、プローブヘッド20から先端が露出した状態で、被検査体の測定に使用する測定用プローブ11を保持する。被検査体の測定時に、測定用プローブ11の先端が被検査体の測定用パッドに接触する。
【0014】
また、プローブヘッド20は、プローブヘッド20から先端が露出した状態で確認用プローブ12を保持する。プローブヘッドから露出した部分の先端までの長さ(以下において「先端長」という。)が、測定用プローブ11よりも確認用プローブ12の方が短い。
図1において、測定用プローブ11と確認用プローブ12の先端長の差をT1で示した。
【0015】
測定用プローブ11は、被検査体の測定時にODが作用して検査用パッドに所定の押圧で接触する。例えば、測定用プローブ11は、被検査体に接触したときに座屈してODが作用するように弾性変形する。或いは、測定用プローブ11は、バネ部を有して軸方向に伸縮自在である。バネ部を有するプローブは、側面にらせん状の切込みをバネ部として形成したプローブや、ポゴピンなどのようにバネを内蔵したプローブなどである。
【0016】
測定用プローブ11は、プローブヘッド20を貫通する。電気的接続装置1は測定用ランド31を有する配線基板30を備え、測定用プローブ11のプローブヘッド20から露出する基端が測定用ランド31に接続する。測定用ランド31は、配線基板30に配置した測定用接続端子33と、配線基板30に形成した配線パターン(図示略)により電気的に接続する。例えば、配線基板30の一方の主面に測定用ランド31を配置し、他方の主面に測定用接続端子33を配置する。測定用接続端子33は、テスタなどの検査装置(図示略)と電気的に接続する。電気的接続装置1を介して、検査装置と被検査体の間で電気信号が伝搬する。例えば、配線基板30及び測定用プローブ11を経由して、測定装置から電気信号が被検査体に送信され、被検査体から出力された電気信号が測定装置に送信される。
【0017】
確認用プローブ12は、測定用プローブ11と同様にプローブヘッド20を貫通する。確認用プローブ12のプローブヘッド20から露出する基端が、配線基板30に配置された確認用ランド32に当接する。確認用ランド32は、配線基板30に形成した配線パターン(図示略)により、配線基板30に配置した確認用接続端子34と電気的に接続する。
【0018】
プローブヘッド20が測定用プローブ11を保持する領域は、プローブヘッド20の被検査体と対向する領域である。プローブヘッド20が測定用プローブ11を保持する領域を、以下において「測定用プローブエリア」と称する。
【0019】
図2に、測定用プローブ11と確認用プローブ12の配置場所の例を示す。
図2は、AODの確認に使用する検査用基板2に、プローブヘッド20を平面視で重ねて表示している。ただし、
図2では、測定用プローブ11と確認用プローブ12を除いて、プローブヘッド20を透過して検査用基板2の主面を表示している。
図2において、確認用プローブ12の位置を黒丸で示し、測定用プローブ11の位置を二重丸で示している(以下において同様。)。
【0020】
検査用基板2は、検査チップ領域200と、検査チップ領域200の両側に配置した隣接チップ領域201を有する。
図2では、プローブヘッド20の測定用プローブエリア21と検査チップ領域200を平面視で重ねて表示している。検査チップ領域200と隣接チップ領域201の主面に、検査用パッド210を配置している。検査チップ領域200と隣接チップ領域201の主面における検査用パッド210の配置は、被検査体における測定用パッドの配置と同じである。
図2で、検査用パッド210の位置を白丸で示している。
【0021】
プローブヘッド20の測定用プローブ11および確認用プローブ12の位置は、検査用基板2の検査用パッド210の位置と対向する。したがって、測定用プローブエリア21で、測定用プローブ11の位置と検査チップ領域200の検査用パッド210の位置は、平面視で一致する。
【0022】
図2に示した例では、確認用プローブ12を、隣接チップ領域201の検査用パッド210と対向する位置に配置している。つまり、平面視で測定用プローブエリア21の外側で、プローブヘッド20が確認用プローブ12を保持する。
【0023】
なお、
図2に示すように、測定用プローブエリア21に近い領域に確認用プローブ12を配置することが好ましい。これにより、詳細を後述する確認用プローブ12を用いた検査により取得するPODとAODの関係を、測定時に被検査体と接触する測定用プローブ11に近接した位置において確認できる。
【0024】
また、測定用プローブエリア21の外側でなく、例えば
図3に示すように、測定用プローブエリア21に確認用プローブ12を配置してもよい。つまり、測定用プローブエリア21において測定用プローブ11と確認用プローブ12が混在してもよい。これにより、被検査体の測定におけるPODとAODの関係をより確実に確認できる。
【0025】
測定用プローブ11と確認用プローブ12の先端長の差T1は、測定用プローブ11を被検査体に接触させる押圧に応じて設定する。つまり、確認用プローブ12の先端が検査用パッドに接触するとき、測定用プローブ11と確認用プローブ12の先端長の差T1に応じたAODが測定用プローブ11に作用する。電気的接続装置1によれば、以下に説明するように、設定したPODによって被検査体に所定の押圧で測定用プローブ11を接触させるAODを確認できる。以下に、
図4のフローチャートを参照して、PODとAODの関係を確認するための電気的接続装置1を用いた検査方法を説明する。
【0026】
まず、
図4のステップS10において、検査用パッド210を形成した検査用基板2を準備する。
【0027】
ステップS20において、電気的接続装置1と検査用基板2の間隔を徐々に狭くする。このとき、
図5に示すように、最初に測定用プローブ11の先端が検査用基板2の検査用パッド210と接触する。
【0028】
次いで、ステップS30において、更にプローブヘッド20と検査用基板2の間隔を徐々に狭くして、
図6に示すように確認用プローブ12の先端を検査用基板2の検査用パッド210に接触させる。確認用プローブ12の基端が確認用ランド32に当接しているため、確認用プローブ12に応力がかかる。このとき、測定用プローブ11に作用するODのPODを徐々に増大させる。測定用プローブ11と確認用プローブ12の先端長の差は、確認したいAODに対応して設定している。このため、確認用プローブ12の先端が検査用パッド210と接触した状態では、所定の押圧で測定用プローブ11が被検査体と接触するAODで、測定用プローブ11にODが作用している。測定用プローブ11は、バネ部が軸方向に伸縮したり、弾性変形したりして被検査体と接触する。
【0029】
ステップS40において、確認用プローブ12と検査用パッド210の接触を検出した状態におけるPODを記録する。記録したPODを「設定オーバードライブ量」とも称する。
【0030】
その後、ステップS50において、被検査体の測定時に確認用プローブ12の先端が半導体基板3と接触しないように、確認用プローブ12の先端長を短く加工する処理(以下において「先端処理」という。)を行う。先端処理では、確認用プローブ12の先端を切断したり折り曲げたりする。
【0031】
以上に説明した検査方法により取得した設定オーバードライブ量は、電気的接続装置1による測定対象の被検査体の測定に使用する。例えば、設定オーバードライブ量を、電気的接続装置1のPODの仕様とする。
【0032】
上記に説明した検査方法によれば、所定の押圧で測定用プローブ11が被検査体に接触するAODを確認して、このAODに対応するPODを取得できる。つまり、PODを調整しながらAODを確認することにより、所定の押圧が得られるPODを取得できる。
【0033】
上記のステップS30における確認用プローブ12の先端と検査用パッド210との接触の検出には、種々の方法を使用できる。例えば、確認用プローブ12の先端が接触することにより生じる、検査用パッド210の表面の傷跡を確認する。
【0034】
或いは、確認用プローブ12と検査用基板2との間の電気的な接続を検出することにより、確認用プローブ12の先端と検査用パッド210との接触を検出することもできる。例えば、
図7に示すように、確認用プローブ12を介して確認用ランド32と検査用パッド210が接続すると、確認用接続端子34と電気的に接続する測定装置により、確認用プローブ12と検査用パッド210の接触を確認できる。すなわち、測定装置は、確認用プローブ12を介して確認用ランド32と検査用パッド210の間を流れる電流Iをモニタすることにより、確認用プローブ12と検査用パッド210の接触を確認する。
【0035】
なお、設定オーバードライブ量を正確に検出するために、検査用パッド210との接触で変形しにくい確認用プローブ12を使用することが好ましい。例えば、測定用プローブ11よりも剛性の高い確認用プローブ12を使用する。
【0036】
また、ステップS50における確認用プローブ12の先端処理を容易にするために、プローブヘッド20から露出した部分において径が変化する段付き構造を有する確認用プローブ12を使用することが好ましい。段付き構造は、例えば側面が中心方向に凹んだ構造である。段付き構造の確認用プローブ12では、段付き構造の部分で確認用プローブ12を容易に切断若しくは折り曲げることができる。
【0037】
図8(a)~
図8(d)に、周囲よりも径が細い段付き構造を有する確認用プローブ12の例を示す。
図8(a)に示した確認用プローブ12の段付き構造は、径が変化する位置から先端に向けて径が一定であるストレート形状である。
図8(b)~
図8(c)に示した確認用プローブ12の段付き構造は、径が変化する位置から先端に向けて径が次第に太くなるテーパ形状である。
図8(b)に示した確認用プローブ12は先端が円錐形状であり、
図8(c)に示した確認用プローブ12は先端が平坦である。
【0038】
図8(a)に示すように段付き構造をストレート形状にすることにより、確認用プローブ12の加工が容易である。また、
図8(b)~
図8(c)に示すように段付き構造をテーパ形状にすることにより、段付き構造の部分での切断や折り曲げが容易である。或いは、
図8(d)に示すように、確認用プローブ12の径を部分的に細くした形状を段付き構造に採用してもよい。
【0039】
確認用プローブ12の先端を切断したり折り曲げたりすることが容易であれば、どのような形状の段付き構造を確認用プローブ12に採用してもよい。ただし、段付き構造は、確認用プローブ12にODを作用させた際に折れたりしない程度の強度を有する。
【0040】
なお、
図2に示したように測定用プローブエリア21の外側に確認用プローブ12を配置した場合には、確認用プローブ12の先端処理により、確認用プローブ12の先端と被検査体の接触を防止する。一方、
図3に示したように測定用プローブエリア21に確認用プローブ12を配置した場合には、確認用プローブ12を測定用プローブ11に交換した後、電気的接続装置1を用いた被検査体の測定を行う。
【0041】
以上に説明したように、電気的接続装置1によれば、設定したPODにおけるAODを容易に確認できる。このため、所定の押圧で測定用プローブ11を被検査体に接触させるPODを設定し、被検査体の測定を高精度で行うことできる。
【0042】
更に、電気的接続装置1による検査方法では、確認用プローブ12を用意するだけでAODを確認できる。このため、測定工数や部材の増大を低減できる。また、電気的接続装置1による検査方法によれば、AODを直接に確認できる。このため、AODの確認結果の信頼性が高い。また、針跡の確認などにより、AODの確認方法をシンプルにできる。
【0043】
AODとPODの関係を正確に確認しないと、測定用プローブ11が被検査体に適切な押圧で接触しない可能性がある。例えば、プローブヘッド20や配線基板30に曲がりや歪みが生じていると、被検査体に対向して電気的接続装置1を配置した際に、被検査体の測定用パッドとの距離が測定用プローブ11によって異なる。このため、AODが小さい領域やAODが大きい領域が生じる。
【0044】
しかし、電気的接続装置1によりAODを確認したPODを設定することにより、測定用プローブ11との距離が相対的に広い測定用パッドでの押圧の不足や、測定用プローブ11との距離が相対的に狭い測定用パッドでの過剰な押圧を低減できる。
【0045】
電気的接続装置1において、確認用プローブ12の配置場所や本数は任意に設定可能である。例えば、PODとAODの差が大きいと予測される位置と差が小さいと予測される位置に確認用プローブ12を配置する。このようにしてAODを確認することにより、押圧の不足や過剰を低減できる。確認用プローブ12の配置場所や本数が増加するほど、PODとAODの差の面内分布の情報を精密に取得できる。
【0046】
<変形例>
PODとAODの関係を確認するために、
図9に示すように、先端長が相互に異なる複数の確認用プローブ12を用意してもよい。
図9に示した例では、プローブヘッド20が、先端長が異なる第1確認用プローブ121~第6確認用プローブ126を保持する。第1確認用プローブ121~第6確認用プローブ126の基端は、配線基板30の確認用ランド321~326にそれぞれ当接する。確認用ランド321~326は、配線基板30に形成した配線パターンにより、配線基板30に配置した確認用接続端子341~346と電気的に接続する。
【0047】
測定用プローブ11との先端長の差について、例えば、第1確認用プローブ121の先端長の差T1=25μm、第2確認用プローブ122の先端長の差T2=50μm、第3確認用プローブ123の先端長の差T3=75μmである。また、第4確認用プローブ124の先端長の差T4=100μm、第5確認用プローブ125の先端長の差T5=125μm、第6確認用プローブ126の先端長の差T6=150μmである。
【0048】
図9に示した電気的接続装置1と検査用基板2の間隔を徐々に狭くすることにより、第1確認用プローブ121から第6確認用プローブ126の順に検査用基板2と接触する。第1確認用プローブ121~第6確認用プローブ126それぞれについて検査用基板2との接触を検出したタイミングでのPODを記録することで、PODとAODの関係を確認できる。
【0049】
上記のようにして得られたPODとAODの関係に基づいて、所望のAODが得られるPODを選択できる。そして、選択したPODに設定した測定により、所定の押圧で測定用プローブ11が被検査体に接触する測定を実施できる。
【0050】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。すなわち、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0051】
1…電気的接続装置
2…検査用基板
11…測定用プローブ
12…確認用プローブ
20…プローブヘッド
21…測定用プローブエリア
30…配線基板
31…測定用ランド
210…検査用パッド