(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240118BHJP
H02K 3/34 20060101ALI20240118BHJP
H02K 11/25 20160101ALI20240118BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20240118BHJP
H02P 29/62 20160101ALI20240118BHJP
H02P 29/64 20160101ALI20240118BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B25F5/00 H
B25F5/00 Z
H02K3/34 B
H02K11/25
H02K11/33
H02P29/62
H02P29/64
(21)【出願番号】P 2020563216
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2019050174
(87)【国際公開番号】W WO2020137911
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2018242997
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 晃
(72)【発明者】
【氏名】神田 圭
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-140966(JP,A)
【文献】特許第3699025(JP,B2)
【文献】特許第5019960(JP,B2)
【文献】特開2018-107889(JP,A)
【文献】特開2017-093072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
H02K 3/34
H02K 11/25
H02K 11/33
H02P 29/62
H02P 29/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
被駆動部材を装着するように構成された駆動部であって、前記駆動部は前記モータの回転力が伝達されるように構成され、前記駆動部は前記駆動部に装着された前記被駆動部材を前記回転力によって駆動するように構成され、前記被駆動部材は前記駆動部に駆動されることにより作業対象に作用するように構成されている、駆動部と、
温度センサと、
前記温度センサに接続された電気配線と、
を備え、
前記モータは、
ステータと、
ロータと、
を備え、
前記ステータは、
第1の内周面を備える円筒体と、
前記第1の内周面に立設された歯と、
前記歯に巻回され、電力を受けることにより磁力を発生するように構成されたコイルと、
を備え、
前記温度センサ及び前記電気配線は、前記歯に設けられており、
前記電気配線は、前記歯と一体的に形成された導体パターンを備える、
電動作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の電動作業機であって、
前記歯は第1の側面を備え、
前記温度センサは、前記第1の側面に設けられている、
電動作業機。
【請求項3】
請求項2に記載の電動作業機であって、
前記温度センサは、前記第1の側面における、前記モータの回転軸に沿った軸方向において前記モータの外部と対向する領域に設けられている、電動作業機。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の電動作業機であって、
前記温度センサは、前記第1の側面において、前記コイルによって前記温度センサの全体が覆われるように設けられている、
電動作業機。
【請求項5】
モータと、
被駆動部材を装着するように構成された駆動部であって、前記駆動部は前記モータの回転力が伝達されるように構成され、前記駆動部は前記駆動部に装着された前記被駆動部材を前記回転力によって駆動するように構成され、前記被駆動部材は前記駆動部に駆動されることにより作業対象に作用するように構成されている、駆動部と、
温度センサと、
を備え、
前記モータは、
ステータと、
ロータと、
を備え、
前記ステータは、
第1の内周面を備える円筒体と、
前記第1の内周面に立設された歯と、
前記歯に巻回され、電力を受けることにより磁力を発生するように構成されたコイルと、
磁性体を含むステータコアと、
樹脂を含むインシュレータと、
を備え、
前記ステータコアは、
前記円筒体の第1の部分に対応するコア筒体と、
前記歯の第1の部分に対応するコア歯と、
を備え、
前記インシュレータは、
前記円筒体の第2の部分に対応するインシュレータ筒体と、
前記歯の第2の部分に対応するインシュレータ歯と、
を備え、
前記温度センサは、前記インシュレータ歯に設けられている、
電動作業機。
【請求項6】
請求項5に記載の電動作業機であって、
前記歯は第1の側面を備え、
前記インシュレータ筒体は、前記第1の内周面の一部に対応する第2の内周面を備え、
前記インシュレータ歯は、
前記第2の内周面に立設された歯本体であって、前記歯本体は筒状の形状を備え、前記歯本体は前記モータの回転軸に向かって突出した端部を備え、前記歯本体は前記第1の側面の一部に対応する第2の側面を備え、前記歯本体は前記コイルが巻回される、歯本体と、
前記端部に設けられたフランジ状の先端部材と、
を備え、
前記温度センサは、前記第2の側面に設けられている、
電動作業機。
【請求項7】
請求項6に記載の電動作業機であって、
前記歯本体は、
前記第2の側面から立設された第1リブと、
前記第2の側面から立設された第2リブであって、前記第2リブは前記第1リブと対向する、第2リブと、
を備え、
前記温度センサは、前記第2の側面において前記第1リブと前記第2リブとの間に設けられている、
電動作業機。
【請求項8】
請求項7に記載の電動作業機であって、
前記第1リブ及び前記第2リブは、前記円筒体の径方向に延在され、
前記第1リブは、部分的に低くされた第1低壁部を備え、
前記第2リブは、部分的に低くされた第2低壁部を備え、
前記第1低壁部及び前記第2低壁部は、前記円筒体の周方向に沿って互いに一部又は全部が重なるように設けられている、
電動作業機。
【請求項9】
請求項7または請求項8のいずれか1項に記載の電動作業機であって、
前記歯本体は、前記第2の側面上に設けられた収容空間であって、前記収容空間は、前記第1リブ、前記第2リブ、前記先端部材及び前記インシュレータ筒体によって囲まれた収容空間を備え、
前記温度センサは、前記収容空間に設けられており、
前記歯本体は、さらに、前記収容空間内において前記温度センサの一部又は全てを覆うように設けられた絶縁部材を備える、
電動作業機。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の電動作業機であって、
前記温度センサは、前記コイルが前記温度センサに接している、
電動作業機。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の電動作業機であって、
前記温度センサは、柱状の形状を備え、
前記温度センサは、前記円筒体の径方向に延在する、
電動作業機。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の電動作業機であって、
前記モータは、ブラシレスモータである
電動作業機。
【請求項13】
モータと、
被駆動部材を装着するように構成された駆動部であって、前記駆動部は前記モータの回転力が伝達されるように構成され、前記駆動部は前記駆動部に装着された前記被駆動部材を前記回転力によって駆動するように構成され、前記被駆動部材は前記駆動部に駆動されることにより作業対象に作用するように構成されている、駆動部と、
温度センサと、
を備え、
前記モータは、
ステータと、
ロータと、
を備え、
前記ステータは、
第1の内周面を備える円筒体と、
前記第1の内周面に立設された歯と、
前記歯に巻回され、電力を受けることにより磁力を発生するように構成されたコイルと、
を備え、
前記温度センサは、前記歯に設けられており、
さらに、
接続部材と、
前記接続部材に接続された被接続部材であって、前記被接続部材は前記接続部材から離脱可能に構成されている、被接続部材と、
を備え、
前記被接続部材は、金属を含む第1の端子を備え、
前記接続部材は、
絶縁性材料を含む接続本体であって、前記接続本体は表面を備える、接続本体と、
前記表面に設けられた配線パターンであって、前記配線パターンは前記温度センサと電気的に接続されている、配線パターンと、
前記表面に設けられた第2の端子であって、前記第2の端子は金属を含み、前記第2の端子は前記配線パターンと電気的に接続され、前記第2の端子は前記第1の端子が接触されると共に前記第1の端子と電気的に接続され、前記第2の端子は、前記配線パターンよりも硬い及び/または前記配線パターンよりも厚い、第2の端子と、
を備える、電動作業機。
【請求項14】
請求項13に記載の電動作業機であって、
前記接続本体は、前記絶縁性材料を含む一体成形部材を含み、
前記絶縁性材料は樹脂を含み、
前記第2の端子は、前記接続本体に一体的に設けられ、
前記第2の端子の一部は、前記接続本体に埋め込まれている、
電動作業機。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の電動作業機であって、
前記接続部材は、前記ステータに設けられている、電動作業機。
【請求項16】
請求項15に記載の電動作業機であって、
前記ステータは、樹脂を含むインシュレータを備え、
前記接続本体は、前記インシュレータの一部に対応する、
電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本国際出願は、2018年12月26日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2018-242997号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2018-242997号の全内容を本国際出願に参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、モータを備えた電動作業機における、モータの温度を検出するための温度センサを搭載する技術に関する。
【背景技術】
【0003】
下記の特許文献1は、温度センサが設けられたモータを備えた電動工具を開示している。その電動工具は、温度センサにより検出された温度に基づいて、モータを過負荷運転から保護するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モータにおいて最も発熱しやすい部位の1つは、電流が供給されるコイルである。そのため、モータの温度を適正に検出するためには、温度センサをコイルの近くに設けることが望ましい。
【0006】
温度センサをコイルの近くに設ける方法として、例えば、温度センサを、接着剤を用いてコイルに直接固定する方法が考えられる。しかし、複数のモータが製造される場合に、複数のモータのそれぞれにおいてコイルが必ずしも互いに均一に巻かれるとは限らない。そのため、温度センサをコイルに安定的に固定することは容易ではない。
【0007】
本開示の1つの局面は、電動作業機におけるモータの温度を適正且つ安定的に検出できることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの局面における電動作業機は、電力を受けて回転するように構成されたモータと、駆動部と、温度センサとを備える。駆動部は、モータの回転力が伝達される。駆動部は、被駆動部材(作業出力部材)が装着されるように構成されている。駆動部は、駆動部に装着された被駆動部材をモータの回転力によって駆動するように構成されている。被駆動部材は、駆動部に駆動されることにより作業対象に作用するように構成されている。
【0009】
モータは、ステータと、ロータとを備える。ステータは、円筒体(環状部材)と、歯と、コイルとを備える。円筒体は、第1の内周面を備える。歯は、第1の内周面に立設されている。コイルは、歯に巻回されている。コイルは、電力を受けることにより磁力を発生する。温度センサは、歯に設けられている。
【0010】
このように構成された電動作業機では、温度センサが、コイルが巻回される歯に設けられる。そのため、温度センサによってモータの温度を適正且つ安定的に検出することが可能となる。
【0011】
なお、被駆動部材は、駆動部に着脱可能に構成されていてもよい。作業対象はどのようなものであってもよい。作業対象は、例えば、各種の被加工材、各種の固着具、植物、粉塵、気体、液体、その他の様々なものであってもよい。各種の被加工材は、例えば木材、金属、プラスチックなどを含んでいてもよい。各種の固着具は、例えばネジ、釘、ナットなどを含んでいてもよい。被駆動部材は、作業対象に対してどのように作用してもよい。被駆動部材は、例えば、被加工材に作用してもよい。より具体的には、被駆動部材は例えば、被加工材に穴を開けるように作用してもよいし、被加工材を切断又は研磨するように作用してもよい。被駆動部材は、例えば、固着具に作用してもよい。より具体的には、被駆動部材は例えば、ネジを回転させるように作用することによってネジを被固着部材に螺入させるように構成されていてもよい。また例えば、被駆動部材は、電動作業機の周囲の空気に作用してもよい。より具体的には、被駆動部材は例えば、電動作業機の周囲の空気にエネルギーを与えて気流を発生させるように作用していてもよい。その気流は、例えば、電動作業機から空気が放出されるように発生してもよい。その気流は、電動作業機へ空気が流入するように発生してもよい。また例えば、被駆動部材は、液体に作用して液体を放出又は吸入するように構成されていてもよい。また例えば、被駆動部材は、植物に作用してもよい。より具体的には、例えば、被駆動部材は、草や小径木などの植物を刈り払うように構成されていてもよい。
【0012】
歯は、第1の側面を備えていてもよい。温度センサは、第1の側面に設けられていてもよい。
【0013】
温度センサは、第1の側面における、モータの回転軸に沿った軸方向においてモータの外部と対向する領域に設けられてもよい。このように構成された電動作業機では、モータに温度センサを実装しやすくなり、モータに温度センサを実装する作業を効率的に行うことができる。
【0014】
温度センサは、第1の側面において、コイルによって温度センサの全体が覆われるように設けられてもよい。このように構成された電動作業機では、コイルから発生する熱が適正且つ迅速に温度センサに伝達され得る。そのため、温度センサによってモータの温度を適正且つ迅速に検出することが可能となる。
【0015】
ステータは、磁性体を含むステータコアと、樹脂を含むインシュレータとを備えていてもよい。ステータコアは、円筒体の第1の部分に対応するコア筒体と、歯の第1の部分に対応するコア歯とを備えていてもよい。インシュレータは、円筒体の第2の部分に対応するインシュレータ筒体と、歯の第2の部分に対応するインシュレータ歯とを備えていてもよい。そして、温度センサは、インシュレータ歯に設けられていてもよい。
【0016】
このように構成された電動作業機では、ステータコアとインシュレータとを備えるステータにおいて、温度センサがインシュレータに設けられている。そのため、温度センサをモータに容易に実装することが可能となる。
【0017】
なお、インシュレータは、樹脂のみを含んでいてもよい。インシュレータは、樹脂及び樹脂とは異なる絶縁性部材を含んでいてもよい。インシュレータは、樹脂とは異なる絶縁性部材のみを含んでいてもよい。また、インシュレータは、どのような方法で作製されてもよい。インシュレータは、例えば、射出成形法などの成形方法により一体的に成形されてもよい。
【0018】
インシュレータ筒体は、第1の内周面の一部に対応する第2の内周面を備えていてもよい。インシュレータ歯は、歯本体と、先端部材とを備えていてもよい。歯本体は、第2の内周面に立設されていてもよい。歯本体は、モータの回転軸に向かって突出した端部を備えていてもよい。歯本体は、第1の側面の一部に対応する第2の側面を備えていてもよい。歯本体は、コイルが巻回されていてもよい。先端部材は、前記端部に設けられていてもよい。先端部材は、フランジ状の形状を備えていてもよい。温度センサは、第2の側面に設けられていてもよい。
【0019】
このように構成された電動作業機では、温度センサが第2の側面に設けられるため、温度センサをモータにより容易に実装することが可能となる。
【0020】
歯本体は、第1リブと第2リブとを備えていてもよい。第1リブ及び第2リブは、第2の側面から立設されていてもよい。第2リブは、第1リブと対向していてもよい。この場合、温度センサは、第2の側面において、第1リブと第2リブとの間に設けられていてもよい。
【0021】
このように構成された電動作業機では、第1リブと第2リブとの間に温度センサが設けられるため、コイルに加わる圧力を軽減することが可能となる。
【0022】
第1リブ及び第2リブは、円筒体の径方向に延在されていてもよい。第1リブは、第2の側面からの高さが部分的に低くされた第1低壁部を備えていてもよい。第2リブは、第2の側面からの高さが部分的に低くされた第2低壁部を備えていてもよい。第1低壁部及び第2低壁部は、円筒体の周方向に沿って互いに一部又は全部が重なるように設けられていてもよい。つまり、第1リブ及び第2リブの各々は、段差を備えていてもよい。
【0023】
このように構成された電動作業機では、歯にコイルを巻回する作業の初期段階において、第1低壁部及び第2低壁部が存在する位置からコイルを巻き始めることができる。この場合、巻き始めのコイルの位置が、円筒体の径方向において、第1低壁部及び第2低壁部が延在する範囲内に定まれ得る。そのため、歯にコイルを巻回する作業を適正且つ効率的に行うことが可能となる。
【0024】
歯本体は、第2の側面上に設けられた収容空間を備えていてもよい。収容空間は、第1リブ、第2リブ、先端部材及びインシュレータ筒体によって囲まれていてもよい。温度センサは、収容空間に設けられていてもよい。歯本体は、さらに、絶縁部材を備えていてもよい。絶縁部材は、収容空間内において、温度センサの一部又は全てを覆うように設けられていてもよい。
【0025】
このように構成された電動作業機では、温度センサを絶縁部材で覆う作業を効率的に行うことが可能となる。
【0026】
温度センサは、コイルが温度センサに接するように設けられていてもよい。このように構成された電動作業機では、コイルから発生する熱がより適正且つ迅速に温度センサに伝達される。そのため、温度センサによってモータの温度をより適正且つ迅速に検出することが可能となる。
【0027】
温度センサは、柱状の形状を備えていてもよい。この場合、温度センサは、円筒体の径方向に延在していてもよい。このように構成された電動作業機では、温度センサと対向する領域の巻回数を多くすることができる。そのため、モータの温度をより精度良く検出することが可能となる。なお、温度センサのより具体的な形状はどのような形状であってもよい。温度センサは、例えば円柱状であってもよいし、角柱状(換言すれば立方体状又は直方体状)であってもよい。
【0028】
モータは、ブラシレスモータであってもよい。
【0029】
電動作業機は、さらに、接続部材と、被接続部材とを備えていてもよい。被接続部材は、接続部材に接続されていてもよい。被接続部材は、接続部材から離脱可能に構成されていてもよい。被接続部材は、金属を含む第1の端子を備えていてもよい。接続部材は、接続本体と、配線パターンと、第2の端子とを備えていてもよい。接続本体は、絶縁性材料を含んでいてもよい。接続本体は表面を備えていてもよい。配線パターンは、前記表面に設けられていてもよい。配線パターンは、温度センサと電気的に接続されていてもよい。第2の端子は、前記表面に設けられていてもよい。第2の端子は、金属を含んでいてもよい。第2の端子は、配線パターンと電気的に接続されていてもよい。第2の端子は、第1の端子が接触されると共に第1の端子と電気的に接続されてもよい。第2の端子は、配線パターンよりも硬い及び/または前記配線パターンよりも厚くてもよい。
【0030】
上述の電動作業機では、第1の端子と第2の端子との電気的接続(導通)を良好に維持できる。そのため、温度センサと第1の端子との電気的接続を、第2の端子を介して良好に維持できる。
【0031】
接続本体は、一体成形部材を含んでいてもよい。第2の端子は、接続本体に一体的に設けられていてもよい。第2の端子の一部は、接続本体に埋め込まれていてもよい。このような電動作業機では、第2の端子が接続本体に適正に固定され得る。
【0032】
前記接続部材は、ステータに設けられていてもよい。
【0033】
ステータは、樹脂を含むインシュレータを備えていてもよい。接続本体は、インシュレータの一部に対応していてもよい。このような電動作業機では、接続部材を、インシュレータと共に効率的に設けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図2】実施形態の電動作業機の内部構成を示す側面図である。
【
図3】実施形態の電動作業機の電気的構成を表すブロック図である。
【
図6】コイルが取り除かれた状態のステータの斜視図である。
【
図7】コイルが取り除かれた状態のステータの分解斜視図である。
【
図9】センサ搭載第1歯及びその近傍の斜視図である。
【
図10】センサ搭載第1歯及びその近傍の正面図である。
【
図11】カバー及びコーティング剤が取り除かれた状態のセンサ搭載第1歯及びその近傍の第1の斜視図である。
【
図12】カバー及びコーティング剤が取り除かれた状態のセンサ搭載第1歯及びその近傍の第2の斜視図である。
【
図13】
図8におけるXIII-XIII断面図である。
【
図17】配線パターン及び保護部材が設けられる前の第1インシュレータの部分拡大図である。
【
図18】保護部材が設けられる前の第1インシュレータの部分拡大図である。
【
図21】コネクタと接続されたモータの斜視図である。
【
図22】センサ搭載第1歯の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1…電動作業機、2…本体、3…ハウジング、6…グリップ、8…チャックスリーブ、9…トリガ操作部、12…モータ、13…駆動機構、15…コントローラ、18…温度センサ、20…ステータ、21…ステータバックリング、22…ステータ歯、23…ステータ歯本体、24…ステータ歯先端部材、31…第1コイル、41…ステータコア、42…第1インシュレータ、51…バックコア、52…コア歯、53…コア歯本体、54…コア歯先端部材、61…第1バックリング、62,120…第1歯、63,121…第1歯本体、64…第1歯先端部材、70…収容空間、72…コーティング剤、73,123…凹部、74,124…第1リブ、74a…第1低壁部、75,125…第2リブ、75a…第2低壁部、80,122…載置面、81…第1配線、82…第2配線、90…ロータ、91…シャフト、100…バッテリパック、101…バッテリ、111…モータ駆動回路、112…制御回路、114…温度検出回路、117…トリガスイッチ、160…中心軸、150…接続部材、155…接続本体、156…第1センサ端子、157…第2センサ端子、161…第1配置面、166…第1接続パターン、167…第1配線パターン、171…第2配置面、176…第2接続パターン、177…第2配線パターン、200…コネクタ、214…第4コネクタ端子、214a…第1接点、215…第5コネクタ端子、215a…第2接点。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付の図面を参照しつつ、本開示の例示的な実施形態を説明する。
【0037】
[1.実施形態]
(1-1)電動作業機の構成
図1に示す電動作業機1は、例えば、充電式インパクトドライバとして構成されている。充電式インパクトドライバは、後述するバッテリパック100から供給される電力によって作動する。充電式インパクトドライバは、例えば、ネジ、ボルトなどの締結部品を回転させて作業対象へ螺入させるために用いられる。充電式インパクトドライバは、締結部品を回転させているときに締結部品から受ける負荷に応じて、回転方向の打撃を発生する。充電式インパクトドライバは、この打撃により、回転方向へ大きなトルクを発生し得る。
【0038】
図1に示すように、本実施形態の電動作業機1は、本体2と、バッテリパック100とを備える。バッテリパック100は、本体2に離脱可能に取り付けられる。
【0039】
本体2は、ハウジング3を備える。ハウジング3は、左右に分割された2つの半割ハウジング3a,3bを備える。ハウジング3は、これら半割ハウジング3a,3bが組み合わされて構成されている。ハウジング3は、例えば、樹脂を含む射出成形部材であってもよい。
【0040】
本体2は、第1収容部5と、グリップ6と、第2収容部7とを備える。第1収容部5は、チャックスリーブ8、LED10及び回転方向切替操作部11が設けられている。LED10は、電動作業機1の外部へ光を照射する。グリップ6は、第1収容部5から延設されている。第2収容部7は、グリップ6から延設されている。第2収容部7は、バッテリ装着部7aが設けられている。バッテリ装着部7aは、バッテリパック100が離脱可能に取り付けられる。バッテリパック100は、後述するバッテリ101(
図3参照)を備える。
【0041】
グリップ6は、電動作業機1の使用者により把持される。グリップ6は、トリガ操作部9が設けられている。使用者は、グリップ6を把持しながら、トリガ操作部9を引き操作することができる。
【0042】
図2を参照して、本体2の内部(即ちハウジング3の内部)の構成について説明する。
図2は、半割ハウジング3aが取り外された電動作業機1を示している。
【0043】
図2に示すように、第1収容部5は、モータ12と、駆動機構13と、ファン14と、前述のチャックスリーブ8と、前述のLED10とが設けられている。チャックスリーブ8は、各種の被駆動部材(作業出力部材)8aが離脱可能に取り付けられる。各種の被駆動部材8aは、例えばドライバビット、ソケットビット等を含む。
【0044】
モータ12は、本実施形態では例えばブラシレスモータである。モータ12が発生する回転駆動力(回転力)、即ち後述するロータ90(
図4等参照)が発生する回転駆動力は、駆動機構13に伝達される。駆動機構13は、例えば、不図示の減速機構及び打撃機構を備える。減速機構は、モータ12から伝達された回転駆動力における回転速度を減速させる。
【0045】
打撃機構は、不図示のスピンドル、ハンマ及びアンビルを備えていてもよい。スピンドルは、減速機構を介して伝達されたモータ12の回転駆動力により回転する。ハンマは、スピンドルが回転することに応じてスピンドルと共に回転する。ハンマは、さらに、チャックスリーブ8の回転軸と平行な方向へ移動可能である。アンビルは、チャックスリーブ8が取り付けられている。
【0046】
打撃機構において、モータ12が回転することに応じてスピンドルが回転すると、ハンマを介してアンビルが回転する。アンビルが回転すると、チャックスリーブ8が回転(延いては被駆動部材8aが回転)する。被駆動部材8aによる作業(例えば作業対象へのねじ締め)が進み、アンビルに加わる負荷が特定のレベルを超えると、ハンマによってアンビルに打撃が加えられる。この打撃は、チャックスリーブ8の回転方向へ加えられる。この打撃によってチャックスリーブ8の回転トルクが増加する。
【0047】
モータ12の回転駆動力は、さらに、ファン14へ伝達される。モータ12が回転すると、モータ12の回転駆動力によりファン14が回転する。ファン14は、モータ12を含む本体2内の各部を冷却するために設けられている。ファン14が回転すると、本体2内に気流が発生する。その気流は本体2内を冷却する。
【0048】
第2収容部7は、コントローラ15が設けられている。コントローラ15は、電動作業機1が有する各種機能を実行する。コントローラ15は、本体2に装着されているバッテリパック100から、バッテリ101の電力が供給される。コントローラ15は、バッテリ101から供給される電力(以下、「バッテリ電力」と称する)によって動作する。
【0049】
グリップ6は、前述のトリガ操作部9と、スイッチボックス16と、プランジャ17とが設けられている。スイッチボックス16は、後述するトリガスイッチ117(
図3参照)が内蔵されている。
【0050】
トリガ操作部9は、プランジャ17を介してスイッチボックス16と連結されている。使用者によりトリガ操作部9が引き操作されると、トリガ操作部9と共にプランジャ17が引き操作方向へ移動する。引き操作は、本実施形態では、トリガ操作部9を
図2における左方向へ移動させる操作を意味する。
【0051】
トリガ操作部9は、不図示の弾性部材によって、引き操作方向とは反対方向へ付勢されている。そのため、トリガ操作部9は、トリガ操作部9が引き操作されていないときは、
図2に示す初期位置に位置している。トリガ操作部9が引き操作されると、トリガ操作部9は、その初期位置から引き操作方向へ移動する。
【0052】
トリガスイッチ117は、プランジャ17の位置に応じてオン又はオフされる。例えば、トリガ操作部9が引き操作されていない場合は、トリガスイッチ117はオフされる。トリガ操作部9が規定量以上引き操作されると、トリガスイッチ117がオンされる。
【0053】
(1-2)電動作業機の電気的構成
電動作業機1の電気的構成について、
図3を参照して補足的に説明する。
図3は、バッテリパック100が本体2に装着された電動作業機1の電気的構成を示している。
図3に示すように、電動作業機1は、モータ12と、コントローラ15と、LED10と、温度センサ18と、3つの回転センサ96,97,98と、トリガスイッチ117と、バッテリパック100とを備える。モータ12、LED10、温度センサ18、3つの回転センサ96,97,98、及びトリガスイッチ117は、コントローラ15に接続されている。
【0054】
バッテリパック100は、バッテリ101を備える。バッテリ101は、例えば2次電池である。バッテリ101は、例えば、リチウムイオン電池であってもよい。バッテリ101は、リチウムイオン電池とは異なる2次電池であってもよい。
【0055】
温度センサ18は、モータ12に設けられている。温度センサ18は、モータ12の温度を検出する。本実施形態では、温度センサ18は、特に後述する第1コイル31(
図4等参照)の温度を精度良く検出できるように、第1コイル31の近傍に設けられている。モータ12における、温度センサ18が設けられている部位については、後で詳しく説明する。
【0056】
温度センサ18の電気的特性は、温度に応じて変化する。温度センサ18は、その電気的特性の変化に応じた温度検出信号を出力するように構成されている。本実施形態の温度センサ18は、例えば、サーミスタである。温度センサ18は、例えば、Negative Temperature Coefficient(NTC)タイプのサーミスタであってもよい。
【0057】
回転センサ96,97,98は、ロータ90の回転位置を検出するためにモータ12に設けられている。具体的には、回転センサ96,97,98は、ロータ90の回転軸を中心に、ロータ90の回転方向に沿って、互いに電気角120度に相当する角度を隔てて設けられている。回転センサ96,97,98の各々は、ロータ90の回転位置に応じた回転検出信号を出力する。回転センサ96,97,98の各々は、本実施形態では例えばホール素子を備える。
【0058】
コントローラ15は、モータ駆動回路111と、制御回路112と、電源回路113と、温度検出回路114と、ロータ位置検出回路115と、LED駆動回路116とを備える。
【0059】
モータ駆動回路111は、バッテリ電力を、モータ駆動指令に従って、U相駆動電流、V相駆動電流及びW相駆動電流に変換する。モータ駆動指令は、制御回路112から入力される。モータ駆動回路111は、U相駆動電流、V相駆動電流及びW相駆動電流をモータ12へ出力する。U相駆動電流、V相駆動電流及びW相駆動電流は、モータ12を駆動する。
【0060】
電源回路113は、バッテリ電力から電源電力を生成して出力する。電源電力は、一定の電源電圧Vcを有する。電源電力は、コントローラ15内の各部を動作させる。制御回路112、温度検出回路114、ロータ位置検出回路115、及びLED駆動回路116は、その電源電力によって動作する。
【0061】
温度検出回路114は、温度センサ18から入力される温度検出信号に基づいてモータ12の温度を検出する。温度検出回路114は、検出した温度を示す信号を制御回路112へ出力する。
【0062】
本実施形態の温度検出回路114は、例えば、温度センサ18と直列接続された抵抗器を備えていてもよい。温度検出回路114は、温度センサ18及び抵抗器を含む直列回路に電源電圧Vcを印加するように構成されていてもよい。温度検出信号は、温度センサ18と抵抗器との接続点の電圧であってもよい。
【0063】
ロータ位置検出回路115は、回転センサ96,97,98へ電源電圧を供給することにより回転センサ96,97,98を作動させる。ロータ位置検出回路115は、回転センサ96,97,98の各々から回転検出信号が入力される。ロータ位置検出回路115は、回転センサ96,97,98から入力される回転検出信号に基づいてロータ90の回転位置を検出する。ロータ位置検出回路115は、検出した回転位置を示す信号を制御回路112へ出力する。
【0064】
LED駆動回路116は、制御回路112から入力されるLED駆動指令に従ってLED10へ電源電力を供給することにより、LED10を点灯する。
【0065】
制御回路112は、例えば、不図示のCPU及びメモリを含んでいてもよい。電動作業機1が備える各種機能は、例えば、CPUがメモリに記憶されている各種プログラムを実行することによって達成されてもよい。
【0066】
制御回路112は、トリガスイッチ117から、トリガ信号が入力される。トリガ信号は、トリガスイッチ117のオン又はオフを示す。制御回路112は、トリガスイッチ117がオンされると、モータ駆動回路111へモータ駆動指令を出力することによってモータ12を駆動する。
【0067】
制御回路112は、トリガ操作部9の引き操作量を示す操作量信号が入力されてもよい。その場合、制御回路112は、操作量信号に応じた(即ち引き操作量に応じた)モータ駆動指令を出力してもよい。操作量信号に応じたモータ駆動指令を出力することは、引き操作量に応じてモータ12の駆動パラメータ(例えば回転トルク、回転速度など)を変化させることを意味する。
【0068】
制御回路112は、モータ12を駆動させる際、ロータ位置検出回路115から入力される信号を参照し、ロータ90の回転位置に応じたモータ駆動指令を出力する。制御回路112は、温度検出回路114から入力される信号に基づき、モータ12の温度を監視する。制御回路112は、モータ12の温度に応じた保護処理を行う。保護処理は、例えば、モータ12の温度が規定温度以上となった場合にモータ12の回転速度を低減又は回転を停止させる処理を含んでいてもよい。
【0069】
(1-3)モータの詳細構成
図4~
図6を参照して、モータ12の構成についてより詳しく説明する。
図4及び
図5に示すように、モータ12は、ステータ20と、ロータ90とを備える。
図4は、モータ12によって回転するファン14を図示している。
【0070】
図4に示されているモータ12とファン14との位置関係から明らかなように、
図4は、モータ12を、ファン14が設けられる側とは反対側の、駆動機構13が設けられる側から見た状態を示している。
【0071】
ステータ20は、ステータバックリング21と、6個のステータ歯22とを備える。ステータ20は、さらに、第1相コイルと、第2相コイルと、第3相コイルとを備える。より詳しくは、ステータ20は、第1コイル31と、第2コイル32と、第3コイル33と、第4コイル34と、第5コイル35と、第6コイル36とを備える。第1相コイルは、第1コイル31~第6コイル36のうちの何れか2つを含む。第1相コイルにおけるその2つは互いに直列接続されている。
【0072】
第2相コイルは、前述の第1コイル31~第6コイル36のうちの、第1相コイルとは異なる何れか2つを含む。第2相コイルにおけるその2つは互いに直列接続されている。
【0073】
第3相コイルは、前述の第1コイル31~第6コイル36のうちの、第1相コイル及び第2相コイルとは異なる2つを含む。第3相コイルにおけるその2つは互いに直列接続されている。
【0074】
図4~
図6に示すように、ステータバックリング21は、環状(例えば両端が開口された円筒状)の形状を備える。6個のステータ歯22は、ステータバックリング21の内周面において、ステータバックリング21の周方向に沿って互いに等間隔(例えば60度間隔)で設けられている。
【0075】
図6に示すように、各ステータ歯22は、ステータバックリング21の内周面において、ステータバックリング21の中心軸
160に向けて(即ち、ステータバックリング21の径方向に沿って)突設されている。なお、中心軸
160は、ロータ90の回転軸と同軸、即ちシャフト91の回転軸と同軸である。
【0076】
図6に示すように、各ステータ歯22は、ステータ歯本体23と、ステータ歯先端部材24とを備える。ステータ歯本体23は、ステータバックリング21の内周面において、ステータバックリング21の中心軸
160に向けて突設されている。ステータ歯先端部材24は、ステータ歯本体23における、中心軸
160に向かって突出した端部に設けられている。
【0077】
ステータ歯先端部材24の、上記径方向に垂直な断面の面積は、ステータ歯本体23の、上記径方向に垂直な断面の面積よりも大きい。つまり、ステータ歯先端部材24は、ステータ歯本体23に対してフランジ状に設けられている。
【0078】
図4,
図5に示すように、第1コイル31~第6コイル36は、それぞれ、いずれか1つのステータ歯22に設けられる。より具体的には、第1コイル31~第6コイル36は、それぞれ、対応するステータ歯22におけるステータ歯本体23に巻回される。
【0079】
第1相コイル、第2相コイル及び第3相コイルは、本実施形態では例えば互いにデルタ結線されている。即ち、第1相コイルの第1端は、第2相コイルの第1端に接続されると共にモータ駆動回路111に接続されている。第1相コイルの第1端には、モータ駆動回路111から例えば前述のU相駆動電流が供給される。
【0080】
第1相コイルの第2端は、第3相コイルの第1端に接続されると共にモータ駆動回路111に接続されている。第1相コイルの第2端には、モータ駆動回路111から例えば前述のV相駆動電流が供給される。
【0081】
第2相コイルの第2端は、第3相コイルの第2端に接続されると共にモータ駆動回路111に接続されている。第2相コイルの第2端には、モータ駆動回路111から例えば前述のW相駆動電流が供給される。
【0082】
本実施形態では、例えば、第1コイル31と第4コイル34とが互いに直列接続されている。第1相コイルは、第1コイル31及び第4コイル34を含む。また例えば、第2コイル32と第5コイル35とが互いに直列接続されている。第2相コイルは、第2コイル32及び第5コイル35を含む。また例えば、第3コイル33と第6コイル36とが互いに直列接続されている。第3相コイルは、第3コイル33及び第6コイル36を含む。
【0083】
第1相コイル、第2相コイル及び第3相コイルは、デルタ結線とは異なる結線方法(例えばスター結線)で互いに結線されてもよい。
【0084】
ロータ90は、永久磁石が内蔵された、いわゆる永久磁石型のロータである。ロータ90は、コントローラ15からステータ20へ電力が供給されることに応じて回転する。なお、ステータ20へ電力が供給されることは、前述のU相駆動電流、V相駆動電流及びW相駆動電流のうちの少なくとも1つがステータ20へ供給されることを意味する。
【0085】
図4,
図5に示すように、ロータ90は、シャフト91が設けられている。シャフト91は、ロータ90と共に一体的に回転する。シャフト91は駆動機構13に連結されている。ロータ90の回転駆動力はシャフト91を介して駆動機構13に伝達される。
【0086】
温度センサ18は、6個のステータ歯22のうちの1つに設けられている。本実施形態では、例えば、
図5に示すように、第1コイル31が巻回されるステータ歯22に温度センサ18が設けられている。以下、温度センサ18が設けられているステータ歯22のことを、「センサ搭載歯22」と称する。
【0087】
センサ搭載歯22は、温度センサ18が設けられることから、他の5つのステータ歯22とは構成が一部異なっている。センサ搭載歯22以外の他の5つのステータ歯22は、本実施形態では同じ構成を備える。
【0088】
温度センサ18は、後で
図8~
図13を用いて詳しく説明するように、センサ搭載歯22における、ステータ歯本体23に設けられる。
図5に示すように、モータ12を正面視したとき、即ち、モータ12を駆動機構13が設けられる側から中心軸
160に沿う方向に見たとき、温度センサ18の全体が第1コイル31に完全に重なる。即ち、温度センサ18の全体が第1コイル31に覆われる。
【0089】
図6に示すように、本実施形態のステータ20は、ステータコア41と、第1インシュレータ42と、第2インシュレータ43とを備える。ステータバックリング21及び6個のステータ歯22は、第1インシュレータ42と、ステータコア41と、第2インシュレータ43とがこの順に組み合わされることによって構成される。
【0090】
図7を参照して、ステータコア41、第1インシュレータ42、及び第2インシュレータ43についてより具体的に説明する。
【0091】
ステータコア41は、磁性体を含む。ステータコア41は、バックコア51と、6個のコア歯52とを備える。バックコア51は、ステータバックリング21の一部である。コア歯52は、ステータ歯22の一部である。
【0092】
バックコア51は、環状(例えば両端が開口された円筒状)の形状を備える。6個のコア歯52は、バックコア51の内周面において、バックコア51の周方向に沿って互いに等間隔(例えば60度間隔)で設けられている。各コア歯52は、バックコア51の内周面において、バックコア51の中心軸(即ち前述の中心軸160)に向けて突設されている。
【0093】
各コア歯52は、コア歯本体53と、コア歯先端部材54とを備える。コア歯本体53は、ステータ歯本体23の一部である。コア歯先端部材54は、ステータ歯先端部材24の一部である。
【0094】
第1インシュレータ42及び第2インシュレータ43は、絶縁性の素材を含む。より具体的には、本実施形態では、第1インシュレータ42及び第2インシュレータ43は、樹脂を主成分とする材料を含んでいる。
【0095】
本実施形態の第1インシュレータ42及び第2インシュレータ43は、例えば、樹脂を含む材料によって一体成形された樹脂成形部材である。第1インシュレータ42及び第2インシュレータ43は、例えば熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。第1インシュレータ42及び第2インシュレータ43は、例えば熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。第1インシュレータ42及び第2インシュレータ43は、例えば樹脂のみを含んでいてもよい。第1インシュレータ42及び第2インシュレータ43は、例えば樹脂及び樹脂とは異なる絶縁性部材を含んでいてもよい。第1インシュレータ42及び第2インシュレータ43は、例えば樹脂とは異なる絶縁性部材のみを含んでいてもよい。
【0096】
第1インシュレータ42及び第2インシュレータ43は、どのような方法で形成されてもよい。第1インシュレータ42及び第2インシュレータ43は、例えば、射出成形工法により形成されてもよい。第1インシュレータ42及び第2インシュレータ43は、射出成形工法とは異なる方法で形成されてもよい。第1インシュレータ42及び第2インシュレータ43は、同じ材質で形成されてもよいし、異なる材質で形成されてもよい。
【0097】
図7に示すように、第1インシュレータ42は、第1バックリング61と、6個の第1歯62とを備える。第1バックリング61は、ステータバックリング21の一部である。第1歯62は、ステータ歯22の一部である。
【0098】
第1バックリング61は、環状(例えば両端が開口された円筒状)の形状を備える。6個の第1歯62は、第1バックリング61の内周面において、第1バックリング61の周方向に沿って互いに等間隔(例えば60度間隔)で設けられている。各第1歯62は、第1バックリング61の内周面において、第1バックリング61の中心軸(即ち前述の中心軸160)に向けて突設されている。
【0099】
各第1歯62は、第1歯本体63と、第1歯先端部材64とを備える。第1歯本体63は、ステータ歯本体23の一部である。第1歯本体63は、第1コイル31~第6コイル36のうちの対応するいずれかが巻回される。第1歯先端部材64は、ステータ歯先端部材24の一部である。
【0100】
温度センサ18は、6個の第1歯62のうちの1つに設けられている。以下、温度センサ18が設けられる第1歯62のことを、「センサ搭載第1歯62」と称する。センサ搭載第1歯62は、第1コイル31が巻回される。
【0101】
センサ搭載第1歯62は、温度センサ18が設けられることから、他の5つの第1歯62とは構成が一部異なっている。センサ搭載第1歯62以外の他の5つの第1歯62は、本実施形態ではいずれも同じ構成を備える。
【0102】
図7に示すように、第2インシュレータ43は、第2バックリング56と、6個の第2歯57を備える。第2バックリング56は、ステータバックリング21の一部である。第2歯57は、ステータ歯22の一部である。
【0103】
第2バックリング56は、環状(例えば円環状)の形状を備える。6個の第2歯57は、第2バックリング56の表面において、第2バックリング56の周方向に沿って互いに等間隔(例えば60度間隔)で設けられている。各第2歯57は、第2バックリング56の表面において、第2バックリング56の中心軸(即ち前述の中心軸160)に向けて設けられている。
【0104】
各第2歯57は、第2歯本体58と、第2歯先端部材59とを備える。第2歯本体58は、ステータ歯本体23の一部である。第2歯先端部材59は、ステータ歯先端部材24の一部である。
【0105】
図6及び
図7に示すように、ステータ20において、1つのステータ歯22は、1つのコア歯52と、そのコア歯52に対応する1つの第1歯62と、そのコア歯52に対応する1つの第2歯57とが組み合わされて構成される。
【0106】
(1-4)センサ搭載第1歯の構成
図8~
図13を参照して、第1インシュレータ42におけるセンサ搭載第1歯62について、より具体的に説明する。
【0107】
図8~
図13に示すように、センサ搭載第1歯62は、収容空間70が設けられている。この収容空間70は、
図8,
図9,
図13に示すように、カバー71によって塞がれている。
【0108】
収容空間70は、センサ搭載第1歯62における第1歯本体63において、駆動機構13と対向する側面に設けられている。この収容空間70に、温度センサ18が設けられている。本実施形態の温度センサ18は、例えば円柱状の形状を備える。また、
図8,
図9,
図13に示すように、収容空間70内は、コーティング剤72が充填されている。コーティング剤72は、温度センサ18を固定及び保護する。温度センサ18の一部又は全ては、コーティング剤72によって覆われる。コーティング剤72は、絶縁性の部材である。コーティング剤72は、例えば樹脂を主成分とする部材であってもよい。
【0109】
図10~
図13に示すように、第1歯本体63は載置面80を備える。載置面80は、第1歯本体63の側面に対応する。載置面80は、凹部73が設けられている。温度センサ18は、この凹部73に載置されている。温度センサ18は、凹部73において例えば接着剤によって固定されている。載置面80は、凹部73を設けられていなくてもよい。
【0110】
第1歯本体63は、長尺板状の第1リブ74及び第2リブ75が設けられている。第1リブ74は、載置面80における、上記径方向に延びる第1端辺に沿って設けられている。第2リブ75は、載置面80における、上記径方向に延びる第2端辺に沿って設けられている。第1リブ74及び第2リブ75は、載置面80から垂直に立設されている。第1リブ74及び第2リブ75の高さは、本実施形態では互いに等しい。第1リブ74及び第2リブの高さは、載置面80からの長さであって、ステータ20における軸方向に沿った長さを意味する。第1リブ74及び第2リブ75は、上記径方向において、第1歯先端部材64の裏面64a(
図10,
図12参照)から第1バックリング61の内周面61aまで延設されている。
【0111】
上述の収容空間70は、第1リブ74、内周面61a、第2リブ75、及び裏面64aによって囲まれる空間である。収容空間70の高さは、第1リブ74及び第2リブ75の高さに対応する。
【0112】
図9に示すように、カバー71は、カバー71の周縁が、第1リブ74の上端辺、内周面61a、第2リブ75の上端辺、及び裏面64aに沿うように構成されている。そのため、収容空間70の開口は、カバー71によって塞がれる。
【0113】
図9~
図12に示すように、第1リブ74は第1低壁部74aを備え、第2リブ75は第2低壁部75aを備えている。第1低壁部74aは、載置面80からの高さが、第1リブ74における他の部位の高さよりも低い。第2低壁部75aは、載置面80からの高さが、第2リブ75における他の部位の高さよりも低い。つまり、第1リブ74及び第2リブ75の各々は、段差を備えている。
【0114】
第1低壁部74aは、第1リブ74において径方向外側に設けられ、内周面61aに連結されている。したがって、第1リブ74の高さは、中心軸160から第1バックリング61までの間において変化する。具体的には、第1低壁部74aに対応する部分の高さは、第1低壁部74aに対応しない部分の高さよりも一定量低い。
【0115】
第2低壁部75aも、第1低壁部74aと同様に、第2リブ75において径方向外側に設けられ、内周面61aに連結されている。したがって、第2リブ75の高さは、中心軸160から第1バックリング61までの間において変化する。具体的には、第2低壁部75aに対応する部分の高さは、第2低壁部75aに対応しない部分の高さよりも一定量低い。
【0116】
第1低壁部74a及び第2低壁部75aは、第1バックリング61の周方向において互いに一部又は全部が重なる。
【0117】
第1リブ74及び第2リブ75の高さは、凹部73に載置された温度センサ18の高さと同じであってもよいし、温度センサ18の高さより高くてもよいし、温度センサ18の高さより低くてもよい。
【0118】
図13に示すように、本実施形態では、第1リブ74及び第2リブ75の高さは、温度センサ18の高さより高い。また、本実施形態では、収容空間70がカバー71で覆われた状態において、温度センサ18がカバー71に当接するか、若しくはカバー71と温度センサ18とが一定距離離間する。
【0119】
第1低壁部74a及び第2低壁部75aは、必ずしも必要ではない。第1低壁部74a及び第2低壁部75aが設けられなくてもよい。つまり、第1リブ74及び第2リブ75の各々は一定の高さを備えていてもよい。本実施形態では、センサ搭載歯22に第1コイル31を巻き付ける工程の効率化のために、第1低壁部74a及び第2低壁部75aが設けられている。
【0120】
センサ搭載歯22に第1コイル31を巻き付ける工程においては、まず、第1コイル31を、ステータ歯本体23における、上記径方向の外側から(つまりステータバックリング21側から)巻き始める。このとき、第1コイル31は、第1低壁部74a及び第2低壁部75aが存在する領域から巻き始められる。
【0121】
これにより、第1コイル31の巻き始めの初期段階において、第1低壁部74a及び第2低壁部75aによって、第1コイル31が中心軸160側へずれるのが抑制され、第1コイル31がステータバックリング21側の適正な位置に保持される。そのため、第1コイル31を適正に且つ効率良く巻回することができる。
【0122】
温度センサ18は、2つの端子を備える。これら2つの端子は第1配線81及び第2配線82に接続されている。温度センサ18は、第1配線81及び第2配線82を介してコントローラ15と電気的に接続されている。
【0123】
第1配線81及び第2配線82は、どのような形態の配線であってもよく、どのような方法で設けられてもよい。本実施形態では、第1配線81及び第2配線82は、載置面80の表面において、載置面80と一体的に(即ち第1インシュレータ42と一体的に)形成されている。
【0124】
つまり、本実施形態の第1インシュレータ42は、Molded Interconnect Device(MID)の一種である。MIDは、導体パターンが形成された樹脂成形部材を意味する。第1インシュレータ42においては、第1配線81及び第2配線82が、導体パターンにて構成されている。
【0125】
MIDは種々の方法で形成可能である。MIDの形成方法の1つとして、Laser Direct Structuring(LDS)工法が知られている。第1配線81及び第2配線82は、例えばLDS工法によって、第1インシュレータ42に形成されてもよい。
【0126】
コーティング剤72は、どのような方法で設けられてもよいし、どの程度の量が設けられてもよい。本実施形態では、コーティング剤72は、例えば低温低圧成形によって設けられている。より具体的には、コーティング剤72は、第1配線81及び第2配線82を覆い、且つ温度センサ18の一部又は全てを覆うように設けられている。低温低圧成形は、ホットメルト成形とも呼ばれる公知の成形方法である。
【0127】
(1-5)温度センサとコントローラとの電気的接続
温度センサ18をコントローラ15に電気的に接続する構成について、
図14~
図21を参照して説明する。本実施形態のモータ12は、接続部材150が設けられている。さらに、本実施形態の電動作業機1は、コネクタ200を備えている。接続部材150にコネクタ200が接続されることで、温度センサ18がコントローラ15に電気的に接続される。
【0128】
(1-5-1)接続部材
図14~
図19を参照して、接続部材150について説明する。接続部材150は、ステータ20に設けられている。より詳しくは、接続部材150は、第1インシュレータ42に設けられている。
【0129】
接続部材150は、接続本体155を備える。接続本体155は、第1インシュレータ42の一部に対応する。接続本体155は、MIDの一種である。つまり、接続本体155は、絶縁性材料(例えば樹脂)を含む一体成形部材である。接続本体155は、ネジ穴151,152,153が形成されている。接続本体155は、第1配置面161と、第2配置面171とを備える。
【0130】
接続部材150は、さらに、第1センサ端子156と、第2センサ端子157とを備える。第1センサ端子156及び第2センサ端子157の各々は、金属(即ち導体)を備える。第1センサ端子156は、第1配置面161に一体的に設けられている。第2センサ端子157は、第2配置面171に一体的に設けられている。
【0131】
第1センサ端子156及び第2センサ端子157は、後述する第1配線パターン167及び第2配線パターン177等とは別に設けられる。第1センサ端子156及び第2センサ端子157の各々は、例えば固形金属(例えば銅合金)であってもよい。
【0132】
第1センサ端子156及び第2センサ端子157の各々は、本実施形態では、略直方体の形状(例えば板状の形状)を備えている。第1センサ端子156の一部及び第2センサ端子157の一部の各々は、接続本体155に埋め込まれている。即ち、
図16に示すように、第1配置面161は第1凹部163が設けられている。第2配置面171は第2凹部173が設けられている。
図16に示すように、第1センサ端子156の一部は第1凹部163に埋め込まれている。第2センサ端子157の一部は第2凹部173に埋め込まれている。
【0133】
第1センサ端子156及び第2センサ端子157は、例えば、第1インシュレータ42が一体成形(例えば射出成形)される過程で、インサート成形によって接続本体155に設けられてもよい。そのインサート成形は、例えば次のように行われる。
【0134】
即ち、射出成形が行われる前に、第1インシュレータ42の金型に、第1センサ端子156及び第2センサ端子157がセットされる。第1センサ端子156及び第2センサ端子157は、それぞれの一部が第1インシュレータ42に埋め込まれるように、金型にセットされる。そして、第1センサ端子156及び第2センサ端子157がセットされた金型に、加熱により軟化された絶縁性材料(例えば溶融樹脂)が注入される。注入された絶縁性材料が固化されることで、第1センサ端子156及び第2センサ端子157が一体化された第1インシュレータ42が完成する。
【0135】
第1センサ端子156は、コネクタ200における後述する第1接点214aが接触され、第1接点214aと電気的に接続される。第2センサ端子157は、コネクタ200における後述する第2接点215aが接触され、第2接点215aと電気的に接続される。
【0136】
図15に示すように、接続本体155は、第1溝162及び第2溝172を備えている。第1溝162及び第2溝172は、接続本体155の表面に形成されている。接続本体155の表面は、第1配線パターン167及び第2配線パターン177が設けられている。より詳しくは、第1配線パターン167は、第1溝162の底面162a(
図19参照)に設けられている。第2配線パターン177は、第2溝172の底面(不図示)に設けられている。第1配線パターン167及び第2配線パターン177の各々は、導体(例えば金属)を備える。
【0137】
図15に示すように、第1溝162のほぼ全体は、第1保護部材168が充填されている。そのため、第1配線パターン167の大部分は、第1保護部材168に覆われている。第2溝172のほぼ全体は、第2保護部材178が充填されている。そのため、第2配線パターン177の大部分は、第2保護部材178に覆われている。第1保護部材168及び第2保護部材178の各々は、例えば絶縁性材料(例えば樹脂)であってもよい。
【0138】
第1配線パターン167及び第2配線パターン177は、温度センサ18に電気的に接続されている。具体的には、例えば、第1配線パターン167は、第1配線81(
図10参照)を介して温度センサ18に接続されてもよい。第2配線パターン177は、第2配線82(
図10参照)を介して温度センサ18に接続されてもよい。
【0139】
図15に示すように、第1センサ端子156は、第1接続パターン166を介して第1配線パターン167と電気的に接続されている。即ち、第1接続パターン166は、第1配線パターン167に接続されている。第1接続パターン166は、導体(例えば金属)を備える。第1接続パターン166はさらに、第1センサ端子156に接続されている。第1接続パターン166は、本実施形態では、第1配置面161において、第1センサ端子156を囲むように設けられている。第1センサ端子156は、第1センサ端子156の全周に渡って第1接続パターン166と接触している。
【0140】
第2センサ端子157は、第2接続パターン176を介して第2配線パターン177と電気的に接続されている。即ち、第2接続パターン176は、第2配線パターン177に接続されている。第2接続パターン176は、導体(例えば金属)を備える。第2接続パターン176はさらに、第2センサ端子157に接続されている。第2接続パターン176は、本実施形態では、第2配置面171において、第2センサ端子157を囲むように設けられている。第2センサ端子157は、第2センサ端子157の全周に渡って第2接続パターン176と接触している。
【0141】
本実施形態では、第1接続パターン166は、後述するように第1配線パターン167と共に例えばLDS工法にて一体的に設けられる。第2接続パターン176は、後述するように第2配線パターン177と共に例えばLDS工法にて一体的に設けられる。
【0142】
このような構成により、第1センサ端子156は、第1接続パターン166及び第1配線パターン167を介して温度センサ18と電気的に接続される。第2センサ端子157は、第2接続パターン176及び第2配線パターン177を介して温度センサ18と電気的に接続される。
【0143】
本実施形態では、第1センサ端子156は第1配線パターン167よりも硬く、第2センサ端子157は第2配線パターン177よりも硬い。第1センサ端子156の硬さと第2センサ端子157の硬さは互いに等しくてもよいし異なっていてもよい。第1配線パターン167の硬さと第2配線パターン177の硬さは互いに等しくてもよいし異なっていてもよい。本実施形態では、第1センサ端子156は第1配線パターン167よりも厚く、第2センサ端子157は第2配線パターン177よりも厚い。第1センサ端子156の厚さと第2センサ端子157の厚さは互いに等しくてもよいし異なっていてもよい。第1配線パターン167の厚さと第2配線パターン177の厚さは互いに等しくてもよいし異なっていてもよい。なお、ここでいう厚さは、第1配置面161に垂直な方向(本実施形態ではモータ12の回転軸に平行な方向)に沿う長さを意味する。
【0144】
ここで、接続部材150の製造工程について概略的に説明する。製造工程は、例えば、以下の第1工程、第2工程及び第3工程を備える。
【0145】
第1工程では、前述の通り、インサート成形によって、第1センサ端子156及び第2センサ端子157が一体化された第1インシュレータ42が完成する。
図17は、第1工程まで完了した接続部材150を例示している。この段階では、第1溝162及び第2溝172が形成されている。一方、第1配線パターン167及び第2配線パターン177はまだ設けられていない。
【0146】
第2工程では、例えばLDS工法によって、第1配線パターン167、第2配線パターン177、第1接続パターン166及び第2接続パターン176が形成される。具体的には、第1溝162の底面162aに第1配線パターン167が形成されると共に第1配置面161に第1接続パターン166が形成される。第2溝172の底面に第2配線パターン177が形成されると共に第2配置面171に第2接続パターン176が形成される。
図18は、第2行程まで完了した接続部材150を例示している。
【0147】
第3工程では、第1溝162に第1保護部材168が充填され、第2溝172に第2保護部材178が充填される。
図15は、第3工程が完了した接続部材150を例示している。
【0148】
(1-5-2)コネクタ
図20及び
図21を参照して、コネクタ200について説明する。
図20に示すように、コネクタ200は、筐体201と、第1コネクタ端子211と、第2コネクタ端子212と、第3コネクタ端子213と、第4コネクタ端子214と、第5コネクタ端子215とを備える。第1コネクタ端子211、第2コネクタ端子212、第3コネクタ端子213、第4コネクタ端子214及び第5コネクタ端子215は、筐体201に固定されている。第1コネクタ端子211、第2コネクタ端子212、第3コネクタ端子213、第4コネクタ端子214及び第5コネクタ端子215は、金属(即ち導体)を含む。
【0149】
筐体201は、挿入溝202を備える。挿入溝202は、前述の接続部材150が挿入される。即ち、接続部材150は、コネクタ200から離脱可能に構成されている。第1コネクタ端子211、第2コネクタ端子212及び第3コネクタ端子213は、筐体201の第1側面に沿って配置されている。第4コネクタ端子214及び第5コネクタ端子215は、筐体201における、第1側面に対向する第2側面に沿って配置されている。
【0150】
第1コネクタ端子211は、第1リード線221が接続される。第1コネクタ端子211は、第1リード線221を介してコントローラ15と電気的に接続される。第2コネクタ端子212は、第2リード線222が接続される。第2コネクタ端子212は、第2リード線222を介してコントローラ15と電気的に接続される。第3コネクタ端子213は、第3リード線223が接続される。第3コネクタ端子213は、第3リード線223を介してコントローラ15と電気的に接続される。第4コネクタ端子214は、第4リード線224が接続される。第4コネクタ端子214は、第4リード線224を介してコントローラ15と電気的に接続される。第5コネクタ端子215は、第5リード線225が接続される。第5コネクタ端子215は、第5リード線225を介してコントローラ15と電気的に接続される。
【0151】
第4コネクタ端子214は、前述の第1接点214aを備える。第5コネクタ端子215は、前述の第2接点215aを備える。
【0152】
電動作業機1においては、接続部材150が挿入溝202に挿入されることにより、
図21に示すように、接続部材150がコネクタ200に接続されている。この状態において、第1接点214aは第1センサ端子156に接触して第1センサ端子156と電気的に接続されている。第2接点215aは第2センサ端子157に接触して第2センサ端子157と電気的に接続されている。つまり、温度センサ18が、第1接点214a及び第2接点215aを介してコントローラ15と電気的に接続されている。
【0153】
第1コネクタ端子211は、モータ12に設けられた第1のモータ端子に接触している。第2コネクタ端子212は、モータ12に設けられた第2のモータ端子に接触している。第3コネクタ端子213は、モータ12に設けられた第3のモータ端子に接触している。つまり、モータ12が、第1コネクタ端子211、第2コネクタ端子212及び第3コネクタ端子213を介してコントローラ15と電気的に接続されている。なお、第1コネクタ端子211と第1のモータ端子とは、ネジ穴151に螺入されたネジ230によって締結されている。同様に、第2コネクタ端子212と第2のモータ端子とが、ネジ穴152に螺入されたネジ(不図示)によって締結されている。第3コネクタ端子213と第3のモータ端子とが、ネジ穴153に螺入されたネジ(不図示)によって締結されている。
【0154】
(1-6)実施形態の効果
以上説明した実施形態によれば、以下の(1a)~(1g)の効果を奏する。
【0155】
(1a)本実施形態の電動作業機1では、温度センサ18は、ステータ20における、第1コイル31が巻回されるステータ歯22(即ちセンサ搭載歯22)に設けられている。そのため、温度センサ18によってモータ12の温度を適正且つ安定的に検出することが可能となる。
【0156】
(1b)温度センサ18は、載置面80に設けられている。載置面80は、センサ搭載歯22における、モータ12の回転軸に沿った軸方向においてモータ12の外部と対向する側面である。そのため、本実施形態の電動作業機1では、モータ12に温度センサ18を実装しやすくなり、モータ12に温度センサ18を実装する作業を効率的に行うことができる。
【0157】
(1c)温度センサ18は、センサ搭載歯22の側面において、第1コイル31によって温度センサ18の全体が覆われるように設けられている。そのため、本実施形態の電動作業機1では、第1コイル31から発生する熱が適正且つ迅速に温度センサ18に伝達され、モータ12の温度を適正且つ迅速に検出することが可能となる。
【0158】
(1d)ステータ20は、ステータコア41と、第1インシュレータ42と、第2インシュレータ43とが組み合わされて構成されている。そして、温度センサ18は、第1インシュレータ42におけるセンサ搭載第1歯62に設けられている。そのため、本実施形態の電動作業機1では、温度センサ18をモータ12に容易に実装することが可能となる。
【0159】
(1e)センサ搭載第1歯62は、第1歯本体63と、フランジ状の第1歯先端部材64とを備えている。そして、温度センサ18は、第1歯本体63における載置面80に設けられている。載置面80は、モータ12の外部に対向する面であって、ステータコア41とは別体の第1インシュレータ42における面である。このように温度センサ18を第1インシュレータ42における載置面80に設けるようにすることで、温度センサ18をモータ12により容易に実装することが可能となる。
【0160】
(1f)第1歯本体63は、第1リブ74及び第2リブ75を備えている。第1リブ74及び第2リブ75は、互いに対向するように載置面80から立設されている。温度センサ18は、第1リブ74及び第2リブ75によって形成される収容空間70内に設けられている。そのため、第1コイル31から温度センサ18に加わる圧力が軽減される。
【0161】
(1g)第1リブ74は第1低壁部74aを備え、第2リブ75は第2低壁部75aを備えている。本実施形態では、第1コイル31をセンサ搭載第1歯62に巻回す作業の初期段階において、第1コイル31が、第1低壁部74a及び第2低壁部75aに接触する位置から巻き始められる。そのため、巻き始めの第1コイル31の位置を、第1低壁部74a及び第2低壁部75aによって定めることが可能となる。そのため、センサ搭載第1歯62に第1コイル31を巻回する作業を適正且つ効率的に行うことが可能となる。
【0162】
チャックスリーブ8は本開示における駆動部の一例に相当する。ステータバックリング21は本開示における円筒体の一例に相当する。センサ搭載歯22は本開示における歯の一例に相当する。第1コイル31は本開示におけるコイルの一例に相当する。第1インシュレータ42は本開示におけるインシュレータの一例に相当する。バックコア51は本開示におけるコア筒体の一例に相当する。コア歯52は本開示におけるコア歯の一例に相当する。第1バックリング61は本開示におけるインシュレータ筒体の一例に相当する。センサ搭載第1歯62は本開示におけるインシュレータ歯の一例に相当する。センサ搭載第1歯62における第1歯本体63は本開示における歯体部の一例に相当する。センサ搭載第1歯62における第1歯先端部材64は本開示における先端部材の一例に相当する。載置面80は本開示における第2の側面の一例に相当する。コーティング剤72は本開示における絶縁部材の一例に相当する。コネクタ200は本開示における被接続部材の一例に相当する。第4コネクタ端子214及び第5コネクタ端子215の各々は本開示における第1の端子の一例に相当する。第1配線パターン167及び第2配線パターン177の各々は本開示における配線パターンの一例に相当する。第1センサ端子156及び第2センサ端子157の各々は本開示における第2の端子の一例に相当する。
【0163】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0164】
(2-1)上記実施形態では、温度センサ18が設けられる収容空間70がカバー71で塞がれたが、カバー71はなくてもよい。即ち、上記実施形態において、カバー71を省き、温度センサ18を第1コイル31と直接又はコーティング剤72を介して対向させてもよい。その際、温度センサ18を、第1コイル31に直接又はコーティング剤72を介して接触させてもよい。
【0165】
(2-2)温度センサ18は、載置面80上において、どのような向きで設けられてもよい。即ち、上記実施形態では、温度センサ18は、円柱状の形状を有し、温度センサ18の軸方向がステータ20の径方向と垂直になるように設けられていたが、温度センサ18の軸方向とステータ20の径方向との関係はどのような関係であってもよい。例えば、
図22に例示するように、温度センサ18の軸方向とステータ20の径方向とが平行であってもよい。
【0166】
図22に示す第1歯120は、第1歯本体121を備える。第1歯本体121における載置面122には、凹部123が設けられ、この凹部123に温度センサ18が設けられている。また、第1歯本体121には、上記実施形態と同様に、第1リブ124及び第2リブ125が設けられている。第1リブ124及び第2リブ125は、載置面122から立設されている。
【0167】
第1リブ124及び第2リブ125は、同じ高さである。また、第1リブ124及び第2リブ125の高さは、温度センサ18の高さよりも低い。また、
図22においては、上記実施形態で示したカバー71は設けられておらず、第1コイル31が温度センサ18に直接又はコーティング剤等を介して当接している。
【0168】
第1コイル31が温度センサ18に当接することで、第1コイル31の温度が温度センサ18に迅速に伝わりやすくなる。また、第1コイル31が温度センサ18に当接することで、温度センサ18は第1コイル31から載置面122側への圧力を受けるが、その圧力は、第1リブ124及び第2リブ125によって低減される。
【0169】
(2-3)温度センサ18は、第1歯62においてどこに設けられてもよい。温度センサ18は、第1歯本体63における、上記実施形態とは異なる側面に設けられてもよい。温度センサ18は、例えば、第1歯先端部材64に設けられてもよい。
【0170】
(2-4)モータ12を正面から中心軸160に沿った方向に見たときに温度センサ18の全体が第1コイル31に完全に重なるようにすることは、必須ではない。温度センサ18は、モータ12を正面から見たときに、温度センサ18の一部又は全てが第1コイル31と重ならないように設けられてもよい。
【0171】
(2-5)温度センサ18は、第1コイル31とは異なるコイルが巻回されるステータ歯に設けられてもよい。
【0172】
また、温度センサ18は、第1インシュレータ42における第1歯62に限らず、ステータ歯22におけるどの部位に設けられてもよい。温度センサ18は、例えば、第2インシュレータ43における第2歯57に設けられてもよい。また例えば、温度センサ18は、ステータコア41におけるコア歯52に設けられてもよい。
【0173】
(2-6)温度センサ18に加えて、少なくとも1つの追加の温度センサが設けられてもよい。その場合、温度センサ18と、少なくとも1つの追加の温度センサとが、同じステータ歯に設けられてもよい。
【0174】
(2-7)温度センサ18は、サーミスタとは異なるものであってもよい。温度センサ18は、例えば、熱電対、測温抵抗体(Resistance Temperature Detector)などの、温度に応じて電気的特性が変化してその電気的特性の変化に応じた信号を出力可能に構成された素子、回路などであってもよい。
【0175】
また、温度センサ18は、円柱状とは異なる柱状の形状であってもよい。温度センサ18は、例えば、円柱状であってもよいし、角柱状(換言すれば立方体状又は直方体状)であってもよい。また、温度センサ18は、角柱状の形状とは異なる形状であってもよい。
【0176】
(2-8)モータ12は、ブラシレスモータ以外のモータであってもよい。また、電動作業機1は、バッテリ電力とは異なる電力によって動作するものであってもよい。例えば、電動作業機1は、商用の交流100Vの交流電力が入力されるように構成されると共に、その交流電力によって駆動させることが可能なモータを備えていてもよい。
【0177】
(2-9)第1センサ端子156及び第2センサ端子157は、接続本体155にどの程度の深さまで埋め込まれていてもよい。第1センサ端子156及び/または第2センサ端子157は、接続本体155に完全に埋め込まれていてもよい。
【0178】
(2-10)第1センサ端子156及び/または接続本体155は、第1センサ156が接続本体155から脱落することを抑制するための脱落抑制構造を備えていてもよい。例えば、第1センサ端子156における、接続本体155と対向する面に、接続本体155に係合する部材(例えばフック形状の部材)が設けられ、その部材が接続本体155に埋め込まれていてもよい。第2センサ端子157についても同様である。
【0179】
(2-11)第1センサ端子156及び/または第2センサ端子157は、インサート成形とは異なる方法で接続本体155に設けられてもよい。例えば、第1センサ端子156及び/または第2センサ端子157は、接続本体155の表面に接着剤によって固定されていてもよい。また例えば、第1センサ端子156及び/または第2センサ端子157は、前述の脱落抑制構造に類する構造によって接続本体155に固定されていてもよい。
【0180】
(2-12)第1センサ端子156及び第2センサ端子157は、どのような形状を備えていてもよい。コネクタ200は、第1コネクタ端子211、第2コネクタ端子212及び第3コネクタ端子213を備えていなくてもよい。
【0181】
(2-13)
図14~
図19を用いて説明した、温度センサ18をコントローラ15と電気的に接続するための配線構造は、電動作業機における各種の電気的接続において採用してもよい。
【0182】
(2-14)上記実施形態では、電動作業機の一例として、充電式インパクトドライバを例示したが、本開示の技術は、作業対象に対する作業を行うように構成された他の電動作業機に適用されてもよい。作業対象は、どのようなものであってもよく、例えば、木材、金属、プラスチックその他の各種の被加工材、ネジ、釘、ナットなどの各種の固着具、植物、粉塵、気体、液体などであってもよい。電動作業機は、どのような被駆動部材を備えていてもよい。被駆動部材は、作業対象に対してどのように作用してもよい。被駆動部材は、例えば、被加工材に穴を開けるように作用するドリルビットであってもよいし、被加工材を切断するように作用する回転刃であってもよいし、被加工材を研磨するように作用する研削砥石であってもよいし、気体又は液体を流出又は流入するように作用する回転翼であってもよい。
【0183】
本開示の技術は、例えば、日曜大工、製造、園芸、工事などの作業現場で使用される各種の現場用電気機器に適用されてもよい。 具体的には、例えば、石工用、金工用、木工用の電動工具、園芸用の作業機、作業現場の環境を整える装置等、被駆動部材を備える各種電動作業機に本開示の技術が適用されてもよい。より具体的には、例えば、電動ハンマ、電動ハンマドリル、電動ドリル、電動ドライバ、電動レンチ、電動グラインダ、電動マルノコ、電動レシプロソー、電動ジグソー、電動カッター、電動チェンソー、電動カンナ、電動釘打ち機(鋲打ち機を含む)、電動ヘッジトリマ、電動芝刈り機、電動芝生バリカン、電動刈払機、電動クリーナ、電動ブロア、電動噴霧器、電動散布機、電動集塵機などの各種電動作業機に本開示が適用されてもよい。
【0184】
(2-15)上記実施形態における1つの構成要素によって達成される複数の機能を、複数の構成要素によって達成したり、1つの構成要素によって達成される1つの機能を、複数の構成要素によって達成したりしてもよい。また、複数の構成要素によって達成される複数の機能を、1つの構成要素によって達成したり、複数の構成要素によって達成される1つの機能を、1つの構成要素によって達成したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態のうちの何れか1つにおける構成要素を他の1つの実施形態に対して付加又は置換してもよい。