(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】水中サブウーファシステム
(51)【国際特許分類】
H04R 1/44 20060101AFI20240118BHJP
H04R 9/06 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H04R1/44 310
H04R9/06 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020114435
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2023-06-28
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514290214
【氏名又は名称】テレディン インストゥルメンツ インク
【氏名又は名称原語表記】Teledyne Instruments Inc.
【住所又は居所原語表記】1049 Camino Dos Rios, Thousand Oaks, CA 91360, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ ケー. モロゾフ
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-201302(JP,A)
【文献】特開平03-098399(JP,A)
【文献】特開昭59-190795(JP,A)
【文献】米国特許第04763307(US,A)
【文献】米国特許第05140560(US,A)
【文献】米国特許第03345607(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/44
H04R 9/06
G01V 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜水音響システムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの後端部と機械的に連通しているハウジング端部片と、
前記ハウジングの前端部と機械的に連通している弾性膜と、
前記弾性膜と機械的に連通しているエンドキャップと、
前記ハウジングの前記前端部と機械的に連通している共鳴器端壁と、
前記共鳴器端壁内に配置されている共鳴器スロートと、
前記ハウジング内に配置されているサブウーファ・スピーカ・システムと、を備え、
前記サブウーファ・スピーカ・システムは、
前記ハウジングの前記後端部内に配置されている磁石アセンブリと、
前記磁石アセンブリと機械的に連通しているフレームと、
ボイスコイルと、
前記フレームと機械的に連通しており、前記ボイスコイルによって駆動されるように構成されているダイアフラムと、
前記フレーム及び前記ハウジングの内部部分に機械的に連通するサブウーファ・スピーカ支持部と、
前記サブウーファ・スピーカ支持部内に配置されているチューニング・パイプと、を備え、
前記ハウジングと、前記ハウジング端部片と、前記サブウーファ・スピーカ支持部の後面とは共に、後部エンクロージャを形成しており、
前記共鳴器端壁の前面と、前記ハウジングの前記前端部と、前記弾性膜と、前記エンドキャップとは共に、密閉された円筒状気泡音源を画定しており、
前記ダイアフラムの前面と、前記サブウーファ・スピーカ支持部の前面と、前記ハウジングの前部と、前記共鳴器端壁と、前記共鳴器スロートとは共に、ヘルムホルツ共鳴器を画定しており、
前記共鳴器スロートは、前記ヘルムホルツ共鳴器と前記円筒状気泡音源との間で流体連通できるように構成されており、
前記チューニング・パイプは、前記後部エンクロージャと前記ヘルムホルツ共鳴器との間で延びているとともに、前記後部エンクロージャと前記ヘルムホルツ共鳴器との間で流体連通できるように構成されている、
潜水音響システム。
【請求項2】
潜水音響システムであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの後端部と機械的に連通しているハウジング端部片と、
前記ハウジングの前端部と機械的に連通している弾性膜と、
前記弾性膜と機械的に連通しているエンドキャップと、
前記ハウジングの前記前端部と機械的に連通している共鳴器端壁と、
前記共鳴器端壁内に配置されている共鳴器スロートと、
前記ハウジング内に配置されているサブウーファ・スピーカ・システムと、を備え、
前記サブウーファ・スピーカ・システムは、
前記ハウジングの前記後端部内に配置されている磁石アセンブリと、
前記磁石アセンブリと機械的に連通しているフレームと、
ボイスコイルと、
前記フレームと機械的に連通しており、前記ボイスコイルによって駆動されるように構成されているダイアフラムと、
前記フレーム及び前記ハウジングの内部部分に機械的に連通するサブウーファ・スピーカ支持部と、
前記サブウーファ・スピーカ支持部内に配置されているチューニング・パイプと、
制御システムと、
を備え、
前記ハウジングと、前記ハウジング端部片と、前記サブウーファ・スピーカ支持部の後面とは共に、後部エンクロージャを形成しており、
前記共鳴器端壁の前面と、前記ハウジングの前記前端部と、前記弾性膜と、前記エンドキャップとは共に、密閉された円筒状気泡音源を画定しており、
前記ダイアフラムの前面と、前記サブウーファ・スピーカ支持部の前面と、前記ハウジングの前部と、前記共鳴器端壁と、前記共鳴器スロートとは共に、ヘルムホルツ共鳴器を画定しており、
前記共鳴器スロートは、前記ヘルムホルツ共鳴器と前記円筒状気泡音源との間で流体連通できるように構成されており、
前記チューニング・パイプは、前記後部エンクロージャと前記ヘルムホルツ共鳴器との間で延びているとともに、前記後部エンクロージャと前記ヘルムホルツ共鳴器との間で流体連通できるように構成されて
おり、
前記制御システムは、
プロセッサと、
前記プロセッサとデータ通信するメモリ・ユニットと、
前記ボイスコイルと電気的に連通している制御可能な電源と、
前記サブウーファ・スピーカ・システムからセンサ入力データを受信するように構成されているインタフェースと、を備え、
前記メモリ・ユニットは、指示を格納しており、
前記指示は、前記プロセッサによって実行された場合に、前記プロセッサに、
前記サブウーファ・スピーカ・システムからの前記センサ入力データを受信させ、
受信した前記センサ入力データと、前記電源の出力電圧と、前記電源の出力電流とに基づいて、前記電源を制御させる、
潜水音響システム。
【請求項3】
前記チューニング・パイプ及び前記後部エンクロージャは共に、第2のヘルムホルツ共鳴器を備える、請求項1
又は2に記載の潜水音響システム。
【請求項4】
前記サブウーファ・スピーカ・システムは、前記磁石アセンブリの周囲の流体の第1の温度の第1の温度センサと、前記ボイスコイルの第2の温度の第2の温度センサと、を備える、請求項
2に記載の潜水音響システム。
【請求項5】
前記第2の温度センサは、IR温度センサである、請求項4に記載の潜水音響システム。
【請求項6】
前記センサ入力データは、前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサのうちの一つ又は複数から受信される、請求項4に記載の潜水音響システム。
【請求項7】
前記潜水音響システムは、さらに、
前記電源の前記出力電流のセンサと、
前記電源の前記出力電圧のセンサと、を備え、
前記メモリ・ユニットは、指示を格納しており、
前記指示は、前記プロセッサによって実行された場合に、前記プロセッサにさらに、
前記出力電流のセンサから電流データを受信させ、
前記出力電圧のセンサから電圧データを受信させ、
受信した前記電流データ及び受信した前記電圧データに基づいて前記電源を制御させる、
請求項
2に記載の潜水音響システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示に記載された主題は、米国の低周波音響プロジェクタ及び地震音響プロジェクタと共に開発されたものであり、海洋地震探査、海洋水中音響トモグラフィ、長距離音響ナビゲーション及び通信における用途が見出される。これらの全ての用途では、例えば周波数範囲5~100Hzの低周波数範囲における強力で効率的な音源を必要とする。
【0002】
低周波源は、爆薬(例えば、ダイナマイト)、エアガン、プラズマ(スパーカ)源及びブーマなどの種々のインパルス型の1つであるか、あるいは連続的な周波数スイープを提供するマリン・バイブレータ(バイブロサイス)の1つであり得る。海底下の石油・ガスの探査に用いられるようなエアガン探査では、広範囲に亘って伝播する大きな鋭い衝撃を発生させ、騒音レベルを大幅に増加させる。従来、エアガンは、海底の深部にある形成物、構造物、及び堆積物を撮像するための伝統的手段であるが、エンジニアリング/産業の観点から見て、欠点もある。エアガンは、強力でノンコヒーレントな音響パルスを生成し、炭化水素探査に必要とされる以外の方向に放射することが多い。また、エアガンの信号は、周波数成分及び安定性のいずれにおいても、高度に制御することができない。マリン・バイブレータは、コヒーレント型の音源であり、より静かで有害性の少ない技術であり得る。加えて、このような音源は、コヒーレント信号及びストリーマ・アレイ処理のおかげで、海底特性のより鮮明で、より精密で、より解像度が高い撮像を提供する。海洋哺乳類への石油探査の影響を低減し管理することは、石油及びガス生産者にとって重要な場合がある。伝統的なエアガン技術の代替として、静かでコヒーレント性の高いマリン・バイブレータを適用することに対しては、石油及びガス生産者の注目が高まってきている。
【0003】
従来の連続波タイプのソースは、水中で低周波数音波を生成するときに、音響エネルギーを蓄積し、且つインピーダンス整合を改善するために、油圧、空気圧、圧電、又は磁歪ドライバと、様々なタイプの共鳴システムと、を利用する。単純な音源のパワー出力は、体積、速度、周波数の二乗に比例し、妥当なレベルを達成するためには大きな振動面積を必要とする。その結果、音源は、容認できないほど大きく、高価になる可能性がある。
【0004】
水中用のガスが充填されたバルーン(又は気泡)形状の振源が、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10139503号、9383463号、8634276号、8441892号、8331198号において提案され、特許となっている。共鳴気泡振源は、単純で効率的な狭帯域プロジェクタである。地震探査の用途では、広い周波数帯が必要とされる可能性があり、水中気泡源は広い周波数帯にわたって機械的に調整され得る。あるシステムでは、プロジェクタは、二つの内部共鳴器間の空気ダクトの長さを機械的に変化させることによって、共鳴周波数を変化させる。この波長可変の気泡振源は機能的であるが、乱流損失により、波長可変の空気ダクトと共鳴器全体とに大きな寸法が必要である。さらに、波長可変共鳴システム(例えば、高Q値の波長可変システム)は、他の多くの欠点を有する場合がある。欠点の例としては、例えば、曳航水深や水流の変動に敏感すぎる、周波数スイープ速度に制限がある、周波数がゆっくり変化する特定の波形のみを送信する、共鳴周波数を送信された信号の瞬時周波数に等しく保つために、特別な共鳴周波数制御システムを必要とする、スタート/ストップの遷移時間が大きい、などが挙げられる。
【0005】
米国特許第10139503号、9383463号は、それぞれ、内部モータ駆動のピストン又はブロワからのバルブ制御空気流によって励起される広帯域デュアル気泡共鳴システム及び気泡共鳴器を記載している。どちらのシステムも比較的非効率で高価な場合があり、モータ自体を制御するか、ブロワシステムのバルブを制御するかのいずれかによって、非常に複雑な非線形モータ制御を使用する場合がある。しかしながら、このようなシステムは、高品質の線形音響再生を達成することを困難にする可能性がある。モータ自体によって生じるノイズも問題になる場合がある。特別な消音器、ショックマウント、及び、水との音響隔離がないと、モータのノイズが直接水中に放射し、高感度なレシーバにさらに問題を引き起こす可能性がある。
【0006】
従って、海洋地震探査には、低周波伝搬能力を有する改良された水中音源が望ましいと思われる。
【発明の概要】
【0007】
一態様において、音源は、ガスが充填された複数の水中空気共鳴器と、水から気体を分離する少なくとも一つの共鳴器であって、弾性膜によって覆われた円筒状又は球状のガスが充填された気泡形状の少なくとも一つの共鳴器と、共鳴器の間で動き、気圧の振動を励起する少なくとも一つのサブウーファ・スピーカと、を備えてもよい。共鳴器及びサブウーファは、周波数の動作範囲を均一にカバーする様々な周波数に恒久的に調整されてもよい。サブウーファは、コンピュータのデジタル-アナログ変換器からの信号を増幅するオーディオ増幅器によって駆動されてもよい。コンピュータは、サブウーファに関連したセンサであって、電流、電圧、温度、及びサブウーファのコーンの位置を測定するセンサに接続されている。コンピュータは、サブウーファのインピーダンスをイコライズし、サブウーファの温度及びエクスカーションを安全限界内に維持するようにプログラムされていてもよい。
【0008】
いくつかの態様において、水中サブウーファは、多面体クラスタにおけるフレーム上に取り付けられてよく、それによって、非常に大きなパワー及び高い効率を達成する。多面体構造を有するフレームは、高速で曳かれた時に安定するように、サプレッサフィン及びキールを備えてよい。
【0009】
様々な態様において、潜水音響システムは、ハウジングと、ハウジングの後端部と機械的に連通しているハウジング端部片と、ハウジングの前端部と機械的に連通している弾性膜と、弾性膜と機械的に連通しているエンドキャップと、ハウジング内に配置されているサブウーファ・スピーカ・システムと、を備える。サブウーファ・スピーカ・システムは、ハウジングの後端部内に配置されている磁石アセンブリと、磁石アセンブリと機械的に連通しているフレームと、ボイスコイルと、フレームと機械的に連通し、ボイスコイルによって駆動されるように構成されたダイアフラムと、ボイスコイルのための後部サスペンション要素として使用されるスパイダ又はダンパと、フレームと機械的に連通しているサブウーファ・スピーカ支持部と、ハウジングの内部部分と、を備える。サブウーファ・スピーカ支持部の前面と、ダイアフラムの前面と、ハウジングの前端部と、弾性膜と、エンドキャップとは共に、密閉された円筒形の気泡音源を画定する。
【0010】
他の態様において、潜水音響システムは、ハウジングと、ハウジングの後端部と機械的に連通しているハウジング端部片と、ハウジングの前端部と機械的に連通している弾性膜と、弾性膜と機械的に連通しているエンドキャップと、ハウジングの前端部と機械的に連通している共鳴器端壁と、共鳴器端壁内に配置されているヘルムホルツ共鳴器スロートと、ハウジング内に配置されているサブウーファ・スピーカ・システムと、を備える。サブウーファ・スピーカ・システムは、ハウジングの後端部内に配置されている磁石アセンブリと、磁石アセンブリと機械的に連通しているフレームと、ボイスコイルと、フレームと機械的に連通し、ボイスコイルによって駆動されるように構成されたダイアフラムと、フレームとハウジングの内部部分とに機械的に連通しているサブウーファ・スピーカ支持部と、サブウーファ・スピーカ支持部内に配置されているチューニング・パイプと、を備える。ハウジングと、ハウジング端部片と、サブウーファ・スピーカ支持部の後面とは共に、後部エンクロージャを形成する。共鳴器端壁の前面と、ハウジングの前端部と、弾性膜と、エンドキャップとは共に、密閉された円筒形の気泡音源を画定する。ダイアフラムの前面と、サブウーファ・スピーカ支持部の前面と、ハウジングの前部と、共鳴器端壁と、ヘルムホルツ共鳴器スロートとは共に、ヘルムホルツ共鳴器を画定する。ヘルムホルツ共鳴器スロートは、ヘルムホルツ共鳴器と円筒形の気泡音源との間で流体連通できるように構成されている。チューニング・パイプは、後部エンクロージャとヘルムホルツ共鳴器との間に延びており、後部エンクロージャとヘルムホルツ共鳴器との間で流体連通できるように構成されている。
【0011】
さらなる他の態様において、潜水音響システムは、複数の頂点を有する音響システム支持部と、複数の音源とを備える。複数の頂点は、正多面体の頂点を形成する。頂点における複数の音源は、位相中心と称される多面体の1つの中心から等距離にある。複数の音源の各々は、ハウジングと、ハウジングの後端部と機械的に連通しているハウジング端部片と、ハウジングの前端部と機械的に連通している弾性膜と、弾性膜と機械的に連通しているエンドキャップと、ハウジング内に配置されているサブウーファ・スピーカ・システムと、を備える。サブウーファ・スピーカ・システムは、ハウジングの後端部内に配置されている磁石アセンブリと、磁石アセンブリと機械的に連通しているフレームと、ボイスコイルと、フレームと機械的に連通し、ボイスコイルによって駆動されるように構成されたダイアフラムと、フレームとハウジングの内部部分とに機械的に連通しているサブウーファ・スピーカ支持部と、を備える。サブウーファ・スピーカ支持部の前面と、ダイアフラムの前面と、ハウジングの前端部と、弾性膜と、エンドキャップとは共に、密閉された円筒形の気泡音源を画定する。複数の音源の各々は、複数の音響システム支持部の頂点の各々に取り付けられる。
【0012】
本明細書に記載された実施形態の様々な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。しかしながら、様々な実施形態は、構成及び動作方法の両方に関して、その利点とともに、以下の添付の図面と併せて解釈される以下の説明に従って理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示によるサブウーファ・スピーカ・システムを備える潜水音響システムの一態様の図である。
【
図2】本開示による
図1の潜水音響システムの等価電気回路を示す。
【
図3】本開示による
図1の潜水音響システムの応答における周波数対音圧のプロットである。
【
図4】サブウーファ・スピーカ・システムとチューニング・パイプとを備える本開示による潜水音響システムの一態様の図である。
【
図5】本開示による
図4の潜水音響システムの等価電気回路を示す。
【
図6】本開示による
図4の潜水音響システムの応答における周波数対音圧のプロットである。
【
図7】デュアル・対向サブウーファ・スピーカ・システムを備える本開示による潜水音響システムの一態様の図である。
【
図8】サブウーファ・スピーカ・システムを備える本開示によるデュアル気泡潜水音響システムの一態様の図である。
【
図9】本開示による
図8のデュアル気泡潜水音響システムの応答における周波数対音圧のプロットである。
【
図10】磁石アセンブリ・ヒートシンクを有するサブウーファ・スピーカ・システムを備える本開示による潜水音響システムの一態様の図である。
【
図11】前置ヘルムホルツ共鳴器を有するサブウーファ・スピーカ・システムを備える本開示による水中音響システムの一態様の図である。
【
図12】本開示による
図11の潜水音響システムの等価電気回路を示す。
【
図13】本開示による
図12の潜水音響システムの応答における周波数対音圧のプロットである。
【
図14】本開示による、
図1、4、及び11に示された潜水音響システムの態様の周波数出力を比較する周波数対音圧のプロットである。
【
図15】本開示による音響システムの制御システムを含む、
図11の潜水音響システムの一態様を示す。
【
図16】本開示による潜水音響システムの一態様を示す。
【
図17】サブウーファ・スピーカ・システムをそれぞれ有する音源のクラスタを備える本開示による水中音響システムの一態様を示す。
【
図18】本開示による、
図18に示された水中音響システムの周りに配置された音源の位置を画定する様々な正多面体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
北極の氷下音響、遠距離のナビゲーション・通信・温度測定、及びサブボトム地震探査などの用途目的のために、100Hz未満の周波数範囲の非常に低い周波数の音源に対する関心が高まっている。超低周波音は、海面から海底までの水柱に亘る非常に長い距離で、減衰することなく、またコヒーレント性を損失することなく伝搬する。別の利点は、伝統的なエアガンによる海洋哺乳類へのノイズの影響を低減できることであり、これには、主要な石油・ガス生産者の関心が高まっている。
【0015】
コヒーレントな音源は、より静かであり、海洋哺乳類にとってより無害であることが有利であり得る。マリン・バイブレータは、コヒーレント型の振源であり、海に住むものにとって有害性が少ない。マリン・バイブレータはまた、底部形成物、底部構造、及び底部堆積物のより鮮明で、より精密な、高解像度の撮像を提供する。100Hz未満の周波数を有する音源を構築することは、非常に大きな放射体積速度又はアパーチャ面積とその線形変位との積に起因して、困難な作業である。1メートルで200dB re 1μPaを超える音圧レベル(SPL)の場合、5Hzサイクルでの体積変位は数十リットルになる。従って、大きなアパーチャ面積を有する剛性振動ダイアフラム又は曲げ振動ダイアフラムを有するシステムは、構築が困難である。また、そのようなシステムは、通常、効率的でないか、又は非常に狭い帯域幅を有する。調整可能なオルガン・パイプをベースとした高効率な周波数スイープ音源は、150~2000Hzの周波数帯域幅に対して非常に優れた性能を示す。
【0016】
しかしながら、オルガン・パイプの寸法が大きくなってきているため、低周波数のさらなる減少を達成することは困難である。本開示は、水中用のガスで充填された気泡共鳴器を適用することに基づいてコヒーレントな海洋地震音源を提供することによって、水中音波放射に関するそのような非常に大きな設計要求に対処し得る。本開示は、低周波数において、高パワーで、高効率で、及びコヒーレントである有望な振源を提供する。
【0017】
ガスが充填された気泡は、大きな放射面積を提供し、非常に高い放射効率を有する良好なインピーダンス変換器として機能する。弾性膜は、大きな放射アパーチャで大きな体積変位を支持し、キャビテーション損傷を防止する。大きな体積変位及び速度は、大きな放射パワーを支持する。音源は、水中において非常に小さな連結効果を有し、大きな位相配置で協働可能である。弾性材料から作られた水中気泡又はバルーンの形状の共鳴器を有する超低周波音トランスデューサは、異なる方法で地震波を生成する。しかしながら、ダイナミクスの物理特性は、エアガンから放出される空気の物理特性に類似している。
【0018】
球状気泡の動的方程式は、レイリー(Rayleigh)(1917)によって最初に導き出されて使用され、次いでプレセット(Plesset)(1949)によって使用された。気泡の表面状態における表面張力と粘性効果に起因する付加項を持つ動的方程式の最も一般的な形式は、レイリー・プレセット方程式として広く知られている。実際の気泡は、球状とは異なる形状を有する。気泡の内圧振動は、静的重力と音響‐重力振動との差と同程度であり、気泡の動態の一部である。実際の気泡の実際のQ値は、理論上のQ値よりも小さい場合がある。伝搬する球面波を励起する最良のトランスデューサは、球である。振源の形状をできるだけ球に近づけることが望ましい。しかしながら、実際には、振動共鳴器の球形状を水中で保持することは、特に牽引される場合において、困難である可能性がある。浮力が、大きな球状気泡の頂部に溜まり、気泡を変形させてしまう。これに対する合理的なエンジニアリング妥協点は、短い水平円筒であり得る。このような円筒は、円筒対称性を有し、牽引することができ、水中でその形状をより良好に保持することができる。円筒部からなる気泡源は、米国特許第10,139,503号、9,383,463号、8,634,276号、及び8,441,892号に記載されており、これらの開示は、その全体が、すべての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。気泡の単純化された線形音響モデルは、波動伝播条件と水中の気泡状態に対する断熱方程式に基づいている。
【0019】
以下の式1~6は、ニュートン、フック、断熱(ボイル・マリオット)及びオイラーの法則から導き出される。ソースからの距離rにおける波数k=ω/cの球面波における圧力pは、球対称性と波動伝播指数から分かる。
【0020】
【数1】
ここで、k=ω/c、ω=2πfにおけるωは、波の角周波数であり、cは音であり、速度fは周波数である。
オイラーの方程式により、水粒子の速度uが求められる。
【0021】
【数2】
ここで、ρ
wは水分濃度である。上記の式の組み合わせることにより、気泡のインピーダンスZ
bが求められる。
【0022】
【数3】
ここで、I=uA
bは体積速度であり、A
bはアパーチャ面積であり、r
bは円筒の半径であり、c
wは水中での音速度であり、以下の式で表されるL
b、R
bは、電気的モデルの等価パラメータである。
【0023】
【0024】
フックの法則は、円筒膜の伸びを説明する。
【0025】
【数5】
ここで、E
mは膜材料のヤング率であり、h
mは膜の厚さであり、以下の式で表されるC
mは、電気的モデルの等価キャパシタである。
【0026】
【数6】
気泡ガスの断熱振動は、圧力振動dpを有する。
【0027】
【数7】
ここで、γ=1.4は断熱定数であり、V
b、P
bは、気泡の平衡体積と平衡圧であり、C
b=V
bγ/P
bは、電気的モデルの等価キャパシタである。
最後に、長さl
hとパイプの面積A
hを有する空気ダクトは、その流れI=uA
hと、圧力pに関して以下の式を有する。
【0028】
【数8】
ここで、ρ
aは空気密度であり、L
h=(ρ
al
h/A
h)及びIは、電気的モデルのインダクタンスである。
【0029】
ほとんどの円筒状の気泡システムでは、音源は、通常、モータ及びピストン、又はモータによって制御される強力なブロワ及び弁を備える。これらのアプローチの両方は、達成可能な周波数範囲において制限される。質量Mのピストンを、クランク軸機構を有する回転モータや線形モータで駆動することは困難である。ピストンにかかる力Fは、F=M*aとして計算できる。ここで、加速度a=d*(2*π*f)2である。100Hzの場合、加速度はa=d*394784となる。所与の変位1cm、ピストン質量1kgの場合、力は4000Nになる。この非常に大きな力を、単純な機械工学的ソリューションによって達成するのは容易ではない。しかしながら、典型的なサブウーファ・システムは、100Hzの周波数で容易に作動することができる。標準的な商用既製のサブウーファは、強くて軽い複合材料から製造され、磁気強度の強いネオジム磁石を有し、冷却システムも備えている場合がある。サブウーファ・スピーカ・システムの使用は、100Hzで簡単に動作することができる。典型的な音響スピーカは、空気中で20Hz~20kHzの間のダイナミックレンジを有し、典型的なウーファ・スピーカは、20Hz~2000Hzの範囲で動作し得る。しかしながら、本明細書に記載されるような円筒状の水中気泡共鳴器を備える整合インピーダンス音響システムを使用するサブウーファは、水中において10Hz~200Hzの非常に低い周波数範囲で、非常に大きな音を発生し得る。整合インピーダンス音響システムは、サブウーファ・スピーカ・システムのスピーカ・インピーダンスを、サブウーファ・システムを取り囲む水の放射インピーダンスと整合させることを利用してよい。
【0030】
いくつかの態様において、サブウーファ・スピーカ・システムは、12’’~15’’の間の直径を有し、10~200Hzの周波数帯域に対して最大10kWの二乗平均平方根(RMS)電力で作動してよい。サブウーファは、最大2’’の非常に大きなスピーカ・エクスカーションを有し、Bl=20~30テスラメートルの非常に強いモータ出力を有し、約25Hz~40Hzの共鳴において非常に低い共鳴周波数を有し得るという点で、典型的な音響スピーカと異なる場合がある。伝統的なサブウーファはフェライト-ストロンチウム磁石を使用することがあるが、より高度なサブウーファは非常に高い磁場を持つネオジム希土類磁石を使用することがある。さらに、サブウーファ・フレームは、非常に高い温度に対応できる。サブウーファ・コーンは、アルミニウム又は軽量で非常に強い複合体(炭素繊維、Kevlar(商標))多層構造から構築することができる。サブウーファは、10kW以上の非常に高いパワーで高効率に動作することができる。
【0031】
パワーが制限された用途の場合(例えば、1mで185dB SPL re 1μPaに制限される場合)、標準的なサブウーファは、音響エキサイタにとって、はるかに簡単で、より実用的で、低コストにすることができる。いくつかの態様では、サブウーファは、1000~3000kWのRMS電力範囲で利用可能であってよい。このようなアクチュエータは、線形性が高く、標準的なオーディオ増幅器で容易に駆動でき、必要に応じて設置や交換がしやすい。さらに、サブウーファ・システム・コントローラは、インピーダンスを整合させ、サブウ-ファを安全な状態に保つために、電圧、電流、エクスカーション及び熱に関する情報を使用することができる。非常に高いパワー(1mで最大230dB SPL re 1μPa)が望まれる態様において、複数の水中サブウーファを多面体クラスタのフレーム上に取り付けることができる。いくつかの態様において、多面体の頂点又は角は、一つの位相中心から等距離にあり、一つの非常に効率的な球面波水中音源として動作する。このような多面体構造を有するフレームは、高速で牽引されたときに安定するように、サプレッサフィン及びキールを含んでもよい。このようなクラスタは、アレイ構造に結合され、所望の指向性パターンを生成することができる。
【0032】
従って、水中音源において一つ以上のサブウーファ・システムを使用することによって、単純化された音響アクチュエータ及び制御システムが提供され、音響システムの線形性及び周波数応答が改善され、音響システムの信頼性が改善され、メンテナンスの問題を単純化することができる一方で、他の機械ベースの水中音響システムによって容易に達成できない周波数範囲で動作できるということが認識されるであろう。
【0033】
サブウーファは、式7によって示されるような単純なモデルによって表すこともできる。
【0034】
【数9】
ここで、C
msは機械コンプライアンスであり、M
sは可動部質量であり、Blはモータ強度であり、A
sは実効放射領域であり、以下の式で表されるL
sとC
Sは等価インダクタンスである。
【0035】
【0036】
【数11】
式8は、サブウーファの電気的部分に関するものであり、逆起電力(EMF)pA
sBl、コイルのインダクタンスL
c、及びコイルの抵抗R
cを含む。
【0037】
【数12】
ここで、Uは入力信号の電圧であり、I
cはコイルを流れる電流である。
【0038】
潜水音響システムの以下の態様において、等価の共鳴構造は、上述したような等価の電気要素の組み合わせで構成される。以下に開示する様々な態様の中で、空気から水中への音波伝搬の遷移は、空気伝搬音用の従来の音響エンジニアリングシステムとの主な違いである。極数が最も少ない最も単純なシステムは、4極システムである。
【0039】
(サブウーファを備えた基本的な潜水音響システム)
図1は、潜水音響システム100の第1の態様を示す。基本的な潜水音響システム100は、後端部に密閉チャンバ110を含み、前端部に円筒状気泡源120を含む。密閉チャンバ110は、円筒状ハウジング112で構成されており、円筒状ハウジング112の後端部にはハウジング端部片114が取り付けられている。円筒状気泡源120は、ガスで満たされるように構成されている。円筒状気泡源120は、円筒状ハウジング112の前端部に取り付けられた円筒状弾性ポリウレタン膜122から構成されている。円筒状気泡源120はまた、弾性膜122の前端部を封止するエンドキャップ124を含む。弾性膜122は、サブウーファ・ドライバ(不図示)を周囲の水の浮力から分離し、スピーカ・ダイアフラム136に均一に負荷がかかるようにすることができてもよい。いくつかの態様において、エンドキャップ124は、硬い部材であってもよい。いくつかの態様において、エンドキャップ124はまた、変形可能な膜を備えてもよい。
【0040】
潜水音響システム100内には、サブウーファ・スピーカ・システム130が配置されている。いくつかの態様において、サブウーファ・スピーカ・システム130は、ハウジング112の後端部内に配置される。サブウーファ・スピーカ・システム130は、磁石アセンブリ132と、フレーム134と、ボイスコイル(不図示)と、スピーカ・ダイアフラム136と、から構成される。フレーム134は、磁石アセンブリ132及びスピーカ・ダイアフラム136を支持するように構成されている。磁石アセンブリ132は、潜水音響システム100の後端部の密閉チャンバ110内に配置される。サブウーファ・スピーカ・システム130は、サブウーファ・スピーカ支持部138によって、ハウジング110内に支持される。円筒状ハウジング112、ハウジング端部片114、サブウーファ・スピーカ支持部138の後端部、及びダイアフラム136の後面によって、密閉チャンバ110は、密閉構造に維持されている。
【0041】
スピーカ・ダイアフラム136は、AC電気信号の受信に応じて、ボイスコイルによって駆動される。AC電気信号は、AC電気信号の振幅及び周波数を制御し得る制御回路によって供給されてもよい。AC電気信号によってボイスコイル内に発達した磁場は、ボイスコイル及びそれが取り付けられたダイアフラム136を、磁石アセンブリ132によって生成された静磁場に対して動かす。ダイアフラム136がボイスコイルによって作動されると、その運動が気泡源120内に配置されているガスを摂動させる。このようにして、サブウーファ・スピーカ・システム130は、円筒状弾性膜122を含むガスが充填された気泡源120にわたって音を放射する。気泡源120もまた、エンドキャップ124と、円筒状弾性膜122と、サブウーファ・スピーカ支持部138の前面と、ダイアフラム136の前面とによって画定される密閉構造に維持されてもよいことが理解されるであろう。
【0042】
密閉エンクロージャは、音響システムにおいて、比較的滑らかなロールオフ及びフラットな応答を有することがあると認識されている。式9~式12は、
図1に示された音響システム100の応答に関するものであり、次式を含む。
【0043】
【数13】
ここで、V
0は、サブウーファ後方の共鳴器の体積である。
【0044】
図2は、
図1に示された潜水音響システムの応答に対する等価電気回路200を示す。等価電気回路200の追加のパラメータは、R
s=ω
rL
s/Q
s、R
m=4μ/(rA
b)を含む。ここで、μは水のジョイント粘度であり、Q
sはラウドスピーカの機械的Q値であり、ω
r=2πfはラウドスピーカの機械的共鳴周波数である。電気回路は、ジャイレータを介して音響等価回路に接続され、電気回路では、逆BMFは、u=BlI
s/As、p=BlI
cによって定義される。ここで、I
sはスピーカを通る体積速度であり、pはスピーカにかかる圧力であり、I
cはスピーカコイルを通る電流であり、A
sはスピーカ・コーン面積である。
【0045】
上に開示された方程式に従った、
図1に示された潜水音響システムの周波数応答のシミュレーション300を示す。表1に、サブウーファ・スピーカ・システムを説明するパラメータを示す。表2は、エンクロージャ及び気泡を説明するパラメータを示す。
図3に見られるように、音響システムは、約184dBで良好な音圧を支持する。周波数応答は滑らかであり、中心にわずかな窪みがある。システムの効率は、約1%である。
【0046】
【0047】
【0048】
(ベント式サブウーファを有する潜水音響システム)
図4は、チューニング・パイプを備えるベント式サブウーファ・ドライバを有する潜水音響システムの第2の態様を示す。チューニング・パイプ付潜水音響システム400は、後端部にチャンバ410を含み、前端部に円筒状気泡源420を含む。チャンバ410は、円筒状ハウジング412から構成されており、円筒状ハウジング412の後端部にはハウジング端部片414が取り付けられている。円筒状気泡源420は、ガスで満たされるように構成されている。円筒状気泡源420は、円筒状ハウジング412の前端部に取り付けられた円筒状の弾性ポリウレタン膜422から構成されている。円筒状気泡源420はまた、弾性膜422の前端部を封止するエンドキャップ424を備える。弾性膜422は、サブウーファ・ドライバを周囲の水の浮力から分離し、スピーカ・ダイアフラム436に均一に負荷がかかるようにできてもよい。いくつかの態様において、エンドキャップ424は、硬い部材であってもよい。いくつかの態様において、エンドキャップ424はまた、変形可能な膜を備えてもよい。
【0049】
ベント式潜水音響システム400内には、サブウーファ・スピーカ・システム430が配置されている。いくつかの態様において、サブウーファ・スピーカ・システム460は、円筒状ハウジング412の後端部に配置されている。サブウーファ・スピーカ・システム430は、磁石アセンブリ432と、フレーム434と、ボイスコイル(不図示)と、スピーカ・ダイアフラム436と、から構成されている。フレーム434は、磁石アセンブリ432及びスピーカ・ダイアフラム436を支持するように構成されている。磁石アセンブリ432は、ベント式潜水音響システム400の後端部のチャンバ410内に配置されている。サブウーファ・スピーカ・システム430は、サブウーファ・スピーカ支持部438によって、ハウジング410内に支持されている。
【0050】
スピーカ・ダイアフラム436は、AC電気信号の受信に応じて、ボイスコイルによって駆動される。AC電気信号は、AC電気信号の振幅及び周波数を制御し得る制御回路によって供給されてもよい。AC電気信号によってボイスコイル内に発達した磁場は、ボイスコイル及びそれが取り付けられているダイアフラム436を、磁石アセンブリ432によって生成される静磁場に対して動かす。ダイアフラム436がボイスコイルによって作動されると、その運動は、気泡源420内に配置されたガスを摂動させる。従って、ベント式潜水音響システム400は、この摂動されたガス及び弾性膜422を通して周囲の水に音を放射する。気泡源420は、エンドキャップ424と、円筒状弾性膜422と、サブウーファ・スピーカ支持部438の前面と、ダイアフラム436の前面とによって画定される密閉構造に維持されてもよいことが理解されるであろう。
【0051】
ベント式潜水音源はまた、チャンバ410と気泡源420を通気するためのチューニング・パイプ450を備えてもよい。いくつかの態様において、チューニング・パイプ450は、サブウーファ・スピーカ支持部内に配置され、チャンバ410と円筒状気泡音源420との間で延在する。チューニング・パイプ450は、チャンバ410と円筒状気泡音源420との間の流体連通を許可するように構成されてもよい。いくつかの態様において、チャンバ410とチューニング・パイプ450は共に、ヘルムホルツ共鳴器を含む。
【0052】
動作中、ダイアフラム436が動くと、そのコーンは両方向に振動する。つまり、気泡源420に向かって前方に振動し、且つチューニング・パイプ450によって気泡源420と通気されているチャンバ410に向かって後方にも振動する。従って、ダイアフラム436は、二つのチャンバの間で振動するピストンとして作用する。チュー二ング・パイプ450とチャンバ410は共に、気泡源420の共鳴周波数より低い共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴器を形成する。チャンバ410の体積はコンプライアンスのような役目を果たし、チューニング・パイプ450内の空気はイナーシャの役割を果たす。この共鳴器の共鳴周波数は、式13で示される。
【0053】
【0054】
ここで、L=ρal/Aは、長さlと断面積Aを有するパイプ内の密度ρaを有する空気のイナーシャであり、C=V/Pγは、サブウーファ後方の体積Vと圧力Pにおける空気のコンプライアンスである。この公式は、共鳴周波数がパイプの長さと断面積にどのように関係するかを示している。
【0055】
ダイアフラム436のコーンがチャンバ410内で動くと、チャンバ410内の空気の体積を縮小させ、圧力を増加させる。この圧力により、チューニング・パイプ450を通して空気が移動する。空気がチャンバ410から出ていくと、内部圧力が低下し、空気が逆流し始める。こうして、チャンバ410における空気は、スプリング(チューニング・パイプ450の内側の空気)を有する質量体(パイプ内側の空気)のように振動する。ダイアフラム436がチャンバ共鳴の周波数と同じ周波数で振動する場合、チューニング・パイプ450における空気の速度は最大に達する。チャンバ410の共鳴周波数を超える周波数では、チューニング・パイプ450から気泡源420への空気の流れは、ダイアフラムの動きと同位相になる。このように、水中気泡源420の共鳴は、スピーカ・インピーダンスが周囲の水の放射インピーダンスと整合するように設計される。
【0056】
図5は、ベント式サブウーファ・システム400の周波数応答に対する等価電気回路500を示す。チャンバ410は、等価キャパシタC
0=P
bγ/V
0及びインダクタL
0=ρ
al
0/A
0を有する非常に低周波数のヘルムホルツ共鳴器を形成する。ここで、A
0及びl
0は、それぞれポートの断面積及び長さである。
【0057】
R
0=ω
rL
0/Q
0であり、Q
sは、ヘルムホルツ・ポートのQ値であり、ω
r=2πf
rは、ヘルムホルツ・ポートの共鳴周波数である。方程式のフルセットは、
図1に示され、上記で開示される音響システムの態様に関して提示されたものとそれほど異なるものではない。
【0058】
【0059】
表3は、
図4に示されるベント式潜水音響システムの周波数応答シミュレーションに使用される(チャンバ410及びチューニング・パイプ450を備える)ベント式エンクロージャのパラメータを示す。表3のパラメータは、
図1に示された潜水音響システムのパラメータにチューニング・パイプ450に関連するパラメータを追加したものと同じである。
【0060】
図6は、ベント式潜水音響システム400の出力のシミュレーションの周波数応答曲線600を示す。エンクロージャに関連するパラメータは、表3に列挙されたものであり、一方、サブウーファのパラメータは、表1のものと同じである。
【0061】
チャンバ410へのチューニング・パイプ450を追加することにより、周波数応答曲線600の下限が、約12Hz、10Hz、またさらには約5Hzに低下する可能性があることを見ることができる。しかしながら、音信号のSPLは、周波数帯の中心において減少してしまう場合があり、これはチューニング・パイプ450により追加された寸法に起因する。密閉ポートは、潜水音響システムが水中のより低い深度で活発に潜っているときに、圧力補償を容易に可能にする。ベント式潜水サブウーファ音響システムは、非常に小さな直径を有するチューニング・パイプ450のための密閉エンクロージャとしての役割を効果的に果たすことができる。
【0062】
(水冷式デュアルサブウーファ・システム)
図7は、潜水サブウーファ音響システムのさらに別の態様を示す。
図7には、水冷式デュアルサブウーファ音響システム700が示されている。デュアルサブウーファ・システム700は、
図1に示され、上記に開示される基本的なサブウーファ・システム100の特徴の多くを含む。従って、潜水音響システム100は、後端部に密閉チャンバ710を備え、前端部に円筒状気泡源720を備える。密閉チャンバ710は、円筒状ハウジングから構成されており、円筒状ハウジングの後端部にはハウジング端部片が取り付けられている。円筒状気泡源720は、ガスで満たされるように構成されている。円筒状気泡源720は、円筒状ハウジングの前端部に取り付けられた円筒状弾性ポリウレタン膜から構成される。円筒状気泡源720はまた、弾性膜の前端部を封止するエンドキャップを備える。弾性膜は、サブウーファ・ドライバを周囲の水の浮力から分離させ、スピーカ・ダイアフラムに均一に負荷がかかるようにできてもよい。いくつかの態様において、エンドキャップは、硬い部材であってもよい。いくつかの態様において、エンドキャップはまた、変形可能な膜を備えてもよい。
【0063】
基本的な潜水音響システム100とデュアルサブウーファ潜水音響システム700の間の差異は、デュアルサブウーファ潜水音響システム700が、一対のサブウーファ・スピーカ・システム730a、bを含むことである。一対のサブウーファ・スピーカ・システム730a、bの各々は、円筒状ハウジングの後端部内に配置されてもよい。一対のサブウーファ・スピーカ・システム730a、bの各々は、磁石アセンブリと、フレームと、ボイスコイルと、スピーカ・ダイアフラムとを備える。各フレームは、それぞれのサブウーファ・スピーカ・システム730a、bの磁石アセンブリ及びスピーカ・ダイアフラムを支持するように構成されている。
図7で特定され得るように、第1のサブウーファ・スピーカ・システム730aは、密閉チャンバ710内に配置された磁石アセンブリを有し、音響システム700の前部を向いているダイアフラムは、円筒状気泡源720に音響的に結合されている。第2のサブウーファ・スピーカ・システム730bも、密閉チャンバ710内に配置された磁石アセンブリを有し、音響システム700の後部を向いているダイアフラムは、密閉チャンバ710に音響的に結合されている。サブウーファ・スピーカ・システム730a、bの各々は、それぞれのサブウーファ・スピーカ支持部738a、bによって、ハウジング710内に支持される。
【0064】
二つのサブウーファ・スピーカ・システム730a、bの各々のスピーカ・ダイアフラムは、AC電気信号の受信に応じて、ボイスコイルによって駆動される。AC電気信号は、AC電気信号の振幅及び周波数を制御し得る制御回路によって供給されてもよい。いくつかの態様において、第1のサブウーファ・スピーカ・システム730aのダイアフラムは、第2のサブウーファ・スピーカ・システム730bのダイアフラムに対して反対の位相で駆動されてもよい。
【0065】
デュアル水中サブウーファ・システムのハウジングは、音響システム700の内部の空気を冷却するために、高い熱伝導率を有する材料から製造されてもよい。一つの非限定的な実施例では、ハウジングは、アルミニウム6061 T6から製造されてもよい。水中サブウーファ700は、使用中には通常、水780によって取り囲まれる。上記に開示したように、二つのサブウーファ音響システム730a、bは、等圧プッシュプルモードで動作してよく、このモードでは、両方のダイアフラムは共に単一方向(前方又は後方のいずれか)に動くため、コーン間には一定の体積が維持される。体積を維持するために、空気が、外部の水780と熱的に連通している中央路782及び密閉チャネル740を通って移動してよい。磁石及び密閉チャネル740は、水780によって囲まれているため、それらの温度は100℃を超えることはない。高い温度伝導率を有するハウジングは、内部のガスを本質的に冷却することもできる。
【0066】
各サブウーファ・スピーカ・システム730a、bは、単一のサブウーファ・システム・音響デバイスにおける電流の半分、又はパワーの4分の1のみで駆動されてもよい。その結果、各サブウーファ・スピーカ・システム730a、bは、単一のサブウーファ・デバイスの温度の4分の1しか生成しない。その結果、デュアルサブウーファ音源700の各サブウーファ・スピーカ・システム730a、bは、最大出力で駆動される単一サブウーファ・スピーカほど熱劣化を受けない。従って、各サブウーファ・スピーカ・システム730a、bは、単一のサブウーファ・スピーカ・システムと比較して、より長い時間、より大きなパワーで動作することができる。
【0067】
(デュアル共鳴デュアルアパーチャ・サブウーファ・システム)
デュアル共鳴デュアルアパーチャ・システムを
図8に示す。デュアル共鳴サブウーファ・システム800は、デュアル共鳴サブウーファ・システム800が後端部に第2の気泡源810も含むことを除いて、
図1に示され、上記で開示された基本的なサブウーファ・システム100と同様である。デュアル共鳴システム800の特徴の多くは、基本的なサブウーファ・システム100のものと類似している。
【0068】
デュアル共鳴音響システム800は、前端部に第1の円筒状気泡源820を備え、後端部に第2の円筒状気泡源810を備える。第1の円筒状気泡源820は、円筒状ハウジング812の前端部に取り付けられた第1の円筒状弾性ポリウレタン膜822aから構成されている。第1の円筒状気泡源820はまた、第1の弾性膜822aの前端部を封止するエンドキャップ824を備える。いくつかの態様において、エンドキャップ824は、硬い部材であってもよい。いくつかの態様において、エンドキャップ824は、変形可能な膜を備えてもよい。第2の円筒状気泡源810は、円筒状ハウジング812の後端部に取り付けられた第2の円筒状弾性ポリウレタン膜822bから構成される。第2の円筒状気泡源810はまた、第2の弾性膜822a~bの後端部を封止する端部片814を備える。いくつかの態様において、端部片814は、硬い部材であってもよい。いくつかの態様において、端部片814はまた、変形可能な膜を備えてもよい。第1の円筒状気泡源820及び第2の円筒状気泡源810の両方は、ガスで満たされるように構成されている。いくつかの態様において、第1の円筒状気泡源810の音響共鳴は、第2の円筒状気泡源820の音響共鳴と異なっていてもよい。いくつかの態様において、第1の円筒状気泡源810の音響共鳴は、第2の円筒状気泡源820の音響共鳴と同じであってもよい。
【0069】
潜水音響システム100内には、サブウーファ・スピーカ・システム830が配置されている。いくつかの態様において、サブウーファ・スピーカ・システム830は、円筒状ハウジング812の後端部に配置されている。サブウーファ・スピーカ・システム830は、磁石アセンブリと、フレームと、ボイスコイル(不図示)と、スピーカ・ダイアフラム836と、から構成されている。フレームは、磁石アセンブリ及びスピーカ・ダイアフラム836を支持するように構成されている。磁石アセンブリは、円筒状ハウジング812内に配置されている。サブウーファ・スピーカ・システム830は、サブウーファ・スピーカ支持部によって、ハウジング812内に支持されている。第2の気泡源8100は、エンドキャップ814と、第2の円筒状弾性膜822bと、サブウーファ・スピーカ支持部838の後面と、ダイアフラム836の後面と、によって画定される密閉構造に維持されてもよいことが理解されるであろう。弾性膜822a~bは、スピーカ・ダイアフラム836を振動させるドライバを周囲の水の浮力からそれぞれ分離し、スピーカ・ダイアフラム836に均一に負荷がかかるようにできてもよい。
【0070】
スピーカ・ダイアフラム836は、AC電気信号の受信に応じて、ボイスコイルによって駆動される。AC電気信号は、AC電気信号の振幅及び周波数を制御し得る制御回路によって供給されてもよい。AC電気信号によってボイスコイル内に発達した磁場は、ボイスコイル及びボイスコイルが取り付けられたダイアフラム836を、磁石アセンブリによって生成された静磁場に対して動かす。ダイアフラム836がボイスコイルによって作動されると、その運動は、第1の気泡源820及び第2の気泡源810内に配置されたガスを摂動させる。
【0071】
システムは、二つの近接した共鳴を有し、非常に高い効率を示す。システムは、一つのサブウーファ・スピーカ830によって励起される二つの気泡共鳴器810、820からなる。第2の気泡共鳴器810は、第1の気泡共鳴器820よりも大きな体積を有するので、第1の気泡共鳴器820よりも低い共鳴周波数を有し得る。二つの円筒状気泡共鳴器820、810の間の剛性支持チューブの長さを変化させることにより、低共鳴周波数をシフトさせ、高共鳴周波数に近づけることができる。そうすることにより、潜水システムは、狭い出力帯域を有し、極めて効率的になることができる。デュアル共鳴デュアルアパーチャ水中サブウーファは、大きな帯域幅の出力が不要であるが、高い音圧レベルが望まれる用途に非常に適している。しかしながら、周波数応答のデュアル共鳴構造により、長距離水中測位及び海洋音響トモグラフィなどの用途に十分なほど周波数帯域幅が広げられる。
【0072】
図9は、デュアル共鳴音響システム800のシミュレーションのパワー対周波数のグラフ900を示す。サブウーファのシミュレーション・パラメータは、前述の変形例と同じであり、表1に示されている。各気泡源(
図8の820及び810)は、直径14’’及び長さ10’’を有し、弾性膜822a、bの剛性アルミニウム・チューブ支持構造(不図示)もまた、長さ10’’である。グラフ900で見られるように、この音源は、14~24Hzの低周波数帯で非常に高い信号を示す。グラフ900は、この狭い周波数帯において、~10%といった非常に高い効率と、高SPL(>190dB)を示す。非常に低い周波数共鳴を有する重いアルミニウム・ダイアフラムを備えるサブウーファを使用する場合、周波数帯を拡大することができる。
【0073】
デュアル共鳴音響システム800の二つの共鳴器は、サブウーファ・ドライバを介して接続されている。
図8に示されるように、サブウーファ・システム800は、二つの側部を有し、ピストンと同様に動作する。サブウーファ/スピーカ・コーンが右に動いているときには、この動きによって右側部又は右チャンバ内の空気が圧縮され、左側部又は左チャンバ内のコーン後方の空気が膨張し得る。逆に、コーンが左に戻るように動くと、これによりスピーカの後方の空気が圧縮され、右側部の空気を膨張する。このようにして、サブウーファを二つの気泡共鳴器の間の壁の穴に配置すると、サブウーファは共鳴器の両方を同時に、又は実質的に同時に、反対方向に励起することができる。
【0074】
二つの気泡共鳴器は、二つの異なる周波数F1とF2に調整できる。二つの気泡共鳴器は、
図16に示すように、同じ膜寸法を有し、異なる気泡体積を有してよい。しかしながら、一般には、両方の気泡共鳴器は、異なる体積及び異なる膜面積を有してもよい。気泡共鳴器の共鳴周波数f
rは、式14によって定義される。
【0075】
【0076】
共鳴器の体積が異なることにより、共鳴器の共鳴を互いに近くに設定できると同時に、共鳴器を二つの異なる周波数に調整することができる。このようなデュアル共鳴システムは、非常に強力で効率的なまま、拡大された周波数帯域を有益に有する。典型的な共鳴周波数及び位相応答の場合、デュアル共鳴システムは、二つの共鳴器に対して同じ位相の放射信号を生成し得る。放射信号は、デュアル共鳴音響システム800のスピーカ・インピーダンスが水の放射インピーダンスと整合するように生成されてもよい。スピーカ・コーンが二つの共鳴器の間で動くので、コーンは一方の体積を縮小させると同時に他方の体積を拡大させる。換言すれば、コーンは、共鳴器を反対の位相に励起する。しかしながら、共鳴周波数よりも高い振動は、位相が反時計回りにシフトし、共鳴周波数よりも低い振動は、位相が時計回りに90度シフトする。その結果、共鳴間において、放射信号が、両方の共鳴器から一つの位相になるため、デュアル共鳴音響システム800は、非常によく放射する。上述したように、弾性膜822a、bは、可撓性部材であってもよい。一方で、エンドキャップ814は、硬くてもよく、不可動であってよい。二つの円筒状気泡共鳴器820、810の円筒状ハウジングもまた、硬いか又は固定されていてもよく、不可動であってよい。
【0077】
スピーカ・コーンが動くが、信号を放射していない時でも、スピーカ後方の体積は圧縮されている。本明細書で論じられているように、チューニング・パイプは、位相反転器として働くようにサブウーファ・エンクロージャを通気してもよく、その結果、運動が反転され、主要な気泡共鳴器内で使用される。あるいは、スピーカ後方のチャンバは、(例えば、コーンが後方に動くような)コーンの前後運動を放射に利用して、水に対して放射する気泡も有する。このようにして、二つの気泡によって音波が放射される。この場合、各気泡は、二つの気泡の間で動く同じスピーカ・コーンを使用する。
【0078】
(ヒートシンクを備えた水中サブウーファ音響システム)
図10は、
図1に示され、上記に開示される基本的なサブウーファ音源のものに類似した設計を示す。
【0079】
潜水音響システム1000は、後端部に密閉チャンバ1010を備え、前端部に円筒状気泡源1020を備える。密閉チャンバ1010は、円筒状ハウジング1012から構成されており、円筒状ハウジング1012の後端部にはハウジング端部片1014が取り付けられている。円筒状気泡源1020は、ガスで満たされるように構成されている。円筒状気泡源1020は、円筒状ハウジング1012の前端部に取り付けられた円筒状弾性ポリウレタン膜1022から構成されている。円筒状気泡源1020はまた、弾性膜1022の前端部を封止するエンドキャップ1024を備える。弾性膜1022は、サブウーファ・ドライバを周囲の水の浮力から分離し、スピーカ・ダイアフラム1036に均一に負荷がかかるようにしてもよい。いくつかの態様において、エンドキャップ1024は、硬い部材であってもよい。いくつかの態様において、エンドキャップ1024はまた、変形可能な膜を備えてもよい。
【0080】
潜水音響システム1000内には、サブウーファ・スピーカ・システム1030が配置されている。サブウーファ・スピーカ・システム1030は、磁石アセンブリ1032と、フレームと、ボイスコイル(不図示)と、及びスピーカ・ダイアフラム1036と、から構成されている。フレームは、磁石アセンブリ1032及びスピーカ・ダイアフラム1036を支持するように構成されている。磁石アセンブリ1032は、潜水音響システム1000の後端部の密閉チャンバ1010内に配置されている。サブウーファ・スピーカ・システム1030は、サブウーファ・スピーカ支持部によってハウジング1010内に支持される。密閉チャンバ1010は、円筒状ハウジング1012と、ハウジング端部片1014と、サブウーファ・スピーカ支持部の後端部と、ダイアフラム1036の後面と、によって密閉構造に維持される。
【0081】
スピーカ・ダイアフラム1036は、AC電気信号の受信に応じて、ボイスコイルによって駆動される。AC電気信号は、AC電気信号の振幅及び周波数を制御し得る制御回路によって供給されてもよい。AC電気信号によってボイスコイル内に発達した磁場は、ボイスコイル及びそれが取り付けられているダイアフラム1036を、磁石アセンブリ1032によって生成される静磁場に対して動かす。ダイアフラム1036がボイスコイルによって作動されると、その運動は、気泡源1020内に配置されたガスを摂動させる。気泡源1020もまた、エンドキャップ1024と、円筒状弾性膜1022と、サブウーファ・スピーカ支持部の前面と、ダイアフラム1036の前面と、によって画定される密閉構造に維持され得ることが理解されるであろう。
【0082】
水中サブウーファ・システム1000のハウジング1012は、サブウーファ1030内部の空気を冷却するために、高い熱伝導率を有する材料から製造されてもよい。一態様において、ハウジング1012は、アルミニウム6061 T6から製造されてよい。水中サブウーファ1000は、使用中に、水によって取り囲まれる。高い温度導電性材料で製造されたハウジング1012は、外部の水との熱交換によって、デバイスの内部の空気を冷却してもよい。熱伝導性ハウジング1012に加えて、水中サブウーファ・システム1000は、磁石アセンブリ1032及びハウジング1012の両方と熱的に連通する一つ又は複数のヒートシンク1056を備えてもよい。一例では、一つ又は複数のヒートシンク1056は、銅から構成されてよい。別の例では、一つ又は複数のヒートシンク1056は、熱ダクトとして製造されてもよい。さらなる熱伝導が必要な場合、一つ又は複数のヒートシンク1056は、一つ又は複数の短いヒートパイプとして実現されてよい。一つ又は複数のヒートシンク1056の熱伝導は、さらに、温度を下げ、サブウーファ・エンクロージャ内部の温度バランスを改善し、二乗平均平方根(RMS)電力を増加させてもよい。銅は、約385[W/Km]の熱伝導率を有する。仮に、ヒートシンクが、5mmの長さと約0.001m2の断面積を有し、且つ、8個のヒートシンクが磁石システムと共に使用される場合、2kWの励起信号がサブウーファ・スピーカ・システムに印加され、サブウーファ・フレームの温度は、周囲の水の温度よりも約32.5℃しか上昇しないであろう。サブウーファ・スピーカ・システムのこのような熱制御により、長時間にわたる信頼できる使用が可能となる。一つ又は複数のヒートシンク1056及び/又は高い熱伝導性のハウジングは、上記又は下記のいずれかで開示される潜水サブウーファ・システムのいずれかに備えられてもよいことが認識されるであろう。
【0083】
(バンドパス共鳴器を有する水中サブウーファ・システム)
図11は、バンドパス潜水サブウーファ音響システム1100を示す。バンドパス潜水サブウーファ音響システム1100は、ベント式サブウーファ・システム400にサブウーファ・スピーカ・システムの前方に配置された第2のヘルムホルツ共鳴器を追加したものに類似している。
【0084】
バンドパス潜水音響システム1100は、後端部に後部エンクロージャ1111を備え、前端部に円筒状気泡源1120を備える。後部エンクロージャ1111は、円筒状ハウジング1112の後部から構成され、ハウジング端部片1114が円筒状ハウジング1112の後端部に取り付けられている。円筒状気泡源1120は、ガスが満たされるように構成されており、従って、ガスが充填された円筒状気泡源1120を通して水中に音が放射される。円筒状気泡源1120は、円筒状ハウジング1112の前端部に取り付けられた円筒状弾性ポリウレタン膜1122から構成される。円筒状気泡源1120はまた、弾性膜1122の前端部を封止するエンドキャップ1124を備える。弾性膜1122は、サブウーファ・ドライバを周囲の水の浮力から分離し、スピーカ・ダイアフラム1136に均一に負荷がかかるようにしてもよい。いくつかの態様において、エンドキャップ1124は、硬い部材であってもよい。いくつかの態様において、エンドキャップ1124はまた、変形可能な膜を備えてもよい。
【0085】
バンドパス潜水音響システム1100内には、サブウーファ・スピーカ・システム1130が配置されている。いくつかの態様において、サブウーファ・スピーカ・システム1130は、円筒ハウジング1112の後端部に配置される。サブウーファ・スピーカ・システム1130は、磁石アセンブリと、フレームと、ボイスコイル(不図示)と、スピーカ・ダイアフラム1136と、から構成される。フレームは、磁石アセンブリ及びスピーカ・ダイアフラム1136を支持するように構成されている。磁石アセンブリは、バンドパス潜水音響システム1100の後端の後部エンクロージャ1111内に配置される。サブウーファ・スピーカ・システムは、後部エンクロージャ1111内において、サブウーファ・スピーカ支持部1138によって支持される。従って、後部エンクロージャ1111は、ハウジング1112の後部と、ハウジング端部片1114と、サブウーファ・スピーカ支持部1138の後部と、スピーカ・ダイアフラム1136の後面と、から構成されている。
【0086】
スピーカ・ダイアフラム1136は、AC電気信号の受信に応じて、ボイスコイルによって駆動される。AC電気信号は、AC電気信号の振幅及び周波数を制御し得る制御回路によって供給されてもよい。AC電気信号によってボイスコイル内に発達した磁場は、ボイスコイル及びそれが取り付けられたダイアフラム1136を、磁石アセンブリによって生成された静磁場に対して動かす。
【0087】
バンドパス潜水音響システム1100は、ハウジング1112の前端部に共鳴器端壁1164を含む。共鳴器端壁1164とダイアフラム1136の前面とによって境界付けられたハウジング1112の部分は、ヘルムホルツ共鳴器チャンバ1162を画定し、ヘルムホルツ共鳴器チャンバ1162は、共鳴器スロート1166と共にヘルムホルツ共鳴器を形成する。共鳴器スロート1166は、共鳴器チャンバ1162を円筒状気泡源1120と音響的及び流体的に結合する。気泡源1120は、エンドキャップ1124と、円筒状弾性膜1122と、共鳴器端壁1164の前面とによって画定される密閉構造に維持され得ることが理解されるであろう。ダイアフラム1136がボイスコイルによって作動されると、その運動は、共鳴器チャンバ1162内に配置されたガスを摂動させる。
【0088】
バンドパス潜水音源1100はまた、密閉コンパートメント1111とヘルムホルツ共鳴器チャンバ1162を通気するためのチューニング・パイプ1150を備えてもよい。いくつかの態様において、チューニング・パイプ1150は、サブウーファ・スピーカ支持部1138内に配置され、密閉コンパートメント1111とヘルムホルツ共振器チャンバ1162との間において延在している。チューニング・パイプ1150は、密閉コンパートメント1111とヘルムホルツ共鳴器チャンバ1162との間の流体連通を可能にするように構成されていてもよい。
【0089】
図12は、バンドパス潜水音源1100の等価電気回路1200を示す。適用可能な方程式は、
図2を参照して上述されている。ヘルムホルツ共鳴器に関して、R
0=ω
rL
h/Q
hであり、Q
hはヘルムホルツ共鳴器のQ値であり、ω
rはヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数であり、L
h=l
hρ
a/A
hであり、l
hはヘルムホルツ・ポートの長さであり、A
hはヘルムホルツ・ポートの面積であり、C
h=V
h/(γP
b)であり、V
hは、ヘルムホルツ共鳴器の体積であり、r=1.4は断熱定数である。ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数ω
r=1/√(l
mρ
atmV
h/(γP
atmA
h))のρ
atm及びP
atmは、それぞれ原子密度及び空気の圧力である。共鳴周波数は、すべての深さにおいて略同一である。これにより、音源の周波数応答がより安定する。
【0090】
バンドパス潜水サブウーファ音源1100の挙動をシミュレートする目的で、サブウーファのシミュレーション・パラメータは、表1に記載されるものと同じであり、エンクロージャのシミュレーション・パラメータは以下の表4に記載されるものある。バンドパス共鳴器は、サブウーファ・スピーカ・システム1130の前方に配置される狭いスロートを有する追加のヘルムホルツ・チャンバに関してのみ密閉式及びベント式変形例と異なっている。
【0091】
図13は、8mの深さで動作するバンドパス潜水音響システム1100の音圧対周波数のグラフ1300を示す。バンドパス共鳴器は、周波数帯域を12Hzから92Hzの範囲にまで拡張する。ヘルムホルツ共鳴は深さに依存しないので、周波数応答は水深に影響を受けるようには見えない。バンドパス共鳴器は、周波数帯域からすべての高調波をフィルタリングし、高調波成分をクリーンにする。
【0092】
【0093】
図14は、ベント式サブウーファ・システム(600)、バンドパス・サブウーファ・システム(1300)、及び基本的なサブウーファ・システム(300)のシミュレートされた応答の比較を示す。3つの水中サブウーファはすべて、2kWの信号によって励起され、8mの深さで動作させた。すべてのシミュレーションにおいて、サブウーファには同じパラメータを用いた。シミュレーションのエンクロージャ・パラメータは、表2(基本設計)、表3(ベント式エンクロージャ)、及び表4(バンドパス式エンクロージャ)から得た。チューニング・パイプの追加により、周波数応答がより低い周波数にシフトし、前方ヘルムホルツ共鳴器の追加により、サブウーファ・システムの高周波数範囲が拡大したことを見ることができる。潜水サブウーファ音響システムは、一つ又は複数のチューニング・パイプ及び/又は一つ又は複数のヘルムホルツ共鳴器を組み込んでもよいことが理解されるであろう。
【0094】
ヘルムホルツ共鳴器スロート及びヘルムホルツ共鳴器チャンバは、気泡共鳴の周波数よりも高い共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴器を形成してもよい。ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数は、
図13において、周波数応答の第1の最大ピーク(
図13のグラフの右側から)から見ることができる。グラフに示されているように、この共鳴周波数は、非常に高い周波数となる可能性があり、周波数応答を87Hzまで拡張することができる。ヘルムホルツ共鳴器の体積は、コンプライアンスのような働きをし、チューニング・パイプ内の空気は、イニーシャとして働く。体積は、ヘルムホルツ・チャンバに対して計算されてもよく、長さ及び断面積は、チューニング・パイプに対して計算されてもよい。式15は、共鳴周波数が、チューニング・パイプの長さと断面積とにどのように関係するのかを示している。
【0095】
【0096】
(バンドパス共鳴器及びコンピュータ制御を有する水中サブウーファ・システム)
水中サブウーファが、サブウーファ・システムを駆動するために送信される入力パワーの制御に使用されるセンサデータを提供する一組のセンサを含む場合、その水中サブウーファの動作信頼性を高めることができる。潜水音源の一般的な使用において、音響駆動装置は、数時間及び数日にわたる連続使用に対して高い信頼性を有することが要求され得る。一般的なサブウーファ・スピーカ・システムは、わずか数時間の連続動作を目的として設計されており、長い期間使用すると、すぐに過熱し得る。従って、過熱を防止するために、一組のセンサによって受信されたデータに基づいて、サブウーファ・スピーカ・システムの動作を制御し得るコントローラを備えることが望ましい。
図15は、
図11に示されており、上記に開示されている音響システム1100に類似したバンドパス・サブウーファ音響システム1500を示す。
図15に示される制御システム1580は、バンドパス・サブウーファ音響システム1500を伴う使用に限定されるものではなく、上記に開示されている水中サブウーファ音響システムである基本的なサブウーファ・システム100(
図1)、ベント式サブウーファ・システム400(
図4)、水冷式デュアルサブウーファ・システム700(
図7)、デュアル共鳴/デュアルアパーチャ・サブウーファ・システム800(
図8)、及びヒートシンク1000を含むサブウーファ音響システム(
図10)のうち、いずれかと共に使用されてもよく、またこれらの水中サブウーファ音響システムに限定されないことが認識されるであろう。デュアルサブウーファ音響システム700の場合、単一のコントローラが、サブウーファ・スピーカ・システムの各々を制御してもよく、各々に関連する別個のセンサを有してもよい。あるいは、デュアルサブウーファ音響システムの各サブウーファ・スピーカ・システムは、別々のコントローラによって制御されてもよい。いくつかの態様において、別々のコントローラの各々は、サブウーファ・スピーカ・システムの各々に送信される駆動信号の位相を調整するために、他方コントローラと通信するように構成されてもよい。
【0097】
図15に示すように、コントローラは、プロセッサと、プロセッサとデータ通信するメモリ・ユニットと、サブウーファ・スピーカ・システム1530のボイスコイルを駆動する電流を供給するように構成された制御可能な電源又はパワー増幅器1584と、複数のセンサからセンサ入力データを受信するためのインタフェースと、を含む部品を備えるが、これらに限定されない。一つの非限定的な実施例において、インタフェースは、アナログ-デジタル変換器1586を含んでもよい。
【0098】
一組のセンサは、プロセッサが電源1584によって送られるパワーを制御することを支援するセンサ入力データを提供することができる任意の一つ又は複数のセンサを備えてもよい。そのようなセンサの非限定的な例として、電源1584の出力電流のセンサと、電源1584の出力電圧のセンサとが挙げられる。いくつかの態様において、出力電流のセンサ及び出力電圧のセンサのうち一つ又は複数が、コントローラ1580に組み込まれていてもよい。いくつかの態様において、出力電流のセンサ及び出力電圧のセンサのうち一つ又は複数が、サブウーファ・スピーカ・アセンブリ1530に組み込まれていてもよい。別の態様において、出力電流のセンサ及び出力電圧のセンサのうち一つ又は複数は、別個のデバイスに組み込まれてもよい。
【0099】
さらに、一組のセンサは、サブウーファ・スピーカ・アセンブリ1530の一つ又は複数の部品の動作に関連するパラメータを測定するように構成されたセンサを備えてもよい。一例において、一組のセンサは、ボイスコイルの温度センサ1587を備えてもよい。ボイスコイルの温度センサ1587は、動作中にボイスコイルと物理的に接触しない赤外線(IR)温度センサであってもよい。別の例において、一組のセンサは、サブウーファ・スピーカ・システム1530の磁石アセンブリの温度を測定するように構成された温度センサ1588を備えてもよい。一例において、温度センサ1588は、磁石アセンブリと直接的な接触してもよい。別の例において、温度センサ1588は、磁石アセンブリと接触する空気又はガスの温度を検出してもよい。別の例において、一組のセンサは、サブウーファ・スピーカ・システム1530の動作中のダイアフラムの変位を測定するように構成されたセンサを備えてもよい。
【0100】
潜水サブウーファ音響システムのさらなる状態を監視するために、付加的なセンサを使用してもよいことが認識されるであろう。本開示は、そのようなセンサを、本明細書に明示的に記載されたセンサのみに限定するものと解釈されるべきではない。
【0101】
コントローラのメモリ・コンポーネントは、インストラクションを備えており、このインストラクションは、コントローラのプロセッサによって実行されると、プロセッサに、センサからセンサ入力データを受信させ、出力センサに基づいて電源1584の出力を制御させてよい。入力センサデータは、出力電流センサ、出力電圧センサ、温度センサ1587、1588、又は任意の他のセンサからのデータを含んでもよい。サブウーファの電力又は温度条件が定義された安全限界を超えた場合、プロセッサは、その条件が定義された安全限界内になるまで、電源1584に出力パワーを減少させるか、出力信号のデューティサイクルを増加させるか、又はサブウーファ・スピーカ・システム1530を停止させてよいことが理解されるであろう。
【0102】
サブウーファ・コーンのフルダイナミクスは、センサを使ってスピーカの電流及び電圧を感知することで測定することができる。逆起電力(逆EMF電圧)は、Bl値又はモータ出力と、入力信号の電圧との積として計算できる。電流(Ic)とBlとの積により、コーンに印加される力が得られる。単純な電流回路モデルは、EMF電圧と電流の二つのパラメータに基づいて、任意の他の動的パラメータを決定又は計算するために使用することができる。一般に、コントローラが電流を制限すると、コーンに印加される力も制限され、その結果、その力は安全限界内に維持される。逆EMFを測定し、電源1584を制御することによって、コーンの速度を制限できる。その結果、コーンのエクスカーションの振幅を、コーンがその安全限界を超えないように制限することができる。
【0103】
サブウーファ・スピーカ・システム1530では、ボイスコイルの温度が上昇する速度は、サブウーファ・スピーカ・システム1530の他の部分各々の速度と比較して、より速い速度であってもよい。特に、ボイスコイルは、250℃までの温度を有することができる。ボイスコイルの温度は、約2~3秒で、このような最大レベルに達することができる。水中サブウーファを最大パワーで使用した場合、水中サブウーファの動作の結果、その温度は、メレキシス・テクノロジー(Melexis Technologies)から入手可能なMLX90621などの適切な赤外線リモートセンサで測定されるべきである。磁石アセンブリ及びサブウーファ・エンクロージャ内の温度は、アナログ・デバイセズ(Analog Devices)から入手可能なADT7301などの適切なデジタル温度センサによって測定することができる。本明細書で議論するように、コントローラは、例えば、過熱を防止する温度制御を実施するようにプログラムされてよい。また、サブウーファの磁石アセンブリ及びフレームを周囲の水で冷却するために、一つ又は複数の銅製温度導体が設けられてよい。
【0104】
(潜水サブウーファ・システムの実現例)
図16において、実験用の水中サブウーファ音響システムの一例が、開放構成1600a及び閉鎖構成1600bで示されている。実現されたサブウーファ音響システムは、モジュール構造を有し、後端部に密閉式(又はベント式)サブウーファ・エンクロージャ1602と、中央に配置されたヘルムホルツ共鳴器1604と、前端部に気泡共鳴器1606とを備える。実験用のシステムは、ロッドと共に互いにボルト止めされた複数の内部円板を含む。この内部構造体は、硬質の炭素繊維パイプ1608の内側を摺動することができる。板の位置と数を変えることにより、実現されたサブウーファ・音響システムを、密閉式、ベント式、又はバンドパス式といった、考えられるサブウーファの変形例のいずれにも変形することができる。実験用のシステムを用いて行った実験は、シミュレーションモデルと良好に一致した。
【0105】
(クラスタ・サブウーファ・システム)
実用的な水中サブウーファ音響システムの試験において、二つのサブウーファ間の距離が直径の4~5倍よりも大きい場合、サブウーファ音圧出力は結合せず、むしろ直接合計することが分かった。その結果、音圧出力の合計として、個々の音響システムからの音響出力より約6dB大きい音響出力を有し得る。各潜水音響システムは、あたかも隣接する音源が存在しないかのように動作し、各音源は電源から同じパワーを受け取る。その結果、結合された水中音響システムの総音響出力は、水中において、個々の音源よりも約4倍の音響出力を有する。このようなシステムの効率は、2倍高くなる。直径の4~5倍の距離に位置するN個の潜水サブウーファ音源のクラスタの総合効率は、N倍になるであろう。そのような音源のクラスタが水中で球面波を作り出すために、個々の音源は、互いに同一の距離に取り付けられ、仮想球の表面上に画定される共通の位相中心から同じ距離を有してもよい。このような幾何学的構造は、
図18に示すように、合同な正多面体として知られている。こうした多面体には、四面体1800a、八面体1800b、立方体1800c、十二面体1800d、又は二十面体1800eが含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
図17は、サブウーファ音源1720a~fのクラスタを備える水中音響システム1700の図を示す。サブウーファ音源は、支持部1710上に配置されてもよく、支持部1710は、サブウーファ音源1720a~fの向きを維持し、音響システム1700を高速でスムーズに、且つ安定的に牽引することを可能にする任意の数の特徴を含んでよい。一例では、支持部1710は、フィン-デプレッサ1733及びキール1740などの特徴を含んでよい。サブウーファ音源1720a~fは、正多面体の頂点に配置されてよい。正多面体は、例えば、
図17に示すように、立方体であってよい。サブウーファ音源1720a~fの各々は、2kWのパワー増幅器から約0.7%の効率で、1mで182dB re 1μPaの音圧を放射することができる。しかしながら、クラスタ・システム1700は、1mで200dB re 1μPaの音圧を放射し、16kWのパワー増幅器を必要とする可能性がある。このクラスタの効率は、5.6%であるだろう。このようなクラスタは、アレイ構造状に結合され、必要な指向性パターンを生成することができる。
【0107】
クラスタ音響システム1700において使用される潜水サブウーファ音響システムは、上記に開示されるサブウーファ音響システムである基本的なサブウーファ・システム、ベント式サブウーファ・システム、バンドパス・サブウーファ・システム、水冷式デュアルサブウーファ・システム、デュアルアパーチャ/デュアル共鳴サブウーファ・システム(ヒートシンクを含んでも含まなくてもよい)のうちのいずれか一つを含んでよく、これらに限定されないことが認識されるであろう。クラスタを一緒に形成するサブウーファ音響システムはすべて、同じタイプのサブウーファ音響システムを含んでもよく、又は任意の一つ以上のタイプの音響システムを混合してもよい。サブウーファ音響システムの各々は、例えば1580(
図15参照)のような、それ自身のコントローラを有してもよい。いくつかの態様において、個々のコントローラは、それぞれのサブウーファ・スピーカ・システムの振幅、周波数、及び位相を調整するために、コントロール間で通信するように構成されてもよい。別の態様において、単一のコントローラが、個々のサブウーファ・スピーカ・システムの各々を制御し、各々からセンサ入力データを受信してよい。
【0108】
本明細書に記載されるようなクラスタ又はアレイ構造において、気泡共鳴器間の距離は、水中で生成される波の波長と比較して非常に小さいので、すべての共鳴器が一つの位相で一つの大きな気泡として有効に動作することができる。従って、クラスタ音響システム1700等の本明細書に開示されるシステムは、有益に、高コヒーレントの音源を有している。別の利点は、クラスタの効率が、クラスタ内の音源の数にほぼ比例することである。すなわち、クラスタは、クラスタを構成するバブル共鳴器からの音圧を合計する。たとえば、クラスタが、音圧P0を有する1ワットの音源を備えており、同じ音圧レベルP0を有する1ワットの別の音源がそのクラスタに追加された場合、結果として生じる音圧は2*P0になり、総出力は(2P0)^2又は4ワットになる。従って、クラスタ内の音源の数を2倍にすれば、同じ電力から4倍のエネルギーが得られることになる。従って、音源がクラスタ内で共に動作するようにクラスタを設けると、1つの音源だけの効率よりも効率的である。
【0109】
本開示の様々な態様を示し、説明したが、本明細書で説明される方法及びシステムのさらなる適合は、本開示の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な変更によって達成され得る。このような実施され得る変更のいくつかについては上述されており、他の変更も当業者には明らかであろう。例えば、上述した実施例、態様、幾何学的形状、材料、寸法、比率、ステップ等は、例示的なものであり、必ずしも必要とされない。従って、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から判断されるべきであり、本明細書及び図面に示され、説明される構造及び動作の詳細に限定されるものではないことが理解される。
【0110】
前述の説明では様々な詳細を述べたが、スリープ中にスリープ強化を使用するためのシステム及び方法の様々な態様は、これらの特定の詳細なしで実施され得ることが理解されるであろう。当業者であれば、本明細書で説明される要素(例えば、動作)、デバイス、オブジェクト、及びそれらに伴う説明は、概念を明確にするための例として使用されており、様々な構成変更が企図されることを認識するであろう。従って、本明細書で使用されるように、記載された特定の例示及びそれに伴う説明は、より一般的なものを代表することを意図する。一般に、任意の特定の例の使用は、その部類を代表することを意図しており、特定の要素(例えば、動作)、デバイス、及びオブジェクトの非包含は、限定的に解釈されるべきではない。
【0111】
さらに、いくつかの形態を図示し、説明したが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に限定又は限定することは、出願人の意図ではない。これらの形態に対する様々な変更、変形、改良、置換、組み合わせ、及び均等物を実施することができ、当業者であれば、本開示の特許範囲から逸脱することなく、それらを思いつくであろう。さらに、説明された形態に関連する各要素の構造は、代替的に、その要素によって実行される機能を提供するための手段として説明することができる。また、特定の要素の材料が開示されている場合、他の材料が使用されてもよい。従って、前述の説明及び添付の特許請求の範囲は、開示された形態の範囲あるすべてのそのような変更、組合せ、及び変形を包含することが意図されることを理解されたい。添付の特許請求の範囲は、そのようなすべての変更、変形、改良、置換、修正、及び均等物を包含することが意図される。
【0112】
開示の簡潔性及び明確性のために、前述の開示における選択された態様は、詳細にではなくブロック図形で示されている。本明細書における詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータ・メモリに格納されたデータに対して動作するインストラクションに関して提示され得る。そのような説明及び表現は、当業者が、自分の仕事の内容を説明し、他の当業者に伝えるために使用される。一般に、アルゴリズムは、所望の結果につながる自己矛盾のない一連のステップを指し、「ステップ」は、必ずしも必要ではないが、記憶、伝達、結合、比較、及びその他の操作が可能な電気信号又は磁気信号の形態をとることができる物理量の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数などと呼ぶことが一般的である。これら及び類似の用語は、適切な物理量に関連付けられてもよく、これらの量に適用される便宜上のラベルにすぎない。
【0113】
前述の開示から特に明記されない限り、前述の開示全体を通して、「処理する」、「計算する(computing)」、「計算する(calculating)」、「決定する」、又は「表示する」などの用語を使用してなされる説明は、コンピュータ・システムのレジスタ及びメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを、コンピュータ・システム・メモリ又はレジスタ内の物理量として同様に表される他のデータ、又は他のそのような情報記憶、送信、又は表示デバイスに操作及び変換する、コンピュータ・システム又は同様の電子計算デバイスの動作及びプロセスを指すことが理解される。
【0114】
一般的な意味で、当業者は、本明細書に記載された様々な態様は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組合せの広い範囲によって、個別に及び/又は集合的に実現され得、様々なタイプの「電気回路」から構成されると見なすことができることを認識するであろう。従って、「電気回路」は、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータ・プログラムによって構成される汎用コンピューティング・デバイス(たとえば、本明細書で説明されるプロセス及び/又はデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータ・プログラムによって構成される汎用コンピュータ、又は本明細書で説明されるプロセス及び/又はデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータ・プログラムによって構成されるマイクロプロセッサ)、メモリ・デバイスを形成する電気回路(たとえば、ランダム・アクセス・メモリの形態)、及び/又は通信デバイスを形成する(例えば、モデム、通信スイッチ、又は光電気機器)電気回路を含むが、これらに限定されない。当業者であれば、本明細書に記載の主題は、アナログ方式又はデジタル方式、あるいはそれらの何らかの組合せで実施され得ることを理解するであろう。
【0115】
前述の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例を使用して、デバイス及び/又はプロセスの様々な形態を説明した。そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が、一つ又は複数の機能及び/又は動作を含む限り、そのようなブロック図、フローチャート、又は実施例における各機能及び/又は動作は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は事実上任意のそれらの組合せによって、個別に及び/又は集合的に実行され得ることが、当業者によって理解されるであろう。一つの形態において、本明細書に記載される主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は他の集積フォーマットを使用して実施され得る。しかし、本明細書で開示される形態のいくつかの態様は、全体的に又は部分的に、集積回路において、一つ又は複数のコンピュータ上で実行される1つ又は複数のコンピュータ・プログラムとして(たとえば、一つ又は複数のコンピュータ・システム上で実行される一つ又は複数のプログラムとして)、一つ又は複数のプロセッサ上で実行される一つ又は複数のプログラムとして(たとえば、一つ又は複数のマイクロプロセッサ上で実行される1つ又は複数のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はそれらの事実上任意の組合せとして同等に実行され得ること、及び回路を設計すること、及び/又はソフトウェア及び/又はファームウェアのためのコードを書き込むことは、本開示に照らして当業者の技能の範囲内で十分にあることを、当業者は認識するであろう。さらに、当業者は、本明細書で説明される主題のメカニズムが、様々な形態でプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書で説明される主題の例示的な形態が、配布を実際に実行するために使用される信号搬送媒体の特定のタイプにかかわらず適用されることを理解するであろう。信号搬送媒体の例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク・ドライブ、コンパクト・ディスク(CD)、デジタル・ビデオ・ディスク(DVD)、デジタル・テープ、コンピュータ・メモリなどの記録可能なタイプの媒体、及びデジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、送信論理、受信論理など)などの伝送タイプの媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
いくつかの例において、一つ又は複数の要素は、「結合された」及び「接続された」という表現とそれらの派生語とを使用して記述されてもよい。これらの用語は、互いに同義語として意図されていないことを理解されたい。例えば、いくつかの態様は、二つ以上の要素が互いに直接的に物理的又は電気的に接触していることを示すために、「接続された」という用語を使用して記述されてもよい。別の例として、二つ以上の要素が直接的に物理的又は電気的に接触していることを示すために、「結合された」という用語を使用して記述されてもよい。しかし、「結合された」という用語は、二つ以上の要素が互いに直接的に接触していないが、互いに協働又は相互作用していることを意味してもよい。異なる他の要素内に含まれる、又は異なる要素と接続された異なる要素の描写されたアーキテクチャは、単なる例であり、実際には、同じ機能を達成する多くの他のアーキテクチャが実施されてもよいことを理解されたい。概念的な意味では、同じ機能を達成する要素の任意の配置は、効果的に「関連付けられる」ことを理解されたい。従って、本明細書で組み合わされて特定の機能を達成する任意の二つの要素は、所望の機能が達成されるように、互いに「関連付けられている」と見なすことができ、その結果、アーキテクチャ又は中間要素にかかわらず、所望の機能が達成される。同様に、そのように関連付けられた任意の二つの要素は、所望の機能を達成するために互いに「動作可能に接続されている」又は「動作可能に結合されている」と見なすこともでき、そのように関連付けられることができる任意の二つの要素は、所望の機能を達成するために互いに「動作可能に結合可能である」と見なすこともできる。動作可能に結合可能な特定の例には、物理的に嵌合可能及び/若しくは物理的に相互作用する要素、並びに/又は、ワイヤレスで相互作用可能な及び/若しくは論理的に相互作用する及び/若しくは論理的に相互作用可能な要素が含まれるが、これらに限定されない。
【0117】
他の例において、1つ又は複数の要素は、本明細書では「構成される」、「構成可能に」、「動作可能/するように動作可能」、「適応される/適応可能」、「できる」、「準拠した/準拠される」などと呼ばれることがある。当業者は、「構成される」は、文脈上別段の必要がない限り、一般に、アクティブ状態要素及び/又は非アクティブ状態要素及び/又はスタンバイ状態要素を包含することができることを認識するであろう。
【0118】
本開示の特定の態様を示し、説明したが、本明細書の教示に基づいて、本明細書に記載の主題及びそのより広い態様から逸脱することなく変更及び変形を行うことができ、従って、添付の特許請求の範囲は、本明細書に記載の主題の真の特許請求の範囲内にあるようなすべてのそのような変更及び変形をその範囲内に包含することが当業者には明らかであろう。一般的に、本明細書、及び特に添付された特許請求の範囲(例えば、添付された特許請求の範囲の本文)内で使用される用語は、一般的に「非限定」用語であることを意味すると当業者に理解されるであろう(例えば、「含んでいる」という用語は、「含んでいるが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、「有している」という用語は、「少なくとも有している」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきである)。さらに、導入された請求項の記載に特定の数が意図されている場合には、そのような意図が当該請求の範囲に明示的に記載され、そのような明示的記載が存在しない場合、そのような意図がないということが当業者に理解されるであろう。例えば、理解を助けるために、以下の添付された特許請求の範囲は、請求項の記載を導入するために「少なくとも一つ」又は「一又は複数」という導入語句の使用を含んでいてもよい。しかしながら、たとえ同じ請求項が導入語句「少なくとも一つ」又は「一又は複数」、及び「a」又は「an」のような不定冠詞を含むときであっても(例えば、「a」及び/又は「an」は、典型的には「少なくとも一つ」又は「一又は複数」を意味すると解釈されるべきである)、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の記載の導入は、そのような導入された請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、一つのそのような記載のみを含む請求項に限定することを意味すると解釈するべきではなく、請求項を導入するために使用される不定冠詞の使用にも同じことが言える。
【0119】
さらに、たとえ導入された請求項の記載に特定の数が明示的に記載されていても、当業者は、そのような記載が、典型的には、少なくとも列挙された数を意味する(例えば、他の修飾語句がない「二つの記載」の元の記載は、典型的に少なくとも二つの記載、あるいは、二つ又は複数の記載と意味する)と解釈されるべきであることを認識するであろう。さらに、それらの例において、「A、B及びCの少なくとも一つ」に類似する規則が用いられる場合、一般的に、そのような構成は、当業者がその規約を理解するであろう(例えば、「A、B及びCの少なくとも一つを有するシステム」は、A単体、B単体、C単体、AとB、AとC、BとC、及び/又はAとBとCを有するシステムを含むが、これに限定されないであろう)意味で意図される。それらの例において、「A、B、又はCなどのうちの少なくとも一つ」に類似する規則が用いられ場合、一般に、そのような構成は、当業者がその規約を理解するであろう(例えば、「A、B、又はCなどのうちの少なくとも一つを有するシステム」は、A単体、B単体、C単体、AとB、AとC、BとC、及び/又はAとBとCを有するシステムを含むが、これに限定されないであろう)意味で意図される。二つ又は複数の代替用語を掲示する「及び/又は」語句である分離語が、説明、特許請求の範囲、又は図面のいずれかにおいて、文脈が別段の指示をしない限り、用語のうちの一つ、用語のうちのいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図するものと理解されるべきであることを理解されたいことは、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、語句「A又はB」は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0120】
添付された特許請求の範囲に関して、当業者は、一般に、そこで記載された動作が、任意の順序で実行され得ることを理解するであろう。また、様々な動作フローがシーケンスで提示されているが、様々な動作は、図示されている順序以外の順序で実行されてもよく、又は同時に実行されてもよいことを理解されたい。そのような代替順序付けの例は、文脈が別段の指示をしない限り、オーバーラップ、インターリーブ、中断、並べ替え、増分、準備、補足、同時、逆、又は他の変形順序付けを含むことができる。さらに、「に応答する」、「に関連する」、又は他の過去の形容詞のような用語は、文脈が別段の指示をしない限り、一般に、そのような変形を除外することを意図しない。
【0121】
「一つの態様」、「態様」、「一つの形態」、又は「形態」への言及は、その態様に関連して説明された特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも一つの態様に含まれることを意味することに留意されたい。従って、本明細書全体を通して様々な場所における「態様において」、「一つの態様において」、「形態において」、又は「一つの形態において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ態様を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、一つ又は複数の態様において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0122】
本明細書における実質的に任意の複数及び/又は単数の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/又は用途に適切であるように、複数から単数へ、及び/又は単数から複数へと変換することができる。様々な単数/複数の置換は、明確にするために本明細書では明確に記載されていない。
【0123】
場合によっては、システム又は方法の使用は、要素が領域外に配置されている場合であっても、領域内で行われてもよい。例えば、分散コンピューティング・コンテキストでは、分散コンピューティング・システムの使用は、システムの一部が領域外に配置されていても(例えば、テリトリの外側に配置されているリレー、サーバ、プロセッサ、信号搬送媒体、送信コンピュータ、受信コンピュータ等)、領域内で行われることがある。
【0124】
システム又は方法の販売は、システム又は方法の構成要素が領域外に位置し、且つ/又は領域外で使用される場合であっても、同様に領域内で行われてもよい。さらに、一つの領域において方法を実行するためのシステムの少なくとも一部の実装は、別の領域におけるシステムの使用を排除しない。
【0125】
上記の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、本明細書で言及され、及び/又は任意の出願データシートに列挙された非特許公開、又は任意の他の開示資料のすべては、本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。従って、必要な範囲で、本明細書に明示的に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれる任意の矛盾する材料に取って代わる。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に記載の既存の定義、声明、または他の開示資料と矛盾する資料またはその一部は、その組み込まれた資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれる。
【0126】
要約すると、本明細書に記載の概念を採用することから生じる多くの利点が記載されている。1つ又は複数の形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。これは、網羅的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示に照らして、変更又は変形が可能である。1つ又は複数の形態は、原理及び実用的なアプリケーションを例示するために選択され、説明され、それによって、当業者が、意図される特定の使用に適した様々な形態及び様々な変更を利用することを可能にした。ここで提出された主張が全体的な範囲を定義することを意図している。
【0127】
様々な実施形態が、以下の番号付けされた例に記載される。
【0128】
(例1)潜水音響システムは、ハウジングと、前記ハウジングの後端部と機械的に連通しているハウジング端部片と、前記ハウジングの前端部と機械的に連通している弾性膜と、前記弾性膜と機械的に連通しているエンドキャップと、前記ハウジング内に配置されたサブウーファ・スピーカ・システムと、を備える。前記サブウーファ・スピーカ・システムは、前記ハウジングの前記後端部内に配置されている磁石アセンブリと、前記磁石アセンブリと機械的に連通しているフレームと、ボイスコイルと、前記フレームに機械的に連通しているダイアフラムであって、前記ボイスコイルによって駆動されるように構成されている前記ダイアフラムと、前記フレームと機械的に連通しているサブウーファ・スピーカ支持部と、前記ハウジングの内部部分と、を備え、前記サブウーファ・スピーカ支持部の前面と、前記ダイアフラムの前面と、前記ハウジングの前記前端部と、前記弾性膜と、前記エンドキャップとが共に、密閉された円筒状気泡音源を画定する。
【0129】
(例2)例1の前記潜水音響システムでは、前記ハウジングと、前記ハウジング端部片と、前記サブウーファ・スピーカ支持部の後面とが共に、前記ハウジングにおける密閉エンクロージャを形成する。
【0130】
(例3)例1又は例2の前記潜水音響システムは、前記サブウーファ・スピーカ支持部内に配置されており、前記密閉エンクロージャと前記円筒状気泡音源との間に延びており、前記密閉エンクロージャと前記円筒状気泡音源との間で流体連通できるように構成されているチューニング・パイプを備える。
【0131】
(例4)例3の前記潜水音響システムでは、前記チューニング・パイプ及び前記密閉エンクロージャが共に、ヘルムホルツ共鳴器を備える。
【0132】
(例5)例1~4のいずれかの前記潜水音響システムは、前記ハウジング内に配置されている第2のサブウーファ・スピーカ・システムを備える。前記第2のサブウーファ・スピーカ・システムは、前記ハウジングの前記後端部内に配置されている第2の磁石アセンブリと、前記第2の磁石アセンブリと機械的に連通されている第2のフレームと、第2のボイスコイルと、前記第2のフレームと機械的に連通されており、前記第2のボイスコイルによって駆動されるように構成されている第2のダイアフラムと、前記第2のフレームと前記ハウジングの前記後端部の内部部分とに機械的に連通されている第2のサブウーファ・スピーカ支持部と、前記フレームの後側と前記第2のフレームの前側との間で流体連通できるように構成されている密閉チャネルと、を備え、前記第2のサブウーファ・スピーカ・システムは、前記サブウーファ・スピーカ・システムに対して反対方向に配置されており、前記ダイアフラムは、第1のダイアフラムであり、前記第1のダイアフラムは、前記第2のダイアフラムに対して反対に動作するように構成されている。
【0133】
(例6)例1~5のいずれかの前記潜水音響システムは、第2の円筒状気泡音源を備え、前記第2の円筒状気泡音源は、第2の弾性膜であって、前記第2の弾性膜の第1端において、前記ハウジングの前記後端部と機械的に連通しており、前記第2の弾性膜の第2端において、前記ハウジング端部片と機械的に連通している前記第2の弾性膜を備え、前記第2の弾性膜と、前記ハウジングと、前記ハウジング端部片と、前記サブウーファ・スピーカ支持部の後面とが共に、密閉エンクロージャを形成する。
【0134】
(例7)例1~6のいずれかの前記潜水音響システムは、前記磁石アセンブリ及び前記ハウジングと熱的に連通されている一つ又は複数のヒートシンクをさらに備える。
【0135】
(例8)例7の前記潜水音響システムでは、前記一つ又は複数のヒートシンクが水の近くに位置するように構成されており、前記水を冷却する。
【0136】
(例9)例1~8のいずれかの前記潜水音響システムは、その中に配置されているガスをさらに備える。
【0137】
(例10)例1~9のいずれかの前記潜水音響システムでは、前記エンドキャップが弾性部分を備える。
【0138】
(例11)例1~10のいずれかの前記潜水音響システムは、制御システムを備える。前記制御システムは、プロセッサと、前記プロセッサとデータを通信するメモリ・ユニットと、前記ボイスコイルと電気的に連通している制御可能な電源と、前記サブウーファ・スピーカ・システムからセンサ入力データを受信するように構成されているインタフェースと、を備え、前記メモリ・ユニットは、指示を格納しており、前記指示は、前記プロセッサによって実行された場合に、前記プロセッサに、前記サブウーファ・スピーカ・システムから前記センサ入力データを受信させ、受信した前記センサ入力データに基づいて、前記電源を制御させる。
【0139】
(例12)例11の前記潜水音響システムでは、前記サブウーファ・スピーカ・システムが、前記磁石アセンブリの周囲の流体の第1の温度の第1の温度センサと、前記ボイスコイルの第2の温度の第2の温度センサとを備える。
【0140】
(例13)例12の前記潜水音響システムでは、前記第2の温度センサが、IR温度センサである。
【0141】
(例14)例12~13のいずれかの前記潜水音響システムでは、前記センサ入力データが、前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサのうち一つ又は複数から受信される。
【0142】
(例15)例11~15のいずれかの前記潜水音響システムは、前記電源の出力電流のセンサと、前記電源の出力電圧のセンサと、を備え、前記メモリ・ユニットは、指示を格納しており、前記指示は、前記プロセッサによって実行された場合に、前記プロセッサにさらに、前記出力電流のセンサから電流データを受信させ、前記出力電圧のセンサから電圧データを受信させ、受信した前記電流データ及び受信した前記電圧データに基づいて前記電源を制御させる。
【0143】
(例16)潜水音響システムは、ハウジングと、前記ハウジングの後端部と機械的に連通しているハウジング端部片と、前記ハウジングの前端部と機械的に連通している弾性膜と、前記弾性膜と機械的に連通しているエンドキャップと、前記ハウジングの前記前端部と機械的に連通している共鳴器端壁と、前記共鳴器端壁内に配置されている共鳴器スロートと、前記ハウジング内に配置されているサブウーファ・スピーカ・システムと、を備える。前記サブウーファ・スピーカ・システムは、前記ハウジングの前記後端部内に配置されている磁石アセンブリと、前記磁石アセンブリと機械的に連通しているフレームと、ボイスコイルと、前記フレームに機械的に連通しており、前記ボイスコイルによって駆動されるように構成されているダイアフラムと、前記フレーム及び前記ハウジングの内部部分と機械的に連通するサブウーファ・スピーカ支持部と、前記サブウーファ・スピーカ支持部内に配置されているチューニング・パイプとを備え、前記ハウジングと、前記ハウジング端部片と、前記サブウーファ・スピーカ支持部の後面とは共に、後部エンクロージャを形成しており、前記共鳴器端壁の前面と、前記ハウジングの前記前端部と、前記弾性膜と、前記エンドキャップとは共に、密閉された円筒状気泡音源を画定しており、前記ダイアフラムの前面と、前記サブウーファ・スピーカ支持部の前面と、前記ハウジングの前部と、前記共鳴器端壁と、前記共鳴器スロートとが共に、ヘルムホルツ共鳴器を画定しており、前記共鳴器スロートは、前記ヘルムホルツ共鳴器と前記円筒状気泡音源との間で流体連通できるように構成されており、前記チューニング・パイプは、前記後部エンクロージャと前記ヘルムホルツ共鳴器との間で延びているとともに、前記後部エンクロージャと前記ヘルムホルツ共鳴器との間で流体連通できるように構成されている。
【0144】
(例17)例16の前記潜水音響システムは、制御システムを備える。前記制御システムは、プロセッサと、前記プロセッサとデータ通信するメモリ・ユニットと、前記ボイスコイルと電気的に連通している制御可能な電源と、前記サブウーファ・スピーカ・システムからセンサ入力データを受信するように構成されているインタフェースと、を備え、前記メモリ・ユニットは、指示を格納しており、前記指示は、前記プロセッサによって実行された場合に、前記プロセッサに、前記サブウーファ・スピーカ・システムからの前記センサ入力データを受信させ、受信した前記センサ入力データと、前記電源の出力電圧と、前記電源の出力電流とに基づいて、前記電源を制御させる。
【0145】
(例18)水中音響システムは、複数の頂点有する音響システム支持部と、複数の音源とを備える。前記複数の頂点は、正多面体の頂点を形成する。前記複数の音源の各々は、ハウジングと、前記ハウジングの後端部と機械的に連通しているハウジング端部片と、前記ハウジングの前端部と機械的に連通している弾性膜と、前記弾性膜と機械的に連通しているエンドキャップと、前記ハウジング内に配置されているサブウーファ・スピーカ・システムと、を備える。前記サブウーファ・スピーカ・システムは、前記ハウジングの前記後端部内に配置されている磁石アセンブリと、前記磁石アセンブリと機械的に連通しているフレームと、ボイスコイルと、前記フレームと機械的に連通し、前記ボイスコイルによって駆動されるように構成されているダイアフラムと、前記フレーム及び前記ハウジングの内部部分に機械的に連通しているサブウーファ・スピーカ支持部と、を備える。前記サブウーファ・スピーカ支持部の前面と、前記ダイアフラムの前面と、前記ハウジングの前記前端部と、前記弾性膜と、前記エンドキャップとは共に、密閉された円筒状気泡音源を画定する。前記複数の音源の各々は、前記音響システム支持部の前記複数の頂点の各々に取り付けられる。
【0146】
(例19)例18の前記水中音響システムでは、前記音響システム支持部が、一つ又は複数のサプレッサフィン及びキールをさらに備える。
【0147】
(例20)例18の前記水中音響システムでは、前記正多面体が、四面体、立方体、八面体、十二面体、及び二十面体のうちの一つを備える。