(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】非蛍光性トナーを介してセキュリティマークを印刷する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B41M 3/14 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B41M3/14
(21)【出願番号】P 2020140623
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-08-23
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】エリウド・ロブレス・フローレス
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-182032(JP,A)
【文献】特開平10-58737(JP,A)
【文献】特開2017-149012(JP,A)
【文献】特表2003-534753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0016409(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非蛍光性トナーを介してセキュリティマークを印刷する方法であって、
プロセッサによって、基材上に印刷すべきセキュリティマークの電子ファイルを受信することと、
前記プロセッサによって、メモリに記憶された、前記基材の輝度、前記セキュリティマークの画像のサイズ、及び前記セキュリティマークのタイプが与えられた前記セキュリティマークのハーフトーン適用範囲の量を指示する輝度とハーフトーンの相関に基づいて、非蛍光性トナーに関するハーフトーン適用範囲の量を決定することと、
前記プロセッサによって、前記決定されたハーフトーン適用範囲の量で前記セキュリティマークの前記電子ファイルをプリンター記述言語に変換することと、
前記プロセッサによって、前記セキュリティマークを前記非蛍光性トナーによって電子ファイルのネガ画像として前記基材上に印刷させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記セキュリティマークは、テキスト又は画像を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材及び前記非蛍光性トナーは同じ色を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基材と前記非蛍光性トナーとの間の輝度の差は、輝度閾値未満を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記輝度閾値は1L
*単位を有する、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記ハーフトーン適用範囲の量は、約5パーセント~20パーセントを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記セキュリティマークは、紫外線(UV)光の下で前記基材上で視認可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記セキュリティマークのネガは、前記非蛍光性トナーで前記基材上に印刷される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
複数の命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記複数の命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに非蛍光性トナーを介してセキュリティマークを印刷するための動作を実行させ、
基材上に印刷すべきセキュリティマークの電子ファイルを受信するための命令と、
前記基材の輝度、前記セキュリティマークの画像のサイズ、及び前記セキュリティマークのタイプが与えられた前記セキュリティマークのハーフトーン適用範囲の量を指示する輝度とハーフトーンの相関に基づいて、非蛍光性トナーに関するハーフトーン適用範囲の量を決定するための命令と、
決定された前記ハーフトーン適用範囲の量で前記セキュリティマークの前記電子ファイルをプリンター記述言語に変換するための命令と、
前記セキュリティマークを前記非蛍光性トナーによって電子ファイルのネガ画像として前記基材上に印刷させる命令と、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記セキュリティマークはテキスト又は画像を含む、請求項
9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記基材及び前記非蛍光性トナーは同じ色を有する、請求項
9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記基材と前記非蛍光性トナーとの間の輝度の差は、輝度閾値未満を有する、請求項
9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記輝度閾値は1L
*単位を有する、請求項
12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
ハーフトーン適用範囲の量は約5パーセント~20パーセントを含む、請求項
13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記セキュリティマークは、紫外線(UV)光の下で前記基材上で視認可能である、請求項
9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記セキュリティマークのネガは、前記非蛍光性トナーで前記基材上に印刷される、請求項
9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
非蛍光性トナーを介してセキュリティマークを印刷する方法であって、
プロセッサによって、白色基材上に印刷すべきセキュリティマークの電子ファイルを受信することと、
前記プロセッサによって、前記基材を白色乾燥インクでマスキングすることで、前記セキュリティマークのネガを生成するための場所を決定することであって、前記セキュリティマークが、紫外線(UV)光の下で前記白色基材の輝度によって視認可能であることと、
前記プロセッサによって、メモリに記憶された、前記白色基材の前記輝度、前記セキュリティマークの画像のサイズ、及び前記セキュリティマークのタイプが与えられた前記セキュリティマークのハーフトーン適用範囲の量を指示する輝度とハーフトーンの相関に基づいて、前記決定された場所において画素当たり約5パーセント~20パーセントのハーフトーン適用範囲のパターンを決定することと、
前記プロセッサによって、前記場所及び前記ハーフトーン適用範囲の前記パターンで前記セキュリティマークの前記電子ファイルをプリンター記述言語に変換して、前記セキュリティマークを印刷することと、
前記プロセッサによって、前記セキュリティマークを前記白色乾燥インクによって電子ファイルのネガ画像として前記白色基材上に印刷させることと、を含む、方法。
【請求項18】
前記白色乾燥インク及び前記白色基材の輝度の差は、1L
*単位未満である、請求項
17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、セキュリティマークを印刷することに関し、より詳細には、白色トナーを介してセキュリティマークを印刷する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文書セキュリティは、様々な異なる用途に使用することができる。例えば、文書セキュリティを使用して、特定の文書(例えば、チケット、秘密文書等)の偽造を防止することができる。
【0003】
文書セキュリティのいくつかの例としては、ウォーターマークを使用することが挙げられる。いくつかのウォーターマークは、マイクロ印刷を使用して印刷することができる。マイクロ印刷は、肉眼では視認できない非常に小さい印刷されたマークを使用する。しかしながら、マイクロ印刷はプリンターの解像度及び品質に依存する。マイクロ印刷に使用される装置は、非常に高価であり得る。他の方法は、同様に非常に高価であり得る特殊なインクやトナーに依存する場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に示される態様によれば、非蛍光性トナーを介してセキュリティマークを印刷するための方法、非一時的コンピュータ可読媒体、及び装置が提供される。この実施形態の1つの開示される特徴は、基材上に印刷すべきセキュリティマークの電子ファイルを受信することと、基材の輝度に基づいて、非蛍光性トナーに関するハーフトーン適用範囲の量を決定することと、決定されたハーフトーン適用範囲の量でセキュリティマークの電子ファイルをプリンター記述言語に変換することと、セキュリティマークを基材上に印刷させることとを含む方法である。
【0005】
実施形態の別の開示される特徴は、プロセッサによって実行される際、プロセッサに非蛍光性トナーを介してセキュリティマークを印刷するための動作を実行させる命令を含む、複数の命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体である。命令は、基材上に印刷すべきセキュリティマークの電子ファイルを受信し、基材の輝度に基づいて、非蛍光性トナーに関するハーフトーン適用範囲の量を決定し、決定されたハーフトーン適用範囲の量でセキュリティマークの電子ファイルをプリンター記述言語に変換し、セキュリティマークを基材上に印刷させるための命令を含む。
【0006】
実施形態の別の開示された特徴は、プロセッサと、プロセッサによって実行される命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える装置である。命令は、基材上に印刷すべきセキュリティマークの電子ファイルを受信し、基材の輝度に基づいて、非蛍光性トナーに関するハーフトーン適用範囲の量を決定し、決定されたハーフトーン適用範囲の量でセキュリティマークの電子ファイルをプリンター記述言語に変換し、セキュリティマークを基材上に印刷させるための命令を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の教示は、添付図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することによって容易に理解することができる。
【0008】
【
図1】本開示の白色トナーを介してセキュリティマークを印刷するプリンターのブロック図である。
【
図2】本開示の基材とトナーとの間の輝度対ハーフトーン適用範囲の例示的なグラフである。
【
図3】本開示の様々なサイズ及び様々なハーフトーンレベルで印刷された異なるセキュリティマークの一例を示す図である。
【
図4】非蛍光性トナーを介してセキュリティマークを印刷するための例示的な方法のフローチャートである。
【
図5】本明細書に記載される機能を実行する際に使用するのに適した例示的コンピュータの高レベルのブロック図である。
【0009】
理解を容易にするために、同一の参照番号が、可能であるならば、図面に共通する同一の要素を示すために使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、非蛍光性トナーを介してセキュリティマークを印刷する方法及び装置を広く開示する。上記で考察したように、文書セキュリティは、様々な異なる用途に使用することができる。例えば、文書セキュリティを使用して、特定の文書(例えば、チケット、秘密文書等)の偽造を防止することができる。しかしながら、現行の方法は、高価な機器や高価な特殊なインク及びトナーに依存する。
【0011】
本開示は、容易に入手可能であり、ほとんどのプリンター又は多機能デバイスによって使用することができる、低コストの非蛍光性トナーを使用する方法及び装置を提供する。本開示は、セキュリティマークを作成するために、基材における蛍光を利用する。非蛍光性トナーは、基材よりも低い蛍光を有してよい。非蛍光性トナーは、肉眼ではセキュリティマークを視認できないようなハーフトーンレベルで、但し特定の光の下ではセキュリティマークを見ることができるような輝度差で印刷することができる。
【0012】
一実施形態では、セキュリティマークは、非蛍光性トナーが基材上にマークの「輪郭」を描くように印刷することができる。非蛍光性トナーは、特定の光の下では黒で現れてもよく、基材の蛍光は、特定の光の下で見えるようになり得る。したがって、本開示は、基材上にセキュリティマークを印刷するために、容易に入手可能な非蛍光性トナーを使用する低コストの解決策を提供する。
【0013】
図1は、例示的な装置100を示す。装置100は、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ、多機能デバイス、又は基材110上に画像を印刷することができる任意の他のタイプのデバイスであってよい。装置100は、説明を容易にするために簡略化されており、図示されていない他の構成要素を含む場合もある。例えば、装置100は、紙送り、印刷経路、仕上げモジュールなどを含んでもよい。装置100は、印刷用流体を分配するためのトナーカートリッジを又はインクカートリッジを含んでもよい。装置100は、カラーで、又は白黒で印刷してもよい。
【0014】
装置100は、基材110上にセキュリティマーク112を印刷するために、セキュリティマークの電子ファイル108を、装置100が理解することができるプリンター記述言語(PDL)に変換することができるデジタルフロントエンドなどの他の処理コンポーネントを含んでもよい。
【0015】
一実施形態では、装置100は、プロセッサ102及びメモリ104を含んでよい。プロセッサ102は、メモリ104に通信可能に結合されてよい。メモリ104は、プロセッサ102によって実行される命令、又は本明細書に記載される機能を実行するためにプロセッサ102によって使用される情報を記憶し得る非一時的コンピュータ可読メモリであってもよい。
【0016】
一実施形態では、メモリ104は、輝度とハーフトーンの相関関係106を記憶してよい。輝度とハーフトーンの相関関係106は、基材110の輝度若しくは基材110の蛍光の量、及び/又はセキュリティマーク112の画像のサイズ若しくは種類(例えば、小さいテキスト、大きいテキスト、ベタ組、バーコード、グラフィックなど)が与えられたとして、セキュリティマーク112に関するハーフトーン適用範囲の適切な量に関連する情報を提供してよい。
【0017】
装置100は、セキュリティマーク112を印刷するために広く利用可能なトナー又はインクを使用してよい。トナー又はインクは、基材110の色と同じ色であってよい。例えば、トナー及び基材110は両方とも黄色、白色などであってもよい。一実施例では、トナーは白色乾燥インクトナーであってもよく、基材110は、基材の輝度を高めるために光沢剤又は蛍光を含有する白色基材であってもよい。一実施形態では、白色乾燥インクは、他の色(例えば、黄色)よりも3倍大きい質量でなおも分配しつつ、非常に低いハーフトーンレベルで分配することができ、また依然として視認不能であるため、白色乾燥インクが使用されてよい。
【0018】
トナー又はインクは、蛍光又は光沢剤を全く含まない場合、或いは最小量の蛍光又は光沢剤を含む場合もある。一実施形態では、トナー又はインクの輝度は、基材110の輝度より低くてもよい。
【0019】
セキュリティマーク112は、セキュリティマーク112が、基材110の輝度に起因して、特定の種類の光(例えば、紫外線(UV)光)の下で現れるように、トナー又はインクを使用して印刷されてよい。換言すると、セキュリティマーク112は、基材110の輝度に起因して光の下で現れるのであり得、トナー又はインクの輝度又は特性に起因して現れるのではない。トナー又はインクは、光の下では暗く見え、基材110の輝度を遮断してセキュリティマーク112を作り出すことができる。換言すると、セキュリティマーク112は、セキュリティマークの電子ファイル108のネガ画像として印刷されてよい。
【0020】
例示するために、セキュリティマークの電子ファイル108は、装置100によって受信されてよい。セキュリティマーク108の電子ファイルは、別個のエンドポイントデバイス(図示せず)上に作成され、印刷のために装置100に送信されてよい。
【0021】
プロセッサ102は次に、メモリ104に記憶された輝度とハーフトーンの相関関係106にアクセスして、電子ファイル108内のセキュリティマークに関する、画素当たりのハーフトーン適用範囲の量を決定してよい。上記で指摘したように、ハーフトーン適用範囲の量は、基材110の輝度及び/又は電子ファイル108内のセキュリティマーク内の画像のサイズの関数であり得る。ハーフトーン適用範囲の量は、異なる色、画像の種類、画像のサイズ、及び基材110の輝度レベル(又は蛍光の量)に対してあらかじめ定義される比率であり得る。
【0022】
図2は、ハーフトーン適用範囲の量をどのように決定することができるかを示す例示的なチャート200を示す。チャート200は、輝度とハーフトーンの相関関係106に記憶され得る相関関係の一例であり得る。例えば、チャート200は、比較的小さいテキストが電子ファイル108内のセキュリティマークとして印刷されたときの白色トナーと白色基材との間の相関関係を示すことができる。異なるチャート200が、異なるカラートナー、基材、並びに画像の異なるサイズ及び/又は種類の画像間の異なる相関関係のために記憶されてもよい。
【0023】
チャート200は、輝度又は蛍光の量を示すy軸202を含んでよい。輝度の量は、L*a*b*色標準からのL*値として測定されてよい。X軸204は、ハーフトーン適用範囲の比率を示すことができる。ハーフトーン適用範囲の比率は、画素毎であってよい。したがって、比率は、装置100の任意の印刷解像度能力についていかなるサイズの画素にも適用することができる。
【0024】
一実施形態では、チャート200は、線206においてハーフトーン適用範囲率が増加する際のトナーの輝度を図に記してよく、線208においてハーフトーン適用範囲率が増加する際の基材110の輝度を図に記してよい。チャート200に見られるように、トナーの輝度は、ハーフトーンの比率が増加しても比較的安定したままであり得る。しかしながら、ハーフトーン適用範囲率が増加するにつれて、基材の一部(例えば、ハーフトーン適用範囲の比率を受け取る画素サイズに等しい領域)の輝度は低下し得る。換言すると、基材110はより多くのトナーで覆われるため、基材の視認できる部分は小さくなる。
【0025】
線206と線208との間の輝度の差は、デルタを表してよい。一実施形態では、既定のデルタが、電子ファイル108内のセキュリティマークを印刷するために確立されてよい。
図2は、既定のデルタ又は輝度閾値が、線210によって示されるように約20%のハーフトーン適用範囲である一例を示す。一実施形態では、輝度閾値は、ハーフトーン適用範囲率の範囲であり得る。例えば、ハーフトーン適用範囲率の量は、約10%~20%又は5%~20%であり得る。
【0026】
既定のデルタ又は輝度閾値210は、セキュリティマーク112が、基材110上に印刷され、UV光の下で見たときに視認可能であり得るが、UV光なしで見たとき、セキュリティマーク112を視認できないほど十分に接近しているポイントであり得る。一実施形態では、既定の輝度閾値は、ハーフトーン適用範囲率に対応するデルタであってよい。例えば、輝度デルタは、約20%のハーフトーン適用範囲に対応するL*輝度の1単位未満の輝度であり得る。一実施形態では、既定の輝度閾値は、特定の範囲(例えば、L*輝度の少なくとも0.1単位のデルタ、及び約5%~20%のハーフトーン適用範囲率に対応するL*輝度の1単位未満のデルタ)であってもよい。
【0027】
図3は、異なる量のハーフトーン適用範囲が、基材110上に印刷されたセキュリティマーク112を見るための能力をどのように変更することができるかを示す。
図3は、6つの異なる実施例304、306、308、310、312及び314を示す。一実施例では、実施例304、306、308、310、312及び314は、
図2に示すチャート200と同様の白色乾燥インクを使用した白色基材の例を示してよい。実施例304、306及び308は、5%のハーフトーン適用範囲、10%のハーフトーン適用範囲、及び25%ハーフトーン適用範囲で印刷された「小さいテキスト」のセキュリティ画像の例を示す。一実施形態では、小さいテキストは、10ポイントフォントサイズ以下、単一ラインなどで印刷されたテキストを含んでよい。
【0028】
実施例310、312及び314は、5%のハーフトーン適用範囲、10%のハーフトーン適用範囲、及び25%のハーフトーン適用範囲で印刷された「大きいテキスト」のセキュリティ画像の例を示す。一実施形態では、大きいテキストは、10ポイントフォントサイズ、グラフィック画像、ベタ画像又は立体形状、バーコードなどで印刷されたテキストを含んでよい。
【0029】
一実施形態では、実施例304は、小さいテキストに対する5%のハーフトーン適用範囲率を示す。しかしながら、5%のハーフトーン適用範囲では、基材とトナーとの輝度との間のデルタは、UV光源302を用いて、又はUV光源302なしで、セキュリティマークを視認するのに十分な大きさではない場合がある。10%のハーフトーン適用範囲では、実施例306は、UV光源302の下でセキュリティマーク316が視認可能であり得るが、UV光源302によって照射されない基材の他の部分では視認できない場合もあることを示している。換言すると、実施例306は、デルタがUV光302の下ではセキュリティマーク316を視認することができるほど十分に大きいが、UV光302なしではセキュリティマーク316を視認することができないほど十分に接近している、グラフ200の一部を表してよい。
【0030】
25%のハーフトーン適用範囲では、実施例308は、セキュリティマーク316はUV光302の下で更にいっそう視認可能であり得ることを示す。しかしながら、UV光302の外にあるセキュリティマーク316の他の部分320も同様に視認可能であり得る。例えば、25%のハーフトーン適用範囲は、既定のデルタ又は輝度閾値210を超える場合がある。したがって、セキュリティマーク316は、UV光302なしでも視認可能な可能性がある。
図1に戻って参照すると、輝度とハーフトーンの相関関係106に基づいて、プロセッサ102は、白色インク及び白色基材を使用して「小さいテキスト」を有する電子ファイル108内のセキュリティマークに関して、適切な量のハーフトーン適用範囲が約10%であり得ると決定することができる。
【0031】
図3に戻って参照すると、実施例310は、大きなテキストに対する5%のハーフトーン適用範囲を示す。しかしながら、5%のハーフトーン適用範囲では、基材とトナーとの輝度との間のデルタは、UV光源302を用いて、又はUV光源302なしで、セキュリティマークを視認するのに十分な大きさではない場合がある。
【0032】
10%のハーフトーン適用範囲では、実施例312は、UV光源302の下でセキュリティマーク318は視認可能であり得るが、UV光源302によって照射されない基材の他の部分では視認することができない場合もあることを示している。換言すると、実施例312は、デルタが、UV光302の下ではセキュリティマーク318を視認することができるほど十分に大きいが、UV光302なしではセキュリティマーク318を視認することができないほど十分に接近している、チャート200の一部を表してよい。
【0033】
25%のハーフトーン適用範囲では、実施例314は、セキュリティマーク316はUV光302の下で更にいっそう視認可能であり得ることを示す。しかしながら、UV光302の外側にあるセキュリティマーク318の他の部分322も視認可能であり得る。例えば、25%のハーフトーン適用範囲は、既定のデルタ又は輝度閾値210を超える場合がある。したがって、セキュリティマーク318は、UV光302なしでも視認可能であり得る。
図1に戻って参照すると、輝度とハーフトーンの相関関係106に基づいて、プロセッサ102は、白色インク及び白色基材を使用して「大きいテキスト」を有する電子ファイル108内のセキュリティマークに関して、適切な量のハーフトーン適用範囲は約10%又は5%~10%であり得ると決定することができる。
【0034】
プロセッサ102が、電子ファイル108内のセキュリティマークに関するハーフトーン適用範囲の適切な量を決定した後、プロセッサ102は、電子ファイル108をPDLフォーマットに変換してよい。一実施形態では、プロセッサ102はまた、電子ファイル108内のセキュリティマークをネガ画像に変換してもよい。換言すると、電子ファイル108内のセキュリティマークは、印刷用流体が、従来の印刷ジョブにおいて通常分配されるであろう場所を指示してよい。しかしながら、本開示は、セキュリティマーク112を見えるようにするのに基材110の輝度又は蛍光を使用するため、印刷用流体は、電子ファイル108内のセキュリティ画像の輪郭を形成するために分配されてよい。
【0035】
別の言い方をすれば、白黒画像の場合、電子ファイル108内の白色の領域(例えば、通常は印刷用流体を受け取らない場所)は、基材110上で印刷用流体を受け取る場所に変換されてもよい。電子ファイル108内の黒色(例えば、通常は印刷用流体を受け取る場所)である領域は、印刷用流体を受け取らない場所に変換されてもよい。電子ファイル108内のセキュリティマークのネガは、プロセッサ102によって作成されたPDLフォーマットに含まれてもよい。
【0036】
次いで、プロセッサ102は、装置100に、基材110上にセキュリティマーク112を印刷させることができる。
図3に示すように、セキュリティマーク112は、特定の種類の光を伴わずに見たときには、肉眼では視認することができない場合がある。しかしながら、セキュリティマーク112を特定の種類の光(例えば、UV光源)の下で見ると、セキュリティマーク112は視認可能であり得る。顕著なことには、視認可能であるセキュリティマーク112の画像は、実際には、基材110の蛍光、及び分配される印刷用流体によって「遮断された」又は「黒くなった」基材110の部分によって形成されてよい。
【0037】
対照的に、他の方法は、高価な又は特殊なインク及びトナーを使用してセキュリティマークを印刷する場合がある。特殊インク及びトナーはこのとき、特定の種類の光の下で視認可能な部分であり得る。しかしながら、上述のように、このような特殊なインク及びトナーは、相対的に高価であり得る。
【0038】
図4は、本開示の非蛍光性トナーを介してセキュリティマークを印刷するための例示的な方法400のフローチャートを示す。一実施形態では、方法400の1つ以上のブロックは、
図5に例示され、以下で考察されるような装置の動作を制御する装置100又はコンピュータ/プロセッサによって実行されてもよい。
【0039】
ブロック402において、方法400は開始する。ブロック404において、方法400は、基材上に印刷すべきセキュリティマークの電子ファイルを受信する。例えば、セキュリティマークは、別個のエンドポイントデバイス上のユーザによって生成されてもよい。次いで、ユーザは、セキュリティマークを伴う電子ファイルを装置(例えば、プリンター又はMFD)に送信して、セキュリティマークを基材上に印刷してよい。
【0040】
セキュリティマークは、不正な複製を防止する、又は不正を防止するために使用されてよい。例えば、セキュリティマークは、私文書、イベントチケットなどに印刷されてもよい。特定の種類の光(例えば、UV光)の下で見ると、セキュリティマークは視認可能であり、文書又はチケットが本物であることを証明することができる。
【0041】
ブロック406において、方法400は、基材の輝度に基づいて、非蛍光性トナーに関するハーフトーン適用範囲の量を決定する。一実施形態では、輝度とハーフトーンの相関関係は、トナーの色、基材の色、並びに電子ファイル内のセキュリティマークに関して使用される画像の種類及び/又はサイズに基づいて参照されてよい。
【0042】
上記で考察したように、上記の相関関係では、適用すべき画素当たりのハーフトーン適用範囲の量を指示することができる。ハーフトーン適用範囲の量は、トナーの輝度と基材の輝度との間の既定の輝度閾値又はデルタに基づいてもよい。輝度又は蛍光の量は、L*a*b*色標準からのL*の値として測定されてよい。
【0043】
画素当たりの正確な量のハーフトーン適用範囲は、画素の面積の比率として提供されてもよい。例えば、画素が1平方マイクロメートルであり、ハーフトーンパーセントが10%である場合、0.1平方マイクロメートルの画素が、ハーフトーンパターンでトナー又はインクによって覆われてよい。正確な量のハーフトーンにより、セキュリティマークを肉眼では視認することができないが、特定の種類の光(例えば、UV光)の下では現れるようにすることができる。
【0044】
一実施形態では、異なるハーフトーン適用範囲の量が、異なる色のトナー及び基材、及び/又はセキュリティ画像に使用される画像のサイズ若しくは種類に対して使用されてもよい。相関関数及び適切なハーフトーン適用範囲は、あらかじめ定められ、プリンター又はMFDのメモリに記憶されてもよい。
【0045】
ブロック408において、方法400は、決定されたハーフトーン適用範囲の量でセキュリティマークの電子ファイルをプリンター記述言語に変換する。プリンター記述言語は、プリンター又はMFDと互換性があるファイルであってよい。プリンター記述言語は、どの程度のハーフトーン適用範囲がセキュリティマークの各画素に適用されるべきかを指示することができる。
【0046】
一実施形態では、印刷用流体が分配される、又は配置される基材上の場所は、電子ファイル内で受信されたセキュリティマークのネガであってもよい。例えば、本開示の印刷用流体は、UV光の下での基材の輝度又は蛍光を遮断するために適用される。したがって、視認可能である基材上のセキュリティマークは、UV光の下で視認可能である基材の部分の蛍光に起因している。他の部分は、分配される印刷用流体によって遮断される。換言すると、印刷用流体は、電子ファイル内で受信されたセキュリティマークの「輪郭」を形成するように分配されてよい。
【0047】
ブロック410において、方法400は、セキュリティマークを基材上に印刷させる。一実施形態では、プリンター記述言語をプリンター又はMFDに提供することができる。プリンター又はMFDは、プリンター記述言語内の命令を実行して、基材上にセキュリティマークを印刷してよい。セキュリティマークは、ブロック406において決定された、画素当たりのハーフトーン適用範囲の量に従って印刷されてよい。結果として、セキュリティマークは、肉眼では視認することができず、特定の種類の光(例えば、UV光)の下で見たときに視認可能であり得る。ブロック412において、方法400は終了する。
【0048】
図5は、本明細書で説明される機能の実行専用であるコンピュータの高レベルブロック図を描写する。
図5に描かれるように、コンピュータ500は、1つ以上のハードウェアプロセッサ要素502(例えば、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、又はマルチコアプロセッサ)、メモリ504、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又は読み出し専用メモリ(ROM)、非蛍光性トナーを介してセキュリティマークを印刷するためのモジュール505、及び様々な入/出力デバイス506(例えば、テープドライブ、フロッピードライブ、ハードディスクドライブ、又はコンパクトディスクドライブ、受信機、送信機、スピーカ、ディスプレイ、音声合成装置、出力ポート、入力ポート、及びユーザ入力デバイス(キーボード、キーパッド、マウス、マイクロフォンなど)を含むが、これらに限定されない記憶デバイス)を備える。1つのプロセッサ要素のみが示されているが、コンピュータは、複数のプロセッサ要素を採用してもよいことに留意されたい。
【0049】
本開示は、例えば、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)を含むプログラマブルロジックアレイ(programmable logic array、PLA)、若しくはハードウェアデバイス上に展開されたステートマシン、コンピュータ、又は任意の他のハードウェア等価物、例えば、上で考察される方法(複数可)に関連し、上記に開示した方法のステップ、機能、及び/又は動作を実行するハードウェアプロセッサを構成するために使用することができるコンピュータ可読命令を使用して、ソフトウェア及び/又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実装することができることに留意されたい。一実施形態では、非蛍光性トナーを介してセキュリティマークを印刷するための、本モジュール又はプロセス505のための命令及びデータ(例えば、コンピュータ実行可能命令を含むソフトウェアプログラム)がメモリ504にロードされ、ハードウェアプロセッサ要素502によって実行されて、上記で考察したようなステップ、機能、又は動作を実施することができる。更に、ハードウェアプロセッサが命令を実行して「動作」を行うときに、これはハードウェアプロセッサが直接的に動作を実行するかつ/或いは動作を行う別のハードウェアデバイス又は構成要素(例えば、コプロセッサなど)を容易にする、それに指向する、或いはそれと協働することを含むことができる。
【0050】
上記に説明した方法に関するコンピュータ読み取り可能又はソフトウェア命令を実行するプロセッサは、プログラムされたプロセッサ又は専門プロセッサとして認識されることができる。したがって、本開示の非蛍光性トナーを介してセキュリティマークを印刷するための本モジュール505(関連するデータ構造を含む)は、有形又は物理的(広範には非一時的)コンピュータ可読記憶装置又は媒体、例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ROMメモリ、RAMメモリ、磁気若しくは光学ドライブ、デバイス又はディスケットなどに記憶することができる。より具体的には、コンピュータ読み取り可能記憶デバイスが、プロセッサ又はコンピュータ、アプリケーションサーバなどの計算デバイスによってアクセスされるデータ、命令などの情報を記憶する能力を提供する任意の物理的デバイスを含んでもよい。
【0051】
様々な上記に開示したもの並びに他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又はアプリケーションに組み合わされてもよいことが理解されるであろう。様々な現在予期されていない、又は先行例のない代替物、修正、変形、又は改善が、その後に当業者によってなされてもよく、それらも以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。