(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】水分分離装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/22 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G01N1/22 P
(21)【出願番号】P 2020133576
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000167200
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトサーモシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】中谷 淳司
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-020543(JP,U)
【文献】特開2010-190890(JP,A)
【文献】実開昭55-125538(JP,U)
【文献】特開平11-132918(JP,A)
【文献】特開昭58-018143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分を含むサンプルガスが導入され、前記サンプルガスが下方に流動する第1の配管と、
前記第1の配管の少なくとも一部が内側に配置され、前記サンプルガスよりも温度の低い冷却ガスが導入されるとともに、前記冷却ガスが上方又は下方に流動する第2の配管と、
前記第1の配管の下端部が開口し、前記サンプルガスが前記第1の配管から導入されるとともに前記サンプルガスから分離された前記水分が前記下端部から滴下する出口室と、
前記出口室に連通するとともに前記出口室の下方に配置され、前記サンプルガスから分離された前記水分を回収する水分回収室と、
前記出口室に連通し、前記出口室に流出した前記サンプルガスを誘導するサンプルガス誘導部と、を備え
、
前記出口室は、前記第2の配管に対して上下方向において隣接して配置されている、水分分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水分分離装置であって、
前記第1の配管及び前記第2の配管は、それぞれ上下に直線状に延びるように設けられ、
前記冷却ガスが、前記第1の配管における前記サンプルガスの流動方向と平行な方向に沿って前記第2の配管を流動する、水分分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分を含むサンプルガスから水分を分離する水分分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
採取されたサンプルガスの成分が、赤外分光光度計等の分析計を用いて分析される際には、サンプルガス中に水分が多く含まれると、成分の分析が困難となる。尚、赤外分光光度計によってサンプルガスの成分の分析が行われる場合、赤外線の吸収のピークの違いに基づく赤外スペクトルによる成分の分析が行われる。一方、水分としての水蒸気は赤外線を吸収する。このため、サンプルガス中の水蒸気が飽和している場合或いはサンプルガスが高湿度である場合のようにサンプルガス中に水分が多く含まれている場合、分析対象のサンプルガスと水分とにおいて赤外線の吸収のピークが重なってしまうことになる。したがって、サンプルガス中に水分が多く含まれると、赤外スペクトルによる成分の分析が困難となる。
【0003】
上記のように、サンプルガス中に水分が多く含まれると、分析計による成分の分析が困難となる。そこで、水分を多く含むサンプルガスからある程度水分を分離して水分を減少させた後にサンプルガスを分析計に供給し、サンプルガスの成分の分析を行うことが行われる。水分を含むサンプルガスから水分を分離する方法としては、冷却水等の液体の冷媒を用いた熱交換器を使用し、水分を含むサンプルガスを一旦冷却してサンプルガス中に含まれる水分の一部を凝縮させて分離する方法がある。しかし、この場合、液体の冷媒を用いた熱交換器が必要となり、設備コスト及び設置スペースの増大を招いてしまうことになる。
【0004】
上記に対し、液体の冷媒を用いた熱交換器を必要としない空冷式の水分分離装置として、特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1に開示された水分分離装置は、サンプルガスを分析計に導入するためのサンプルガスラインに設けられるドレンセパレータ本体と、ドレンセパレータ本体の周囲を覆うとともに計装エアが導入されて排出される外筒容器とを備えて構成されている。そして、特許文献1の水分分離装置は、外筒容器内でドレンセパレータ本体に計装エアを吹き付けることによってドレンセパレータ本体内でサンプルガスを冷却してサンプルガス中の水分を分離させるように構成されている。尚、ドレンセパレータ本体はサンプルガスラインに設けられており、サンプルガスは、ドレンセパレータ本体の上端側においてドレンセパレータ本体に導入され、ドレンセパレータ本体の上端側においてドレンセパレータ本体から取り出される。また、ドレンセパレータ本体内でサンプルガスから分離された水分は、ドレンセパレータ本体の下部に設けられたドレン排出口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の水分分離装置は、液体の冷媒を用いた熱交換器を必要としないため、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制することができる。しかしながら、特許文献1の水分分離装置によると、サンプルガスは、ドレンセパレータ本体の上端側において、ドレンセパレータ本体に導入されてドレンセパレータ本体から取り出される。そして、計装エアが外筒容器内でドレンセパレータ本体に吹き付けられることで、ドレンセパレータ本体内の上端側の領域を流動するサンプルガスが冷却される。このため、ドレンセパレータ本体を介したサンプルガスと計装エアとの間の熱交換を効率よく行うことができず、サンプルガスの冷却効率が低下することになる。また、サンプルガスの冷却効率が低いため、サンプルガスから十分に水分を分離することが難しく、水分の分離能力も低下することになる。
【0007】
したがって、サンプルガスの冷却効率を向上させ、水分の分離能力の向上を図ることができる水分分離装置の実現が望まれる。また、水分分離装置においては、サンプルガスの冷却効率の向上と水分の分離能力の向上とともに、更に、サンプルガスから分離した水分を容易に回収できるとともに水分が分離されたサンプルガスを分析計等の供給先へと効率よく誘導できることが望まれる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みることにより、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制できるとともに、サンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができ、更に、水分を容易に回収してサンプルガスを効率よく誘導できる、水分分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる水分分離装置は、水分を含むサンプルガスが導入され、前記サンプルガスが下方に流動する第1の配管と、前記第1の配管の少なくとも一部が内側に配置され、前記サンプルガスよりも温度の低い冷却ガスが導入されるとともに、前記冷却ガスが上方又は下方に流動する第2の配管と、前記第1の配管の下端部が開口し、前記サンプルガスが前記第1の配管から導入されるとともに前記サンプルガスから分離された前記水分が前記下端部から滴下する出口室と、前記出口室に連通するとともに前記出口室の下方に配置され、前記サンプルガスから分離された前記水分を回収する水分回収室と、前記出口室に連通し、前記出口室に流出した前記サンプルガスを誘導するサンプルガス誘導部と、を備え、前記出口室は、前記第2の配管に対して上下方向において隣接して配置されている。
【0010】
この構成によると、第1の配管を流動するサンプルガスと第2の配管を流動する冷却ガスとの間で熱交換が行われてサンプルガスが冷却される。そして、サンプルガスが冷却されることで、温度による飽和水蒸気量の違いに応じてサンプルガス中に含まれる水分の一部が凝縮する。これにより、サンプルガスから水分が凝縮されて分離される。よって、上記の構成によると、サンプルガスから水分を分離する際に、液体の冷媒を用いた熱交換器を必要としないため、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制することができる。
【0011】
また、上記の構成によると、サンプルガスが第1の配管を下方に流動するとともに、第1の配管の内側に又は第1の配管が内側に配置された第2の配管を冷却ガスが上方又は下方に流動しながら、冷却ガスとサンプルガスとの間で熱交換が行われてサンプルガスが冷却される。このため、第1及び第2の配管のうちの一方が他方の内側に配置されて上下方向に延びる領域における上下方向の全長に亘って、サンプルガス及び冷却ガスが上下方向に沿って流れながらサンプルガスと冷却ガスとの間で効率よく熱交換が行われることになる。これにより、サンプルガスの冷却効率の向上を図れ、水分の分離能力の向上を図ることができる。
【0012】
更に、上記の構成によると、サンプルガスが冷却されて水分が分離されて下方に流動する第1の配管の下端部が出口室に開口しており、サンプルガスから分離された水分が出口室に滴下するとともに、水分が分離されたサンプルガスも出口室に流出する。このため、効率よく冷却して分離したサンプルガスと水分とを第1の配管から下方の出口室へとそのまま簡単に排出することができる。そして、水分は、出口室の下方の水分回収室に回収され、水分が分離されたサンプルガスは、出口室に連通するサンプルガス誘導部から誘導され、分析計等の供給先へと供給される。このため、上記の構成によると、サンプルガスから分離した水分を容易に回収するとともに水分が分離されたサンプルガスを効率よく誘導することができる。
【0013】
従って、上記の構成によると、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制できるとともに、サンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができ、更に、水分を容易に回収してサンプルガスを効率よく誘導できる、水分分離装置を提供することができる。
【0014】
(2)前記第1の配管及び前記第2の配管は、それぞれ上下に直線状に延びるように設けられ、前記冷却ガスが、前記第1の配管における前記サンプルガスの流動方向と平行な方向に沿って前記第2の配管を流動する場合がある。
【0015】
この構成によると、第1及び第2の配管がそれぞれ上下に直線状に延び、冷却ガスがサンプルガスの流動方向と平行な方向に沿って流動する。このため、第1の配管を流動するサンプルガスと第2の配管を流動する冷却ガスとの間での熱交換を更に効率よく行うことができる。これにより、サンプルガスの冷却効率を更に向上させ、水分の分離能力を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制できるとともに、サンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができ、更に、水分を容易に回収してサンプルガスを効率よく誘導できる、水分分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】熱処理装置で発生したガスからサンプルガスをサンプリングし、水分分離装置でサンプルガスから水分を分離し、水分を分離したサンプルガスを分析計へと供給する系統を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態の水分分離装置と水分分離装置に冷却ガスを供給するエアークーラーとを示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態の水分分離装置を示す図である。
【
図4】飽和水蒸気量と温度との関係を示す図であって、サンプルガスから分離される水分について説明するための図である。
【
図5】本発明の第2実施形態の水分分離装置を示す図である。
【
図6】本発明の第3実施形態の水分分離装置を示す図である。
【
図7】
図7(A)は、第3実施形態の水分分離装置の断面を示す図であって、
図6のA-A線矢視位置から見た断面を示す図である。
図7(B)は、第3実施形態の変形例の水分分離装置の断面を示す図である。
図7(C)は、第3実施形態の他の変形例の水分分離装置の断面を示す図である。
【
図8】本発明の第4実施形態の水分分離装置を示す図である。
【
図9】本発明の第5実施形態の水分分離装置を示す図である。
【
図10】本発明の第6実施形態の水分分離装置を示す図である。
【
図11】本発明の第7実施形態の水分分離装置を示す図である。
【
図12】第7実施形態の水分分離装置の断面を示す図であって、
図11のB-B線矢視位置から見た断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0029】
[水分分離装置の適用形態]
本発明は、サンプルガスから水分を分離する水分分離装置として、種々の用途に広く適用することができるものである。例えば、本発明は、被処理物に対して各種処理を行う際に発生するガスからサンプルガスをサンプリングして水分を分離し、水分を分離したサンプルガスを分析計等の供給先へと供給する際において、サンプルガスから水分を分離するための水分分離装置として、適用される。以下の説明においては、実施の形態として、熱処理装置で発生した排気ガスからサンプリングしたサンプルガスから水分を分離して分析計へとサンプルガスを供給する系統において適用される水分分離装置の形態を例にとって説明する。
【0030】
図1は、熱処理装置100で発生した排気ガスからサンプルガスをサンプリングし、水分分離装置1でサンプルガスから水分を分離し、水分を分離したサンプルガスを分析計101へと供給する系統を模式的に示す図である。
【0031】
熱処理装置100は、金属製の被処理物(図示省略)を過熱水蒸気で加熱して被処理物の熱処理を行う装置として構成されている。尚、過熱水蒸気は、沸点よりも高い温度に加熱された水蒸気であり、沸点よりも高い温度の乾いた水蒸気である。熱処理装置100は、筒状に延びる熱処理室102と、熱処理室102を外部から加熱するヒーター103とを備えて構成されている。熱処理装置100においては、熱処理室102内において、入口102aから出口102bに向かって被処理物が搬送されながら過熱水蒸気で加熱されて被処理物の熱処理が行われる。尚、過熱水蒸気は、ボイラと過熱器とを備えて構成された過熱水蒸気生成装置104において生成される。過熱水蒸気生成装置104において、水が加熱されて蒸発して生成された飽和水蒸気が更に加熱されることで過熱水蒸気が生成され、その過熱水蒸気が、熱処理室102へと供給される。
【0032】
熱処理装置100において過熱水蒸気を用いて行われる被処理物に対する熱処理としては、例えば、脱脂処理、焼結処理、を例示することができる。熱処理装置100において脱脂処理が行われる場合、熱処理装置100での処理の前の処理工程において機械加工等が施された被処理物が、熱処理装置100に搬入される。そして、熱処理装置100においては、被処理物に付着した油脂が、過熱水蒸気によって加熱されることで気化され、被処理物から除去される。また、熱処理装置100において焼結処理が行われる場合、油脂成分を主成分とするバインダーで結合された被焼結材として構成された被処理物が、熱処理装置100に搬入される。そして、熱処理装置100においては、過熱水蒸気によって被処理物が加熱されてバインダーが気化されて除去され、続いて、過熱水蒸気によって更に加熱されることで、油脂を主成分とするバインダーが除去された被処理物が焼結される。
【0033】
熱処理装置100での熱処理が行われると、被処理物は熱処理室102の出口102bから搬出される。また、熱処理装置100での熱処理の際には、熱処理室102内での脱脂処理等に伴って生じた排気ガスが発生する。排気ガスは、過熱水蒸気と、脱脂処理等によって被処理物から除去された油脂とを含むガスとして構成される。熱処理装置100で発生した排気ガスは、熱処理室102における出口102bの近傍に設けられた排気口(図示省略)から排気系統105へと排出される。尚、排気系統105には、例えば、圧縮空気等の高圧流体を用いて負圧を発生させることで排気ガスを吸引して排出するエジェクタ(図示省略)が設けられている。これにより、熱処理室102における出口102bの近傍に設けられた排気口から排気ガスが吸引されて排気系統105へと排出される。
【0034】
排気系統105は、燃焼装置106へと接続している。熱処理室102から排気系統105へと排出された排気ガスは、排気系統105を流動して燃焼装置106に導入される。燃焼装置106は、排気ガスが導入される燃焼室(図示省略)と、外部の空気を燃焼室内に供給することで酸素を燃焼室内に供給する酸素供給部(図示省略)と、燃焼室内に設置されて排気ガスを加熱して燃焼させるヒーター(図示省略)とを備えている。そして、燃焼装置106は、導入された排気ガスを空気と混合した状態で排気ガスを加熱して排気ガスを燃焼するように構成されている。燃焼室に導入される排気ガスは、過熱水蒸気と油脂とを含むガスとして構成されており、排気ガスが燃焼されることで、油脂が燃焼して二酸化炭素となる。過熱水蒸気と油脂とを含むガスとして構成された排気ガスは、燃焼装置106において燃焼されることで、過熱水蒸気と二酸化炭素とを含むガスとして構成された排気ガスとなる。
【0035】
燃焼装置106で燃焼された排気ガスは、排出系統107aへ排出される。排出系統107aの下流端は外部に開放されており、燃焼装置106から排出系統107aに排出された排気ガスは、排出系統107aを通過して外部へ排出される。また、排出系統107aからはサンプリング系統107bが分岐しており、燃焼装置106から排出系統107aへ排出された排気ガスの一部が、サンプリング系統107bへと流動する。これにより、熱処理装置100で発生して燃焼装置106で燃焼されて排出される排気ガスの一部が、サンプルガスとしてサンプリングされてサンプリング系統107bへ流動する。
【0036】
燃焼装置106から排出された排気ガスは、過熱水蒸気と二酸化炭素とを含むガスとして構成されている。そして、排出系統107aへと排出された後に、排気ガスの一部としてサンプリングされたサンプルガスは、配管として構成されたサンプリング系統107bを流動する間に、サンプリング系統107bの外部の空気によって、サンプリング系統107bの管壁を介して冷却される。サンプルガスは、サンプリング系統107bの流動中に冷却されることで、外部の空気の温度である室温(例えば、25℃)に近い温度まで温度が低下し、例えば、30℃程度まで温度が低下する。温度が低下すると、サンプルガスは、水蒸気と二酸化炭素とを含むガスとして構成された状態となる。尚、サンプルガス中の水蒸気は、飽和水蒸気の状態でサンプルガスに含まれている。そして、サンプリング系統107bを流動したサンプルガスは、水分分離装置1へと導入される。
【0037】
水分分離装置1では、導入されたサンプルガスが冷却され、室温よりも十分に低い温度まで冷却され、例えば、10℃程度まで冷却される。水分分離装置1では、サンプルガスが、水分分離装置1への導入時の温度(例えば、30℃)から室温よりも十分に低い温度(例えば、10℃)まで冷却されることで、温度による飽和水蒸気量の違いに応じて凝縮した水分がサンプルガスから分離される。これにより、水分分離装置1においてサンプルガスから水分が十分に分離される。水分分析装置1で水分が十分に分離されたサンプルガスは、分析計供給系統108へと誘導され、分析計供給系統108を流動する。
【0038】
分析計供給系統108を流動するサンプルガスは、配管として構成された分析計供給系統108の流動中に、分析計供給系統108の外部の空気によって、分析計供給系統108の管壁を介して温められる。サンプルガスは、分析計供給系統108の流動中に温められることで、外部の空気の温度である室温(例えば、25℃)に近い温度まで昇温し、例えば、20℃程度まで温度が上昇する。温度が上昇すると、サンプルガスの湿度が低下する。そして、湿度が低下して二酸化炭素を含むガスとして構成されたサンプルガスが、分析計供給系統108から分析計101へと供給される。分析計101は、例えば、赤外分光光度計として構成される。サンプルガスが分析計101へ供給されると、分析計101でのサンプルガスの成分の分析が行われる。分析計101でサンプルガスの成分の分析が行われることで、例えば、サンプルガス中の二酸化炭素の含有量が求められる。
【0039】
上記のように、水分分離装置は、例えば、熱処理装置100で発生した排気ガスからサンプリングしたサンプルガスから水分を分離して分析計101へとサンプルガスを供給する系統において適用される。以下、水分分離装置の詳細な実施形態について、第1乃至第7実施形態を例にとって説明する。
【0040】
[第1実施形態]
図2は、本発明の第1実施形態の水分分離装置1と水分分離装置1に冷却ガスを供給するエアークーラー109とを示す図である。
図3は、本発明の第1実施形態の水分分離装置1を示す図である。
図2及び
図3では、水分分離装置1について、断面図で図示している。尚、
図1では、熱処理装置100で発生した排気ガスからサンプリングしたサンプルガスから水分を分離して分析計101へとサンプルガスを供給する系統において、第1実施形態の水分分離装置1が適用された形態を例示している。
【0041】
図1乃至
図3に示す水分分離装置1は、サンプリング系統107aから導入されたサンプルガスを冷却し、サンプルガス中に含まれる水分を分離して、分析計供給系統108へとサンプルガスを供給する。また、水分分離装置1は、サンプルガスを冷却するための冷却ガスが導入されるように構成されている。本実施形態では、水分分離装置1は、エアークーラー109に接続されており、サンプルガスを冷却するための冷却ガスが、エアークーラー109から導入される。
【0042】
尚、エアークーラー109は、圧縮空気が供給されることで、室温(例えば、25°)よりも十分に低い温度の空気を冷却ガスとして生成する装置として構成される。エアークーラー109には、コンプレッサと圧縮空気の貯留タンクとを備えて構成された圧縮空気供給源110から圧縮空気が圧縮空気供給系統111を介して供給される。圧縮空気供給系統111から高圧の圧縮空気がエアークーラー109へ供給されると、高圧の空気は、エアークーラー109内の渦流発生器に供給される。そして、高圧の空気は、渦流発生器により筒状のエアークーラー109内で筒状の内周面の接線方向に吐出され、膨張しながら高速で回転する渦流を形成しながら、エアークーラー109の長手方向に沿って流動する。そして、エアークーラー109の一方の端部109aに設けられた調整弁で風量が調整された空気が、熱風の状態で排出される。一方、一方の端部109aから排出されない残りの空気は、エアークーラー109の筒内で渦流の遠心力によって形成された内側の空洞内を外側の渦流と同方向に回転しながら膨張しながらエアークーラー109の他方の端部109b側へ流動する。このとき、渦流の内側を他方の端部109b側へ移動する空気は、膨張しながら減速による制動作用のために外側の渦流に対して仕事を行うことで室温より低く且つ0℃より高い所定の温度まで温度が低下する。そして、室温より低い所定の温度まで温度が低下した空気は、冷風として他方の端部109bへ流動する。エアークーラー109の他方の端部109bは、接続配管112を介して水分分離装置1に接続しており、エアークーラー109の端部109bから冷風として排出された低温の空気は、冷却ガスとして、水分分離装置1へ導入される。尚、上述の通り、エアークーラー109にて生成されて水分分離装置1へ導入される冷却ガスの温度は、室温より低く且つ0℃より高い温度に設定されることが好ましい。更には、エアークーラー109から水分分離装置1へ導入される冷却ガスの温度は、0℃よりも高い温度で且つ室温よりも十分に低い温度に設定されることが好ましく、より具体的には、0℃よりも高い温度で且つ室温よりも0℃に近い温度に設定されることが好ましい。
【0043】
図1乃至
図3に示すように、水分分離装置1は、第1の配管11と、第2の配管12と、出口室13と、水分回収室14と、サンプルガス誘導部15と、を備えて構成されている。
【0044】
第1の配管11は、水分を含むサンプルガスが導入され、サンプルガスが下方に流動する配管として構成されている。第1の配管11は、円形断面で細長く直線状に延びる円管状の配管として設けられている。第1の配管11は、熱伝導性に優れた金属製の円管として設けられ、例えば、ステンレス製の円管として設けられている。第1の配管11は、後述する第2の配管12に対して支持されている。また、第1の配管11は、その長手方向が上下方向に延びた状態で、第2の配管12に対して支持されており、本実施形態では、上下に直線状に延びるように設けられている。
【0045】
第1の配管11は、上端部が、サンプリング系統107bの下流側の端部に対してカップリング107cを介して接続している。第1の配管11の上端部には、サンプリング系統107bから、飽和水蒸気の状態で水分を含むサンプルガスが導入される。尚、
図3では、サンプルガスが流動する様子を細い破線の矢印で模式的に示している。第1の配管11の上端部に上方から導入されたサンプルガスは、第1の配管11の内側を第1の配管11が延びる上下方向に沿って下方に流動する。第1の配管11は、後述の第2の配管12の内側を貫通しており、第1の配管11の下端部は、後述の出口室13内で開口している。
【0046】
第2の配管12は、第1の配管11の少なくとも一部が内側に配置され、サンプルガスよりも温度の低い冷却ガスが導入されるとともに、冷却ガスが下方に流動する配管として構成されている。第2の配管12は、円形断面で直線状に延びる円筒状の配管として設けられている。第2の配管12は、熱伝導性に優れた金属製の円管として設けられ、例えば、ステンレス製の円管として設けられている。第2の配管12は、例えば、水分回収室14に固定された支持フレーム16に対して固定されて支持されている。また、第2の配管12は、その長手方向が上下方向に延びた状態で、支持フレーム16に対して支持されており、本実施形態では、上下に直線状に延びるように設けられている。
【0047】
第2の配管12には、円形断面で直線状に延びる円管状の管本体部12aと、管本体部12aの上端部を塞ぐ上蓋部12bと、管本体部12aの下端部を塞ぐ下蓋部12cとが設けられている。上蓋部12bは、中心に貫通孔が形成された円板状の部材として設けられて、管本体部12aの上端部に気密状態で密着した状態で管本体部12aの上端部に固定されている。そして、上蓋部12bの貫通孔には、第1の配管11が、挿通されている。第1の配管11は、上蓋部12bの貫通孔の縁部に対してシール部材を介して気密状態で密着した状態で上蓋部12bの貫通孔に挿通されている。下蓋部12cは、中心に貫通孔が形成された円板状の部材として設けられて、管本体部12aの下端部に気密状態で密着した状態で管本体部12aの下端部に固定されている。そして、下蓋部12cの貫通孔には、管本体部12aを貫通した第1の配管11が、挿通されている。第1の配管11は、下蓋部12cの貫通孔の縁部に対してシール部材を介して気密状態で密着した状態で下蓋部12cの貫通孔に挿通されている。
【0048】
第1の配管11は、上蓋部12bを貫通し、管本体部12aを挿通し、更に、下蓋部12cを貫通した状態で、第2の配管12に対して取り付けられている。このため、第1の配管11は、第2の配管12の内側に挿入された状態で配置されている。また、第1の配管11は、上蓋部12bの中心に設けられた貫通孔を貫通するとともに、下蓋部12cの中心に設けられた貫通孔を貫通している。そして、第1の配管11は、管本体部12aと平行に延びて、管本体部12aをその中心軸線に沿って挿通している。このため、第1の配管11と第2の配管12とは、中心軸線が一致する同心状に配置された二重管として設けられている。
【0049】
また、水分分離装置1においては、冷却ガス導入管17a及び冷却ガス排出管17bが設けられており、冷却ガス導入管17a及び冷却ガス排出管17bは、第2の配管12の管本体部12aに接続している。
【0050】
冷却ガス導入管17aは、管長の短い円管として設けられ、エアークーラー109から供給される冷却ガスを第2の配管12に導入するように構成されている。より具体的には、冷却ガス導入管17aは、管長方向の一方の端部が、エアークーラー109の端部109bに接続した接続配管112に接続しており、管長方向の他方の端部が、管本体部12aに対して管本体部12aの上端側において接続している。また、冷却ガス導入管17aの他方の端部は、管本体部12aの上端側に設けられて管本体部12aの管壁を貫通する貫通孔を気密状態で貫通して、管本体部12aの内部で開口している。これにより、エアークーラー109の端部109bと第2の配管12内の上端側の領域とは、冷却ガス導入管17aを介して連通している。
【0051】
冷却ガス排出管17bは、管長の短い円管として設けられ、第2の配管12に導入されて第2の配管12を流動した冷却ガスを第2の配管12から排出するように構成されている。より具体的には、冷却ガス排出管17bは、管長方向の一方の端部が、管本体部12aに対して管本体部12aの下端側において接続しており、管長方向の他方の端部側の部分が、管本体部12aの外側に向かって突出している。そして、冷却ガス排出管17bの一方の端部は、管本体部12aの下端側に設けられて管本体部12aの管壁を貫通する貫通孔を気密状態で貫通して、管本体部12aの内部で開口している。一方、管本体部12aから外部に突出した冷却ガス排出管17bの他方の端部は、外部に開口している。これにより、第2の配管12内の下端側の領域と、第2の配管12の外部とは、冷却ガス排出管17bを介して連通している。
【0052】
上記の通り、第2の配管12には、その上端側において、冷却ガス導入管17aが接続している。このため、エアークーラー109で冷却されて端部109bから排出された空気は、冷却ガスとして、冷却ガス導入管17aを介して、第2の配管12内の上端側の領域へと導入される。そして、第2の配管12内へ導入された冷却ガスは、第2の配管12内を下方に流動する。尚、
図3では、冷却ガスが流動する様子を細い実線の矢印で模式的に示している。
【0053】
また、第1の配管11及び第2の配管12は、いずれも上下に直線状に延びて、中心軸線が一致する二重管として設けられている。そして、サンプルガスは、第2の配管12の内側で同心状に配置された第1の配管11の内側を下方に流動し、冷却ガスは、第2の配管12の内側であって第1の配管11の外側の領域を下方に流動する。このため、冷却ガスは、第1の配管11におけるサンプルガスの流動方向と平行な方向に沿って第2の配管12を流動する。更に、冷却ガスは、サンプルガスの流動方向に対して平行な方向であって且つ同じ方向に沿って、第2の配管12を下方に流動する。第1の配管11の内側をサンプルガスが下方に流動し、第2の配管12の内側で第1の配管11の外側を冷却ガスが下方に流動することで、第1の配管11の管壁の全周を介して、サンプルガスと冷却ガスとの間で熱交換が行われる。これにより、第1の配管11の流動中に、サンプルガスが冷却され、サンプルガスにおける温度の低下に伴う飽和水蒸気量の減少に伴い、温度による飽和水蒸気量の違いに応じて凝縮した水分が、第1の配管11内においてサンプルガスから分離される。第1の配管11内においてサンプルガスから分離された水分は、第1の配管11中を落下し、後述の出口室13内で開口する第1の配管11の下端部から出口室13内へ滴下する。尚、
図3では、サンプルガスから分離された水分が落下する様子を太い破線の矢印で模式的に示している。
【0054】
また、第2の配管12には、その下流端側において、冷却ガス排出管17bが接続している。このため、第2の配管12を下方へ流動し、第1の配管11の管壁を介してサンプルガスとの間で熱交換を行った冷却ガスは、冷却ガス排出管17bへと流動し、冷却ガス排出管17bを介して、第2の配管12の外部へと排出される。
【0055】
出口室13は、第2の配管12の下方に配置され、第1の配管11から流出したサンプルガスが導入される室として設けられている。本実施形態では、出口室13は、第2の配管12に対して上下方向において隣接して配置されている。出口室13は、出口室本体部18と連通管部19とを有して構成されている。
【0056】
出口室13の出口室本体部18は、第1の配管11が開口するとともに後述するサンプルガス誘導部15が連通するように構成され、サンプルガスが導入されるとともに導入されたサンプルガスをサンプルガス誘導部15へ送るための室として設けられている。具体的には、出口室本体部18は、例えば、円筒状に形成された側壁18aと円板状に形成された底部壁18bとを有している。そして、出口室本体部18は、側壁18aの上端側が第2の配管12の下蓋部12cで気密に閉じられるとともに側壁18aの下端側が底壁部18bで気密に閉じられることで区画された室として構成されている。
【0057】
また、出口室本体部18内では、第2の配管12の下蓋部12cを貫通した第1の配管11が、下蓋部12cから下方に向かって延びている。第1の配管11は、出口室本体部18内において、下蓋部12cから、出口室本体部18における上下方向の高さ位置の途中位置まで延びている。尚、本実施形態では、第1の配管11は、出口室本体部18内において、高さ方向の略中央部分の位置まで延びている。そして、出口室本体部18内で下方に延びる第1の配管11の下端部は、出口室本体部18内で開口している。また、出口室本体部18には、側壁18aにおいて、後述するサンプルガス連通部15が連通している。
【0058】
上記の通り、第1の配管11が出口室本体部18内で開口しているため、第1の配管11から流出するサンプルガスは、出口室13に導入される。更に、第1の配管11の下端部が出口室本体部18内で開口しているため、第1の配管11内でサンプルガスから分離された水分は、水滴の状態となって、第1の配管11に沿って下方に落下し、第1の配管11の下端部から出口室13に滴下する。このように、出口室13は、サンプルガスが第1の配管11から導入されるとともにサンプルガスから分離された水分が第1の配管11の下端部から滴下するように構成されている。
【0059】
出口室13の連通管部19は、出口室本体部18の下端から下方に向かって延びるとともに後述の水分回収室14に開口して連通する管部分として構成されている。連通管部19は、上下方向に細長く延びる円管状に形成され、上端部は、出口室本体部18の底壁部18bに接続し、下端部は、後述の水分回収室14内で開口している。円板状に形成された底壁部18bの中心には、貫通孔が設けられており、その貫通孔に対して連通管部19の上端部が気密状態で嵌め込まれて固定されている。連通管部19の上端部は、開口しており、連通管部19は、出口室本体部18内と連通している。
【0060】
連通管部19は、出口室本体部18内に連通した状態で出口室本体部18の下端に対して接続している。このため、サンプルガスから分離されて出口室本体部18内で第1の配管11の下端部から滴下した水分は、出口室本体部18内を落下し、出口室本体部18の下端から連通管部19へと移動する。また、連通管部19は、水分回収室14内で開口している。このため、連通管部19へ移動した水分は、連通管部19を落下して、水分回収室14へ回収される。尚、本実施形態では、連通管部19の上端部は、第1の配管11の下端部の鉛直下方に配置されている。このため、出口室本体部18内で第1の配管11から滴下した水分は、下方に落下してそのまま連通管部19の上端部へ落下し、連通管部19内を通過して水分回収室14へと回収される。
【0061】
水分回収室14は、出口室13に連通するとともに出口室13の下方に配置され、サンプルガスから分離された水分を回収する室として構成されている。水分回収室14は、上方が開放された容器として設けられ、内側に水が貯留されるように構成されている。尚、
図2及び
図3は、水分回収室14に水Waが貯留された状態を断面図で示している。水分回収室14は、例えば、上面が開放された直方体状或いは円筒状の容器として形成され、出口室13に対して上下方向において直列に配置されて、出口室13の下方に配置されている。水分回収室14における開放された上面は、例えば、出口室13の出口室本体部18の下端と略同じ高さ位置に配置されている。
【0062】
また、水分回収室14には、排水口14aが設けられている。排水口14aは、水分回収室14の側壁の上端側において貫通孔として設けられている。水分回収室14に水が供給されて貯留されると、水分回収室14に貯留される水Waの水面は、排水口14aの高さ位置まで上昇する。そして、排水口14aの高さ位置を超えて水分回収室14へ水が供給されると、排水口14aから水分回収室14の外部へと水が排出される。尚、本実施形態では、水分回収室14には、排水口14aの位置で排水管14bが接続しており、排水口14aから排出された水は、排水管14bへと排出される。
【0063】
また、水分回収室14の内側では、出口室本体部18の下端から延びる連通管部19が、水分回収室14の上面側から底面側に向かって下方に延びている。そして、連通管部19は、水分回収室14内において、排水口14aが開口する高さ位置よりも下方の位置まで延びている。このため、連通管部19の下端は、水分回収室14内において排水口14aが開口する位置よりも下方で開口している。これにより、連通管部19は、その下端が、水分回収室14において、水分回収室14に貯留された水Waの水面よりも下方で開口するように構成されている。サンプルガスから分離されて第1の配管11から滴下した水分は、出口室本体部18を通過して連通管部19を落下し、水分回収室14内の水Waの水面へと到達し、水分回収室14へ回収される。
【0064】
サンプルガス誘導部15は、出口室13に接続する配管として設けられ、出口室13に連通し、出口室13に流出したサンプルガスを誘導するように構成されている。より具体的には、サンプルガス誘導部15は、円管として設けられ、管長方向の一方の端部が、出口室13の出口室本体部18の側壁18aに対して出口室本体部18の上半側において接続している。そして、サンプルガス誘導部15の管長方向の他方の端部は、分析計101に接続した分析計供給系統108に接続している。
【0065】
また、サンプルガス誘導部15の一方の端部は、出口室本体部18の上半側に設けられて側壁18aを貫通する貫通孔を気密状態で貫通して、出口室本体部18の内部で開口している。これにより、出口室本体部18の上半側の領域と、分析計供給系統108とは、サンプルガス誘導部15を介して連通している。また、出口室本体部18においては、サンプルガス誘導部15は、出口室本体部18の高さ方向における中間位置よりも上方の位置で出口室本体部18の内部に連通している。そして、出口室本体部18内で出口室本体部18の上端側から下方に延びる第1の配管11は、出口室本体部18の高さ方向における略中間位置まで延びている。このため、第1の配管11の下端部において出口室13に開口した出口側開口11aは、サンプルガス誘導部15が出口室13に連通する位置よりも下方に配置されている。このため、出口側開口11aから出口室13へと流出したサンプルガスがサンプルガス誘導部15へと流動する一方、出口側開口11aから滴下する水分がサンプルガス誘導部15へ流れてしまうことが防止される。
【0066】
次に上述した水分分離装置1の水分分離動作について説明する。水分を分離する対象のサンプルガスは、サンプリング系統107bから水分分離装置1へと導入される。サンプルガスは、熱処理装置100で発生した後に燃焼装置106で燃焼されて排出系統107aへと排出される排気ガスの一部として、サンプリング系統107bへサンプリングされる。サンプルガスは、室温よりもかなり高い温度の状態でサンプリング系統107bへサンプリングされるが、サンプリング系統107bを流動することで、外部の空気の温度である室温(例えば、25℃)に近い温度まで温度が低下し、例えば、30℃程度まで温度が低下する。そして、サンプルガスは、室温に近い温度まで温度が低下した状態で、水分分離装置1における第1の配管11へと導入される。
【0067】
また、水分分離装置1へは、サンプリング系統107bからサンプルガスが導入されるとともに、エアークーラー109から冷却ガスが導入される。冷却ガスは、エアークーラー109において圧縮空気から生成され、室温よりも十分に低い温度まで冷却された空気として生成され、例えば、0℃よりも高い温度の範囲で室温よりも十分に低い温度まで冷却された空気として生成される。冷却ガスは、エアークーラー109から冷却ガス導入菅17aを経て第2の配管12へと導入される。
【0068】
水分分離装置1へは、サンプルガスと冷却ガスとが、継続的に導入される。サンプルガスは、第1の配管11へ継続的に導入され、冷却ガスは、冷却ガス導入菅17aを経て第2の配管12へ継続的に導入される。サンプルガスは、
図3の細い破線の矢印で示すように、第1の配管11へ導入されると、上下に延びる第1の配管11を上方から下方に流動する。そして、冷却ガスは、第2の配管12へ導入されると、
図3の細い実線の矢印で示すように、上下に延びる第2の配管12を上方から下方に流動する。このとき、サンプルガスが、第2の配管12の内側に配置された第1の配管11の内側を流動するとともに、冷却ガスが、第2の配管12の内側で第1の配管11の外側を流動する。そして、サンプルガスと冷却ガスとが同方向に流動しながら、第1の配管11の管壁を介して、サンプルガスと冷却ガスとの間で熱交換が行われ、サンプルガスが冷却される。サンプルガスは、第1の配管11に沿って流動しながら冷却されることで、サンプルガスにおける温度による飽和水蒸気量の違いに応じてサンプルガス中に含まれる水分の一部が凝縮して分離される。
【0069】
図4は、飽和水蒸気量と温度との関係を示す図であって、サンプルガスから分離される水分について説明するための図である。サンプルガスが、例えば、30℃の状態で第1の配管11に導入される場合を例にとって説明する。サンプルガス中の水蒸気が飽和している場合(即ち、湿度100%の場合)、サンプルガス中に含まれる水蒸気の量は、
図4における点X1で示すように、30.4g/m
3程度となる。そして、サンプルガスは、第1の配管11を流動しながら、0℃よりも高い温度で且つ室温よりも十分に低い温度で第2の配管12に導入されて第2の配管12を流動する冷却ガスとの間で熱交換を行い、冷却される。サンプルガスは、第1の配管11における第2の配管12の内側に配置された部分を通過中に亘って冷却され、室温よりも低い温度にまで冷却される。サンプルガスが、例えば、10℃まで冷却されると、
図4における点X2で示すように、飽和水蒸気量は、9.41g/m
3程度となる。そして、サンプルガスが冷却されることで、温度による飽和水蒸気量の違いに応じて凝縮した水分が、液体の水となってサンプルガスから分離される。サンプルガスが30℃から10℃にまで冷却される場合であれば、30℃の飽和水蒸気量(30.4g/m
3)と10℃の飽和水蒸気量(9.41g/m
3)との差分に対応した水分が、凝縮してサンプルガスから分離される。
【0070】
第2の配管12を流動してサンプルガスを冷却した冷却ガスは、冷却ガス排出管17bを介して第2の配管12の外部へと排出される。一方、サンプルガスは、第1の配管11を流動して冷却されて水分が分離されると、第1の配管11の下端部の出口側開口11aから出口室13へと流出する。水分が分離されて出口室13へと流出したサンプルガスは、サンプルガス誘導部15へと流動し、サンプルガス誘導部15から分析計供給系統108へと流動する。また、第1の配管11内でサンプルガスから分離された水分は、出口側開口11aから滴下して出口室13内に落下し、更に、水分回収室14へと落下して水分回収室14に回収される。
【0071】
サンプルガス誘導部15から分析計供給系統108へと流動したサンプルガスは、分析計供給系統108を流動する間に外部の空気によって温められ、室温(例えば、25℃)に近い温度まで温度が上昇し、例えば、20℃程度まで温度が上昇する。サンプルガスは、分析計供給系統108を流動して温度が上昇すると、温度の上昇に伴って飽和水蒸気量が多くなるため、湿度が低下することになる。そして、サンプルガスは、湿度が低下した状態で、分析計101へと供給され、分析が行われることになる。
【0072】
尚、分析計供給系統108へと流動したサンプルガスの温度が、例えば、20℃まで上昇すると、
図4における点X3で示すように、飽和水蒸気量は、17.3g/m
3程度となる。このため、第1の配管11を流動して10℃まで冷却されて水分が分離されたサンプルガスが、分析計供給系統108を流動して20℃まで昇温した場合であれば、サンプルガスは、17.3g/m
3の飽和水蒸気量に対して9.41g/m
3の水分が含まれた状態となる。このため、20℃まで昇温したサンプルガスの湿度は、54%程度となる。この場合、水分分離装置1への導入前は室温よりも高い温度で且つ湿度100%の飽和水蒸気の状態で水分を含んでいたサンプルガスは、水分分離装置1で冷却されて水分が分離された後、室温に近い温度で湿度が大幅に低下した状態で、分析計101へと供給される。そして、分析計101では、湿度が大きく低下して水分が大幅に減少した状態のサンプルガスの成分の分析が行われる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態の水分分離装置1によると、第1の配管11を流動するサンプルガスと第2の配管12を流動する冷却ガスとの間で熱交換が行われてサンプルガスが冷却される。そして、サンプルガスが冷却されることで、温度による飽和水蒸気量の違いに応じてサンプルガス中に含まれる水分の一部が凝縮する。これにより、サンプルガスから水分が凝縮されて分離される。よって、上記の構成によると、サンプルガスから水分を分離する際に、液体の冷媒を用いた熱交換器を必要としないため、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態の水分分離装置1によると、サンプルガスが第1の配管11を下方に流動するとともに、第1の配管11が内側に配置された第2の配管12を冷却ガスが下方に流動しながら、冷却ガスとサンプルガスとの間で熱交換が行われてサンプルガスが冷却される。このため、第1の配管11が第2の配管12の内側に配置されて上下方向に延びる領域における上下方向の全長に亘って、サンプルガス及び冷却ガスが上下方向に沿って流れながらサンプルガスと冷却ガスとの間で効率よく熱交換が行われることになる。これにより、サンプルガスの冷却効率の向上を図れ、水分の分離能力の向上を図ることができる。
【0075】
更に、本実施形態の水分分離装置1によると、サンプルガスが冷却されて水分が分離されて下方に流動する第1の配管11の下端部が出口室13に開口しており、サンプルガスから分離された水分が出口室13に滴下するとともに、水分が分離されたサンプルガスも出口室13に流出する。このため、効率よく冷却して分離したサンプルガスと水分とを第1の配管11から下方の出口室13へとそのまま簡単に排出することができる。そして、水分は、出口室13の下方の水分回収室14に回収され、水分が分離されたサンプルガスは、出口室13に連通するサンプルガス誘導部15から誘導され、供給先である分析計101へと供給される。このため、水分分離装置1によると、サンプルガスから分離した水分を容易に回収するとともに水分が分離されたサンプルガスを効率よく誘導することができる。
【0076】
従って、本実施形態によると、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制できるとともに、サンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができ、更に、水分を容易に回収してサンプルガスを効率よく誘導できる、水分分離装置1を提供することができる。
【0077】
また、水分分離装置1によると、第1の配管11及び第2の配管12がそれぞれ上下に直線状に延び、冷却ガスがサンプルガスの流動方向と平行な方向に沿って流動する。このため、第1の配管11を流動するサンプルガスと第2の配管12を流動する冷却ガスとの間での熱交換を更に効率よく行うことができる。これにより、サンプルガスの冷却効率を更に向上させ、水分の分離能力を更に向上させることができる。
【0078】
また、水分分離装置1によると、第2の配管12の内側に挿入された第1の配管11の内側をサンプルガスが流動し、第2の配管12を流動する冷却ガスが、第1の配管11の周囲を全周に亘って覆いながら第1の配管11の外側を流動する。このため、サンプルガスが流動する第1の配管11の全周に亘る広い面積を介して、冷却ガスが、サンプルガスから更に効率よく抜熱することができる。これにより、サンプルガスの冷却効率を更に向上させ、水分の分離能力を更に向上させることができる。
【0079】
また、水分分離装置1は、第1の配管11と第2の配管12とが、中心軸線が一致する同心状に配置された二重管として設けられている。このため、水分分離装置1によると、第1及び第2の配管(11、12)の中心軸線に垂直な断面における中心軸線周りの周方向の領域において、サンプルガス及び冷却ガスの流量分布がより均等となる。これにより、冷却ガスによるサンプルガスの冷却のムラをより低減でき、サンプルガスの冷却効率を更に向上させ、水分の分離能力を更に向上させることができる。
【0080】
また、水分分離装置1によると、冷却ガスとサンプルガスとは、熱交換をしながら平行に且つ同方向に流動する。このため、冷却ガスがサンプルガスから抜熱しながら流動する方向と、サンプルガスが冷却ガスによって冷却されながら流動する方向とが、同方向となる。これにより、熱交換が行われる冷却ガスとサンプルガスとの間の温度差を大きく設定することができ、より効率よくサンプルガスを冷却することができる。
【0081】
また、水分分離装置1によると、第1の配管11の出口側開口11aがサンプルガス誘導部15の出口室13への連通位置よりも下方に配置されているため、出口側開口11aから出口室13に滴下する水分がサンプルガス誘導部15へ浸入してしまうことをより確実に防止することができる。このため、水分が分離されてサンプルガス誘導部15を誘導されるサンプルガスに水分が混入してしまうことをより確実に防止することができる。
【0082】
また、水分分離装置1によると、第1の配管11から滴下して出口室本体部18に排出された水分は、連通管部19を通って、水分回収室14に貯留されている水Waの水面へと落下し、水分回収室14に回収される。また、第1の配管11から出口室本体部18に流出したサンプルガスは、サンプルガス誘導部15へと流動してサンプルガス誘導部15を誘導されて、供給先の分析計101へと供給される。そして、水分分離装置1によると、出口室本体部18と水分回収室14とを連通する連通管部19の下端は、水分回収室14に貯留された水Waの水面よりも下方で開口し、水分回収室14内の水Waの中で開口する。このため、出口室本体部18の外部の空気が、水分回収室14で開口する連通管部19から流入してしまうことを確実に防止することができる。これにより、出口室本体部18からサンプルガス誘導部15へと流動してサンプルガス誘導部15を誘導されるサンプルガスに外部の空気が混入してしまうことを確実に防止することができる。
【0083】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態の水分分離装置2について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態の水分分離装置2を示す図である。尚、
図5では、水分分離装置2について、断面図で図示しており、更に、エアークーラー109の一部とともに図示している。第2実施形態の水分分離装置2は、例えば、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、熱処理装置100で発生した排気ガスからサンプリングしたサンプルガスから水分を分離して分析計101へとサンプルガスを供給する系統において、適用される。尚、以下の第2実施形態の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、前述の第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。また、
図5では、
図3と同様に、サンプルガスが流動する様子については細い破線の矢印で模式的に示し、冷却ガスが流動する様子については細い実線の矢印で模式的に示し、サンプルガスから分離された水分が落下する様子については太い破線の矢印で模式的に示している。
【0084】
図5に示す第2実施形態の水分分離装置2は、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプリング系統107aから導入されたサンプルガスを冷却し、サンプルガス中に含まれる水分を分離して、分析計供給系統108へとサンプルガスを供給する。そして、水分分離装置2は、水分分離装置1と同様に、第1の配管11と、第2の配管12と、出口室13と、水分回収室14と、サンプルガス誘導部15と、を備えて構成されている。しかし、水分分離装置2は、第2の配管12における冷却ガスの流動方向に関する構成において、水分分離装置1とは異なっている。
【0085】
水分分離装置2においては、第2の配管12は、水分分離装置1の第2の配管12と同様に、第1の配管11の一部が内側に配置されるとともに、第1の配管11に対して中心軸線が一致するように同心状に配置されている。そして、エアークーラー109から供給される冷却ガスが、冷却ガス導入菅17aを介して第2の配管12へ導入されるように構成されている。ただし、水分分離装置2では、第2の配管12は、水分分離装置1と異なり、冷却ガスが上方に流動するように構成されている。
【0086】
水分分離装置2においては、冷却ガス導入菅17aは、管長方向の一方の端部が、エアークーラー109に接続した接続配管112に接続し、管長方向の他方の端部が、第2の配管12の管本体部12aに対して管本体部12aの下端側において接続している。そして、冷却ガス導入菅17aの他方の端部は、管本体部12aの下端側に設けられて管本体部12aの管壁を貫通する貫通孔を気密状態で貫通して、管本体部12aの内部で開口している。これにより、エアークーラー109と第2の配管12内の下端側の領域とが冷却ガス導入管17aを介して連通し、エアークーラー109からの冷却ガスが、第2の配管12内の下端側の領域へ導入される。
【0087】
また、冷却ガス導入菅17aから第2の配管12へ導入されて第2の配管12を流動した冷却ガスは、冷却ガス排出管17bを介して第2の配管12から排出される。冷却ガス排出管17bは、管長方向の一方の端部が、管本体部12aに対して管本体部12aの上端側において接続しており、管長方向の他方の端部側の部分が、管本体部12aの外側に向かって突出している。そして、冷却ガス排出管17bの一方の端部は、管本体部12aの上端側に設けられて管本体部12aの管壁を貫通する貫通孔を気密状態で貫通して、管本体部12aの内部で開口している。一方、管本体部12aから外部に突出した冷却ガス排出管17bの他方の端部は、外部に開口している。これにより、第2の配管12内の上端側の領域と、第2の配管12の外部とは、冷却ガス排出管17bを介して連通している。
【0088】
水分分離装置2では、エアークーラー109から排出された冷却ガスが、冷却ガス導入管17aを介して、第2の配管12内の下端側の領域へと導入される。そして、第2の配管12内へ導入された冷却ガスは、第2の配管12の内側であって第1の配管11の外側の領域を上方に流動する。一方、サンプルガスは、第2の配管12の内側で同心状に配置された第1の配管11を下方に流動する。このため、第1の配管11の内側をサンプルガスが下方に流動し、第2の配管12の内側で第1の配管11の外側を冷却ガスが上方に流動することで、第1の配管11の管壁の全周を介して、サンプルガスと冷却ガスとの間で熱交換が行われる。これにより、第1の配管11の流動中に、サンプルガスが冷却され、サンプルガスにおける温度の低下に伴う飽和水蒸気量の減少に伴い、温度による飽和水蒸気量の違いに応じて凝縮した水分が、第1の配管11内においてサンプルガスから分離される。第1の配管11内においてサンプルガスから分離された水分は、第1の配管11中を落下し、出口室13内で開口する第1の配管11の下端部の出口側開口11aから出口室13内へ滴下し、出口室13を通過して水分回収室14へ回収される。また、第2の配管12を上方へ流動し、第1の配管11の管壁を介してサンプルガスとの間で熱交換を行った冷却ガスは、冷却ガス排出管17bへと流動し、冷却ガス排出管17bを介して、第2の配管12の外部へと排出される。また、水分が分離されたサンプルガスは、第1の配管11から出口室13に流出してサンプルガス誘導部15へと流動し、サンプルガス誘導部15から分析計供給系統108を介して分析計101へと供給される。
【0089】
上述した水分分離装置2によると、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプルガスから水分を分離する際に、液体の冷媒を用いた熱交換器を必要としないため、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制することができる。そして、水分分離装置2によると、サンプルガスが第1の配管11を下方に流動するとともに、第1の配管11が内側に配置された第2の配管12を冷却ガスが上方に流動しながら、冷却ガスとサンプルガスとの間で熱交換が行われてサンプルガスが冷却される。このため、第1の配管11が第2の配管12の内側に配置されて上下方向に延びる領域における上下方向の全長に亘って、サンプルガス及び冷却ガスが上下方向に沿って流れながらサンプルガスと冷却ガスとの間で効率よく熱交換が行われることになる。これにより、サンプルガスの冷却効率の向上を図れ、水分の分離能力の向上を図ることができる。また、水分分離装置2によると、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプルガスから分離した水分を容易に回収するとともに水分が分離されたサンプルガスを効率よく誘導することができる。
【0090】
従って、第2実施形態によると、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制できるとともに、サンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができ、更に、水分を容易に回収してサンプルガスを効率よく誘導できる、水分分離装置2を提供することができる。
【0091】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態の水分分離装置3について説明する。
図6は、本発明の第3実施形態の水分分離装置3を示す図である。尚、
図6では、水分分離装置3について、断面図で図示している。第3実施形態の水分分離装置3は、例えば、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、熱処理装置100で発生した排気ガスからサンプリングしたサンプルガスから水分を分離して分析計101へとサンプルガスを供給する系統において、適用される。尚、以下の第3実施形態の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、前述の第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。また、
図6では、
図3と同様に、サンプルガスが流動する様子については細い破線の矢印で模式的に示し、冷却ガスが流動する様子については細い実線の矢印で模式的に示し、サンプルガスから分離された水分が落下する様子については太い破線の矢印で模式的に示している。
【0092】
図6に示す第3実施形態の水分分離装置3は、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプリング系統107aから導入されたサンプルガスを冷却し、サンプルガス中に含まれる水分を分離して、分析計供給系統108へとサンプルガスを供給する。そして、水分分離装置3は、水分分離装置1と同様に、第1の配管11と、第2の配管12と、出口室13と、水分回収室14と、サンプルガス誘導部15と、を備えて構成されている。しかし、水分分離装置3は、第1の配管11が複数備えられている構成において、水分分離装置1とは異なっている。
【0093】
図7(A)は、水分分離装置3の断面を示す図であって、
図6のA-A線矢視位置から見た断面を示す図である。尚、
図7(A)では、水分分離装置3の断面として
図6のA-A線矢視位置において表れる第1の配管11及び第2の配管12の断面のみを図示しており、水分分離装置3における他の部分の図示を省略している。
図6及び
図7(A)に示すように、水分分離装置3においては、第1の配管11は、複数設けられており、具体的には、2つ設けられている。
【0094】
2つの第1の配管11のそれぞれは、水分分離装置1の第1の配管11と同様に構成され、細長く直線状に延びる金属製の円管として設けられており、水分を含むサンプルガスが導入されてそのサンプルガスが下方に流動する配管として構成されている。2つの第1の配管11のそれぞれは、その一部が第2の配管12の内側に配置されており、その長手方向が上下方向に直線状に延びた状態で、第2の配管12に対して支持されている。また、2つの第1の配管11は、上下方向に延びる第2の配管12の内側で、上下方向に沿って互いに平行に延びている。そして、各第1の配管11は、第2の配管12が延びる方向に対して平行に延びている。尚、第2の配管12の上蓋部12b及び下蓋部12cのそれぞれには、各第1の配管11が気密状態で挿通される貫通孔が2つ設けられており、各第1の配管11は、上蓋部12b及び下蓋部12cの貫通孔に挿通された状態で、第2の配管12に支持されている。
【0095】
また、2つの第1の配管11のそれぞれは、上端部が、サンプリング系統107bの下流側の端部に対して接続している。尚、第3実施形態では、サンプリング系統107bは、下流側において2つの系統に分岐している。そして、2つの第1の配管11のそれぞれは、サンプリング系統107bの下流側において分岐した2つの系統のそれぞれの下流側の端部に対して接続している。各第1の配管11の上端部には、サンプリング系統107aにおける分岐した系統の下流側の端部から、飽和水蒸気の状態で水分を含むサンプルガスが導入される。各第1の配管11の上端部に上方から導入されたサンプルガスは、各第1の配管11の内側を各第1の配管11が延びる上下方向に沿って下方に流動する。各第1の配管11は、第2の配管12の内側を挿通しており、各第1の配管11の下端部は、出口室13内で開口している。また、各第1の配管11の下端部において出口室13に開口した出口側開口11aは、サンプルガス誘導部15が出口室13に連通する位置よりも下方に配置されている。
【0096】
水分分離装置3では、エアークーラー109から排出された冷却ガスが、冷却ガス導入管17aを介して、第2の配管12内の上端側の領域へと導入される。そして、第2の配管12内へ導入された冷却ガスは、第2の配管12の内側であって2つの第1の配管11のそれぞれの外側の領域を下方に流動する。一方、サンプルガスは、第2の配管12の内側で上下に延びるように配置された各第1の配管11を下方に流動する。このため、各第1の配管11の内側をサンプルガスが下方に流動し、第2の配管12の内側で各第1の配管11の外側を冷却ガスが下方に流動することで、各第1の配管11の管壁の全周を介して、サンプルガスと冷却ガスとの間で熱交換が行われる。これにより、各第1の配管11の流動中に、サンプルガスが冷却され、サンプルガスにおける温度の低下に伴う飽和水蒸気量の減少に伴い、温度による飽和水蒸気量の違いに応じて凝縮した水分が、各第1の配管11内においてサンプルガスから分離される。各第1の配管11内においてサンプルガスから分離された水分は、各第1の配管11中を落下し、出口室13内で開口する各第1の配管11の下端部の出口側開口11aから出口室13内へ滴下し、出口室13を通過して水分回収室14へ回収される。また、第2の配管12を下方へ流動し、各第1の配管11の管壁を介してサンプルガスとの間で熱交換を行った冷却ガスは、冷却ガス排出管17bを介して、第2の配管12の外部へと排出される。また、水分が分離されたサンプルガスは、各第1の配管11から出口室13に流出してサンプルガス誘導部15へと流動し、サンプルガス誘導部15から分析計供給系統108を介して分析計101へと供給される。
【0097】
上述した水分分離装置3によると、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプルガスから水分を分離する際に、液体の冷媒を用いた熱交換器を必要としないため、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制することができる。そして、水分分離装置3によると、サンプルガスが複数の(本実施形態では、2つの)第1の配管11を下方に流動するとともに、複数の第1の配管11が内側に配置された第2の配管12を冷却ガスが下方に流動しながら、冷却ガスとサンプルガスとの間で熱交換が行われてサンプルガスが冷却される。このため、各第1の配管11が第2の配管12の内側に配置されて上下方向に延びる領域における上下方向の全長に亘って、サンプルガス及び冷却ガスが上下方向に沿って流れながらサンプルガスと冷却ガスとの間で効率よく熱交換が行われることになる。これにより、サンプルガスの冷却効率の向上を図れ、水分の分離能力の向上を図ることができる。また、水分分離装置3によると、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプルガスから分離した水分を容易に回収するとともに水分が分離されたサンプルガスを効率よく誘導することができる。
【0098】
従って、第3実施形態によると、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制できるとともに、サンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができ、更に、水分を容易に回収してサンプルガスを効率よく誘導できる、水分分離装置3を提供することができる。
【0099】
また、水分分離装置3によると、サンプルガスが複数の第1の配管11を下方に流動するとともに、複数の第1の配管11が内側に配置された第2の配管12を冷却ガスが下方に流動しながら、冷却ガスとサンプルガスとの間で熱交換が行われてサンプルガスが冷却される。このため、複数の第1の配管11の管壁を介してサンプルガスと冷却ガスとの間で熱交換が行われることになる。そして、第1の配管11が1つの場合と複数の場合とでは、合計の断面積が同じ大きさの場合であってサンプルガスの単位時間当たりの合計の流量が同じ場合で比較すると、第1の配管11が複数の場合の方が、冷却ガスとの間で熱交換が行われる第1の配管11の管壁の表面積が大きくなる。このため、水分分離装置3によると、冷却ガスとサンプルガスとの間で更に効率よく熱交換を行うことができるため、更にサンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができる。
【0100】
尚、第3実施形態では、第1の配管11が2つ設けられた水分分離装置3の形態を例示したが、第1の配管11が更に多く設けられた形態が実施されてもよい。
図7(B)は、第3実施形態の変形例の水分分離装置3aの断面を示す図である。
図7(C)は、第3実施形態の他の変形例の水分分離装置3bの断面を示す図である。尚、
図7(B)は、水分分離装置3aにおいて、水分分離装置3について
図6のA-A線矢視線で示す位置に対応する位置での断面である。また、
図7(C)は、水分分離装置3bにおいて、水分分離装置3について
図6のA-A線矢視線で示す位置に対応する位置での断面である。
【0101】
図7(B)に示す変形例の水分分離装置3aと
図7(C)に示す変形例の水分分離装置3bとは、いずれも、第3実施形態の水分分離装置3と同様に構成されているが、第1の配管11の数が異なっている。
図7(B)に示す水分分離装置3aは、第1の配管11が3つ設けられており、
図7(C)に示す水分分離装置3bは、第1の配管11が4つ設けられている。水分分離装置3a及び水分分離装置3bのいずれにおいても、複数の第1の配管11は、サンプリング系統107bの下流側において分岐した複数の系統に対してそれぞれ接続し、サンプルガスがそれぞれ導入される。そして、水分分離装置3a及び水分分離装置3bのいずれにおいても、複数の第1の配管11は、第2の配管12の内側で上下方向に互いに平行に延びており、サンプルガスが各第1の配管11を下方に流動し、更に、各第1の配管11の下端部の出口側開口11aが出口室13内で開口している。
【0102】
図7(B)及び
図7(C)に示す変形例の水分分離装置3a及び水分分離装置3bのように、第1の配管11が3つ以上設けられた形態が実施されてもよい。この形態によると、冷却ガスとの間で熱交換が行われる第1の配管11の管壁の表面積を第1の配管11の数に応じて更に大きくすることができ、更にサンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができる。
【0103】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態の水分分離装置4について説明する。
図8は、本発明の第4実施形態の水分分離装置4を示す図である。尚、
図8では、水分分離装置4について、断面図で図示している。第4実施形態の水分分離装置4は、例えば、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、熱処理装置100で発生した排気ガスからサンプリングしたサンプルガスから水分を分離して分析計101へとサンプルガスを供給する系統において、適用される。尚、以下の第4実施形態の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、前述の第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。また、
図8では、
図3と同様に、サンプルガスが流動する様子については細い破線の矢印で模式的に示し、冷却ガスが流動する様子については細い実線の矢印で模式的に示し、サンプルガスから分離された水分が落下する様子については太い破線の矢印で模式的に示している。
【0104】
図8に示す第4実施形態の水分分離装置4は、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプリング系統107aから導入されたサンプルガスを冷却し、サンプルガス中に含まれる水分を分離して、分析計供給系統108へとサンプルガスを供給する。そして、水分分離装置4は、水分分離装置1と同様に、第1の配管21と、第2の配管12と、出口室13と、水分回収室14と、サンプルガス誘導部15と、を備えて構成されている。しかし、水分分離装置4は、第1の配管21の構成において、水分分離装置1とは異なっている。
【0105】
水分分離装置4においては、第1の配管21は、水分分離装置1の第1の配管11と同様に、金属製の円管として設けられており、水分を含むサンプルガスが導入されてそのサンプルガスが下方に流動する配管として構成されている。そして、第1の配管21は、その一部が第2の配管12の内側に配置されており、第2の配管12に対して、上蓋部12b及び下蓋部12cの貫通孔に挿通された状態で支持されている。また、第1の配管21の上端部が、サンプリング系統107bの下流側の端部に対して接続している。そして、第1の配管21の下端部は、出口室13内で開口しており、サンプルガス誘導部15が出口室13に連通する位置よりも下方に配置されている。しかし、第1の配管21は、第2の配管12の内側に配置されている部分の形状において、水分分離装置1の第1の配管11とは異なっている。
【0106】
第1の配管21は、第2の配管12の内側においては、複数回に亘って湾曲しながら下方に延びるように設けられている。より具体的には、第1の配管21は、円弧状に湾曲しながら下方に延びる部分と、鉛直方向に対して斜め方向に延びながら下方に延びる部分とを交互に繰り返しながら下方に延びるように設けられている。
【0107】
水分分離装置4によると、サンプルガスは、第1の配管21に導入されると、第2の配管12内で複数回に亘って湾曲しながら下方に延びる第1の配管21に沿って下方に流動する。そして、冷却ガスは、湾曲して延びる第1の配管11の外側であって第2の配管12の内側において、下方に流動する。これにより、湾曲しながら延びる第1の配管21の管壁の全周を介して冷却ガスとサンプルガスとの間で効率よく熱交換が行われてサンプルガスが冷却され、サンプルガスから水分が分離される。
【0108】
よって、第4実施形態によると、第1実施形態と同様に、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制できるとともに、サンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができ、更に、水分を容易に回収してサンプルガスを効率よく誘導できる、水分分離装置4を提供することができる。
【0109】
また、水分分離装置4によると、サンプルガスは、第2の配管12内で複数回に亘って湾曲しながら下方に延びる第1の配管21を流動する。これにより、サンプルガスは、第2の配管12の内側において、直線状の経路の場合に比してより長い経路を有する第1の配管21に沿って下方に流動しながら、配管11の管壁を介して冷却ガスとの間で熱交換が行われて冷却され、水分が分離される。これにより、サンプルガスの単位時間当たりの流量が同じ場合で比較すると、直線状の経路の場合に比してより長い経路を有する第1の配管21では、冷却ガスとの間で熱交換が行われる時間を長くすることができる。このため、水分分離装置4によると、冷却ガスとサンプルガスとの間で更に効率よく熱交換を行うことができるため、更にサンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができる。
【0110】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態の水分分離装置5について説明する。
図9は、本発明の第5実施形態の水分分離装置5を示す図である。尚、
図9では、水分分離装置5について、断面図で図示している。第5実施形態の水分分離装置5は、例えば、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、熱処理装置100で発生した排気ガスからサンプリングしたサンプルガスから水分を分離して分析計101へとサンプルガスを供給する系統において、適用される。尚、以下の第5実施形態の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、前述の第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。また、
図9では、
図3と同様に、サンプルガスが流動する様子については細い破線の矢印で模式的に示し、冷却ガスが流動する様子については細い実線の矢印で模式的に示し、サンプルガスから分離された水分が落下する様子については太い破線の矢印で模式的に示している。
【0111】
図9に示す第5実施形態の水分分離装置5は、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプリング系統107aから導入されたサンプルガスを冷却し、サンプルガス中に含まれる水分を分離して、分析計供給系統108へとサンプルガスを供給する。そして、水分分離装置5は、水分分離装置1と同様に、第1の配管22と、第2の配管23と、出口室13と、水分回収室14と、サンプルガス誘導部15と、を備えて構成されている。しかし、水分分離装置5は、第1の配管22及び第2の配管23の配置に関する構成において、水分分離装置1とは異なっている。
【0112】
第1の配管22は、水分を含むサンプルガスが導入され、サンプルガスが下方に流動する配管として構成されている。第1の配管22は、円形断面で直線状に延びる円筒状の配管として設けられており、長手方向における一方の端部側において段状に縮径するように構成されている。第1の配管22は、熱伝導性に優れた金属製の配管として設けられ、例えば、ステンレス製の配管として設けられている。第1の配管22は、例えば、水分回収室14に固定された支持フレーム16に対して固定されて支持されている。また、第1の配管22は、その長手方向が上下方向に延びた状態で、支持フレーム16に対して支持されており、本実施形態では、上下に直線状に延びるように設けられている。
【0113】
第1の配管22は、大径管部24と小径管部25とを備えて構成されている。大径管部24には、大径管本体部24aと、大径管本体部24aの上端部を塞ぐ上蓋部24bと、大径管本体部24aの下端部を塞ぐ下蓋部24cとが設けられている。
【0114】
大径管本体部24aは、円形断面で直線状に上下に延びる円管状に設けられている。そして、大径管本体部24aの上端側には、サンプルガス導入管26が接続している。サンプルガス導入管26は、細長い円管として設けられ、サンプリング系統107bから供給されるサンプルガスを第1の配管22に導入するように構成されている。より具体的には、サンプルガス導入管26は、管長方向の一方の端部が、サンプリング系統107bの下流側の端部に対して接続しており、管長方向の他方の端部が、大径管本体部24aに対して大径管本体部24aの上端側において接続している。そして、サンプルガス導入管26の他方の端部は、大径管本体部24aの上端側に設けられて大径管本体部24aの管壁を貫通する貫通孔を貫通している。また、サンプルガス導入管26の他方の端部は、大径管本体部24aの上端側の貫通孔の縁部に対してシール部材を介して気密状態で密着した状態で大径管本体部24aの上端側の貫通孔に挿通され、大径管本体部24aの内部で開口している。これにより、サンプリング系統107bと第1の配管22の上端側の領域とが、サンプルガス導入管26を介して連通し、第1の配管22の上端側の領域にサンプルガスが導入される。
【0115】
また、大径管本体部24aの下端側には、大径管本体部24aの管壁を貫通して後述の第2の配管23が挿通される貫通孔が設けられている。第2の配管23は、第1の配管22に挿入されており、その下端側の部分が、大径管本体部24aの下端側の貫通孔を大径管本体部24aの内側から外側に向かって貫通している。また、第2の配管23の下端側の部分は、大径管本体部24aの下端側の貫通孔の縁部に対してシール部材を介して気密状態で密着した状態で大径管本体部24aの下端側の貫通孔に挿通され、大径管本体部24aの外部で開口している。
【0116】
大径管部24の上蓋部24bは、中心に貫通孔が形成された円板状の部材として設けられて、大径管本体部24aの上端部に気密状態で密着した状態で大径管本体部24aの上端部に固定されている。そして、上蓋部24bの貫通孔には、第2の配管23が、挿通されている。第2の配管23は、上蓋部24bの貫通孔の縁部に対してシール部材を介して気密状態で密着した状態で上蓋部24bの貫通孔に挿通されている。
【0117】
大径管部24の下蓋部24cは、中心に貫通孔が形成された円板状の部材として設けられて、大径管本体部24aの下端部に気密状態で密着した状態で大径管本体部24aの下端部に固定されている。そして、下蓋部24cの貫通孔には、小径管部25が固定されている。
【0118】
小径管部25は、大径管部24の下方で大径管部24と上下に直列に並んで設けられている。また、小径管部25は、大径管部24に対して、同一中心軸線上で上下に並んで設けられている。そして、小径管部25は、大径管部24よりも径の小さい円管状に形成され、上下方向に細長く延びるとともに、大径管部24の下端から出口室13内で下方に向かって延びるように設けられている。このため、第1の配管22は、大径管部24と小径管部25とがこの順番で上下に直線状に並び、更に、大径管部24から小径管部25へと連続する下端側において、大径の大径管部24から小径の小径管部25へと段状に縮径するように構成されている。
【0119】
また、小径管部25は、その上端部が、大径管部24の下蓋部24cの中心に設けられた貫通孔に対して、気密状態で嵌め込まれて固定され、大径管部24に開口している。これにより、小径管部25は、その上端部において、大径管部24の下蓋部24cに接続して大径管部24に連通している。そして、小径管部25は、その下端部において、出口室13内で開口して出口室13に連通している。また、小径管部25の下端部は、第1の配管22の下端部であり、第1の配管22の下端部において出口室13に開口した出口側開口22aは、サンプルガス誘導部15が出口室13に連通する位置よりも下方に配置されている。
【0120】
第2の配管23は、少なくとも一部が第1の配管22の大径管部24の内側に配置され、サンプルガスよりも温度の低い冷却ガスが導入されるとともに、冷却ガスが下方に流動する配管として構成されている。第2の配管23は、円形断面で細長く延びる円管状の配管として設けられている。第2の配管23は、熱伝導性に優れた金属製の円管として設けられ、例えば、ステンレス製の円管として設けられている。第2の配管23は、第1の配管22に対して支持されている。また、第2の配管23は、上下配管部23aと、水平配管部23bとを有している。
【0121】
第2の配管23の上下配管部23aは、上下方向に直線状に延びる部分として設けられ、第1の配管22の大径管部24の内側に挿入された状態で配置されている。上下配管部23aは、大径管部24に対して、中心軸線が一致する同心状に配置されており、大径管部24と平行に上下に延びるように配置されている。上下配管部23aは、上端側において、大径管部24の上蓋部24bに設けられた貫通孔を気密状態で貫通しており、大径管部24に支持されている。また、上下配管部23aの上端部は、上蓋部24bから上方に突出して大径管部24の外側に配置されている。そして、上下配管部23aの上端部は、エアークーラー109の端部109bに対してカップリング(図示省略)を介して接続している。これにより、エアークーラー109から供給される冷却ガスが、第2の配管23に導入される。
【0122】
第2の配管23の水平配管部23bは、上下配管部23aの下端側で上下配管部23aに連続するとともに水平方向に直線状に延びる部分として設けられている。水平配管部23bは、上下配管部23aに対して、略90°に屈曲する屈曲部を介して接続しており、水平配管部23bの一方の端部が、上下配管部23aの下端部に連通している。そして、水平配管部23bは、上下配管部23aの下端部に接続する部分から水平方向に沿って延びるとともに、第1の配管22の大径管部24の内側から外側に向かって延びるように設けられている。また、水平配管部23bは、大径管部24の大径管本体部24aの管壁に設けられた貫通孔を気密状態で貫通しており、大径管部24に支持されている。そして、水平配管部23bにおける上下配管部23aに接続する側と反対側の端部は、大径管本体部24aから側方に突出して大径管部24の外側に配置されている。また、水平配管部23bは、大径管部24の外側に配置された端部において開口している。尚、水平配管部23bは、大径管本体部24aの管壁を貫通して大径管本体部24aの内側から外側に突出して配置された状態で形成され易いように、2つの配管部分が連結されることで構成されてもよい。即ち、水平配管部23bは、上下配管部23aに連続するとともに大径管本体部24aの管壁を貫通する配管部分と、大径管本体部24aの外側で延びる配管部分とが連結されることで、構成されてもよい。
【0123】
水分分離装置5では、サンプリング系統107bから排出されたサンプルガスが、サンプルガス導入菅26を介して、第1の配管22内の上端側の領域へと導入される。そして、第1の配管22内へ導入されたサンプルガスは、第1の配管22の内側であって第2の配管23の外側の領域を下方に流動する。一方、エアークーラー109から排出された冷却ガスは、第2の配管23の上下配管部23aへ導入され、第1の配管22の大径管部24の内側に配置された上下配管部23aを下方に流動する。このため、第2の配管23の上下配管部23aの内側を冷却ガスが下方に流動し、第1の配管22の大径管部24の内側で上下配管部23aの外側をサンプルガスが下方に流動することで、第2の配管23の上下配管部23aの管壁の全周を介して、サンプルガスと冷却ガスとの間で熱交換が行われる。これにより、第1の配管22の大径管部24の流動中に、サンプルガスが冷却され、サンプルガスにおける温度の低下に伴う飽和水蒸気量の減少に伴い、温度による飽和水蒸気量の違いに応じて凝縮した水分が、第1の配管22の大径管部24内においてサンプルガスから分離される。大径管部24内においてサンプルガスから分離された水分は、大径管部24にその下方で連通する小径管部25を落下し、出口室13内で開口する小径管部25の下端部の出口側開口22aから出口室13内へ滴下し、出口室13を通過して水分回収室14へ回収される。また、第2の配管23の上下配管部23aを下方へ流動し、上下配管部23aの管壁を介してサンプルガスとの間で熱交換を行った冷却ガスは、水平配管部23bへと流動し、水平配管部23bの端部から第2の配管23の外部へと排出される。また、水分が分離されたサンプルガスは、第1の配管22から出口室13に流出してサンプルガス誘導部15へと流動し、サンプルガス誘導部15から分析計供給系統108を介して分析計101へと供給される。
【0124】
上述した水分分離装置5によると、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプルガスから水分を分離する際に、液体の冷媒を用いた熱交換器を必要としないため、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制することができる。そして、水分分離装置5によると、サンプルガスが第1の配管22を下方に流動するとともに、第1の配管22の内側に配置された第2の配管23を冷却ガスが下方に流動しながら、冷却ガスとサンプルガスとの間で熱交換が行われてサンプルガスが冷却される。このため、第2の配管23が第1の配管22の内側に配置されて上下方向に延びる領域における上下方向の全長に亘って、サンプルガス及び冷却ガスが上下方向に沿って流れながらサンプルガスと冷却ガスとの間で効率よく熱交換が行われることになる。これにより、サンプルガスの冷却効率の向上を図れ、水分の分離能力の向上を図ることができる。また、水分分離装置5によると、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプルガスから分離した水分を容易に回収するとともに水分が分離されたサンプルガスを効率よく誘導することができる。
【0125】
従って、第5実施形態によると、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制できるとともに、サンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができ、更に、水分を容易に回収してサンプルガスを効率よく誘導できる、水分分離装置5を提供することができる。
【0126】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態の水分分離装置6について説明する。
図10は、本発明の第6実施形態の水分分離装置6を示す図である。尚、
図10では、水分分離装置6について、断面図で図示している。第6実施形態の水分分離装置6は、例えば、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、熱処理装置100で発生した排気ガスからサンプリングしたサンプルガスから水分を分離して分析計101へとサンプルガスを供給する系統において、適用される。また、第6実施形態の水分分離装置6は、前述の第5実施形態の水分分離装置5と同様に、冷却ガスが導入されて流動する第2の配管23の一部が、サンプルガスが導入されて流動する第1の配管22の内側に配置されるように構成されている。尚、以下の第6実施形態の説明においては、前述の第1実施形態及び第5実施形態と異なる点について説明し、前述の第1実施形態及び第5実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。また、
図10では、
図3及び
図9と同様に、サンプルガスが流動する様子については細い破線の矢印で模式的に示し、冷却ガスが流動する様子については細い実線の矢印で模式的に示し、サンプルガスから分離された水分が落下する様子については太い破線の矢印で模式的に示している。
【0127】
図10に示す第6実施形態の水分分離装置6は、第1実施形態の水分分離装置1及び第5実施形態の水分分離装置5と同様に、サンプリング系統107aから導入されたサンプルガスを冷却し、サンプルガス中に含まれる水分を分離して、分析計供給系統108へとサンプルガスを供給する。そして、水分分離装置6は、水分分離装置5と同様に、第1の配管22と、第2の配管23と、出口室13と、水分回収室14と、サンプルガス誘導部15と、を備えて構成されている。しかし、水分分離装置6は、第2の配管23が複数備えられている構成において、水分分離装置5とは異なっている。
【0128】
図10に示すように、水分分離装置6においては、第2の配管23は、複数設けられており、具体的には、2つ設けられている。2つの第2の配管23のそれぞれは、水分分離装置5の第2の配管23と同様に構成され、一部が第1の配管22の大径管部24の内側に配置され、サンプルガスよりも温度の低い冷却ガスが導入されるとともに、冷却ガスが下方に流動する円管状の配管として構成されている。
【0129】
2つの第2の配管23のそれぞれは、水分分離装置5の第2の配管23と同様に構成され、上下配管部23a及び水平配管部23bを有している。各第2の配管23の上下配管部23aは、第1の配管22の大径管部24の内側で上下に延びるように配置されている。そして、2つの第2の配管23の上下配管部23aは、上下に延びる大径管部24の内側で上下方向に沿って互いに平行に延びている。尚、大径管部24の上蓋部24bには、各第2の配管23の上下配管部23aが気密状態で挿通される貫通孔が2つ設けられており、各第2の配管23の上下配管部23aは、上蓋部24bの貫通孔に挿通された状態で、第1の配管22に支持されている。また、各第2の配管23の水平配管部23bは、各上下配管部23aに対してその下端側で連続するとともに水平方向に延びるように設けられている。そして、各第2の配管23の水平配管部23bは、第1の配管22の大径管部24の内側から外側に向かって延び、大径管本体部24aから側方に突出して大径管部24の外側で開口している。尚、大径管本体部24aの管壁には、各第2の配管23の水平配管部23bが気密状態で挿通される貫通孔が2つ設けられており、各第2の配管23の水平配管部23bは、大径管本体部24aの貫通孔に挿通された状態で、第1の配管22に支持されている。
【0130】
また、2つの第2の配管23のそれぞれは、大径管部24の上蓋部24bから上方に突出した上下配管部23aの上端部において、エアークーラー109の端部109bに対して接続配管(図示省略)を介して接続している。尚、第6実施形態では、エアークーラー109の端部109bに接続された接続配管は、エアークーラー109の端部109bに接続する側と反対側の下流側において、2つの系統に分岐している。そして、2つの第2の配管23の上下配管部23aのそれぞれは、エアークーラー109に接続した接続配管の下流側において分岐した2つの系統のそれぞれの下流側の端部に対して接続している。各第2の配管23の上下配管部23aの上端部には、エアークーラー109に接続した接続配管における分岐した系統の下流側の端部から、冷却ガスが導入される。各第2の配管23の上下配管部23aの上端部に上方から導入された冷却ガスは、各第2の配管23の上下配管部23aを下方に流動し、次いで、各第2の配管23の水平配管部23bを水平に流動して、各第2の配管23の外部へ排出される。
【0131】
水分分離装置6では、サンプリング系統107bから排出されたサンプルガスが、サンプルガス導入菅26を介して、第1の配管22の大径管部24内の上端側の領域へと導入される。そして、第1の配管22の大径管部24内へ導入されたサンプルガスは、大径管部24の内側であって2つの第2の配管23のそれぞれの外側の領域を下方に流動する。一方、エアークーラー109から排出された冷却ガスは、2つの第2の配管23のそれぞれの上下配管部23aへ導入され、第1の配管22の大径管部24の内側に配置された各上下配管部23aを下方に流動する。このため、各第2の配管23の上下配管部23aの内側を冷却ガスが下方に流動し、第1の配管22の大径管部24の内側で各上下配管部23aの外側をサンプルガスが下方に流動することで、各第2の配管23の上下配管部23aの管壁の全周を介して、サンプルガスと冷却ガスとの間で熱交換が行われる。これにより、第1の配管22の大径管部24の流動中に、サンプルガスが冷却され、サンプルガスにおける温度の低下に伴う飽和水蒸気量の減少に伴い、温度による飽和水蒸気量の違いに応じて凝縮した水分が、第1の配管22の大径管部24内においてサンプルガスから分離される。大径管部24内においてサンプルガスから分離された水分は、大径管部24にその下方で連通する小径管部25を落下し、出口室13内で開口する小径管部25の下端部の出口側開口22aから出口室13内へ滴下し、出口室13を通過して水分回収室14へ回収される。また、各第2の配管23の上下配管部23aを下方へ流動し、各上下配管部23aの管壁を介してサンプルガスとの間で熱交換を行った冷却ガスは、各第2の配管23の水平配管部23bへと流動し、各水平配管部23bの端部から各第2の配管23の外部へと排出される。また、水分が分離されたサンプルガスは、第1の配管22から出口室13に流出してサンプルガス誘導部15へと流動し、サンプルガス誘導部15から分析計供給系統108を介して分析計101へと供給される。
【0132】
上述した水分分離装置6によると、第1実施形態の水分分離装置1及び第5実施形態の水分分離装置5と同様に、サンプルガスから水分を分離する際に、液体の冷媒を用いた熱交換器を必要としないため、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制することができる。そして、水分分離装置6によると、サンプルガスが第1の配管22を下方に流動するとともに、第1の配管22の内側に配置された複数の(本実施形態では、2つの)第2の配管23を冷却ガスが下方に流動しながら、冷却ガスとサンプルガスとの間で熱交換が行われてサンプルガスが冷却される。このため、複数の第2の配管23が第1の配管22の内側に配置されて上下方向に延びる領域における上下方向の全長に亘って、サンプルガス及び冷却ガスが上下方向に沿って流れながらサンプルガスと冷却ガスとの間で効率よく熱交換が行われることになる。これにより、サンプルガスの冷却効率の向上を図れ、水分の分離能力の向上を図ることができる。また、水分分離装置6によると、第1実施形態の水分分離装置1及び第5実施形態の水分分離装置5と同様に、サンプルガスから分離した水分を容易に回収するとともに水分が分離されたサンプルガスを効率よく誘導することができる。
【0133】
従って、第6実施形態によると、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制できるとともに、サンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができ、更に、水分を容易に回収してサンプルガスを効率よく誘導できる、水分分離装置6を提供することができる。
【0134】
また、水分分離装置6によると、冷却ガスが複数の第2の配管23を下方に流動するとともに、複数の第2の配管23が内側に配置された第1の配管22をサンプルガスが下方に流動しながら、冷却ガスとサンプルガスとの間で熱交換が行われてサンプルガスが冷却される。このため、複数の第2の配管23の管壁を介してサンプルガスと冷却ガスとの間で熱交換が行われることになる。そして、第2の配管23が1つの場合と複数の場合とでは、合計の断面積が同じ大きさの場合であって冷却ガスの単位時間当たりの合計の流量が同じ場合で比較すると、第2の配管23が複数の場合の方が、冷却ガスとの間で熱交換が行われる第2の配管23の管壁の表面積が大きくなる。このため、水分分離装置6によると、冷却ガスとサンプルガスとの間で更に効率よく熱交換を行うことができるため、更にサンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができる。
【0135】
尚、第6実施形態では、第2の配管23が2つ設けられた水分分離装置6の形態を例示したが、第2の配管23が更に多く設けられた形態が実施されてもよい。即ち、第1の配管22の内側において3つ以上の第2の配管23が配置された水分分離装置の形態が実施されてもよい。
【0136】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態の水分分離装置7について説明する。
図11は、本発明の第7実施形態の水分分離装置7を示す図である。尚、
図11では、水分分離装置7について、断面図で図示している。第7実施形態の水分分離装置7は、例えば、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、熱処理装置100で発生した排気ガスからサンプリングしたサンプルガスから水分を分離して分析計101へとサンプルガスを供給する系統において、適用される。尚、以下の第7実施形態の説明においては、前述の第1実施形態と異なる点について説明し、前述の第1実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。また、
図11では、
図3と同様に、サンプルガスが流動する様子については細い破線の矢印で模式的に示し、冷却ガスが流動する様子については細い実線の矢印で模式的に示し、サンプルガスから分離された水分が落下する様子については太い破線の矢印で模式的に示している。
【0137】
図11に示す第7実施形態の水分分離装置7は、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプリング系統107aから導入されたサンプルガスを冷却し、サンプルガス中に含まれる水分を分離して、分析計供給系統108へとサンプルガスを供給する。そして、水分分離装置7は、水分分離装置1と同様に、第1の配管27と、第2の配管28と、第2の配管29と、出口室13と、水分回収室14と、サンプルガス誘導部15と、を備えて構成されている。しかし、水分分離装置7は、第1の配管27、第2の配管28、及び第2の配管29に関する構成において、水分分離装置1とは異なっている。
【0138】
図12は、水分分離装置7の断面を示す図であって、
図11のB-B線矢視位置から見た断面を示す図である。尚、
図12では、水分分離装置7の断面として
図11のB-B線矢視位置において表れる第1の配管27、第2の配管28、及び第2の配管29の断面のみを図示しており、水分分離装置7における他の部分の図示を省略している。
図11及び
図12に示すように、水分分離装置7においては、第2の配管29の内側に第1の配管27の一部が配置されているとともに、第1の配管27の内側に第2の配管28の一部が配置されている。
【0139】
第1の配管27は、水分を含むサンプルガスが導入され、サンプルガスが下方に流動する配管として構成されている。第1の配管27は、円形断面で直線状に延びる円筒状の配管として設けられており、長手方向における一方の端部側において段状に縮径するように構成されている。第1の配管27は、熱伝導性に優れた金属製の配管として設けられ、例えば、ステンレス製の配管として設けられている。第1の配管27は、後述の第2の配管29に対して支持されている。また、第1の配管27は、その長手方向が上下方向に延びた状態で、第2の配管29に対して支持されており、本実施形態では、上下に直線状に延びるように設けられている。
【0140】
第1の配管27は、大径管部30と小径管部31とを備えて構成されている。大径管部30は、円形断面で直線状に上下に延びる円管状に設けられている。そして、大径管部30の上端側には、サンプルガス導入管32が接続している。サンプルガス導入管32は、細長い円管として設けられ、サンプリング系統107bから供給されるサンプルガスを第1の配管27に導入するように構成されている。より具体的には、サンプルガス導入管32は、管長方向の一方の端部が、サンプリング系統107bの下流側の端部に対して接続しており、管長方向の他方の端部が、大径管部30に対して大径管部30の上端側において接続している。そして、サンプルガス導入管32の他方の端部は、大径管部30の上端側に設けられて大径管部30の管壁を貫通する貫通孔を貫通している。また、サンプルガス導入管32の他方の端部は、大径管部30の上端側の貫通孔の縁部に対してシール部材を介して気密状態で密着した状態で大径管部30の上端側の貫通孔に挿通され、大径管部30の内部で開口している。これにより、サンプリング系統107bと第1の配管27の上端側の領域とが、サンプルガス導入管32を介して連通し、第1の配管27の上端側の領域にサンプルガスが導入される。尚、大径管部30は、後述の第2の配管29の内側に配置されており、サンプルガス導入菅32は、第2の配管29の管壁を貫通した状態で更に大径管部30の管壁も貫通している。
【0141】
また、大径管部30の下端側には、大径管部30の管壁を貫通して後述の第2の配管28が挿通される貫通孔が設けられている。第2の配管28は、第1の配管27に挿入されており、その下端側の部分が、大径管部30の下端側の貫通孔を大径管部30の内側から外側に向かって貫通している。また、第2の配管28の下端側の部分は、大径管部30の下端側の貫通孔の縁部に対してシール部材を介して気密状態で密着した状態で大径管部30の下端側の貫通孔に挿通されている。
【0142】
大径管部30の上端部は、中心に貫通孔が形成された円板状の上蓋部材33によって塞がれている。上蓋部材33は、大径管部30の上端部に対して気密状態で密着した状態で固定されている。尚、上蓋部材33の直径は大径管部30の直径よりも大きく、上蓋部材33は、大径管部30よりも径方向に張り出した状態で設けられている。そして上蓋部材33には、後述の第2の配管29の上端部も固定されている。また、上蓋部材33の貫通孔には、第2の配管28が、挿通されている。第2の配管28は、上蓋部材33の貫通孔の縁部に対してシール部材を介して気密状態で密着した状態で上蓋部材33の貫通孔に挿通されている。
【0143】
大径管部30の下端部は、中心に貫通孔が形成された円板状の下蓋部材34によって塞がれている。下蓋部材34は、その上面側において、大径管部30の下端部に対して気密状態で密着した状態で固定されている。尚、下蓋部材34の直径は大径管部30の直径よりも大きく、下蓋部材34は、大径管部30よりも径方向に張り出した状態で設けられている。そして、下蓋部材34には、その外周の縁部分の上面側において、後述の第2の配管29の下端部も固定されている。尚、下蓋部材34は、その外周の縁部分の下面側において、出口室13の出口室本体部18aの上端部に対して気密状態で密着して固定されている。また、下蓋部材34の貫通孔には、小径管部31が固定されている。
【0144】
小径管部31は、大径管部30の下方で大径管部30と上下に直列に並んで設けられている。また、小径管部31は、大径管部30に対して、同一中心軸線上で上下に並んで設けられている。そして、小径管部31は、大径管部30よりも径の小さい円管状に形成され、上下方向に細長く延びるとともに、大径管部30の下端から出口室13内で下方に向かって延びるように設けられている。このため、第1の配管27は、大径管部30と小径管部31とがこの順番で上下に直線状に並び、更に、大径管部30から小径管部31へと下蓋部材34を介して連続する下端側において、大径の大径管部30から小径の小径管部31へと段状に縮径するように構成されている。
【0145】
また、小径管部31は、その上端部が、下蓋部材34の中心に設けられた貫通孔に対して、気密状態で嵌め込まれて固定され、大径管部30に開口している。これにより、小径管部31は、その上端部において、下蓋部材34を介して大径管部30に接続して大径管部30に連通している。そして、小径管部31は、その下端部において、出口室13内で開口して出口室13に連通している。また、小径管部31の下端部は、第1の配管27の下端部であり、第1の配管27の下端部において出口室13に開口した出口側開口27aは、サンプルガス誘導部15が出口室13に連通する位置よりも下方に配置されている。
【0146】
第2の配管28は、少なくとも一部が第1の配管27の大径管部30の内側に配置され、サンプルガスよりも温度の低い冷却ガスが導入されるとともに、冷却ガスが下方に流動する配管として構成されている。第2の配管28は、円形断面で細長く延びる円管状の配管として設けられている。第2の配管28は、熱伝導性に優れた金属製の円管として設けられ、例えば、ステンレス製の円管として設けられている。第2の配管28は、上蓋部材33、第1の配管27、及び第2の配管29によって支持されている。また、第2の配管28は、上下配管部28aと、水平配管部28bとを有している。
【0147】
第2の配管28の上下配管部28aは、上下方向に直線状に延びる部分として設けられ、第1の配管27の大径管部30の内側に挿入された状態で配置されている。上下配管部28aは、大径管部30に対して、中心軸線が一致する同心状に配置されており、大径管部30と平行に上下に延びるように配置されている。上下配管部28aは、上端側において、上蓋部材33に設けられた貫通孔を気密状態で貫通しており、上蓋部材33に支持されている。また、上下配管部28aの上端部は、上蓋部材33から上方に突出して大径管部30の外側に配置されている。そして、上下配管部28aの上端部は、エアークーラー109の端部109bに対して接続配管(図示省略)を介して接続している。これにより、エアークーラー109から供給される冷却ガスが、第2の配管28に導入される。
【0148】
第2の配管28の水平配管部28bは、上下配管部28aの下端側で上下配管部28aに連続するとともに水平方向に直線状に延びる部分として設けられている。水平配管部28bは、上下配管部28aに対して、略90°に屈曲する屈曲部を介して接続しており、水平配管部28bの一方の端部が、上下配管部28aの下端部に連通している。そして、水平配管部28bは、上下配管部28aの下端部に接続する部分から水平方向に沿って延びるとともに、第1の配管27の大径管部30の内側から外側に向かって延び、更に、第2の配管29の内側から外側に向かって延びるように設けられている。また、水平配管部28bは、大径管部30の管壁に設けられた貫通孔を気密状態で貫通しており、大径管部30に支持されている。更に、水平配管部28bは、大径管部30の外側に配置された第2の配管29の管壁に設けられた貫通孔も気密状態で貫通し、第2の配管29にも支持されている。そして、水平配管部28bにおける上下配管部28aに接続する側と反対側の端部は、大径管部30から側方に突出するとともに更に第2の配管29からも突出して大径管部30及び第2の配管29の外側に配置されている。また、水平配管部28bは、大径管部30及び第2の配管29の外側に配置された端部において開口している。
【0149】
第2の配管29は、第1の配管27の一部の大径管部30が内側に配置され、サンプルガスよりも温度の低い冷却ガスが導入されるとともに、冷却ガスが下方に流動する配管として構成されている。第2の配管29は、円形断面で直線状に延びる円筒状の配管として設けられている。第2の配管29は、熱伝導性に優れた金属製の円管として設けられ、例えば、ステンレス製の円管として設けられている。第2の配管29は、例えば、支持フレーム16に対して固定されて支持されている。また、第2の配管29は、その長手方向が上下方向に延びた状態で、支持フレーム16に対して支持されており、本実施形態では、上下に直線状に延びるように設けられている。
【0150】
第2の配管29の上端部は、上蓋部材33によって塞がれており、第2の配管29の下端部は、下蓋部材34によって塞がれている。上蓋部材33は、第2の配管29の上端部に対して気密状態で密着した状態で固定されており、下蓋部材34は、第2の配管29の下端部に対して気密状態で密着した状態で固定されている。尚、円板状の上蓋部材33は、その外周の縁部分の下面側において、第2の配管29の上端部に密着して固定されており、径方向の内側の部分の下面側において、大径管部30の上端部に密着して固定されている。また、円板状の下蓋部材34は、その外周の部分の上面側において、第2の配管29の下端部に密着して固定されており、径方向の内側の部分の上面側において、大径管部30の下端部に密着して固定されている。
【0151】
また、第2の配管29の上端側には、冷却ガス導入菅35aが接続している。冷却ガス導入菅35aは、細長い円管として設けられ、エアークーラー109から供給される冷却ガスを第2の配管29に導入するように構成されている。より具体的には、冷却ガス導入菅35aは、管長方向の一方の端部が、エアークーラー109の端部109bに対して接続配管(図示省略)を介して接続しており、管長方向の他方の端部が、第2の配管29に対して第2の配管29の上端側において接続している。そして、冷却ガス導入菅35aの他方の端部は、第2の配管29の上端側に設けられて第2の配管29の管壁を貫通する貫通孔を貫通している。また、冷却ガス導入菅35aの他方の端部は、第2の配管29の上端側の貫通孔の縁部に対してシール部材を介して気密状態で密着した状態で第2の配管29の上端側の貫通孔に挿通され、第2の配管29の内部で開口している。これにより、エアークーラー109と第2の配管29の上端側の領域とが、冷却ガス導入管35aを介して連通し、第2の配管29の上端側の領域に冷却ガスが導入される。尚、冷却ガス導入菅35aの他方の端部は、第2の配管29内における第1の配管27の大径管部30の外側の領域において、開口している。このため、第2の配管29内に導入された冷却ガスは、第2の配管29の内側の領域であって且つ第1の配管27の大径管部30の外側の領域、即ち、第2の配管29の内周面と大径管部30の外周面との間の領域を流動する。
【0152】
尚、冷却ガス導入菅35aの一方の端部、及び、第2の配管28の上下配管部28aの上端部は、エアークーラー109の端部109bに対して接続配管(図示省略)を介して接続している。第7実施形態では、エアークーラー109の端部109bに接続された接続配管は、エアークーラー109の端部109bに接続する側と反対側の下流側において、2つの系統に分岐している。そして、冷却ガス導入菅35aの一方の端部と、上下配管部28aの上端部とのそれぞれは、エアークーラー109に接続した接続配管の下流側において分岐した2つの系統のそれぞれの下流側の端部に対して接続している。これにより、エアークーラー109から供給される冷却ガスは、第2の配管28及び第2の配管29の両方に導入される。
【0153】
また、第2の配管29の下端側には、冷却ガス排出菅35bが接続している。冷却ガス排出菅35bは、細長い円管として設けられ、第2の配管29に導入されて第2の配管29を流動した冷却ガスを第2の配管29から排出するように構成されている。より具体的には、冷却ガス排出管35bは、管長方向の一方の端部が、第2の配管29に対して第2の配管29の下端側において接続しており、管長方向の他方の端部側の部分が、第2の配管29の外側に向かって突出している。そして、冷却ガス排出管35bの一方の端部は、第2の配管29の下端側に設けられて第2の配管29の管壁を貫通する貫通孔を気密状態で貫通して、第2の配管29の内部で開口している。一方、第2の配管29から外部に突出した冷却ガス排出管35bの他方の端部は、外部に開口している。これにより、第2の配管29内の下端側の領域と第2の配管29の外部とは冷却ガス排出管35bを介して連通しており、第2の配管29を流動した冷却ガスが冷却ガス排出管35bを介して外部へと排出される。
【0154】
水分分離装置7では、サンプリング系統107bから排出されたサンプルガスが、サンプルガス導入菅32を介して、第1の配管27の大径管部30内の上端側の領域へと導入される。そして、第2の配管27の大径管部30内へ導入されたサンプルガスは、大径管部30の内側であって第2の配管28の外側の領域を下方に流動する。一方、エアークーラー109から排出された冷却ガスは、第2の配管28の上下配管部28aへ導入されるとともに、冷却ガス導入菅35aを介して第2の配管29内の上端側の領域へと導入される。そして、上下配管部28aに導入された冷却ガスは、大径管部30の内側に配置された上下配管部28aを下方に流動する。また、第2の配管29に導入された冷却ガスは、大径管部30が内側に配置された第2の配管29の内側の領域であって大径管部30の外側の領域を下方に流動する。このため、上下配管部28aの内側を冷却ガスが下方に流動し、上下配管部28aの外側で大径管部30の内側をサンプルガスが下方に流動し、大径管部30の外側で第2の配管29の内側を冷却ガスが下方に流動する。これにより、第1の配管27の大径管部30を流動するサンプルガスは、大径管部30の内側において第2の配管28の上下配管部28aの管壁の全周を介して冷却ガスとの間で熱交換が行われるとともに、大径管部30の管壁の全周を介しても冷却ガスとの間で熱交換が行われる。したがって、第1の配管27の大径管部30の流動中に、サンプルガスが、大径管部30の内側及び外側の両側から冷却され、サンプルガスにおける温度の低下に伴う飽和水蒸気量の減少に伴い、温度による飽和水蒸気量の違いに応じて凝縮した水分が、第1の配管27の大径管部30内においてサンプルガスから分離される。大径管部30内においてサンプルガスから分離された水分は、大径管部30にその下方で連通する小径管部31を落下し、出口室13内で開口する小径管部31の下端部の出口側開口27aから出口室13内へ滴下し、出口室13を通過して水分回収室14へ回収される。また、第2の配管28の上下配管部28aを下方へ流動し、上下配管部28aの管壁を介してサンプルガスとの間で熱交換を行った冷却ガスは、第2の配管28の水平配管部28bへと流動し、水平配管部28bの端部から第2の配管28の外部へと排出される。そして、第2の配管29を下方に流動し、大径管部30の管壁を介してサンプルガスとの間で熱交換を行った冷却ガスは、冷却ガス排出管35bを介して第2の配管29の外部へと排出される。また、水分が分離されたサンプルガスは、第1の配管27から出口室13に流出してサンプルガス誘導部15へと流動し、サンプルガス誘導部15から分析計供給系統108を介して分析計101へと供給される。
【0155】
上述した水分分離装置7によると、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプルガスから水分を分離する際に、液体の冷媒を用いた熱交換器を必要としないため、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制することができる。そして、水分分離装置7によると、サンプルガスが第1の配管27を下方に流動し、第1の配管27の内側に配置された第2の配管28を冷却ガスが下方に流動するとともに第1の配管27が内側に配置された第2の配管29を冷却ガスが下方に流動しながら、冷却ガスとサンプルガスとの間で熱交換が行われてサンプルガスが冷却される。このため、第1の配管27が第2の配管29の内側に配置されているとともに第2の配管28が第1の配管27の内側に配置されて上下方向に延びる領域における上下方向の全長に亘って、サンプルガス及び冷却ガスが上下方向に沿って流れながらサンプルガスと冷却ガスとの間で効率よく熱交換が行われることになる。これにより、サンプルガスの冷却効率の向上を図れ、水分の分離能力の向上を図ることができる。また、水分分離装置7によると、第1実施形態の水分分離装置1と同様に、サンプルガスから分離した水分を容易に回収するとともに水分が分離されたサンプルガスを効率よく誘導することができる。
【0156】
従って、第7実施形態によると、設備コスト及び設置スペースの増大を抑制できるとともに、サンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができ、更に、水分を容易に回収してサンプルガスを効率よく誘導できる、水分分離装置7を提供することができる。
【0157】
また、水分分離装置7においては、第2の配管(28、29)が2つ設けられており、一つの第2の配管28は、その一部が第1の配管27の内側に配置され、他の第2の配管29は、第1の配管27の一部が内側に配置されている。そして、水分分離装置7においては、サンプルガスが第1の配管27を下方に流動し、第1の配管27の内側に配置された第2の配管28を冷却ガスが下方に流動するとともに第1の配管27が内側に配置された第2の配管29を冷却ガスが下方に流動しながら、冷却ガスとサンプルガスとの間で熱交換が行われてサンプルガスが冷却される。このため、第1の配管27を流動するサンプルガスは、第1の配管27の内側及び外側の両側から冷却される。これにより、水分分離装置7によると、冷却ガスとサンプルガスとの間で更に効率よく熱交換を行うことができるため、更にサンプルガスの冷却効率を向上させて水分の分離能力の向上を図ることができる。
【0158】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
【0159】
前述の実施形態では、熱処理装置で発生した排気ガスからサンプリングしたサンプルガスから水分を分離して分析計へと供給する系統において適用される形態を例にとって説明したが、前述の実施形態の水分分離装置は、この例に限らず、広く適用することができる。例えば、前述の実施形態の水分分離装置は、被処理物に対して熱処理以外の処理を行う際に発生するガスからサンプルガスをサンプリングして水分を分離し、水分を分離したサンプルガスを分析計等の供給先へと供給する系統において適用されてもよい。また、前述の実施形態の水分分離装置は、種々のガス発生源において発生したガスからサンプルガスをサンプリングして水分を分離し、水分を分離したサンプルガスを分析計或いは分析計以外の種々の供給先へと供給する系統において適用されてもよい。
【0160】
前述の実施形態では、圧縮空気が供給されることで低温の空気を冷却ガスとして生成するエアークーラーから、水分分離装置に冷却ガスが導入される形態を例にとって説明したが、この通りでなくもよい。即ち、エアークーラー以外の冷却ガス供給源から水分分離装置に対して冷却ガスが導入される形態が実施されてもよい。例えば、液体窒素を貯留するボンベを有して液体窒素の一部を継続的に降圧させながらボンベから放出することで低温の窒素ガスを生成して冷却ガスとして供給する冷却ガス供給源から、水分分離装置に対して、冷却ガスが導入される形態が実施されてもよい。
【0161】
前述の第1乃至第4実施形態では、出口室が、第2の配管の下端側で第2の配管と一体に結合されて設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、第1乃至第4実施形態において、出口室が、第2の配管の下方において第2の配管から分離して設けられ、外部に対して区画されるとともに第1の配管とサンプルガス誘導部と水分回収室とが連通した形態の水分分離装置が実施されてもよい。
【0162】
前述の第3乃至第7実施形態では、冷却ガスが第2の配管を下方へ流動するように構成された水分分離装置の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。第3乃至第7実施形態において、冷却ガスが第2の配管を上方へ流動するように構成された水分分離装置の形態が実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0163】
本発明は、水分を含むサンプルガスから水分を分離する水分分離装置として、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0164】
1、2、3、4、5、6、7 水分分離装置
11、21、22、27 第1の配管
12、23、28、29 第2の配管
13 出口室
14 水分回収室
15 サンプルガス誘導部