(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】結束タイ取付け用器具
(51)【国際特許分類】
B65B 13/18 20060101AFI20240118BHJP
B65B 27/10 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B65B13/18 A
B65B27/10 Z
(21)【出願番号】P 2020543609
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(86)【国際出願番号】 FR2019050476
(87)【国際公開番号】W WO2019180340
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-10-19
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519087251
【氏名又は名称】ペランク
【氏名又は名称原語表記】PELLENC
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ペランク,ロジェ
(72)【発明者】
【氏名】ショデ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ジルベール,フィリップ
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-175905(JP,A)
【文献】国際公開第1996/025330(WO,A1)
【文献】Kelly's 5 Distribution LLC,Cable Tie Gun - How To Use,YouTube,[オンライン], 2017.08.21[検索日 2022.08.22], インターネット:<URL:https://www.youtube.com/watch?v=R4rS_jd9Swg>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/18
B65B 27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄(14)を備えた器具の本体(12)を用いた結束タイ取付け用器具(10)であって、
-結束線の受入れ用の線の入口(24)、
-結束タイ取付け用先端部(20)、
-少なくとも1つの、取付け用先端部の作動用電動機(18)、および
-少なくとも1つの、結束線の予備の受入れ用の第一のリール台(40)、
を含む器具であり、
器具の本体(12)が、器具の本体(12)上への第一のリール台(40)の取外し可能な固定のための、第一のリール台を受け止めることのできる固定用台座(30)を含み、固定用台座(30)および第一のリール台(40)が、弾性の差込錠(36、84)を有し、固定用台座(30)と第一のリール台(40)とが、形状の相補性による固定用台座(30)の上への第一のリール台(40)の固定のための、相補的な嵌合用凹凸(32、82)をそれぞれ有し、台座の嵌合用凹凸が、線の入口(24)の両側にレール(32)を形成する溝の形状を有することを特徴とする器具。
【請求項2】
弾性の差込錠が、第一のリール台(40)と連動する弾性薄板(84)と、弾性薄板に相補的な形状の、固定用台座(30)の切込み(36)とを含み、切込みが、弾性薄板を係止位置において受け止める、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
器具の本体(12)と一体化された、電動機(18)のエネルギー供給のための蓄電池(70)を含む、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
蓄電池の充電器の接続用コンセント(26)を含む、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
第一のリール台(40)が器具(10)上に受け止められているとき、第一のリール台(40)がコンセント(26)の保護カバー(46)を形成する、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
コンセント(26)が、線の入口(24)の近傍に配置される、請求項4または5に記載の器具。
【請求項7】
第一のリール台(40)とは別であり、かつ第一のリール台の固定用台座(30)と適合し得る、コンセント(26)の保護キャップ(60)を含み、保護キャップ(60)が、第一のリール台が器具の本体から取り外されるとき、固定用台座上に設置されることができる、請求項4から6のいずれか一つに記載の器具。
【請求項8】
保護キャップ(60)が、固定用台座(30)の切込み(36)と対になった弾性薄板(64)を有し、そして切込みとともに差込錠を形成する、請求
項7に記載の器具。
【請求項9】
第一のリール台(40)とは別であり、かつ器具の本体(12)から遠隔の第二のリール台(50)を含む、請求項1から8のいずれか一つに記載の器具。
【請求項10】
器具の本体(12)から遠隔であり、かつ第二のリール台(50)を備えた、ベルト(56)と背負い運搬用ハーネス(58)とのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の器具。
【請求項11】
第一のリール台の上に受けられる結束線用リールを含む、請求項1から10のいずれか一つに記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束タイ取付け用器具に関するものである。
【0002】
「ピストル型結束機」とも呼ばれる、そのような器具は、高木、中木または低木の小枝すなわち分枝の固定用に、あるいはまたブドウの若枝の、細い支柱へのまたとりわけ固定用ワイヤへの固定用に利用される。
【0003】
固定は、ピストル型結束機によって撚り合せられる結束線を使って行われる。
【0004】
本発明は、主に樹木栽培、とりわけ果樹栽培およびブドウ栽培の分野における用途を見出す。
【背景技術】
【0005】
現状技術の例証は、欧州特許出願公開第0763323号明細書に記される。
【0006】
欧州特許出願公開第0763323号明細書は、直流電流で給電される、単一の作動用電動機を備えたピストル型結束機に関している。電動機は、結束線に基づく結束タイの準備の機能のための、また結束すべき要素の周りへのその設置後に結束線を撚り合わせることにある機能のための、ピストルの結束タイ取付け用先端部の作動を確実に行う。
【0007】
結束線は、外被、好ましくは紙製またはプラスチック材料製の外被帯を備えた、まっすぐなまたは折り畳まれた、少なくとも1つの軟鋼線またはステンレス鋼線から成る。結束線は、利用者のベルトに装着される、遠隔の結束線用リールによって送り出される。
【0008】
中国特許出願公開第106818391号明細書や中国実用新案第206564982号明細書は、一体化された結束線用リールを備えたピストル型結束機を示している。
【0009】
現状技術は、局所的なリール台または遠隔のリール台を備えた結束タイ取付け用器具に関する以下の文献によってさらに例証されている。
-米国特許第3590885号明細書
-特開平07-125719号公報
-特開2010-189055号公報
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許出願公開第0763323号明細書
【文献】中国特許出願公開第106818391号明細書
【文献】中国実用新案第206564982号明細書
【文献】米国特許第3590885号明細書
【文献】特開平07-125719号公報
【文献】特開2010-189055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、既知のピストル型結束機を用いて遭遇するいくつかの困難の識別に由来する。
【0012】
以下の困難がとりわけ指摘され得る。
-遠隔のリールを伴うピストルの利用は、結束線の巻出の困難、および、利用者の近傍に位置する植物や障害物との結束線の思いがけない絡まり合いを引き起こしうる。例えば、高所への結束タイの実現は、腕を相当に伸ばすことを必要とし、またしたがって、リールと結束機との間に巻き出される結束線の長さを増加させる。そのあとでのリールに近い位置における結束タイの実現は、リールの予め巻き出された結束線についての損害リスクを招く。
-低抵抗の結束線の利用または長手方向に伸展性のある結束線の利用は、とりわけ結束タイ取付け用器具の中へのその受け入れの前に結束線が受ける応力のために、結束タイ取付け用先端部に達する前の、結束線の思いがけない伸びへと導きうる。
-ピストル型結束機と一体化された結束線の予備の利用、またとりわけピストル型結束機と一体化された結束線のリールの利用は、ピストルの重さを増加させ、よってピストルを、持続した使用に適さないものにする。
【0013】
この点で、ブドウ畑において一般に取り付けられる結束タイの数が、ブドウ園およびブドウの苗木の仕立て方式に応じて、1ヘクタールにつき結束タイ9000個から80000個の間で異なり得ることに注目することができる。
【0014】
またピストル型結束機と一体化された結束線の予備の利用は、線の重さおよび容積のために、利用可能な予備用の線の長さを著しく制限する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの困難を乗り越えるために、本発明は、以下を含む、柄を備えた器具の本体を用いた結束タイ取付け用器具を提案する。
-結束線の受入れ用の線の入口、
-結束タイ取付け用先端部、
-少なくとも1つの、結束タイ取付け用先端部の作動用電動機、および
-少なくとも1つの、結束線の予備の受入れ用の第一のリール台。
【0016】
本発明によると、器具の本体は、器具の本体上への第一のリール台の取外し可能な固定のための、第一のリール台を受け止めることのできる固定用台座を含み、固定用台座および第一のリール台は、弾性の差込錠を有する。
【0017】
第一のリール台の取外し可能な固定は、一体化されたリールを伴う器具の構成から、遠隔のリールを伴う器具の構成へ、またその逆に、素早く移って、そのとき遠隔のリールを伴う構成において器具をリールの重さから解放するだけでなく、器具を第一のリール台の重さからも解放することを可能にする。
【0018】
この特徴は、遠隔のリールを伴う形態において手で持たれる器具の重さを減らすことを可能にする。この特徴はこのように、器具を、長い利用時間にわたる集中的な利用に、より適応したものにする。この特徴は、1日の間に、さまざまな高さでの結束タイを必要とする、さまざまな高木や中木の上に、結束タイを実現することもまた可能にする。利用者はこのように、1日の作業にわたって、利用者が、利用者に関連し得る結束線の制約を受けることなく結束タイを位置決めすることを可能にし、ついで器具の取扱いに関係づけられた疲れを制限することを利用者に可能せしめるリールの遠隔の位置決めと交互に入れ替わることを可能にする、器具上の第一のリール台を利用することができる。
【0019】
一体化されたリールを伴う構成とは、第一のリール台が器具の本体上に取り付けられている構成を示す。第一のリール台は、この場合、結束タイ取付け用器具に補充する結束線のリールを備えていることができる。
【0020】
遠隔のリールを伴う構成とは、第一のリール台が、結束タイ取付け用器具から取り外されている構成から理解される。この場合、結束線の予備は、例えばベルトに装着されるリールまたは背負い運搬用ハーネスに装着されるリールから成ることができる。遠隔のリールの運搬は、器具から離されて、またこのように、ベルトまたはハーネスの上に取外し可能に位置決めされる第一のリール台を結果的に伴い得る。
【0021】
2重の構成はまた、異なる2つのタイプの結束線を用いて器具を利用することも可能にする。例えば伸ばすことのできない線の、第一のタイプの結束線は、遠隔のリールを伴う構成において利用されることができ、また例えば伸ばすことのできる結束線の、第二のタイプの結束線は、一体化されたリールを伴う構成において利用されることができる。
【0022】
第一のリール台の固定用台座が、その取外し可能な固定のために台座と適合し得るリール台を受け止め得る台座であることが考えられる。
【0023】
第一のリール台の固定用台座は好ましくは、線の入口のすぐ近くに設けられることができる。
【0024】
有利には、固定用台座と第一のリール台とは、形状の相補性による固定用台座の上への第一のリール台の固定のための、相補的な嵌合用凹凸をそれぞれ有することができる。
【0025】
そのような固定方法は、工具を伴わずかつ素早い、リール台の取外しおよび設置を可能にする。この特徴は、利用者の接触感度を減少させる保護用手袋を着用している利用者にとって、とりわけ有利である。
【0026】
台座の嵌合用凹凸はとりわけ、線の入口の両側にレールを有することができる。この配置は、線の入口にできるだけ近い、リール台の固定を可能にする。
【0027】
線の入口のすぐ近くへの第一のリール台の固定用台座の配置は、いくつもの利点を有する。該配置はとりわけ、リールと結束タイ取付け用器具とから外れた結束線がたどる距離を減らすこと、またしたがって結束線の思いがけない引っ掛かりのリスクを減らすことを可能にする。
【0028】
別の利点は、結束線の入口と結束タイ取付け用先端部とが、把握用柄の両側の、器具の本体の反対側の端に設けられるとき、器具の全体のバランスをもたらすことである。
【0029】
結束タイ取付け用器具の別の興味深い実施可能性によると、結束タイ取付け用器具は、器具の本体と一体化された、電動機のエネルギー供給のための蓄電池を有することができる。
【0030】
この場合、器具は好ましくは、蓄電池の充電器の接続用コンセントを有することができる。
【0031】
蓄電池は例えば、結束タイ取付け用器具の柄の中に収容され得る。
【0032】
器具の本体の中への蓄電池の一体化は、遠隔の蓄電池の方への給電線を回避することを可能にし、またこのように、遠隔のリールを伴う構成における利用の際の、結束線の給電線とのもつれのリスクを取り除く。それは、利用者への器具のこの余分な連結のないことを考慮して、器具の取扱いも容易にする。
【0033】
蓄電池の充電および放電は電子回路によって検査されることができ、電子回路は同じように電動機を制御する。
【0034】
器具の本体の中への蓄電池の一体化は、蓄電池、またとりわけリチウム電池、より具体的にはリチウムイオン電池またはリチウムポリマー電池の重さの減少および容量の増加によって可能になる。一体化された蓄電池によって誘発される器具の余剰重量はまた、リール台を取り外すのが可能なことにより、少なくとも部分的に補われる。
【0035】
器具の本体の中へ蓄電池を一体化するのが可能だからといって、遠隔の蓄電池を用いた器具の使用、またとりわけベルトまたは運搬用ハーネスに装着される蓄電池を用いた器具の使用の可能性が考慮に入らないわけではないことを強調することが望ましい。
【0036】
コンセントは、結束タイ取付け用器具に、蓄電池の充電器を連結することを可能にし、または場合によっては遠隔の蓄電池に器具を連結する電源ケーブルを連結することを可能にする。コンセントは、好ましくは雌型の台座から成ることができる。
【0037】
有利には、第一のリール台が器具上に受け止められているとき、第一のリール台はコンセントの保護カバーを形成することができる。コンセントはこの場合、器具の本体上への第一のリール台の設置によって保護される。コンセントはとりわけ、汚れや異物の思いがけない侵入から保護される。コンセントはまた、コンセントの中への結束線の不都合な侵入からも保護される。
【0038】
コンセントは実際に、線の入口の近傍に配置され得る。
【0039】
この場合、第一のリール台は、コンセント用カバーを形成するだけでなく、結束線の入口の方への結束線用通路もまた含んでいる。
【0040】
上に示されたように、固定用台座と第一のリール台とは、器具の本体上に第一のリール台の位置を係止するための差込錠を有する。弾性の差込錠は、結束タイ取付け用器具の本体上へのリール台の保持を保証することを可能にする。また弾性の差込錠の使用、すなわちラチェット機構付き差込錠の使用は、手袋をはめた利用者のための容易な取扱いも可能にする。
【0041】
弾性の差込錠の一つの特定の実現可能性によると、弾性の差込錠は、第一のリール台と連動する弾性薄板と、弾性薄板に相補的な形状の、固定用台座の切込みとを有し得、切込みは、弾性薄板を係止位置において受け止める。金属製薄板は例えば、ステンレス鋼製の薄板である。
【0042】
結束タイ取付け用器具は、リール台に加えて、第一のリール台とは別であり、かつ第一のリール台の固定用台座と適合し得るコンセントの保護キャップを有し得、保護キャップは、第一のリール台が器具の本体から取り外されるとき、固定用台座上に設置されることができる。
【0043】
キャップは、上で言及された、固定用台座の切込みと対になった弾性薄板を有し得、そして切込みとともに差込錠を形成し得る。
【0044】
それはまたこの場合、第一のリール台のものに匹敵する、弾性の差込錠である。
【0045】
先に既に触れられたように、器具は第一のリール台とは別であり、かつ器具の本体から遠隔の第二のリール台を、そのうえ有し得る。
【0046】
第二のリール台が器具の本体から遠隔であるのは、第二のリール台が、場合によっては器具の本体に備えられる結束線によるものとは違う仕方で器具の本体に連結されていないときである、と考えられる。
【0047】
第二のリール台は、遠隔のリールを伴う構成における器具の利用のための結束線用リールを単数または複数受けることができる。
【0048】
器具はこの場合、器具の本体から遠隔であり、かつ第二のリール台を備えた、運搬用ベルトと背負い運搬用ハーネスとのうちの少なくとも1つを有し得る。ベルトおよび/またはハーネスはまた、給電用蓄電池または補助蓄電池の運搬にも役立ち得る。
【0049】
選択的に、ベルトおよび/またはハーネスは、器具の本体の形状に類似した形状の固定用台座を有することができ、また第一のリール台は、ベルトおよび/またはハーネスの上に固定されて、したがって第二のリール台となることができる。
【0050】
遠隔のリールを用いた結束タイ取付け用器具の利用において、器具は、利用者の1つの手によって、柄の所を持たれている。利用者はこの場合、第二のリール台を、例えばベルトに装着していることができる。
【0051】
結束タイ取付け用器具は、第一のリール台の上に受けられる結束線用リールを少なくとも1つ有し得る。結束タイ取付け用器具は、必要があれば、遠隔の第二のリール台を備える単数または複数のリールを有することもできる。
【0052】
本発明の他の特徴および利点は、図面を参照して続く説明から明らかになるであろう。この説明は、例証としてかつ限定されないものとして記される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明による結束タイ取付け用器具の斜視図である。
【
図2】本発明による、手で持たれている結束タイ取付け用器具の概略図であって、遠隔のリールを用いた器具の利用を示している。
【
図3】
図1の取付け用器具の第一のリール台の斜視図であって、より大きな尺度で、部分的な分解組立図を用いている。
【
図4】
図1の取付け用器具のキャップの斜視図であって、より大きな尺度で、部分的な分解組立図を用いている。
【0054】
図面は、自由な縮尺で実現される。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、本発明による結束タイ取付け用器具10を示している。それは、始動用引き金16のついた柄14を備えた器具の本体12を有するピストル型結束機である。
【0056】
引き金は、結束タイの取付けを始動させることを可能にする。
【0057】
器具の前部には、結束タイ取付け用先端部20がある。該先端部は、結束すべき要素上を捕らえるようになるための、特徴的な、くちばし状の部分22を備えている。くちばし状の部分22は典型的には、撚り合せられる結束タイを使って固定用ワイヤの上に分枝または若枝を固定するために、分枝または若枝ならびに固定用ワイヤの上に差し込まれることができる。
【0058】
結束タイ取付け用先端部20は、本質において、くちばし状の部分22の中に収容される、枢動する線の案内フックを含む。該先端部はまた、結束線を結束すべき要素の周りにフックの中で前進させるための、結束線の駆動機構と、結束線の断片を切り分けるためのカッターと、切り分けられた結束線の断片の自由端を撚り合わせて、結束すべき要素の周りに結束タイを形成するための撚合装置も含む。これらの部材の全体は電動機18によって動かされ、電動機は破線で概略的に示されている。
【0059】
結束タイ取付け用先端部の詳細な動作は、ここでは記述されてない。必要な場合には、欧州特許出願公開第0763323号明細書を参照することができ、本発明はその改善版となっている。
【0060】
器具の後部、すなわち柄14との関係において結束タイ取付け用先端部20の反対側には、結束線用の入口24とコンセント26とがある。
【0061】
結束線用の入口24とコンセント26との周りに、器具の本体12は、第一のリール台40の取外し可能な固定のための台座30を有する。
【0062】
台座30は、線の入口24の両側に、第一のリール台40の形状の相補性による嵌め込み用レール32を形成する、溝の形状の嵌合用凹凸を有する。
【0063】
レールは、結束線用の入口24の中への結束線の進入用軸34とほぼ直角に交わるように広がる。
【0064】
固定用台座30はまた、あとで記述される弾性の差込錠用の切込み36も有する。
【0065】
結束線の入口24は、第一のリール台が台座30の上に設置されているとき、第一のリール台40によって支えられる、線のリール44からの結束線42を受け入れることができる。
【0066】
選択的に、結束線の入口はまた、
図2で示されるような遠隔の第二のリール台50によって支えられる、線のリール54からの結束線52を受け入れることもできる。この結束線52はそのとき、第一のリール台40上にあるリール44の結束線42に代わるものである。
図2の例において、遠隔の第二のリール台50は、利用者によって装着されるハーネス58のベルト56の上に取り付けられている。
【0067】
第一のリール台と第二のリール台とは、一体化されたリールを伴う構成においてか、あるいは遠隔のリールを伴う構成において、結束タイ取付け用器具の利用を可能にする。
【0068】
図1に戻ると、第一のリール台40は、それが台座30の上でしかるべき場所にあるとき、コンセント26の保護カバーとなるものである。保護カバーとなる第一のリール台の部分は、参照記号46で示されている。
【0069】
取外し可能な第一のリール台40が、器具の本体12の台座30から取り外されるとき、該リール台はそこで、キャップ60に替えられることができる。キャップ60もまた、コンセント26の保護物となる。
【0070】
保護キャップはただし、それが台座30の上でしかるべき場所にあるとき、結束線の入口24の方への通路をあける切込み68を有する。
【0071】
結束タイ取付け用器具10の電動機18の主電源は、柄14に一体化される蓄電池70から成る。蓄電池は、概略的に示されている。
【0072】
蓄電池は、取付け用器具10に外付けの、また電気ケーブルによってコンセント26に結ばれる、充電器72によって充電されることができる。蓄電池の充電時に、第一のリール台40およびキャップ60は、台座30から取り外されている。
【0073】
電動機の給電の別の可能性は、取付け用器具に外付けの、また例えばハーネス58によって装着される、遠隔の蓄電池74を利用することにある。遠隔の蓄電池もまた、コンセント26に連結されることができる。遠隔の蓄電池に頼ることは、遠隔のリールを伴う構成における器具の利用、すなわち第一のリール台40のない器具の利用に限られる。キャップ60もまた、遠隔の蓄電池74の接続のために取り外される。
【0074】
図3は、第一のリール台40と、第一のリール台に取り付けられるリール44とを、より詳細に示している。リール44は、結束線なしで示されている。
【0075】
第一のリール台40が、器具の本体12の台座30に相補的な形状をもつ固定用スタンド80を有することに注目することができる。固定用スタンド80は、台座のレール32を形成する溝の上に嵌め込まれうる2つの張り出したレール82をとりわけ含む。言葉を換えれば、固定用スタンド80のレール82は、台座30の上に第一のリール台40を嵌め込むように、形状の相補性をもつ構成にある固定用台座30のレール32の中をスライドすることができる。
【0076】
スタンド80はまた、コンセント26の保護および被覆用カバー46を形成する隔壁86も有する。
【0077】
隔壁86における開口部88は、第一のリール台40が台座30の上でしかるべき場所にあるとき、結束線の入口24の方へのリール44の結束線の通過を可能にする。
【0078】
図3で、ねじ85によってスタンドに固定される、折り曲げられた小さな金属製薄板84の、スタンド80内での存在に注目することができる。金属製薄板およびねじは、分解されて示されている。
【0079】
金属製薄板84はスタンド80内に固定されると、
図1で見ることのできる台座30の切込み36とともに、ラチェット機構付き弾性の差込錠を構成する。金属製薄板のひじ形に曲げられた部分は、台座30の上への第一のリール台40の設置の際に切込みの中に捕らえられるようになり、よって台座の上に第一のリール台を留め置くことを可能にする。
【0080】
差込錠の解除は、弾性の金属製薄板を折り曲げてそれを切込み36から離脱させるのに十分なレール82の軸における引張り力を、第一のリール台40へ加えることよって行われる。
【0081】
図4は、第一のリール台40に代わって器具の本体12の台座30の上に据え付けられうるキャップ60を、より大きな尺度で示している。キャップの一般的な構成は、
図3を参照して記述されるスタンド80のものに類似している。
【0082】
キャップ66は、コンセント26用の保護カバーを形成する隔壁66と、結束線の通路用の切込み68とを有する。
【0083】
キャップ66はまた、
図2のスタンド80のレール82に匹敵するレール62も含む。キャップ60のレール62は、器具の本体12の台座30のレール32の上に、形状の相補性によって嵌め込まれることができる。
【0084】
キャップ60はまた、ねじ65によって固定される金属製薄板64も有する。金属製薄板64は、スタンド80の金属製薄板84とまったく同じように、器具の本体12の台座30の切込み36とともに弾性の差込錠を構成することを可能にする。
【符号の説明】
【0085】
10 結束タイ取付け用器具
12 器具の本体
14 柄
18 作動用電動機
20 結束タイ取付け用先端部
24 線の入口
30 固定用台座
36 弾性の差込錠
40 第一のリール台