(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-17
(45)【発行日】2024-01-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2021149442
(22)【出願日】2021-09-14
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎太朗
(72)【発明者】
【氏名】齋田 明紀
【審査官】森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-029737(JP,A)
【文献】特開2014-151076(JP,A)
【文献】特開2013-236803(JP,A)
【文献】特開2009-142393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演出を実行可能な演出装置を備え、前記演出装置は、可動体と、前記可動体を移動させることが可能な移動機構と、を含み、前記可動体は、その左右両端部を保持されて上下方向で可動可能な遊技機であって、
前記可動体は前後方向に延びる軸を中心に回動可能であり、
前記可動体は、回動方向での傾きを同一または略同一に保つことが可能であるとともに、前記傾きを変化させることが可能であり、
前記移動機構は、シャフトと、前記シャフトに沿って移動可能な移動スライダーと、所定の回動駆動源を正転または逆転させることにより、前記
移動スライダーに昇降動作させる昇降機構とを含み、
前記移動スライダーとともに移動する移動部材と、
前記移動部材が当接可能な当接部と、をさらに備え、
前記移動スライダーが移動するときに前記移動部材が前記当接部に当接することにより、前記可動体の揺れが防止される
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記可動体は、前後方向に延びる一対のピンが挿入されることによって左右両端部が保持されており、
前記一対のピンのそれぞれの位置が上下方向で異なり、
前記可動体は上下方向で可動している過程で所定の動作を行うことが可能であり、
前記可動体が上下方向に可動しているときに、前記可動体の前記傾きを同一または略同一に保つことが可能であり、
前記所定の動作を行っているときに、前記可動体の前記傾きを変化させることが可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機として、遊技媒体である遊技球を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技球が入賞すると、所定個数の賞球が遊技者に払い出され、識別情報の変動表示(「変動」ともいう。)の表示結果が特定表示結果となった場合に、遊技状態を変更する遊技機(いわゆる、パチンコ機)が知られている。
【0003】
また、1ゲームに対して所定数の賭数を設定した後、遊技者がスタートレバーを操作することにより識別情報の変動表示を開始し、遊技者がストップスイッチを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で識別情報の変動表示を停止し、全ての変動表示を停止したときに導出された表示結果に従って入賞が発生し、入賞に応じて予め定められた所定の遊技媒体が払い出され、特定入賞が発生した場合に、遊技状態を変更する遊技機(いわゆる、スロットマシン)が知られている。
【0004】
そのような遊技機において、上下方向で可動する可動体を備えた遊技機が知られている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-47252号公報
【文献】特開2014-131648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、可動体を上下方向に可動させるのみでは演出効果が低く、遊技の興趣に欠けるものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技の興趣を高めることができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、演出を実行可能な演出装置を備え、前記演出装置は、可動体と、前記可動体を移動させることが可能な移動機構と、を含み、前記可動体は、その左右両端部を保持されて上下方向で可動可能な遊技機であって、前記可動体は前後方向に延びる軸を中心に回動可能であり、前記可動体は、回動方向での傾きを同一または略同一に保つことが可能であるとともに、前記傾きを変化させることが可能であり、前記移動機構は、シャフトと、前記シャフトに沿って移動可能な移動スライダーと、所定の回動駆動源を正転または逆転させることにより、前記移動スライダーに昇降動作させる昇降機構とを含み、前記移動スライダーとともに移動する移動部材と、前記移動部材が当接可能な当接部と、をさらに備え、前記移動スライダーが移動するときに前記移動部材が前記当接部に当接することにより、前記可動体の揺れが防止される。よって、可動体の動きにバリエーションを加えることが可能になり、可動体による演出効果を高めて、遊技の興趣を高めることができる。
なお、可動体の回動とは、360度回転する動きに限らず、360度未満での傾く動き
、例えばわずかな角度に傾く動きも含むものである。
【0009】
前記可動体は、前後方向に延びる一対のピンが挿入されることによって左右両端部が保持されており、前記一対のピンのそれぞれの位置が上下方向で異なり、前記可動体は上下方向で可動している過程で所定の動作を行うことが可能であり、前記可動体が上下方向に可動しているときに、前記可動体の前記傾きを同一または略同一に保つことが可能であり、前記所定の動作を行っているときに、前記可動体の前記傾きを変化させることが可能であるように構成してもよい。よって、ピンの挿入位置によって可動体の傾きに変化をつけることが可能になり、複雑な機構を設けることなく可動体の動きにバリエーションを加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】可動体が初期位置に位置するときの演出ユニットの正面図である。
【
図4】可動体が第1可動位置に位置するときの演出ユニットの正面図である。
【
図5】可動体が第2可動位置に位置するときの演出ユニットの正面図である。
【
図6】演出ユニットを分解した状態を示す分解斜視図である。
【
図7】可動体が第2可動位置で特定演出動作を行っている状態を示す説明図である。
【
図9】可動体の揺れを防止するローラを説明するための昇降装置の斜視図である。
【
図10】可動体が初期位置に位置するときのローラの状態を示す説明図である。
【
図11】可動体が可動したときのローラの状態を示す説明図である。
【
図12】(a)本実施形態における昇降装置と液晶表示器の画像表示領域の寸法関係を示し、(b)従来例における昇降装置と液晶表示器の画像表示領域の寸法関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
[全体構成]
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、
図1を参照しつつパチンコ機1の全体構成について説明する。
【0013】
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7(プラ枠、遊技機枠)を備えている。遊技者に相対する正面からみて、その最も前面側には一体扉ユニット4が位置している。一体扉ユニット4の背面側(奥側)には内枠アセンブリ7が位置しており、内枠アセンブリ7の外側を囲むようにして外枠ユニット2が配置されている。
【0014】
外枠ユニット2は、木材及び金属材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。なお、縦長矩形状の外枠ユニット2において、上下の短辺に相当する部位には木材が用いられており、左右の長辺に相当する部位には金属材が用いられている。
【0015】
一体扉ユニット4は、その下部位置に受皿ユニット6が一体化された構造である。一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7は、外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
【0016】
図1中の正面からみて内枠アセンブリ7の右側縁部には、その内側に統一錠ユニットが設けられている。また、これに対応して一体扉ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。
図1に示されるように、外枠ユニット2に対して一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニットは施錠具とともに一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7の開放を不能にしている。
【0017】
また、受皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニットが作動して内枠アセンブリ7とともに一体扉ユニット4の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
【0018】
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、内枠アセンブリ7は施錠されたままで一体扉ユニット4の施錠だけが解除され、一体扉ユニット4が開放可能となる。一体扉ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤ユニット8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。また、一体扉ユニット4を開放すると、受皿ユニット6も一緒に前面側へ開放される。
【0019】
また、パチンコ機1は、遊技用ユニットとして上記の遊技盤ユニット8を備えている。遊技盤ユニット8は、一体扉ユニット4の背後(内側)で上記の内枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤ユニット8は、例えば一体扉ユニット4を前面側へ開放した状態で内枠アセンブリ7に対して着脱可能である。一体扉ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、一体扉ユニット4の裏側に図示しない取り付け具を介して取り付けられる。遊技盤ユニット8の前面には遊技領域(盤面、遊技盤)が形成されており、この遊技領域は窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。一体扉ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
【0020】
受皿ユニット6は、全体的に一体扉ユニット4から前面側へ突出した形状をなしており、その上面に上皿6bが形成されている。この上皿6bには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。また、受皿ユニット6には、上皿6bの下段位置に下皿6cが形成されている。この下皿6cには、上皿6bが満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお、本実施形態のパチンコ機1はカードユニットに接続する機種であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に裏側の払出装置ユニット172から受皿ユニット6(上皿6b又は下皿6c)に払い出される。
【0021】
受皿ユニット6の上面には貸出操作部14が設けられており、この貸出操作部14には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないカードユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。このため貸出操作部14の上面には度数表示部(図示されていない)が配置されており、この度数表示部には、カードユニットに投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお、遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。本実施形態ではカードユニットに接続する遊技機を例に挙げているが、パチンコ機1は現金機(カードユニットに接続しない遊技機)であってもよい。
【0022】
受皿ユニット6の右下部には、ハンドルユニット16が設置されている。遊技者はこのハンドルユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8bに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射装置)。発射された遊技球は、遊技盤ユニット8の下縁部から左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8b内に放り込まれる。遊技領域8b内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8b内を流下する。なお、遊技領域8b内(盤面、遊技盤)の構成については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0023】
一体扉ユニット4には、演出用の構成要素としてレンズユニット47及び右上電飾ユニット49が設置されている。このうちレンズユニット47にはランプ46が組み込まれており、右上電飾ユニット49には右側のランプ50が組み込まれている。
【0024】
上述した各種ランプ46,50は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。また、一体扉ユニット4にはそれぞれスピーカ54a~54dが組み込まれている。これらスピーカ54a~54dは、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
【0025】
また、受皿ユニット6の中央には、上皿6bの手前位置に演出切替ボタン45が設置されている。遊技者は、この演出切替ボタン45を押し込み操作することで演出内容(例えば液晶表示器42に表示される背景画面)を切り替えたり、例えば図柄の変動中や大当りの確定表示中、あるいは大当り遊技中に何らかの演出(予告演出、確変昇格演出、大役中の昇格演出等)を発生させたりすることができる。
【0026】
さらに、演出切替ボタン45の周囲には、演出切替ボタン45を取り囲むようにジョグダイアル45aが設置されている(操作入力受付手段、回転型セレクター)。遊技者は、このジョグダイアル45aを回転させることで、例えば液晶表示器42に表示される演出内容を変化させることができる。
【0027】
[遊技盤ユニットの構成]
図2は、遊技盤ユニット8を単独で示す正面図である。遊技盤ユニット8は、ベースとなる遊技盤8aを備えており、遊技盤8aや後述する液晶表示器42などをセット板に取り付けてユニット化したものである。遊技盤8aの前面側には遊技領域8bが形成されている。遊技盤8aは、例えば透明樹脂板で構成されており、遊技盤ユニット8が内枠アセンブリ7に固定された状態で、遊技盤8aの前面はガラスユニットに平行となる。遊技盤8aの前面には、略円形状に設置された発射レール(参照符号なし)の内側に上記の遊技領域8bが形成されている。
【0028】
遊技領域8bは左側部分、右側部分に大きく分かれている。遊技領域8bの左側部分は、通常遊技状態(低確率非時間短縮状態)で使用される第1遊技領域(左打ち領域)であり、遊技領域8bの右側部分は、有利遊技状態(大当り遊技状態、小当り遊技状態、低確率時間短縮状態、高確率時間短縮状態等)で使用される第2遊技領域(右打ち領域、特定の領域)である。
【0029】
また、遊技領域8b内には、始動ゲート20、普通入賞口22,24、第1始動入賞口26、可変始動入賞装置28(第2始動入賞口)、可変入賞装置30(大入賞口)等が分布して設置されている。
【0030】
そして、遊技領域8bの左側領域を流下する遊技球は、普通入賞口22,24又は第1始動入賞口26に入球するか、各種入賞口に入球(入賞)しなかった場合は最終的にアウト口32に入球する。一方、遊技領域8bの右側領域を流下する遊技球は、主に始動ゲート20を通過するか、アウト口34に入球するか、作動時の可変始動入賞装置28に入球するか、開放動作時の可変入賞装置30に入球する可能性がある。
【0031】
始動ゲート20、普通入賞口22,24、第1始動入賞口26、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30、アウト口32,34に入球した遊技球は遊技板(遊技盤ユニット8を構成する合板材、透明板等)に形成された貫通孔を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。
【0032】
可変始動入賞装置28は、始動ゲート20を通過したときに行われる抽選に当選し、普通図柄が当りの態様で所定の停止表示時間にわたり停止表示された場合に作動し、それに伴って第2始動入賞口28aへの入球を可能にする。
【0033】
可変入賞装置30は、特別図柄が大当り又は小当りの態様で停止表示された場合に作動し、大入賞口30aへの入球を可能にする。
【0034】
また、遊技盤ユニット8の中央部には、液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。
【0035】
遊技領域8b内の中央下部には演出ユニット60が設けられている。演出ユニット60は、可動体61を備えている。可動体61は液晶表示器42の前方で上下方向に移動可能である。
【0036】
[遊技の進行の説明]
パチンコ機1では、遊技状態が通常状態である場合には、遊技者は遊技領域の左方を狙って発射操作(いわゆる左打ち)が行われる。ハンドルユニット16への遊技者による回転操作により、左打ちを行い、第1始動入賞口26に遊技球が進入すると、第1特別図柄表示装置による第1特別図柄の変動表示が開始される。
【0037】
第1特別図柄の変動表示において、確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄、例えば「7」、後述の大当り種別に応じて実際の図柄は異なる。)が停止表示されれば、「大当り」となる。また、大当り図柄とは異なる特別図柄(ハズレ図柄、例えば「-」)が停止表示されれば「ハズレ」となる。なお、第1特別図柄の変動表示であっても、極低い割合で小当り図柄が停止表示され、「小当り」となる場合があるように構成してもよい。
【0038】
第1特別図柄の変動表示の表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利な有利状態として大当り遊技状態に制御される。
【0039】
大当り遊技状態では、可変入賞装置30により形成される大入賞口30aが所定の態様で開放状態となる。大当り遊技状態においては、遊技者は、右打ちを行って、遊技球を大入賞口30aに進入させることで、賞球を得ることができる。大当り遊技状態が終了した後は、大当り種別に応じて、確変状態や小当りラッシュ状態、時短状態に制御されることがある。
【0040】
大当り遊技を終了し、遊技状態が確変状態や小当りラッシュ状態、時短状態に制御されると、遊技者は遊技領域の右方を狙って発射操作(右打ち)を行うのが有利である。ハンドルユニット16への遊技者による回転操作により、右打ちを行い、遊技球が始動ゲート20を通過すると、普通図柄表示器による普通図柄の変動表示が開始される。
【0041】
この普通図柄の変動表示では、特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の表示結果が「普図当り」となる。その一方、確定普通図柄として、普図当り図柄以外の普通図柄(普図ハズレ図柄)が停止表示されれば、普通図柄の表示結果が「普図ハズレ」となる。「普図当り」となると、可変始動入賞装置28を所定期間開放状態とする開放制御が行われる(第2始動入賞口28aが開放状態になる)。
【0042】
第2始動入賞口28aに遊技球が進入すると、第2特別図柄表示装置による第2特別図柄の変動表示が開始される。
【0043】
第2特別図柄の変動表示において、確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄、例えば「7」、後述の大当り種別に応じて実際の図柄は異なる。)が停止表示されれば、「大当り」となり、大当り図柄とは異なる所定の特別図柄(小当り図柄、例えば「2」)が停止表示されれば、「小当り」となる。また、大当り図柄や小当り図柄とは異なる特別図柄(ハズレ図柄、例えば「-」)が停止表示されれば「ハズレ」となる。
【0044】
第2特別図柄の変動表示の表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利な有利状態として大当り遊技状態に制御される。第2特別図柄の変動表示の表示結果が「小当り」になった後には、小当り遊技状態に制御される。
【0045】
[演出の進行について]
パチンコ機1では、遊技の進行に応じて種々の演出(遊技の進行状況を報知したり、遊技を盛り上げたりする演出)が実行される。当該演出について以下説明する。
【0046】
遊技の進行に応じて実行される演出として、液晶表示器42に設けられた「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアでは、第1特別図柄の変動表示又は第2特別図柄の変動表示が開始されることに対応して、左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄による変動表示が開始される。第1特別図柄の変動表示や第2特別図柄の変動表示において表示結果(確定特別図柄ともいう。)が停止表示されるタイミングでは、演出図柄の変動表示の表示結果となる確定演出図柄(3つの演出図柄の組合せ)も停止表示(導出)される。
【0047】
特別図柄の変動表示の表示結果が「大当り」となるときには、液晶表示器42の画面上において、演出図柄の変動表示の表示結果として、予め定められた大当り組合せとなる確定演出図柄が導出される(演出図柄の変動表示の表示結果が「大当り」となる)。特別図柄の変動表示の表示結果が「小当り」となるときには、液晶表示器42の画面上において、演出図柄の変動表示の表示結果として、予め定められた小当り組合せとなる確定演出図柄(例えば、「1 3 5」等)が導出される(演出図柄の変動表示の表示結果が「小当り」となる)。一例として、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける所定の有効ライン上にチャンス目を構成する演出図柄が停止表示される。特別図柄の変動表示の表示結果が「ハズレ」となる場合には、演出図柄の変動表示の態様がリーチ態様とならずに、演出図柄の変動表示の表示結果として、非リーチ組合せの確定演出図柄(「非リーチハズレ」ともいう。)が停止表示される(演出図柄の変動表示の表示結果が「非リーチハズレ」となる)ことがある。また、表示結果が「ハズレ」となる場合には、演出図柄の変動表示の態様がリーチ態様となった後に、演出図柄の変動表示の表示結果として、大当り組合せでない所定のリーチ組合せ(「リーチハズレ」ともいう)の確定演出図柄が停止表示される(演出図柄の変動表示の表示結果が「リーチハズレ」となる)こともある。
【0048】
パチンコ機1では、演出図柄の変動表示の過程で種々の演出を実行可能である。パチンコ機1で実行可能な演出には演出ユニット60が作動する演出が含まれている。そして、演出ユニット60は液晶表示器42での演出画像と連動して作動し、大当りとなることを示唆するものである。演出ユニット60が作動してもハズレになることもあるが、演出ユニット60が作動すると大当りとなる可能性が高くなるように、演出ユニット60による演出パターンの選択割合が設定されている。
【0049】
[演出ユニットの構成]
次に、演出ユニット60の構成について詳しく説明する。
図3~
図5は演出ユニット60の正面図である。演出ユニット60の可動体61は、常態では初期位置(
図3に示す位置)に位置し、初期位置と第1可動位置(
図4に示す位置)との間で上下方向に可動可能(換言すると、移動可能)である。また、可動体61は、初期位置と第1可動位置との間の第2可動位置(
図5に示す位置)で停止することが可能である。さらに、可動体61は、前後方向に延びる軸を中心に回動可能である。本実施形態では、可動体61が回動するときは、可動体61が360度回転することなくわずかな角度で傾く動きをする。そして、可動体61は、初期位置と第1可動位置との間で上下方向に可動しているときは、回動方向での傾きが同一又は略同一に保たれる。なお、以下、本実施形態では、可動体61の上下方向での可動を昇降動作と称することある。
【0050】
そして、可動体61は、第2可動位置では特定演出動作を行うことが可能である。換言すると、可動体61は昇降動作の過程で特定演出動作を行うことが可能である。具体的には、特定演出動作として、前後方向に延びる軸を中心として可動体61が回動して可動体61の傾きが変化する演出動作を行うことが可能である。この特定演出動作は、例えば、大当り期待度が高い場合に行われる。
【0051】
図6に示すように、演出ユニット60は、可動体61と、可動体61を上下方向に移動させるための一対の昇降装置62,63を備えている。昇降装置62,63は可動体61の両側方に設けられている。具体的には、昇降装置62が向かって左側に配置され、昇降装置63が向かって右側に配置されている。そして、可動体61の左右両端部は昇降装置62,63により保持されている。
【0052】
昇降装置62,63は、上下に延びる第1シャフト64と、上下に延びる第2シャフト65と、昇降スライダー66とを備えている。第1シャフト64と第2シャフト65とは前後方向の相対的な位置が異なるように配置されている。
【0053】
第2シャフト65の外周面には螺旋溝が形成されており、ナット状のすべりねじが取り付けられている。そして、このすべりねじに昇降スライダー66が取り付けられている。
【0054】
また、昇降装置62,63の下端部にはモータ67が取り付けられている。そして、モータ67の駆動力が図示しないギヤを介して第2シャフト65に伝達される。これにより、モータ67が駆動すると第2シャフト65が回転する。
【0055】
そして、第2シャフト65が回転するとすべりねじが昇降し、これに伴い、昇降スライダー66が昇降する。可動体61は、昇降装置62,63のそれぞれの昇降スライダー66に取り付けられることにより、左右両端部が保持されている。よって、昇降スライダー66の昇降とともに可動体61は昇降する。
【0056】
また、昇降スライダー66には第1シャフト64が挿通されている。そして、第1シャフト64により、昇降スライダー66が上下方向で移動するように案内されるとともに昇降スライダー66の水平方向への移動(ガタツキ)を制限して昇降スライダー66がスムーズに昇降するようにしている。
【0057】
次に、昇降スライダー66に対して可動体61の具体的な取り付け方法について説明する。昇降装置62の昇降スライダー66には前方に突出する(換言すると、前後方向に延びる)取り付けピン68a~68bが形成され、昇降装置63の昇降スライダー66には前方に突出する(換言すると、前後方向に延びる)取り付けピン68c~68dが形成されている。
【0058】
また、可動体61は、ベース板61aと、ベース板61aに取り付けられた装飾部材61bとを備えている。そして、ベース板61aには、向かって左側の端部に取り付け孔69a~69bが形成され、向かって右側の端部に取り付け孔69c~69dが形成されている。
【0059】
そして、昇降スライダー66の取り付けピン68a~68bが取り付け孔69a~69bに挿入され、昇降スライダー66の取り付けピン68c~68dが取り付け孔69c~69dに挿入されている。
【0060】
取り付け孔69a~69dに挿入された取り付けピン68a~68dにはブッシュや止め輪が取り付けられている。これにより、昇降スライダー66に可動体61が取り付けられ、可動体61は取り付けピン68a~68dによって保持されている。
【0061】
そして、
図7に示すように、取り付けピン68aは取り付けピン68cよりも上側に配置され、取り付けピン68aと取り付けピン68cは上下方向で1.5mmの寸法差が設けられている。また、取り付けピン68bは取り付けピン68dよりも上側に配置され、取り付けピン68bと取り付けピン68dは上下方向で14.3mmの寸法差が設けられている。
【0062】
さらに、取り付けピン68a,68bの根元の位置と取り付けピン68c,68dの根元の位置は、取り付けピン68a,68bが前方側(手前側)で取り付けピン68c,68dが後方側(奥側)に配置されており、前後方向で1mmの寸法差が設けられている。
【0063】
また、取り付けピン68aの直径は7mm、取り付けピン68bの直径は4mmになっており、取り付けピン68cの直径は7mm、取り付けピン68dの直径は4mmになっている。
【0064】
一方、取り付け孔69a~69dは、取り付け孔69cが丸孔であるが、取り付け孔69a~68b,68dは横長な長孔になっている。そして、取り付け孔69aは横幅が9mm、縦幅が7.1mmになっている。また、取り付け孔69bは横幅が10mm、縦幅が6mmになっている。また、取り付け孔69cの直径は7.1mmになっている。また、取り付け孔69dは横幅が6.85mm、縦幅が6mmになっている。
【0065】
そして、本実施形態においては、取り付けピン68aと取り付けピン68cは可動体61を保持して可動体61に昇降動作を行わせるための機能を有するものであり、その上下方向の寸法差によって、第2可動位置で特定演出動作を行ったときに可動体61の傾きを変化可能とするものである。また、取り付けピン68bと取り付けピン68dは可動体61の前後方向でのガタツキを抑えるための機能を有するものであり、その上下方向の寸法差は配置位置のスペースによるものである。
【0066】
[可動体の特定演出動作]
次に、第2可動位置での可動体61の特定演出動作について
図8を用いて説明する。可動体61は、例えば、大当りの期待度が高い場合に、第2可動位置で特定演出動作を行うことがある。この特定演出動作について具体的に説明する。
【0067】
図8(a)に示すように、特定演出動作を行う場合には、可動体61は、演出図柄の変動表示が開始されたときに初期位置から第1可動位置に上昇し、第1可動位置から第2可動位置まで下降する。
【0068】
次いで、
図8(b)に示すように、可動体61は第2可動位置で一旦停止する。そして、可動体61は、一旦停止した後にわずかに上昇する。このとき、前述したように、上下方向で1.5mmの寸法差が生じるように取り付けピン68aが取り付けピン68cの上側に配置されており、また、取り付けピン68aに対する取り付け孔69aの寸法に余裕が設けられているので、可動体61が上昇開始したときに、取り付けピン68aが取り付け孔69a内を移動しつつ、取り付けピン68aに対して右斜め上の方向に力が働く。これにより、可動体61が上昇開始したときに、可動体61の左端部(取り付けピン68a側の端部)から右端部に向かって下り傾斜となるように可動体61の傾きが生じる。
【0069】
そして、
図8(c)に示すように、可動体61の右端部(取り付けピン68b側の端部)が遅れて上昇する。これにより、可動体61は、特定演出動作を行うときに前後方向の軸を中心とする回動方向(換言すると、回転方向)での傾きが略水平になる。そして、この状態から再度可動体61が下降し、
図8(a)に示す第2可動位置に復帰する。以降、特定演出動作の終了まで
図8(a)~(c)の動作が繰り返される。このように、特定演出動作が行われると、可動体61は、特定演出動作を行うときに前後方向の軸を中心とする回動方向での傾きが変化する。
【0070】
そして、第2可動位置における特定演出動作は演出図柄の停止前に終了し、特定演出動作の終了後に演出図柄による変動表示の結果が導出される。
【0071】
なお、可動体61は、初期位置から第2可動位置に上昇するときは、上昇開始時に
図8(b)と同様に僅かに傾くが、上昇の途中は取り付けピン68aが取り付け孔69a内を移動することなく安定するため、同一又は略同一の傾きを保ったまま上昇する。また、第2可動位置から初期位置に復帰するときも取り付けピン68aが取り付け孔69a内を移動することなく安定するため、同一又は略同一の傾きを保ったまま下降する。
【0072】
また、本実施形態では、モータ67として高トルクのモータが用いられており、
図8(a)~(c)に示す一連の特定演出動作は高速で繰り返される。これにより、特定演出動作が行われると、可動体61が一定の傾きを保ったまま円を描くように前後方向の軸が移動して時計回りに回転しているように見える。よって、特定演出動作では、可動体61に昇降動作と異なる動作を行わせることができるので、可動体61による演出の演出態様を多彩なものとすることができる、これにより、演出効果を高めて遊技の興趣を高めることができる。また、特定演出動作では、取り付けピン68a,68cの挿入位置によって可動体61の傾きに変化をつけることが可能になるので、複雑な機構を設けることなく可動体61の動きにバリエーションを加えることができる。
【0073】
なお、本実施形態では、取り付けピン68a,68bの根元の位置と取り付けピン68c,68dの根元の位置に前後方向で1mmの寸法差を設けている。このため、可動体61が第2可動位置で特定演出動作を行ったときに前後方向での動きを加えることができる。よって、可動体61の3次元的な特定演出動作を行わせることが可能になり、演出効果をより高めることができる。
【0074】
[可動体の揺れ防止について]
本実施形態では、演出ユニット60の各部は組付け誤差を考慮し、例えば、昇降スライダー66と第1シャフト64や第2シャフト65との間に隙間を設ける、あるいは、取り付けピン68a~68dと取り付け孔69a~69dとの寸法に余裕を持たせるなど、各部の寸法に余裕を設けている。また、可動体61には、可動体61自体が動作するためのモータやギヤが取り付けられているため、その重量が重くなっている。
【0075】
よって、可動体61が可動するときに可動体61の下端側が前後方向に揺れてガタつくことがある。そして、可動体61が昇降動作を行っているときに、このような事象が生じると、可動体61がスムーズに昇降しないことがある。特に、可動体61は、左右の両端部における上部が保持されているため、可動体61の下端側が前後方向に揺れやすい。よって、本実施形態では可動体61の揺れを防止するための機構を設けている。以下、この揺れを防止するための構成について
図9~
図11に昇降装置62を図示して説明するが、昇降装置63においても同様の構成である。
【0076】
図9に示すように、本実施形態では、可動体61の揺れを防止するために、昇降スライダー66の後面に一対のローラ70a,70bが一体に取り付けられている。ローラ70a,70bは軸が金属で形成されており、軸を中心に回転する外周部は樹脂で形成されている。
【0077】
また、昇降装置62,63は、昇降装置62,63の各種部品が取り付けられるとともに昇降装置62,63の外装として機能するベース部材71を備えている。ベース部材71は樹脂で板状に形成されており、昇降スライダー66の背面側を覆うように取り付けられている。そして、ローラ70a,70bはベース部材71の内面に当接している。
【0078】
そして、
図10及び
図11に示すように、ローラ70a,70bは、ベース部材71の内面に当接した状態で昇降スライダー66とともに昇降する。このとき、昇降スライダー66が前後方向で揺れてもローラ70a,70bがベース部材71に押し付けられるので昇降スライダー66の揺れを防止できる。これにより、前後方向での揺れを防止しながら昇降スライダー66を昇降させることができる。そして、これに伴い、安定した姿勢で可動体61の昇降動作を行わせることができ、可動体61の前後方向の揺れを防止できる。
【0079】
特に、昇降スライダー66が上昇するときは上側のローラ70aがベース部材71に押し付けられ、昇降スライダー66が下降するときは下側のローラ70bがベース部材71に押し付けられる。よって、一対のローラ70a,70bを用いることにより、より効果的に可動体61の揺れを防止することができる。
【0080】
なお、ローラ70aとローラ70bの距離が離れているほうが可動体61の前後方向への傾きを抑えることができる。よって、効果的に可動体61の揺れを防止するためにはローラ70aとローラ70bの距離を離すことが好ましい。
【0081】
また、本実施形態では、可動体61が停止しているとき、ローラ70a,70bがベース部材71の内面に当接する範囲(すなわち、上下の長さ)は、可動体61の上下方向の幅よりも小さい範囲(長さ)となるようにしている。これにより、可動体61の揺れを防止するための機構をコンパクトに設計することができる。
【0082】
また、本実施形態では、ローラ70a,70bがベース部材71の内面に当接する範囲は、可動体61の上端よりも上方に設定されている。これにより、可動体61の重量が重い場合に、バランスを取りやすく安定して昇降動作を行わせることができる
【0083】
なお、可動体61の揺れを防止するために、昇降スライダー66を上下方向に案内するためのシャフト、すなわち第1シャフト64と同様の構成のシャフトを増設する方法が考えられる。
【0084】
しかし、増設するシャフトを液晶表示器42側に配置する必要が生じた場合は、演出画像の画像表示領域を広げるために液晶表示器42を大型化しても液晶表示器42の画像表示領域が狭くなってしまう。
【0085】
一方、本実施形態では、昇降スライダー66の背面に取り付けられたローラ70a,70bにより可動体61の揺れを防止しているので、液晶表示器42の画像表示領域を制限することなく、可動体61の揺れを防止できる。よって、可動体61の揺れによる部品の破損や動作の不具合の発生などを防止できる。
【0086】
また、本実施形態では、第1シャフト64と第2シャフト65とは前後方向の相対的な位置が異なるように配置されているので、第1シャフト64と第2シャフト65を左右方向で並べて配置する場合に比べ、液晶表示器42の画像表示領域の左右方向の幅を広げることが可能になり、液晶表示器42の画像表示領域を広げることができる。
【0087】
なお、ローラ70a,70bをベース部材71に当接させるときにバネなどによりローラ70a,70bをベース部材71に押し付けることにより、より確実に可動体61の揺れを防止できる。
【0088】
なお、
図12(a)に示すように、本実施形態では、向かって左側の昇降装置62の左右方向の寸法は34.30mm、液晶表示器42の画像表示領域に重畳する左右方向の寸法が6.80mmであり、向かって右側の昇降装置63の左右方向の寸法は46.06mm、液晶表示器42の画像表示領域に重畳する左右方向の寸法が13.80mmである。
【0089】
そして、
図12(b)に示すように、可動体を案内するシャフト(第1シャフト64と同様の構成のシャフト)を2本設けた従来の昇降装置の一例では、向かって左側の昇降装置80の左右方向の寸法は63.70mm、昇降装置の機構部の液晶表示器42の画像表示領域に重畳する左右方向の寸法が34.70mm、昇降装置の意匠部の液晶表示器42の画像表示領域に重畳する左右方向の寸法が42.66mmであり、向かって右側の昇降装置81の左右方向の寸法は51.90mm、液晶表示器42の画像表示領域に重畳する左右方向の寸法が24.90mm、昇降装置の意匠部の液晶表示器42の画像表示領域に重畳する左右方向の寸法が36.70mmである。
【0090】
このように、本実施形態では、液晶表示器42の画像表示領域を広げつつ、可動体61の揺れを防止できる。
【0091】
[本実施形態の効果]
(a1)本実施形態では、左右両端部が保持された可動体(本例では、可動体61)を上下方向で可動可能な遊技機であって、
前記可動体は前後方向に延びる軸を中心に回動可能であり、
前記可動体は、回動方向での傾きを同一または略同一に保つことが可能であるとともに(本例では、
図8(a))、前記傾きを変化させることが可能である(本例では、
図8(b)(c))。
よって、可動体の動きにバリエーションを加えることが可能になり、可動体による演出効果を高めて、遊技の興趣を高めることができる。
【0092】
上記実施形態では、可動体61が上下方向に可動しているときに可動体61の傾きを同一又は略同一とし、特定演出動作を行っているときに可動体61の傾きを変化させる例を挙げて説明したが、例えば、特定演出動作を行っているときに可動体61の傾きを同一または略同一とする、可動体61を上下方向に可動させているときに可動体61の傾きを変化させる、可動体61が停止しているときに可動体61の傾きを同一または略同一とする、可動体61が停止しているときに可動体61の傾きを変化させるなど、上記実施形態と異なるタイミングで可動体61の傾きを同一または略同一とする、あるいは、傾きを変化させてもよい。
【0093】
(a2)本実施形態では、前記可動体は、前後方向に延びる一対のピン(本例では、取り付けピン68a,68c)が挿入されることによって左右両端部が保持されており、
前記一対のピンのそれぞれの位置が上下方向で異なり(本例では、
図7)、
前記可動体は上下方向で可動している過程で所定の動作(本例では、特定演出動作)を行うことが可能であり、
前記可動体が上下方向に可動しているときに、前記可動体の前記傾きを同一または略同一に保つことが可能であり(本例では、
図8(a))、
前記所定の動作を行っているときに、前記可動体の前記傾きを変化させることが可能である(本例では、
図8(b)(c))。
よって、ピンの挿入位置によって可動体の傾きに変化をつけることが可能になり、複雑な機構を設けることなく可動体の動きにバリエーションを加えることができる。
【0094】
(b1)本実施形態では、演出を実行可能な演出装置(本例では、演出ユニット60)を備えた遊技機(本例では、パチンコ機1)において、
前記演出装置は、本体部(本例では、可動体61)と、前記本体部を移動させることが可能な移動機構(本例では、昇降装置62,63)とを含み、
前記移動機構は、螺旋溝が形成されたシャフト(本例では、第2シャフト65)と、前記螺旋溝に係合し、前記シャフトに沿って移動可能な移動スライダー(本例では、昇降スライダー66)と、前記シャフトを回動させる回動駆動源(本例では、モータ67)とを含み、
前記移動スライダーとともに移動する移動部材(本例では、ローラ70a,70b)と、前記移動部材が当接可能な当接部(本例では、ベース部材71)とを備え、
前記移動スライダーが移動するときに前記移動部材が前記当接部に当接することにより、前記本体部の揺れが防止される。
よって、移動部材を当接部に当接させる単純な構造で演出装置の本体部の揺れを防止できるため、演出装置の本体部の揺れを防止するための構造をコンパクトにすることができる。
【0095】
上記実施形態では、移動部材としてローラ70a,70bを例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、板状の摺動部材、ベアリングなど、上記実施形態と異なる態様の移動部材に本発明を適用してもよい。
【0096】
上記実施形態では、本体部として可動体61を例に挙げ、上下方向に移動する例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、左右方向や斜め方向など、上記実施形態と異なる方向に移動する本体部に本発明を適用してもよい。
【0097】
上記実施形態では、当接部として昇降装置62,63のベース部材71を例に挙げて説明したが、例えば、遊技盤ユニット8において遊技盤8aや液晶表示器42を保持するセット板を当接部とするなど、上記実施形態と異なる当接部を本発明に適用してもよい。
【0098】
上記実施形態では、一対の昇降装置62,63を設ける例を挙げて説明したが、昇降装置を左右のいずれか一方に設けてもよい。ローラ70a、70bも左右のいずれか一方に設けることになる。
【0099】
上記実施形態では、ローラ70a、70bを同一の構成(例えば、素材、部材、形状、大きさ、接触幅)とする例を挙げて説明したが、上下のローラ70a、70bを異なる構成としてもよい。例えば、下側のローラ70bを別の素材としたり、接触幅を広くしたり、ローラ自体を大きくする例を挙げることができる。なお、ローラ70a、70bの何れか一方のみを設けるようにしてもよい。また、ローラ70a、70bが一体となった移動部材を設けてもよい。
【0100】
(b2)本実施形態では、前記本体部を案内する案内シャフト(本例では、第1シャフト64)を備え、前記シャフト(本例では、第2シャフト65)と前記案内シャフトとは前後方向の相対的な位置が異なる(本例では、
図6に示す部分)。
よって、上下左右の幅を有効に活用することができるので、液晶表示器の上下左右の幅を広げて液晶表示器の画像表示領域を広げることができる。
【0101】
[その他、上記実施形態の変形例]
なお、上記実施形態では、パチンコ機に本発明を適用する例を挙げたが、遊技用価値としてメダル並びにクレジットを用いて賭数が設定されるスロットマシンなど、他の態様の遊技機に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 パチンコ機
8 遊技盤ユニット
8a 遊技領域
42 液晶表示器
60 演出ユニット
61 可動体
70 ローラ