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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/06 20060101AFI20240118BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B65D83/06 J
B65D47/20 210
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020181509
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022072196
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-180755(JP,A)
【文献】特開2007-040706(JP,A)
【文献】米国特許第10175082(US,B1)
【文献】中国実用新案第209667757(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/93302(US,A1)
【文献】特開昭61-269022(JP,A)
【文献】特開2010-126213(JP,A)
【文献】実開昭55-44783(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
B65D 83/06
G01F 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収める収容空間を有する容器本体と、
前記容器本体に取り付けられ、前記収容空間に通じる導入口と、外界に通じる吐出口とを有するキャップ本体と、
前記導入口から前記収容空間の内容物が導入される計量空間を有し、前記キャップ本体に対して、該計量空間が該導入口に連通し且つ前記吐出口とは非連通となる導入位置と、該計量空間が該導入口とは非連通で且つ該吐出口とは連通する排出位置との間でスライドする計量体と、
前記計量体との間で空気室を区画するとともに、前記キャップ本体に対して該計量体がスライドする向きに沿ってスライドするように該計量体に保持される操作体と、
前記計量空間と前記空気室とを通じさせる通気口と、を備え、
前記計量体に対する該操作体の位置が維持されたまま該計量体が前記排出位置へスライドして、前記計量空間の内容物が前記吐出口から排出される状態と、該計量体が該排出位置へスライドし、且つ該計量体に対して該操作体がスライドして、前記空気室から前記通気口を介して該計量空間に加圧気体を送り込みつつ該計量空間の内容物が該吐出口から排出される状態と、に切り替え可能な吐出容器。
【請求項2】
前記排出位置から前記導入位置に向かう向きに沿って前記計量体を付勢する第一弾性体と、
前記排出位置から前記導入位置に向かう向きに沿って前記操作体を付勢し、前記第一弾性体よりもばね定数が大きい第二弾性体と、を備える請求項1に記載の吐出容器。
【請求項3】
前記操作体は、
前記計量体に対して該操作体を回転可能に支持する支持部と、
前記計量体に設けた第一ストッパーに係合して該計量体に対する前記操作体のスライドを阻止する一方、該計量体に対して該操作体を回転させると該第一ストッパーとの係合が解除されて該計量体に対する該操作体のスライドが許容される第二ストッパーと、を備える請求項1又は2に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に収容した内容物を吐出する吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば化粧料、医薬品、各種の調味料、食料品等の内容物を収容する容器においては、所定の操作により内容物を吐出させることができる吐出容器が既知である。
【0003】
このような吐出容器として特許文献1には、容器本体を倒立させた状態で操作体(計量部材)をスライドさせることによって、内容物を吐出させることができる吐出容器が示されている。この吐出容器によれば、容器本体を倒立させた際に収容した内容物の一部が計量室に収容され、操作体をスライドさせると、計量室は容器本体とは非連通になる一方、吐出口(取出口)と連通するため、計量室に収容された所定量の内容物だけを吐出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-49445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこの種の吐出容器は、基本的には計量室に収容された内容物を吐出口から自重で落下させることによって内容物を吐出している。このため内容物は、吐出口の真下付近へまとまって吐出されることになる。一方、内容物の種類等によっては、広い範囲に拡散するように吐出させたい場合もある。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであって、従来のように吐出口の真下付近へまとまって吐出させたり、広い範囲に拡散するように吐出させたりすることが可能な吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内容物を収める収容空間を有する容器本体と、
前記容器本体に取り付けられ、前記収容空間に通じる導入口と、外界に通じる吐出口とを有するキャップ本体と、
前記導入口から前記収容空間の内容物が導入される計量空間を有し、前記キャップ本体に対して、該計量空間が該導入口に連通し且つ前記吐出口とは非連通となる導入位置と、該計量空間が該導入口とは非連通で且つ該吐出口とは連通する排出位置との間でスライドする計量体と、
前記計量体との間で空気室を区画するとともに、前記キャップ本体に対して該計量体がスライドする向きに沿ってスライドするように該計量体に保持される操作体と、
前記計量空間と前記空気室とを通じさせる通気口と、を備え、
前記計量体に対する該操作体の位置が維持されたまま該計量体が前記排出位置へスライドして、前記計量空間の内容物が前記吐出口から排出される状態と、該計量体が該排出位置へスライドし、且つ該計量体に対して該操作体がスライドして、前記空気室から前記通気口を介して該計量空間に加圧気体を送り込みつつ該計量空間の内容物が該吐出口から排出される状態と、に切り替え可能な吐出容器である。
【0008】
前記排出位置から前記導入位置に向かう向きに沿って前記計量体を付勢する第一弾性体と、
前記排出位置から前記導入位置に向かう向きに沿って前記操作体を付勢し、前記第一弾性体よりもばね定数が大きい第二弾性体と、を備えることが好ましい。
【0009】
前記操作体は、
前記計量体に対して該操作体を回転可能に支持する支持部と、
前記計量体に設けた第一ストッパーに係合して該計量体に対する前記操作体のスライドを阻止する一方、該計量体に対して該操作体を回転させると該第一ストッパーとの係合が解除されて該計量体に対する該操作体のスライドが許容される第二ストッパーと、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上記のような構成になる本発明の吐出容器によれば、計量体に対する操作体の位置が維持されたまま計量体を排出位置へスライドさせて、計量空間の内容物を吐出口から排出させることが可能である。従ってこの場合は、内容物を、従来と同様に吐出口の真下付近を中心にまとまって吐出させることができる。また、計量体を排出位置へスライドさせ、且つ計量体に対して操作体をスライドさせて、空気室から通気口を介して計量空間に加圧気体を送り込みつつ計量空間の内容物を吐出させることも可能である。従ってこの場合は、内容物を、広い範囲に拡散するように吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従う吐出容器の一実施形態を示す断面図である。
図2図1の部分拡大断面図である。
図3】操作体を押圧する途中の状態について示した図である。
図4】操作体を最後まで押圧し、空気室からの加圧気体が計量空間に送り込まれて内容物が吐出される状態について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明に従う吐出容器の一実施形態(吐出容器20)について説明する。なお以下の説明では、図1に示すように、後述する容器本体1が倒立姿勢となる状態で説明する。また本明細書等において上下方向とは、容器本体1の中心軸線Oに沿う方向を意味し、後述する口部1cに対して底部1aが位置する側が「上」であり、逆側が「下」である。また前後方向とは、後述する操作体4の中心軸線Aに沿う方向を意味し、後述する計量体3に対して操作体4が位置する側が「前」であり、逆側が「後」である。
【0013】
本実施形態の吐出容器20は、容器本体1と、キャップ本体2と、計量体3と、操作体4と、逆止弁5A、5Bと、ホルダー6と、第一弾性体7と、第二弾性体8と、蓋体9とを備えている。
【0014】
容器本体1は、円板状になる底部1aと、底部1aの縁部に連結する円筒状の胴部1bと、胴部1bに連結するとともに胴部1bよりも小径になる円筒状の口部1cと、口部1cの外周面に設けられる雄ねじ部1dとを備えている。底部1a、胴部1b、及び口部1cの内側には、内容物を収める収容空間S1が区画されている。なお、収容空間S1に収容される内容物に特段制限はないが、主には粉体状の内容物である。
【0015】
キャップ本体2は、容器本体1に装着され、図示したように容器本体1が倒立姿勢になる状態において、容器本体1の下方に位置する。図2に示すようにキャップ本体2は、口部1cを取り囲む環状壁2aと、環状壁2aの内周壁に設けられて雄ねじ部1dに対応する形状となる雌ねじ部2bと、環状壁2aの下端部に連結する筒状壁2cを備えている。なお筒状壁2cは、図示したように横向きになる(中心軸線Aに沿う方向に延在する)ものであって、前側は開口した状態である一方、後側は後述する筒状壁2cで閉鎖されている。また筒状壁2cにおいて口部1cの下端部と当接する部位は、平板状に形成されていて、口部1cに対して全周に亘って当接している。筒状壁2cの上部には、筒状壁2cを貫通して収容空間S1に連通する導入口2dが設けられていて、筒状壁2cの下部には、筒状壁2cを貫通する吐出口2eが設けられている。なお図示した吐出口2eは、複数の貫通孔の集合体であるが、吐出口2eは単一の貫通孔でもよい。また図示したように導入口2dと吐出口2eは、平面視において前後方向に重ならない位置(前後方向にずれた位置)にあり、導入口2dに対して吐出口2eは、後方に位置している。
【0016】
筒状壁2cの後側には、筒状壁2cの後側開口を閉鎖する後端壁2fが設けられている。また後端壁2fの上方における環状壁2aの外周面には、図1に示すように、前方から後方に向かうにつれてやや下向きに傾斜するフランジ2gが設けられている。また図2に示すように後端壁2fの前面には、第一弾性体7を支持する後側第一弾性体支持壁2hと、後側から前側に向けて突出する後側ストッパー2jが設けられている。
【0017】
そして筒状壁2cの下側には、吐出口2eを取り囲む吐出筒2kと、吐出筒2kの径方向外側に位置する保持壁2mとが設けられている。保持壁2mは、図2に示すようにその下端部が径方向外側に向けて突出していて、断面視において爪状になっている。
【0018】
計量体3は、筒状壁2cの内側に配置され、キャップ本体2に対して前後方向にスライド可能に保持される。本実施形態の計量体3は、筒状壁2cの内周面に適合する外周面を有していて、筒状壁2cに対して摺動する外筒壁3aを備えている。外筒壁3aには、上下方向に延在して筒状をなす計量壁3bが設けられている。計量壁3bの内周面は、導入口2dの内周面と略同形状である。また外筒壁3aにおける計量壁3bよりも前側の内周面は、中心軸線Aを中心とする円形状である。なお図示したように計量体3がキャップ本体2に保持された状態において、筒状壁2cと計量壁3bとの間には、空間(計量空間S2)が区画される。なお計量体3がキャップ本体2に対してスライドする範囲は、図2に示すように、計量空間S2が導入口2dに連通し且つ吐出口2eとは非連通となる位置(導入位置)から、図4に示すように、計量空間S2が導入口2dとは非連通で且つ吐出口2eとは連通する位置(排出位置)までの間である。
【0019】
計量壁3bの後側における外周面には、第一弾性体7を支持する環状の前側第一弾性体支持壁3cが設けられている。
【0020】
そして計量壁3bの前側における外周面には、外筒壁3aに対して間隔をあけて設けられ、中心軸線Aを中心とする円筒状の内筒壁3dが設けられている。内筒壁3dの外周面には、前後方向に延在するリブ(第一ストッパー3e)が、周方向に間隔をあけて設けられている。そして内筒壁3dの径方向内側には、ホルダー6を嵌合保持する環状のホルダー保持壁3fが設けられている。またホルダー保持壁3fの径方向内側には、計量壁3bを貫通する通気口3gが設けられている。
【0021】
操作体4は、外筒壁3aの内側に配置され、計量体3に対して前後方向にスライド可能に、且つ中心軸線Aを中心として回転可能に保持される。本実施形態の操作体4は、円筒状をなし、外筒壁3aに対して摺動する操作体筒状壁4aを備えている。図2の部分拡大図(E1部)に示すように、操作体筒状壁4aの外周面には、中心軸線Aを中心として周回して外筒壁3aの内周面に対して気密に当接する凸状部4bが設けられている。なお、操作体筒状壁4aと凸状部4bは、本明細書等における「支持部」に相当する部位である。そして操作体筒状壁4aの内周面には、前後方向に延在するリブ(第二ストッパー4c)が、周方向に間隔をあけて設けられている。
【0022】
操作体筒状壁4aの前側には、板状になる前側壁4dが設けられている。前側壁4dの後面には、第二弾性体8を支持する環状の前側第二弾性体支持壁4eが設けられている。前側第二弾性体支持壁4eの径方向内側には、逆止弁5Aを嵌合保持する環状の逆止弁保持壁4fが設けられている。そして逆止弁保持壁4fの径方向内側には、前側壁4dを貫通する外気導入口4gが設けられている。前側壁4dの前面には、外気導入口4gよりも大径であって、外気導入口4gにつながる凹部4hが設けられている。
【0023】
そして図示したように計量体3が操作体4に保持された状態において、計量体3と操作体4の間には、外筒壁3a、計量壁3b、操作体筒状壁4a、及び前側壁4dで区画される空間(空気室K)が区間される。
【0024】
逆止弁5A、5Bは、本実施形態では同形状となるものであって、図2の部分拡大断面図(E2部)に示すように、筒状をなす基部5aと、基部5aの一端部において径方向内側に位置する板状の弁体5bと、基部5aと弁体5bとを連結する弾性片5cとを備えている。
【0025】
ホルダー6は、筒状をなすホルダー筒状壁6aと、ホルダー筒状壁6aの前側に位置するホルダー前側壁6bと、ホルダー前側壁6bを貫通する連通口6cを備えている。
【0026】
逆止弁5Aは、図2に示すように逆止弁保持壁4fの内側に挿入されてこれに保持され、通常時は弁体5bが前側壁4dの後面に当接して外気導入口4gを閉鎖する。逆止弁5Bは、ホルダー筒状壁6aの内側に挿入されてこれに保持され、通常時は弁体5bがホルダー前側壁6bの後面に当接して連通口6cを閉鎖する。そして逆止弁5Bを保持したホルダー6は、図示したようにホルダー保持壁3fに挿入されてこれに保持される。
【0027】
第一弾性体7と第二弾性体8は、本実施形態ではコイルばねであり、全長が短くなるように押圧すると、それに反発するように力を発現する。なお第一弾性体7と第二弾性体8は、コイルばねに限られず、上記のように力を発現する他の弾性体でもよい。図示したように第一弾性体7は、後側第一弾性体支持壁2hと前側第一弾性体支持壁3cに支持され、キャップ本体2に対して計量体3を前側に付勢している。また第二弾性体8は、図示したように内筒壁3dと前側第二弾性体支持壁4eによって支持され、計量体3に対して操作体4を前側に付勢している。なお本実施形態の第二弾性体8は、第一弾性体7よりもばね定数が大きくなっている。
【0028】
蓋体9は、有蓋筒状をなし、吐出筒2kの内側に挿入されて吐出口2eを閉鎖する蓋部9aと、蓋部9aに連結して水平方向に延在する基部壁9bと、基部壁9bに連結するとともに保持壁2mを取り囲んでこれに着脱可能に係合される係合壁9cを備えている。係合壁9cは、保持壁2mに係合した際、その上端部が筒状壁2cの下面に当接してこれを下方から支持する。このような蓋体9によって吐出容器20は、容器本体1が倒立姿勢になる状態で机等の上に載置することができる。
【0029】
次に、上記のような構成になる吐出容器20の使用方法の一例について説明する。吐出容器20から内容物を吐出するにあたっては、まずキャップ本体2から蓋体9を取り外す。そして、指先で操作体4を後方にスライドさせることができる状態で、キャップ本体2を片手で握るようにして吐出容器20を保持する。なおこの状態においては、フランジ2gが親指の根本付近に当たるため、吐出容器20を安定的に保持することができる。
【0030】
なお、操作体4を操作する前の状態において、図2に示すように計量体3は導入位置にあって、導入口2dは、計量空間S2に連通している。そして、容器本体1は倒立姿勢であるため、収容空間S1の内容物は、自重によって導入口2dから計量空間S2に導入され、計量空間S2は基本的に内容物で満たされた状態となっている。
【0031】
そして内容物を広範囲に拡散させるようにして吐出させる場合は、中心軸線Aを中心として操作体4を回転させて、第一ストッパー3eに対して第二ストッパー4cを周方向にずらしておく。
【0032】
次いで、指先に力を入れて操作体4を後方に向けて押圧する。上述したように本実施形態の第二弾性体8は、第一弾性体7よりもばね定数が大きくなっている。このため、操作体4を後方に向けて押圧した際は、第二弾性体8よりも第一弾性体7が優先して弾性変形する。従って、操作体4を押圧すると、図3に示すように、計量体3に対する操作体4の位置が維持されたまま計量体3がキャップ本体2に対して後方にスライドする。このとき、計量空間S2は導入口2dとは非連通になるため、計量空間S2の容積に相当する内容物を計り取ることができる。なお、上述した「計量体3に対する操作体4の位置が維持されたまま」とは、操作体4が計量体3に対して全くスライドしないことのみを意味するものではなく、計量体3がキャップ本体2に対してスライドする量との対比において、操作体4が計量体3に対してスライドする量が僅かである場合も含む。
【0033】
そして操作体4に対する後方への押圧を継続すると、図4に示すように、計量体3における外筒壁3aの後側端部が後側ストッパー2jに押し当たり、計量体3はそれ以上後方へ移動できなくなる。従って、第二弾性体8を弾性変形させつつ、計量体3に対して操作体4が後方へ移動しはじめるため、空気室Kの容積が小さくなっていく。ここで外気導入口4gは、逆止弁5Aの弁体5bによって閉鎖されている(図2を参照)。すなわち、空気室Kの気体(空気)は外界に出て行かないため、空気室Kは加圧される。
【0034】
ここで連通口6cは、図2に示すように、逆止弁5Bの弁体5bがホルダー前側壁6bの後面に当接することによって閉鎖されているが、弁体5bは、弾性片5cによって弾性的に支持されているため、空気室Kの圧力が高まると、弁体5bはその圧力でもってホルダー前側壁6bから離反する。このため、空気室Kの加圧された空気は、連通口6c及び通気口3gを通過して計量空間S2に送り込まれる。なおこの状態において計量空間S2は、図4に示すように、吐出口2eと連通する排出位置に移動している。従って、計量空間S2に収容された内容物は、加圧された空気で広い範囲に拡散されるようにして吐出口2eから吐出される。
【0035】
吐出口2eから内容物を吐出させた後は、操作体4に対する後方への押圧を解除する。これにより、弾性変形していた第一弾性体7と第二弾性体8が復元し、計量体3と操作体4は、図2に示す位置へスライドする。なお、第一弾性体7と第二弾性体8の復元に際して計量体3が操作体4に対して前方にスライドする際、空気室Kの容積も元に戻る(狭くなっていた空気室Kが広い状態に戻る)ため、空気室Kは外界に比して減圧状態になる。すなわち外界の空気は、前側壁4dに当接している弁体5bを前側壁4dから離反させつつ、空気室Kに導入されるため、再び操作体4を後方へ押圧すると、加圧された空気で次の内容物を吐出させることができる。なお、外気導入口4gは、これよりも大径になる凹部4hとつながっているため、操作体4を押圧する指の位置が外気導入口4gの前方であっても、外気導入口4gから空気室Kへの外気導入が妨げられることはない。
【0036】
一方、従来のように内容物をまとめて吐出させる場合は、図2に示すように第一ストッパー3eと第二ストッパー4cが周方向で重なる状態にしておき、この状態で操作体4を後方へ押圧する。なお、第一ストッパー3eと第二ストッパー4cが周方向で重なる状態においては、計量体3に対して操作体4はスライドしないため、外筒壁3aの後側端部が後側ストッパー2jに押し当たっても空気室Kは加圧されない。従って、計量空間S2に収容された内容物を、吐出口2eの真下へまとまって吐出させることができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0038】
例えば逆止弁5A、5Bは、上述した機能を満たすものであればよく、他の形態(例えば球状の弁体をコイルばねで押圧するようにしたもの)の逆止弁を使用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1:容器本体
1a:底部
1b:胴部
1c:口部
1d:雄ねじ部
2:キャップ本体
2a:環状壁
2b:雌ねじ部
2c:筒状壁
2d:導入口
2e:吐出口
2f:後端壁
2g:フランジ
2h:後側第一弾性体支持壁
2j:後側ストッパー
2k:吐出筒
2m:保持壁
3:計量体
3a:外筒壁
3b:計量壁
3c:前側第一弾性体支持壁
3d:内筒壁
3e:第一ストッパー
3f:ホルダー保持壁
3g:通気口
4:操作体
4a:操作体筒状壁(支持部)
4b:凸状部(支持部)
4c:第二ストッパー
4d:前側壁
4e:前側第二弾性体支持壁
4f:逆止弁保持壁
4g:外気導入口
5A、5B:逆止弁
5a:基部
5b:弁体
5c:弾性片
6:ホルダー
6a:ホルダー筒状壁
6b:ホルダー前側壁
6c:連通口
7:第一弾性体
8:第二弾性体
9:蓋体
9a:蓋部
9b:基部壁
9c:係合壁
20:吐出容器
K:空気室
S1:収容空間
S2:計量空間
図1
図2
図3
図4