(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ボクサーパンツ型使い捨ておむつ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/49 20060101AFI20240118BHJP
A61F 13/494 20060101ALI20240118BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A61F13/49 315Z
A61F13/49 410
A61F13/494 115
A61F13/49 311Z
A61F13/15 393
A61F13/15 355
A61F13/15 351
A61F13/15 356
A61F13/49 100
(21)【出願番号】P 2020164274
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2022-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水元 陽星
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-339769(JP,A)
【文献】特開2019-118557(JP,A)
【文献】特開2009-106666(JP,A)
【文献】特表2002-530153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/49
A61F 13/494
A61F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹側外装体および背側外装体と、前記腹側外装体と前記背側外装体の間で装着者の股間を通るように延在した股間部外装体と、を有する外装体と、
この外装体の少なくとも前記股間部外装体の内側に接合された、吸収体を含む内装体と、を備え、
前記腹側外装体の両側縁部と前記背側外装体の両側縁部が接合されてウエスト開口および一対の脚開口が形成されており、
前記股間部外装体は、前記吸収体よりも幅方向一方側及び他方側にそれぞれ延び出た一対の内腿接触部分を有し、これら内腿接触部分を含む、脚開口の縁に沿う部分が、腿の付根側を取り囲む一対の脚筒部となっており、
前記腹側外装体は、幅方向中央部分の股間側の縁が幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて前記ウエスト開口側に延びる部分を有しており、この腹側外装体における前記幅方向中央部分の股間側の縁に沿って、前記腹側外装体の幅方向中央部分の股間側端部
と前記股間部外装体と
が接合されて腹側接合部が形成され
ることにより、前記腹側接合部が、幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて前記ウエスト開口側へ延在する傾斜部分を有しており、
前記背側外装体の幅方向中央部分の股間側端部が前記股間部外装体と接合されて背側接合部が形成されており、
前記腹側外装体の前記脚開口の縁に沿う部分、および前記背側外装体の前記脚開口の縁に沿う部分が幅方向に伸縮可能であり、
前記股間部外装体の前記脚開口の縁に沿う部分が前後方向に伸縮可能である、
ことを特徴とするボクサーパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項2】
腹側外装体および背側外装体と、前記腹側外装体と前記背側外装体の間で装着者の股間を通るように延在した股間部外装体と、を有する外装体と、
この外装体の少なくとも前記股間部外装体の内側に接合された、吸収体を含む内装体と、を備え、
前記腹側外装体の両側縁部と前記背側外装体の両側縁部が接合されてウエスト開口および一対の脚開口が形成されており、
前記股間部外装体は、前記吸収体よりも幅方向一方側及び他方側にそれぞれ延び出た一対の内腿接触部分を有し、これら内腿接触部分を含む、脚開口の縁に沿う部分が、腿の付根側を取り囲む一対の脚筒部となっており、
前記腹側外装体の幅方向中央部分の股間側端部が前記股間部外装体と接合されて腹側接合部が形成されており、
前記背側外装体は、幅方向中央部分の股間側の縁が幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて前記ウエスト開口側に延びる部分を有しており、この背側外装体における前記幅方向中央部分の股間側の縁に沿って、前記背側外装体の幅方向中央部分の股間側端部と前記股間部外装体とが接合されて背側接合部が形成されることにより、前記背側接合部
が、幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて
前記ウエスト開口側へ延在する傾斜部分を有
しており、
前記腹側外装体の前記脚開口の縁に沿う部分、および前記背側外装体の前記脚開口の縁に沿う部分が幅方向に伸縮可能であり、
前記股間部外装体の前記脚開口の縁に沿う部分が前後方向に伸縮可能である、
ことを特徴とするボクサーパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項3】
腹側外装体および背側外装体と、前記腹側外装体と前記背側外装体の間で装着者の股間を通るように延在した股間部外装体と、を有する外装体と、
この外装体の少なくとも前記股間部外装体の内側に接合された、吸収体を含む内装体と、を備え、
前記腹側外装体の両側縁部と前記背側外装体の両側縁部が接合されてウエスト開口および一対の脚開口が形成されており、
前記股間部外装体は、前記吸収体よりも幅方向一方側及び他方側にそれぞれ延び出た一対の内腿接触部分を有し、これら内腿接触部分を含む、脚開口の縁に沿う部分が、腿の付根側を取り囲む一対の脚筒部となっており、
前記腹側外装体は、幅方向中央部分の股間側の縁が幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて前記ウエスト開口側に延びる部分を有しており、この腹側外装体における前記幅方向中央部分の股間側の縁に沿って、前記腹側外装体の幅方向中央部分の股間側端部と前記股間部外装体とが接合されて腹側接合部が形成されることにより、前記腹側接合部が、幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて前記ウエスト開口側へ延在する傾斜部分を有しており、
前記背側外装体は、幅方向中央部分の股間側の縁が幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて前記ウエスト開口側に延びる部分を有しており、この背側外装体における前記幅方向中央部分の股間側の縁に沿って、前記背側外装体の幅方向中央部分の股間側端部と前記股間部外装体とが接合されて背側接合部が形成されることにより、前記背側接合部が、幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて前記ウエスト開口側へ延在する傾斜部分を有しており、
前記腹側外装体の前記脚開口の縁に沿う部分、および前記背側外装体の前記脚開口の縁に沿う部分が幅方向に伸縮可能であり、
前記股間部外装体の前記脚開口の縁に沿う部分が前後方向に伸縮可能である、
ことを特徴とするボクサーパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項4】
腹側外装体および背側外装体と、前記腹側外装体と前記背側外装体の間で装着者の股間を通るように延在した股間部外装体と、を有する外装体と、
この外装体の少なくとも前記股間部外装体の内側に接合された、吸収体を含む内装体と、を備え、
前記腹側外装体の両側縁部と前記背側外装体の両側縁部が接合されてウエスト開口および一対の脚開口が形成されており、
前記股間部外装体は、前記吸収体よりも幅方向一方側及び他方側にそれぞれ延び出た一対の内腿接触部分を有し、これら内腿接触部分を含む、脚開口の縁に沿う部分が、腿の付根側を取り囲む一対の脚筒部となっており、
前記腹側外装体の幅方向中央部分の股間側端部が前記股間部外装体と接合されて腹側接合部が形成されており、
前記背側外装体の幅方向中央部分の股間側端部が前記股間部外装体と接合されて背側接合部が形成されており、
前記腹側外装体の前記脚開口の縁に沿う部分、および前記背側外装体の前記脚開口の縁に沿う部分が幅方向に伸縮可能であり、
前記股間部外装体の前記脚開口の縁に沿う部分が前後方向に伸縮可能であり、
前記腹側接合部は、幅方向左側から中央側へ向かうにつれて腹側へ延在する左側傾斜部分と、幅方向右側から中央側へ向かうにつれて腹側へ延在する右側傾斜部分と、前記左側傾斜部分と前記右側傾斜部分が繋がる連結部分を有し、
前記腹側接合部の前記連結部分のうちの最も腹側の地点を腹側連結点とし、
前記背側接合部は、幅方向左側から中央側へ向かうにつれて背側へ延在する左側傾斜部分と、幅方向右側から中央側へ向かうにつれて背側へ延在する右側傾斜部分と、前記左側傾斜部分と前記右側傾斜部分が繋がる連結部分を有し、
前記背側接合部の前記連結部分のうちの最も背側の地点を背側連結点とし、
前記背側接合部の最も股間側の地点から前記背側連結点までの前後方向の距離が、前記腹側接合部の最も股間側の地点から前記腹側連結点までの前後方向の距離よりも短い、
ことを特徴とするボクサーパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記股間部外装体のうち、幅方向左側部分および幅方向右側部分が前後方向に伸縮可能とされ、幅方向中央部分が非伸縮とされており、
前記吸収体は前記股間部外装体の幅方向中央部分と接合されている、請求項1記載のボクサーパンツ型使い捨ておむつ。
【請求項6】
請求項1
または4記載のボクサーパンツ型使い捨ておむつの製造方法であって、
幅方向に伸縮する腹側外装体になる部分の股間側端部と、幅方向に伸縮する背側外装体になる部分の股間側端部を跨ぐ位置に、別途製造した前後方向に伸縮する股間部外装体を順次接合して、前記腹側外装体、前記股間部外装体および前記背側外装体を一体化した一体化外装体を形成する、一体化外装体形成工程と、
この一体化外装体に、別途製造した展開状態の内装体を順次接合して内装組み付け体を形成する、内装体取付工程と、
前記内装組み付け体をCD方向に二つ折りすることによって、二つ折り帯状体を形成す る、折り畳み工程と、
前記二つ折り帯状体における個々のおむつの両側部となる部分において腹側外装体および背側外装体を接合し、個々のおむつの境界において腹側外装体および背側外装体を切断し、個々のおむつを得る、側部接合・切り離し工程とを有する、
ことを特徴とするボクサーパンツ型使い捨ておむつの製造方法。
【請求項7】
前記一体化外装体形成工程において、
腹側外装体になる部分の股間側端部と股間部外装体を接合して腹側接合部を形成する際に、その接合部が幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて腹側へ延在するように、斜めに接合する、請求項6記載のボクサーパンツ型使い捨ておむつの製造方法。
【請求項8】
前記一体化外装体形成工程において、
背側外装体になる部分の股間側端部と股間部外装体を接合して腹側接合部を形成する際に、その接合部が幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて背側へ延在するように、斜めに接合する、請求項6または7記載のボクサーパンツ型使い捨ておむつの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボクサーパンツ型の使い捨ておむつ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より知られている使い捨ておむつのタイプは、テープ型とパンツ型との2種類に大別することができる。テープ型使い捨ておむつは、前身頃又は後身頃のサイドに設置されたテープによって前身頃と後身頃とを相互に連結することで、装着者の胴周りを被覆する胴周り部が形成される。そして、これとともに、ウエスト開口部と一対の太腿回り開口部とが形成される構造となっている。
【0003】
一方、パンツ型使い捨ておむつは、前身頃及び後身頃の両サイドが、ホットメルトなどによって予め相互に接合されており、テープ式使い捨ておむつのように組み立てることなくパンツの体をなす構造となっている。
【0004】
パンツ型使い捨ておむつのタイプとしては、脚の付け根に沿うように、股間下側から腰側脇部にかけてV字状に脚の付け根回り縁が形成されたブリーフ型や、太腿の周囲を被覆する太腿回り筒部を有するボクサーパンツ型などがある。
【0005】
前記ボクサーパンツ型の使い捨ておむつは、太腿回り筒部が配置されていることによって、脚の開口部から排泄物が漏れにくいという利点を有しているとともに、近年見られる意匠の好みの多様化に伴って、需要が高まっている。特に、普段からボクサーパンツ型の下着を愛用していたが、高齢(60代以降)になって失禁症状が顕著になったため、紙おむつの着用を検討し始めた消費者が、ボクサーパンツ型の下着と同様の装着感や外観を求めることも少なくなく、このような消費者に対する訴求力が高い。
【0006】
ボクサーパンツ型の使い捨ておむつとしては、下記1~4の先行特許文献がある。
特許文献1に開示された使い捨てオムツは、胴回り開口と、1対の脚回り開口と、着用時に着用者の脚部に沿って下方に延びて脚回り開口を形成する下方延出脚部とを有し、かつ縦方向に沿ってそれぞれ延びると共に自由端及び固定端と、対応する自由端を含む自由端部とをそれぞれ有する少なくとも1対の防漏壁と、それぞれの防漏壁の横断方向の外側に位置すると共に伸長性を有する1対の脚回りシートとを備え、防漏壁がそれぞれ、その自由端部に伸長状態で取り付けられた縦方向に延びる弾性部材である自由端部弾性部材を備え、各脚回りシートの横断方向の内側の側縁部が防漏壁の自由端と固定端との間に接合され、接合時の各脚回りシートが非伸長状態とされている。このような構成にすることで、着用者がオムツを着用しようとするときに、脚回り開口が着用者の脚部を通す方向に向き、かつ脚回り開口を狭窄させないので、着用者が脚をこの脚回り開口に通すときに脚回り開口縁部に脚が引っかかりにくく、脚を通し易いという効果が開示されている。
【0007】
特許文献2に開示されたボクサーパンツ型使い捨ておむつは、前身頃と、後身頃と、股下部と、前記股下部の幅方向外側に左右一対の脚周り開口部を有する左右一対の脚周り被覆部とを具える外装体と、前記外装体の内側における股下部に配された吸収性本体とを備え、前記左右一対の脚周り被覆部それぞれの内周における、内股領域に、内股部材が設けられており、前記内股部材の前記脚周り開口部側に位置する端部の周方向の長さが、反対側に位置する端部の周方向の長さよりも長いものとされている。この内股部材が、股下から内股を伝って漏れ出る体液を吸収し、体液が脚周り開口部へ漏れ出すのを阻止するとともに、糸ゴムなどの脚周り伸縮部材が直接肌に触れないようにするという効果が開示されている。
【0008】
特許文献3に開示されたパンツ型使い捨ておむつは、前身頃と後身頃とが両側部及び股間位置で連接して、ウエスト開口部と一対の脚周り開口部とが形成されており、前後各身頃が、ウエスト開口縁と反対側縁のほぼ中央位置で凹欠され、かつ、その凹欠の底位置からウエスト開口縁までの距離が側縁の長さよりも短く、前記前後各身頃の両側縁部同士と凹欠縁部同士とが連接して、両側縁接合部の下部と凹欠部縁接合部とで、先端に脚周り開口部を有する股下筒部が形成されている。このような構成のおむつは、脚周筒部を有するので、これを大腿部周りにフィットさせることができる。また、脚周り開口部が股間位置より離間するので漏れ防止効果も高められる。さらに、トランクスタイプの下着に極めて近い意匠性を有する、などの効果が開示されている。
【0009】
特許文献4に開示されたトランクスタイプ使い捨ておむつは、内装体が、内腿接触部分上を通り、少なくとも前脚周り弾性部材と交差する位置から後脚周り弾性部材と交差する位置まで前後方向に連続する伸縮シートを有しており、伸縮シートにおける、少なくとも前脚周り弾性部材との交差位置から後脚周り弾性部材との交差位置までの部分は、細長状の中継弾性部材が前後方向に沿って連続的に取り付けられた伸縮領域とされており、伸縮シートにおける少なくとも伸縮領域が外装体に接合されている。このような構成にすることで、内腿接触部分の幅方向の収縮を防止し、装着感の悪化や隙間の発生を防止できるという効果が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特許5717660号公報
【文献】特許6323379号公報
【文献】特許4912199号公報
【文献】特許6752696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記特許文献1~4に開示された使い捨ておむつは、足回りに沿うように弾性部材を配している。このようなおむつを製造するために、例えば、外装体を構成する複数枚のシートの間に連続糸状の弾性部材を送り込んで挟み込みつつ接着するが、この弾性部材の送り込みに際して、弾性部材を揺動させることによって、足回りに沿うように弾性部材を配する。
【0012】
しかし、製造時に外装体を構成する複数枚のシートは高速で移動するため、このようなシートの移動に合わせて、弾性部材をおむつの足回りに沿って配置することは容易ではない(特に、位置合わせが容易ではない)。すなわち、特許文献1~4に開示された使い捨ておむつは、弾性部材の配置という観点において、製造しづらいという問題があった。
【0013】
そこで本発明の主たる課題は、製造しやすい使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決した本発明の代表的態様は以下のとおりである。
<第1の態様>
腹側外装体および背側外装体と、前記腹側外装体と前記背側外装体の間で装着者の股間を通るように延在した股間部外装体と、を有する外装体と、
この外装体の少なくとも前記股間部外装体の内側に接合された、吸収体を含む内装体と、を備え、
前記腹側外装体の両側縁部と前記背側外装体の両側縁部が接合されてウエスト開口および一対の脚開口が形成されており、
前記股間部外装体は、前記吸収体よりも幅方向一方側及び他方側にそれぞれ延び出た一対の内腿接触部分を有し、これら内腿接触部分を含む、脚開口の縁に沿う部分が、腿の付根側を取り囲む一対の脚筒部となっており、
前記腹側外装体の幅方向中央部分の股間側端部が前記股間部外装体と接合されて腹側接合部が形成されており、
前記背側外装体の幅方向中央部分の股間側端部が前記股間部外装体と接合されて背側接合部が形成されており、
前記腹側外装体の前記脚開口の縁に沿う部分、および前記背側外装体の前記脚開口の縁に沿う部分が幅方向に伸縮可能であり、
前記股間部外装体の前記脚開口の縁に沿う部分が前後方向に伸縮可能である、
ことを特徴とするボクサーパンツ型使い捨ておむつ。
【0015】
(作用効果)
本態様のおむつの概要は、幅方向に伸縮する腹側外装体および背側外装体と、前後方向に伸縮する股間部外装体を腹側と背側でそれぞれ接合させたものである。おむつの足回りを構成する外装体を腹側外装体、背側外装体、股間部外装体の3つに分割し、その上で、腹側外装体と背側外装体の伸縮方向を幅方向とし、股間部外装体の伸縮方向を前後方向とし、各外装体をそれぞれ接合した構成のおむつにすることで、前記特許文献1~4のように、弾性部材を足回りに沿って揺動させながら配置させる必要がなくなり、製造が容易となる。
【0016】
<第2の態様>
前記腹側接合部は、幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて腹側へ延在する傾斜部分を有する、第1の態様のボクサーパンツ型使い捨ておむつ。
【0017】
(作用効果)
腹側接合部が幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて腹側へ延在するように傾斜していると、その接合部分において、腹側外装体の伸縮方向と股間部外装体の伸縮方向が綺麗に線状に繋がるため、足回りのフィット性を高めることができる。
【0018】
<第3の態様>
前記背側接合部は、幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて背側へ延在する傾斜部分を有する、第1または2の態様のボクサーパンツ型使い捨ておむつ。
【0019】
(作用効果)
第2の態様と同様に、背側接合部が幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて背側へ延在するように傾斜していると、その接合部分において、背側外装体の伸縮方向と股間部外装体の伸縮方向が綺麗に線状に繋がるため、足回りのフィット性を高めることができる。
【0020】
<第4の態様>
前記腹側接合部は、幅方向左側から中央側へ向かうにつれて腹側へ延在する左側傾斜部分と、幅方向右側から中央側へ向かうにつれて腹側へ延在する右側傾斜部分と、前記左側傾斜部分と前記右側傾斜部分が繋がる連結部分を有し、
前記腹側接合部の前記連結部分のうちの最も腹側の地点を腹側連結点とし、
前記背側接合部は、幅方向左側から中央側へ向かうにつれて背側へ延在する左側傾斜部分と、幅方向右側から中央側へ向かうにつれて背側へ延在する右側傾斜部分と、前記左側傾斜部分と前記右側傾斜部分が繋がる連結部分を有し、
前記背側接合部の前記連結部分のうちの最も背側の地点を背側連結点とし、
前記背側接合部の最も股間側の地点から前記背側連結点までの前後方向の距離が、前記腹側接合部の最も股間側の地点から前記腹側連結点までの前後方向の距離よりも短い、第1の態様のボクサーパンツ型使い捨ておむつ。
【0021】
(作用効果)
腹側接合部と背側接合部は、その周辺の部分と比べて剛性が高いため、着用時に腹側接合部と背側接合部で緩やかに折れ曲がる傾向がある。そして、本態様のように、背側接合部の最も股間側の地点から背側連結点までの前後方向の距離を、腹側接合部の最も股間側の地点から腹側連結点までの前後方向の距離よりも短くすることによって、着用時に背側部分を覆う背側外装体の面積を大きくすることができる。その結果、お尻の部分を背側外装体で包み込みやすくなり、おむつの履き心地を高めることができる。
【0022】
<第5の態様>
前記股間部外装体のうち、幅方向左側部分および幅方向右側部分が前後方向に伸縮可能とされ、幅方向中央部分が非伸縮とされており、
前記吸収体は前記股間部外装体の幅方向中央部分と接合されている、第1の態様のボクサーパンツ型使い捨ておむつ。
【0023】
(作用効果)
股間部外装体のうち、吸収体と接合された幅方向中央部分を伸縮しない構成とした。このような構成にすることで、外装体の伸縮の影響を受けて、吸収体が伸縮してよれることを防ぐことができ、おむつの装着感や吸収性能の悪化を防ぐことができる。
【0024】
他方、股間部外装体のうち、幅方向左側部分および幅方向右側部分が前後方向に伸縮する構成とした。股間部外装体の幅方向左側部分や幅方向右側部分は、足の内太腿に密着する部分になるため、この部分を前後方向に伸縮させることによって、足回りのフィット性を高めることができる。
【0025】
<第6の態様>
前記第1の態様のボクサーパンツ型使い捨ておむつの製造方法であって、
幅方向に伸縮する腹側外装体になる部分の股間側端部と、幅方向に伸縮する背側外装体になる部分の股間側端部を跨ぐ位置に、別途製造した前後方向に伸縮する股間部外装体を順次接合して、前記腹側外装体、前記股間部外装体および前記背側外装体を一体化した一体化外装体を形成する、一体化外装体形成工程と、
この一体化外装体に、別途製造した展開状態の内装体を順次接合して内装組み付け体を形成する、内装体取付工程と、
前記内装組み付け体をCD方向に二つ折りすることによって、二つ折り帯状体を形成す る、折り畳み工程と、
前記二つ折り帯状体における個々のおむつの両側部となる部分において腹側外装体および背側外装体を接合し、個々のおむつの境界において腹側外装体および背側外装体を切断し、個々のおむつを得る、側部接合・切り離し工程とを有する、
ことを特徴とするボクサーパンツ型使い捨ておむつの製造方法。
【0026】
(作用効果)
使い捨ておむつの足回りに沿って伸縮力を付与するために、幅方向に伸縮する腹側外装体になる部分の股間側端部と、幅方向に伸縮する背側外装体になる部分の股間側端部を跨ぐ位置に、別途製造した前後方向に伸縮する股間部外装体を順次接合して、前記腹側外装体、前記股間部外装体および前記背側外装体を一体化した一体化外装体を形成する構成とした。このような構成にすることで、前記特許文献1~4のように、弾性部材を足回りに沿って揺動させながら配置させる必要がなくなり、おむつの製造が容易となる。
【0027】
<第7の態様>
前記一体化外装体形成工程において、
腹側外装体になる部分の股間側端部と股間部外装体を接合して腹側接合部を形成する際に、その接合部が幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて腹側へ延在するように、斜めに接合する、前記第6の態様のボクサーパンツ型使い捨ておむつの製造方法。
【0028】
(作用効果)
前記第2の態様と同様の作用効果を奏する。
【0029】
<第8の態様>
前記一体化外装体形成工程において、
背側外装体になる部分の股間側端部と股間部外装体を接合して腹側接合部を形成する際に、その接合部が幅方向の左右両側から中央側へ向かうにつれて背側へ延在するように、斜めに接合する、前記第6の態様または第7の態様のボクサーパンツ型使い捨ておむつの製造方法。
【0030】
(作用効果)
前記第3の態様と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0031】
以上のとおり、本発明によれば、製造しやすい使い捨ておむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】展開状態のボクサーパンツ型使い捨ておむつの平面図(内面側)である。
【
図2】展開状態のボクサーパンツ型使い捨ておむつの平面図(外面側)である。
【
図7】装着状態の
図1に係るボクサーパンツ型使い捨ておむつを前方斜め下から見た斜視図である。
【
図8】
図1における股間部吸収体を拡大表示した図面であり、内装体の表示を省略した図面である。
【
図9】本発明に係るボクサーパンツ型使い捨ておむつの製造方法の概略図である。
【
図10】他の実施例に係る展開状態のボクサーパンツ型使い捨ておむつの平面図(内面側)である。
【
図11】装着状態の
図10に係るボクサーパンツ型使い捨ておむつを前方斜め下から見た斜視図である。
【
図12】比較例1に係る展開状態のボクサーパンツ型使い捨ておむつの平面図(内面側)である。
【
図13】装着状態の
図12に係るボクサーパンツ型使い捨ておむつを前方斜め下から見た斜視図(模式図)である。
【
図14】比較例2に係る展開状態のボクサーパンツ型使い捨ておむつの平面図(内面側)である。
【
図15】装着状態の
図14に係るボクサーパンツ型使い捨ておむつを前方斜め下から見た斜視図(模式図)である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1~
図7はボクサーパンツ型使い捨ておむつ1を示している。このボクサーパンツ型使い捨ておむつ1(以下、単に「おむつ1」ともいう。)は、ウエスト開口WO及び一対の脚開口LOを有し、腹側FSのウエスト開口の縁から背側Bのウエスト開口の縁にわたって延在する外装体20と、この外装体20における少なくとも股間部Cに設けられた、吸収体13を含む内装体10と、外装体20における前側の両側部及び後側の両側部を接合するサイドシール部21とを有するものである。
【0034】
また、股間部Cに配された外装体20の股間部外装体20Cは、吸収体13(特に、吸収体13の外接矩形をいう。外接矩形とは、展開状態の平面視で吸収体13に外接する仮想矩形を意味し、本形態では吸収体13の外接矩形の一方の対辺は内装体10の両側縁にほぼ等しいものである。)よりも幅方向両側にそれぞれ延び出た一対の内腿接触部分31を有し、これら内腿接触部分31を含む、脚開口の縁29に沿う部分が、腿の付根側を取り囲む一対の脚筒部30となっている。
【0035】
製造に際しては、外装体20に対して内装体10がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合された後に、内装体10及び外装体20が前身頃F及び後身頃Bの境界である前後方向(縦方向)中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着又はホットメルト接着剤などによって接合されてサイドシール部21が形成されることによって、ウエスト開口WO及び一対の脚開口LOが形成されたボクサーパンツ型使い捨ておむつ1となる。
【0036】
(内装体の構造例)
内装体10は、
図3や
図4に示すように、不織布などからなる液透過性のトップシート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、トップシート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。内装体10の平面形状は特に限定されないが、
図1等に示すようにほぼ長方形とすることが一般的である。
【0037】
(トップシート11)
吸収体13の表側を覆い、肌当接面を形成するトップシート11としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。トップシート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。図示形態では、トップシート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在しているが、これに限定されるものではない。
【0038】
(液不透過性シート12)
吸収体13の裏側を覆う液不透過性シート12は、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートとしては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを挙げることができる。
【0039】
液不透過性シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。図示形態では、液不透過性シート12は、トップシート11とともに吸収体13の幅方向両側で裏側に折り返されているが、これに限定されるものではない。
【0040】
(吸収体13)
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。なお、吸収体13と包装シート14を合わせて吸収要素49という。
【0041】
吸収体13の全体形状は、股間部Cを含む前後方向の範囲にその前後両側よりも幅の狭い括れ部を有するほぼ砂時計状に形成されているが、長方形状等、適宜の意形状とすることができる。括れ部の寸法は適宜定めることができるが、括れ部の前後方向長さはおむつ全長の20~50%程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体13の全幅の40~60%程度とすることができる。このような括れ部を有する場合において、内装体10の平面形状がほぼ長方形とされていると、内装体10における吸収体13の括れ部と対応する部分に、吸収体13を有しない余り部分が形成される。
【0042】
(立体ギャザーBG)
内装体10の両側部には、太腿回りにフィットする立体ギャザーBGが形成されている。この立体ギャザーBGは、
図4に示されるように、内装体10の裏面の側部に固定された固定部と、この固定部から内装体10の側方を経て内装体10の表面の側部まで延在する本体部と、本体部の前後端部が倒伏状態で内装体10の表面の側部に固定されて形成された倒伏部分と、この倒伏部分間が非固定とされて形成された自由部分とが、折返しによって二重としたギャザーシート22により形成されている。ギャザーシート22としては撥水性とされた不織布が好適に用いられる。
【0043】
また、二重のギャザーシート22の間には、自由部分の先端部等に細長状のギャザー弾性部材16が配設されている。ギャザー弾性部材16は、製品状態において
図4に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により自由部分を起立させて立体ギャザーBGを形成するためのものである。
【0044】
ギャザー弾性部材16としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150~350%、間隔は10.0mm以下として配設するのがよい。なお、ギャザー弾性部材16としては、図示形態のような糸状の他、ある程度の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。
【0045】
ギャザーシート22に用いる不織布は特に限定されるものではなく、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維からなるものとすることができ、また、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法により製造することができる。特に、ギャザーシート22としては、尿などの透過を防止するために、シリコーン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
【0046】
(外装体20の構造例)
外装体20は、
図3や
図4に示すように、複数のシートを積層させて形成するほか、一枚のシート材を折り返して形成することもできる。図示形態の外装体20は、不織布等からなる押えシート7及びバックシート9と、それらのシートの間に挟んだ伸縮シート8からなる3層構造とされ、この伸縮シート8によって外装体20に伸縮性が付与されている。なお、外装体20の積層構造はこの態様に限定されず、例えば、押えシート7を設けずに、伸縮シート8とバックシート9の2層構造にしたり、バックシート9を設けずに、押えシート7と伸縮シート8の2層構造にしたりしても良い。そのほか、押えシート7もバックシート9も設けずに、伸縮シート8だけの1層構造にしたり、押えシート7、伸縮シート8およびバックシート9に対してさらにシートを追加して、4層以上の構造にしてもよい。
【0047】
なお、前記伸縮シート8は、前身頃F及び後身頃Bに夫々幅方向WDの伸縮力を与え、股間部Cに前後方向LDの伸縮力を与え、おむつ1を身体に密着させるためのものである。なお、ウエスト弾性部材24と伸縮シート8の境界は必ずしも明確でなくてよい。例えば、ウエスト弾性部材24と伸縮シート8で重なった部分を設けても良い。
【0048】
伸縮シート8としては、特に限定を設けないが、それ自体弾性を有する熱可塑性樹脂製のシートのような、弾性(エラスティック)フィルムの他、伸縮不織布であってもよい。伸縮不織布を用いることで、おむつの表面に皺が発生しにくくなる。その結果、下着の外観に近づけることができるとともに、ズボンなどのアウターにおむつの皺が現れるという不具合の発生も防ぐことができる。また、伸縮シート8としては、無孔のものの他、通気のために多数の孔やスリットが形成されたものも用いることができる。特に、幅方向WD(伸縮方向ED、MD方向)における引張強度が8~25N/35mm、前後方向LD(伸縮方向と直交する方向XD、CD方向)における引張強度が5~20N/35mm、幅方向WDにおける引張伸度が450~1050%、及び前後方向LDにおける引張伸度が450~1400%の弾性シートであると好ましい。伸縮シート8の厚みは特に限定されないが、20~40μm程度であるのが好ましい。また、伸縮シート8として、2層構造または複数層構造の不織布シートを用いることもできる。この不織布シートは、不織布シートを構成する任意のシートの間に細長状弾性伸縮部材が挟まれて配設され、この細長状弾性伸縮部材の伸縮作用によって、不織布シート全体が伸縮可能となっている。なお、細長状弾性伸縮部材を挟んだ伸縮シート8を用いる場合は、収縮したときに皺などが外側に出ないように、伸縮シート8よりも外側に折り返し部などを配置することが好ましい。
【0049】
また、外装体20に伸縮性を付与するために、伸縮シート8を設けるのではなく、弾性部材を配するようにしてもよい。例えば、外装体20に伸縮性を付与するための各種弾性部材を配設してもよい。この場合、少なくとも弾性部材を有する領域に複数のシート層を設け、これらシート層の間に弾性部材を挟むようにするとよい。この複数のシート層は、各一枚のシート材により形成するほか、一枚のシート材を折り返して形成することもできる。具体例を挙げると、外装体20をそれぞれ不織布等からなる押えシート7及びバックシート9からなる2層構造とし、押えシート7とバックシート9との間、及びバックシート9をウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Dの不織布間に各種弾性部材24等を配設して伸縮性を付与するとよい。
【0050】
外装体20は、例えば、前後方向LDの腹側FSに配された腹側外装体20Fと前後方向LDの背側BSに配された背側外装体20Bと、それらの間の股間部Cに配された股間部外装体20Cから構成することができる。股間部外装体20Cの幅方向WDの長さは、腹側外装体20Fや背側外装体20Bの幅方向WDの長さよりも短くなっており、結果として、外装体20は、前後方向LDの中間部分が括れた形状となっている。なお、腹側外装体20Fの前後方向LDの背側縁、背側外装体20Bの前後方向LDの腹側縁、および股間部外装体20Cの両側縁が、それぞれ脚開口の縁29となっている。
【0051】
(外装体20の分割構造)
外装体20は、腹側外装体20Fおよび背側外装体20Bと、前記腹側外装体20Fと前記背側外装体20Bの間で装着者の股間を通るように延在した股間部外装体20Cとに分割されている。そして、腹側外装体20Fの幅方向中央部分の股間側端部が股間部外装体20Cと接合されて腹側接合部90Fが形成されている。また、前記背側外装体20Bの幅方向中央部分の股間側端部が股間部外装体20Cと接合されて背側接合部90Bが形成されている。そして、腹側外装体20Fのうちの脚開口の縁に沿う部分と、背側外装体20Bの前記脚開口の縁に沿う部分が幅方向WDに伸縮可能とされており、股間部外装体20Cの脚開口の縁に沿う部分が前後方向LDに伸縮可能とされている。このように、おむつ1の足回りを構成する外装体20を腹側外装体20F、背側外装体20B、股間部外装体20Cの3つに分割し、それらを接合して接合部90を形成し、かつ、腹側外装体20Fと背側外装体20Bの伸縮方向を幅方向WDとし、股間部外装体20Cの伸縮方向を前後方向LDとすることで、前述の各先行特許文献に記載された発明のように、弾性部材を足回りに沿って揺動させながら配置させる必要がなくなるため、製造が容易となる。
【0052】
(接合部90)
図8に示すように、接合部90のうちの腹側接合部90Fは、幅方向WDの左右両側から中央側へ向かうにつれて腹側FSへ斜めに延在させることが好ましい。このように腹側接合部90Fに傾斜部分90FL、90FRを持たせることによって、この接合部分90FL、90FRで、腹側外装体90Fの伸縮方向ECFと股間部外装体90Cの伸縮方向ECCが綺麗に線状に繋がるため、足回りのフィット性を高めることができる。
【0053】
同様に、接合部90のうちの背側接合部90Bも、幅方向WDの左右両側から中央側へ向かうにつれて背側BSへ斜めに延在させることが好ましい。このように背側接合部90Bに傾斜部分90BL、90BRを持たせることによって、この接合部分90BL、90BRで、背側外装体90Bの伸縮方向ECBと股間部外装体90Cの伸縮方向ECCが綺麗に線状に繋がるため、足回りのフィット性を高めることができる。
【0054】
前記腹側接合部90Fや背側接合部90Bの傾斜角度A1~A4は任意に設定することができるが、5~45度程度とすることが好ましく、10~30度程度とすることがより好ましい。傾斜角度が5度よりも小さい場合や45度よりも大きい場合は、腹側外装体20Fの足回り部分(股間側部分)、背側外装体20Bの足回り部分(股間側部分)、および股間部外装体20Cの足回り部分(幅方向WD両側部)の伸縮方向が線状に綺麗に繋がりにくくなるため、足回り部分のフィット性が悪くなるおそれがある。
【0055】
なお、腹側接合部90Fの幅方向WD左側LSの傾斜角度A1とは、腹側接合部90Fの左側の傾斜部分90FLの起点91FLと右側の傾斜部分90FRの起点を直線で結んだ腹側仮想線FLFと、腹側接合部90Fの左側の傾斜部分90FLの間の角度(内角)をいう。なお、腹側接合部90Fの左側の傾斜部分90FLが直線である場合は特に問題ないが、
図8のように、腹側接合部90Fの左側の傾斜部分90FLが曲線の場合がある。このような曲線の場合は、腹側接合部90Fの左側の傾斜部分90FLの起点91FLから、腹側接合部90Fの左側の傾斜部分90FLの接線を設け(仮想接線TL1という)、この仮想接線TL1と腹側仮想線FLFの間の角度を傾斜角度A1と定める。同様に、腹側接合部90Fの幅方向WD右側RSの傾斜角度A2とは、
図8に示すように、腹側接合部90Fの右側の傾斜部分90FRの起点91FRから、腹側接合部90Fの右側の傾斜部分90FRの接線を設け(仮想接線TL2という)、この仮想接線TL2と腹側仮想線FLFの間の角度(内角)を傾斜角度A2と定める。
【0056】
背側接合部90Bにおいても同様である。具体的には、背側接合部90Bの幅方向WD左側LSの傾斜角度A3とは、背側接合部90Bの左側の傾斜部分90BLの起点91BLと右側の傾斜部分90BRの起点を直線で結んだ背側仮想線FLBと、背側接合部90Bの左側の傾斜部分90BLの間の角度(内角)をいう。
図8のように、背側接合部90Bの左側の傾斜部分90BLが曲線の場合は、背側接合部90Bの左側の傾斜部分90BLの起点91BLから、背側接合部90Bの左側の傾斜部分90BLの接線を設け(仮想接線TL3という)、この仮想接線TL3と背側仮想線FLBの間の角度を傾斜角度A3と定める。同様に、背側接合部90Bの幅方向WD右側RSの傾斜角度A4とは、
図8に示すように、背側接合部90Bの右側の傾斜部分90BRの起点91BRから、背側接合部90Bの右側の傾斜部分90BRの接線を設け(仮想接線TL4という)、この仮想接線TL4と背側仮想線FLBの間の角度(内角)を傾斜角度A4と定める。
【0057】
図8に示すように、腹側接合部90Fは、幅方向WD左側LSから中央側へ向かうにつれて腹側FSへ延在する左側傾斜部分90FLと、幅方向WD右側RSから中央側へ向かうにつれて腹側FSへ延在する右側傾斜部分90FRと、前記左側傾斜部分90FLと前記右側傾斜部分90FRが繋がる連結部分90FTを備えるようにすることが好ましい。同様に、背側接合部90Bも、幅方向WD左側LSから中央側へ向かうにつれて背側BSへ延在する左側傾斜部分90BLと、幅方向WD右側RSから中央側へ向かうにつれて背側BSへ延在する右側傾斜部分90BRと、前記左側傾斜部分90BLと前記右側傾斜部分90BRが繋がる連結部分90BTを備えるようにすることが好ましい。
【0058】
そして、腹側接合部90Fの連結部分90FTのうちの最も腹側FSの地点を腹側連結点91FTと仮定し、背側接合部90Bの連結部分90BTのうちの最も背側BSの地点を背側連結点91BTと仮定したときに、背側接合部90Bの最も股間側の地点91BL、91BR(
図8の態様では、91BLと91BRの前後方向LDの位置は同じである)から背側連結点91BTまでの前後方向LDの距離BLを、腹側接合部90Fの最も股間側の地点91FL、91FR(
図8の態様では、91FLと91FRの前後方向LDの位置は同じである)から腹側連結点91FTまでの前後方向LDの距離FLよりも短くすることが好ましい。このような構成にすることで、着用時にお尻を覆う背側外装体20Bの面積が大きくなり、お尻の部分を背側外装体20Bで包み込みやすくなるため、おむつの履き心地を高めることができる。背側接合部90Bの最も股間側の地点(地点91BLと地点91BRの前後方向LDの位置が同じ場合は、地点91BLおよび地点91BRをいう。地点91BLと地点91BRの前後方向LDの位置が異なる場合は、地点91BLおよび地点91BRのうち、より股間側にある地点(91BLまたは91BR)をいう。以下、同様。)から背側連結点91BTまでの前後方向LDの距離BLは、5~50mmとすることが好ましく、10~40mmとすることがより好ましい。また、腹側接合部90Fの最も股間側の地点(地点91FLと地点91FRの前後方向LDの位置が同じ場合は、地点91FLおよび地点91FRをいう。地点91FLと地点91FRの前後方向LDの位置が異なる場合は、地点91FLおよび地点91FRのうち、より股間側にある地点(91FLまたは91FR)をいう。以下、同様。)から腹側連結点91FTまでの前後方向LDの距離FLは、10~60mmとすることが好ましく、15~50mmとすることがより好ましい。そして、背側接合部90Bの最も股間側の地点から背側連結点91BTまでの前後方向LDの距離BLと、腹側接合部90Fの最も股間側の地点から腹側連結点91FTまでの前後方向LDの距離FLとの差は、5~30mmとすることが好ましく、10~20mmとすることがより好ましい。
【0059】
なお、
図1や
図8等では、腹側接合部90Fに連結部分90FTを設けているが、この連結部分90FTは必ずしも設けなくてよい。この連結部分90FTに吸収体13が接合されることが多く、この吸収体13が接合される部分の外装体20は非伸縮にすることが多いため、腹側外装体90Fの伸縮方向ECFと股間部外装体90Cの伸縮方向ECCが綺麗に線状に繋がって、足回りのフィット性を高めることができる、等の効果が生じにくいからである。背側接合部90Bについても、腹側接合部90Fと同様の理由から、連結部分90BTを必ずしも設ける必要はない。
【0060】
図6や
図7に示したように、接合部90はホットメルト等によって接合されるため、その接合部90は接合部90の周辺の部分よりも剛性が高くなることが多い。そのため、おむつ1を着用したときに、その接合部90で外装体20が折れ曲がり、ボクサーパンツ型下着のように、股間部に奥行き感のあるおむつ1となる。
【0061】
(内腿接触部分31)
外装体20の股間部外装体20Cは、吸収体13(特に、吸収体13の外接矩形)よりも幅方向WDの両側にそれぞれ延び出た一対の内腿接触部分31を有し、これら内腿接触部分31を含む、脚開口の縁29に沿う部分が、腿の付根側を取り囲む一対の脚筒部30となる。内腿接触部分31の幅(吸収体13の側縁から股間部外装体20Cの側縁までの幅方向WDの長さ)は、10~80mmとすることが好ましく、20~60mmとすることがより好ましい。そして、この内腿接触部分31の幅は、股間部外装体20Cの全幅に対して、5~40%とすることが好ましく、10~30%とすることがより好ましい。
【0062】
(股間部外装体20Cの伸縮と非伸縮)
股間部外装体20Cのうち、幅方向WDの左側部分および幅方向WDの右側部分を前後方向に伸縮可能とし、幅方向WDの中央部分を非伸縮とすることが好ましい。そして、吸収体13を股間部外装体20Cの非伸縮部分である幅方向WD中央部分に接合することが好ましい。このような構成にすることで、股間部外装体20Cの伸縮の影響を受けて、吸収体13が伸縮してよれることを防ぐことができるため、おむつ1の装着感や吸収性能の悪化を防ぐことができる。また、股間部外装体20Cの幅方向WD左側部分や幅方向WD右側部分は、足の内太腿に密着する部分になるため、この部分を前後方向LDに伸縮させることによって、足回りのフィット性を高めることができる。なお、股間部外装体20Cの幅方向WD左側部分や幅方向WD右側部分は、前述の内腿接触部分31に該当する。
【0063】
図2の態様では、股間部外装体20C、腹側外装体20Fおよび背側外装体20Bにおいて、吸収体13が存在する領域のすべてを非伸縮とし(非伸縮領域19という。)、それ以外の部分を伸縮領域としている。ただし、このような態様に限られるものではなく、例えば、吸収体13が存在する領域の一部を非伸縮領域19とし、それ以外の部分を伸縮領域とすることもできる。そのほか、吸収体13が存在する領域のみならず、吸収体が存在しない領域の一部にも非伸縮領域19を設けても良い。例えば、内装体10が存在する領域全体を非伸縮領域19としてもよい。
【0064】
(外装体20と内装体10の接合)
図2において、外装体20に対して内装体10を接合した部分(内装体接合部18)に灰色を塗布している。この
図2の態様では、内装体10の裏面全体を外装体20に接合しているが、このような形態に限られるものではなく、内装体10の裏面の一部分のみを外装体20に接合してもよい。
【0065】
(ウエスト弾性部材24)
ウエスト弾性部材24は、前身頃Fと後身頃Bとが接合されたサイドシール部21の前後方向範囲のうち、ウエスト開口近傍に前後方向に間隔をおいて配置された複数本の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、おむつのウエスト開口の近傍を締め付けてフィットさせるためのものである。このウエスト弾性部材24は、図示例では複数本の糸ゴムを用いたが、これに代えて例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。また、図示形態のウエスト弾性部材24は、ウエスト部におけるバックシート9の折り返し部分20Dの不織布間に挟持されているが、押えシート7とバックシート9との間に挟持しても良い。弾性部材24の固定時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合は160~320%程度とすることができる。
【0066】
(前後押えシート50、51)
図3にも示されるように、外装体20の内面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、且つ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押えシート50,51が設けられていても良い。図示形態について更に詳細に説明すると、前押えシート50は、前身頃F内面のうち折り返し部分20Dの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押えシート51は、後身頃B内面のうち折り返し部分20Dの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。図示形態のように、前後押えシート50,51を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、折り返し部分20Dを、内装体10と重なる部分まで延在させて、前述の押えシート50,51と同等の部分を形成することもできる。
【0067】
(製造方法)
図9に、本発明に係るボクサーパンツ型使い捨ておむつの製造方法の一例を示す。
図9の(a)はメインラインを示し、(b)と(c)はサブラインを示しており、MD方向は、Machine Direction(ライン流れ方向)を意味し、CD方向は、Crcss Machine Direction(ライン流れ方向の直交方向)を意味する。
【0068】
この
図9は、おむつを製造する全工程を示したものではなく、主として内装体10と外装体20の組み立て工程と、その前後の工程を抜粋して示したものであり、図面の左側から右側へ向かうにつれて徐々におむつが出来上がる過程を示している。また、分かりやすくするために、外装体20のほぼ全面(内装体10が取り付けられる部分を除く)に糸ゴム(弾性部材)を配したおむつの製造方法について示したが、外装体20のほぼ全面に糸ゴムではなく、伸縮フィルムや伸縮不織布を用いたおむつにおいても、同様の方法によって製造することができる。
【0069】
(a)のメインラインでは、腹側外装体20Fになる部分と、背側外装体20Bになる部分が、それらの外装体20F、20Bの幅方向WDとMD方向とが一致するように、MD方向に流れている。(b)のサブラインでは、股間部外装体20Cになる部分が、股間部外装体20Cの前後方向LDとMD方向とが一致するように、MD方向に流れている。(c)のサブラインでは、内装体10になる部分が、内装体10の前後方向LDとMD方向とが一致するように、MD方向に流れている。
【0070】
(b)のサブラインでは、股間部外装体20Cを1個ずつに切断した後、股間部外装体90Cの向きを90度逆回転させる。(c)のサブラインでも同様に、内装体10を1個ずつに切断した後、内装体10の向きを90度逆回転させる。
【0071】
他方、(a)のメインラインでは、腹側外装体20Fになる部分と、背側外装体20Bになる部分の幅方向WD中央側の股間側端部をそれぞれラウンド状にカットCTする。その後、このカットした部分の上に、(b)のサブラインで製造した股間部外装体20Cを載せ、このラウンド状にカットした部分の縁に合わせて、腹側外装体20Fと股間部外装体20Cを接合し、背側外装体20Bと股間部外装体20Cを接合して、各外装体20F、20C、20Bが一体化した一体化外装体70を形成する(ラウンド状の接合部を腹側接合部90F、背側接合部90Bとする)(このような一体化外装体70を形成する工程を「一体化外装体形成工程」という)。その後、一体化外装体70の上に、(c)のサブラインで製造した内装体10を載せて接合し、内装組み付け体71を形成する(このような内装組み付け体71を形成する工程を「内装体取付工程」という)。そして、内装組み付け体71の前後方向LDの中央部分CLで、CD方向に二つ折りすることによって、二つ折り帯状体72を形成する(このような二つ折り帯状体72を形成する工程を「折り畳み工程」という)。最後に、個々のおむつの両側部となる部分で腹側外装体20F及び背側外装体20Bを接合する(サイドシール部21を形成する)し、その後、個々のおむつの境界において腹側外装体20F及び背側外装体20Bを切断し、個々のおむつ1を得る(このような両側部を接合し、境界部分で切断する工程を「側部接合・切り離し工程」という)。
【0072】
なお、(a)のメインラインにおいて、腹側外装体20Fになる部分と、背側外装体20Bになる部分の幅方向WD中央側の股間側端部をそれぞれラウンド状にカットCTする工程を省いても良い。この場合、腹側外装体20Fと股間部外装体20Cを接合し、背側外装体20Bと股間部外装体20Cを接合するときに、接合部の形状をラウンド状にすることで、ラウンド状の腹側接合部90Fおよび背側接合部90Bを備えたおむつ1を形成することができる。ラウンド状にカットCTする工程を省く工程によって、製造工程が簡略化して製造スピードを上げることができるとともに、カットCTすることによって生じていたゴミの発生が無くなるという利点がある。
【0073】
また、上記の例では、接合部の形状をラウンド状にした例を示したが、必ずしもラウンド状にする必要はなく、幅方向WDの中央側かつ前後方向LDの腹側FS(または背側BS)へ向かって延在する直線状にするなど、任意の形状に変更することも可能である。
【0074】
以上のように、伸縮方向が幅方向WDの腹側外装体20F及び背側外装体20Bに対して、伸縮方向が前後方向LDの股間部外装体20Cを接合させて、おむつ1を製造することによって、前記特許文献1~4のように、弾性部材を足回りに沿って揺動させながら配置させる必要がなくなるため、製造が容易である。
【0075】
(着用前、着用後)
着用前(製品状態)のボクサーパンツ型使い捨ておむつ1を
図5に示し、着用後のボクサーパンツ型使い捨ておむつ1を
図6に示す。着用前は股間部外装体20Cが前後方向LD股間側CSに突出した形状をなしているが、着用後は、おむつ1に奥行きが出て、この股間部外装体20Cが着用者の股間に当接し、股間部外装体20Cが腹側から背側に亘って広がるため、正面からおむつ1を見たときに、股間部外装体20Cがあまり視認できない状態となる。また、股間部外装体20Cの幅方向WD両側(主に内腿接触部分31)が、おむつ1を着用した着用者の足によって下方へ押し下げられて、一対の太腿回り開口部を形成する。
図6では、このように形成した一対の太腿回り開口部が、ちょうど1部丈を形成している。もちろん1部丈に限定されるものではなく、2部丈以上にしてもよい。
【0076】
(他の実施形態)
図1、
図2等では、胴回り(前身頃Fや後身頃Bのうち、ウエスト開口部WOの近傍部分を除いた部分)や股間部Cを伸縮フィルムや伸縮不織布で構成したおむつ1を示した。このような伸縮フィルムや伸縮不織布を用いることで、糸ゴム等を用いた場合と比べて、おむつの表面に皺が生じにくなり、ボクサーパンツの下着に似た外観になるため、下着に似た外観のおむつを探している消費者の購買意欲を高めることができる。
【0077】
ただし、本発明はこのような態様に限られるものではない。例えば、
図10に示すように、前記胴回りや股間部Cに糸ゴム等の弾性部材25、26、27を配した態様にすることも可能である。一般的に、弾性部材25、26、27は伸縮フィルムや伸縮不織布よりも締め付け力が強いため、弾性部材25、26、27を用いることによって、伸縮フィルムや伸縮不織布を用いる場合と比べて、おむつのフィット性を高めることができる。
図10では、前身頃Fおよび後身頃Bの前後方向LD中間部分(前後方向LD両端部を除いた部分)に胴回り弾性部材25を設け、前身頃Fおよび後身頃Bの前後方向LDの股間側端部に足回り弾性部材26を設け、股間部Cに股間部弾性部材27を設けている。
【0078】
足回り弾性部材26と股間部弾性部材27が、概ね、接合部90の傾斜部分で交わっており、接合部90で、腹側外装体90Fや背側外装体90Bの伸縮方向(幅方向WDに伸縮する)と股間部外装体90Cの伸縮方向(前後方向LDに伸縮する)が綺麗に線状に繋がっていることが分かる。このように、着用者の足を取り囲むように、外装体20の伸縮方向を線状に繋げることで、足回りのフィット性を高めることができる。
【0079】
なお、胴回り弾性部材25、足回り弾性部材26は、ウエスト弾性部材24と同様に、前後方向LDに間隔をおいて配置した複数本の糸ゴム等の細長状弾性部材である。また、股間部弾性部材27は、幅方向WDに間隔をおいて配置した複数本の糸ゴム等の細長状弾性部材である。弾性部材25、26、27は、図示例では複数本の糸ゴムを用いているが、これに代えて例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。また、これらの弾性部材25、26、27の配置箇所は、特に限定されないが、例えば、押えシート7とバックシート9との間に挟持することができる。弾性部材25、26、27の固定時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合は160~320%程度とすることができる。
【0080】
図11に、
図10の他の実施例に係るおむつ1の着用状態を示した。この
図11では、図面の視認性を高めるため、胴回り弾性部材25の表示を省略し(実際は存在する)、ウエスト弾性部材24、足回り弾性部材26および股間部弾性部材27の各弾性部材を示している。この図面からも明らかなように、足回り弾性部材26と股間部弾性部材27が接合部90で綺麗に繋がって着用者の足を取り囲んでおり、その結果、足回りのフィット性が高まっていることが分かる。
【0081】
図12、
図13に、比較例1に係るおむつ1の着用状態を示した。なお、
図13においても、図面の視認性を高めるため、胴回り弾性部材25の表示を省略し(実際は存在する)、ウエスト弾性部材24、足回り弾性部材26および股間部弾性部材27の各弾性部材を示している。
【0082】
この比較例1の態様では、腹側接合部90Fと背側接合部90Bが幅方向WDに一直線状に形成されている。
図10、
図11の実施態様では、腹側接合部90Fが腹側FSへ向かって膨らんだ形状(突出形状)をしており、背側接合部90Bが背側BSへ向かって膨らんだ形状(突出形状)をしているが、この比較例1の態様では、腹側接合部90Fおよび背側接合部90Bにはそのような膨らみが存在しない。
【0083】
この比較例1の態様のようにすると、
図13の図面からも明らかなように、足回り弾性部材26と股間部弾性部材27が接合部90で綺麗に繋がって着用者の足を取り囲んだ状態にはならない。具体的には、足回り弾性部材26の幅方向WD中央側の部分が内装体10にまで延在するため、幅方向WDの収縮力が強くなり、幅方向WDに引きつった状態になる。その結果、足回りのフィット性が高まりにくいというデメリットがある。
【0084】
図14、
図15に、比較例2に係るおむつ1の着用状態を示した。なお、
図14においても、図面の視認性を高めるため、胴回り弾性部材25の表示を省略し(実際は存在する)、ウエスト弾性部材24、足回り弾性部材26および股間部弾性部材27の各弾性部材を示している。
【0085】
この比較例2の態様では、腹側接合部90Fが腹側FSへ向かって膨らんだ形状(突出形状)をしており、背側接合部90Bも背側BSへ向かって膨らんだ形状(突出形状)をしている。しかし、その突出形状が
図1等とは異なる。具体的には、
図1等の腹側接合部90Fおよび背側接合部90Bは、前述の傾斜部分を有しているが、比較例2の態様では傾斜部分を有さない。すなわち、前述の内角A1~A4がそれぞれ90度になっている。
【0086】
この比較例2の態様のようにすると、
図15の図面からも明らかなように、足回り弾性部材26と股間部弾性部材27が接合部90で綺麗に繋がって着用者の足を取り囲んだ状態にはならない。具体的には、股間部弾性部材27の前後方向LD前側端部が前後方向LD腹側FSへ長く延び、股間部弾性部材27の前後方向LD後側端部が前後方向LD背側BSへ長く延びるため、全体として前後方向LDの収縮力が強くなり、前後方向LDに引きつった状態になる。その結果、足回りのフィット性が高まりにくいというデメリットがある。
【0087】
以上のようなデメリットを防ぐために、腹側接合部90Fおよび背側接合部90Bは、幅方向WD左側FSと右側RSに傾斜部分90FL、90FR、90BL、90BRを形成することが好ましい。なお、この傾斜部分90FL、90FR、90BL、90BRは、必ずしも
図8に示すような曲線状にする必要はなく、直線状にするなど、任意の形状に変更してもよい。
【0088】
なお、前述の比較例1と2では、足回り弾性部材26および股間部弾性部材27を設けた例を示しながら説明したが、このような形態に限られない。すなわち、足回り弾性部材26および股間部弾性部材27の代わりに伸縮フィルムや伸縮不織布を用いた場合においても同様のことをいうことができる。
【0089】
また、
図7、
図11、
図13、
図15の斜視図では、前身頃Fと股間部Cのみを表示しているが、後身頃Bについても同様の状態が生じている。したがって、前述のように、後身頃Bについても背側接合部90Bの形状については、傾斜部分90BL、90BRを形成することが好ましい。
【0090】
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法、位置関係は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、上記例のようなボクサーパンツ型使い捨ておむつに利用できるものである。
【符号の説明】
【0092】
1…ボクサーパンツ型使い捨ておむつ、7…押えシート、8…伸縮シート、9…バックシート、10…内装体、11…トップシート、12…液不透過性シート、13…吸収体、14…包装シート、16…ギャザー弾性部材、18…内装体接合部、19…非伸縮領域、20…外装体、20F…腹側外装体、20C…股間部外装体、20B…背側外装体、20D…折り返し部分、21…サイドシール部、22…ギャザーシート、24…ウエスト弾性部材、25…胴回り弾性部材、26…足回り弾性部材、27…股間部弾性部材、29…脚開口の縁、30…脚筒部、31…内腿接触部分、49…吸収要素、50…前押えシート、51…後押えシート、70…一体化外装体、71…内装組み付け体、72…二つ折り帯状体、90…接合部、90F…腹側接合部、90B…背側接合部、BG…立体ギャザー、F…前身頃、C…股間部、B…後身頃、LD…前後方向、FS…腹側(前側)、BS…背側(後側)、WD…幅方向、LS…左側、RS…右側、TD…厚み方向、INS…内側、OUS…外側