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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】台所換気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240118BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240118BHJP
   F24C 15/20 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
F24F7/007 C
F24C15/20 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020070861
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021167693
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 定基
(72)【発明者】
【氏名】榊原 隆文
(72)【発明者】
【氏名】杉本 喜輝
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-180828(JP,A)
【文献】特開2008-128495(JP,A)
【文献】特開2007-020696(JP,A)
【文献】特開昭58-078020(JP,A)
【文献】特開2018-179318(JP,A)
【文献】特開2005-308342(JP,A)
【文献】特開平03-007836(JP,A)
【文献】特開2006-003049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0372332(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 7/007
F24C 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台所に設置されるキャビネットであって、庫内の空気を庫外へ排出する排気口が天板に設けられているキャビネットと、
前記キャビネットの上方に配置されており、前記台所の空気を屋外へ排出する換気装置と、
前記天板の上方に設置される加熱調理器と、
を備えており、
前記庫内に収容される発熱デバイスの運転情報または前記庫内の情報(庫内情報)に基づいて生成された信号を前記排気口を通じて前記換気装置へ送る発信器が前記庫内に備えられており、
前記加熱調理器に、前記排気口につながっている貫通孔が設けられており、
前記加熱調理器はバーナを備えており、前記貫通孔は、前記バーナへ空気を供給する空気供給口と同一である、
台所換気システム。
【請求項2】
前記発信器は前記排気口の下方に配置されている、請求項1に記載の台所換気システム。
【請求項3】
前記排気口は前記天板の後方に設けられており、前記発信器は前記キャビネットの後板に取り付けられている、請求項2に記載の台所換気システム。
【請求項4】
前記発信器は、光で信号を伝達する、請求項2又は3に記載の台所換気システム。
【請求項5】
前記発熱デバイスは加熱調理器と食器洗浄機の一方を含んでいる、請求項1から4のいずれか1項に記載の台所換気システム。
【請求項6】
前記貫通孔は上下方向で前記排気口と重なっている、請求項1から5のいずれか1項に記載の台所換気システム。
【請求項7】
前記加熱調理器は加熱室を有しており、前記加熱室の内部空間が前記貫通孔とつながっている、請求項1に記載の台所換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、台所換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
台所には熱を発するデバイス(加熱調理器や食器洗浄機)が設置されるため換気装置が欠かせない。以下では、熱を発するデバイスを発熱デバイスと称する。特許文献1には、換気装置を連動させる加熱調理器が開示されている。特許文献1の加熱調理器は、換気装置の下に配置される。加熱調理器は、赤外線信号を発信し、換気装置を制御する。赤外線信号の発信器は加熱調理器の前面に取り付けられる。赤外線信号は加熱調理器の前方へ向けて発信される。赤外線信号は加熱調理器の前に立つユーザに反射されて換気装置へ到達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-156562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
台所にキャビネットを設置し、その中に発熱デバイスを入れて用いる場合、換気装置へ信号を送る発信器をキャビネットの中に設置すると、信号が換気装置へ届き難くなり、信号伝達の信頼性が下がる。キャビネットの前面に発信器を取り付けるのは見栄えを損なうおそれがある。本明細書は、キャビネットの中から換気装置への信号伝達の信頼性を損なわない技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する台所換気システムは、キャビネットと換気装置を備える。キャビネットは台所に設置される。キャビネットの天板には庫内の空気を庫外へ排出する排気口が設けられている。換気装置は、台所の空気を屋外へ排出することができる。換気装置はキャビネットの上方に配置される。キャビネットの庫内には、加熱調理器や食器洗浄機などの発熱デバイスが収容可能である。キャビネットの庫内には、発熱デバイスの運転情報または庫内の情報(庫内情報)に基づいて生成された信号を、排気口を通じて換気装置へ送る発信器が備えられている。換気装置は発信器からの信号に基づいて動作する。
【0006】
本明細書が開示する台所換気システムは、庫内の発信器が発した信号はキャビネットの天板に設けられた排気口を通じて上方の換気装置へ達する。発信器から出る信号は天板に遮られることがなく、信号伝達の信頼性が損なわれない。
【0007】
また、排気口は、庫内の空気の排出と信号伝達の両方に貢献する。排気口を設けることで、庫内の発信器から出た信号が換気装置へ届き易くなる。また、キャビネットの前面に発信器を設ける必要がないため、キャビネットの見栄えを損なうことがない。
【0008】
発信器は排気口の下方に配置されているとよい。発信器から出た信号が真直ぐに換気装置へ届く。発信器は電波式でも光学式でもよいが、光学式は指向性が強いため、光学式の発信器を排気口の下に設置することのメリットは大きい。光学式の発信器は、信号の照射方向を排気口に向けて取り付けられる。
【0009】
排気口は天板の後方に設けられており、発信器はキャビネットの後板に取り付けられているとよい。庫内に収容される発熱デバイスが加熱調理器や食器洗浄機の場合、キャビネットの床に水分が付着するおそれがある。発信器をキャビネットの後板に取り付けることで、発信器を水分から保護することができる。
【0010】
キャビネットの典型例は、複数のコンロバーナを有する加熱調理器用のキャビネットである。加熱調理器は、キャビネットの天板の上方に設置される。その場合、加熱調理器にはキャビネットの排気口につながっている貫通孔が設けられているとよい。加熱調理器があっても庫内の空気が円滑に換気装置に導かれる。庫内の発信器からの信号も排出口と貫通孔を通じて換気装置へ達し易い。貫通孔は、上下方向で排気口と重なっているとよい。
【0011】
加熱調理器は加熱室を有しており、加熱室の内部空間が貫通孔とつながっているとよい。加熱室から出る高温の空気と庫内の空気が一つの貫通孔を通じて換気装置へ導かれる。排気のための孔を少なくできるので、美観がよくなる。
【0012】
あるいは、加熱調理器はバーナを備えており、貫通孔は、バーナへ空気を供給する空気供給口と同一であるとよい。この場合もキャビネットに設ける孔の数を少なくできるので美観がよくなる。
【0013】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例の台所換気システムの正面図である。
図2】キャビネットの平面図である。
図3図1のIII-III線に沿った台所換気システムの断面図である。
図4】キャビネットに組み込まれる加熱調理器の変形例の平面図である。
図5】別の変形例の台所換気システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して実施例の台所換気システム5を説明する。図1に台所換気システム5の正面図を示す。台所換気システム5は、キッチンKに設置されるシステムキッチン2の一部をなすキャビネット20と、キャビネット20の上方に設置される換気装置10で構成される。システムキッチン2は、キャビネット20を含む複数のキャビネットが連結された構成を有しているが、キャビネット20以外の別のキャビネットについては説明を省略する。キャビネット20とそれに隣接する別のキャビネットの上にはカウンタトップ3が設置される。カウンタトップ3が設置されることで、複数のキャビネットが一体化する。
【0016】
図2に、キャビネット20の平面図を示す。キャビネット20は、複数のコンロバーナ42とグリル庫43を有する加熱調理器40が組み込まれる加熱調理器専用のキャビネットである。なお、図1、および、以降の図では、コンロバーナ42の上に配置される五徳は図示を省略してある。
【0017】
加熱調理器40は、本体41がカウンタトップ3の下に配置され、上から天板(調理器天板44)が組み付けられ、キャビネット20に収まる。
【0018】
図2に示すように、キャビネット20は、キッチンKの壁90に沿って設置される。調理器天板44の後部には開口45aが設けられている。開口45aは、加熱調理器40を上下方向に貫通する貫通孔45の上部の開口に相当する。貫通孔45については後述する。開口45a(貫通孔45)の内側には排気管25(後述)と内部排気通路49(後述)の上端開口が位置している。開口45aは例えばメッシュ状やスリット状の孔を有する蓋で覆われるが、蓋の図示は省略した。
【0019】
また、加熱調理器40の内部にはコントローラ30と発信器31が配置されている。コントローラ30と発信器31についても後述する。なお、図では、コントローラ30と発信器31は加熱調理器40の内部に配置されているが、コントローラ30と発信器31は、キャビネット20に配置されてもよいし、別のキャビネットに配置されてもよい。コントローラ30と発信器31はそれぞれ別々のデバイス(あるいはキャビネット)に配置されてもよい。コントローラ30は、キッチン以外の部屋に配置されていてもよい。なお、実施例の場合(図2)、発信器31は、調理器天板44の開口45aと排気管25の間の隙間の下方に位置している。
【0020】
図1に戻り、キャビネット20の説明を続ける。キャビネット20は、加熱調理器40の下方に収納庫22を備えている。キャビネット20の前面にはユーザが収納庫22の庫内にアクセスするための開口22aが設けられており、開口22aは扉21で閉じられる。収納庫22(開口22a)は、扉21により開閉することができる。収納庫22には、様々なデバイスを入れることができる。キャビネット20は、収納庫22に加熱調理器や食器洗浄機などの発熱デバイスを収納して利用できるように、排気装置を備えている。排気装置については後述する。
【0021】
キャビネット20の上方に換気装置10が備えられている。換気装置10は、キッチンKの空気を屋外へ排出することができる。換気装置10は、キッチンKの壁に備えられたプロペラ式の換気扇であるが、シロッコ式の換気扇が採用されてもよい。換気装置10の周囲には、加熱調理器40から発生する高温の空気等を集めるレンジフード11が取り付けられている。換気装置10は、受信器12を備えており、受信器12と発信器31を通じてコントローラ30からの指令を受けて動作する。
【0022】
図3に、図1のIII-III線に沿った断面図を示す。図3では、収納庫22に発熱デバイス81、82が収容されている例が示されている。発熱デバイス81、82の一例は、炊飯器、自動調理鍋、あるいは、食器洗浄機などである。発熱デバイス81、82の内部構造は図示を省略した。発熱デバイス81、82はいずれも動作すると高温の空気等を排出する。収納庫22の中に高温の空気等(特に煙や蒸気)がこもることを防止するため、収納庫22には、収納庫22の中の空気や煙や蒸気を庫外へ排出する排気管25と排気装置26が配置されている。
【0023】
キャビネット20の天板23(収納庫22の上面に相当する天板23)の後方に排気口24が設けられている。なお、天板23の上方には加熱調理器40が配置されている。加熱調理器40の後方には加熱調理器40を上下方向に貫通する貫通孔45が設けられている。貫通孔45は、調理器天板44に設けられた開口45aと、加熱調理器40の本体41に設けられた下貫通孔45bで構成される。加熱調理器40の貫通孔45は天板23の排気口24とつながっている。加熱調理器40の貫通孔45は、上下方向で排気口24と重なっており、排気管25は、排気口24と貫通孔45を通っている。排気装置26はシロッコファンであり、排気装置26が動作すると、キャビネット20の庫内の空気等(収納庫22の空気等)が排気管25(すなわち、排気口24と貫通孔45)を通じて庫外(即ちキッチンKの空間)へ排出される。
【0024】
システムキッチン2のカウンタトップ3には大きな開口が設けられており、複数のコンロバーナ42とともに、加熱調理器40の開口45aも上方に開放されている。すなわち、排気管25は、カウンタトップ3の開口も通過する。
【0025】
加熱調理器40は、加熱室としてのグリル庫43と、内部排気通路49を備えている。内部排気通路49は、グリル庫43の内部空間と貫通孔45をつないでいる。グリル庫43の内部で発生した高温の空気等は、貫通孔45(開口45a)を通じてキッチンKへ排出される。貫通孔45は、グリル庫43の内部の空気等を排出する流路と、収納庫22の中の空気等を排出する流路を兼ねている。2カ所から出る煙の排出口を共用することで排出口の数が減り、キャビネット20(加熱調理器40)の美観が向上する。
【0026】
収納庫22の後面(キャビネット20の後板32)には、庫内の温度を計測する温度センサ27と、庫内の湿度を計測する湿度センサ28が備えられている。温度センサ27と湿度センサ28の計測値はコントローラ30へ送られる。コントローラ30は、温度センサ27と湿度センサ28の計測値に基づいて排気装置26を制御する。温度センサ27と湿度センサ28の計測値は、収納庫22の中の空気の状態を示すので、それらの計測値を以下では庫内情報と称する場合がある。庫内情報は、収納庫22に収容された発熱デバイスの動作情報の一つである。コントローラ30は、庫内情報に基づいて、排気装置26と同時に換気装置10も制御する。すなわち、排気装置26と換気装置10を連動制御する。加熱調理器40の本体には発信器31が備えられており、コントローラ30の指令は発信器31と受信器12を通じて換気装置10へ送られる。コントローラ30は、発熱デバイスの運転情報または庫内情報に基づいて換気装置10への指令信号を生成し、発信器31は生成された指令信号を受信器12(換気装置10)へ発信する。コントローラ30は不図示の通信機能を通じて排気装置26へも指令信号を出すことができる。排気装置26と換気装置10はコントローラ30の指令に基づいて動作する。
【0027】
コントローラ30は、排気装置26と換気装置10を連動させる。一例としては、コントローラ30は、庫内の温度が所定の温度閾値を超えた場合、あるいは庫内の湿度が所定の湿度閾値を超えた場合に排気装置26と換気装置10を同時に起動する。排気装置26によりキャビネット20の上方へ排気された空気は、キャビネット20の上方に位置する換気装置10により屋外へ排出される。排気装置26と換気装置10を同時に起動することで、庫内の空気が速やかに屋外へ排出される。
【0028】
排気装置26の庫外への空気排出風量(すなわち出力)はLow、Middle、Highの3レベルに調整可能である。排気装置26の空気排出風量は、Low、Middle、Highの順に大きい。換気装置10の屋外への空気排出風量もLow、Middle、Highの3レベルに調整可能である。換気装置10の空気排出風量は、Low、Middle、Highの順に大きい。換気装置10のLowの空気排出風量は、排気装置26のLowの空気排出風量よりも大きい。同様に、換気装置10のMiddle(High)の空気排出風量は、排気装置26のMiddle(High)の空気排出風量よりも大きい。コントローラ30は、排気装置26のレベルと同じかそれ以上のレベルで換気装置10を動作させる。すなわち、コントローラ30は、換気装置10の屋外への空気排出風量が排気装置26の庫外への空気排出風量以上となるように換気装置10と排気装置26を制御する。
【0029】
キャビネット20の上方に配置されている加熱調理器40が使われていると、ユーザの操作によって換気装置10が動作していることがある。あるいは、コントローラ30は、加熱調理器40の動作を検知すると、換気装置10を起動する場合がある。収納庫22に収納された発熱デバイス81、82の少なくとも一方が動作していないと、排気装置26は停止している。換気装置10の動作中に収納庫22の中の発熱デバイス81、82の少なくとも一方が起動し、収納庫22の庫内の温度が上昇すると、あるいは湿度が上昇すると、コントローラ30は、換気装置10が動作している最中に排気装置26を起動する。
【0030】
換気装置10がレベルLowで動作しているときには、コントローラ30はレベルLowで排気装置26を起動する。収納庫22の庫内の温度がさらに上昇する、あるいは、庫内の湿度が湿度閾値を超えると、コントローラ30は、換気装置10と排気装置26のレベルを共にLowからMiddleへ切り替える。すなわち、先に述べたように、コントローラ30は、換気装置10の屋外への空気排出風量が排気装置26の庫外への空気排出風量以上となるように換気装置10と排気装置26を連動制御する。
【0031】
コントローラ30は、加熱調理器40が使われておらず収納庫22の庫内の温度または湿度があまり高くない場合には、換気装置10は停止させたまま排気装置26を起動してもよい。庫内の温度または湿度が高くなったら、コントローラ30は排気装置26を動作させたまま、換気装置10を起動する。
【0032】
キャビネット20には、収納庫22の扉21の開閉状態を検知する開閉センサ29が備えられている。コントローラ30は、排気装置26と換気装置10の動作中に扉21が開かれたことを検知すると、換気装置10の動作はそのまま維持しつつ、排気装置26は停止する。扉21が開かれると収納庫22の庫内の空気等は開口21aから排出されるので、排気装置26を停止してもよい。排気装置26を停止すれば、電気コストの増加を抑えることができる。ただし、コントローラ30は、換気装置10の動作は維持させるので、開口21aを通じてキッチンKへ出た空気は速やかに屋外へ排出される。
【0033】
収納庫22に収容される発熱デバイス(例えば発熱デバイス82)が、通信器84を備えている場合がある。発熱デバイス82は、自身が起動したことや運転状態や停止したことなどを含む運転情報を、通信器84を使ってコントローラ30へ送信することができる。なお、運転状態とは、例えば、炊飯器の場合は、炊飯、蒸らしなどの状態のことである。あるいは、食器洗浄機の場合は、運転状態とは、例えば、洗浄、すすぎ、乾燥などの状態のことである。発熱デバイス82が通信器84を備えている場合には、コントローラ30は、発熱デバイス82から直接に運転情報を取得し、取得した運転情報に基づいて排気装置26と換気装置10を同時に制御してもよい。例えば発熱デバイス82が食器洗浄機の場合、コントローラ30は、食器洗浄機(発熱デバイス82)が動作を開始したことを知らせる信号を受信すると、排気装置26と換気装置10を同時に空気排出風量レベルLowで起動する。
【0034】
収納庫22に通信機能を有する発熱デバイス82のほかに通信機能を有さない発熱デバイス(例えば発熱デバイス81)が混在することもある。コントローラ30は、発熱デバイス82から得た運転情報に基づいて排気装置26と換気装置10を制御するとともに、収納庫22の庫内に設置された温度センサ27あるいは湿度センサ28から得られる庫内情報にも基づいて排気装置26と換気装置10を制御してもよい。例えばコントローラ30は、発熱デバイス82から運転情報を得て排気装置26と換気装置10を同時に空気排出風量レベルLowで起動する。その後、庫内情報によって収納庫22の温度上昇を検知すると、コントローラ30は、排気装置26と換気装置10の空気排出風量のレベルを同時にLowからMiddleに変更する。
【0035】
図4に、キャビネット20に組み込まれる加熱調理器の変形例(加熱調理器140)の平面図を示す。加熱調理器140は、コンロバーナ42と、コンロバーナ42に一次空気を供給する空気供給口149を備えている。空気供給口149は、貫通孔45と同一である。別言すれば、貫通孔45の開口45aが空気供給口149を兼ねている。加熱調理器140は、貫通孔45と空気供給口149を介して一次空気をコンロバーナ42に供給することができる。変形例の加熱調理器140では、貫通孔45が、収納庫22の空気を庫外へ排出する排出口と、コンロバーナ42の一次空気の取り込む孔を兼ねている。孔の数が少なくて済むので、加熱調理器140も美観が向上する。
【0036】
コントローラ30の処理について説明する。図3を参照して説明したように、コントローラ30は、複数の発熱デバイスの運転情報または動作情報に基づいて換気装置10と排気装置26を制御する。コントローラ30は、動作情報の一つである庫内情報に基づいて換気装置10と排気装置26を制御してもよい。図3の場合、コントローラ30は、加熱調理器40と発熱デバイス82からは直接に運転情報を受け取る。コントローラ30は、通信機能を有さない発熱デバイス81の動作状態を示す動作情報を知る手段として、収納庫22に設置されている温度センサ27と湿度センサ28の計測値(庫内情報)を用いる。コントローラ30は、複数の発熱デバイス(加熱調理器40と発熱デバイス82)の運転情報と庫内情報の少なくとも一方に基づいて換気装置10と排気装置26の空気排出風量を決定し、決定した空気排出風量が実現されるように換気装置10と排気装置26を同時に制御する。尚、庫内情報の代わりの動作情報としては、赤外線センサによる発熱デバイスの温度から知る動作状態を使用してもよい。
【0037】
発熱デバイス81と発熱デバイス82は収納庫22の庫内に位置し、加熱調理器40は庫外に位置する。コントローラ30には、加熱調理器40が庫外に位置することが予め登録されている。コントローラ30は、庫内の発熱デバイス82の運転情報と庫内情報に基づいて排気装置26の空気排出風量を決定する。コントローラ30は、庫内の発熱デバイス82の運転情報と庫内情報と庫外の発熱デバイス(加熱調理器40)の運転情報に基づいて換気装置10の空気排出風量を決定する。
【0038】
例えば、庫内の発熱デバイス82の運転情報と庫内情報に基づき、コントローラ30は空気排出風量のレベルをMiddleに決定する。庫内の発熱デバイス82の運転情報と庫内情報に庫外の発熱デバイス(加熱調理器40)の運転情報を加え、コントローラ30は換気装置10の空気排出風量のレベルをHighに設定する。コントローラ30は、庫内と庫外で発熱デバイスが動作している場合には、換気装置10の空気排出風量を、排気装置26の空気排出風量よりも大きくなるように決定する。
【0039】
コントローラ30が実行する処理の変形例として、コントローラ30は複数の発熱デバイスの種類に応じた重み情報を記憶しており、複数の発熱デバイスの運転情報または庫内情報と重み情報に基づいて空気排出風量を決定してもよい。例えば、発熱デバイス82が出力の小さい小型炊飯器の場合は重み係数に「1」が設定されており、出力の大きい大型自動調理鍋の場合は重み係数に「2」が設定されている。また、例えば、庫内情報である庫内の温度の高さによって、絶対湿度の度合いに重み係数を設定してもよい。
【0040】
コントローラ30は、発熱デバイス82から起動信号ととともにデバイスの種類を示す信号(デバイス識別信号)を受信する。コントローラ30は、デバイス識別信号に基づいて発熱デバイス82のデバイスの種類を判断し、その種類に応じた重み係数を特定する。コントローラ30は、収納庫22にて起動した発熱デバイス82が出力の小さい小型炊飯器の場合には重み係数「1」に対応して排気装置26と換気装置10を共に最低レベルのLowで起動する。コントローラ30は、収納庫22にて起動した発熱デバイス82が出力の大きい大型自動調理鍋の場合には重み係数「2」に対応して排気装置26と換気装置10を共に中レベルのMiddleで起動する。
【0041】
先に述べたように、収納庫22の中で大型自動調理器が動作しているときに収納庫22の庫外に位置する加熱調理器40が起動した場合には、コントローラ30は、排気装置26の空気排出風量のレベルはそのままMiddleレベルに維持し、換気装置10のレベルはMiddleから1段階高いレベルのHighに切り替える。
【0042】
台所換気システム5は、キャビネット20の庫内と庫外で動作する複数の発熱デバイスの運転情報または動作情報に基づいて排気装置26と換気装置10のそれぞれを適切な空気排出風量で駆動できる。
【0043】
発信器31と受信器12の関係について説明する。実施例の台所換気システム5では、発信器31はキャビネット20の上方に配置された加熱調理器40に配置されている。発信器31は、調理器天板44の開口45aと排気管25の間の隙間の下方に位置している。受信器12は開口45aの上方に位置している。発信器31と受信器12は、指向性の低い電波式の通信器であってもよいし、指向性の高い光学式の通信器であってもよい。いずれの場合であっても、信号は調理器天板44に遮られることなく、開口45aと排気管25の間の隙間を通して発信器31から受信器12へと送られる。信号が調理器天板44で遮られることがないので、通信の信頼性が高い。
【0044】
図5を参照して、変形例の台所換気システム105の断面図を示す。台所換気システム105は、換気装置10とキャビネット120を備えており、換気装置10は実施例の台所換気システム5の場合と同じである。台所換気システム105は、キャビネット120が備える発信器131の配置位置が、先のキャビネット20の場合と相違する。また、キャビネット120の上部に組み込まれた加熱調理器140は、本体141の内部にグリル庫を備えていない。それゆえ、図3で示した内部排気通路49を備えていない。加熱調理器140には、上下方向で排気口24と重なる貫通孔45(開口45aと下貫通孔45b)を備えており、その内側を排気管25が上下に通過している。また、図4で説明したように、貫通孔45(開口45a)は空気供給口149を兼ねている。キャビネット120のそれ以外の構成は実施例のキャビネット20と同じである。
【0045】
発信器131は、キャビネット20の天板23に設けられた排気口24の下方に位置している。受信器12は、加熱調理器140の貫通孔45(排気口24)の上方に配置されている。図5の符号Sが示す太点線は、信号を模式的に示している。コントローラ30は、発熱デバイスの運転情報または庫内情報に基づいて換気装置10への指令信号を生成し、発信器131は生成された指令信号を受信器12(換気装置10)へ発信する。
【0046】
図5に示すように、発信器131と受信器12は、排気口24と貫通孔45を通じて、遮蔽されずに通信することができる。発信器131は、排気口24と貫通孔45を通じて受信器12(換気装置10)へ信号を送る。従って通信の信頼性が高い。また、排気口24と貫通孔45は、収納庫22の排気と、通信経路を兼ねている。通信用の孔を別に設ける必要がなく、孔が増えて美観を損なうことがない。
【0047】
発信器131と受信器12は、指向性の低い電波方式の通信デバイスであってよいし、光で信号を伝達する指向性の高い光学式の通信デバイスであってもよい。発信器131と受信器12が遮蔽されずに通信できる。すなわち信号伝達の信頼性が高い。図5の構成は、特に、光学式の通信デバイスを採用した台所換気システムに好適である。光学式の通信デバイスの場合、発信器131は受信器12を向くように設置される。指向性の高い信号は、排気口24と貫通孔45を通じて発信器131から受信器12(換気装置10)へ送られる。
【0048】
また、発信器131は、収納庫22に面するようにキャビネット120の後板32に取り付けられている。収納庫22に収容される発熱デバイスが加熱調理器や食器洗浄機の場合、収納庫22の床に水分が付着するおそれがある。発信器131をキャビネット120の後板32に取り付けることで、発信器131を水分から保護することができる。温度センサ27と湿度センサ28も、収納庫22に面するように後板32に取り付けられている。温度センサ27と湿度センサ28も水分から保護することができる。
【0049】
図2に示したように、実施例の台所換気システム5の発信器31も、開口45aと排気管25の間の隙間の下方に配置されているので、遮蔽されることなく受信器12と通信することができる。信号伝達の信頼性が高い。
【0050】
発信器31(131)と受信器12の間の通信方式に制限はない。光学式の場合、発信器31(131)と受信器12は、例えば赤外線で信号を送るタイプであってもよい。電波式の場合、発信器31(131)と受信器12は、Bluetooth(登録商標)など、近距離無線通信方式や中距離無線通信方式のデバイス(例えばWi-Fi(登録商標))であってもよい。コントローラ30と発熱デバイス82の通信機84の間の通信方式にも制限はなく、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)接続方式であってよい。
【0051】
実施例で説明したその他の留意点について述べる。加熱調理器40、140は、天板23の上に載置するテーブルコンロであってもよい。グリル庫43が加熱室の一例である。加熱調理器40、140は、ガス式であっても電気式であってもよい。電気式の場合、加熱調理器40、140は、誘導加熱(Induction Heating)方式であってもよい。キャビネット20、120は、システムキッチン以外、例えばセパレートタイプの流し台であってもよい。
【0052】
実施例では換気装置10と排気装置26は風量を3段階で調整可能である。換気装置と排気装置の一方あるいは両方は、2段階以上で風量を調整できるものであればよい。
【0053】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0054】
2:システムキッチン
3:カウンタトップ
5、105:台所換気システム
10:換気装置
11:レンジフード
12:受信器
20、120:キャビネット
21:扉
22:収納庫
22a:開口
23:天板
24:排気口
25:排気管
26:排気装置
27:温度センサ
28:湿度センサ
29:開閉センサ
30:コントローラ
31、131:発信器
32:後板
40、140:加熱調理器
41:本体
42:コンロバーナ
43:グリル庫
44:調理器天板
45:貫通孔
45a:開口
45b:下貫通孔
49:内部排気通路
81、82:発熱デバイス
84:通信器
90:壁
149:空気供給口
K:キッチン
図1
図2
図3
図4
図5