(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】粉体噴出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/06 20060101AFI20240118BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20240118BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20240118BHJP
【FI】
B65D83/06 G
B65D83/00 K
B05B11/00 101G
B05B11/00 101Z
(21)【出願番号】P 2020199004
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】宮入 圭介
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和寿
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-189858(JP,A)
【文献】特表2017-508503(JP,A)
【文献】特開2017-013902(JP,A)
【文献】特開2008-200571(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107187749(CN,A)
【文献】特開2001-114360(JP,A)
【文献】特開2004-074005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00-83/76
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容する収容空間を有する容器本体と、上方付勢されたヘッドを有し、該ヘッドを押し下げることによって駆動して該収容空間の粉体を該ヘッドの噴出口から噴出させる噴出器とを備える粉体噴出容器であって、
前記噴出器は、
前記収容空間に通じる通気口を有する第1シリンダーと、
前記第1シリンダーの内周面に摺動可能に当接し、前記ヘッドの押し下げに伴って移動して該第1シリンダー内を加圧するエアーピストンと、
通常時は弁座部に着座して前記通気口と前記収容空間との空気の流通を阻止する一方、該通気口からの加圧された空気によって該弁座部から離反して該通気口と該収容空間とを通じさせる弁体と、
前記噴出口に通じる内部通路と、前記収容空間と該内部通路とを連通させる導入口とを有する第2シリンダーと、を備え、
前記弁座部と前記弁体とが着座する部位の近傍、及び前記導入口の近傍の少なくとも一つに、前記収容空間の粉体が載置される粉体載置部を備える粉体噴出容器。
【請求項2】
前記弁体は、前記弁座部に着座する着座部と、該着座部よりも径方向外側に位置して前記粉体載置部として機能するフランジ部とを備える、請求項1に記載の粉体噴出容器。
【請求項3】
前記第2シリンダーは、前記内部通路を内側に備える筒状部と、該筒状部の下端部に連結する柱部と、該柱部の下端部に連結する底部とを備え、該筒状部、該柱部、及び該底部で取り囲まれる開口を前記導入口として機能させ、前記底部を前記粉体載置部として機能させる、請求項1又は2に記載の粉体噴出容器。
【請求項4】
前記底部は、該底部を貫通して前記導入口として機能する底部開口を有する、請求項3に記載の粉体噴出容器。
【請求項5】
前記導入口と前記噴出口との間に設けられ、通常時は第2弁座部に着座して該導入口と該噴出口との空気の流通を阻止する一方、該導入口からの加圧された空気によって該第2弁座部から離反して該導入口と該噴出口とを通じさせる第2弁体を有する、請求項1~4の何れか一項に記載の粉体噴出容器。
【請求項6】
前記第2シリンダーの内周面に摺動可能に当接し、前記ヘッドの押し下げに伴って移動して該第2シリンダー内を加圧する第2エアーピストンを有する、請求項1~5の何れか一項に記載の粉体噴出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に収容した粉体を噴出口から噴出させる粉体噴出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体状の内容物(例えばベビーパウダー、ファンデーション等の化粧料や塩、コショウ等の調味料等)を噴出する容器として、特許文献1の如き粉体噴出容器が知られている。
【0003】
この粉体噴出容器は、粉体を収容する収容空間を有する容器本体と、ポンプの如き機能を有する噴出器とを備えている。そして、上方付勢されたヘッドを押し下げると噴出器が駆動し、加圧された空気とともに収容空間の粉体をヘッドの噴出口から噴出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、粉体噴出容器から意図した量で粉体を噴出させるには、収容空間の底に溜まる粉体を噴出器から送給する空気で巻き上げて、収容空間内の空気に粉体を十分に巻き込ませる(収容空間の空気に粉体を拡散させる)必要がある。しかし、空気は体積が容易に変化するため、収容空間に空気を送り込んだだけで粉体を効率よく巻き上げることは難しい。一方、噴出器で送り込む空気の流速を速めれば、粉体を効率よく拡散させることが期待できるが、空気の流速を速めるべく、噴出器から収容空間に空気を送り込む開口を狭くすると、ヘッドの押し下げに力を要することになり、操作性が悪化することになる。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、操作性は維持しつつ、従来に比して粉体の噴出量を安定させることが可能となる粉体噴出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、粉体を収容する収容空間を有する容器本体と、上方付勢されたヘッドを有し、該ヘッドを押し下げることによって駆動して該収容空間の粉体を該ヘッドの噴出口から噴出させる噴出器とを備える粉体噴出容器であって、
前記噴出器は、
前記収容空間に通じる通気口を有する第1シリンダーと、
前記第1シリンダーの内周面に摺動可能に当接し、前記ヘッドの押し下げに伴って移動して該第1シリンダー内を加圧するエアーピストンと、
通常時は弁座部に着座して前記通気口と前記収容空間との空気の流通を阻止する一方、該通気口からの加圧された空気によって該弁座部から離反して該通気口と該収容空間とを通じさせる弁体と、
前記噴出口に通じる内部通路と、前記収容空間と該内部通路とを連通させる導入口とを有する第2シリンダーと、を備え、
前記弁座部と前記弁体とが着座する部位の近傍、及び前記導入口の近傍の少なくとも一つに、前記収容空間の粉体が載置される粉体載置部を備える粉体噴出容器である。
【0008】
前記弁体は、前記弁座部に着座する着座部と、該着座部よりも径方向外側に位置して前記粉体載置部として機能するフランジ部とを備えることが好ましい。
【0009】
前記第2シリンダーは、前記内部通路を内側に備える筒状部と、該筒状部の下端部に連結する柱部と、該柱部の下端部に連結する底部とを備え、該筒状部、該柱部、及び該底部で取り囲まれる開口を前記導入口として機能させ、前記底部を前記粉体載置部として機能させることが好ましい。
【0010】
前記底部は、該底部を貫通して前記導入口として機能する底部開口を有することが好ましい。
【0011】
前記導入口と前記噴出口との間に設けられ、通常時は第2弁座部に着座して該導入口と該噴出口との空気の流通を阻止する一方、該導入口からの加圧された空気によって該第2弁座部から離反して該導入口と該噴出口とを通じさせる第2弁体を有することが好ましい。
【0012】
前記第2シリンダーの内周面に摺動可能に当接し、前記ヘッドの押し下げに伴って移動して該第2シリンダー内を加圧する第2エアーピストンを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粉体噴出容器は、弁座部と弁体とが着座する部位の近傍、及び導入口の近傍の少なくとも一つに、収容空間の粉体が載置される粉体載置部を備えている。すなわち、噴出器から収容空間に加圧した空気が送り込まれ、更にその空気が噴出口から噴出される過程において、粉体載置部に載置された粉体を吹き飛ばして空気中に拡散させることができるため、従来に比して粉体の噴出量を安定させることができる。また、噴出器における収容空間に通じる通気口を狭める必要もないため、従来と同等の力でヘッドを押し下げることが可能であって、操作性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に従う粉体噴出容器の一実施形態を示す半断面図である。
【
図2】
図1に示した粉体噴出容器の部分拡大図である。
【
図3】粉体載置部に載置された粉体が吹き飛ばされる状況について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明に従う粉体噴出容器の一実施形態(粉体噴出容器100)について説明する。なお、本明細書等において上下方向とは、
図1に示した容器本体1の中心軸線Oに沿う方向を意味し、容器本体1に対してカバー13が位置する側が「上」であり、逆側が「下」である。また径方向とは、中心軸線Oに対して垂直な面内で中心軸線Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で中心軸線Oを中心として周回する方向である。
【0016】
本実施形態の粉体噴出容器100は、容器本体1と、噴出器2とを備えている。
【0017】
容器本体1は、中心軸線Oを中心とする円板状の底板部1aと、底板部1aの外縁部から立ち上がる円筒状の胴部1bと、胴部1bの上端部に連結し、胴部1bよりも小径になる円筒状の口部1cと、口部1cの外周面に設けられる雄ねじ部1dを備えている。また容器本体1は、底板部1a、胴部1b、及び口部1cによって区画される収容空間Sを備えている。収容空間Sには、内容物として粉体Pが収容される。
【0018】
噴出器2は、収容空間Sの粉体Pを外界に噴出させるポンプとしての機能を有している。本実施形態の噴出器2は、ベースキャップ3と、シリンダー部材4と、第1弁部材5と、第1ピストン部材6と、空気導入用弁部材7と、第2ピストン部材8と、弾性体9と、ヘッド10と、ノズルチップ11と、第2弁部材12と、カバー13とで構成されている。
【0019】
ベースキャップ3は、
図2に示すように有蓋筒状であって、中央部にヘッド10を挿通させる開口を有するキャップ本体3aを備えている。キャップ本体3aの内周面には、雄ねじ部1dに対応する雌ねじ部3bが設けられている。
【0020】
シリンダー部材4は、有底筒状であって、上端部がベースキャップ3に保持される第1シリンダー4aを備えている。第1シリンダー4aの底部には、これを貫く貫通孔(通気口4b)が設けられている。また第1シリンダー4aの底部下面において、通気口4bの径方向外側には、下方に向けて突出する突起4cが設けられている。なお後述するように突起4cは、本明細書等における「弁座部」として機能する部位である。
【0021】
またシリンダー部材4は、第1シリンダー4aの径方向内側において、中心軸線Oに沿って延在する第2シリンダー4dを備えている。第2シリンダー4dは、円筒状であって、その内側に内部通路T1を備える筒状部4eと、筒状部4eの下端部に連結して中心軸線Oに沿って延在する柱部4fと、柱部4fの下端部に連結する底部4gとで構成されている。
【0022】
本実施形態の筒状部4eは、その下端部が第1シリンダー4aの底部よりも下方に突出する状態で第1シリンダー4aと一体に連結している。また柱部4fは、
図2のA-A断面図に示すように、本実施形態では合計4本設けられている。そして底部4gは、円板状になるものであって、柱部4fの下端部に一体に連結している。そして、筒状部4e、柱部4f、及び底部4gで取り囲まれる部位には、側部開口4hが形成されている。なお、本実施形態の底部4gは、
図3に示すようにその上面に粉体Pを載置させることが可能であり、本明細書等の「粉体載置部」として機能する部位である。そして底部4gの中央部には、これを貫通する底部開口4jが設けられている。底部開口4jは、上方の外径よりも下方の外径が大きくなるテーパー状の貫通孔として形成されている。上述した内部通路T1は、側部開口4hと底部開口4jによって、収容空間Sと通じている。なお、側部開口4hと底部開口4jは、本明細書等の「導入口」として機能する部位である。
【0023】
第1弁部材5は、筒状部4eに挿入されてこれに保持される環状の基部5aを備えている。基部5aの外周面には、薄板リング状であって弾性変形可能な弁体5bが設けられている。弁体5bは、基部5aが筒状部4eに保持された状態において、その外縁部が突起4cに着座し、空気の出入りを阻止している。なお基部5aの外縁部は、本明細書等の「着座部」として機能する部位である。また弁体5bの外縁部には、下方に向けて延在する環状部が設けられていて、環状部の下端部には、径方向外側に向けて延在するフランジ部5cが設けられている。なお、本実施形態のフランジ部5cは、
図3に示すように、その上面に粉体Pを載置させることが可能であり、本明細書等の「粉体載置部」として機能する部位である。
【0024】
第1ピストン部材6は、筒状部4eの径方向内側に入り込む内筒部6aと、内筒部6aの径方向外側に位置する外筒部6bと、内筒部6aの上端部と外筒部6bの上端部に連結する上壁部6cとを備えている。外筒部6bの外周面には、径方向外側に向けて延在するとともに、外縁部が第1シリンダー4aの内周面に摺動可能に当接するエアーピストン6dが設けられている。そして、エアーピストン6dにおける外筒部6bとの連結部には、第1シリンダー4a内に空気を取り込むための空気導入口6eが設けられている。
【0025】
空気導入用弁部材7は、外筒部6bに挿入されてこれに保持される環状の基部7aと、薄板リング状なし弾性変形可能であって、一端部が基部7aに連結し、他端部がエアーピストン6dの下面に着座する空気用弁体7bを備えている。空気用弁体7bは、通常時はエアーピストン6dの下面に着座して、空気導入口6eと第1シリンダー4aとの間での空気の出入りを阻止する一方、第1シリンダー4a内が減圧されると、エアーピストン6dの下面から離反して、空気導入口6eから第1シリンダー4aへ空気を導入させることができる。
【0026】
第2ピストン部材8は、円筒状をなしていて、その上端部は内筒部6aの内周面に嵌合保持される。これにより第2ピストン部材8は、第1ピストン部材6が移動する際にはこれと一体的に移動する。また第2ピストン部材8の内側は、内部通路T1に通じている。なお、内部通路T1に通じる第2ピストン部材8の内側の通路、及び第2ピストン部材8の上方に位置する内筒部6aの内側の通路を連結通路T2と称する。そして第2ピストン部材8の下端部には、内筒部6aの内周面に摺動可能に当接する第2エアーピストン8aが設けられている。
【0027】
弾性体9は、本実施形態ではコイルばねであって、筒状部4eの径方向外側において、シリンダー部材4と第1ピストン部材6との間に配置される。弾性体9によって第1ピストン部材6は、上方に向けて付勢されている。
【0028】
ヘッド10は、全体的に筒状であって、下端部は上下方向に延在し、上端部は上方に向けて傾きながら径方向外側に向けて延在するヘッド本体10aを備えている。ヘッド本体10aの下端部は、外筒部6bを取り囲んでこれに嵌合保持される。すなわちヘッド10は、第1ピストン部材6を介して弾性体9により上方に付勢されていて、ヘッド10を押し下げると、第1ピストン部材6もヘッド10とともに一体的に移動する。そしてヘッド本体10aの内部には、連結通路T2に通じる内側通路T3が設けられている。またヘッド本体10aの内部における下面には、第2弁部材12を保持するための環状壁10bが設けられている。
【0029】
ノズルチップ11は、筒状であって、ヘッド本体10aの先端部内側に取り付けられる。なお、ノズルチップ11の先端側に位置する開口(噴出口11a)は、後端側(内側通路T3側)の開口よりも小径になっている。
【0030】
第2弁部材12は、環状壁10bに挿入される突起部12aと、突起部12aの下端部に連結するとともに上下方向に弾性変形可能なリング部12bと、リング部12bの下端部に連結する第2弁体12cとを備えている。第2弁体12cは、上部は板状をなし下部は突起状になるものであって、突起状部分は内筒部6aの内側に挿入される。また第2弁体12cの板状部分は、リング部12bの弾性力によって、通常時は内筒部6aと上壁部6cとの連結部に着座して、連結通路T2と内側通路T3との間での空気の出入りを阻止している。なお内筒部6aと上壁部6cとの連結部は、本明細書等の「第2弁座部」として機能する部位である。
【0031】
カバー13は、有蓋筒状をなしていて、ベースキャップ3に着脱可能に保持される。カバー13によってヘッド10は覆われるため、保管時における噴出口11a等への埃の付着を防止することができる。またカバー13によって不用意にヘッド10を押し下げることがないため、粉体Pを意図せず噴出させることもない。
【0032】
このような形態になる粉体噴出容器100は、カバー13を取り外した後、ヘッド10を押し下げることによって、粉体Pを噴出させることができる。なお、以下の説明においては、例えば、先に粉体Pを噴出させた際に収容空間Sで巻き上げられた粉体Pが落下する、又は容器本体1を振る等して巻き上げられた粉体Pが落下する等により、
図3に示すように底部4gやフランジ部5cに粉体Pが載置されているものとする。
【0033】
ヘッド10を押し下げると、第1ピストン部材6も下方に移動する。第1ピストン部材6には、第1シリンダー4aの内周面に摺動可能に当接するエアーピストン6dが設けられていて、また空気導入口6eからの空気の出入りは、空気導入用弁部材7で阻止されているため、第1シリンダー4a内が加圧される。そして第1シリンダー4a内が所定の圧力を越えると、第1弁部材5の弁体5bが弾性変形して突起4cから離反し、加圧された空気が通気口4bから収容空間Sへ噴出されるため、収容空間Sの粉体Pを巻き上げて空気に拡散させることができる。ここで、弁体5bに連結するフランジ部5cには粉体Pが載置されていて、噴出される空気によってフランジ部5cの粉体Pが吹き飛ばされるため、粉体Pをより効率的に空気中に拡散させることができる。
【0034】
またヘッド10を押し下げた際は、第2ピストン部材8も下方に移動する。第2ピストン部材8には、第2シリンダー4dが備える内筒部6aの内周面に摺動可能に当接する第2エアーピストン8aが設けられ、連結通路T2と内側通路T3との間での空気の出入りは、第2弁部材12で阻止されているため、連結通路T2、及びこれにつながる内部通路T1と収容空間Sが加圧される。すなわち、第2弁部材12によって収容空間Sの空気が外界に漏れない状態にすることができ、またこの状態でエアーピストン6dとともに第2エアーピストン8aでも収容空間Sを加圧することができるため、収容空間Sの圧力をより高めることができる。
【0035】
そして収容空間S内が所定の圧力を超えると、リング部12bが弾性変形して、第2弁体12cが内筒部6aと上壁部6cとの連結部から離反し、収容空間Sの空気は、拡散された粉体Pとともに、側部開口4hと底部開口4jを通り、内部通路T1と連結通路T2を通過し、内側通路T3を通って噴出口11aから噴出される。ここで、
図3に示すように、側部開口4hと底部開口4jの近傍に位置する底部4gには粉体Pが載置されていて、側部開口4hと底部開口4jを通過する加圧された空気によってこの粉体Pが吹き飛ばされるため、空気中に粉体Pをより効率的に拡散させることができる。従って、意図した量の粉体を安定的に噴出させることができる。また噴出口11aは、内側通路T3側の開口よりも小径になっていて、これにより噴出口11aを通過する空気の流速が速まるため、粉体を噴出させる場所が噴出口11aから多少離れていても、狙い通りに噴出させることができる。なお、第1ピストン部材6の内筒部6aとシリンダー部材4の筒状部4eとの間には隙間があるが、内筒部6aの内周面には第2ピストン部材8の上端部が嵌合保持され、筒状部4eの内周面には、第2ピストン部材8の第2エアーピストン8aが摺動可能に当接しているため、この隙間から第1シリンダー4a内への粉体Pの侵入が防止される。
【0036】
粉体Pを噴出させた後、ヘッド10への押圧を解除すると、弾性体9の弾性力によってヘッド10は上方に移動し、それに伴い、エアーピストン6dも上昇する。すなわち、エアーピストン6dの上昇に伴って第1シリンダー4aは減圧されるため、空気用弁体7bがエアーピストン6dの下面から離反して、空気導入口6eから第1シリンダー4aへ空気が導入される。また、収容空間S内で拡散していた粉体Pの一部は、底部4gやフランジ部5cへ落下する。従って、ヘッド10を再び押し下げれば、先の説明と同様の状態で粉体Pを噴出させることができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0038】
例えば本実施形態では、底部4gの周囲から空気を導入する側部開口4hに加え、底部4gの下方からも空気が導入できるように底部開口4jを設けたが、側部開口4hのみ設けてもよい。また側部開口4hを設けずに、底部開口4jのみ設けてもよい。また、粉体載置部として設けた底部4gとフランジ部5cは、何れか一方だけ設けてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1:容器本体
1a:底板部
1b:胴部
1c:口部
1d:雄ねじ部
2:噴出器
3:ベースキャップ
3a:キャップ本体
3b:雌ねじ部
4:シリンダー部材
4a:第1シリンダー
4b:通気口
4c:突起(弁座部)
4d:第2シリンダー
4e:筒状部
4f:柱部
4g:底部(粉体載置部)
4h:側部開口(導入口)
4j:底部開口(導入口)
5:第1弁部材
5a:基部
5b:弁体
5c:フランジ部(粉体載置部)
6:第1ピストン部材
6a:内筒部
6b:外筒部
6c:上壁部
6d:エアーピストン
6e:空気導入口
7:空気導入用弁部材
7a:基部
7b:空気用弁体
8:第2ピストン部材
8a:第2エアーピストン
9:弾性体
10:ヘッド
10a:ヘッド本体
10b:環状壁
11:ノズルチップ
11a:噴出口
12:第2弁部材
12a:突起部
12b:リング部
12c:第2弁体
13:カバー
100:粉体噴出容器
O:中心軸線
P:粉体
S:収容空間
T1:内部通路
T2:連結通路
T3:内側通路