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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】センサと無線通信する通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240118BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240118BHJP
   H04J 3/16 20060101ALN20240118BHJP
【FI】
H04Q9/00 311K
A61B5/00 102A
A61B5/00 A
H04J3/16 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020560941
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2019060988
(87)【国際公開番号】W WO2019214989
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】18171073.2
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ウォールスラヘル マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヘイウィッツ ハンスユールフ
(72)【発明者】
【氏名】ハル ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ビハルケ アンドレ
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0049644(US,A1)
【文献】特開2007-006078(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102247160(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
A61B 5/00
H04J 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと無線で通信する通信装置であって、前記通信装置は、
信号を受信する受信機と、
前記受信した信号を増幅する増幅器と、
信号を送信する送信機と、
前記受信機及び前記送信機を制御するコントローラとを有し、
前記コントローラが第1のモードで作動可能であり、前記第1のモードにおいて、前記コントローラは、前記信号を経時的に受信するよう前記受信機を制御し、増幅された前記受信した信号の強度を示す信号強度値を経時的に決定し、
前記コントローラが、第2のモードで作動可能であり、前記第2のモードにおいて、前記コントローラ、前記決定された信号強度値に基づいて、前記センサに信号を送信するよう前記送信機を制御し、及び信号を受信するよう前記受信機を制御し
前記通信装置は、第1のネットワークに関連付けられ、第2の通信装置は、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに関連付けられ、
前記コントローラは、
前記第2の通信装置の送信時間期間の開始によりもたらされる、前記経時的に決定された信号強度値の所定のパターンが開始する時間的位置を決定する、並びに
前記決定された時間的位置に基づいて、前記センサに信号を送信するよう前記送信機を制御する、及び前記センサから信号を受信するよう前記受信機を制御し
前記コントローラは、前記決定された信号強度値を使用して、前記第1のネットワーク上の前記通信装置の通信と、前記第2のネットワーク上の前記第2の通信装置の通信とを同期させる
通信装置。
【請求項2】
前記コントローラが、受信信号強度インジケータレベルを前記信号強度値として決定する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記コントローラ及び前記受信機が、前記第1のモード及び前記第2のモードにおいて、同じ周波数帯域内の同じ周波数チャネルを使用して前記信号が受信されるよう構成される、請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記コントローラが、前記時間的位置の決定が、a)信号強度値が所定の第1の閾値よりも大きい、及びb)前記信号強度値の微分値が所定の第2の閾値よりも大きい、の少なくとも1つの条件が満たされるときを決定することを含む、請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記コントローラが、所定の送信時間の間に信号が前記送信機から前記センサに送信され、この後の所定の受信時間の間に前記センサからの信号が前記送信機により受信されるように、前記受信機及び前記送信機を制御し、
前記送信時間期間及び前記受信時間期間は、連続的に繰り返されるフレーム時間期間の一部であり、前記繰り返しフレーム時間期間の始点が、前記決定された時間的位置に、前記フレーム時間期間の時間的長さの倍数を加えた時間的位置に整列される、請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信装置が、前記センサを充電する充電ユニットを更に有し、
前記コントローラは、前記充電ユニットがセンサを充電する場合、前記第1のモードで作動される、請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記コントローラが、前記センサとの通信が時分割多重化技術又は時分割多重アクセス技術を使用するように前記受信機及び前記送信機を制御する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
前記コントローラが、前記第2のモードの間、経時的に前記信号強度値を決定し、前記決定された信号強度値が所定の信号強度閾値よりも大きいかどうか、及び/又は前記決定された信号強度値が最大値に達したかどうかを決定し、並びに、前記決定された信号強度値が前記所定の信号強度閾値よりも大きいかどうか及び/又は前記決定された信号強度値が最大値に達したかどうかに基づき、前記第2のモードから前記第1のモードに切り替える、請求項1に記載の通信装置。
【請求項9】
前記コントローラが、前記第1のモードで作動される場合、平均信号強度値の変動を示す変動値を決定し、各平均信号強度値は、所定の勾配閾値よりも大きい勾配を有する信号強度値の増加と、絶対値が前記所定の勾配閾値よりも大きい負の勾配を有する信号強度値の減少との間の信号強度値の平均値であり、前記コントローラが、前記変動値が所定の変動閾値よりも小さい場合、前記第2のモードにおける制御のためだけに経時的に決定された信号強度値を使用する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項10】
患者を監視する患者モニタであって、
前記患者の生理学的特性を示す信号を測定し、通信装置に送信するセンサと無線で通信する請求項1に記載の通信装置と、
前記センサから前記通信装置に送信された信号に基づき、生理値を決定するプロセッサと、
前記決定された生理値を出力する出力ユニットとを有する、患者モニタ。
【請求項11】
センシングシステムであって、
請求項1に記載のセンサと無線で通信する通信装置と、
前記センサとを有する、センシングシステム。
【請求項12】
前記センサが、人の生理学的特性を測定する、請求項11に記載のセンシングシステム。
【請求項13】
センサと無線で通信する通信装置を作動させる方法において、
請求項1に記載の通信装置のコントローラを第1のモードで作動させるステップであって、前記通信装置の受信機が、経時的に信号を受信し、増幅された前記受信した信号の強度を示す信号強度値を経時的に決定する、ステップと、
前記通信装置のコントローラを第2のモードで作動させるステップであって、前記通信装置の送信機が、前記センサに信号を送信し、前記通信装置の受信機が、前記センサから前記通信装置に送信された信号に基づき、前記センサから前記通信装置に送信された信号を受信する、ステップとを有し、
前記通信装置から前記センサへの信号の送信と、前記通信装置による前記センサからの信号の受信とが、前記決定された信号強度値に基づき制御され、
前記通信装置は、第1のネットワークに関連付けられ、第2の通信装置は、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに関連付けられ、
前記コントローラが、前記第2の通信装置の送信時間期間の開始によりもたらされる、前記経時的に決定された信号強度値の所定のパターンが開始する時間的位置を決定し、前記決定された時間的位置に基づいて、前記センサに信号を送信するよう前記送信機を制御する、及び前記センサから信号を受信するよう前記受信機を制御し、
前記コントローラは、前記決定された信号強度値を使用して、前記第1のネットワーク上の前記通信装置の通信と、前記第2のネットワーク上の前記第2の通信装置の通信とを同期させる
方法。
【請求項14】
センサと無線で通信する通信装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが、前記通信装置を制御するコンピュータ上で実行されるときに、前記請求項1に記載の通信装置に前記請求項13に記載の方法のステップを実行させるためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胎児の心臓活動を測定するために妊婦の腹部に配置されるセンサのようなセンサと無線で通信する通信装置に関する。本発明は、通信装置を含む、患者を監視する患者モニタと、通信装置及びセンサを含むセンシングシステムとに関する。また、本発明は、通信装置を作動させる方法、及びセンサと無線通信する通信装置を制御するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者を監視するために、無線センサが患者に配置されることができる。これは、生理信号を測定し、測定した生理信号を通信装置に送信する。通信装置は生理信号を受信し、受信した生理信号は、ユーザに出力されることができる心拍数のような生理値を決定するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
センサ及び通信装置に近接して、即ちこの第1のセンシングシステムに近接して、生理信号を測定するための複数のセンサと通信装置とを有する第2のセンシングシステムが使用される場合、第1のセンシングシステムのセンサと通信装置との間の通信は、第1及び第2のセンシングシステムが周波数帯域内の異なるチャネルで通信するとしても、第2のセンシングシステムの送信動作により妨害され、またその逆も起こりうる。この妨害は、センサからそれぞれの通信装置への信号の送信品質を低下させ、及び従ってそれぞれの患者監視手順の品質を低下させる可能性がある。
【0004】
本発明の目的は、別のセンサと無線通信する別の通信装置が通信装置に近接している場合に、センサとの無線通信を改善することを可能にする通信装置を提供することにある。本発明の更なる目的は、通信装置を含む、患者を監視する患者モニタと、通信装置及びセンサを有するセンシングシステムとを提供することにある。更に、本発明の目的は、通信装置を作動させる方法及び通信装置を制御するためのコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の側面では、センサと無線で通信する通信装置が提示され、この通信装置は、
信号を受信する受信機と、
受信した信号を増幅する増幅器と、
信号を送信する送信機と、
上記受信機及び上記送信機を制御するコントローラであって、上記コントローラが、経時的に信号を受信するよう上記受信機を制御し、経時的に信号強度値を決定し、信号強度値が、増幅された受信信号の強度を示す第1のモードと、上記コントローラが、決定された信号強度値に基づき、センサに信号を送信する送信機と信号を受信する受信機とを制御する第2のモードとで動作可能であり、上記コントローラは、経時的に決定された信号強度値における所定のパターンの開始の時間的位置を決定し、上記決定された時間的位置に基づき、上記センサに信号を送信する送信機と、上記センサからの信号を受信する受信機とを制御するよう構成される。
【0006】
第1の通信装置であるとみなされることができる通信装置の他に、追加的な第2の通信装置が第1の通信装置に近接している場合、第2の通信装置による信号の送信は例えば、第1の通信装置の増幅器の飽和、歪み等をもたらす可能性があり、これらは、時間の経過とともに決定された、即ち測定された信号強度値に見られる。こうして、第1の通信装置により受信及び増幅された信号の強さを示す信号強度値を経時的に観察することで、第2の通信装置が信号を送信するタイミングを示すインジケーションが提供されることができる。これは、第2の通信装置がこの第2の通信装置に割り当てられたセンサに信号を送信している間、第1の通信装置のコントローラが、信号を受信しないように受信機を制御することを可能にし、これにより、第1の通信装置による信号の受信が、第2の通信装置による信号の送信により悪影響を受けないことが確実にされる。実際には、コントローラは、2つの通信装置の一方が信号を送信している場合には、2つの通信装置の他方が信号を受信しないことを確実にするため、第1の通信装置により行われる信号の送信及び受信が、第2の通信装置により行われる信号の送信及び受信と同期するように、第1の通信装置の受信機と送信機とを制御することができる。これは、第1の通信装置と第1の通信装置に割り当てられたセンサとの間の通信が、第2の通信装置と第2の通信装置に割り当てられたセンサとの間の通信により妨害される可能性を低減することを可能にし、またその逆も可能にする。
【0007】
好ましくは、コントローラは、受信信号強度インジケータ(RSSI)レベルを信号強度値として決定するよう構成される。RSSIレベルを信号強度値として使用することにより、第2の通信装置の送信時間期間が非常に信頼性高く決定されることができ、これにより、第1の通信装置との通信が第2の通信装置との通信により妨害されない可能性を更に高めることができ、また、その逆も可能であることがわかった。
【0008】
更に、好ましくは、第1のモード及び第2のモードにおいて、同じ周波数帯域内の同じ周波数チャネルを使用して信号が受信されるよう、コントローラ及び受信機は構成される。こうして、第1のモードでは、例えば、第2の通信装置が送信時間期間を有するタイミングを決定するために、第2の通信装置が通信を行うチャネルを使用する必要はない。従って、比較的低い技術的努力で妨害の可能性が低減されることができる。
【0009】
上記コントローラは、上記経時的に決定された信号強度値における所定のパターンの開始の時間的位置を決定し、上記決定された時間的位置に基づき、上記センサに信号を送信する送信機と上記センサからの信号を受信する受信機とを制御するよう構成される。特に、コントローラは、時間的位置の決定が、以下の条件の少なくとも1つが満たされるときを決定することを含むよう構成されており、その条件は、a)信号強度値が所定の第1の閾値よりも大きい、又はb)信号強度値の微分値が所定の第2の閾値よりも大きい、である。コントローラは、これらの条件の少なくとも1つが満たされるかどうかを決定するために、単一の信号強度値又は平均信号強度値を使用するよう構成されることができる。特に、所定の時間期間にわたり平均化された平均信号強度値を用いることが好ましい。なぜなら、それらは変動の影響を受けにくいからである。更に、コントローラは、所定の送信時間期間の間に送信機からセンサに信号が送信され、その後の所定の受信時間期間の間にセンサからの信号が送信機により受信されるように、受信機及び送信機を制御するよう構成されることができる。上記送信時間期間及び上記受信時間期間は、連続的に繰り返されるフレーム時間期間の一部であり、上記繰り返しフレーム時間期間の始点は、上記決定された時間的位置に上記フレーム時間期間の時間的長さの倍数を加えた位置と整列される。ここでは、第1の通信装置とみなされることができる通信装置の近傍にある第2の通信装置が、同じ長さのフレーム時間期間を持ち、フレーム時間期間内の送信時間期間及び受信時間期間の時間的な位置及び長さが同様に、第2の通信装置に関して同じであることを前提とする。これは、通信装置、即ち第1の通信装置の送信及び受信期間と、第1の通信装置に近接している別の、第2の通信装置の送信及び受信期間との同期を更に向上させることを可能にする。フレーム時間期間の長さと、フレーム時間期間内の送信時間期間及び受信時間期間の時間的な位置及び長さとは好ましくは、信号強度値における所定のパターンを規定する。
【0010】
一実施形態では、通信装置は、センサを充電する充電ユニットを更に含み、ここで、コントローラは、充電ユニットがセンサを充電する場合、第1のモードで作動するよう構成される。これは、第1の通信装置がセンサからの信号を受信するために使用されていない可能性が非常に高い間、信号強度値を経時的に決定することを可能にする。なぜなら、センサが充電されるからである。こうして、経時的な信号強度値の決定は、意図される感知時間を使用することなく実行されることができる。
【0011】
増幅器は好ましくは、低雑音増幅器である。更に、通信装置は、1つのセンサ又は複数のセンサと通信することができる。即ち、「センサ」及び「上記センサ」という言葉の使用は、通信装置が複数のセンサと通信することを排除するものではない。特に、通信装置は好ましくは、スター構成で複数のセンサと通信するよう構成される。コントローラは好ましくは、センサとの通信が時分割多重化(TDM)技術又は時分割多重アクセス(TDMA)技術を使用するように受信機及び送信機を制御するべく構成されている。これは、センサと通信装置との間で非常に信頼性の高い堅牢な通信を可能にする。
【0012】
通信装置は好ましくは、基地局であるが、他の任意の通信装置であってもよい。また、2つ以上の通信装置が存在することも可能であり、これらの通信装置は、送信及び受信を同時に行うよう、互いに自動的に同期をとることができる。例えば、2つ以上の通信装置が近接して使用される場合、最初は、その1つの通信装置が第2のモードで作動される。即ち、この通信装置は、この通信装置に割り当てられたセンサと通信する。他の通信装置は、第1のモードで作動される。このモードは、リスニングモードであるとみなされることもでき、そこでは、第2のモードで作動される通信装置の送信及び受信時間期間を検出するために、通信装置はそれぞれの受信信号強度値を経時的に観察する。第1のモードで作動している間に経時的に測定された信号強度値に基づき、他の通信装置は、送信及び受信を行う第2のモードで作動されることができる。
【0013】
通信装置は、スイッチを有することができ、これは、ユーザが通信装置の動作を第1のモードから第2のモードに、及びその逆に切り替えることを可能にする。スイッチは、待機モードから通常動作モードに切り替えるために使用されるスイッチであってもよく、この場合、待機モードでは通信装置はリスニング中、即ち第1のモードであり、通常動作モードでは通信装置は第2のモードである。コントローラはまた、第2のモードの間、経時的に信号強度値を決定するよう構成され、決定された信号強度値が所定の信号強度閾値よりも大きいかどうか、及び/又は決定された信号強度値が最大値に達したかどうかを決定するよう構成され、決定された信号強度値が所定の信号強度閾値よりも大きいかどうか、及び/又は決定された信号強度値が最大値に達したかどうかに基づき、第2のモードから第1のモードに切り替えるよう構成されていてもよい。特に、コントローラは、決定された信号強度値が所定の信号強度閾値よりも大きい場合、及び/又は決定された信号強度値が最大値に達した場合それぞれ、第2のモードから第1のモードに自動的に切り替えるよう構成される。実施形態では、信号は、デジタルデータパッケージ伝送を使用して無線周波数リンクを介して送信される。コントローラは、第2のモードにおいて、経時的なデータパッケージの損失を決定するよう構成されることができ、決定された信号強度値が所定の信号強度閾値よりも大きいかどうか、及び/又は、決定された信号強度値が最大値に達したかどうかを決定するよう構成され、上記データパッケージの損失が所定のデータパッケージ損失閾値よりも大きいかどうかを決定するよう構成され、a)上記決定された信号強度値が上記所定の信号強度閾値よりも大きい場合、及び/又は上記決定された信号強度値が最大値に達した場合、並びにb)上記データパッケージ損失が上記所定のデータパッケージ損失閾値よりも大きい場合、上記第2のモードから上記第1のモードに自動的に切り替えるよう構成される。閾値は、較正により予め決定されることができる。これは、通信装置が、近くにある1つ又は複数の他の通信装置との間で同期が取れなくなったときを決定することを可能にし、その後、第1のモードでコントローラを作動させることにより、同期化プロセスが再び実行される。
【0014】
一実施形態では、コントローラは、第1のモードで作動される場合、平均信号強度値の変動を示す変動値を決定し、各平均信号強度値は、所定の勾配閾値よりも大きい勾配を有する信号強度値の増加と、絶対値が所定の勾配閾値よりも大きい負の勾配を有する信号強度値の減少との間の信号強度値の平均値であり、上記コントローラが、上記変動値が所定の変動閾値よりも小さい場合、上記第2のモードにおける制御のためだけに経時的に決定された信号強度値を使用する。勾配閾値は、較正により予め設定されることができる。こうして、より大きな距離で作動する更なる通信装置により引き起こされる可能性のある信号強度値の強い変動がある場合、信号強度値が同期に適していない場合があり、従って、好ましくは使用されない。
【0015】
本発明の更なる側面では、患者を監視する患者モニタが提示され、患者モニタが、
患者の生理学的特性を示す信号を測定し、通信装置に送信するよう構成されたセンサと無線で通信する請求項1に記載の通信装置と、
センサから通信装置に送信された信号に基づき、生理値を決定するプロセッサと、
決定された生理値を出力する出力ユニットとを有する。
【0016】
本発明の別の側面において、センシングシステムが提示され、センシングシステムは、請求項1に記載のセンサと無線通信する通信装置と、センサとを有する。センサは好ましくは、人の生理的特性を測定するよう構成される。センサ例えば、超音波センサ、圧力センサ、血中酸素センサ、心電図センサ等とすることができる。例えば、センサは、妊婦に装着され、胎児の心臓活動を測定するよう構成されたドップラー超音波センサであってもよい。
【0017】
本発明の更なる側面では、センサと無線通信する通信装置を作動させる方法が提示され、この方法は、
請求項1に記載された通信デバイスのコントローラを第1のモードで作動させるステップであって、上記通信装置の受信機が、経時的に信号を受信し、増幅された受信信号の強度を示す信号強度値を経時的に決定する、ステップと、
上記通信装置のコントローラを第2のモードで作動させるステップであって、上記通信装置の送信機が上記センサに信号を送信し、上記通信装置の受信機が、上記センサから上記通信装置に送信された信号に基づき、上記センサから上記通信装置に送信された信号を受信する、ステップとを有し、上記通信装置から上記センサへの信号の送信と、上記通信装置による上記センサからの信号の受信とが、決定された信号強度値に基づき制御され、上記コントローラが、上記経時的に決定された信号強度値における所定のパターンの開始の時間的位置を決定し、上記決定された時間的位置に基づき、上記センサに信号を送信する送信機と、上記センサからの信号を受信する受信機とを制御する。
【0018】
本発明の別の側面において、センサと無線通信する通信装置を制御するためのコンピュータプログラムが提示され、上記コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムが通信装置を制御するコンピュータ上で実行されるとき、請求項1に記載された通信装置が請求項13に記載された方法のステップを実行することをもたらす。
【0019】
請求項1の通信装置、請求項8の患者モニタ、請求項10のセンシングシステム、請求項13の方法、及び請求項14のコンピュータプログラムは、特に従属請求項に記載されるように、類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有することを理解されたい。
【0020】
本発明の好ましい実施形態はまた、従属請求項又は個別の独立請求項に伴う上記実施形態の任意の組み合わせであってもよいことを理解されたい。
【0021】
本発明のこれらの及び他の態様が、以下に説明される実施形態より明らとなり、これらの実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】超音波ドップラーセンサ、TOCOセンサ及び患者モニタと無線で通信する通信装置を含むセンシングシステムを概略的かつ例示的に示す図である。
図2】センシングシステムのセンサを概略的かつ例示的に示す図である。
図3】センシングシステムの通信装置を概略的かつ例示的に示す図である。
図4】通信装置及びセンサとの間の通信に用いられるフレームを示す図である。
図5】異なるセンシングシステムの異なる通信装置間の干渉を概略的かつ例示的に示す図である。
図6】2つの通信装置の同期動作を概略的かつ例示的に示す図である。
図7】経時的な信号強度値を概略的に示す図である。
図8】経時的に決定された信号強度値における所定のパターンを検出するアルゴリズムを例示的に説明するフローチャートを示す図である。
図9】経時的に決定された信号強度値における所定のパターンを検出する別のアルゴリズムを例示的に説明するフローチャートを示す図である。
図10】通信装置を備えた患者モニタの実施形態を概略的かつ例示的に示す図である。
図11】センサと無線通信する通信装置を作動させる方法の実施形態を例示的に説明するフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、センサと、センサと無線通信する基地局である通信装置とを有するセンシングシステムの実施形態を概略的かつ例示的に示す。この実施形態では、センサ4は、妊婦2の腹部7に配置されており、センサ4は、ベルト6を使用して所定の位置に保持される。センサ4は、胎児の心臓の活動を示すドップラー超音波信号を測定するドップラー超音波センサと、子宮収縮を示すTOCO信号を測定するTOCOセンサとを含む。測定値は、基地局8に送信され、これは更に受信した信号を患者モニタ10に送信する。患者モニタは、受信した信号に基づき胎児の心臓活動及び子宮収縮を示す値を決定し、決定した値を出力するよう構成される。この実施形態では、心臓の活動を示す決定された値は、胎児心拍数(FHR)であり、子宮収縮を示す値は、TOCO値である。決定した値はディスプレイに出力されることができる。しかしながら、それらは別の態様で出力されることもできる。例えば、それらは、印刷されることができる。患者モニタ10は、決定された値が所定の値の範囲外にある場合に、アラームを提供するよう構成されることもできる。図1は2つのセンサ4を示すが、基地局8は、2つ以上のセンサ4と通信してもよいし、1つのセンサ4のみと通信してもよいことに留意されたい。1つのセンサのみが使用される場合、このセンサは、胎児心拍数、母体心拍数、子宮収縮、温度等のような複数の生理学的特性を測定するマルチパラメータセンサであり得る。この場合、複数の対応する測定要素が、単一のセンサに統合される。
【0024】
図2は、センサ4の1つの要素の一部を概略的かつ例示的に示す。センサは、ドップラー超音波トランスデューサ11と、測定されたドップラー超音波信号を基地局8に送信する送信機12と、基地局8からの信号を受信する受信機13と、センサの異なる要素を制御するコントローラ14とを有する。センサ4は、明確にするために図2にて図示省略されるが、増幅器、プロセッサ等のような更なる要素を含むことができる。
【0025】
図3は、基地局8の要素を概略的かつ例示的に示す。基地局8は、信号を受信する受信機15と、受信した信号を増幅する増幅器16と、信号を送信する送信機17と、基地局8の異なる要素を制御するコントローラ18とを有する。特に、コントローラ18は、信号を受信する受信機15を経時的に制御し、増幅された受信信号の強度を示す信号強度値を経時的に決定する第1のモードと、決定された信号強度値に基づき、センサ4に信号を送信する送信機17と、信号を受信する受信機15とを制御する第2のモードとで作動されるよう構成される。この実施形態では、コントローラ18は、それぞれの信号強度値としてRSSIレベルを決定するよう構成される。更に、第1のモードと第2のモードとにおいて、同じ周波数帯域内の同じチャネルを使用して信号が受信されるよう基地局8は構成され、増幅器16は低ノイズアンプ(LNA)であり、基地局8及びセンサ4は、TDMA技術が使用されるスター構成で通信するよう構成される。また、基地局4は、明確にするために図3にて図示省略される更なる要素を含むことができる。
【0026】
好ましくは、第2のモードでは、コントローラ18は、最初に、ネットワークに含まれる、即ちセンシングシステム1内のセンサ4を同期させるのに役立つビーコン信号を送信機17が定期的に送信するように、基地局8を制御する。ビーコン信号は、通信チャネルへのアクセス時間を規定する各センサ4のための時間情報も含み、即ち、各センサ4が基地局8にそれぞれの測定信号を送信すべき時間を規定し、ここで、これらのアクセス時間は、フレームに関して、即ち、フレーム時間期間に関して規定される。こうして割り当てられたタイムスロットは、それぞれのビーコン信号の時間情報を適宜変更することにより、基地局8によりフレーム間で動的に変更されることができる。センサ4が何らかの理由で基地局8からのビーコン信号を受信できない場合、各センサ4は自動的に送信を停止する。この通信プロトコルは、図4にも示される。
【0027】
図4は、フレーム時間期間27を有するフレームを概略的かつ例示的に示す。フレーム時間期間27は、送信時間期間21と、スイッチオーバー時間期間22と、受信時間期間28とにより形成される。送信時間期間21の間、コントローラ18は、ビーコン信号20が異なるセンサ4に送信されるように送信機17を制御する。このビーコン信号20は、基地局8とセンサ4との同期のために使用され、個々のセンサ4がいつ基地局8に信号を送信できるかを個々のセンサ4に対して示す時間情報を含む。この例では、3つの異なるセンサの対応するタイムスロットが、ボックス23、24、25により示される。これらのタイムスロットは受信時間期間28内にあり、これらのタイムスロットの間、各センサは基地局8にその信号を送信する。これらのタイムスロット23、24、25の間には、基地局8が異なるセンサから受信した異なる信号を明確に区別できるようにするための時間的ギャップ29、30がある。更に、送信時間期間21と受信時間期間28との間のスイッチオーバー時間期間22は、基地局8が送信動作から受信動作へ切り替えることを可能にするために使用される。フレームが終了すると、次のフレームは、次のビーコン信号26で開始される。好ましくは、送信時間期間21は、フレームのはるかに大きな部分の間、基地局8が受信動作中であるように、フレーム時間期間27の10%よりも小さい。この通信プロトコルの実行は、第2のモードで行われる。
【0028】
受信時間期間28の間、基地局8は、割り当てられたセンサ4の応答を待っており、この間、強い送信機が近接している場合、LNA16は飽和の影響を受けやすい。こうして、第1の基地局とみなされることができる基地局8の受信時間期間28の間に、近接する第2の基地局がビーコン信号の送信を開始する場合、第1の基地局8によるセンサ4からの信号の受信が妨害される。この妨害は、第1のセンサと見なされることができる割り当てられたセンサ4を有する第1の基地局8と、第2のセンサと見なされることができる割り当てられたセンサを有する第2の基地局とが、同一の周波数帯域内で異なるチャネルを使用している場合にも存在する。
【0029】
基地局8及びセンサ4は、無線通信の技術の当業者にはよく知られており、従って、図2及び図3にて図示省略されるバンドフィルタのような更なる要素を含む。バンドフィルタリング好ましくは、受信信号がLNA16により増幅された後に行われる。その結果、基地局8のLNA16の飽和に対する感受性は、受信動作のチューニングとは無関係である。言い換えると、第1の基地局及び第2の基地局が、それぞれ割り当てられたセンサとの通信に同じ周波数帯の異なるチャネルを使用している場合であっても、信号強度値は、第2の基地局により行われる送信及び受信のタイムスケジュールに関する好ましいインジケータである。
【0030】
図5は、第1の基地局8が使用され、同時に更なる第2の基地局が使用される場合に、スペクトルアナライザを使用した実際の状況の記録を概略的かつ例示的に示される。特に、図5は、異なる周波数/及び異なる時間tに対する信号強度を示しており、参照符号31は、第1の基地局8により使用されるチャネルを示し、参照符号32は、第2の基地局により使用される第2のチャネルを示す。更に、参照符号33は、第1の基地局8の送信時間期間を示し、参照符号34は、第1の基地局8への無線センサの送信を示し、参照符号35は、第2の基地局の送信時間期間を示し、参照符号36は、第2の基地局への無線センサの送信を示す。なお、符号37は、第2の基地局により行われる送信が第1の基地局8により行われる受信を妨害することを示す。なぜなら、第2の基地局が、第1の基地局8の受信時間期間に信号を送信しているからである。
【0031】
図5は、2つの異なるネットワーク、即ち、割り当てられたセンサを持つ2つの異なる基地局の経時的な周波数帯域占有率を示す。各チャンネル間の間隔は、本実施例では約150kHzである。領域38は、第1の基地局又は割り当てられた第1のセンサの送信活動を示し、領域39は、第2の基地局又は割り当てられた第2のセンサの送信活動を示す。この図では、両方のネットワークが自由に動作しており、送信時間はそれぞれのネットワークに対してランダムである。これは、異なる患者の無線センサを異なる時期に適用する場合には当然のことである。本実施例は、第1の基地局が受信動作を行っているときに丁度第2の基地局が送信を開始するという望ましくない状態を示す。この望ましくない状態は、2つのネットワークが互いに何も知らない限り、防止されることはできない。
【0032】
このため、コントローラ18は、第1の基地局及び割り当てられた第1のセンサの送受信を、第2の基地局及び割り当てられた第2のセンサの送受信と同期させるために、第1の基地局の送受信を制御するよう、経時的に決定された信号強度値、即ち本実施形態では経時的に決定されたRSSIレベルを使用するよう構成される。基地局及び割り当てられたセンサをそれぞれ有する2つ以上のネットワークが近接して使用される場合、即ちそれらが互いに影響し合うような場合には、すべての基地局が、同時的な送信及び受信サイクルを使用することを強制されるべきである。これは、全ての基地局が、図4を参照して上述した通信プロトコルのような同一の通信プロトコルを使用し、第1の基地局8を参照して上述したコントローラ18が使用される場合に実現され得る。対応する同期化された動作が図6に示される。
【0033】
図6において、参照符号33は、第1の基地局8及び第2の基地局の送信時間期間を示し、参照符号34は、第1の基地局8及び第2の基地局の受信時間期間を示し、即ち、本実施例ではこれらの時間期間は両基地局で同じである。これに対応して、図6では、第1の基地局又は第1のセンサの送信活動を示す領域38と、第2の基地局又は第2のセンサの送信活動を示す領域39とが同期化される。基地局の送信動作から受信動作への切り替えは、同時に行われ、その結果、これ以上の相互干渉が起こらない。
【0034】
同期されるべき基地局は、同一の無線方式、即ち同一の通信プロトコルを有する。即ち、それらは、第2のモードで使用される同一フレーム時間期間内での送信時間期間及び受信時間期間の同じ分布を有する。同期を実施するために、RSSIレベルが間欠的に測定されることができ、即ち、受信機15により受信された信号及び増幅器16により増幅された信号に基づき決定されることができる。こうして、第1の基地局8の対応する無線チップを用いて、第1のモードにおけるRSSIレベルが測定及び分析されることができる。LNA16が、例えば近接した第2の送信基地局により強制的に飽和状態にされる場合、この飽和は、RSSIレベルの変化において観測可能である。上述したように、受信動作、即ち、例えば、対応する無線チップは、干渉器の周波数、即ち、例えば、第2の基地局により使用されるチャンネルにチューニングされる必要はない。自局の無線チャンネルのRSSI信号を一定時間にわたって記録すれば十分である。これは、飽和検出のための時間的な労力を大幅に削減することができる。なぜなら、個々のチャンネルごとにスキャンする必要がないからである。
【0035】
図7は、時間tにわたる任意の単位でのRSSIレベルを概略的かつ例示的に示す。この図から分かるように、時間的な位置(α)では、第2の基地局が第1の基地局8に近接している送信時間期間の開始を示すRSSIレベルが急上昇している。第2の基地局の送信時間期間及び受信時間期間のフレームは、経時的なRSSIレベルの所定のパターンをもたらし、この所定のパターンは、第2の基地局の繰り返しフレーム42で繰り返され、この繰り返しパターンは、第2の基地局の送信時間期間の開始を示すRSSIレベルの急上昇で始まる。その後、第2の基地局の送信時間期間40の終了を示す時間位置(β)で急降下するまでRSSIレベルは比較的一定である。(α)のRSSIレベルの急上昇と(β)のRSSIレベルの急降下との間の時間長40は、第2基地局の送信時間期間に対応する。こうして、この所定のパターンの開始は、RSSIレベルの上昇、即ち微分値が所定の閾値よりも大きいタイミング、及び/又はRSSIレベルの絶対値が所定の閾値よりも大きいタイミングを決定することにより、経時的に決定されるRSSIレベルにおいて検出されることができる。RSSIレベルの微分値は、以下の式
で規定されることができる。
【0036】
そのため、微分値xは、パターン検出を開始するためのトリガ信号として使用されることができる。パターン検出は、少なくとも、経時的に決定された信号強度値、即ち本実施形態ではRSSIレベルにおける所定のパターンの開始の時間的位置を検出することを含み、ここで、センサ4に信号を送信する送信機17及びセンサ4からの信号を受信する受信機15は、決定された時間的位置に基づき制御される。実施形態では、所定のパターンは、以下で説明するフローチャートを示す図8に基づき、経時的に決定された信号強度値において決定される。
【0037】
ステップ101では、RSSIレベルが測定され、履歴バッファに格納される。即ち、コントローラ18が、RSSIレベルを決定し、決定されたRSSIレベルが格納される履歴バッファを含む。このRSSIレベルの決定は、複数の後続の時間点で連続的に行われ、ここでは、後続の2つの時間点間の時間的距離はAtである。更に、ステップ102において、コントローラ18は、微分値xが第1の閾値よりも大きいか否かを決定する。大きくない場合、方法はステップ101に進む。大きい場合、方法はステップ103に進む。こうして、RSSIレベルが連続的に決定され、微分値xが連続的に計算され、微分値xが第1の閾値よりも大きいかどうかが連続的にチェックされ、微分値xが第1の閾値よりも大きくなるまで、これらのステップが継続される。この場合、上述したように、方法はステップ103に進む。ビーコン時間に対応する所定の待ち時間、即ち、互いに妨害しあう可能性のあるすべての基地局について既知で同じである送信時間期間に対応する所定の待ち時間が経過した後、RSSIレベルの急峻な立ち下がりエッジが予想される。図7では、この急峻な立ち下がりエッジが(β)で示される。この待ち時間の間に、RSSIレベルはAt毎に再び連続的に測定される。図8では、これは要素103により示される。ステップ104において、コントローラ18は、待ち時間の終了時に負の微分値-xが第2の閾値より大きいかどうかを決定し、大きくない場合には、方法はステップ101に進む。大きい場合、方法はステップ105に進む。
【0038】
異なるネットワーク、即ち競合する場合がある異なる基地局のためのビーコン時間、即ち送信期間は常に同一であるので、アルゴリズム、即ち図8に示される方法は、時間的位置(α)におけるRSSIレベルの上昇に対応する時間的位置(β)におけるRSSIレベルの低下を予想する。これは、他方の基地局、即ち第2の基地局の無線チップが送信から受信に切り替わる瞬間である。従って、この瞬間は、図4に示されたスイッチオーバー時間期間22に対応しており、この第2の基地局でのスイッチオーバー時間期間の後、第2の基地局で受信時間期間が開始される。この受信時間期間の間、第2の基地局に割り当てられた第2のセンサは、第2の基地局により所定のシーケンスでデータ、即ちセンシング信号を送信することが許可されており、ここで、第2のセンサは、送信時間期間の間にビーコン信号を送信することにより、このシーケンスについて第2の基地局により通知される。特に、シーケンスは、受信時間期間のどの部分が各センサにより使用されることができるかを各センサ毎に予め規定している。これは、第2の基地局から送信されるビーコン信号ごとに、フレーム時間内で動的に変化することができる。センサは典型的には身体に装着されるので、必ずしも関連する基地局のすぐ近くにあるわけではない。センサと基地局との距離は、RSSIレベルのわずかな低下で多かれ少なかれ目立つ。
【0039】
センサが第2の基地局に信号を送信する時間期間は、図7に示される例では、時間的な位置(β)から時間的な位置(γ)に達する。この例では、時間的位置(γ)及び(δ)の間の時間は未使用である。従って、RSSIレベルはノイズレベルに戻る。時間的位置(β)に対する時間的距離41を有する時間的位置(δ)では、第2の基地局の新たなフレームが、更なるビーコン信号の送信で、即ち送信時間期間で開始される。これに対応して、RSSIレベルは、立ち上がりエッジを有し、その結果、第1の基地局8は、第2の基地局が新しいフレームで開始したことを知る。従って、図8に示されるアルゴリズムは、既知の時間フレーム期間から既知の送信時間期間を差し引いた時間フレーム期間を待ち、ステップ105でAt毎にRSSIレベルを測定する。ステップ106では、第2の基地局での新フレームの開始を検出するために、微分値xが第1の閾値よりも大きいかどうかが再度確認される。微分値が第1の閾値よりも大きくない場合、方法はステップ101に進む。大きい場合、方法はステップ107に進む。RSSIレベルにおける所定のパターンの検出された時間的位置(δ)で、第1の基地局8に割り当てられた任意のセンサ4、即ち任意の第1のセンサがアクティベーションの準備ができている場合、第1の基地局8はここで、ビーコン信号の送信を開始することができる。即ち基地局は、その送信時間期間を開始することができる。こうして、ステップ107において、コントローラ18は、トランスデューサが作動しているかどうかを決定し、作動している場合、ステップ108において、センサとの通信が開始される。作動していない場合、方法はステップ101に進む。
【0040】
トランスデューサが作動しているかどうか、即ちセンサが基地局8との通信の準備ができているかどうかを決定するため、センサが基地局8にドッキングされていない場合、即ち基地局8とペアリングされ、アンドッキングされた後であれば、センサが通信の準備ができていると仮定されることができる。このセンサが基地局8にドッキングされるか否かの検出には、多くの手法が用いられることができる。例えば、リードスイッチが磁石と共に用いられることができる。更に、センサが基地局にドッキングされる間、センサと基地局との間に有線又は無線リンクのデータ接続が好ましくは存在し、このデータ接続の中断は、センサがドッキングされておらず、それ故にアクティベートされることができることを示すことができる。
【0041】
ステップ108では、両方の基地局、即ち両方のネットワークが同時に送信し、これによりLNAの相互飽和が回避される。第2の基地局のフレームに対応するRSSIレベルの所定パターンの開始の時間的位置(δ)を決定することにより、第1の基地局8の繰り返しフレーム時間期間の開始が、決定した時間的位置(d)にフレーム時間長の時間的長さの倍数を加えた時間的位置に揃えられることが確実にされることができる。これは、第1の基地局及び第2の基地局のフレームが同期化されることを確実にする。
【0042】
図8では、RSSIレベルのサーベイランス及びパターン認識の1つの可能な方法のみが図示される。もちろん、他のRSSIレベルのサーベイランス及びパターン認識技術を使用して、第1の基地局を、第2の基地局と、及びオプションで、同じフレーム時間期間を持ち、このフレーム時間期間内の送信及び受信時間期間を持つ更なる基地局と、同期させることも可能である。可能性としての代替的な変形例が、図9に示される。図9において、ステップ201及び202は、ステップ101及び102に対応する。ステップ203では、ビーコン時間、即ち送信時間期間の待機が行われ、At毎にRSSIレベルが測定され、RSSIレベルが格納される。例えば、図7に示した時間期間40内のRSSIレベルの平均値が格納されることができる。この格納されたRSSIレベルは、第1のRSSIレベルと呼ばれることができる。ステップ204は、ステップ104に対応し、即ち、ステップ204において、時間的位置(β)の急峻な立と下がりエッジが検出される。この急峻な立ち下がりエッジが検出される場合、方法はステップ205に進み、ステップ205では、フレーム時間期間の残りの部分の待機が行われ、即ち、フレーム時間期間から送信時間期間を差し引いた期間の待機が行われ、At毎にRSSIレベルが測定される。更に、(β)と(δ)との間の時間期間内のRSSIレベルの平均値が格納され、この格納された平均RSSIレベルは第2のRSSIレベルと呼ばれる。
【0043】
ステップ206では、a)微分値xが第1の閾値より大きいかどうか、b)第2のRSSIレベルが第1のRSSIレベルから定数Aを引いた値より大きいかどうか、c)第2のRSSIレベルが第1のRSSIレベルに定数Bを加えた値より小さいかどうかが決定される。これらの条件がすべて満たされる場合、方法はステップ207に進む。満たされない場合、方法はステップ201に進む。定数A、Bは、事前に規定され、例えば較正により決定される。ステップ207及び208は、ステップ107及び108に対応する。
【0044】
基地局は移動するものではなく、規定された場所に固定されるので、連続した2つのビーコンの値が大きく異なることはないはずである。連続したピーク値又は平均値の強い変動は、同期にはあまり適していない遠く離れた場所で動作しているネットワークのインジケータとなる可能性がある。こうして、一実施形態では、コントローラは、第1のリスニングモードで作動された場合、異なるフレーム期間における平均信号強度値の変動を示す変動値を決定するよう構成されることができ、各フレーム期間において、平均信号強度値は、信号強度値の急上昇及び急下降の間の信号強度値の平均である。言い換えると、図7では、このフレームの信号強度値平均を決定するために、位置(α)と位置(β)との間の信号強度値の平均値が算出され、これらの平均値が複数のフレームについて決定された後、これらの平均値の統計的分散のような変動が決定される。結果として得られる変動値は、現在経時的に測定される信号強度値が同期に適しているかどうかを決定するために、コントローラにより使用され得る。例えば、コントローラは、変動値が所定の変動閾値よりも小さいかどうかを決定することができ、小さい場合、コントローラは、現在経時的に測定される信号強度値が同期に適していると決定することができ、その場合、コントローラは、経時的に測定された信号強度値を第2のモードでの送信及び受信を制御するために使用することができる。変動閾値は、較正により予め規定されることができる。
【0045】
更に、一実施形態では、通信装置、即ち上述の実施形態では基地局は、a)固定フレーム期間及び/又はb)固定送信期間及び/又はc)固定受信期間を有していないが、これらの期間の少なくとも1つは、第1のモードにおいて経時的に決定された信号強度値に基づき適応可能である。例えば、第2のモードでは、第1のモードで経時的に決定された信号強度値に基づき、フレーム時間期間及び/又はフレーム時間期間内の送信時間期間が決定されることができ、ここで、通信装置の送信機及び受信機は、決定されたフレーム時間期間及び決定された送信時間期間に基づき作動されることができる。
【0046】
基地局8及びセンサ4を含むセンシングシステムは好ましくは、2つ以上のセンサを含むカーディオトコグラフィ(CTG)システムである。しかしながら、センシングシステムは、他の生理学的信号、又は非生理学的論理信号を測定するよう構成されることもできる。
【0047】
多くの類似した無線ネットワークが狭い空間内でグループ化される場合、強力な送信機と他の受信機との近接は、増幅器、即ち例えばLNAの飽和を引き起こす場合がある。この飽和は、システムの不安定化、又は1つ若しくは複数の無線ネットワークシステムの完全な故障をもたらす可能性がある。上述したセンシングシステムは、複数の医療ネットワークを同期させることで、狭い空間でも途切れることなくネットワークを利用する可能性を提供する。
【0048】
センシングシステムのセンサは、特に患者モニタリングの分野で様々なパラメータを測定することができる無線センサである。センサは好ましくは、患者の身体の最適な場所に個別に配置可能な小型の自律型デバイスである。上記無線センサは、上記センサの無線通信を制御するセンシングシステムの基地局と無線ネットワークを介して関連付けられる。便宜上、基地局は患者モニタに部分的に又は完全に統合されていてもよい。斯かる患者モニタは、図10に例示的かつ概略的に示される。
【0049】
図10において、患者モニタ301は、センサ4と無線通信する基地局8と、センサ4から基地局8に送信された信号に基づき生理的値を決定するプロセッサ302とを有する。患者モニタ301は更に、決定された生理学的値を出力するためのディスプレイ、音響出力ユニット、プリンタ等のような出力ユニット303を有する。患者モニタ301は、センサ4を使用することにより、モニタされたパラメータ、即ち生理学的値を表示、アラーム、及び/又は文書化する責任を負うよう構成され得る。
【0050】
無線センサの利点は、産科の分野では特に重要である。斯かる状況では、母体及び胎児の多くの異なるパラメータが、妊婦の体の異なる場所で非侵襲的に測定されることができる。痛みを大幅に軽減した良い出産の進捗のためには、無線センサが最適である。なぜなら、それらは、女性の動きの自由度を大幅に高めることができるからである。例えば、図1を参照して上述したセンサネットワークが、陣痛時及び分娩時に使用されることができる。図1において、2つのセンサ4は、弾性ベルト6により所定の位置に保持されており、これらのセンサ4は、上述した胎児心拍数及び子宮活動のような様々なパラメータを測定するよう構成されるだけでなく、母体心拍数のような更なるパラメータを測定するよう構成されることができる。
【0051】
実施形態では、センサは、防水であり、その結果、それらは例えば、バスタブ又はシャワーの下など、水中で使用されることができる。従って、センシングシステムは、水中での無線伝送の減衰が比較的低い周波数を使用するよう構成されることができる。特に、センシングシステムは好ましくは、ZigBeee、Bluetooth、WiFi IEEE802などで使用される2.4GHzのISMバンドを使用するようには構成されない。代わりに、センシングシステムは好ましくは、サブGHzレンジの周波数帯を使用するよう構成される。実施形態では、センシングシステムは、ヨーロッパ及び他の地域では433MHzのISMバンド、米国では608MHzのWMTSバンド、又は日本では920MHzのT108バンドを使用するよう構成される。
【0052】
上述したように、センサは、産科で使用されるよう構成されることができ、ここで、センサは好ましくは、例えば胎児の心臓活動を監視するよう構成された超音波ドップラーセンサを含む。このセンサは非侵襲的で使いやすく、最適な配置位置を探すとき直接音響フィードバックを提供する。胎児の心臓の正確な位置は測定開始時には必ずしも分かっていないので、女性の腹部においてセンサを動かして心臓の位置が特定されなければならない。この探索のためには、音響フィードバックがほぼ瞬時に、かつ遅延なく得られることが好ましい。ZigBee、Bluetoothなどの2.4GHz帯の標準的な通信プロトコルは、この要件を満たしていない。特に、これらの標準的な通信プロトコルは、多数の参加者による無線ネットワークの簡単な構築を可能にするが、それらは、不定の遅延時間及びロストデータパッケージの繰り返し機構のため、オーディオサウンドのようなリアルタイムデータの伝送には適していない。従って、特に図1を参照して上述したセンシングシステムは、標準的な通信プロトコルを用いるのではなく、上述したように、送信時間期間(ビーコン信号期間)、スイッチオーバー時間期間、及び受信時間期間を含むフレームを有する通信プロトコルを用いる。このプロトコルは好ましくは、超音波ドップラー信号の安全かつ時間予測可能な伝送を確実にするために、TDMA方式を使用する。センサを小型軽量化するために、送信機及び受信機を含む無線チップがセンサに一体化されており、これらの無線チップは異なる無線周波数にプログラムされることができる。好ましくは、異なる無線チャネルは、相互干渉の可能性を低減するために、異なるセンシングシステムに割り当てられる。この無線チャネルの割り当ては、インストール時に固定設定で行われることも、又は各基地局により動的に自己組織化して行われることも可能である。更に、センサは好ましくは、同じチャネルをカバーする任意の基地局で使用されるよう構成される。上記センサ及び上記基地局は、上記センサが上記基地局にドッキング可能であるよう構成されることができ、上記センサが上記基地局にドッキングされた場合、上記基地局は、この基地局との通信のための通信情報を上記センサに配信し、ここで、対応するデータ接続は、無線リンク又は有線データ接続とすることができる。例えば、基地局は、使用されるチャネルに関してドッキングされたセンサに通知することができる。また、フレーム時間期間に関する情報がドッキングされたセンサに提供される場合がある。各ネットワークに関わるセンサ、即ち個別のセンシングシステムに関わるセンサと、基地局との間の通信は双方向であるため、センサと基地局との間の情報交換は、センサが基地局にドッキングされていない場合でも、いつでも可能であり、この情報交換は例えば、無線リンクの状態が悪化した場合に、実行中に動的にチャネルを変更するために使用されることができる。即ち、センサ及び基地局は、「スマートホッピング」を使用して構成されることができる。
【0053】
例えば図1を参照して上述したセンシングシステムが使用されない場合、周波数計画を行う、複数の基地局を設定する、及び2つ以上のセンシングシステム間、特に2つ以上の基地局間の距離を規定するための詳細な指示は、相互変調及びLNAの飽和を回避するために、例えば製造業者により提供され得る。しかし、日常の実務では、設置のための指示を無視していたり、トレーニングを受けていなかったり、設置前の計画及び準備が不十分だったり、時間的なプレッシャーがあったり、構造条件によるスペースの制限があったりすることにより、対応するガイドラインが常に守られるとは限らない。これらのガイドラインが守られず、その後、例えば2つの異なるセンシングシステムの2つの基地局、即ち2つの異なるネットワークの2つの基地局間の分離距離が指示されるよりも小さい場合、基地局の1つの増幅器、即ち入力増幅器は、それが受信のために作動され、近接する他の基地局が同時に送信している場合には、その飽和レベルに達する可能性がある。増幅器の飽和は、妨害された基地局がそれに割り当てられたセンサからの無線信号をもはや受信することができないことを意味する。これは、受信機の入力フィルタが帯域全体をカバーしなければならず、隣接するチャンネルを抑制できないためである。結果として、無線ネットワークが部分的に又は完全に途絶えることになる。増幅器のこの飽和は、無線受信機の原理に内在するものであり、それぞれのネットワークの全体的な性能を損なうことなく、バンドフィルタ又は減衰器などのハードウェア手段により影響を受けることはできない。これらの理由から、例えば図1を参照して上述したセンシングシステムは、近接した狭い空間に複数のセンシングシステムが共存することを確実にするために、増幅器の飽和状態を回避することを可能にする。この回避は、経時的に決定された信号強度値に基づき異なる基地局の送信及び受信を同期させることにより達成される。
【0054】
無線センサは好ましくは、充電可能な電池を使用して通電され、ここで、センサ及び基地局は、それぞれのセンサが基地局にドッキングされる場合、基地局がそれぞれの電池を充電するよう構成される。基地局は、図3に概略的かつ例示的に示される充電ユニット19の対応するドッキング場所9を含むことができる。コントローラ18は、第1のモードで作動され、即ち、充電ユニット19がセンサを充電する場合に、基地局8の送信及び受信動作と隣接する基地局の送信及び受信動作とを同期させるためのトリガ信号を提供するため、信号強度値を経時的に決定するよう構成されていてもよい。これは、有益である。なぜなら、充電動作の間、一般的にセンサが基地局に送信される生理信号を測定しないからである。こうして、コントローラ18を第1のモードで動作させても、測定時間が削減されることはない。
【0055】
センサがドッキングされる場合には、消費電力及び無線トラフィックを削減するため、充電されるかどうかとは無関係に、無線送信をオフにするようセンサは構成されることができる。
【0056】
以下では、センサと無線通信する基地局を作動させる方法の一実施形態が、図11のフローチャートを参照して例示的に説明される。
【0057】
ステップ401において、基地局8のコントローラ18は、第1のモードで動作し、ここで、基地局8の受信機15は、経時的に信号を受信し、経時的に信号強度値を決定し、ここで、信号強度値は、増幅された受信信号の強度を示す。ステップ402において、基地局8のコントローラ18は、第2のモードで動作し、ここで、基地局8の送信機17は、センサ4に信号を送信し、基地局8の受信機15は、センサ4から基地局8に送信された信号に基づき、センサ4から基地局8に送信された信号を受信する。この基地局8からセンサ4への信号の送信と、基地局8によるセンサ4からの信号の受信とは、経時的に決定された信号強度値に基づき制御される。
【0058】
隣接するセンシングシステム間の干渉を回避するために、基地局は、より高いレベルの制御インスタンスを使用しない。即ち、密接に配置された個々のネットワークの同期化は、より高いレベルの制御インスタンスを使用しない。同じクラスのネットワーク、即ちセンシングシステムは、フィンガープリントを使用して、即ち、このクラスのネットワークにのみ適用される経時的に決定された信号強度値のパターンを使用して、空気中で識別される。同一クラスの個々のネットワーク間の別々の通信接続を備える上位ハードウェア又は処理ユニットを持つことは要求されない。特に医療ネットワークの場合、ZigBeee、Bluetooth、WiFi等のような異なる伝送技術との衝突の可能性は比較的低い。なぜなら、例えば図1を参照して上述したセンシングシステムは他の予約周波数帯を使用することができるからである。そのため、同一周波数帯内で異なるチャネルを使用する自クラスのネットワークにより作成された干渉にだけ注意すればよい。自己組織化アプローチが提供されており、これは、上位コーディネーターモジュール、個別の通信又はトリガーラインを必要としない。
【0059】
開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の請求項の研究から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び達成され得る。
【0060】
請求項において、「有する」という語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除するものではない。
【0061】
単一のユニット又は装置は、特許請求の範囲に記載された複数のアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0062】
受信機及び送信機の制御、経時的な信号強度値の決定などのような1つ又は複数のユニット又は装置により実行される手順は、他の任意の数のユニット又は装置により実行されることもできる。これらの手順及び/又は基地局を作動させる方法による基地局の制御は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として、及び/又は専用のハードウェアとして実現されることができる。
【0063】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に、又は他のハードウェアの一部として提供される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体に保存/配布されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してといった他の形態で配布されてもよい。
【0064】
請求項における参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0065】
本発明は、センサと無線通信する通信装置に関する。通信装置は、信号を受信する受信機と、受信した信号を増幅する増幅器と、信号を送信する送信機と、コントローラとを有する。上記コントローラは、増幅された受信信号の強度を示す信号強度値が経時的に決定される第1のモードと、上記決定された信号強度値に基づき信号の送信及び受信が制御される第2のモードとで動作可能である。決定された信号強度値は例えば、別の、隣接する通信装置の送信動作により引き起こされる増幅器の飽和を示すことができる。その結果、決定された信号強度値を考慮することにより、通信装置により実行される送信が、隣接する通信装置の対応する動作と同期されることができる。これは、妨害を軽減することをもたらすことができる。
図1
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