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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】超音波診断システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A61B8/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021018827
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022121867
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2023-08-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 英司
(72)【発明者】
【氏名】脇 康治
(72)【発明者】
【氏名】日下部 彰
(72)【発明者】
【氏名】石黒 俊
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-209339(JP,A)
【文献】特開2019-145936(JP,A)
【文献】特開2016-042289(JP,A)
【文献】特開2006-115986(JP,A)
【文献】特開2001-276061(JP,A)
【文献】特開2015-029620(JP,A)
【文献】特開2003-265454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査者によって操作される超音波診断装置と、
前記超音波診断装置に対して通信回線を介して接続され、前記検査者に助言を与える助言者によって操作されるリモート装置と、
を含み、
前記超音波診断装置は、超音波を送受波するプローブと、前記超音波の送受波により生成される超音波画像を表示する第1表示器と、前記超音波画像を表示するための画像データを前記リモート装置へ送信する第1通信部と、を有し、
前記リモート装置は、前記画像データを受信する第2通信部と、前記画像データに基づいて前記超音波画像を表示する第2表示器と、前記助言者の声を音声信号に変換するマイクと、を有し、
前記音声信号を助言文字列に変換する変換部が設けられ、
前記検査者により超音波診断が行われている状況下において前記第1表示器に前記助言文字列が表示され、
前記超音波診断装置は、前記検査者により選択される複数の応答要素を含み、
前記複数の応答要素の中から選択された応答要素に対応する応答情報が前記第1通信部から前記第2通信部へ送られ、
前記第2表示器に前記応答情報に基づく応答文字列が表示される、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項2】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記変換部は前記リモート装置内に設けられ、
前記第2通信部から前記第1通信部へ前記助言文字列を表すデータが送られる、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項3】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記リモート装置は、助言者画像を取得するリモートカメラを含み、
前記リモートカメラから出力された助言者画像データが前記第2通信部から前記第1通信部へ送られ、
前記第1表示器に前記助言文字列と共に前記助言者画像が表示される、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項4】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記プローブが当接される被検者を撮影して被検者画像を取得するローカルカメラを含み、
前記ローカルカメラから出力された被検者画像データが前記第1通信部から前記第2通信部へ送られ、
前記第2表示器には前記超音波画像と共に前記被検者画像が表示される、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項5】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記複数の応答要素は、複数のボタン又は複数の仮想的なボタンである、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項6】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記第1表示器に前記助言文字列と共に前記助言者によって選択された操作支援像が表示される、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は超音波診断システムに関し、特に、超音波診断装置とリモート装置とを含む超音波診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、被検者に対して超音波を送波し体内からの反射波を受波することにより得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する医療装置である。超音波診断装置は、超音波送受波器としてのプローブを有する。通常、プローブの送受波面が被検者の表面に当接され、その状態で超音波が送受信される。適切な超音波画像を取得するためには、目的組織に対してプローブの位置及び姿勢を正確に調整する必要があるが、それを素早く的確に行うのには熟練を要する。経験の浅い検査者が超音波診断を行う場合、経験豊富なベテランからの助言が必要となる。
【0003】
特許文献1,2には遠隔医療システムが開示されている。それらの特許文献には、超音波診断のための助言を伝送する構成は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-29620号公報
【文献】特許第4698423号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波診断において、助言者が検査者に対して助言を与える場合、その内容が被検者に伝わると、被検者において不安感を覚える。また、検査室内での口頭による直接的な指示は場合によっては検査者においてストレスを生じさせる。
【0006】
本開示の目的は、助言者が検査者に与える助言の内容が被検者に容易には伝わらないようにすることにある。あるいは、本開示の目的は、助言を受ける検査者のストレスを軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る超音波診断装置は、検査者によって操作される超音波診断装置と、前記超音波診断装置に対して通信回線を介して接続され、前記検査者に助言を与える助言者によって操作されるリモート装置と、を含み、前記超音波診断装置は、超音波を送受波するプローブと、前記超音波の送受波により生成される超音波画像を表示する第1表示器と、前記超音波画像を表示するための画像データを前記リモート装置へ送信する第1通信部と、を有し、前記リモート装置は、前記画像データを受信する第2通信部と、前記画像データに基づいて前記超音波画像を表示する第2表示器と、前記助言者の声を音声信号に変換するマイクと、を有し、前記音声信号を助言文字列に変換する変換部が設けられ、前記検査者により超音波診断が行われている状況下において前記第1表示器に前記助言文字列が表示される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る構成よれば、助言者が検査者に与える助言の内容が被検者に容易には伝わらない。あるいは、本開示に係る構成によれば、検査者において生じ得るストレスを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る超音波診断システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1表示例を示す図である。
図3】定形応答リストを示す図である。
図4】第2表示例を示す図である。
図5】助言文字列の切換え表示を説明するための図である。
図6】第2実施形態に係る超音波診断システムの構成を示すブロック図である。
図7】第2実施形態に係る表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
(1)実施形態の概要
実施形態に係る超音波診断システムは、検査者によって操作される超音波診断装置と、超音波診断装置に対して通信回線を介して接続され、検査者に助言を与える助言者によって操作されるリモート装置と、を有する。超音波診断装置は、超音波を送受波するプローブと、超音波の送受波により生成される超音波画像を表示する第1表示器と、超音波画像を表示するための画像データをリモート装置へ送信する第1通信部と、を有する。リモート装置は、画像データを受信する第2通信部と、画像データに基づいて超音波画像を表示する第2表示器と、助言者の声を音声信号に変換するマイクと、を有する。更に、音声信号を助言文字列に変換する変換部が設けられる。検査者により超音波診断が行われている状況下において第1表示器に助言文字列が表示される。
【0012】
上記構成によれば、検査者に対して、音声としてではなく、文字列として助言が伝達される。よって、助言内容が被検者に容易には伝わらないので、助言に起因して被検者が不安感を覚える可能性を低減できる。また、音声による助言に比べて検査者において生じるストレスを低減し得る。なお、検査室内の空間は一般にあまり大きくないところ、上記構成によれば、検査室内における人的密集を回避できる利点も得られる。
【0013】
実施形態において、変換部は、リモート装置内に設けられる。助言文字列を表すデータが第2通信部から第1通信部へ送られる。上記構成を採用すれば、伝送される情報量を低減できる。
【0014】
実施形態において、リモート装置は、助言者画像を取得するリモートカメラを含む。リモートカメラから出力された助言者画像データが第2通信部から第1通信部へ送られる。第1表示器に助言文字列と共に助言者画像が表示される。この構成によれば、助言者の態度や表情を観察できるので、検査者に安心感を与えられる。この構成を利用して、ジェスチャーによるプローブ操作指導等も行える。
【0015】
実施形態に係る超音波診断システムは、プローブが当接される被検者を撮影して被検者画像を取得するローカルカメラを有する。ローカルカメラから出力された被検者画像データが第1通信部から第2通信部へ送られる。第2表示器には超音波画像と共に被検者画像が表示される。この構成によれば、助言者において、プローブの位置や姿勢を視認でき、また、被検者の姿勢を視認できる。
【0016】
実施形態において、超音波診断装置は、検査者により選択される複数の応答要素を含む。複数の応答要素の中から選択された応答要素に対応する応答情報が第1通信部から第2通信部へ送られる。第2表示器に応答情報に基づく応答文字列が表示される。複数の応答要素は、トラックボール、スイッチ操作等によって選択される実際の又は仮想的な複数の操作子である。上記構成によれば、検査者と助言者の間で双方向のコミュニケーションを行える。応答情報は、応答文字列を表すデータ、応答文字列を特定するコード等によって構成される。
【0017】
実施形態において、第1表示器に助言文字列と共に助言者によって選択された操作支援像が表示される。この構成によれば、特に、プローブ操作についての助言内容がわかり易くなる。複数のプローブ模擬像(操作方向を示す表示要素を含む)の中から助言者によりプローブ模擬像が選択され、選択されたプローブ模擬像を表すデータ又はコードがリモート装置から超音波診断装置へ送られてもよい。
【0018】
(2)実施形態の詳細
図1には、実施形態に係る超音波診断システムが示されている。この超音波診断システムは、病院等の医療施設に設置されるものである。医療施設には、検査室10及び別室12が含まれる。検査室及び別室12は隣接していてもよいし離れていてもよい。
【0019】
超音波診断システムは、超音波診断装置13及びリモート装置14により構成される。リモート装置14は、情報処理装置であって、その一例としてタブレット型端末が挙げられる。別の建物の中の室内にリモート装置14が存在していてもよい。
【0020】
検査室10内には、ベッドが設置されており、その近傍に超音波診断装置13が設置されている。ベッド上には被検者が横たわっている。超音波診断装置13は、検査者(医師又は検査技師)により操作される。一方、リモート装置14は、助言者(医師又は検査技師)により操作される。例えば、検査者は超音波検査の経験が乏しい者であり、助言者は超音波検査の経験が豊富な者(ベテラン)である。助言者からの必要な助言を受けながら検査者によって超音波検査が実施される。助言者は、指導者、支援者又は補助者とも言い得る。
【0021】
超音波診断装置13について詳述する。プローブ(正確にはプローブヘッド)16が検査者によって保持される。プローブ16は可搬型の送受波器である。プローブ16の送受波面が被検者202の表面に当接され、その状態で超音波が送受波される。
【0022】
プローブ16は、一次元配列された複数の振動素子からなる振動素子アレイを有する。振動素子アレイにより超音波ビームが形成され、超音波ビームは繰り返し電子走査される。これにより、被検者202内にビーム走査面が繰り返し形成される。
【0023】
送受信部17は、複数の送信信号をプローブ16に並列的に供給し、プローブ16から並列的に出力された複数の受信信号を処理する回路である。送受信部17からビームデータが出力される。なお、電子走査方向に並ぶ複数のビームデータにより受信フレームデータが構成される。画像形成部18は、受信フレームデータに基づいて超音波画像を形成する。超音波画像は例えばBモード断層画像である。他の超音波画像が形成されてもよい。
【0024】
演算制御部20は、プログラムを実行するプロセッサ(例えばCPU)により構成される。演算制御部20は、表示処理部26を有する。表示処理部26により、表示器24に表示する画像が形成される。その画像には、実施形態において、後に詳述するように、動画像としての断層画像、助言内容を表す文字列、助言者画像、等が含まれる。
【0025】
演算制御部20には、操作パネル30及び通信部22が接続されている。検査室10内には、被検者を撮像して被検者画像を取得するカメラ15が設置されている。複数台のカメラが設置されてもよい。検査室10内において、プローブ当接部位を撮影可能な位置及び向きでカメラ15が設置される。カメラ15から出力された撮像信号は演算制御部20に送られている。
【0026】
通信部22は、通信回線200に接続されている。通信回線200は、有線回線又は無線回線である。通信回線200が専用線により構成されてもよいし、それがネットワークであってもよい。
【0027】
実施形態においては、超音波診断装置13からリモート装置14へ、超音波画像データ、被検者画像データ、その他の必要なデータが転送されている。転送されるデータには、被検者情報、診断条件を表す情報等が含まれ得る。また、後述する応答文字列データが含まれ得る。なお、操作パネル30は、トラックボール、スイッチ、ボタン、キーボード等を有する。表示器24は、LCD、有機EL表示デバイス等により構成される。カメラ15は、動画像を撮像するカラーカメラである。
【0028】
リモート装置14は、演算制御部34を有する。演算制御部34は、プログラムを実行するプロセッサ(例えばCPU)により構成される。演算制御部34には、通信部32、カメラ36、マイク40、入力器41、表示器42、通信部44等が接続されている。
【0029】
リモート装置14は、上述したように、タブレット端末である。それがノートブック型PC、デスクトップ型PC等によって構成されてもよい。リモート装置14は、タッチパネルスクリーンを有し、それが入力器41及び表示器42を構成している。
【0030】
リモート装置14の筐体にはカメラ36及びマイク40が組み込まれている。カメラ36によって助言者が撮像される。これにより助言者画像が取得される。カメラ36も動画像を撮影するカラーカメラである。カメラ36から演算制御部34及び通信部32を介して通信部22へ助言者画像データが送られている。マイク40によって助言者の音声つまり助言が音声信号に変換される。
【0031】
演算制御部34は、表示処理部43、変換部45等を有する。表示処理部43は、表示器42に表示される画像を形成する。その画像には、超音波画像、検査者画像、応答文字列等が含まれる。変換部45は、音声信号に基づいて助言文字列を生成するものである。助言文字列はテキストデータとして構成される。助言内容がコードで表現されてもよい。変換部45の全部又は一部が超音波診断装置13内又は他の装置内に設けられてもよい。
【0032】
変換部45は、具体的には、認識部46及び文字列生成部48により構成される。認識部46は、音声認識を実施するものである。認識部46が機械学習型推定器により構成されてもよい。文字列生成部48により認識内容がテキストとして表現される。
【0033】
通信部32は、通信回線200に接続されている。後述するように、リモート装置14から超音波診断装置13へ、助言文字列を表すテキストデータ、助言者画像データ、操作支援像データ、等が送られる。具体的には、通信部22と通信部32との間においてデータの授受が実行される。
【0034】
通信部44は、ネットワーク52に接続されている。ネットワーク52には、他の医療装置54,56が接続されている。他の医療装置54、56として、CT装置、MRI装置、内視鏡装置、画像サーバー、等が挙げられる。リモート装置14の表示器42に、他の医療装置から入手した画像を表示し得る。
【0035】
図2には、第1表示例が示されている。画像60は超音波診断装置が有する表示器に表示される画像である。画像62はリモート装置が有する表示器に表示される画像である。画像60には、超音波画像としての断層画像64が含まれる。プローブの位置及び姿勢の変化により、断層画像64の内容が変化する。
【0036】
画像60には、リモート画像としての助言者画像70、及び、文字列表示欄72が含まれる。助言者画像70の観察を通じて、検査者において、助言者の態度、表情等を認識できる。場合によっては、助言者のジェスチャーによりプローブ操作が指示される。文字列表示欄72には、助言内容が助言文字列74として表示される。文字列表示欄72は断層画像64の下側に位置している。文字列表示欄72は、例えば100文字までのテキストを3行以内で表示し得るサイズを有している。個々の文字列の表示制御については後述する。画像60内には被検者情報66及び診断条件68等も表示されている。
【0037】
操作パネル30には、トラックボール80が含まれ、また、スイッチ列82が含まれる。トラックボール80は、ポインティングデバイスである。スイッチ列82は複数の物理的スイッチで構成され、それらに対しては複数の機能が割り当てられている。実施形態においては、それらのスイッチを利用して定形応答が選択される。すなわち、3つのスイッチに対して3つの定形応答が事前に割り付けられており、検査者が必要に応じて特定の定形応答を選択すると、それを表すテキストデータが超音波診断装置からリモート装置へ転送される。
【0038】
画像60には、複数の仮想ボタンからなる仮想ボタン列84が含まれる。複数の仮想ボタンは上記の複数のスイッチに対応している(符号85を参照)。トラックボール80によってカーソルを移動させて、いずれかの仮想ボタンを選択し得る。これにより上記同様に、特定の定形応答をリモート装置側へ送ることが可能である。
【0039】
画像62には、断層画像64Aが含まれる。断層画像64Aは超音波診断装置に表示された断層画像64と同じ画像である(符号Aを参照)。画像62内には、図示の構成例において、ローカル画像としての被検者画像86が含まれる。画像62内に、他の医療装置で取得された画像88A,88B,88Cが表示されてもよい。
【0040】
画像62の下部には、モニタ欄90が設けられている。モニタ欄90には助言文字列92が表示される。その参照により音声信号が正しく変換されていることを助言者自ら確認できる。また、画像62の下部には、文字列表示欄94が設けられている。文字列表示欄94は、応答文字列を表示するエリアである。検査者が特定の定形応答を選択すると、それに対応する応答文字列が文字列表示欄94内に表示される。助言文字列の表示及び応答文字列の表示により、双方向のコミュニケーションを円滑に行える。
【0041】
画像62中の断層画像64A上において、助言者がポインティングデバイス又は指先タッチにより座標を指定すると、そこにマーカー98が表示される。その座標データがリモート装置から超音波診断装置へ転送される(符号Bを参照)。断層画像64上にはマーカー98Aが表示される。断層画像64上におけるマーカー98Aの表示位置は、断層画像64A上におけるマーカー98の表示位置と同じである。
【0042】
上記の仕組みを利用して助言者が特定部位を検査者に指示することが可能である。これにより異常部位等を明確に伝達できる。画像62内に被検者情報や診断条件等が表示されてもよい。
【0043】
図3には、超音波診断装置において管理されている定形応答テーブル100が示されている。そこには複数のレコード102が含まれる。各レコード192は、ボタン識別子104と定型応答文106とが含まれる。テーブル100の内容は検査者等によりカスタマイズし得る。
【0044】
図4には第2表示例が示されている。画像60Aは、超音波診断装置において表示される画像であり、画像62Aは、リモート装置において表示される画像である。画像60Aには、断層画像64、助言者画像70、及び、助言文字列74が含まれる。また、画像60Aには、所定操作によりポップアップ表示されたウインドウ130が含まれる。ウインドウ130内にはアイコン列132が含まれる。それは複数のアイコンからなり、トラックボール等の操作によりいずれかのアイコンを選択し得る(符号133を参照)。選択されたアイコンに対応する定形応答文134がウインドウ130内に文字列として表示される。プルダウンメニューの操作により定形応答文が選択されてもよい。
【0045】
一方、画像62A内には、断層画像64A及び被検者画像86が含まれる。また、画像62A内には、ウインドウ130Aが含まれる。図示の表示例では、ウインドウ130Aはウインドウ130と同じ内容を有する。すなわち、ウインドウ130Aは、アイコン列132A及び定形応答文134Aが含まれる。これにより、助言者に対して検査者の応答内容が伝達される。もちろん、2つのウインドウ130,130Aの構成を異ならせてもよい。
【0046】
図示の構成例では、超音波診断装置において、ウインドウ130と検査者画像とが合成され、合成データがリモート装置へ転送されている。符号136は合成データに相当する部分を示している。リモート装置から超音波診断装置への複数のデータの転送に際して、合成データを転送してもよい。
【0047】
図5には、助言文字列表示制御の一例が示されている。タイミングt1で、第1助言文字列108Aの表示が開始される。所定の期間taにわたってその表示が維持され、タイミングt2で第1助言文字列の表示が自動終了している。第2助言文字列108Bの表示開始タイミングがt3で示されている。そのタイミングt3で、第1助言文字列108Aの表示を終了させてもよい。その場合、第1助言文字列108Aの表示期間はtbとなる。
【0048】
タイミングt4は、所定イベントが発生したタイミングである。例えば、プローブの送受波面が体表面から離れて空中放置状態へ移行したタイミングがタイミングt4である。所定イベントが発生した場合、それまで表示されていた助言文字列が消去される。図示の例では、タイミングt4で第2助言文字列108Bが消失している。タイミングt5で第3助言文字列の表示が開始される。タイミングt6で第3助言文字列の表示が終了している。その場合の表示期間はtaである。表示期間taは、ユーザーにより又は自動的に事前に設定される。
【0049】
図6には、第2実施形態に係る超音波診断システムが示されている。図6において、図1に示した要素と同様の要素には同一符号を付しその説明を省略する。
【0050】
第2実施形態においては、超音波診断装置13Aが第1通信部として機能する無線親機114を有している。無線親機114は無線ルーターであり、アクセスポイントを構成する。リモート装置14Aは、第2通信部として機能する無線子機116を有している。無線親機114に対して無線子機116が無線接続される(符号120を参照)。他の装置内の無線子機が無線親機114に接続されてもよい(符号122を参照)。
【0051】
超音波診断装置13Aの演算制御部20Aは、画像圧縮器110を有している。画像圧縮器110は、断層画像等の画像の転送に先立って画像を圧縮してそのデータ量を低減するものである。リモート装置14Aには、画像圧縮器110に対応した画像伸長器が設けられているが、その図示が省略されている。
【0052】
リモート装置14Aは、同期情報埋め込み器118を有している。後述するように、助言文字列と共に操作支援像を伝送する場合、それらの表示を同期させるために、それらに対して同期情報としてタイムスタンプが埋め込まれる。超音波診断装置13Aにおいて、同期制御部112が各情報に埋め込まれたタイムスタンプを参照し、助言文字列と操作支援像とが同時期に表示されるよう表示制御を行っている。他の情報(例えば助言者画像)に同期情報が埋め込まれてもよい。
【0053】
図7には、第2実施形態に係る表示例が示されている。符号62Bは、リモート装置の表示器に表示された画像を示しており、符号60Bは、超音波診断装置の表示器に表示された画像を示している。画像62Bには、プローブ模擬像列140が含まれる。プローブ模擬像列140は、複数種類のプローブ操作に対応する複数のプローブ模擬像142により構成される。各プローブ模擬像142は、操作方向を示す表示要素(矢印記号)を含む。各プローブ模擬像142はプローブ操作支援像として機能する。
【0054】
タッチパネルスクリーン上において、助言者の指先で特定のプローブ模擬像が選択され(符号144)、あるいは、ジョイステック等のポインティングデバイス146で助言者により特定のプローブ模擬像が選択される。これにより選択されたプローブ模擬像を表すデータ又はコードがリモート装置から超音波診断装置へ送られる。
【0055】
画像60Bには、助言者画像70及び助言文字列74が含まれ、更に、助言者により選択されたプローブ模擬像142aが含まれる。助言文字列74の表示に加えてプローブ模擬像142aを表示することにより、助言内容をより的確に検査者に伝えることが可能となる。助言文字列74の表示とプローブ模擬像142aの表示を同期させるため、上記の同期制御が実行されている。
【0056】
上記各実施形態によれば、超音波診断装置において、助言者の助言が文字列として表示されるので、被検者に対して助言内容が伝わり難く、被検者が不安感を覚える可能性を低減できる。また、口頭で助言を行う場合に比べて検査者においてストレスが生じ難い。助言者画像を検査者に提供することにより、助言文字列を超える情報を検査者に与えられる。同様に、被検者画像を助言者に提供することにより、実際のプローブ操作状況を助言者において把握することが可能となる。更に、助言文字列と共に操作支援像を表示すれば、助言内容(特に方向指示)が検査者において理解し易くなる。
【符号の説明】
【0057】
10 検査室、12 別室、13 超音波診断装置、14 リモート装置(情報処理装置)、15 カメラ、16 プローブ、20 演算制御部、22 通信部、26 表示処理部、32 通信部、34 演算制御部、36 カメラ、40 マイク、45 変換部、46 認識部、48 文字列生成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7