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  • 特許-締付けツール用のシール構成 図1
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  • 特許-締付けツール用のシール構成 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】締付けツール用のシール構成
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/10 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B25B23/10 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020572506
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2019066312
(87)【国際公開番号】W WO2020002116
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】1830207-5
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン ウルフ ミカエル
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107618000(CN,A)
【文献】中国実用新案第2285395(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(10)及びシール構成(100)を備えた携帯式電動締付けツール(1)であって、
前記シール構成が、前記ハウジング(10)の第1の部分(10a)を前記ハウジング(10)の第2の部分(10b)からシールするように構成され、更にシール要素(20)及びバネ(30)を備え、
前記シール要素は、前記ハウジングに形成された肩部(11)に当接するよう構成された第1の部分(21)と、前記ツールの回転アクスル(40)の外面(41)の一部に当接するよう構成された第2の部分(22)とを備え、
前記バネは、第1の端部(31)において前記シール要素に形成された肩部に当接し、第2の端部(32)において前記アクスルに配置された支持要素(42)に当接するように構成され、前記シール要素に力が作用して前記ハウジングに形成された前記肩部に接して前記シール要素を押し付け、
前記シール要素(20)は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置された中間部分(23)を備え、該中間部分(23)は、前記シール要素(20)の第2の部分が前記回転アクスルの外面に接して付勢されるような弾性部分である、
ことを特徴とする携帯式電動締付けツール。
【請求項2】
前記シール要素は回転対称であり、前記アクスルの周りを取り囲み、前記シール要素の第2の部分が、前記回転アクスルの外面の円周部分に当接するよう構成される、
請求項1に記載の携帯式電動締付けツール。
【請求項3】
前記アクスル上に配置された前記支持要素は、半径方向に突出する支持要素である、
請求項1または2に記載の携帯式電動締付けツール。
【請求項4】
前記シール要素は、前記アクスルと共に回転する、
請求項1~3の何れか1項に記載の携帯式電動締付けツール。
【請求項5】
前記シール要素の前記第1の部分は、前記シール要素の第1の端部に配置される部分であり、前記シール要素の前記第2の部分は、前記シール要素の第2の端部に配置される部分である、
請求項1~4の何れか1項に記載の携帯式電動締付けツール。
【請求項6】
前記シール要素の前記第1の端部が遠位端である、
請求項1~5の何れか1項に記載の携帯式電動締付けツール。
【請求項7】
前記シール要素の前記第1の端部が平面内に延び、前記回転アクスルが前記平面に垂直である、
請求項1~6の何れか1項に記載の携帯式電動締付けツール。
【請求項8】
前記第2の部分は、前記シール要素と前記回転アクスルとの間の単一の接触領域を構成する、
請求項1~7の何れか1項に記載の携帯式電動締付けツール。
【請求項9】
前記バネと前記半径方向に突出する支持要素との間に配置されるワッシャ42aを更に備える、
請求項3に記載の携帯式電動締付けツール。
【請求項10】
前記半径方向に突出する支持要素が、外部サークリップである、
請求項に記載の携帯式電動締付けツール。
【請求項11】
前記シール要素が、低摩擦材料から作られている、
請求項1~10の何れか1項に記載の携帯式電動締付けツール。
【請求項12】
前記シール構成は、気密シールを提供するように構成され、前記第1の部分に存在する第1の圧力が、前記ハウジングの前記第2の部分に存在する第2の圧力よりも低い、
請求項1~11の何れか1項に記載の携帯式電動締付けツール。
【請求項13】
前記ハウジングの前記第1の部分が真空になる、
請求項12に記載の携帯式電動締付けツール。
【請求項14】
ネジをピックアップするための真空アダプタとともに取り付けられるように更に構成され、真空である前記ハウジングの前記第1の部分が、前記真空アダプタに流体接続されるように構成される、
請求項13に記載の携帯式電動締付けツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に、ネジを締めるための電動工具に関し、より詳細には、ハウジングと、ハウジングの第1の部分をハウジングの第2の部分からシールするように構成されたシール構成とを備える電気締め付けツールに関する。
【背景技術】
【0002】
締め付け用の電動工具は、様々な産業で使用することが知られている。例えば、エレクトロニクス産業において、締め付けツールは、小さなネジを締めるのに使用される。このようなツールは一般に、利用される多くの場合に極めて小さいネジのピッキング及び保持を容易にする機構を含む。
このような機構の実施例は、種々の真空解決策を含み、ここで真空は、ツールの前端部に提供され、小さなネジを少しずつ所定位置に吸い込むことができるようになる。
【0003】
より詳細には、ツールの前端部に取り付けられる補助アダプタを用いて真空が提供される、いわゆる真空アダプタが知られており、ここで、真空は一般に、アダプタに取り付けられた別個のホースによって提供される。このようなアダプタの1つの実施例は、本出願人による特許文献WO2015/069166において示されている。しかしながら、このようなデバイスは、これ自体が補助的なデバイスであるため、システムが複雑になる。更に、必要な真空を提供するのに必要とされるホースは、ツール及び作業場所に追加の制約を課し、従って、ユーザーに不便をもたらす可能性がある。
【0004】
これらの問題の幾つかを軽減するために、ツールの前端部に真空を提供することができる内部ホース又はチャネルを有する締め付けツールが提案されてきた。しかしながら、これらの設計には、真空が支配するツールの部品と他の部品との間に適切なシールを設けることに関連する様々な問題がある。提案されている解決策には、シール軸受の使用が含まれ、この場合、様々な欠点として、圧力(つまり、真空)の変動がこのような軸受のゴムシールに悪影響を及ぼし、これによってシール性能を低下させること、及び真空が軸受からの望ましくないグリースの除去を引き起こし、機能を損ない、軸受の寿命を短くする可能性があることが挙げられる。従って、このような内部真空装置を有する締め付けツールの分野において改善が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2015/069166号
【発明の概要】
【0006】
従って、改善されたシール構成を備えた締め付けツールを提供することが望ましい。詳細には、シール特性を改善し、好ましくは寿命が延びた締め付けツールを提供することが望ましいことになる。これらの懸念点のうちの1又は2以上に適切に対処するために、独立請求項で定義されたシール構成を備えた締め付けツールが提供される。好ましい実施形態は、従属請求項にて定義される。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、シール構成を備えた締付けツールが提供され、シール構成は、ハウジングの第2の部分からハウジングの第1の部分をシールするように構成され、シール要素及びバネを備える。シール要素は、ハウジングに形成された肩部に当接するように構成された第1の部分と、ツールの回転アクスルの外面の一部に当接するよう構成された第2の部分とを含み、バネは、第1の端部にてシール要素に形成された肩部に当接するよう構成され、第2の端部にてアクスル上に配置された支持要素に当接するように構成されており、ハウジングに形成された肩部に接してシール要素を押し付けるようにする。
【0008】
第1の態様によれば、締付けツール(又は電動工具、これらの用語は本明細書全体で互換的に使用される)は、一方ではアクスルに当接し且つ他方ではハウジングの一部に接してバネ要素によって押し付けられるシール要素を用いて、ハウジングの第1及び第2の部分をシールするよう構成されたシール構成を組み込む設計によって、上記の懸念に対する本発明の解決策を提供する。より具体的には、アクスルに対して提供される静的シールと、ハウジングに対して提供される可動シールとの本発明の組み合わせにより、シール性能及びシール構成の寿命並びに従って電動工具の性能が大幅に改善することができる。バネは、シール要素に対して好ましくはかなり小さいが十分な力を与えるように構成されており、要素が、ハウジングに形成された肩部に僅かに押し付けられて適切なシールを提供すると同時に、十分に低い摩擦力を間に提供する。これは、要素を肩部に押し付けるための所定の適切なバネ力を定義できるという点で有利であるだけでなく、例えば構成された構成要素の公差チェーンに起因してシールとハウジングとの間の接触に関する不確実性の点で有利であり、また、ツールの寿命期間中のシール要素の摩耗に起因して有利に処理することができる。これは、シール要素がアクスルに沿って移動できるため、すなわち、バネ力がシール要素をアクスルに沿って移動させることができ、公差及び/又は摩耗に起因する何らかの広がりを補償できるためである。更に、バネの力に起因して、シール要素とハウジングの間の摩擦を少なくするだけでなく、ばらつきも少なくすることができる。これは、例えば、1~50cNmの範囲又は1~25cNmの範囲で低い締め付けトルクを提供するツールに特に有利であり、この場合、内部摩擦条件の変化の影響が、伝達されるトルクの精度に関して特に不利になる。第2の端部では、シール要素は、ツールのアクスルに当接し、この端部においても適切なシールを提供する。これにより、提供されるシール及び寿命の改善に加えて、例えば摩擦の変化に関連する既知の問題、及びこれに関連する伝達されるトルクの精度の問題を回避又は少なくとも軽減することができる。
【0009】
1つの実施形態によれば、ツールは、電動工具を制御するように動作するコントローラを備え、又はコントローラに接続することができる。1つの有利な実施形態では、電動工具は、ネジのピッキングを容易にするためにツールの第1の端部で(又はこれに)真空を提供するために、内部真空チャネル又はホースを備えた、小さなネジを締めるための携帯式電動工具である。このようなツールの場合、改善されたシールの提供、より詳細には実質的に一定の低い摩擦の提供は、例えば、このようなツールによって一般的に提供される低トルクレベルに起因して特に重要である、供給トルクの改善された精度を提供する。しかしながら、当業者であれば、本発明の範囲内で他のタイプの電動工具が考えられることは理解される。当業者であれば更に、本明細書全体を通して、真空とは、大気圧よりはるかに低いガス圧を有する領域、すなわち必ずしも完全な真空ではない領域であることを理解すべきであることは分かる。
【0010】
何れの場合も、シール要素は、第1の端部にてハウジングの肩部に対してシールし、第2の端部にてアクスルの表面に対してシールし、バネによって肩部に対して連続して押し付けられると説明することができる。シール要素は、例えば、アセタールプラスチック(POM)又はテフロン(登録商標)などの低摩擦材で作られるのが好ましい。更に、バネの剛性は、望ましいシールを依然として提供しながら不必要な摩擦を避けるために、できるだけ低く選択することが好ましい。例えば、幾つかの実施形態では、バネの剛性は、0.25-1N/mmの間隔、好ましくは0.25-0.5N/mm間隔にある。
【0011】
1つの実施形態によれば、シール構成は、ハウジングの第1の部分をハウジングの第2の部分から流体的にシールするように構成され、第1の圧力がハウジングの第1の部分に支配的であり、第2の圧力がハウジングの第2の部分に支配的である。提供されるシールは気密シールとすることができる。1つの実施形態によれば、シール構成は、第1の部分に支配的な第1の圧力が、ハウジングの第2の部分に支配的な第2の圧力よりも低い気密シールを提供するように構成されている。ハウジングの第1の部分は、幾つかの実施形態では、遠位部分、すなわち、ツールの前端部でツールのビット及びビットホルダーに近接して配置されたハウジングの前部として説明できるものとすることができる。このような実施形態では、第1のチャンバの低い圧力は、バネがシール要素をハウジングの肩部に向かって押し付けるのを助けることができる。更に、1つの実施形態によれば、真空は、ハウジングの第1の部分において支配的にすることができる。これは、例えば、ツールの前端部又は遠位端に真空を提供するための内部流体チャネルを含む上記の電動工具のグループの場合とすることができる。このようなツールでは、ツールを真空源に接続する手段は、ツールの第2の対向するすなわち後端部にて設けることができ、これにより、真空は、ハウジングの第2の部分を通って第1の部分に流体チャネル内で伝達することができる。従って、大気圧がハウジングの第2の部分にて支配的である可能性がある。更に、ギア装置などのドライブラインの他の部分と共にモーターは、ハウジングの第2の部分に配置することができる。ハウジングの第1の部分にも真空が直接供給される実施形態も考えられる。1つの実施形態によれば、携帯式電動工具は更に、ネジをピックアップするための真空アダプタが取り付けられるように構成され、真空が支配するハウジングの第1の部分は、真空アダプタに流体接続されるように構成される。これにより、真空は、外部ホース又は同様のものが不都合になることなく、このようなアダプタ(当技術分野で知られており、従って、詳細には説明しない)に好都合に提供することができる。
【0012】
1つの実施形態によれば、要素の第1の部分は第1の外径を有し、要素の第2の部分は第2の外径を有し、第1の直径がより大きくて、これらの間に肩部が形成される。更に、1つの実施形態によれば、シール要素は、第1部分と第2部分との間に配置された中間部分を備え、中間部分は、シール要素の第2部分が回転アクスルの外面に対して付勢されるように弾性部分である。換言すると、中間部分は、シール要素の第2の部分をアクスルの外面に押し付け又は押圧して提供されるシールを改善するバネ部分として説明することができる。幾つかの実施形態では、中間部分は、第1の部分に隣接する第1の直径及び第2の部分に隣接する第2の断面直径を有し、第1の直径がより大きい。幾つかの実施形態では、中間部分は、少なくとも要素の第1の部分の厚さと比較して、薄壁部分として説明することができる。壁厚はほぼ一定とすることができる。
【0013】
1つの実施形態によれば、シール要素は回転対称であり、アクスルの周りを取り囲み、シール要素の第2の部分は、回転アクスルの外面の円周部分に当接するように構成されるようになる。更に、シール要素の第1の部分は、ハウジングの肩部の円周部分に当接するように適合させることができる。
【0014】
1つの実施形態によれば、シール構成はアクスルと共に回転する。このような実施形態において、要素の第2の部分でのアクスルに対するシールは、静的シールとして説明することができ、他方、第1の端部での肩部に対するシールは、動的シールとして説明することができる。しかしながら、シール構成は、軸方向、すなわちバネ力の作用方向でアクスルに対して固定されていない。むしろ、シール要素は、例えば、シール要素の摩耗を補償するためにバネによる作用時に僅かに移動することができる。
【0015】
1つの実施形態によれば、第2の部分は、シール要素とアクスルとの間の単一の接触領域を構成する。例えば、ある実施形態では、シール要素は、ツールのアクスルとシール要素の第1の部分のシール要素との間に小さなギャップ又は遊びが支配的であるように設計することができる。換言すると、シール要素の第1の端部にて、シール要素は、アクスルではなくハウジングの肩部にのみ当接するように設計することができる。これは、例えば、シール要素の第2の部分で又は第2の部分によって提供されるシール接点によって、ハウジングの第1の部分と第2の部分との間に適切なシールを提供しながら、アクスルの意図しないロック又は閉塞を回避できるという点で有利である。
【0016】
1つの実施形態によれば、シール要素の第1の部分は、要素の第1の端部に配置される部分であり、シール要素の第2の部分は、要素の第2の端部に配置される部分である。1つの実施形態によれば、要素の第1の端部は遠位端である。遠位端とは、ハウジングの前端部、すなわち、ツールのビット及びビットホルダーが配置される端部であることを理解されたい。幾つかの実施形態では、シール要素の第1の部分は、ハウジングの第1の部分に面し、他方、ハウジングの第2の部分は、ハウジングの第2の部分に面する。幾つかの実施形態では、シール要素は、ハウジングの第2の部分(ツールの長手方向軸に沿って見たときに)と同じハウジングの肩部の側に配置される。一部の実施形態では、シール要素は、ハウジングの第2の部分に配置されると説明することもできる。
【0017】
1つの実施形態によれば、シール要素の第1の部分は、アクスルが平面に垂直である平面内に延びる。これにより、適切なシールが、アクスルの方向に作用するバネ力によって、ハウジングの肩部の表面(実質的に平行な平面に延びる表面とすることができる)に対して達成される。更に、幾つかの実施形態では、平面は、アクスル上に配置された支持要素の平面に平行とすることができる。シール要素の第2の部分、より詳細にはアクスルの表面と接触する部分は、幾つかの実施形態では、アクスルに平行な平面内に延びると説明することができる。
【0018】
1つの実施形態によれば、アクスル上に配置された支持要素は、半径方向に突出する支持要素である。このような支持要素は、アクスルと一体されるか、又はアクスルに取り付けられた別個のコンポーネントとすることができる。例えば、1つの実施形態によれば、半径方向に突出する要素は、外部サークリップ又は同様の構造体である。1つの実施形態によれば、携帯式電動工具は、バネと半径方向に突出する支持要素との間に配置されたワッシャ、例えばスチールワッシャを備える。これにより、バネが当接することができる有利で平坦且つ十分に大きな表面が提供される。当業者であれば、代替としてバネがアクスルの痕跡又はスロットに当接する実施形態が考えられることは理解される。
【0019】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、以下の詳細な開示、図面及び添付の特許請求の範囲を検討すると明らかになるであろう。当業者であれば、本発明の様々な特徴を組み合わせて、以下に記載されるもの以外の実施形態を作成できることは理解される。
【0020】
本発明は、添付図面を参照しながら、好ましい実施形態に関する以下の限定ではない例示的な詳細な説明全体を通してより理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】1つの実施形態による締付けツールの断面図である。
図2】1つの実施形態による電動工具の例示的なシール構成の斜視図である。
図3】1つの実施形態による電動工具の例示的なシール構成の断面図である。
【0022】
全ての図は概略図であり、必ずしも縮尺どおりではなく、一般に、本発明を明らかにするために必要な部分のみを示しており、他の部分は省略又は単に示唆されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、1つの実施形態によるシール構成100を備えた電動工具1が断面図で示されている。シール構成100は、ハウジング10内に示され、締付けツール1の前端部又は遠位端にて第1の部分10aをツールの第2の部分10bからシールするように構成されている。図1に例示する締付けツールの実施形態では、真空、すなわち比較的低い圧力がハウジングの第1の部分10aに支配的であり、ツールは更に、ツールの前端部にこの真空を提供するための内部流体チャネル(図示せず)を備える。従って、ツールを真空源に接続するための真空接続部Vがツールの後端部に設けられる。第2の部分10bでは、大気圧が支配的である。
【0024】
シール構成100は、ツールの回転アクスル40に配置されて斜視図で詳細に示されている。シール構成100は、シール要素20とバネ30を備える。バネは、アクスル40上に配置された突出要素42に支持され、シール要素20に作用するよう、詳細にはハウジング(図2には示されていない)の肩部に要素20を押し付けるように構成されている。
【0025】
図3を参照すると、ツール1のシール配置並びにハウジング10の周囲部分が断面図で示され、シール要素20は、ハウジング10の第1の部分10aと第2の部分10bとの間にシールを提供する。
【0026】
例示の実施形態のシール要素20は、回転対称であり、第1の端部にて、ハウジング10に形成された肩部11に当接する第1の部分21と、第2の端部にて、ツールの回転アクスル40の外面41の円周部分に当接する第2の部分22とを備える。弾性中間部23は、第1の部分21と第2の部分22との間に配置され、第2の部分22は、回転アクスル40の外面41に押し込まれ又は押し付けられるようになる。
【0027】
次に、バネは、第1の端部31にて、シール要素20の第1の端部21と第2の端部22との間に形成された肩部24に当接し、第2の端部32にて、バネと半径方向に突出する支持要素42との間に配置された鋼製ワッシャ42a(図示の実施形態では外部サークリップ42)に当接する。これにより、バネ30がシール要素20に力を作用させ、シール要素を肩部11に押し付ける。バネは、第2の端部にて、アクスル40上に配置された突出要素42に支持される。ウォッシャー42aは、バネ30と半径方向に突出する支持要素42との間に配置される。ワッシャ42aは、シール要素20が当接する肩部11の表面と実質的に平行である。
【0028】
シール要素20の第1の部分21は、ハウジングの第1の部分10a、従ってツール1の前端部に面している。これにより、ハウジング10の第1の部分10aに支配的な真空は、図示の実施形態では、バネ30が肩部11に接してシール要素20を押し付けるのを更に助けることができる。更に、シール構成100は、アクスル40と共に回転する。従って、要素20の第2の部分2によるアクスル40に対するシールは、静的シールとして説明することができ、他方、第1の端部21における肩部11に対するシールは、動的シールとして説明することができる。しかしながら、シール構成は、アクスルに対して軸方向に固定されていないが、シール要素20とアクスル40との間の接触領域を構成する第2の部分22にてアクスル40に沿って滑動することができる。
【0029】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に例示され説明されてきたが、このような例示及び説明は、例証又は例示的なものであり、限定ではないと見なされるべきであり、本発明は、開示された実施形態に限定されない。当業者であれば、添付の特許請求の範囲に定められる範囲内で多くの修正、変形及び変更が考えられることが理解される。加えて、開示された実施形態の変形形態は、特許請求される発明を実施する当業者によって理解及び実施され、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討を行うことができる。特許請求の範囲において、「含む」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数で表された名詞は複数形を除外しない。特定の措置が相互に異なる従属請求項において記載されているという単なる事実は、これらの措置の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。クレーム内の何れかの参照記号は、クレームの範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
図1
図2
図3